JP2004187376A - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】固定子の一部にコイルを集中的に配置したリニアアクチュエータにおいて、簡単な構造により効率的な放熱、冷却を可能にする。
【解決手段】複数の突起219を有する固定子片211,212,215,216と、これらの固定子片を磁化するべく集中的に巻回されたコイル214,218と、を有し、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子200と、突起219にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極150が複数配置された可動子片110,120を有し、固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子100とを備え、突起219と磁極150との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれており、コイル214,218に通流して可動子100に推力を発生させるリニアアクチュエータに関する。コイル214,218を包囲する熱伝導部材261を、固定子支持部材300に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の突起219を有する固定子片211,212,215,216と、これらの固定子片を磁化するべく集中的に巻回されたコイル214,218と、を有し、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子200と、突起219にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極150が複数配置された可動子片110,120を有し、固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子100とを備え、突起219と磁極150との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれており、コイル214,218に通流して可動子100に推力を発生させるリニアアクチュエータに関する。コイル214,218を包囲する熱伝導部材261を、固定子支持部材300に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長手方向に複数の突起が形成され、かつ、コイルが集中的に巻回された複数の固定子片からなる固定子と、前記突起に対向する複数の磁極を有する可動子とを備え、前記コイルに通流することにより可動子を固定子片の長手方向に沿って直線的に移動させるようにしたリニアアクチュエータに関し、詳しくは、コイルの効率的な放熱方法に特徴を有するリニアアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、後述する特許文献1に係るリニアアクチュエータを既に出願している。
このリニアアクチュエータでは、図6に示すように、レール状で長手方向に等間隔Tにて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる固定子片20A1,20A2を互いに平行に配置し、両固定子片20A1,20A2の一端を磁性体からなるブリッジ20A3によって磁気的に結合すると共に、両固定子片20A1,20A2の突起201を互いに逆極性に磁化するコイル20A0を前記ブリッジ20A3に巻回してA相固定子片対20Aが形成される。また、同様にして、B相固定子片対20Bが形成され、これら2個の固定子片対20A,20Bを互いに平行に配置することにより、固定子2が構成される。
更に、各固定子片の突起201にほぼ一定距離を隔てて対向すると共に、磁性体からなるコア101と、このコア101の前記固定子片に対向する部位に形成されて前記固定子片の長手方向に沿って配置されるN極及びS極の磁極102N,102Sとから構成され、前記N極及びS極の何れかに前記突起201と正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子片対向面の全部または一部が突起201相互間の溝部に対向するように配置されている可動子片10A1,10A2をブリッジ10A0により磁気的に結合してA相可動子片対10Aが形成される。また、同様にしてB相可動子片対10Bが形成され、これら2個の可動子片対10A,10Bをスペーサ11により一体化して可動子1が構成される。
そして、2個の固定子片対20A,20Bと、各固定子片対に対向する2個の可動子片対10A,10Bとからなる2個の組それぞれにおいて、
固定子片とこれに対向する可動子片からなる2つの組について、固定子の突起と可動子の磁極との位置関係が、固定子の長手方向について互いにT/2だけずれるように配置され、かつ、固定子片対20A,20Bと可動子片対10A,10Bとの2個の組について、固定子側の突起と可動子側の磁極との位置関係が、固定子の長手方向に沿って順次等間隔ずつずれるように配置されており、各コイル20A0,20B0に電流を時系列的に順次通流することにより、固定子2の長手方向に沿った推力を可動子1に発生させるものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−330578号公報(図1、請求項3等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、固定子の一部にコイルを集中的に巻回しているため発熱量を比較的少なくすることが可能である。
しかしながら、この種のリニアアクチュエータにおいて、効率的かつ簡素化された放熱、冷却構造は未だ提供されておらず、コイルの熱が固定子片に伝導させれることによって固定子片が熱変形したり、冷却装置の大型化がリニアアクチュエータの小型化や低コスト化を阻害する等の問題を生じていた。
【0005】
そこで本発明は、固定子の一部にコイルを集中的に配置したリニアアクチュエータにおいて、簡単な構造により効率的な放熱、冷却を可能にし、小型化及び低コスト化を可能にしたリニアアクチュエータを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記コイルを熱伝導性の良い部材によって包囲し、この部材を、前記固定子を支持するための固定子支持部材に固定するものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記固定子を支持するための固定子支持部材から離れた位置に前記コイルを配置すると共に、このコイルを熱伝導性の良い部材によって包囲するものである。
【0008】
なお、請求項3に記載するように、請求項2における熱伝導性の良い部材には、放熱フィン等の放熱促進手段を取り付けると好適である。この放熱促進手段は、必要に応じて請求項1の発明に追加しても良い。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は請求項1に係る本発明の第1実施形態の平面図(図1(a))及び側面図(図1(b):図1(a)の左側面図)である。これらの図において、100はシャフト140に一体的に固定された可動子、110,120は後述する固定子片対210,220の内面に形成された突起219との間にほぼ一定距離を隔てて配置される可動子片であり、可動子片110,120の、突起219との対向面には、固定子片対210,220の長手方向に沿ってN極及びS極が交互に着磁された磁極150が配置されている。
【0010】
固定子200は、側面から見てほぼコ字形の固定子片対210,220からなり、固定子片対210,220はそれぞれ磁性体からなる長尺の固定子片211,212及び215,216を有している。そして、固定子片対210を構成する一対の固定子片211,212は互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ213により連結されている。同様に、固定子片対220を構成する一対の固定子片215,216も互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ217(図3参照)により連結されている。
また、固定子片212,216のブリッジ213,217近傍の位置には、コイル214,218がそれぞれ集中的に巻回されている。
【0011】
固定子片211,212によって挟まれた空間には可動子片110が配置され、固定子片215,216によって挟まれた空間には可動子片120が配置されており、前記コイル214,218への通流によって可動子100には固定子片対210,220の長手方向(シャフト140の軸方向)に沿った推力が発生するようになっている。
【0012】
次に、固定子200側の突起219と可動子100側の磁極150との位置関係について、図2、図3を参照しつつ説明する。ここで、図2は一方の固定子片対210の固定子片211,212及び可動子片110に着目して図示したものであり、図3は他方の固定子片対220の固定子片215,216及び可動子片120に着目して図示したものである。
なお、図2,図3に示した固定子片対210,220は略図的に示したものであり、便宜的に図1とは形状が異なっている。
【0013】
まず、図2に示す固定子片211,212において、固定子片211の突起219と固定子片212の突起219とは、突起219のピッチをTとすると固定子片211,212の長手方向に沿ってT/2ずれている。なお、突起219の幅はT/2である。
また、図3に示す固定子片215,216においても、固定子片215の突起219と固定子片216の突起219とは固定子片215,216の長手方向に沿ってT/2ずれているが、固定子片215の突起219は固定子片211の突起219に対してT/4ずれ、固定子片216の突起219は固定子片212の突起219に対してT/4ずれている。
可動子100の磁極150の幅は、突起219の幅に等しくT/2であり、同一極性の磁極150のピッチは突起219のピッチTに等しい。
このように、各固定子片211,212,215,216の突起219は、この順に長手方向に沿って順次ずれるように配置されている。
【0014】
次いで、この実施形態の動作を説明する。
図2(a)の状態において、固定子片対210のコイル214に通流して固定子片211がN極、固定子片212がS極となるように励磁すると、可動子片110のS極は固定子片211の突起219に、可動子片110のN極は固定子片212の突起219にそれぞれ吸引されるため、可動子100は図の左方向に移動して図2(b)の状態となる。
【0015】
この時、図3に示す固定子片対220のコイル218に通流して固定子片215がN極、固定子片216がS極となるように励磁すると、可動子片120のS極は固定子片215の突起219に、可動子片120のN極は固定子片216の突起219にそれぞれ吸引されるため、可動子100は図の左方向に移動して図2(c)の状態となる。
【0016】
次に、コイル214に、図2(a)とは逆方向に通流することにより、可動子100は図2(d)の位置に移動し、その後、コイル218,214を交互に励磁すれば可動子100を図の左方向に連続的に移動させることができる。
なお、コイル214,218に流す電流は、パルス状あるいは正弦波状の電流である。
【0017】
さて、前述した図1において、固定子片対210,220のコイル214,218はアルミニウム等の熱伝導性の良い熱伝導部材261によって包囲されており、この熱伝導部材261は固定子片対210,220の全体を覆うフレーム250に連結されている。また、熱伝導部材261は、ねじ止め等の周知の固定手段により、外部の固定子支持部材300に固定される。この固定子支持部材300にも熱伝導性の良い金属が使用される。
図示されていないが、コイル214,218の絶縁を確保し、かつ、放熱、冷却効果を高めるために、コイル214,218と熱伝導部材261との間に熱伝導性の良い樹脂をモールドしても良い。
【0018】
更に、コイル214,218を断熱性の樹脂製ボビンを介して固定子片212,216にそれぞれ巻回しても良い。これによってコイル214,218の熱が固定子片212,216に伝わるのを防ぎ、固定子片212,216の熱変形を抑制してアクチュエータの動作を安定させることができる。
【0019】
上記のように本実施形態によれば、コイル214,218が発熱しても、その熱は熱伝導部材261から固定子支持部材300に放熱され、固定子片211,212及び215,216側にはほとんど伝導されなくなるため、コイル214,218を効率よく放熱、冷却することができる。また、熱伝導部材261や固定子支持部材300は、固定子200の保持、固定用に設けられている部材を放熱、冷却に兼用することになるので、専用の放熱、冷却構造を付加する場合に比べてアクチュエータの小型化、簡素化、低コスト化が可能である。
【0020】
次に、図4は請求項2,3に係る本発明の第2実施形態の主要部を示している。なお、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付して詳述を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
【0021】
図4の第2実施形態では、可動子100及びシャフト140の構造は基本的に図1と同一であり、固定子200’の構造が異なっている。
図4は第2実施形態の平面図(図4(a))及び側面図(図4(b):図4(a)の左側面図)である。これらの図において、固定子200’は、図1と反対向き(各固定子片対230,240のブリッジが固定子支持部材300から離れた位置)に配置されたほぼコ字形の固定子片対230,240を備え、固定子片対230,240は、それぞれ磁性体からなる長尺の固定子片231,232及び235,236を有している。
【0022】
固定子片対230を構成する一対の固定子片231,232は互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ233により連結されている。同様に、固定子片対240を構成する一対の固定子片235,236も互いに平行に配置されて一端部がブリッジにより連結されている。また、固定子片232,236のブリッジ近傍の位置には、コイル234,238がそれぞれ集中的に巻回されている。
このように、コイル234,238を固定子支持部材300から遠ざけて配置する構造は、固定子支持部材300に熱が伝わるるのを極力防ぎたい場合、例えば、このリニアアクチュエータが組み込まれる機械、装置の寸法精度が厳しく要求されていて温度変化をできるだけ小さく抑えたいような場合に有益である。
【0023】
固定子片231,232によって挟まれた空間には、第1実施形態と同様に可動子片110が配置され、固定子片235,236によって挟まれた空間には可動子片120が配置されており、可動子100は固定子片対230,240の長手方向に沿って移動可能である。また、可動子片110,120の磁極150は、固定子片231,232及び235,236の突起219に対してそれぞれほぼ一定距離を隔てて対向している。
なお、固定子片231,232及び235,236の突起219と可動子片110,120の磁極150との位置関係、並びに、リニアアクチュエータとしての動作原理は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0024】
本実施形態では、固定子片対230,240のコイル234,238がアルミニウム等の熱伝導部材262によって包囲され、この熱伝導部材262は固定子片対230,240の全体を覆うフレーム251に連結されている。また、熱伝導部材262の側面には、放熱促進手段としての冷却フィン263が取り付けられている。放熱促進手段としては、水冷または風冷の冷却器具やヒートパイプ等を用いても良い。
なお、フレーム251の端部は、周知の固定手段により固定子支持部材300に固定されている。
【0025】
この実施形態においても、コイル234,238の絶縁を確保し、かつ、放熱、冷却効果を高めるために、コイル234,238と熱伝導部材262との間に熱伝導性の良い樹脂をモールドしても良い。
更に、コイル234,238を断熱性の樹脂製ボビンを介して固定子片232,236にそれぞれ巻回することも有効である。
【0026】
本実施形態によれば、コイル234,238が発熱しても、その熱は熱伝導部材262から放熱フィン263に伝導して空気中に放熱されるため、固定子片231,232及び235,236側にはほとんど伝導されなくなる。これにより、コイル234,238を効率よく放熱、冷却することができる。特に、固定子支持部材300側への熱伝導もないので、前述したようにリニアアクチュエータが組み込まれる機械、装置への直接の熱伝導による温度変化を防止することが可能である。
ここで、放熱フィン263等の放熱促進手段は、必要に応じて図1の第1実施形態にも適用可能である。すなわち、図1において固定子支持部材300の熱伝導性が悪い場合などは、熱伝導部材261に放熱フィン263等を取り付けることでコイル214,218の放熱効果を高めることができる。
【0027】
上記各実施形態では、固定子側の突起及び可動子側の磁極とも、各々の長手方向が可動子の移動方向に対して垂直である場合につき説明したが、突起及び磁極の一方または両方を僅かにスキューさせることによってコギングトルクを低減することができる。
また、図示されていないが、可動子の位置を検出するセンサを設け、これによって得られる可動子の位置情報を用いてフィードバック制御系を構成すれば、可動子位置を高精度に制御することができる。
【0028】
更に、上記各実施形態では、可動子の磁極位置に対して各固定子片の突起位置を長手方向に沿って順次ずらす構成を想定しているが、例えば各可動子片の磁極位置をずらして各固定子片の突起位置を揃えたり、あるいは、可動子、固定子両方にてそれぞれの片の位置をずらす等の方法をとっても、本質的に同様の効果を得ることができる。
【0029】
加えて、各実施形態では、可動子にN極とS極とが交互に着磁されている例を説明したが、本発明における可動子の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明では、可動子の磁極が1つ以上のN極及びS極からなり、かつ、前記N極及びS極の何れかに固定子片の突起と正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子対向面の全部または一部が突起相互間の溝部に対向するように配置されていれば良いので、以下に述べるような各種の構造が考えられる。
【0030】
これを図5に基づいて説明する。まず、図5(a)は前述した各実施形態のように可動子にN極とS極とが交互に配置されている例である。この図5(a)においてN極、S極のうち幾つかを除去し、例えば図5(b)のような構成にした場合、N極群は固定子片の突起に対向して偏在し、S極群は突起相互間の溝部に対向して偏在するため、可動子の推力は図5(a)の場合に比べて減少するものの、動作上、特に支障はない。
更に、図5(c)のように可動子のコアの中央部に永久磁石を嵌め込み、コアの歯部を磁極として用いることもできる。このように複数の磁極をコアの歯部によって置き換え、1つまたは少数の永久磁石をコアに嵌め込んで元の複数の永久磁石と同等の機能を持たせる構成は、いわゆるハイブリッド形ステッピングモータにおいて広く実用化されている。
【0031】
また、前述した各実施形態では、図5(a)のように固定子片の突起のピッチTと可動子側の磁極のピッチPとが等しい場合(P=T)について説明したが、これらは原理的にはP/2<T<2Pの範囲で設定可能である。すなわち、T≠Pの場合でも、N極及びS極のうち一方に固定子片の突起に正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子片対向面の全部または一部が突起相互間の溝部に対向するように配置されていれば良い。
図5(d)はP>Tの場合であって、可動子のほぼ中央のN極が固定子片の突起に正対し、当該N極に隣接するS極の固定子片対向面の大部分が突起相互間の溝部に対向している例である。この場合、個々の磁極が突起と揃おうとする力が分散するので、可動子の推力は若干低下するが、コギングトルクを大幅に低減させることができる。
【0032】
なお、各実施形態で説明したアクチュエータの構造はあくまで例示的なものであり、本発明に係る放熱手段はコイルを固定子の一部に集中的に配置可能なリニアアクチュエータであれば、その構造や相数を問わず、広く一般的に適用可能である。
例えば、図6に示したような構造のリニアアクチュエータにも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、固定子の一部にコイルを集中的に配置したリニアアクチュエータにおいて、簡単な構造によってコイルを効率的に放熱、冷却することができる。このため、固定子片の熱変形を防止して安定した動作を可能にすると共に、放熱、冷却手段の簡素化によってリニアアクチュエータの小型化、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の主要部を示す平面図及び側面図である。
【図2】第1実施形態の動作を説明するための固定子及び可動子の側面図である。
【図3】第1実施形態の動作を説明するための固定子及び可動子の側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の主要部を示す平面図及び側面図である。
【図5】本発明における可動子の磁極と固定子片の突起との位置関係を示す模式図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
100:可動子
110,120:可動子片
140:シャフト
150:磁極
200,200’:固定子
210,220,230,240:固定子片対
211,212,215,216,231,232,235,236:固定子片
213,217,233:ブリッジ
214,218,234,238:コイル
219:突起
250,251:フレーム
261,262:熱伝導部材
263:放熱フィン(放熱促進手段)
300:固定子支持部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、長手方向に複数の突起が形成され、かつ、コイルが集中的に巻回された複数の固定子片からなる固定子と、前記突起に対向する複数の磁極を有する可動子とを備え、前記コイルに通流することにより可動子を固定子片の長手方向に沿って直線的に移動させるようにしたリニアアクチュエータに関し、詳しくは、コイルの効率的な放熱方法に特徴を有するリニアアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、後述する特許文献1に係るリニアアクチュエータを既に出願している。
このリニアアクチュエータでは、図6に示すように、レール状で長手方向に等間隔Tにて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる固定子片20A1,20A2を互いに平行に配置し、両固定子片20A1,20A2の一端を磁性体からなるブリッジ20A3によって磁気的に結合すると共に、両固定子片20A1,20A2の突起201を互いに逆極性に磁化するコイル20A0を前記ブリッジ20A3に巻回してA相固定子片対20Aが形成される。また、同様にして、B相固定子片対20Bが形成され、これら2個の固定子片対20A,20Bを互いに平行に配置することにより、固定子2が構成される。
更に、各固定子片の突起201にほぼ一定距離を隔てて対向すると共に、磁性体からなるコア101と、このコア101の前記固定子片に対向する部位に形成されて前記固定子片の長手方向に沿って配置されるN極及びS極の磁極102N,102Sとから構成され、前記N極及びS極の何れかに前記突起201と正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子片対向面の全部または一部が突起201相互間の溝部に対向するように配置されている可動子片10A1,10A2をブリッジ10A0により磁気的に結合してA相可動子片対10Aが形成される。また、同様にしてB相可動子片対10Bが形成され、これら2個の可動子片対10A,10Bをスペーサ11により一体化して可動子1が構成される。
そして、2個の固定子片対20A,20Bと、各固定子片対に対向する2個の可動子片対10A,10Bとからなる2個の組それぞれにおいて、
固定子片とこれに対向する可動子片からなる2つの組について、固定子の突起と可動子の磁極との位置関係が、固定子の長手方向について互いにT/2だけずれるように配置され、かつ、固定子片対20A,20Bと可動子片対10A,10Bとの2個の組について、固定子側の突起と可動子側の磁極との位置関係が、固定子の長手方向に沿って順次等間隔ずつずれるように配置されており、各コイル20A0,20B0に電流を時系列的に順次通流することにより、固定子2の長手方向に沿った推力を可動子1に発生させるものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−330578号公報(図1、請求項3等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、固定子の一部にコイルを集中的に巻回しているため発熱量を比較的少なくすることが可能である。
しかしながら、この種のリニアアクチュエータにおいて、効率的かつ簡素化された放熱、冷却構造は未だ提供されておらず、コイルの熱が固定子片に伝導させれることによって固定子片が熱変形したり、冷却装置の大型化がリニアアクチュエータの小型化や低コスト化を阻害する等の問題を生じていた。
【0005】
そこで本発明は、固定子の一部にコイルを集中的に配置したリニアアクチュエータにおいて、簡単な構造により効率的な放熱、冷却を可能にし、小型化及び低コスト化を可能にしたリニアアクチュエータを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載した発明は、レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記コイルを熱伝導性の良い部材によって包囲し、この部材を、前記固定子を支持するための固定子支持部材に固定するものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記固定子を支持するための固定子支持部材から離れた位置に前記コイルを配置すると共に、このコイルを熱伝導性の良い部材によって包囲するものである。
【0008】
なお、請求項3に記載するように、請求項2における熱伝導性の良い部材には、放熱フィン等の放熱促進手段を取り付けると好適である。この放熱促進手段は、必要に応じて請求項1の発明に追加しても良い。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は請求項1に係る本発明の第1実施形態の平面図(図1(a))及び側面図(図1(b):図1(a)の左側面図)である。これらの図において、100はシャフト140に一体的に固定された可動子、110,120は後述する固定子片対210,220の内面に形成された突起219との間にほぼ一定距離を隔てて配置される可動子片であり、可動子片110,120の、突起219との対向面には、固定子片対210,220の長手方向に沿ってN極及びS極が交互に着磁された磁極150が配置されている。
【0010】
固定子200は、側面から見てほぼコ字形の固定子片対210,220からなり、固定子片対210,220はそれぞれ磁性体からなる長尺の固定子片211,212及び215,216を有している。そして、固定子片対210を構成する一対の固定子片211,212は互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ213により連結されている。同様に、固定子片対220を構成する一対の固定子片215,216も互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ217(図3参照)により連結されている。
また、固定子片212,216のブリッジ213,217近傍の位置には、コイル214,218がそれぞれ集中的に巻回されている。
【0011】
固定子片211,212によって挟まれた空間には可動子片110が配置され、固定子片215,216によって挟まれた空間には可動子片120が配置されており、前記コイル214,218への通流によって可動子100には固定子片対210,220の長手方向(シャフト140の軸方向)に沿った推力が発生するようになっている。
【0012】
次に、固定子200側の突起219と可動子100側の磁極150との位置関係について、図2、図3を参照しつつ説明する。ここで、図2は一方の固定子片対210の固定子片211,212及び可動子片110に着目して図示したものであり、図3は他方の固定子片対220の固定子片215,216及び可動子片120に着目して図示したものである。
なお、図2,図3に示した固定子片対210,220は略図的に示したものであり、便宜的に図1とは形状が異なっている。
【0013】
まず、図2に示す固定子片211,212において、固定子片211の突起219と固定子片212の突起219とは、突起219のピッチをTとすると固定子片211,212の長手方向に沿ってT/2ずれている。なお、突起219の幅はT/2である。
また、図3に示す固定子片215,216においても、固定子片215の突起219と固定子片216の突起219とは固定子片215,216の長手方向に沿ってT/2ずれているが、固定子片215の突起219は固定子片211の突起219に対してT/4ずれ、固定子片216の突起219は固定子片212の突起219に対してT/4ずれている。
可動子100の磁極150の幅は、突起219の幅に等しくT/2であり、同一極性の磁極150のピッチは突起219のピッチTに等しい。
このように、各固定子片211,212,215,216の突起219は、この順に長手方向に沿って順次ずれるように配置されている。
【0014】
次いで、この実施形態の動作を説明する。
図2(a)の状態において、固定子片対210のコイル214に通流して固定子片211がN極、固定子片212がS極となるように励磁すると、可動子片110のS極は固定子片211の突起219に、可動子片110のN極は固定子片212の突起219にそれぞれ吸引されるため、可動子100は図の左方向に移動して図2(b)の状態となる。
【0015】
この時、図3に示す固定子片対220のコイル218に通流して固定子片215がN極、固定子片216がS極となるように励磁すると、可動子片120のS極は固定子片215の突起219に、可動子片120のN極は固定子片216の突起219にそれぞれ吸引されるため、可動子100は図の左方向に移動して図2(c)の状態となる。
【0016】
次に、コイル214に、図2(a)とは逆方向に通流することにより、可動子100は図2(d)の位置に移動し、その後、コイル218,214を交互に励磁すれば可動子100を図の左方向に連続的に移動させることができる。
なお、コイル214,218に流す電流は、パルス状あるいは正弦波状の電流である。
【0017】
さて、前述した図1において、固定子片対210,220のコイル214,218はアルミニウム等の熱伝導性の良い熱伝導部材261によって包囲されており、この熱伝導部材261は固定子片対210,220の全体を覆うフレーム250に連結されている。また、熱伝導部材261は、ねじ止め等の周知の固定手段により、外部の固定子支持部材300に固定される。この固定子支持部材300にも熱伝導性の良い金属が使用される。
図示されていないが、コイル214,218の絶縁を確保し、かつ、放熱、冷却効果を高めるために、コイル214,218と熱伝導部材261との間に熱伝導性の良い樹脂をモールドしても良い。
【0018】
更に、コイル214,218を断熱性の樹脂製ボビンを介して固定子片212,216にそれぞれ巻回しても良い。これによってコイル214,218の熱が固定子片212,216に伝わるのを防ぎ、固定子片212,216の熱変形を抑制してアクチュエータの動作を安定させることができる。
【0019】
上記のように本実施形態によれば、コイル214,218が発熱しても、その熱は熱伝導部材261から固定子支持部材300に放熱され、固定子片211,212及び215,216側にはほとんど伝導されなくなるため、コイル214,218を効率よく放熱、冷却することができる。また、熱伝導部材261や固定子支持部材300は、固定子200の保持、固定用に設けられている部材を放熱、冷却に兼用することになるので、専用の放熱、冷却構造を付加する場合に比べてアクチュエータの小型化、簡素化、低コスト化が可能である。
【0020】
次に、図4は請求項2,3に係る本発明の第2実施形態の主要部を示している。なお、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付して詳述を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
【0021】
図4の第2実施形態では、可動子100及びシャフト140の構造は基本的に図1と同一であり、固定子200’の構造が異なっている。
図4は第2実施形態の平面図(図4(a))及び側面図(図4(b):図4(a)の左側面図)である。これらの図において、固定子200’は、図1と反対向き(各固定子片対230,240のブリッジが固定子支持部材300から離れた位置)に配置されたほぼコ字形の固定子片対230,240を備え、固定子片対230,240は、それぞれ磁性体からなる長尺の固定子片231,232及び235,236を有している。
【0022】
固定子片対230を構成する一対の固定子片231,232は互いに平行に配置され、それらの一端部がブリッジ233により連結されている。同様に、固定子片対240を構成する一対の固定子片235,236も互いに平行に配置されて一端部がブリッジにより連結されている。また、固定子片232,236のブリッジ近傍の位置には、コイル234,238がそれぞれ集中的に巻回されている。
このように、コイル234,238を固定子支持部材300から遠ざけて配置する構造は、固定子支持部材300に熱が伝わるるのを極力防ぎたい場合、例えば、このリニアアクチュエータが組み込まれる機械、装置の寸法精度が厳しく要求されていて温度変化をできるだけ小さく抑えたいような場合に有益である。
【0023】
固定子片231,232によって挟まれた空間には、第1実施形態と同様に可動子片110が配置され、固定子片235,236によって挟まれた空間には可動子片120が配置されており、可動子100は固定子片対230,240の長手方向に沿って移動可能である。また、可動子片110,120の磁極150は、固定子片231,232及び235,236の突起219に対してそれぞれほぼ一定距離を隔てて対向している。
なお、固定子片231,232及び235,236の突起219と可動子片110,120の磁極150との位置関係、並びに、リニアアクチュエータとしての動作原理は第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0024】
本実施形態では、固定子片対230,240のコイル234,238がアルミニウム等の熱伝導部材262によって包囲され、この熱伝導部材262は固定子片対230,240の全体を覆うフレーム251に連結されている。また、熱伝導部材262の側面には、放熱促進手段としての冷却フィン263が取り付けられている。放熱促進手段としては、水冷または風冷の冷却器具やヒートパイプ等を用いても良い。
なお、フレーム251の端部は、周知の固定手段により固定子支持部材300に固定されている。
【0025】
この実施形態においても、コイル234,238の絶縁を確保し、かつ、放熱、冷却効果を高めるために、コイル234,238と熱伝導部材262との間に熱伝導性の良い樹脂をモールドしても良い。
更に、コイル234,238を断熱性の樹脂製ボビンを介して固定子片232,236にそれぞれ巻回することも有効である。
【0026】
本実施形態によれば、コイル234,238が発熱しても、その熱は熱伝導部材262から放熱フィン263に伝導して空気中に放熱されるため、固定子片231,232及び235,236側にはほとんど伝導されなくなる。これにより、コイル234,238を効率よく放熱、冷却することができる。特に、固定子支持部材300側への熱伝導もないので、前述したようにリニアアクチュエータが組み込まれる機械、装置への直接の熱伝導による温度変化を防止することが可能である。
ここで、放熱フィン263等の放熱促進手段は、必要に応じて図1の第1実施形態にも適用可能である。すなわち、図1において固定子支持部材300の熱伝導性が悪い場合などは、熱伝導部材261に放熱フィン263等を取り付けることでコイル214,218の放熱効果を高めることができる。
【0027】
上記各実施形態では、固定子側の突起及び可動子側の磁極とも、各々の長手方向が可動子の移動方向に対して垂直である場合につき説明したが、突起及び磁極の一方または両方を僅かにスキューさせることによってコギングトルクを低減することができる。
また、図示されていないが、可動子の位置を検出するセンサを設け、これによって得られる可動子の位置情報を用いてフィードバック制御系を構成すれば、可動子位置を高精度に制御することができる。
【0028】
更に、上記各実施形態では、可動子の磁極位置に対して各固定子片の突起位置を長手方向に沿って順次ずらす構成を想定しているが、例えば各可動子片の磁極位置をずらして各固定子片の突起位置を揃えたり、あるいは、可動子、固定子両方にてそれぞれの片の位置をずらす等の方法をとっても、本質的に同様の効果を得ることができる。
【0029】
加えて、各実施形態では、可動子にN極とS極とが交互に着磁されている例を説明したが、本発明における可動子の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明では、可動子の磁極が1つ以上のN極及びS極からなり、かつ、前記N極及びS極の何れかに固定子片の突起と正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子対向面の全部または一部が突起相互間の溝部に対向するように配置されていれば良いので、以下に述べるような各種の構造が考えられる。
【0030】
これを図5に基づいて説明する。まず、図5(a)は前述した各実施形態のように可動子にN極とS極とが交互に配置されている例である。この図5(a)においてN極、S極のうち幾つかを除去し、例えば図5(b)のような構成にした場合、N極群は固定子片の突起に対向して偏在し、S極群は突起相互間の溝部に対向して偏在するため、可動子の推力は図5(a)の場合に比べて減少するものの、動作上、特に支障はない。
更に、図5(c)のように可動子のコアの中央部に永久磁石を嵌め込み、コアの歯部を磁極として用いることもできる。このように複数の磁極をコアの歯部によって置き換え、1つまたは少数の永久磁石をコアに嵌め込んで元の複数の永久磁石と同等の機能を持たせる構成は、いわゆるハイブリッド形ステッピングモータにおいて広く実用化されている。
【0031】
また、前述した各実施形態では、図5(a)のように固定子片の突起のピッチTと可動子側の磁極のピッチPとが等しい場合(P=T)について説明したが、これらは原理的にはP/2<T<2Pの範囲で設定可能である。すなわち、T≠Pの場合でも、N極及びS極のうち一方に固定子片の突起に正対する磁極があるときに、当該磁極に隣接する他極性の磁極の固定子片対向面の全部または一部が突起相互間の溝部に対向するように配置されていれば良い。
図5(d)はP>Tの場合であって、可動子のほぼ中央のN極が固定子片の突起に正対し、当該N極に隣接するS極の固定子片対向面の大部分が突起相互間の溝部に対向している例である。この場合、個々の磁極が突起と揃おうとする力が分散するので、可動子の推力は若干低下するが、コギングトルクを大幅に低減させることができる。
【0032】
なお、各実施形態で説明したアクチュエータの構造はあくまで例示的なものであり、本発明に係る放熱手段はコイルを固定子の一部に集中的に配置可能なリニアアクチュエータであれば、その構造や相数を問わず、広く一般的に適用可能である。
例えば、図6に示したような構造のリニアアクチュエータにも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、固定子の一部にコイルを集中的に配置したリニアアクチュエータにおいて、簡単な構造によってコイルを効率的に放熱、冷却することができる。このため、固定子片の熱変形を防止して安定した動作を可能にすると共に、放熱、冷却手段の簡素化によってリニアアクチュエータの小型化、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の主要部を示す平面図及び側面図である。
【図2】第1実施形態の動作を説明するための固定子及び可動子の側面図である。
【図3】第1実施形態の動作を説明するための固定子及び可動子の側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の主要部を示す平面図及び側面図である。
【図5】本発明における可動子の磁極と固定子片の突起との位置関係を示す模式図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
100:可動子
110,120:可動子片
140:シャフト
150:磁極
200,200’:固定子
210,220,230,240:固定子片対
211,212,215,216,231,232,235,236:固定子片
213,217,233:ブリッジ
214,218,234,238:コイル
219:突起
250,251:フレーム
261,262:熱伝導部材
263:放熱フィン(放熱促進手段)
300:固定子支持部材
Claims (3)
- レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記コイルを熱伝導性の良い部材によって包囲し、この部材を、前記固定子を支持するための固定子支持部材に固定することを特徴とするリニアアクチュエータ。 - レール状で長手方向に所定間隔にて並ぶ複数の突起を有する磁性体からなる複数の固定子片と、これらの固定子片を磁化するために固定子片の一部に集中的に巻回されたコイルと、を有し、かつ、各固定子片が互いにほぼ平行に配置された固定子と、
各固定子片の前記突起にほぼ一定距離を隔てて対向する磁極が各固定子片の長手方向に沿って複数配置された可動子片を有し、前記固定子片の長手方向に沿って相対的に移動可能な可動子と、を備え、
各固定子片の前記突起とこれに対向する前記可動子片の磁極との位置関係が、各固定子片ごとにその長手方向に沿って相対的に順次ずれるように配置されていると共に、前記コイルに所定の電流を通流して前記可動子に推力を発生させるようにしたリニアアクチュエータにおいて、
前記固定子を支持するための固定子支持部材から離れた位置に前記コイルを配置すると共に、このコイルを熱伝導性の良い部材によって包囲することを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 請求項1または2に記載した発明において、
前記コイルを包囲する熱伝導性の良い部材に、放熱促進手段を設けたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
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