JP2004055610A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化シリコンのエッチングレートに比べて窒化シリコンのエッチングレートを大きくした半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】フローティングゲート13aとコントロールゲート18aとの間の中間絶縁膜として、酸化シリコン層14、窒化シリコン層15及び酸化シリコン層16の積層構造を形成する。コントロールゲート18aの上方の窒化シリコン膜20をドライエッチングにより除去する。このとき、エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、O2 ガスの流量をCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上とする。
【選択図】  図17

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化シリコン膜を選択的にドライエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法に関し、特にフラッシュメモリの製造に好適な半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、図1〜図6を参照して、従来のNOR型フラッシュメモリの製造方法について説明する。
【0003】
図1(a)〜(c)は従来のフラッシュメモリの製造方法の例を工程順に示す平面図、図2〜図6は同じくその製造方法を工程順に示す断面図である。なお、図1(a)〜(c)はメモリセル形成部における平面図であり、図2〜図6において、(a)は周辺回路形成部における断面を示し、(b)は図1のI−I線の位置における断面を示している。また、説明を簡単にするために、図1(a)の横方向をX方向、縦方向をY方向という。
【0004】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板50にX方向及びY方向に配列した複数の溝(トレンチ)を形成し、溝内に絶縁物を埋め込んで、素子分離膜51を形成する。その後、図2(a),(b)に示すように、半導体基板50の表面を熱酸化して酸化シリコン膜52を形成する。
【0005】
次に、半導体基板50の上側全面に導電性ポリシリコン膜53を形成する。そして、メモリセル形成部の導電性ポリシリコン膜53をパターニングし、図1(a)に示すように、Y方向に延在する複数の帯状のポリシリコン膜53aを形成する。これらの帯状ポリシリコン膜53aは、その幅方向の両側縁部が、相互に隣接する2つの素子分離膜51の縁部にそれぞれ重なるように形成する。
【0006】
次に、半導体基板50の上側全面に中間絶縁膜54を形成する。その後、この中間絶縁膜54の上にフォトレジスト膜57を形成し、露光及び現像処理を施してレジスト膜57に開口部を設け、図2(a)のように周辺回路形成部の中間絶縁膜54を露出させる。
【0007】
その後、レジスト膜57をマスクとして周辺回路形成部の中間絶縁膜54及びポリシリコン膜53を順次エッチングして除去する。エッチング終了後、レジスト膜57を除去する。
【0008】
このようにして周辺回路形成部の中間絶縁膜54及びポリシリコン膜57を除去した後、図3(a),(b)に示すように、半導体基板50の上側全面に導電性ポリシリコン膜58を形成し、更にその上に酸化シリコン膜59及び窒化シリコン膜60を形成する。その後、窒化シリコン膜60の上に所定の形状でレジスト膜61を形成する。そして、レジスト膜61をマスクとして窒化シリコン膜60、酸化シリコン膜59、ポリシリコン膜58,58a、中間絶縁膜54及びポリシリコン膜53を順次エッチングする。エッチング終了後、レジスト膜61を除去する。
【0009】
このエッチングにより、図4(a),(b)に示すように、周辺回路形成部にはポリシリコン膜からなるゲート電極58bが形成され、メモリセル形成部にはポリシリコンからなるフローティングゲート53a及びコントロールゲート58aが形成される。図1(b)に示すように、コントロールゲート58aはX方向に延在し、フローティングゲート53aは各メモリセルに対し1個づつ形成される。
【0010】
次に、メモリセル形成部の窒化シリコン膜60をマスクとし、酸化シリコン膜52を介して半導体基板50の表面に不純物をイオン注入してソース層62s及びドレイン層62dを形成する。図1(b)に示すように、ソース層62sはX方向に延在して形成され、ドレイン層62dは素子分離膜51とコントロールゲート58aとに囲まれた領域に形成される。
【0011】
また、周辺回路形成部の窒化シリコン膜60をマスクとし、酸化シリコン膜52を介して半導体基板50の表面に不純物をイオン注入する。これにより、ゲート電極58bの両側にそれぞれ低濃度不純物層(LDD(Lightly Doped Drain )層)62bが形成される。
【0012】
その後、窒化シリコン膜60を、熱燐酸を用いたウェットエッチングにより除去する。
【0013】
次に、半導体基板50の上側全面に酸化シリコン膜を形成し、この酸化シリコン膜を異方性エッチングする。これにより、図5(a),(b)に示すように、、メモリセル形成部のフローティングゲート53a及びコントロールゲート58aの両側にそれぞれサイドウォール63aが形成され、周辺回路形成部のゲート電極58bの両側にそれぞれサイドウォール63bが形成される。その後、ゲート電極58b及びサイドウォール63bをマスクとして周辺回路形成部の基板表面に不純物を高濃度にイオン注入し、ゲート電極58bの両側にそれぞれソース/ドレイン層64bを形成する。
【0014】
次に、半導体基板50の上側全面に金属膜を形成し、熱処理を施す。これにより、金属膜中の金属原子とコントロールゲート58a、ゲート電極58b及びソース/ドレイン層64bのシリコン原子とが反応して、図6(a),(b)に示すようにシリサイド膜65a,65b,65cが形成される。その後、未反応の金属膜をエッチングにより除去する。
【0015】
次いで、図1(c)に示すように、半導体基板50の上側全面に層間絶縁膜66として酸化シリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により、層間絶縁膜66の上面からシリサイド膜65c及びソース層62sに到達するコンタクトホール66hをそれぞれ形成する。その後、半導体基板50の上側全面に金属膜を形成し、この金属膜をパターニングして、メモリセル形成部にY方向に延在するビット線67aを形成し、周辺回路形成部に配線67bを形成する。ビット線67aはコンタクトホール66hを介してメモリセルのドレイン61bと電気的に接続され、配線67bはコンタクトホール66h及びシリサイド膜65cを介して周辺回路形成部のソース/ドレイン層64bに電気的に接続される。このようにして、フラッシュメモリが完成する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本願発明者等は、上述した従来の半導体装置の製造方法には以下に示す問題点があると考える。
【0017】
通常、中間絶縁膜54は、フローティングゲート53aからコントロールゲート58aへの電荷のリークを防止するために、図7に示すように、第1の酸化シリコン層54a、窒化シリコン層54b及び第2の酸化シリコン層54cの3層構造を有している。
【0018】
従来の半導体装置の製造方法では、窒化シリコン膜60を熱燐酸によるウェットエッチングにより除去する際に、中間絶縁膜54の窒化シリコン層54bが水平方向にエッチング(サイドエッチング)されてしまう(図7参照)。このため、層間絶縁膜を形成する際にフローティングゲート53aとコントロールゲート58aとの間に中空の空間が発生し、この部分に寄生トランジスタが発生する。この寄生トランジスタにより、メモリセルの書き込み電圧及び読み出し電圧が変化するため、半導体装置の信頼性の低下を招く。
【0019】
窒化シリコン層54bのサイドエッチを防止するために、熱燐酸によるウェットエッチングに替えてドライエッチングすることが考えられる。例えば、再公表特許WO98/16950には、CH2 2 ガスとO2 ガスとの混合比を0.2〜0.6に設定することにより、窒化シリコン膜を選択的にエッチングする方法が記載されている。
【0020】
また、特開平8−59215号には、CF3 Fガス及びCH2 2 ガスのいずれか一方とO2 ガスとの混合ガスを用いて、窒化シリコン膜を選択的にエッチングする方法が記載されている。
【0021】
しかし、これらのドライエッチング方法では、窒化シリコンのエッチングレートと酸化シリコンのエッチングレートとの比(エッチング選択比)が4〜6程度と比較的小さい。このため、これらの方法を前述した窒化シリコン膜60の除去工程に適用した場合、窒化シリコン膜60を除去する際に、周辺回路形成部の低濃度不純物層62b上を覆う酸化シリコン膜52がエッチングされて厚さが薄くなり、極端な場合には半導体基板10の表面が露出してしまう。これにより、エッチングガス中に含まれる炭素又は炭素化合物等の汚染物が低濃度不純物層62bに導入され、その結果、シリサイド膜形成工程において図8に示すようにシリサイド膜が形成されない部分(図中丸で囲んだ部分)が発生して、コンタクト不良の原因となる。
【0022】
また、従来方法では、窒化シリコン膜60をエッチングにより除去する際に、図9(a)に示すように素子分離膜51もエッチングされて凹部が発生し、コントロールゲート58a間のアスペクト比(a/b)が大きくなる。このため、図9(b)に示すように、層間絶縁膜66の形成時にコントロールゲート58a間の凹部に絶縁物が完全に埋め込まれないで中空の空間(いわゆる「鬆」)69が発生する。これにより、メモリセルの書き込み電圧及び読み出し電圧が変化してしまうため、半導体装置の信頼性が低下する。
【0023】
以上から、本発明の目的は、酸化シリコンのエッチングレートに比べて窒化シリコンのエッチングレートを大きくした半導体装置の製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
半導体装置の製造方法は、半導体基板の上方に酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜をドライエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法において、エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、前記O2 ガスの流量を前記CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上として前記窒化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする。
【0025】
これにより、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチング選択比が15以上と大きくなり、酸化シリコン膜を殆どエッチングすることなく窒化シリコン膜をエッチングすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について更に詳細に説明する。
【0027】
本願発明者等は、フラッシュメモリの製造時に、中間絶縁膜の窒化シリコン層のサイドエッチを防止しつつ最上層の窒化シリコン膜を除去すべく、種々実験検討を行った。
【0028】
前述の如く、熱燐酸によるウェットエッチングでは、最上層の窒化シリコン膜を除去しようとすると中間絶縁膜の窒化シリコン層がサイドエッチングされる。一方、CH3 F又はCH2 2 ガスとO2 ガスとを使用した従来のドライエッチング方法では、中間絶縁膜の窒化シリコン層のサイドエッチングは防止できるものの、半導体基板の表面を被覆する酸化シリコン膜がエッチングされ、半導体基板の表面にエッチングガス中に含まれる炭素又はその化合物等の汚染物が導入されてしまう。
【0029】
半導体基板への炭素又はその化合物等の導入を防止するためには、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチング選択比がより大きな条件で窒化シリコン膜をエッチングすることが必要となる。
【0030】
本願発明者等は、平行平板型マグネトロンエッチング装置を使用し、被エッチング膜(窒化シリコン膜又は酸化シリコン膜)の占有面積率、反応室内の圧力、エッチングガスの流量及び被エッチング膜にかかる電力を種々変化させて、窒化シリコン膜のエッチングレート及び酸化シリコン膜のエッチングレートを測定し、エッチング選択比(窒化シリコン膜のエッチングレート/酸化シリコン膜のエッチングレート)を算出した。
【0031】
図10は被エッチング膜の占有面積率が100%(いわゆるベタウェハ)のときの反応室内の圧力(Pressure)とエッチングレート及びエッチング選択比(Selectivity )の関係を示す図、図11は被エッチング膜の占有面積率が70%のときの反応室内の圧力とエッチングレート及びエッチング選択比の関係を示す図、図12は被エッチング膜の占有面積率が20%のときの反応室内の圧力とエッチングレート及びエッチング選択比の関係を示す図である。いずれも、横軸が反応室内の圧力、左側の縦軸が選択比、右側の縦軸が窒化シリコン(Si3 4 )膜及び酸化シリコン(SiO2 )膜のエッチングレートである。また、被エッチング膜にかかる単位面積当たりの電力は0.637W/cm2 であり、エッチングガスはCH3 FとO2 との混合ガスを使用した。CH3 Fガスの流量は30sccm、O2 ガスの流量は180sccm、ウェハステージの設定温度は25℃である。
【0032】
図10に示すように、被エッチング膜の占有面積率が100%のウェハの場合、圧力が変化しても酸化シリコン膜のエッチングレートは殆ど変化しない。また、窒化シリコン膜のエッチングレートは圧力の上昇に伴って直線的に変化するものの、変化の割合は小さい。従って、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とのエッチング選択比は、圧力の上昇に伴って直線的に変化するが、その変化量は少なく、選択比を15以上とすることができない。
【0033】
図11に示すように、被エッチング膜の占有面積率が70%のウェハの場合、窒化シリコン膜のエッチングレートは圧力の上昇に伴って比較的大きく変化する。一方、酸化シリコン膜のエッチングレートは、圧力が約100mTorr (13.3Pa)以下のときには殆ど変化せず、約100mTorr を超えると圧力の上昇に伴って増大する。このため、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とのエッチング選択比は、圧力が85〜90mTorr (11.3〜12.0Pa)のときに極大となる曲線を示す。
【0034】
図12に示すように、被エッチング膜の占有面積率が20%のウェハの場合、酸化シリコン膜のエッチングレートは約90mTorr (12.0Pa)のときに極小となる曲線状に変化する。また、窒化シリコン膜のエッチングレートは、圧力の上昇に伴って曲線状に増大する。この場合も、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とのエッチング選択比は、圧力が約90mTorr のときに極大となる曲線を示す。
【0035】
これらの結果から、被エッチング膜の占有面積率を20〜70%とし、エッチング時の圧力を80〜100mTorr (10.6〜13.3Pa)に保つことにより、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との選択比を15以上と大きくすることができることが判明した。
【0036】
なお、O2 ガスの流量がCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍未満の場合は、エッチングレート均一性が悪化し、実用的でない。従って、O2 ガスの流量は、CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上とすることが必要である。但し、O2 ガスの流量がCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の7倍を超える場合は、所望のエッチング選択比を得ることが難しくなる。
【0037】
ところで、特開昭59−222933号には、エッチングガスとしてCH3 Fガス及びCH2 2 ガスのいずれか一方を使用して窒化シリコン膜を酸化シリコン膜に対し選択的にエッチングすることが記載されている。しかし、この方法では、高周波電源のパワーが大きい場合には有効であるものの、高周波電源のパワーが200W程度と低いときには酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチング選択比が小さくなる。エッチング時の高周波電源のパワーが大きいと、半導体基板への炭素又はその化合物等の導入量が多くなり、好ましくない。
【0038】
これに対し、本願発明では、窒化シリコン膜を除去した後の活性化領域(ソース/ドレイン層)又はゲート電極の上部をシリサイド化する工程を考慮して、ドライエッチングによるシリコン基板又はポリシリコン膜(ゲート電極)への炭素又はその化合物等の導入量を最小限に抑えるために、エッチング用高周波電源のパワーが例えば0.637W/cm2 (8インチウェハの場合、約200W)という低い設定においても、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチング選択比を15以上とすることができる。
【0039】
本発明では、エッチング用高周波電源のパワーを0.478〜0.796W/cm2 と低く設定することで、半導体基板及びポリシリコン膜への炭素又はその化合物等の導入を抑制する。このため、本発明はフラッシュメモリのコントロールゲートの上の窒化シリコン膜を除去する工程に適しているが、その他の工程や、フレッシュメモリ以外のデバイスの製造に適用してもよいことは勿論である。
【0040】
以下、本発明をフラッシュメモリの製造に適用した実施の形態について説明する。
【0041】
図13(a)〜(c)は、本発明の実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を工程順に示す平面図、図14〜図21は同じくその製造方法を工程順に示す断面図である。なお、図13(a)〜(c)はメモリセル形成部における平面図である。また、図14〜図21において、(a)は周辺回路部における断面、(b)は図13(a)のII−II線の位置における断面、(c)は図13(a)のIII −III 線の位置における断面を示している。説明を簡単にするために、図13(a)の横方向をX方向、縦方向をY方向という。
【0042】
まず、図13(a),図14(a)〜(c)に示すように、フォトリソグラフィ法を使用して、半導体基板10にX方向及びY方向に配列した複数の溝(トレンチ)を形成する。その後、CVD法により、溝内にSiO2 等の絶縁物を充填して、素子領域間を分離する素子分離膜11を形成する。素子分離膜11の厚さは、例えば200nm以上とする。
【0043】
次に、半導体基板10の表面を熱酸化して、酸化シリコン膜12を形成する。この酸化シリコン膜12の厚さは、例えば8〜12nmとする。
【0044】
その後、CVD法により、半導体基板10の上側全面に導電性ポリシリコン膜を例えば80〜100nmの厚さに形成する。そして、フォトリソグラフィ法によりポリシリコン膜をパターニングして、図13(a)のように、Y方向に延在する複数の帯状ポリシリコン膜13を形成する。これらの帯状ポリシリコン膜13は、その幅方向の両側縁部が、相互に隣接する2つの素子分離膜11の縁部にそれぞれ重なるように形成する。
【0045】
次に、CVD法により、半導体基板10の上側全面に中間絶縁膜として、図14(a)〜(c)のように、酸化シリコン層14、窒化シリコン層15及び酸化シリコン層16の3層構造からなる中間絶縁膜を形成する。酸化シリコン層14の厚さは例えば5〜7nmとし、窒化シリコン層15の厚さは例えば7〜11nmとし、酸化シリコン層16の厚さは例えば5〜7nmとする。
【0046】
その後、酸化シリコン層16の上にフォトレジスト膜17を形成し、露光及び現像処理を施して、周辺回路形成部の酸化シリコン層16を露出させる(図14(a)参照)。
【0047】
そして、レジスト膜17をマスクとして使用し、図15(a)〜(c)に示すように、周辺回路形成部の酸化シリコン層16、窒化シリコン層15、酸化シリコン層14及びポリシリコン膜13を順次エッチングして除去する。エッチング終了後、レジスト膜17を除去する。
【0048】
次に、図16(a)〜(c)に示すように、CVD法により、半導体基板10の上側全面に導電性ポリシリコン膜18を形成し、更にその上に酸化シリコン膜19及び窒化シリコン膜20を形成する。ポリシリコン膜18の厚さは例えば200〜300nmとし、酸化シリコン膜19の厚さは例えば10〜30nmとし、窒化シリコン膜20の厚さは例えば20〜50nmとする。その後、窒化シリコン膜20の上に、所定の形状でレジスト膜21を形成する。
【0049】
次に、レジスト膜21をマスクとして窒化シリコン膜20、酸化シリコン膜19、ポリシリコン膜18、酸化シリコン層14、窒化シリコン層15、酸化シリコン層16及びポリシリコン膜13を順次エッチングする。エッチング終了後、レジスト膜21を除去する。この工程では、窒化シリコン膜20及び窒化シリコン層15のエッチングには例えば熱燐酸を使用し、酸化シリコン膜19、酸化シリコン層14,16のエッチングには例えはフッ酸を使用する。
【0050】
このエッチングにより、図17(a)〜(c)に示すように、周辺回路形成部にポリシリコンからなるゲート電極18bが形成され、メモリセル形成部にポリシリコンからなるフローティングゲート13a及びコントロールゲート18aが形成される。図13(b)に示すように、コントロールゲート18aはY方向に延在し、フローティングゲート13aは各メモリセルに対し1個づつ形成される。
【0051】
その後、メモリセル形成部の窒化シリコン膜20をマスクとし、酸化シリコン膜12を介して半導体基板表面にP(リン)等のn型不純物をイオン注入してソース層22s及びドレイン層22dを形成する。図13(b)に示すように、ソース層22sはX方向に延在して形成され、ドレイン層22dは素子分離膜11とコントロールゲート18aとに囲まれた領域に形成される。
【0052】
また、周辺回路形成部の窒化シリコン膜20をマスクとし、酸化シリコン膜12を介して基板表面にn型不純物又はp型不純物をイオン注入して、ゲート電極18bの両側にそれぞれ低濃度不純物層(LDD層)22bを形成する。
【0053】
次に、窒化シリコン膜20をエッチングして除去する。本実施の形態では、この工程において、以下の条件で窒化シリコン膜20をドライエッチングする。すなわち、エッチングガスとしてCH3 F又はCH2 2 とO2 との混合ガスを使用し、反応室内の圧力を80〜100mTorr (10.6〜13.3Pa)に制御し、O2 流量をCH3 F又はCH2 2 ガスの5〜7倍とする。また、被エッチング膜である窒化シリコン膜20の占有面積率は20〜70%の範囲にある。
【0054】
この条件でドライエッチングすると、窒化シリコン膜20は垂直方向にエッチングされ、中間絶縁膜の窒化シリコン層15がサイドエッチされるおそれがない。また、窒化シリコンのエッチングレートが酸化シリコンのエッチングレートに比べて十分大きいので、酸化シリコン膜12のエッチングによる膜厚低下が回避される。従って、半導体基板10にエッチングガス中の炭素又はその化合物等が導入されることがなく、後述するシリサイド膜形成工程でシリサイド膜を均一に形成することが可能になる。
【0055】
次に、図18(a)〜(c)に示すように、半導体基板10の上側全面に酸化シリコン膜23を形成する。そして、この酸化シリコン膜を異方性エッチングして、図19(a)〜(c)に示すように、メモリセル形成部のフローティングゲート13a及びコントロールゲート18aの側方にサイドウォール23aを形成し、周辺回路形成部のゲート電極18bの側方にサイドウォール23bを形成する。その後、ゲート電極18b及びサイドウォール23bをマスクとして周辺回路形成部の基板表面に、低濃度不純物層22bと同一導電型の不純物を高濃度にイオン注入して、ソース/ドレイン層24bを形成する。
【0056】
その後、半導体基板10の上側全面にクロム又はタングステン等の金属膜を形成し、熱処理を施す。これにより、金属膜中の金属原子とゲート電極及びソース/ドレイン層のシリコン原子とが反応して、図20(a)〜(c)に示すように、コントロールゲート18a及びゲート電極18bの上にシリサイド膜25a,25bが形成され、周辺回路形成部のソース/ドレイン24bの表面にシリサイド膜25cが形成される。その後、未反応の金属膜をエッチングにより除去する。
【0057】
次いで、図13(c)に示すように、CVD法により、半導体基板10の上側全面にSiO2 を堆積させて、層間絶縁膜26を形成する。そして、フォトリソグラフィ法により、層間絶縁膜26にコンタクトホール26hを形成する。その後、半導体基板10の上側全面に金属膜を形成し、この金属膜をパターニングして、図21(a)〜(c)に示すように、メモリセル形成部にY方向に延在するビット線27aを形成し、周辺回路形成部に配線27bを形成する。ビット線27aはコンタクトホール26hを介してメモリセル形成部のドレイン層22dと電気的に接続され、配線27bはコンタクトホール26h及びシリサイド膜25cを介して周辺回路形成部のソース/ドレイン層24bに電気的に形成される。このようにして、フラッシュメモリが完成する。
【0058】
本実施の形態においては、図17(a)〜(c)に示す工程において、窒化シリコン膜20を、CH3 F又はCH2 2 とO2 との混合ガスを使用したドライエッチングにより除去する。このとき、O2 の流量をCH3 F、CH2 2 又はこれらの混合ガスの流量の5〜7倍とし、反応室内の圧力を80〜100mTorr (10.6〜13.3Pa)に維持するので、中間絶縁膜の窒化シリコン層15のサイドエッチングが回避される。これにより、フローティングゲート13aとコントロールゲート18aとの間の電気的特性が安定し、メモリセルの書き込み電圧及び読み出し電圧等の特性の変化が防止されるという効果が得られる。また、本実施の形態においては、上記の条件で窒化シリコン膜20をエッチングするので、半導体基板の表面を被覆する酸化シリコン膜12のエッチングが抑制される。これにより、エッチングガス中の炭素又はその化合物等の基板表面への導入が回避されるので、後工程でシリサイド膜25cを形成する際に、シリサイド膜25cが均一に形成される。従って、ソース/ドレイン層24bと配線27bとの間の電気的接続が良好となる。
【0059】
更に、本発明においては、窒化シリコン膜20をエッチングする際に素子分離膜11のエッチングが回避されるので、層間絶縁膜26を形成する際のコントロールゲート18a間のアスペクト比の増大が回避される。これにより、コントロールゲート18a間に鬆が発生することが防止され、フラッシュメモリの信頼性が向上するという効果が得られる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、本発明をフラッシュメモリの製造方法に適用した場合について説明したが、これにより本発明がフラッシュメモリの製造方法に限定されるものではない。本発明は、酸化シリコン膜に対し窒化シリコン膜を選択的にエッチングする工程を有する種々の半導体装置の製造方法に適用することができる。
【0061】
(付記1)半導体基板の上方に酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜をドライエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法において、エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、前記O2 ガスの流量を前記CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上として前記窒化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0062】
(付記2)被エッチング膜となる前記窒化シリコン膜の占有面積率が20乃至70%であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0063】
(付記3)被エッチング膜となる前記窒化シリコン膜の単位面積当たりにかかる電力が、0.478〜0.796W/cm2 であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0064】
(付記4)エッチング装置のパワーを200W未満として前記窒化シリコン膜をドライエッチングすることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0065】
(付記5)前記酸化シリコン膜に対する前記窒化シリコン膜のエッチング選択比が15以上であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0066】
(付記6)フローティングゲート型メモリセルを有する半導体装置の製造方法において、半導体基板上に酸化シリコン膜を形成する工程と、前記酸化シリコン膜の上に、フローティングゲート、中間絶縁膜、コントロールゲート及び窒化シリコン膜を積層して形成する工程と、前記窒化シリコン膜をマスクとし、前記酸化シリコン膜を介して前記半導体基板の表面に不純物を導入する工程と、前記窒化シリコン膜をエッチングにより除去するエッチング工程とを有し、前記エッチング工程では、エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、前記O2 ガスの流量を前記CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上として前記窒化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0067】
(付記7)前記中間絶縁膜が、第1の酸化シリコン層と、前記第1の酸化シリコン層の上に形成された窒化シリコン層と、前記窒化シリコン層の上に形成された第2の酸化シリコン層とにより構成されていることを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0068】
(付記8)周辺回路を構成するトランジスタを、前記メモリセルと同時に形成することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、CH3 F、CF2 2 又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、CH3 F、CF2 2 又はこれらの混合ガスに対するO2 ガスの流量と反応室内の圧力とを所定の範囲に限定してドライエッチングを行うので、酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチングレート比が15以上となり、酸化シリコン膜を殆どエッチングすることなく窒化シリコン膜をエッチングすることができる。
【0070】
また、本発明をフラッシュメモリの製造に適用した場合に、中間絶縁膜中の窒化シリコン層のサイドエッチングや半導体基板への炭素又はその化合物等の導入を回避することができるので、フラッシュメモリの信頼性が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法の例を工程順に示す平面図である。
【図2】図2は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図3】図3は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図4】図4は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図5】図5は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)製造方法を示す断面図(その4)である。
【図6】図6は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)製造方法を示す断面図(その5)である。
【図7】図7は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)製造方法の問題点を示す図(その1)である。
【図8】図8は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)製造方法の問題点を示す図(その2)である。
【図9】図9は、従来の半導体装置(フラッシュメモリ)製造方法の問題点を示す図(その3)である。
【図10】図10は、被エッチング膜の占有面積率が100%のときの反応室内の圧力とエッチングレート及びエッチング選択比の関係を示す図である。
【図11】図11は、被エッチング膜の占有面積率が70%のときの反応室内の圧力とエッチングレート及びエッチング選択比の関係を示す図である。
【図12】図12は、被エッチング膜の占有面積率が20%のときの反応室内の圧力とエッチングレート及びエッチング選択比の関係を示す図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、本発明の実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を工程順に示す平面図である。
【図14】図14は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図15】図15は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図16】図16は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その3)である。
【図17】図17は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その4)である。
【図18】図18は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その5)である。
【図19】図19は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その6)である。
【図20】図20は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その7)である。
【図21】図21は、実施の形態の半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を示す断面図(その8)である。
【符号の説明】
10,50…半導体基板、
11,51…素子分離膜、
12,19,23,52,59…酸化シリコン膜
13,18,53,58…ポリシリコン膜、
13a,53a…フローティングゲート、
14,16,54a,54c…酸化シリコン層、
15,54b…窒化シリコン層、
17,21,57,61…レジスト膜、
18a,58a…コントロールゲート、
18b,58b…ゲート電極
20,60…窒化シリコン膜、
22b,62b…低濃度不純物層、
22d,62d…ドレイン層、
22s,62s…ソース層、
23a,23b,63a,63b…サイドウォール、
24b,64b…ソース/ドレイン層、
25a,25b,65a,65b…シリサイド膜、
26,66…層間絶縁膜、
26h,66h…コンタクトホール、
27a,67a…ビット線、
27b,67b…配線、
54…中間絶縁膜。

Claims (5)

  1. 半導体基板の上方に酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を形成し、前記窒化シリコン膜をドライエッチングする工程を有する半導体装置の製造方法において、
    エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、前記O2 ガスの流量を前記CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上として前記窒化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 被エッチング膜となる前記窒化シリコン膜の占有面積率が20乃至70%であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 被エッチング膜となる前記窒化シリコン膜の単位面積当たりにかかる電力が、0.478〜0.796W/cm2 であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  4. フローティングゲート型メモリセルを有する半導体装置の製造方法において、
    半導体基板上に酸化シリコン膜を形成する工程と、
    前記酸化シリコン膜の上に、フローティングゲート、中間絶縁膜、コントロールゲート及び窒化シリコン膜を積層して形成する工程と、
    前記窒化シリコン膜をマスクとし、前記酸化シリコン膜を介して前記半導体基板の表面に不純物を導入する工程と、
    前記窒化シリコン膜をエッチングにより除去するエッチング工程とを有し、
    前記エッチング工程では、エッチングガスとしてCH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスとO2 ガスとを使用し、反応室内の圧力を10.6乃至13.3Pa(80乃至100mTorr )、前記O2 ガスの流量を前記CH3 Fガス、CH2 2 ガス又はこれらの混合ガスの流量の5倍以上として前記窒化シリコン膜をエッチングすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 前記中間絶縁膜が、第1の酸化シリコン層と、前記第1の酸化シリコン層の上に形成された窒化シリコン層と、前記窒化シリコン層の上に形成された第2の酸化シリコン層とにより構成されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
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