JP2004050060A - 既設管路の補修工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程を含んでなる既設管路の補修工法であって、上記ライニング材は、(1)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂を主成分とする、又は、(2)20℃における蒸気圧が13.3Pa以下である重合性単量体を含有する樹脂を主成分とする既設管路の補修工法。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、既設管路の補修工法に関するものである。より詳しくは、住宅、公共設備や工場用の屋内外における給排水管路の補修のためのライニング工法を含んでなる既設管路の補修工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既設管路の補修工法としては、砂等を空気流で管内に通して研磨、洗浄した後、内面にエポキシ樹脂等をライニングする方法が一般に行われている。ライニングの工法としては塗料を空気流にて浮遊させて管内に通して壁面に塗布する方法、ライニング材を管内に注入して空気圧により移動させて塗布する方法(特開昭61−268386号公報)、空気圧だけによらずピグを利用する工法(特許第2945105号明細書)等がある。
【0003】
しかしながら、これらの補修工法においては、使用している樹脂がエポキシ樹脂であるため硬化が遅く工事開始から送水できるまで時間が長くかかる。すなわち通常で20時間程度かかり、一般家庭であれば朝から翌日まで炊事、洗濯、便所等の排水又は給水ができないことになる。特に冬場の低温時には翌々日まで使用できないことになる。そして、空気圧でのライニング材の移動においてはライニング材の粘度を低くする必要があるが、硬化の遅いエポキシ樹脂を使用する場合、粘度を低くすると管上部や立て面においてライニング材の垂れが発生するという問題点がある。また、硬化剤として用いるアミン系化合物は臭気が強いうえに、硬化までの長時間にわたってその臭気が生じることとなり、作業性が低下するという問題点がある。
【0004】
更に特許第2945105号明細書公報に開示されている工法では、管内体積と同量のライニング材を先導ピグを先頭にして配管の開口部から管内に充填し、配管の内面に付着したライニング材以外の残余のライニング材と先導ピグを配管内から排除することにより配管の内面をランニングする方法であることから、ライニング材を余分に注入する必要があるため大きな無駄を生じることになり、また、高価なエポキシ樹脂を多量に使用することからコストがかかることになる。従って、既設管路の補修工法において、これらの問題点を改善し、工事開始から使用可能となるまでの時間が短く、ライニングの作業性が向上し、しかも廉価に行うことができるようにする工夫の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、短時間にライニングすることが可能であり、ライニングの作業性が向上し、しかも廉価に行うことができる既設管路の補修工法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ライニング材を既設管路の内面に塗布することで既設管路をライニングする既設管路の補修工法について種々検討した結果、既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程によると、ライニング材を効率よく既設管路の内面に塗布することができることに着目し、ライニング材として重合性単量体を含有する特定の樹脂を主成分とするものを用いると、硬化時間を短縮して短時間にライニングすることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。このようなライニング材を用いる既設管路の補修工法によれば、住宅、公共設備や工場用の屋内外における給排水管路の補修をする場合に、補修工事により給排水設備を利用することができなくなる時間を短縮することができることとなる。また、ライニング材が短時間で硬化することに起因して、管上部や立て面等におけるライニング材の垂れが抑制されることになり、また、エポキシ樹脂を用いる場合は硬化剤としてアミン系化合物を使用することからその臭気を改善することが望まれているが、本発明の既設管路の補修工法はアミン化合物を用いることなくライニングすることができることから、この点においても優れている。更に、ライニング材を構成する樹脂に含有される重合性単量体の蒸気圧が低く特定されていると、臭気を低減する作用効果が優れたものとなり、これに起因して補修工法のライニングの作業性を向上することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0007】
すなわち本発明は、既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程を含んでなる既設管路の補修工法であって、上記ライニング材は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂を主成分とする既設管路の補修工法である。
本発明はまた、既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程を含んでなる既設管路の補修工法であって、上記ライニング材は、20℃における蒸気圧が13.3Pa以下である重合性単量体を含有する樹脂を主成分とする既設管路の補修工法でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の既設管路の補修工法は、既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入し、そのピグを移動させることでライニングする工程を含んでなり、住宅、公共設備や工場用の屋内外における給排水管路などの大口径(200〜300mmφ)から一般家庭用の管路の小口径(13〜150mmφ)に至るまで適用することができる。このような既設管路の材質としては、鋼管、鋳鉄管、塩化ビニル管等が挙げられる。
本発明の既設管路の補修工法において、ピグとは、ライニング材が管路内面に塗布されるように、既設管路の一方の開口部から注入されたライニング材を管路内で移動させることができるものである。
【0009】
本発明におけるライニング材に使用される樹脂は、重合体と重合性単量体とにより構成されるものであり、このような樹脂において、重合性単量体が重合することにより、又は、重合性単量体が重合すると共に、重合性単量体と重合体とが重合することにより、ライニング材が硬化することになる。このようなライニング材は、既設管路の内面に形成される塗膜に、強度、耐食性、耐磨耗性等を付与できるようなものが好ましい。
【0010】
本発明におけるライニング材においては、(1)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂を主成分とする形態、又は、(2)20℃における蒸気圧が13.3Pa以下である重合性単量体を含有する樹脂を主成分とする形態のものを用いることになる。本発明においては、このような(1)の形態と(2)の形態とが併用された形態としてもよい。
【0011】
上記(1)の形態における重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0012】
上記(2)の形態における20℃における蒸気圧が13.3Pa以下である重合性単量体としては、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、臭気がより少なく、粘度の比較的低いものが好ましい。
上記(1)の形態及び(2)の形態における重合性単量体の使用量としては、樹脂全体を100重量部とすると、20〜80重量部であることが好ましい。
【0013】
以下に本発明におけるライニング材に使用することが好適な不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂及びアクリル樹脂について説明する。これらの樹脂は、ラジカル重合による硬化が可能な樹脂であるが、低温においても短時間での硬化が可能なものであることが好ましい。
上記不飽和ポリエステル樹脂は、重合体である不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解し、必要に応じて安定剤や各種添加剤を混合して得られる。不飽和ポリエステルは、不飽和2塩基酸及び/又はその酸無水物と、必要に応じて多塩基酸を含む酸成分とアルコール成分とを縮合反応して得られる。
【0014】
上記不飽和2塩基酸又はその酸無水物としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記多塩基酸における飽和多塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、コハク酸、アジピン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸、へット酸、ナディック酸、ダイマー酸、トリマー酸、アゼライン酸、セバシン酸等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
上記アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのプロピレンオキシド又はエチレンオキシドの付加物等の2価アルコールやグリセリン、トリメチロールプロピレン等の3価アルコール等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
上記安定剤としては、ハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、クレゾール、t−ブチルハイドロキノンやフェルダジル、DPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)等の安定ラジカル等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
上記ビニルエステル樹脂としては、エポキシ樹脂とアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和一塩基酸との反応物に重合性単量体を混合して得られる。
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系のノボラック樹脂、レゾール系の樹脂やビスフェノールF系樹脂やジシクロペンタジエン系や水素化ビスフェノールA系の脂肪族系のエポキシ樹脂等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0018】
上記アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体を重合性単量体である(メタ)アクリル酸エステルに溶解したものであり、上述した不飽和ポリエステル樹脂と同様に扱うことができる。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、1種以上の(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸やスチレン等との共重合体等が好適であり、更に架橋性も持たせるために共重合体にグリシジル(メタ)アクリレート等を反応させて2重結合を導入することも可能である。
【0020】
上記アクリル樹脂における重合性単量体としては、上述した(1)の形態における重合性単量体の中でも、各種(メタ)アクリル酸エステルが好適であり、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性付与のために、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の各種多価アルコールの(メタ)アクリレートを併用することができる。
【0021】
上記ウレタンアクリレート樹脂としては、分子中にウレタン基を含む末端に重合性2重結合を持った重合体を重合性単量体に溶解した樹脂である。
上記分子中にウレタン基を含む末端に重合性2重結合を持った重合体は、水酸基含有の(メタ)アクリレートとポリイソシアネートを反応して得ることができ、ウレタンアクリレート樹脂としては、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートとジフェニルメタンジイソシアネートの反応物をスチレンに溶解させたものを挙げることができる。
【0022】
本発明における樹脂には、硬化剤と促進剤と必要に応じて促進助剤が使用できる。
上記硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート等を用いることができる。促進剤としては、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の金属石鹸類、ジメチルアニリン等の第3級アミン類等を用いることができ、また促進助剤としては、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン等を用いることができる。
【0023】
本発明においては、ライニング材に使用する樹脂が、カルボキシル基を有する単量体を樹脂100重量部に対して0.3〜10重量部含有することが好ましい。既設管路が鋼管、鋳鉄管のような金属製の場合、ライニング材に使用する樹脂中に共重合可能なカルボキシル基を有する単量体を、樹脂100重量部に対して0.3〜10重量部使用することで、既設管路とライニング材との密着性が向上することになる。0.3重量部未満であると、密着性が充分とはならないおそれがあり、10重量部を超えると、臭気、毒性がきつく、作業性に問題が出るおそれがある。カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等が好適である。
【0024】
本発明におけるライニング材には、塗膜表面の乾燥性を良くし、次作業の妨げにならないようにするため、パラフィンワックス等の添加剤を使用してもよい。添加剤としては、炭素数12以上の直鎖状パラフィン、イソパラフィン、環状基を有するシクロパラフィン、酸基、エステル基等の各種官能基を有するパラフィン等が好適であり、これらは1種又は2種以上を用いることができる。パラフィンの使用量としては、50〜1000ppmが好適である。
【0025】
また本発明におけるライニング材としては、酸化アルミニウム、シリカ、ガラス粉及びガラスフレークからなる群より選択される1種以上の充填剤を樹脂100重量部に対して10〜300重量部含有するものであることが好ましい。
雑排水管のように色々なものが管内を流れる場合、ライニング材の耐磨耗性が必要となるが、酸化アルミニウム、シリカ、ガラス粉、ガラスフレーク等を含有させることにより、このような性能を付与することができることになる。これら充填剤の使用量が樹脂100重量部に対して10重量部未満であると、耐磨耗性を充分に付与することができないおそれがあり、300重量部を超えると、ライニング材の粘度が高くなりピグによるライニングが困難となり、また硬化したライニング材が硬く脆くなり使用中にクラック等の問題を生ずるおそれがある。
上記充填剤の他に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、硫酸バリウム等の一般の充填剤の1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
更に本発明におけるライニング材は、使用温度における粘度が3千〜100万mPa・sであり、揺変度が2以上であり、ゲル化時間が10〜180分であることが好ましい。これらの条件を満たすことで、本発明においてライニング材が更に短時間で硬化し、かつ、より作業性が向上することになる。例えば、使用温度における粘度が3千mPa・s未満であると、ライニング厚を所望の厚さにまで大きくできないおそれがあり、100万mPa・sを超えると、ライニング材のピグによる移動が困難となるおそれがある。より好ましくは、8千mPa・s以上であり、また、10万mPa・s以下である。また、揺変度が2未満であると、垂れ等の問題を生ずるおそれがある。より好ましくは、3以上である。更に、ゲル化時間が10分未満であると、ライニングの途中で実質的に硬化が始まり、作業性が低下するおそれがあり、180分を超えると、工事開始から送水できるまで時間が長くかかるおそれがある。より好ましくは、30分以上であり、また、60分以下である。
【0027】
上記ライニング材の揺変度の調整には、微紛シリカ、有機物変性クレーや有機揺変剤等の揺変度付与剤を用いることができ、使用量としては、樹脂100重量部に対して1〜10重量部の範囲が好適である。また、更に揺変性を出したり、安定させたりするために助剤を用いてもよい。
上記ライニング材は、上述した各構成要素を混合し、必要に応じて、粘度、揺変度等が所望の範囲内となるように、その他の添加剤等を混合することで調製することができる。
【0028】
以下では、本発明の既設観管路の補修工法におけるライニング工程について説明する。
本発明の既設管路の補修工法では、ピグの移動は、ライニング材を注入した既設管路の一方の開口部からピグを挿入した後に、既設管路内を加圧及び/又は減圧することにより行われることが好ましい。既設管路内を加圧する場合には、ピグを挿入した同じ側から加圧することになり、既設管路内を減圧する場合には、ピグを挿入した反対側から減圧することになる。
【0029】
本発明の既設管路の補修工法においては、既設管路が枝管や分枝管を有する場合にもライニングしようとする管路をより簡便にかつ適切にライニングすることができることから、既設管路内を減圧することによりピグを移動させることが好適である。また、ライニングの膜厚としては、例えば、排水管の場合、1mm以上であることが好ましく、2mm以上がより好ましい。2mm以上であれば、充分に高圧洗浄に耐えることができ、耐食性にも優れることになる。
管路に口径の異なる枝管がある場合には、口径の小さい方から先にライニングを施すことにより内面を綺麗に仕上げることができる。
【0030】
本発明の既設管路の補修工法において、減圧によりピグを移動させる形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、既設管路1の一方の開口部からライニング材2を注入した後にピグ3を挿入し、減圧を開始した状態を表す概念図である。既設管路1は、枝管4を有しており、枝管4の開口部には既設管路1内を減圧状態にするためのキャップ5がされている。既設管路1の他方の開口部には、蛇腹状のフレキシブルパイプ6が接続されており、このフレキシブルパイプ6を介して既設管路1内が減圧されることになる。既設管路1内が減圧されることにより、ピグ3が既設管路1の他方の開口部に向かって移動し、ライニング材2が既設管路1の内面に均一に塗布されていくことになる。
【0031】
図2は、ピグ3が移動し、既設管路1から出てフレキシブルパイプ6中にある状態を表す概念図である。既設管路1の内面にはライニング材2によって塗膜7が形成される。このように減圧によりピグ3を移動することで、ライニング材2が枝管4に入り込むこともなく、また、既設管路1と枝管4との結合部や曲がり部においても均一な厚みを有する塗膜7を形成することができることになる。
【0032】
本発明の既設管路の補修工法では、既設管路の一方の開口部からピグを挿入して移動させてライニングした後、更に既設管路にピグを通す工程を含んでなることが好ましい。更にピグを通すことにより充分に塗膜を平滑にすることができるうえに、塗膜にピンホール等の欠陥がある場合に、これをなくすようにすることができることになる。
【0033】
本発明の既設管路の補修工法では、ピグが既設管路から出てきたときから10秒以内に加圧及び/又は減圧することを止めることが好ましい。ピグがライニング部である既設管路から出てきた後に長く加圧及び/又は減圧状態を続けると、ライニング材表面が空気流により乱れ、塗膜の平滑性が充分ではなく、膜厚が充分に均一なものではなくなるおそれがある。より好ましくは、ピグが既設管路から出てきた直後に止めることであり、このようにすることで最も良いライニング状態になる。
【0034】
本発明に用いるピグの材質としては、発泡ポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡シリコンゴム、ラテックス等の軟質のものや、金属等の硬質のものが挙げられるが、金属等の硬質のものは枝部や曲がり部でライニング厚みが振れる原因となるおそれがあるので、軟質のものを用いることが好ましい。
上記ピグの形状としては、既設管路の形状や形態等に応じて適宜設定すればよく、球状、中空ボール状、球状のものや中空ボール状のものが連なった形状、楕円体状、柱状等が挙げられるが、球状や中空ボール状が好ましい。ピグの径としては、既設管路の内径等に応じて適宜設定すればよく、内径から所望の膜厚を引いた寸法が好ましいが、既設管路の内径より小さい寸法に限られず、ピグの材質上、変形可能なものであれば、内径より大きい寸法でもよい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0036】
(ライニング材(1)の調製)
ビニルエステル樹脂RF−711B(日本触媒社製)100部、アクリル酸2部、ガラスフレークRCF−015(日本板硝子社製)10部、平均粒径10μmのガラスパウダー20部、微粉シリカ5部を混練し、更にパラフィンワックス100ppmと硬化促進剤PRO−VE(日本触媒社製)0.5部を添加して、粘度85000mPa・s、揺変度4.6のライニング材(1)を得た。
【0037】
(ライニング材(2)の調製)
イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂N−370L(日本触媒社製)100部、アクリル酸1.5部、平均粒径10μmのガラスパウダー50部、微粉シリカ5部を混合し、更にパラフィンワックス80ppmとオクテン酸コバルト0.5%を添加して粘度50000mPa・s、揺変度4.8のライニング材(2)を得た。
【0038】
(ライニング材(3)の調製)
スチレン中でヒドロキシエチルメタクリレートとジフェニルメタンジイソシアネートとを空気気流中で反応させてウレタンアクリレートを得た。この樹脂100部に溶融シリカ40部、微粉シリカ5部を混合し、更にオクテン酸コバルト0.5部、パラフィンワックス100ppmを添加混合して、粘度35000mPa・s、揺変度5.1のライニング材(3)を得た。
【0039】
(ライニングの実施例1)
枝管と曲がり部を有した内径80mmの鋼管に、メチルエチルケトンパーオキサイド1%混合したライニング材(1)を注入し、その後、ライニング材(1)を注入した開口部に外径74mmの軟質発泡ポリウレタン製ピグを注入した。その後、反対側の開口部から真空ポンプで減圧にし、5秒後にピグが出口に移動し、直ちに減圧を止めた。その後、減圧により、ピグを再度同じ経路に通した。その後30分後に硬化が始まり、3時間後にバーコル硬度が20に達した。この時点で小型カメラを通して内部を観察したところ欠陥のない状態が確認できた。膜厚はほぼ2mmであった。バーコル硬度は、JIS K 6911に準拠して測定した。
【0040】
(ライニングの実施例2及び実施例3)
ライニングの実施例1と同様にして、ライニング材(1)をそれぞれライニング材(2)及び(3)に代えてライニングしたところ、実施例1と同様の結果となった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の既設管路の補修工法は、上述のような構成であるので、これにより短時間にライニングすることが可能であり、ライニングの作業性が向上し、しかも廉価にライニングを行うことができ、住宅、公共設備や工場用の屋内外における給排水管路の補修のためのライニング工法として好適な工法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、既設管路1の一方の開口部からライニング材2を注入した後にピグ3を挿入し、減圧を開始した状態を表す概念図である。
【図2】図2は、ピグ3が移動し、既設管路1から出てフレキシブルパイプ6中にある状態を表す概念図である。
【符号の説明】
1 既設管路
2 ライニング材
3 ピグ
4 枝管
5 キャップ
6 フレキシブルパイプ
7 塗膜
Claims (7)
- 既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程を含んでなる既設管路の補修工法であって、
該ライニング材は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択された1種以上の樹脂を主成分とする
ことを特徴とする既設管路の補修工法。 - 既設管路の一方の開口部からライニング材を注入した後にピグを挿入して移動させてライニングする工程を含んでなる既設管路の補修工法であって、
該ライニング材は、20℃における蒸気圧が13.3Pa以下である重合性単量体を含有する樹脂を主成分とする
ことを特徴とする既設管路の補修工法。 - 前記既設管路の補修工法は、既設管路の一方の開口部からピグを挿入して移動させてライニングした後、更に既設管路にピグを通す工程を含んでなる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の既設管路の補修工法。 - 前記既設管路の補修工法は、ピグの移動が既設管路内を加圧及び/又は減圧することにより行われ、ピグが既設管路から出てきたときから10秒以内に加圧及び/又は減圧することを止める
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の既設管路の補修工法。 - 前記ライニング材は、酸化アルミニウム、シリカ、ガラス粉及びガラスフレークからなる群より選択される1種以上の充填剤を樹脂100重量部に対して10〜300重量部含有する
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の既設管路の補修工法。 - 前記ライニング材に使用する樹脂は、カルボキシル基を有する単量体を樹脂100重量部に対して0.3〜10重量部含有する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の既設管路の補修工法。 - 前記ライニング材は、使用温度における粘度が3千〜100万mPa・sであり、揺変度が2以上であり、ゲル化時間が10〜180分であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の既設管路の補修工法。
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