JP2004048090A - ノイズフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4枚の磁性体シート2a〜2dを積層すると共に、これらを焼成して積層体2を形成する。また、磁性体シート2b,2c間には積層体2の長さ方向に直線状に延びる伝送線路3を形成すると共に、2枚の接地導体4によって磁性体シート2b,2cを挟む。さらに、積層体2の長さ方向両端側には伝送線路3の両端に接続された信号用電極を設け、長さ方向中間位置には接地導体4に接続された接地用電極を設ける。これにより、接地導体4を接地した状態で伝送線路3に信号を通過させることにより、高周波数のノイズを磁性体シート2a〜2dによる熱損失を用いて減衰することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の電磁雑音障害を抑制するのに用いて好適なノイズフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子機器の電磁雑音障害を抑制するために各種のノイズフィルタが用いられている。そして、従来技術によるノイズフィルタとして例えば3端子コンデンサのように集中定数による回路を形成したものが知られている(例えば、特開平10−154632号公報等)。このような従来技術によるノイズフィルタでは、雑音(ノイズ)となる周波数で反射係数を増大させる反射損失を用いてノイズの抑制を行っている。
【0003】
また、他の従来技術によるノイズフィルタとして、多数のインダクタ、キャパシタ等からなる回路を形成したものも知られている(例えば、特開2000−348944号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、反射損失によってノイズを抑制しているから、例えば回路間を接続する線路中にノイズフィルタを配設した場合、ノイズフィルタと周辺の回路との間で特定の周波数のノイズが共振することがあり、却ってノイズを増幅してしまうという問題があった。
【0005】
特に、近年はデジタル機器に用いる信号周波数が高周波化する傾向があり、信号周波数が100MHzを超えている電子機器が増加している。このため、遮断周波数が200MHz以上であるローパスフィルタが求められているのに対し、例えばノイズフィルタと周囲の部品との間の線路長や複数の部品間の線路長等が200MHz以上の高周波の信号(ノイズ)に対して共振し易い長さ寸法となっている。従って、信号周波数が100MHzを超えている電子機器には、従来技術のように反射損失を用いるノイズフィルタは使用し難い傾向があった。
【0006】
また、他の従来技術では、反射損失を低下させることによって共振現象を抑制している。しかし、他の従来技術によるノイズフィルタでは、多数のインダクタ、キャパシタ等を接続することによって回路を構成しているから、構造が複雑で小型化が難しく、製造コストが増大すると共に、チップ形状ではないためプリント配線に対して取り付け難いという問題があった。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ノイズの共振を防ぐことができ、小型で安価なノイズフィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明によるノイズフィルタは、重なり合う2枚の磁性体シートを有し、該2枚の磁性体シート間に伝送線路を配設し、前記2枚の磁性体シートを2枚の接地導体によって上,下から挟む構成としている。
【0009】
このように構成したことにより、磁性体シートを構成する磁性材料は伝送線路を通過する信号の周波数が高くなるに従って信号の熱損失が増大するから、このような熱損失を用いることによってノイズを抑制することができる。
【0010】
また、伝送線路の幅寸法、磁性体シートの厚さ寸法を適宜設定することによって、ノイズフィルタの特性インピーダンスを設定することができる。特に、磁性材料の比誘電率は信号の周波数に関係なくほぼ一定値となるから、この特性インピーダンスを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができる。このため、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタに接続される回路に対するインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。
【0011】
さらに、2枚の磁性体シート間に伝送線路を配設すると共に、当該2枚の磁性体シートを2枚の接地導体によって挟むから、接地導体によって2枚の磁性体シート間に位置する伝送線路をその全長に亘って覆うことができる。このため、伝送線路の全長に亘って特性インピーダンスを一定値に設定できるから、伝送線路の途中でノイズに反射が生じることがなく、ノイズの共振を抑制することができる。また、伝送線路を通過する信号を2枚の接地導体間に閉じ込めることができ、通過帯域での信号の減衰を防止できると共に、外部から伝送線路中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0012】
請求項2の発明は、重なり合う複数枚の磁性体シートを有し、これら各磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と当該接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路を前記各磁性体シートを貫通して設けた貫通線路によって直列接続する構成としている。
【0013】
これにより、高周波数の信号が伝送線路を通過するときには、磁性体シートの熱損失が増大するのを利用してノイズを抑制することができる。また、伝送線路の幅寸法、磁性体シートの厚さ寸法を適宜設定することによって、ノイズフィルタの特性インピーダンスを設定できる。特に、磁性材料の比誘電率は信号の周波数に関係なくほぼ一定値となるから、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタと該ノイズフィルタに接続される回路との間でインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。
【0014】
さらに、重なり合う複数枚の磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ねたから、各層の伝送線路を2枚の磁性体シート間に配置できると共に、2枚の接地導体によって各層の伝送線路をその全長に亘って覆うことができる。このため、伝送線路を通過する信号を接地導体間に閉じ込めることができ、通過帯域での信号の減衰を防止できる。
【0015】
また、重なり合う複数枚の磁性体シートはその最上層と最下層とに接地導体を配置するから、外部からの伝送線路中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0016】
また、全ての伝送線路の幅寸法をほぼ等しい値に設定すると共に、全ての磁性体シートの厚さ寸法をほぼ等しい値に設定した場合には、各層の伝送線路に対する特性インピーダンスを相互にほぼ一致させることができる。このため、相互に直列接続された伝送線路の全体に亘って特性インピーダンスをほぼ一定値に設定できるから、伝送線路の途中でノイズに反射が生じることがなく、ノイズの共振を抑制することができ、外部の回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができる。
【0017】
さらに、各磁性体シートを貫通して設けた貫通線路によって複数層の伝送線路を直列接続したから、伝送線路の全長を長くすることができ、伝送線路を通過するノイズの減衰量を増加させることができる。
【0018】
請求項3の発明は、伝送線路は折返し部を有する略円弧状またはコ字状をなし、これらの全体によって厚さ方向に対してコイル状に形成したことにある。
【0019】
これにより、ノイズフィルタの厚さ寸法は増大する傾向があるものの、ノイズフィルタの底面積をコイルの開口面積と同程度に設定することができる。このため、狭い設置場所に対してもノイズフィルタを配置することができる。
【0020】
請求項4の発明は、伝送線路を蛇行したジグザグ状に形成したことにある。これにより、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0021】
請求項5の発明は、磁性体シートは四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設ける構成としたことにある。
【0022】
これにより、2つの回路間を接続する配線は直線状に延びているから、このような配線の途中に対して、磁性体シートの長さ方向両端側に位置する信号用電極を容易に接続することができる。また、磁性体シートの長さ方向中間位置に設けられた接地用電極も配線の周辺に設けられた接地端子に容易に接続することができるから、ノイズフィルタの組付け性を向上することができる。
【0023】
請求項6の発明は、重なり合う複数枚の磁性体シートを有し、これら各磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路の一端側は互いに異なる信号入力用電極に接続し、複数層の伝送線路の他端側は互いに異なる信号出力用電極に接続する構成としている。
【0024】
これにより、複数層の伝送線路は互いに異なる信号入力用電極、信号出力用電極に接続するから、複数層の伝送線路をそれぞれ個別にローパスフィルタとして作動させることができ、全体としてノイズフィルタアレイを構成することができる。そして、高周波数の信号が各層の伝送線路を通過するときには、磁性体シートの熱損失が増大するのを利用してノイズを抑制することができる。また、伝送線路の幅寸法、磁性体シートの厚さ寸法を適宜設定することによってノイズフィルタの特性インピーダンスを設定できる。特に、磁性材料の比誘電率は信号の周波数に関係なくほぼ一定値となるから、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタに接続される回路に対するインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。
【0025】
また、複数層の伝送線路はそれぞれ独立したローパスフィルタとして作動するから、例えば複数層の伝送線路を磁性体シートを貫通した貫通線路を用いて接続した場合には不連続点となる貫通線路近傍でインピーダンスの不整合が生じ易いのに比べて、伝送線路の途中でインピーダンスの不整合が生じることがない。このため、伝送線路の途中でノイズに反射が生じることがなく、ノイズの共振を抑制することができると共に、外部の回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができる。
【0026】
さらに、重なり合う複数枚の磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ねたから、各層の伝送線路を2枚の磁性体シート間に配置できると共に、2枚の接地導体によって各層の伝送線路をその全長に亘って覆うことができる。このため、各層の伝送線路を通過する信号を接地導体間に閉じ込めることができ、通過帯域での信号の減衰を防止できる。
【0027】
また、重なり合う複数枚の磁性体シートはその最上層と最下層とに接地導体を配置するから、外部から各層の伝送線路中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0028】
請求項7の発明では、伝送線路を蛇行したジグザグ状に形成し、請求項8の発明では、伝送線路を渦巻き状に形成している。これにより、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0029】
請求項9の発明は、複数層の伝送線路は互いに異なる特性インピーダンスを有する構成としたことにある。これにより、複数種類の特性インピーダンスをもった配線に対しても各層の伝送線路をインピーダンス整合させた状態で接続することができる。また、複数層のうち一部の層または全ての層の伝送線路を並列接続することによって、特性インピーダンスの種類数を増加させることができ、ノイズフィルタが適用可能となる配線の種類を増やすことができる。
【0030】
請求項10の発明は、遮断周波数が200MHzから2GHzの範囲にあり、前記磁性体シートの比透磁率をμr、前記伝送線路の長さ寸法をL[mm]としたときに、4≦μr≦30の範囲にあり、L/√(μr−1)≧3mmに設定したことにある。なお、ここで比透磁率μrは磁性体シートの透磁率μ[H/m]と真空中の透磁率μ0[H/m]との比を表しており、以下の数1の式で表される値を示している。
【0031】
【数1】
【0032】
このように、磁性体シートの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲内に設定すると共に、L/√(μr−1)≧3mmとなるように伝送線路の長さ寸法Lを設定することによって、遮断周波数の範囲を容易に200MHz≦fc≦2GHzの範囲内に設定することができる。また、ノイズの減衰曲線の傾き(信号の周波数に対する減衰量変化の割合)は、伝送線路の長さ寸法Lに比例して大きくなると共に、磁性体シートの比透磁率μrに対して√(μr−1)に反比例して大きくなる傾向がある。このため、磁性体シートの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲に設定し、L/√(μr−1)≧3mmに設定することによって、ノイズの減衰曲線の傾きを例えば20dB/dec.以上にすることができ、信号とノイズとの減衰量の差を大きくすることができる。
【0033】
また、請求項11の発明によるノイズフィルタは、磁性体シートと、該磁性体シートの表面に形成された伝送線路と、前記磁性体シートの裏面に形成され該伝送線路を裏面側から全長に亘って覆う接地導体とによって構成としている。
【0034】
このように構成したことにより、磁性体シートの熱損失を利用して伝送線路を通過する信号のノイズを抑制することができる。また、伝送線路の幅寸法、磁性体シートの厚さ寸法を適宜設定することによって、ノイズフィルタの特性インピーダンスを設定することができると共に、特性インピーダンスを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができる。このため、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタに接続される回路に対するインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。さらに、接地導体によって伝送線路を裏面側から全長に亘って覆うから、伝送線路の全長に亘って特性インピーダンスを一定値に設定でき、ノイズの反射、共振を抑制することができる。
【0035】
請求項12の発明では、伝送線路は渦巻き状に形成している。これにより、伝送線路によって形成される磁束は互いに足し合わされるから、インダクタンスを大きくすることができると共に、特性インピーダンスを大きくすることができる。
【0036】
請求項13の発明では、伝送線路は蛇行したジグザグ状に形成している。これにより、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0037】
請求項14の発明では、磁性体シートは四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設けている。
【0038】
これにより、磁性体シートの長さ方向両端側に位置する信号用電極は、直線状に延びる配線の途中に容易に接続することができる。また、磁性体シートの長さ方向中間位置に設けられた接地用電極も、配線の周辺に設けられた接地端子に容易に接続することができる。このため、ノイズフィルタの組付け性を向上することができる。
【0039】
請求項15の発明は、接地導体の厚さ寸法を前記伝送線路の厚さ寸法よりも薄く形成したことにある。
【0040】
これにより、ノイズフィルタ全体の厚さ寸法を薄くすることができ、小型化を図ることができる。また、伝送線路の厚さ寸法を接地導体に比べて厚くすることができるから、伝送線路の直流抵抗を小さくすることができ、より大きな電流を流すことができる。
【0041】
請求項16の発明は、磁性体シートを磁性特性をもったセラミックス材料によって形成したことにある。これにより、磁性体シートを重ね合わせた状態で焼成することによってノイズフィルタを形成することができる。この場合、請求項17の発明のように、磁性体シートを焼結したフェライトによって形成することが好ましい。
【0042】
請求項18の発明は、磁性体シートを磁性粉を混入した樹脂材料によって形成したことにある。これにより、磁性体シートを接着剤を用いて接合することによってノイズフィルタを形成することができ、焼成等の製造工程を省くことができ、生産性を向上させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるノイズフィルタを、図1ないし図28に基づき詳細に説明する。
【0044】
図1ないし図5は第1の実施の形態に係り、1は本実施の形態によるノイズフィルタで、該ノイズフィルタ1は後述する磁性体シート2a〜2d、伝送線路3、接地導体4、信号用電極5、接地用電極6によって大略構成されている。また、ノイズフィルタ1の遮断周波数fcは、例えば200MHzから2GHz程度の範囲内の値(200MHz≦fc≦2GHz)に設定されている。
【0045】
2はノイズフィルタ1の外形を構成する略角柱状の積層体で、該積層体2は、例えば4枚の磁性体シート2a〜2dを相互の重なり合って積層した状態でプレスした後、これらの磁性体シート2a〜2dを焼成することによって形成されている。また、磁性体シート2a〜2dは、略四角形の板状に形成され、例えばフェライト等の磁性特性を有するセラミックス材料によって形成されている。そして、後述の2枚の接地導体4に挟まれた磁性体シート2b,2cは、その比透磁率μrが例えば4から30程度の範囲内の値(4≦μr≦30)に設定されている。
【0046】
なお、磁性体シート2a,2dと磁性体シート2b,2cとは異なる材料として、例えば、磁性体シート2aには絶縁性の樹脂皮膜を用い、磁性体シート2dにはアルミナ等の絶縁性のセラミック基板(絶縁性基板)を用いてもよい。但し、製造コストの低減するためには、4枚の磁性体シート2a〜2dは全て同じ材料を用いることが好ましい。
【0047】
3は磁性体シート2b,2c間に配設された伝送線路で、該伝送線路3は、例えば銀ペースト、パラジウム等の導電性金属材料によって略帯状に形成され、磁性体シート2b,2cの短尺方向(幅方向)中央側に位置して長尺方向(長さ方向)に向けて直線状に延びている。そして、伝送線路3は、後述の2枚の接地導体4間の略中央に位置し、略全長に亘って2枚の接地導体4によって覆われている。また、伝送線路3は、その両端側が電極部3Aとなり、信号用電極5に接続されている。
【0048】
ここで、伝送線路3の幅寸法をA、2枚の接地導体4間の距離寸法をB、積層体2(磁性体シート2b,2c)の透磁率をμ、積層体2の誘電率をεとしたときには、伝送線路3の特性インピーダンスWは以下の数2の式に示す値となる。
【0049】
【数2】
【0050】
また、伝送線路の長さ寸法Lは、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrに対して例えば以下の数3の式を満たす値に設定されている。
【0051】
【数3】
【0052】
なお、小型のチップ部品によってノイズフィルタ1を構成する場合には、伝送線路の長さ寸法Lは、例えば100mm以下である必要がある。一方、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrは4≦μr≦30に設定されている。このため、L/√(μr−1)の値は、以下の数4の式に示すように3mm以上かつ20mm以下であることが好ましい。
【0053】
【数4】
【0054】
4は磁性体シート2bの表面側と磁性体シート2cの裏面側とにそれぞれ設けられた2枚の接地導体で、これらの接地導体4は、ノイズフィルタ1のうち厚さ方向の中間に位置する2枚の磁性体シート2b,2cを上,下方向から挟むものである。また、各接地導体4は、例えば銀ペースト、パラジウム等の導電性金属材料を用いて略四角形の平板状に形成され、磁性体シート2b,2cを略全面に亘って覆っている。さらに、接地導体4のうち略四角状をなす磁性体シート2b,2cの長さ方向(図2中の左,右方向)中間位置には、幅方向(図2中の前,後方向)両端側に向けて舌状に突出して延びる電極部4Aが設けられ、該電極部4Aは後述の接地用電極6に接続されている。そして、各接地導体4は、磁性体シート2a,2dによって覆われている。
【0055】
5は積層体2(磁性体シート2a〜2d)の長さ方向両端側にそれぞれ設けられた信号用電極で、該信号用電極5は、積層体2の端面を覆うと共に、その表面、裏面および側面をも筒状に覆っている。そして、信号用電極5は、例えば積層体2の両端側に導電性金属材料を塗布した後に、この導電性金属材料を焼き付けることによって固定され、伝送線路3の電極部3Aに接続されている。
【0056】
6は積層体2の長さ方向中間位置で幅方向の両端側にそれぞれ設けられた接地用電極で、該接地用電極6は、略コ字状をなし、積層体2の側面に厚さ方向に沿って帯状に延びると共に、その一部が積層体2の表面と裏面とに延伸している。そして、接地用電極6は、例えば積層体2の側面側に導電性金属材料を塗布した状態で焼き付けることによって固定され、接地導体4の電極部4Aに接続されている。
【0057】
本実施の形態によるノイズフィルタ1は上述の如く構成されるものであり、次にその作動について説明する。
【0058】
まず、信号が伝達される配線が設けられた基板上にノイズフィルタ1を配置し、配線の途中に信号用電極5をそれぞれ接続すると共に、接地用電極6を接地端子に接続する。これにより、信号は伝送線路3を通じて伝達されると共に、接地導体4は接地電位に保持される。
【0059】
ここで、磁性体シート2a〜2dを構成するフェライト等の磁性材料は伝送線路3を通過する信号の周波数が高くなるに従って信号の熱損失が増大する傾向がある。このため、このような熱損失を用いることによって低域通過型フィルタを構成することができるから、伝送線路3は、例えば200MHzから2GHz程度に設定された遮断周波数fcよりも低い周波数(100MHz〜1GHz程度)の信号を通過させ、これよりも高い周波数の信号をノイズとして減衰し、抑制することができる。
【0060】
また、伝送線路3の幅寸法A、磁性体シート2b,2cの厚さ寸法(接地導体4間の距離寸法B)を適宜設定することによってノイズフィルタ1の特性インピーダンスWを設定することができる。さらに、磁性材料の比誘電率μrは信号の周波数に関係なくほぼ一定値となるから、特性インピーダンスWを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができる。このため、ノイズフィルタ1に接続される回路に対して、ほぼ全ての周波数領域についてインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタ1の反射損失を低下させ、共振によるノイズの増大を防止することができる。
【0061】
さらに、2枚の磁性体シート2b、2c間に伝送線路3を配設すると共に、当該2枚の磁性体シート2b,2cを2枚の接地導体4によって挟む構成としたから、2枚の接地導体4によって磁性体シート2b,2c間に位置する伝送線路3をその全長に亘って覆うことができる。このため、伝送線路3の全長に亘って特性インピーダンスWを一定値に設定できるから、伝送線路3の途中でノイズに反射が生じることがなく、ノイズの共振を抑制することができる。また、伝送線路3を通過する信号を接地導体4間に閉じ込めることができ、通過帯域での信号の減衰を防止できると共に、外部からの伝送線路3中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0062】
なお、ノイズフィルタ1の遮断周波数fcは、磁性体シート2a〜2dの磁性材料の組成(磁性体シート2b,2cの比透磁率μr)および伝送線路3の長さ寸法Lを調整することによって適宜設定できるものである。
【0063】
そこで、次に磁性体シート2b,2cの比透磁率μrおよび伝送線路3の長さ寸法Lに対する遮断周波数fcの関係について、図6ないし図11を参照しつつ検討する。
【0064】
まず、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを一定の値として例えば10とし(μr=10)、伝送線路3の長さ寸法Lを5mm、10mm、20mm、50mmにそれぞれ設定し、ノイズフィルタ1のシミュレーションを行った。この結果、図6に示すように4種類の伝送線路3の長さ寸法Lに対応して、4本の減衰曲線を得た。
【0065】
図6の結果より、伝送線路3の長さ寸法Lが長くなるに従って、遮断周波数fc(減衰量が−3dBとなる周波数)は低下すると共に、例えば減衰量が−10dB付近での減衰曲線の傾き(周波数変化に対する減衰量変化の割合)は増加することが分かる。
【0066】
一方、伝送線路3の長さ寸法Lを一定の値として例えば50mmとし(L=50mm)、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを3,5、10,20,30にそれぞれ設定し、ノイズフィルタ1のシミュレーションを行った。この結果、図7に示すように5種類の比透磁率μrに対応して、5本の減衰曲線を得た。
【0067】
図7の結果より、比透磁率μrが大きくなるに従って、遮断周波数fcは低下するものの、例えば減衰量が−10dB付近での減衰曲線の傾きは減少することが分かる。
【0068】
これらの特性を本願発明者等が鋭意検討した結果、伝送線路3の長さ寸法Lと磁性体シート2b,2cの比透磁率μrとに基づいて以下の数5の式によって定まる定数C[mm]が同一となる場合に、長さ寸法L、比透磁率μrが異なるときであっても、減衰曲線の形状(傾き)はほぼ同一となることが分かった。
【0069】
【数5】
【0070】
例えば、図8は、定数Cを一定の値として例えば20mmとし(C=20mm)、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを3,5、10,20,30にそれぞれ設定すると共に、伝送線路3の長さ寸法Lを35mm、45mm、63mm、89mm、109mmにそれぞれ設定し、シミュレーションを行った場合の減衰曲線を示している。
【0071】
また、図9は、定数Cを一定の値として例えば3mmとし(C=3mm)、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを3,5、10,20,30にそれぞれ設定すると共に、伝送線路3の長さ寸法Lを5.19mm、6.72mm、9.48mm、13.4mm、16.4mmにそれぞれ設定し、シミュレーションを行った場合の減衰曲線を示している。
【0072】
このように、定数Cが同一となる場合には、比透磁率μrが大きくなるに従って、遮断周波数fcは低下するものの、長さ寸法L、比透磁率μrが異なるときでも、減衰曲線の形状(傾き)はほぼ同一となる。また、定数Cは大きくなるに従って、減衰曲線の傾きは大きくなる。
【0073】
そこで、定数Cと減衰量が−10dB付近での減衰曲線の傾きとの関係を検討したところ、図10に示す結果を得た。ここで、一般にノイズ対策に用いられるバイパスコンデンサの減衰曲線の傾きは20dB/dec.であり、ノイズ対策部品として用いるにはこれ以上の傾きを有していることが望ましい。図10の結果より、定数Cが3mm以上であれば、減衰曲線の傾きが20dB/dec.以上となり、ノイズ対策部品として優れた効果を発揮することが分かる。
【0074】
また、図8および図9の結果より、比透磁率μrが同じ値となる場合には、定数Cが小さくなるに従って、遮断周波数fc(減衰量が−3dBとなる周波数)が高くなることが分かる。このため、ノイズフィルタ1の最高の遮断周波数fcを検討するために、定数Cを3mmとし(C=3mm)、比透磁率μrと遮断周波数fcとの関係を検討した。この結果を図11に示す。
【0075】
ここで、近年は、デジタル機器同士で情報伝達を行う手段として無線LANが普及し始めており、この無線LANには例えば2.45GHzおよび5GHz程度の高周波の信号が用いられている。このため、これらの高周波の信号に対してデジタル機器内の低周波(数百MHz程度)の信号を保護するためには、遮断周波数が2GHz以下であるノイズフィルタが必要となっている。そこで、図11の結果を検討すると、遮断周波数fcを2GHzに設定するためには、比透磁率μrを4程度に設定すればよいことが分かる。
【0076】
なお、数5の式によれば、定数Cは√(μr−1)に反比例しているから、伝送線路3の長さ寸法Lが一定であれば、比透磁率μrは小さい値に設定した方が、定数Cを大きくして減衰曲線の傾きを大きくすることができる。また、定数Cが一定であれば、比透磁率μrは小さい値に設定した方が、伝送線路3の長さ寸法Lを短くすることができ、ノイズフィルタ1を小型化することができる。
【0077】
従って、比透磁率μrはできるだけ小さい値として4程度に設定することが望ましい。但し、図11の結果によれば、定数Cが最小値である3mmとしたとき(C=3mm)に、比透磁率μrは30程度に設定しても、遮断周波数fcをデジタル機器等で必要となる200MHz程度に設定することができる。このため、比透磁率μrは、4以上かつ30以下の範囲内(4≦μr≦30)に設定することが好ましい。
【0078】
また、伝送線路3の長さ寸法Lは、長くなるほど定数Cが増大するから、できるだけ長い値に設定することが好ましい。しかし、長さ寸法Lが長くなるに従ってノイズフィルタ1の全体形状が大きくなるから、ノイズフィルタ1を実用的な大きさにするためには、長さ寸法Lはおよそ100mm以下である必要がある。ここで、比透磁率μrの最小値は4だから、定数Cの最大値はおよそ20程度となる。従って、定数Cは、3mm以上かつ20mm以下の範囲内(3mm≦C≦20mm)に設定することが好ましい。
【0079】
かくして、本実施の形態によれば、2枚の磁性体シート2b,2c間に伝送線路と配設すると共に、これらの磁性体シート2b,2cを2枚の接地導体4によって覆う構成としたから、磁性体シート2b,2cを構成する磁性材料の熱損失を用いることによってノイズを抑制することができる。また、伝送線路3の特性インピーダンスWを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができるから、外部の回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができる。このため、ノイズフィルタ1の反射損失を低下させることができ、共振によるノイズの増大を防止することができる。
【0080】
また、2枚の接地導体4によって磁性体シート2b,2c間に位置する伝送線路3をその全長に亘って覆うことができるから、伝送線路3の全長に亘って特性インピーダンスWを一定値に設定することができ、伝送線路3の途中でノイズが反射することがないのに加え、伝送線路3を通過する信号を接地導体4間に閉じ込めることができる。このため、通過帯域での信号の減衰を防止できると共に、外部からの伝送線路3中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0081】
さらに、磁性体シート2a〜2dは略四角状に形成し、該磁性体シート2a〜2dの長さ方向両端側には伝送線路3の両端に接続された信号用電極5を設け、該磁性体シート2a〜2dの長さ方向中間位置には接地導体4に接続された接地用電極6を設ける構成としたから、直線状に延びる配線の途中に磁性体シート2a〜2dの長さ方向両端側に位置する信号用電極5を容易に接続することができる。また、磁性体シート2a〜2dの長さ方向中間位置に設けられた接地用電極6も配線の周辺に設けられた接地端子に容易に接続することができるから、ノイズフィルタ1の組付け性を向上することができる。
【0082】
また、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲内に設定すると共に、定数Cが3mm以上(C≧3mm)となるように、伝送線路の長さ寸法Lを設定したから、遮断周波数fcの範囲を容易に実用的な周波数帯である200MHz≦fc≦2GHzの範囲内に設定することができる。さらに、ノイズの減衰曲線の傾きは、伝送線路3の長さ寸法Lに比例して大きくなると共に、√(μr−1)に反比例して大きくなる傾向がある。このため、磁性体シート2b,2cの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲に設定し、定数Cを3mm以上に設定することによって、ノイズの減衰曲線の傾きを例えば20dB/dec.以上にすることができる。この結果、信号とノイズとの減衰量の差を大きくすることができるから、信号は減衰させずに通過させることができると共に、ノイズを確実に減衰させることができる。
【0083】
次に、図12ないし図15は本発明の第2の実施の形態によるノイズフィルタを示し、本実施の形態によるノイズフィルタの特徴は、磁性体シートの最上層と最下層とが接地導体となるように当該磁性体シート間に伝送線路と当該接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路を直列接続する構成としたことにある。
【0084】
11は本実施の形態によるノイズフィルタで、該ノイズフィルタ11は後述する磁性体シート12a〜12n、伝送線路13〜18、接地導体19、貫通線路20〜24、信号用電極25、接地用電極26によって大略構成されている。
【0085】
12はノイズフィルタ11の外形を構成する略角柱状の積層体で、該積層体12は、例えば14枚の磁性体シート12a〜12nを相互の重なり合って積層した状態でプレスした後、これらの磁性体シート12a〜12nを焼成することによって形成されている。そして、磁性体シート12a〜12nは、略四角形の板状に形成され、例えばフェライト等の磁性特性を有するセラミックス材料によって形成されている。
【0086】
13〜18は各組の磁性体シート12b,12c間、磁性体シート12d,12e間、磁性体シート12f,12g間、磁性体シート12h,12i間、磁性体シート12j,12k間、磁性体シート12l,12m間にそれぞれ配設された合計6層の伝送線路で、該各伝送線路13〜18は、導電性金属材料によって折返し部を有する略コ字状または円弧状をなして形成され、これらが直列接続されることによって積層体12の厚さ方向に対して略四角形または円形の開口を有する枠型のコイル状(螺旋状)をなしている。
【0087】
ここで、上層側に位置する磁性体シート12b,12c間の伝送線路13は、その一端側が積層体12の長さ方向一端側に向かって延びた電極部13Aをなし、後述の信号用電極25に接続されると共に、その他端側には磁性体シート12c,12dを貫通するスルーホール13Bが設けられている。
【0088】
また、磁性体シート12d,12e間の伝送線路14は、その一端側にスルーホール13Bを通じて伝送線路13に接続するための接続部14Aが設けられ、他端側には磁性体シート12e,12fを貫通するスルーホール14Bが設けられている。
【0089】
同様に、磁性体シート12f,12g間の伝送線路15も、その一端側に接続部15Aが設けられ、他端側にはスルーホール15Bが設けられている。磁性体シート12h,12i間の伝送線路16も、その一端側に接続部16Aが設けられ、他端側にはスルーホール16Bが設けられている。磁性体シート12j,12k間の伝送線路17も、その一端側に接続部17Aが設けられ、他端側にはスルーホール17Bが設けられている。
【0090】
また、下層側に位置する磁性体シート12l,12m間の伝送線路18は、その一端側にスルーホール17Bを通じて伝送線路17に接続するための接続部18Aが設けられると共に、その他端側が積層体12の長さ方向他端側に向かって延びた電極部18Bをなし、後述の信号用電極25に接続されている。
【0091】
そして、伝送線路13〜18の特性インピーダンスは、第1の実施の形態による伝送線路3と同様に伝送線路13〜18の幅寸法、隣り合う接地導体19間の距離寸法、積層体12の透磁率、誘電率によって決定される。このため、伝送線路13〜18の幅寸法をほぼ等しい値に設定すると共に、磁性体シート12b〜12mの厚さ寸法をほぼ等しい値に設定することによって、伝送線路13〜18の全長に亘って特性インピーダンスを一定値に設定することができる。
【0092】
19は各層の伝送線路13〜18を挟むように磁性体シート12a〜12nの間にそれぞれ設けられた合計7枚の接地導体で、各接地導体19は、磁性体シート12b〜12mの最上層と最下層とにそれぞれ配置されると共に、磁性体シート12b〜12m間に伝送線路13〜18と交互に積み重ねられている。
【0093】
そして、接地導体19は、導電性金属材料を用いて略四角形の平板状に形成され、磁性体シート12b〜12mを略全面に亘って覆っている。さらに、接地導体19には第1の実施の形態による接地導体4とほぼ同様に幅方向両端側に向けて突出した電極部19Aが設けられ、該電極部19Aは後述の接地用電極26に接続されている。
【0094】
20〜24は伝送線路13〜18を直列接続する貫通線路で、該貫通線路20〜24はスルーホール13B〜17B内に銀ペースト、パラジウム等の導電性金属材料を充填することによって形成されている。
【0095】
25は積層体12(磁性体シート12a〜12n)の長さ方向両端側にそれぞれ設けられた信号用電極で、該信号用電極25は、第1の実施の形態による信号用電極5と同様に積層体12の端面を覆うと共に、その表面、裏面および側面をも筒状に覆っている。そして、信号用電極25は、導電性金属材料を塗布した後に、焼き付けることによって固定され、伝送線路13,18の電極部13A,18Bに接続されている。
【0096】
26は積層体12の長さ方向中間位置で幅方向の両端側にそれぞれ設けられた接地用電極で、該接地用電極26は、略コ字形状をなし、積層体12の側面に厚さ方向に沿って帯状に延びると共に、その一部が積層体12の表面と裏面とに延伸している。そして、接地用電極26は、例えば積層体12の側面側に導電性金属材料を塗布した後に、焼き付けることによって固定され、接地導体19の電極部19Aに接続されている。
【0097】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、各磁性体シート12c〜12lを貫通して設けた貫通線路20〜24によって6層の伝送線路13〜18を直列接続したから、伝送線路13〜18の全長を長くすることができ、伝送線路13〜18を通過するノイズに対する熱損失を増大させ、その減衰量を増加させることができる。
【0098】
また、伝送線路13〜18の幅寸法、磁性体シート12b〜12mの厚さ寸法を全てほぼ等しい値に設定することによって、積層された各層の伝送線路13〜18での特性インピーダンスを相互にほぼ一致させることができるから、伝送線路13〜18の途中で特性インピーダンスが変化することがなく、外部の回路との間でインピーダンス整合を容易に取ることができる。
【0099】
さらに、伝送線路13〜18は略コ字状または円弧状をなし、これらの全体によって厚さ方向に対してコイル状に形成したから、ノイズフィルタ11の厚さ寸法は増大する傾向があるものの、ノイズフィルタ11の底面積をコイル状をなす伝送線路13〜18の開口面積と同程度に設定することができる。このため、狭い設置場所に対してもノイズフィルタ11を配置することができ、ノイズフィルタ11の取り付け自由度を向上することができる。
【0100】
なお、前記第1の実施の形態では、伝送線路3を直線状に伸長させる構成としたが、図16に示す第1の変形例のように積層体2の幅方向に往復して蛇行したジグザグ状の伝送線路3′を設ける構成としてもよく、積層体2の長さ方向に往復して蛇行したジグザグ形状の伝送線路(図示せず)を設ける構成としてもよい。
【0101】
このように、伝送線路3′を蛇行したジグザグ状に形成した場合には、第1の実施の形態のように伝送線路3を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0102】
また、第2の実施の形態では、伝送線路13〜18を略コ字状または円弧状に形成したが、第1の変形例と同様にジグザグ状に形成してもよく、渦巻き状等に形成してもよい。
【0103】
次に、図17および図18は本発明の第3の実施の形態によるノイズフィルタを示し、本実施の形態によるノイズフィルタの特徴は、磁性体シート間には同一層に位置して第1の伝送線路と第2の伝送線路を設け、これら第1,第2の伝送線路と接地導体とを磁性体シート間に交互に積み重ね、複数層の第1の伝送線路を直列接続すると共に、これら第1の伝送線路とは独立して複数層の第2の伝送線路を直列接続する構成としたことにある。
【0104】
31は本実施の形態によるノイズフィルタで、該ノイズフィルタ31は後述する磁性体シート32a〜32j、第1の伝送線路33〜36、第2の伝送線路37〜40、接地導体41、貫通線路(図示せず)、第1の信号用電極42、第2の信号用電極43、接地用電極44によって大略構成されている。
【0105】
32はノイズフィルタ31の外形を構成する略角柱状の積層体で、該積層体32は、例えば10枚の磁性体シート32a〜32jを積層することによって形成されている。そして、磁性体シート32a〜32jは、略四角形の板状に形成され、例えばフェライト等の磁性特性を有するセラミックス材料によって形成されている。
【0106】
33〜36は各組の磁性体シート32b,32c間、磁性体シート32d,32e間、磁性体シート32f,32g間、磁性体シート32h,32i間にそれぞれ位置して合計4層に設けれた第1の伝送線路で、該各伝送線路33〜36は、導電性金属材料によって渦巻き状に形成されると共に、積層体32の厚さ方向に対して互いに対向する位置に配置されている。
【0107】
ここで、伝送線路33の一端側は、積層体32の長さ方向(図18中の左,右方向)一端側に向かって延びた電極部33Aをなし、伝送線路33の他端側は、渦巻きの中心側に位置して磁性体シート32c,32dを貫通するスルーホール33Bが設けられている。
【0108】
また、伝送線路34の一端側は、渦巻きの中心側に位置してスルーホール33Bを通じて伝送線路33に接続するための接続部34Aが設けられ、伝送線路34の他端側は、渦巻きの外周側に位置して磁性体シート32e,32fを貫通するスルーホール34Bが設けられている。同様に、伝送線路35の一端側は、渦巻きの外周側に位置して接続部35Aが設けられ、伝送線路35の他端側は、渦巻きの中心側に位置してスルーホール35Bが設けられている。
【0109】
また、伝送線路36の一端側は、渦巻きの中心側に位置してスルーホール35Bを通じて伝送線路35に接続するための接続部36Aが設けられると共に、伝送線路36の他端側は、渦巻きの外周側に位置して積層体32の長さ方向他端側に向かって延びた電極部36Bをなしている。
【0110】
そして、スルーホール33B,34B,35B内には、第2の実施の形態と同様に導電性金属材料からなる貫通線路(図示せず)が形成されている。これにより、伝送線路33〜36は、貫通線路を用いて相互に直列接続されている。
【0111】
また、伝送線路33〜36の幅寸法はほぼ等しい値に設定されると共に、磁性体シート32b〜32iの厚さ寸法はほぼ等しい値に設定されている。これにより、伝送線路33〜36の特性インピーダンスは、その全長に亘ってほぼ一定値に設定されている。
【0112】
37〜40は各組の磁性体シート32b,32c間、磁性体シート32d,32e間、磁性体シート32f,32g間、磁性体シート32h,32i間にそれぞれ位置して合計4層に設けられた第2の伝送線路で、該各伝送線路37〜40は、第1の伝送線路33〜36と異なる位置として第1の伝送線路33〜36から積層体32の幅方向(図18中の前,後方向)に位置ずれして配置され、第1の伝送線路33〜36に対して絶縁されている。また、伝送線路37〜40は、導電性金属材料によって渦巻き状に形成されると共に、積層体32の厚さ方向に対して互いに対向する位置に配置されている。
【0113】
そして、第2の伝送線路37〜40は、第1の伝送線路33〜36とほぼ同様の形状をもって形成され、伝送線路37の一端側には電極部37Aが設けられ、伝送線路37の他端側にはスルーホール37Bが設けられている。同様に、伝送線路38,39の一端側には接続部38A,39Aが設けられ、伝送線路38,39の他端側にはスルーホール38B,39Bが設けられている。さらに、伝送線路40の一端側には接続部40Aが設けられ、伝送線路40の他端側には電極部40Bが設けられている。
【0114】
そして、スルーホール37B,38B,39B内には導電性金属材料からなる貫通線路(図示せず)が設けられている。これにより、伝送線路37〜40は、貫通線路によって相互に直列接続されている。
【0115】
また、伝送線路37〜40の幅寸法はほぼ等しい値に設定されると共に、磁性体シート32b〜32iの厚さ寸法はほぼ等しい値に設定されている。これにより、伝送線路37〜40の特性インピーダンスは、その全長に亘ってほぼ一定値に設定されている。
【0116】
41は第1の伝送線路33〜36および第2の伝送線路37〜40を各層毎に挟むように磁性体シート32a〜32jの間にそれぞれ設けられた合計5枚の接地導体で、各接地導体41は、磁性体シート32b〜32iの最上層と最下層とにそれぞれ配置されると共に、磁性体シート32b〜32i間に第1,第2の伝送線路33〜36,37〜40と交互に積み重ねられている。
【0117】
そして、接地導体41は、導電性金属材料を用いて略四角形の平板状に形成され、磁性体シート32b〜32iを略全面に亘って覆っている。さらに、接地導体41には第1の実施の形態による接地導体4とほぼ同様に幅方向両端側に向けて突出した電極部41Aが設けられ、該電極部41Aは後述の接地用電極44に接続されている。
【0118】
42は積層体32(磁性体シート32a〜32j)の長さ方向両端側にそれぞれ設けられた第1の信号用電極で、該信号用電極42は、導電性金属材料によって形成され、信号用の配線に接続されるものである。また、一方の信号用電極42は、伝送線路33の電極部33Aに接続されると共に、他方の信号用電極42は、伝送線路36の電極部36Bに接続されている。
【0119】
43は積層体32(磁性体シート32a〜32j)の長さ方向両端側にそれぞれ設けられた第2の信号用電極で、該信号用電極43は、導電性金属材料によって形成され、第1の信号用電極42に対して積層体32の幅方向に位置ずれして設けられ、第1の信号用電極42に対して絶縁されている。また、一方の信号用電極43は、伝送線路37の電極部37Aに接続されると共に、他方の信号用電極43は、伝送線路40の電極部40Bに接続されている。
【0120】
そして、例えば一方の信号用電極42,43は信号入力用電極をなし、他方の信号用電極42,43は信号出力用電極をなしている。なお、一方の信号用電極42,43を信号出力用に用い、信号用電極42,43を信号入力用に用いてもよい。
【0121】
44は積層体32の幅方向の両端側にそれぞれ設けられた接地用電極で、該接地用電極44は、導電性金属材料によって形成され、接地導体41の電極部41Aに接続されている。
【0122】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、第1の伝送線路33〜36を直列接続すると共に、第2の伝送線路37〜40を直列接続したから、第1,第2の伝送線路33〜36,37〜40の全長をそれぞれ長くすることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0123】
また、第1,第2の伝送線路33〜36,37〜40をそれぞれ独立して設けたから、単一の積層体32内に第1の伝送線路33〜36からなるローパスフィルタと第2の伝送線路37〜40からなるローパスフィルタを設けることができる。このため、ノイズフィルタ31は、全体として2つのローパスフィルタを有するノイズフィルタアレイを構成することができるから、2つのローパスフィルタを個別に形成した場合に比べて、接地導体41、接地用電極44等を共用することができ、ノイズフィルタ31を小型化することができる。
【0124】
次に、図19ないし図21は本発明の第4の実施の形態によるノイズフィルタを示し、本実施の形態によるノイズフィルタの特徴は、磁性体シートの最上層と最下層とが接地導体となるように当該磁性体シート間に伝送線路と当該接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路の一端側は互いに異なる信号入力用電極に接続し、複数層の伝送線路の他端側は互いに異なる信号出力用電極に接続する構成としたことにある。
【0125】
51は本実施の形態によるノイズフィルタで、該ノイズフィルタ51は後述する磁性体シート52a〜52j、第1〜第4の伝送線路53〜56、接地導体57、第1〜第4の信号用電極58〜61、接地用電極62によって大略構成されている。
【0126】
52はノイズフィルタ51の外形を構成する略角柱状の積層体で、該積層体32は、例えば10枚の磁性体シート52a〜52jを積層することによって形成されている。そして、磁性体シート52a〜52jは、略四角形の板状に形成され、例えばフェライト等の磁性特性を有するセラミックス材料によって形成されている。
【0127】
53は磁性体シート52b,52c間に設けられた第1の伝送線路で、該伝送線路53は、導電性金属材料を用いて細い帯状に形成されると共に、積層体52の幅方向(図20中の前,後方向)に複数回に亘って蛇行(往復)したジグザグ状をなしている。そして、伝送線路53の両端側には、積層体52の長さ方向(図20中の左,右方向)両端側に向かってそれぞれ延びた電極部53Aが形成され、これらの電極部53Aは、例えば積層体52の幅方向一端側に配置されている。
【0128】
54は磁性体シート52d,52e間に設けられた第2の伝送線路で、該伝送線路54は、例えば第1の伝送線路53と同じ幅寸法を有し、第1の伝送線路53と同様に導電性金属材料を用いて蛇行したジグザグ状に形成され、その両端側には積層体52の長さ方向両端側に向かってそれぞれ延びた電極部54Aが形成されている。そして、これらの電極部54Aは、第1の電極部53Aとは異なる位置として例えば積層体52の幅方向中央側に配置されている。
【0129】
55は磁性体シート52f,52g間に設けられた第3の伝送線路で、該伝送線路55は、例えば第1の伝送線路53と同じ幅寸法を有し、第1の伝送線路53と同様に導電性金属材料を用いて蛇行したジグザグ状に形成され、その両端側には積層体52の長さ方向両端側に向かってそれぞれ延びた電極部55Aが形成されている。そして、これらの電極部55Aは、第1,第2の電極部53A,54Aとは異なる位置として例えば第2の電極部54Aと積層体52の幅方向他端との中間部位に配置されている。
【0130】
56は磁性体シート52h,52i間に設けられた第4の伝送線路で、該伝送線路56は、例えば第1の伝送線路53と同じ幅寸法を有し、第1の伝送線路53と同様に導電性金属材料を用いて蛇行したジグザグ状に形成され、その両端側には積層体52の長さ方向両端側に向かってそれぞれ延びた電極部56Aが形成されている。そして、これらの電極部56Aは、第1〜第3の電極部53A〜55Aとは異なる位置として例えば積層体52の幅方向他端側に配置されている。
【0131】
57は第1〜第4の伝送線路53〜56を挟むように磁性体シート52a〜52jの間にそれぞれ設けられた合計5枚の接地導体で、各接地導体57は、磁性体シート52b〜52iの最上層と最下層とにそれぞれ配置されると共に、磁性体シート52b〜52i間に伝送線路53〜56と交互に積み重ねられている。
【0132】
そして、接地導体57は、導電性金属材料を用いて略四角形の平板状に形成され、磁性体シート52b〜52iを略全面に亘って覆っている。さらに、接地導体57には第1の実施の形態による接地導体4とほぼ同様に幅方向両端側に向けて突出した電極部57Aが設けられ、該電極部57Aは後述の接地用電極62に接続されている。
【0133】
58〜61は導電性金属材料によって形成された第1〜第4の信号用電極で、該第1〜第4の信号用電極58〜61は、積層体52の長さ方向両端側の側面に位置してそれぞれ一対ずつ設けられている。そして、第1〜第4の信号用電極58〜61は、積層体52の幅方向に対して互いに異なる位置として例えば積層体52の幅方向一端側から他端側に向けて順次配置され、相互の間が絶縁されている。
【0134】
また、第1の信号用電極58は第1の伝送線路53の電極部53Aに接続され、第2の信号用電極59は第2の伝送線路54の電極部54Aに接続され、第3の信号用電極60は第3の伝送線路55の電極部55Aに接続されると共に、第4の信号用電極61は第4の伝送線路56の電極部56Aに接続されている。
【0135】
そして、一対ずつ設けられた第1〜第4の信号用電極58〜61のうち一方の信号用電極58〜61は信号入力用電極をなし、他方の信号用電極58〜61は信号出力用電極をなしている。
【0136】
62は積層体52の幅方向の両端側にそれぞれ設けられた接地用電極で、該接地用電極62は、導電性金属材料によって形成され、接地導体57の電極部57Aに接続されている。
【0137】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、複数層の伝送線路53〜56は互いに異なる信号用電極58〜61に接続するから、複数層の伝送線路53〜56をそれぞれ個別にローパスフィルタとして作動させることができ、全体としてノイズフィルタアレイを構成することができる。
【0138】
また、第3の実施の形態のように同一層に複数の伝送線路33〜36,37〜40を形成し、これら複数層の伝送線路33〜36,37〜40を接続した場合には、ローパスフィルタの個数を増加させるに従って、磁性体シート32a〜32jの面積を増加させる必要がある。このため、ノイズフィルタ31に多数のローパスフィルタを設けた場合には、ノイズフィルタ31は大型化し易い傾向がある。
【0139】
これに対し、本実施の形態では、複数層の伝送線路53〜56は各層毎にそれぞれ独立したローパスフィルタを構成するから、ローパスフィルタの個数を増加させる場合であっても、磁性体シート52a〜52jの枚数を増加すれば足りる。このため、ノイズフィルタ51内に多数のローパスフィルタを設けた場合であっても、ノイズフィルタ51を小型化することができる。
【0140】
また、第3の実施の形態のように複数層の伝送線路33〜36,37〜40をスルーホール33B〜35B,37B〜39B(貫通線路)を用いて接続した場合には、不連続点となるスルーホール33B〜35B,37B〜39B近傍でインピーダンスの不整合が生じ易い。さらに、スルーホール33B〜35B,37B〜39Bの穴加工や貫通線路用の導電性ペーストの充填等を行う必要があり、製造工程が増加し、製造コストが高くなる傾向がある。
【0141】
これに対し、本実施の形態では、複数層の伝送線路53〜56は各層毎にそれぞれ独立したローパスフィルタとして作動するから、伝送線路53〜56の途中でインピーダンスの不整合が生じることがない。このため、伝送線路53〜56の途中でノイズに反射が生じることがなく、ノイズの共振を抑制することができると共に、外部の回路に対してインピーダンス整合を容易に取ることができる。また、本実施の形態では、スルーホールの穴加工等を行う必要がないから、第3の実施の形態に比べて、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0142】
また、第3の実施の形態のように、同一層に複数の伝送線路33〜36,37〜40を形成した場合には、隣合う伝送線路33〜36,37〜40間でクロストークが生じ易い傾向があり、信号が劣化し易い。
【0143】
これに対し、本実施の形態では、伝送線路53〜56間には接地導体57が設けられているから、接地導体57によって隣合う伝送線路53〜56間でのクロストークを防ぐことができ、信号を確実に伝搬することができる。
【0144】
また、第3の実施の形態のように、複数層の伝送線路33〜36,37〜40をスルーホール33B〜35B,37B〜39B(貫通線路)を用いて接続した場合には、貫通線路との接触を避けるために接地導体41にもスルーホール33B〜35B,37B〜39Bと中心として直径100μm程度の穴を設ける必要がある。この場合、穴の周囲には伝送線路を配置することができないから、1枚の磁性体シートに対して伝送線路が形成可能な面積が減少して、伝送線路が短くなり、ノイズの減衰量が低下し易い。
【0145】
これに対し、本実施の形態では、磁性体シート52a〜52jにはスルーホールが設けられていないから、伝送線路53〜56は磁性体シート52a〜52jの全面に亘って配置することができる。このため、伝送線路53〜56の長さ寸法を長くすることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0146】
また、第3の実施の形態のように、複数層の伝送線路33〜36,37〜40を積層体32の厚さ方向で接続した場合には、伝送線路33〜36,37〜40が接触しないようにするために、例えば入力用の信号用電極42と出力用の信号用電極42は互いに対向した位置に配置する必要があると共に、入力用の信号用電極43と出力用の信号用電極43も互いに対向した位置に配置する必要がある。
【0147】
これに対し、本実施の形態では、複数層の伝送線路53〜56は各層毎にそれぞれ独立しているから、入力用の信号用電極58〜61と出力用の信号用電極58〜61とは互いに対向する必要がない。このため、例えば入力用の信号用電極58〜61を積層体52の幅方向の一側から他側に向けて順次配置するのに対して、入力用の信号用電極58〜61を積層体52の幅方向の他側から一側に向けて順次配置することもできる。これにより、入力用の信号用電極58〜61と出力用の信号用電極58〜61とは、独立して配置することができるから、設計自由度を高めることができる。
【0148】
さらに、本実施の形態では、複数層の伝送線路53〜56は各層毎にそれぞれ独立したローパスフィルタを構成するから、磁性体シート52b〜52iの厚さ寸法を異なる値に設定することによって、それぞれのローパスフィルタの特性インピーダンスを容易に相違させることができる。このため、本実施の形態によるノイズフィルタ51は、複数種類の特性インピーダンスをもった配線に対しても容易に適用することができる。
【0149】
なお、前記第4の実施の形態では、伝送線路53〜56をジクザグ状に形成するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図22に示す第2の変形例のように両端側が電極部71Aとなった渦巻き状の伝送線路71を形成してもよい。
【0150】
また、遮断周波数が高い場合のように、伝送線路の長さ寸法が短い場合には、図23に示す第3の変形例のように、直線状の伝送線路53′〜56′を形成してもよい。
【0151】
さらに、前記第4の実施の形態では、伝送線路53〜56は同じ幅寸法を有する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、図24に示す第4の変形例のように、伝送線路53″〜56″は互いに異なる幅寸法を有する構成としてもよい。
【0152】
これにより、複数層の伝送線路53″〜56″は互いに異なる特性インピーダンスを有するから、複数種類の特性インピーダンスをもった配線に対しても各層の伝送線路53″〜56″をインピーダンス整合させた状態で接続することができる。また、伝送線路53″〜56″は互いに異なる特性インピーダンスを有するから、各伝送線路53″〜56″を独立して用いるときには、伝送線路53″〜56″の層数に応じて4種類の特性インピーダンスをもったローパスフィルタを形成することができる。
【0153】
これに加えて、複数層の伝送線路53″〜56″うち2層〜3層または全ての層(4層)の伝送線路を並列接続して用いるときには、特性インピーダンスを例えば10種類増加させることができる。このため、伝送線路53″〜56″の特性インピーダンスを全て同じ値に設定したときに比べて、特性インピーダンスの種類を増やすことができるから、適用可能となる配線の種類を増やすことができる。
【0154】
なお、第4の変形例では、伝送線路53″〜56″の幅寸法を互いに相違させて伝送線路53″〜56″を互いに異ならせる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば磁性体シート52b〜52iの厚さ寸法を互いに相違させる構成としてもよく、伝送線路53″〜56″の幅寸法と磁性体シート52b〜52iの厚さ寸法の両方を相違させる構成としてもよい。
【0155】
次に、図25および図26は本発明の第5の実施の形態によるノイズフィルタを示し、本実施の形態によるノイズフィルタの特徴は、磁性体シートと、該磁性体シートの表面に形成された伝送線路と、前記磁性体シートの裏面に形成され該伝送線路を裏面側から全長に亘って覆う接地導体とによって構成したことにある。
【0156】
81は本実施の形態によるノイズフィルタで、該ノイズフィルタ81は後述する磁性体シート82a〜82c、伝送線路83、接地導体85、信号用電極86、接地用電極87によって大略構成されている。
【0157】
82はノイズフィルタ1の外形を構成する略角柱状の積層体で、該積層体82は、3枚の磁性体シート82a〜82cを焼成することによって形成され、各磁性体シート82a〜82cは、第1の実施の形態と同様に例えばフェライト等を用いて略四角形(長方形)の板状に形成されている。
【0158】
83は磁性体シート82bの表面に配設された伝送線路で、該伝送線路83は、渦巻き状をなすコイル部83Aと、該コイル部83Aの外周側と中心側とにそれぞれ接続され積層体82の長さ方向両端面に向けて延びる電極部83B,83Cとによって構成されている。また、コイル部83Aと電極部83Cとの間には磁性体シート82bと同様のフェライト等からなる絶縁膜84が設けられ、該絶縁膜84を挟んでコイル部83Aと電極部83Cは重なり合っている。
【0159】
そして、伝送線路83は、第1の実施の形態と同様に導電性金属材料によって形成され、後述する接地導体85によってその裏面側が略全長に亘って覆われると共に、電極部83B,83Cが後述の信号用電極86にそれぞれ接続されている。
【0160】
85は磁性体シート82bの裏面側(磁性体シート82b,82c間)に設けられた接地導体で、接地導体85は、導電性金属材料を用いて略四角形の平板状に形成され、磁性体シート82bの裏面側を略全面に亘って覆っている。さらに、接地導体85のうち略四角状をなす磁性体シート82bの長さ方向中間位置には、幅方向両端側に向けて舌状に突出して延びる電極部85Aが設けられ、該電極部85Aは後述の接地用電極87に接続されている。
【0161】
86は積層体82(磁性体シート82a〜82c)の長さ方向両端側にそれぞれ設けられた信号用電極で、該信号用電極86は、積層体82のうち長さ方向の端面およびその周囲を覆って形成され、伝送線路83の電極部83B,83Cに接続されている。
【0162】
87は積層体82の長さ方向中間位置で幅方向の両端側にそれぞれ設けられた接地用電極で、該接地用電極87は、積層体82の側面(幅方向の端面)に形成され、接地導体85の電極部85Aに接続されている。
【0163】
かくして、本実施の形態では、磁性体シート82bの表面に伝送線路83を形成すると共に、該伝送線路83の裏面側を磁性体シート82bの裏面に形成された接地導体85を用いて全長に亘って覆う構成としたから、第1の実施の形態と同様に、磁性体シート82b等の熱損失を利用してノイズを抑制することができる。
【0164】
また、伝送線路83の幅寸法、磁性体シート82bの厚さ寸法を適宜設定することによって、ノイズフィルタの特性インピーダンスを設定することができると共に、該特性インピーダンスを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができる。このため、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタに接続される回路に対するインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。
【0165】
さらに、接地導体85によって伝送線路83を裏面側から全長に亘って覆うから、伝送線路83の全長に亘って特性インピーダンスを一定値に設定でき、伝送線路83の途中でノイズが反射するのを防止でき、ノイズの共振を抑制することができる。
【0166】
また、伝送線路83を渦巻き状に形成したから、伝送線路83によって形成される磁束を互いに足し合わせることができる。これにより、伝送線路83を直線状またはジグザグ状に形成した場合に比べて、伝送線路83のインダクタンスを大きくすることができると共に、特性インピーダンスを大きくすることができる。このため、例えばデジタル回路で用いられる配線のように特性インピーダンスが比較的大きな値(100Ω〜150Ω)となる場合でも、このような配線とインピーダンス整合可能なノイズフィルタ81を形成することができる。
【0167】
さらに、磁性体シート82b(積層体82)の長さ方向両端側には伝送線路83の両端に接続された信号用電極86を設け、該磁性体シート82bの長さ方向中間位置で幅方向の両端面側には接地導体85に接続された接地用電極87を設けたから、信号用電極86、接地用電極87を配線、接地端子にそれぞれ容易に接続することができ、ノイズフィルタ81の組付け性を向上することができる。
【0168】
また、四角形状の磁性体シート82bに対して信号用電極86と接地用電極87をそれぞれ異なる端面に設けたから、例えば実開平6−44228号公報に示すようにこれらを同じ端面に配置した場合に比べてノイズフィルタ81の外形を細長い形状に形成できる。このため、例えばバスライン等のように多数の配線が狭い間隔寸法をもって平行に配置されるときでも、各配線に対して容易にノイズフィルタ81を適用することができる。
【0169】
なお、前記第5の実施の形態では、伝送線路83は渦巻き状に形成するものとしたが、例えば図27に示す第5の変形例のように伝送線路83′は蛇行したジグザグ状に形成してもよい。
【0170】
この場合、伝送線路83′を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。また、第5の実施の形態のように伝送線路83を渦巻き状に形成した場合に比べて、ノイズフィルタ81′の幅寸法を小さくすることができ、多数の配線が平行に配置されたバスライン等に対して容易に適用することができる。
【0171】
また、図28に示す第6の変形例のように接地導体4″の厚さ寸法T1を伝送線路3″の厚さ寸法T2よりも薄く形成してもよい。これにより、ノイズフィルタ1全体の厚さ寸法を薄くすることができ、小型化を図ることができる。また、伝送線路3″の厚さ寸法T2を接地導体4″の厚さ寸法T1に比べて厚くすることができるから、伝送線路3″の直流抵抗を小さくすることができ、より大きな電流を流すことができる。
【0172】
さらに、前記各実施の形態では、磁性体シート2a〜2d,12a〜12n,32a〜32j,52a〜52j,82a〜82cをフェライト等のセラミックス材料によって形成し、これらを焼成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、磁性体シートを樹脂材料にカルボニル鉄等の磁性粉を混入して形成してもよい。これにより、磁性体シートを接着剤を用いて接合することによって、ノイズフィルタを形成することができ、焼成等の製造工程を省くことができ、生産性を向上させることができる。なお、この場合、ノイズフィルタの遮断周波数は混入する磁性粉の組成および樹脂材料と磁性粉との割合および伝送線路の長さ寸法によって設定されるものである。
【0173】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、2枚の磁性体シート間に伝送線路を設けると共に、これらの磁性体シートを2枚の接地導体によって挟む構成としたから、磁性体シートの熱損失を用いることによってノイズを抑制することができる。また、伝送線路の特性インピーダンスを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができるから、外部の回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させ、ノイズの増幅を防止することができる。
【0174】
さらに、2枚の磁性体シートを2枚の接地導体によって挟む構成としたから、伝送線路を通過する信号を2枚の接地導体間に閉じ込めることができ、通過帯域での信号の減衰を防止できると共に、外部からの伝送線路中にノイズが混入するのを防ぐことができ、信号を確実に伝達することができる。
【0175】
請求項2の発明によれば、重なり合う複数枚の磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路を直列接続する構成としたから、請求項1とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0176】
また、各層の伝送線路の幅寸法、各磁性体シートの厚さ寸法をほぼ等しい値に設定することによって、積層された複数層の伝送線路での特性インピーダンスを相互にほぼ一致させることができるから、外部の回路とのインピーダンス整合を容易に取ることができる。さらに、各磁性体シートを貫通して設けた貫通線路によって各組の伝送線路を直列接続したから、伝送線路の全長を長くすることができ、伝送線路を通過するノイズの減衰量を増加させることができる。
【0177】
請求項3の発明によれば、伝送線路は略コ字状または円弧状をなし、これらの全体によって厚さ方向に対してコイル状に形成したから、ノイズフィルタの底面積をコイルの開口面積と同程度に設定することができる。このため、狭い設置場所に対してもノイズフィルタを配置することができる。
【0178】
請求項4の発明によれば、伝送線路を蛇行したジグザグ状に形成したから、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0179】
請求項5の発明によれば、磁性体シートは略四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設ける構成としたから、直線状に延びる配線の途中に磁性体シートの長さ方向両端側に位置する信号用電極を容易に接続することができる。また、磁性体シートの長さ方向中間位置に設けられた接地用電極も配線の周辺に設けられた接地端子に容易に接続することができるから、ノイズフィルタの組付け性を向上することができる。
【0180】
請求項6の発明によれば、重なり合う複数枚の磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ねると共に、複数層の伝送線路を互いに異なる信号入力用電極、信号出力用電極に接続したから、複数層の伝送線路を各層毎にそれぞれ個別にローパスフィルタとして作動させることができる。このため、伝送線路の途中でインピーダンス不整合が生じることがなく、伝送線路の途中からのノイズの反射を抑制することができる。また、磁性体シートの枚数を増加することによってローパスフィルタの個数を増加させることができ、多数のローパスフィルタを有するノイズフィルタを小型化しつつ形成することができる。さらに、磁性体シートにスルーホール等を形成する必要がないから、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0181】
請求項7,8の発明によれば、伝送線路を蛇行したジグザグ状または渦巻き状に形成したから、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0182】
請求項9の発明によれば、複数層の伝送線路は互いに異なる特性インピーダンスを有する構成としたから、複数種類の特性インピーダンスをもった配線に対しても各層の伝送線路をインピーダンス整合させた状態で接続することができる。また、複数層のうち一部の層または全ての層の伝送線路を並列接続することによって、特性インピーダンスの種類数を増加させることができ、ノイズフィルタが適用可能となる配線の種類を増やすことができる。
【0183】
請求項10の発明によれば、磁性体シートの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲内に設定すると共に、L/√(μr−1)≧3となるように伝送線路の長さ寸法Lを設定したから、遮断周波数の範囲を容易に実用的な周波数帯である200MHz≦fc≦2GHzの範囲内に設定することができる。また、磁性体シートの比透磁率μrを4≦μr≦30の範囲に設定し、L/√(μr−1)≧3に設定したから、ノイズの減衰曲線の傾きを例えば20dB/dec.以上にすることができ、信号とノイズとの減衰量の差を大きくすることができる。
【0184】
また、請求項11の発明によれば、磁性体シートと、該磁性体シートの表面に形成された伝送線路と、前記磁性体シートの裏面に形成され該伝送線路を裏面側から全長に亘って覆う接地導体とによって構成としたから、磁性体シートの熱損失を利用して伝送線路を通過する信号のノイズを抑制することができる。また、伝送線路の幅寸法、磁性体シートの厚さ寸法を適宜設定することによって、ノイズフィルタの特性インピーダンスを設定することができると共に、特性インピーダンスを信号の周波数に依らずほぼ一定値に保持することができる。このため、ほぼ全ての周波数領域についてノイズフィルタに接続される回路に対するインピーダンス整合を取ることができ、ノイズフィルタの反射損失を低下させることができる。さらに、接地導体によって伝送線路を裏面側から全長に亘って覆うから、伝送線路の全長に亘って特性インピーダンスを一定値に設定でき、ノイズの反射、共振を抑制することができる。
【0185】
請求項12の発明によれば、伝送線路を渦巻き状に形成したから、伝送線路によって形成される磁束を互いに足し合わせることができ、インダクタンスを大きくすることができると共に、特性インピーダンスを大きくすることができる。
【0186】
請求項13の発明によれば、伝送線路は蛇行したジグザグ状に形成したから、伝送線路を直線状に形成した場合に比べて、その長さ寸法を増加させることができ、ノイズの減衰量を増加させることができる。
【0187】
請求項14の発明によれば、磁性体シートは四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設けたから、信号用電極、接地用電極を配線、接地端子にそれぞれ容易に接続することができ、ノイズフィルタの組付け性を向上することができる。また、四角形状の磁性体シートに対して信号用電極と接地用電極とをそれぞれ異なる端面に設けたから、これらを同じ端面に配置した場合に比べてノイズフィルタの外形を細長い形状に形成できる。このため、多数の配線が平行に配置されるバスライン等に対しても容易に適用することができる。
【0188】
請求項15の発明によれば、接地導体の厚さ寸法を前記伝送線路の厚さ寸法よりも薄く形成したから、ノイズフィルタ全体の厚さ寸法を薄くすることができ、小型化を図ることができる。また、伝送線路の厚さ寸法を接地導体に比べて厚くすることができるから、伝送線路の直流抵抗を小さくすることができ、より大きな電流を流すことができる。
【0189】
請求項16の発明によれば、磁性体シートは磁性特性をもったセラミックス材料によって形成したから、磁性体シートを重ね合わせた状態で焼成することによってノイズフィルタを形成することができる。この場合、請求項17の発明のように、磁性体シートを焼結したフェライトによって形成することが好ましい。
【0190】
請求項18の発明によれば、磁性体シートは磁性粉を混入した樹脂材料によって形成したから、磁性体シートを接着剤を用いて接合することによって、ノイズフィルタを形成することができ、焼成等の製造工程を省くことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図3】ノイズフィルタを図1中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】ノイズフィルタを図3中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】ノイズフィルタを図4中の矢示V−V方向からみた断面図である。
【図6】磁性体シートの比透磁率μrを10に設定したときの信号の周波数と減衰量との関係を示す特性線図である。
【図7】伝送線路の長さ寸法Lを50mmに設定したときの信号の周波数と減衰量との関係を示す特性線図である。
【図8】定数Cを20mmに設定したときの信号の周波数と減衰量との関係を示す特性線図である。
【図9】定数Cを3mmに設定したときの信号の周波数と減衰量との関係を示す特性線図である。
【図10】定数Cと減衰曲線の傾きとの関係を示す特性線図である。
【図11】遮断周波数fcと磁性体シートの比透磁率μrとの関係を示す特性線図である。
【図12】第2の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。
【図13】第2の実施の形態によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図14】ノイズフィルタを図12中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。
【図15】ノイズフィルタを図14中の矢示XV−XV方向からみた断面図である。
【図16】第1の変形例によるノイズフィルタを示す図5と同様な位置からみた断面図である。
【図17】第3の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。
【図18】第3の実施の形態によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図19】第4の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。
【図20】第4の実施の形態によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図21】図20中の第4の伝送線路を示す平面図である。
【図22】第2の変形例による伝送線路を示す平面図である。
【図23】第3の変形例によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図24】第4の変形例によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図25】第5の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。
【図26】第5の実施の形態によるノイズフィルタを分解して示す分解斜視図である。
【図27】第5の変形例によるノイズフィルタを示す図26と同様の分解斜視図である。
【図28】第6の変形例によるノイズフィルタを示す図3と同様な位置からみた断面図である。
【符号の説明】
1,11,31,51,81 ノイズフィルタ
2a〜2d,12a〜12n,32a〜32j,52a〜52j,82a〜82c 磁性体シート
3,13〜18,33〜36,37〜40,53,54,55,56,71,3′,3″,53′,54′,55′,56′,53″,54″,55″,56″,83,83′ 伝送線路
4,4″,19,41,57,85 接地導体
20〜24 貫通線路
5,25,42,43,58,59,60,61,86 信号用電極
6,26,44,62,87 接地用電極
Claims (18)
- 重なり合う2枚の磁性体シートを有し、該2枚の磁性体シート間に伝送線路を配設し、前記2枚の磁性体シートを2枚の接地導体によって上,下から挟む構成としてなるノイズフィルタ。
- 重なり合う複数枚の磁性体シートを有し、これら各磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路を前記各磁性体シートを貫通して設けた貫通線路によって直列接続する構成としてなるノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は折返し部を有する略円弧状またはコ字状をなし、これらの全体によって厚さ方向に対してコイル状に形成してなる請求項2に記載のノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は蛇行したジグザグ状に形成してなる請求項1または2に記載のノイズフィルタ。
- 前記磁性体シートは四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設けてなる請求項1,2,3または4に記載のノイズフィルタ。
- 重なり合う複数枚の磁性体シートを有し、これら各磁性体シートの最上層と最下層とに接地導体を配置する状態で、前記各磁性体シート間に伝送線路と接地導体とを交互に積み重ね、複数層の伝送線路の一端側は互いに異なる信号入力用電極に接続し、複数層の伝送線路の他端側は互いに異なる信号出力用電極に接続する構成としてなるノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は蛇行したジグザグ状に形成してなる請求項6に記載のノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は渦巻き状に形成してなる請求項6に記載のノイズフィルタ。
- 前記複数層の伝送線路は互いに異なる特性インピーダンスを有する構成としてなる請求項6,7または8に記載のノイズフィルタ。
- 遮断周波数が200MHzから2GHzの範囲にあり、前記磁性体シートの比透磁率をμr、前記伝送線路の長さ寸法をL[mm]としたときに、4≦μr≦30の範囲にあり、L/√(μr−1)≧3mmに設定してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載のノイズフィルタ。
- 磁性体シートと、該磁性体シートの表面に形成された伝送線路と、前記磁性体シートの裏面に形成され該伝送線路を裏面側から全長に亘って覆う接地導体とによって構成としてなるノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は渦巻き状に形成してなる請求項11に記載のノイズフィルタ。
- 前記伝送線路は蛇行したジグザグ状に形成してなる請求項11に記載のノイズフィルタ。
- 前記磁性体シートは四角状に形成し、該磁性体シートの長さ方向両端側には前記伝送線路の両端に接続された信号用電極を設け、該磁性体シートの長さ方向中間位置には前記接地導体に接続された接地用電極を設けてなる請求項11,12または13に記載のノイズフィルタ。
- 前記接地導体の厚さ寸法は前記伝送線路の厚さ寸法よりも薄く形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13または14に記載のノイズフィルタ。
- 前記磁性体シートは磁性特性をもったセラミックス材料によって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15に記載のノイズフィルタ。
- 前記磁性体シートは焼結したフェライトによって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15に記載のノイズフィルタ。
- 前記磁性体シートは磁性粉を混入した樹脂材料によって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15に記載のノイズフィルタ。
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