JP2955997B2 - 積層形フィルタ - Google Patents

積層形フィルタ

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JP2955997B2 JP5372691A JP5372691A JP2955997B2 JP 2955997 B2 JP2955997 B2 JP 2955997B2 JP 5372691 A JP5372691 A JP 5372691A JP 5372691 A JP5372691 A JP 5372691A JP 2955997 B2 JP2955997 B2 JP 2955997B2
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征宏 石川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子回路に供するフィ
ルタに関するものであり、特に高周波の雑音除去等の用
途に適した簡素、かつ高性能なLCフィルタの構成に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、電子回路の雑音除去を行う
場合には、雑音の同相成分、逆相成分のいずれか、或は
双方の対策が必要である。この対策手段としては回路中
にインダクタ、コンデンサのいずれか実装するか、或は
双方を組み合わせてローパスフィルタを形成して雑音レ
ベルを低減する方法が知られている。
【0003】図5(a)〜(l)は従来のLCフィルタ
素子の製造工程を示す図で、図5(m)はこのフィルタ
素子を示す図である。ここに示す従来のフィルタ素子は
図の通り積層手段を用いた部品である。この部品を製造
するには、まず図5(a)で示すように絶縁体基板上1
01に図5(b)で示す一端まで突出した容量形成用の
導体102を印刷した後、誘電体層104を介して、側
端部まで突出した部分を有する第2の容量形成用の導体
105を印刷して磁性体層107を重ねてコンデンサ部
を形成する。次いで、約半ターンのコイル形成用の導体
パターン108と前記導体パターン108の巻終わり部
108′を残した磁性体層110を印刷し、以下、前記
導体パターン111,113と前記磁性体層110との
交互印刷により、インダクタを形成する。そして、前記
2つの容量形成用電極102,105の側端部103,
106及びコイル形成用パターンの両端部109,11
6はそれぞれ前記積層印刷体の側端部に引き出されると
ともに、前記側端部に設けた膜状端子121,122,
123と接続されて図5(m)に示すようなLC複合素
子構成を得ていた。
【0004】また、従来のフィルタ素子の他の例を図6
(a),(b),(c),(d)に示す。ここで、図6
(a)は従来の積層形フィルタ素子の他の例を示す分解
組立斜視図、図6(b)は積層印刷体の斜視図、図6
(c)は積層形フィルタ素子の斜視図、図6(d)は図
6(c)の積層形フィルタ素子の等価回路を示す図であ
る。これらの図に示す従来の他の例は、積層によって形
成された部品である。この部品を製造するには、まず互
いに対向し、かつその経路が積層方向に重畳する複数の
直線状、或は蛇行状の印刷導体133,134を絶縁磁
性体130,131,132中に埋設することにより構
成されている。この際に、前記印刷導体134の両端部
134′を前記積層印刷体の側面までそれぞれ延長する
ものと、前記印刷導体133の一部を前記積層印刷体の
側面まで延長した端部133′するものとで各々交互に
複数層にて図6(b)で示す積層印刷体を構成するとと
もに、前記側面まで延長した複数の印刷導体の端部13
3´,134´をそれぞれ前記積層印刷体の側面に設け
た複数の膜状の電極端子121,122,123と接続
して図6に示すようなLC複合素子構成を得ていた。そ
して、これを前述したローパスフィルタとして電子回路
中に適用して雑音の除去用途に供してきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
電子機器、装置における小形化、低ピッチ化、高密度
化、並びに低価格化要求はめざましく、前項で示した従
来の技術のような構成では、積層、及び印刷の手段によ
ってある程度の小形化ははかれるものの、回路基板上で
の低ピッチ化、高密度化への対応が、困難になるという
欠点があった。特に、単体の素子として複数個の回路基
板上への実装は、床面積が増大し電子機器、装置におけ
る小型化、高密度化に対し上記のような単一の構成のみ
では必ずしも充分な対策効果が得られず、経済性と小形
化性、いずれに対しても大きな阻害因子となるという欠
点があった。
【0006】そこで、本発明の技術的課題は、かかる従
来の技術における欠点を除去して経済的、かつ高性能な
積層形フィルタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、互いに
対向し、かつその経路が積層方向に重畳する複数の導体
を絶縁磁性体中に埋設してなり、前記積層方向に沿った
4つの側面を備えた積層体において、前記導体として
両端部を前記積層体の2つの側面までそれぞれ延長して
露出させたインダクタ用導体と、一部を前記積層体の
つの側面まで延長して露出させた容量形成用導体とが積
層方向で重なるように交互に配した複数層を形成して1
構成単位とし、前記構成単位を多数個、積層方向に重畳
するとともに、各構成単位間には、磁気回路上のクロス
トークを防ぐべく、非磁性体層を埋設し、前記インダク
タ用導体の両端の露出部の夫々と,前記容量形成用導体
の露出部とが夫々互いに異なる膜状電極に接続されるよ
うに、それぞれ前記積層体の側面に設けた複数の膜状の
電極端子と接続し、かつ低ピッチ端子であることを特徴
とする多ラインアレイから成る積層形フィルタが得られ
る。
【0008】この構成によって、前記導体の一部を前記
側面まで延長蛇行、或は直線状等の形態を有する導体
は、他の導体との間で容量形成用導体として機能すると
ともに、前記両端を側面まで延長した導体については、
磁性体中で閉磁路を形成してインダクタ形成用導体とし
ての機能を少なくとも具備している。
【0009】従って、上記容量形成用導体とインダクタ
形成用導体とが絶縁磁性層を介して対向する構成として
考えれば、前記閉磁路を阻害することなく良好なインダ
クタ成分を形成するとともに、前記容量成分は前述した
インダクタ成分を形成する導体との間で容量形成用導体
に接続される端子を基準とする有極の分布常数形LC複
合素子として機能し、広帯域の雑音除去フィルタ等の用
途に有効となる構成が得られる。また、前記容量形成用
導体として、前記導体の両端を側面まで延長ものとして
適用すれば、前述した有極性を回避する構成も可能とな
る。
【0010】さらに、前記容量形成用導体とインダクタ
形成用導体とをそれぞれ微薄な絶縁磁性体を介して交互
に設置すれば、前記インダクタ形成用導体相互間には磁
気的結合が高まりトランス構造を呈し、前述した容量形
成用導体との間で形成される容量成分を併せ持ち、しか
も、電子機器、装置における電子回路の小形化、低ピッ
チ化、高密度化の高いものとなる。
【0011】以上の通り、本発明においては上記導体の
任意の組合せによって、所望のライン数と特性のフィル
タを構成できる。
【0012】また、本発明によれば前記導体間又は、絶
縁磁性体間に介在する絶縁磁性体の少なくとも一部を、
絶縁非磁性体、誘電体のいずれか、或は双方にそれぞれ
置換することによって、前記導体間の磁路成分を低減し
て、前記導体相互間の磁気的結合をより高めたり、前記
導体間の容量成分を高め、或は、適切な値に設定して、
所望のフィルタ特性に設計可能とすることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図1、図2及び図3は本発明の第1実施例
に係る積層形フィルタ素子を示す図であり、図1は分解
組立斜視図、図2は全体の構成を示す斜視図、図3は等
価回路を示す図である。尚、図1乃至図3においては、
簡単のため複数のチップの連続体中の1個チップ分の構
成を示している。
【0014】図1において、未焼成のフェライト粉末と
結合樹脂とを練り合わせて形成した絶縁磁性体板1上
に、まずAg−Pd等による導体ペーストを用いて蛇行
した第1の導体2を印刷する。次いで前記絶縁磁性体に
よるペーストを全面に印刷して絶縁磁性体層3とした後
に、蛇行した第2の導体4を印刷形成する。つぎに前記
絶縁磁性体ペーストを全面に印刷して絶縁磁性体層5と
して積層印刷体を形成し、これを一構成単位とし、同様
に前記構成単位を多数個、磁気回路上のクロストークを
防ぐための非磁性体層6を介して、積層方向に重畳し、
以上の工程を繰り返して、最後に前記絶縁磁性体ペース
トを全面に印刷して絶縁磁性体板1と同様の厚みを形成
して複数のチップによる積層体の形成工程を終了する。
この工程は、複数のチップを並設するように一枚の絶縁
磁性体シート上に形成され、個々のチップに切断して一
体焼成する。
【0015】ここにおいて前記第2の導体4は磁性体
中に埋設され蛇行するインダクタ形成用導体として両端
4A,4A´とも積層印刷体面7まで延長し、焼成後
に図2のように前記積層印刷体の側面7に設けた膜状端
Aと接続されている。また、前記第1の導体2は、前
記第2の導体4と前記絶縁磁性層3を介して互いに対向
かつ経路が積層方向に重畳するようになした容量形成用
導体として一方の端 を前記第2の導体4と同様に膜
状端子Cと接続し、両端の膜状端子(電極)Bと接続さ
れる構成であるため、前記第1の導体2の周辺に形成さ
れる閉磁路を阻害することも少なく良好なインダクタ成
分を形成するとともに、前記容量成分は前述したインダ
クタ成分を形成する前記第2の導体4に対して分布定数
形となるためこれを図3で示すようなローパスフィルタ
として電子回路中に挿入すれば簡素な構成で広帯域の雑
音除去フィルタが得られる。
【0016】しかも、本発明の実施例による分布形フィ
ルタにおいては、C成分に比してL成分の比率を圧倒的
に高めることができるため、C−MOSの集積回路等を
用いたような高インピーダンスな電子回路に対しても信
号レベルの減衰を極力小さく抑えた安定な回路形成を可
能とする。
【0017】また、本発明の第1実施例における容量形
成用導体として、前記インダクタ形成用導体(第2の導
体)4と同様に、導体の両端を側面まで延長したものを
適用すれば前述した有極性を回避する構成も可能とな
り、同様な構成を複数回積層し、多ラインアレイ化し、
図2で示すような複数の電極端子から構成することがで
きる。
【0018】従って、電子回路中に挿入して容量分の端
子を地絡すれば、広帯域の同相雑音の除去用のローパス
フィルタとして簡素な構成で得られる。また、本発明の
第1実施例による分布形フィルタにおいても、C成分に
比してL成分の比率を圧倒的に高めることができるた
め、前述と同様に高インピーダンスな回路に対しても信
号レベルの減衰を極力抑えた低雑音な系が形成できる。
【0019】以上の様に、本発明の第1実施例によれ
ば、上記導体の任意の組合せによって、所望のライン数
と特性のフィルタを構成できる。
【0020】次に、図4は本発明の第2実施例に係る積
層形フィルタの構成を示したものであり、図1乃至図3
に示した第1実施例の構成とそれぞれ対応させて説明す
る。
【0021】第2実施例においても、第1実施例と同様
に、蛇行した第1の導体42のパターンは、蛇行した容
量形成用第2の導体45のパターンとそれぞれ対向する
様に設けてある。但し、これらの実施例において、第2
の導体45と、蛇行した第1の導体42との間に介在す
る層状の絶縁磁性体43の少なくとも一部を、第1の導
体42に対応して蛇行した形状に切り抜くとともに、こ
の切抜き部分に対応して蛇行した絶縁非磁性体44に、
もしくは蛇行した誘電体44′を一体とし、絶縁磁性体
43の少なくとも一部を、絶縁磁性体44もしくは誘電
体44´で置換した積層形フィルタの構成としている。
つまり、前記導体間の磁性体の少なくとも一部を絶縁非
磁性体44に置換することによって、前記導体間を磁路
成分が低減されて、前述した磁気的結合をより高く、或
は所望の結合係数に設定可能な構成とすることができ
る。尚、図4において、同じ側面側に露出した各導体4
2,47の露出部は、夫々対応する側面に形成された同
じ端子に接続され、また、一側面側に露出した導体4
5,50の夫々の露出部も、同じ端子に接続される。
【0022】一方、前記導体間の磁性体の少なくとも一
部を誘電体44′に置換することによって、前記第1、
第2の導体と前記容量形成用導体45間の容量成分を高
め、或は、適切な値に設定して、所望のフィルタ特性を
結合係数に設定可能な構成とすることができる。
【0023】尚、本発明の実施例における積層手段に関
する記述においては、スクリーン印刷を主体とした積層
構成としたが、主として導体部スパッタリング法等の真
空技術手段によって、本発明の構成をより微細に形成す
ることも本発明の範囲に含まれることは明かであるが、
念のために付け加えておく。
【0024】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明による積層形
フィルタによれば、1個の部品でありながら雑音除去に
充分な同相成分除去機能と逆相成分除去機能とを併せも
つ広帯域な雑音除去用フィルタ等が、簡素な構成のまま
端子の低ピッチ化、小形化、かつ高密度化でありながら
同時に、性能に得られ、しかも、それらの成分比率や、
或はインダクタンス成分、或は容量成分を任意に設定し
多ラインアレイ化して所望のフィルタ設計を可能とする
構成が提供できる点で電子機器、装置に対する工業的価
値がきわめて大なるものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る積層形フィルタを示
す分解組立図である。
【図2】図1の積層形フィルタの全体構成を示す斜視図
である。
【図3】図1及び図2の積層形フィルタの等価回路を示
す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る積層形フィルタを示
す分解組立図である。
【図5】(a)〜(l)は従来の他の例に係る積層形フ
ィルタの製造する工程を示す図である。(m)は製造さ
れた積層形フィルタの等価回路を示す図である。
【図6】(a)は従来の他の例に係る積層形フィルタを
示す分解組立斜視図である。 (b)は(a)の積層印刷体を示す斜視図である (c)は(a)の積層形フィルタを示す斜視図である。 (d)は(c)の積層形フィルタの等価回路図である。
【符号の説明】
2 第1の導体2c 端 3 絶縁磁性体層 4 第2の導体4A,4A´ 端 5 絶縁磁性体層 6 非磁性体層 7 積層印刷体面 A 膜状端子 B 膜状端子C 膜状端子 42 第1の導体 43 絶縁磁性体 44 絶縁非磁性体 44´ 誘電体 45 第2の導体 101 絶縁体基板 102 容量形成用導体 103 側端部 104 誘電体層 105 容量形成用導体 106 側端部 107 磁性体層 108 コイル形成用導体パターン 108´ 巻終わり部 109 コイル形成用パターンの両端部 110 磁性体層 111 導体パターン 113 導体パターン 116 コイル形成用パターンの両端部 121 膜状端子 122 膜状端子 123 膜状端子 130 絶縁磁性体 131 絶縁磁性体 132 絶縁磁性体 133 印刷導体 133´ 端部 134 印刷導体 134´ 端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03H 7/01 - 7/13 H01F 15/00,17/00 H01G 4/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向し、かつその経路が積層方向
    に重畳する複数の導体を絶縁磁性体中に埋設してなり、
    前記積層方向に沿った4つの側面を備えた積層体におい
    て、前記導体として両端部を前記積層体の2つの側面
    までそれぞれ延長して露出させたインダクタ用導体と、
    一部を前記積層体の1つの側面まで延長して露出させた
    容量形成用導体とが積層方向で重なるように交互に配し
    複数層を形成して1構成単位とし、前記構成単位を多
    数個、積層方向に重畳するとともに、各構成単位間に
    は、磁気回路上のクロストークを防ぐべく、非磁性体層
    を埋設し、前記インダクタ用導体の両端の露出部の夫々
    と,前記容量形成用導体の露出部とが夫々互いに異なる
    膜状電極に接続されるように、それぞれ前記積層体の
    に設けた複数の膜状の電極端子と接続し、かつ低ピッ
    チ端子であることを特徴とする多ラインアレイから成る
    積層形フィルタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の積層形フィルタにおい
    て、前記対向する複数の導体間の少なくとも一部に誘電
    体を介在させたことを特徴とする積層形フィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の積層型フィルタにおい
    て、前記対向する複数の導体間又は、絶縁磁性体間の少
    なくとも一部に絶縁非磁性体を介在させたことを特徴と
    する積層形フィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の積層型フィルタにおい
    て、前記対向する複数の導体間の少なくとも複数箇所
    に、絶縁非磁性体及び誘電体のうちのいずれかをそれぞ
    れ組合せて介在させたことを特徴とする積層形フィル
    タ。
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