JP2004040011A - 基板の供給取出治具、供給取出装置および供給取出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板表面を疵付けることなく、また研磨剤や研磨屑が基板面に固着することなく、真空吸引により基板を研磨パッド上に供給したり取出すことが可能な基板の供給取出治具、供給取出装置および供給取出方法を提供する。
【解決手段】基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッド3を備える磁気ディスク基板1の供給取出治具を、吸着パッド3が含水した状態で基板に当接し、吸着面付近に設けた真空吸引部を減圧し、吸着パッドを基板との間に水膜33を介して基板を真空吸着することにより、基板を表面加工装置へ供給したり表面加工装置から取出したりする。
【選択図】 図1
【解決手段】基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッド3を備える磁気ディスク基板1の供給取出治具を、吸着パッド3が含水した状態で基板に当接し、吸着面付近に設けた真空吸引部を減圧し、吸着パッドを基板との間に水膜33を介して基板を真空吸着することにより、基板を表面加工装置へ供給したり表面加工装置から取出したりする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク基板、シリコンウエハ基板ないしこれらのワークを含む基板の供給取出治具、供給取出装置および供給取出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータなどの記録媒体としてハードディスクドライブ装置に組み込まれるドーナツ型磁気ディスクにおいては、高速回転する磁気ディスク上に磁気ヘッドを浮上させながら磁気信号の記録再生が行われている。近年、記録密度のさらなる向上を実現するために磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔を狭める傾向にあるが、記録密度を向上させるためには磁気ディスクの基板として用いられるガラス基板やNi−Pめっきを施したアルミニウム基板(以下、アルミ基板という)の表面を極めて高精度で平滑にかつ低粗度に研磨する必要がある。
【0003】
これらの磁気ディスク基板は、特許第2535089号公報に記載の研磨装置のような表面加工装置、例えば図3(a)(側面図)および図3(b)(図3(a)のA−A矢視図)に示すような表面加工研磨装置を用いて、複数枚の基板が両面同時に研磨加工される。
【0004】
すなわち、磁気ディスク基板1を研磨装置10に供給し、または研磨装置10から取出すには手作業または供給取出装置を用いて行っている。
【0005】
供給取出装置には、図4に示すように、磁気ディスク基板1の内径チャンファ部21に先端の尖った爪22を押し込んで、研磨パッド12Aから磁気ディスク基板1を引き剥がして取出している内径保持式の供給取出冶具20を有するものがある。
【0006】
また、図5に示すように、ゴム製の吸盤31からなる吸着パッドを磁気ディスク基板1の表面に当接して真空吸引することにより磁気ディスク基板1を保持する真空吸引式の供給取出冶具30を有するものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、研磨加工を終えた磁気ディスク基板は、下定盤に貼付された研磨パッドに研磨液を介して密着しており、作業者が手作業でこれらの基板を取出す場合、不可避的に基板表面に手が接触するため、当て傷が発生する。
【0008】
また図4に示した内径保持式の供給取出冶具20を用いて取出す場合、内径穴が小さい基板の場合、冶具と内径の位置を合せるために高精度が必要となり、設備が高価なものになる。また板厚が薄い基板の場合、磁気ディスク基板の内径チャンファ部21と研磨パッド12Aの境界部分に供給取出冶具の爪22を押し込むことが困難であり、内径保持式の供給取出冶具20を用いて研磨パッド12Aから基板を引き剥がして取り出すことは極めて困難であった。
【0009】
一方、図5に示したゴム製の吸盤31からなる吸着パッドを備える真空吸引式の供給取出冶具30によって基板を取出す場合、吸着パッド接触面が真空吸引による乾燥のため、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着し、後の洗浄工程で除去しきれず、また、吸着パッドが接触した基板表面に吸引による接触疵が発生する。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、研磨加工後に基板表面を疵付けることなく、また、研磨剤や研磨屑が基板表面に固着残留することなく、真空吸引により基板を確実に研磨パッドから取出すことが可能な基板の供給取出冶具、供給取出装置および供給取出方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明により、
基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドと、吸着パッドを固着して支持する基体と、基体および吸着パッドの吸着面付近に設けた真空吸引部を備えてなることを特徴とする基板の供給取出治具(請求項1)、
真空吸引部が、環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部である請求項1に記載の基板の供給取出治具(請求項2)、
少なくとも1個の請求項1ないし2に記載の基板の供給取出冶具と、該基板の供給取出治具と連結された少なくとも1基の真空吸引装置とを備えてなる基板の供給取出装置(請求項3)、
基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドを備える基板の供給取出冶具を、吸着面が水分を含んだ状態で基板に当接し、吸着面付近に設けた真空吸引部を減圧して基板を真空吸着し、もしくは与圧して基板を分離することにより、基板を表面加工装置へ供給する、または表面加工装置から取出すことを特徴とする基板の供給取出方法(請求項4)
および
基体および吸着パッドの吸着面付近に環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部を備えてなる供給取出治具を用いる、請求項4に記載の基板の供給取出方法(請求項5)
が提供される。
【0012】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、基板よりも軟質で吸水可能な材料からなる吸着パッドを基体に固着して支持してなり、基体および吸着パッドの吸着面に設けた真空吸引部を備える基板の供給取出治具を、吸着パッドに水を含ませた状態で基板表面に当接し、供給取出治具に設けた真空吸引部を真空吸引装置で減圧して基板を吸着保持し、表面加工装置である研磨装置の下定盤に配置したキャリアの基板セッティング用凹部に供給し、研磨加工後に同様にして、供給取出冶具を吸着パッドに水を含ませた状態で基板表面に当接し、真空吸引部を真空吸引装置で減圧して吸着し、また与圧して基板を分離することにより、基板表面を疵付けることなく、また研磨剤や研磨屑が基板表面に固着残留することなく、基板を研磨パッドに供給したり取出すことが可能となった。
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の基板の供給取出治具7は、磁気ディスク基板1とほぼ同径の基体2の片面に、磁気ディスク基板1よりも軟質の材料からなり、吸水可能な吸着パッド3を固着支持してなる。固着は、基板を疵付けないような(沈頭)螺着、(沈頭)鋲着、もしくは嵌着、貼付、接着またはこれらの組合せ等であっても良い。基体2は金属または樹脂などの材料で構成されるが、取り扱い上、軽量で剛性の高い材料、例えばアルミニウム合金等の軽金属やステンレス鋼または硬質樹脂などで構成されていることが好ましい。
【0016】
また吸着パッド3は水を含むことが可能で通気性があり、かつ磁気ディスク基板1よりも硬度が低く、接触しても磁気ディスク基板1を疵付けることのない軟質の材料で構成する必要がある。このような材料としては、連続気泡を有する樹脂や不織布などがあるが、磁気ディスク基板の研磨に用いる研磨パッド12A(12B)をそのまま好適に適用することができる。研磨パッド12Aとしては発泡ポリウレタン、ポリエステル繊維不織布、フェルト、スウェード、ベロア、ナイロン繊維植毛体などがあるが、いずれも表面が多孔質になっており、含水・通気可能である。なおその他の吸着パッドの素材には綿、麻、レーヨン、アセテートなどのセルロース系繊維と、合成繊維と、炭素繊維(一部にカーボンナノチューブを含む場合もある。)とを混織し、もしくはセルロース系繊維と、合成繊維の混合物ないし混織物に微粉状カーボンブラックを分散させた懸濁液を含浸させるかして得たセルロース系複合素材ないし前記合成繊維が、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ青化ビリニデン系、ポリユリア系、ポリスチレン系、ポリウレタン系もしくはポリアクリロ二トリル系合成繊維であるセルロース系複合素材も用いることが出来る。
【0017】
基体2に吸着パッド3を貼付支持してなる供給取出治具7の磁気ディスク基板1と接する側には、真空吸引用の環状の溝4が穿設されており、さらに環状の溝4の少なくとも1箇所には基体2を貫通して真空吸引孔5が穿設され、相互に連通している。真空吸引孔5に真空タンクや真空ポンプなどの真空吸引装置(真空源)35をコイルスプリング入りの強化ホース8で連結して真空引きして減圧することにより、供給取出治具7の吸着パッド3に当接された磁気ディスク基板1を水膜33を介して吸着保持し、表面加工装置である研磨装置10の下定盤11A上に配置されたキャリア13の基板セッティング用凹部14に供給することができる。この時真空吸引孔5の上部には三方弁39Aを配し、次に真空源35を与圧源45に切り換えると(三方弁を39Bにする。)、吸着パッドから基板を容易に分離出来る(複数の治具7を用いた図2参照)。また、研磨加工後に下定盤11Aの研磨パッド12Aに密着した磁気ディスク基板1を吸着して取出すことができる。
【0018】
本発明実施例では、磁気ディスク基板1と吸着パッド3との接触面積を大きくすることにより、単位面積当りの接触面圧を小さくすることができる。さらに、溝4の単位面積当りの吸引圧力を下げるために、溝4の幅を狭くして吸引圧力分布の広がりを押さえ吸引元圧を低くするようにし、磁気ディスク基板1を持ち上げるのに必要な吸引力を、溝4の長さを長くして得るようにすることが好ましい。なお、溝4の形状については環状、部分環状以外に正方形、長方形、菱形などの多角形状、複数の直線溝等を不連続に設けた形状であってもよい。
【0019】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出方法においては、供給取出治具7の吸着パッド3を磁気ディスク基板1に当接する際に、吸着パッド3は含水性を持ち水を含んで当接することを特徴とする。図2のように、吸着パッド3に水を含ませておくことにより、吸着パッド3と基板1の接触界面に水膜33が形成されるため、真空吸引時のリークが少なく、磁気ディスク基板1と供給取出治具7との間に高い密着力が得られる。また、吸着パッド3に水を含ませておくことにより、供給取出冶具7を当接して真空吸引することにより磁気ディスク基板1を取出す際に、磁気ディスク基板の表面が乾燥することがなくなり、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着することがなく、後の洗浄工程において完全に洗浄除去することができる。さらに、吸着パッド3が軟質で水を含んでいるため、吸着により磁気ディスク基板1と接触した際に挟み込まれた異物によって生じるような微細な疵を防止することができる。なお水にはイオン交換水等の中性の清水が用いられるが、無発泡性の界面活性剤を加えてもよく、水アルコール溶液、灯油、軽油、有機溶剤等もその物性に応じて用いる事も出来る。
【0020】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出装置は、上記の供給取出冶具7の真空吸引孔5に真空タンクや真空ポンプなどの真空吸引装置(真空源)35を強化ホース8やパイプで連結することによって構成される。1個の供給取出冶具7に対して1基の真空吸引装置35を連結して構成してもよいし、図3(b)に示すように複数のキャリア13に設けられた基板セッティング用凹部14の総数、すなわち研磨装置に供給する磁気ディスク基板の1バッチ数の供給取出冶具7を組み合わせて、1基もしくは複数の真空吸引装置35に連結して構成してもよい。
【0021】
前記した従来例の内径保持式の供給取出冶具の場合は、爪22を正確に磁気ディスク基板の内径チャンファ部21に挿入しなければならないため、供給取出冶具を複数個組み合わせた供給取出装置を構成して、複数枚の磁気ディスク基板をまとめて一度に、キャリアに設けられた複数の基板セッティング用凹部に供給するには、供給取出冶具および供給取出装置と基板セッティング用凹部の位置関係を非常に高精度に合致させなくてはならず、磁気ディスク基板が小径化すると内径保持式の供給取出冶具は事実上使用できなくなるという問題点があったが、本発明の供給取出装置においては、吸引部分が磁気ディスク基板1の外周または内周にかからない限り任意の部分で吸着可能であり、供給取出冶具7および供給取出装置と基板セッティング用凹部14の位置関係を高精度に合致させる必要がないので、磁気ディスク基板1が小径化しても支障なく複数枚の磁気ディスク基板1をまとめて一度に、キャリア13に設けられた複数の基板セッティング用凹部14に容易に供給することが出来る。
【0022】
なお、複数箇の治具を用いる実施例の概念図である図2のように各供給取出治具のサクション側に可変オリフィスを設けて、一部の治具が基板のミスアラインメントもしくは不存在等により、急に大量の空気を吸い込んで系全体の真空度が落ちないようにするのが良い。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
図1に示す磁気ディスク基板の供給取出治具7を5個組み合わせ、1基の真空ポンプに連結した磁気ディスク基板の供給取出装置を用い、外径:65mm、内径:20mm、厚さ:0.635mmのガラス製の磁気ディスク基板を、上下の定盤に研磨パッドとして発泡ポリウレタン系のスウェードパッドを貼付した研磨装置に供給し、酸化セリウム系研磨剤を分散させた研磨液を供給しながら所定時間研磨した。研磨後、下定盤の研磨パッド上に密着した磁気ディスク基板を、磁気ディスク基板の供給取出装置を用いて取出した。
【0025】
磁気ディスク基板の供給取出治具としては、アルミニウム合金製の円板状の基体(直径:60mm、厚さ:15mm)の片側の面に、研磨パッド12A、12Bと同一の発泡ポリウレタン系のスウェードパッドを吸着パッド3として貼付したものを用いた。また、基体の吸着パッド貼付面には、直径:40mmの円に沿って、幅:2mm、深さ:2mmの環状の溝を穿設し、吸着パッドもこの環状の溝の部分は切除した。そしてこの環状溝の1箇所には基体を貫通する真空吸引用の孔を穿設し、開口端に継手6を取り付け、強化ホース8を介して真空ポンプと接続した。
【0026】
この磁気ディスク基板の供給取出治具の吸着パッドに水を含ませておき、吸着パッドを磁気ディスク基板に当接し、真空ポンプで吸引しながら磁気ディスク基板を下定盤の研磨パッド上に供給した。なお水の供給手段は供給取出治具7の吸着パッド3の外径フランジに内向きのノズルを開けた環状の水管を配設して、常時供給するのが効果的である。研磨終了後、下定盤の研磨パッド12A上に密着した磁気ディスク基板に、吸着パッドに水を含ませた磁気ディスク基板の供給取出治具を当接し、真空ポンプで吸引して磁気ディスク基板を下定盤の研磨パッド12Aから取出し、後工程の洗浄装置に供給した。次いで定法により、洗浄、乾燥し、供試材(実施例1〜5)とした。また比較材として、供給取出治具の吸着パッドに水を含ませずに上記と同一の供給取出操作を実施したもの(比較材A1〜A5)、研磨面に触れないように細心の注意を払いつつ手で取り出したもの(比較材B1〜B5)も作製した。このようにして得られた磁気ディスク研磨基板の表面欠陥を、ODT(オプティカルディフェクトテスタ:日立電子エンジニアリング(株)製)を用いて検査した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、吸着パッドに水を含ませて磁気ディスク基板を研磨パッドから取出した場合(実施例)は、研磨面に触れないように細心の注意を払いつつ手で取出した場合(比較材B1〜B5)と表面欠陥の数はほとんど同等である。しかし、吸着パッドに水を含ませずに取出した場合は(比較材A1〜A5)表面欠陥の数が増加しており、実施例1〜5のように吸着パッドに水を含ませた場合の効果が明らかであり本発明が最も優れている。
【0029】
なお、本発明の磁気ディスク基板の供給取出冶具、供給取出装置、供給取出方法は、研磨パッドを用いる鏡面研磨加工に限定されるものではなく、砥石を用いる研削加工などを含む表面加工全般に適用されるものであり、また磁気ディスク基板の表面加工のみならず、略定形平板でなるシリコンウエファ基板、半導体ウエファなども含む精密表面加工が施される用途全般に適用されるものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出治具は、磁気ディスク基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドと、吸着パッドを貼付して支持する基体と、基体および吸着パッドの吸着面に設けた真空吸引部からなる。また、本発明の磁気ディスク基板の供給取出装置は、少なくとも1個の上記の磁気ディスク基板の供給取出冶具と、少なくとも1基の真空吸引装置を連結してなる。そして、本発明の磁気ディスク基板の供給取出方法は、上記供給取出治具の吸着パッドに水分を含んだ状態で磁気ディスク基板に当接し、吸着面に設けた真空吸引部を減圧して磁気ディスク基板を真空吸着することにより、磁気ディスク基板を表面加工装置へ供給する、または表面加工装置から取出す方法である。
【0031】
本発明によれば、吸着パッドに水分を含ませているので磁気ディスク基板と供給取出冶具との間の密着力が高く、磁気ディスク基板を安定して吸着保持できるので、搬送中に落下することがない。また、吸着パッドに水を含ませた状態で真空吸引するので、磁気ディスク基板表面が乾燥することはなく、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着するのを防止することができ、後の洗浄工程で完全に除去することができる。さらに、供給取出冶具の吸着面が軟質でかつ水等を含んでいるため、磁気ディスク基板を吸着した際に挟み込まれた異物によって生じるような微細な疵の発生を防止できる。またさらに、本発明の供給取出装置においては、吸引部分が磁気ディスク基板の外周または内周にかからない限り任意の部分で吸着可能であるため、供給取出冶具および供給取出装置と基板セッティング用凹部の位置関係を高精度に合致させる必要がないので、磁気ディスク基板が小径化しても支障なく複数枚の磁気ディスク基板をまとめて一度に、キャリアに設けられた複数の基板セッティング用凹部に容易に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である基板の供給取出治具を示す概略断面図。
【図2】複数箇の治具を用いる実施例の概念図。
【図3】(a)磁気ディスク基板研磨装置の側面図。
(b)(a)のA−A方向矢視図。
【図4】従来の磁気ディスク基板の供給取出手段の一例(内径保持式)を示す概略断面図。
【図5】従来の磁気ディスク基板の供給取出手段の他の一例(ゴム製の吸盤式)を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 磁気ディスク基板
2 基体
3 吸着パッド
4 溝
5 真空吸引孔
6 継手
7 供給取出冶具
8 強化ホース
10 研磨装置
11A 下定盤
11B 上定盤
12A 研磨パッド(下定盤側)
12B 研磨パッド(上定盤側)
13 キャリア
14 基板セッティング用凹部
15 サンギア
16 インターナルギア
20 内径保持式の供給取出冶具(従来例)
21 内径チャンファ部
22 爪
30 真空吸着式の供給取出冶具(従来例)
31 吸盤
33 水膜
35 真空
39A 三方弁
39B 三方弁
45 与圧源
P 与圧
V 真空(減圧)
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク基板、シリコンウエハ基板ないしこれらのワークを含む基板の供給取出治具、供給取出装置および供給取出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータなどの記録媒体としてハードディスクドライブ装置に組み込まれるドーナツ型磁気ディスクにおいては、高速回転する磁気ディスク上に磁気ヘッドを浮上させながら磁気信号の記録再生が行われている。近年、記録密度のさらなる向上を実現するために磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔を狭める傾向にあるが、記録密度を向上させるためには磁気ディスクの基板として用いられるガラス基板やNi−Pめっきを施したアルミニウム基板(以下、アルミ基板という)の表面を極めて高精度で平滑にかつ低粗度に研磨する必要がある。
【0003】
これらの磁気ディスク基板は、特許第2535089号公報に記載の研磨装置のような表面加工装置、例えば図3(a)(側面図)および図3(b)(図3(a)のA−A矢視図)に示すような表面加工研磨装置を用いて、複数枚の基板が両面同時に研磨加工される。
【0004】
すなわち、磁気ディスク基板1を研磨装置10に供給し、または研磨装置10から取出すには手作業または供給取出装置を用いて行っている。
【0005】
供給取出装置には、図4に示すように、磁気ディスク基板1の内径チャンファ部21に先端の尖った爪22を押し込んで、研磨パッド12Aから磁気ディスク基板1を引き剥がして取出している内径保持式の供給取出冶具20を有するものがある。
【0006】
また、図5に示すように、ゴム製の吸盤31からなる吸着パッドを磁気ディスク基板1の表面に当接して真空吸引することにより磁気ディスク基板1を保持する真空吸引式の供給取出冶具30を有するものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、研磨加工を終えた磁気ディスク基板は、下定盤に貼付された研磨パッドに研磨液を介して密着しており、作業者が手作業でこれらの基板を取出す場合、不可避的に基板表面に手が接触するため、当て傷が発生する。
【0008】
また図4に示した内径保持式の供給取出冶具20を用いて取出す場合、内径穴が小さい基板の場合、冶具と内径の位置を合せるために高精度が必要となり、設備が高価なものになる。また板厚が薄い基板の場合、磁気ディスク基板の内径チャンファ部21と研磨パッド12Aの境界部分に供給取出冶具の爪22を押し込むことが困難であり、内径保持式の供給取出冶具20を用いて研磨パッド12Aから基板を引き剥がして取り出すことは極めて困難であった。
【0009】
一方、図5に示したゴム製の吸盤31からなる吸着パッドを備える真空吸引式の供給取出冶具30によって基板を取出す場合、吸着パッド接触面が真空吸引による乾燥のため、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着し、後の洗浄工程で除去しきれず、また、吸着パッドが接触した基板表面に吸引による接触疵が発生する。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、研磨加工後に基板表面を疵付けることなく、また、研磨剤や研磨屑が基板表面に固着残留することなく、真空吸引により基板を確実に研磨パッドから取出すことが可能な基板の供給取出冶具、供給取出装置および供給取出方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明により、
基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドと、吸着パッドを固着して支持する基体と、基体および吸着パッドの吸着面付近に設けた真空吸引部を備えてなることを特徴とする基板の供給取出治具(請求項1)、
真空吸引部が、環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部である請求項1に記載の基板の供給取出治具(請求項2)、
少なくとも1個の請求項1ないし2に記載の基板の供給取出冶具と、該基板の供給取出治具と連結された少なくとも1基の真空吸引装置とを備えてなる基板の供給取出装置(請求項3)、
基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドを備える基板の供給取出冶具を、吸着面が水分を含んだ状態で基板に当接し、吸着面付近に設けた真空吸引部を減圧して基板を真空吸着し、もしくは与圧して基板を分離することにより、基板を表面加工装置へ供給する、または表面加工装置から取出すことを特徴とする基板の供給取出方法(請求項4)
および
基体および吸着パッドの吸着面付近に環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部を備えてなる供給取出治具を用いる、請求項4に記載の基板の供給取出方法(請求項5)
が提供される。
【0012】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、基板よりも軟質で吸水可能な材料からなる吸着パッドを基体に固着して支持してなり、基体および吸着パッドの吸着面に設けた真空吸引部を備える基板の供給取出治具を、吸着パッドに水を含ませた状態で基板表面に当接し、供給取出治具に設けた真空吸引部を真空吸引装置で減圧して基板を吸着保持し、表面加工装置である研磨装置の下定盤に配置したキャリアの基板セッティング用凹部に供給し、研磨加工後に同様にして、供給取出冶具を吸着パッドに水を含ませた状態で基板表面に当接し、真空吸引部を真空吸引装置で減圧して吸着し、また与圧して基板を分離することにより、基板表面を疵付けることなく、また研磨剤や研磨屑が基板表面に固着残留することなく、基板を研磨パッドに供給したり取出すことが可能となった。
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の基板の供給取出治具7は、磁気ディスク基板1とほぼ同径の基体2の片面に、磁気ディスク基板1よりも軟質の材料からなり、吸水可能な吸着パッド3を固着支持してなる。固着は、基板を疵付けないような(沈頭)螺着、(沈頭)鋲着、もしくは嵌着、貼付、接着またはこれらの組合せ等であっても良い。基体2は金属または樹脂などの材料で構成されるが、取り扱い上、軽量で剛性の高い材料、例えばアルミニウム合金等の軽金属やステンレス鋼または硬質樹脂などで構成されていることが好ましい。
【0016】
また吸着パッド3は水を含むことが可能で通気性があり、かつ磁気ディスク基板1よりも硬度が低く、接触しても磁気ディスク基板1を疵付けることのない軟質の材料で構成する必要がある。このような材料としては、連続気泡を有する樹脂や不織布などがあるが、磁気ディスク基板の研磨に用いる研磨パッド12A(12B)をそのまま好適に適用することができる。研磨パッド12Aとしては発泡ポリウレタン、ポリエステル繊維不織布、フェルト、スウェード、ベロア、ナイロン繊維植毛体などがあるが、いずれも表面が多孔質になっており、含水・通気可能である。なおその他の吸着パッドの素材には綿、麻、レーヨン、アセテートなどのセルロース系繊維と、合成繊維と、炭素繊維(一部にカーボンナノチューブを含む場合もある。)とを混織し、もしくはセルロース系繊維と、合成繊維の混合物ないし混織物に微粉状カーボンブラックを分散させた懸濁液を含浸させるかして得たセルロース系複合素材ないし前記合成繊維が、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビリニデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ青化ビリニデン系、ポリユリア系、ポリスチレン系、ポリウレタン系もしくはポリアクリロ二トリル系合成繊維であるセルロース系複合素材も用いることが出来る。
【0017】
基体2に吸着パッド3を貼付支持してなる供給取出治具7の磁気ディスク基板1と接する側には、真空吸引用の環状の溝4が穿設されており、さらに環状の溝4の少なくとも1箇所には基体2を貫通して真空吸引孔5が穿設され、相互に連通している。真空吸引孔5に真空タンクや真空ポンプなどの真空吸引装置(真空源)35をコイルスプリング入りの強化ホース8で連結して真空引きして減圧することにより、供給取出治具7の吸着パッド3に当接された磁気ディスク基板1を水膜33を介して吸着保持し、表面加工装置である研磨装置10の下定盤11A上に配置されたキャリア13の基板セッティング用凹部14に供給することができる。この時真空吸引孔5の上部には三方弁39Aを配し、次に真空源35を与圧源45に切り換えると(三方弁を39Bにする。)、吸着パッドから基板を容易に分離出来る(複数の治具7を用いた図2参照)。また、研磨加工後に下定盤11Aの研磨パッド12Aに密着した磁気ディスク基板1を吸着して取出すことができる。
【0018】
本発明実施例では、磁気ディスク基板1と吸着パッド3との接触面積を大きくすることにより、単位面積当りの接触面圧を小さくすることができる。さらに、溝4の単位面積当りの吸引圧力を下げるために、溝4の幅を狭くして吸引圧力分布の広がりを押さえ吸引元圧を低くするようにし、磁気ディスク基板1を持ち上げるのに必要な吸引力を、溝4の長さを長くして得るようにすることが好ましい。なお、溝4の形状については環状、部分環状以外に正方形、長方形、菱形などの多角形状、複数の直線溝等を不連続に設けた形状であってもよい。
【0019】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出方法においては、供給取出治具7の吸着パッド3を磁気ディスク基板1に当接する際に、吸着パッド3は含水性を持ち水を含んで当接することを特徴とする。図2のように、吸着パッド3に水を含ませておくことにより、吸着パッド3と基板1の接触界面に水膜33が形成されるため、真空吸引時のリークが少なく、磁気ディスク基板1と供給取出治具7との間に高い密着力が得られる。また、吸着パッド3に水を含ませておくことにより、供給取出冶具7を当接して真空吸引することにより磁気ディスク基板1を取出す際に、磁気ディスク基板の表面が乾燥することがなくなり、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着することがなく、後の洗浄工程において完全に洗浄除去することができる。さらに、吸着パッド3が軟質で水を含んでいるため、吸着により磁気ディスク基板1と接触した際に挟み込まれた異物によって生じるような微細な疵を防止することができる。なお水にはイオン交換水等の中性の清水が用いられるが、無発泡性の界面活性剤を加えてもよく、水アルコール溶液、灯油、軽油、有機溶剤等もその物性に応じて用いる事も出来る。
【0020】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出装置は、上記の供給取出冶具7の真空吸引孔5に真空タンクや真空ポンプなどの真空吸引装置(真空源)35を強化ホース8やパイプで連結することによって構成される。1個の供給取出冶具7に対して1基の真空吸引装置35を連結して構成してもよいし、図3(b)に示すように複数のキャリア13に設けられた基板セッティング用凹部14の総数、すなわち研磨装置に供給する磁気ディスク基板の1バッチ数の供給取出冶具7を組み合わせて、1基もしくは複数の真空吸引装置35に連結して構成してもよい。
【0021】
前記した従来例の内径保持式の供給取出冶具の場合は、爪22を正確に磁気ディスク基板の内径チャンファ部21に挿入しなければならないため、供給取出冶具を複数個組み合わせた供給取出装置を構成して、複数枚の磁気ディスク基板をまとめて一度に、キャリアに設けられた複数の基板セッティング用凹部に供給するには、供給取出冶具および供給取出装置と基板セッティング用凹部の位置関係を非常に高精度に合致させなくてはならず、磁気ディスク基板が小径化すると内径保持式の供給取出冶具は事実上使用できなくなるという問題点があったが、本発明の供給取出装置においては、吸引部分が磁気ディスク基板1の外周または内周にかからない限り任意の部分で吸着可能であり、供給取出冶具7および供給取出装置と基板セッティング用凹部14の位置関係を高精度に合致させる必要がないので、磁気ディスク基板1が小径化しても支障なく複数枚の磁気ディスク基板1をまとめて一度に、キャリア13に設けられた複数の基板セッティング用凹部14に容易に供給することが出来る。
【0022】
なお、複数箇の治具を用いる実施例の概念図である図2のように各供給取出治具のサクション側に可変オリフィスを設けて、一部の治具が基板のミスアラインメントもしくは不存在等により、急に大量の空気を吸い込んで系全体の真空度が落ちないようにするのが良い。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
図1に示す磁気ディスク基板の供給取出治具7を5個組み合わせ、1基の真空ポンプに連結した磁気ディスク基板の供給取出装置を用い、外径:65mm、内径:20mm、厚さ:0.635mmのガラス製の磁気ディスク基板を、上下の定盤に研磨パッドとして発泡ポリウレタン系のスウェードパッドを貼付した研磨装置に供給し、酸化セリウム系研磨剤を分散させた研磨液を供給しながら所定時間研磨した。研磨後、下定盤の研磨パッド上に密着した磁気ディスク基板を、磁気ディスク基板の供給取出装置を用いて取出した。
【0025】
磁気ディスク基板の供給取出治具としては、アルミニウム合金製の円板状の基体(直径:60mm、厚さ:15mm)の片側の面に、研磨パッド12A、12Bと同一の発泡ポリウレタン系のスウェードパッドを吸着パッド3として貼付したものを用いた。また、基体の吸着パッド貼付面には、直径:40mmの円に沿って、幅:2mm、深さ:2mmの環状の溝を穿設し、吸着パッドもこの環状の溝の部分は切除した。そしてこの環状溝の1箇所には基体を貫通する真空吸引用の孔を穿設し、開口端に継手6を取り付け、強化ホース8を介して真空ポンプと接続した。
【0026】
この磁気ディスク基板の供給取出治具の吸着パッドに水を含ませておき、吸着パッドを磁気ディスク基板に当接し、真空ポンプで吸引しながら磁気ディスク基板を下定盤の研磨パッド上に供給した。なお水の供給手段は供給取出治具7の吸着パッド3の外径フランジに内向きのノズルを開けた環状の水管を配設して、常時供給するのが効果的である。研磨終了後、下定盤の研磨パッド12A上に密着した磁気ディスク基板に、吸着パッドに水を含ませた磁気ディスク基板の供給取出治具を当接し、真空ポンプで吸引して磁気ディスク基板を下定盤の研磨パッド12Aから取出し、後工程の洗浄装置に供給した。次いで定法により、洗浄、乾燥し、供試材(実施例1〜5)とした。また比較材として、供給取出治具の吸着パッドに水を含ませずに上記と同一の供給取出操作を実施したもの(比較材A1〜A5)、研磨面に触れないように細心の注意を払いつつ手で取り出したもの(比較材B1〜B5)も作製した。このようにして得られた磁気ディスク研磨基板の表面欠陥を、ODT(オプティカルディフェクトテスタ:日立電子エンジニアリング(株)製)を用いて検査した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、吸着パッドに水を含ませて磁気ディスク基板を研磨パッドから取出した場合(実施例)は、研磨面に触れないように細心の注意を払いつつ手で取出した場合(比較材B1〜B5)と表面欠陥の数はほとんど同等である。しかし、吸着パッドに水を含ませずに取出した場合は(比較材A1〜A5)表面欠陥の数が増加しており、実施例1〜5のように吸着パッドに水を含ませた場合の効果が明らかであり本発明が最も優れている。
【0029】
なお、本発明の磁気ディスク基板の供給取出冶具、供給取出装置、供給取出方法は、研磨パッドを用いる鏡面研磨加工に限定されるものではなく、砥石を用いる研削加工などを含む表面加工全般に適用されるものであり、また磁気ディスク基板の表面加工のみならず、略定形平板でなるシリコンウエファ基板、半導体ウエファなども含む精密表面加工が施される用途全般に適用されるものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明の磁気ディスク基板の供給取出治具は、磁気ディスク基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドと、吸着パッドを貼付して支持する基体と、基体および吸着パッドの吸着面に設けた真空吸引部からなる。また、本発明の磁気ディスク基板の供給取出装置は、少なくとも1個の上記の磁気ディスク基板の供給取出冶具と、少なくとも1基の真空吸引装置を連結してなる。そして、本発明の磁気ディスク基板の供給取出方法は、上記供給取出治具の吸着パッドに水分を含んだ状態で磁気ディスク基板に当接し、吸着面に設けた真空吸引部を減圧して磁気ディスク基板を真空吸着することにより、磁気ディスク基板を表面加工装置へ供給する、または表面加工装置から取出す方法である。
【0031】
本発明によれば、吸着パッドに水分を含ませているので磁気ディスク基板と供給取出冶具との間の密着力が高く、磁気ディスク基板を安定して吸着保持できるので、搬送中に落下することがない。また、吸着パッドに水を含ませた状態で真空吸引するので、磁気ディスク基板表面が乾燥することはなく、研磨剤や研磨屑が磁気ディスク基板表面に固着するのを防止することができ、後の洗浄工程で完全に除去することができる。さらに、供給取出冶具の吸着面が軟質でかつ水等を含んでいるため、磁気ディスク基板を吸着した際に挟み込まれた異物によって生じるような微細な疵の発生を防止できる。またさらに、本発明の供給取出装置においては、吸引部分が磁気ディスク基板の外周または内周にかからない限り任意の部分で吸着可能であるため、供給取出冶具および供給取出装置と基板セッティング用凹部の位置関係を高精度に合致させる必要がないので、磁気ディスク基板が小径化しても支障なく複数枚の磁気ディスク基板をまとめて一度に、キャリアに設けられた複数の基板セッティング用凹部に容易に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である基板の供給取出治具を示す概略断面図。
【図2】複数箇の治具を用いる実施例の概念図。
【図3】(a)磁気ディスク基板研磨装置の側面図。
(b)(a)のA−A方向矢視図。
【図4】従来の磁気ディスク基板の供給取出手段の一例(内径保持式)を示す概略断面図。
【図5】従来の磁気ディスク基板の供給取出手段の他の一例(ゴム製の吸盤式)を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 磁気ディスク基板
2 基体
3 吸着パッド
4 溝
5 真空吸引孔
6 継手
7 供給取出冶具
8 強化ホース
10 研磨装置
11A 下定盤
11B 上定盤
12A 研磨パッド(下定盤側)
12B 研磨パッド(上定盤側)
13 キャリア
14 基板セッティング用凹部
15 サンギア
16 インターナルギア
20 内径保持式の供給取出冶具(従来例)
21 内径チャンファ部
22 爪
30 真空吸着式の供給取出冶具(従来例)
31 吸盤
33 水膜
35 真空
39A 三方弁
39B 三方弁
45 与圧源
P 与圧
V 真空(減圧)
Claims (5)
- 基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドと、吸着パッドを固着して支持する基体と、基体および吸着パッドの吸着面付近に設けた真空吸引部を備えてなることを特徴とする基板の供給取出治具。
- 真空吸引部が、環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部である請求項1に記載の基板の供給取出治具。
- 少なくとも1個の請求項1ないし2に記載の基板の供給取出冶具と、該基板の供給取出治具と連結された少なくとも1基の真空吸引装置とを備えてなる基板の供給取出装置。
- 基板よりも軟質で含水可能な材料からなる吸着パッドを備える基板の供給取出冶具を、吸着面が水分を含んだ状態で基板に当接し、吸着面付近に設けた真空吸引部を減圧して基板を真空吸着し、もしくは与圧して基板を分離することにより、基板を表面加工装置へ供給する、または表面加工装置から取出すことを特徴とする基板の供給取出方法。
- 基体および吸着パッドの吸着面付近に環状、部分環状または多角形状の複数の不連続な溝とこれらの溝とを連通する少なくとも1個の真空吸引孔を備える真空吸引部を備えてなる供給取出治具を用いる、請求項4に記載の基板の供給取出方法。
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