JP2004039928A - 接着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも半導体ウェハの片面に接着シートをラミネートする工程を有する半導体装置の製造に用いられる基材フィルムの片面に接着剤層を積層してなる接着シートであって、前記基材フィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギが25×10−3N/m〜55×10−3N/mであり、かつ前記ラミネート工程におけるラミネート温度でのタック強度が30gf〜500gfである接着シート。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材の接合には銀ペーストが主に使用されていた。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、接着剤層の膜厚の制御困難性、および接着剤層のボイド発生などにより前記要求に対処しきれなくなってきている。そのため、前記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。
【0003】
このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。前者の個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、リール状のフィルム状接着剤をカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出した後その個片を支持部材に接着し前記フィルム状接着剤付き支持部材にダイシング工程によって個片化された半導体素子を接合して半導体素子付き支持部材を作製し;その後必要に応じてワイヤボンド工程、封止工程などを経ることによって半導体装置が得られることとなる。しかし、前記個片貼付け方式のフィルム状接着剤を用いるためには、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着する専用の組立装置が必要であることから、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題があった。
一方、後者のウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いて半導体装置を製造する場合、まず半導体ウェハの裏面にフィルム状接着剤を貼付けさらにフィルム状接着剤の他面にダイシングテープを貼り合わせ;その後前記ウェハからダイシングによって半導体素子を個片化し;個片化したフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップしそれを支持部材に接合し;その後の加熱、硬化、ワイヤボンドなどの工程を経ることにより半導体装置が得られることとなる。このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤付き半導体素子を支持部材に接合するためフィルム状接着剤を個片化する装置を必要とせず、従来の銀ペースト用の組立装置をそのままあるいは熱盤を付加するなどの装置の一部を改良することにより使用できる。そのため、フィルム状接着剤を用いた組立方法の中で製造コストが比較的安く抑えられる方法として注目されている。
【0004】
しかしながら、ウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤を用いる方法にあっては、前記ダイシング工程までに、フィルム状接着剤とダイシングテープを貼付するといった2つの貼付工程が必要であったことから、作業工程の簡略化が求められていた。また、フィルム状接着剤をダイシングテープ上に付設し、これをウェハに貼り付ける方法が提案されている。この方法では、ダイシングフィルムの樹脂が接着シートに付着することや拡散、移行するために接着性が低下するなどの課題があるほか、構造が3層構成になるため、コストの上昇を招いていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、半導体装置の製造工程の簡略化や製造コストの軽減が図られる接着シート、即ちダイシング工程ではダイシングテープとして作用し、半導体素子と支持部材との接合工程では接続信頼性に優れる接着シートが求められていた。
また、接着シートのさらなる信頼性の向上が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の記載事項に関する。
<1> 基材フィルムの片面に接着剤層を積層してなる接着シートであって、前記接着シートは、以下の工程(1)〜(4)
(1)半導体ウェハの片面に接着シートをラミネートする工程と;(2)ウェハ及び接着シートの一部を切断する工程と;(3)接着剤と基材フィルム間で剥離し、半導体素子を接着シートが付設された状態で個片に切り離す工程と;(4)半導体搭載用支持部材と半導体素子とを付設された接着剤を介して加熱、加圧、接着する工程と;を含む半導体装置の製造方法に用いられるダイシングシートの機能とダイボンドシートの機能を備える接着シートであり、
前記基材フィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギが25×10−3N/m〜55×10−3N/mの範囲であり、かつ前記(1)工程におけるラミネート温度でのタック強度が30gf〜500gfである接着シート。
<2> 接着剤が(メタ)アクリル酸エステル共重合体と熱硬化性成分とを含有する前記<1>記載の接着シート。
<3> 1)未硬化あるいは半硬化状態の接着剤の100℃での弾性率が0.0001MPa以上2MPa以下であり、2)50℃での弾性率が7.5MPa以上50MPa以下であり、3)硬化後に50℃での弾性率が100MPa以上5000MPa以下である前記<1>又は<2>記載の接着シート。
<4> 基材フィルムを剥離した接着シートを用いた5mm角の半導体素子と支持部材との積層硬化物の250℃での接着強度が0.3kgf以上である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の接着シート。
<5> 160℃でのフロー量が100μm以上10000μm以下の範囲にある前記<1>〜<4>のいずれかに記載の接着シート。
【0007】
また本発明は以下の記載事項に関する。
<2−1> 少なくとも半導体ウェハの片面に接着シートをラミネートする工程を有する半導体装置の製造に用いられる基材フィルムの片面に接着剤層を積層してなる接着シートであって、前記基材フィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギが25×10−3N/m〜55×10−3N/mであり、かつ前記ラミネート工程におけるラミネート温度でのタック強度が30gf〜500gfである接着シート。
<2−2> 前記接着剤層が(メタ)アクリル酸エステル共重合体と熱硬化性成分とを含有する前記<2−1>に記載の接着シート。
<2−3> 1)未硬化あるいは半硬化状態の接着剤の100℃での弾性率が0.0001MPa以上2MPa以下であり、2)50℃での弾性率が7.5MPa以上50MPa以下であり、3)硬化後の50℃での弾性率が100MPa以上5000MPa以下である前記<2−1>又は<2−2>に記載の接着シート。
<2−4> 半導体素子と基材フィルムとを備える積層硬化物の250℃における前記半導体素子と前記基材フィルム間の接着強度は、0.3kgf以上である前記<2−1>〜<2−3>のいずれかに記載の接着シート。
<2−5> 160℃でのフロー量が100μm以上10000μm以下の範囲にある前記<2−1>〜<2−4>のいずれかに記載の接着シート。
<2−6> 前記<2−1>〜<2−5>のいずれかに記載の接着シートを、前記接着剤層を挟んで半導体ウェハに貼り付ける工程と;前記半導体ウェハをダイシングして、接着シート付き半導体素子を形成する工程と;前記基材フィルム層を剥離する工程と;前記接着剤層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを前記接着剤層を介して接着する工程と;を含む半導体装置の製造方法。
本発明の接着シートは2層構造を有することより、接着剤表面の汚染が少ないため信頼性が高い接着シートを、低コストで製造することができる。
本発明の接着シートは、ダイシング工程ではダイシングテープとして、半導体素子と支持部材の接合工程では接続信頼性に優れる接着剤として使用することができる。そのため、半導体装置の製造工程の簡略化を図ることができる。
また、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性を有し、かつ作業性に優れるものである。
さらに、本発明の接着シートを使用した半導体装置の製造方法は、製造工程を簡略化でき、しかも製造した半導体装置は、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性および作業性を兼ね備えるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の接着シートは上記の特性を有する接着剤を備えたことを特徴とする接着シートであり、半導体装置を製造する際に用いた場合、ダイシング時には半導体素子が飛散しない粘着力を有し、その後のピックアップ時には各素子を傷つけることがないような粘着力を有するものである。そのため、本発明の接着シートを用いて半導体装置を製造すれば、ダイシングおよびダイボンドの各工程を、一枚の接着シートで完了することができる。
また、本発明の接着シートは、半導体素子搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に要求される耐熱性および耐湿性を有するものである。
【0009】
前記作用効果を有する本発明の接着シートは以下の特性を有することが必要である。
<パラメータの説明>
基材フィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギは25×10−3N/m以上55×10−3N/m以下である必要がある。基材フィルムと接着剤が適度な密着性を有する点で30×10−3N/m〜43×10−3N/mが好ましく、35×10−3N/m〜41×10−3N/mが特に好ましい。基材フィルムの表面自由エネルギが25×10−3N/m未満であると基材フィルムと接着剤が剥離し易く、ダイシング時にチップの剥離が生じるため好ましくない。55×10−3N/m超であると、基材フィルムと接着剤が剥離し難く、チップのピックアップが困難になるため好ましくない。ここで、基材フィルムとしては、上記範囲の表面自由エネルギを有していれば特に制限は無く、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。これらについては表面自由エネルギが上記範囲内になるように必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行っても良い。
接着剤のラミネート温度におけるタック強度は30gf以上500gf以下である必要がある。タック強度は基材フィルムと適度な密着性を有する点で60〜300kgfが好ましく、100〜250kgfが特に好ましい。タック強度が30gf未満の場合、基材フィルムのフィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギが25×10−3N/m以上55×10−3N/m以下の場合であっても、基材フィルムと接着剤が剥離し易く、ダイシング時にチップの剥離が生じるため好ましくない。タック強度が500gf超の場合基材フィルムと接着剤が剥離し難く、チップのピックアップが困難になるため好ましくない。ここで、接着剤(層)としては、上述のタック強度を有する樹脂組成物を用いることができる。上述のタック強度を有する樹脂組成物としては、例えば後述する樹脂組成物等が挙げられるが、以下に説明するように組成、製造方法等を適宜変更してタック強度を増加または低減することで上述のタック強度の範囲内に調整できるものであれば、後述する樹脂組成物に制限されることなくいかなる樹脂組成物をも使用することができる。
まず、タック強度を増加させる方法としては、液状成分(エポキシ樹脂等)の比率を増大すること、高分子量成分のTgを低減すること、粘着付与剤等を添加すること、フィルムの乾燥を低温、短時間で行うことなどが挙げられる。一方、タック強度を低減させる方法としては、上述の方法と逆に、液状成分(エポキシ樹脂等)の比率を低減すること、高分子量成分のTgを増加すること、粘着付与剤等を添加しないか、または添加量を低減すること、フィルムの乾燥を高温、長時間で行うことなどが挙げられる。また、接着シートをウェハに貼付した後に後加熱を行うことによりタック強度を低減することも可能である。この場合、初期のタック強度が一定値であるフィルムであっても、ある範囲でタック強度の調整を行うことが可能であり、また、ピックアップ性を調査し、再度調整することも可能である点で好ましい。
【0010】
なお、上述のタック強度を有する樹脂組成物としては、後述する樹脂組成物において特に液状成分(エポキシ樹脂等)の比率、高分子量成分のTgを調整すること、フィルムの乾燥条件を調整することが好ましい。また、接着シートをウェハに貼付した後に後加熱を行うことにより行うことも可能である。この場合、単一のフィルムであっても、ある範囲でタック強度の調整を行うことが可能であり、また、ピックアップ性を調査し、再度調整することも可能である点で好ましい。
また、未硬化あるいは半硬化状態の接着シートの160℃でのフロー量は100μm以上、10000μmの範囲にあることが好ましい。なお、本発明におけるフロー量は、流動性の指標となるものであって、具体的には後の実施例の欄で詳しく説明する測定方法に基づいて測定され得る値である。フロー量が100μm未満の場合、半導体素子の圧着時に流動性及びぬれ性が不足し、接着性が低下する点で好ましくない。またフロー量が10000μm超の場合、半導体素子の圧着時に樹脂が半導体素子の端部から過剰に流出するため、半導体素子の支持部材の電極端子部を被覆し、ワイヤボンディングなどの工程が難しくなる点、また、接着シートの膜厚が低下するため、接着性が低下する点で好ましくない。
フロー量は、半導体素子端部からの樹脂の流出がより小さい点で100μm以上、6000μm以下の範囲が好ましい。また、半導体素子の支持部材として回路付きテープや回路付き基板を使用する場合には、回路充填性が高く、かつ端部からの樹脂の流出がより小さい点で、フロー量は1000μm〜4000μmの範囲にあることが好ましい。
未硬化あるいは半硬化状態の接着シートの弾性率は100℃以下でラミネート可能である点100℃での弾性率が0.0001〜2MPaであり、ダイシングし易い点で50℃での弾性率が7.5〜50MPaであり、流動性が高い点で180℃での弾性率が100MPa以下であることが好ましく、また、耐熱性が良い点で硬化後に50℃での弾性率が100〜5000MPaであることが特に好ましい。
本発明の接着シートは、加熱硬化した段階で、貯蔵弾性率が25℃で10〜2000MPaであり、260℃で3〜50MPaであることが好ましい。25℃での弾性率は、20〜1900MPaがより好ましく、50〜1800MPaが特に好ましい。また、260℃での弾性率は、5〜50MPaがより好ましく、7〜50MPaが特に好ましい。貯蔵弾性率がこの範囲にあると、半導体素子と支持部材との熱膨張係数の差によって発生する熱応力を緩和させる効果が保たれ、剥離やクラックの発生を抑制できるとともに、接着剤の取扱い性、接着剤層の厚み精度、リフロークラックの発生を抑制できる。なお、本発明における弾性率は接着シートの貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置を用いて昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hzの条件で測定したものである。
【0011】
<成分>
本発明の接着シートの接着剤(層)は、上記特性を満足するものであれば特に制限はないが、適当なタック強度を有しシート状での取扱い性が良好であることから、熱硬化性成分及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含有していることが好ましい。また、上記の他に硬化促進剤、触媒、添加剤、フィラー、カップリング剤、高分子量成分等を含んでも良く、高分子量成分としてはポリイミド、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱硬化性成分としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂及びその硬化剤等があるが、耐熱性が高い点で、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。
ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、油化シェルエポキシ(株)製 エピコート807,815,825,827,828,834,1001,1004,1007,1009、ダウケミカル社製 DER−330,301,361、東都化成(株)製 YD8125,YDF8170などが挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、油化シェルエポキシ(株)製 エピコート152,154、日本化薬(株)製 EPPN−201、ダウケミカル社製 DEN−438などが、また、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製 EOCN−102S,103S,104S,1012,1025,1027、東都化成(株)製 YDCN70,702,703,704などが挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、油化シェルエポキシ(株)製 Epon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製 アラルダイト0163、ナガセ化成(株)製 デナコールEX−611,614,614B,622,512,521,421,411,321などが挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、油化シェルエポキシ(株)製 エピコート604、東都化成(株)製 YH−434、三菱ガス化学(株)製 TETRAD−X,TETRAD−C、住友化学(株)製 ELM−120などが挙げられる。複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製 アラルダイトPT810等の、UCC社製 ERL4234,4299,4221,4206などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0012】
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができる。たとえば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
好ましいフェノール樹脂硬化剤としては、たとえば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170などが挙げられる。
高分子量成分としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である共重合体が耐熱性が高い点で、特に好ましい。ブチルアクリレートとアクリロニトリル、エチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体はタック強度が適当である点で好ましい。
このような重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、たとえば、帝国化学産業(株)製HTR−860P−3などが挙げられる。
グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどのエポキシ樹脂含有反復単位の量は、0.5〜6.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜5.0重量%が特に好ましい。エポキシ基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
【0013】
官能性モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのほかに、たとえば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度(以下「Tg」という)を考慮して決定し、Tgは−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃以上であると、Bステージ状態での接着剤層のタック性が適当であり、取扱い性に問題を生じないからである。上記モノマーを重合高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、たとえば、パール重合、溶液重合などの方法を使用することができる。
本発明において、高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上、特に30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状にしたときの強度、可とう性、およびタック性が適当であり、また、フロー性が適当のため配線の回路充填性が確保できる。なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0014】
また、本発明の接着シートには、硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤には、特に制限が無く、イミダゾール類、ジシアンジアミド誘導体、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等を用いることができる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進剤の添加量は、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜3重量部がより好ましい。添加量がこの範囲にあると、硬化性と保存安定性を両立することができる。
【0015】
また、本発明の接着シートの接着剤(層)には、その取扱い性向上、熱伝導性向上、導電性付与、溶融粘度の調整およびチキソトロピック性付与などを目的として、金属、無機、有機フィラーを添加することもできる。金属フィラーとしては、特に制限はなく、例えば金、銀、銅、アルミニウム、鉄、インジウム、錫等及びそれらの合金などが使用できる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。有機フィラーとしては、特に制限はなく、エポキシ樹脂粉、各種ポリマ粉、微細シリコーンゴムなどのゴム粉などが挙げられる。
これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、熱伝導性向上のためには、銀、銅、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。
フィラーの使用量は、接着剤100重量部に対して1〜2000重量部が好ましい。1重量部未満だと添加効果が得られない傾向があり、2000重量部を超えると、接着剤層の貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
また、本発明の接着シートの接着剤(層)には、には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0016】
フィラーを添加した際のワニスの製造には、フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
上記のワニス化するための溶剤としては、特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、たとえば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
<製造方法>
本発明の接着シートは、前述の接着剤(層)を形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
ここで、本発明の接着シートに用いる基材フィルムとしては、パラメータの説明の項目で説明したようなフィルムを用いることができる。
【0018】
基材フィルム上に接着剤を付設する方法としては特に制限はないが、基材フィルム上に直接ワニスを塗工する方法、予め別のフィルム上にワニスを塗工、乾燥しフィルム状接着剤を形成し、これを基材フィルムに転写する方法等が挙げられる。塗工の方法としては、接着シートを形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。接着シートの厚みは、特に制限はないが、接着剤層、基材ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
【0019】
尚、本発明の接着シートは、2層構成で用いたときに特に効果的に製造コストを抑えると共に接着剤表面の汚染の減少を通じて信頼性を高めることができるが、所望のシート厚を得るために、さらに1又は2以上の接着剤層を半導体ウェハと接着剤層との間に挟むように設けてもよい。この場合、前記所望により設けられる接着剤層として、前記の方法によって調製されたものの他に、従来公知の方法によって調製されたものを用いることができる。前記所望により設けられる接着剤層として、商業的に入手可能な接着シート、例えば、ポリイミド系、シリコンオリゴマー系、ゴム−エポキシ系、エポキシ系接着剤を用いることができる。但し、接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件を従来公知の技術に基づいて考慮する必要がある。
【0020】
<使用方法>
続いて、本発明に係る接着シートの使用方法について図1〜図7を参照しながら説明するが、本発明の使用方法が以下の方法に限定されないことはいうまでもない。尚、図中同一の機能を有するものについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図1には基材フィルム1と接着剤層2とを備える接着シート10が開示されており、図2には前記構成要件に加えてさらに剥離性シート3を備える接着シート11が開示されている。
これらの接着シート10、11をダイシングテープとして使用する場合、まず接着シート10、11の接着剤層2とウェハ表面が密着するようにして所定の作業台上に載置する。本発明に係る接着シートの上面に剥離性シート3が設けられている場合には、該シート3を剥離除去した後に、接着シートの接着剤層2を上向きにして所定の作業台上に載置する。
次に、図3に示すようにして、この接着剤層2の上面にダイシング加工すべき半導体ウェハAを貼着する。この際のラミネート温度は通常20℃〜200℃の間で行われるが、ウェハのそりが少ない点で、20℃〜130℃が好ましく、基材フィルムの伸びが小さい点で、20℃〜80℃がさらに好ましい。
続いて、この貼着状態で半導体ウェハAにダイシング、洗浄、乾燥の工程が加えられる。この際、接着剤層2により半導体ウェハAは接着シートに充分に粘着保持されているので、上記各工程の間に半導体ウェハAが脱落することはない。
尚、図4にはダイシングカッター6を用いてウェハAをダイシングすることで太線で示される切込みが設けられ、そして半導体素子A1、A2、A3が得られることが示されている。
そして、図5に示されるようにしてピックアップすべき半導体素子A1、A2、A3を例えば吸引コレット4によりピックアップする。この際、吸引コレット4に換えて又は吸引コレット4と併用するようにして、ピックアップすべき半導体素子A1、A2、A3を基材フィルム1の下面から、例えば針扞等により突き上げることもできる。
半導体素子A1と接着剤層2との間の粘着力は、接着剤層2と基材フィルム1との間の粘着力よりも大きいため、半導体素子A1のピックアップを行うと、接着剤層2は半導体素子A1の下面に付着した状態で剥離する(図6参照)。
次いで、半導体素子A1、A2、A3を接着剤層2を介して半導体素子搭載用支持部材5に載置し加熱する。加熱により接着剤層2は接着力が発現し、半導体素子A1、A2、A3と半導体素子搭載用支持部材5との接着が完了する(図7参照)。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
YDCN−703(東都化成(株)製商品名、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)42.3重量部、プライオーフェンLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(帝国化学産業(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量80万、Tg−7℃)140重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.4重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この接着剤ワニスを厚さ50μmの離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製、ピューレックスS−31)上に塗布し、100℃10分間、140℃で5分間加熱乾燥し、厚さ50μmのフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤を基材フィルム(日合商事株式会社製、ダイナソフト、コロナ処理面の表面自由エネルギ45×10−3N/m)のコロナ処理面に接するように70℃で転写することで、接着シートを作製した。
なお、表面自由エネルギの測定は下記の方法で行った。
協和界面科学社製、CA−D型接触角計を用いて、測定表面に対する水及びジヨードメタンの接触角を25℃で測定した。表面自由エネルギは水及びジヨードメタンの接触角から下式で算出した。
γs=γsp+γsd
36.4(1+cosθH)=(21.8γsd)1/2+(51.0γsp)1/2
25.4(1+cosθI)=(48.5γsd)1/2+(2.3γsp)1/2
ただし
γs:表面自由エネルギ
γsp:表面自由エネルギの極性成分
γsd:表面自由エネルギの分散成分
θH:水の接触角
θI:ジヨードメタンの接触角
【0022】
(実施例2)
基材フィルムがポリエチレンフィルム(接着剤と接するコロナ処理面の表面自由エネルギ50×10−3N/m)であり、ラミネート温度が45℃である他は実施例1と同様に接着シートを作製した。
(実施例3)
ラミネート温度が80℃である他は実施例1と同様に接着シートを作製した。
(比較例1)
基材フィルムが帝人株式会社製、ピューレックスS31(接着剤と接する面の表面自由エネルギ13×10−3N/m)である他は実施例1と同様に接着シートを作製した
(比較例2)
基材フィルムがポリエチレンフィルム(接着剤と接する面の表面自由エネルギ58×10−3N/m)である他は実施例1と同様に接着シートを作製した
(比較例3)
YD8125(東都化成(株)製商品名、BPA型エポキシ樹脂、エポキシ当量173)36.5重量部、プライオーフェンLF2882(大日本インキ化学工業(株)製商品名、ビスフェノールAノボラック樹脂)23.9重量部、HTR−860P−3(帝国化学産業(株)製商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、分子量80万、Tg−7℃)140重量部、キュアゾール2PZ−CN(四国化成工業(株)製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.4重量部、NUC A−187(日本ユニカー(株)製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この接着剤ワニスを厚さ50μmの離型処理ポリエチレンテレフタレート(帝人(株)製、ピューレックスS−31)上に塗布し、100℃10分間、140℃で5分間加熱乾燥し、厚さ50μmのフィルム状接着剤を得た。このフィルム状接着剤を基材フィルム(日合商事株式会社製、ダイナソフト、コロナ処理面の表面自由エネルギ40×10−3N/m)のコロナ処理面に接するように60℃で転写することで、接着シートを作製した他は実施例1と同様である。
【0023】
上記の接着シートについての評価は下記の方法で行った。
(1)弾性率(貯蔵弾性率)
接着シートの貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジ社製、DVE−V4)を用いて測定した(サンプルサイズ:長さ20mm、幅4mm、膜厚80μm、昇温速度5℃/min、引張りモード、10Hz、自動静荷重)。
(2)フロー量の測定
接着剤層と基材層(PETフィルム(株式会社帝人製テイジンテトロンフィルムG2−50))とを備える厚さ(基材層を除いた接着シートの厚さ)50μmの接着シートから1×2cmの短冊片を打ち抜くことにより、寸法1×2cmの短冊状サンプルSを調製した。そして、熱圧着試験装置(テスター産業株式会社製)において、前記短冊状サンプルSを160℃に加熱したステージ上に置き、2MPaの圧力を18秒間付与した。その後、前記サンプルSを熱圧着試験装置から取出した後、図8に示されるように前記サンプルSの長片(2cm辺)の端部からはみだした樹脂のうち、1番目と2番目に長いはみ出し距離(長手方向距離a)を光学顕微鏡で測定した。このような操作を4つのサンプルについて行いそれらのはみ出し距離の平均値、即ち合計8点の距離の平均値を求めフロー量とした。
(3)タック強度
レスカ(株)製タッキング試験機を用いて、JISZ0237−1991に記載の方法(プローブ径5.1mmφ、引き剥がし速度10mm/s、接触荷重100gf/cm2、接触時間1s)により測定した。
(4)対金めっきピール強度(接着強度)
120℃のホットプレート上で接着シートにチップ(5mm角)及び金めっき基板(銅箔付フレキ基板電解金めっき(Ni:5μm、Au:0.3μm))を積層し、130℃30min+170℃1hキュアした。この試料の250℃におけるピール強度を測定した。
(5)耐リフロークラック性と耐温度サイクル性
接着シートを用いて、半導体素子及び接着シートと厚み25μmのポリイミドフィルムを基材に用いた配線基板を貼り合せた半導体装置サンプル(片面にはんだボールを形成)を作製し、耐熱性及び耐湿性を調べた。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と耐温度サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価は、サンプル表面の最高温度が240℃でこの温度を20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを目視と超音波顕微鏡で視察した。クラックの発生していないものを○とし、発生していたものを×とした。耐温度サイクル性は、サンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとして、1000サイクル後において超音波顕微鏡を用いて剥離やクラック等の破壊が発生していないものを○、発生したものを×とした。
(6)耐湿性評価
温度121℃、湿度100%、2.03×105Paの雰囲気(プレッシャークッカ−テスト:PCT処理)で72時間処理後に剥離を観察することにより行った。剥離の認められなかったものを○とし、剥離のあったものを×とした。
(7)ピックアップ性
接着シート1を厚さ150μmのシリコンウェハ上に貼付け、接着シート付きシリコンウェハをダイシング装置上に載置した。次いで、半導体ウェハをダイシング装置上に固定して、100mm/secの速度で5mm×5mmにダイシングした後、ピックアップ装置にてダイシングした半導体素子をピックアップし、ダイシング時の半導体素子飛び及びピックアップ性を評価した。ピックアップダイボンダ−により、ダイシング後の半導体素子をピックアップしたときのピックアップできた確率(%/100半導体素子)を示した。
これらの評価結果をまとめて表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1から、本発明の接着シートは耐熱性及び耐湿性に優れ、ダイシング時の半導体素子飛びも無く、ピックアップ性も良好であることが分かった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の接着シートは、ダイシング工程ではダイシングテープとして、半導体素子と支持部材の接合工程では接続信頼性に優れる接着剤として使用することができる。そのため、生産工程の簡略化や生産コストの軽減を図ることができる。また、本発明の接着シートは、半導体搭載用支持部材に熱膨張係数の差が大きい半導体素子を実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性を有するものである。そのため、接着シートの信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接着シートの基材フィルム層の一例の断面図である。
【図2】本発明に係る接着シートの基材フィルムを備えた粘接着層の一例の断面図である。
【図3】本発明に係る接着シートに半導体ウェハを貼着した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る接着シートを半導体ウェハのダイシング工程に用いた場合の説明図である。
【図5】図5に示す工程の後、半導体素子をピックアップする工程を示す図である。
【図6】ピックアップされた半導体素子と粘接着層を示す図である。
【図7】半導体素子を半導体素子搭載用支持部材に熱圧着した状態を示す図である。
【図8】はみ出し距離の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1…基材フィルム
2…接着剤層
3…剥離性シート
4…吸引コレット
5…半導体素子搭載用支持部材
10、11…接着シート
A…半導体ウェハ
A1、A2、A3…半導体素子
Claims (5)
- 基材フィルムの片面に接着剤層を積層してなる接着シートであって、前記接着シートは、以下の工程(1)〜(4)
(1)半導体ウェハの片面に接着シートをラミネートする工程と;(2)ウェハ及び接着シートの一部を切断する工程と;(3)接着剤と基材フィルム間で剥離し、半導体素子を接着シートが付設された状態で個片に切り離す工程と;(4)半導体搭載用支持部材と半導体素子とを付設された接着剤を介して加熱、加圧、接着する工程と;を含む半導体装置の製造方法に用いられるダイシングシートの機能とダイボンドシートの機能を備える接着シートであり、
前記基材フィルムの接着剤に接する面の表面自由エネルギが25×10−3N/m〜55×10−3N/mの範囲であり、かつ前記(1)工程におけるラミネート温度でのタック強度が30gf〜500gfである接着シート。 - 接着剤が(メタ)アクリル酸エステル共重合体と熱硬化性成分とを含有する請求項1記載の接着シート。
- 1)未硬化あるいは半硬化状態の接着剤の100℃での弾性率が0.0001MPa以上2MPa以下であり、2)50℃での弾性率が7.5MPa以上50MPa以下であり、3)硬化後に50℃での弾性率が100MPa以上5000MPa以下である請求項1又は2記載の接着シート。
- 基材フィルムを剥離した接着シートを用いた5mm角の半導体素子と支持部材との積層硬化物の250℃での接着強度が0.3kgf以上である請求項1〜3のいずれかに記載の接着シート。
- 160℃でのフロー量が100μm以上10000μm以下の範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の接着シート。
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