JP4872956B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着シートを用いた半導体装置の製造方法に関する。
チップを2個以上積み重ねる構造を有する半導体装置(複層半導体装置)は、実装密度の高密度化が可能であるため、携帯電話などに広く使用されている(非特許文献1参照。)。上記の複層半導体装置では、チップ同士をボイド(空隙)がないように接着することが望まれる。図4に示すように、接着シート2をチップ1A’に積層した後、これを別のチップ1Bに接するよう平板圧着機などを用いて、積層する方法が採用されている。
日刊工業新聞社刊 「電子技術 2001年9月臨時増刊号 表面実装マガジン 2001年版」 CSP/BGA/FC技術のすべて p.57〜61
しかしながら、この方法では、貼付時に平面状のチップと平面状の接着シートを積層するため、外周部からチップ1Bに接着し、内部に残ったガスが抜けることができず、ボイド発生し(図4)、半導体パッケージがリフロー工程時にふくれるなどの不良の発生を招きやすく、高い信頼性を有する複層半導体装置は得られていなかった。本発明は、上記問題を解決するもので、チップと接着シートの貼付時にボイドの発生がなく、高い信頼性を有する接着シートとこれを用いた半導体装置を提供する。
本発明は、[1]半導体パッケージにおいて、最初にチップBと接着シートの一方の表面(b面)が接するように積層する工程と、
次にこれをチップAと接着シートのもう一方の面(a面)が接するように積層する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記接着シートは、チップと支持部材又はチップ同士を接着するための接着シートであって、前記b面の直径5.1mmプローブ測定による25℃におけるタック強度βが0.05〜5N/直径5.1mmであり、a面の25℃におけるタック強度αが0〜1N/直径5.1mmであり、β−α≧0.05N/直径5.1mmであることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また、本発明は、[2]前記b面近傍の残溶剤量γが0.1〜3重量%であり、前記a面近傍の残溶剤量がγ×0.9重量%以下である前記[1]記載の半導体装置の製造方法である。
また、本発明は、[3]前記b面の高さの凹凸が100nm以下であり、前記a面の高さの凹凸が120nm以上である前記[1]または[2]に記載の半導体装置の製造方法である。
上記[1]〜[3]に関わる製造方法は、チップ同士の貼付時にボイド等の混入がなく、信頼性が高いことを特徴とする。また、上記[1]の発明は、半導体パッケージを組み立てた場合に、信頼性が高いことを特徴としている。
さらに、本発明は、[4]ウエハに前記接着シートを接着シートのb面がウエハに接するように貼り付け、さらにa面をダイシングテープ上に付設し、これをチップに切断する工程(1A)か、
または、接着シートのa面をダイシングテープ上に付設した後、b面をウエハに貼り付け、これをチップに切断する工程(1B)のいずれかと、
その後、接着シートのa面が別のチップと接するよう積層する工程(2)とを含む前記[1]ないし[3]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法である。
上記[4]の発明は接着シートをウエハに貼り付け、これをチップに切断した後、接着シートのa面が別のチップと接するよう積層することが可能であり、この場合、前述の貼付性が良いという効果の他に、接着シートのウエハへの貼付を1回行えばよく、工程が簡略化できるという効果がある。
本発明における接着シートは、チップとチップの接合工程では信頼性に優れる接着シートとして使用することができ、チップを実装する場合に必要な耐熱性、耐湿性を有し、かつ作業性に優れるものであり、ボイドを生じることなく接着することができ、得られた半導体装置は信頼性に優れる。
本発明者は、チップAに接する接着シートのa面のタックを低減する、表面の残溶剤量などの揮発分量を低減する、または表面の高さの凹凸を大きくすることにより、チップまたは基板、リードフレームなどの半導体支持部材に対しての貼付時に均一に接着するようになり、内部のボイド発生を低減し、ひいては半導体パッケージがリフロー工程時にふくれることがなく、信頼性を向上できることを見いだした。また、特に、揮発分量(残溶剤量)、表面の高さの凹凸などを調整することで、チップAに接する接着シートのa面のタック強度をb面と異なるようにすることが可能であり、そのことにより、上記の効果に加えて、接着シートをチップB面またはウエハに貼り付ける場合に低温で貼付が可能であるとの効果を得られることが分かった。
本発明の好ましい態様をいくつか挙げながらパラメータの臨界値の意義について説明する。尚、本発明が以下の態様に制限されないことはいうまでもない。
本発明における接着シートは、積層する際にチップに接するシート面(b面)の直径5.1mmプローブ測定による25℃におけるタック強度βが0.05〜5N/直径5.1mmであり、もう一方の接着シート面(a面)の25℃におけるタック強度αが0〜1N/直径5.1mmであり、β−α≧0.05N/直径5.1mmであることが必要である。
b面のタック強度βが、0.05N/直径5.1mm未満では接着性が低下する傾向がある。一方、5N/直径5.1mmを超える場合はタックが大きすぎ取り扱い性が低下するため好ましくない。また、a面のタック強度αが1N/直径5.1mmを超えて大きいと、空気を巻き込みやすく、チップ間にボイドが残存しやすい点で好ましくない。
本発明においてタック強度とは、粘接着剤層の粘接着性の指標となるものであって、例えば、RHESCA社製タッキング試験機を用いて、JIS Z0237−1991に記載の方法により引き剥がし速度10mm/s、接触荷重100gf/cm、接触時間1sの条件で、測定温度25℃で測定することにより得られる値である。
接着シートのタック強度を所望の範囲に調節する方法としては、接着シートの室温(25℃)における流動性を上昇させることにより、接着強度及びタック強度も上昇する傾向があり、流動性を低下させれば接着強度及びタック強度も低下する傾向があることを利用すればよい。例えば、流動性を上昇させる場合には、可塑剤の含有量の増加、粘着付与材含有量の増加等の方法がある。逆に流動性を低下させる場合には、前記化合物の含有量を減らせばよい。前記可塑剤としては、例えば、単官能のアクリルモノマー、単官能エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系希釈剤等が挙げられる。
特に、接着シートa面、b面のタック強度を異なるようにするには、タック強度の異なる2枚以上のシートを貼り合わせることによって形成可能である。また、コストの低減をはかれる点で1層で形成することが好ましい。具体的には、接着シートを離型性のある基材フィルム上に塗工乾燥する際に、接着シートの基材フィルムに接する面、b面近傍の残溶剤量γを0.1〜3重量%に設定し、a面(空気に接する面)に風速1m/s以上の熱風を送風することにより、接着シートa面近傍の残溶剤量をγ×0.9重量%以下にするように設定することで得られる。
このようにして得られた接着シートはb面が基材フィルムと接しているため、このままでは容易にチップAに接するように貼り付けることはできないが、接着シートを塗工後に、表面に保護フィルムをラミネートし、裏面に接する基材フィルムを剥離すれば、b面が表面に露出するため、b面をチップAまたはウエハと接するよう積層することが容易に実施できる。
この他に、接着シートのa面に放射光の照射により、溶剤の乾燥を促進するなどの手法が挙げられる。なお、接着シートのa面、b面近傍の残溶剤量は、表面、裏面を深さ2.5μmになるように切削試験機(ダイプラウィンテス社製サイカスを用いた)で切削した後、この試料の170℃、1h乾燥前後の重量変化より求められる。
接着シート表面の高さの凹凸については、b面の高さの凹凸が100nm以下であり、もう一方の接着シート面(a面)の高さの凹凸が120nm以上であることが必要である。b面の凹凸が100nmを超えると、チップAとの接着性が低下したり、貼付温度が高くなるため接着剤が劣化したり、チップAが反ったり、基材フィルムが変形するなどの問題が発生するため好ましくない。一方、a面の凹凸が120nm未満であると、チップBとの貼付時にボイドを巻き込むため、好ましくない。
特に、接着シートのa面、b面の高さの凹凸を異なるようにするには、表面凹凸の異なる2枚以上のシートを貼り合わせることによっても形成可能であるが、望ましくは1層で形成することが好ましい。具体的には、接着シートのワニスを離型性のある表面の凹凸の高さが100nm以下の基材フィルム上に塗工して乾燥することで得られる。
表面の高さの凹凸については、AFM(アトミックフォースマイクロスコープ)で測定できる。微細な凹凸を測定可能な表面凹凸計で測定した場合の100μm四方の最大部と最小部の差を高さの凹凸とする。5箇所測定し、最大、最小を除いた3箇所の平均値を高さの凹凸とする。
a面の高さの凹凸を120nm以上とするためには、フィラーの添加、樹脂の相分離などにより表面の凹凸を大きくすることにより、確実に行える。
本発明に使用する基材フィルム、保護フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリイミドなどのプラスチック等が挙げられる。また、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行っても良い。
なお、接着シート上に保護フィルムを積層する方法としては、プレス、ホットロールラミネート方法が挙げられるが、連続的に製造でき、効率が良い点でホットロールラミネート方法が好ましい。
接着シート厚みは、特に制限はないが、5〜250μmが好ましい。5μm未満では、応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmを超えると経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
本発明における接着シートは、上記特性を満足するものであれば特に制限はないが、適度なタック強度を有しシート状での取り扱い性が良好であることから、熱硬化性樹脂、その硬化剤及び高分子量成分を含有していることが好ましい。また、上記の他に硬化促進剤、触媒、添加剤、フィラー、カップリング剤、溶剤等を含んでも良く、高分子量成分としてはポリイミド、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル系共重合体、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、それに適した硬化剤等があるが、耐熱性が高い点で、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に制限されない。ビスフェノールA型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び東都化成株式会社製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート152、エピコート154、日本化薬株式会社製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、またo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、東都化成株式会社製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。
アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート604、東都化成株式会社製のYH−434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学工業株式会社製のELM−120等が挙げられる。
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成株式会社製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学株式会社製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
前記接着シートにおいて使用する高分子量成分は、重量平均分子量が3万以上であることが好ましい。また、高分子量成分が、(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。使用する高分子量成分のTgは、−50℃から50℃の範囲で、かつ重量平均分子量は5万以上が更に好ましい。Tgが−50℃未満では、粘接着剤層としての自己支持性がなくなり、取り扱い性に問題が生じ、Tgが50℃を超えると、接着に要する温度が高くなる傾向にある(なお、本発明におけるTgは、後に評価方法の欄で説明するようにDSCを用いて測定した値を示す。)。また、重量平均分子量が3万以上では、シート状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当のため配線の良好な回路充填性が確保できる。重量平均分子量が3万未満では、シート状としたときの上記特性が損なわれるので好ましくない。なお、本発明において、重量平均分子量とは、後に評価方法の欄で説明するようにゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(本明細書において「GPC」ともいう。)で測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
前記接着シートにおいては、エポキシ樹脂及びその硬化剤の合計100重量部に対し、高分子量成分として(b)グリシジル(メタ)アクリレート0.5〜10重量%を含むTg(ガラス転移温度)が−50℃以上で、かつ重量平均分子量が5万以上であるエポキシ基含有アクリル系共重合体50〜900重量部を含むことが好ましい。高分子量成分が50重量部未満であれば、シート状としたときの強度、可とう性、及び弾性率低減による取り扱い性や応力緩和性に劣り、また、接着剤としてのフロー性(流れ性)が高くなりすぎる傾向にある。また、900重量部を超すと貼付荷重を高くしないとフロー性(流れ性)にも劣る傾向にある。エポキシ基含有アクリル系共重合体としてはHTR−860P−3(帝国化学産業株式会社(株)商品名、エポキシ基含有アクリルゴム)が挙げられる。グリシジル(メタ)アクリレートは、グリシジルアクリレートとグリシジルメタアクリレートを意味し、単独、混合、共重合体でも良い。
また、上記のワニス化するための溶剤としては、特に制限されないが、シート作製時の揮発性などを考慮すると、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
基材フィルムへのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法について図1〜図5を参照しながら説明するが、本発明の製造方法が以下の方法に制限されないことはいうまでもない。尚、図中同一の機能を有するものについては同一の符号を付してその説明を省略する。
図1(a)には基材フィルム2’と接着シート2の断面を示してある。この場合、接着シートの一方の表面(a面)が10であり、もう一方の面(b面)が11である。基材フィルム2'面に接しているb面11を露出させるため、保護フィルム3をラミネートし(図1(b))、つづいて基材フィルム2’を剥離した状態が図1(c)である。
(実施例)
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂であるYD8125(東都化成株式会社製商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量175)15重量部、YDCN703(東都化成株式会社商品名、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210)45重量部、
エポキシ樹脂の硬化剤であるミレックス XLC−2L(三井化学株式会社製商品名、ザイロック樹脂、水酸基当量169)50重量部、
重量平均分子量が3万以上の高分子量成分としてHTR−860P−3(帝国化学産業株式会社商品名、エポキシ基含有アクリルゴム、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した重量平均分子量:80万、示差走査熱量計(DSC)により、昇温速度10℃/分の条件で測定したTg:−7℃)250重量部、
硬化促進剤としてキュアゾール2PZ−CN(四国化成工業株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)0.5重量部、
カップリング剤としてNUC A−187(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.7重量部
からなる組成物に、溶剤としてシクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。
この接着剤ワニスを、基材フィルムとして厚さ50μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が25μmのBステージ状態の接着シートを得た。
この接着シートのa面とb面のタック強度、残溶剤量、高さの凹凸を測定し、それらの特性をまとめて表1に示した。なお、b面とは、接着シートがポリエチレンテレフタレートフィルムに接している面を、a面とは表面に露出している面を示す。
Figure 0004872956
上記のタック強度は、RHESCA社製タッキング試験機を用いて、JIS Z0237−1991に記載の方法により、次の測定条件で、25℃におけるタック強度を測定した。
プローブ径:直径5.1mm、引き剥がし速度:10mm/s、接触荷重:100gf/cm、接触時間:1s
PET基材フィルム上に形成した上記接着シートのa面に(図1(c))ダイシングテープ(日東電工株式会社製V8L商品名を用いた)をホットロールラミネータ(Du Pont社製Riston)を用いてラミネートした。次に基材フィルム2’を剥離し、接着シート2とダイシングテープ3'が積層された状態にした後、図1(d)に示すようにして、この接着シートb面と半導体ウエハ1Aを貼着する。この際のラミネート温度は通常20℃〜200℃の間で行われるが、ウエハのそりが少ない点で、20℃〜130℃が好ましく、基材フィルムの伸びが小さい点で、20℃〜80℃がさらに好ましい。ここでは、60℃で行った。次に、半導体ウエハ1A及び接着シート2をダイシングし、チップ形状に切断し(チップ1A’)、その後、必要に応じて、エキスパンドを行い、さらに図2に示すようにコレット5でチップ1A’をつかみ、チップ1B上に接着フィルムのa面側を積層した。積層した後の断面を図3に示すが、ボイドが含まれていない状態で密着していた。
実施例において、接着シートをPET基材フィルム上に形成したのち、ホットロールラミネータ(Du Pont社製Riston)でこの接着シートのa面と半導体ウエハ1Aを貼着した他は上記と同様にチップを積層したところ、図4に示すようにボイドが発生した。
この接着シートを用いた以下のパッケージについて耐リフロークラック性、耐温度サイクル性及び耐湿性を評価した。その結果を表2に示した。
Figure 0004872956
<評価方法>
(1)耐リフロークラック性と耐温度サイクル性(試験)
図5に示すように10mm四方のチップ1A’、接着シート2、及び9mm四方のチップ1A’及び接着シート2と厚み25μmのポリイミドシート8を基材に用いた配線基板を貼り合せた半導体装置サンプル(片面にはんだボールを形成)を作製し、耐熱性及び耐湿性を調べた。耐熱性の評価方法には、耐リフロークラック性と耐温度サイクル試験を適用した。耐リフロークラック性の評価は、JEDEC規格であるJ−STD−020Aに準拠し、レベル1に相当する吸湿処理(85℃、85%RH、168時間)を行った半導体装置サンプルについて、サンプル表面の最高温度が265℃で、260℃以上を10〜20秒間保持するように温度設定したIRリフロー炉にサンプルを通し、室温(25℃)で放置することにより冷却する処理を2回繰り返したサンプル中のクラックを目視と超音波顕微鏡で視察した。クラックの発生していないものを○とし、発生していたものを×とした。
耐温度サイクル性は、サンプルを−55℃雰囲気に30分間放置し、その後125℃の雰囲気に30分間放置する工程を1サイクルとして、1000サイクル後において超音波顕微鏡を用いて剥離やクラック等の破壊が発生していないものを○、発生したものを×とした。
(2)耐湿性
温度121℃、湿度100%、2.03×10Paの雰囲気(プレッシャークッカ−テスト:PCT処理)で72時間処理後に剥離を観察することにより行った。剥離の認められなかったものを○とし、剥離のあったものを×とした。
表2より、本発明における接着シートを用い、まず、接着シートのb面側をチップAに接着した後、接着シートのa面側をチップBに接着することで、ボイドがなく、耐リフロークラック性、耐温度サイクル性、耐湿性等の信頼性試験で剥離等のない信頼性に優れた半導体装置を得ることができた。これに対し、接着シートのa面側をチップAに接着した後、b面側をチップbに接続した場合、図4に示すボイド(空隙)が接着シートとチップBの間に生じてしまい、信頼性に劣る。これは、接着シートのa面側のタック強度αをb面側のタック強度βより小さくし、β−α≧0.05N/直径5.1mmとしたこと、a面側近傍の残溶剤量をb面側のそれより低くしたこと、a面側の高さの凹凸をb面側より大きな120nm以上としたことによる。
(a)〜(d)は、保護フィルム付き接着シートを得るまでの工程((a)〜(c))と保護フィルム付き接着シートと半導体ウエハをロールラミネート方式で貼付する工程(d)の断面図。 本発明に係る接着シートをラミネートしたチップ1A’とチップ1Bの貼付工程の断面図。 本発明に係る接着シートを用いてチップ1A’とチップ1Bを貼付けた後の断面図。 実施例1に示す接着シートを用いてチップ1A’とチップ1Bを貼付けた後の断面図。 本発明に係る接着シートを用いた半導体装置の断面図。
符号の説明
1A…半導体ウエハ
1A’…チップ
1B…チップ
2…接着シート
2’…基材フィルム
3…保護フィルム
3'…ダイシングテープ
4…ラミネータロール
5…コレット
6…熱板
7…空隙(ボイド)
8…配線基板
9…はんだボール
10…a面
11…b面

Claims (4)

  1. 半導体パッケージにおいて、最初にチップBと接着シートの一方の表面(b面)が接するように積層する工程と、
    次にこれをチップAと接着シートのもう一方の面(a面)が接するように積層する工程とを含む半導体装置の製造方法であって、
    前記接着シートは、チップと支持部材又はチップ同士を接着するための接着シートであって、前記b面の直径5.1mmプローブ測定による25℃におけるタック強度βが0.05〜5N/直径5.1mmであり、a面の25℃におけるタック強度αが0〜1N/直径5.1mmであり、β−α≧0.05N/直径5.1mmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記b面近傍の残溶剤量γが0.1〜3重量%であり、前記a面近傍の残溶剤量がγ×0.9重量%以下である請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記b面の高さの凹凸が100nm以下であり、前記a面の高さの凹凸が120nm以上である請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. ウエハに前記接着シートを接着シートのb面がウエハに接するように貼り付け、さらにa面をダイシングテープ上に付設し、これをチップに切断する工程(1A)か、
    または、接着シートのa面をダイシングテープ上に付設した後、b面をウエハに貼り付け、これをチップに切断する工程(1B)のいずれかと、
    その後、接着シートのa面が別のチップと接するよう積層する工程(2)とを含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
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