JP2004036669A - 自動変速機、及び自動変速機の組立方法 - Google Patents

自動変速機、及び自動変速機の組立方法 Download PDF

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森 篤
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吉田 哲徳
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Toshiki Kaneda
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Abstract

【課題】クラッチのドラムとハブとが互いに抜け出さない自動変速機を提供する。
【解決手段】クラッチ部23において、入力軸12に対して、スリーブ25を介してクラッチドラム37が固定されている。クラッチドラム37の内周側のスプライン37cにドライブディスク40がスプライン係合し、該ドライブディスク40間にあるドリブンディスク44が第3ハブ45のスプライン45aにスプライン係合している。該第3ハブ45のスプライン45aの凹部にドリブンディスク44に当接し得る当接部45dを設ける。例えば組立時に組立装置により入力軸12を把持した際であっても、スプライン45aに沿って下方に落下し得る第3ハブ45の当接部45dがドリブンディスク44に当接し、入力軸12に固定されたクラッチドラム37に対して第3ハブ45が抜け出すことはない。
【選択図】   図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌等に搭載される自動変速機に係り、詳しくは、例えばクラッチ等の摩擦係合要素が外郭をなす組立体の部品の抜け出しを防止するための自動変速機及び自動変速機の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動変速機は多段化されており、そのような自動変速機をコンパクト化するために、複数のクラッチを集めたクラッチ部を構成した自動変速機がある。そのクラッチ部をコンパクト化、軽量化するために、クラッチの摩擦板がスプライン係合するドラムやハブをプレス加工により形成している。
【0003】
一方、自動変速機を組立てる際には、組立工程の低減や組立スペースの縮小化などのため、該自動変速機の所定部分ごとに複数の組立体、即ち上記クラッチ部や他の組立体(変速機構など)を組立てて、それら組立体を組付けることにより自動変速機を組立てる、いわゆるアッセンブリ組立方法を用いることが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動変速機の組立においては、上述のようにアッセンブリ組立方法が用いられているが、その組立の際には、該自動変速機の軸方向を鉛直方向にした状態で軸の位置合わせを行いつつ組立てる必要がある。そのため、上記クラッチ部も軸方向を鉛直方向にして、例えば変速機構等に組付けられる。
【0005】
しかしながら、クラッチにおいては、摩擦板がスプライン係合するスプラインを軸方向に対して形成する必要があり、クラッチのドラムやハブをプレス加工により形成すると、複雑な形状の加工が行えず、該軸方向に形成されたスプラインに沿ってドラムとハブとが互いに抜け出してしまう。それにより、抜け出してしまう部品(例えばハブなど)を個々に他の組立体(変速機構など)に組付ける必要が生じて、組立体として組付けることができず、つまり上述したようなアッセンブリ組立方法を用いることができなかった。
【0006】
そこで本発明は、スプラインの複数の凹部の3箇所以上に、摩擦板の爪部が当接し得る当接部を備え、もって上記課題を解決した自動変速機を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、スプライン(37c)が形成された第1の円環部(37b)を有する第1の部材(25,37)と、スプライン(45a)が形成されると共に少なくとも一部が前記第1の円環部(37b)に軸方向にオーバラップする第2の円環部(45b)を有する第2の部材(45,46)と、爪部(例えば44b)を有して前記第1の円環部(37b)と前記第2の円環部(45b)との前記オーバラップした部分にてそれぞれスプライン係合する複数の摩擦板(40,44)と、該摩擦板(40,44)を軸方向の一方に押圧自在な押圧部材(53d)を有する油圧サーボ(80)と、該油圧サーボ(80)の押圧部材(53d)により押圧される前記摩擦板(40,44)を、前記第1の円環部(37b)に軸方向に対して位置決めする係止部材(62)と、を有する組立体(23)を備えた自動変速機(1)において、
前記第2の円環部(45b)のスプライン(45a)に、前記摩擦板(44a)の爪部(44b)が当接し得る当接部(45d)を備える、
ことを特徴とする自動変速機(1)にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記当接部(45d)は、前記第2の円環部(45b)のスプライン(45a)の複数の凹部(45h)の3箇所以上に備えられてなる、
請求項1記載の自動変速機(1)にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記油圧サーボ(80)が前記摩擦板(40,44)を押圧する前記軸方向の一方向は、前記摩擦板(40,44)を前記当接部(45d)に近づける方向である、
請求項1または2記載の自動変速機(1)にある。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記当接部(45d)は、前記油圧サーボ(80)により押圧された前記摩擦板(40,44)が前記係止部材(62)によって位置決めされた際に当接する摩擦板(44a)の爪部(44b)に近接して配置されてなる、
請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機(1)にある。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記第1の円環部(37b)は、前記第2の円環部(45b)の外周側に配置されてなる、
請求項1ないし4のいずれか記載の自動変速機(1)にある。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ底部(25,37a、45c,46a)を有する第1のカップ状部材(25,37)及び第2のカップ状部材(45,46)であり、
前記組立体(23)は、前記第1のカップ状部材(25,37)及び前記第2のカップ状部材(45,46)に内包され、前記第1のカップ状部材(25,37)の底部(25,37a)又は前記第2のカップ状部材(45,46)の底部(45c,46a)に位置決め支持される被支持部材(例えば30,42,43、66,67,68)をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素(例えばC1,C2)を有してなる、
請求項1ないし5のいずれか記載の自動変速機(1)にある。
【0013】
請求項7に係る本発明は、軸(12)に固定され、底部(25,37a)とスプライン(37c)が形成された第1の円環部(37b)とを有する第1のカップ状部材(25,37)と、組立時に底となる底部(45c,46a)とスプライン(45a)が形成されると共に少なくとも一部が前記第1の円環部(37b)にオーバラップする第2の円環部(45b)とを有する第2のカップ状部材(45,46)と、爪部(例えば44b)を有して前記第1の円環部(37b)と前記第2の円環部(45b)との前記オーバラップした部分にてそれぞれスプライン係合する複数の摩擦板(40,44)と、該摩擦板(40,44)を軸方向の一方に押圧自在な押圧部材(45d)を有する油圧サーボ(80)と、該油圧サーボ(80)の押圧部材(45d)により押圧される前記摩擦板(40,44)を、前記第1の円環部又は前記第2の円環部(例えば37b)に軸方向に対して位置決めする係止部材(例えば62)と、を有する組立体(23)を組付ける自動変速機(1)の組立方法において、
前記係止部材(例えば62)により前記摩擦板(40,44)が位置決めされていない前記第2の円環部又は前記第1の円環部(例えば45b)のスプライン(45a)に、前記組立時に前記摩擦板(44a)の爪部(44b)が当接する当接部(45d)を形成し、
組付装置(100)により前記組立体を前記軸(12)を介して上方より把持した際に、前記当接部(45d)に前記摩擦板(44a)の爪部(44b)が当接し、前記第2のカップ状部材又は前記第1のカップ状部材(例えば45,46)の抜け出しを防止する、
ことを特徴とする自動変速機(1)の組立方法にある。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記当接部(45d)を、前記第2の円環部又は前記第1の円環部(例えば45b)のスプライン(45a)の複数の凹部(例えば45h)の3箇所以上に形成してなる、
請求項7記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0015】
請求項9に係る本発明は、前記当接部(45d)を形成する前記第2の円環部又は前記第1の円環部(例えば45b)をプレス加工により形成してなる、
請求項7または8記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0016】
請求項10に係る本発明は、前記油圧サーボ(80)の油室(55)に作動流体を注入自在な注入手段(例えば101,104,105,106,f,g,h,iなど)を設け、
前記組付装置(100)により前記軸(12)を把持すると共に、前記注入手段により前記作動流体を前記油圧サーボ(80)の油室(55)に注入し、前記押圧部材(53d)を介して前記摩擦板(40,44)を押圧して係合させ、
前記摩擦板(40,44)が係合した状態の前記組立体(23)を組付けてなる、
請求項7ないし9のいずれか記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0017】
請求項11に係る本発明は、前記油圧サーボ(80)は、前記注入手段の注入により前記摩擦板(40,44)を前記当接部(45d)に近づける方向に押圧してなる、
請求項10記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0018】
請求項12に係る本発明は、前記当接部(45d)を、前記油圧サーボ(80)により押圧された前記摩擦板(40,44)が前記係止部材(62)によって位置決めされた際に当接する摩擦板(44a)の爪部(44b)に近接して設けてなる、
請求項10または11記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0019】
請求項13に係る本発明は、前記第1の円環部(37b)を、前記第2の円環部(45b)の外周側に配置して設け、
前記係止部材(62)により前記摩擦板(40,44)を前記第1の円環部(37b)に位置決めしてなる、
請求項7ないし12のいずれか記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0020】
請求項14に係る本発明は、前記組立体(23)に、前記第1のカップ状部材(25,37)及び前記第2のカップ状部材(45,46)に内包され、前記第2のカップ状部材(45,46)の底部(45c)に位置決め支持される被支持部材(例えば30,42,43、66,67,68)をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素(例えばC1,C2)を設けてなる、
請求項7ないし13のいずれか記載の自動変速機(1)の組立方法にある。
【0021】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、第2の円環部のスプラインに、摩擦板の爪部が当接し得る当接部を備えたので、第1の部材に対して第2の部材の抜け出しを防止することができる。また、例えば組立体を他の組立体に組付ける際に軸方向を鉛直方向にした状態であっても、組立体から第2の部材が抜け出すことを防止できるので、該組立体を一体的な状態で他の組立体に組付けることが可能となる。
【0023】
請求項2に係る本発明によると、当接部を第2の円環部のスプラインの複数の凹部の3箇所以上に備えることで、例えば複数の凹部の全てに当接部を備えていなくても、第2の部材が摩擦板に当接した際に、軸心方向に対して位置ずれすることを防止できる。
【0024】
請求項3に係る本発明によると、油圧サーボが摩擦板を押圧する軸方向の一方向は、摩擦板を当接部に近づける方向であるので、油圧サーボにより摩擦板を押圧した状態では、摩擦板が当接部に近づいた状態で固定されるため、第2の部材が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。
【0025】
請求項4に係る本発明によると、当接部は、油圧サーボにより押圧された摩擦板が係止部材によって位置決めされた際に当接する摩擦板の爪部に近接して配置されるので、第2の部材が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。特に油圧サーボが摩擦板を押圧する方向が摩擦板を当接部に近づける方向である際は、摩擦板が当接部に近接した位置に固定されるため、第2の部材が抜け出す方向に移動する量をさらに減らすことができる。
【0026】
請求項5に係る本発明によると、第1の円環部は、第2の円環部の外周側に配置されるので、例えば第2の円環部が外周側に配置された場合は当接部が内周側に突出して該第2の円環部の内周側に摩擦板を組付けることが困難であるが、第1の円環部が外周側にあるため、第2の円環部の外周側に摩擦板を組付けることを容易にすることができる。
【0027】
請求項6に係る本発明によると、第1の部材及び第2の部材は、それぞれ底部を有する第1のカップ状部材及び第2のカップ状部材であり、組立体は、第1のカップ状部材及び第2のカップ状部材に内包され、第1のカップ状部材の底部又は第2のカップ状部材の底部に位置決め支持される被支持部材をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素を有しているので、例えば組立体を他の組立体に組付ける際に軸方向を鉛直方向にした状態であっても、被支持部材が、第1のカップ状部材の底部又は第2のカップ状部材の底部に支持されるため、抜け出すことを防止することができる。
【0028】
請求項7に係る本発明によると、係止部材により摩擦板が位置決めされていない第2の円環部又は第1の円環部のスプラインに、組立時に摩擦板の爪部が当接する当接部を形成し、組付装置により組立体を軸を介して上方より把持した際に、当接部に摩擦板の爪部が当接し、第2のカップ状部材又は第1のカップ状部材の抜け出しを防止するので、組立体を一体的な状態で他の組立体に組付けることが可能となり、いわゆるアッセンブリ組立方法を用いることができる。
【0029】
請求項8に係る本発明によると、当接部を第2の円環部又は第1の円環部のスプラインの複数の凹部の3箇所以上に形成することで、例えば複数の凹部の全てに当接部を形成しなくても、第2の部材が摩擦板に当接した際に、軸心方向に対して位置ずれすることを防止できる。
【0030】
請求項9に係る本発明によると、当接部を形成する第2の円環部又は第1の円環部をプレス加工により形成するので、第2の円環部又は第1の円環部をコンパクト化、軽量化することができるものでありながら、当接部も簡単に形成することができる。
【0031】
請求項10に係る本発明によると、油圧サーボの油室に作動流体を注入自在な注入手段を設け、組付装置により軸を把持すると共に、注入手段により作動流体を油圧サーボの油室に注入し、押圧部材を介して摩擦板を押圧して係合させ、摩擦板が係合した状態の組立体を組付けるので、摩擦板が当接部に近づいた状態で固定することができ、第2の部材が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。また、組立装置により軸を把持した際に、軸に対して第2の部材を回転方向に固定することができ、組立体を他の組立体に組付ける際に、例えば組立装置により軸を回転させることにより、回転方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0032】
請求項11に係る本発明によると、油圧サーボは、注入手段の注入により摩擦板を当接部に近づける方向に押圧するので、摩擦板が当接部に近づいた状態で固定することができ、第2の部材が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。
【0033】
請求項12に係る本発明によると、当接部を、油圧サーボにより押圧された摩擦板が係止部材によって位置決めされた際に当接する摩擦板の爪部に近接して設けるので、第2の部材が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。特に油圧サーボが摩擦板を押圧する方向が摩擦板を当接部に近づける方向である際は、摩擦板が当接部に近接した位置に固定されるため、第2の部材が抜け出す方向に移動する量をさらに減らすことができる。
【0034】
請求項13に係る本発明によると、第1の円環部を、第2の円環部の外周側に配置して設け、係止部材により摩擦板を第1の円環部に位置決めするので、例えば第2の円環部が外周側に配置された場合は当接部が内周側に突出して該第2の円環部の内周側に摩擦板を組付けることが困難であるが、第1の円環部が外周側にあるため、第2の円環部の外周側に摩擦板を組付けることを容易にすることができる。
【0035】
請求項14に係る本発明によると、組立体に、第1のカップ状部材及び第2のカップ状部材に内包され、第2のカップ状部材の底部に位置決め支持される被支持部材をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素を設けるので、組立装置により軸を把持した状態であっても、被支持部材が、第1のカップ状部材の底部又は第2のカップ状部材の底部に支持されるため、抜け出すことを防止することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図に沿って説明する。図1は自動変速機を示す一部省略断面図、図2は第3ハブ45を示す一部省略斜視図、図3は自動変速機の組立時を示す一部省略断面図である。なお、以下の説明では、図1及び図3中における矢印A方向を前面側(前方)、また矢印B方向を後面側(背面側:後方)というものとする。
【0037】
自動変速機1は、図1に示すように、前方側にクラッチ部(組立体)23と、後方側に第1プラネタリギヤ3、第2プラネタリギヤ4、不図示の第3プラネタリギヤなどを有するギヤ部24とを備えており、ミッションケース9内に収納されている。
【0038】
クラッチ部23には、3個のクラッチ、すなわち第1クラッチ(摩擦係合要素)C1,第2クラッチ(摩擦係合要素)C2,第3クラッチC3が、これらの油圧アクチュエータ(油圧サーボ)80,81,82を有して、まとめて配置されている。これら3個のクラッチのうち第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2が前面側に、また第3クラッチC3が背面側に配置されている。すなわち、第2,第3クラッチC2,C3は、外径側において第2クラッチC2の背面側と第3クラッチC3の前面側とが対面するように、軸方向(矢印A−B方向)に略々整列されて配置されている。そして、これら第2,第3クラッチC2,C3の内径側に第1クラッチC1が配置されている。
【0039】
第1,第2,第3クラッチC1,C2,C3は、入力軸(軸)12、及び該入力軸12に連結されているスリーブ(第1の部材、底部、第1のカップ状部材)25から回転が伝達されるようになっている。該スリーブ25の内周側には、不図示のオイルポンプ及び油圧制御装置としての油路を備えたオイルポンプケースが嵌合、配設されるための環状の空間22が設けられている。入力軸12には、詳しくは後述する油圧アクチュエータ82の第1油室33に油圧供給を行うための油路b,d,eと、潤滑油として油の供給を行うための油路j,k,lとが形成されており、上記オイルポンプケースが嵌合、配設された際に、該ケースと油路b,jとをシールするためのシールリングが配設されるシール溝12a,12b,12cが形成されている。また、スリーブ25には、詳しくは後述する油圧アクチュエータ81の第2油室49及び油圧アクチュエータ80の第3油室55に油圧供給を行うための油路a,cが形成されている。
【0040】
スリーブ25の背面側には、第1クラッチC1用の第1クラッチドラム26のフランジ部26aが入力軸12に固定されている。フランジ部26aの外径側にはドラム部26bが背面側に延設するように設けてある。ドラム部26bの内周面にはスプライン26cが形成されていて、このスプライン26cには、多数のドライブプレート27が軸方向移動可能にスプライン係合されている。これらドライブプレート27が係脱される多数のドリブンディスク29は、第1ハブ(被支持部材)30の外周面に形成されたスプライン30aに軸方向移動可能にスプライン係合されている。この第1ハブ30の内径側には、スプライン30dが形成されており、中間軸31のスプライン31aにスプライン係合されている。そして、中間軸31は、前方側にて入力軸12に固着されたスリーブ96を介して該入力軸12に回転自在に支持されていると共に、後方側にて第2プラネタリギヤ4のサンギヤS2にスプライン係合されている。
【0041】
第1クラッチC1を係脱させる第1油圧アクチュエータ82は、上述の第1クラッチドラム26のフランジ部26aの背面側に配置された第1ピストン32を有している。第1ピストン32は、第1クラッチドラム26と入力軸12の外周面とによって軸方向移動可能に支持されるとともに、第1クラッチドラム26のフランジ部26aとの間に第1油室33を構成している。第1ピストン32の外径側における後端部32aは、第1クラッチC1の前面に対向する位置に配置されている。第1ピストン32の背面側には、内径側が入力軸12の外周面に固定された第1キャンセルプレート34が配設されている。第1キャンセルプレート34の前面と第1ピストン32の背面との間にはリターンスプリング35が縮設されるとともに、第1油室33に供給された遠心油圧をキャンセルする第1キャンセル室36が形成されている。
【0042】
このように構成された第1クラッチC1は、入力軸12が回転された状態で第1油室33に所定圧の油圧が供給されると、第1ピストン32がリターンスプリング35のばね力に抗して背面側に移動し、第1クラッチC1を係合させる。そして、この第1クラッチC1の係合によって、出力軸12の回転が、中間軸31に同回転数の回転として伝達されるようになっている。
【0043】
つづいて、第2,第3クラッチC2,C3について詳述する。
【0044】
スリーブ25の外周面における軸方向中央よりも少し前側には、第2,第3クラッチC2,C3用の第2,第3クラッチドラム(第1の部材、第1のカップ状部材)37(以下単に「クラッチドラム37」という。)のフランジ部37aが固定されており、フランジ部37aの外径側にはドラム部(第1の円環部)37bが背面側に延設するように設けてある。すなわち、スリーブ25とフランジ部37aとが底部、ドラム部37bが円環部となるカップ状の部材に形成されている。
【0045】
ドラム部37bの内周面にはスプライン37cが形成されていて、このスプライン37cにおける前面側には、第2クラッチC2用の多数のドライブプレート39が、また背面側には第3クラッチC3用の多数のドライブプレート(摩擦板)40がそれぞれ軸方向移動可能にスプライン係合されており、該ドライブプレート39はスナップリング61により、該ドライブプレート40はスナップリング(係止部材)62によりドラム部37bに対して軸方向に位置決めされている。つまり、クラッチドラム37の軸方向長さを長く形成して、第2,第3クラッチC2,C3用のドライブプレート39,40が軸方向に並べて構成されている。
【0046】
第2クラッチC2のドライブプレート39が係脱される多数のドリブンディスク41は、第2ハブ(被支持部材)42の外周面に形成されたスプライン42aに軸方向移動可能にスプライン係合されている。この第2ハブ42の内径側は、第2スリーブ軸(被支持部材)43に連結・固定されており、該第2スリーブ軸43の内周側にはスリーブ91,92が固着されて中間軸31に回転自在に支持されていると共に、該第2スリーブ軸43の後端にはスプライン43bが設けられて、上記第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2にスプライン係合されている。
【0047】
一方、第3クラッチC3のドライブプレート40が係脱される多数のドリブンディスク(摩擦板)44は、爪部を有して、上記クラッチドラム37に軸方向に一部がオーバラップしている第3ハブ(第2の部材、第2のカップ状部材)45の外周面のスプライン45aに軸方向移動可能にスプライン係合されている。詳細に説明すると、図2に示すように、第3ハブ45は、ドラム部(第2の円環部)45bとフランジ部45cとからなり、該ドラム部45bには、複数の凹部45hと凸部45iとを交互に有するスプライン45aが形成されている。また、フランジ部45cには、第3スリーブ軸(第2の部材、第2のカップ状部材)46のフランジ部46aが例えば溶接などにより連結・固定される固着部45gが形成されている。そして、上記ドリブンディスク44の爪部が凹部45hに嵌め合う形で、スプライン45aにスプライン係合する。なお、該凸部45iには、軸方向にずれた位置に潤滑油をドライブプレート40及びドリブンディスク44に供給するための油孔45eが設けられており、また、フランジ部45cには、軽量化のために孔45fが形成されている。
【0048】
そして、該ドラム部45bのスプライン45aの凹部45hのうち、例えば2つおきに該凹部45hに突出する当接部45dが形成されている。該当接部45dは、上記ドリブンディスク44のうち、最前方(矢印A側)に位置するドリブンディスク44aの爪部44bが、例えば第3ハブ45が後方(矢印B方向)に移動しようとすると当接するように、該ドリブンディスク44aに近接した位置に配置されており、通常は(移動していない際は)、例えば後述するように第3クラッチC3が係合した状態であっても、該ドリブンディスク44aに接触しない位置に配置されている。なお、本実施の形態では当接部45dを、例えば複数の凹部45dの2つおきに形成しているが、第3ハブ45の周方向において3つ以上形成されていればよく、3つ以上形成されていることで、例えば第3ハブ45が後方(矢印B方向)に移動して当接した際に、該第3ハブ45の位置が軸心方向に対してずれることなく(3点によりドリブンディスク44の面方向に規定されるため)位置決めされる。つまり、当接部45dを、複数の凹部45dの全てに備えていなくてもよい。
【0049】
上述のように第3ハブ45の内径側の上記固着部45gには、第3スリーブ軸46がフランジ部46aを介して連結・固定されており、図1に示すように、該第3スリーブ軸46は、内周側に固着されたスリーブ93,94を介して第2スリーブ軸43に回転自在に支持されていると共に、後端外周側に第1プラネタリギヤ3のサンギヤS1が形成されてキャリヤCR1のピニオンP1aに噛合している。すなわち、第3ハブ45と第3スリーブ46とによって、フランジ部37aとフランジ部46aとが底部、ドラム部45bが円環部となるカップ状の部材に形成されている。なお、第3スリーブ46のフランジ部46aには、後述するワンウェイクラッチF2の軸方向位置を規制するために、ワッシャ95が固着されている。
【0050】
一方、上述の第2クラッチC2を係脱させる第2油圧アクチュエータ81は、クラッチドラム37のフランジ部37aの背面側に配置された第2ピストン47を有している。第2ピストン47は、クラッチドラム37とスリーブ25の外周面とによって軸方向移動可能に支持されるとともに、クラッチドラム37との間に油密の第2油室49を構成している。第2ピストン47の外径側における後端部47aは、第2クラッチC2の前面に対向する位置に配置されている。第2ピストン47の背面側には、内径側がスリーブ25の外周面に固定された第2キャンセルプレート50が配設されている。第2キャンセルプレート50の前面と第2ピストン47の背面との間にはリターンスプリング51が縮設されるとともに、第2油室49に供給された遠心油圧をキャンセルする第2キャンセル室52が形成されている。
【0051】
上述の第3クラッチC3を係脱させる第3油圧アクチュエータは、クラッチドラム37のフランジ部37aの前面側に配置されたフランジ部53aを有する第3ピストン53を備えている。さらに第3ピストン53は、フランジ部53aの外径側からクラッチドラム37の外径側を経由して背面側に延びるドラム部53bを有している。ドラム部53bは、その内側にクラッチドラム37のドラム部37bの外周面に形成されたスプライン(不図示)に係合するスプライン53cが形成されており、またドラム部53の後方側には、ピストン部材(押圧部材)53dがスナップリング63により位置決めされる形で第3クラッチC3の背面側に対向(対応)する位置に配置されている。第3ピストン53のフランジ部53aの前面側には、内径側がスリーブ25の外周面の前端に固定された第3キャンセルプレート54が配設されている。第3ピストン53は、クラッチドラム37,第3キャンセルプレート54,スリーブ25の外周面によって軸方向移動可能に支持されている。また第3ピストン53のフランジ部53aの背面側とクラッチドラム37のフランジ部37aの前面側との間には、油密な第3油室55が形成されている。さらに第3ピストン53のフランジ部53aの前面側と第3キャンセルプレート54との間には、リターンスプリング56が縮設されるとともに、第3油室55に供給された遠心油圧をキャンセルする第3キャンセル室57が形成されている。
【0052】
上述のように構成された第1,第2,第3クラッチC1,C2,C3は、第2,第3クラッチC2,C3が外径側において第2クラッチC2の背面側と第3クラッチC3の前面側とが対面するように軸方向に略々整列させて配置され、また、これら第2,第3クラッチC2,C3の内径側に第1クラッチC1が配置され、さらに第2,第3クラッチC2,C3の一部が共通化されているので、クラッチ部23全体をコンパクトに構成することができる。
【0053】
さらに詳しくは、第1,第3クラッチC1,C3の位置関係について、第1クラッチC1は、第3クラッチC3の内径側にこの第3クラッチC3と軸方向位置が略々オーバラップするように配置されている。また、第3クラッチC3の内径側に第3ハブ45が配置され、この第3ハブ45の内径側に第2ハブ42が配置され、この第2ハブ42の内径側に第1クラッチC1が配置され、第1クラッチC1の内径側に第1ハブ30が配置されている。すなわちこれらの部材は、外界側から内径側に向けて、第3クラッチC3、第3ハブ45、第2ハブ42、第1クラッチC1、第1ハブ30の順に、軸方向位置が略々オーバラップするように順に配置されている。そのため、第1ハブ30と入力軸12との間にスラストベアリング(被支持部材)66、該第1ハブ30と第2ハブ42が固着された第2スリーブ軸43との間にスラストベアリング(被支持部材)67、該第2のスリーブ軸43と第3ハブ45が固着された第3スリーブ軸46との間にスラストベアリング(被支持部材)68がそれぞれ配設され、それらを軸方向に位置決め支持している。
【0054】
なお、第1油室33に所定圧の油圧が供給されると、第1ピストン32がリターンスプリング35のばね力に抗して背面側に移動し、第1クラッチC1を係合させる。そして、この第1クラッチC1の係合により、入力軸12と、第1クラッチドラム26,第1ハブ30等を介して中間軸31とが回転方向に対して一体的となる。
【0055】
また、同じく第2油室49に所定圧の油圧が供給されると、第2ピストン47がリターンスプリング51のばね力に抗して背面側に移動し、前面側から第2クラッチC2を係合させる。そして、この第2クラッチC2の係合により、出力軸12と、クラッチドラム37,第2ハブ42等を介して第2スリーブ軸43とが回転方向に対して一体的となる。
【0056】
さらに、同じく第3油室55に所定圧の油圧が供給されると、第3ピストン53がリターンスプリング56のばね力に抗して前面側に移動し、背面側から第3クラッチC3を係合させる。そして、この第3クラッチC3の係合により、出力軸12の回転と、クラッチドラム37,第3ハブ45等を介して第3スリーブ軸46とが回転方向に対して一体的となる。
【0057】
つづいて、ギヤ部24について簡単に説明する。ギヤ部24は、中間軸31を有しており、該中間軸31に支持された上記クラッチ部23の第3スリーブ軸46をインナーレースとする形でワンウェイクラッチF2が配設されている。該ワンウェイクラッチF2の外周側には、油圧アクチュエータ83の作動によって該ワンウェイクラッチF2のアウターレースの回転を係止自在なブレーキB3が配設されている。第3スリーブ軸46の略々中間部分には、該第3スリーブ軸46に形成されたサンギヤS1に噛合するピニオンP1aとリングギヤR1に噛合するピニオンP1bとを有するキャリヤCR1が回転自在に支持されている。該キャリヤCR1のハブの外周側にはワンウェイクラッチF1が配設されており、該キャリヤCR1のハブがワンウェイクラッチF1のインナーレースにスプライン係合していると共に、アウターレースが上記油圧アクチュエータ83を介してケース9に回転不能に係止されている。
【0058】
一方、中間軸31には、第2プラネタリギヤ4が配設されており、該第2プラネタリギヤ4のサンギヤS2が中間軸31にスプライン係合している。サンギヤS2に噛合するピニオンとリングギヤR2に噛合するピニオンとを有するキャリヤCR2は、上述したように第2スリーブ軸43のスプライン43bにスプライン係合しており、また、リングギヤR2は、上記リングギヤR1の内周側にスプライン係合している。
【0059】
ついで、上記クラッチ部23を上記ギヤ部24に組付けるための組付装置の一例を図3に沿って説明する。なお、図3に示す組付装置100は、本発明に関する部分を除き、省略して示している。
【0060】
組付装置100は、入力軸12を内包し得る円筒状のアーム部101を有しており、該アーム部101の先端部分は、上記空間22(図1参照)に嵌合する形状、即ち内周面が入力軸12に、外周面がスリーブ25に、それぞれ密着するように形成されている。該アーム部101には、空気孔f、g、hが穿設されており、空気孔hは、該アーム部101が空間22に嵌合した際に、上記入力軸の油路bの位置になるように形成されている。また、該アーム部101の先端部分の外周側には、シールリング104,105を固定すると共に、上記空気孔hと上記油路a,cとを連通させる空気孔iを有している環状のリング部材106が設けられており、該リング部材106は、ボルト107によりアーム部101に固定されるキャップ部材108により、シールリング105を介して該アーム部101に固定されている。なお、空気孔fには、不図示のエアポンプが接続されており、アーム部101の空気孔f、g、h、iに空気(作動流体)が注入自在となっている(注入手段)。
【0061】
一方、組付装置100は、図中矢印C−D方向に移動自在なロックアーム103を有しており、該ロックアーム103の先端には上記油路jに嵌合し得る形状に形成された突起部103aを有している。また、組付装置100は、クラッチ部23を把持した際に、該クラッチ部23全体の傾斜を防ぐための補助アーム102を有している。
【0062】
つづいて、上記組付装置100を用いてクラッチ部23をギヤ部24に組付ける際について説明する。本発明に係る第3ハブ45は、プレス加工によって形成され、その際に突起部45dもプレスによって形成される(図2参照)。その後、第3ハブ45の固着部45gに、第3スリーブ軸46のフランジ部46aが例えば溶接などにより連結・固定される。
【0063】
そして、図1に示すように、クラッチ部23において、入力軸12上に第1クラッチC1に関する部分、第2クラッチC2に関する部分を順に組付け、油圧アクチュエータ80及びその第3ピストン53のドラム部53bを組付ける。その後、スナップリング62をクラッチドラム37のドラム部37bの内周側に組付けて、第3ハブ45及び第3スリーブ軸46を第2ハブ42及び第2スリーブ軸43に組付ける。さらにその後、ドライブディスク40及びドリブンディスク44を交互にドラム部37bのスプライン37c及び第3ハブ45のスプライン45aに位置合わせして組付ける。そして、ピストン部材53dを第3ピストン53のドラム部53bの先端内周側に組付けると共にスナップリング63により該ピストン部材53dを係止させる。これによりクラッチ部23を1つの組立体として構成する。
【0064】
次に、図3に示すように、クラッチ部23の軸方向(矢印A−B方向)を、入力軸12を上方にした鉛直方向の状態に載置し、入力軸12のシール溝12b,12cにシールリング71,72を取り付ける。その後、組付装置100のアーム部101を上記空間22に嵌入させ、ロックアーム103を矢印D方向に移動させて突起部103aを油路jに嵌入させて、これにより組付装置100によってクラッチ部23を把持する。また、この際、不図示のエアポンプを駆動して空気孔fに空気を注入することで、空気孔f、g、h及びiを介して第1油室33、第2油室49、及び第3油室55に空気を注入し、それら油室を有する油圧アクチュエータ80,81,82を空気圧により作動する。これにより、第1クラッチC1、第2クラッチC2及び第3クラッチC3が係合した状態となる。特に第3クラッチC3においては、ピストン部材53dが第3ピストン53により矢印A方向に押圧され、ドライブディスク40及びドリブンディスク44も矢印A方向、つまり突起部45dに近づく方向に押圧されて係合する。
【0065】
つづいて、組立装置100により把持されたクラッチ部23を上方(矢印A方向に)に持ち上げ、あらかじめ組付けられているギヤ部24を持ち上げられたクラッチ部23の下方に軸心を合わせた状態で載置する。その後、クラッチ部23を組付装置100により下方に移動しつつ、第2スリーブ軸43のスプラインがキャリヤCR2のスプラインに、第3スリーブ軸46のサンギヤS1がキャリヤCR1のピニオンP1aに、第1ハブ30のスプライン30dが中間軸31のスプライン31aに、それぞれ係合或いは噛合するように軸回転方向の位置合わせを行い、クラッチ部23をギヤ部24に組付ける。そして、ロックアーム103を矢印C方向に移動して突起部103aを油路jから離間すると共に、組付装置100を上方(矢印A方向)に引き上げて、クラッチ部23の組付けを終了する。
【0066】
以上のように、組付装置100によりクラッチ部23を把持している際には、勿論、重力が作用しており、例えば軸方向にスプライン係合している部分は、全てスプラインに沿って互いに離間してしまう虞がある。しかしながら、本発明によると、第3ハブ45のスプライン45aの複数の凹部45hの3箇所以上に、特に組立時にドリブンディスク44の爪部44bが当接する当接部45dを形成し、組付装置100によりクラッチ部23を入力軸12を介して上方より把持した際に、当接部45dにドリブンディスク44の爪部44bが当接し、クラッチドラム37に対する第3ハブ45の抜け出しを防止するので、クラッチ部23を一体的な状態でギヤ部24に組付けることが可能となり、いわゆるアッセンブリ組立方法を用いることができる。この際、当接部45dを3箇所以上に備えることで、第3ハブ45がドリブンディスク44に当接した際に、該ドリブンディスク44の面方向に位置決めされて、第3スリーブ軸46などの軸心方向に対しての位置ずれを防止できる。なお、勿論のことであるが、組付装置100によりクラッチ部23を把持している状態でなくても、当接部45dによってクラッチドラム37に対する第3ハブ45の抜け出しが防止されている。
【0067】
また、当接部45dを形成する第3ハブ45をプレス加工により形成するので、該第3ハブ45をコンパクト化、軽量化することができるものでありながら、当接部45dも簡単に形成することができる。
【0068】
更に、組付装置100により入力軸12を把持すると共に、油圧アクチュエータ80の油室55に空気を注入し、ピストン部材53dを介してドライブディスク40及びドリブンディスク44を押圧して係合させた状態のクラッチ部23を組付けるので、ドリブンディスク44aが当接部45dに近づいた状態で固定することができ、第3ハブ45が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。また、組立装置100により入力軸12を把持した際に、第3クラッチC3が係合しているため、入力軸12に対して第3ハブ45を回転方向に固定することができ、クラッチ部23をギヤ部24に組付ける際に、組立装置100により入力軸12を回転させることにより、回転方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0069】
また、油圧アクチュエータ80は、その作動によりドリブンディスク44aを当接部45dに近づける方向に押圧するので、ドリブンディスク44aが当接部45dに近づいた状態で固定することができ、例えば反対方向に押圧した場合に比して、第3ハブ45が抜け出す方向に移動する量を減らすことができる。更に、当接部45dを、油圧アクチュエータ80により押圧されたドリブンディスク44aがスナップリング62によって位置決めされた際に当接するドリブンディスク44aの爪部44bに近接して設けるので、ドリブンディスク44aが当接部45dに近接した位置に固定されるため、第3ハブ45が抜け出す方向に移動する量をさらに減らすことができる。
【0070】
また、クラッチ部23には、第3ハブ45に位置決め支持される第1ハブ30、第2ハブ42及び第2スリーブ軸43、スラストベアリング66,67,68などが設けられているが、組立装置100により入力軸12を把持した状態であっても、それらの部材が、第3ハブ45のフランジ部45c及び第3スリーブ軸46のフランジ部46aに支持されるため、抜け出すことを防止することができる。
【0071】
なお、以上の本発明に係る実施の形態において、第3クラッチC3は、前方(矢印A方向)に摩擦板を押圧するものであるが、例えばクラッチドラム37の先端により後方に摩擦板を押圧する、いわゆるダブルクラッチ構造のものであってもよい。しかしながら、この際は、押圧された摩擦板が後方に移動し、つまり当接部45dから遠ざかるため、第3ハブ45の移動量が多少増すことになる。
【0072】
また、本実施の形態においては、クラッチドラム37のドラム部37bが外周側、第3ハブ45のドラム部45bが内周側であるが、反対に第3ハブ45のドラム部45が外周側、クラッチドラム37のドラム部37bが内周側であってもよい。更に摩擦板を外周側のドラム部にスナップリングで位置決めしているが、摩擦板を内周側のドラム部にスナップリングで位置決めしてもよく、この際は、外周側のドラム部に当接部を設けることになる。しかしながら、外周側のドラム部に当接部を設けることは、摩擦板を内周側より組付けることになり、該摩擦板を組付けることが困難であるが、本実施の形態では、当接部45dが形成されている第3ハブ45のドラム部45bが内周側、つまりクラッチドラム37のドラム部37bが外周側にあるため、第3ハブ45のドラム部45bの外周側に摩擦板(ドライブディスク40及びドリブンディスク44)を組付けることを容易にすることができる。
【0073】
また、本実施の形態において、クラッチ部23を組付ける際に、注入手段により空気を各油室33,49,55に注入しているが、特に空気でなくてもよく、例えば油であってもよく、つまり油圧アクチュエータが作動し得る作動流体であれば何れのものを用いてもよい。更に、本実施の形態では、油圧アクチュエータ80,81,82の油室33,49,55の全てに作動流体を注入しているが、クラッチ部23の外郭をなす第3ハブ45を係合させる油圧アクチュエータ80の第3油室55だけに注入して作動させれば、該第3ハブ45の移動する量を最小限にできることは、勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機を示す一部省略断面図。
【図2】第3ハブを示す一部省略斜視図。
【図3】自動変速機の組立時を示す一部省略断面図。
【符号の説明】
1  自動変速機
12  軸(入力軸)
23  組立体(クラッチ部)
25  第1の部材、底部、第1のカップ状部材(スリーブ)
30  被支持部材(第1ハブ)
37  第1の部材、第1のカップ状部材(クラッチドラム)
37a  底部(フランジ部)
37b  第1の円環部(ドラム部)
37c  スプライン
40  摩擦板(ドライブディスク)
42  被支持部材(第2ハブ)
43  被支持部材(第2スリーブ軸)
44  摩擦板(ドリブンディスク)
44b  爪部
45  第2の部材、第2のカップ状部材(第3ハブ)
45a  スプライン
45b  第2の円環部(ドラム部)
45c  底部(フランジ部)
45d  当接部
45h  凹部
46  第2の部材、第2のカップ状部材(第3スリーブ軸)
46a  底部(フランジ部)
53d  押圧部材(ピストン部材)
55  油室(第3油室)
62  係止部材(スナップリング)
66  被支持部材(スラストベアリング)
67  被支持部材(スラストベアリング)
68  被支持部材(スラストベアリング)
80  油圧サーボ(油圧アクチュエータ)
100  組付装置
C1  摩擦係合要素(第1クラッチ)
C2  摩擦係合要素(第2クラッチ)

Claims (14)

  1. スプラインが形成された第1の円環部を有する第1の部材と、スプラインが形成されると共に少なくとも一部が前記第1の円環部に軸方向にオーバラップする第2の円環部を有する第2の部材と、爪部を有して前記第1の円環部と前記第2の円環部との前記オーバラップした部分にてそれぞれスプライン係合する複数の摩擦板と、該摩擦板を軸方向の一方に押圧自在な押圧部材を有する油圧サーボと、該油圧サーボの押圧部材により押圧される前記摩擦板を、前記第1の円環部に軸方向に対して位置決めする係止部材と、を有する組立体を備えた自動変速機において、
    前記第2の円環部のスプラインに、前記摩擦板の爪部が当接し得る当接部を備える、
    ことを特徴とする自動変速機。
  2. 前記当接部は、前記第2の円環部のスプラインの複数の凹部の3箇所以上に備えられてなる、
    請求項1記載の自動変速機。
  3. 前記油圧サーボが前記摩擦板を押圧する前記軸方向の一方向は、前記摩擦板を前記当接部に近づける方向である、
    請求項1または2記載の自動変速機。
  4. 前記当接部は、前記油圧サーボにより押圧された前記摩擦板が前記係止部材によって位置決めされた際に当接する摩擦板の爪部に近接して配置されてなる、
    請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機。
  5. 前記第1の円環部は、前記第2の円環部の外周側に配置されてなる、
    請求項1ないし4のいずれか記載の自動変速機。
  6. 前記第1の部材及び前記第2の部材は、それぞれ底部を有する第1のカップ状部材及び第2のカップ状部材であり、
    前記組立体は、前記第1のカップ状部材及び前記第2のカップ状部材に内包され、前記第1のカップ状部材の底部又は前記第2のカップ状部材の底部に位置決め支持される被支持部材をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素を有してなる、
    請求項1ないし5のいずれか記載の自動変速機。
  7. 軸に固定され、底部とスプラインが形成された第1の円環部とを有する第1のカップ状部材と、組立時に底となる底部とスプラインが形成されると共に少なくとも一部が前記第1の円環部にオーバラップする第2の円環部とを有する第2のカップ状部材と、爪部を有して前記第1の円環部と前記第2の円環部との前記オーバラップした部分にてそれぞれスプライン係合する複数の摩擦板と、該摩擦板を軸方向の一方に押圧自在な押圧部材を有する油圧サーボと、該油圧サーボの押圧部材により押圧される前記摩擦板を、前記第1の円環部又は前記第2の円環部に軸方向に対して位置決めする係止部材と、を有する組立体を組付ける自動変速機の組立方法において、
    前記係止部材により前記摩擦板が位置決めされていない前記第2の円環部又は前記第1の円環部のスプラインに、前記組立時に前記摩擦板の爪部が当接する当接部を形成し、
    組付装置により前記組立体を前記軸を介して上方より把持した際に、前記当接部に前記摩擦板の爪部が当接し、前記第2のカップ状部材又は前記第1のカップ状部材の抜け出しを防止する、
    ことを特徴とする自動変速機の組立方法。
  8. 前記当接部を、前記第2の円環部又は前記第1の円環部のスプラインの複数の凹部の3箇所以上に形成してなる、
    請求項7記載の自動変速機の組立方法。
  9. 前記当接部を形成する前記第2の円環部又は前記第1の円環部をプレス加工により形成してなる、
    請求項7または8記載の自動変速機の組立方法。
  10. 前記油圧サーボの油室に作動流体を注入自在な注入手段を設け、
    前記組付装置により前記軸を把持すると共に、前記注入手段により前記作動流体を前記油圧サーボの油室に注入し、前記押圧部材を介して前記摩擦板を押圧して係合させ、
    前記摩擦板が係合した状態の前記組立体を組付けてなる、
    請求項7ないし9のいずれか記載の自動変速機の組立方法。
  11. 前記油圧サーボは、前記注入手段の注入により前記摩擦板を前記当接部に近づける方向に押圧してなる、
    請求項10記載の自動変速機の組立方法。
  12. 前記当接部を、前記油圧サーボにより押圧された前記摩擦板が前記係止部材によって位置決めされた際に当接する摩擦板の爪部に近接して設けてなる、
    請求項10または11記載の自動変速機の組立方法。
  13. 前記第1の円環部を、前記第2の円環部の外周側に配置して設け、
    前記係止部材により前記摩擦板を前記第1の円環部に位置決めしてなる、
    請求項7ないし12のいずれか記載の自動変速機の組立方法。
  14. 前記組立体に、前記第1のカップ状部材及び前記第2のカップ状部材に内包され、前記第2のカップ状部材の底部に位置決め支持される被支持部材をそれぞれ備える複数の摩擦係合要素を設けてなる、
    請求項7ないし13のいずれか記載の自動変速機の組立方法。
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