JP2002161952A - 自動変速機 - Google Patents

自動変速機

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JP2002161952A
JP2002161952A JP2000356792A JP2000356792A JP2002161952A JP 2002161952 A JP2002161952 A JP 2002161952A JP 2000356792 A JP2000356792 A JP 2000356792A JP 2000356792 A JP2000356792 A JP 2000356792A JP 2002161952 A JP2002161952 A JP 2002161952A
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Japan
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clutch
gear
planetary gear
automatic transmission
input
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Application number
JP2000356792A
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English (en)
Inventor
Nobutada Sugiura
伸忠 杉浦
Takuya Ishii
卓也 石井
Atsushi Mori
篤 森
Hiroyuki Tsukamoto
広幸 塚本
Kazuhisa Ozaki
和久 尾崎
Toshiki Kaneda
俊樹 金田
Yuji Kashiwabara
裕司 柏原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 径方向外側に2個のクラッチを軸方向に並べ
て配置し、一方からの押圧操作で両クラッチの操作を可
能とし、クラッチ部のコンパクト化を図る。 【解決手段】 入力軸12に一体に連結されるC3クラ
ッチドラム26の内周側に、C2クラッチドラム29を
配置して、第2クラッチC2及び第3クラッチC3を軸
方向に並べて配置する。C2クラッチドラム29は第3
クラッチC3操作用ピストン30の一部29dを構成す
る。第2クラッチC2を操作する際は、第3クラッチC
3は係合状態に保持され、上記ピストンの一部を構成す
るC2クラッチドラム29は所定位置にあって、該クラ
ッチ操作を干渉することはない。また、第3クラッチC
3を操作する際は、第2クラッチC2は解放状態にあ
り、第2クラッチC2に影響を及ぼすことなく、第3ク
ラッチC3が操作される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
る自動変速機に係り、特に多数のクラッチをまとめて配
置した自動変速機に用いて好適であり、詳しくは該クラ
ッチ部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平9−32918号公報に示
すように、3個のクラッチ、具体的にはロークラッチ
(L/C)、ハイクラッチ(H/C)、リバースクラッ
チ(R/C)を自動変速機構のフロント側(トルクコン
バータ)にまとめて配置した自動変速機が提案されてい
る(前者)。上記3個のクラッチからなるクラッチ部
は、入力軸に連結されたクラッチドラムにスプライン係
合してハイクラッチ及びリバースクラッチが軸方向に並
列して配置され、かつハイクラッチは、クラッチドラム
の内径側に配置されたピストンにより操作され、またリ
バースクラッチは、上記クラッチドラムのフロント側外
方に配置されたピストンにより、該クラッチドラムの外
径側を通る押圧フランジ(引き操作部材)を介して操作
される。
【0003】また、特開平2−72250号公報に示す
ように、3個のクラッチ、具体的にはフォワードクラッ
チ(C1)、1ST&2ND・3RDクラッチ(C
2)、オーバドライブクラッチ(C3)をリヤ側にまと
めて配置した自動変速機が提案されている(後者)。該
クラッチ部は、各クラッチ(C1,C2,C3)を径方
向に異なる位置に配置しており、中間に位置するC1ク
ラッチのクラッチドラムを入力部材に一体に連結してシ
リンダとして、その軸方向一方側に、外径部に位置する
C3クラッチ操作用のピストンを配置し、またその軸方
向他方側に、内径側に位置するC2クラッチ操作用ピス
トンを配置し、かつ該C2クラッチ用クラッチドラムを
連結リングによりC1クラッチドラムに連結している。
【0004】上記クラッチ部の、C3クラッチ用ピスト
ン(引き操作部材)は、該C3クラッチ用クラッチドラ
ムを構成すると共に、その引き方向操作によりC1クラ
ッチドラムとの間で該C3クラッチを押圧操作し、また
C1用ピストンにより上記連結リングと共にC1クラッ
チを押圧操作し、またC2用ピストンによりC2クラッ
チを押圧操作している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前者及び後者のもの
は、共に入力部材に一体に固定されてシリンダとなる部
材(前者のハイクラッチ用クラッチドラム、後者のC1
用クラッチドラム)が軸方向中間に配置され、その前後
両側にピストン部材を配置している。そのため、クラッ
チ部の最外径側に引き操作するドラム部材(引き操作部
材)を配置することになり、そのリターンスプリングの
配置及び内側のクラッチドラムとの干渉防止のため、構
造が複雑となると共に、一層のコンパクト化の障害とな
っている。
【0006】また、後者のものは、上記引き操作部材を
C3クラッチのクラッチドラムとして兼用しているた
め、C3クラッチとC2クラッチとを軸方向に並べて配
置することができず、各クラッチをそれぞれ径方向に異
なる位置に配置することになり、径方向のコンパクト化
が充分に図れないと共に、最内径側のクラッチ(C2)
のトルク容量が小さくなり、自動変速機の容量が規制さ
れてしまう。
【0007】また、前者のものは、まとめて配置される
3個のクラッチがリバースクラッチを含んでおり、すべ
て前進時に係合するクラッチではなく、また上記引き操
作部材を専用として、同じクラッチドラムに2個のクラ
ッチ(H/C、R/C)を並列配置することが可能とな
るが、そのために専用の上記引き操作部材(押圧フラン
ジ)を、クラッチドラムの外径側に延出して配置する必
要があると共に、その軸方向両端において、一方にピス
トン構造、他方にクラッチ押圧部(内径方向への曲げ構
造)を配置する必要があり、構造が複雑になると共に組
立てが面倒となり、一層のコンパクト化及び信頼性の向
上の支障となっている。
【0008】そこで、本発明は、前進時に係合する3個
のクラッチをまとめて配置すると共に、径方向外側に2
個のクラッチを軸方向に並べて配置し、一方向からの押
圧操作で両クラッチの操作が可能になるように構成し、
もって上述した課題を解決したクラッチ部を有する自動
変速機を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明
は、クラッチ(C…)及び係止手段(B…,F…)によ
り、ギヤ部(60)の動力伝達経路を変更して、入力部
材(12)の回転を複数の変速段(例えば前進5速、後
進1速)に変更して出力部材に伝達してなる、自動変速
機において、前記入力部材の回転を前記ギヤ部の異なる
回転要素に連結して、前進時に係合する、第1、第2及
び第3クラッチの少なくとも3個のクラッチ(C1,C
2,C3)を、その油圧アクチュエータ(55,49,
46)と共にまとめて配置してクラッチ部(23)を構
成し、前記第1クラッチ(C1)を内径側に、前記第2
及び第3クラッチ(C2,C3)を外径側において軸方
向に略々整列するように配置し、前記第2クラッチ(C
2)のクラッチドラム(29)の外径側を被嵌するよう
に第3クラッチ(C3)のクラッチドラム(26)を延
設すると共に、前記第2クラッチのクラッチドラム(2
9)を、前記第3クラッチ(C3)の油圧アクチュエー
タ(43)のピストン(30)の一部(29d)とな
し、前記第2クラッチ(C2)が係合する変速段(例え
ば4速、5速)にあっては、前記第3クラッチ(C3)
が係合状態(例えば3速、4速、5速)に保持され、か
つ前記第3クラッチ(C3)が係合又は解放作動する変
速段(例えば3速)にあっては、前記第2クラッチ(C
2)が解放状態に保持されてなる、ことを特徴とする自
動変速機にある。
【0010】請求項2に係る本発明は(例えば図6参
照)、前記第1クラッチ(C1)は、最低速段(例えば
1速)から係合して最高速段(例えば5速)にて解放
し、前記第2クラッチ(C2)は、高速段(例えば4
速)から最高速段(例えば5速)まで係合し、前記第3
クラッチ(C3)は、中速段(例えば3速)から最高速
段(例えば5速)まで係合してなる、請求項1記載の自
動変速機にある。
【0011】請求項3に係る本発明は(例えば図3参
照)、前記第3クラッチ(C3)のクラッチドラム(2
6)は、前記入力部材(12)に一体に連結されて該第
3クラッチ(C3)の油圧アクチュエータ(46)のシ
リンダとなる部材(25,25a)に設けられ、該シリ
ンダとなる部材(25,25a)の軸方向一方側に、前
記第2クラッチ(C2)のクラッチドラム(29)であ
ると共に前記第3クラッチ(C3)のピストンの一部
(29d)を構成する可動部材(30)を油密状に嵌合
し、該可動部材(30)の軸方向一方側に、前記第2ク
ラッチ(C2)の油圧アクチュエータ(49)のピスト
ン部材(47)を油密状に嵌合し、該ピストン部材(4
7)の軸方向一方側に、前記入力部材(12,25)に
対して少なくとも一方向の軸方向移動が阻止されている
キャンセルプレート(52)を配置して該キャンセルプ
レート(50)と前記ピストン部材(47)との間で、
前記第2及び第3クラッチの油圧アクチュエータ用遠心
油圧キャンセル室(52)を構成してなる、請求項1又
は2記載の自動変速機にある。
【0012】請求項4に係る本発明は(例えば図3参
照)、前記キャンセルプレート(52)の軸方向一方側
に、前記入力部材(12)に一体に連結されて前記第1
クラッチ(C1)のクラッチドラムを構成すると共に該
第1クラッチの油圧アクチュエータ(55)のシリンダ
となる部材(32)を配置し、該シリンダとなる部材
(32)の軸方向一方側に、該第1クラッチ(C1)の
油圧アクチュエータ(55)のピストン部材(53)を
油密状に嵌合し、該ピストン部材(53)の軸方向一方
側に、前記入力部材(12)に対して少なくとも一方向
の軸方向移動が阻止されているキャンセルプレート(5
6)を配置して該キャンセルプレート(56)と前記ピ
ストン部材(53)との間で、前記第1クラッチの油圧
アクチュエータ用遠心油圧キャンセル室(59)を構成
してなる、請求項3記載の自動変速機にある。
【0013】請求項5に係る本発明は(例えば図3参
照)、前記第3クラッチ(C3)のクラッチドラム(2
6)及び前記第2クラッチ(2)のクラッチドラム(2
9)の外周部は、軸方向に略々直線状に構成され、前記
第3クラッチ(C3)の外プレート(27)を第2クラ
ッチ(C2)の外プレート(31)に対して、その外周
部が外径側に位置するように配置した、請求項1ないし
4にいずれか記載の自動変速機にある。
【0014】請求項6に係る本発明は(例えば図5参
照)、前記ギヤ部(60)は、前記入力部材(12)の
回転数を変更して出力要素(R1)に出力する第1のギ
ヤユニット(130)と、該出力要素に連結する回転要
素(R2)と、前記入力部材(12)に連結する入力回
転要素(136,137)と、前記出力部材に連結する
出力回転要素(138)と、を有し、動力伝達経路を変
更して複数の変速段として前記出力回転要素に出力する
第2のギヤユニット(131)と、を備え、前記第1、
第2及び第3クラッチ(C1,C2,C3)は、前記入
力部材と、前記第1のギヤユニットの入力要素(S1)
及び第2のギヤユニットの異なる前記入力回転要素(1
36,137)との間に介在してなる、請求項1ないし
5のいずれか記載の自動変速機にある。
【0015】請求項7に係る本発明は(例えば図1、図
5参照)、前記第1のギヤユニット(130)は、前記
入力部材(12)と前記第2クラッチ(C2)を介して
連結する前記入力要素(S1)と、第1の係止手段(B
1,F1)にて適宜係止される所定回転要素(CR1)
と、該係止手段により直結回転及び減速回転に切換えら
れて出力する前記出力要素(R1)と、を有する第1プ
ラネタリギヤからなり、該第1プラネタリギヤ(3)
は、前記第2のギヤユニット(131)に対して軸方向
前記クラッチ部(23)側に配置されてなる、請求項6
記載の自動変速機にある。
【0016】請求項8に係る本発明は(例えば図1、図
5参照)、前記第2のギヤユニット(131)は、4個
の回転要素を有する第1及び第2プラネタリギヤ(4)
(5)からなり、第1の回転要素(137)は、前記第
1クラッチ(C1)を介して前記入力部材(12)に連
結し、第2の回転要素(136)は、前記第2クラッチ
(C2)を介して前記入力部材(12)に連結すると共
に第2の係止手段(B4,F3)に連結し、第3の回転
要素(135)は、前記第1のギヤユニットの出力要素
(R1)と連結すると共に第3の係止手段(B2)に連
結し、第4の回転要素(138)は、前記出力部材(1
05)に連結して前記出力回転要素を構成してなり、前
記第2プラネタリギヤ(4)が、前記第3プラネタリギ
ヤ(5)に対して軸方向前記第1プラネタリギヤ(3)
側に配置されてなる、請求項7記載の自動変速機にあ
る。
【0017】請求項9に係る本発明は(例えば図1,図
5,図7参照)、前記第1プラネタリギヤ(3)は、デ
ュアルプラネタリギヤからなり、そのサンギヤ(S1)
が前記第3クラッチ(C3)を介して前記入力部材(1
2)に連結すると共に第4の係止手段(B3,F2)に
連結して前記入力要素を構成し、そのキャリヤ(CR
1)が前記第1の係止手段(B1,F1)に連結して前
記所定回転要素を構成し、そのリングギヤ(R1)が前
記第2プラネタリギヤ(4)のリングギヤ(R2)に連
結して前記出力要素を構成し、前記第2プラネタリギヤ
(4)及び第3プラネタリギヤ(5)は、シンプルプラ
ネタリギヤからなり、そのサンギヤ(S2)(S3)同
士を連結すると共に前記第1クラッチ(C1)を介して
前記入力部材(12)に連結して前記第1の回転要素
(137)を構成し、前記第1プラネタリギヤ(3)の
リングギヤ(R1)と前記第2プラネタリギヤ(4)の
リングギヤ(R2)同士を連結すると共に前記第3の係
止手段(B2)に連結して前記第3の回転要素(13
5)を構成し、前記第2プラネタリギヤ(4)のキャリ
ヤ(CR2)と前記第3プラネタリギヤ(5)のリング
ギヤ(R3)を連結しかつ前記第2クラッチ(C2)を
介して前記入力部材(12)に連結すると共に前記第2
の係止手段(B4,F3)に連結して前記第2の回転要
素(136)を構成し、前記第3プラネタリギヤ(5)
のキャリヤ(CR3)を前記出力部材(105)に連結
して前記第4の回転要素(138)を構成してなる、請
求項8記載の自動変速機にある。
【0018】なお、上記カッコ内に示した図面対照符号
は、実施の形態との対応付けを容易及び迅速化するため
の便宜的なものであり、これにより、特許請求の範囲記
載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0019】
【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、前進時
に係合する3個のクラッチをまとめてコンパクトに配置
できると共に、第2クラッチのクラッチドラムの外径側
を被嵌するように第3のクラッチドラムを延設して、ク
ラッチ部の外径側に2個のクラッチを軸方向に並べて配
置することが可能となり、その結果クラッチ部のコンパ
クト化及び内径側の第1クラッチのトルク容量も確保で
きるものでありながら、第2クラッチのクラッチドラム
を、第3クラッチ用のピストンの一部としたので、シリ
ンダとなる入力部材に一体に固定された部材の一方側に
油圧アクチュエータを配置することが可能となって、ク
ラッチ部の構造を簡単化して組立て性能をも向上するこ
とができる。
【0020】更に、第2クラッチのクラッチドラムを、
第3クラッチ用ピストンの一部とする場合、例えば第2
クラッチが係合している状態で第3クラッチを操作する
と、ピストンの一部となる第2クラッチのクラッチドラ
ムを、第2クラッチの係合を保持した状態で移動する必
要が生じ、正確なクラッチ作動の支障となる場合がある
が、本発明にあっては、第2クラッチを係合又は解放操
作する際は、第3クラッチは既に係合されているため、
該第3クラッチ用ピストンとして兼用される第2クラッ
チのクラッチドラムは所定位置にあって、第3クラッチ
に何等影響を与えることなく第2クラッチを操作でき、
また第3クラッチを係合又は解放する際は、第2クラッ
チは解放状態にあって、第2クラッチに何等影響を与え
ることなく第3クラッチを操作でき、第2クラッチ及び
第3クラッチの操作が互に干渉することがなく、正確か
つ確実に行うことができ、クラッチ作動の信頼性を確保
することができる。
【0021】請求項2に係る本発明によると、第1クラ
ッチは、第2クラッチ及び第3クラッチの操作に関係な
く独立した操作が可能であり、かつ第2及び第3クラッ
チも、第2クラッチドラムを第3クラッチ用ピストンの
一部として用いるものでありながら、互に干渉すること
なく信頼性の高いクラッチ作動が可能であり、これによ
り、コンパクトな構成のクラッチ部でもって、前進5
速、後進1速等の多段変速を行うことができる。
【0022】請求項3に係る本発明によると、入力部材
に一体に連結されてシリンダとなる部材の一側方に、順
次第3クラッチ用油圧アクチュエータ及び第2クラッチ
用油圧アクチュエータを配置して、単純な構造でもって
コンパクトに構成でき、更にその背面に設けた1個のキ
ャンセルプレートからなる1個の遠心油圧キャンセル室
により、第3クラッチ及び第2クラッチの両油圧アクチ
ュエータを作動して、遠心油圧をキャンセルした正確な
クラッチ作動を行うことができるものでありながら、一
層のコンパクト化を図ることができる。
【0023】請求項4に係る本発明によると、第1クラ
ッチを、第2及び第3クラッチの内径側に配置し、更に
その油圧アクチュエータも、前記第2及び第3クラッチ
用油圧アクチュエータの軸方向一方側に配置して、クラ
ッチ部をコンパクトにまとめることができると共に、該
第1クラッチを、第2及び第3クラッチの作動から独立
して適宜作動することができ、また専用のキャンセル室
を合理的に配置して、コンパクト性を保持しつつ、高い
精度での第1クラッチの作動を確保することができる。
【0024】請求項5に係る本発明によると、第2クラ
ッチ及び第3クラッチの軸方向、即ちプレート枚数を必
要に応じて設定でき、また第3クラッチの外径方向も必
要に応じて設定でき、内径側を狭めることなく、必要ト
ルク容量に応じた各クラッチのトルク容量を容易に設定
することが可能であり、コンパクト性を維持しつつ高い
設計自由度を得ることができる。
【0025】請求項6に係る本発明によると、前述した
コンパクトな構成のクラッチ部とマッチとした、第1の
ギヤユニット及び第2のギヤユニットからなるギヤ部に
より、自動変速機全体のコンパクト性を維持しつつ、前
進5速、後進1速等の多段変速を得ることができる。
【0026】請求項7に係る本発明によると、第1の係
止手段により直結回転及び減速回転に切換えられる第1
プラネタリギヤにより、第3クラッチを中速段から最高
速段まで係合することが可能となり、かつ該第1プラネ
タリギヤをクラッチ部側に配置することにより、第3ク
ラッチを最外径側に延びるクラッチドラムに設けて、上
述した第3クラッチのクラッチドラムを第2クラッチの
ピストンの一部とするコンパクトな配置と共に、高い制
御性を保持することができる。
【0027】請求項8に係る本発明によると、第1プラ
ネタリギヤに、4個の回転要素を有する第2及び第3プ
ラネタリギヤからなる第2のギヤユニットを組合せて、
第1プラネタリギヤの入力要素の外に、第2のギヤユニ
ット第1及び第2の回転要素に適宜入力部材からの回転
を入力すると共に、クラッチ部から軸方向に順次第1、
第2、第3プラネタリギヤを配置することが相俟って、
第1、第2及び第3クラッチを合理的にかつコンパクト
にまとめて配置することが可能となり、自動変速機全体
のコンパクトな構成を可能とすると共に、合理的なステ
ップ比による前進5速等の多段変速が可能となる。
【0028】請求項9に係る本発明によると、クラッチ
部と、第1、第2及び第3プラネタリギヤ及びその係止
手段によるギヤ部との最適なマッチングにより、コンパ
クトな構成でもって、適正なステップ比による、精度及
び信頼性の高い自動変速機を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明に係る自動
変速機の全体断面図、図2ないし図4は、その部分拡大
断面図である。自動変速機1は、図1に示すように、ト
ルクコンバータ2と、3個のプラネタリギヤ3、4、5
を有する多段変速機構6と、を有しており、これらトル
クコンバータ及び多段変速機構が1軸状に直列的に配置
されていると共に、コンバータハウジング7及びミッシ
ョンケース9からなる一体ケースに収納されている。
【0030】トルクコンバータ2は、図2に詳示するよ
うに、エンジン出力軸(図示せず)に連結されるカバー
10に設けられたポンプぺラ11と、多段変速機構6の
入力軸12に連結されるタービンランナ13と、ワンウ
ェイクラッチ15を介して支持されているステータ16
と、を有しており、更に上記カバー10と入力軸12を
スプリングダンパ17を介して機械的に連結するロック
アップクラッチ19を備えている。また、コンバータハ
ウジング7及びミッションケース9の間部分にはポンプ
ケース20が固定されており、該ケース20には、オイ
ルポンプ21が配設されていると共に、前記カバー10
が回転自在に支持されている。更に、該ケース20の後
側面にはポンプカバー22が固定されており、該カバー
22には前記ワンウェイクラッチ15のインナレースが
固定されていると共に、各油路が形成されている。
【0031】前記多段変速機構6の前方部分(トルクコ
ンバータ側)は、3個のクラッチC1、C2、C3がそ
の油圧アクチュエータと共にまとめて配置されるクラッ
チ部23となっている。該クラッチ部は、図3に詳示す
るように、前記ポンプカバー22のボス部22aに回転
自在に支持されると共に前記入力軸(入力部材)12に
連結されているスリーブ25を有している。該スリーブ
25は前方部分にてフランジ状になっており、かつ該フ
ランジ部25aの外周部分に第3ドラム部材(クラッチ
ドラム)26が固着されている。該第3ドラム部材の内
周面にはスプライン26aが形成されており、該スプラ
インに、第3クラッチC3のドライブプレート(外摩擦
板)27が係合していると共に、第2ドラム部材(クラ
ッチドラム)29が係合しており、両クラッチドラム
(第3ドラム部材、第2ドラム部材)26,27は、一
体に回転して共通化されている。
【0032】該第2ドラム部材29はその内径側に可動
部材30が一体に固着されて、前記スリーブ25に油蜜
状に軸方向移動自在に支持されており、かつそのドラム
部外周面にスプライン29aが形成されて前記第3ドラ
ムのスプライン26aに係合していると共に、その内周
面にスプライン29bが形成されて、該スプラインに第
2クラッチC2のドライブプレート(外摩擦板)31が
係合している。また、前記第2及び第3クラッチC2、
C3の内径側において、前記入力軸12に固定されて第
1ドラム部材(クラッチドラム)32が配置されてお
り、該ドラム部材の外径側部内周面にスプライン32a
が形成されており、該スプラインに、第1クラッチC1
のドライブプレート(外摩擦板)33が係合している。
【0033】一方、異なる半径上に、小径側から第1ハ
ブ35、第2ハブ36、第3ハブ37が順次配設されて
おり、各ハブの外周面にはそれぞれスプライン35a、
36a、37aが形成されている。そして、第1ハブの
スプライン35aには第1クラッチC1のドリブンディ
スク(内摩擦板)39が、第2ハブのスプライン36a
には第2クラッチC2のドリブンディスク(内摩擦板)
40が、第3ハブのスプライン37aには第3クラッチ
C3のドリブンプレート(内摩擦板)41がそれぞれ係
合しており、また第1ハブ35は中心軸からなる中間軸
42に、第2ハブ36は該中心軸に被嵌する第2スリー
ブ軸43に、第3ハブ37は該第2スリーブ軸に被嵌す
る第3スリーブ軸45にそれぞれ連結・固定されてい
る。即ち、中間軸42、第2スリーブ軸43及び第3ス
リーブ軸45は同軸状にそれぞれブッシュ等を介在して
回転自在に支持されている。
【0034】また、前記スリーブのフランジ部25aに
は、その軸方向後側にて、前記可動部材30が油蜜状に
嵌合して、第3クラッチ用油圧アクチュエータ46を構
成しており、上記可動部材30に固定されている第2ド
ラム部材29は、前記第2クラッチC2の係合面を越え
た先端部29dが前記第3クラッチC3に対向して、第
3クラッチ用ピストンの一部を構成している。前記可動
部材30には、その軸方向後側にて、第2ピストン部材
47が油密状に嵌合して、第2クラッチ用油圧アクチュ
エータ49を構成しており、該ピストン部材の外径側先
端部47aが前記第2クラッチC2に対向している。更
に、第2ピストン部材47の背面(軸方向後側)には、
スリーブ25に嵌合されたスナップリングにより軸方向
移動が規制されてキャンセルプレート50が油密状に嵌
合しており、該キャンセルプレート50と第2ピストン
部材47の背面との間はリターンスプリング51が縮設
されていると共に、前記油圧アクチュエータ46,49
の遠心油圧をキャンセルするキャンセル室52となって
いる。
【0035】また、前記第1ドラム部材32は、前記キ
ャンセルプレート50の軸方向後側に配置されており、
該第1ドラム部材には、その軸方向後側にて、第1ピス
トン部材53が油密状に嵌合して、第1クラッチ用油圧
アクチュエータ55を構成しており、該ピストン部材の
先端53aが第1クラッチC1に対向している。更に、
第1ピストン部材53の背面(軸方向後側)には、入力
軸12に嵌合されたスナップリングにより軸方向移動が
規制されてキャンセルプレート56が油密状に嵌合して
おり、該キャンセルプレートと第1ピストン部材53の
背面との間はリターンスプリング57が縮設されている
と共に、前記油圧アクチュエータ55の遠心油圧をキャ
ンセルするキャンセル室59となっている。
【0036】即ち、第3ドラム部材26及び第2ドラム
部材29は、スプライン26a、29bが形成されてい
る外周部分が直線状に延びており、かつ第3ドラム部材
26は、第2ドラム部材29の外周面を被嵌して軸方向
に、該第2ドラム部材より所定最延長して延設されてい
る。従って、これら第3ドラム部材26及び第2ドラム
部材29に係合している第3クラッチC3及び第2クラ
ッチC2が軸方向に略々整列して、かつ第3クラッチC
3が、そのドライブプレートの外周面を第2クラッチの
それよりも略々第2ドラム部材26の板厚だけ外径側に
位置すると共に軸方向後側に配置されている。
【0037】また、第1クラッチC1は、第2及び第3
クラッチの内径側に位置されており、かつ該第1クラッ
チの内径側に、前記第1クラッチ用油圧アクチュエータ
55のキャンセル室59の大部分が配置されており、該
第1クラッチC1は、第2及び第3クラッチC2,C3
の内周側に配置されて、これら第2及び第3クラッチと
は独立して作動する。
【0038】前記多段変速機構6の後方部分は3個のプ
ラネタリギヤ3、4、5がその係止手段(ブレーキ及び
ワンウェイクラッチ)とまとめて配置されるギヤ部60
となっている。該ギヤ部60は、図4に詳示するよう
に、前方(入力部材12側)から、前記第3スリーブ軸
45に形成されたサンギヤS1を有する第1プラネタリ
ギヤ3、前記第2スリーブ軸43に連結されるキャリヤ
CR2を有する第2プラネタリギヤ4、そして前記中間
軸42に形成されたサンギヤS3を有する第3プラネタ
リギヤ5が順次配設されている。更に、前記クラッチ部
23と第1プラネタリギヤ3との軸方向間部分に第3ブ
レーキB3、第1ワンウェイクラッチF1(第4の係止
手段)及び第2ワンウェイクラッチF2(第1の係止手
段)が配設されており、また第2プラネタリギヤ4と第
3プラネタリギヤ5との軸方向間部分に第3ワンウェイ
クラッチ(第1のワンウェイクラッチ)F3が配設され
ている。
【0039】第3ブレーキB3は多板ブレーキからな
り、複数枚の外ブレーキプレート61がケース9に形成
されたスプライン9aに係合しており、また第2ワンウ
ェイクラッチF2のアウタレース62に固定されている
ハブ63に、上記ブレーキの内ブレーキディスク65が
係合している。前記第2ワンウェイクラッチF2のイン
ナレースは前記第3のスリーブ軸45自体で形成されて
おり、前記第3ブレーキB3と第2ワンウェイクラッチ
F2とは、異なる径方向位置において、軸方向に略々オ
ーバラップする位置に配置されている。
【0040】前記第3ブレーキB3の軸方向後方側に
は、該ブレーキ用油圧アクチュエータ66が配設されて
おり、該アクチュエータは、ケース9に軸方向及び回転
方向移動不能に連結されたシリンダ部材67と、該シリ
ンダ部材に油密状に嵌合して、その前方端部69aが上
記ブレーキB3に対向しているピストン部材69と、か
らなる。更に、上記シリンダ部材の内周面にスプライン
係合されて、第1ワンウェイクラッチF1のアウタレー
ス70が配置されており、該ワンウェイクラッチのイン
ナレース71は第1プラネタリギヤ3におけるキャリヤ
CR1のボス部72にスプライン係合している。そし
て、上記第3ブレーキ用油圧アクチュエータ66と第1
ワンウェイクラッチF1は、異なる径方向位置におい
て、軸方向に略々(少なくとも一部を)オーバラップ位
置に配置されている。なお、上記ピストン部材69の先
端部分はクシ歯状に形成され、該クシ歯の間部分にリタ
ーンスプリング73が配置されている。従って、第2ワ
ンウェイクラッチF2及び第1ワンウェイクラッチF1
は軸方向に並んで配置されており、かつ第3ブレーキB
4及びその油圧アクチュエータ66が外径側にあって、
上記ワンウェイクラッチF1、F2に軸方向に略々オー
バラップするように配置されている。
【0041】第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に
噛合するピストンP1aとリングギヤR1に噛合するピ
ニオンP1bとを有するデュアルプラネタリギヤからな
り(図5参照)、上記互に噛合するピニオンP1a、P
1b支持するをキャリヤCR1がそのボス部72により
第3スリーブ軸45に回転自在に支持されており、また
サンギヤS1が第3スリーブ軸45に一体に形成されて
いる。更に、リングギヤR1が、その後方端でスプライ
ン結合されているプレート75により軸方向を規制され
て回転自在に支持されていると共に、第2プラネタリギ
ヤ4のリングギヤR2にスプライン結合されている。
【0042】そして、第1ブレーキB1(第1の係止手
段)は多板ブレーキからなり、その複数枚の外ブレーキ
プレート76が、ケース9に形成されたスプライン9b
(前記スプライン9aに連続して形成)に係合されると
共に前方方向移動を前記第3ブレーキ用シリンダ部材6
7と共に規制されて支持されている。前記第1ブレーキ
用の内ブレーキディスク79は、前記キャリヤCR1を
構成するカップ状部材80の外径側外周面に形成された
スプラインに係合している。該カップ状部材80は、そ
の外径側平坦面80aが前記第1プラネタリギヤ3の外
径側を覆うように延びており、該平坦面80a、即ち該
平坦面に形成されたスプライン係合している第1ブレー
キB1が、第1プラネタリギヤ3の外径側にて軸方向に
略々オーバラップするように(正確にはプラネタリギヤ
3の幅内に第1ブレーキB1が納まるように)配置され
ている。
【0043】上記第1ブレーキB1の後方側には該ブレ
ーキ用の油圧アクチュエータ81が配設されている。該
アクチュエータ81は、前記ミッションケース9の段付
小径部9cに固定・配置されているシリンダ部材82及
びそれに油密状に嵌合しているピストン部材83を有し
ており、該アクチュエータ81は、前記第1及び第2プ
ラネタリギヤ3、4の外径側にて、軸方向において股が
って、配置されている。即ち、第1プラネタリギヤ3の
外径側において、該第1プラネタリギヤの所定要素(C
R1)を係止する第1ブレーキB1及びその油圧アクチ
ュエータ81が、該第1プラネタリギヤと軸方向に少な
くとも一部がオーバラップするように配置されている。
なお、上記ピストン部材83はクシ歯状に第1ブレーキ
B1に向けて延びており、かつ該クシ歯の間にリターン
スプリング85が配置されている。
【0044】第2プラネタリギヤ4は、シンプルプラネ
タリギヤからなり、ピニオンP2を支持するキャリヤC
R2が第2スリーブ軸43にスプライン係合している。
また、サンギヤS2が、前記中間軸42にスプラインに
より一体に結合されており、またリングギヤR2が前記
第1プラネタリギヤのリングギヤR1にスプラインによ
り一体に結合されている。該第2プラネタリギヤ4は、
デュアルプラネタリギヤからなる第1プラネタリギヤ3
より小径にて構成されており、従ってリングギヤR2の
前方端に外径方向に延びる鍔部86が形成されて、該鍔
部の外周部が前記リングギヤR1の内周面に前記プレー
ト75と共にスプラインにより一体に連結されている。
前記第1ブレーキB1用油圧アクチュエータ81は、そ
のピストン延出部を除いて、上記小径からなる第2プラ
ネタリギヤ4の外径側に第2ブレーキB2と共に配置さ
れている。従って、該油圧アクチュエータ81は、ケー
ス9が段差9cにより小径となっているにも拘らず、所
定の受圧面積が確保され、該第1ブレーキB1の必要ト
ルクに対応するトルク容量を有する。
【0045】そして、前記第1ブレーキB1用油圧アク
チュエータ81の後方側に第2ブレーキB2(第3の係
止手段)が配置されている。該第2ブレーキB2は多板
ブレーキからなり、複数枚の外ブレーキプレート87が
前記小径部となるケース9の内スプライン9dに係合し
ており、内ブレーキディスク89が前記リングギヤR2
の外周面に形成されたスプラインに係合している。該第
2ブレーキB2は、第2プラネタリギヤ4の外径側にお
いて、該プラネタリギヤと軸方向にオーバラップするよ
うに(正確にはプラネタリギヤ4の幅内にブレーキB2
が納まるように)配置されている。
【0046】該第2ブレーキB2の後方側には該ブレー
キ用の油圧アクチュエータ90が配設されている。該ア
クチュエータ90は、ケース9の内周面に固定・配置さ
れているシリンダ部材91及びそれに油蜜状に嵌合して
いるピストン部材92を有しており、該ピストン部材
は、他のもの69、83がブレーキに向けて延びかつク
シ歯の間にリターンスプリング73、85を配置する延
出部を有するのに対し、該延出部を有さない短い構造か
らなる。該油圧アクチュエータ90は、第2ブレーキB
2の外径側において、第2プラネタリギヤ4の後端部に
一部オーバラップするか、又はそのピストン部材92先
端部が略々整列するように配置されている。そして、前
記第2ブレーキB2の外及び内ブレーキプレート(ディ
スク)87、89は、その外径部分に所定間隔毎に切欠
かれており、該切欠き部93に、前記ピストン部材92
の先端部に設けられた支持プレート95とケース等の固
定部材との間に縮設されたリターンスプリング96が配
置されている。
【0047】前記第2ブレーキB2用油圧アクチュエー
タ90の後方側、即ち第2プラネタリギヤ4と第3プラ
ネタリギヤ5との間部分には、第3ワンウェイクラッチ
F3(第2の係止手段)が配設されている。第2プラネ
タリギヤ3の後キャリヤプレート97と、第3プラネタ
リギヤ5のリングギヤR3とは連結部材99を介して連
結されている。上記ワンウェイクラッチF3は、固定側
となるアウタレース100と可動側となるインナレース
101とを有しており、アウタレース100の外周面が
ケース9にスプライン係合されていると共に、インナレ
ース101の内周面が上記連結部材99のボス部99a
にスプライン係合している。
【0048】上記アウタレース100は、ローラ又はス
プラグ等の係合部材102部分が該係合部分の幅に合せ
て幅広になっていると共に、外径方向に向ってその前後
両方から漸減するように幅狭となっており、かつ外径端
にあっては後方側のみ鍔状に延出している。これによ
り、該アウタレース100は、比較的軸方向に長い係合
部材102に合せた接合面を有すると共に、ケース9と
の係合部分も上記鍔状の延出部により所定軸方向長さを
確保して、所定トルク容量を備えるものでありながら、
その前方側が凹んで凹部100aとなっており、該凹部
に、前記第2ブレーキ用油圧アクチュエータ90の後方
部分が収納されて、該油圧アクチュエータ90を含む第
2ブレーキ装置の第2プラネタリギヤ4の外径側配置
(少なくとも一部が軸方向にオーバラップする)を可能
として、自動変速機の軸方向の短縮化に寄与している。
即ち、上記油圧アクチュエータ90は、第2プラネタリ
ギヤ4及び第3ワンウェイクラッチF3の間部分に配置
されて、コンパクトな構成となっている。
【0049】前記インナレース101は、係合部材10
2部分が該係合部材に合せて幅広になっており、かつそ
の内径側に向けて漸減するように幅狭になって、上述と
同様に、接合面積に起因するトルク容量を確保すると共
に、連結部材99と該キャリヤプレート97とのスプラ
イン連結スペースを確保している。
【0050】前記第3ワンウェイクラッチF3の後方側
には第3プラネタリギヤ5が配設されている。該第3プ
ラネタリギヤはシンプルプラネタリギヤからなり、リン
グギヤR3が前記連結部材99のフランジ99b外周面
に係合して前記キャリヤCR2と連結している。一方、
サンギヤS3は、前記中間軸42の後方端部にあって該
軸に一体形成されており、またピニオンP3を支持する
キャリヤCR3は出力軸105に一体に形成されてい
る。中間軸42は前記サンギヤS3部分を最も大径とし
て、前方に向かって順次小径となる段付き構造からな
る。出力軸105は上記キャリヤCR3が鍔状に拡がっ
て形成されており、前記中間軸42の後端突出部42a
と出力軸105の前端中空部105aとが嵌合して回転
自在にかつ軸方向移動不能に支持されている。なお、中
間軸42は、その前端部を入力軸12に嵌合して回転自
在に支持されて、その両端部をそれぞれ入力軸12及び
出力軸105を介してケースに間接支持されている。ま
た、出力軸105は、その前端部がケース9の後側9e
の鍔部9fにベアリングを介して直接支持されると共
に、その後部分が図示しないエクステンションケース
(ミッションケース9の後端部に固定;図示せず)にベ
アリングを介して直接支持されている。
【0051】前記第3ワンウェイクラッチF3の後方側
に第4ブレーキB4(第2の係止手段)が配設されてい
る。該第4ブレーキは多板ブレーキからなり、多数板の
外ブレーキプレート106が前記アウタレース100と
共にケース内周面のスプライン9dに係合していると共
に、スナップリングにより軸方向移動が規制されて支持
されており、また内ブレーキディスク107がリングギ
ヤR3の外周面に形成されたスプラインに係合してい
る。該第4ブレーキB4は、第3プラネタリギヤ5の外
径側において、該プラネタリギヤ5に軸方向に略々オー
バラップして(少なくとも一部がオーバラップして)配
置されている。
【0052】上記第4ブレーキB4及び第3プラネタリ
ギヤ5の後方側に上記ブレーキB4用の油圧アクチュエ
ータ109が配設されている。該油圧アクチュエータは
ケース9の後端部内周面、後側面9e及び鍔部9fをシ
リンダとしたダブルピストンタイプからなり、第1ピス
トン部材110、中間支持部材111及び第2ピストン
部材112を有する。第1ピストン部材110は、上記
シリンダに油密状に嵌合していると共に、その外径側に
て前方に突出する延出部110a及びその内径側にて後
方に突出するハブ部110bを有しており、延出部11
0aがケーススプライン9dに係合しつつ上記第4ブレ
ーキB4に対向している。
【0053】中間支持部材111は、その内径側を上記
ハブ部110bに嵌合してシリンダに油密状に嵌合して
いると共に、その外径側延出部がケースの後側面9eに
当接している。第2ピストン112は、その外径側を該
支持部材延出部の内周面に接してシリンダに油密状に嵌
合しており、かつその内径部分にて前記第1ピストン1
10のハブ部110bに当接している。なお、第1ピス
トン110とケース鍔部9eに設けられた支持プレート
との間にリターンスプリング113が縮設されている。
【0054】従って、上記第4ブレーキB4用油圧アク
チュエータ109は、ケース後端面を利用した大きい受
圧面積からなると共に、第1及び第2のピストン部材1
10、112からなるダブルピストンに基づき更に大き
な受圧面積が得られ、上記ブレーキB4の設定トルク容
量に対応する大きな押圧力が得られる。なお、上記キャ
リヤCR3の外径側にパーキングギヤ115が一体に設
けられており、該パーキングギヤを、ケース9に貫通し
て設けられたパーキングポール116により係止するこ
とにより出力軸105が固定される。また、上記油圧ア
クチュエータ109の第1ピストン110は、上記パー
キングギヤ115を被嵌すると共に、上記パーキングポ
ール116部のみを切欠いており、また第3プラネタリ
ギヤ5の外径側において、僅かに軸方向にオーバラップ
して後方側に配置されている。
【0055】ついで、図5の上記自動変速機構のスケル
トン図、図6の作動表及び図7の速度線図に沿って、上
述した自動変速機構6の作用について説明する。
【0056】該自動変速機構6は、第1プラネタリギヤ
3からなるフロントギヤユニット(第1のギヤユニッ
ト)130と、第2プラネタリギヤ4及び第3プラネタ
リギヤ5からなるリヤギヤユニット(第2のギヤユニッ
ト)131とにその機能上分かれており、かつリヤギヤ
ユニット131は、中間軸42を介して連結されている
両サンギヤS2、S3からなる第1の回転要素137
と、連結部材99を介して連結されているキャリヤCR
2及びリングギヤR3からなる第2の回転要素136
と、互に連結されているリングギヤR1及びR2からな
る第3の回転要素135と、出力軸105に連結されて
いるキャリヤCR3からなる第4の(出力)回転要素1
38の、合計4個の回転要素から構成される。
【0057】そして、第1の回転要素137は、中間軸
42を介してクラッチ部23内径側に位置する第1クラ
ッチC1に、第2の回転要素136は、第2スリーブ軸
43を介してクラッチ部23の外径側において前方側に
位置する第2クラッチC2に、第1プラネタリギヤ3の
入力要素であるサンギヤS1は、第3スリーブ軸45を
介してクラッチ部23の外径側において後方側に位置す
る第3クラッチC3にそれぞれ連結している。
【0058】1速では、図6に示すように、第1クラッ
チC1が係合し、第3ワンウェイクラッチF3が作動
し、入力軸12とサンギヤS2、S3(第1の回転要素
137)が連結されると共に、キャリヤCR2及びリン
グギヤR3(第2の回転要素)の逆転がワンウェイクラ
ッチF3により阻止されて、入力軸12の回転(RI
N)は、クラッチC1を介して直接第3プラネタリギヤ
5のサンギヤS3に入力される。すると、第3ワンウェ
イクラッチF3の作動に基づき停止状態にあるリングギ
ヤR3により、図6の速度線図において、線図L1に示
す状態となり、出力軸105が接続されたキャリヤCR
3(出力回転要素138)からは、正回転の1速1ST
が取り出される。なお、第2プラネタリギヤは、サンギ
ヤS2が回転するが、空転状態となっている。
【0059】この際、1速状態及び発進時に基づく大き
なトルクが作用し、該トルクを第3ワンウェイクラッチ
F3にて担持することになるが、該第3ワンウェイクラ
ッチF3は、第2及び第3プラネタリギヤ4、5の間部
分にて軸方向に比較的長い空間に配置され、特にその係
止部材(ローラ又はスプラグ)102及びそれに接する
アウタレース100及びインナレース101部分の面積
も広くなっており、上記大きなトルクを確実に担持し得
る。また、第1クラッチC1は、クラッチ部23の内径
側においてかつ独立した油圧アクチュエータ55により
操作される。
【0060】2速では、図6に示すように、1速時の第
1クラッチC1の係合に加えて、第3ブレーキB3が係
合すると共に、第3ワンウェイクラッチF3の作動が解
除され、第1及び第2ワンウェイクラッチF1、F2が
作動する。この状態では、第1プラネタリギヤ3は、ロ
ック状態の第1ワンウェイクラッチF1により停止状態
のキャリヤCR1、及び第3ブレーキB3の係止により
ロック状態の第2ワンウェイクラッチF2により停止状
態のサンギヤS1に基づき、停止状態にあり、従ってそ
のリングギヤR1に連結している第2プラネタリギヤ4
のリングギヤR2も停止状態にある。
【0061】そして、入力軸12の回転は、第1クラッ
チC1を介してサンギヤS2から第2プラネタリギヤ4
に入力されると共に、サンギヤS3を介して第3プラネ
タリギヤ5に入力される。第2プラネタリギヤ4は、前
述したようにリングギヤR2の回転が阻止され(速度=
0)、図7の速度線図において、線図L2に示す状態と
なり、出力軸105が接続されたキャリヤCR3から、
正回転の2速回転(2ND)が取り出される。
【0062】この際の、リングギヤR2の回転トルク
は、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイク
ラッチF2を介して第3ブレーキB3により分担されて
担持され、第1ワンウェイクラッチF1のトルク担持能
力を利用する形でその分第2ワンウェイクラッチF2及
び第3ブレーキB3のトルク負担能力を小さなものとす
ることができ、第2ワンウェイクラッチF2及び第3ブ
レーキB3の小容量化及び小型化が図れる。これによ
り、第3ブレーキB3及びその油圧アクチュエータ6
6、並びに第1及び第2ワンウェイクラッチF1、F2
を、第1プラネタリギヤ3の前方部分にまとめてコンパ
クトに配置することが可能となる。
【0063】3速では、図6に示すように、1、2速時
の第1クラッチC1の係合に加えて、第3クラッチC3
が係合されると共に、第2ワンウェイクラッチF2の作
動が解除され、第1ワンウェイクラッチF1の作動が維
持される。この状態では、入力軸12の回転は、それま
での第1クラッチC1を介したリヤギヤユニット131
への入力に加えて、第3クラッチC3を介してフロント
ギヤユニット130のサンギヤS1にも入力され、かつ
キャリヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係
止される。
【0064】すると、第1プラネタリギヤ3は、サンギ
ヤS1に入力軸2の回転が入力され、キャリヤCR1が
係止されることから、図7の速度線図において、線図L
3に示す状態となり、フロントギヤユニット130の出
力要素としてのリングギヤR1から、正回転RV1がリ
ヤギヤユニット131の入力要素としての第2プラネタ
リギヤ4のリングギヤR2に出力される。一方、リヤギ
ヤユニット131には、サンギヤS2、S3に入力軸2
の回転RINが入力されているので、上記リングギヤR
2へ入力される回転RV1は、図7の線図L4に示すよ
うに、合成され、出力軸105に連結されるキャリヤC
R3からは、3速回転(3RD)が取り出される。な
お、第3ブレーキB3は、係合状態となっているが、第
2ワンウェイクラッチF2が空転状態なので、該ブレー
キB3は変速に何ら関与しない。
【0065】この際、第1ワンウェイクラッチF1が、
第1プラネタリギヤ1へ伝達されるトルクの反力を担持
するが、3速状態にあっては、該フロントギヤユニット
130である第1プラネタリギヤ3を経由するトルク
と、リヤギヤユニット131に第1クラッチC1を介し
て直接伝達されるトルクとが合成されるため、上記第1
ワンウェイクラッチF1が担持する反力トルクは、伝達
トルク全体の一部で足りる。従って、該第1ワンウェイ
クラッチF1は、トルク容量が小さい小型のもので足
り、第1プラネタリギヤ3前方の比較的狭いスペース
に、他の係止手段B3、F2と共にまとめて配置するこ
とが可能となる。
【0066】また、第2クラッチC2は、油圧アクチュ
エータ49への油圧の供給により、可動部材30及びそ
れと一体の第2ドラム部材29が軸方向後方に移動し、
先端29dがクラッチプレート27及びディスク41を
押圧することにより接続する。この際、第2ドラム部材
29にスプライン係合している第2クラッチC2は解放
状態にあり、上記第2ドラム部材の移動を妨げることな
く、また該第2ドラム部材の移動によって、第2クラッ
チC2に影響を及ぼすことはない。
【0067】4速では、図6に示すように、1、2、3
速時の第1クラッチC1の係合及び3速時の第3クラッ
チC3の係合に加えて、第2クラッチC2が係合される
と共に、第1ワンウェイクラッチF1の作動が解除され
る。この状態では、入力軸12の回転は、それまでの第
1クラッチC1を介したリヤギヤユニット131のサン
ギヤS2、S3への入力に加えて、第2クラッチC2を
介してキャリヤCR2及びリングギヤR3にも入力さ
れ、該リヤギヤユニット131、即ち第2及び第3プラ
ネタリギヤ4、5全体が直結回転となり、図7の線図L
5に示す状態となり、出力軸105に連結されるキャリ
ヤCR3から、4速回転(4TH)が取り出される。
【0068】この際、第3クラッチC3及び第3ブレー
キB3は、図6に示すように、係合状態となっている
が、第1プラネタリギヤ3は、サンギヤS1に第2クラ
ッチC2を介して入力軸12の回転が伝達される一方
で、第2プラネタリギヤ4が、入力軸12と直結状態で
正回転することから、そのリングギヤR2に連結された
リングギヤR1にも入力軸12の回転が入力され、図7
の線図L6の状態となり、フロントギヤユニット130
を構成する第1プラネタリギヤ3は全体が直結状態で空
転する。また、該4速状態は、フロントギヤユニット1
30及びリヤギヤユニット131は、共に直結状態であ
って、ブレーキ及びワンウェイクラッチの係止手段はな
にも作動せず、反力を担持することはない。
【0069】また、前記第2クラッチC2は、油圧アク
チュエータ49への油圧供給により、ピストン部材47
を軸方向後方に移動し、その先端47aがクラッチプレ
ート31及びディスク40を押圧することにより接続す
る。この際、上述したように、第3クラッチC3が係合
状態に保持されており、ピストン部材47の反力支持部
材(シリンダ部材)となる可動部材30はその位置に保
持されて、ピストン部材47の移動に何等影響を与える
ことなく、また第2ドラム部材29は第3クラッチ係合
位置に保持されており、クラッチC2の係合動作に何等
影響を与えることはない。
【0070】5速では、図6に示すように、第1クラッ
チC1の係合が解除されると共に、第2及び第3クラッ
チC2、C3がそのまま係合状態を維持され、かつ第1
ブレーキB1が係合される。この状態では、入力軸12
の回転は、第2クラッチC2を介してリヤギヤユニット
131である第2プラネタリギヤ4のキャリヤCR2及
び第3プラネタリギヤ5のリングギヤR3に入力される
と共に、第3クラッチC3を介してフロントギヤユニッ
ト130である第1プラネタリギヤ3のサンギヤS1に
入力される。すると、キャリヤCR1が第1ブレーキB
1により係止されているので、フロントギヤユニット1
30は、図7線の図L3で示す状態となり、リングギヤ
R1からは、減速された正回転RV1がリヤギヤユニッ
ト131のリングギヤR2に出力される。一方、前述し
たように、該リヤギヤユニット131のキャリヤCR2
及びリングギヤR3には、入力軸12の回転が入力され
るので、速度線図は、図7の線図L7となり、キャリヤ
CR3から出力軸3へ、5速回転(5TH)が取り出さ
れる。この際、第3ブレーキB3は、図6に示すよう
に、係合状態となっているが、第2ワンウェイクラッチ
F2が空転状態となっているので、該ブレーキB3は何
ら変速に関与しない。
【0071】また、該5速状態にあっては、第1ブレー
キB1が上記伝達トルクの反力を担持するが、高速状態
である5速にあっては、そのトルク容量は小さくて足
り、更に、第2クラッチC2を経由する経路と、第3ク
ラッチC3を経由する経路からのトルクが、リヤギヤユ
ニット131で合成されて出力軸105に伝達されるの
で、キャリヤCR1及びリングギヤR1を係止する上記
第1ブレーキB1のトルク容量は、伝達トルク全体の一
部で足り、更にそのトルク容量は小さなもので足りる。
従って、該第1ブレーキB1は、第1プラネタリギヤ3
の外径側にて軸方向に比較的短い長さに設置でき、かつ
その油圧アクチュエータ81も、隣接する第1及び第2
プラネタリギヤ3、4に股がる外径側における、軸方向
に比較的短い小さなスペースに設置することができ、上
記第3ブレーキB3及びその油圧アクチュエータ81
を、第1プラネタリギヤ3の外径側における比較的小さ
なスペースに設置することが可能となる。
【0072】また、第1クラッチC1は、油圧アクチュ
エータ53の油圧解放により、リターンスプリング57
によりピストン部材53が軸方向前方に移動してクラッ
チプレート33、ディスク39の押圧が解除される。こ
の際、第1クラッチドラム32は比較的高速で回転して
いるが、キャンセル室59内のオイルにも、同じ回転に
基づく遠心油圧が作用しており、上記油圧アクチュエー
タ53の油圧は、速やかに排出される。
【0073】一方、4速から3速にシフトダウンする
際、第2クラッチC2が解放される。この際、油圧アク
チュエータ49の油圧は、キャンセル室52のオイルに
作用する遠心油圧により、速やかに解放される。また、
第3クラッチC3は係合状態に保持されているので、シ
リンダ部材となる可動部材30は所定位置に保持された
ままであり、かつ第2ドラム部材26もそのままの位置
に保持されており、第2クラッチC2は、第3クラッチ
C3に影響を受けることなく、解放される。
【0074】また、3速から2速にダウンシフトする
際、第3クラッチC3が解放される。この際、既に第2
クラッチC2は解放状態にあって、ピストン部材47は
リターンスプリング51により可動部材30の背面に当
接した状態にあり、キャンセル室52の遠心油圧に基づ
く力は、可動部材30に直接作用し、遠心油圧をキャン
セルさせて、油圧アクチュエータ46の油圧は、速やか
に解放される。また、既に第2クラッチC2は解放され
ているので、上記可動部材30と一体のピストン部材の
一部を構成する第2ドラム部材26は、上記第2クラッ
チに影響を受けることなく軸方向前方に移動して、クラ
ッチブレーキ31及びディスク40の押圧を解放する。
【0075】後進では、図6に示すように、第3クラッ
チC3が係合されると共に、第4ブレーキB4及び第1
ワンウェイクラッチF1が係止される。この状態では、
入力軸12の回転は、第3クラッチC3を介してフロン
トギヤユニット130のサンギヤS1に入力され、キャ
リヤCR1が第1ワンウェイクラッチF1により係止さ
れることから、速度線図は、図7の線図L3に示す状態
となり、リングギヤR1からは、正回転の出力回転RV
1がリヤギヤユニット131のリングギヤR2に出力さ
れる。該リヤギヤユニット131は、リングギヤR3及
びキャリヤCR2が第4ブレーキB4により係止される
ので、図7の線図L10で示す状態となり、キャリヤC
R3から出力軸3へ、後進回転(REV)が取り出され
る。
【0076】この際、該後進状態は、減速された大きな
トルクが上記リングギヤR3及びキャリヤCR2を係止
する第4ブレーキB4に作用するが、該第4ブレーキB
4は、第3プラネタリギヤ5の外径側にて該ギヤに略々
オーバラップする比較的軸方向に長いものからなり、か
つその油圧アクチュエータ109は、ケース9の後端面
9eに配置された比較的広い受圧面積からなると共にダ
ブルピストン構造からなり、大きな押圧力を作用するこ
とができ、上記大きな反力に対応する要求トルクを確実
に担持することが可能となる。
【0077】また、エンジンブレーキ(コースト)時に
は、図6に示すように、通常の作動に加えて、3速及び
後進時には、第1ブレーキB1が係合され、第1ワンウ
ェイクラッチF1の空転に対してキャリヤCR1を確実
に係止し、2速時には第2ブレーキB2が係合され、リ
ングギヤR2を確実に係止し、更に1速時には、第1ブ
レーキB4が係合されて、リングギヤR3が確実に係止
される。
【0078】更に、2速のエンジンブレーキ時に、本来
のエンジンブレーキ用の第2ブレーキB2に加えて第1
ブレーキB1を作動させて、リングギヤR2の係止を、
直接作動する第2ブレーキB2及びキャリヤCR1を介
して作動する第1ブレーキB1により共に行わせ、第2
ブレーキB2のトルク容量を小さくしてその分該ブレー
キB2を小型化することも可能である。第2ブレーキB
2は、上記2速時のエンジンブレーキ用であって、その
トルク容量は小さくて足り、第2プラネタリギヤ4の外
径部分の比較的小さな設置スペースで足りるが、更に上
述したように、該2速エンジンブレーキ時に、第1ブレ
ーキB1を共働作動すると、更に第2ブレーキB2のト
ルク容量が小さくて足り、その油圧アクチュエータ90
も含めて小さな設置スペースに配置したものでありなが
ら、確実で信頼性の高いブレーキ作動を行うことができ
る。
【0079】更に、上述したように、第2プラネタリギ
ヤ4に入力軸からのトルクが入力する場合、2速時にサ
ンギヤS2、S3から、3速時にサンギヤS1、S2、
S3から、4速時にサンギヤS2、S3から、そして5
速時に、サンギヤS1、S2及びリングギヤR3から、
それぞれ入力トルクがフロントギヤ部130及びリヤギ
ヤ部131に入力される。従って、入力トルクが第2プ
ラネタリギヤ4のみに入力されることはなく、該第2プ
ラネタリギヤ4は、最適なギヤ比を得るために小型化さ
れると共に、上記分散入力に基づく強度上からも小型化
が可能となり、該小径のプラネタリギヤ4の外径側に、
油圧アクチュエータ81を配置して、第1ブレーキB1
の必要トルクを担持し得るトルク容量を有するものであ
りながら、軸方向及び径方向のコンパクト化を可能とす
る。
【0080】また、入力トルクを各プラネタリギヤ3、
4、5に伝達する各クラッチC1、C2、C3は、トル
ク容量を充分に確保するために径方向寸法を大きくする
ことが好ましいが、各クラッチ部23は、多段変速機構
6のトルクコンバータ2側に配置されるので、径方向寸
法の大きなものから、出力軸に向けて小径化して配置す
ることができ、FR用の自動変速機として車輌搭載上好
ましい全体形状の変速機を得ることができる。
【0081】なお、上記実施の形態は、上述自動変速機
構6に沿って説明したが、自動変速機構はこれに限ら
ず、少なくとも2個のクラッチをまとめて配置したクラ
ッチ部を有するものであれば、本発明の適用が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動変速機の全体を示す断面図。
【図2】そのトルクコンバータ部分を示す拡大断面図。
【図3】その多段変速機構の前部であるクラッチ部を示
す拡大断面図。
【図4】その多段変速機構の後部であるギヤ部を示す拡
大断面図。
【図5】多段変速機構のスケルトン図。
【図6】その作動を示す図。
【図7】その速度線図。
【符号の説明】
1 自動変速機 2 トルクコンバータ 3 第1プラネタリギヤ 4 第2プラネタリギヤ 5 第3プラネタリギヤ 6 多段変速機構 9 ミッションケース 12 入力部材(入力軸) 23 クラッチ部 25,25a シリンダとなる部材(スリーブ、
フランジ部) 26 第3クラッチ用クラッチドラム(第3ドラ
ム部材) 27 第3クラッチプレート 29 第2クラッチ用クラッチドラム(第2ドラ
ム部材) 29d ピストン部材の一部 30 第3クラッチ用可動部材 31 第2クラッチ外プレート 32 第1クラッチ用クラッチドラム(第1ドラ
ム部材) 46 第3クラッチ用油圧アクチュエータ 47 第2クラッチ用ピストン部材 49 第2クラッチ用油圧アクチュエータ 53 第1クラッチ用ピストン部材 55 第1クラッチ用油圧アクチュエータ 50,56 キャンセルプレート 52 第2及び第3油圧アクチュエータ用遠心油
圧キャンセル室 59 第1油圧アクチュエータ用遠心油圧キャン
セル室 105 出力部材(出力軸) 130 第1のギヤユニット(フロントギヤユニッ
ト) 131 第2のギヤユニット(リヤギヤユニット) 135 第3の回転要素 136 第2の回転要素 137 第1の回転要素 138 第4の(出力)回転要素 C1 第1クラッチ C2 第2クラッチ C3 第3クラッチ B1,F1 第1の係止手段 B4,F3 第2の係止手段 B2 第3の係止手段 B3,F2 第4の係止手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 卓也 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 森 篤 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 塚本 広幸 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 尾崎 和久 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 金田 俊樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 柏原 裕司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J028 EA08 EA09 EB07 EB13 EB19 EB33 EB37 EB54 EB62 FC02 FC16 FC25 FC64 GA02 HA14 HA15 HA16 HA17 3J057 AA05 AA09 BB04 CA01 DA11 FF02 FF07 FF10 FF12 FF15 GA11 GA12 GA49 HH02 JJ04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチ及び係止手段により、ギヤ部の
    動力伝達経路を変更して、入力部材の回転を複数の変速
    段に変更して出力部材に伝達してなる、自動変速機にお
    いて、 前記入力部材の回転を前記ギヤ部の異なる回転要素に連
    結して、前進時に係合する、第1、第2及び第3クラッ
    チの少なくとも3個のクラッチを、その油圧アクチュエ
    ータと共にまとめて配置してクラッチ部を構成し、 前記第1クラッチを内径側に、前記第2及び第3クラッ
    チを外径側において軸方向に略々整列するように配置
    し、 前記第2クラッチのクラッチドラムの外径側を被嵌する
    ように第3クラッチのクラッチドラムを延設すると共
    に、前記第2クラッチのクラッチドラムを、前記第3ク
    ラッチの油圧アクチュエータのピストンの一部となし、 前記第2クラッチが係合する変速段にあっては、前記第
    3クラッチが係合状態に保持され、かつ前記第3クラッ
    チが係合又は解放作動する変速段にあっては、前記第2
    クラッチが解放状態に保持されてなる、 ことを特徴とする自動変速機。
  2. 【請求項2】 前記第1クラッチは、最低速段から係合
    して最高速段にて解放し、 前記第2クラッチは、高速段から最高速段まで係合し、 前記第3クラッチは、中速段から最高速段まで係合して
    なる、 請求項1記載の自動変速機。
  3. 【請求項3】 前記第3クラッチのクラッチドラムは、
    前記入力部材に一体に連結されて該第3クラッチの油圧
    アクチュエータのシリンダとなる部材に設けられ、 該シリンダとなる部材の軸方向一方側に、前記第2クラ
    ッチのクラッチドラムであると共に前記第3クラッチの
    ピストンの一部を構成する可動部材を油密状に嵌合し、 該可動部材の軸方向一方側に、前記第2クラッチの油圧
    アクチュエータのピストン部材を油密状に嵌合し、 該ピストン部材の軸方向一方側に、前記入力部材に対し
    て少なくとも一方向の軸方向移動が阻止されているキャ
    ンセルプレートを配置して該キャンセルプレートと前記
    ピストン部材との間で、前記第2及び第3クラッチの油
    圧アクチュエータ用遠心油圧キャンセル室を構成してな
    る、 請求項1又は2記載の自動変速機。
  4. 【請求項4】 前記キャンセルプレートの軸方向一方側
    に、前記入力部材に一体に連結されて前記第1クラッチ
    のクラッチドラムを構成すると共に該第1クラッチの油
    圧アクチュエータのシリンダとなる部材を配置し、 該シリンダとなる部材の軸方向一方側に、該第1クラッ
    チの油圧アクチュエータのピストン部材を油密状に嵌合
    し、 該ピストン部材の軸方向一方側に、前記入力部材に対し
    て少なくとも一方向の軸方向移動が阻止されているキャ
    ンセルプレートを配置して該キャンセルプレートと前記
    ピストン部材との間で、前記第1クラッチの油圧アクチ
    ュエータ用遠心油圧キャンセル室を構成してなる、 請求項3記載の自動変速機。
  5. 【請求項5】 前記第3クラッチのクラッチドラム及び
    前記第2クラッチのクラッチドラムの外周部は、軸方向
    に略々直線状に構成され、 前記第3クラッチの外プレートを第2クラッチの外プレ
    ートに対して、その外周部が外径側に位置するように配
    置した、請求項1ないし4にいずれか記載の自動変速
    機。
  6. 【請求項6】 前記ギヤ部は、前記入力部材の回転数を
    変更して出力要素に出力する第1のギヤユニットと、 該出力要素に連結する回転要素と、前記入力部材に連結
    する入力回転要素と、前記出力部材に連結する出力回転
    要素と、を有し、動力伝達経路を変更して複数の変速段
    として前記出力回転要素に出力する第2のギヤユニット
    と、を備え、 前記第1、第2及び第3クラッチは、前記入力部材と、
    前記第1のギヤユニットの入力要素及び第2のギヤユニ
    ットの異なる前記入力回転要素との間に介在してなる、 請求項1ないし5のいずれか記載の自動変速機。
  7. 【請求項7】 前記第1のギヤユニットは、前記入力部
    材と前記第2クラッチを介して連結する前記入力要素
    と、第1の係止手段にて適宜係止される所定回転要素
    と、該係止手段により直結回転及び減速回転に切換えら
    れて出力する前記出力要素と、を有する第1プラネタリ
    ギヤからなり、 該第1プラネタリギヤは、前記第2のギヤユニットに対
    して軸方向前記クラッチ部側に配置されてなる、 請求項6記載の自動変速機。
  8. 【請求項8】 前記第2のギヤユニットは、4個の回転
    要素を有する第1及び第2プラネタリギヤからなり、 第1の回転要素は、前記第1クラッチを介して前記入力
    部材に連結し、 第2の回転要素は、前記第2クラッチを介して前記入力
    部材に連結すると共に第2の係止手段に連結し、 第3の回転要素は、前記第1のギヤユニットの出力要素
    と連結すると共に第3の係止手段に連結し、 第4の回転要素は、前記出力部材に連結して前記出力回
    転要素を構成してなり、 前記第2プラネタリギヤが、前記第3プラネタリギヤに
    対して軸方向前記第1プラネタリギヤ側に配置されてな
    る、 請求項7記載の自動変速機。
  9. 【請求項9】 前記第1プラネタリギヤは、デュアルプ
    ラネタリギヤからなり、 そのサンギヤが前記第3クラッチを介して前記入力部材
    に連結すると共に第4の係止手段に連結して前記入力要
    素を構成し、 そのキャリヤが前記第1の係止手段に連結して前記所定
    回転要素を構成し、 そのリングギヤが前記第2プラネタリギヤのリングギヤ
    に連結して前記出力要素を構成し、 前記第2プラネタリギヤ及び第3プラネタリギヤは、シ
    ンプルプラネタリギヤからなり、 そのサンギヤ同士を連結すると共に前記第1クラッチを
    介して前記入力部材に連結して前記第1の回転要素を構
    成し、 前記第1プラネタリギヤのリングギヤと前記第2プラネ
    タリギヤのリングギヤ同士を連結すると共に前記第3の
    係止手段に連結して前記第3の回転要素を構成し、 前記第2プラネタリギヤのキャリヤと前記第3プラネタ
    リギヤのリングギヤを連結しかつ前記第2クラッチを介
    して前記入力部材に連結すると共に前記第2の係止手段
    に連結して前記第2の回転要素を構成し、 前記第3プラネタリギヤのキャリヤを前記出力部材に連
    結して前記第4の回転要素を構成してなる、 請求項8記載の自動変速機。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004036669A (ja) * 2002-06-28 2004-02-05 Aisin Aw Co Ltd 自動変速機、及び自動変速機の組立方法
JP2005207579A (ja) * 2003-12-25 2005-08-04 Aisin Aw Co Ltd クラッチ用油圧サーボ
US8453818B2 (en) 2008-08-22 2013-06-04 Aisin Aw Co., Ltd. Automatic transmission

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