JP2004034504A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、特に、画像耐光性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、(3)取扱が容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡単で安価である、(6)記録時の騒音が無い等の利点があるため、ファクシミリやプリンターの分野、POS等のラベルの分野等にその用途が拡大している。
【0003】
このような背景のもとで、近年においては多色化に対応するため、或いは画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP)で投影したり、医療画像用に用いる場合には直接シャーカステン上で観察する等のために、サーマルヘッドで直接記録することのできる透明な感熱記録材料も開発されている。このような感熱記録材料としては特開昭63−265682号公報に記載の、高分子フィルム等の透明支持体上に、実質的に無色の発色成分と、該発色成分と反応して発色する実質的に無色の発色成分とを、結着剤中に微粒子状態で分散、又は、発色成分の一方をマイクロカプセルに内包させると共に他方を乳化分散した塗布液を塗布・乾燥した記録層を設けた透明感熱記録材料などが挙げられる。
【0004】
また、特開平1−285832号公報には、支持体の一方の面の最外層の発色単位層上に不透明な保護層を積層した感熱記録材料が提案されている。該感熱記録材料は不透明な保護層を有し、記録画像を片面から反射画像として観視できる構造を有する。上記感熱記録材料によると、画像の鮮明度を改善することができる。
【0005】
また、電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物とを使用した記録材料は、感圧紙、感熱紙、感光感圧紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等としてよく知られている。例えば、英国特許第2,140,449号明細書、米国特許第4,480,052号明細書、同4,436,920号明細書、特公昭60−123556号公報、同60−123557号公報などに詳しい。
【0006】
しかし、これら感熱記録材料は、いずれも熱や光などによって画像が変色しやすく、画像対光性に劣るといった問題があり、特にシアン色の画像耐光性の向上が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、画像耐光性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物を含有する記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料において、
前記記録層が、下記一般式(I)で表される化合物を含有していることを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
【化2】
【0010】
一般式(I)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表し、R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表す。
【0011】
<2> 前記電子供与性染料前駆体が、前記一般式(I)で表される化合物と共に、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
<3> 前記電子供与性染料前駆体が、インドリルアザフタリド化合物であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
【0013】
<4> 前記電子受容性化合物が、フェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0014】
<5> 前記一般式(I)で表される化合物が、N−ビニルカルバゾールである前記<1>〜<4>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に記録層を有してなり、該記録層は単層及び複数層の何れからなるものでもよく、必要に応じて、中間層、光透過率調整層、保護層等の他の層をさらに有していてもよい。まず、記録層について詳細に説明する。
【0016】
(記録層)
本発明における記録層は、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物とを発色成分として含み、該記録層が、さらに一般式(I)で表される化合物(即ち、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な3級アミノ化合物)を含むことを特徴とする。また、電子供与性染料前駆体は、一般式(I)で表される化合物と共に、マイクロカプセルに内包されていることが好ましい。
【0017】
<一般式(I)で表される化合物>
以下、一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
【0018】
【化3】
【0019】
一般式(I)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表し、R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表す。
【0020】
前記R1及びR2がアルキル基を表す場合、該アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
前記R1及びR2がアルケニル基を表す場合、該アルケニル基としては、炭素数3〜6のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアルカジエニル基を表す場合、該アルカジエニルル基としては、炭素数5〜10のアルカジエニル基が好ましく、例えば、ペンタジエニル基、ヘキサトリエニル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアリール基を表す場合、該アリール基はとしては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアシル基を表す場合、該アシル基をとしては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、例えば、メトキシル基、エトキシル基等が挙げられる。前記R1及びR2は、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
【0022】
前記R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよく、5員環、6員環、及びこれらの縮合環等が挙げられ、これらの環は窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環であってもよい。形成される環としては、例えば、カルバゾール、イミダゾール、ピロリドン、フタルイミド、ピロリジン、ピペリジン等が挙げられる。
【0023】
前記R3で表される、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基は、前記R1及びR2で表されるものと同義であり、好ましい例も同様である。なお、前記R3としては、水素原子が好ましい。
【0024】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例〔(1)〜(7)〕を示すが、これらに限定されるものではない。
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(I)で表される化合物としては、上記した各具体例の中でも、(1)N−ビニルカルバゾール、及び(2)1−ビニルイミダゾールが好ましく、(1)N−ビニルカルバゾールが特に好ましい。
【0027】
一般式(I)で表される化合物の含有量としては、後述する電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.01〜0.10質量部が好ましく、0.02〜0.05質量部がより好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、他の重合性エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物と併用してもよい。併用可能な他の重合性エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物としては、例えば、特願2002−123729号明細書の段落番号[0012]〜[0083]に記載のものが挙げられる。
【0029】
<電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物>
本発明における電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物は、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。
【0030】
−電子供与性染料前駆体の具体例−
本発明における電子供与性染料前駆体としては、特に限定はされないが、インドリルアザフタリド化合物であることが好ましい。
以下に、前記電子供与性染料前駆体の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【化5】
【0035】
前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1〜1.0g/m2が好ましく、0.2〜0.5g/m2がより好ましい。また、前記電子供与性染料前駆体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0036】
−電子受容性化合物の具体例−
電子受容性化合物としては、フェノール系化合物(ビスフェノール類、等)、サリチル酸誘導体(サリチル酸金属塩、ヒドロキシ安息香酸エステル、等)が挙げられる。本発明においては、フェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩が好ましい。
本発明における電子受容性化合物の一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0037】
前記電子受容性化合物の含有量としては、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、2〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。また、前記電子受容性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0038】
本発明において、前記電子供与性染料前駆体と前記電子受容性化合物との組合せとしては、電子供与性染料前駆体がインドリルアザフタリド化合物であり、電子受容性化合物がフェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩である組み合わせが好ましい。
また、前記電子供与性染料前駆体、前記電子受容性化合物、及び前記一般式(I)で表される化合物の組合せとしては、電子供与性染料前駆体がインドリルアザフタリド化合物であり、電子受容性化合物がフェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩であり、一般式(I)で表される化合物がN−ビニルカルバゾールである組合せが特に好ましい。
【0039】
<ジアゾニウム塩化合物、カプラー、等>
本発明の感熱記録材料は、既述の電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、及び一般式(I)で表される化合物を含有する記録層の他に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する記録層を少なくとも1層有してもよい。
【0040】
ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する記録層は、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を利用したものであり、さらにジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する塩基性物質等が含有されていてもよい。
【0041】
これらジアゾニウム塩化合物、カプラー、塩基などは、従来公知のものが使用できるが、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されいる。
以下、ジアゾニウム塩化合物、カプラー、塩基性物質の具体例を順次示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
−ジアゾニウム塩化合物の具体例−
以下、ジアゾニウム塩化合物の具体例を挙げるが、本発明におけるジアゾニウム塩化合物はこれに限定されるものではない。
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
−カプラーの具体例−
以下、カプラーの具体例を挙げるが、本発明におけるカプラーはこれに限定されるものではない。
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
−塩基性物質の具体例−
前記塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。該塩基性物質は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0073】
特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類が好ましい。
【0074】
<マイクロカプセル>
本発明の感熱記録材料においては、前記電子供与性染料前駆体と、前記一般式(I)で表される化合物とが、マイクロカプセルに内包されていることが好ましい。
【0075】
マイクロカプセル化の方法としては、従来公知のマイクロカプセルの方法を用いることができる。すなわち、電子供与性染料前駆体、マイクロカプセル壁前駆体、及び一般式(I)で表される化合物を、水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し昇温して、マイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜として形成することにより調整することができる。
【0076】
上記有機溶剤としては、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系などが挙げられる。具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコールなどの高沸点オイルが挙げられるが、この中でも特にアルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。更に上記高沸点オイルにヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、オイルとしては、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学製の商品名「MSD100」等がある。
【0077】
本発明におけるマイクロカプセルの壁膜としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタン・ウレア樹脂など(これらを総称してポリウレタン・ポリウレア樹脂という)、ポリイソシアネート化合物を前駆体として用いる壁膜が挙げられ、また、前記樹脂に加え、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等を壁材料としてさらに用いてもよい。
【0078】
マイクロカプセルが、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有する場合、当該マイクロカプセルは、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0079】
前記多価イソシアネートとして、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、3’3−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、シクロへキシレン−1,3−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンのジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また必要に応じ二種類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0080】
マイクロカプセルの粒径としては、0.05〜1.5μmが好ましく、0.1〜1.0μmがさらに好ましい。
【0081】
また、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー含有する記録層がさらに設けられる場合においては、ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていてもよい。当該マイクロカプセル化の方法は、前記した電子供与性染料前駆体及び一般式(I)で表される化合物の場合と同様の方法が挙げられる。
【0082】
<バインダー>
記録層におけるバインダーとしては、従来公知のものを使用することができ、ポリビニルアルコールやゼラチンなどの水溶性高分子やポリマーラテックスなどを挙げることができる。
【0083】
<その他>
記録層には、重合開始剤を含有させてもよい。該重合開始剤としては、例えば、特願2002−123729号明細書の段落番号[0084]〜[0095]に記載の重合開始剤が挙げられる。また、重合開始剤を用いる場合は、マイクロカプセル中に含有させることが好ましい。
【0084】
また、本発明においては、光褪色時の着色をさらに低減させるため、還元剤として知られている化合物を使用することができる。この還元剤はマイクロカプセル使用時にはマイクロカプセルの中にあっても外にあってもよいが、マイクロカプセルの中にあることが好ましい。還元剤がマイクロカプセルの外にあるときは、加熱印字したときに還元剤がマイクロカプセルの中に進入してくるものである。これらの添加剤としては、ハイドロキノン系化合物、ヒドラジド系化合物、ヒドロキシ化合物、フェニドン系化合物、カテコール系化合物、レゾルシノール化合物、ヒドロキシヒドロキノン系化合物、ピロログリシノール系化合物、フェノール系化合物、フェニルヒドラジド系化合物、没食子酸系化合物、アスコルビン酸系化合物、エチレングリコール系化合物などが挙げられる。これらについては特開平3−191341号公報、特開平3−25434号公報、特開平1−252953号公報、特開平2−302753号公報、特開平1−129247号公報、特開平1−227145号公報、特開平1−243048号公報、特開平2−262649号公報などに記載されている。具体的には、N−フェニルアセトヒドラジド、N−フェニルブチリルヒドラジド、p−t−ブチルフェノール、2−アジドベンゾオキサゾールの他、下記の化合物が挙げられる。
【0085】
【化34】
【0086】
(感熱記録材料の層構成)
本発明の感熱記録材料としては、記録層の他に、必要に応じて、中間層、保護層等の層を設けてなるものが好ましい。また、特開平7−276808号公報、同9−1928号公報、同9−39395号公報、同9−39396号公報、同9−95487号公報、同9−301958号公報、同11−291629号公報、同6−191155号公報、同12−206644号公報に記載の化合物を含有する層を新たに設けてもよい。
【0087】
既述のとおり、本発明においては、少なくとも1層の記録層において、電子供与性染料前駆体及び一般式(I)で表される化合物が共にマイクロカプセルに内包されていることが好ましいが、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、一般式(I)で表される化合物、ジアゾニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー、塩基性物質、増感剤の使用形態については、前記マイクロカプセルに内包する方法以外にも(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法などを用いることもできる。
【0088】
本発明においては、前記記録層を少なくとも2層積層し、各記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。その層構成は特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーを組み合わせた記録層2層と、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを組み合わせた記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。すなわち、支持体上に電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を含む第1の記録層、最大吸収波長が365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第2の記録層、最大吸収波長が425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第3の記録層とするものである。この例において、各記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0089】
この多色感熱記録材料の記録方法は、まず第3の記録層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色させる。次に425±40nmの光を照射して第3の記録層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させたのち、第2の記録層が発色するに充分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき第3の記録層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。さらに365±40nmの光を照射して第2の記録層に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に第1の記録層が発色する充分な熱を加えて発色させる。このとき第3、第2の記録層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0090】
本発明においては、耐光性をさらに向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0091】
さらに、すでに感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0092】
(支持体)
本発明における支持体としては、プラスチックフィルム、紙、プラスチック樹脂ラミネ−ト紙、合成紙、等を用いることができる。
【0093】
(光透過率調整層)
光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を充分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、記録層の定着に支障は生じない。光透過率調整層の特性は、記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0094】
この紫外線吸収剤の前駆体は、記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
本発明において、光透過率調整層に含有される化合物として、例えば、特開平9−1928号公報に記載の化合物を用いることができる。
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることが好ましく、最も望ましくは光定着型マゼンタ記録層と最外層である保護層との間に形成するのがよい。
【0095】
(中間層)
各記録層相互の混色を防ぐ目的で、各記録層間に中間層を設けることもできる。該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性高分子化合物からなるのが好ましく、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
また、支持体としてラミネート紙等O2透過率の高いものを用いる場合、O2カット層として下塗り層を設け、耐光性を改良することができる。
中間層、下塗り層にはより薄層にて混色防止、耐光性を向上させるために特願平7−113825号記載の膨潤性無機層状化合物を含有させることが有効である。
【0096】
(保護層)
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類、等が挙げられる。
【0097】
水溶性高分子化合物は、架橋剤により架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
上記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、離型剤等を添加することもできる。
【0098】
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
保護層は、支持体上に感光記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0099】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0100】
(実施例1)
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0101】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0102】
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、N−ビニルカルバゾール0.12部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)6部、Irgaperm2140(チバガイギー(株))4部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(下記式)6部を添加し加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)9.6部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(A)を得た。
【0103】
【化35】
【0104】
【化36】
【0105】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8((50%)、日本精化(株)製)0.17部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(B)を得た。
混合液(B)に混合液(A)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水21.2部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液(C)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.5μmであった。
【0106】
<電子受容性化合物分散液(C)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
【0107】
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(C)を得た。
【0108】
<記録層用塗布液(C)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)及び前記電子受容性化合物分散液(C)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、記録層用塗布液(C)を得た。
【0109】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
1)紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を得た。
【0110】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用ポリビニルアルコール(PVA)水溶液を作製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に、前記紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が9.8%になるように濃度調節した。
得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307、(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0111】
2)光透過率調整層用塗布液の調製
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、下記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0112】
【化37】
【0113】
<保護層用塗布液の調製>
1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)260部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57、(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0114】
2)保護層用顔料分散液の作製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液)、花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作製した。この分散液は粒径測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0115】
3)保護層用マット剤分散液の作製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0116】
4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0117】
<各記録層用塗布液の塗布>
得られた記録層用塗布液(C)を、支持体(厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET))上に、ワイヤーバーで、下から、前記記録層用塗布液(C)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に3層同時重層塗布し、乾燥することにより実施例1の感熱記録材料を得た。
【0118】
なお、前記記録層用塗布液(C)の塗布量は、感熱記録層の固形分塗布量が、11g/m2となるように塗布を行った。また、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
【0119】
(実施例2)
実施例1中の「電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製」において、N−ビニルカルバゾール0.12部を、1−ビニルイミダゾール0.12部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を得た。
【0120】
(比較例1)
実施例1中の「電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製」において、N−ビニルカルバゾールを除いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録材料を得た。
【0121】
<感熱記録材料の性能評価>
得られた実施例1及び2、比較例1の感熱記録材料について、印画装置として長野日本無線(株)製TRT−21を用い以下の手順で画像耐光性を評価した。
【0122】
(1)熱記録
サーマルヘッドの記録エネルギーを、0〜171mJ/mm2となるように印加電力及びパルス幅を調節して、シアン画像を記録した。
【0123】
(2)発色濃度の測定
(1)により発色させた感熱記録材料のシアン発色濃度をマクベス温度計(マクベス社製、RD−918)により測定し、シアン色濃度1.1の部分を特定した。
【0124】
(3)画像残存率の測定
画像耐光性は、画像形成後の各感熱記録材料に対して、キセノン光を曝露した後の画像残存率(%)により評価した。
(2)においてシアン発色濃度を測定した各感熱記録材料を、光照射装置(アトラス・エレクトリック/デバイス社製、WEATHEROMETER C1 65)を用いて、光照射パワー390W/m2で、それぞれ48時間、96時間、144時間照射し、照射後の各感熱記録材料について、シアン色発色濃度1.1に相当する部分の発色濃度を再び上記(2)と同様に測定し画像残存率(%)を計算した。
なお、画像残存率(%)は、48時間、96時間、144時間照射後のシアン発色濃度を、照射前のシアン発色濃度で除した値である。得られた結果を表4に示す。
【0125】
【表4】
【0126】
表4に示されるように、実施例1及び2の感熱記録材料は、比較例1の感熱記録材料に比べ、画像耐光性に優れていることが分かった。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、画像耐光性が優れた感熱記録材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、特に、画像耐光性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方法は、(1)現像が不要である、(2)支持体が紙の場合は紙質が一般紙に近い、(3)取扱が容易である、(4)発色濃度が高い、(5)記録装置が簡単で安価である、(6)記録時の騒音が無い等の利点があるため、ファクシミリやプリンターの分野、POS等のラベルの分野等にその用途が拡大している。
【0003】
このような背景のもとで、近年においては多色化に対応するため、或いは画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP)で投影したり、医療画像用に用いる場合には直接シャーカステン上で観察する等のために、サーマルヘッドで直接記録することのできる透明な感熱記録材料も開発されている。このような感熱記録材料としては特開昭63−265682号公報に記載の、高分子フィルム等の透明支持体上に、実質的に無色の発色成分と、該発色成分と反応して発色する実質的に無色の発色成分とを、結着剤中に微粒子状態で分散、又は、発色成分の一方をマイクロカプセルに内包させると共に他方を乳化分散した塗布液を塗布・乾燥した記録層を設けた透明感熱記録材料などが挙げられる。
【0004】
また、特開平1−285832号公報には、支持体の一方の面の最外層の発色単位層上に不透明な保護層を積層した感熱記録材料が提案されている。該感熱記録材料は不透明な保護層を有し、記録画像を片面から反射画像として観視できる構造を有する。上記感熱記録材料によると、画像の鮮明度を改善することができる。
【0005】
また、電子供与性染料前駆体と、電子受容性化合物とを使用した記録材料は、感圧紙、感熱紙、感光感圧紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等としてよく知られている。例えば、英国特許第2,140,449号明細書、米国特許第4,480,052号明細書、同4,436,920号明細書、特公昭60−123556号公報、同60−123557号公報などに詳しい。
【0006】
しかし、これら感熱記録材料は、いずれも熱や光などによって画像が変色しやすく、画像対光性に劣るといった問題があり、特にシアン色の画像耐光性の向上が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、画像耐光性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 支持体上に、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物を含有する記録層を少なくとも1層有する感熱記録材料において、
前記記録層が、下記一般式(I)で表される化合物を含有していることを特徴とする感熱記録材料である。
【0009】
【化2】
【0010】
一般式(I)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表し、R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表す。
【0011】
<2> 前記電子供与性染料前駆体が、前記一般式(I)で表される化合物と共に、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
【0012】
<3> 前記電子供与性染料前駆体が、インドリルアザフタリド化合物であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
【0013】
<4> 前記電子受容性化合物が、フェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0014】
<5> 前記一般式(I)で表される化合物が、N−ビニルカルバゾールである前記<1>〜<4>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に記録層を有してなり、該記録層は単層及び複数層の何れからなるものでもよく、必要に応じて、中間層、光透過率調整層、保護層等の他の層をさらに有していてもよい。まず、記録層について詳細に説明する。
【0016】
(記録層)
本発明における記録層は、電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物とを発色成分として含み、該記録層が、さらに一般式(I)で表される化合物(即ち、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な3級アミノ化合物)を含むことを特徴とする。また、電子供与性染料前駆体は、一般式(I)で表される化合物と共に、マイクロカプセルに内包されていることが好ましい。
【0017】
<一般式(I)で表される化合物>
以下、一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
【0018】
【化3】
【0019】
一般式(I)中、R1及びR2は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表し、R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよい。R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基を表す。
【0020】
前記R1及びR2がアルキル基を表す場合、該アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
前記R1及びR2がアルケニル基を表す場合、該アルケニル基としては、炭素数3〜6のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアルカジエニル基を表す場合、該アルカジエニルル基としては、炭素数5〜10のアルカジエニル基が好ましく、例えば、ペンタジエニル基、ヘキサトリエニル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアリール基を表す場合、該アリール基はとしては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記R1及びR2がアシル基を表す場合、該アシル基をとしては、炭素数1〜6のアシル基が好ましく、例えば、メトキシル基、エトキシル基等が挙げられる。前記R1及びR2は、さらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
【0022】
前記R1及びR2は互いに結合して環を形成してもよく、5員環、6員環、及びこれらの縮合環等が挙げられ、これらの環は窒素原子等のヘテロ原子を含む複素環であってもよい。形成される環としては、例えば、カルバゾール、イミダゾール、ピロリドン、フタルイミド、ピロリジン、ピペリジン等が挙げられる。
【0023】
前記R3で表される、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アリール基、又はアシル基は、前記R1及びR2で表されるものと同義であり、好ましい例も同様である。なお、前記R3としては、水素原子が好ましい。
【0024】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例〔(1)〜(7)〕を示すが、これらに限定されるものではない。
【0025】
【化4】
【0026】
一般式(I)で表される化合物としては、上記した各具体例の中でも、(1)N−ビニルカルバゾール、及び(2)1−ビニルイミダゾールが好ましく、(1)N−ビニルカルバゾールが特に好ましい。
【0027】
一般式(I)で表される化合物の含有量としては、後述する電子供与性染料前駆体1質量部に対して、0.01〜0.10質量部が好ましく、0.02〜0.05質量部がより好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
さらに、一般式(I)で表される化合物は、他の重合性エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物と併用してもよい。併用可能な他の重合性エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物としては、例えば、特願2002−123729号明細書の段落番号[0012]〜[0083]に記載のものが挙げられる。
【0029】
<電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物>
本発明における電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物は、特開平6−328860号公報、特開平7−290826号公報、特開平7−314904号公報、特開平8−324116号公報、特開平3−37727号公報、特開平9−31345号公報、特開平9−111136号公報、特開平9−118073号公報、特開平11−157221号公報、などに詳しく記載されている。
【0030】
−電子供与性染料前駆体の具体例−
本発明における電子供与性染料前駆体としては、特に限定はされないが、インドリルアザフタリド化合物であることが好ましい。
以下に、前記電子供与性染料前駆体の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【化5】
【0035】
前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.1〜1.0g/m2が好ましく、0.2〜0.5g/m2がより好ましい。また、前記電子供与性染料前駆体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0036】
−電子受容性化合物の具体例−
電子受容性化合物としては、フェノール系化合物(ビスフェノール類、等)、サリチル酸誘導体(サリチル酸金属塩、ヒドロキシ安息香酸エステル、等)が挙げられる。本発明においては、フェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩が好ましい。
本発明における電子受容性化合物の一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。
【0037】
前記電子受容性化合物の含有量としては、前記電子供与性染料前駆体1質量部に対して、2〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。また、前記電子受容性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0038】
本発明において、前記電子供与性染料前駆体と前記電子受容性化合物との組合せとしては、電子供与性染料前駆体がインドリルアザフタリド化合物であり、電子受容性化合物がフェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩である組み合わせが好ましい。
また、前記電子供与性染料前駆体、前記電子受容性化合物、及び前記一般式(I)で表される化合物の組合せとしては、電子供与性染料前駆体がインドリルアザフタリド化合物であり、電子受容性化合物がフェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩であり、一般式(I)で表される化合物がN−ビニルカルバゾールである組合せが特に好ましい。
【0039】
<ジアゾニウム塩化合物、カプラー、等>
本発明の感熱記録材料は、既述の電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、及び一般式(I)で表される化合物を含有する記録層の他に、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する記録層を少なくとも1層有してもよい。
【0040】
ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーを含有する記録層は、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を利用したものであり、さらにジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する塩基性物質等が含有されていてもよい。
【0041】
これらジアゾニウム塩化合物、カプラー、塩基などは、従来公知のものが使用できるが、特公平4−75147号公報、特公平6−55546号公報、特公平6−79867号公報、特開平4−201483号公報、特開昭60−49991号公報、特開昭60−242094号公報、特開昭61−5983号公報、特開昭63−87125号公報、特開平4−59287号公報、特開平5−185717号公報、特開平7−88356号公報、特開平7−96671号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−38389号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−8544号公報、特開昭59−190866号公報、特開昭62−55190号公報、特開昭60−6493号公報、特開昭60−259492号公報、特開昭63−318546号公報、特開平4−65291号公報、特開平5−185736号公報、特開平5−204089号公報、特開平8−310133号公報、特開平8−324129号公報、特開平9−156229号公報、特開平9−175017号公報、などに詳しく記載されいる。
以下、ジアゾニウム塩化合物、カプラー、塩基性物質の具体例を順次示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
−ジアゾニウム塩化合物の具体例−
以下、ジアゾニウム塩化合物の具体例を挙げるが、本発明におけるジアゾニウム塩化合物はこれに限定されるものではない。
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
−カプラーの具体例−
以下、カプラーの具体例を挙げるが、本発明におけるカプラーはこれに限定されるものではない。
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
−塩基性物質の具体例−
前記塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。該塩基性物質は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0073】
特に、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−3−(β−ナフトキ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス((3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼンなどのピペラジン類、N−(3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ)プロピルモルホリン、1,4−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス((3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ)ベンゼン、などのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン等のグアニジン等類が好ましい。
【0074】
<マイクロカプセル>
本発明の感熱記録材料においては、前記電子供与性染料前駆体と、前記一般式(I)で表される化合物とが、マイクロカプセルに内包されていることが好ましい。
【0075】
マイクロカプセル化の方法としては、従来公知のマイクロカプセルの方法を用いることができる。すなわち、電子供与性染料前駆体、マイクロカプセル壁前駆体、及び一般式(I)で表される化合物を、水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解し、水溶性高分子の水溶液中に添加しホモジナイザーなどを用いて乳化分散し昇温して、マイクロカプセル壁となる高分子物質を油/水界面に壁膜として形成することにより調整することができる。
【0076】
上記有機溶剤としては、酢酸エステル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等の低沸点補助溶剤及び/又はりん酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン、アルコール系、フェノール系、エーテル系、モノオレフィン系、エポキシ系などが挙げられる。具体例としては、りん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレフィン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1’−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリン、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエチレングリコールなどの高沸点オイルが挙げられるが、この中でも特にアルコール系、りん酸エステル系、カルボン酸系エステル系、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタンが好ましい。更に上記高沸点オイルにヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の炭化防止剤を添加してもよい。また、オイルとしては、特に不飽和脂肪酸を有するものが望ましく、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。α−メチルスチレンダイマーには、例えば、三井東圧化学製の商品名「MSD100」等がある。
【0077】
本発明におけるマイクロカプセルの壁膜としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタン・ウレア樹脂など(これらを総称してポリウレタン・ポリウレア樹脂という)、ポリイソシアネート化合物を前駆体として用いる壁膜が挙げられ、また、前記樹脂に加え、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等を壁材料としてさらに用いてもよい。
【0078】
マイクロカプセルが、ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有する場合、当該マイクロカプセルは、多価イソシアネート等のマイクロカプセル壁前駆体をカプセル化すべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の水溶液に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0079】
前記多価イソシアネートとして、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、3’3−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、シクロへキシレン−1,3−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンのジイソシアネート類、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、2,4ートリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。また必要に応じ二種類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0080】
マイクロカプセルの粒径としては、0.05〜1.5μmが好ましく、0.1〜1.0μmがさらに好ましい。
【0081】
また、ジアゾニウム塩化合物、及び該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラー含有する記録層がさらに設けられる場合においては、ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されていてもよい。当該マイクロカプセル化の方法は、前記した電子供与性染料前駆体及び一般式(I)で表される化合物の場合と同様の方法が挙げられる。
【0082】
<バインダー>
記録層におけるバインダーとしては、従来公知のものを使用することができ、ポリビニルアルコールやゼラチンなどの水溶性高分子やポリマーラテックスなどを挙げることができる。
【0083】
<その他>
記録層には、重合開始剤を含有させてもよい。該重合開始剤としては、例えば、特願2002−123729号明細書の段落番号[0084]〜[0095]に記載の重合開始剤が挙げられる。また、重合開始剤を用いる場合は、マイクロカプセル中に含有させることが好ましい。
【0084】
また、本発明においては、光褪色時の着色をさらに低減させるため、還元剤として知られている化合物を使用することができる。この還元剤はマイクロカプセル使用時にはマイクロカプセルの中にあっても外にあってもよいが、マイクロカプセルの中にあることが好ましい。還元剤がマイクロカプセルの外にあるときは、加熱印字したときに還元剤がマイクロカプセルの中に進入してくるものである。これらの添加剤としては、ハイドロキノン系化合物、ヒドラジド系化合物、ヒドロキシ化合物、フェニドン系化合物、カテコール系化合物、レゾルシノール化合物、ヒドロキシヒドロキノン系化合物、ピロログリシノール系化合物、フェノール系化合物、フェニルヒドラジド系化合物、没食子酸系化合物、アスコルビン酸系化合物、エチレングリコール系化合物などが挙げられる。これらについては特開平3−191341号公報、特開平3−25434号公報、特開平1−252953号公報、特開平2−302753号公報、特開平1−129247号公報、特開平1−227145号公報、特開平1−243048号公報、特開平2−262649号公報などに記載されている。具体的には、N−フェニルアセトヒドラジド、N−フェニルブチリルヒドラジド、p−t−ブチルフェノール、2−アジドベンゾオキサゾールの他、下記の化合物が挙げられる。
【0085】
【化34】
【0086】
(感熱記録材料の層構成)
本発明の感熱記録材料としては、記録層の他に、必要に応じて、中間層、保護層等の層を設けてなるものが好ましい。また、特開平7−276808号公報、同9−1928号公報、同9−39395号公報、同9−39396号公報、同9−95487号公報、同9−301958号公報、同11−291629号公報、同6−191155号公報、同12−206644号公報に記載の化合物を含有する層を新たに設けてもよい。
【0087】
既述のとおり、本発明においては、少なくとも1層の記録層において、電子供与性染料前駆体及び一般式(I)で表される化合物が共にマイクロカプセルに内包されていることが好ましいが、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物、一般式(I)で表される化合物、ジアゾニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラー、塩基性物質、増感剤の使用形態については、前記マイクロカプセルに内包する方法以外にも(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法などを用いることもできる。
【0088】
本発明においては、前記記録層を少なくとも2層積層し、各記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることができる。その層構成は特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーを組み合わせた記録層2層と、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物とを組み合わせた記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。すなわち、支持体上に電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を含む第1の記録層、最大吸収波長が365±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第2の記録層、最大吸収波長が425±40nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する第3の記録層とするものである。この例において、各記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
【0089】
この多色感熱記録材料の記録方法は、まず第3の記録層を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色させる。次に425±40nmの光を照射して第3の記録層中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させたのち、第2の記録層が発色するに充分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき第3の記録層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。さらに365±40nmの光を照射して第2の記録層に含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に第1の記録層が発色する充分な熱を加えて発色させる。このとき第3、第2の記録層も同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0090】
本発明においては、耐光性をさらに向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、ヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。
【0091】
さらに、すでに感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0092】
(支持体)
本発明における支持体としては、プラスチックフィルム、紙、プラスチック樹脂ラミネ−ト紙、合成紙、等を用いることができる。
【0093】
(光透過率調整層)
光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を充分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、記録層の定着に支障は生じない。光透過率調整層の特性は、記録層の特性に応じて任意に選定することができる。
【0094】
この紫外線吸収剤の前駆体は、記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光又は熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
本発明において、光透過率調整層に含有される化合物として、例えば、特開平9−1928号公報に記載の化合物を用いることができる。
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることが好ましく、最も望ましくは光定着型マゼンタ記録層と最外層である保護層との間に形成するのがよい。
【0095】
(中間層)
各記録層相互の混色を防ぐ目的で、各記録層間に中間層を設けることもできる。該中間層は、ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性高分子化合物からなるのが好ましく、適宜各種添加剤を含んでいてもよい。
また、支持体としてラミネート紙等O2透過率の高いものを用いる場合、O2カット層として下塗り層を設け、耐光性を改良することができる。
中間層、下塗り層にはより薄層にて混色防止、耐光性を向上させるために特願平7−113825号記載の膨潤性無機層状化合物を含有させることが有効である。
【0096】
(保護層)
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、記録層上に保護層を設けてもよい。該保護層は、必要に応じて二層以上積層してもよい。
保護層に用いる材料としては、ポリビニルアルコール、カルボキシ変成ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類、等が挙げられる。
【0097】
水溶性高分子化合物は、架橋剤により架橋させることで、より一層保存安定性を向上させることもできる。該架橋剤としては、公知の架橋剤の中から適宜選択することができ、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類;硼酸、硼砂等の無機系架橋剤;ポリアミドエピクロルヒドリン等が挙げられる。
上記保護層には、さらに公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、離型剤等を添加することもできる。
【0098】
保護層の塗布量としては、乾燥塗布量で0.2〜5g/m2が好ましく、0.5〜2g/m2がより好ましい。その膜厚としては、0.2〜5μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。
また、保護層を設ける場合には、該保護層中に公知の紫外線吸収剤やその前駆体を含有させてもよい。
保護層は、支持体上に感光記録層を形成する場合と同様、上述の公知の塗布方法により設けることができる。
【0099】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0100】
(実施例1)
<フタル化ゼラチン溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0101】
<アルカリ処理ゼラチン溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用ゼラチン水溶液を得た。
【0102】
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部、N−ビニルカルバゾール0.12部、1−メチルプロピルフェニル−フェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名:ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)6部、Irgaperm2140(チバガイギー(株))4部、トリメチロールプロパントリメタクリレート(下記式)6部を添加し加熱して均一に溶解した。
上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)9.6部とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部を添加し、均一に攪拌し混合液(A)を得た。
【0103】
【化35】
【0104】
【化36】
【0105】
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液28.8部にイオン交換水9.5部、Scraph AG−8((50%)、日本精化(株)製)0.17部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(B)を得た。
混合液(B)に混合液(A)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水21.2部、テトラエチレンペンタミン0.12部を加え均一化し、65℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行ないカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節しマイクロカプセル液(C)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で1.5μmであった。
【0106】
<電子受容性化合物分散液(C)の調製>
前記フタル化ゼラチン水溶液11.3部にイオン交換水30.1部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部、2%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部を加えて、ボールミルにて一晩分散した後、分散液を得た。この分散液の、固形分濃度は26.6%であった。
【0107】
上記分散液100部に、前記アルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて、30分攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加えて電子受容性化合物分散液(C)を得た。
【0108】
<記録層用塗布液(C)の調製>
前記電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)及び前記電子受容性化合物分散液(C)を、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1になるように混合し、記録層用塗布液(C)を得た。
【0109】
<光透過率調整層用塗布液の調製>
1)紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル71部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート14.5部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン5.0部、燐酸トリクレジル1.9部、α−メチルスチレンダイマー(商品名:MSD−100、三井化学(株)製)5.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂(株)製)0.45部を溶解し均一に溶解した。上記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業(株)製)54.7部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を得た。
【0110】
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:KL−318,クラレ(株)製)52部に30%燐酸水溶液8.9部、イオン交換水532.6部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用ポリビニルアルコール(PVA)水溶液を作製した。
上記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液516.06部に、前記紫外線吸収剤前駆体混合液(XI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水254.1部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応を行った。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)94.3部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が9.8%になるように濃度調節した。
得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.23±0.05μmであった。このカプセル液859.1部にカルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名:SN−307、(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)2.416部、イオン交換水39.5部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
【0111】
2)光透過率調整層用塗布液の調製
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部、下記化合物(K)(商品名:メガファックF−120、5%水溶液,大日本インキ化学工業(株))5.2部、4%水酸化ナトリウム水溶液7.75部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製、2.0%水溶液)73.39部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
【0112】
【化37】
【0113】
<保護層用塗布液の調製>
1)保護層用ポリビニルアルコール溶液の作製
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名:EP−130、電気化学工業(株)製)260部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルの混合液(商品名:ネオスコアCM−57、(54%水溶液)、東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
【0114】
2)保護層用顔料分散液の作製
硫酸バリウム(商品名:BF−21F、硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名:ポイズ532A(40%水溶液)、花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して保護層用顔料分散液を作製した。この分散液は粒径測定(LA−910、堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.15μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスO(20%水分散液)、日産化学(株)製)8.1部を添加して目的の分散物を得た。
【0115】
3)保護層用マット剤分散液の作製
小麦澱粉(商品名:小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1−2ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名:PROXEL B.D,I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
【0116】
4) 保護層用塗布ブレンド液の調製
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部にフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF−120、5%水溶液、大日本インキ化学工業(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製 2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液49.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名:ハイドリンF115、20.5%水溶液,中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布ブレンド液を得た。
【0117】
<各記録層用塗布液の塗布>
得られた記録層用塗布液(C)を、支持体(厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET))上に、ワイヤーバーで、下から、前記記録層用塗布液(C)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に3層同時重層塗布し、乾燥することにより実施例1の感熱記録材料を得た。
【0118】
なお、前記記録層用塗布液(C)の塗布量は、感熱記録層の固形分塗布量が、11g/m2となるように塗布を行った。また、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布を行った。
【0119】
(実施例2)
実施例1中の「電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製」において、N−ビニルカルバゾール0.12部を、1−ビニルイミダゾール0.12部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を得た。
【0120】
(比較例1)
実施例1中の「電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(C)の調製」において、N−ビニルカルバゾールを除いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録材料を得た。
【0121】
<感熱記録材料の性能評価>
得られた実施例1及び2、比較例1の感熱記録材料について、印画装置として長野日本無線(株)製TRT−21を用い以下の手順で画像耐光性を評価した。
【0122】
(1)熱記録
サーマルヘッドの記録エネルギーを、0〜171mJ/mm2となるように印加電力及びパルス幅を調節して、シアン画像を記録した。
【0123】
(2)発色濃度の測定
(1)により発色させた感熱記録材料のシアン発色濃度をマクベス温度計(マクベス社製、RD−918)により測定し、シアン色濃度1.1の部分を特定した。
【0124】
(3)画像残存率の測定
画像耐光性は、画像形成後の各感熱記録材料に対して、キセノン光を曝露した後の画像残存率(%)により評価した。
(2)においてシアン発色濃度を測定した各感熱記録材料を、光照射装置(アトラス・エレクトリック/デバイス社製、WEATHEROMETER C1 65)を用いて、光照射パワー390W/m2で、それぞれ48時間、96時間、144時間照射し、照射後の各感熱記録材料について、シアン色発色濃度1.1に相当する部分の発色濃度を再び上記(2)と同様に測定し画像残存率(%)を計算した。
なお、画像残存率(%)は、48時間、96時間、144時間照射後のシアン発色濃度を、照射前のシアン発色濃度で除した値である。得られた結果を表4に示す。
【0125】
【表4】
【0126】
表4に示されるように、実施例1及び2の感熱記録材料は、比較例1の感熱記録材料に比べ、画像耐光性に優れていることが分かった。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、画像耐光性が優れた感熱記録材料を提供することができる。
Claims (5)
- 前記電子供与性染料前駆体が、前記一般式(I)で表される化合物と共に、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 前記電子供与性染料前駆体が、インドリルアザフタリド化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
- 前記電子受容性化合物が、フェノール系化合物及び/又はサリチル酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
- 前記一般式(I)で表される化合物が、N−ビニルカルバゾールである請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料。
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WO2006025206A1 (ja) * | 2004-09-01 | 2006-03-09 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 感熱記録体の製造方法 |
JP2010069871A (ja) * | 2008-08-20 | 2010-04-02 | Fujifilm Corp | 感熱記録材料 |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002194589A patent/JP2004034504A/ja active Pending
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