JP2004028275A - 軸受一体型樹脂プーリ - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受の耐久性向上やプーリ本体との剥離防止等を図った軸受一体型樹脂プーリを提供する。
【解決手段】tは外輪27のラジアル方向の平均肉厚すなわち軌道部肉厚を示し、rは外輪27の軌道部肉厚tに対する平均半径すなわち平均肉厚半径を示している。軌道部肉厚/平均肉厚半径(t/r)を従来レベルの0.8弱程度から0.15としたことにより、外輪27の変位量/偏荷重は従来レベルの1/6程度となった。
【選択図】 図2
【解決手段】tは外輪27のラジアル方向の平均肉厚すなわち軌道部肉厚を示し、rは外輪27の軌道部肉厚tに対する平均半径すなわち平均肉厚半径を示している。軌道部肉厚/平均肉厚半径(t/r)を従来レベルの0.8弱程度から0.15としたことにより、外輪27の変位量/偏荷重は従来レベルの1/6程度となった。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受一体型樹脂プーリに係り、詳しくは軸受の耐久性向上やプーリ本体との剥離防止等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンには、オルタネータやクーラコンプレッサ、ウォータポンプ等、種々の補機が付設されている。通常、これらの補機はマルチグルーブベルト(多溝付ベルト)やVベルト等を介してクランクシャフトに駆動されており、ベルトが巻掛けられるプーリには鋼製やアルミ合金製の他、軽量かつ量産性に優れた合成樹脂製のものが採用されている。プーリを支持する転がり軸受としては、メンテナンス性に優れたグリース封入式が一般的であり、単列深溝型や3,4点接触型、複列ラジアル型等、種々の形式が採用されている。通常、転がり軸受は、鋼やアルミ合金製のプーリにおいてはボス部に転がり軸受が圧入され、合成樹脂製のプーリにおいては射出成形によってプーリ本体のボス部に一体化される。後者の軸受一体型樹脂プーリは、製造コストや量産性の点で優れると共に、部品点数や組立工数等も削減できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
軸受一体型樹脂プーリは、上述したように多くの特長を有しているが、広範囲な採用を実現するには、解決するべきいくつかの問題があった。例えば、合成樹脂は射出成形後の冷却によって収縮するが、ボス部の収縮に伴い大きな応力が作用する等により、軸受の外輪に歪みが生じることがあった。この場合、外輪の内軌道面の形状および寸法精度が許容限度以下に低下し、運転騒音が増大したり、耐久性が低下すること等が避けられなかった。
【0004】
一方、プーリ本体と軸受の外輪とは上述したボス部の収縮等により一体化されるが、クーラコンプレッサやスーパチャージャ等に用いられるプーリでは、補機起動時等における高い負荷に耐えられず、プーリ本体と外輪とが剥離してしまう虞があった。このような事態を防止するべく、特開平11−148550号公報や特開2001−317616号公報等には、外輪の外周面にローレット加工で凹凸を形成しておき、プーリ本体との固着強度を高めたものが提示されている。また、特開平07−083226号公報等には、プーリ本体の中心に金属製のバックアップリングを一体成形し、このバックアップリングに軸受を圧入するようにしたものが提示されている。
【0005】
しかしながら、外輪の外周面に凹凸を形成したものでも、高速、高荷重、高温等厳しい使用条件下での長期の運転によっては、プーリ本体と外輪とが次第に剥離してしまう虞があった。また、バックアップリングを用いたものでは、構成部品点数が増加する他に圧入工程も必要となり、軸受一体型樹脂プーリを採用するメリットが著しく損なわれる問題があった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、軸受の耐久性向上やプーリ本体との剥離防止等を図った軸受一体型樹脂プーリを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1の発明では、上記課題を解決するため、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定されたものを提案する。
【0008】
また、請求項2の発明では、請求項1の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0009】
また、請求項3の発明では、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪の外周面に鍔部が突設されたものを提案する。
【0010】
また、請求項4の発明では、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定され、かつ、当該外輪の外周面に鍔部が突設されたものを提案する。
【0011】
また、請求項5の発明では、請求項3または4の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0012】
また、請求項6の発明では、請求項3〜5の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記鍔部の外周面と側面との少なくとも一方に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0013】
また、請求項7の発明では、請求項3〜6の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記鍔部に両側面を連通する貫通穴が形成されたものを提案する。
【0014】
また、請求項8の発明では、請求項3〜7の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記プーリ本体から前記鍔部の一部が露出したものを提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。図1に示したように、第1実施形態の軸受一体型樹脂プーリ(以下、単にプーリと記す)1は、図示しない金型のキャビティ内に合成樹脂を射出成形することにより形成されるプーリ本体3と、金型内にセットされてプーリ本体と一体化されたグリース封入式の深溝単列玉軸受(以下、単に軸受と記す)5とからなっている。
【0016】
プーリ本体3は、図示しないベルトが巻き掛けられるリム部7と、軸受5と固着・一体化されるボス部9と、リム部7とボス部9とを連結するディスク部11と、補強用のリブ13とからなっている。また、軸受5は、外周側に内軌道面21を有する内輪23と、内周側に外軌道面25を有する外輪27と、内輪23と外輪27との間に介装され、内軌道面21と外軌道面25とに転接する転動体たる多数個の鋼球29と、これら鋼球29の保持に供される鋼板プレス成型品の保持器31と、外輪27の両端部に取り付けられた一対の弾性シール33と、内輪23と外輪27との間に封入されたグリース35とから構成されている。図中、符号37は外輪27の外周面を示す。
【0017】
図2は軸受5の外輪27を示した縦断面図である。この図において、tは外輪27のラジアル方向の平均肉厚すなわち軌道部肉厚を示し、rは外輪27の軌道部肉厚tに対する平均半径すなわち平均肉厚半径を示している。第1実施形態の場合、tは0.15r程度(例えば、t=5.5mm,r=37mm)に設定されている。
【0018】
以下、第1実施形態の作用を述べる。
作業者は、プーリ1の製造にあたり、図示しない射出成形装置の金型内に軸受5(あるいは、外輪27のみ)をセットした後、PP等の溶融合成樹脂を金型のキャビティ内に所定の圧力で射出する。キャビティ内に射出された溶融合成樹脂はプーリ本体3となって固化し、軸受5が一体化されたプーリ1となって金型から排出される。排出されたプーリ1では、プーリ本体3がその冷却に応じて収縮し、外輪27の外周部を囲繞したボス部9が外輪27を所定の緊縮力で締め付ける形となる。
【0019】
ところが、本実施形態では、軌道部肉厚tが平均肉厚半径rに対してt=0.15rと大きく設定されているため、ボス部9に締め付けられても外輪27の歪みが殆ど起こらない。その結果、従来装置で問題となっていた外輪27の内軌道面21の形状および寸法精度の低下も無視し得る程度となり、軸受5における運転騒音の増大や耐久性の低下がなくなった。また、外輪27が歪まないことにより、ボス部9と外輪27との固着強度も当然に高くなり、プーリ本体3と外輪27との剥離も生じ難くなった。
【0020】
本発明者等が種々の条件で実験を行ったところ、図3に示したように、軌道部肉厚/平均肉厚半径(t/r)を従来レベルの0.08弱程度から0.11以上に高めた場合、外輪27の変位量/偏荷重(10−2mm/kgf)が1/3程度に減少した。また、第1実施形態のように、t/r=0.15とした場合、外輪27の変位量/偏荷重)は従来レベルの1/6程度となった。
【0021】
図4は、第2〜第4実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1は、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、外輪27の外周面37の両側部に図5〜図7ににそれぞれ要部平面視を示した斜線状あるいは直線状の凸条41,43やクロス線状のローレット溝45が形成されている。これら実施形態によれば、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。尚、これら実施形態においては、外輪27の中央部に凸条41,43やローレット溝45が存在しないため、転造加工やローレット加工等に起因する歪みが外軌道面25に及び難い特長がある。
【0022】
図8は、第5〜第8実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図9〜図12にそれぞれ要部平面視を示したように、外輪27の外周面37に円弧状、スパイラル状あるいは直線状の凸条51,53,55,57が形成されている。これら実施形態においても、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0023】
図13は第9実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図であり、図14は外輪27の要部側面図である。これらの図に示したように、本実施形態のプーリ1も、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、外輪27の外周面37には環状の鍔部61がその中央部に突設されている。これにより、第13実施形態では、プーリ本体3と外輪27との固着面積が大幅に増大し、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0024】
図15は、第10〜第12実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図16〜図18にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61の外周に矩形、鋸歯状あるいは半円状の切欠63,65,67が多数形成されている。これら実施形態においては、射出成型時に切欠63,65,67に溶融合成樹脂が進入することになり、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0025】
図19は、第13〜第15実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図20〜図22にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61にその両側面を連通する円形、矩形および三角形の貫通孔71,73,75が多数形成されている(或いは、へこみでも良い。)これら実施形態においては、射出成型時に貫通孔71,73,75に溶融合成樹脂が進入することになり、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0026】
図23は、第16〜第21実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図24〜図29にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61の一方の側面81に放射状あるいは円弧状の凸条83,85,87や放射状、クロス状あるいはスパイラル状のローレット溝89,91,93が多数形成されている。また、これらの実施形態では、鍔部61の他方の側面95の一部がプーリ本体3から露出している。これら実施形態においても、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。また、鍔部61の一部がプーリ本体3から露出していることにより、軸受5の運転によって発生した熱が効果的に大気中に放出されることになり、軸受寿命の向上も実現された。
【0027】
図30〜図33は、第22〜第25実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。これら実施形態ではプーリ本体3に対して軸受5が図中左方にオフセットすると共に、プーリ本体3のディスク部11が軸受5の左端に位置している。その他の構成は、図30に示した第22実施形態は第1実施形態に対応し、図31に示した第23実施形態は第2実施形態に対応し、図32に示した第24実施形態は第9実施形態に対応し、図31に示した第27実施形態は第13〜第15実施形態に対応している。尚、第24,第25実施形態では、ディスク部11との位置関係に対応して、鍔部61も外周面37の図中左端に形成されている。また、第25実施形態においては、軸受5の放熱性を向上させるべく、第16〜第21実施形態と同様に鍔部61の一部がプーリ本体3から露出している。
【0028】
図34〜図37は、それぞれ外周面37に形成される鍔部61や突起97の例を示す外輪27の縦断面図である。
【0029】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限られるものではない。例えば、上記各実施形態は、本発明をグリース封入式深溝単列玉軸受を有する軸受一体型樹脂プーリに適用したものであるが、深溝複列玉軸受や4点接触玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、複列円錐ころ軸受等、種々の転がり軸受を有するものに適用可能である。また、プーリ本体の素材や具体的形状を始め、軸受の外輪に形成する鍔部や凸部、凹部の具体的形状についても、上記実施形態に限られるものではなく、設計上の都合等により適宜変更可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の軸受一体型樹脂プーリによれば、外輪の軌道部肉厚の平均肉厚半径に対する比を従来のものより大きくしたため、射出成形後におけるプーリ本体の収縮による外輪の歪みが殆ど起こらなくなり、外輪の内軌道面の形状および寸法精度の低下に起因する軸受の運転騒音の増大や耐久性の低下が抑制される。また、軸受外輪の外周面に凸部や凹部、鍔部が設けられたものでは、プーリ本体と外輪との固着強度が向上して、高負荷が印可された場合にもプーリ本体と外輪との剥離が起こり難くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る軸受の外輪を示した縦断面図である。
【図3】外輪の軌道部肉厚t/平均肉厚半径rと変位量/偏荷重との関係を示したグラフである。
【図4】第2〜第4実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図5】第2実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図6】第3実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図7】第4実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図8】第5〜第8実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図9】第5実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図10】第6実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図11】第7実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図12】第8実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図13】第9実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図14】第9実施形態に係る外輪の要部側面図である。
【図15】第10〜第12実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図16】第10実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図17】第11実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図18】第12実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図19】第13〜第15実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図20】第13実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図21】第14実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図22】第15実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図23】第16〜第21実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図24】第16実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図25】第17実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図26】第18実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図27】第19実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図28】第20実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図29】第21実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図30】第22実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図31】第23実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図32】第24実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図33】第25実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図34】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図35】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図36】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図37】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【符号の説明】
1‥‥軸受一体型樹脂プーリ
3‥‥プーリ本体
5‥‥軸受(深溝単列玉軸受)
9‥‥ボス部
21‥‥内軌道面
23‥‥内輪
25‥‥外軌道面
27‥‥外輪
29‥‥鋼球(転動体)
41,43‥‥凸条
45‥‥ローレット溝
51,53,55,57‥‥凸条
61‥‥鍔部
63,65,67‥‥切欠
71,73,75‥‥貫通孔
81‥‥側面
83,85,87‥‥凸条
89,91,93ローレット溝
95‥‥側面
97‥‥突起
t‥‥軌道部肉厚
r‥‥平均肉厚半径
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受一体型樹脂プーリに係り、詳しくは軸受の耐久性向上やプーリ本体との剥離防止等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンには、オルタネータやクーラコンプレッサ、ウォータポンプ等、種々の補機が付設されている。通常、これらの補機はマルチグルーブベルト(多溝付ベルト)やVベルト等を介してクランクシャフトに駆動されており、ベルトが巻掛けられるプーリには鋼製やアルミ合金製の他、軽量かつ量産性に優れた合成樹脂製のものが採用されている。プーリを支持する転がり軸受としては、メンテナンス性に優れたグリース封入式が一般的であり、単列深溝型や3,4点接触型、複列ラジアル型等、種々の形式が採用されている。通常、転がり軸受は、鋼やアルミ合金製のプーリにおいてはボス部に転がり軸受が圧入され、合成樹脂製のプーリにおいては射出成形によってプーリ本体のボス部に一体化される。後者の軸受一体型樹脂プーリは、製造コストや量産性の点で優れると共に、部品点数や組立工数等も削減できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
軸受一体型樹脂プーリは、上述したように多くの特長を有しているが、広範囲な採用を実現するには、解決するべきいくつかの問題があった。例えば、合成樹脂は射出成形後の冷却によって収縮するが、ボス部の収縮に伴い大きな応力が作用する等により、軸受の外輪に歪みが生じることがあった。この場合、外輪の内軌道面の形状および寸法精度が許容限度以下に低下し、運転騒音が増大したり、耐久性が低下すること等が避けられなかった。
【0004】
一方、プーリ本体と軸受の外輪とは上述したボス部の収縮等により一体化されるが、クーラコンプレッサやスーパチャージャ等に用いられるプーリでは、補機起動時等における高い負荷に耐えられず、プーリ本体と外輪とが剥離してしまう虞があった。このような事態を防止するべく、特開平11−148550号公報や特開2001−317616号公報等には、外輪の外周面にローレット加工で凹凸を形成しておき、プーリ本体との固着強度を高めたものが提示されている。また、特開平07−083226号公報等には、プーリ本体の中心に金属製のバックアップリングを一体成形し、このバックアップリングに軸受を圧入するようにしたものが提示されている。
【0005】
しかしながら、外輪の外周面に凹凸を形成したものでも、高速、高荷重、高温等厳しい使用条件下での長期の運転によっては、プーリ本体と外輪とが次第に剥離してしまう虞があった。また、バックアップリングを用いたものでは、構成部品点数が増加する他に圧入工程も必要となり、軸受一体型樹脂プーリを採用するメリットが著しく損なわれる問題があった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、軸受の耐久性向上やプーリ本体との剥離防止等を図った軸受一体型樹脂プーリを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1の発明では、上記課題を解決するため、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定されたものを提案する。
【0008】
また、請求項2の発明では、請求項1の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0009】
また、請求項3の発明では、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪の外周面に鍔部が突設されたものを提案する。
【0010】
また、請求項4の発明では、外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体とを構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定され、かつ、当該外輪の外周面に鍔部が突設されたものを提案する。
【0011】
また、請求項5の発明では、請求項3または4の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0012】
また、請求項6の発明では、請求項3〜5の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記鍔部の外周面と側面との少なくとも一方に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたものを提案する。
【0013】
また、請求項7の発明では、請求項3〜6の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記鍔部に両側面を連通する貫通穴が形成されたものを提案する。
【0014】
また、請求項8の発明では、請求項3〜7の軸受一体型樹脂プーリにおいて、前記プーリ本体から前記鍔部の一部が露出したものを提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。図1に示したように、第1実施形態の軸受一体型樹脂プーリ(以下、単にプーリと記す)1は、図示しない金型のキャビティ内に合成樹脂を射出成形することにより形成されるプーリ本体3と、金型内にセットされてプーリ本体と一体化されたグリース封入式の深溝単列玉軸受(以下、単に軸受と記す)5とからなっている。
【0016】
プーリ本体3は、図示しないベルトが巻き掛けられるリム部7と、軸受5と固着・一体化されるボス部9と、リム部7とボス部9とを連結するディスク部11と、補強用のリブ13とからなっている。また、軸受5は、外周側に内軌道面21を有する内輪23と、内周側に外軌道面25を有する外輪27と、内輪23と外輪27との間に介装され、内軌道面21と外軌道面25とに転接する転動体たる多数個の鋼球29と、これら鋼球29の保持に供される鋼板プレス成型品の保持器31と、外輪27の両端部に取り付けられた一対の弾性シール33と、内輪23と外輪27との間に封入されたグリース35とから構成されている。図中、符号37は外輪27の外周面を示す。
【0017】
図2は軸受5の外輪27を示した縦断面図である。この図において、tは外輪27のラジアル方向の平均肉厚すなわち軌道部肉厚を示し、rは外輪27の軌道部肉厚tに対する平均半径すなわち平均肉厚半径を示している。第1実施形態の場合、tは0.15r程度(例えば、t=5.5mm,r=37mm)に設定されている。
【0018】
以下、第1実施形態の作用を述べる。
作業者は、プーリ1の製造にあたり、図示しない射出成形装置の金型内に軸受5(あるいは、外輪27のみ)をセットした後、PP等の溶融合成樹脂を金型のキャビティ内に所定の圧力で射出する。キャビティ内に射出された溶融合成樹脂はプーリ本体3となって固化し、軸受5が一体化されたプーリ1となって金型から排出される。排出されたプーリ1では、プーリ本体3がその冷却に応じて収縮し、外輪27の外周部を囲繞したボス部9が外輪27を所定の緊縮力で締め付ける形となる。
【0019】
ところが、本実施形態では、軌道部肉厚tが平均肉厚半径rに対してt=0.15rと大きく設定されているため、ボス部9に締め付けられても外輪27の歪みが殆ど起こらない。その結果、従来装置で問題となっていた外輪27の内軌道面21の形状および寸法精度の低下も無視し得る程度となり、軸受5における運転騒音の増大や耐久性の低下がなくなった。また、外輪27が歪まないことにより、ボス部9と外輪27との固着強度も当然に高くなり、プーリ本体3と外輪27との剥離も生じ難くなった。
【0020】
本発明者等が種々の条件で実験を行ったところ、図3に示したように、軌道部肉厚/平均肉厚半径(t/r)を従来レベルの0.08弱程度から0.11以上に高めた場合、外輪27の変位量/偏荷重(10−2mm/kgf)が1/3程度に減少した。また、第1実施形態のように、t/r=0.15とした場合、外輪27の変位量/偏荷重)は従来レベルの1/6程度となった。
【0021】
図4は、第2〜第4実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1は、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、外輪27の外周面37の両側部に図5〜図7ににそれぞれ要部平面視を示した斜線状あるいは直線状の凸条41,43やクロス線状のローレット溝45が形成されている。これら実施形態によれば、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。尚、これら実施形態においては、外輪27の中央部に凸条41,43やローレット溝45が存在しないため、転造加工やローレット加工等に起因する歪みが外軌道面25に及び難い特長がある。
【0022】
図8は、第5〜第8実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図9〜図12にそれぞれ要部平面視を示したように、外輪27の外周面37に円弧状、スパイラル状あるいは直線状の凸条51,53,55,57が形成されている。これら実施形態においても、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0023】
図13は第9実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図であり、図14は外輪27の要部側面図である。これらの図に示したように、本実施形態のプーリ1も、上述した第1実施形態と略同様の全体構成を採っているが、外輪27の外周面37には環状の鍔部61がその中央部に突設されている。これにより、第13実施形態では、プーリ本体3と外輪27との固着面積が大幅に増大し、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第1実施形態のものより向上し、高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0024】
図15は、第10〜第12実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図16〜図18にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61の外周に矩形、鋸歯状あるいは半円状の切欠63,65,67が多数形成されている。これら実施形態においては、射出成型時に切欠63,65,67に溶融合成樹脂が進入することになり、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0025】
図19は、第13〜第15実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図20〜図22にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61にその両側面を連通する円形、矩形および三角形の貫通孔71,73,75が多数形成されている(或いは、へこみでも良い。)これら実施形態においては、射出成型時に貫通孔71,73,75に溶融合成樹脂が進入することになり、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。
【0026】
図23は、第16〜第21実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。同図に示したように、これら実施形態のプーリ1も、上述した第9実施形態と略同様の全体構成を採っているが、図24〜図29にそれぞれ要部側面視を示したように、鍔部61の一方の側面81に放射状あるいは円弧状の凸条83,85,87や放射状、クロス状あるいはスパイラル状のローレット溝89,91,93が多数形成されている。また、これらの実施形態では、鍔部61の他方の側面95の一部がプーリ本体3から露出している。これら実施形態においても、プーリ本体3と外輪27との固着強度が第9実施形態のものより向上し、比較的高負荷時にもプーリ本体3と外輪27との剥離が生じ難くなった。また、鍔部61の一部がプーリ本体3から露出していることにより、軸受5の運転によって発生した熱が効果的に大気中に放出されることになり、軸受寿命の向上も実現された。
【0027】
図30〜図33は、第22〜第25実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。これら実施形態ではプーリ本体3に対して軸受5が図中左方にオフセットすると共に、プーリ本体3のディスク部11が軸受5の左端に位置している。その他の構成は、図30に示した第22実施形態は第1実施形態に対応し、図31に示した第23実施形態は第2実施形態に対応し、図32に示した第24実施形態は第9実施形態に対応し、図31に示した第27実施形態は第13〜第15実施形態に対応している。尚、第24,第25実施形態では、ディスク部11との位置関係に対応して、鍔部61も外周面37の図中左端に形成されている。また、第25実施形態においては、軸受5の放熱性を向上させるべく、第16〜第21実施形態と同様に鍔部61の一部がプーリ本体3から露出している。
【0028】
図34〜図37は、それぞれ外周面37に形成される鍔部61や突起97の例を示す外輪27の縦断面図である。
【0029】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限られるものではない。例えば、上記各実施形態は、本発明をグリース封入式深溝単列玉軸受を有する軸受一体型樹脂プーリに適用したものであるが、深溝複列玉軸受や4点接触玉軸受、複列アンギュラ玉軸受、複列円錐ころ軸受等、種々の転がり軸受を有するものに適用可能である。また、プーリ本体の素材や具体的形状を始め、軸受の外輪に形成する鍔部や凸部、凹部の具体的形状についても、上記実施形態に限られるものではなく、設計上の都合等により適宜変更可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の軸受一体型樹脂プーリによれば、外輪の軌道部肉厚の平均肉厚半径に対する比を従来のものより大きくしたため、射出成形後におけるプーリ本体の収縮による外輪の歪みが殆ど起こらなくなり、外輪の内軌道面の形状および寸法精度の低下に起因する軸受の運転騒音の増大や耐久性の低下が抑制される。また、軸受外輪の外周面に凸部や凹部、鍔部が設けられたものでは、プーリ本体と外輪との固着強度が向上して、高負荷が印可された場合にもプーリ本体と外輪との剥離が起こり難くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る軸受の外輪を示した縦断面図である。
【図3】外輪の軌道部肉厚t/平均肉厚半径rと変位量/偏荷重との関係を示したグラフである。
【図4】第2〜第4実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図5】第2実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図6】第3実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図7】第4実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図8】第5〜第8実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図9】第5実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図10】第6実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図11】第7実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図12】第8実施形態に係る軸受外輪の要部平面図である。
【図13】第9実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図14】第9実施形態に係る外輪の要部側面図である。
【図15】第10〜第12実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図16】第10実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図17】第11実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図18】第12実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図19】第13〜第15実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図20】第13実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図21】第14実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図22】第15実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図23】第16〜第21実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図24】第16実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図25】第17実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図26】第18実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図27】第19実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図28】第20実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図29】第21実施形態に係る軸受外輪の要部側面図である。
【図30】第22実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図31】第23実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図32】第24実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図33】第25実施形態に係る軸受一体型樹脂プーリの縦断面図である。
【図34】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図35】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図36】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【図37】外周面に形成される鍔部や突起の例を示す外輪の縦断面図である。
【符号の説明】
1‥‥軸受一体型樹脂プーリ
3‥‥プーリ本体
5‥‥軸受(深溝単列玉軸受)
9‥‥ボス部
21‥‥内軌道面
23‥‥内輪
25‥‥外軌道面
27‥‥外輪
29‥‥鋼球(転動体)
41,43‥‥凸条
45‥‥ローレット溝
51,53,55,57‥‥凸条
61‥‥鍔部
63,65,67‥‥切欠
71,73,75‥‥貫通孔
81‥‥側面
83,85,87‥‥凸条
89,91,93ローレット溝
95‥‥側面
97‥‥突起
t‥‥軌道部肉厚
r‥‥平均肉厚半径
Claims (8)
- 外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、
当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体と
を構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、
前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定されたことを特徴とする軸受一体型樹脂プーリ。 - 前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の軸受一体型樹脂プーリ。
- 外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、
当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体と
を構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、
前記外輪の外周面に鍔部が突設されたことを特徴とする軸受一体型樹脂プーリ。 - 外周側に内軌道面を有する内輪と、内周側に外軌道面を有する外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介装されて前記内軌道面と前記外軌道面とに転接する多数の転動体とを備えた転がり軸受と、
当該転がり軸受の外輪と一体成形された合成樹脂製のプーリ本体と
を構成要素とする軸受一体型樹脂プーリであって、
前記外輪は、その軌道部肉厚をtとし、平均肉厚半径をrとした場合、tが0.11r以上に設定され、
かつ、当該外輪の外周面に鍔部が突設されたことを特徴とする軸受一体型樹脂プーリ。 - 前記外輪の外周面に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたことを特徴とする、請求項3または4に記載の軸受一体型樹脂プーリ。
- 前記鍔部の外周面と側面との少なくとも一方に凸部と凹部との少なくとも一方が形成されたことを特徴とする、請求項3〜5ののいずれか一項に記載の軸受一体型樹脂プーリ。
- 前記鍔部に両側面を連通する貫通穴が形成されたことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の軸受一体型樹脂プーリ。
- 前記プーリ本体から前記鍔部の一部が露出したことを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の軸受一体型樹脂プーリ。
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