JP2012086579A - 樹脂巻き部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状の金属部材2の外周に環状の樹脂部1を一体成形した樹脂巻き部品P。前記樹脂部1が固着される金属部材2の外周面に、凹部と凸部とからなる凹凸面が形成され、この凹凸面の凹部と凸部のうち少なくとも一方に応力集中を緩和するR面が形成されている。
【選択図】図3
Description
かかるローレット加工による方法では、例えば図8に示されるようなローレット加工30を、金属部材である軸受の外輪31の外周面31aの一部又は全面において、当該外輪31の周方向に沿って形成している。そして、このローレット加工30の断面形状は、図9に示されるような台形又は矩形が周方向に連続したものとなっている。
すなわち、軸受の外輪31の厚さがある程度大きい場合において、樹脂巻き部品に大きな変動荷重が作用したりすると、前記角部32と密着する樹脂部(樹脂部40の突出部40aの根元部分)に応力が集中し、当該角部32と密着する樹脂部が変形する惧れがある。
一方、軸受の軽量化のために外輪31の厚さを小さくして薄肉化した場合、ローレット加工後に熱処理を行ったときに、前記凹部30bにおける角部33で熱処理による応力集中が生じて外輪31が変形する惧れがある。
したがって、軸受の外輪の厚さがある程度大きい場合において、樹脂巻き部品に大きい変動荷重が作用したとしても、前記凸部に応力集中を緩和するR面が形成されているので、前記凸部と密着する樹脂部に応力が集中するのを緩和することができる。これにより、この樹脂部が応力集中によって変形するのを防ぐことができる。
そして、以上より、前記凹凸面と樹脂部との係合により耐クリープ性を確保しつつ、応力集中による樹脂巻き部品の変形を防止することができる。
図1は、本発明の一実施の形態(第一実施形態)に係る樹脂巻き部品である樹脂プーリS1の断面説明図である。この樹脂プーリS1は、環状の樹脂部1の内周に金属部材としての転がり軸受2をインサートしたものであり、前記樹脂部1の外周側には、外周にベルト案内面11aを有する外周円筒部11が形成されており、内周側には、前記転がり軸受2の外輪21の外周を固着する内周円筒部12が形成されている。この内周円筒部12は、前記転がり軸受2の外輪21の両端面外周縁を包囲する環状包囲部12aを有している。また、前記外周円筒部11と内周円筒部12との間には、円板部13が形成されており、この円板部13には、多数のリブ14が放射状に形成されている。なお、図1において、22は、前記外輪21の内径側において当該外輪21と同心に配設された内輪であり、また、23は、前記外輪21と内輪22との間の環状空間に配置される複数の転動体であるボールである。ボール23は、保持器(図示せず)によって周方向に所定の間隔で保持されている。
本実施形態では、前記円板部13に多数のリブ14を形成したが、前記リブ14は形成しなくてもよい。
こうして、熱処理時の変形を確実に防止しつつ、外輪21の厚さを小さくして薄肉化することができるようになるので、転がり軸受2の軽量化につなげることができる。
なお、本明細書において、「角部」とは、鋭角及び鈍角を問わず、平面と平面とが交差する部分をいい、「R面が形成された凹部又は凸部」とは、このような「角部」に代えて「R面」を有する凹部又は凸部のことをいう。したがって、「R面が形成された凹部又は凸部」には、前記「角部」及びその近傍だけをR面としたもの(図2及び図3参照)や、凹部又は凸部全体をR面で構成したもの(図4参照)が含まれる。
図3に示すように、外輪21の外周面には、凹部21aと凸部21bとからなる凹凸面21c(周方向に沿って凹と凸が連続形成された凹凸面)が形成されている。凹凸面21cを構成する凹部21aと凸部21bのうち、凸部21bには、R面が形成されている。
すなわち、図2に示す外輪21では、その外周面の凹部21aにR面が形成されているのに対して、図3に示す外輪21では、凸部21bにR面が形成されている。
そして、内周円筒部12は、凹凸面21cの凹部21a内にて溶融樹脂が固化することで形成された突出部12bを有している。この突出部12bと、外輪21の外周面の凸部21bとが係合することで、外輪21と樹脂部1とのスリップが防止される。
なお、その他の構成については、図2に示す実施の形態の場合と異なるところはないので、詳細な説明は省略する。
図4に示すように、外輪21の外周面には、曲面で構成された凹部21aと凸部21bとからなる凹凸面21c(周方向に沿って凹と凸が連続形成された凹凸面)が形成されている。
すなわち、図2及び図3に示す外輪21では、その外周面の凹部21a又は凸部21bの一方にR面が形成されているのに対して、図4に示す外輪21では、その外周面の凹部21a及び凸部21bにそれぞれ曲面が形成されている。
本実施の形態において、外輪21の外周面に形成される凹凸面21cは、曲面で構成された凹部21aと凸部21bとからなっており、従来のような外周面の凹部と凸部のそれぞれに角部を備えていない。このため、外輪21及び内周円筒部12の外周面に応力の集中する部分が存在しないので、外輪21及び内周円筒部12における応力集中を緩和することができる。
また、軸受の軽量化のために外輪21の厚さを小さくして薄肉化した場合において、ローレット加工後に熱処理を行ったとしても、前記凹部21aに応力集中に起因する変形が生じることがない。
なお、凹部21aと凸部21b全体を曲面で構成する以外に、図9に示される角部32及び角部33とその近傍だけをともにR面とすることもでき、この場合でも応力集中を緩和して変形の発生を防止することができる。
その他の構成については、図2及び図3の実施の形態の場合と異なるところはないので、詳細な説明は省略する。
また、樹脂プーリS2は、図1に示されるものと同じく、樹脂部101の外周面に平ベルトが巻回される平プーリタイプであるが、図1に示されるものと異なり、補強用のリブが省略されている。前記リブは樹脂部全体を強化する役割を果たしているが、一方において、リブを設けた部分とリブを設けない部分との収縮差により、樹脂部の外周円筒部や、軸受などの金属部材と嵌合する内周円筒部が花びら状のいびつな多角形となり、ベルト転走や金属部材外周面との固着に対し悪影響を及ぼすことが考えられる。
A1:2〜4mm
A2:2〜4mm
B :3〜6mm
C :2〜4mm
D :2〜10度
E :2〜15度
F :R3以上
なお、抜け勾配(D)と抜け勾配(E)については、D≦Eであるのが好ましい。以上のように寸法設定をすることで、リブを設けることなく樹脂部101の所定の強度を付与するとともに、成形時における溶融樹脂の流動性を確保することができる。
また、樹脂プーリS3も、樹脂プーリS2と同様に各部の肉厚が最適化されている。具体的には、図6に示される外周円筒部211の厚さ(G)を2mm以上に設定する以外は、図5に示される樹脂プーリS2と同様の寸法設定をしている。これにより、リブを設けることなく樹脂部201の所定の強度を付与するとともに、成形時における溶融樹脂の流動性を確保することができる。
すなわち、図7は、外輪21(121,221)の外周面及び凹凸面の凸部の外径を示す断面説明図であるが、同図に示すように、外輪21(121,221)の凹凸面の凸部をW、外輪21(121,221)の外周面の外径寸法をX、凸部Wの外径寸法をYとすると、X≧Yになるように設定されている。
前記凹凸面が曲面で構成されているのが好ましい。この場合、凹凸面全体を曲面で構成することで応力を分散することができ、応力集中による変形を一層効果的に防止することができる。
Claims (2)
- 環状の金属部材の外周に環状の樹脂部を一体成形した樹脂巻き部品であって、前記樹脂部が固着される金属部材の外周面に、凹部と凸部とからなる凹凸面が形成されており、この凹凸面の凹部と凸部のうち少なくとも一方に応力集中を緩和するR面が形成されていることを特徴とする樹脂巻き部品。
- 前記凹凸面が曲面で構成されている請求項1に記載の樹脂巻き部品。
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