JP2004025607A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、難燃性に抜群に優れ、かつ、生産性に優れた積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムは、その機械的特性、電気的特性などから磁気記録材料、電気絶縁材料、コンデンサ用材料、包装材料、写真、グラフィック、感熱転写などの各種工業材料として使用されている。しかし、熱可塑性樹脂フィルムには熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいなどの耐熱性、難燃性に関する欠点があった。そのため、熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性、難燃性を向上させる方法として、従来からハロゲン系難燃剤等を熱可塑性樹脂中に含有させフィルム化する方法や、これらを含有する組成物をフィルム表面に塗布などで積層する方法、あるいはポリフェニレンスルフィドなどのフィルムを張り合わせるなどの方法が知られている。また近年、脱ハロゲンでの難燃性を目的としてリン系化合物と熱可塑性樹脂を共重合したり、リン系化合物の重合体を添加するなどの方法が提案されている(特開平5−65339号公報、特開平7−82358号公報、特開平8−73720号公報、特開平8−157584号公報など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ハロゲン系難燃剤、リン系化合物を用いた方法では、いずれも耐熱性が不足して、熱により変形してしまったりするなどの問題があった。
【0004】
ポリフェニレンスルフィドのような難燃性フィルムの張り合わせ品は、燃焼粒の滴下防止には効果があるものの、繰り返し炎にさらされた場合には徐々に燃焼が拡大してしまうという問題があった。また、張り合わせるフィルムの厚みを厚くしなければ効果が発現しないため、生産性やコスト面での優位性のないものであった。
【0005】
金属水酸化物等の無機系粒子を配合することも検討されているが、燃焼粒の滴下を防止することができないため延焼をまねき易いなどの問題があった。
【0006】
そこで本発明は、これらの欠点がなく、耐熱性、難燃性に抜群に優れた、さらには生産性に優れた積層フィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明の積層フィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
無機系粒子が2重量%以上35重量%以下含有された熱可塑性樹脂フィルムの両面に、全単位構造の70%以上が下記式(I)および/または(II)で表される単位構造であるポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層が積層されていることを特徴とする積層フィルムである。
【0008】
【化5】
(式(I)、(II)中のRは下記式(III)の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、
【0009】
【化6】
ここで、式(III)中のX、Yは下記式(IV)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C(CH3)2− (IV))
また、本発明の積層フィルムの製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
無機系粒子が2重量%以上35重量%以下含有された熱可塑性樹脂フィルム表面にポリアミド酸が溶解された溶液を塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸を脱水閉環させてイミド化率を50%以上とする樹脂層が積層された積層フィルムを製造することを特徴とする積層フィルムの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、全単位構造の70%以上が下記式(I)および/または(II)で表される単位構造であるポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層が、無機系粒子を2重量%以上35重量%以下含有した熱可塑性樹脂フィルムの両面に積層されている必要がある。この樹脂層が積層されることにより、無機系粒子の配合だけでは困難であった燃焼粒の滴下を防止することができるものである。
【0011】
【化7】
(式(I)、(II)中のRは下記式(III)の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、
【0012】
【化8】
ここで、式(III)中のX、Yは下記式(IV)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C(CH3)2−
(IV) )
ポリアミド酸の全単位構造の70%以上が上記式(I)および/または(II)で表される単位構造でない場合には、耐熱性、難燃性の効果がなかったり、積層厚みを厚くしなければ耐熱性、難燃性の効果が得られず生産性やコスト面での優位性のないものとなったりする。また、他の単位構造を30%より多く有するポリアミド酸は、これを合成するときの原料コストが高くなるため、積層フィルムのコストが高くなるなどの問題が生じる。本発明におけるポリアミド酸は、より好ましくは下記式(V)で表される単位構造を70%以上有するポリアミド酸であり、特に好ましくは下記式(V)で表される単位構造を90%以上有するポリアミド酸である。
【0013】
【化9】
本発明の樹脂層に含まれるポリアミド酸は、そのイミド化率が50%以上であることが必要である。このイミド化率とはポリアミド酸中のアミド結合とカルボキシル基の間で脱水閉環反応が起こりイミド基となっている割合のことである。このイミド化率を測定する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂層の赤外吸収スペクトルを赤外分光光度計を用いてATR法によって測定し、そのとき1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収の強度から求める方法などを用いることができる。脱水閉環させる方法は特に限定されないが、150℃以上の熱処理により脱水閉環させる方法が好適に用いられる。このイミド化率が50%以下であると、耐熱性、難燃性、耐溶剤性の機能が十分に発現しない。ポリアミド酸のイミド化率は好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
【0014】
本発明における樹脂層は、熱可塑性フィルムの両面に積層されている必要がある。片面のみに積層されている場合には、耐熱性、難燃性の効果が十分に発現されない場合がある。
【0015】
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層の積層フィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合は、特に限定されないが、0.3%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは0.4%以上10%以下、さらに好ましくは0.5%以上5%以下である。ここで、樹脂層厚みは、両面の樹脂層の合計厚みである。樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合がかかる好ましい範囲であると、耐熱性、難燃性の効果が十分に発揮され、また、生産性が良好で、原料価格を低くできる。
【0016】
本発明の積層フィルムにおける熱可塑性樹脂フィルムとは、溶融押し出し可能な熱可塑性樹脂から製造されたフィルムであり、特に限定されないが、好ましくは二軸延伸により結晶配向するフィルムである。その具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニルスルフィドなどからなる二軸配向フィルムがあり、特にポリエステルフィルムが寸法安定性、機械的特性、および本発明において積層する樹脂層との接着性などの点で好ましい。好ましいポリエステルとしては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどがあり、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。またこれらと他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。また内層と表層の2層以上の複合体フィルムであってもよい。
【0017】
例えば、内層部の層は実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層部の層は粗大粒子を含有し、表層部に微細粒子を含有する層を複合させた複合体フィルム、内層部が微細な気泡を含有した層であって表層部は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられるが、本発明における難燃性をより効果的に発現させるためには熱可塑性樹脂フィルムの各層に無機系粒子を含有していることが好ましい。また、上記複合体フィルムは内層部と表層部が異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。上述したポリエステルを使用する場合には、その極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであることがより好ましい。
【0018】
また、本発明における熱可塑性樹脂フィルムは二軸配向されたものであることが、特に、高温、高湿下での機械的強度や寸法安定性や平面性を良好にするなどの点で望ましい。二軸配向しているとは、例えば、未延伸、すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムには無機系粒子が含有されている必要がある。本発明では無機系粒子が含有されることにより難燃性が向上するが、その効果は次のように推測される。すなわち、無機系粒子が含有されることで、積層フィルムが炎にさらされた場合に不燃性の無機物、およびそれを核とした有機物の炭化物による複合層が形成され、この複合層が熱可塑性樹脂の分解により発生する可燃性物質の拡散防止、可燃性物質への酸素供給抑制の効果を発揮するために、優れた難燃性が発現する。また、この複合層が形成されることにより、繰り返し炎にさらされた場合にも安定した難燃性を発現することができる。無機系粒子が添加されていない場合には、この複合層の形成が困難となるため繰り返し炎にさらされた場合に燃焼が拡大してしまうという問題が生じる。
【0020】
すなわち、本発明においては、無機系粒子を含有した熱可塑性樹脂フィルムと特定構造のポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層を組み合わせることにより、繰り返し炎にさらされた場合の燃焼拡大、および燃焼粒の滴下を同時に抑えることが可能となる。
【0021】
本発明における無機系粒子としては特に限定はされないが、例えばシリカ、アルミナ、タルク、カオリン、マイカ、カーボンブラック、ゼオライト、金属微粉末、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどを用いることができる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲において、樹脂に対する分散性を良化せしめるために表面処理が施されていてもよい。
【0022】
これらの粒子の中でも難燃性、分散性などの点からシリカ、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは熱分解によって水を発生し、炭酸カルシウムは熱分解によって不燃ガスである二酸化炭素を発生するため、上記複合層の形成効果に加えて、さらなる難燃効果を発揮する。また、熱可塑性樹脂フィルムと無機系粒子との界面に気泡が生じると難燃性が低下する場合があるので、熱可塑性樹脂フィルムと親和性のよい無機系粒子を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合には、親和性のよい粒子としてシリカ、アルミナ、酸化チタン等が好適に用いられる。
【0023】
本発明において熱可塑性樹脂フィルムに含有される無機系粒子の量は、2重量%以上35重量%以下である。添加量が2重量%より少ない場合には上記した複合層の形成が困難であり、35重量%よりも多い場合には後加工の際に粉が発生する等の不都合を生じる場合がある。含有される無機系粒子の量は、より好ましくは3重量%以上30重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以上25重量%以下である。
【0024】
また、無機系粒子の平均粒子系は0.005μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmであり、さらに好ましくは0.1〜2μmである。平均粒子系が上記範囲内であると、均一分散化が容易で、フィルム表面の平滑性が良好で、難燃効果を高くできる。
【0025】
本発明の樹脂層および熱可塑性樹脂フィルム中には、本発明の効果が阻害されない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されているものでもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0026】
本発明の樹脂層は、前記したポリアミド酸からなり、かつ、そのイミド化率が50%以上である層であり、このポリアミド酸樹脂成分以外の樹脂や有機化合物等(他成分という)が、共重合や混合により含有されていてもよい。しかし、その他成分物が過度に含有される場合は耐熱性、難燃性、耐溶剤性の低下などの好ましくないことを誘発し易いので、本発明では特に限定されないが、樹脂層中における、イミド化率50%以上のポリアミド酸樹脂成分の含有量は70重量%以上であることが好ましい。より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。本発明においては、ポリアミド酸のイミド化率が50%未満であると樹脂層の耐溶剤性が低下してしまうという問題が生じる。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂フィルム中に各種難燃性化合物を添加したり、あるいは、リン系化合物との共重合体を用いることは、本発明の効果をより効果的に発現させることができるので特に好ましい。添加する難燃剤としては特に限定されないが、その一例を挙げれば、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン元素を含有したものなどが好適である。
【0028】
また、本発明の積層フィルムにおいて樹脂層の耐溶剤性が低下すると、積層フィルムの表面に溶液を塗布するなどして加工する際に、樹脂層が溶媒に溶解したり、浸食されたりして、積層フィルムの耐熱機能が損なわれたり、フィルム形状が悪くなってしまうなどの問題が生じる。特に、双極性非プロトン溶媒は、一般に芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾールおよびその前駆体、ポリベンズオキサゾールおよびその前駆体、ポリベンズチアゾールおよびその前駆体等の耐熱性樹脂を溶解しやすい溶媒であり、また、フィルムを表面加工する際の塗布溶液の溶媒として好適に利用されていることから、本発明における樹脂層は双極性非プロトン溶媒に不溶であることが好ましい。双極性非プロトン溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシドなどを一例として挙げることができる。
【0029】
上記樹脂層を熱可塑性樹脂フィルム上に積層させる方法は、特に限定されるものではなく、前記したポリアミド酸樹脂成分からなるフィルムを接着層を介して熱可塑性樹脂フィルム上に貼り合わせる方法、前記したポリアミド酸樹脂成分を含む溶液を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布し乾燥する方法など任意であるが、本発明の効果をより効果的に発現させるためには上記樹脂層が熱可塑性樹脂フィルムの両面に実質的に接着層を介さずして、直接接着している層であることが好ましい。
【0030】
ここで、実質的に接着層を介さずして、直接接着しているとは、熱可塑性樹脂フィルム(基材)上に樹脂層が積層された状態において、基材と樹脂層との界面に、基材および樹脂層形成物質以外の物質による層が形成されていないことを意味するものである。ただし、その界面に基材と樹脂層との混在層が形成された場合には、より接着性が向上するので特に好ましく、その混在層は接着層の範疇から外れるものである。
【0031】
ポリアミド酸が溶解された溶液を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布する際、その溶液として、全溶媒に対する双極性非プロトン溶媒の割合が10重量%以上である溶媒にポリアミド酸が溶解された溶液を用いることが上記混在層の形成の点から好ましく、また、上記の特定溶媒にポリアミド酸を溶解させた溶液を結晶配向の完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸のイミド化率を高めることにより、イミド化率が50%以上の樹脂層が形成された積層フィルムを製造する方法が、上記混在層の形成の点から特に好ましい。
【0032】
双極性非プロトン溶媒は、結晶配向完了前のポリエステル等を白化あるいは膨潤させ得るので、この双極性非プロトン溶媒の割合が全溶媒に対して10重量%以上であることが熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層との接着性を高める点において特に好ましい。双極性非プロトン溶媒の一例としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシドなどを挙げることができるが、これら中でもN−メチル−2−ピロリドンが結晶配向完了前のポリエステル等を白化あるいは膨潤させる効果に優れるため特に好ましい。
【0033】
ポリアミド酸を溶解させた溶液中におけるポリアミド酸のイミド化率は特に限定されないが、溶解性の点で40%以下であることが好ましい。イミド化率がかかる好ましい範囲であると溶媒に容易に溶解できる。この溶液中のポリアミド酸のイミド化率はより好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
【0034】
このようにして得られる積層フィルムにおいて、積層膜(樹脂層)と基材フィルムとの接着性はT字剥離において100g/25mm幅以上、好ましくは200g/25mm幅以上であることが好ましい。積層膜(樹脂層)と基材フィルムとの接着性がT字剥離においてかかる好ましい範囲の場合には、積層膜が剥離しにくく、耐熱性、難燃性を優れたものに維持できる。
【0035】
ポリアミド酸が溶解された溶液中には、さらに、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、下記式(VI)で示されるイミダゾ−ル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ポリアミド酸の繰り返し単位に対して1モル%以上含まれることが好ましい。
【0036】
【化10】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基、シクロアルキル基、アラルキル基、ホルミル基のいずれかを示す。)
式(VI)中のR1、R2、R3およびR4としては、例えば、脂肪族基の場合は炭素数1〜17のアルキル基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基が好ましく、芳香族基の場合はフェニル基が好ましく、アラルキル基の場合はベンジル基が好ましい。式(VI)のイミダゾール系化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
【0037】
3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、式(VI)のイミダゾ−ル系化合物には脱水閉環促進効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が添加されていると、添加されていない場合よりも低温、短時間の熱処理でもってイミド化率を上げることができるので、生産効率が良くなるため好ましい。その添加量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、短時間においてもイミド化率を上げる効果を十分に維持できる。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の積層フィルムを得る好ましい製造方法について以下に例示するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
本発明においては、ポリアミド酸が溶解された溶液を熱可塑性樹脂フィルム表面に塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸のイミド化率を高める方法により本発明の積層フィルムを得ることが好ましい。なかでも、熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向が完了する前のフィルム表面に、ポリアミド酸が溶解された溶液を塗布した後、その溶媒が乾燥する前に少なくとも一方向に延伸し、その後溶媒を蒸発揮散させて熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させ、樹脂層のポリアミド酸のイミド化率をあげる方法が好適である。
【0040】
この場合、使用される溶媒は、塗布後のフィルム延伸の前の予熱工程、延伸工程ではその殆どが塗布層中に残存し、延伸後の熱処理工程で蒸発揮散させられることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムの場合、予熱、延伸温度は通常85〜150℃、また延伸後の熱処理温度は通常200〜250℃という温度条件が好適にとられているので、この温度条件の点から、使用する溶剤は沸点が160℃以上250℃以下のものが好ましい。このような溶剤でかつポリアミド酸を溶解させるものとしてN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0041】
このような方法によって作製される積層フィルムは、その積層膜(樹脂層)の厚みは特に限定されないが、フィルム片面当たり0.05〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度が塗工性、乾燥性の点から望ましい。また熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、一般に0.5〜500μm程度であり、用途により適宜選択することができる。
【0042】
樹脂層を形成するためにポリアミド酸を溶解させた溶液を塗布する方法としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法などを用いることができるが、特に、ダイコート法が塗液粘度による塗布性の点で好適に用いられる。また、効率よく溶剤を乾燥し、イミド化率を高めるために遠赤外線による加熱を用いてもよい。
【0043】
このようにして得られた積層フィルムは、耐熱性、難燃性において優れており、従来の熱可塑性樹脂フィルムでは達成できなかった優れた特性を有し、かつ生産性に優れた積層フィルムであり、電気絶縁材料、感熱転写材料、グラフィック材料、フレキシブルプリント基盤、印刷用多層回路基盤、フラットケーブル、電子部品などの各種工業材料、磁気材料などに好適に使用することができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合(R)
積層フィルムから断面を切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型で観察し、一方の面の樹脂層の厚み(t1)、もう一方の面の樹脂層の厚み(t2)および積層フィルム全体の厚み(t3)を測定した。なお混在相がある場合は混在相を含めた厚みを樹脂層の厚みとした。このとき樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合Rを、下記式より求めた。
【0044】
R(%)=100×(t1+t2)/t3
(2)無機系粒子の平均粒子系
透過型電子顕微鏡で観察した積層フィルムの断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、無機系粒子の平均粒子径とした。
(3)イミド化率
積層フィルムの樹脂層の赤外吸収スペクトルを、日本分光(株)製フーリエ変換型赤外吸収分光光度計FT/IR−5000を用いて、KRS−5の45°の結晶をプリズムとしたATR法にて測定し、1550cm−1から1450cm−1に現れるベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1)と1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収の吸光度(a2)を求めた。このとき下記式から、a1を基準にしたa2の相対値を求め、rとした。
【0045】
r=a2/a1
続いて、この積層フィルムを250℃で120分間熱処理し、この熱処理後のポリアミド酸のイミド化率が100%であるとした。このフィルムにおける樹脂層の赤外吸収スペクトルを、同様にATR法で測定し、ベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1’)を基準にしたイミド基の特性吸収の吸光度(a2’)の相対値を求め、r’とした。
【0046】
r’=a2’/a1’
本発明においては、下記式から、r’を基準にしたrの相対値を求めてイミド化率とした。
【0047】
イミド化率(%)=100×(r/r’)
なお、プリズムとしてGeの45℃の結晶を用いて測定してもよく、この場合にもKRS−5の45°の結晶を用いた場合とイミド化率は同じ値となる。樹脂層の厚みがきわめて薄い場合にはGeの45℃の結晶を用いると好適に測定できる。また、イミド基の特性吸収は1400cm−1から1300cm−1に現れる特性吸収を用いてもよく、この場合も1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収を用いた場合とイミド化率は同じ値となる。
(4)接着力
積層フィルムの樹脂層面にポリウレタン(“タケラック”(登録商標)A−385/“タケネート”(登録商標)A−50(重量比で6/1に混合して使用):武田薬品工業(株)製)の酢酸エチル溶液を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、110℃で1分間乾燥した後、このポリウレタン塗布面に、コロナ放電処理を施した50μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを張り合わせ、90℃で熱ラミネートした。その後45℃で70時間熱処理を行い、25mm幅の短冊状にサンプリングし、テンシロン型引っ張り試験機にて100mm/分の速度でT字剥離を行い、熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層との剥離応力を求めた。樹脂層が片面のみに積層されている場合は片面のみの値、両面に積層されている場合は両面の平均値をとった。剥離応力が300g/25mm以上で熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層が全く剥離しない場合は、測定不可とした。
(5)耐溶剤性
N−メチル−2−ピロリドンを含ませた綿棒で積層フィルムの樹脂層面を50回こすり、樹脂層の溶解性を目視で観察し、2段階評価(◎:溶解しない、×:溶解する)した。◎を耐溶剤性良好とした。
(6)耐熱性
枠張りした100mm×100mmの大きさの積層フィルムを、その樹脂層面が火炎側になるように水平にして、約2cmの火炎の上5cmの所に3秒間かざして表面の状態を観察し、3段階評価(◎:変化無し、○:やや変化有り、×:大きく変化有りまたは穴があく)した。◎と○を耐熱性良好とした。
(7)難燃性1
積層フィルムを12.7mm×127mmの短冊状に切り、長手方向の一端を長手方向が地面と垂直方向になるように把持し、他端を、約20mmの火炎に10秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の積層フィルムの燃焼状態を観察し、3段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しないまたは燃え尽きる)した。◎と○を良好とした。
(8)難燃性2
上記(7)難燃性1の評価後さらに、消火直後に再び約20mmの火炎を、10秒間端部にさらした後、離炎した。この操作を3回繰り返し、離炎後、消火までに至る時間の合計を3段階評価(◎:5秒以内、○:10秒以内、×:10秒を越える)した。◎、○を良好とした。
(9)燃焼粒の滴下
上記(7)難燃性1、および(8)難燃性2の試験時の燃焼粒の滴下を観察し、2段階評価(◎:滴下なし、×滴下あり)した。◎を良好とした。
【0048】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したパラフェニレンジアミンをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物をパラフェニレンジアミン100molに対して100mol、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところ(重合の終点)で重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が15重量%になるように希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。なお、このポリアミド酸は、前記した式(V)における2種の構造単位の両方が混在したものであった。
(2)塗布液B
パラフェニレンジアミン100molに対してピロメリット酸二無水物を50mol、及び、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50mol、さらに加えた以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Bとした。なお、この塗布液B中のポリアミド酸は、前記した式(V)における2種の構造単位の両方と、下記式(VII)における2種の構造単位の両方とが、式(V):式(VII)=50:50の割合で混在したものであった。
【0049】
【化11】
(3)塗布液C
塗布前に4−ヒドロキシピリジンを添加しなかった以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Cとした。
(4)塗布液D
塗布前に、4−ヒドロキシピリジンの替わりに2−メチルイミダゾールを添加した以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Dとした。
実施例1
平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有するポリエチレンテレフタレート(以下、PETと言う)(極限粘度0.63dl/g)チップを180℃で充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、285℃で溶融後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸シートを85℃に加熱したロール群で長手方向に3.2倍延伸し、1軸延伸フィルムを得た。このフィルムの両面に塗布液Aをダイコート方式で片面当たりの最終積層厚みが2.0μmになるように塗布した。塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しつつ100℃の予熱ゾーンに導き、引き続き110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.4倍延伸した。更に連続的に230℃の熱処理ゾーンで1分間熱処理を施し、PETフィルムの結晶配向を完了させるとともに、ポリアミド酸の脱水閉環を行った。この積層フィルムは厚みが150μm、樹脂層の厚みが片面当たり2.0μm、イミド化率が94%であり、耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例2
塗布液を塗布液Bとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が96%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例3
塗布液を塗布液Cとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が68%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例4
塗布液を塗布液Dとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例5
片面当たりの最終積層厚みで1.0μmになるように塗布液Aを塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が95%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例6
積層フィルムの厚みを200μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が93%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例7
平均粒径0.8μmの水酸化マグネシウムを20重量%PETに含有した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例8
平均粒径2.0μmのシリカを5重量%PETに含有した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例9
平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有した厚み150μmの二軸配向PETフィルムの両面に窒素中でコロナ放電処理を施した後、塗布液Aを、最終積層厚みが片面当たり2.0μmとなるように塗布した後、110℃で乾燥後、230℃で1分間熱処理して積層フィルムを得た。この積層フィルムは接着性には劣っていたものの、耐熱性、難燃性に優れていた。
比較例1
PETに酸化チタンを添加しない以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性2の試験に劣るものであった。
比較例2
塗布を片面のみとし、その最終積層厚みが4.0μmになるようにした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性1、2の試験に劣るものであった。
比較例3
230℃の熱処理ゾーンでの熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムのイミド化率は28%であり、耐溶剤性、耐熱性に劣るものであった。
比較例4
実施例1において樹脂層形成用塗布液の塗布を行わないで、平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有した二軸配向PETフィルム得た。このフィルムは燃焼粒の滴下が激しかった。
比較例5
酸化チタンの含有量を1重量%とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性2の試験に劣るものであった。
【0050】
実施例1〜9、比較例1〜5の特性評価の結果を表1、表2に示す。実施例1〜9は全ての項目において良好であったが、比較例1〜5はいずれかの項目で不良な点があった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性、難燃性に抜群に優れ、さらには生産性に優れた積層フィルムを提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、難燃性に抜群に優れ、かつ、生産性に優れた積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムは、その機械的特性、電気的特性などから磁気記録材料、電気絶縁材料、コンデンサ用材料、包装材料、写真、グラフィック、感熱転写などの各種工業材料として使用されている。しかし、熱可塑性樹脂フィルムには熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいなどの耐熱性、難燃性に関する欠点があった。そのため、熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性、難燃性を向上させる方法として、従来からハロゲン系難燃剤等を熱可塑性樹脂中に含有させフィルム化する方法や、これらを含有する組成物をフィルム表面に塗布などで積層する方法、あるいはポリフェニレンスルフィドなどのフィルムを張り合わせるなどの方法が知られている。また近年、脱ハロゲンでの難燃性を目的としてリン系化合物と熱可塑性樹脂を共重合したり、リン系化合物の重合体を添加するなどの方法が提案されている(特開平5−65339号公報、特開平7−82358号公報、特開平8−73720号公報、特開平8−157584号公報など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ハロゲン系難燃剤、リン系化合物を用いた方法では、いずれも耐熱性が不足して、熱により変形してしまったりするなどの問題があった。
【0004】
ポリフェニレンスルフィドのような難燃性フィルムの張り合わせ品は、燃焼粒の滴下防止には効果があるものの、繰り返し炎にさらされた場合には徐々に燃焼が拡大してしまうという問題があった。また、張り合わせるフィルムの厚みを厚くしなければ効果が発現しないため、生産性やコスト面での優位性のないものであった。
【0005】
金属水酸化物等の無機系粒子を配合することも検討されているが、燃焼粒の滴下を防止することができないため延焼をまねき易いなどの問題があった。
【0006】
そこで本発明は、これらの欠点がなく、耐熱性、難燃性に抜群に優れた、さらには生産性に優れた積層フィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明の積層フィルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
無機系粒子が2重量%以上35重量%以下含有された熱可塑性樹脂フィルムの両面に、全単位構造の70%以上が下記式(I)および/または(II)で表される単位構造であるポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層が積層されていることを特徴とする積層フィルムである。
【0008】
【化5】
(式(I)、(II)中のRは下記式(III)の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、
【0009】
【化6】
ここで、式(III)中のX、Yは下記式(IV)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C(CH3)2− (IV))
また、本発明の積層フィルムの製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
無機系粒子が2重量%以上35重量%以下含有された熱可塑性樹脂フィルム表面にポリアミド酸が溶解された溶液を塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸を脱水閉環させてイミド化率を50%以上とする樹脂層が積層された積層フィルムを製造することを特徴とする積層フィルムの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、全単位構造の70%以上が下記式(I)および/または(II)で表される単位構造であるポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層が、無機系粒子を2重量%以上35重量%以下含有した熱可塑性樹脂フィルムの両面に積層されている必要がある。この樹脂層が積層されることにより、無機系粒子の配合だけでは困難であった燃焼粒の滴下を防止することができるものである。
【0011】
【化7】
(式(I)、(II)中のRは下記式(III)の中から選ばれる少なくとも1種の基であり、
【0012】
【化8】
ここで、式(III)中のX、Yは下記式(IV)の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
−O−,−CH2−,−CO−,−SO2−,−S−,−C(CH3)2−
(IV) )
ポリアミド酸の全単位構造の70%以上が上記式(I)および/または(II)で表される単位構造でない場合には、耐熱性、難燃性の効果がなかったり、積層厚みを厚くしなければ耐熱性、難燃性の効果が得られず生産性やコスト面での優位性のないものとなったりする。また、他の単位構造を30%より多く有するポリアミド酸は、これを合成するときの原料コストが高くなるため、積層フィルムのコストが高くなるなどの問題が生じる。本発明におけるポリアミド酸は、より好ましくは下記式(V)で表される単位構造を70%以上有するポリアミド酸であり、特に好ましくは下記式(V)で表される単位構造を90%以上有するポリアミド酸である。
【0013】
【化9】
本発明の樹脂層に含まれるポリアミド酸は、そのイミド化率が50%以上であることが必要である。このイミド化率とはポリアミド酸中のアミド結合とカルボキシル基の間で脱水閉環反応が起こりイミド基となっている割合のことである。このイミド化率を測定する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂層の赤外吸収スペクトルを赤外分光光度計を用いてATR法によって測定し、そのとき1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収の強度から求める方法などを用いることができる。脱水閉環させる方法は特に限定されないが、150℃以上の熱処理により脱水閉環させる方法が好適に用いられる。このイミド化率が50%以下であると、耐熱性、難燃性、耐溶剤性の機能が十分に発現しない。ポリアミド酸のイミド化率は好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
【0014】
本発明における樹脂層は、熱可塑性フィルムの両面に積層されている必要がある。片面のみに積層されている場合には、耐熱性、難燃性の効果が十分に発現されない場合がある。
【0015】
本発明の積層フィルムにおいて、樹脂層の積層フィルム全体厚みに対する樹脂層厚みの割合は、特に限定されないが、0.3%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは0.4%以上10%以下、さらに好ましくは0.5%以上5%以下である。ここで、樹脂層厚みは、両面の樹脂層の合計厚みである。樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合がかかる好ましい範囲であると、耐熱性、難燃性の効果が十分に発揮され、また、生産性が良好で、原料価格を低くできる。
【0016】
本発明の積層フィルムにおける熱可塑性樹脂フィルムとは、溶融押し出し可能な熱可塑性樹脂から製造されたフィルムであり、特に限定されないが、好ましくは二軸延伸により結晶配向するフィルムである。その具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニルスルフィドなどからなる二軸配向フィルムがあり、特にポリエステルフィルムが寸法安定性、機械的特性、および本発明において積層する樹脂層との接着性などの点で好ましい。好ましいポリエステルとしては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどがあり、これらの2種以上が混合されたものであってもよい。またこれらと他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。また内層と表層の2層以上の複合体フィルムであってもよい。
【0017】
例えば、内層部の層は実質的に粒子を含有せず、表層部に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層部の層は粗大粒子を含有し、表層部に微細粒子を含有する層を複合させた複合体フィルム、内層部が微細な気泡を含有した層であって表層部は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられるが、本発明における難燃性をより効果的に発現させるためには熱可塑性樹脂フィルムの各層に無機系粒子を含有していることが好ましい。また、上記複合体フィルムは内層部と表層部が異種のポリマーであっても同種のポリマーであってもよい。上述したポリエステルを使用する場合には、その極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであることがより好ましい。
【0018】
また、本発明における熱可塑性樹脂フィルムは二軸配向されたものであることが、特に、高温、高湿下での機械的強度や寸法安定性や平面性を良好にするなどの点で望ましい。二軸配向しているとは、例えば、未延伸、すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムには無機系粒子が含有されている必要がある。本発明では無機系粒子が含有されることにより難燃性が向上するが、その効果は次のように推測される。すなわち、無機系粒子が含有されることで、積層フィルムが炎にさらされた場合に不燃性の無機物、およびそれを核とした有機物の炭化物による複合層が形成され、この複合層が熱可塑性樹脂の分解により発生する可燃性物質の拡散防止、可燃性物質への酸素供給抑制の効果を発揮するために、優れた難燃性が発現する。また、この複合層が形成されることにより、繰り返し炎にさらされた場合にも安定した難燃性を発現することができる。無機系粒子が添加されていない場合には、この複合層の形成が困難となるため繰り返し炎にさらされた場合に燃焼が拡大してしまうという問題が生じる。
【0020】
すなわち、本発明においては、無機系粒子を含有した熱可塑性樹脂フィルムと特定構造のポリアミド酸からなり、かつそのイミド化率が50%以上である樹脂層を組み合わせることにより、繰り返し炎にさらされた場合の燃焼拡大、および燃焼粒の滴下を同時に抑えることが可能となる。
【0021】
本発明における無機系粒子としては特に限定はされないが、例えばシリカ、アルミナ、タルク、カオリン、マイカ、カーボンブラック、ゼオライト、金属微粉末、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、リン酸カルシウムなどを用いることができる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。また、多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲において、樹脂に対する分散性を良化せしめるために表面処理が施されていてもよい。
【0022】
これらの粒子の中でも難燃性、分散性などの点からシリカ、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは熱分解によって水を発生し、炭酸カルシウムは熱分解によって不燃ガスである二酸化炭素を発生するため、上記複合層の形成効果に加えて、さらなる難燃効果を発揮する。また、熱可塑性樹脂フィルムと無機系粒子との界面に気泡が生じると難燃性が低下する場合があるので、熱可塑性樹脂フィルムと親和性のよい無機系粒子を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合には、親和性のよい粒子としてシリカ、アルミナ、酸化チタン等が好適に用いられる。
【0023】
本発明において熱可塑性樹脂フィルムに含有される無機系粒子の量は、2重量%以上35重量%以下である。添加量が2重量%より少ない場合には上記した複合層の形成が困難であり、35重量%よりも多い場合には後加工の際に粉が発生する等の不都合を生じる場合がある。含有される無機系粒子の量は、より好ましくは3重量%以上30重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以上25重量%以下である。
【0024】
また、無機系粒子の平均粒子系は0.005μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmであり、さらに好ましくは0.1〜2μmである。平均粒子系が上記範囲内であると、均一分散化が容易で、フィルム表面の平滑性が良好で、難燃効果を高くできる。
【0025】
本発明の樹脂層および熱可塑性樹脂フィルム中には、本発明の効果が阻害されない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されているものでもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0026】
本発明の樹脂層は、前記したポリアミド酸からなり、かつ、そのイミド化率が50%以上である層であり、このポリアミド酸樹脂成分以外の樹脂や有機化合物等(他成分という)が、共重合や混合により含有されていてもよい。しかし、その他成分物が過度に含有される場合は耐熱性、難燃性、耐溶剤性の低下などの好ましくないことを誘発し易いので、本発明では特に限定されないが、樹脂層中における、イミド化率50%以上のポリアミド酸樹脂成分の含有量は70重量%以上であることが好ましい。より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。本発明においては、ポリアミド酸のイミド化率が50%未満であると樹脂層の耐溶剤性が低下してしまうという問題が生じる。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂フィルム中に各種難燃性化合物を添加したり、あるいは、リン系化合物との共重合体を用いることは、本発明の効果をより効果的に発現させることができるので特に好ましい。添加する難燃剤としては特に限定されないが、その一例を挙げれば、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン元素を含有したものなどが好適である。
【0028】
また、本発明の積層フィルムにおいて樹脂層の耐溶剤性が低下すると、積層フィルムの表面に溶液を塗布するなどして加工する際に、樹脂層が溶媒に溶解したり、浸食されたりして、積層フィルムの耐熱機能が損なわれたり、フィルム形状が悪くなってしまうなどの問題が生じる。特に、双極性非プロトン溶媒は、一般に芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾールおよびその前駆体、ポリベンズオキサゾールおよびその前駆体、ポリベンズチアゾールおよびその前駆体等の耐熱性樹脂を溶解しやすい溶媒であり、また、フィルムを表面加工する際の塗布溶液の溶媒として好適に利用されていることから、本発明における樹脂層は双極性非プロトン溶媒に不溶であることが好ましい。双極性非プロトン溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシドなどを一例として挙げることができる。
【0029】
上記樹脂層を熱可塑性樹脂フィルム上に積層させる方法は、特に限定されるものではなく、前記したポリアミド酸樹脂成分からなるフィルムを接着層を介して熱可塑性樹脂フィルム上に貼り合わせる方法、前記したポリアミド酸樹脂成分を含む溶液を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布し乾燥する方法など任意であるが、本発明の効果をより効果的に発現させるためには上記樹脂層が熱可塑性樹脂フィルムの両面に実質的に接着層を介さずして、直接接着している層であることが好ましい。
【0030】
ここで、実質的に接着層を介さずして、直接接着しているとは、熱可塑性樹脂フィルム(基材)上に樹脂層が積層された状態において、基材と樹脂層との界面に、基材および樹脂層形成物質以外の物質による層が形成されていないことを意味するものである。ただし、その界面に基材と樹脂層との混在層が形成された場合には、より接着性が向上するので特に好ましく、その混在層は接着層の範疇から外れるものである。
【0031】
ポリアミド酸が溶解された溶液を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布する際、その溶液として、全溶媒に対する双極性非プロトン溶媒の割合が10重量%以上である溶媒にポリアミド酸が溶解された溶液を用いることが上記混在層の形成の点から好ましく、また、上記の特定溶媒にポリアミド酸を溶解させた溶液を結晶配向の完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸のイミド化率を高めることにより、イミド化率が50%以上の樹脂層が形成された積層フィルムを製造する方法が、上記混在層の形成の点から特に好ましい。
【0032】
双極性非プロトン溶媒は、結晶配向完了前のポリエステル等を白化あるいは膨潤させ得るので、この双極性非プロトン溶媒の割合が全溶媒に対して10重量%以上であることが熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層との接着性を高める点において特に好ましい。双極性非プロトン溶媒の一例としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシドなどを挙げることができるが、これら中でもN−メチル−2−ピロリドンが結晶配向完了前のポリエステル等を白化あるいは膨潤させる効果に優れるため特に好ましい。
【0033】
ポリアミド酸を溶解させた溶液中におけるポリアミド酸のイミド化率は特に限定されないが、溶解性の点で40%以下であることが好ましい。イミド化率がかかる好ましい範囲であると溶媒に容易に溶解できる。この溶液中のポリアミド酸のイミド化率はより好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
【0034】
このようにして得られる積層フィルムにおいて、積層膜(樹脂層)と基材フィルムとの接着性はT字剥離において100g/25mm幅以上、好ましくは200g/25mm幅以上であることが好ましい。積層膜(樹脂層)と基材フィルムとの接着性がT字剥離においてかかる好ましい範囲の場合には、積層膜が剥離しにくく、耐熱性、難燃性を優れたものに維持できる。
【0035】
ポリアミド酸が溶解された溶液中には、さらに、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、下記式(VI)で示されるイミダゾ−ル系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ポリアミド酸の繰り返し単位に対して1モル%以上含まれることが好ましい。
【0036】
【化10】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基、シクロアルキル基、アラルキル基、ホルミル基のいずれかを示す。)
式(VI)中のR1、R2、R3およびR4としては、例えば、脂肪族基の場合は炭素数1〜17のアルキル基、ビニル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基が好ましく、芳香族基の場合はフェニル基が好ましく、アラルキル基の場合はベンジル基が好ましい。式(VI)のイミダゾール系化合物の具体例としては、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ビニルイミダゾール、1−ヒドロキシエチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、4−ベンジルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ブチル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−ブチル−4−ホルミルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、4,5−ジメチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2,5−トリメチルイミダゾール、1,4,5−トリメチルイミダゾール、1−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
【0037】
3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、式(VI)のイミダゾ−ル系化合物には脱水閉環促進効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物が添加されていると、添加されていない場合よりも低温、短時間の熱処理でもってイミド化率を上げることができるので、生産効率が良くなるため好ましい。その添加量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、短時間においてもイミド化率を上げる効果を十分に維持できる。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の積層フィルムを得る好ましい製造方法について以下に例示するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
本発明においては、ポリアミド酸が溶解された溶液を熱可塑性樹脂フィルム表面に塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸のイミド化率を高める方法により本発明の積層フィルムを得ることが好ましい。なかでも、熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向が完了する前のフィルム表面に、ポリアミド酸が溶解された溶液を塗布した後、その溶媒が乾燥する前に少なくとも一方向に延伸し、その後溶媒を蒸発揮散させて熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させ、樹脂層のポリアミド酸のイミド化率をあげる方法が好適である。
【0040】
この場合、使用される溶媒は、塗布後のフィルム延伸の前の予熱工程、延伸工程ではその殆どが塗布層中に残存し、延伸後の熱処理工程で蒸発揮散させられることが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムの場合、予熱、延伸温度は通常85〜150℃、また延伸後の熱処理温度は通常200〜250℃という温度条件が好適にとられているので、この温度条件の点から、使用する溶剤は沸点が160℃以上250℃以下のものが好ましい。このような溶剤でかつポリアミド酸を溶解させるものとしてN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0041】
このような方法によって作製される積層フィルムは、その積層膜(樹脂層)の厚みは特に限定されないが、フィルム片面当たり0.05〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度が塗工性、乾燥性の点から望ましい。また熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、一般に0.5〜500μm程度であり、用途により適宜選択することができる。
【0042】
樹脂層を形成するためにポリアミド酸を溶解させた溶液を塗布する方法としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法などを用いることができるが、特に、ダイコート法が塗液粘度による塗布性の点で好適に用いられる。また、効率よく溶剤を乾燥し、イミド化率を高めるために遠赤外線による加熱を用いてもよい。
【0043】
このようにして得られた積層フィルムは、耐熱性、難燃性において優れており、従来の熱可塑性樹脂フィルムでは達成できなかった優れた特性を有し、かつ生産性に優れた積層フィルムであり、電気絶縁材料、感熱転写材料、グラフィック材料、フレキシブルプリント基盤、印刷用多層回路基盤、フラットケーブル、電子部品などの各種工業材料、磁気材料などに好適に使用することができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合(R)
積層フィルムから断面を切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型で観察し、一方の面の樹脂層の厚み(t1)、もう一方の面の樹脂層の厚み(t2)および積層フィルム全体の厚み(t3)を測定した。なお混在相がある場合は混在相を含めた厚みを樹脂層の厚みとした。このとき樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合Rを、下記式より求めた。
【0044】
R(%)=100×(t1+t2)/t3
(2)無機系粒子の平均粒子系
透過型電子顕微鏡で観察した積層フィルムの断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、無機系粒子の平均粒子径とした。
(3)イミド化率
積層フィルムの樹脂層の赤外吸収スペクトルを、日本分光(株)製フーリエ変換型赤外吸収分光光度計FT/IR−5000を用いて、KRS−5の45°の結晶をプリズムとしたATR法にて測定し、1550cm−1から1450cm−1に現れるベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1)と1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収の吸光度(a2)を求めた。このとき下記式から、a1を基準にしたa2の相対値を求め、rとした。
【0045】
r=a2/a1
続いて、この積層フィルムを250℃で120分間熱処理し、この熱処理後のポリアミド酸のイミド化率が100%であるとした。このフィルムにおける樹脂層の赤外吸収スペクトルを、同様にATR法で測定し、ベンゼン環の特性吸収の吸光度(a1’)を基準にしたイミド基の特性吸収の吸光度(a2’)の相対値を求め、r’とした。
【0046】
r’=a2’/a1’
本発明においては、下記式から、r’を基準にしたrの相対値を求めてイミド化率とした。
【0047】
イミド化率(%)=100×(r/r’)
なお、プリズムとしてGeの45℃の結晶を用いて測定してもよく、この場合にもKRS−5の45°の結晶を用いた場合とイミド化率は同じ値となる。樹脂層の厚みがきわめて薄い場合にはGeの45℃の結晶を用いると好適に測定できる。また、イミド基の特性吸収は1400cm−1から1300cm−1に現れる特性吸収を用いてもよく、この場合も1800cm−1から1750cm−1に現れるイミド基の特性吸収を用いた場合とイミド化率は同じ値となる。
(4)接着力
積層フィルムの樹脂層面にポリウレタン(“タケラック”(登録商標)A−385/“タケネート”(登録商標)A−50(重量比で6/1に混合して使用):武田薬品工業(株)製)の酢酸エチル溶液を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、110℃で1分間乾燥した後、このポリウレタン塗布面に、コロナ放電処理を施した50μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを張り合わせ、90℃で熱ラミネートした。その後45℃で70時間熱処理を行い、25mm幅の短冊状にサンプリングし、テンシロン型引っ張り試験機にて100mm/分の速度でT字剥離を行い、熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層との剥離応力を求めた。樹脂層が片面のみに積層されている場合は片面のみの値、両面に積層されている場合は両面の平均値をとった。剥離応力が300g/25mm以上で熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層が全く剥離しない場合は、測定不可とした。
(5)耐溶剤性
N−メチル−2−ピロリドンを含ませた綿棒で積層フィルムの樹脂層面を50回こすり、樹脂層の溶解性を目視で観察し、2段階評価(◎:溶解しない、×:溶解する)した。◎を耐溶剤性良好とした。
(6)耐熱性
枠張りした100mm×100mmの大きさの積層フィルムを、その樹脂層面が火炎側になるように水平にして、約2cmの火炎の上5cmの所に3秒間かざして表面の状態を観察し、3段階評価(◎:変化無し、○:やや変化有り、×:大きく変化有りまたは穴があく)した。◎と○を耐熱性良好とした。
(7)難燃性1
積層フィルムを12.7mm×127mmの短冊状に切り、長手方向の一端を長手方向が地面と垂直方向になるように把持し、他端を、約20mmの火炎に10秒間さらした後、離炎した。このとき、離炎後の積層フィルムの燃焼状態を観察し、3段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しないまたは燃え尽きる)した。◎と○を良好とした。
(8)難燃性2
上記(7)難燃性1の評価後さらに、消火直後に再び約20mmの火炎を、10秒間端部にさらした後、離炎した。この操作を3回繰り返し、離炎後、消火までに至る時間の合計を3段階評価(◎:5秒以内、○:10秒以内、×:10秒を越える)した。◎、○を良好とした。
(9)燃焼粒の滴下
上記(7)難燃性1、および(8)難燃性2の試験時の燃焼粒の滴下を観察し、2段階評価(◎:滴下なし、×滴下あり)した。◎を良好とした。
【0048】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したパラフェニレンジアミンをN−メチル−2−ピロリドンとともに加え、撹拌して溶解した。次に、この溶液にピロメリット酸二無水物をパラフェニレンジアミン100molに対して100mol、反応温度が60℃以下になるように添加した。その後、粘度が一定になったところ(重合の終点)で重合を終了し、ポリアミド酸の重合溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が15重量%になるように希釈して、さらに塗布前に4−ヒドロキシピリジンをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Aとした。なお、このポリアミド酸は、前記した式(V)における2種の構造単位の両方が混在したものであった。
(2)塗布液B
パラフェニレンジアミン100molに対してピロメリット酸二無水物を50mol、及び、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50mol、さらに加えた以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Bとした。なお、この塗布液B中のポリアミド酸は、前記した式(V)における2種の構造単位の両方と、下記式(VII)における2種の構造単位の両方とが、式(V):式(VII)=50:50の割合で混在したものであった。
【0049】
【化11】
(3)塗布液C
塗布前に4−ヒドロキシピリジンを添加しなかった以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Cとした。
(4)塗布液D
塗布前に、4−ヒドロキシピリジンの替わりに2−メチルイミダゾールを添加した以外は塗布液Aと同様にして固形分濃度が15重量%になるように塗布液を調製し、塗布液Dとした。
実施例1
平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有するポリエチレンテレフタレート(以下、PETと言う)(極限粘度0.63dl/g)チップを180℃で充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、285℃で溶融後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャストドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸シートを85℃に加熱したロール群で長手方向に3.2倍延伸し、1軸延伸フィルムを得た。このフィルムの両面に塗布液Aをダイコート方式で片面当たりの最終積層厚みが2.0μmになるように塗布した。塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しつつ100℃の予熱ゾーンに導き、引き続き110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.4倍延伸した。更に連続的に230℃の熱処理ゾーンで1分間熱処理を施し、PETフィルムの結晶配向を完了させるとともに、ポリアミド酸の脱水閉環を行った。この積層フィルムは厚みが150μm、樹脂層の厚みが片面当たり2.0μm、イミド化率が94%であり、耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例2
塗布液を塗布液Bとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が96%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例3
塗布液を塗布液Cとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が68%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例4
塗布液を塗布液Dとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例5
片面当たりの最終積層厚みで1.0μmになるように塗布液Aを塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が95%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例6
積層フィルムの厚みを200μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が93%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例7
平均粒径0.8μmの水酸化マグネシウムを20重量%PETに含有した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例8
平均粒径2.0μmのシリカを5重量%PETに含有した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムはイミド化率が94%であり耐熱性、難燃性に優れていた。
実施例9
平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有した厚み150μmの二軸配向PETフィルムの両面に窒素中でコロナ放電処理を施した後、塗布液Aを、最終積層厚みが片面当たり2.0μmとなるように塗布した後、110℃で乾燥後、230℃で1分間熱処理して積層フィルムを得た。この積層フィルムは接着性には劣っていたものの、耐熱性、難燃性に優れていた。
比較例1
PETに酸化チタンを添加しない以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性2の試験に劣るものであった。
比較例2
塗布を片面のみとし、その最終積層厚みが4.0μmになるようにした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性1、2の試験に劣るものであった。
比較例3
230℃の熱処理ゾーンでの熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムのイミド化率は28%であり、耐溶剤性、耐熱性に劣るものであった。
比較例4
実施例1において樹脂層形成用塗布液の塗布を行わないで、平均粒径0.2μmの酸化チタンを15重量%含有した二軸配向PETフィルム得た。このフィルムは燃焼粒の滴下が激しかった。
比較例5
酸化チタンの含有量を1重量%とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムは難燃性2の試験に劣るものであった。
【0050】
実施例1〜9、比較例1〜5の特性評価の結果を表1、表2に示す。実施例1〜9は全ての項目において良好であったが、比較例1〜5はいずれかの項目で不良な点があった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性、難燃性に抜群に優れ、さらには生産性に優れた積層フィルムを提供できる。
Claims (14)
- 無機系粒子の平均粒子系が0.005μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 無機系粒子がシリカ、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 樹脂層の積層フィルム全体に対する厚みの割合が0.3%以上30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 樹脂層と熱可塑性樹脂フィルムとの剥離応力が100g/25mm幅以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 樹脂層が双極性非プロトン溶媒に不溶であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項8に記載の積層フィルム。
- 樹脂層が熱可塑性樹脂フィルム表面に直接接着している層であることを特徴とする請求項8または9に記載の積層フィルム。
- 樹脂層が、ポリアミド酸が溶解された溶液を熱可塑性樹脂フィルム表面に塗布し乾燥する方法により形成される層であることを特徴とする請求項10に記載の積層フィルム。
- 無機系粒子が2重量%以上35重量%以下含有された熱可塑性樹脂フィルム表面にポリアミド酸が溶解された溶液を塗布した後、少なくとも一方向に延伸し、かつ塗布されたポリアミド酸を脱水閉環させてイミド化率を50%以上とする樹脂層が積層された積層フィルムを製造することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
- ポリアミド酸が溶解された溶液が、全溶媒に対する双極性非プロトン溶媒の割合が10重量%以上である溶媒にポリアミド酸が溶解された溶液であることを特徴とする請求項12に記載の積層フィルムの製造方法。
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