JP2004025161A - 汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法及び臭気抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、及び、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを含有することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法及び臭気抑制剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を長時間にわたって抑制することができる汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法及び臭気抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥は、次いで脱水機により脱水され、得られた汚泥脱水ケーキは埋め立てや、焼却のために搬出される。
脱水後の汚泥脱水ケーキは、腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などである。これらの中で、硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる汚泥脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策は重要である。すなわち、汚泥脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である汚泥脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、汚泥脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
本発明者らは、特開2000−202494号公報において、非塩素系、非金属系の処理剤を用いて、低コストで効果的に汚泥脱水ケーキの臭気の発生を防止する方法として、亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法を提案し、特開2000−288592号公報において、汚泥脱水ケーキ中に窒素分を残留させる亜硝酸塩の添加量を少なくして十分な消臭効果が発現する汚泥脱水ケーキの臭気発生防止方法として、酸化剤、金属塩又は有機系殺菌剤と亜硝酸塩を併用して汚泥スラリーに添加する方法を提案し、特開2000−351000号公報において、人や環境に対する影響のない薬剤を用いて汚泥脱水ケーキから発生する臭気を防止する方法として、ソルビン酸を汚泥スラリーに添加したのち脱水工程にかける方法を提案した。しかし、これらの方法によっても臭気発生防止効果の持続時間は48時間程度であり、さらに長時間にわたって臭気発生を防止し得る方法が求められていた。
【特許文献1】
特開2000−202494号公報
【特許文献2】
特開2000−288592号公報
【特許文献3】
特開2000−351000号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を長時間にわたって抑制することができる汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法及び臭気抑制剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを、汚泥スラリーに併用添加したのち脱水することにより、汚泥脱水ケーキの臭気発生を長時間にわたって抑制し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、
(1)汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(2)汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、酸化剤系消臭剤と、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水する第1項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(3)汚泥スラリーに、臭気抑制剤を添加し、15分以上経過したのち、汚泥脱水する第1項又は第2項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(4)汚泥スラリーに、臭気抑制剤を添加し、3時間以上経過したのち、汚泥脱水する第3項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(5)炭素数6〜12の脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸又はウンデシレン酸である第1項又は第2項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(6)他の有機性殺菌剤が、2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体である第1項又は第2項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(7)炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを含有することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤、
(8)炭素数6〜12の脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸又はウンデシレン酸である第7項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤、及び、
(9)他の有機性殺菌剤が、2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体である第7項又は第8項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法においては、汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤は、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを含有する。
本発明に用いる炭素数6〜12の脂肪酸に特に制限はなく、直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分岐を有する飽和脂肪酸、分岐を有する不飽和脂肪酸のいずれをも用いることができる。直鎖飽和脂肪酸としては、カプロン酸、エナント酸(ヘプタン酸)、カプリル酸、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸を挙げることができる。直鎖不飽和脂肪酸としは、例えば、β−プロピルアクリル酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、3−オクテン酸、3−ノネン酸、カプロレイン酸、9−ウンデシレン酸、ウンデシレン酸(10−ウンデシレン酸)、リンデル酸、11−ラウロレイン酸、2−ヘキシン酸、6−ヘプチン酸、7−オクチン酸、2−ノニン酸、2−デシン酸、10−ウンデシン酸、7−ドデシン酸、ソルビン酸などを挙げることができる。分岐を有する飽和脂肪酸としては、例えば、4−イソカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、4−プロピルペンタン酸、9−メチルデカン酸、6−プロピルノナン酸、2−ブチル−5−メチルペンタン酸、4,8−ジメチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸などを挙げることができる。分岐を有する不飽和脂肪酸としては、例えば、4−メチル−3−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ヘプテン酸、5−メチル−2−ノネン酸、5−メチル−2−ヘンデセン酸などを挙げることができる。これらの脂肪酸は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの脂肪酸の中で、炭素数8〜11の直鎖脂肪酸が好ましく、カプリル酸、カプリン酸及びウンデシレン酸を特に好適に用いることができる。
【0006】
カプリル酸(オクタン酸)は、式[1]で示される構造を有する飽和脂肪酸である。
CH3(CH2)6COOH …[1]
カプリル酸は、にれ種子油、乳脂、やし油、パーム油、ババス油などの油脂にグリセリドとして分布し、純度の高いカプリル酸は、1−オクタノールの酸化などにより製造することができる。カプリル酸のラットに対する経口毒性は、LD5010,080mg/kgであり、安全性が高い物質である。カプリル酸の精製品の融点は、16.7℃である。本発明においては、カプリル酸の精製品、粗製品のいずれをも用いることができる。カプリル酸は、香料、色素などの原料として用いられている。
カプリン酸(デカン酸)は、式[2]で示される構造を有する飽和脂肪酸である。
CH3(CH2)8COOH …[2]
カプリン酸は、にれ種子油、乳脂、やし油、パーム油などの油脂にグリセリドとして広く分布し、特ににれ種子油では総脂肪酸の50重量%に達する。純度の高いカプリン酸は、1−デカノールの酸化などにより製造することができる。カプリン酸は、脂肪酸類として食品添加物に収載されている。また、カプリン酸のラットに対する経口毒性は、LD5010,000mg/kg以上であり、安全性が高い物質である。カプリン酸の精製品の融点は、31.4℃である。本発明においては、高純度のカプリン酸に限らず、カプリン酸を脂肪酸成分として含有するグリセリドの加水分解により得られるカプリン酸を含む脂肪酸混合物も用いることができる。カプリン酸は、香料などの原料として用いられている。
【0007】
ウンデシレン酸(10−ウンデシレン酸)は、式[3]で示される構造を有する不飽和脂肪酸である。
CH2=CH(CH2)8COOH …[3]
ウンデシレン酸は、ヒマシ油を減圧下に蒸留し、ヒマシ油の主成分のリシノール酸を熱分解することにより、得ることができる。分留して得られる粗製品を、強冷して結晶化させ、圧搾して不純物を除去し、エステル化してふたたび分留したのちケン化することにより、精製品を得ることができる。ウンデシレン酸は、人間の汗や涙にも含まれる成分であり、化粧品原料基準にも採録され、水虫、タムシなどの白癬菌、糸状菌による皮膚疾患の治療剤、化粧品、外用医薬品に配合されている。ウンデシレン酸のマウスに対する経口毒性はLD508,150mg/kgであり、安全性が高い物質である。本発明においては、ウンデシレン酸の粗製品、精製品のいずれをも用いることができる。ウンデシレン酸の精製品は、融点24.5℃である。
炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体を有効成分とする本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤は、従来品よりもはるかに毒性が低く、皮膚刺激性が弱く、人体に対する安全性の高い臭気抑制剤である。炭素数6の脂肪酸であるカプロン酸の水に対する溶解度は、20℃において0.968g/100gであり、炭素数7以上の脂肪酸の水に対する溶解度はさらに小さく、汚泥スラリーを脱水したとき、炭素数6〜12の脂肪酸の大部分は汚泥脱水ケーキ側に留まるので、汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果を長期間にわたって発現することができる。
【0008】
本発明に用いる炭素数6〜12の脂肪酸の誘導体に特に制限はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの脂肪酸塩、メチルエステル、エチルエステル、ヘキシルエステルなどの脂肪酸エステル、アミド、N−メチルアミドなどの脂肪酸アミドなどを挙げることができる。これらの脂肪酸の誘導体は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ナトリウム塩、カリウム塩などの水溶性の塩は、水溶液として汚泥に添加することができるので、作業性、計量性が良好であり、容易に自動化することができる。ナトリウム塩、カリウム塩などの水溶性の塩も、汚泥スラリー中に分散すると水に難溶性又は不溶性の遊離酸の形に戻り、汚泥スラリーを脱水したとき、汚泥脱水ケーキ側に留まる。脂肪酸の亜鉛塩は、亜鉛の硫化水素固定効果により、薬剤の添加直後より臭気抑制効果を発現することができる。
本発明方法において、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して50〜2,000mgであることが好ましく、100〜1,500mgであることがより好ましい。脂肪酸若しくはその誘導体の添加量が汚泥スラリー1Lに対して50mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。脂肪酸若しくはその誘導体の添加量が汚泥スラリー1Lに対して2,000mgを超えると、臭気抑制効果が添加量の増加に見合って向上しないおそれがある。
【0009】
本発明に用いる他の有機性殺菌剤に特に制限はなく、例えば、2−メルカプトピリジン−1−オキシド、安息香酸、サリチル酸、フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、カルベンダジム、ベノミル、チオファネートメチル、チアベンダゾール、フベリダゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、ビテルタノール、イマザリル、プロクロラズ、ジラム、チラム、ジネブ、マンネブ、キャプタン、プロシミドン、イプロジオン、ピンクロゾリン、IBP、エディフェンホス、トルクロホスメチル、プラストサイジンS、カスガマイシン、シクロヘキシイミド、バリダマイシン、グリセオフルビン、ストレプトマイシン、フサライド、イソプロチオラン、プロベナゾール、ヒメキサゾール、メタラキシル、メプロニル、カルボキシン、クロロタロニル、ジクロフルアニド、クロロピクリン、PCNB、フェンチンハイドロオキサイド若しくはそれらの誘導体などを挙げることができる。これらの中で式[4]で示される構造を有する2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体は、臭気抑制効果に優れるので、特に好適に用いることができる。
【化1】
【0010】
2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)の誘導体としては、例えば、ナトリウム塩(ピリチオンナトリウム)、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、銅塩、錫塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩(ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−亜鉛)などの塩類、二量体である式[5]で示される構造を有するビス(1−オキシ−2−ピリジル)ジスルフィド(ビスピリチオン)などを挙げることができる。
【化2】
本発明方法において、他の有機性殺菌剤の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して1〜1,000mgであることが好ましく、5〜500mgであることがより好ましい。有機性殺菌剤の添加量が汚泥スラリー1Lに対して1mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。有機性殺菌剤の添加量が汚泥スラリー1Lに対して1,000mgを超えると、臭気抑制効果が添加量の増加に見合って向上しないおそれがある。2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体は臭気抑制効果が大きいので、その添加量は、汚泥スラリー1Lに対して1〜100mgであることが好ましく、5〜50mgであることがより好ましい。
【0011】
本発明方法においては、汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、酸化剤系脱臭剤と、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加することが好ましい。汚泥がすでに臭気を発生しているときは、酸化剤系消臭剤を添加することにより、早期に消臭することができる。また、酸化剤系消臭剤を添加することにより、汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果を長時間持続することができる。
酸化剤系脱臭剤としては、例えば、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、二酸化塩素、塩素ガス、亜硝酸塩、硝酸塩、オゾン、過酸化水素などを挙げることができる。本発明方法において、酸化剤系消臭剤の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して20〜2,000mgであることが好ましく、50〜1,000mgであることがより好ましい。酸化剤系消臭剤の添加量が汚泥スラリー1Lに対して20mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。酸化剤系消臭剤の添加量が汚泥スラリー1Lに対して2,000mgを超えると、臭気抑制効果が添加量の増加に見合って向上しないおそれがある。
【0012】
本発明方法において、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤、又は、酸化剤系消臭剤と炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤を汚泥スラリーに添加し、15分以上経過したのち、汚泥脱水することが好ましく、3時間以上経過したのち汚泥脱水することがより好ましい。汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加した直後に汚泥脱水すると、汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果の持続時間が短いが、汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加して好ましくは15分以上、より好ましくは3時間以上経過したのち、汚泥脱水することにより、汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果の持続時間を延長し、96時間経過しても、硫化水素やアンモニアが発生しない状態とすることができる。
本発明方法において、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤、又は、酸化剤系消臭剤と炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤を汚泥スラリーに添加する位置に特に制限はなく、混合工程から凝集反応工程までの任意の位置を選択することができる。臭気抑制剤を添加したのち撹拌して、汚泥スラリーに臭気抑制剤を均一に分散させることが好ましい。凝集反応工程の凝集反応槽は、添加した凝集剤を撹拌するために撹拌機を備えているので、本発明方法においても、臭気抑制剤を凝集反応槽で添加することもできる。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、2−メルカプトピリジン−1−オキシドの誘導体として、ビスピリチオン[アーチケミカルズ社、商品名オマジンジスルフィド、ビス(1−オキシ−2−ピリジル)ジスルフィド]を用いた。
また、実施例及び比較例において、亜塩素酸ナトリウムは1重量%水溶液として汚泥スラリーに添加し、亜硝酸ナトリウムは2重量%水溶液として汚泥スラリーに添加した。
ウンデシレン酸、カプリン酸、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)、サリチル酸及び安息香酸は、薬剤10g、メタノール8g及びポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル2gを均一に混合し、これに水80gを加え、薬剤を均一に分散させた10重量%分散液として汚泥スラリーに添加した。
ビスピリチオンは、薬剤2gとポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル2gを均一に混合し、これに水96gを加え、薬剤を均一に分散させた2重量%分散液として汚泥スラリーに添加した。
ピリチオンのナトリウム塩は、2重量%水溶液として汚泥スラリーに添加した。
実施例及び比較例に記載した薬剤添加量は、薬剤そのものとしての添加量である。
硫化水素の分析は、ガス検知管[ガステック4H、4M、4L又は4LL]を用い、メチルメルカプタンの分析は、ガス検知管「ガステック71H又は71]を用いて行った。検出下限濃度は、硫化水素、メチルメルカプタンともに0.25ppmである。
【0014】
実施例1
下水処理場で採取したpH5.55、SS17,220mg/L、VSS14,820mg/L、繊維分38.7重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、ウンデシレン酸250mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでビスピリチオン7.5mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。硫化水素は110ppmであり、メチルメルカプタンは90ppmであった。
実施例2
実施例1と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、1.0重量%亜塩素酸ナトリウム水溶液5.0gを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでウンデシレン酸250mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでビスピリチオン7.5mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後と48時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。72時間後と96時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。
実施例3
臭気抑制剤添加後の静置時間を15分とした以外は、実施例2と同様にして汚泥の処理を行った。
24時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、48時間後には、硫化水素は2ppm、メチルメルカプタンは2.5ppmであり、72時間後には、硫化水素は20ppm、メチルメルカプタンは14ppmであり、96時間後には、硫化水素は500ppm、メチルメルカプタンは65ppmであった。
実施例4
臭気抑制剤添加後の静置時間を5分とした以外は、実施例2と同様にして汚泥の処理を行った。
24時間後には、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは20ppmであり、48時間後には、硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは80ppmであった。
比較例1
実施例1と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP604]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後に、硫化水素は2,000ppm、メチルメルカプタンは840ppmであった。
実施例1〜4及び比較例1の結果を、第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例1の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。これに対して、混合生汚泥にウンデシレン酸とビスピリチオンを添加し、3時間静置したのちろ過、脱水して得られた実施例1の汚泥脱水ケーキからの硫化水素の発生量は、比較例1の汚泥脱水ケーキのほぼ20分の1であり、メチルメルカプタンの発生量は比較例1の汚泥脱水ケーキのほぼ10分の1である。また、混合生汚泥に亜塩素酸ナトリウムとウンデシレン酸とビスピリチオンを添加し、3時間静置したのちろ過、脱水して得られた実施例2の汚泥脱水ケーキからは、96時間後も、硫化水素は発生せず、メチルメルカプタンも痕跡量しか発生していない。同じ量の臭気抑制剤を添加しても、静置時間が15分の実施例3の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は実施例2よりも多く、静置時間が5分の実施例4の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量はさらに増加している。この結果から、混合生汚泥に亜塩素酸ナトリウムとウンデシレン酸とビスピリチオンを添加し、15分ないし3時間静置したのちにろ過、脱水すると、汚泥脱水ケーキからの臭気成分の発生を効果的に抑制し得ることが分かる。
実施例5
下水処理場で採取したpH5.51、SS29,680mg/L、VSS25,900mg/L、繊維分46.2重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、ウンデシレン酸150mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでビスピリチオン12mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。硫化水素は110ppmであり、メチルメルカプタンは30ppmであった。
実施例6
実施例5と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム47.5mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでウンデシレン酸75mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、さらにビスピリチオン8mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例5と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例5と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。96時間後には、硫化水素は3ppm、メチルメルカプタンは30ppmであった。
実施例7
ビスピリチオンの添加量を12mgとした以外は、実施例6と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、96時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタンは20ppmであった。
実施例8
ウンデシレン酸の添加量を150mgとした以外は、実施例6と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、96時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。
実施例9
ウンデシレン酸の添加量を150mgとし、ビスピリチオンの添加量を12mgとした以外は、実施例6と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後も、48時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、96時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。
比較例2
実施例5と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、ウンデシレン酸150mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例5と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例5と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。硫化水素は330ppmであり、メチルメルカプタンは200ppmであった。
比較例3
実施例5と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例5と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後に、硫化水素は400ppm、メチルメルカプタンは1,030ppmであった。
実施例5〜9及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
混合生汚泥にウンデシレン酸のみを添加して、ろ過、脱水して得られた比較例2の汚泥脱水ケーキ、及び、混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例3の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。これに対して、混合生汚泥にウンデシレン酸300mg/Lとビスピリチオン24mg/Lを添加し、3時間静置したのちろ過、脱水して得られた実施例5の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は、比較例2に比べて減少している。また、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウム95mg/Lとウンデシレン酸150mg/Lとビスピリチオン16mg/Lを添加し、同様に処理して得られた実施例6の汚泥脱水ケーキからは、48時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量しか発生していない。ウンデシレン酸又はビスピリチオンの添加量を増加して同様に処理した実施例7〜9の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は、薬剤添加量の増加によって減少している。
実施例10
下水処理場で採取したpH6.17、SS19,480mg/L、VSS16,540mg/L、繊維分28.6重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでウンデシレン酸120mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、さらにp−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)150mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後及び72時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後と72時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。
実施例11
p−ヒドロキシ安息香酸ブチルの代わりに、サリチル酸を添加した以外は、実施例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後には、硫化水素20ppm、メチルメルカプタン5ppmであり、72時間後には、硫化水素100ppm、メチルメルカプタン12ppmであった。
実施例12
p−ヒドロキシ安息香酸ブチルの代わりに、安息香酸を添加した以外は、実施例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素は痕跡量であり、メチルメルカプタンは検出されなかった。48時間後には、硫化水素40ppm、メチルメルカプタン10ppmであり、72時間後には、硫化水素240ppm、メチルメルカプタン15ppmであった。
実施例13
p−ヒドロキシ安息香酸ブチル150mgの代わりに、ビスピリチオン25mgを添加した以外は、実施例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後と72時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。
比較例4
実施例10と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでウンデシレン酸120mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例10と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例10と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素75ppm、メチルメルカプタン5ppmであり、48時間後には、硫化水素580ppm、メチルメルカプタン240ppmであった。
比較例5
実施例10と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例10と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素640ppm、メチルメルカプタン540ppmであり、48時間後には、硫化水素820ppm、メチルメルカプタン1,100ppmであった。
実施例10〜13及び比較例4〜5の結果を、第3表に示す。
【0019】
【表3】
【0020】
混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとウンデシレン酸を添加して、ろ過、脱水して得られた比較例4の汚泥脱水ケーキ、及び、混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例5の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに硫化水素とメチルメルカプタンが発生し、48時間後にはこれらの発生量はさらに増加している。これに対して、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとウンデシレン酸と他の有機性殺菌剤としてp−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)、サリチル酸、安息香酸又はビスピリチオンを添加した実施例10〜13の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は、比較例4に比べてはるかに少ない。特に、他の有機性殺菌剤としてp−ヒドロキシ安息香酸ブチルを添加した実施例10と、ビスピリチオンを添加した実施例13の汚泥脱水ケーキからは、72時間後も痕跡量の硫化水素とメチルメルカプタンしか発生していない。
実施例14
下水処理場で採取したpH5.64、SS19,150mg/L、VSS15,530mg/L、繊維分40.0重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでカプリン酸75mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、さらにピリチオンのナトリウム塩12.5mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後から72時間後まで、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。96時間後には、硫化水素5ppm、メチルメルカプタン7ppmであった。
実施例15
ピリチオンのナトリウム塩の添加量を20mgとした以外は、実施例14と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後と48時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。72時間後と96時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。
実施例16
カプリン酸の添加量を105mgとした以外は、実施例14と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後から72時間後まで、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。96時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。
実施例17
カプリン酸の添加量を105mgとし、ピリチオンのナトリウム塩の添加量を20mgとした以外は、実施例14と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後から72時間後まで、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。96時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。
比較例6
実施例14と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでカプリン酸105mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例14と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例14と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素40ppm、メチルメルカプタン12ppmであり、48時間後には、硫化水素200ppm、メチルメルカプタン40ppmであった。
比較例7
実施例14と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでピリチオンのナトリウム塩20mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例14と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例14と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素5ppm、メチルメルカプタンは痕跡量であった。48時間後には、硫化水素10ppm、メチルメルカプタン2ppmであり、72時間後には、硫化水素210ppm、メチルメルカプタン90ppmであった。
比較例8
実施例14と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例14と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素1,040ppm、メチルメルカプタンは730ppmであり、48時間後には、硫化水素1,340ppm、メチルメルカプタン1,700ppmであった。
実施例14〜17及び比較例6〜8の結果を、第4表に示す。
【0021】
【表4】
【0022】
混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例8の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加して、ろ過、脱水して得られた比較例6の汚泥脱水ケーキ、及び、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加し、ろ過、脱水して得られた比較例7の脱水ケーキからも、24時間後には少量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。これに対して、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウム110mg/Lとカプリン酸150mg/Lとピリチオンのナトリウム塩25mg/Lを添加し、ろ過、脱水して得られた実施例14の汚泥脱水ケーキからは、72時間後までは硫化水素とメチルメルカプタンは発生せず、96時間後に少量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。カプリン酸又はピリチオンのナトリウム塩の添加量を増加して同様に処理した実施例15〜17の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は、薬剤添加量の増加によって減少する傾向が認められる。
実施例18
下水処理場で採取したpH5.64、SS19,150mg/L、VSS15,530mg/L、繊維分40.0重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでカプリン酸75mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、さらにピリチオンのナトリウム塩10mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
5分間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、48時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタン2ppmであった。72時間後には、硫化水素5ppm、メチルメルカプタン10ppmであり、96時間には、後硫化水素30ppm、メチルメルカプタン55ppmであった。
実施例19
ピリチオンのナトリウム塩の添加量を15mgとした以外は、実施例14と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、48時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタンは2ppmであった。72時間後には、硫化水素5ppm、メチルメルカプタン18ppmであり、96時間後には、硫化水素10ppm、メチルメルカプタン40ppmであった。
実施例20
臭気抑制剤添加後の静置時間を15分間とした以外は、実施例18と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。72時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタン3ppmであり、96時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタン10ppmであった。
実施例21
臭気抑制剤添加後の静置時間を15分間とした以外は、実施例19と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後と48時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、72時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。96時間後には、硫化水素は痕跡量、メチルメルカプタン4ppmであった。
実施例22
臭気抑制剤添加後の静置時間を3時間とした以外は、実施例18と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されず、48時間後と72時間後には、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であった。96時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。
実施例23
臭気抑制剤添加後の静置時間を3時間とした以外は、実施例19と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後から96時間後まで、硫化水素、メチルメルカプタンともに全く検出されなかった。
比較例9
実施例18と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例18と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素460ppm、メチルメルカプタン600ppmであり、48時間後には、硫化水素420ppm、メチルメルカプタン730ppmであった。
実施例18〜23及び比較例9の結果を、第5表に示す。
【0023】
【表5】
【0024】
混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例9の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。これに対して、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとカプリン酸とピリチオンのナトリウム塩を添加し、5分間静置したのちろ過、脱水して得られた実施例11と実施例12の汚泥脱水ケーキからは、24時間後には硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、96時間後の硫化水素とメチルメルカプタンの発生量も少量である。臭気抑制剤を添加してから、汚泥脱水するまでの静置時間を15分間又は3時間に延ばすと、静置時間が長いほど硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は減少し、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとカプリン酸とピリチオンのナトリウム塩を添加し、15分ないし3時間静置したのちにろ過、脱水すると、汚泥脱水ケーキからの臭気成分の発生を効果的に抑制し得ることが分かる。
実施例24
下水処理場で採取したpH6.13、SS19,150mg/L、VSS15,530mg/L、繊維分40.0重量%対SSの混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでカプリン酸90mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、さらにp−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)80mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキ40gを入れ、窒素ガス1,000mLを充填して密封し、30℃の恒温槽内に保存し、24時間後、48時間後及び72時間後にガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であり、72時間後には、硫化水素10ppm、メチルメルカプタン4ppmであった。
実施例25
p−ヒドロキシ安息香酸ブチルの代わりに、サリチル酸を添加した以外は、実施例24と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素は4ppm、メチルメルカプタンは痕跡量であった。48時間後には、硫化水素80ppm、メチルメルカプタン27ppmであり、72時間後には、硫化水素700ppm、メチルメルカプタン250ppmであった。
実施例26
p−ヒドロキシ安息香酸ブチル80mgの代わりに、ピリチオンのナトリウム塩20mgを添加した以外は、実施例24と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに検出されなかった。48時間後と72時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに痕跡量であった。比較例10
実施例24と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、亜硝酸ナトリウム55mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、次いでカプリン酸90mgを添加し、薬さじで20回撹拌して均一に混合し、ポリエチレンフィルムを用いてビーカーを密封した。
3時間静置したのち、実施例24と同様にしてカチオン系脱水剤を加え、撹拌し、ろ過し、ろ過後の汚泥を脱水して、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例24と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素、メチルメルカプタンともに10ppmであり、48時間後には、硫化水素950ppm、メチルメルカプタン270ppmであった。
比較例11
カプリン酸90mgの代わりに、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)80mgを添加した以外は、比較例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素23ppm、メチルメルカプタン20ppmであり、48時間後には、硫化水素760ppm、メチルメルカプタン120ppmであった。
比較例12
カプリン酸90mgの代わりに、サリチル酸80mgを添加した以外は、比較例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素230ppm、メチルメルカプタン70ppmであり、48時間後には、硫化水素1,100ppm、メチルメルカプタン700ppmであった。
比較例13
カプリン酸90mgの代わりに、ピリチオンのナトリウム塩20mgを添加した以外は、比較例10と同様にして汚泥の処理を行った。24時間後には、硫化水素6ppm、メチルメルカプタン14ppmであり、48時間後には、硫化水素100ppm、メチルメルカプタン30ppmであった。
比較例14
実施例24と同じ混合生汚泥500mLを容量1Lのビーカーに入れ、カチオン系脱水剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液25.0gを加え、2枚羽根付き撹拌機を用いて500rpmで20秒間撹拌し、ナイロンろ布を敷いたブフナーロート上に注いでろ過した。ろ過後の汚泥を圧搾機を用いて脱水し、汚泥脱水ケーキを得た。
実施例24と同様にして、ガスサンプリングバッグに得られた汚泥脱水ケーキを入れ、ガスサンプリングバッグ内の気体について分析を行った。24時間後には、硫化水素650ppm、メチルメルカプタン1,000ppmであり、48時間後には、硫化水素880ppm、メチルメルカプタン980ppmであった。
実施例24〜26及び比較例10〜14の結果を、第6表に示す。
【0025】
【表6】
【0026】
混合生汚泥をそのままろ過、脱水して得られた比較例14の汚泥脱水ケーキからは、24時間後にはすでに多量の硫化水素とメチルメルカプタンが発生している。混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとカプリン酸、亜硝酸ナトリウムとp−ヒドロキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)、亜硝酸ナトリウムとサリチル酸又は亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加して、ろ過、脱水して得られた比較例10〜13の汚泥脱水ケーキからも、24時間後にはすでに硫化水素とメチルメルカプタンが発生し、48時間後にはこれらの発生量はさらに増加している。これに対して、混合生汚泥に亜硝酸ナトリウムとカプリン酸と他の有機性殺菌剤としてp−ヒドロキシ安息香酸ブチル、サリチル酸又はピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例24〜26の汚泥脱水ケーキからの硫化水素とメチルメルカプタンの発生量は、比較例10〜13に比べて少なく、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸と他の有機性殺菌剤を添加することにより、3種の薬剤の相乗効果が発現し、硫化水素とメチルメルカプタンの発生が効果的に抑制されることが分かる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法及び臭気抑制剤によれば、汚泥スラリーに炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤、又は、酸化剤系消臭剤と炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と他の有機性殺菌剤とを添加したのち、汚泥脱水することにより、汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果が持続し、96時間以上にわたって消臭効果を発揮することができる。
Claims (9)
- 汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、臭気抑制剤として、酸化剤系消臭剤と、炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを併用添加したのち、汚泥脱水する請求項1記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、臭気抑制剤を添加し、15分以上経過したのち、汚泥脱水する請求項1又は請求項2記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、臭気抑制剤を添加し、3時間以上経過したのち、汚泥脱水する請求項3記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 炭素数6〜12の脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸又はウンデシレン酸である請求項1又は請求項2記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 他の有機性殺菌剤が、2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体である請求項1又は請求項2記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 炭素数6〜12の脂肪酸若しくはその誘導体と、他の有機性殺菌剤とを含有することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤。
- 炭素数6〜12の脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸又はウンデシレン酸である請求項7記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤。
- 他の有機性殺菌剤が、2−メルカプトピリジン−1−オキシド(ピリチオン)若しくはその誘導体である請求項7又は請求項8記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤。
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