JP2005334832A - 汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 汚泥や脱水ケーキから悪臭成分である硫化水素及びメチルメルカプタンが発生するのを効果的且つ持続的に防止できる汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法を実現する。
【解決手段】 N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を含有する汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤。N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、汚泥又は脱水ケーキに添加する汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。汚泥に添加するキャプタンは、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lとなされる。また、脱水ケーキに添加するキャプタンは、100〜3000mg/kg、より好ましくは200〜1000mg/kgとなされる。
【解決手段】 N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を含有する汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤。N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、汚泥又は脱水ケーキに添加する汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。汚泥に添加するキャプタンは、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lとなされる。また、脱水ケーキに添加するキャプタンは、100〜3000mg/kg、より好ましくは200〜1000mg/kgとなされる。
Description
この発明は、汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法に係り、特に、下水処理場、し尿処理場、食品工場等の排水処理工程で排出される汚泥や脱水ケーキから発生する悪臭物質である硫化水素及びメチルメルカプタンを効果的に脱臭できる汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法に関する。
下水処理場、し尿処理場、食品工場等における排水処理工程においては、汚泥や、汚泥を脱水して得られる脱水ケーキが大量に発生する。斯かる汚泥及び脱水ケーキからは、悪臭物質として硫化水素とメチルメルカプタン等の硫黄化合物、アンモニア、トリメチルアミン等の窒素化合物、低級脂肪酸類等が発生してくる。これらの悪臭物質の中で発生量の特に多いのが、硫黄化合物である硫化水素とメチルメルカプタンであり、汚泥処理系設備周辺での作業環境の悪化、付近住民の苦情、設備機器の腐食の原因となるため、脱臭対策が必要である。
従来、硫化水素やメチルメルカプタン等の硫黄系悪臭物質の脱臭剤としては、主に、亜硝酸塩を含む脱臭剤、鉄、亜鉛、銅等の金属塩を含む脱臭剤が用いられている。
しかしながら、上記亜硝酸塩系の脱臭剤は、温度や汚泥性状に影響を受けやすく、効果が不安定であった。
すなわち、気温の高い夏季において、汚泥貯留槽及び脱水ケーキホッパー内温度が上昇して汚泥及び脱水ケーキの滞留時の温度が高くなると、亜硝酸塩系の脱臭剤の効力持続時間が著しく短くなるため、脱臭剤を他の季節の数倍添加する必要があった。
また、一般的な汚泥のpHは5〜7であるが、汚泥のpHが6以上になると、亜硝酸塩系の脱臭剤の効力持続時間は著しく短くなる。つまり、pHが中性付近を示す汚泥及び脱水ケーキに対する効力が弱く、効果を上げるためには過剰に亜硝酸塩系の脱臭剤を添加する必要があった。しかし、亜硝酸イオンは水質汚濁に係る環境基準の項目でもあるため、亜硝酸塩系の脱臭剤の添加量が多くなるのは望ましくない。また、亜硝酸塩系の脱臭剤を過剰に添加しても十分な臭気抑制効果が得られないことも多かった。
すなわち、気温の高い夏季において、汚泥貯留槽及び脱水ケーキホッパー内温度が上昇して汚泥及び脱水ケーキの滞留時の温度が高くなると、亜硝酸塩系の脱臭剤の効力持続時間が著しく短くなるため、脱臭剤を他の季節の数倍添加する必要があった。
また、一般的な汚泥のpHは5〜7であるが、汚泥のpHが6以上になると、亜硝酸塩系の脱臭剤の効力持続時間は著しく短くなる。つまり、pHが中性付近を示す汚泥及び脱水ケーキに対する効力が弱く、効果を上げるためには過剰に亜硝酸塩系の脱臭剤を添加する必要があった。しかし、亜硝酸イオンは水質汚濁に係る環境基準の項目でもあるため、亜硝酸塩系の脱臭剤の添加量が多くなるのは望ましくない。また、亜硝酸塩系の脱臭剤を過剰に添加しても十分な臭気抑制効果が得られないことも多かった。
一方、上記金属塩(鉄、亜鉛、銅等)系の脱臭剤は、硫化水素については即効性があり、すばやく脱臭できるものであるが、メチルメルカプタンについては脱臭効果が殆ど得られなかった。また、金属塩系の脱臭剤の効力持続性を高めるため、汚泥に対する金属塩系の脱臭剤の添加量を増やす方法が用いられているが、汚泥中の金属塩濃度が高くなり、脱水ケーキの再利用に悪影響を与えていた。
この発明は、従来の上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、汚泥や脱水ケーキから悪臭成分である硫化水素及びメチルメルカプタンが発生するのを効果的且つ持続的に防止できる汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法を実現することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(一般名キャプタン)が、汚泥や脱水ケーキから発生する硫化水素及びメチルメルカプタンを効果的且つ持続的に脱臭することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明に係る請求項1に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を含有することを特徴とする。
請求項1に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤において、更に、亜硝酸塩又は金属塩を含有させても良い。
すなわち、本発明に係る請求項1に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を含有することを特徴とする。
請求項1に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤において、更に、亜硝酸塩又は金属塩を含有させても良い。
また、本発明に係る請求項3に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする。
請求項4に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と亜硝酸塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする。
請求項5に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする。
請求項3乃至請求項5に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法において、汚泥に添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lとなされ、脱水ケーキに添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、100〜3000mg/kg、より好ましくは200〜1000mg/kgとなされる。
請求項4に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と亜硝酸塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする。
請求項5に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする。
請求項3乃至請求項5に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法において、汚泥に添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lとなされ、脱水ケーキに添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、100〜3000mg/kg、より好ましくは200〜1000mg/kgとなされる。
本発明に係る汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤及び脱臭方法にあっては、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)が、汚泥及び脱水ケーキ中に含まれている硫化水素及びメチルメルカプタン等を生成する悪臭物質産生菌全般の活性を抑制するため、汚泥や脱水ケーキから悪臭成分である硫化水素及びメチルメルカプタンが発生するのを効果的且つ持続的に防止できる。
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と、亜硝酸塩又は金属塩とを併用することにより、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の防臭機能と、亜硝酸塩又は金属塩の消臭機能に相乗効果が生じ、より効果的に硫化水素及びメチルメルカプタンの脱臭を行うことができる。
本発明に係る汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を含有するものである。
また、本発明に係る汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、汚泥又は脱水ケーキに添加するものである。
汚泥や、汚泥を脱水して得られる脱水ケーキ中には、硫化水素やメチルメルカプタン等のメルカプタン類、低級脂肪酸類など悪臭物質を生成する微生物が多種含まれているが、キャプタンは、それら悪臭物質産生菌全般の活性を効果的に抑制して防臭する効果を発揮するものである。
尚、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は粉体であり、水に不溶のため水溶液とはならないが、ハンドリングを良くするため、水に分散させてスラリー状とすることができる。その際には、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ポリビニルアルコール等の増粘剤を、0.1〜1重量%加えることにより、水中にN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を均一に分散させることができる。
また、本発明に係る汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法は、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、汚泥又は脱水ケーキに添加するものである。
汚泥や、汚泥を脱水して得られる脱水ケーキ中には、硫化水素やメチルメルカプタン等のメルカプタン類、低級脂肪酸類など悪臭物質を生成する微生物が多種含まれているが、キャプタンは、それら悪臭物質産生菌全般の活性を効果的に抑制して防臭する効果を発揮するものである。
尚、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は粉体であり、水に不溶のため水溶液とはならないが、ハンドリングを良くするため、水に分散させてスラリー状とすることができる。その際には、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ポリビニルアルコール等の増粘剤を、0.1〜1重量%加えることにより、水中にN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を均一に分散させることができる。
汚泥又は脱水ケーキへのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率が低いと、微生物の数が多い汚泥及び脱水ケーキでは微生物活性抑制効果が不足し、十分な脱臭効果が得られない。また、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率が高い場合、微生物活性抑制効果は十分であるが、処理コストが高額になるという問題が生じる。
そこで、汚泥へのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、10〜300mg/Lが好ましく、より好ましくは、20〜100mg/Lと成される(後述の実施例1及び実施例2、表1及び表2、図1参照)。
尚、脱水ケーキは、濃縮汚泥中に含まれる固形物(微生物、有機物、無機物等)を約10倍に圧縮して生成されるものであるため、脱水ケーキへのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、濃縮汚泥へのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)添加率の10倍とするのが適当である。従って、脱水ケーキへのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、100〜3000mg/kgが好ましく、より好ましくは、200〜1000mg/kgと成される。
そこで、汚泥へのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、10〜300mg/Lが好ましく、より好ましくは、20〜100mg/Lと成される(後述の実施例1及び実施例2、表1及び表2、図1参照)。
尚、脱水ケーキは、濃縮汚泥中に含まれる固形物(微生物、有機物、無機物等)を約10倍に圧縮して生成されるものであるため、脱水ケーキへのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、濃縮汚泥へのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)添加率の10倍とするのが適当である。従って、脱水ケーキへのN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の添加率は、100〜3000mg/kgが好ましく、より好ましくは、200〜1000mg/kgと成される。
上記の通り、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、汚泥又は脱水ケーキ中の悪臭物質産生菌全般の活性を効果的に抑制して防臭する効果を発揮するものであるが、消臭機能は持たないため腐敗して発生している汚泥や脱水ケーキの悪臭を消臭することは困難である。そこで、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)を、消臭機能を持った亜硝酸塩又は鉄、亜鉛、銅等の金属塩と併用するのが適当である(後述する実施例3及び表3参照)。このように、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と、亜硝酸塩又は金属塩とを併用することにより、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)の防臭機能と、亜硝酸塩又は金属塩の消臭機能に相乗効果を生じさせることができる。
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と亜硝酸塩とを含有する脱臭剤を用いて、汚泥又は脱水ケーキの脱臭を行うと、上記した従来の亜硝酸塩系脱臭剤の問題点となっていた温度、汚泥性状等の因子の影響を受けずに効力が安定し、長時間の脱臭が可能となる。
これは、亜硝酸塩からなる従来の脱臭剤の脱臭作用が以下のようであると推測されていることから説明できる。
すなわち、濃縮汚泥及び脱水ケーキ内は嫌気条件となるため、嫌気性細菌である硫酸還元菌が、汚泥及び脱水ケーキ中の硫酸イオンを還元して悪臭物質である硫化水素を発生させる。ここに亜硝酸塩からなる脱臭剤を添加すると、環境中の酸化還元電位が上昇し、酸化状態となるため、上記硫酸還元菌の活動が抑制されて、悪臭物質である硫化水素の消臭が行われる。硫酸還元菌の活動抑制効果は、環境中に亜硝酸イオンが存在する限り続くが、濃縮汚泥や脱水ケーキ中に存在する脱窒菌が亜硝酸イオンを消費するため、亜硝酸イオンの消費にともない、硫酸還元菌の活動が再び活発化し、硫化水素が発生してくる。
さらに、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌は、環境のpHが6〜9の条件及び環境温度が高い時に活性化して亜硝酸イオンの消費量が多くなるため、そのような条件下にある汚泥及び脱水ケーキについては、亜硝酸塩からなる脱臭剤を添加しても亜硝酸イオンがすばやく消費されてしまい、その結果、硫酸還元菌が活動を再開するまでの時間が非常に短くなり、脱臭剤の効力時間が著しく短くなる。また、亜硝酸イオンの消費速度が速いため、脱臭剤を過剰量添加しても安定した持続効果が出にくい。
これに対し、本発明に係るN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と亜硝酸塩とを含有する脱臭剤を用いると、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)が、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌の活動を抑制するため、亜硝酸イオンの消費速度が緩やかになり、臭気抑制効果が長期間持続することになる(後述の実施例4及び表4参照)。このため、亜硝酸塩の添加率を低減させることができる。
これは、亜硝酸塩からなる従来の脱臭剤の脱臭作用が以下のようであると推測されていることから説明できる。
すなわち、濃縮汚泥及び脱水ケーキ内は嫌気条件となるため、嫌気性細菌である硫酸還元菌が、汚泥及び脱水ケーキ中の硫酸イオンを還元して悪臭物質である硫化水素を発生させる。ここに亜硝酸塩からなる脱臭剤を添加すると、環境中の酸化還元電位が上昇し、酸化状態となるため、上記硫酸還元菌の活動が抑制されて、悪臭物質である硫化水素の消臭が行われる。硫酸還元菌の活動抑制効果は、環境中に亜硝酸イオンが存在する限り続くが、濃縮汚泥や脱水ケーキ中に存在する脱窒菌が亜硝酸イオンを消費するため、亜硝酸イオンの消費にともない、硫酸還元菌の活動が再び活発化し、硫化水素が発生してくる。
さらに、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌は、環境のpHが6〜9の条件及び環境温度が高い時に活性化して亜硝酸イオンの消費量が多くなるため、そのような条件下にある汚泥及び脱水ケーキについては、亜硝酸塩からなる脱臭剤を添加しても亜硝酸イオンがすばやく消費されてしまい、その結果、硫酸還元菌が活動を再開するまでの時間が非常に短くなり、脱臭剤の効力時間が著しく短くなる。また、亜硝酸イオンの消費速度が速いため、脱臭剤を過剰量添加しても安定した持続効果が出にくい。
これに対し、本発明に係るN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と亜硝酸塩とを含有する脱臭剤を用いると、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)が、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌の活動を抑制するため、亜硝酸イオンの消費速度が緩やかになり、臭気抑制効果が長期間持続することになる(後述の実施例4及び表4参照)。このため、亜硝酸塩の添加率を低減させることができる。
尚、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する亜硝酸塩は、濃縮汚泥に対し、10〜400mg/Lが好ましく、より好ましくは、50〜200mg/Lと成される(後述の実施例5及び表5参照)。
上記の通り、脱水ケーキは、濃縮汚泥中に含まれる固形物(微生物、有機物、無機物等)を約10倍に圧縮して生成されるものであるため、脱水ケーキへの亜硝酸塩の添加率は、濃縮汚泥への亜硝酸塩添加率の10倍とするのが適当である。従って、脱水ケーキへの亜硝酸塩の添加率は、100〜4000mg/kgが好ましく、より好ましくは、500〜2000mg/kgと成される。
上記の通り、脱水ケーキは、濃縮汚泥中に含まれる固形物(微生物、有機物、無機物等)を約10倍に圧縮して生成されるものであるため、脱水ケーキへの亜硝酸塩の添加率は、濃縮汚泥への亜硝酸塩添加率の10倍とするのが適当である。従って、脱水ケーキへの亜硝酸塩の添加率は、100〜4000mg/kgが好ましく、より好ましくは、500〜2000mg/kgと成される。
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩とを含有する脱臭剤を用いて、汚泥又は脱水ケーキの脱臭を行うと、上記した従来の金属塩系脱臭剤では除去できなかったメチルメルカプタンも脱臭でき、さらに金属塩の添加率を低減することができる。
これは、金属塩からなる従来の脱臭剤の脱臭作用が以下のようであると推測されていることから説明できる。
すなわち、金属塩系脱臭剤は、反応性の高い硫化水素については脱臭できるが、メチルメルカプタン等のメルカプタン類とは反応しないため除去できなかった。硫化水素は、硫酸還元菌の働きで発生するが、メルカプタン類は、汚泥または脱水ケーキ中に含まれるタンパク質の含硫アミノ酸を微生物が分解することにより発生すると考えられている。
ここで、本発明に係るN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩とを含有する脱臭剤を用いると、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)が、メルカプタン類を発生させる微生物の働きを抑制することから、メチルメルカプタンも脱臭できるようになる。また、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、悪臭物質産生菌全般の活性を抑制することから、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩を併用することで、臭気抑制効果が長期間持続すると共に、金属塩の添加率を低減させることが可能である。
これは、金属塩からなる従来の脱臭剤の脱臭作用が以下のようであると推測されていることから説明できる。
すなわち、金属塩系脱臭剤は、反応性の高い硫化水素については脱臭できるが、メチルメルカプタン等のメルカプタン類とは反応しないため除去できなかった。硫化水素は、硫酸還元菌の働きで発生するが、メルカプタン類は、汚泥または脱水ケーキ中に含まれるタンパク質の含硫アミノ酸を微生物が分解することにより発生すると考えられている。
ここで、本発明に係るN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩とを含有する脱臭剤を用いると、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)が、メルカプタン類を発生させる微生物の働きを抑制することから、メチルメルカプタンも脱臭できるようになる。また、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)は、悪臭物質産生菌全般の活性を抑制することから、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と金属塩を併用することで、臭気抑制効果が長期間持続すると共に、金属塩の添加率を低減させることが可能である。
尚、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する金属塩は、亜鉛塩の場合には、濃縮汚泥に対し、10〜400mg/Lが好ましく、より好ましくは、50〜250mg/Lと成される(後述の実施例6及び表6参照)。従って、脱水ケーキに対しては、濃縮汚泥への添加率の10倍である100〜4000mg/kgが好ましく、より好ましくは、500〜2500mg/kgと成される。
また、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する金属塩が、鉄塩の場合には、濃縮汚泥に対し、30〜1500mg/Lが好ましく、より好ましくは、150〜1000mg/Lと成される(後述の実施例6及び表6参照)。従って、脱水ケーキに対しては、濃縮汚泥への添加率の10倍である300〜15000mg/kgが好ましく、より好ましくは、1500〜10000mg/kgと成される。
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する金属塩が、銅塩の場合には、上記亜鉛塩の場合と同じ添加率で良い。
また、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する金属塩が、鉄塩の場合には、濃縮汚泥に対し、30〜1500mg/Lが好ましく、より好ましくは、150〜1000mg/Lと成される(後述の実施例6及び表6参照)。従って、脱水ケーキに対しては、濃縮汚泥への添加率の10倍である300〜15000mg/kgが好ましく、より好ましくは、1500〜10000mg/kgと成される。
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン)と併用する金属塩が、銅塩の場合には、上記亜鉛塩の場合と同じ添加率で良い。
以下に本発明を、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1:キャプタンの臭気抑制効果の試験]
下水処理場で採取した濃縮汚泥(pH:6.0、蒸発残留物:15380 mg/L、原臭;硫化水素:0.5ppm、メチルメルカプタン:ND)を用いて、キャプタンの臭気抑制効果についての試験を行った。悪臭物質である硫化水素(H2S)及びメチルメルカプタン(CH3SH)の悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンが0mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、300mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、薬剤であるキャプタン添加の24時間後及び48時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表1に示す。
下水処理場で採取した濃縮汚泥(pH:6.0、蒸発残留物:15380 mg/L、原臭;硫化水素:0.5ppm、メチルメルカプタン:ND)を用いて、キャプタンの臭気抑制効果についての試験を行った。悪臭物質である硫化水素(H2S)及びメチルメルカプタン(CH3SH)の悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンが0mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、300mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、薬剤であるキャプタン添加の24時間後及び48時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表1に示す。
表1の結果より、濃縮汚泥に10mg/L〜300mg/Lのキャプタンを添加することにより、汚泥の腐敗に伴う臭気の発生が抑制されていることが判る。
キャプタン無添加の試料と比較すると、添加率10mg/Lで60〜70%程度、添加率20mg/Lで70〜80%程度、添加率50mg/L、100mg/Lでは90%以上の臭気を抑制している。また、添加率200mg/L、300mg/Lの場合には、検出限界以下にまで臭気が抑制されている
表1の結果より、高い臭気抑制効果を得ると共に、処理コストの高額化を避ける観点から、濃縮汚泥に添加するキャプタンは、20〜100mg/Lと成すのが適当である。
汚泥中には、硫化水素やメルカプタン類、低級脂肪酸類など悪臭物質を生成する微生物が多種含まれているが、それら悪臭物質産生菌全般の活性をキャプタンは効果的に抑制していると考えられる。
キャプタン無添加の試料と比較すると、添加率10mg/Lで60〜70%程度、添加率20mg/Lで70〜80%程度、添加率50mg/L、100mg/Lでは90%以上の臭気を抑制している。また、添加率200mg/L、300mg/Lの場合には、検出限界以下にまで臭気が抑制されている
表1の結果より、高い臭気抑制効果を得ると共に、処理コストの高額化を避ける観点から、濃縮汚泥に添加するキャプタンは、20〜100mg/Lと成すのが適当である。
汚泥中には、硫化水素やメルカプタン類、低級脂肪酸類など悪臭物質を生成する微生物が多種含まれているが、それら悪臭物質産生菌全般の活性をキャプタンは効果的に抑制していると考えられる。
[実施例2:キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した場合におけるキャプタンの臭気抑制効果の試験]
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:6.0、蒸発残留物:15380 mg/L、原臭;硫化水素:0.5ppm、メチルメルカプタン:ND)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した場合におけるキャプタンの臭気抑制効果についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:2L(リットル)容量のビーカーに濃縮汚泥を1L(リットル)を入れ、薬剤1(亜硝酸ナトリウム150mg/L、又は塩化亜鉛100mg/L)と、キャプタンが、0mg/L、5mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、300mg/L、500mg/Lとなるように添加した。そして、よく攪拌した後、ビーカーに覆いをして30℃の恒温槽にて24時間保存した。薬剤1及びキャプタン添加の24時間後に、300mlの臭気測定用フラスコに濃縮汚泥を200ml入れ、検知菅にて硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
また、薬剤1及びキャプタン添加24時間後の濃縮汚泥1Lに高分子凝集剤(カチオン系0.2%、40ml)を添加し、凝集させた後、ベルトプレス脱水機で脱水を行い、脱水ケーキを作成した。500mlのポリびんに、作成した脱水ケーキを100g入れ、30℃の恒温槽にて保存し、24時間ごとに72時間後までポリびん内の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表2に示す。
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:6.0、蒸発残留物:15380 mg/L、原臭;硫化水素:0.5ppm、メチルメルカプタン:ND)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した場合におけるキャプタンの臭気抑制効果についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:2L(リットル)容量のビーカーに濃縮汚泥を1L(リットル)を入れ、薬剤1(亜硝酸ナトリウム150mg/L、又は塩化亜鉛100mg/L)と、キャプタンが、0mg/L、5mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、300mg/L、500mg/Lとなるように添加した。そして、よく攪拌した後、ビーカーに覆いをして30℃の恒温槽にて24時間保存した。薬剤1及びキャプタン添加の24時間後に、300mlの臭気測定用フラスコに濃縮汚泥を200ml入れ、検知菅にて硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
また、薬剤1及びキャプタン添加24時間後の濃縮汚泥1Lに高分子凝集剤(カチオン系0.2%、40ml)を添加し、凝集させた後、ベルトプレス脱水機で脱水を行い、脱水ケーキを作成した。500mlのポリびんに、作成した脱水ケーキを100g入れ、30℃の恒温槽にて保存し、24時間ごとに72時間後までポリびん内の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表2に示す。
また、濃縮汚泥への薬剤1(亜硝酸ナトリウム又は塩化亜鉛)及びキャプタン添加96時間後(脱水ケーキ作成からは72時間後)における、「キャプタン添加率」と、「薬剤1及びキャプタン無添加時の硫化水素濃度・メチルメルカプタン濃度に対する脱臭率」との関係を表すグラフを図1に示す。
当該図1のグラフは、表2の測定結果を基に作成したものであり、図1において、Aは、「亜硝酸ナトリウム(150mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「亜硝酸ナトリウム及びキャプタン無添加時の硫化水素濃度(500ppm)に対する脱臭率」を示す。
Bは、「亜硝酸ナトリウム(150mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「亜硝酸ナトリウム及びキャプタン無添加時のメチルメルカプタン濃度(1200ppm)に対する脱臭率」を示す。
Cは、「塩化亜鉛(100mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、塩化亜鉛及びキャプタン無添加時の硫化水素濃度(500ppm)に対する脱臭率」を示す。
Dは、「塩化亜鉛(100mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「塩化亜鉛及びキャプタン無添加時のメチルメルカプタン濃度(1200ppm)に対する脱臭率」を示す。
当該図1のグラフは、表2の測定結果を基に作成したものであり、図1において、Aは、「亜硝酸ナトリウム(150mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「亜硝酸ナトリウム及びキャプタン無添加時の硫化水素濃度(500ppm)に対する脱臭率」を示す。
Bは、「亜硝酸ナトリウム(150mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「亜硝酸ナトリウム及びキャプタン無添加時のメチルメルカプタン濃度(1200ppm)に対する脱臭率」を示す。
Cは、「塩化亜鉛(100mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、塩化亜鉛及びキャプタン無添加時の硫化水素濃度(500ppm)に対する脱臭率」を示す。
Dは、「塩化亜鉛(100mg/L)とキャプタンとを併用した場合のキャプタン添加率」と、「塩化亜鉛及びキャプタン無添加時のメチルメルカプタン濃度(1200ppm)に対する脱臭率」を示す。
表2の結果より、薬剤1及びキャプタン無添加の汚泥及び脱水ケーキからは、高濃度の硫化水素及びメチルメルカプタンが発生した。特に、脱水ケーキからは時間の経過と共に高濃度の臭気が発生し、72時間後には硫化水素500ppm、メチルメルカプタン1200ppmにも達した。
この実施例2は、濃縮汚泥に薬剤1及びキャプタンを添加した後24時間後に脱水を行い、脱水ケーキを72時間滞留(金曜日に脱水したケーキを月曜日に搬出する場合を想定)するという長期間の脱臭効果が求められる条件での効力試験である。
表2の結果及び図1のグラフから、薬剤1及びキャプタン添加96時間後(脱水ケーキ作成からは72時間後)において、脱臭効力を発揮するためには、キャプタンは少なくとも10mg/L以上必要であり、より高い効力を期待するならば、20mg/L以上が望ましいといえる。また、96時間程度であれば、キャプタンの添加率は、100mg/Lあれば、硫化水素及びメチルメルカプタンの臭気を検出限界以下に抑制できることが分かった。
以上の結果、及び、処理コストの高額化を避ける観点から、濃縮汚泥に添加するキャプタンは、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lと成すのが良い。
この実施例2は、濃縮汚泥に薬剤1及びキャプタンを添加した後24時間後に脱水を行い、脱水ケーキを72時間滞留(金曜日に脱水したケーキを月曜日に搬出する場合を想定)するという長期間の脱臭効果が求められる条件での効力試験である。
表2の結果及び図1のグラフから、薬剤1及びキャプタン添加96時間後(脱水ケーキ作成からは72時間後)において、脱臭効力を発揮するためには、キャプタンは少なくとも10mg/L以上必要であり、より高い効力を期待するならば、20mg/L以上が望ましいといえる。また、96時間程度であれば、キャプタンの添加率は、100mg/Lあれば、硫化水素及びメチルメルカプタンの臭気を検出限界以下に抑制できることが分かった。
以上の結果、及び、処理コストの高額化を避ける観点から、濃縮汚泥に添加するキャプタンは、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lと成すのが良い。
一般に、抗菌剤や殺菌剤は薬剤濃度の薄い時には効果がないが、ある濃度より菌の発育抑制を示し、さらに濃度を高めると発育が停止する。本試験の試料(濃縮汚泥)では、悪臭物質産生菌の発育抑制が始まる濃度が10mg/L以上であり、発育停止濃度が100mg/Lであったと推測される。このことより、汚泥濃度や環境温度が高かったり、さらなる持続性が求められた場合には、キャプタンの添加率を100mg/L以上とすることで対処できると考えられる。
[実施例3:キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した時の臭気抑制効果の試験]
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.8、蒸発残留物:22000mg/L、原臭;硫化水素:60ppm、メチルメルカプタン:5ppm)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した場合の臭気抑制効果についての試験を行った。
硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:2L(リットル)容量のビーカーに濃縮汚泥を1L(リットル)入れ、薬剤1として亜硝酸ナトリウム又は塩化亜鉛、薬剤2として、本発明に係るキャプタン又は比較対象としての各種抗菌剤、すなわちジンクピリチオン、クロラムフェニコール、BIT(1,2-ベンズイソチアゾリン)を添加した。添加後、よく攪拌した後、ビーカーに覆いをして30℃の恒温槽にて保存した。そして、薬剤添加24時間後に300mlの臭気測定用フラスコに試料を200ml入れ、検知管にて硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
また、薬剤1及び薬剤2の添加24時間後の濃縮汚泥1Lに高分子凝集剤(カチオン系0.2%、40ml)を添加し、凝集させた後、ベルトプレス脱水機で脱水を行い、脱水ケーキを作成した。500mlのポリびんに、作成した脱水ケーキを100g入れ、30℃の恒温槽にて保存し、24時間ごとに72時間後までポリびん内の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
本試験では、濃縮汚泥に薬剤を添加した後24時間後に脱水を行い、脱水ケーキを72時間滞留(金曜日に脱水したケーキを月曜日に搬出する場合を想定)するという長期間の効果が求められる条件で試験を行い、各種薬剤の効果の比較を行った。
測定結果を表3に示す。
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.8、蒸発残留物:22000mg/L、原臭;硫化水素:60ppm、メチルメルカプタン:5ppm)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウム、キャプタンと塩化亜鉛を併用した場合の臭気抑制効果についての試験を行った。
硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:2L(リットル)容量のビーカーに濃縮汚泥を1L(リットル)入れ、薬剤1として亜硝酸ナトリウム又は塩化亜鉛、薬剤2として、本発明に係るキャプタン又は比較対象としての各種抗菌剤、すなわちジンクピリチオン、クロラムフェニコール、BIT(1,2-ベンズイソチアゾリン)を添加した。添加後、よく攪拌した後、ビーカーに覆いをして30℃の恒温槽にて保存した。そして、薬剤添加24時間後に300mlの臭気測定用フラスコに試料を200ml入れ、検知管にて硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
また、薬剤1及び薬剤2の添加24時間後の濃縮汚泥1Lに高分子凝集剤(カチオン系0.2%、40ml)を添加し、凝集させた後、ベルトプレス脱水機で脱水を行い、脱水ケーキを作成した。500mlのポリびんに、作成した脱水ケーキを100g入れ、30℃の恒温槽にて保存し、24時間ごとに72時間後までポリびん内の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
本試験では、濃縮汚泥に薬剤を添加した後24時間後に脱水を行い、脱水ケーキを72時間滞留(金曜日に脱水したケーキを月曜日に搬出する場合を想定)するという長期間の効果が求められる条件で試験を行い、各種薬剤の効果の比較を行った。
測定結果を表3に示す。
表3の結果より、薬剤1及び薬剤2が無添加の場合には、濃縮汚泥からも、脱水ケーキからも硫化水素及びメチルメルカプタンが発生した。特に、脱水ケーキからは時間の経過と共に高濃度の臭気が発生し、72時間後には硫化水素5000ppm、メチルメルカプタン800ppmにも達した。
このような濃縮汚泥に亜硝酸ナトリウム(薬剤1)のみを150mg/L添加した場合、薬剤添加24時間後の濃縮汚泥からは、すでに臭気が発生しており、この添加率を300mg/Lとしても亜硝酸ナトリウム単独では脱水ケーキの長期間脱臭はできなかった。
ここで、亜硝酸ナトリウム(薬剤1)とキャプタン(薬剤2)を併用した場合、キャプタンの添加率50mg/Lで、薬剤添加24時間後の濃縮汚泥、脱水後72時間後の脱水ケーキまで臭気の発生を抑制し、持続した脱臭効果を示した。
尚、亜硝酸ナトリウム(薬剤1)と併用して、各種抗菌剤(ジンクピリチオン、クロラムフェニコール、BIT)を薬剤2として試験したが、キャプタン以上の効果は得られなかった。
このような濃縮汚泥に亜硝酸ナトリウム(薬剤1)のみを150mg/L添加した場合、薬剤添加24時間後の濃縮汚泥からは、すでに臭気が発生しており、この添加率を300mg/Lとしても亜硝酸ナトリウム単独では脱水ケーキの長期間脱臭はできなかった。
ここで、亜硝酸ナトリウム(薬剤1)とキャプタン(薬剤2)を併用した場合、キャプタンの添加率50mg/Lで、薬剤添加24時間後の濃縮汚泥、脱水後72時間後の脱水ケーキまで臭気の発生を抑制し、持続した脱臭効果を示した。
尚、亜硝酸ナトリウム(薬剤1)と併用して、各種抗菌剤(ジンクピリチオン、クロラムフェニコール、BIT)を薬剤2として試験したが、キャプタン以上の効果は得られなかった。
また、濃縮汚泥に塩化亜鉛(薬剤1)のみを添加した場合、硫化水素の脱臭力は認められたが、メチルメルカプタンが残存してしまった。また、時間の経過とともに脱水ケーキの腐敗がすすみ、硫化水素及びメチルメルカプタンが高濃度発生した。
ここで、塩化亜鉛(薬剤1)とキャプタン(薬剤2)を併用した試験を行ったところ、キャプタンの添加率50mg/Lで、残存していたメチルメルカプタンを検出限界以下まで脱臭することができ、72時間後の脱水ケーキまで持続して硫化水素、メチルメルカプタンともに臭気の抑制を行うことができた。
尚、塩化亜鉛(薬剤1)と併用して、ジンクピリチオンを薬剤2として試験したが、キャプタン以上の効果は得られなかった。
ここで、塩化亜鉛(薬剤1)とキャプタン(薬剤2)を併用した試験を行ったところ、キャプタンの添加率50mg/Lで、残存していたメチルメルカプタンを検出限界以下まで脱臭することができ、72時間後の脱水ケーキまで持続して硫化水素、メチルメルカプタンともに臭気の抑制を行うことができた。
尚、塩化亜鉛(薬剤1)と併用して、ジンクピリチオンを薬剤2として試験したが、キャプタン以上の効果は得られなかった。
[実施例4:キャプタンと亜硝酸ナトリウムを併用した時の臭気抑制時間についての試験]
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.8、蒸発残留物:22000mg/L、原臭;硫化水素:60ppm、メチルメルカプタン:5ppm)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウムを併用した時の臭気抑制時間についての試験を行った。
硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。また、亜硝酸イオンの分析は、簡易法による検査試験紙(鈴研株式会社製)で行った(検出限界0.15ppm)。
試験方法:
(15℃条件下)300ml容量の臭気測定用フラスコを3個用意し、それぞれに混合濃縮汚泥200mlを入れ、亜硝酸ナトリウムを150 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次にキャプタンが0mg/L、10 mg/L、50 mg/Lとなるように添加した後、15℃の恒温槽に入れて保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
(30℃条件下)上記と同様に試料の調整を行い、30℃の恒温槽で保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
(pH7.0、30℃条件下)水酸化ナトリウム溶液を用いて、濃縮汚泥のpHを7.0に調整した。pHを7.0とした汚泥を用い、上記と同様に試料の調整を行い、30℃の恒温槽で保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
測定結果より、臭気が抑制されていた時間(硫化水素及びメチルメルカプタンが検出限界以下であった時間)及び、亜硝酸イオンが汚泥中に残存していた時間を表4に示す。
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.8、蒸発残留物:22000mg/L、原臭;硫化水素:60ppm、メチルメルカプタン:5ppm)を用いて、キャプタンと亜硝酸ナトリウムを併用した時の臭気抑制時間についての試験を行った。
硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。また、亜硝酸イオンの分析は、簡易法による検査試験紙(鈴研株式会社製)で行った(検出限界0.15ppm)。
試験方法:
(15℃条件下)300ml容量の臭気測定用フラスコを3個用意し、それぞれに混合濃縮汚泥200mlを入れ、亜硝酸ナトリウムを150 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次にキャプタンが0mg/L、10 mg/L、50 mg/Lとなるように添加した後、15℃の恒温槽に入れて保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
(30℃条件下)上記と同様に試料の調整を行い、30℃の恒温槽で保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
(pH7.0、30℃条件下)水酸化ナトリウム溶液を用いて、濃縮汚泥のpHを7.0に調整した。pHを7.0とした汚泥を用い、上記と同様に試料の調整を行い、30℃の恒温槽で保存し、1時間ごとに硫化水素及びメチルメルカプタン濃度、亜硝酸イオン濃度を測定した。
測定結果より、臭気が抑制されていた時間(硫化水素及びメチルメルカプタンが検出限界以下であった時間)及び、亜硝酸イオンが汚泥中に残存していた時間を表4に示す。
表4の結果より、濃縮汚泥に亜硝酸ナトリウムのみ添加した場合では、保管温度が15℃から30℃になると、臭気抑制時間が40時間から15時間へと著しく短くなってしまう。また、汚泥のpHを7.0とした場合には、同じ30℃条件のデータと比較すると、pH調整を行わない(pH:5.8)試料の臭気抑制時間が15時間であったのに対し、pHを7.0とした試料は2時間となっており、著しく臭気抑制時間及び、亜硝酸イオンの残存時間が短くなっている。
これに対し、亜硝酸ナトリウムと共にキャプタンを、濃縮汚泥(pH:5.8)に添加すると、キャプタン添加率50mg/Lの場合、保管温度に関係なく、100時間以上も亜硝酸イオンが残存し、臭気抑制効果が持続することがわかった。これは、キャプタンが、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌の活動を抑制し、亜硝酸イオンの消費速度が緩やかになるためである。
また、pHを7.0に調整した汚泥については、キャプタン(添加率50mg/L)を併用すると44時間も臭気抑制効果が持続することが分かった。
これに対し、亜硝酸ナトリウムと共にキャプタンを、濃縮汚泥(pH:5.8)に添加すると、キャプタン添加率50mg/Lの場合、保管温度に関係なく、100時間以上も亜硝酸イオンが残存し、臭気抑制効果が持続することがわかった。これは、キャプタンが、亜硝酸イオンを消費する脱窒菌の活動を抑制し、亜硝酸イオンの消費速度が緩やかになるためである。
また、pHを7.0に調整した汚泥については、キャプタン(添加率50mg/L)を併用すると44時間も臭気抑制効果が持続することが分かった。
また、濃縮汚泥に亜硝酸塩のみ添加した場合には、亜硝酸イオンが消失すると、すぐに臭気が発生してしまうが、キャプタンを併用添加した場合には亜硝酸イオンが消失してしまっても、脱臭効力が持続しており、亜硝酸イオンの存在がなくても悪臭物質の発生を抑制できていることがわかった。これは、キャプタンが悪臭物質産生菌全般の活性を抑制しているためと考えられる。
キャプタンの添加量については、対象が、微生物が多量に含まれている汚泥ということもあり、50mg/L程度は必要であると考えられる。
本試験結果より、キャプタンと亜硝酸塩を併用することにより、汚泥性状や温度に影響されることなく、脱臭効果が安定して得られることがわかった。
キャプタンの添加量については、対象が、微生物が多量に含まれている汚泥ということもあり、50mg/L程度は必要であると考えられる。
本試験結果より、キャプタンと亜硝酸塩を併用することにより、汚泥性状や温度に影響されることなく、脱臭効果が安定して得られることがわかった。
[実施例5:キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率についての試験]
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.9、蒸発残留物:27530 mg/L、原臭;硫化水素:150ppm、メチルメルカプタン:20ppm)を用いて、キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに混合濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンを50 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次に亜硝酸ナトリウムが、5mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、400mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、亜硝酸ナトリウムの添加2時間後及び24時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表5に示す。
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.9、蒸発残留物:27530 mg/L、原臭;硫化水素:150ppm、メチルメルカプタン:20ppm)を用いて、キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに混合濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンを50 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次に亜硝酸ナトリウムが、5mg/L、10mg/L、20mg/L、50mg/L、100mg/L、200mg/L、400mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、亜硝酸ナトリウムの添加2時間後及び24時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表5に示す。
表5の結果より、キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率が、10mg/Lで24時間後の硫化水素濃度及びメチルメルカプタン濃度を、無添加の場合に比べて2分の1以下に抑制できた。しかし、高い脱臭効力を得るためには、キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率は50mg/L以上が望ましく、より高い効力を求める場合には100mg/L以上とするのが好ましい。尚、処理コストの高額化を避ける観点から、キャプタンと併用する亜硝酸ナトリウムの添加率は、400mg/L以下、より好ましくは200mg/L以下とするのが良い。
尚、亜硝酸塩は、発生している悪臭物質を酸化分解することで消臭するため、原臭が低濃度の試料については添加率が少なくても対応できると考えられる。
尚、亜硝酸塩は、発生している悪臭物質を酸化分解することで消臭するため、原臭が低濃度の試料については添加率が少なくても対応できると考えられる。
[実施例6:キャプタンと併用する金属塩の添加率についての試験]
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.9、蒸発残留物:27530 mg/L、原臭;硫化水素:150ppm、メチルメルカプタン:20ppm)を用いて、キャプタンと併用する金属塩の添加率についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに混合濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンを50 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次に塩化亜鉛が5mg/L、10mg/L、50mg/L、100mg/L、250mg/L、400mg/L、または、塩化第2鉄が10mg/L、30mg/L、150mg/L、500mg/L、1000mg/L、1500mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、塩化亜鉛又は塩化第2鉄の添加の2時間後及び24時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表6に示す。
下水処理場で採取した混合濃縮汚泥(pH:5.9、蒸発残留物:27530 mg/L、原臭;硫化水素:150ppm、メチルメルカプタン:20ppm)を用いて、キャプタンと併用する金属塩の添加率についての試験を行った。硫化水素及びメチルメルカプタンの悪臭物質濃度測定は検知管(光明理化学工業株式会社、及び株式会社ガステック製)で測定した(検出限界;硫化水素、メチルメルカプタンともに0.2ppm)。
試験方法:300ml容量の臭気測定用フラスコに混合濃縮汚泥200mlを入れ、キャプタンを50 mg/Lとなるように加え、ガラス棒でかきまぜた。次に塩化亜鉛が5mg/L、10mg/L、50mg/L、100mg/L、250mg/L、400mg/L、または、塩化第2鉄が10mg/L、30mg/L、150mg/L、500mg/L、1000mg/L、1500mg/Lとなるように添加した後、30℃の恒温槽に入れて保存し、塩化亜鉛又は塩化第2鉄の添加の2時間後及び24時間後の硫化水素及びメチルメルカプタン濃度を測定した。
測定結果を表6に示す。
表6の結果より、キャプタンと併用する亜鉛塩の添加率が10mg/Lで、24時間後の硫化水素濃度及びメチルメルカプタン濃度を、無添加の場合に比べて2分の1以下に抑制できた。更に高い脱臭効力を得るためには、キャプタンと併用する亜鉛塩の添加率は50mg/L以上が望ましく、より高い効力を求める場合には100mg/L以上とするのが好ましい。尚、処理コストの高額化を避ける観点から、キャプタンと併用する亜鉛塩の添加率は、400mg/L以下、より好ましくは250mg/L以下とするのが良い。
また、表6の結果より、キャプタンと併用する鉄塩の添加率が30mg/Lで、24時間後のメチルメルカプタン濃度については無添加の場合に比べて約2分の1に、硫化水素濃度については無添加の場合に比べて約24%抑制できた。さらにキャプタンと併用する鉄塩の添加率が、150mg/Lで24時間後の硫化水素濃度を無添加の場合に比べて2分の1以下、メチルメルカプタン濃度を無添加の場合に比べて4分の1以下にまで抑制できた。
表6より、キャプタンと併用する鉄塩の添加率を、上記亜鉛塩の10倍もの500mg/L以上とした場合に、更に高い脱臭効力が得られ、より高い効力を求める場合には1000mg/L以上とすれば良いことが判った。。尚、処理コストの高額化を避ける観点からは、キャプタンと併用する亜鉛塩の添加率は、1500mg/L以下、より好ましくは1000mg/L以下とするのが良い。
金属塩は硫化水素については即効性を有するが、メルカプタン類に対する消臭力は弱い。しかし、ここでキャプタンを併用添加することにより、24時間後にはメルカプタン類も消臭することがわかった。
尚、金属塩系脱臭剤は、硫化物イオンを金属塩として不揮発性の塩とすることで消臭するため、原臭が低濃度の試料については添加率が少なくても対応できると考えられる。
表6より、キャプタンと併用する鉄塩の添加率を、上記亜鉛塩の10倍もの500mg/L以上とした場合に、更に高い脱臭効力が得られ、より高い効力を求める場合には1000mg/L以上とすれば良いことが判った。。尚、処理コストの高額化を避ける観点からは、キャプタンと併用する亜鉛塩の添加率は、1500mg/L以下、より好ましくは1000mg/L以下とするのが良い。
金属塩は硫化水素については即効性を有するが、メルカプタン類に対する消臭力は弱い。しかし、ここでキャプタンを併用添加することにより、24時間後にはメルカプタン類も消臭することがわかった。
尚、金属塩系脱臭剤は、硫化物イオンを金属塩として不揮発性の塩とすることで消臭するため、原臭が低濃度の試料については添加率が少なくても対応できると考えられる。
Claims (7)
- N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドを含有することを特徴とする汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤。
- 亜硝酸塩又は金属塩を含有することを特徴とする請求項1に記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭剤。
- N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。
- N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドと亜硝酸塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。
- N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドと金属塩とを、汚泥又は脱水ケーキに添加することを特徴とする汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。
- 汚泥に添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドが、10〜300mg/L、より好ましくは20〜100mg/Lであることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。
- 脱水ケーキに添加するN−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミドが、100〜3000mg/kg、より好ましくは200〜1000mg/kgであることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の汚泥又は脱水ケーキの脱臭方法。
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