JP2004275541A - 汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、などに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法を提供する。
【解決手段】N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル(IPBC)を含有する汚泥臭気抑制剤、汚泥スラリーにIPBCを添加する汚泥スラリーの臭気抑制方法、汚泥スラリーにIPBCを添加して脱水する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、汚泥脱水ケーキにIPBCを添加する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNP)と他の臭気抑制剤を添加する汚泥スラリーの臭気抑制方法、汚泥スラリーにBNPと他の臭気抑制剤を添加して脱水する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、及び、汚泥脱水ケーキにBNPと他の臭気抑制剤を添加する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
【選択図】 図1
【解決手段】N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル(IPBC)を含有する汚泥臭気抑制剤、汚泥スラリーにIPBCを添加する汚泥スラリーの臭気抑制方法、汚泥スラリーにIPBCを添加して脱水する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、汚泥脱水ケーキにIPBCを添加する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNP)と他の臭気抑制剤を添加する汚泥スラリーの臭気抑制方法、汚泥スラリーにBNPと他の臭気抑制剤を添加して脱水する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、及び、汚泥脱水ケーキにBNPと他の臭気抑制剤を添加する汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥スラリーは、次いで脱水機により脱水され、得られた汚泥脱水ケーキは埋め立てや、焼却などのために搬出される。
貯留中の汚泥スラリーや、脱水後の汚泥脱水ケーキは、腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などである。これらの中で、硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる汚泥脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策は特に重要である。すなわち、汚泥脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である汚泥脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、汚泥脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
例えば、非塩素系、非金属系の処理剤を用いて、低コストで効果的に汚泥脱水ケーキの臭気の発生を防止する方法として、亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法が提案されている(特許文献1)。また、汚泥脱水ケーキ中に窒素分を残留させる亜硝酸塩の添加量を少なくして十分な消臭効果が発現する汚泥脱水ケーキの臭気発生防止方法として、酸化剤、金属塩又は有機系殺菌剤と亜硝酸塩を併用して汚泥スラリーに添加する方法が提案されている(特許文献2)。さらに、人や環境に対する影響のない薬剤を用いて汚泥脱水ケーキの臭気発生を防止する方法として、汚泥スラリーに酸化剤と亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を添加したのち、ソルビン酸を添加する方法が提案されている(特許文献3)。また、少ない薬剤の使用で、汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキのいずれの場合も、悪臭物質の発生を長時間にわたって抑制することができる臭気発生防止方法として、難溶性の硫化物を生成する金属塩と、難溶性のピリチオン化合物とを含む消臭剤を添加する方法が提案されている(特許文献4)。さらに、汚泥脱水ケーキから発生する臭気を効果的に防止することができる方法として、汚泥脱水ケーキに、25℃において水100mLに20g以上溶解する静菌剤を添加する方法が提案されている(特許文献5)。
しかし、これらの方法では、汚泥スラリーの貯留槽と汚泥脱水機での臭気発生を防止することはできるが、汚泥脱水ケーキからの臭気発生防止効果の持続時間は、数時間ないし最大で半日程度であり、前日の汚泥脱水ケーキをケーキホッパーに貯留し、翌日に搬出する場合には、経済的に見合った薬剤添加量では、臭気防止効果がほとんど期待できなかった。
【特許文献1】
特開2000−202494号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2000−288592号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2000−351000号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開2000−70999号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2002−186995号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、木材防腐剤やシロアリ防除剤などに用いられるN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルに汚泥臭気抑制作用があり、特にN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン、カプリン酸、ウンデシレン酸などの他の臭気抑制剤を併用すると優れた汚泥臭気抑制効果が発揮され、また、スライムコントロール剤やし尿消臭剤として用いられる2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、同様に塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン、カプリン酸、ウンデシレン酸などの他の臭気抑制剤を併用すると優れた汚泥臭気抑制効果が発揮されることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを含有することを特徴とする汚泥臭気抑制剤、
(2)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(3)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する第2項記載の汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(4)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(5)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水する第4項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(6)汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(7)汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する第6項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(8)汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(9)汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、及び、
(10)汚泥脱水ケーキに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥臭気抑制剤は、式[1]で表されるN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを含有する。本発明の汚泥スラリーの臭気抑制方法の第一の態様においては、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第一の態様においては、汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加し、脱水する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第二の態様においては、汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第三の態様においては、汚泥スラリーに、式[2]で表される2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加し、脱水する。本発明の汚泥脱水ケーキの第四の態様においては、汚泥脱水ケーキに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加する。
【化1】
本発明方法において、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加方法に特に制限はないが、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルは、融点64〜68℃の水不溶性の粉末なので、界面活性剤を加えて水に乳化分散させた乳化分散液として添加することが好ましい。本発明方法において、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加方法に特に制限はないが、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールは水溶性なので、水溶液として添加することが好ましい。
【0006】
本発明方法においては、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、他の臭気抑制剤を、汚泥スラリー又は汚泥脱水ケーキに添加することが好ましい。他の臭気抑制剤としては、例えば、塩化亜鉛、塩化鉄、ポリ硫酸鉄などの金属塩系臭気抑制剤、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜硝酸塩、過酸化水素などの酸化剤系臭気抑制剤、ビリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体、ウンデシレン酸又はその誘導体などの殺菌剤系臭気抑制剤などを挙げることができる。これらの中で、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体及びウンデシレン酸又はその誘導体を好適に用いることができ,亜硝酸塩、ピリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体及びウンデシレン酸又はその誘導体を特に好適に用いることができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを単独で添加した場合に比べて、他の臭気抑制剤を併用して添加することにより、臭気抑制効果が向上する。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル若しくは2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸塩及びピリチオン若しくはその誘導体の3種の薬剤の併用、又は、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル若しくは2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸塩及びカプリン酸若しくはその誘導体若しくはウンデシレン酸若しくはその誘導体の3種の薬剤の併用により、汚泥スラリー又は汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果が特に顕著に向上する。
【0007】
本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法においては、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加する他の臭気抑制剤を、汚泥スラリーに添加したのち脱水することができ、あるいは、汚泥スラリーの脱水により得られた汚泥脱水ケーキに添加することもできる。これらの方法の中で、汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法は、汚泥スラリーと臭気抑制剤の混合が容易であり、しかも脱水後の汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果が高く、臭気抑制効果を長時間持続させることができるので、特に好適に用いることができる。
汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加したのち脱水するまでの時間に特に制限はないが、汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加して30分間以上経過したのち脱水することが好ましく、2時間以上経過したのち脱水することがより好ましい。汚泥スラリーに臭気抑制を添加して30分間以上経過したのち脱水することにより、臭気抑制剤を添加した直後に脱水する場合に比べて、臭気抑制効果を高めることができる。
【0008】
本発明方法に用いるポリ硫酸第二鉄は、一般式[3]で表される組成を有する物質である。
[Fe2(OH)n(SO4)3−n/2]m ・・・[3]
本発明に用いる亜塩素酸塩としては、例えば、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸銅、亜塩素酸亜鉛などを挙げることができる。本発明方法に用いる亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。
本発明方法に用いるピリチオンは、式[4]で表される構造を有し、2−メルカプトピリジン−1−オキシド、2−ピリジンチオール−1−オキシド、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオンなどの名称により呼ばれる化合物である。
【化2】
本発明方法に用いるピリチオンの誘導体に特に制限はなく、例えば、式[5]で表される構造を有するピリチオンのナトリウム塩、式[6]で表される構造を有し、ジピリチオン、2,2’−ジチオビスピリジン−1,1’−ジオキシドなどの名称で呼ばれるピリチオンの二量体、式[7]で表される構造を有し、ジンクピリチオン、ジンクピリジンチオン、ビス(2−ピリジルチオ)ジンク−1,1’−ジオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)亜鉛などの名称で呼ばれるピリチオンの亜鉛誘導体、銅ピリチオン、トリス(ピリチオン)コバルト(III)錯体などを挙げることができる。これらの中で、ピリチオンのナトリウム塩は水溶性であり、水溶液として取り扱うことができるので、好適に用いることができる。
【化3】
本発明方法に用いるカプリン酸の誘導体としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、銅塩、亜鉛塩などの塩類、メチルエステル、エチルエステルなどのエステル類、無水物などを挙げることができる。本発明方法に用いるウンデシレン酸の誘導体としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、銅塩、亜鉛塩などの塩類、メチルエステル、エチルエステルなどのエステル類、無水物などを挙げることができる。
【0009】
本発明方法において、汚泥スラリーに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、50〜500mgであることがより好ましく、100〜300mgであることがさらに好ましい。汚泥スラリー1Lに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量が10mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。汚泥スラリー1Lに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量が1,000mgを超えると、添加量に対応する臭気抑制効果が発現しないおそれがある。
本発明方法において、汚泥スラリーに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,500mgであることが好ましく、50〜1,000mgであることがより好ましく、100〜500mgであることがさらに好ましい。汚泥スラリー1Lに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量が10mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。汚泥スラリー1Lに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量が1,500mgを超えると、添加量に対応する臭気抑制効果が発現しないおそれがある。
【0010】
本発明方法において、汚泥スラリーに対する塩化亜鉛の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜500mgであることが好ましく、40〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する塩化第二鉄の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜500mgであることが好ましく、20〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するポリ硫酸第二鉄の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して、鉄分として、20〜800mgであることが好ましく、60〜300mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する亜塩素酸塩の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して5〜500mgであることが好ましく、20〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する亜硝酸塩の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜600mgであることが好ましく、30〜300mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するピリチオン又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して2〜300mgであることが好ましく、4〜150mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するカプリン酸又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、40〜500mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するウンデシレン酸又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、40〜500mgであることがより好ましい。
【0011】
本発明方法において、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤の添加方法に特に制限はなく、例えば、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を別々に添加することができ、あるいは、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を含有する混合物として添加することもできる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと他の臭気抑制剤を含有する混合物は、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを水を媒体とする乳化分散液とし、他の臭気抑制剤が水溶性の場合は乳化分散液の水相に溶解し、他の臭気抑制剤が水不溶性の場合は、他の臭気抑制剤も乳化分散させることができる。2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を含有する混合物は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを水溶液とし、他の臭気抑制剤が水溶性の場合はその水溶液中に溶解し、他の臭気抑制剤が水不溶性の場合は、水に乳化分散させた乳化分散液として水溶液と混合することができる。
【0012】
図1は、本発明の汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の実施の一態様の工程系統図である。下水が沈砂池1へ導入され、ポンプの損耗や処理施設の閉塞を防止するために、下水中の粗大物や砂分が除去される。粗大物や砂分が除去された下水は、最初沈殿池2に導入され、下水中の比較的比重の大きい浮遊物質が沈降分離して、初沈生汚泥が発生する。初沈生汚泥は、重力濃縮槽3に送られ、通常は汚泥濃度1.5重量%以上に濃縮される。必要に応じて、最初沈殿池2と重力濃縮槽3の間Aにおいて、初沈生汚泥にN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加する他の臭気抑制剤を添加することができる。重力濃縮槽において濃縮された汚泥は、混合汚泥貯留槽4に送られる。
最初沈殿池で比較的比重の大きい浮遊物質を除去した汚泥は、エアレーションタンク5に導入され、好気性微生物を多量に含む活性汚泥と混合され、曝気される。下水中の有機物は、微生物に吸着され、生物代謝により分解され、さらに、内生呼吸により微生物の細胞が分解する。エアレーションタンクからの流出水は、最終沈殿池6に導入され、混合液中の微生物が沈殿除去され、清澄な処理水が得られる。処理水は、次亜塩素酸ナトリウムなどを添加して消毒したのち、河川などに放流することができ、あるいは、中水として場内で利用することもできる。
最終沈殿池6から引き抜かれた汚泥は、一部を返送汚泥としてエアレーションタンク5に返送してふたたび生物処理に用いる。余った汚泥は、余剰汚泥として余剰汚泥受槽7にいったん貯留したのち、遠心濃縮機8により濃縮され、混合汚泥貯留槽4に送られる。
混合汚泥貯留槽4において、初沈生汚泥と余剰汚泥が混合されて混合生汚泥となる。この混合生汚泥にBからN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと必要に応じて添加される他の臭気抑制剤を添加することができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと必要に応じて他の臭気抑制剤が添加された混合生汚泥は、ベルトプレス脱水機9に送られて脱水され、汚泥脱水ケーキとなる。ベルトプレス脱水機から排出される汚泥脱水ケーキは、ケーキコンベア10によりケーキホッパー11に移送される。ケーキホッパー内の汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加される他の臭気抑制剤をCから散布することができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加される他の臭気抑制剤は、ケーキコンベアで移送中の汚泥脱水ケーキに散布することもできる。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、各薬剤は、下記の形態で添加した。
(1)N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル:N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール30重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10重量部及び精製水50重量部を混合してなる乳化分散液。
(2)2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール:10重量%水溶液。
(3)塩化亜鉛:4.0重量%水溶液。
(4)ポリ硫酸第二鉄:鉄として11重量%を含有する水溶液。
(5)亜塩素酸ナトリウム:2.5重量%水溶液。
(6)亜硝酸ナトリウム:3.8重量%水溶液。
(7)ピリチオンのナトリウム塩:1.0重量%水溶液。
(8)カプリン酸:カプリン酸5重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量部及び精製水88重量部を混合してなる乳化分散液。
また、実施例及び比較例において、硫化水素の分析にはガス検知管4LL、4L、4M及び4H[(株)ガステック]を、メチルメルカプタンの分析にはガス検知管71L及び71H[(株)ガステック]を、二酸化炭素の分析にはガス検知管2H及び2HH[(株)ガステック]を用いた。検出限界下限は、硫化水素とメチルメルカプタンがそれぞれ0.25ppm(容量比)であり、二酸化炭素は0.5容量%である。
【0014】
実施例1
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)26,613mg/L、有機物量(VSS)22,943mg/L、繊維分(Fb、対SS比)26.3重量%、電気伝導率1.163mS/cm、pH4.93、酸化還元電位−146mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gを添加してスパーテルで混合したのち、ジャーテスターに取り付け、20rpmで撹拌した。1時間後、3時間後及び5時間後に、ビーカーから汚泥スラリー50mLを取り出し、容量600mLの容器に入れて2分間振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は90ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−165mVであった。5時間後、硫化水素は35ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−132mVであった。
実施例2
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例1と同じ処理を行った。
比較例1
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加しない以外は、実施例1と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは4.93、酸化還元電位は−172mVであった。5時間後、硫化水素は195ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−174mVであった。
実施例1〜2及び比較例1の結果を、第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
第1表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加した実施例1〜2では、無添加の比較例1に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少ない。比較例1の酸化還元電位は、実施例1〜2の酸化還元電位より低く、汚泥スラリーが還元的雰囲気にあり、硫化水素やメチルメルカプタンなどの還元性臭気が発生しやすい状況にあることが分かる。
実施例3
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)15,930mg/L、有機物量(VSS)13,040mg/L、繊維分(Fb、対SS比)40.4重量%、電気伝導率1.246mS/cm、pH6.15、酸化還元電位−270mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液3.0gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.99、酸化還元電位は−178mVであった。24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは5.88、酸化還元電位は−235mVであった。
比較例2
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例3と同じ処理を行った。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例3と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は320ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.14、酸化還元電位は−284mVであった。24時間後、硫化水素は370ppm、メチルメルカプタンは43ppm、pHは5.84、酸化還元電位は−268mVであった。
実施例3及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
第2表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を添加した実施例3では、塩化亜鉛のみを添加した比較例2に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例4
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)21,280mg/L、有機物量(VSS)18,320mg/L、繊維分(Fb、対SS比)41.5重量%、電気伝導率1.192mS/cm、pH6.13、酸化還元電位−255mVの混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.9gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液0.6gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。汚泥が凝集したのち、直径6cmのカラムを用いて2分間重力ろ過し、カラムを取り外して圧搾機で2分間圧搾脱水して汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れ、入れ口をヒートシールし、空気300mLと窒素ガス700mLを封入し、16時間後及び48時間後にテトラパックの気相中の硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は10ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
実施例5
塩化亜鉛4.0重量%水溶液の添加量を1.2gとした以外は、実施例5と同じ処理を行った。
比較例4
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例4と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは980ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。48時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは1,000ppm、二酸化炭素は17.0容量%であった。
比較例5
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例4と同じ処理を行った。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例4と同じ処理を行った。
実施例4〜5及び比較例4〜6の結果を、第3表に示す。
【0021】
【表5】
【0022】
第3表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を添加し、脱水して得られた実施例4〜5の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに塩化亜鉛のみを添加し、脱水して得られた比較例4〜5の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。また、実施例4〜5の二酸化炭素発生量が、比較例4〜5の二酸化炭素発生量よりも少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を併用した実施例4〜5では、微生物の活動が抑えられていることが分かる。
実施例6
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液1.5gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後及び9時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は15ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは5.48、酸化還元電位は−182mVであった。9時間後、硫化水素は105ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは5.65、酸化還元電位は−249mVであった。
実施例7
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例6と同じ処理を行った。
比較例7
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例6と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は105ppm、メチルメルカプタンは22ppm、pHは5.50、酸化還元電位は−208mVであった。9時間後、硫化水素は130ppm、メチルメルカプタンは40ppm、pHは5.71、酸化還元電位は−250mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例6と同じ処理を行った。
実施例6〜7、比較例7及び比較例3の結果を、第4表に示す。
【0023】
【表6】
【0024】
【表7】
【0025】
第4表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄を添加した実施例6〜7では、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した比較例7に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例8
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3gと鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は45ppm、メチルメルカプタンは430ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。48時間後、硫化水素は60ppm、メチルメルカプタンは590ppm、二酸化炭素は16.0容量%であった。
実施例9
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例8と同じ処理を行った。
比較例8
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例8と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は100ppm、メチルメルカプタンは560ppm、二酸化炭素は10.2容量%であった。48時間後、硫化水素は140ppm、メチルメルカプタンは730ppm、二酸化炭素は17.4容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例8と同じ処理を行った。
実施例8〜9、比較例8及び比較例6の結果を、第5表に示す。
【0026】
【表8】
【0027】
第5表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄を添加し、脱水して得られた実施例8〜9の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにポリ硫酸第二鉄のみを添加し、脱水して得られた比較例8の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例10
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液2.52gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後及び6時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
0.5時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.09、酸化還元電位は−143mVであった。6時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは26ppm、pHは6.01、酸化還元電位は−278mVであった。
実施例11
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例10と同じ処理を行った。
比較例9
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例10と同じ処理を行った。
0.5時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.11、酸化還元電位は−160mVであった。6時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは6.04、酸化還元電位は−280mVであった。
比較例10
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例10と同じ処理を行った。
実施例10〜11及び比較例9〜10の結果を、第6表に示す。
【0028】
【表9】
【0029】
【表10】
【0030】
第6表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜塩素酸ナトリウムを添加した実施例10〜11では、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した比較例9に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例12
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液3.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、0.5時間後、1時間後、4時間後、6時間後及び9時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
0.5時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.08、酸化還元電位は−143mVであった。9時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.07、酸化還元電位は−270mVであった。
実施例13
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例12と同じ処理を行った。
比較例11
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例12と同じ処理を行った。
0.5時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは11ppm、pHは6.11、酸化還元電位は−173mVであった。9時間後、硫化水素は40ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−289mVであった。
比較例12
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例12と同じ処理を行った。
実施例12〜13及び比較例11〜12の結果を、第7表に示す。
【0031】
【表11】
【0032】
【表12】
【0033】
第7表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムを添加した実施例12〜13では、亜硝酸ナトリウムのみを添加した比較例11に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例14
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは75ppm、二酸化炭素は6.0容量%であった。
実施例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例14と同じ処理を行った。
実施例16
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例14と同じ処理を行った。
比較例13
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例14と同じ処理を行った。
硫化水素は520ppm、メチルメルカプタンは320ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例14と同じ処理を行った。
実施例14〜16、比較例13及び比較例6の結果を、第8表に示す。
【0034】
【表13】
【0035】
第8表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例14〜16の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例13の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例17
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液3.0gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、2時間後、4時間後及び6時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は55ppm、メチルメルカプタンは5ppm、pHは5.99、酸化還元電位は−251mVであった。6時間後、硫化水素は34ppm、メチルメルカプタンは4ppm、pHは5.89、酸化還元電位は−274mVであった。
比較例14
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例17と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は320ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−282mVであった。6時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは37ppm、pHは6.02、酸化還元電位は−290mVであった。
比較例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例17と同じ処理を行った。
実施例17及び比較例14〜15の結果を、第9表に示す。
【0036】
【表14】
【0037】
【表15】
【0038】
第9表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例17では、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した比較例14に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例18
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.9gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.84gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは8ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。
比較例16
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例18と同じ処理を行った。
硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは810ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例18と同じ処理を行った。
実施例18、比較例16及び比較例6の結果を、第10表に示す。
【0039】
【表16】
【0040】
第10表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例18の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩のみを添加し、脱水して得られた比較例16の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量0.032倍、メチルメルカプタンの発生量は0.010倍と著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例19
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液2.0gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加した以外は、実施例17と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は58ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.97、酸化還元電位は−235mVであった。6時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは12ppm、pHは5.90、酸化還元電位は−242mVであった。
比較例17
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例19と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.02、酸化還元電位は−258mVであった。6時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは5.95、酸化還元電位は−255mVであった。
比較例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例19と同じ処理を行った。
実施例19、比較例17及び比較例15の結果を、第11表に示す。
【0041】
【表17】
【0042】
【表18】
【0043】
第11表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸を添加した実施例19では、カプリン酸のみを添加した比較例17に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例20
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.84gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液1.2gを添加した以外は、実施例18と同じ処理を行った。
16時間後の硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは8ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。
比較例18
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例20と同じ処理を行った。
16時間後の硫化水素は740ppm、メチルメルカプタンは540ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例20と同じ処理を行った。
実施例20、比較例18及び比較例6の結果を、第12表に示す。
【0044】
【表19】
【0045】
第12表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例20の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸のみを添加し、脱水して得られた比較例18の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量0.034倍、メチルメルカプタンの発生量は0.015倍と著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例21
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0g、ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液6.0g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.5gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.27、酸化還元電位は−119mVであった。24時間後、硫化水素は67ppm、メチルメルカプタンは12ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−229mVであった。
実施例22
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を2.0gとした以外は、実施例21と同じ処理を行った。
実施例23
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例21と同じ処理を行った。
比較例19
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例21と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは3ppm、pHは6.32、酸化還元電位は−141mVであった。24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは18ppm、pHは6.11、酸化還元電位は−279mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例21と同じ処理を行った。
実施例21〜23、比較例19及び比較例3の結果を、第13表に示す。
【0046】
【表20】
【0047】
【表21】
【0048】
第13表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムを添加した実施例21〜23では、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した比較例19に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例24
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3g、ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液4.8g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液1.38gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は40ppm、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。48時間後、硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは38ppm、二酸化炭素は9.2容量%であった。
実施例25
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例24と同じ処理を行った。
実施例26
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例24と同じ処理を行った。
比較例20
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例24と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は96ppm、メチルメルカプタンは16ppm、二酸化炭素は4.6容量%であった。48時間後、硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは110ppm、二酸化炭素は11.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例24と同じ処理を行った。
実施例24〜26、比較例20及び比較例6の結果を、第14表に示す。
【0049】
【表22】
【0050】
第14表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例24〜26の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた比較例20の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例27
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液6.0gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加した以外は、実施例21と同じ操作を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.24、酸化還元電位は−58mVであった。24時間後、硫化水素は18ppm、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.03、酸化還元電位は−211mVであった。
実施例28
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を2.0gとした以外は、実施例27と同じ処理を行った。
実施例29
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例27と同じ処理を行った。
比較例21
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例27と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.25、酸化還元電位は−133mVであった。24時間後、硫化水素は78ppm、メチルメルカプタンは14ppm、pHは6.00、酸化還元電位は−245mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例27と同じ処理を行った。
実施例27〜29、比較例21及び比較例3の結果を、第15表に示す。
【0051】
【表23】
【0052】
【表24】
【0053】
第15表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムを添加した実施例27〜29では、カプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加した比較例21に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例30
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3g、カプリン酸5重量%乳化分散液0.72g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後、26時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は14ppm、メチルメルカプタンは5ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。48時間後、硫化水素は820ppm、メチルメルカプタンは120ppm、二酸化炭素は12.2容量%であった。
実施例31
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例32
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例33
カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例34
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとし、カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例35
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとし、カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとし、16時間後、26時間後、48時間後、72時間後及び96時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.0容量%であった。96時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例22
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸5重量%乳化分散液0.72gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは60ppm、二酸化炭素は4.4容量%であった。48時間後、硫化水素は840ppm、メチルメルカプタンは700ppm、二酸化炭素は12.4容量%であった。
比較例23
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸5重量%乳化分散液1.2gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
比較例24
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例30〜35及び比較例22〜24の結果を、第16表に示す。
【0054】
【表25】
【0055】
【表26】
【0056】
第16表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例30〜35の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた比較例22〜23の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。特に、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル300mg/L、カプリン酸200mg/L及び亜硝酸ナトリウム114mg/Lを添加した実施例35の汚泥脱水ケーキは、96時間経過後も硫化水素とメチルメルカプタンが検出されず、極めて優れた臭気抑制効果が発現している。
実施例36
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)19,520mg/L、有機物量(VSS)16,360mg/L、繊維分(Fb、対SS比)37.6重量%、電気伝導率1.245mS/cm、pH5.94、酸化還元電位−234mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと塩化亜鉛4重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合したのち、ジャーテスターに取り付け、20rpmで撹拌した。1時間後、4時間後、7時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリー50mLを取り出し、容量600mLの容器に入れて2分間振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.81、酸化還元電位は13mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.75、酸化還元電位は−162mVであった。
比較例25
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
比較例26
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
比較例27
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例36と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は225ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.93、酸化還元電位は−246mVであった。24時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−210mVであった。
実施例36及び比較例25〜27の結果を、第17表に示す。
【0057】
【表27】
【0058】
【表28】
【0059】
第17表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛を添加した実施例36では、塩化亜鉛のみを添加した比較例25及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例26に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例37
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.3gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液1.2gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。汚泥が凝集したのち、直径6cmのカラムを用いて2分間重力ろ過し、カラムを取り外して圧搾機で2分間圧搾脱水して汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れ、入れ口をヒートシールし、空気300mLと窒素ガス700mLを封入し、24時間後及び48時間後にテトラパックの気相中の硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は6ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は14.6容量%であった。
実施例38
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を0.6gとした以外は、実施例37と同じ処理を行った。
比較例28
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは410ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは600ppm、二酸化炭素は15.8容量%であった。
比較例29
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は480ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは900ppm、二酸化炭素は15.8容量%であった。
比較例30
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例38と同じ処理を行った。
比較例31
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例37と同じ処理を行った。
実施例37〜38及び比較例28〜31の結果を、第18表に示す。
【0060】
【表29】
【0061】
第18表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛を添加し、脱水して得られた実施例37〜38の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに塩化亜鉛のみを添加し、脱水して得られた比較例28の汚泥脱水ケーキ及び汚泥脱水ケーキに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例29〜30の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例39
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。塩化亜鉛4重量%水溶液2.0gの代わりに、鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液1.5gを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.26、酸化還元電位は46mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.41、酸化還元電位は−1mVであった。
比較例32
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例39と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは17ppm、pHは5.29、酸化還元電位は−170mVであった。24時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは5.40、酸化還元電位は−205mVであった。
比較例26
ポリ硫酸第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例39と同じ処理を行った。
比較例27
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例39と同じ処理を行った。
実施例39、比較例32及び比較例26〜27の結果を、第19表に示す。
【0062】
【表30】
【0063】
【表31】
【0064】
第19表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄を添加した実施例39では、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した比較例32及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例26に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例40
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
塩化亜鉛4.0重量%水溶液1.2gの代わりに、鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液0.84gを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は痕跡量であり、メチルメルカプタンは14ppm、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは340ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
実施例41
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を0.6gとした以外は、実施例40と同じ処理を行った。
比較例33
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例40と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは300ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は160ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は12.6容量%であった。
比較例29
ポリ塩化第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例40と同じ処理を行った。
比較例30
ポリ塩化第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例41と同じ処理を行った。
比較例31
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例40と同じ処理を行った。
実施例40〜41、比較例33及び比較例29〜31の結果を、第20表に示す。
【0065】
【表32】
【0066】
第20表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄を添加し、脱水して得られた実施例40〜41の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにポリ塩化第二鉄のみを添加し、脱水して得られた比較例33の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例29〜30の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ塩化第二鉄の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例42
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)42,770mg/L、有機物量(VSS)38,450mg/L、繊維分(Fb、対SS比)23.6重量%、電気伝導率1.570mS/cm、pH5.56、酸化還元電位−246mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後及び27時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.52、酸化還元電位は37mVであった。27時間後、硫化水素は150ppm、メチルメルカプタンは24ppm、pHは5.43、酸化還元電位は−225mVであった。
実施例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を2.0gとし、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後、27時間後及び54時間後に硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定し、同時にpHと酸化還元電位を測定した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
比較例34
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.54、酸化還元電位は−29mVであった。27時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは68ppm、pHは5.56、酸化還元電位は−272mVであった。
比較例35
亜塩素酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は330ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.56、酸化還元電位は−238mVであった。27時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは44ppm、pHは5.42、酸化還元電位は−262mVであった。
実施例42〜43及び比較例34〜36の結果を、第21表に示す。
【0067】
【表33】
【0068】
【表34】
【0069】
第21表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムを添加した実施例42〜43では、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した比較例34及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例44
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは3ppm、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例37
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例44と同じ処理を行った。
硫化水素は450ppm、メチルメルカプタンは490ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
比較例38
亜塩素酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例44と同じ処理を行った。
硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
比較例39
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例44と同じ処理を行った。
実施例44及び比較例37〜39の結果を、第22表に示す。
【0070】
【表35】
【0071】
第22表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例44の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜塩素酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例37の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例38の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例45
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後及び27時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.56、酸化還元電位は0mVであった。27時間後、硫化水素は28ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−193mVであった。
実施例46
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を2.0gとし、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後、27時間後及び54時間後に硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定し、同時刻にpHと酸化還元電位を測定した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
比較例40
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは5.60、酸化還元電位は−72mVであった。27時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは32ppm、pHは5.51、酸化還元電位は−271mVであった。
比較例35
亜硝酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例45と同じ処理を行った。
実施例45〜46、比較例40及び比較例35〜36の結果を、第23表に示す。
【0072】
【表36】
【0073】
【表37】
【0074】
第23表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムを添加した実施例45〜46では、亜硝酸ナトリウムのみを添加した比較例40及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例47
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.83gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は430ppm、メチルメルカプタンは80ppm、二酸化炭素は12.0容量%であった。
実施例48
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を1.5gとした以外は、実施例47と同じ処理を行った。
比較例41
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例47と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は400ppm、メチルメルカプタンは500ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。48時間後、硫化水素は920ppm、メチルメルカプタンは1,020ppm、二酸化炭素は18.9容量%であった。
比較例42
亜硝酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例47と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。48時間後、硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは1,000ppm、二酸化炭素は17.8容量%であった。
比較例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例47と同じ処理を行った。
実施例47〜48及び比較例41〜43の結果を、第24表に示す。
【0075】
【表38】
【0076】
第24表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例47〜48の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例41の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例42の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例49
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)23,320mg/L、有機物量(VSS)18,160mg/L、繊維分(Fb、対SS比)31.9重量%、電気伝導率1.474mS/cm、pH5.84、酸化還元電位−220mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.5gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液8.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.94、酸化還元電位は−30mVであった。24時間後、硫化水素は10ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.78、酸化還元電位は−150mVであった。
比較例44
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例49と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は220ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.98、酸化還元電位は−240mVであった。24時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは30ppm、pHは5.60、酸化還元電位は−205mVであった。
比較例45
ピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例49と同じ処理を行った。
比較例46
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例49と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は225ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.93、酸化還元電位は−246mVであった。24時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−210mVであった。
実施例49及び比較例44〜46の結果を、第25表に示す。
【0077】
【表39】
【0078】
【表40】
【0079】
第25表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例49では、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した比較例44及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例45に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例50
下水処理場で採取した実施例49と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.75gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は5.0容量%であった。48時間後、硫化水素は22ppm、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は7.0容量%であった。
実施例51
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液の添加量を1.5gとした以外は、実施例50と同じ処理を行った。
比較例47
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例51と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは400ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。48時間後、硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは540ppm、二酸化炭素は12.8容量%であった。
比較例48
ピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例50と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は360ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は660ppm、メチルメルカプタンは240ppm、二酸化炭素は11.8容量%であった。
比較例49
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例50と同じ処理を行った。
実施例50〜51及び比較例47〜49の結果を、第26表に示す。
【0080】
【表41】
【0081】
第26表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例50〜51の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩のみを添加し、脱水して得られた比較例47の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例48の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例52
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)15,930mg/L、有機物量(VSS)13,040mg/L、繊維分(Fb、対SS比)40.4重量%、電気伝導率1.246mS/cm、pH6.34、酸化還元電位−248mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液2.0gとカプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.27、酸化還元電位は0mVであった。24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.20、酸化還元電位は−166mVであった。
比較例50
カプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例52と同じ処理を行った。
比較例51
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例52と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは34ppm、pHは6.33、酸化還元電位は−269mVであった。24時間後、硫化水素は200ppm、メチルメルカプタンは44ppm、pHは6.15、酸化還元電位は−244mVであった。
実施例52及び比較例50〜51の結果を、第27表に示す。
【0082】
【表42】
【0083】
【表43】
【0084】
第27表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸を添加した実施例52では、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例50に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例53
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gとカプリン酸5重量%乳化分散液1.2gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例52
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
硫化水素は710ppm、メチルメルカプタンは680ppm、二酸化炭素は7.6容量%であった。
比較例53
カプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは480ppm、二酸化炭素は7.4容量%であった。
比較例54
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例53と同じ処理を行った。
実施例53及び比較例52〜54の結果を、第28表に示す。
【0085】
【表44】
【0086】
第28表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例53の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸のみを添加し、脱水して得られた比較例52の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例53の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例54
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gの代わりに、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.7gを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.56、酸化還元電位は−8mVであった。27時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−188mVであった。
実施例55
亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gの代わりに、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.7gを添加した以外は、実施例43と同じ処理を行った。
比較例55
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.61、酸化還元電位は−43mVであった。27時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは26ppm、pHは5.47、酸化還元電位は−260mVであった。
比較例35
亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例54と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩のいずれをも添加しない以外は、実施例54と同じ処理を行った。
実施例54〜55、比較例55及び比較例35〜36の結果を、第29表に示す。
【0087】
【表45】
【0088】
【表46】
【0089】
第29表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例54〜55では、亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加した比較例55及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例56
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.829g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.3gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.2容量%であった。96時間後、硫化水素は100ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。
実施例57
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を1.5gとし、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後及び120時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.0容量%であった。120時間後においても、硫化水素とメチルメルカプタンはいずれもなお痕跡量であり、二酸化炭素は12.5容量%であった。
比較例56
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加し、24時間後、48時間後及び72時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は4.4容量%であった。72時間後、硫化水素は1,400ppm、メチルメルカプタンは750ppm、二酸化炭素は20.0容量%であった。
比較例42
亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
比較例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩のいずれをも添加せず、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
実施例56〜57、比較例56、比較例42〜43の結果を、第30表に示す。
【0090】
【表47】
【0091】
【表48】
【0092】
第30表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例56〜57の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた比較例56の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例42の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例58
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.32g及びカプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.35、酸化還元電位は10mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.34、酸化還元電位は−6mVであった。
比較例57
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例58と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.36、酸化還元電位は−8mVであった。24時間後、硫化水素は12ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは6.32、酸化還元電位は−139mVであった。
比較例58
亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例58と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.34、酸化還元電位は−34mVであった。24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは40ppm、pHは6.20、酸化還元電位は−240mVであった。
比較例51
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸のいずれをも添加しない以外は、実施例58と同じ処理を行った。
実施例58、比較例57〜58及び比較例51の結果を、第31表に示す。
【0093】
【表49】
【0094】
【表50】
【0095】
第31表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸を添加した実施例58では、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した比較例57及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例58に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例59
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.95g及びカプリン酸5重量%乳化分散液0.72gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は3.8容量%であった。48時間後、硫化水素は520ppm、メチルメルカプタンは390ppm、二酸化炭素は10.0容量%であった。
実施例60
カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例59と同じ処理を行った。
比較例59
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例59と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは700ppm、二酸化炭素は5.8容量%であった。48時間後、硫化水素は860ppm、メチルメルカプタンは750ppm、二酸化炭素は12.0容量%であった。
比較例60
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例60と同じ処理を行った。
比較例61
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸のいずれをも添加しない以外は、実施例59と同じ処理を行った。
実施例59〜60及び比較例59〜61の結果を、第32表に示す。
【0096】
【表51】
【0097】
第32表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例59〜60の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加し、脱水して得られた比較例59〜60の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
【0098】
【発明の効果】
本発明の汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法によれば、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の実施の一態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 沈砂池
2 最初沈殿池
3 重力濃縮槽
4 混合汚泥貯留槽
5 エアレーションタンク
6 最終沈殿池
7 余剰汚泥受槽
8 遠心濃縮機
9 ベルトプレス脱水機
10 ケーキコンベア
11 ケーキホッパー
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場、し尿処理場や、食品工場、紙パルプ工場などの有機性産業排水の処理工程などにおいては、各種の汚泥が発生する。例えば、下水を最初沈殿池で固液分離すると初沈生汚泥が発生し、最初沈殿池の上澄水を曝気槽などを用いて浮遊生物方式により処理すると、活性汚泥の量が増加する。曝気槽などで処理された水は最終沈殿池に導かれ、活性汚泥が分離され、その一部は返送汚泥として曝気槽などに返送され、残余は余剰汚泥とされる。初沈生汚泥と余剰汚泥は、汚泥濃縮槽に導かれ、その後、汚泥貯留槽にいったん貯留される。汚泥貯留槽内の汚泥スラリーは、次いで脱水機により脱水され、得られた汚泥脱水ケーキは埋め立てや、焼却などのために搬出される。
貯留中の汚泥スラリーや、脱水後の汚泥脱水ケーキは、腐敗により悪臭物質を発生する。下水処理場で発生する悪臭物質として頻繁に検出される物質は、硫化水素、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物、アンモニア、トリメチルアミンなどの窒素化合物、吉草酸、イソ酪酸などの低級脂肪酸などである。これらの中で、硫化水素とメチルメルカプタンの量が特に多い。
汚泥貯留槽や脱水機の多くは密閉系となっているが、脱水により得られる汚泥脱水ケーキは開放系で運搬、保管される場合が多いので、臭気対策は特に重要である。すなわち、汚泥脱水ケーキの運搬には、通常コンベアやトラックなどが使われ、臭気発生源である汚泥脱水ケーキが移動するので、覆蓋、臭気の吸引などによる処理が困難であり、臭気対策がむつかしい。また、最終埋め立て地においても、発生する臭気が拡散し、付近の住民に不快感を与えるなど、環境に悪影響を及ぼす。このために、汚泥脱水ケーキから発生する臭気自体を抑制する必要があり、従来よりさまざまな脱臭方法が提案されている。
例えば、非塩素系、非金属系の処理剤を用いて、低コストで効果的に汚泥脱水ケーキの臭気の発生を防止する方法として、亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法が提案されている(特許文献1)。また、汚泥脱水ケーキ中に窒素分を残留させる亜硝酸塩の添加量を少なくして十分な消臭効果が発現する汚泥脱水ケーキの臭気発生防止方法として、酸化剤、金属塩又は有機系殺菌剤と亜硝酸塩を併用して汚泥スラリーに添加する方法が提案されている(特許文献2)。さらに、人や環境に対する影響のない薬剤を用いて汚泥脱水ケーキの臭気発生を防止する方法として、汚泥スラリーに酸化剤と亜硝酸塩、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を添加したのち、ソルビン酸を添加する方法が提案されている(特許文献3)。また、少ない薬剤の使用で、汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキのいずれの場合も、悪臭物質の発生を長時間にわたって抑制することができる臭気発生防止方法として、難溶性の硫化物を生成する金属塩と、難溶性のピリチオン化合物とを含む消臭剤を添加する方法が提案されている(特許文献4)。さらに、汚泥脱水ケーキから発生する臭気を効果的に防止することができる方法として、汚泥脱水ケーキに、25℃において水100mLに20g以上溶解する静菌剤を添加する方法が提案されている(特許文献5)。
しかし、これらの方法では、汚泥スラリーの貯留槽と汚泥脱水機での臭気発生を防止することはできるが、汚泥脱水ケーキからの臭気発生防止効果の持続時間は、数時間ないし最大で半日程度であり、前日の汚泥脱水ケーキをケーキホッパーに貯留し、翌日に搬出する場合には、経済的に見合った薬剤添加量では、臭気防止効果がほとんど期待できなかった。
【特許文献1】
特開2000−202494号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2000−288592号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2000−351000号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開2000−70999号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2002−186995号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、木材防腐剤やシロアリ防除剤などに用いられるN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルに汚泥臭気抑制作用があり、特にN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン、カプリン酸、ウンデシレン酸などの他の臭気抑制剤を併用すると優れた汚泥臭気抑制効果が発揮され、また、スライムコントロール剤やし尿消臭剤として用いられる2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、同様に塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン、カプリン酸、ウンデシレン酸などの他の臭気抑制剤を併用すると優れた汚泥臭気抑制効果が発揮されることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを含有することを特徴とする汚泥臭気抑制剤、
(2)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(3)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する第2項記載の汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(4)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(5)汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水する第4項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(6)汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(7)汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する第6項記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
(8)汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法、
(9)汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、及び、
(10)汚泥脱水ケーキに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥臭気抑制剤は、式[1]で表されるN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを含有する。本発明の汚泥スラリーの臭気抑制方法の第一の態様においては、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第一の態様においては、汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加し、脱水する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第二の態様においては、汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加する。本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の第三の態様においては、汚泥スラリーに、式[2]で表される2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加し、脱水する。本発明の汚泥脱水ケーキの第四の態様においては、汚泥脱水ケーキに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加する。
【化1】
本発明方法において、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加方法に特に制限はないが、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルは、融点64〜68℃の水不溶性の粉末なので、界面活性剤を加えて水に乳化分散させた乳化分散液として添加することが好ましい。本発明方法において、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加方法に特に制限はないが、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールは水溶性なので、水溶液として添加することが好ましい。
【0006】
本発明方法においては、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、他の臭気抑制剤を、汚泥スラリー又は汚泥脱水ケーキに添加することが好ましい。他の臭気抑制剤としては、例えば、塩化亜鉛、塩化鉄、ポリ硫酸鉄などの金属塩系臭気抑制剤、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、亜硝酸塩、過酸化水素などの酸化剤系臭気抑制剤、ビリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体、ウンデシレン酸又はその誘導体などの殺菌剤系臭気抑制剤などを挙げることができる。これらの中で、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体及びウンデシレン酸又はその誘導体を好適に用いることができ,亜硝酸塩、ピリチオン又はその誘導体、カプリン酸又はその誘導体及びウンデシレン酸又はその誘導体を特に好適に用いることができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを単独で添加した場合に比べて、他の臭気抑制剤を併用して添加することにより、臭気抑制効果が向上する。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル若しくは2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸塩及びピリチオン若しくはその誘導体の3種の薬剤の併用、又は、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル若しくは2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸塩及びカプリン酸若しくはその誘導体若しくはウンデシレン酸若しくはその誘導体の3種の薬剤の併用により、汚泥スラリー又は汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果が特に顕著に向上する。
【0007】
本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法においては、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加する他の臭気抑制剤を、汚泥スラリーに添加したのち脱水することができ、あるいは、汚泥スラリーの脱水により得られた汚泥脱水ケーキに添加することもできる。これらの方法の中で、汚泥スラリーに添加したのち脱水する方法は、汚泥スラリーと臭気抑制剤の混合が容易であり、しかも脱水後の汚泥脱水ケーキの臭気抑制効果が高く、臭気抑制効果を長時間持続させることができるので、特に好適に用いることができる。
汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加したのち脱水するまでの時間に特に制限はないが、汚泥スラリーに臭気抑制剤を添加して30分間以上経過したのち脱水することが好ましく、2時間以上経過したのち脱水することがより好ましい。汚泥スラリーに臭気抑制を添加して30分間以上経過したのち脱水することにより、臭気抑制剤を添加した直後に脱水する場合に比べて、臭気抑制効果を高めることができる。
【0008】
本発明方法に用いるポリ硫酸第二鉄は、一般式[3]で表される組成を有する物質である。
[Fe2(OH)n(SO4)3−n/2]m ・・・[3]
本発明に用いる亜塩素酸塩としては、例えば、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸銅、亜塩素酸亜鉛などを挙げることができる。本発明方法に用いる亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウムなどを挙げることができる。
本発明方法に用いるピリチオンは、式[4]で表される構造を有し、2−メルカプトピリジン−1−オキシド、2−ピリジンチオール−1−オキシド、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオンなどの名称により呼ばれる化合物である。
【化2】
本発明方法に用いるピリチオンの誘導体に特に制限はなく、例えば、式[5]で表される構造を有するピリチオンのナトリウム塩、式[6]で表される構造を有し、ジピリチオン、2,2’−ジチオビスピリジン−1,1’−ジオキシドなどの名称で呼ばれるピリチオンの二量体、式[7]で表される構造を有し、ジンクピリチオン、ジンクピリジンチオン、ビス(2−ピリジルチオ)ジンク−1,1’−ジオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)亜鉛などの名称で呼ばれるピリチオンの亜鉛誘導体、銅ピリチオン、トリス(ピリチオン)コバルト(III)錯体などを挙げることができる。これらの中で、ピリチオンのナトリウム塩は水溶性であり、水溶液として取り扱うことができるので、好適に用いることができる。
【化3】
本発明方法に用いるカプリン酸の誘導体としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、銅塩、亜鉛塩などの塩類、メチルエステル、エチルエステルなどのエステル類、無水物などを挙げることができる。本発明方法に用いるウンデシレン酸の誘導体としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、銅塩、亜鉛塩などの塩類、メチルエステル、エチルエステルなどのエステル類、無水物などを挙げることができる。
【0009】
本発明方法において、汚泥スラリーに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、50〜500mgであることがより好ましく、100〜300mgであることがさらに好ましい。汚泥スラリー1Lに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量が10mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。汚泥スラリー1Lに対するN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルの添加量が1,000mgを超えると、添加量に対応する臭気抑制効果が発現しないおそれがある。
本発明方法において、汚泥スラリーに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,500mgであることが好ましく、50〜1,000mgであることがより好ましく、100〜500mgであることがさらに好ましい。汚泥スラリー1Lに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量が10mg未満であると、臭気抑制効果が十分に発現しないおそれがある。汚泥スラリー1Lに対する2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールの添加量が1,500mgを超えると、添加量に対応する臭気抑制効果が発現しないおそれがある。
【0010】
本発明方法において、汚泥スラリーに対する塩化亜鉛の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜500mgであることが好ましく、40〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する塩化第二鉄の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜500mgであることが好ましく、20〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するポリ硫酸第二鉄の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して、鉄分として、20〜800mgであることが好ましく、60〜300mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する亜塩素酸塩の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して5〜500mgであることが好ましく、20〜200mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対する亜硝酸塩の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜600mgであることが好ましく、30〜300mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するピリチオン又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して2〜300mgであることが好ましく、4〜150mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するカプリン酸又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、40〜500mgであることがより好ましい。汚泥スラリーに対するウンデシレン酸又はその誘導体の添加量に特に制限はないが、汚泥スラリー1Lに対して10〜1,000mgであることが好ましく、40〜500mgであることがより好ましい。
【0011】
本発明方法において、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤の添加方法に特に制限はなく、例えば、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を別々に添加することができ、あるいは、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を含有する混合物として添加することもできる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと他の臭気抑制剤を含有する混合物は、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを水を媒体とする乳化分散液とし、他の臭気抑制剤が水溶性の場合は乳化分散液の水相に溶解し、他の臭気抑制剤が水不溶性の場合は、他の臭気抑制剤も乳化分散させることができる。2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと他の臭気抑制剤を含有する混合物は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを水溶液とし、他の臭気抑制剤が水溶性の場合はその水溶液中に溶解し、他の臭気抑制剤が水不溶性の場合は、水に乳化分散させた乳化分散液として水溶液と混合することができる。
【0012】
図1は、本発明の汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の実施の一態様の工程系統図である。下水が沈砂池1へ導入され、ポンプの損耗や処理施設の閉塞を防止するために、下水中の粗大物や砂分が除去される。粗大物や砂分が除去された下水は、最初沈殿池2に導入され、下水中の比較的比重の大きい浮遊物質が沈降分離して、初沈生汚泥が発生する。初沈生汚泥は、重力濃縮槽3に送られ、通常は汚泥濃度1.5重量%以上に濃縮される。必要に応じて、最初沈殿池2と重力濃縮槽3の間Aにおいて、初沈生汚泥にN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加する他の臭気抑制剤を添加することができる。重力濃縮槽において濃縮された汚泥は、混合汚泥貯留槽4に送られる。
最初沈殿池で比較的比重の大きい浮遊物質を除去した汚泥は、エアレーションタンク5に導入され、好気性微生物を多量に含む活性汚泥と混合され、曝気される。下水中の有機物は、微生物に吸着され、生物代謝により分解され、さらに、内生呼吸により微生物の細胞が分解する。エアレーションタンクからの流出水は、最終沈殿池6に導入され、混合液中の微生物が沈殿除去され、清澄な処理水が得られる。処理水は、次亜塩素酸ナトリウムなどを添加して消毒したのち、河川などに放流することができ、あるいは、中水として場内で利用することもできる。
最終沈殿池6から引き抜かれた汚泥は、一部を返送汚泥としてエアレーションタンク5に返送してふたたび生物処理に用いる。余った汚泥は、余剰汚泥として余剰汚泥受槽7にいったん貯留したのち、遠心濃縮機8により濃縮され、混合汚泥貯留槽4に送られる。
混合汚泥貯留槽4において、初沈生汚泥と余剰汚泥が混合されて混合生汚泥となる。この混合生汚泥にBからN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと必要に応じて添加される他の臭気抑制剤を添加することができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと必要に応じて他の臭気抑制剤が添加された混合生汚泥は、ベルトプレス脱水機9に送られて脱水され、汚泥脱水ケーキとなる。ベルトプレス脱水機から排出される汚泥脱水ケーキは、ケーキコンベア10によりケーキホッパー11に移送される。ケーキホッパー内の汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加される他の臭気抑制剤をCから散布することができる。N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル又は2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び必要に応じて添加される他の臭気抑制剤は、ケーキコンベアで移送中の汚泥脱水ケーキに散布することもできる。
【0013】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、各薬剤は、下記の形態で添加した。
(1)N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル:N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール30重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル10重量部及び精製水50重量部を混合してなる乳化分散液。
(2)2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール:10重量%水溶液。
(3)塩化亜鉛:4.0重量%水溶液。
(4)ポリ硫酸第二鉄:鉄として11重量%を含有する水溶液。
(5)亜塩素酸ナトリウム:2.5重量%水溶液。
(6)亜硝酸ナトリウム:3.8重量%水溶液。
(7)ピリチオンのナトリウム塩:1.0重量%水溶液。
(8)カプリン酸:カプリン酸5重量部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量部及び精製水88重量部を混合してなる乳化分散液。
また、実施例及び比較例において、硫化水素の分析にはガス検知管4LL、4L、4M及び4H[(株)ガステック]を、メチルメルカプタンの分析にはガス検知管71L及び71H[(株)ガステック]を、二酸化炭素の分析にはガス検知管2H及び2HH[(株)ガステック]を用いた。検出限界下限は、硫化水素とメチルメルカプタンがそれぞれ0.25ppm(容量比)であり、二酸化炭素は0.5容量%である。
【0014】
実施例1
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)26,613mg/L、有機物量(VSS)22,943mg/L、繊維分(Fb、対SS比)26.3重量%、電気伝導率1.163mS/cm、pH4.93、酸化還元電位−146mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gを添加してスパーテルで混合したのち、ジャーテスターに取り付け、20rpmで撹拌した。1時間後、3時間後及び5時間後に、ビーカーから汚泥スラリー50mLを取り出し、容量600mLの容器に入れて2分間振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は90ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−165mVであった。5時間後、硫化水素は35ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−132mVであった。
実施例2
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例1と同じ処理を行った。
比較例1
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加しない以外は、実施例1と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは4.93、酸化還元電位は−172mVであった。5時間後、硫化水素は195ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは4.92、酸化還元電位は−174mVであった。
実施例1〜2及び比較例1の結果を、第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
第1表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加した実施例1〜2では、無添加の比較例1に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少ない。比較例1の酸化還元電位は、実施例1〜2の酸化還元電位より低く、汚泥スラリーが還元的雰囲気にあり、硫化水素やメチルメルカプタンなどの還元性臭気が発生しやすい状況にあることが分かる。
実施例3
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)15,930mg/L、有機物量(VSS)13,040mg/L、繊維分(Fb、対SS比)40.4重量%、電気伝導率1.246mS/cm、pH6.15、酸化還元電位−270mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液3.0gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.99、酸化還元電位は−178mVであった。24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは5.88、酸化還元電位は−235mVであった。
比較例2
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例3と同じ処理を行った。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例3と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は320ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.14、酸化還元電位は−284mVであった。24時間後、硫化水素は370ppm、メチルメルカプタンは43ppm、pHは5.84、酸化還元電位は−268mVであった。
実施例3及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
第2表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を添加した実施例3では、塩化亜鉛のみを添加した比較例2に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例4
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)21,280mg/L、有機物量(VSS)18,320mg/L、繊維分(Fb、対SS比)41.5重量%、電気伝導率1.192mS/cm、pH6.13、酸化還元電位−255mVの混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.9gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液0.6gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。汚泥が凝集したのち、直径6cmのカラムを用いて2分間重力ろ過し、カラムを取り外して圧搾機で2分間圧搾脱水して汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れ、入れ口をヒートシールし、空気300mLと窒素ガス700mLを封入し、16時間後及び48時間後にテトラパックの気相中の硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は10ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
実施例5
塩化亜鉛4.0重量%水溶液の添加量を1.2gとした以外は、実施例5と同じ処理を行った。
比較例4
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例4と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは980ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。48時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは1,000ppm、二酸化炭素は17.0容量%であった。
比較例5
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例4と同じ処理を行った。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例4と同じ処理を行った。
実施例4〜5及び比較例4〜6の結果を、第3表に示す。
【0021】
【表5】
【0022】
第3表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を添加し、脱水して得られた実施例4〜5の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに塩化亜鉛のみを添加し、脱水して得られた比較例4〜5の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。また、実施例4〜5の二酸化炭素発生量が、比較例4〜5の二酸化炭素発生量よりも少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと塩化亜鉛を併用した実施例4〜5では、微生物の活動が抑えられていることが分かる。
実施例6
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液1.5gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後及び9時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は15ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは5.48、酸化還元電位は−182mVであった。9時間後、硫化水素は105ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは5.65、酸化還元電位は−249mVであった。
実施例7
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例6と同じ処理を行った。
比較例7
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例6と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は105ppm、メチルメルカプタンは22ppm、pHは5.50、酸化還元電位は−208mVであった。9時間後、硫化水素は130ppm、メチルメルカプタンは40ppm、pHは5.71、酸化還元電位は−250mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例6と同じ処理を行った。
実施例6〜7、比較例7及び比較例3の結果を、第4表に示す。
【0023】
【表6】
【0024】
【表7】
【0025】
第4表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄を添加した実施例6〜7では、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した比較例7に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例8
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3gと鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は45ppm、メチルメルカプタンは430ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。48時間後、硫化水素は60ppm、メチルメルカプタンは590ppm、二酸化炭素は16.0容量%であった。
実施例9
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例8と同じ処理を行った。
比較例8
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例8と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は100ppm、メチルメルカプタンは560ppm、二酸化炭素は10.2容量%であった。48時間後、硫化水素は140ppm、メチルメルカプタンは730ppm、二酸化炭素は17.4容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例8と同じ処理を行った。
実施例8〜9、比較例8及び比較例6の結果を、第5表に示す。
【0026】
【表8】
【0027】
第5表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄を添加し、脱水して得られた実施例8〜9の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにポリ硫酸第二鉄のみを添加し、脱水して得られた比較例8の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例10
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液2.52gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後及び6時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
0.5時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.09、酸化還元電位は−143mVであった。6時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは26ppm、pHは6.01、酸化還元電位は−278mVであった。
実施例11
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例10と同じ処理を行った。
比較例9
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例10と同じ処理を行った。
0.5時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.11、酸化還元電位は−160mVであった。6時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは6.04、酸化還元電位は−280mVであった。
比較例10
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例10と同じ処理を行った。
実施例10〜11及び比較例9〜10の結果を、第6表に示す。
【0028】
【表9】
【0029】
【表10】
【0030】
第6表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜塩素酸ナトリウムを添加した実施例10〜11では、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した比較例9に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例12
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液3.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、0.5時間後、1時間後、4時間後、6時間後及び9時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
0.5時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.08、酸化還元電位は−143mVであった。9時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.07、酸化還元電位は−270mVであった。
実施例13
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例12と同じ処理を行った。
比較例11
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例12と同じ処理を行った。
0.5時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは11ppm、pHは6.11、酸化還元電位は−173mVであった。9時間後、硫化水素は40ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−289mVであった。
比較例12
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例12と同じ処理を行った。
実施例12〜13及び比較例11〜12の結果を、第7表に示す。
【0031】
【表11】
【0032】
【表12】
【0033】
第7表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムを添加した実施例12〜13では、亜硝酸ナトリウムのみを添加した比較例11に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例14
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは75ppm、二酸化炭素は6.0容量%であった。
実施例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例14と同じ処理を行った。
実施例16
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例14と同じ処理を行った。
比較例13
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例14と同じ処理を行った。
硫化水素は520ppm、メチルメルカプタンは320ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例14と同じ処理を行った。
実施例14〜16、比較例13及び比較例6の結果を、第8表に示す。
【0034】
【表13】
【0035】
第8表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例14〜16の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例13の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例17
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液3.0gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、2時間後、4時間後及び6時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素は55ppm、メチルメルカプタンは5ppm、pHは5.99、酸化還元電位は−251mVであった。6時間後、硫化水素は34ppm、メチルメルカプタンは4ppm、pHは5.89、酸化還元電位は−274mVであった。
比較例14
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例17と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は320ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−282mVであった。6時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは37ppm、pHは6.02、酸化還元電位は−290mVであった。
比較例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例17と同じ処理を行った。
実施例17及び比較例14〜15の結果を、第9表に示す。
【0036】
【表14】
【0037】
【表15】
【0038】
第9表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例17では、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した比較例14に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例18
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.9gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.84gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは8ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。
比較例16
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例18と同じ処理を行った。
硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは810ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例18と同じ処理を行った。
実施例18、比較例16及び比較例6の結果を、第10表に示す。
【0039】
【表16】
【0040】
第10表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例18の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩のみを添加し、脱水して得られた比較例16の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量0.032倍、メチルメルカプタンの発生量は0.010倍と著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例19
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液2.0gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加した以外は、実施例17と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は58ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.97、酸化還元電位は−235mVであった。6時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは12ppm、pHは5.90、酸化還元電位は−242mVであった。
比較例17
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例19と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは28ppm、pHは6.02、酸化還元電位は−258mVであった。6時間後、硫化水素は310ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは5.95、酸化還元電位は−255mVであった。
比較例15
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例19と同じ処理を行った。
実施例19、比較例17及び比較例15の結果を、第11表に示す。
【0041】
【表17】
【0042】
【表18】
【0043】
第11表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸を添加した実施例19では、カプリン酸のみを添加した比較例17に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例20
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.84gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液1.2gを添加した以外は、実施例18と同じ処理を行った。
16時間後の硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは8ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。
比較例18
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例20と同じ処理を行った。
16時間後の硫化水素は740ppm、メチルメルカプタンは540ppm、二酸化炭素は9.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例20と同じ処理を行った。
実施例20、比較例18及び比較例6の結果を、第12表に示す。
【0044】
【表19】
【0045】
第12表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例20の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸のみを添加し、脱水して得られた比較例18の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量0.034倍、メチルメルカプタンの発生量は0.015倍と著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルとカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例21
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液1.0g、ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液6.0g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.5gを添加してスパーテルで混合した。実施例1と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、6時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.27、酸化還元電位は−119mVであった。24時間後、硫化水素は67ppm、メチルメルカプタンは12ppm、pHは6.05、酸化還元電位は−229mVであった。
実施例22
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を2.0gとした以外は、実施例21と同じ処理を行った。
実施例23
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例21と同じ処理を行った。
比較例19
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例21と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは3ppm、pHは6.32、酸化還元電位は−141mVであった。24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは18ppm、pHは6.11、酸化還元電位は−279mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例21と同じ処理を行った。
実施例21〜23、比較例19及び比較例3の結果を、第13表に示す。
【0046】
【表20】
【0047】
【表21】
【0048】
第13表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムを添加した実施例21〜23では、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した比較例19に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例24
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3g、ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液4.8g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液1.38gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は40ppm、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。48時間後、硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは38ppm、二酸化炭素は9.2容量%であった。
実施例25
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例24と同じ処理を行った。
実施例26
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例24と同じ処理を行った。
比較例20
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例24と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は96ppm、メチルメルカプタンは16ppm、二酸化炭素は4.6容量%であった。48時間後、硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは110ppm、二酸化炭素は11.6容量%であった。
比較例6
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例24と同じ処理を行った。
実施例24〜26、比較例20及び比較例6の結果を、第14表に示す。
【0049】
【表22】
【0050】
第14表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例24〜26の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩と亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた比較例20の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、ピリチオンのナトリウム塩及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例27
下水処理場で採取した実施例3と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
ピリチオンのナトリウム塩の1重量%水溶液6.0gの代わりに、カプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加した以外は、実施例21と同じ操作を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.24、酸化還元電位は−58mVであった。24時間後、硫化水素は18ppm、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは6.03、酸化還元電位は−211mVであった。
実施例28
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を2.0gとした以外は、実施例27と同じ処理を行った。
実施例29
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を3.0gとした以外は、実施例27と同じ処理を行った。
比較例21
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加した以外は、実施例27と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.25、酸化還元電位は−133mVであった。24時間後、硫化水素は78ppm、メチルメルカプタンは14ppm、pHは6.00、酸化還元電位は−245mVであった。
比較例3
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例27と同じ処理を行った。
実施例27〜29、比較例21及び比較例3の結果を、第15表に示す。
【0051】
【表23】
【0052】
【表24】
【0053】
第15表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムを添加した実施例27〜29では、カプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加した比較例21に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例30
下水処理場で採取した実施例4と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液0.3g、カプリン酸5重量%乳化分散液0.72g及び亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例4と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、16時間後、26時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
16時間後、硫化水素は14ppm、メチルメルカプタンは5ppm、二酸化炭素は4.0容量%であった。48時間後、硫化水素は820ppm、メチルメルカプタンは120ppm、二酸化炭素は12.2容量%であった。
実施例31
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例32
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例33
カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例34
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.6gとし、カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例35
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル10重量%乳化分散液の添加量を0.9gとし、カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとし、16時間後、26時間後、48時間後、72時間後及び96時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.0容量%であった。96時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例22
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸5重量%乳化分散液0.72gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
16時間後、硫化水素は240ppm、メチルメルカプタンは60ppm、二酸化炭素は4.4容量%であった。48時間後、硫化水素は840ppm、メチルメルカプタンは700ppm、二酸化炭素は12.4容量%であった。
比較例23
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加せず、カプリン酸5重量%乳化分散液1.2gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.9gを添加した以外は、実施例30と同じ処理を行った。
比較例24
N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムのいずれをも添加しない以外は、実施例30と同じ処理を行った。
実施例30〜35及び比較例22〜24の結果を、第16表に示す。
【0054】
【表25】
【0055】
【表26】
【0056】
第16表に見られるように、汚泥スラリーにN−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例30〜35の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸と亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた比較例22〜23の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル、カプリン酸及び亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。特に、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニル300mg/L、カプリン酸200mg/L及び亜硝酸ナトリウム114mg/Lを添加した実施例35の汚泥脱水ケーキは、96時間経過後も硫化水素とメチルメルカプタンが検出されず、極めて優れた臭気抑制効果が発現している。
実施例36
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)19,520mg/L、有機物量(VSS)16,360mg/L、繊維分(Fb、対SS比)37.6重量%、電気伝導率1.245mS/cm、pH5.94、酸化還元電位−234mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと塩化亜鉛4重量%水溶液2.0gを添加してスパーテルで混合したのち、ジャーテスターに取り付け、20rpmで撹拌した。1時間後、4時間後、7時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリー50mLを取り出し、容量600mLの容器に入れて2分間振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.81、酸化還元電位は13mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.75、酸化還元電位は−162mVであった。
比較例25
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
比較例26
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
比較例27
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例36と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は225ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.93、酸化還元電位は−246mVであった。24時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−210mVであった。
実施例36及び比較例25〜27の結果を、第17表に示す。
【0057】
【表27】
【0058】
【表28】
【0059】
第17表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛を添加した実施例36では、塩化亜鉛のみを添加した比較例25及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例26に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例37
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.3gと塩化亜鉛4.0重量%水溶液1.2gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。汚泥が凝集したのち、直径6cmのカラムを用いて2分間重力ろ過し、カラムを取り外して圧搾機で2分間圧搾脱水して汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れ、入れ口をヒートシールし、空気300mLと窒素ガス700mLを封入し、24時間後及び48時間後にテトラパックの気相中の硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は6ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は14.6容量%であった。
実施例38
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を0.6gとした以外は、実施例37と同じ処理を行った。
比較例28
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、塩化亜鉛のみを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは410ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは600ppm、二酸化炭素は15.8容量%であった。
比較例29
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は480ppm、メチルメルカプタンは450ppm、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは900ppm、二酸化炭素は15.8容量%であった。
比較例30
塩化亜鉛を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例38と同じ処理を行った。
比較例31
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、塩化亜鉛も添加しない以外は、実施例37と同じ処理を行った。
実施例37〜38及び比較例28〜31の結果を、第18表に示す。
【0060】
【表29】
【0061】
第18表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛を添加し、脱水して得られた実施例37〜38の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに塩化亜鉛のみを添加し、脱水して得られた比較例28の汚泥脱水ケーキ及び汚泥脱水ケーキに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例29〜30の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと塩化亜鉛の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例39
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。塩化亜鉛4重量%水溶液2.0gの代わりに、鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液1.5gを添加した以外は、実施例36と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.26、酸化還元電位は46mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.41、酸化還元電位は−1mVであった。
比較例32
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例39と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは17ppm、pHは5.29、酸化還元電位は−170mVであった。24時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは38ppm、pHは5.40、酸化還元電位は−205mVであった。
比較例26
ポリ硫酸第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例39と同じ処理を行った。
比較例27
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例39と同じ処理を行った。
実施例39、比較例32及び比較例26〜27の結果を、第19表に示す。
【0062】
【表30】
【0063】
【表31】
【0064】
第19表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄を添加した実施例39では、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した比較例32及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例26に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例40
下水処理場で採取した実施例36と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
塩化亜鉛4.0重量%水溶液1.2gの代わりに、鉄11重量%を含むポリ硫酸第二鉄水溶液0.84gを添加した以外は、実施例37と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は痕跡量であり、メチルメルカプタンは14ppm、二酸化炭素は6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは340ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
実施例41
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を0.6gとした以外は、実施例40と同じ処理を行った。
比較例33
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ポリ硫酸第二鉄のみを添加した以外は、実施例40と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは300ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は160ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は12.6容量%であった。
比較例29
ポリ塩化第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例40と同じ処理を行った。
比較例30
ポリ塩化第二鉄を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例41と同じ処理を行った。
比較例31
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ポリ硫酸第二鉄も添加しない以外は、実施例40と同じ処理を行った。
実施例40〜41、比較例33及び比較例29〜31の結果を、第20表に示す。
【0065】
【表32】
【0066】
第20表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ硫酸第二鉄を添加し、脱水して得られた実施例40〜41の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにポリ塩化第二鉄のみを添加し、脱水して得られた比較例33の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例29〜30の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとポリ塩化第二鉄の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例42
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)42,770mg/L、有機物量(VSS)38,450mg/L、繊維分(Fb、対SS比)23.6重量%、電気伝導率1.570mS/cm、pH5.56、酸化還元電位−246mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後及び27時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.52、酸化還元電位は37mVであった。27時間後、硫化水素は150ppm、メチルメルカプタンは24ppm、pHは5.43、酸化還元電位は−225mVであった。
実施例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を2.0gとし、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後、27時間後及び54時間後に硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定し、同時にpHと酸化還元電位を測定した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
比較例34
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.54、酸化還元電位は−29mVであった。27時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは68ppm、pHは5.56、酸化還元電位は−272mVであった。
比較例35
亜塩素酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は330ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.56、酸化還元電位は−238mVであった。27時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは44ppm、pHは5.42、酸化還元電位は−262mVであった。
実施例42〜43及び比較例34〜36の結果を、第21表に示す。
【0067】
【表33】
【0068】
【表34】
【0069】
第21表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムを添加した実施例42〜43では、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した比較例34及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例44
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gと亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液0.9gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は25ppm、メチルメルカプタンは3ppm、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例37
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜塩素酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例44と同じ処理を行った。
硫化水素は450ppm、メチルメルカプタンは490ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
比較例38
亜塩素酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例44と同じ処理を行った。
硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。
比較例39
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜塩素酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例44と同じ処理を行った。
実施例44及び比較例37〜39の結果を、第22表に示す。
【0070】
【表35】
【0071】
第22表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例44の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜塩素酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例37の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例38の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜塩素酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例45
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後及び27時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.56、酸化還元電位は0mVであった。27時間後、硫化水素は28ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−193mVであった。
実施例46
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を2.0gとし、1時間後、3時間後、6時間後、11時間後、27時間後及び54時間後に硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定し、同時刻にpHと酸化還元電位を測定した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
比較例40
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは痕跡量であり、pHは5.60、酸化還元電位は−72mVであった。27時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは32ppm、pHは5.51、酸化還元電位は−271mVであった。
比較例35
亜硝酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例45と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例45と同じ処理を行った。
実施例45〜46、比較例40及び比較例35〜36の結果を、第23表に示す。
【0072】
【表36】
【0073】
【表37】
【0074】
第23表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムを添加した実施例45〜46では、亜硝酸ナトリウムのみを添加した比較例40及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例47
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gと亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.83gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素6.4容量%であった。48時間後、硫化水素は430ppm、メチルメルカプタンは80ppm、二酸化炭素は12.0容量%であった。
実施例48
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を1.5gとした以外は、実施例47と同じ処理を行った。
比較例41
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムのみを添加した以外は、実施例47と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は400ppm、メチルメルカプタンは500ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。48時間後、硫化水素は920ppm、メチルメルカプタンは1,020ppm、二酸化炭素は18.9容量%であった。
比較例42
亜硝酸ナトリウムを添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例47と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は380ppm、メチルメルカプタンは470ppm、二酸化炭素は13.0容量%であった。48時間後、硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは1,000ppm、二酸化炭素は17.8容量%であった。
比較例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、亜硝酸ナトリウムも添加しない以外は、実施例47と同じ処理を行った。
実施例47〜48及び比較例41〜43の結果を、第24表に示す。
【0075】
【表38】
【0076】
第24表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムを添加し、脱水して得られた実施例47〜48の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムのみを添加し、脱水して得られた比較例41の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例42の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと亜硝酸ナトリウムの併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例49
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)23,320mg/L、有機物量(VSS)18,160mg/L、繊維分(Fb、対SS比)31.9重量%、電気伝導率1.474mS/cm、pH5.84、酸化還元電位−220mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.5gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液8.0gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.94、酸化還元電位は−30mVであった。24時間後、硫化水素は10ppm、メチルメルカプタンは8ppm、pHは5.78、酸化還元電位は−150mVであった。
比較例44
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例49と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は220ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.98、酸化還元電位は−240mVであった。24時間後、硫化水素は250ppm、メチルメルカプタンは30ppm、pHは5.60、酸化還元電位は−205mVであった。
比較例45
ピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例49と同じ処理を行った。
比較例46
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例49と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は225ppm、メチルメルカプタンは20ppm、pHは5.93、酸化還元電位は−246mVであった。24時間後、硫化水素は350ppm、メチルメルカプタンは36ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−210mVであった。
実施例49及び比較例44〜46の結果を、第25表に示す。
【0077】
【表39】
【0078】
【表40】
【0079】
第25表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例49では、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した比較例44及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例45に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例50
下水処理場で採取した実施例49と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gとピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.75gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は5.0容量%であった。48時間後、硫化水素は22ppm、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は7.0容量%であった。
実施例51
ピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液の添加量を1.5gとした以外は、実施例50と同じ処理を行った。
比較例47
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、ピリチオンのナトリウム塩のみを添加した以外は、実施例51と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は300ppm、メチルメルカプタンは400ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。48時間後、硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは540ppm、二酸化炭素は12.8容量%であった。
比較例48
ピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例50と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は360ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は8.0容量%であった。48時間後、硫化水素は660ppm、メチルメルカプタンは240ppm、二酸化炭素は11.8容量%であった。
比較例49
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、ピリチオンのナトリウム塩も添加しない以外は、実施例50と同じ処理を行った。
実施例50〜51及び比較例47〜49の結果を、第26表に示す。
【0080】
【表41】
【0081】
第26表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例50〜51の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにピリチオンのナトリウム塩のみを添加し、脱水して得られた比較例47の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例48の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例52
下水処理場で採取した懸濁物質(SS)15,930mg/L、有機物量(VSS)13,040mg/L、繊維分(Fb、対SS比)40.4重量%、電気伝導率1.246mS/cm、pH6.34、酸化還元電位−248mVの混合生汚泥スラリーの処理を行った。
混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液2.0gとカプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.27、酸化還元電位は0mVであった。24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.20、酸化還元電位は−166mVであった。
比較例50
カプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例52と同じ処理を行った。
比較例51
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例52と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素は180ppm、メチルメルカプタンは34ppm、pHは6.33、酸化還元電位は−269mVであった。24時間後、硫化水素は200ppm、メチルメルカプタンは44ppm、pHは6.15、酸化還元電位は−244mVであった。
実施例52及び比較例50〜51の結果を、第27表に示す。
【0082】
【表42】
【0083】
【表43】
【0084】
第27表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸を添加した実施例52では、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例50に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例53
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9gとカプリン酸5重量%乳化分散液1.2gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は5.6容量%であった。
比較例52
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、カプリン酸のみを添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
硫化水素は710ppm、メチルメルカプタンは680ppm、二酸化炭素は7.6容量%であった。
比較例53
カプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
硫化水素は700ppm、メチルメルカプタンは480ppm、二酸化炭素は7.4容量%であった。
比較例54
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールも、カプリン酸も添加しない以外は、実施例53と同じ処理を行った。
実施例53及び比較例52〜54の結果を、第28表に示す。
【0085】
【表44】
【0086】
第28表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例53の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーにカプリン酸のみを添加し、脱水して得られた比較例52の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例53の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールとカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例54
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gの代わりに、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.7gを添加した以外は、実施例42と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.56、酸化還元電位は−8mVであった。27時間後、硫化水素は30ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは5.49、酸化還元電位は−188mVであった。
実施例55
亜塩素酸ナトリウム2.5重量%水溶液3.0gの代わりに、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.03g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.7gを添加した以外は、実施例43と同じ処理を行った。
比較例55
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加した以外は、実施例53と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは5.61、酸化還元電位は−43mVであった。27時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは26ppm、pHは5.47、酸化還元電位は−260mVであった。
比較例35
亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例54と同じ処理を行った。
比較例36
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩のいずれをも添加しない以外は、実施例54と同じ処理を行った。
実施例54〜55、比較例55及び比較例35〜36の結果を、第29表に示す。
【0087】
【表45】
【0088】
【表46】
【0089】
第29表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加した実施例54〜55では、亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加した比較例55及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例35に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例56
下水処理場で採取した実施例42と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.829g及びピリチオンのナトリウム塩の1.0重量%水溶液0.3gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後、48時間後、72時間後及び96時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.2容量%であった。96時間後、硫化水素は100ppm、メチルメルカプタンは40ppm、二酸化炭素は11.0容量%であった。
実施例57
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液の添加量を1.5gとし、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後及び120時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は2.0容量%であった。120時間後においても、硫化水素とメチルメルカプタンはいずれもなお痕跡量であり、二酸化炭素は12.5容量%であった。
比較例56
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加し、24時間後、48時間後及び72時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、二酸化炭素は4.4容量%であった。72時間後、硫化水素は1,400ppm、メチルメルカプタンは750ppm、二酸化炭素は20.0容量%であった。
比較例42
亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
比較例43
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩のいずれをも添加せず、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した以外は、実施例56と同じ処理を行った。
実施例56〜57、比較例56、比較例42〜43の結果を、第30表に示す。
【0090】
【表47】
【0091】
【表48】
【0092】
第30表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた実施例56〜57の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムとピリチオンのナトリウム塩を添加し、脱水して得られた比較例56の汚泥脱水ケーキ及び汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加し、脱水して得られた比較例42の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びピリチオンのナトリウム塩の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
実施例58
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの処理を行った。混合生汚泥スラリー1Lをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液1.0g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液2.32g及びカプリン酸5重量%乳化分散液2.4gを添加してスパーテルで混合した。実施例36と同様にして、ジャーテスターに取り付けて撹拌し、1時間後、4時間後、9時間後及び24時間後に、ビーカーから汚泥スラリーを取り出し、容器に入れて振盪したのち、容器の気相中の硫化水素とメチルメルカプタンの濃度を測定した。また、同時刻に汚泥スラリーのpHと酸化還元電位を測定した。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.35、酸化還元電位は10mVであった。24時間後も、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.34、酸化還元電位は−6mVであった。
比較例57
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例58と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに検出されず、pHは6.36、酸化還元電位は−8mVであった。24時間後、硫化水素は12ppm、メチルメルカプタンは10ppm、pHは6.32、酸化還元電位は−139mVであった。
比較例58
亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加せず、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した以外は、実施例58と同じ処理を行った。
1時間後、硫化水素、メチルメルカプタンはともに痕跡量であり、pHは6.34、酸化還元電位は−34mVであった。24時間後、硫化水素は120ppm、メチルメルカプタンは40ppm、pHは6.20、酸化還元電位は−240mVであった。
比較例51
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸のいずれをも添加しない以外は、実施例58と同じ処理を行った。
実施例58、比較例57〜58及び比較例51の結果を、第31表に示す。
【0093】
【表49】
【0094】
【表50】
【0095】
第31表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸を添加した実施例58では、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した比較例57及び2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールのみを添加した比較例58に比べて、硫化水素とメチルメルカプタンの発生量が少なく、酸化還元電位が高く、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の併用が、汚泥スラリーの臭気抑制に有効であることが分かる。
実施例59
下水処理場で採取した実施例52と同じ混合生汚泥スラリーの脱水処理を行った。
混合生汚泥スラリー300mLをビーカーに取り、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール10重量%水溶液0.9g、亜硝酸ナトリウム3.8重量%水溶液0.95g及びカプリン酸5重量%乳化分散液0.72gを添加してスパーテルで混合し、3時間後にカチオン系高分子凝集剤[栗田工業(株)、クリフィックスCP111]の0.2重量%水溶液15mLを添加し、混合して、凝集処理を行った。実施例37と同様にして、汚泥が凝集したのち、重力ろ過と圧搾脱水を行い、汚泥脱水ケーキを得た。得られた汚泥脱水ケーキをテトラパックに入れてヒートシールし、空気と窒素ガスを封入し、24時間後及び48時間後に硫化水素、メチルメルカプタン及び二酸化炭素の濃度を測定した。
24時間後、硫化水素は検出されず、メチルメルカプタンは10ppm、二酸化炭素は3.8容量%であった。48時間後、硫化水素は520ppm、メチルメルカプタンは390ppm、二酸化炭素は10.0容量%であった。
実施例60
カプリン酸5重量%乳化分散液の添加量を1.2gとした以外は、実施例59と同じ処理を行った。
比較例59
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例59と同じ処理を行った。
24時間後、硫化水素は780ppm、メチルメルカプタンは700ppm、二酸化炭素は5.8容量%であった。48時間後、硫化水素は860ppm、メチルメルカプタンは750ppm、二酸化炭素は12.0容量%であった。
比較例60
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを添加せず、亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加した以外は、実施例60と同じ処理を行った。
比較例61
2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸のいずれをも添加しない以外は、実施例59と同じ処理を行った。
実施例59〜60及び比較例59〜61の結果を、第32表に示す。
【0096】
【表51】
【0097】
第32表に見られるように、汚泥スラリーに2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸を添加し、脱水して得られた実施例59〜60の汚泥脱水ケーキは、汚泥スラリーに亜硝酸ナトリウムとカプリン酸を添加し、脱水して得られた比較例59〜60の汚泥脱水ケーキに比べて、硫化水素の発生量とメチルメルカプタンの発生量が著しく少なく、二酸化炭素の発生量も少ないことから、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の間に顕著な相乗効果が発現し、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、亜硝酸ナトリウム及びカプリン酸の併用が、汚泥脱水ケーキの臭気抑制に極めて有効であることが分かる。
【0098】
【発明の効果】
本発明の汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキの臭気抑制剤及び臭気抑制方法によれば、下水処理場、し尿処理場などの汚泥スラリー及び汚泥脱水ケーキから発生する硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、アミンなどに由来する臭気を、長時間にわたって効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法の実施の一態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 沈砂池
2 最初沈殿池
3 重力濃縮槽
4 混合汚泥貯留槽
5 エアレーションタンク
6 最終沈殿池
7 余剰汚泥受槽
8 遠心濃縮機
9 ベルトプレス脱水機
10 ケーキコンベア
11 ケーキホッパー
Claims (10)
- N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを含有することを特徴とする汚泥臭気抑制剤。
- 汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する請求項2記載の汚泥スラリーの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水する請求項4記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルを添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥脱水ケーキに、N−ブチルカルバミン酸3−ヨード−2−プロピニルと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加する請求項6記載の汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥スラリーの臭気抑制方法。
- 汚泥スラリーに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加し、脱水することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
- 汚泥脱水ケーキに、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールと、塩化亜鉛、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、亜塩素酸塩、亜硝酸塩、ピリチオン若しくはその誘導体、カプリン酸若しくはその誘導体及びウンデシレン酸若しくはその誘導体から選ばれる1種又は2種以上の臭気抑制剤を添加することを特徴とする汚泥脱水ケーキの臭気抑制方法。
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