JP2004024196A - 乾燥納豆食品の製造方法及び乾燥納豆食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乾燥納豆食品の製造方法は、穀類に納豆菌を接種して原料納豆を準備する工程S1と、前記原料納豆を液体に接触させて納豆粒に分粒する工程S2と、この納豆粒を凍結乾燥する工程S3とで構成されている。乾燥納豆食品は、液体に接触して分粒した納豆粒が凍結乾燥されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穀類の納豆を乾燥させた乾燥納豆食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大豆の糸引き納豆を凍結乾燥する乾燥納豆の製造方法が提案されている(特公昭49−21783号公報)。この方法は、茹でた大豆に納豆菌を接種して糸引き納豆を準備する工程と、この糸引き納豆を0℃程度で予備凍結する工程と、この凍結納豆をほぐして一粒ずつに分離する工程と、ほぐした納豆を−20℃以下の低温下で凍結乾燥する工程とで構成されている。
このような方法で得られた乾燥納豆は、糸引き納豆特有の粘性物をも同時に凍結乾燥させているので、水分を加えると再び粘性を発現する。したがって、この乾燥納豆は、そのまま賞味することができる他、水分を加えることでもとの糸引き納豆としても賞味することができる。
また、茹でた大豆に納豆菌を接種して製造された糸引き納豆を自然乾燥し、または熱風乾燥して製品化された乾燥納豆も市場では流通している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の乾燥納豆は、以下に示すような問題点が存在した。すなわち、乾燥納豆のうち、糸引き納豆を凍結乾燥させた乾燥納豆は、凍結した粘性物で固着し合う納豆粒同士をほぐす工程で、納豆粒の多くが破損する。
また、凍結乾燥後に納豆粒を1粒ずつに分離しようとすると、固化した粘性物の固着力のみならず、納豆粒が脆い多孔質構造に変移していることもあって、納豆粒は著しく破損する。
【0004】
したがって、従来の乾燥納豆の製造方法では、納豆粒の原形を維持した見栄えのよい乾燥納豆食品を製造しようとすると、30〜40%程度の納豆粒を廃棄しなければならず、歩留まりは極めて悪い。また、このような乾燥納豆食品中には多くの固化した粘性物が混在しており、商品として均一性に欠けるため見栄えが悪いばかりでなく、この食品を放置すると固化した粘性物が大気中の水分を吸収して粘性を発現するという問題があった。
【0005】
また、糸引き納豆を自然乾燥し、または熱風乾燥した乾燥納豆は、乾燥時に長時間空気に晒されるため、変質して本来の風味が損なわれているとともに、硬くて歯触りも悪く、快く食べられるものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、納豆粒の破損が少なく、納豆粒の原形を維持した見栄えのよい最終製品を歩留まりよく得ることができ、しかも納豆本来の風味や栄養価を維持しつつ食感に優れ、手軽に喫食することができる乾燥納豆食品の製造方法及び乾燥納豆食品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る乾燥納豆食品の製造方法は、穀類に納豆菌を接種して原料納豆を準備する工程と、前記原料納豆を液体に接触させて納豆粒に分粒する工程と、この納豆粒を凍結乾燥する工程とを備えることとした。
【0008】
この製造方法によれば、原料納豆を納豆粒に分粒した後にこれを凍結乾燥するので、凍結乾燥納豆粒同士が固着することはない。したがって、この製造方法は、凍結乾燥後に納豆粒を一粒ずつ分離する必要もない。一般に原料納豆を納豆粒に分離するときに生じる納豆粒の破損といった製品の歩留まりを悪化させる要因もない。また原料納豆に液体を接触させると、納豆粒に分粒される過程で原料納豆の粘性物の少なくとも一部は液体により洗浄除去される。その結果、乾燥納豆食品中の固化した粘性物の含有量が低減するため、乾燥納豆食品は、大気中の水分を吸収しても粘性の発現が低く抑えられる。また凍結乾燥法によって、短時間で乾燥が終了するので、納豆粒が変質せず、乾燥納豆食品の風味を低下させることもなく、納豆粒は食感の良好な多孔質構造に変移する。
【0009】
また、乾燥納豆食品の製造方法では、前記納豆粒を凍結乾燥する工程後、凍結乾燥した納豆粒の表面に調味液を塗布する工程と、この調味液を介して前記凍結乾燥した納豆粒に食品粉末を付着させる工程と、前記食品粉末が付着する前記凍結乾燥した納豆粒を再び凍結乾燥する工程とを備えていてもよい。
【0010】
この製造方法によれば、調味液や食品粉末が付与されるので、乾燥納豆食品の風味や栄養価が高められる。また、食品粉末は、凍結乾燥した納豆粒の表面に塗布された調味液を被覆するので、再び凍結乾燥する工程で凍結乾燥した納豆粒同士が調味液を介して固着し合うことはない。
【0011】
さらに、本発明に係る乾燥納豆食品は、液体に接触して分粒した納豆粒が凍結乾燥されている構成とした。
この乾燥納豆食品によれば、予め液体で分粒した納豆粒が凍結乾燥されているので、納豆粒同士が固着し合っていない、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。
【0012】
さらに、この乾燥納豆食品では、凍結乾燥された納豆粒の表面に、調味料層を介して食品粉末が付着していてもよい。
この乾燥納豆食品によれば、調味料層及び食品粉末によって、乾燥納豆食品の風味や栄養価が高められる。
なお、ここでいう穀類には、豆類、雑穀類のほか、納豆菌の働きでポリグルタミン酸(PGA)を生成することができる木の実などの種子が含まれるものとし、納豆とは、豆納豆に限定されず、これらの穀類に納豆菌を作用させて得られた醗酵食品のすべてをいう。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明における第1の実施の形態に係る乾燥納豆食品の構造を概略的に示す部分断面図である。
図1に示すように、乾燥納豆食品1は、凍結乾燥納豆粒2と、調味料層3及び食品粉末4からなるコーティング層CLとから構成されている。ここで使用される凍結乾燥納豆粒2は、原料納豆を液体で分粒した納豆粒を凍結乾燥したものである。また、ここで使用される調味料層3は、後述する調味液が凍結乾燥したものであり、凍結乾燥納豆粒2の表面を被覆している。そして、この調味料層3に食品粉末4は付着している。
【0014】
食品粉末4の材料としては、乾燥食品であれば特に制限はなく、例えば海苔、わかめ等の乾燥海草類、梅干等の乾燥果実類、タラコ、鶏卵等の乾燥卵類、コショウ、唐辛子等の香辛料類などが挙げられる。このような乾燥食品が粉砕されて食品粉末4として使用される。特に健康補助食品向け乾燥納豆食品1としては、食品粉末4の材料に各種の酵素及び栄養強化成分の粉末を使用することができ、例えば凍結乾燥納豆粉末やナットウキナーゼの凍結乾燥粉末等が使用されてもよい。
【0015】
乾燥納豆食品1では、凍結乾燥納豆粒2は、液体で納豆粒に分粒される過程で原料納豆の粘性物の少なくとも一部は液体により洗浄除去されている。その結果、乾燥納豆食品1中の固化した粘性物の含有量が低減されているため、乾燥納豆食品1が大気中の水分を吸収しても粘性の発現は低く抑えられる。したがって、凍結乾燥納豆粒2同士が固着しにくく、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。また、調味料層3及び食品粉末4は、乾燥納豆食品1の風味の増強や栄養強化に寄与することができる。
【0016】
次に、本発明の乾燥納豆食品1の製造方法について説明する。図2は、乾燥納豆食品を製造する工程を例示する工程図、図3は、本発明の乾燥納豆食品の製造方法で使用される原料納豆の構造を概略的に示す部分断面図、図4は、本発明の乾燥納豆食品の製造方法で使用される原料納豆の分粒装置の構造を示す概念図であり、図4(a)は、連続式分粒装置の構造を示す図であり、図4(b)は、回分式分粒装置の構造を示す図、図5は、凍結乾燥納豆粒の表面にコーティング層を形成する工程を例示する工程図、図6は、凍結乾燥納豆粒の表面に調味液を塗布した状態を示す部分断面図である。
図2に示すように、乾燥納豆食品1の製造方法は、原料納豆を準備する工程S1と、得られた原料納豆を納豆粒に分粒する工程S2と、この工程S2で得られた納豆粒を凍結乾燥する工程S3とを備える。
【0017】
▲1▼原料納豆の準備工程S1
原料納豆は、穀類に納豆菌を接種して得ることができる。ここで使用される穀類としては、後記の納豆菌が作用してムチン質、特にポリグルタミン酸(PGA)を生成するものであれば特に制限はなく、例えば、大豆、黒豆、緑豆、小豆、インゲン豆、南京豆等の豆類、とうもろこし、ひまわり等の雑穀類、銀杏等の木の実などが挙げられる。
【0018】
このような穀類は、硬い外殻を有する場合には適宜にその外殻を除去した後、水に浸される。なお、適当な水分を予め保持した穀類は、水に浸さなくてもよい。浸水時間は、使用する穀類や乾燥の度合い及び使用する穀類の種類によって変動するが、例えば乾燥大豆の場合、5〜6時間程度でよい。次いで、この穀類は煮熟される。煮熟時間は穀類が適度に軟化する程度を見計らって適宜に調節すればよい。なお、穀類は煮熟する代わりに蒸されてもよい。
【0019】
このように煮熟された穀類には納豆菌が接種される。ここで使用される納豆菌は、ポリグルタミン酸(PGA)を生成する酵素産生菌であれば特に制限はなく、例えばバチルス ナットウ(Bacillus natto)属に属する菌株や、これら菌株に由来する特定遺伝子を取り込んだ枯草菌が挙げられる。また藁に付着する天然の納豆菌が使用されてもよい。次いで納豆菌が接種された穀類は、40℃前後の温度で保温される。保温時間は、使用する穀類に依存し、一概に決定することはできないが、例えば大豆を使用する場合には、8時間以上の保温時間が望まれる。このような保温時間を経て原料納豆は製造される。図3に示すように、原料納豆5は、納豆粒5aとこの納豆粒5aの表面を覆う粘性物5bとで構成されており、複数のこれら納豆粒5aが粘性物5bを介して固着し合って塊を形成している。この工程S1で製造された原料納豆5は、製造後、直ちに次工程で処理されることが望ましいが、必要に応じて冷蔵あるいは冷凍保存されてもよい。
【0020】
▲2▼原料納豆の分粒工程S2
この工程S2では、前記した工程S1で得られた原料納豆5を液体に接触させて分粒する。ここで使用される液体としては、例えば水、生理食塩水等の食品分野で使用されるものであれば特に制限はなく、特に40〜80℃の熱水が望ましい。この熱水の温度が前記範囲を下回ると納豆粒5aを一粒ずつ充分に分粒することができない場合があり、上回ると納豆粒5aの栄養価が損なわれる場合がある。この工程S2で納豆粒5aは分粒されるとともに、洗浄される。この工程S2により、粘性物5b、すなわち粘性を示す成分であるポリグルタミン酸(PGA)の少なくとも一部は洗浄除去される。
【0021】
このような納豆粒の分粒にあたって、例えば熱水が貯留された熱水釜に、原料納豆5を投入した笊容器を浸漬するとともに、笊容器内を攪拌すればよいが、次のような分粒装置が使用されてもよい。
使用される装置は、連続式及び回分式のいずれであってもよい。連続式分粒装置は、例えば、図4(a)に示すように、原料納豆5を搬送する例えばコンベアライン6を有する搬送システム7と、原料納豆5を搬送する途中でコンベアライン6上に配置される熱水噴射ノズル8とで構成されればよい。この連続式分粒装置では、原料納豆5がコンベアライン6で搬送される途中で熱水噴射ノズル8から噴射される熱水9により、原料納豆5は、各納豆粒5aに分粒されるとともに、各納豆粒5aから粘性物5bは洗い流される。
【0022】
回分式分粒装置は、例えば図4(b)に示すように、熱水9を貯留する熱水槽11と、この熱水槽11内に出し入れ可能な可動笊容器12と、熱水槽11内に貯留された熱水9を攪拌する攪拌機13とで構成されればよい。この回分式分粒装置では、可動笊容器12に原料納豆5が投入されるとともに、この可動笊容器12は熱水槽11内に配置される。可動笊容器12が熱水槽11内に配置されると、可動笊容器12内に熱水9が入り込んで、原料納豆5は熱水9に浸漬される。次いで、攪拌機13で熱水9が攪拌されると、可動笊容器12内で原料納豆5は、各納豆粒5aに効率よく分粒されるとともに、各納豆粒5aから粘性物5bは洗い流される。
【0023】
また、このような回分式分粒装置は、攪拌機13の動きを阻害しない範囲で、前記した可動笊容器12を熱水9中で上下及び/又は左右に揺する駆動機構(図示せず)をさらに備えていてもよい。このような回分式分粒装置によれば、可動笊容器12が熱水9中で揺すられて原料納豆5の動きがさらに向上するので、原料納豆5の分粒効率は一段と高められる。
【0024】
なお、原料納豆5を前記した熱水釜や熱水槽11に貯留された熱水9に浸漬させるにあたって、原料納豆5の浸漬時間は、短時間であることが望ましく、例えば大豆納豆では3〜4kgあたり、40〜80℃の熱水9中で30〜40秒程度に設定されればよい。
【0025】
熱水9で分粒された原料納豆5、すなわち納豆粒5aは、流水に晒されて冷却される。この流水で晒される工程で、納豆粒5aと納豆粒5aとの間に水を介在させるとともに、表面に残った粘性物5bもその流水によりさらに洗い流される。こうした流水に晒す時間は、20〜40秒が望ましい。分粒された原料納豆5、すなわち納豆粒5aは、軽く水切りされて次工程の処理が施される。
【0026】
▲3▼凍結乾燥工程S3
この工程S3で納豆粒5aを凍結乾燥するにあたっては、一般的な凍結乾燥機が使用されればよい。この納豆粒5aは、凍結乾燥機内に配置される前に、予備的に凍結される。この予備凍結によって納豆粒5aに含まれる水分を予め凍結させると、凍結乾燥機の熱的負荷が軽減される。予備凍結の温度は、−40〜−10℃程度に設定すればよい。
予備凍結された納豆粒5aは、凍結乾燥機内に配置されて凍結乾燥される。このときの凍結乾燥機の圧力は、13.3〜333.2Pa(0.1〜2.5Torr)程度に設定すればよい。凍結乾燥機のコールドトラップ温度は−30℃以下に設定すればよい。納豆粒5aの乾燥時間は、工程S1で使用した穀物の種類によって変動するが、例えば大豆納豆では10時間以上、好ましくは24時間程度に設定すればよい。このように所定の時間、納豆粒5aを凍結乾燥して、凍結乾燥納豆粒2は製造される。
【0027】
乾燥納豆食品1の製造方法では、前記した工程S1〜S3(凍結乾燥納豆粒2を製造する工程)に続けて、凍結乾燥納豆粒2の表面にコーティング層CLを形成する工程が実施される。
図5に示すように、このコーティング層CLを形成する工程は、凍結乾燥納豆粒2の表面に調味液を塗布する工程S4と、この調味液に食品粉末4を付着させる工程S5と、この食品粉末4が付着した凍結乾燥納豆粒2を凍結乾燥する工程S6とで構成される。
【0028】
▲4▼調味液を塗布する工程S4
調味液としては、液状であれば特に制限はなく、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、デキストリン、澱粉等の糖類、グルタミン酸、イノシン酸、グリシン等のアミノ酸類又はその塩類、醤油、味噌、酒、みりん、酢等の醗酵調味料類、各種動植物油脂類、各種動植物エキス類、各種ビタミン類、クエン酸等のその他有機酸類、核酸、塩などを適宜に組み合わせ、さらに必要に応じて水を加えたものが挙げられる。
【0029】
調味液を塗布する方法としては、凍結乾燥納豆粒2に調味液を絡めることができれば特に制限はなく、例えば、調味液に凍結乾燥納豆粒2を浸漬する方法、調味液を凍結乾燥納豆粒2に噴霧する方法、調味液を凍結乾燥納豆粒2に刷毛塗りする方法などが挙げられる。
調味液が塗布されると、図6に示すように、凍結乾燥納豆粒2の表面には調味液が付着して調味液層14が形成される。この調味液層14は凍結乾燥納豆粒2の表面の全体を覆っていなくてもよい。また、調味液層14と凍結乾燥納豆粒2の表面とは、必ずしも明確な界面を形成していなくてもよく、調味液は凍結乾燥納豆粒2内にその殆どが浸透していてもよい。
【0030】
▲5▼食品粉末を付着させる工程S5
食品粉末4は、工程S4で調味液を塗布した凍結乾燥納豆粒2にまぶせばよい。食品粉末4は凍結乾燥納豆粒2に塗布した調味液に付着する。このように調味液を介して食品粉末4が付着した凍結乾燥納豆粒2は、次工程で凍結乾燥される。
【0031】
▲6▼凍結乾燥する工程S6
この工程S6での凍結乾燥は、前記した工程S3と同様の条件で実施されればよい。このような凍結乾燥が終了すれば、前記した乾燥納豆食品1が得られる。
【0032】
本発明の乾燥納豆食品1の製造方法では、分粒した原料納豆5を凍結乾燥するので、凍結乾燥納豆粒2同士が固着することはない。したがって、この製造方法は、凍結乾燥後に納豆粒を一粒ずつ分離する必要もないので製造工程が簡略化されるだけでなく、一般に納豆粒を分離するときに生じる納豆粒の破損といった製品の歩留まりを悪化させる要因もない。また、凍結乾燥法により短時間で乾燥するので、凍結乾燥納豆2には原料納豆5の栄養価が保持されるとともに、長時間の空気接触が避けられて納豆粒5aが変質せず、乾燥納豆食品1の風味を低下させることもない。さらにまた納豆粒5aが食感の良好な多孔質構造の凍結乾燥納豆粒2に変移するので、美味で手軽に喫食することができる乾燥納豆食品1を提供することができる。
また前記した工程S4で調味液を付与するので、乾燥納豆食品1の風味や栄養価を増強させることができる。また前記した工程S5で食品粉末4を付与するので、調味液を塗布した後、再び凍結乾燥する工程で、凍結乾燥納豆粒2同士が調味液を介して固着し合うことはない。したがって、一粒ずつ分離された見栄えのよい乾燥納豆食品1を提供することができる。また食品粉末4は、乾燥納豆食品1の風味や栄養価をさらに増強させることができる。
【0033】
次に、本発明における第2の実施の形態に係る乾燥納豆食品について説明する。図7は、第2の実施の形態に係る乾燥納豆食品の構造を概略的に示す部分断面図である。なお、この第2の実施の形態では、前記した第1の実施の形態と同様な作用や効果を発揮する構成には同一の符号を付すものとし、重複した説明は省略する。
【0034】
この乾燥納豆食品15は、第1の実施の形態と同様に、分粒された納豆粒5を凍結乾燥した凍結乾燥納豆粒2を備えている。この乾燥納豆食品15は、さらに、凍結乾燥納豆粒2の表面に第1調味料層3a及び第2調味料層3b並びに第1食品粉末4a及び第2食品粉末4bからなるコーティング層CLを備えている。第1調味料層3aは、凍結乾燥納豆粒2の表面に形成されており、この第2調味料層3bは、第1調味料層3a上で第1食品粉末4aを埋め込んでいる。このような第2調味料層3b上には、第2食品粉末4bがさらに付着している。
これら第1及び第2調味料層3a,3b並びに第1及び第2食品粉末4a,4bは、第1の実施の形態で示した食品粉末4と同様の材料を使用することができる。
【0035】
この乾燥納豆食品15では、第1の実施の形態と同様に、凍結乾燥納豆粒2は固化した粘性物5bの含有量が低減されているので、乾燥納豆食品15が大気中の水分を吸収しても粘性の発現は低く抑えられる。したがって、凍結乾燥納豆粒2同士が固着しにくく、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。また、第1及び第2調味料層3a,3b並びに第1及び第2食品粉末4a,4bは、乾燥納豆食品15の風味の増強や栄養強化に寄与することができる。特に第2の実施の形態に係る乾燥納豆食品15では、2種の調味料層3a,3bと2種の食品粉末4a,4bとを備えているので、乾燥納豆食品15を風味豊かにすることができる。なお、第1及び第2調味料層3a,3b同士並びに第1及び第2食品粉末4a,4b同士には、それぞれ同一の材料が使用されてもよいことはいうまでもない。
【0036】
次に、この乾燥納豆食品15の製造方法について説明する。この乾燥納豆食品15は、第1の実施の形態に係る乾燥納豆食品1の製造方法の工程S1〜S6と同様の工程と、工程6の後に工程S4〜S6をこの順番で続けて実施することで製造することができる。
【0037】
この乾燥納豆食品15の製造方法では、第1の実施の形態として例示した乾燥納豆食品1の製造方法と同様に、分粒した原料納豆5を凍結乾燥するので、凍結乾燥納豆粒2同士が固着することはなく、また凍結乾燥納豆粒2を一粒ずつ分離する必要もないので製造工程が簡略化される。一般に納豆粒を分離するときに生じる納豆粒の破損といった製品の歩留まりを悪化させる要因もなく、さらには一粒ずつ分離されて凍結乾燥納豆粒2の原形を維持した見栄えのよい、しかも栄養価が高く、風味豊かな乾燥納豆食品15を製造することができる。また、第1の実施の形態と同様に、凍結乾燥法により短時間で乾燥するので、凍結乾燥納豆2には原料納豆5の栄養価が保持されるとともに、長時間の空気接触が避けられて納豆粒5aが変質せず、乾燥納豆食品15の風味を低下させることもない。さらにまた納豆粒5aが食感の良好な多孔質構造の凍結乾燥納豆粒2に変移するので、美味で手軽に喫食することができる乾燥納豆食品15を提供することができる。
また前記した工程S5で食品粉末4を付与するので、調味液を塗布した後、再び凍結乾燥する工程で、凍結乾燥納豆粒2同士が調味液を介して固着し合うことはない。したがって、一粒ずつ分離された見栄えのよい乾燥納豆食品15を提供することができる。さらに工程S6の後に工程S4〜S6がこの順番で続けて実施されて、2種の調味液及び食品粉末4a,4bが使用されるので、乾燥納豆食品15の風味や栄養価をさらに増強させることができる。
【0038】
以上、詳述した乾燥納豆食品1,15及びその製造方法は、これらの実施形態に制限されるものではない。例えば使用される原料納豆5は、引き割り納豆であってもよい。また、第2の実施の形態として例示した乾燥納豆食品15の製造方法において、工程S1〜S6後に続けられる工程S4〜S6は、複数回繰り返して実施されてもよい。このように複数回繰り返してこれらの工程が実施されれば、3種以上の食品粉末を乾燥納豆食品15に付与することができる。
さらに、乾燥納豆食品1,15及びその製造方法は、納豆粒の分粒工程で粘性物のほとんどが液体で除去されてもよい。
また、本発明の乾燥納豆食品1,15は、前記した調味料層3,3a,3bや食品粉末4,4a,4bを有しない凍結乾燥納豆粒2そのものであってもよい。
【0039】
【実施例】
次に、実施例を示し、本発明の乾燥納豆食品及びその製造方法をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前記した工程S1に従って国産丸大豆及び市販の納豆菌粉末を使用して大豆納豆を調製した。分取した3kgの大豆納豆を、図4(b)に示す回分式分粒装置で分粒した。なお、熱水温度は80℃に、浸漬時間は30秒に設定した。納豆粒からは粘性物がほとんど除去されていることが確認された。得られた納豆粒を凍結乾燥機で凍結乾燥した。なお納豆粒は−10℃で2時間予備凍結した。凍結乾燥機は、圧力が133Pa(1Torr)及びコールドトラップ温度が−40℃の条件で運転された。凍結乾燥時間は24時間とした。
次に得られた凍結乾燥納豆粒を300g分取して、これに表1に示す組成の調味液が絡められた。
【0040】
【表1】
【0041】
凍結乾燥納豆粒には、88gの調味液が付着した。凍結乾燥納豆粒の表面には調味液層が形成されていることが目視で観察された。次いでこの凍結乾燥納豆粒に海苔粉末をまぶして、凍結乾燥納豆粒の表面全体にわたって均一に海苔粉末を付着させた。この海苔粉末を付着させた凍結乾燥納豆粒を、前記と同様の条件で凍結乾燥させることにより、固化した粘性物をほとんど含まず、しかも一粒ずつ分離されて納豆粒の原形を維持した見栄えの良い乾燥納豆食品378gが製造された。
【0042】
(実施例2)
凍結乾燥納豆粒を189g分取して、これに67gの調味液を絡めたほかは、実施例1と同様にして、固化した粘性物をほとんど含まず、しかも一粒ずつ分離されて納豆粒の原形を維持した見栄えの良い乾燥納豆食品250gが製造された。
【0043】
(実施例3)
凍結乾燥納豆粒を200g分取して、これに67gの調味液を絡め、海苔粉末に代えて梅パウダーを使用したほかは、実施例1と同様にして、固化した粘性物をほとんど含まず、しかも一粒ずつ分離されて納豆粒の原形を維持した見栄えの良い乾燥納豆食品301gが製造された。
【0044】
(実施例4)
凍結乾燥納豆粒を200g分取して、これに68gの調味液を絡め、海苔粉末に代えて梅パウダーを使用したほかは、実施例1と同様にして、固化した粘性物をほとんど含まず、しかも一粒ずつ分離されて納豆粒の原形を維持した見栄えの良い乾燥納豆食品294gが製造された。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の乾燥納豆食品の製造方法によれば、原料納豆を分粒した後に、凍結乾燥するので、凍結乾燥納豆粒同士が固着することはない。したがって、この製造方法は、凍結乾燥後に納豆粒を一粒ずつ分離する必要もないので製造工程が簡略化されるだけでなく、一般に納豆粒を分離するときに生じる納豆粒の破損といった製品の歩留まりを悪化させる要因もない。また凍結乾燥納豆粒の破損が極めて少ないのでそれぞれの納豆粒が原形を維持している。また、原料納豆に液体を接触させて納豆粒に分粒する過程で原料納豆の粘性物の少なくとも一部は液体により洗浄除去される。その結果、乾燥納豆食品中の固化した粘性物の含有量が低減するため、乾燥納豆食品は、大気中の水分を吸収しても粘性の発現が低く抑えられる。したがって、凍結乾燥納豆粒2同士が固着しにくく、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。
さらに、凍結乾燥法により短時間で乾燥するので、凍結乾燥納豆には原料納豆の栄養価が保持されるとともに、長時間の空気接触が避けられて納豆が変質せず、乾燥納豆食品の風味を低下させることもない。さらにまた納豆粒が食感の良好な多孔質構造の凍結乾燥納豆に変移するので、美味で手軽に喫食することができる乾燥納豆食品を提供することができる。
【0046】
本発明の請求項2に記載の乾燥納豆食品の製造方法によれば、調味液や食品粉末が付与されるので、乾燥納豆食品の風味や栄養価を増強させることができる。
【0047】
本発明の請求項3に記載の乾燥納豆食品によれば、予め液体で分粒した納豆粒が凍結乾燥されているので、納豆粒同士が固着し合っていない、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。また、液体で納豆粒に分粒される過程で原料納豆の粘性物の少なくとも一部は液体により洗浄除去されており、乾燥納豆食品中の固化した粘性物の含有量が低減されているため、乾燥納豆食品が大気中の水分を吸収しても粘性の発現は低く抑えられる。したがって、凍結乾燥納豆粒同士が固着しにくく、均一で見栄えのよい最終製品に仕上げることができる。また凍結乾燥納豆粒を備えているので、原料納豆の栄養価が保持されているとともに、乾燥時に長時間の空気接触が避けられていることから納豆が変質しておらず、乾燥納豆食品の風味は低下していない。さらにまた納豆粒が食感の良好な多孔質構造の凍結乾燥納豆粒に変移しているので、美味で手軽に喫食することができる。
【0048】
本発明の請求項4に記載の乾燥納豆食品によれば、調味料層及び食品粉末をさらに備えているので、風味や栄養価を増強させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施の形態に係る乾燥納豆食品の構造を概略的に示す部分断面図である。
【図2】乾燥納豆食品を製造する工程を例示する工程図である。
【図3】原料納豆の構造を概略的に示す部分断面図である。
【図4】分粒装置の構造を示す概念図であり、図4(a)は、連続式分粒装置の構造を示す図であり、図4(b)は、回分式分粒装置の構造を示す図である。
【図5】凍結乾燥納豆粒の表面にコーティング層を形成する工程を例示する工程図である。
【図6】凍結乾燥納豆粒の表面に調味液を塗布した状態を示す部分断面図である。
【図7】本発明における第2の実施の形態に係る乾燥納豆食品の構造を概略的に示す部分断面図である。
【符号の説明】
1,15 乾燥納豆食品
2 凍結乾燥納豆粒
3,3a,3b 調味料層
4,4a,4b 食品粉末
5 原料納豆
5a 納豆粒
5b 粘性物
Claims (4)
- 穀類に納豆菌を接種して原料納豆を準備する工程と、前記原料納豆を液体に接触させて納豆粒に分粒する工程と、この納豆粒を凍結乾燥する工程とを備えることを特徴とする乾燥納豆食品の製造方法。
- 請求項1に記載の乾燥納豆食品の製造方法において、前記納豆粒を凍結乾燥する工程後、凍結乾燥した納豆粒の表面に調味液を塗布する工程と、この調味液を介して前記凍結乾燥した納豆粒に食品粉末を付着させる工程と、前記食品粉末が付着する前記凍結乾燥した納豆粒を再び凍結乾燥する工程とを備えることを特徴とする乾燥納豆食品の製造方法。
- 液体に接触して分粒した納豆粒が凍結乾燥されていることを特徴とする乾燥納豆食品。
- 請求項3に記載の乾燥納豆食品において、凍結乾燥された納豆粒の表面に、調味料層を介して食品粉末が付着していることを特徴とする乾燥納豆食品。
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CN102972700A (zh) * | 2012-10-29 | 2013-03-20 | 韩山师范学院 | 一种休闲益身细菌型干豆豉的制作方法 |
JP2020048496A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-04-02 | アサヒグループ食品株式会社 | 納豆加工食品及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189540A patent/JP2004024196A/ja active Pending
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