JP2004018987A - 光学薄膜形成方法及び該方法にて得られる光学薄膜付透明基板 - Google Patents
光学薄膜形成方法及び該方法にて得られる光学薄膜付透明基板 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】薄膜形成用の液体原料を霧化させる第1ステップと、第1ステップにより霧化した原料に対して加水分解可能な温度を与える第2ステップと、第2ステップにより加熱された原料を大気中に噴出させる第3ステップと、第3ステップにより大気中に噴出した前記原料を脱水縮重合反応させるために加熱した透明基板と接触させ,前記原料を金属酸化物として前記透明基板上に堆積させる第4ステップと、からなる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学気相成長法(CVD法)によって光学薄膜を形成する方法及び該方法にて得られる光学薄膜付透明基板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、化学気相成長法(以下、CVD法と記す)によって透明基板やフィルムに薄膜層を形成させる方法が知られている。例えば特開2000−121804公報には、プラズマCVD法を用いてフィルムに薄膜層を形成することにより、反射防止効果を得る方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなプラズマを用いたCVD法は、プラズマ発生装置や場合によっては真空雰囲気にさせるための設備が必要となるため、コストがかかることとなる。
【0004】
上記従来技術の問題点に鑑み、CVD法を用いて安価に基材上に光学薄膜を形成させる方法を提供し、さらには得られた薄膜層の硬度を高めることのできる光学薄膜形成方法及び光学薄膜付透明基板を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 薄膜形成用の液体原料を霧化させる第1ステップと、第1ステップにより霧化した原料に対して加水分解可能な温度を与える第2ステップと、第2ステップにより加熱された原料を大気中に噴出させる第3ステップと、第3ステップにより大気中に噴出した前記原料を脱水縮重合反応させるために加熱した透明基板と接触させ,前記原料を金属酸化物として前記透明基板上に堆積させる第4ステップと、からなることを特徴とする。
(2) (1)の光学薄膜形成方法において、前記原料が基板の屈折率に対して高屈折率の金属酸化物となる場合には、前記第2ステップの加熱温度は100℃〜200℃であることを特徴とする。
(3) (1)の光学薄膜形成方法において、前記原料が屈折率1.35〜1.60の金属酸化物となる場合には、前記第2ステップの加熱温度は500℃〜1000℃であることを特徴とする。
(4) (2)及び(3)の光学薄膜形成方法において、前記第4ステップにて得られた光学薄膜付透明基板に対して、アニール処理又はコロナ処理を施すことを特徴とする。
(5) (1)〜(4)の光学薄膜形成方法によって得られることを特徴とする光学薄膜付透明基板。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を基に説明する。図1は本実施の形態で示す大気開放型の化学気相成長装置(以下、大気開放型CVD装置と記す)により製造される光学薄膜付透明基板の概略構成を示す図である。図1に示す光学薄膜付透明基板は、2層の薄膜層から構成され反射防止効果を有するものである。
【0007】
1は透明の基板である。使用する基板の屈折率は1.48〜1.70程度のものを使用する。具体的に、基板材料としてはガラス、プラスチック(例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等)が用いられ、光学的に透明であれば特に限定されない。また、ここで基板とは、フィルム等の厚みの薄い基材も含むものとしている。
【0008】
2は基板1上に積層され、基板1の屈折率よりも高い屈折率をもつ第1薄膜層である。第1薄膜層2に使用される材料は、使用する基板1に応じて適宜選択されるが、屈折率1.50〜2.50程度の範囲のものが使用される。具体的には、第1薄膜層2の主成分にはZrO2(屈折率1.9)や、TiO2(屈折率2.2)、Al2O3(屈折率1.6)等の金属酸化物が挙げられる。また、第1薄膜層2の膜厚は、所望する反射防止効果が得られるために必要な膜厚であればよい。例えば500nm〜550nm程度の波長において反射率が最小になるように膜厚を設定する場合には、光学膜厚(nd)として60±10nm程度であれば良い。
【0009】
3は第1薄膜層2上に積層され、第1薄膜層2の屈折率よりも低い屈折率をもつ第2薄膜層である。第2薄膜層3に使用される材料は、屈折率1.35〜1.60程度の範囲のものが使用される。具体的には、SiO2(屈折率1.46)等の金属酸化物が挙げられる。また、第2薄膜層3の膜厚は、所望する反射防止効果が得られるために必要な膜厚であればよい。例えば500nm〜550nm程度の波長において反射率が最小になるように膜厚を設定する場合には、光学膜厚(nd)として180±10nm程度であれば良い。
【0010】
また、本実施形態では、基板上に2層の薄膜を形成して反射防止効果を得るものとしているが、これに限るものではなく、適宜積層する膜の数を決定すればよい。
さらに、本実施の形態では、反射防止効果を得るために薄膜層を形成しているが、これに限るものではなく、その他の用途として、基材上に薄膜を形成するために本発明を適用することができる。例えば反射増加効果を得るために薄膜層を基板上に形成する場合や、基材を保護するための保護膜の形成にも用いることができる。
【0011】
次に、本実施の形態で使用する大気開放型CVD装置の概略構成を図2に示し、説明する。
10はキャリヤーガスとなる窒素ガス(dry)を供給するキャリヤーガス供給装置である。本実施の形態ではキャリヤーガスとして窒素ガスを用いているが、これに限るものではない。キャリヤーガスとしては窒素ガスの他にアルゴンガス等の不活性ガスや炭酸ガス、有機フッ素系ガス等を使用することができる。11は反射防止膜用の原料が入れられた原料供給器である。12は原料供給器11に取り付けられている霧化発生装置である。この霧化発生装置12は超音波を原料供給器11内の原料にあてることにより原料を霧化させることができる。13は霧化した原料をキャリヤーガスとともに基板1に吹き付けるためのノズルである。14はノズル13を加熱することにより、ノズル13内部を通過する霧化状の原料を加熱する加熱手段である。15は基板1を載置し、所定温度にて加熱するヒータであり、ノズル13の噴出口13aから所定距離だけ離れた位置に置かれる。
【0012】
ノズル13の噴出口13aとヒータ15との距離は、加熱手段14による原料への加熱温度やノズル13から噴出される原料のガス流量によって適宜選択される。噴出口13aとヒータ15との距離は、過熱された原料が基板1に吹き付けられたときに、その温度によって基板1が変形しない程度の距離を有していればよい。また、噴出口13aとヒータ15との距離があまり離れていると成膜に時間がかかることとなる。このため、吹き付ける原料によって噴出口13aとヒータ15との距離は適宜決定される。
【0013】
本実施の形態で使用する大気開放型CVD装置では、原料を霧化状態にした後、ノズル13にて原料を加熱することにより、ノズル13の噴出口13aから噴出された原料を大気中の水分と反応させ、加水分解を生じさせる。その後、基板1上に堆積した加水分解された原料をさらに加熱させ、脱水縮合反応を生じさせることにより前述した金属酸化物を各薄膜層の主成分とするものである。したがって、原料供給器11内に入れる原料は、基板1上にて金属酸化物の薄膜を得るために金属アルコキシドを用いることができる。例えば、高屈折率の金属酸化物TiO2の金属アルコキシドとしては、Ti(OR)4(RはC1〜C4のアルキル基である)を挙げることができる。また、低屈折率の金属酸化物SiO2の金属アルコキシドとしては、R′2Si(OR)2、R′Si(OR)3、Si(OR)4等(R及びR′はC1〜C4のアルキル基である)を挙げることができる。また、前述した薄膜層の主成分となる他の金属酸化物においても、同様に金属アルコキシドを原料として用いればよい。
【0014】
また、その他の原料として金属アルコキシドを重合したものや金属アルコキシドの加水分解物を用いることもできる。例えば高屈折率の金属アルコキシドの重合物としては、チタンテトラブトキシドテトラマー等を挙げることができる。また、低屈折率の金属アルコキシドの重合物としては、シリケート等を挙げることができる。このような金属アルコキシドの重合物や加水分解物は、モノマーの金属アルコキシドに比べて基板1上における最終の重合の完了度が高くなりやすいため、基板1上に薄膜を形成させた後の膜が硬くなりやすい。
【0015】
従来のように原料を加熱により気化させて薄膜の形成を行うCVD装置では、金属アルコキシドの重合物等は分子量が高いため、気化し難く薄膜形成の原料として用いることが困難であった。しかしながら、本実施の形態のように霧化発生装置12を用いて原料を霧状にさせることにより、金属アルコキシドのみならず金属アルコキシドの重合物や金属アルコキシドの加水分解物を薄膜形成用の原料として用いることができる。
【0016】
また、加熱手段14によりノズル13を加熱する温度は、用いる原料(金属アルコキシド)が加水分解を生じさせるのに必要な温度が設定される。高屈折率の原料を用いる場合には、好ましくは100℃〜200℃であり、さらに好ましくは120℃〜150℃である。加熱温度が100℃を下回ると、ノズル13から噴出した原料が大気中の水分によって加水分解されにくくなる。また、200℃を上回ると、原料が加水分解後さらに脱水縮合反応まで反応が進み、基板に堆積される前に粉上の金属酸化物となってしまう。また、低屈折率の原料を用いる場合には、好ましくは500℃〜1000℃であり、さらに好ましくは700℃〜900℃である。加熱温度が500℃を下回ると、ノズル13から噴出した原料が大気中の水分によって加水分解されにくくなる。また、1000℃を上回ると、プラスチック基板を用いた場合に基材の変形が生じやすくなる。
【0017】
また、ヒータ15により基板1を加熱する温度は、好ましくは50℃〜120℃、さらに好ましくは70℃〜90℃である。加熱温度が50℃を下回ると堆積した原料の、その後の反応(脱水縮重合反応)が起き難い。また、120℃を上回ると、プラスチック基板を用いた場合に基材の変形が生じやすくなる。
【0018】
また、本実施の形態で使用する大気開放型CVD装置において、使用する原料を霧化発生装置12により原料供給器11内に入れられた原料を霧化させるものとしているが、原料の特性によっては霧化させにくい場合がある。このような場合には、原料を所定の溶媒に溶かすことによって霧化させやすい状態にしたうえで原料供給器11内に入れておけば良い。原料によっては低温の水によっても化学反応を起こしてしまう場合もあるため、使用する溶媒は水分を含まない溶媒を用いることが好ましい。例えば、ヘキサンやヘプタン等の非極性溶媒が挙げられる。
【0019】
また、膜厚の制御は基板1上に原料を吹き付ける時間を制御することにより行うことができる。経時的な膜厚の変化の測定は、モニターガラス等を用いて光学膜厚を測定する方法や、基板上に堆積される膜の厚みを所定時間ごとに測定する方法等、既存の膜厚測定技術を用いることができる。
さらに、本実施の形態で使用する大気開放型CVD装置を用いて基板1に薄膜層を形成し反射防止効果を持たせた後、薄膜層が形成された基板1をアニール処理又はコロナ放電処理を行うことにより、基板1上に形成された薄膜層の硬度を高めることができる。
【0020】
アニール処理は基板1上に薄膜層が形成された後、基板1をオーブンに入れ、所定温度、所定時間にて加熱することにより行う。加熱温度は好ましくは70℃〜120℃であり、さらに好ましくは80℃〜100℃である。加熱温度が70℃を下回ると、所望する薄膜層の硬度が得られにくい。また、加熱温度が120℃を上回ると基材(プラスチック製基材の場合)の変形が生じやすくなる。また、加熱時間は好ましくは30分〜180分、さらに好ましくは60分〜120分である。加熱時間が30分を下回ると所望する薄膜層の硬度が得られにくい。また、加熱時間が180分を超えても効果が変わらない。
【0021】
コロナ放電処理はコロナ放電処理装置を用いて薄膜層が形成された基板1に所定の電力、放電時間をかけてコロナ放電処理を行う。コロナ放電の電力は好ましくは300W〜700Wであり、さらに好ましくは400W〜500Wである。
電力が300Wを下回ると安定したコロナ放電が起き難い。また、電力が700Wを上回ると、基板1に対してダメージを与えやすくなる。また、放電時間は好ましくは15秒〜60秒、さらに好ましくは20秒〜40秒である。放電時間が、15秒未満であると所望する効果が得られにくい。また、放電時間が60秒を超えると基材に対してダメージを与えやすくなる。
【0022】
従来は真空中にてプラズマを用いて原料を反応させ、基板1上に薄膜を形成させて反射防止膜付透明基板を形成させる方法が一般的であった。しかしながら、本発明ではプラズマ等にて原料を反応させること無く、安価に反射防止膜を基板1上に形成することができる。また反射防止膜の形成後、後処理として上述したようなアニール処理やコロナ放電処理を行うことによって、基板1上に堆積されている膜の硬度を簡単に高めることができる。また、本実施の形態では、基板1上に薄膜を形成後、アニール処理又はコロナ放電処理のどちらかを行うものとしているが、アニール処理及びコロナ放電処理の両方を行うものとしても良い。
【0023】
以上のような構成を備える大気開放型CVD装置を使用して反射防止膜付透明基板を製造する方法について以下に説明する。ここでは基板1上に2層の薄膜層を形成することにより、反射防止膜付透明基板を製造するものとする。
基板1上に高屈折率金属酸化物からなる第1薄膜層2を形成するために、図1に示す原料供給器11内に水分を含まない溶媒(例えば、ヘキサン等の溶媒)に溶かした原料(高屈折用の金属アルコキシド)を入れる。キャリヤーガス供給装置10から、窒素ガスを所定流量で原料供給器11に送るとともに霧化発生装置12を用いて溶媒と原料とを霧化させる。霧化された原料及び溶媒は、キャリヤーガス供給装置10から送られてくる窒素ガスとともにノズル13へ送られる。ノズル13の管内を通る原料は、加熱手段14により加水分解反応が生じる程度の温度まで上げられながら、ノズル13の噴出口13aから溶媒及び窒素ガスとともに噴出される。
【0024】
一方、基板1は原料が安定して噴出されていない間は、噴出される原料と接触しない位置にヒーター15とともに離しておく(このときヒーター15上に基板1を載置させ、基板1を加熱させておく)。原料が安定して噴出されるとともに、ヒーター15上に置かれた基板1が所定温度に維持された状態になったら、基板1を載置した状態でヒーター15を移動させ、噴出口13aから噴出した原料が基板1に吹き付けられる状態にする。このとき噴出口13aと基板1との距離は、予め設定した距離になるようにしておく。
【0025】
ノズル13の噴出口13aから噴出された原料は、大気中の水分と接触することにより、加水分解を起こし、水酸化物を形成しながら基板1上に吹き付けられる。水酸化物を形成した原料は、基板1表面において基板1の温度により脱水反応を伴いながら縮重合し、基板1上にて金属酸化物となって堆積する。所定時間の経過後、所望する膜厚になった時点で原料の噴出を止めるか基板1を噴出口13aの前方から取り外すことによって、第1薄膜層2の形成の完了となる。
【0026】
基板1上に第1薄膜層2の形成が完了したら、次に原料供給器11内の高屈折率用の原料を取り出し、原料供給器11内を洗浄、乾燥後、低屈折率用の原料を原料供給器11内に入れる。この際、原料のみで霧化させ難い場合には、適宜溶媒を用いて原料を希釈してもよい。また、このとき基板1はヒーター15とともに噴出口13aから遠ざけておく。
【0027】
原料供給器11内に低屈折率用の原料を入れた後、前述同様に原料を霧化発生装置12によって霧化させる。霧化した原料は、キャリヤーガス供給装置10からの窒素ガスとともにノズル13に送られる。ノズル13の管内を通る原料は、加熱手段14により加水分解反応が生じる程度の温度まで上げられながら、ノズル13の噴出口13aから噴出される。
【0028】
原料が安定して噴出し、基板1がヒーター15により所定温度に維持された状態になったら、前述と同様に基板1を載置した状態でヒーター15を移動させ、噴出口13aから噴出した原料が基板1に吹き付けられる状態にする。このとき噴出口13aと基板1との距離は、予め設定した距離になるようにしておく。
【0029】
ノズル13の噴出口13aから噴出された原料は、前述した高屈折率用の原料と同様に、大気中の水分と接触することにより、加水分解を起こし、水酸化物を形成しながら基板1上に吹き付けられる。水酸化物を形成した原料は、基板1表面において基板1の温度により脱水反応を伴いながら縮重合し、基板1上にて金属酸化物となって堆積する。所定時間の経過後、所望する膜厚になった時点で原料の噴出を止めるか基板1を噴出口13aの前方から取り外すことによって、第2薄膜層3の形成の完了となる。
【0030】
このような方法を用いることにより、従来行われているプラズマを用いたCVD法による薄膜形成に比べ、コストをかけることなく光学薄膜を形成させることが可能となる。
また、基板1上に第1薄膜層2、第2薄膜層3が順次形成された後、形成した膜の硬度を上げるために、オーブン内で基板1を所定温度、所定時間にて加熱処理(アニール処理)を行い、反射防止膜付透明基板の完成となる。
また、本実施の形態では、1つの原料供給器11を用いるために、原料の交換の際に洗浄、乾燥を行うものとしたが、これに限るものではない。例えば2つの原料供給器11を用意して各々に異なる原料(ここでは高屈折率用の原料と低屈折率用の原料)を入れておく。その後、必要となる原料が入れられた原料供給器11をノズル13やキャリヤーガス供給器10に接続して使用することもできる。
【0031】
<実施例1>
実施例1では、本発明の方法を用いた反射防止膜付透明基板の評価を行う。
基板1はアクリル樹脂であるクラレックスRH−20(日東樹脂工業(株)製屈折率1.49)を使用した。高屈折率用の原料は、Ti(OC3H7)4:チタンテトラプロポキシドをヘキサンにて10重量%に希釈したものを用いた。また、基板1の加熱温度80℃、ノズル13の加熱温度130℃、基板1と噴射口13aとの距離を15mm、キャリヤーガスとしての窒素ガスのガス流量を0.1 l/minとした。また、基板1上への膜の堆積時間を120秒とした。
【0032】
また、低屈折率用の原料は、Si(OC2H5)4:テトラエトキシシランを用いた。また、基板1の加熱温度75℃、ノズル13の加熱温度800℃、基板1と噴射口13aとの距離を30mm、窒素ガスのガス流量を0.5 l/minとした。また、基板1上への膜の堆積時間を120秒とした。
【0033】
以上のような条件にて、前述した大気開放型CVD装置を用いて基板1上に高屈折率の金属酸化物と低屈折率の金属酸化物を順次堆積し、反射防止膜付透明基板を製造した。得られた反射防止膜付透明基板の可視光反射率を分光光度計(オリンパス光学工業(株) レンズ反射率測定機USPM−RU)にて測定した。得られた結果を▲1▼(コロナ処理前)とし図3に示す。
【0034】
また、この反射防止膜付透明基板に対してコロナ放電処理( 日本スタテック(株)製 コロナ処理機)を行った。処理条件は、供給電力400W 放電時間40秒とした。このコロナ放電処理した反射防止膜付透明基板の可視光反射率を分光光度計にて測定した。得られた結果を▲2▼(コロナ処理後)とし図3に示す。
また、比較として反射防止膜を形成させてない基板1における可視光反射率を分光光度計にて測定し、その結果を▲3▼(基板のみ)として図3に示す。
【0035】
図3に示すように、▲1▼(コロナ処理前)、▲2▼(コロナ処理後)とも、波長480nmにてピークを持ち、500nmでの反射率は▲1▼が1.53%、▲2▼が1.43%を示し、両者とも十分に反射防止効果を有することが確認された。
【0036】
<実施例2>
実施例2では、基板1にアクリル樹脂であるアクリライトMR−2(三菱レイヨン(株)製 屈折率1.52)を使用した。成膜条件は実施例1と同様とした。
以上のような条件にて、前述した大気開放型CVD装置を用いて基板1上に高屈折率の金属酸化物と低屈折率の金属酸化物を順次堆積し、反射防止膜付透明基板を製造した。得られた反射防止膜付透明基板の可視光反射率を分光光度計にて測定した。得られた結果を▲1▼(アニール処理前)とし図4に示す。
【0037】
また、この反射防止膜付透明基板に対してアニール処理(加熱温度80℃ 加熱時間120分)を行った。このアニール処理した反射防止膜付透明基板の可視光反射率を分光光度計にて測定した。得られた結果を▲2▼(アニール処理後)とし図4に示す。
また、比較として反射防止膜を形成させてない基板1における可視光反射率を分光光度計にて測定し、その結果を▲3▼(基板のみ)として図4に示す。
【0038】
図4に示すように、▲1▼(アニール処理前)、▲2▼(アニール処理後)とも、波長510nmにてピークを持ち、500nmでの反射率は▲1▼が1.40%、▲2▼が1.34%を示し、十分反射防止効果を有することが確認された。
【0039】
<実施例3>
次に、アニール処理及びコロナ放電処理を行った反射防止膜付透明基板の膜が硬くなっているかの評価を行う。
アニール処理は加熱温度を80℃、100℃の2条件とし、加熱時間は各温度に対して60分と120分とした。反射防止膜付透明基板は実施例1、実施例2で得られたものを使用した。
アニール処理後の基材表面をダスパー(小津産業(株)製)で擦り、5mm幅内に生じる傷の本数を数えた。ダスパーは過重200gにて基材表面を10往復させるものとした。その結果を表1に示す。
【0040】
また、コロナ放電処理を行った反射防止膜付透明基板に対しても同様な評価を行った。反射防止膜付透明基板は実施例2で得られたものを使用した。コロナ放電処理の条件は、供給電力400Wにて放電時間20秒及び40秒の2条件とした。その結果を表1に示す。
また、比較として未処理の反射防止膜付透明基板(アニール処理等を行わなかった反射防止膜付透明基板)、プラズマ処理を行ったもの、UV(紫外線)処理を行ったものを前述同様に評価した。
【0041】
プラズマ処理装置は、(株)サムコインターナショナル研究所製 プラズマドライクリーナーRX−1000を使用した。プラズマ処理の条件は、供給電力250Wで処理時間350秒と、さらに供給電力250Wで処理時間350秒に加えてさらに350Wで350秒与えたものの2条件とした。
また、UV照射器は、セン特殊光源(株)製 高圧水銀ランプを使用した。UV処理の条件は、照射強度が40mW/cm2、照射時間を100秒、300秒とした。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、アニール処理やコロナ放電処理を行った反射防止膜は、その膜の硬さが格段に向上したことが確認された。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、プラズマ等を用いることなく、CVD法を用いて安価に反射防止膜を形成させることができる。また、反射防止膜の形成後、さらに後処理を行うことにより、膜の硬さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態で説明する反射防止膜付透明基板の構成を示す図である。
【図2】大気開放型CVD装置の概略構成を示す図である。
【図3】得られた反射防止膜付透明基板の反射率を示す図である。
【図4】得られた反射防止膜付透明基板の反射率を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1薄膜層
3 第2薄膜層
10 キャリヤーガス供給器
11 原料供給器
12 霧化発生装置
13 ノズル
14 加熱手段
15 ヒーター
Claims (5)
- 薄膜形成用の液体原料を霧化させる第1ステップと、第1ステップにより霧化した原料に対して加水分解可能な温度を与える第2ステップと、第2ステップにより加熱された原料を大気中に噴出させる第3ステップと、第3ステップにより大気中に噴出した前記原料を脱水縮重合反応させるために加熱した透明基板と接触させ,前記原料を金属酸化物として前記透明基板上に堆積させる第4ステップと、からなることを特徴とする光学薄膜形成方法。
- 請求項1の光学薄膜形成方法において、前記原料が基板の屈折率に対して高屈折率の金属酸化物となる場合には、前記第2ステップの加熱温度は100℃〜200℃であることを特徴とする光学薄膜形成方法。
- 請求項1の光学薄膜形成方法において、前記原料が屈折率1.35〜1.60の金属酸化物となる場合には、前記第2ステップの加熱温度は500℃〜1000℃であることを特徴とする光学薄膜形成方法。
- 請求項2及び請求項3の光学薄膜形成方法において、前記第4ステップにて得られた光学薄膜付透明基板に対して、アニール処理又はコロナ処理を施すことを特徴とする光学薄膜形成方法。
- 請求項1〜4の光学薄膜形成方法によって得られることを特徴とする光学薄膜付透明基板。
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- 2002-06-20 JP JP2002179250A patent/JP2004018987A/ja active Pending
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