JP3353057B2 - 表面処理された眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

表面処理された眼鏡レンズの製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルオロアルキルシラ
ン等の低表面エネルギー性物質を用いて、眼鏡レンズの
表面を処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化1で表わされるフルオロアルキルシラ
ン等の表面処理剤は、非粘着性、耐熱性、耐薬品性、潤
滑性等のフルオロアルキル基の有する優れた性質を具
え、また、官能基(この場合、アルコキシシリル基)の
反応性によりガラス等の被処理物体の表面で反応する。
【0003】
【化1】CF3(CF27CH2CH2Si(OCH3
3
【0004】この反応により、フルオロアルキルシリル
基が被処理物体の表面に固定化されて、基体に撥水性、
撥油性、離型性、防汚性、潤滑性などが付与される。
【0005】従来、フルオロアルキルシランによる基体
の表面処理は、フルオロアルキルシランを、芳香族炭化
水素、脂肪族炭化水素、フロン等のハロゲン化炭化水素
などの溶剤で希釈し、この溶液を用いて浸漬法、ハケ塗
り法、スプレー法などにより基体表面に塗布、乾燥する
湿式法により行なっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶剤を
使用するため、環境対策や防火対策が必要となり、作業
環境も良くなかった。また、光学部品などの傷付きやす
いものを浸漬処理する際には、浸漬用治具に光学部品を
取り付ける必要があり、工程数の増加を招き作業性が悪
かった。
【0007】本発明者らはこの対策として、減圧下にフ
ルオロアルキルシラン等の表面処理剤を気化せしめて、
乾式法により被処理物体の表面処理を行なうことを検討
し、これが可能であることを確認した。
【0008】しかしながら更に検討を重ねた結果、被処
理物体の種類によって、低表面エネルギー特性の付与の
強度、あるいはその安定性に差異があることが判明し
た。この点について更に研究を重ねたところ、被処理物
体の表面が金属である場合、プラスチックそのものであ
る場合、あるいは眼鏡レンズ等において表面に形成され
ている反射防止膜の最上層がMgF2 である場合などに
おいて、表面処理効果が低下することを見い出した。
【0009】本発明は、湿式法による従来法の欠点を解
消し、乾式法による表面処理をさらに一歩進め、被処理
物体の表面材質にかかわらず、優れた表面特性で、かつ
安定して眼鏡レンズの表面を処理することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の表面処理された
眼鏡レンズの製造方法は、フッ素を有する低表面エネル
ギー性物質を気化せしめ、該フッ素を有する気化した低
表面エネルギー性物質を、真空蒸着、スパッタリング等
乾式薄膜形成方法で形成された酸化物被膜が形成され
た眼鏡レンズの表面に接触させ、該レンズの表面上に低
表面エネルギー性被膜を形成することを特徴とする表面
処理された眼鏡レンズの製造方法。特に、プラズマ雰囲
気下で上記処理を行なうことにより、より優れた表面特
性とその安定性が得られる。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の表面処理方法の実施例を示
す説明図である。真空排気ポンプ43が取り付けられた
真空槽41(減圧処理室)内には、ホルダ51に支持さ
れた眼鏡レンズ53が収納されている。真空槽41の外
部には、ヒータ13を具え付けた容器11内に低表面エ
ネルギー性物質15が充填されている。この容器11か
らは、バルブ21を介して配管17が真空槽41内まで
延設されており、配管17は真空槽41内で開口してい
る。
【0012】真空槽41内には、リング状の放電電極4
5が真空槽41から絶縁されて配設されており、この放
電電極45に整合器49を介して電力供給用の高周波電
源47が接続されている。なお、放電電極45の形状は
特に限定されず、また、高周波電源の代りに直流電源を
用いてもよい。真空槽41内には、放電用ガスを導入す
べく、バルブ23を介してガスボンベ25が接続されて
いる。
【0013】低表面エネルギー性物質としては、フッ素
原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有
する有機物、ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ
素化合物等が使用でき、その具体例を挙げれば、以下の
通りである。なお、本発明でフルオロアルキル基とは、
炭素鎖長中に二重結合を含むもの、下記のジカルボン酸
のように2以上の置換基が結合したものも包含する。
【0014】(1) 化2で表わされるフルオロアルキ
ルシラン
【化2】
【0015】(2) 化3で表わされるアルカン
【化3】CF2(CF)2nCF3 (n:1以上の整数)
【0016】(3) 化4で表わされるカルボン酸
【化4】CF3(CF2)nCOOH (n:1以上の整数) ジカルボン酸 HOOC(CF2)nCOOH (n:1以上の整数) 脂環式カルボン酸
【0017】(4) 上記カルボン酸の低級(炭素数1
〜3)アルキルエステル (5) 上記カルボン酸の酸アミド (6) 化5で表わされるアルコール、化6で表わされ
るジオール
【0018】
【化5】CF3(CF2)n(CH2)mOH (m,n:1以上の整数)
【0019】
【化6】HOH2C(CF2)n(CH2)mOH (m,n:1以上の整数)
【0020】(7) 化7で表わされるアミン
【化7】CF3(CF2)n(CH2)mNH2 (m,n:1以上の整数)
【0021】(8) 化8で表わされるジメチルシロキ
サン、変性ジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物
【化8】
【0022】フッ素原子を有する有機化合物としては、
フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有する
アルカン、カルボン酸、アルコール、アミン等が好まし
い。例を挙げると、フルオロアルキルシランとしては、
ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロ
デシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,
1,2,2−テトラハイドロトリクロロシラン;フルオ
ロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオ
ロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、
パーフルオロ−n−ヘキサン、パーフルオロ−n−ヘプ
タン、テトラデカフルオロ−2−メチルペンタン、パー
フルオロドデカン、パーフルオロエイコサン;フルオロ
アルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロ
デカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル
基を有するアルコールとしては3,3,4,4,5,
5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール;フルオロ
アルキル基を有するアミンとしてはヘプタデカフルオロ
−1,1,2,2,−テトラハイドロデシルアミン等が
挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ
素化合物の例を挙げると、α,ω−ビス(3−アミノプ
ロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−
グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,
ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げら
れる。
【0023】本発明では、図1に示された装置による表
面処理に先立って、眼鏡レンズの表面に酸化物の薄膜を
形成する。薄膜形成は、真空蒸着、スパッタリング等の
乾式薄膜形成法により行なう。形成される酸化物薄膜
は、低表面性エネルギー被膜の下地膜として機能するも
のであり、膜厚は特に限定されないが10〜130nm
程度で十分である。
【0024】酸化物としては、酸化ケイ素(SiOx 、
典型的にはSiO2 )が好ましいが、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、アルミナなどの無機化合物が使用でき
る。
【0025】眼鏡レンズの表面材質としては、ガラス、
各種プラスチック、MgF等のフッ化物、窒化物、カ
ルコケン化物等の硫化物、炭化物、硼化物等の酸化物以
外の化合物などが挙げられる。
【0026】反射防止膜が形成された眼鏡レンズのよう
に、本発明によって酸化物薄膜が形成されることによっ
て特性に影響を受けるおそれのあるものの場合は、本発
明の酸化物薄膜を極力薄く形成することによりその影響
を最小限に抑えることが望ましい。
【0027】また、予め下地用酸化物薄膜が形成される
ことを見込んで、反射防止膜の膜設計をすることもでき
る。下記の表1に示したガラスレンズ(ガラスの屈折率
1.52)に示した反射防止膜の反射特性は図2に示し
た通りである。
【0028】
【表1】
【0029】このガラスレンズは、前述の通り、表面が
MgF2 であるため表面処理による表面特性の改質効果
が不十分であるが、予め最上層(表面側)のMgF2
光学膜厚nd(屈折率×幾何学的膜厚)を130nmか
ら104nmに減少させ、この上に下地膜としてSiO
2 をnd=22nmで形成すれば、この光学的効果によ
り、図2に示したものと同様の反射防止特性が得られ
る。下地層も含めた最終的な膜構成は以下表2の通りで
ある。
【0030】
【表2】
【0031】表面処理に際しては、真空排気ポンプ43
により真空槽41内を所定の真空度まで排気したのち、
低表面エネルギー性物質15を気化せしめて真空槽41
に導入し真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源4
7から放電電極45に電力を供給してRFグロー放電を
起こさせ、プラズマ雰囲気下に、予め表面に酸化物薄膜
が形成された眼鏡レンズ53を表面処理して、眼鏡レン
53上に低表面エネルギー性物質の被膜を形成する。
【0032】低表面エネルギー性物質15の気化・供給
は、バルブ21を開とし、必要によりヒータ13により
容器11内の低表面エネルギー性物質15を加熱し、こ
の加熱温度・バルブ23の開度、真空槽41の圧力(真
空度)を調整することによりコントロールでき、真空槽
41内に必要量の低表面エネルギー性物質15を導入す
ることができる。なお、図示を省略してあるが、配管内
で低表面エネルギー性物質が凝結しないように、配管を
シースヒータ等で加熱することが望ましい。
【0033】真空雰囲気(放電雰囲気)の調整は、真空
排気ポンプ43の排気量とバルブ23との開度によって
も調整できる。必要に応じてバルブ23を介してガスボ
ンベ25からアルゴン、窒素、酸素などを真空槽41内
に導入して、真空槽41内を所定の圧力とすることもで
きる。放電時の真空槽圧力としては1×10-4〜10T
orr程度が好ましく、また、放電電力は、数百ワット
以下で十分である。
【0034】なお、放電電極によるプラズマ形成以外の
他の手段、例えば、イオン銃によりイオンビームを被処
理物体に照射することによっても、プラズマ雰囲気での
表面処理を実現できる。
【0035】例えば、フルオロアルキルトリメトキシシ
ラン(Rf−Si(OCH,Rf=CF(CF
CHCH)を用いた場合は、図3のように、
真空槽41内あるいは眼鏡レンズ53の表面に存在する
水とフルオロアルキルシランの官能基とが反応してヒド
ロキシシリル化合物となり、これが酸化物薄膜が形成さ
れた眼鏡レンズの表面の−OH基と縮合して表面上にR
f−Si基が化学的に固定される。また、隣り合うRf
−Si基間の間でも縮合が起こり、Rf−Si基が網目
状に結合して被膜を形成する。すなわち、HOは、反
応助剤として作用することになる。ここで、眼鏡レンズ
の表面の−OH基は、一般に物体表面に単分子吸着した
水分子に基づく−OHと、酸化物薄膜の素材自体がもつ
−OH基が関与すると考えられる。なお本発明で官能基
とは、反応により最終的に物体表面に作用する官能基と
なる、アルコキシシリル基のような言わば官能基前駆体
をも含む概念である。
【0036】このようにRf−Si基を有する被膜が表
面に形成されることにより、フルオロアルキル基の有す
る優れた性質が物体の表面に付与されて極めて低いエネ
ルギー表面となり、撥水性、撥油性、防汚性、潤滑性、
離型性などが表面に付与される。さらにこの実施例で
は、眼鏡レンズ53の表面がプラズマに曝されつつ被膜
が形成されるので、得られた低表面エネルギー性被膜
は、撥水性、非汚染性等の低表面エネルギー性特性、付
着強度、耐薬品性等の強度および安定性に優れている。
【0037】また、放電電極によりプラズマを生じせし
めることなく、単に、気化した低表面エネルギー性物質
を被処理物体に真空槽内で接触せしめることによって
も、同様に被処理物体の表面に低表面エネルギー性被膜
を形成できる。この場合は、撥水性等の低表面エネルギ
ー特性、付着強度、耐薬品性等の安定性の点で上述のプ
ラズマ法より特性が劣るが、求められる品質、用途に応
じて十分使用できる。
【0038】低表面エネルギー性被膜の膜厚は、100
オングストローム以下で十分であり、好ましくは20オ
ングストローム以下である。この程度の膜厚であれば、
眼鏡レンズに適用した場合でも、光学的障害とならな
い。
【0039】ガラスあるいはプラスチック製の眼鏡レン
ズを表面処理して撥水処理、汚れ防止を施すことができ
眼鏡レンズにおいては、各被処理物体がホルダに入
れられて薄膜形成されるので、このホルダに入れた状態
のまま本発明の表面処理を実施することができ、作業性
が良好である。また、超音波洗浄機等の洗浄機の洗浄治
具に入れたまま処理することもできる。
【0040】表面処理に使用する低表面エネルギー性物
質15を使い切った場合は、バルブ21を閉じて低表面
エネルギー性物質15を容器11に補給したり、容器1
1ごと交換することができ、真空槽41の真空雰囲気を
破ったり、真空槽41内で作業する必要がない。
【0041】よって、補充・交換作業が極めて容易であ
り、また、表面処理用真空槽の前段および後段にそれぞ
れ予備排気室(搬入室)および取出室を設けて連続処理
するのに適している。
【0042】図4は、眼鏡レンズの連続薄膜形成装置に
本発明の表面処理方法を組み合わせた実施例を示す説明
図である。ホルダ55にセットして予備排気室61から
薄膜形成室63に送られ、薄膜形成室63で真空蒸着、
スパッタリングなどにより薄膜形成された眼鏡レンズ
(図示を省略)は、取出室65に送られる。ここで、前
述のように、薄膜の最上層がMgFの場合は、その一
部をSiOで置き換える。67はゲートバルブを示
す。本発明の表面処理方法は、薄膜形成ほどの真空度や
基板加熱を必ずしも要求されないので、この取出室65
に表面処理剤として低表面エネルギー性物質15を供給
し、取出室65での滞留時間を利用して表面処理を施す
ことができる。なお、この表面処理の詳細は、図1に示
した通りである。
【0043】図5は、本発明の表面処理方法のさらに他
の実施例を示す説明図である。眼鏡レンズ53が置かれ
た処理室81内には、低表面エネルギー性物質15が供
給されて、眼鏡レンズ53に表面処理が施される。ヒー
タ13を具えた容器11内には低表面エネルギー性物質
15が入れられており、低表面エネルギー性物質15は
ガスでバブリングされ、このNガスに同伴されて
配管から処理室81内に送られる。低表面エネルギー性
物質15が水と反応して分解しやすい物質のときは、乾
燥空気、乾燥窒素のような乾燥ガスに同伴させる。バブ
リング量、ヒータ13による加熱の程度などを制御する
ことにより、低表面エネルキー性物質15の供給量を調
整できる。
【0044】処理室81は、真空排気する必要がなく、
常圧で表面処理が行なえる。図5ではブロア83により
処理室81を排気する場合を示しているが、これを省略
することもできる。
【0045】実験例 図1に示した方法に準拠して、前述の表2に示した膜構
成のガラス製眼鏡レンズの表面処理(撥水処理・汚れ防
止)を行なった。ガラス製眼鏡レンズをホルダに入れ真
空槽41内にセットし、ロータリーポンプと油拡散ポン
プを組み合わせた真空排気ポンプ43により、真空槽4
1内を1×10−5Torr以下まで排気した。
【0046】低表面エネルギー物質15としては、(ヘ
プタデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシ
ル)−1−トリメトキシシラン(信越化学工業(株)
製、KBM7803)を用い、容器11に充填した。
【0047】ヒータ13により、容器内を90℃に加熱
し、バルブ21を開とし、真空槽41内を真空排気ポン
プ43で排気しつつ、真空槽41内の真空度が4〜9×
10-4Torrとなるようにバルブ23の開度を調整し
て、真空槽41内にフルオロアルキルシランを導入する
とともに、放電電極45に100Wの高周波電力(周波
数13.56MHz)を供給して高周波プラズマを発生
させ、約15秒間表面処理をした。その後バルブ23を
閉じて処理を終了し、真空槽41をリークした。
【0048】得られた低表面エネルギー性被膜が形成さ
れた眼鏡レンズの表面に水滴を落として接触角を測定し
た。また、0.001規定のNaOHの水溶液に6時間
浸漬する耐薬品テストを行ない、テスト後の接触角を測
定し、以上の結果を表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】さらに、温水テスト、耐酸テストを行なっ
たが、同様に変化が少なく、安定して大きな接触角が維
持された。
【0051】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、表面処理剤として低表
面エネルギー性物質を気化せしめ、予め真空蒸着、スパ
ッタリング等の乾式薄膜形成方法で酸化物薄膜が下地膜
として形成された眼鏡レンズの表面と接触させて表面上
に低表面エネルギー性被膜を形成することにより、乾式
法で簡単に、眼鏡レンズの表面に高い撥水性等を付与す
ることができ、しかも得られた低表面エネルギー性被膜
が安定である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法の実施例を示す説明図で
ある。
【図2】反射防止膜の分光反射特性を示すグラフであ
る。
【図3】フルオロアルキルシランによる表面処理の機構
を示す説明図である。
【図4】本発明の表面処理方法の他の実施例を示す説明
図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
11 容器 13 ヒータ 15 低表面エネルギー性物質 17 配管 21 バルブ 23 バルブ 25 ガスボンベ 41 真空槽 43 真空排気ポンプ 45 放電電極 47 高周波電源 49 整合器 51 ホルダ 53 眼鏡レンズ 55 ホルダ 61 予備排気室 63 薄膜形成室 65 取出室 67 ケートバルブ 81 処理室 83 ブロア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 7/00 306 C08J 7/00 306 G02B 1/10 G02B 1/10 Z (72)発明者 蛭田 八代栄 東京都品川区南大井3丁目2番6号 株 式会社シンクロン内 (72)発明者 小田切 耀 東京都品川区南大井3丁目2番6号 株 式会社シンクロン内 (72)発明者 加藤 宏太郎 栃木県那須郡烏山町大字興野1956−3 株式会社那須ニコン内 (72)発明者 新野 一司 栃木県那須郡烏山町大字興野1956−3 株式会社那須ニコン内 (72)発明者 木村 文人 栃木県那須郡烏山町大字興野1956−3 株式会社那須ニコン内 (56)参考文献 特開 昭63−135435(JP,A) 特開 昭59−1505(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06 G02B 1/10 C03C 17/28,17/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素を有する低表面エネルギー性物質
    を気化せしめ、該フッ素を有する気化した低表面エネル
    ギー性物質を、真空蒸着、スパッタリング等の乾式薄膜
    形成方法で形成された酸化物被膜が形成された眼鏡レン
    ズの表面に接触させ、 該レンズの表面上に低表面エネルギー性被膜を形成する
    ことを特徴とする表面処理された眼鏡レンズの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記酸化物被膜が形成された眼鏡レンズ
    の表面を、Rf放電により形成されたプラズマ雰囲気に
    曝し、前記低表面エネルギー性物質を前記眼鏡レンズの
    表面に接触させる、請求項1に記載の眼鏡レンズの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記低表面エネルギー性被膜が、Rf−
    Si基(Rfは、フルオロアルキル基)を有する請求項
    1又は2に記載の表面処理された眼鏡レンズの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記低表面エネルギー性被膜の膜厚が、
    100Å以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の表面処理された眼鏡レンズの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記低表面エネルギー性被膜が、前記酸
    化物被膜表面の−OH基と反応している請求項1〜4の
    いずれか一項に記載の表面処理された眼鏡レンズの製造
    方法。
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