JPH1143762A - 表面処理装置及びそれを用いた低表面エネルギー皮膜 - Google Patents
表面処理装置及びそれを用いた低表面エネルギー皮膜Info
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- JPH1143762A JPH1143762A JP20036197A JP20036197A JPH1143762A JP H1143762 A JPH1143762 A JP H1143762A JP 20036197 A JP20036197 A JP 20036197A JP 20036197 A JP20036197 A JP 20036197A JP H1143762 A JPH1143762 A JP H1143762A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】湿式法の問題点である環境性、安全性の欠点を
解消する乾式法による表面処理において、より優れた表
面特性の低表面エネルギー皮膜とそれを形成するための
表面処理装置の提供にある。 【解決手段】真空排気ポンプ9等が接続された真空槽
1、低表面エネルギー物質4を気化する手段と、気化さ
れた該低表面エネルギー物質4を真空槽1に導入する導
入手段と、更に前記真空槽1内をプラズマ雰囲気とする
放電電極10等プラズマ発生手段を付加してなるもの
で、前記低表面エネルギー物質4を気化する手段が15
0℃〜450℃の範囲で加熱可能なヒータ6を備えた容
器2からなる表面処理装置20を用いて、蒸発温度が1
50℃〜450℃の低表面エネルギー物質を加熱、気化
せしめ、該気化された低表面エネルギー物質を被処理基
材8の表面に接触せしめてなる低表面エネルギー被膜と
したものである。
解消する乾式法による表面処理において、より優れた表
面特性の低表面エネルギー皮膜とそれを形成するための
表面処理装置の提供にある。 【解決手段】真空排気ポンプ9等が接続された真空槽
1、低表面エネルギー物質4を気化する手段と、気化さ
れた該低表面エネルギー物質4を真空槽1に導入する導
入手段と、更に前記真空槽1内をプラズマ雰囲気とする
放電電極10等プラズマ発生手段を付加してなるもの
で、前記低表面エネルギー物質4を気化する手段が15
0℃〜450℃の範囲で加熱可能なヒータ6を備えた容
器2からなる表面処理装置20を用いて、蒸発温度が1
50℃〜450℃の低表面エネルギー物質を加熱、気化
せしめ、該気化された低表面エネルギー物質を被処理基
材8の表面に接触せしめてなる低表面エネルギー被膜と
したものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低表面エネルギー
物質を用いて、プラスチック、ガラス、セラミック、金
属、繊維などの基材の表面に防汚性、撥水生等を付与す
る表面処理装置に関するものである。
物質を用いて、プラスチック、ガラス、セラミック、金
属、繊維などの基材の表面に防汚性、撥水生等を付与す
る表面処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、基材の表面に撥水性、撥油性、離
型性、防汚性、潤滑性を付与するために湿式法による加
工が多く用いられ、デッピング、スピンコーティング、
スプレー等によりフッ素系やシリコン系化合物で代表さ
れる低表面エネルギー物質を物品に塗布、乾燥する処理
方法が一般的であった。しかし、湿式法による加工で
は、塗布後の物品の洗浄や撥水処理剤の希釈に溶剤(溶
媒)が用いられる。多くの場合、低表面エネルギー物質
の撥水性に由来して、溶剤としてフロン、アルコール類
を用いるため、環境対策あるいは消防上の安全対策が必
要で作業性に問題があった。
型性、防汚性、潤滑性を付与するために湿式法による加
工が多く用いられ、デッピング、スピンコーティング、
スプレー等によりフッ素系やシリコン系化合物で代表さ
れる低表面エネルギー物質を物品に塗布、乾燥する処理
方法が一般的であった。しかし、湿式法による加工で
は、塗布後の物品の洗浄や撥水処理剤の希釈に溶剤(溶
媒)が用いられる。多くの場合、低表面エネルギー物質
の撥水性に由来して、溶剤としてフロン、アルコール類
を用いるため、環境対策あるいは消防上の安全対策が必
要で作業性に問題があった。
【0003】そこで、最近、溶剤を用いない乾式法、例
えば真空蒸着法、CVD(ChemicalVapore Depositio
n)法などの手法による撥水処理加工法が、例えば特開
平6−122778号公報などに提案され、実用化され
ている。この提案は、真空排気した処理室に、気化させ
た低表面エネルギー物質を導入し、プラズマ雰囲気下に
おいて被処理物体の表面に気化した低表面エネルギー物
質を接触せしめ、被処理物体の表面上に低表面エネルギ
ー被膜を形成する方法である。この乾式法を用いればフ
ロンやアルコール類等の溶媒を全く使用せずに撥水処理
加工等ができ、環境問題や危険物問題がなく、作業性に
優位な方法である。
えば真空蒸着法、CVD(ChemicalVapore Depositio
n)法などの手法による撥水処理加工法が、例えば特開
平6−122778号公報などに提案され、実用化され
ている。この提案は、真空排気した処理室に、気化させ
た低表面エネルギー物質を導入し、プラズマ雰囲気下に
おいて被処理物体の表面に気化した低表面エネルギー物
質を接触せしめ、被処理物体の表面上に低表面エネルギ
ー被膜を形成する方法である。この乾式法を用いればフ
ロンやアルコール類等の溶媒を全く使用せずに撥水処理
加工等ができ、環境問題や危険物問題がなく、作業性に
優位な方法である。
【0004】しかし、上記提案により形成される低表面
エネルギー被膜は、その用途にもよるが、防汚性や撥水
性あるいは耐久性に必ずしも満足のいけるものではなか
った。これは、気化される低表面エネルギー物質が液状
で、蒸発温度が低い物質に適用できるものであり、この
種の物質は概して防汚性や撥水性あるいは耐久性にやや
難があるものであった。
エネルギー被膜は、その用途にもよるが、防汚性や撥水
性あるいは耐久性に必ずしも満足のいけるものではなか
った。これは、気化される低表面エネルギー物質が液状
で、蒸発温度が低い物質に適用できるものであり、この
種の物質は概して防汚性や撥水性あるいは耐久性にやや
難があるものであった。
【0005】そこで発明者らは鋭意検討を重ねた結果、
気化される低表面エネルギー物質として、蒸発温度が比
較的高いものが特に防汚性や耐久性に優れていること見
いだした。
気化される低表面エネルギー物質として、蒸発温度が比
較的高いものが特に防汚性や耐久性に優れていること見
いだした。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決するものであり、その課題とすると
ころは、従来の湿式法による問題点である環境性、安全
性の欠点を解消し、乾式法による表面処理をさらに一歩
進め、より優れた表面特性の低表面エネルギー皮膜とそ
れを形成するための表面処理装置の提供にある。
技術の問題点を解決するものであり、その課題とすると
ころは、従来の湿式法による問題点である環境性、安全
性の欠点を解消し、乾式法による表面処理をさらに一歩
進め、より優れた表面特性の低表面エネルギー皮膜とそ
れを形成するための表面処理装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に於いて上記課題
を達成するために、まず請求項1の発明では、真空排気
装置が接続された減圧処理室と、低表面エネルギー物質
を気化する手段と、気化された該低表面エネルギー物質
を減圧処理室内に導入する導入手段とを備えてなること
を特徴とする表面処理装置としたものである。
を達成するために、まず請求項1の発明では、真空排気
装置が接続された減圧処理室と、低表面エネルギー物質
を気化する手段と、気化された該低表面エネルギー物質
を減圧処理室内に導入する導入手段とを備えてなること
を特徴とする表面処理装置としたものである。
【0008】また、請求項2の発明では、前記減圧処理
室内をプラズマ雰囲気とするプラズマ発生手段を付加し
てなることを特徴とする表面処理装置としたものであ
る。
室内をプラズマ雰囲気とするプラズマ発生手段を付加し
てなることを特徴とする表面処理装置としたものであ
る。
【0009】また、請求項3の発明では、前記低表面エ
ネルギー物質を気化する手段が150℃〜450℃の範
囲で加熱可能なヒータを備えた容器からなることを特徴
とする表面処理装置としたものである。
ネルギー物質を気化する手段が150℃〜450℃の範
囲で加熱可能なヒータを備えた容器からなることを特徴
とする表面処理装置としたものである。
【0010】また、請求項4の発明では、前記請求項
1、2または3の発明の表面処理装置を用いて、蒸発温
度が150℃〜450℃の低表面エネルギー物質を加
熱、気化せしめ、該気化された低表面エネルギー物質を
被処理基材の表面に接触せしめてなることを特徴とする
低表面エネルギー被膜としたものである。
1、2または3の発明の表面処理装置を用いて、蒸発温
度が150℃〜450℃の低表面エネルギー物質を加
熱、気化せしめ、該気化された低表面エネルギー物質を
被処理基材の表面に接触せしめてなることを特徴とする
低表面エネルギー被膜としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。本発明の表面処理装置は、真空排気装置が接続され
た減圧処理室と、低表面エネルギー物質を気化する手段
と、気化された該低表面エネルギー物質を減圧処理室内
に導入する導入手段とを備えてなるものであり、その一
実施の形態例は、図1に示すように、その真空排気装置
が接続された減圧処理室としては、真空排気ポンプ
(9)が取り付けられた真空槽(1)からなり、その内
部には、被処理基材(8)が収納されている。
る。本発明の表面処理装置は、真空排気装置が接続され
た減圧処理室と、低表面エネルギー物質を気化する手段
と、気化された該低表面エネルギー物質を減圧処理室内
に導入する導入手段とを備えてなるものであり、その一
実施の形態例は、図1に示すように、その真空排気装置
が接続された減圧処理室としては、真空排気ポンプ
(9)が取り付けられた真空槽(1)からなり、その内
部には、被処理基材(8)が収納されている。
【0012】また、上記の低表面エネルギー物質を気化
する手段としては、図1に示すように、この真空槽
(1)の内部もしくは外部に容器(2)を備え、その容
器(2)の周囲に容器ヒータ(3)を備えてなるもので
あり、請求項3の発明である150℃から450℃の範
囲で加熱可能としたものである。そして、この容器
(2)内に請求項4の発明である蒸発温度が150℃か
ら450℃の低表面エネルギー物質(4)が充填されて
いる。この場合、容器(2)は、真空槽(1)の内部に
あっても外部にあっても構わないが、高温であるため断
熱効果や接触による危険性を考えれば真空槽(1)内に
あるほうが望ましい。
する手段としては、図1に示すように、この真空槽
(1)の内部もしくは外部に容器(2)を備え、その容
器(2)の周囲に容器ヒータ(3)を備えてなるもので
あり、請求項3の発明である150℃から450℃の範
囲で加熱可能としたものである。そして、この容器
(2)内に請求項4の発明である蒸発温度が150℃か
ら450℃の低表面エネルギー物質(4)が充填されて
いる。この場合、容器(2)は、真空槽(1)の内部に
あっても外部にあっても構わないが、高温であるため断
熱効果や接触による危険性を考えれば真空槽(1)内に
あるほうが望ましい。
【0013】また、上記の気化された低表面エネルギー
物質を導入する導入手段としては、図1に示すように、
この容器(2)からバルブ(7)を介して配管ヒータ
(6)で熱せられた配管(5)が真空槽(1)内へと延
びており、配管(5)は真空槽(1)内で開口してい
る。この導入配管(5)を容器(2)よりも高温に加熱
可能な配管ヒータ(6)としてあるものである。
物質を導入する導入手段としては、図1に示すように、
この容器(2)からバルブ(7)を介して配管ヒータ
(6)で熱せられた配管(5)が真空槽(1)内へと延
びており、配管(5)は真空槽(1)内で開口してい
る。この導入配管(5)を容器(2)よりも高温に加熱
可能な配管ヒータ(6)としてあるものである。
【0014】また、請求項2の発明では、上記の表面処
理装置に前記減圧処理室内をプラズマ雰囲気とするプラ
ズマ発生手段を付加してなるものであり、その一実施の
形態例として、図2に示すように、低表面エネルギー物
質(4)で被処理基材(8)を表面処理する際に真空槽
(1)内をプラズマ雰囲気下にさらして処理するもので
ある。この場合、プラズマ発生手段として、真空槽
(1)内にリング状の放電電極(10)が真空槽(1)
から絶縁して設置されており、この放電電極(10)に
整合器(11)を介して電力供給用の高周波電源(1
2)が設置されてなるものである。なお放電電極(1
0)の形状は特に限定されるものではない。
理装置に前記減圧処理室内をプラズマ雰囲気とするプラ
ズマ発生手段を付加してなるものであり、その一実施の
形態例として、図2に示すように、低表面エネルギー物
質(4)で被処理基材(8)を表面処理する際に真空槽
(1)内をプラズマ雰囲気下にさらして処理するもので
ある。この場合、プラズマ発生手段として、真空槽
(1)内にリング状の放電電極(10)が真空槽(1)
から絶縁して設置されており、この放電電極(10)に
整合器(11)を介して電力供給用の高周波電源(1
2)が設置されてなるものである。なお放電電極(1
0)の形状は特に限定されるものではない。
【0015】また、高周波電源(12)の代わりに直流
電源を用いてもよい。真空槽(1)内には、放電用ガス
を導入するべく、ガス用バルブ(13)を介してガスボ
ンベ(14)が接続してある。
電源を用いてもよい。真空槽(1)内には、放電用ガス
を導入するべく、ガス用バルブ(13)を介してガスボ
ンベ(14)が接続してある。
【0016】以上の表面処理装置に適用される低表面エ
ネルギー物質(4)としては、フッ素原子を有する有機
化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機化合物、
ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が
挙げられ、その具体例を挙げれば以下の通りである。な
お本発明でフルオロアルキル基とは、炭素鎖長中に二重
結合を含むもの、下記のジカルボン酸のように2以上の
置換基が結合したものも包含する。 (1)化1で表されるフルオロアルキルシラン (2)化1で表されるフルオロアルキルシランのオリゴ
マー (3)化2で表されるアルカン (4)化3で表される脂環式カルボン酸 (5)上記カルボン酸の低級(炭素数1〜3)アルキル
エステル (5)上記カルボン酸の酸アミド (7)化4で表されるアルコール、化5で表されるジオ
ール (8)化6で表されるアミン (9)化7で表されるジメチルシロキサン、変性ジメチ
ルシロキサン等のシリコーン系化合物
ネルギー物質(4)としては、フッ素原子を有する有機
化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機化合物、
ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が
挙げられ、その具体例を挙げれば以下の通りである。な
お本発明でフルオロアルキル基とは、炭素鎖長中に二重
結合を含むもの、下記のジカルボン酸のように2以上の
置換基が結合したものも包含する。 (1)化1で表されるフルオロアルキルシラン (2)化1で表されるフルオロアルキルシランのオリゴ
マー (3)化2で表されるアルカン (4)化3で表される脂環式カルボン酸 (5)上記カルボン酸の低級(炭素数1〜3)アルキル
エステル (5)上記カルボン酸の酸アミド (7)化4で表されるアルコール、化5で表されるジオ
ール (8)化6で表されるアミン (9)化7で表されるジメチルシロキサン、変性ジメチ
ルシロキサン等のシリコーン系化合物
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】以上の表面処理装置(20)と低表面エネ
ルギー物質(4)を用いて表面処理を行うに際しては、
まず図1に示す真空排気ポンプ(9)により真空槽
(1)内を所定の真空度まで排気した後、低表面エネル
ギー物質(4)を加熱、気化させて、配管ヒータ(6)
で加熱された配管(5)を介して真空槽(1)内に導入
して被処理基材(8)を表面処理し、被処理基材(8)
上に本発明の低表面エネルギー物質の被膜を形成するも
のである。
ルギー物質(4)を用いて表面処理を行うに際しては、
まず図1に示す真空排気ポンプ(9)により真空槽
(1)内を所定の真空度まで排気した後、低表面エネル
ギー物質(4)を加熱、気化させて、配管ヒータ(6)
で加熱された配管(5)を介して真空槽(1)内に導入
して被処理基材(8)を表面処理し、被処理基材(8)
上に本発明の低表面エネルギー物質の被膜を形成するも
のである。
【0025】この低表面エネルギー物質(4)の供給は
バルブ(7)を開とし、容器ヒータ(3)で容器(2)
内の低表面エネルギー物質(4)を蒸発温度まで加熱
し、真空槽(1)内へ気化された低表面エネルギー物質
(4)を導入する。この際、配管(5)内で低表面エネ
ルギー物質(4)が凝結しないように、配管(5)を配
管ヒータ(6)で加熱する必要がある。凝結を防ぐため
には配管(5)の温度は容器(2)の温度よりも高い温
度に設定する必要がある。
バルブ(7)を開とし、容器ヒータ(3)で容器(2)
内の低表面エネルギー物質(4)を蒸発温度まで加熱
し、真空槽(1)内へ気化された低表面エネルギー物質
(4)を導入する。この際、配管(5)内で低表面エネ
ルギー物質(4)が凝結しないように、配管(5)を配
管ヒータ(6)で加熱する必要がある。凝結を防ぐため
には配管(5)の温度は容器(2)の温度よりも高い温
度に設定する必要がある。
【0026】また、図2に示すように、高周波電源(1
2)から放電電極(10)に電力を供給してRFグロー放
電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に被処理基材(8)を
さらして表面処理をすることも可能である。この場合、
放電時の真空槽の圧力としては1×10-4〜10Torr程
度が好ましく、放電電力は数百ワット以下で十分であ
る。
2)から放電電極(10)に電力を供給してRFグロー放
電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に被処理基材(8)を
さらして表面処理をすることも可能である。この場合、
放電時の真空槽の圧力としては1×10-4〜10Torr程
度が好ましく、放電電力は数百ワット以下で十分であ
る。
【0027】また、必要に応じてガス用バルブ(13)
を介してガスボンベ(14)からアルゴン、窒素、酸素
などを真空槽(1)内に導入して、真空槽(1)内を所
定の圧力とすることもできる。
を介してガスボンベ(14)からアルゴン、窒素、酸素
などを真空槽(1)内に導入して、真空槽(1)内を所
定の圧力とすることもできる。
【0028】なお、放電電極(10)によるプラズマ形
成以外の他の手段、例えば、イオン銃によりイオンビー
ムを被処理基材(8)照射することも可能である。
成以外の他の手段、例えば、イオン銃によりイオンビー
ムを被処理基材(8)照射することも可能である。
【0029】上記表面処理装置(20)で得られる低表
面エネルギー皮膜の膜厚は、100オングストローム以
下で十分であり、好ましくは50オングストローム以下
である。この程度であれば、被処理基材(8)を光学部
材に適用した場合でも、光学的障害とはならない。
面エネルギー皮膜の膜厚は、100オングストローム以
下で十分であり、好ましくは50オングストローム以下
である。この程度であれば、被処理基材(8)を光学部
材に適用した場合でも、光学的障害とはならない。
【0030】被処理基材(8)としては、ガラス、セラ
ミック、金属、プラスチック、繊維などの各種材質の物
品を表面処理することができ、代表的な例として、LC
D等のディスプレー表面の反射防止フィルムなどの表面
に撥水・撥油性、防汚性を施すことが挙げられる。
ミック、金属、プラスチック、繊維などの各種材質の物
品を表面処理することができ、代表的な例として、LC
D等のディスプレー表面の反射防止フィルムなどの表面
に撥水・撥油性、防汚性を施すことが挙げられる。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例により、さらに具体的に
説明する。 <実施例1>図1に示した表面処理装置(20)を用い
て、プラスチックフィルムの表面処理(防汚処理)を行
った。被処理基材(8)として、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムにSiO2 薄膜を100nm形成したも
のを用いた。被処理基材(8)を真空槽(1)内にセッ
トし、ロータリーポンプとターボ分子ポンプを組み合わ
せた真空排気ポンプ(9)により真空槽(1)内を1×
10-5Torrまで排気した。
説明する。 <実施例1>図1に示した表面処理装置(20)を用い
て、プラスチックフィルムの表面処理(防汚処理)を行
った。被処理基材(8)として、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムにSiO2 薄膜を100nm形成したも
のを用いた。被処理基材(8)を真空槽(1)内にセッ
トし、ロータリーポンプとターボ分子ポンプを組み合わ
せた真空排気ポンプ(9)により真空槽(1)内を1×
10-5Torrまで排気した。
【0032】低表面エネルギー物質(4)としては、フ
ルオロアルキルシランを用い、容器(2)に充填した。
ルオロアルキルシランを用い、容器(2)に充填した。
【0033】続いて真空槽(1)内を真空排気ポンプ
(9)で排気しつつ、容器ヒータ(3)により容器
(2)内を250℃に加熱し、バルブ(7)を開とし、
真空槽(1)内に気化されたフルオロアルキルシランを
導入して15秒間表面処理をした。その後バルブ(7)を
閉じて処理を終了し、真空槽(1)をリークした。
(9)で排気しつつ、容器ヒータ(3)により容器
(2)内を250℃に加熱し、バルブ(7)を開とし、
真空槽(1)内に気化されたフルオロアルキルシランを
導入して15秒間表面処理をした。その後バルブ(7)を
閉じて処理を終了し、真空槽(1)をリークした。
【0034】このようにフロオロアルキルシランで処理
されたフィルムは処理前後で反射率の分光特性に特に変
化が認められなかった。目的の撥水性、撥油性を評価す
るために、接触角計(協和界面化学社製、CA-D型)を用
い、室温下で直径2mmの液滴を針先に作り、純粋およ
びn−ヘキサデカンに対する静止接触角を測定した。ま
た、#0000のスチールウールを用い、1.5kgの荷重下
で処理面を50回擦る耐久試験を行い、テスト後の接触
角を測定した。以上の結果を表1に示す。
されたフィルムは処理前後で反射率の分光特性に特に変
化が認められなかった。目的の撥水性、撥油性を評価す
るために、接触角計(協和界面化学社製、CA-D型)を用
い、室温下で直径2mmの液滴を針先に作り、純粋およ
びn−ヘキサデカンに対する静止接触角を測定した。ま
た、#0000のスチールウールを用い、1.5kgの荷重下
で処理面を50回擦る耐久試験を行い、テスト後の接触
角を測定した。以上の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。即ち、真空排気装置が接続された
減圧処理室と、該減圧処理室内をプラズマ雰囲気とする
プラズマ発生手段と、低表面エネルギー物質を気化する
手段と、気化された該低表面エネルギー物質を減圧処理
室内に導入する導入手段とを備え、前記低表面エネルギ
ー物質を気化する手段が150℃〜450℃の範囲で加
熱可能なヒータを備えた容器からなる乾式法による表面
処理装置を用いて、蒸発温度が150℃〜450℃の低
表面エネルギー物質を加熱、気化せしめ、該気化された
低表面エネルギー物質を基材の表面に接触せしめてなる
低表面エネルギー被膜としたので、環境性や消防上の安
全性に優位で、被処理基材の表面により高い防汚性、撥
水性、撥油性、潤滑性を付与することができ、かつ、高
耐久性の低表面エネルギー物質の皮膜を得ることができ
る。
示す如き効果がある。即ち、真空排気装置が接続された
減圧処理室と、該減圧処理室内をプラズマ雰囲気とする
プラズマ発生手段と、低表面エネルギー物質を気化する
手段と、気化された該低表面エネルギー物質を減圧処理
室内に導入する導入手段とを備え、前記低表面エネルギ
ー物質を気化する手段が150℃〜450℃の範囲で加
熱可能なヒータを備えた容器からなる乾式法による表面
処理装置を用いて、蒸発温度が150℃〜450℃の低
表面エネルギー物質を加熱、気化せしめ、該気化された
低表面エネルギー物質を基材の表面に接触せしめてなる
低表面エネルギー被膜としたので、環境性や消防上の安
全性に優位で、被処理基材の表面により高い防汚性、撥
水性、撥油性、潤滑性を付与することができ、かつ、高
耐久性の低表面エネルギー物質の皮膜を得ることができ
る。
【0037】また、上記表面処理装置に減圧処理室内を
プラズマ雰囲気とするプラズマ発生手段を付加すること
によって、さらに耐久性の優れた低表面エネルギー物質
の皮膜を得ることができる。
プラズマ雰囲気とするプラズマ発生手段を付加すること
によって、さらに耐久性の優れた低表面エネルギー物質
の皮膜を得ることができる。
【図1】本発明の一実施の形態を側面で表した説明図で
ある。
ある。
【図2】本発明の他の一実施の形態を側面で表した説明
図である。
図である。
1‥‥真空槽 2‥‥容器 3‥‥容器ヒータ 4‥‥低表面エネルギー物質 5‥‥配管 6‥‥配管ヒータ 7‥‥バルブ 8‥‥被処理基材 9‥‥真空排気ポンプ 10‥‥放電電極 11‥‥整合器 12‥‥高周波電源 13‥‥ガス用バルブ 14‥‥ガスボンベ 20‥‥表面処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 弘樹 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】真空排気装置が接続された減圧処理室と、
低表面エネルギー物質を気化する手段と、気化された該
低表面エネルギー物質を減圧処理室内に導入する導入手
段とを備えてなることを特徴とする表面処理装置。 - 【請求項2】前記減圧処理室内をプラズマ雰囲気とする
プラズマ発生手段を付加してなることを特徴とする請求
項1記載の表面処理装置。 - 【請求項3】前記低表面エネルギー物質を気化する手段
が150℃〜450℃の範囲で加熱可能なヒータを備え
た容器からなることを特徴とする請求項1または2記載
の表面処理装置。 - 【請求項4】前記請求項1、2または3に記載の表面処
理装置を用いて、蒸発温度が150℃〜450℃の低表
面エネルギー物質を加熱、気化せしめ、該気化された低
表面エネルギー物質を被処理基材の表面に接触せしめて
なることを特徴とする低表面エネルギー被膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20036197A JPH1143762A (ja) | 1997-07-25 | 1997-07-25 | 表面処理装置及びそれを用いた低表面エネルギー皮膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20036197A JPH1143762A (ja) | 1997-07-25 | 1997-07-25 | 表面処理装置及びそれを用いた低表面エネルギー皮膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1143762A true JPH1143762A (ja) | 1999-02-16 |
Family
ID=16423032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20036197A Pending JPH1143762A (ja) | 1997-07-25 | 1997-07-25 | 表面処理装置及びそれを用いた低表面エネルギー皮膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1143762A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008063594A (ja) * | 2006-09-05 | 2008-03-21 | T & K:Kk | 含フッ素薄膜および該含フッ素薄膜を有する基材の製造方法 |
JP2008229413A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Seiko Epson Corp | 表面処理装置及び方法 |
-
1997
- 1997-07-25 JP JP20036197A patent/JPH1143762A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008063594A (ja) * | 2006-09-05 | 2008-03-21 | T & K:Kk | 含フッ素薄膜および該含フッ素薄膜を有する基材の製造方法 |
JP2008229413A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Seiko Epson Corp | 表面処理装置及び方法 |
JP4697162B2 (ja) * | 2007-03-16 | 2011-06-08 | セイコーエプソン株式会社 | 表面処理装置及び方法 |
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