JPH06122776A - 物体の表面処理方法 - Google Patents
物体の表面処理方法Info
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Abstract
た被処理物体53を、真空槽41内に入れ、真空排気す
る。ヒータ13で容器15内のフルオロアルキルシラン
等の低表面エネルギー性物質15を加熱し、バルブ21
を開けて低表面エネルギー性物質15を真空槽41内に
導き、放電電極45により放電を起こし、プラズマ雰囲
気下に被処理物体53を低表面エネルギー性物質15で
表面処理する。 【効果】 表面がMgF2 のメガネレンズ等の光学部
材、金属などを、溶剤を使わない乾式法で表面処理する
ことにより、物体表面に耐久性に優れた高い撥水性を付
与できる。
Description
ン等の低表面エネルギー性物質を用いて、眼鏡レンズ等
の被処理物体の表面を処理する方法に関する。
ン等の表面処理剤は、非粘着性、耐熱性、耐薬品性、潤
滑性等のフルオロアルキル基の有する優れた性質を具
え、また、官能基(この場合、アルコキシシリル基)の
反応性によりガラス等の被処理物体の表面で反応する。
3
基が被処理物体の表面に固定化されて、基体に撥水性、
撥油性、離型性、防汚性、潤滑性などが付与される。
の表面処理は、フルオロアルキルシランを、芳香族炭化
水素、脂肪族炭化水素、フロン等のハロゲン化炭化水素
などの溶剤で希釈し、この溶液を用いて浸漬法、ハケ塗
り法、スプレー法などにより基体表面に塗布、乾燥する
湿式法により行なっていた。
使用するため、環境対策や防火対策が必要となり、作業
環境も良くなかった。また、光学部品などの傷付きやす
いものを浸漬処理する際には、浸漬用治具に光学部品を
取り付ける必要があり、工程数の増加を招き作業性が悪
かった。
ルオロアルキルシラン等の表面処理剤を気化せしめて、
乾式法により被処理物体の表面処理を行なうことを検討
し、これが可能であることを確認した。
理物体の種類によって、低表面エネルギー特性の付与の
強度、あるいはその安定性に差異があることが判明し
た。この点について更に研究を重ねたところ、被処理物
体の表面が金属である場合、プラスチックそのものであ
る場合、あるいは眼鏡レンズ等において表面に形成され
ている反射防止膜の最上層がMgF2 である場合などに
おいて、表面処理効果が低下することを見い出した。
消し、乾式法による表面処理をさらに一歩進め、被処理
物体の表面材質にかかわらず、優れた表面特性で、かつ
安定して物体の表面を処理することを目的とする。
方法は、低表面エネルギー性物質を気化せしめ、予め表
面に酸化物薄膜が形成された被処理物体の表面に、気化
した低表面エネルギー性物質を接触させ、被処理物体の
表面上に酸化物薄膜を介して低表面エネルギー性被膜を
形成することを特徴とする。特に、プラズマ雰囲気下で
上記処理を行なうことにより、より優れた表面特性とそ
の安定性が得られる。
す説明図である。真空排気ポンプ43が取り付けられた
真空槽41(減圧処理室)内には、ホルダ51に支持さ
れた眼鏡レンズ等の被処理物体53が収納されている。
真空槽41の外部には、ヒータ13を具え付けた容器1
1内に低表面エネルギー性物質15が充填されている。
この容器11からは、バルブ21を介して配管17が真
空槽41内まで延設されており、配管17は真空槽41
内で開口している。
5が真空槽41から絶縁されて配設されており、この放
電電極45に整合器49を介して電力供給用の高周波電
源47が接続されている。なお、放電電極45の形状は
特に限定されず、また、高周波電源の代りに直流電源を
用いてもよい。真空槽41内には、放電用ガスを導入す
べく、バルブ23を介してガスボンベ25が接続されて
いる。
原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有
する有機物、ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ
素化合物等が使用でき、その具体例を挙げれば、以下の
通りである。なお、本発明でフルオロアルキル基とは、
炭素鎖長中に二重結合を含むもの、下記のジカルボン酸
のように2以上の置換基が結合したものも包含する。
ルシラン
〜3)アルキルエステル (5) 上記カルボン酸の酸アミド (6) 化5で表わされるアルコール、化6で表わされ
るジオール
サン、変性ジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物
フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有する
アルカン、カルボン酸、アルコール、アミン等が好まし
い。例を挙げると、フルオロアルキルシランとしては、
ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロ
デシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,
1,2,2−テトラハイドロトリクロロシラン;フルオ
ロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオ
ロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、
パーフルオロ−n−ヘキサン、パーフルオロ−n−ヘプ
タン、テトラデカフルオロ−2−メチルペンタン、パー
フルオロドデカン、パーフルオロエイコサン;フルオロ
アルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロ
デカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル
基を有するアルコールとしては3,3,4,4,5,
5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール;フルオロ
アルキル基を有するアミンとしてはヘプタデカフルオロ
−1,1,2,2,−テトラハイドロデシルアミン等が
挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ
素化合物の例を挙げると、α,ω−ビス(3−アミノプ
ロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−
グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,
ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げら
れる。
面処理に先立って、被処理物体の表面に酸化物の薄膜を
形成する。薄膜形成は、真空蒸着、スパッタリング等の
通常の薄膜形成法により行なうことができる。形成され
る酸化物薄膜は、下地膜として機能するものであり、膜
厚は特に限定されないが10〜130nm程度で十分で
ある。
典型的にはSiO2 )が好ましいが、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、アルミナなどの無機化合物が使用でき
る。
W,Mo,Ti,Zr,Al,Au,Ni,Ag,C
u,Fe,Ge,Si等の金属およびこれらの合金(例
えば、ジュラルミン、しんちゅう)、C等の非金属単
体、MgF2 等のフッ化物、窒化物、カルコゲン化物等
の硫化物、炭化物、硼化物等の酸化物以外の化合物、各
種プラスチックなどが挙げられる。また、ガラス、金属
酸化物等の酸化物においても、表面処理に先立って予め
酸化物薄膜を形成することにより、本発明の改善効果が
得られる。
に、酸化物薄膜が形成されることによって特性に影響を
受けるおそれのあるものの場合は、本発明の酸化物薄膜
を極力薄く形成することによりその影響を最小限に抑え
ることが望ましい。
ことを見込んで、反射防止膜の膜設計をすることもでき
る。下記の表1に示したガラスレンズ(ガラスの屈折率
1.52)に示した反射防止膜の反射特性は図2に示し
た通りである。
MgF2 であるため表面処理による表面特性の改質効果
が不十分であるが、予め最上層(表面側)のMgF2 の
光学膜厚nd(屈折率×幾何学的膜厚)を130nmか
ら104nmに減少させ、この上に下地膜としてSiO
2 をnd=22nmで形成すれば、この光学的効果によ
り、図2に示したものと同様の反射防止特性が得られ
る。下地層も含めた最終的な膜構成は以下表2の通りで
ある。
により真空槽41内を所定の真空度まで排気したのち、
低表面エネルギー性物質15を気化せしめて真空槽41
に導入し真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源4
7から放電電極45に電力を供給してRFグロー放電を
起こさせ、プラズマ雰囲気下に、予め表面に酸化物薄膜
が形成された被処理物体53を表面処理して、被処理物
体53上に低表面エネルギー性物質の被膜を形成する。
は、バルブ21を開とし、必要によりヒータ13により
容器11内の低表面エネルギー性物質15を加熱し、こ
の加熱温度・バルブ23の開度、真空槽41の圧力(真
空度)を調整することによりコントロールでき、真空槽
41内に必要量の低表面エネルギー性物質15を導入す
ることができる。なお、図示を省略してあるが、配管内
で低表面エネルギー性物質が凝結しないように、配管を
シースヒータ等で加熱することが望ましい。
排気ポンプ43の排気量とバルブ23との開度によって
も調整できる。必要に応じてバルブ23を介してガスボ
ンベ25からアルゴン、窒素、酸素などを真空槽41内
に導入して、真空槽41内を所定の圧力とすることもで
きる。放電時の真空槽圧力としては1×10-4〜10T
orr程度が好ましく、また、放電電力は、数百ワット
以下で十分である。
他の手段、例えば、イオン銃によりイオンビームを被処
理物体に照射することによっても、プラズマ雰囲気での
表面処理を実現できる。
ラン(Rf−Si(OCH3)3,Rf=CF3(CF2)
7CH2CH2) を用いた場合は、図3のように、真空槽
41内あるいは被処理物体53の表面に存在する水とフ
ルオロアルキルシランの官能基とが反応してヒドロキシ
シリル化合物となり、これが酸化物薄膜が形成された被
処理物体の表面の−OH基と縮合して表面上にRf−S
i基が化学的に固定される。また、隣り合うRf−Si
基間の間でも縮合が起こり、Rf−Si基が網目状に結
合して被膜を形成する。すなわち、H2 Oは、反応助剤
として作用することになる。ここで、被処理物体の表面
の−OH基は、一般に物体表面に単分子吸着した水分子
に基づく−OHと、酸化物薄膜の素材自体がもつ−OH
基が関与すると考えられる。なお本発明で官能基とは、
反応により最終的に物体表面に作用する官能基となる、
アルコキシシリル基のような言わば官能基前駆体をも含
む概念である。
面に形成されることにより、フルオロアルキル基の有す
る優れた性質が物体の表面に付与されて極めて低いエネ
ルギー表面となり、撥水性、撥油性、防汚性、潤滑性、
離型性などが表面に付与される。さらにこの実施例で
は、被処理物体53の表面がプラズマに曝されつつ被膜
が形成されるので、得られた低表面エネルギー性被膜
は、撥水性、非汚染性等の低表面エネルギー性特性、付
着強度、耐薬品性等の強度および安定性に優れている。
めることなく、単に、気化した低表面エネルギー性物質
を被処理物体に真空槽内で接触せしめることによって
も、同様に被処理物体の表面に低表面エネルギー性被膜
を形成できる。この場合は、撥水性等の低表面エネルギ
ー特性、付着強度、耐薬品性等の安定性の点で上述のプ
ラズマ法より特性が劣るが、求められる品質、用途に応
じて十分使用できる。
以下で十分であり、好ましくは20オングストローム以
下である。この程度の膜厚であれば、光学部材に適用し
た場合でも、光学的障害とならない。
ク、ガラス、セラミック、繊維などの各種材質の物品を
表面処理することができ、代表的な例として、ガラスあ
るいはプラスチック製の眼鏡レンズなどの光学部材を表
面処理して撥水処理、汚れ防止を施すことが挙げられ
る。レンズ等の光学部品などにおいては、各被処理物体
がホルダに入れられて薄膜形成されるので、このホルダ
に入れた状態のまま本発明の表面処理を実施することが
でき、作業性が良好である。また、超音波洗浄機等の洗
浄機の洗浄治具に入れたまま処理することもできる。
質15を使い切った場合は、バルブ21を閉じて低表面
エネルギー性物質15を容器11に補給したり、容器1
1ごと交換することができ、真空槽41の真空雰囲気を
破ったり、真空槽41内で作業する必要がない。
り、また、表面処理用真空槽の前段および後段にそれぞ
れ予備排気室(搬入室)および取出室を設けて連続処理
するのに適している。
発明の表面処理方法を組み合わせた実施例を示す説明図
である。ホルダ55にセットして予備排気室61から薄
膜形成室63に送られ、薄膜形成室63で真空蒸着、ス
パッタリングなどにより薄膜形成された光学部品等の被
処理物体(図示を省略)は、取出室65に送られる。こ
こで、前述のように、薄膜の最上層がMgF2 の場合
は、その一部をSiO2 で置き換える。67はゲートバ
ルブを示す。本発明の表面処理方法は、薄膜形成ほどの
真空度や基板加熱を必ずしも要求されないので、この取
出室65に表面処理剤として低表面エネルギー性物質1
5を供給し、取出室65での滞留時間を利用して表面処
理を施すことができる。なお、この表面処理の詳細は、
図1に示した通りである。
の実施例を示す説明図である。被処理物体53が置かれ
た処理室81内には、低表面エネルギー性物質15が供
給されて、物体53に表面処理が施される。ヒータ13
を具えた容器11内には低表面エネルギー性物質15が
入れられており、低表面エネルギー性物質15はN2ガ
スでバブリングされ、このN2ガスに同伴されて配管か
ら処理室81内に送られる。低表面エネルギー性物質1
5が水と反応して分解しやすい物質のときは、乾燥空
気、乾燥窒素のような乾燥ガスに同伴させる。バブリン
グ量、ヒータ13による加熱の程度などを制御すること
により、低表面エネルギー性物質15の供給量を調整で
きる。
常圧で表面処理が行なえる。図5ではブロア83により
処理室81を排気する場合を示しているが、これを省略
することもできる。
成のガラスレンズの表面処理(撥水処理・汚れ防止)を
行なった。ガラスレンズをホルダに入れ真空槽41内に
セットし、ロータリーポンプと油拡散ポンプを組み合わ
せた真空排気ポンプ43により、真空槽41内を1×1
0-5Torr以下まで排気した。
プタデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシ
ル)−1−トリメトキシシラン(信越化学工業(株)
製、KBM7803)を用い、容器11に充填した。
し、バルブ21を開とし、真空槽41内を真空排気ポン
プ43で排気しつつ、真空槽41内の真空度が4〜9×
10-4Torrとなるようにバルブ23の開度を調整し
て、真空槽41内にフルオロアルキルシランを導入する
とともに、放電電極45に100Wの高周波電力(周波
数13.56MHz)を供給して高周波プラズマを発生
させ、約15秒間表面処理をした。その後バルブ23を
閉じて処理を終了し、真空槽41をリークした。
れた眼鏡レンズの表面に水滴を落として接触角を測定し
た。また、0.001規定のNaOHの水溶液に6時間
浸漬する耐薬品テストを行ない、テスト後の接触角を測
定し、以上の結果を表3に示した。
たが、同様に変化が少なく、安定して大きな接触角が維
持された。
真空蒸着により形成されたAlミラーを被処理物体とし
て用いる以外は、同様にして表面処理を行なった。表面
処理に先立って、Alミラー上に、膜厚120nmのS
iO2 薄膜を真空蒸着により形成した。処理後のAlミ
ラーの接触角は110°であり、強度および安定性も良
好であった。
面エネルギー性物質を気化せしめ、予め酸化物薄膜が下
地膜として形成された物体の表面と接触させて表面上に
低表面エネルギー性被膜を形成することにより、乾式法
で簡単に、物体の材質を問わずにその表面に高い撥水性
等を付与することができ、しかも得られた低表面エネル
ギー性被膜が安定である。
ある。
る。
を示す説明図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 低表面エネルギー性物質を気化せしめ、
予め表面に酸化物薄膜が形成された被処理物体の表面
に、気化した低表面エネルギー性物質を接触させ、被処
理物体の表面上に酸化物薄膜を介して低表面エネルギー
性被膜を形成することを特徴とする物体の表面処理方
法。 - 【請求項2】 低表面エネルギー性物質を気化せしめ、
予め表面に酸化物薄膜が形成された被処理物体が収納さ
れた減圧処理室内に導入し、プラズマ雰囲気下において
被処理物体の表面に低表面エネルギー性物質を接触せし
め、被処理物体の表面上に酸化物薄膜を介して低表面エ
ネルギー性被膜を形成することを特徴とする物体の表面
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29797692A JP3353057B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 表面処理された眼鏡レンズの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29797692A JP3353057B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 表面処理された眼鏡レンズの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06122776A true JPH06122776A (ja) | 1994-05-06 |
JP3353057B2 JP3353057B2 (ja) | 2002-12-03 |
Family
ID=17853534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29797692A Expired - Lifetime JP3353057B2 (ja) | 1992-10-09 | 1992-10-09 | 表面処理された眼鏡レンズの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3353057B2 (ja) |
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-
1992
- 1992-10-09 JP JP29797692A patent/JP3353057B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP3353057B2 (ja) | 2002-12-03 |
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