JP2004018443A - 腸溶性カプセル剤 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明によれば、内包物の臭気および味覚を感ずることがなく、さらに胃の不快感もないが、内包されている成分を腸において効率よく吸収できる腸溶性のカプセルが提供される。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、胃の中では溶解せず、腸において速やかに崩壊して内容物を摂取可能にする腸溶性カプセル剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
鉄分は比較的女性に不足しがちなミネラルである。特に妊産婦は胎児の成育、授乳に伴って鉄分が不足しがちになる。このような不足しがちな鉄分を効率よく補うために、鉄分と、葉酸を含むB群ビタミンとを同時に採ることにより、より効率的に鉄分の摂取が可能であるとされている。
【0003】
しかしながら、鉄剤およびB群ビタミン剤は、ともに特異的な臭気があり、これらの成分が直接口腔内で拡散する虞のある錠剤としては摂取しにくい。特に臭気および味覚が敏感になっている妊婦の場合には、こうした特有の臭気および味覚のために鉄成分およびB群ビタミンを経口摂取することが難しいことが多い。また、鉄剤は胃の中で溶解した場合、独特のむかつき感が表れる。
【0004】
このような鉄成分およびB群ビタミンなどは、胃では吸収されず腸で吸収されることから、胃では溶解せずに腸に到達した後速やかに溶解するように腸溶性にすれば、上記のような臭気の問題および鉄分特有に胃のむかつき感がなくなると考えられる。
有効成分を腸溶性にする方法として、例えば医薬品の分野においては、一般には耐酸性のあるハードカプセルが使用されている。しかしながら、このようなハードカプセルは、内容物が固体である場合には有用性が高いが、内容物が液体である場合には、嵌合部から内容物が漏出する虞があり、また、ハードカプセル自体にクラックが入りやすく、このようなクラックからも内容物が漏出することがある。ハードカプセルを用いた場合の内容物の漏出を防止するために、ハードカプセルに内容物を充填した後、このハードカプセル表面をさらにコーティングする方法があるが、その調製に多数の工程を要するという問題がある。
【0005】
これとは別に、内容物を漏出しにくくする方法がある。例えば、内容物を固体状のワックスなどに分散させることにより、仮にハードカプセルにクラックなどが生じたとしても、内容物の漏出を防止することができる。しかしながら、このようなワックスを使用した場合に、腸溶性ハードカプセルが腸内で溶解しても、有効成分はワックスに分散されており、このワックスが溶融するまで、有効成分は摂取可能な状態にならない。有効成分の吸収に長時間を要すると共に、有効成分の一部は、吸収されずに排出されるという問題もある。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、経口摂取した際に内容物が漏出することなく、さらに胃のむかつき感もなく、腸に到達した際に有効成分を短時間で吸収可能にする腸溶性カプセル剤を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明の腸溶性カプセル剤は、ゼイン(ツェイン)、セラック(シェラック)および界面活性剤(A)を含有する外殻の内部に、水溶性成分を、HLB値1.5以上の界面活性剤(B)で、融点が38℃以下の油剤中に分散させた内包物が密封されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の腸溶性カプセル剤は、外殻が、ゼイン、セラックおよび界面活性剤(A)を含有する外殻形成剤からなるソフトカプセルである。このような成分から形成されるソフトカプセルは、酸性雰囲気にある胃においては、溶解することがないが、酸性雰囲気から開放される腸では速やかに溶解する。しかも、このようなソフトカプセル中には有効成分が、融点が38℃以下であり、人の体内においては液体の脂肪酸トリグリセリド中に分散されているので、腸溶性カプセルが腸に到達して溶解した後、有効成分が液体状態の脂肪酸トリグリセリドと共に速やかに腸内に拡散し、この有効成分が迅速に吸収される。
【0009】
【発明の具体的な説明】
次の本発明の腸溶性カプセル剤およびその製造方法について具体的に説明する。
図1は、本発明の腸溶性カプセル剤の断面の例を示す断面図である。
本発明の腸溶性カプセル剤10は、図1に示すように、外殻11とこの外殻11に内包される内包物13とからなり、さらにこの内包物13の表面には、通常は、被覆材層12が配置され、この被覆材層12の表面に外殻11が形成されている。
【0010】
本発明の腸溶性カプセル剤10の内包物13としては、種々の成分を用いることができるが、有効成分として水溶性成分を用いる場合に本発明の有用性が高い。
特に本発明では、水溶性の有効成分の例としては、鉄剤、葉酸、B群ビタミン、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、水溶性エキス粉末、水溶性医薬品を挙げることができる。本発明の腸溶性カプセル剤においては、これらの水溶性の有効成分は単独で用いることもできるし、組み合わせて用いることもできる。特に本発明では、B群ビタミン、葉酸および鉄剤の組み合わせ、B群ビタミンおよびアスコルビン酸の組み合わせ、B群ビタミンおよび水溶性エキス粉末の組み合わせ等を挙げることができる。なお、本発明の腸溶性カプセル剤には、上記のような水溶性の有効成分に加えて、例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、カロチノイド類などの油溶性ビタミン類、油溶性医薬品類 などの非水溶性の有効成分を配合することもできる。
【0011】
特に本発明では、水溶性成分が、鉄剤、B群ビタミンおよび葉酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の栄養成分を含有するものであることが好ましい。このように葉酸、B群ビタミンと、鉄剤とを配合することにより、鉄剤の吸収が非常に良好になる。
本発明の腸溶性カプセル剤においては、このような水溶性の有効成分は、融点が38℃以下の油剤中に均一に分散している。ここで油剤としては、融点が38℃以下であれば、鉱物油、動植物油などを使用することができるが、特に本発明では融点が38℃以下、好ましくは融点が36℃以下である脂肪酸トリグリセリドを使用する。このような脂肪酸トリグリセリドは単独であってもよいし、複数の脂肪酸トリグリセリドを組み合わせたものであってもよい。
【0012】
本発明で好適に使用することができる脂肪酸トリグリセリドの例としては、シソ油、大豆油、サフラワー油、オリーブ油、ボラージ油、月見草油、菜種油、フラックスシード油、ヒマワリ油、EPA/DHA含有精製油、ハープシード油などを挙げることができる。これらは全て融点が38℃以下である。
このような脂肪酸トリグリセリドの中でも植物由来の脂肪酸トリグリセリドが好ましく、さらに、シソ油、サフラワー油、オリーブ油、ボラージ油、月見草油、EPA/DHA含有精製魚油などが特に好ましい。
【0013】
本発明で使用する油剤は、その融点が38℃以下であり、このような油剤は、体温によって体内では液体状になる。
このような油剤に水溶性の有効成分を分散させるために本発明では界面活性剤(B)を使用する。ここで使用する界面活性剤(B)は、HLB値が1.5以上のものであることが必要であり、さらにこのHLB値が3以上のものが好ましい。このような界面活性剤(B)としては、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤のいずれをも使用することができるが、本発明では特にノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。これらの中でも脂肪酸エステル系、特にグリセリン脂肪酸エステル系の界面活性剤が好ましく、このような界面活性剤(B)の例としては、グリセロールモノステアレート、(HLB値:3.8)、ジグリセリンモノラウレート(HLB値:8)、(ジグリセリンモノステアレート(HLB値:6.0)、テトラグリセリンモノステアレート(HLB値:5.6)、テトラグリセリンモノオレエート(HLB値:6.3)、テトラグリセリンモノラウレート(HLB値:16)を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも界面活性剤(B)としては、グリセロールモノステアレートが好ましい。このグリセロールモノステアレートのHLB値は3.8である。
【0014】
本発明の腸溶性カプセル剤に外殻に内包される成分100重量部中に上記の水溶性の有効成分の量は、通常は5〜45重量部、好ましくは15〜35重量部であり、油剤の量は、通常は30〜90重量部、好ましくは45〜70重量部であり、上記界面活性剤(B)は、通常は1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。
上記のような内包物中における配合比率は特に限定されるものではないが、油剤100重量部に対して、水溶性成分は通常は10〜100重量部、好ましくは10〜60重量部、界面活性剤(B)は通常は1〜60重量部、好ましくは5〜40重量部の量で配合される。このように各成分の量比を設定することにより、水溶性成分を油剤中に均一に分散することができる。
【0015】
本発明の腸溶性カプセル剤は、上記のような内包物の外側に腸溶性の外殻を有するものであるが、通常はこの外殻と内包物との間に被覆材層を配置し、この被覆材層の外側に外殻を形成することが好ましい。
ここで被覆材層は水溶性被覆材で形成することが好ましい。このような被覆材層を形成する成分の例として、ゼラチン、ポリビニルアルコール、造粘多糖類、セルロース、メチルセルロースなどの水溶性高分子化合物を挙げることができる。このような水溶性高分子化合物には、グリセリン、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ソルビトール、ポリデキストロース、白糖、キシリトール、マンノース、マンニトールなどを配合して被覆材とすることが好ましい。これらは水溶性高分子化合物100重量部に対して通常は20〜80重量部、好ましくは25〜45重量部の範囲内の量で使用される。このような被覆材層の平均厚さは、通常は100〜1000μm、好ましくは300〜800μmの範囲内にある。このような被覆材層を形成することにより、外殻を安定に形成することができる。また、この被覆材中には、水溶性高分子化合物100重量部に対して通常は20重量部以下、好ましくは15重量部以下の量の水が含有されている。
【0016】
本発明の腸溶性カプセル剤は、腸溶性の外殻を有する。この外殻は、ゼイン、セラックおよび界面活性剤(A)を含有する。
ここで使用するゼインは、別名ツェインとも呼ばれ、とうもろこしから抽出して得られる天然の植物タンパク質であり、プロラミン系の単純タンパク質である。
【0017】
また、セラックは、別名シェラックとも呼ばれ、ラックカイガラムシ(Laccifer lacca Kerr)の分泌物であるステックラックを原料として得られる、樹脂酸を主成分とする天然樹脂である。
本発明の腸溶性カプセル剤においては、上記のようなゼインおよびセラックを通常は10:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:30の範囲内の重量比で使用する。このような重量比でゼインおよびセラックを使用することにより、胃では溶解せず、腸において速やかに溶解する外殻を形成することができる。
【0018】
さらに、本発明の腸溶性カプセル剤の外殻には界面活性剤(A)が含有されている。ここで使用される界面活性剤(A)はゼインおよびセラックから形成される外殻を柔軟にするものであり、このような界面活性剤(A)としては、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤のいずれをも使用することができる。本発明では特にノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。これらの中でも特に脂肪酸エステル系の界面活性剤が好ましい。本発明で使用することができる界面活性剤(A)の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。この界面活性剤(A)は、外殻を柔軟にするために使用するものであり、通常の場合は、上述の界面活性剤(B)とは異なるものであるが、界面活性剤(A)と界面活性剤(B)とが同一であってもよい。なお、この界面活性剤(A)のHLB値に特に制限はないが、通常は、1〜16、好ましくは3〜10の範囲内にある。このような界面活性剤(A)は、ゼインおよびセラックの合計量100重量部に対して、通常は5〜70重量部、好ましくは10〜50重量部の範囲内の量で使用する。このような量で界面活性剤(A)を使用することにより、本発明の腸溶性カプセル剤の外殻を柔軟にし、かつ腸に到達した際に速やかにこの外殻が溶解するようになる。
【0019】
本発明の腸溶性カプセル剤は、界面活性剤(B)を用いて、水溶性成分を油剤中に均一に分散させた後、好適にはこの油剤を被覆材で被覆した後、次いで、その外周に、セラック、ゼインおよび界面活性剤(A)を用いて外殻を形成することにより製造される。ここでセラック、ゼインおよび界面活性剤を用いて形成された外殻は、ソフトカプセルであり、ハードカプセルのような嵌合部を有していない。このセラック、ゼインおよび界面活性剤を用いた外殻は、通常は、エタノールなどの低級アルコールに、セラック、ゼインおよび界面活性剤を溶解したアルコール溶液を調製し、このアルコール溶液を用いて外殻を形成する。また、油剤をゼラチン、グリセリンなどを水に溶解した水溶液を用いて被覆した後、外殻を形成することが好ましい。
【0020】
本発明の腸溶性カプセル剤において、外殻はソフトカプセルであり、軟質でありクラックなどが生じにくいと共に、継ぎ目がないので内容物が漏出することがない。
さらに、本発明の腸溶性カプセル剤を形成する外殻は、酸性雰囲気では非常に安定で溶解することがなく、他方、pH値6.8以上の雰囲気では溶解する。
【0021】
本発明の腸溶性カプセル剤では、外殻の有する上記特性を利用して、腸溶性カプセル剤をpH値1.2の酸性溶液中に浸漬した際には120分以上溶解することがなく、pH値6.8の溶液に浸漬することにより、60分間以内、好ましくは40分以内にこの腸溶性カプセル剤の外殻の少なくとも一部が溶解して内包物の少なくとも一部が溶出するように外殻を形成ることが好ましい。具体的には、外殻を形成するセラック、ゼインおよび界面活性剤(A)の量を上記範囲内で調整すると共に、外殻の平均厚さを、通常は100〜1000μm、好ましくは300〜800μmの範囲内にする。このような厚さで形成された外殻は、胃の中に例えば120分以上滞留したとしても、胃の中で外殻が溶解することはなく、また、膨潤してその強度が低下することがなく、また、外部から応力を受けたとしてもソフトカプセルであるために破損することはない。従って、経口服用時に、内包物(例えば、B群ビタミン、鉄剤など)に起因する不快な臭気がなく、しかも胃の中で外殻が溶解することがないので、例えば鉄剤などに起因するむかつき感などが生ずることがない。
【0022】
しかしながら、本発明の腸溶性カプセル剤は、胃を通り過ぎて雰囲気が酸性雰囲気でなくなると、速やかに溶解しはじめる。通常の場合、この腸溶性カプセル剤は、pH値6.8以上で外殻が溶解し始めるので、腸に到達すると速やかに外殻の溶解が始まる。そして、本発明の腸溶性カプセル剤では、内包物は、融点が38℃以下の油剤に水溶性成分が均一分散した状態にあり、本発明のカプセル剤中では、体温により、内包物は常に液体の状態になっている。そして、腸に達した腸溶性カプセル剤の外殻の一部が溶解すると、その部分から内包物が腸内に流出する。しかも、この流出した油剤に均一に分散している水溶性成分は、液体の油剤に分散しているので、カプセルから流出すると腸内全体に速やかに拡散して吸収される。この点、油剤としてワックスを用いた場合には、ワックスが腸内にゆきわたるのに長時間を有し、さらに、ワックスの内部にある成分の吸収にはさらに長い時間が必要であり、吸収されることなく排出されることもある。本発明の腸溶性カプセル剤では、融点38℃以下の油剤を使用することにより、腸内では油剤は液体として存在し、その拡散速度が大きいことから有効成分をたいへん効率よく吸収させることができる。
【0023】
また、本発明の腸溶性カプセル剤、一粒の大きさを、100〜400mg、好ましくは150〜350mgとすることにより、例えば妊産婦が1日に必要な鉄成分、葉酸成分、B群ビタミンなどの栄養成分を一日一粒程度の摂取で補給することができる。さらに、本発明の腸溶性カプセル剤は、図1に示すように長径Lが10〜20mm程度、短径Sが4〜9mm程度の楕円球状にすることが好ましい。このような楕円球状にすることにより、一粒の大きさが大きい場合であっても、飲みやすくなる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の腸溶性カプセル剤には、ゼイン、セラックおよび界面活性剤(A)を含有する外殻が形成されており、この外殻は、塩酸酸性雰囲気下では溶解することがなく、pH値が6.8を超えると急速に溶解する。しかも、この外殻内に内包されている有効成分は、融点が38℃以下の油剤に均一に分散された状態で内包されており、腸で外殻の一部が溶解して流出可能になると、この開口から速やかに腸内に流出し拡散する。
【0025】
さらに、本発明の腸溶性カプセル剤の外殻は、ソフトカプセルであり、ハードカプセルのように繋ぎ目がないので、内容物が漏出することがなく、しかも柔軟であるので、外力が加わったとしても、このソフトカプセルにクラックなどが発生することがない。
従って、本発明の腸溶性カプセル剤は、独特の臭気を有する鉄剤、B群ビタミンなどを含有する場合であっても、その臭気を感ずることなく服用することができ、さらに本発明の腸溶性カプセル剤は、胃で溶解することがないので、鉄剤を服用した際に生ずるような胃の不快なむかつき感が生じない。
【0026】
また、内包物として、胃に刺激性の高い成分を配合した場合であっても、胃壁を荒らすことなく腸で速やかに吸収させることができる。
このように本発明の腸溶性カプセル剤は、不快な臭気、むかつき感がなく、しかも配合されている成分の吸収が速やかに吸収されることから、臭気および味覚が敏感になり、胎児の成育、授乳などに伴って栄養が不足しがちになる妊産婦などの補助栄養食品として特に有用性が高い。
【0027】
【実施例】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】
ビタミンB1:10重量部、ビタミンB2:4重量部、ビタミンB6:3.3重量部、ビタミンB12:6重量部、ビオチン0.5%:017重量部、ニコチン酸アミド:5重量部、パントテン酸カルシウム:10重量部、葉酸:0.2重量部、ピロ燐酸第二鉄:35重量部、シソ油:153.33重量部、グリセリン脂肪酸エステル(グリセロールモノステアレート(HLB値:3.8)):23重量部を混合して、グリセリン脂肪酸エステルにより、シソ油中に他の水溶性成分を均一に分散させて内包物用混合物を調製した。
【0029】
これとは別に、ゼラチン:100重量部、グリセリン:35重量部を、水:70重量部に溶解して被覆材用水溶液を調製した。
また、この被覆材用水溶液とは別に、95%エタノール:91.3重量部、セラック:3.0重量部、ゼイン:3.0重量部、グリセリン脂肪酸エステル(グリセリン酢酸脂肪酸エステル、HLB値:3):2.7重量部を混合して外殻形成用エタノール溶液を調製した。
【0030】
上記のように調製した内包物用混合物を250mg分取して、この外周に、上記被覆用水溶液を用いて厚さ約800μmの被覆材層を形成し、乾燥させた後、上記外殻形成用エタノール溶液を用いて厚さ約80μmの外殻を形成して、本発明の腸溶性カプセル剤を製造した。
得られた腸溶性カプセル剤は楕円球状であり、長径は平均値で12.78mm、短径の平均値は7.04mmであった。この腸溶性カプセル剤1個の重量は、平均値で417.5mgであり、皮膜の重量は平均値で171.2mgであった。また、皮膜中の水分含有率は9.1重量%であった。
【0031】
こうして得られた腸溶性カプセル剤をpH値1.2の塩酸酸性液(38℃)に120分浸漬したが、カプセルは溶解することがなかった。120分経過後、このカプセルを取り出してpH値6.8の水溶液(38℃)中に浸漬したところ、38.5分でカプセルの一部が溶解して内包物が流出しはじめることが確認された。流出した内包物は油滴状であった。さらに、浸漬を続けることにより40分後には内包物がほぼ全量流出すると共に、カプセルも完全にその形態が崩壊した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の腸溶性カプセル剤の断面の例を示す断面図である。
【符号の説明】
10・・・腸溶性カプセル剤
11・・・外殻
12・・・内容物
13・・・被覆材
L・・・長径
S・・・短径
Claims (7)
- ゼイン、セラックおよび界面活性剤(A)を含有する外殻の内部に、水溶性成分を、HLB値1.5以上の界面活性剤(B)で、融点が38℃以下の油剤中に分散させた内包物が密封されていることを特徴とする腸溶性カプセル剤。
- 上記内包物が、ゼラチンおよびグリセリンを含有する被覆材によって被覆されて外殻内に密封されていることを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
- 上記水溶性成分が、鉄剤、B群ビタミンおよび葉酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の栄養成分を含有するものであることを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
- 上記界面活性剤(A)が、グリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
- 上記HLB値1.5以上の界面活性剤(B)が、グリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
- 上記融点が38℃以下の油剤が、融点が38℃以下の脂肪酸トリグリセリドを含有することを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
- 上記腸溶性カプセル剤が、pH値1.2の酸性溶液(38℃)中に浸漬した際には120分以上溶解することがなく、pH値6.8の溶液(38℃)に浸漬することにより、60分間以内に該腸溶性カプセル剤の外殻の少なくとも一部が溶解して内包物の少なくとも一部が溶出することを特徴とする請求項第1項記載の腸溶性カプセル剤。
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