JP5380134B2 - ソフトカプセル用乳化組成物及びソフトカプセル剤 - Google Patents

ソフトカプセル用乳化組成物及びソフトカプセル剤 Download PDF

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Description

本発明は自己乳化能を有するソフトカプセル製剤用組成物に関するものである。
自己乳化とは自然乳化とも呼ばれる現象で、水もしくは消化液に触れることで外力を必要とすることなく自然に乳化する現象のことを指す。この現象を利用した製剤として自己乳化型製剤(SEDDS)が知られている。この技術を導入することで、胆汁酸による乳化工程を経なくても、乳化することから食前・食後を問わず吸収されやすくなると言われている。
水に対して難溶性の生理活性成分を含む健康食品、医薬品ないし医薬部外品等においては、生理活性成分の吸収率の改善が課題となっており、これまで難溶性生理活性成分の吸収性改善を目的として生理活性成分の微細化や、乳化剤添加による難溶性生理活性成分の溶解性改善が試みられている。
特に近年コエンザイムQ10のように高い生理活性を持ちながらも、難水溶性物質であるために吸収されにくいような生理活性成分については、該生理活性成分を含む製剤中に1種または2種以上の乳化剤と、それらを溶解させるための助溶媒等を添加することで、空腹時に摂取したとしても、水もしくは消化液と接触するだけで自然に乳化・分散するように工夫された製剤が着目されている。このような製剤は、ソフトカプセルなどのカプセル剤型とすると取扱いや摂取に適している。
このような技術を健康食品、医薬品、医薬部外品などの経口摂取用の製剤に応用する場合には、乳化剤の使用量が多く、消化管の炎症をもたらしたり、吸収後細胞にダメージを与える可能性もある。また乳化剤の使用量が多いことは消費者にとっての心象も良くないことから出来る限り使用量を少なくすることが望ましい。乳化剤が多いことは相対的に油剤量が少なくなり、1カプセルに含まれる油剤に溶解している生理活性成分が少ないことになる。
例えば、特許文献1には、油性溶媒(乳化剤)としてデカグリセリルペンタオレートをコエンザイムQ10の12.5〜13.5倍量用い、安定化剤(補助界面活性剤)としてジアシルモノカプリン酸をコエンザイムQ10の0.4〜1.6倍量配合してなる自己乳化型軟カプセルの例が開示されている。この結果、自己乳化型軟カプセルには、コエンザイムQ10に対して12.9〜15.1倍の乳化剤が必要となっている。
非特許文献1には、このような乳化剤高濃度使用に伴う潜在的毒性を避ける目的で、最小量(3%)の乳化剤使用に基づく新しい乳化製剤の例が提示されている。しかしながら、使用している乳化剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、また助溶媒にはポリエチレングリコールが使用されていることから、食品添加剤としては適さず健康食品などの加工食品へ使用することは出来ない。
一方、健康食品用途における自己乳化製剤の課題は、多量の乳化剤使用の外に、助溶媒にもある。非特許文献2には現在実用化されている自己乳化製剤の例が取り上げられており、その中で多量の乳化剤もしくは生理活性成分を溶解させるための助溶媒としてエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの溶媒が適しているとしている。
しかしながら、該組成物中の助溶媒はカプセル皮膜へ移行してしまい、組成物から生理活性成分が析出して分離してしまう課題があるとしている。また助溶媒のカプセル皮膜への移行はカプセルの軟化も引き起こし、カプセルの変形を生じさせてしまうこともある。カプセル皮膜は消化器官内で溶ける材質である水溶性成分であるので、封入される成分中の水分がカプセル皮膜に作用してカプセルの変形や崩壊が発生する危険がある。水分によるソフトカプセルの変形などの課題を克服することもソフトカプセル充填剤としては重要な要因である(特許文献2)。
したがって、カプセル剤型は、1個のカプセル内に多くの生理活性成分を封入する場合には、その生理活性成分の溶媒となる油剤の比率を高くすることが望ましく、カプセルに封入される成分中の水溶性成分の皮膜を変形するなどの影響を小さくすることが好ましい。
また特許文献3には5〜30%重量部の脂溶性物質(有効成分)、5〜30%重量部の乳化剤、30〜85%重量部の多価アルコールをミキサーで混合した後、高圧ホモジナイザーを用いて処理する技術が開示されており、実施例では多価アルコールとしてD−ソルビトール水飴、グリセリンを用いた例が挙げられている。しかしながら、これらは乳化剤、多価アルコールの使用量が多いため、脂溶性物質(有効成分)を多く配合することができない。またカプセルに充填後、安定性を担保できるかについても不明であるが、これと類似した事例として、特許文献4の比較例4に乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル3%、多価アルコール相としてグリセリン57%、水10%、油性成分として中鎖トリグリセライドの組み合わせの例が挙げられている。しかし、40℃環境でカプセルを保管したところ、2週間で変形が始まり、4週間で大きな変形を伴ったと記載されている。
特開昭62−67019号公報 特開2005−60252号公報 特許3880265号 特開2005−60252号公報
Chem. Pharm. Bull. 46(2) 309-313 (1998) Biomedicine & Pharmacotherapy 58 (2004) 173-182
本発明は、多量に乳化剤を用いることなく、油性成分を高比率とするカプセル製剤用乳化組成物を開発することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究した結果、水を含む多価アルコール中に非多価アルコール性の水分活性抑制剤を分散させ、乳化剤と共存させたものを外相、油相成分を内相とする水溶性の乳化組成物を調製することで、従来型の自己乳化製剤よりも油相成分高配合で乳化剤使用量を大幅に低減させた製剤を得られることを見出した。また該組成物中の非多価アルコール性の水分活性抑制剤は該組成物中から軟カプセル皮膜もしくは硬カプセルへの多価アルコール移行を抑制し、該組成物が分離することなく安定で、カプセルの軟化、変形を抑制できるという知見を得て本発明に至った。
これは非多価アルコール性の水分活性抑制剤独特の特性によるものであり、他の水分活性抑制剤として考えられる。例えば澱粉分解物であるデキストリン類、スクロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコース、ガラクトース等の単糖類、グアーガム、ペクチン、グルコマンナンなどの増粘多糖類を用いた場合には見られない現象であった。
また油性成分を高比率にするために使用する乳化剤としては多価アルコール油性成分間で強固な界面膜を作るものが望ましい。具体的には多価アルコールおよび油性成分に対して易溶ではなく、常温で固体状のものが望ましい。具体的にはリゾレシチンが望ましく、リゾレシチン中に含まれるリゾフォスファチジルコリン濃度が少なくとも18%以上、望ましくは65%以上含まれているものがカプセルへ充填した時の長期安定性の面から望ましい。リゾレシチンの他に、食品用乳化剤として汎用的に用いられているものとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられるが、これらは多価アルコールあるいは油性成分に対して易溶であり、界面膜を作るためにはリゾレシチンに比べると多量の乳化剤添加を必要とすることから適していない。また常温で固体状の乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、こちらについてもリゾレシチン同様の作用が確認されたが、リゾレシチンを用いた場合よりも油性成分を高配合にすることは出来なかった。
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)油性成分(A)、多価アルコール(B)として無水状態で液状の多価アルコール(B−1)と固体状の多価アルコール(B−2)を同時に含有し、B−1とB−2の比が、1:1〜1:2.5であり、非多価アルコール性の水分活性抑制剤としてプロリン)、乳化剤(D)を含有するカプセル製剤用予備乳化組成物。
(2)水を除く組成物中の多価アルコール(B-1)と(B−2)の合計が15〜25%重量、プロリン(C)が1〜10%重量、乳化剤(D)が0.5〜3%重量、油性成分(A)が83.5〜61.0%重量であることを特徴とする(1)に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
(3)油性成分(A)が中鎖脂肪酸トリグリセライドまたは動植物性オイルであり、当該油性成分に可溶な脂溶性物質を含む(1)記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
(4)多価アルコールB−1がグリセリンであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
(5)多価アルコールB−がソルビトールであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
(6)乳化剤(D)がリゾレシチンであり、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が18%以であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(7)乳化剤(D)がリゾレシチンであり、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が65%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載されたカプセル製剤用乳化組成物を封入したソフトカプセル製剤。
本発明は、高い油性成分比率(特に、61%以上)であって、多量に乳化剤を用いることなく、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する自己乳化組成物を得ることができた。且つ、該自己乳化組成物をカプセルに充填しても、該自己乳化組成物が分離することなく安定で、カプセルの軟化、変形も生じない組成物を提供することができた。
本発明において、乳化剤、多価アルコール、油性成分をただ単純に混合させただけでは、自己乳化という現象は生じない。自己乳化させるためには、多価アルコールに予め乳化剤を溶かし込んでおき、そこに攪拌条件のもと、油性成分を徐々に加えることで得られる高粘性ゲルを調製しておく必要がある。この高粘性ゲルは従来、乳化剤と油性成分だけでは形成されることはなく、多価アルコールが必須成分となる。この高粘性ゲルは従来、油性成分を水に分散させる目的で、ドリンクやパンの練りこみ剤として用いられることはあったが、カプセル用内容物として用いられることはなかった。それは、内溶液に含まれる多価アルコールがカプセル皮膜に移行することによってカプセルの軟化・変形を生じさせるためである。よって、カプセルの軟化・変形を防ぐ目的においてはカプセルに含まれる多価アルコールの量を少なくした方が好ましいが、多価アルコールの量が少なすぎると一方で自己乳化性を損なうことがある。また、使用する多価アルコールの配合組成が適切でないと、カプセル充填に適した粘度が得られなかったり、多価アルコールがカプセル皮膜にほぼ全て移行してしまい、自己乳化性が担保出来なくなることもある。
さらに、多価アルコールのカプセル皮膜への移行はカプセルの内溶液あるいはカプセル皮膜中に含まれる水(自由水)が介在することによって促進される。本来多価アルコールは、それ自身、自由水の働き、すなわち水分活性(Aw)を抑える効果があるが、日持ち向上剤として用いられるアミノ酸のグリシンや中性アミノ酸L-プロリン、調味料として用いられるベタインなど、非多価アルコール系の水分活性抑制剤と比較すると弱く、カプセル変形を抑える働きはほとんど無かった。しかしながら、非多価アルコール性の水分活性抑制剤を新たに添加することによって、カプセル内およびカプセル皮膜の水分活性を抑制することが可能となり、カプセル皮膜の軟化・変形を防止できることが分かった。このとき、非多価アルコール性の水分活性抑制剤は、多価アルコールと皮膜との親和性をもたらす水の働きを抑制しているものと考えられる。
また、本発明の乳化組成物は、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する組成物を得ることができ、難水溶性物質の吸収性改善が期待される。本発明の乳化組成物は、乳化剤配合量が少なくて済み、油性成分比率が高くなる分、生理活性物質などの脂溶性有効成分を多く封入したカプセルを提供することが可能である。
その他、副次的に次のような効果を得ることができる。非多価アルコール性の水分活性抑制剤が添加された自己乳化組成物はそれ自身粘度が高いため、従来ソフトカプセルなどに使用されてきたミツロウなどの増粘剤を加えなくて良い。必要乳化剤量も5%以下と少ない。熱安定性も高く、保管中に60℃程度の高温になっても薬液中から油性成分が分離しない。得られる組成物自身が比較的高粘性液体であるため、従来ソフトカプセルに用いられてきた動植物性ワックス(分散剤)を使用しなくても良い。リゾレシチン自体、天然系乳化剤であることから人工の乳化剤(界面活性剤)を含まない組成物ということもできる。
本発明の乳化組成物は、油相成分に溶解する脂溶性物質であれば健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に通常使用される原料を配合することも出来る。さらに耐熱性もあり、油性成分が分離しにくいことから熱処理に対しても安定である。
そして本発明は、上記したところから得られた乳化組成物をカプセルに充填して得られるカプセル製剤並びにこれらを含む健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に関する。
<本発明の概略>
本発明は、油性成分、多価アルコール、乳化剤からなる乳化組成物に非多価アルコール性の水分活性抑制剤を配合することによって、乳化剤使用量の低減、多価アルコール配合量の低減、油性成分配合量の増加を実現しながら、同時にカプセル皮膜の軟化・変形を抑制することができたカプセル製剤用乳化組成物に関するものである。本発明の乳化組成物の必須構成は、油性成分(A)、多価アルコール(B)、非多価アルコール性の水分活性抑制剤(C)、および、乳化剤(D)であって、カプセル製剤用乳化組成物に適する。各成分の配合は、油相成分(A)が61.0〜83.5%重量、多価アルコール(B)が15〜25%重量、非多価アルコール性の水分活性抑制剤(C)が1〜10%重量、乳化剤(D)が0.5〜3.0%重量であることが望ましい。
成分(A)
成分(A)、即ち油相成分としては、動植物性オイル、例えば大豆油、菜種油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、やし油、小麦胚芽油、コーン胚芽油、オリーブ油、米ぬか油、肝油、魚油、鯨油、中鎖脂肪酸トリグリセライドなどが挙げられる。これらの油相成分は、単独で、または2種以上組み合わせて用いても良い。実施例では脂肪酸組成中DHAを46%含有する魚油と菜種油を主に使用した。油相成分(A)は61.0〜83.5%重量が好ましい。
これらの動植物性オイルに溶解する脂溶性物質としては、例えば、コエンザイムQ10、還元型コエンザイムQ10、リポ酸、α、β-、γ-δ-トコフェロール、α、β-、γ-δ-トコトリエノール、ビタミンK、α、β-、γ-δ-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンP、DHA、EPA、スクワランなどが挙げられる。これらの動植物性オイルに溶解する脂溶性物質を溶解度限界以下で添加することができる。油相成分が過半を占め、それに応じてコエンザイムQ10などの脂溶性物質の配合量も増やすことができる。
成分(B)
成分Bは、多価アルコールである。多価アルコールは、水分量を除き多価アルコール(B)の配合量は15〜25%重量が好ましい。
多価アルコール(B)が無水状態で液状の多価アルコール(B−1)と固体状の多価アルコール(B−2)を同時に含有し、B−1とB−2の比が、1:1〜1:2.5であることが好ましい。
特に、成分B−1としてグリセリンが適しており、特に濃グリセリンが望ましい。濃グリセリンとしては日本薬局方に収載されている規格(多価アルコール含量98.0〜101.0%)を満たすものを指すが、食品添加物公定書で定められている規格(グリセリン含量95.0%以上)のものでも構わない。グリセリンは6〜12.5%重量が好ましい。
成分B−2としては、ソルビトールが好ましい。本発明に当たっては粉末(固形状)および、水分40%以下で予め加水して液状にしたものを使用することが出来る。
ソルビトールは固形換算で12.5〜20%重量が好ましい。
成分(C)
成分Cは、非多価アルコール性の水分活性抑制剤である。
非多価アルコール性の水分活性抑制剤(C)が、20℃環境下における水100gに対する溶解度が100g以上、望ましくは150g以上であることが好ましい。
非多価アルコール性の水分活性抑制剤は、水分量を除き配合量は1〜10%重量が好ましい。
特に、成分Cとしてプロリン及びまたはベタインを用いることができ、食品、医薬品、化粧品などに一般的に用いることのできるものであれば特に制限はない。
成分(D)
成分Dは、乳化剤である。乳化剤は、水分量を除き配合量は0.5〜3%重量が好ましい。
成分(D)として用いることができるリゾレシチンについては、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が少なくとも18%以上であり、望ましくは65%以上のものが好ましい。
本発明のカプセル製剤用の乳化組成物の各構成比は、油相成分(A)が61.0〜83.5%重量、多価アルコール(B)が10〜18%重量、非多価アルコール性の水分活性抑制剤(C)が1〜10%重量、乳化剤(D)が0.5〜3.0%重量が好ましい。
その他成分
本発明の乳化組成物の油相成分(A)には、非水溶性の生理活性物質などの脂溶性有効成分を溶解することができる。脂溶性物質としては例えば、コエンザイムQ10、還元型コエンザイムQ10、リポ酸、α、β-、γ-δ-トコフェロール、α、β-、γ-δ-トコトリエノール、ビタミンK、α、β-、γ-δ-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンP、DHA、EPA、スクワランなどが挙げられる。これらの脂溶性物質は、油性成分比率に応じて高充填でき、生理活性物質を多く封入したカプセル剤を提供することが可能となる。
従来のカプセル用乳化組成物に配合されていた、ミツロウなどの増粘剤、動植物性ワックス(分散剤)の使用量を零あるいは少なくすることができる。自己乳化組成物はそれ自身粘度が高いため、従来ソフトカプセルなどに使用されてきたミツロウなどの増粘剤を加えなくて良い。必要な乳化剤量も5%以下とすることができる。得られる組成物自身が高粘性液体であるため、従来ソフトカプセルに用いられてきた動植物性ワックス(分散剤)を使用しなくても良い。リゾレシチン自体、天然系乳化剤であることから人工の乳化剤(界面活性剤)を含まない組成物ということもできる。
本発明の乳化組成物の製造方法
次に、本発明の乳化組成物の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、下記の工程(I)〜(III)からなる。
工程(I);上記の成分(B)、(C)、(D)をそれぞれ所定量秤取し、成分(B)中に成分(C)、(D)を汎用ミキサーによる攪拌を行いながら、溶解させ均質化させる。
工程(II);引き続き
ミキサーによる攪拌を行いながら上記の成分(A)を徐々に添加する。
工程(III);工程(II)で得られた組成物は高粘性ゲルの性状をしており、気泡を噛み込んでいることから、真空ポンプに接続した密閉容器中にて空気を除いた。
上記の工程により得られる乳化組成物は水に触れただけでO/Wエマルションを生じる予備乳化状態にある。以後、該乳化組成物のことを予備乳化物とよぶ。
特性、用途
本発明の予備乳化組成物は、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する自己乳化性に優れたものであり、難水溶性物質の吸収性改善に寄与する。本発明で得られる予備乳化組成物は、そのまま水等の水性液体に添加し溶かし、摂取することも出来るが、軟カプセルに封入することにより軟カプセル製剤として用いることができる。その場合、水等の水性液体もしくは生体内の水分によって軟カプセルの皮膜が崩壊し、次いで内容物がO/Wエマルションを形成する。
本発明の乳化組成物は、乳化剤配合量が少なくて済み、油性成分比率が高くなる分、生理活性物質などの脂溶性有効成分を多く封入したカプセル剤を提供することが可能である。
本発明の乳化組成物は、カプセル被膜を軟化、変形させることが無く、カプセル剤の安定性が向上する。特に、軟カプセル剤に適する。
また、熱安定性が高く、保管中に40℃程度の高温になっても薬液中から油性成分が分離しないので、保存性にも優れている。
そして本発明は、乳化組成物をカプセルに充填して得られるカプセル製剤並びにこれらを含む健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に適する。生理活性物質などの脂溶性有効成分含有比率が高いので、少量の摂取で済む生理活性物質に対しては、カプセルの小型化が可能となり、小児や高齢者にとって、飲み下しの改善となる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。

試験例
難溶性生理活性成分を含まない溶媒として油剤のみを使用して予備乳化物を作成した試験例である。試験液の調製は表1の組成に基づき行った。まず、非多価アルコール性水分活性抑制剤としてL-プロリン(和光純薬工業(株)試薬特級L-プロリン)、リゾレシチン(辻製油(株) SLP LPC-70 リゾフォスファチジルコリン濃度65%以上)を所定量秤取し、グリセリン(和光純薬工業(株)試薬特級 グリセリン)、ソルビトール、水からなる多価アルコール相に添加し、直径120mmのディスクタービンを取り付けた汎用攪拌機(新東科学(株) HEIDONスリーワンモーターBL1200)にて500rpm速度で攪拌を行いながら、これらを多価アルコール中に溶解させた。完全に均一になったことを確認した後、引き続き攪拌を行いながら、油性成分として食用油(DHA含有魚油(タマ生化学(株) DHA-46FII)あるいは食用なたね油(日清オイリオグループ(株) 日清キャノーラ油)を先の多価アルコール相中へ徐々に添加し、予備乳化物を得た。その後、高粘性ゲル中に含まれる気泡を真空ポンプに接続した密閉容器中にて除き、最終的な予備乳化物を得た。
Figure 0005380134
表2の通り、比較例として、L−プロリンを含まないもの及びグリセリンとソルビトールの比率を変化させたものを実施例と同様の方法で作成し評価を行った。
Figure 0005380134

得られた予備乳化物の評価方法を以下に示す。


<予備乳化物の初期安定性>
予備乳化物の調製直後の初期安定性を目視観察により判断した。予備乳化物の状態を以下のように評価した。
○:油が多価アルコール相から分離することなく予備乳化物を形成したもの
△:油が多価アルコール相表面に染み出しているもの
×:油が多価アルコール相から完全に分離
このうち、評価が○のものを合格とした。
<予備乳化物の水分、水分活性測定>
得られた予備乳化物については、脱泡後2〜3%程度の水分を失うことから、参考値としてカールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)MKS-1S)による水分測定、水分活性測定(アイネクス(株)アクアラブ CX-2)を行った。水分活性については25℃環境下にて測定を行った。
<予備乳化物の粘度評価>
B型粘度計(ローター No.4、回転数12)による粘度測定(25℃)を実施し、測定開始後10回転目における粘度を読み取った。得られた粘度を以下のように評価した。
◎:3.0×104mPa・s未満 (流動性優)
○:3.0×104mPa・s以上、5.0×104mPa・s未満(流動性良)
×:5.0×104mPa・s以上(流動性無し、充填不可能)
このうち、○以上のものを合格とした。
<自己乳化性の評価方法>
本発明で得られた乳化組成物の自己乳化性は、水と接触させた際の分散性によって評価した。具体的にはビーカーに入れた37℃のミリQ水200mLに対して、100μLの試料を滴下したときの状態を以下のように評価した。
○:1mm以上の油滴を気-液界面に形成しないもの。
△:油滴同士が凝集・合一し、1mm以上の油滴を気-液界面に形成してしまうもの。
×:全く自己乳化しないもの。
このうち、評価が○のものを合格とした。
<軟カプセルの変形試験評価方法>
本発明で得られた乳化組成物を軟カプセルに充填した際のカプセル皮膜安定性をカプセル変形量から評価した。具体的には、得られた軟カプセル製剤をアルミ包装に入れ、40℃75%RH環境下で保管し、8週間後の軟カプセルの短径方向長さをノギスで測定することで、以下のように評価した。
○:変形量が0mm以上0.5mm未満
△:変形量が0.5mm以上1.0mm未満
×:変形量が1.0mm以上
このうち、評価が○のものを合格とした。
実施例1〜8の評価結果を各配合成分組成と共に表3に示す。また、比較例1〜8の評価結果を各配合成分組成とともに表4に示す。
Figure 0005380134
Figure 0005380134
表3に示すように、実施例1〜8は、粘度が45000mPa未満であり、充填に適切な粘度を有し、かつ、自己乳化性結果が良好であった。また、これらの水分活性は、0.53未満であった。これらの試験例の総合評価は、○であった。
表4は、比較例の結果である。比較例1は、粘度及び自己乳化性は良好であったが、カプセル皮膜への水分移行によりカプセルの変形が認められた。また、比較例2、3、5、6については、粘度が45000mPa以上の高粘度であり、×であった。比較例4は初期安定性が悪く調製不可のため、評価対象外であった。なお、比較例2および3は、液状多価アルコール(B1):固体状多価アルコール(B2)の比が、1:3.25であった。
比較例4〜6は、液状多価アルコール(B1)が配合されなかった。
比較例7および8は、カプセルに変形が認められた。また、比較例7、8の脱泡後の水分活性は、0.55を超えた。これらの総合評価は、カプセルの変形のため、×であった。なお、比較例7および8は、固体状多価アルコール(B2)が配合されなかった。
このように、本発明のカプセル製剤用予備乳化剤は、粘度が低減し、かつ、充填後のカプセル製剤の変形が抑制されることが示された。

Claims (8)

  1. 油性成分(A)、多価アルコール(B)として無水状態で液状の多価アルコール(B−1)と固体状の多価アルコール(B−2)を同時に含有し、B−1とB−2の比が、1:1〜1:2.5であり、非多価アルコール性の水分活性抑制剤としてプロリン)、乳化剤(D)を含有するカプセル製剤用予備乳化組成物。
  2. 水を除く組成物中の多価アルコール(B-1)と(B−2)の合計が15〜25%重量、プロリン(C)が1〜10%重量、乳化剤(D)が0.5〜3%重量、油性成分(A)が83.5〜61.0%重量であることを特徴とする請求項に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
  3. 油性成分(A)が中鎖脂肪酸トリグリセライドまたは動植物性オイルであり、当該油性成分に可溶な脂溶性物質を含む請求項1又は2に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
  4. 多価アルコールB−1がグリセリンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
  5. 多価アルコールB−がソルビトールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル製剤用予備乳化組成物。
  6. 乳化剤(D)がリゾレシチンであり、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が18%以であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  7. 乳化剤(D)がリゾレシチンであり、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が65%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載されたカプセル製剤用乳化組成物を封入したソフトカプセル製剤。
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