JP2009114157A - カプセル用乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】油性成分を高比率とするカプセル製剤用乳化組成物を開発する。
【解決手段】 油性成分(A)、グリセリン(B)、澱粉または澱粉誘導体(C)、および、リゾレシチン(D)を含有するカプセル製剤用乳化組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は自己乳化能を有するソフトカプセル製剤用組成物に関するものである。
自己乳化とは自然乳化とも呼ばれる現象で、水もしくは消化液に触れることで外力を必要とすることなく自然に乳化する現象のことを指す。この現象を利用した製剤として自己乳化型製剤(SEDDS)が知られている。この技術を導入することで、胆汁酸による乳化工程を経なくても、乳化することから食前・食後を問わず吸収されやすくなると言われている。
水に対して難溶性の生理活性成分を含む健康食品、医薬品ないし医薬部外品等においては、生理活性成分の吸収率の改善が課題となっており、これまで難溶性生理活性成分の吸収性改善を目的として生理活性成分の微細化や、乳化剤添加による難溶性生理活性成分の溶解性改善が試みられている。
特に近年コエンザイムQ10のように高い生理活性を持ちながらも、難水溶性物質であるために吸収されにくいような生理活性成分については、該生理活性成分を含む製剤中に1種または2種以上の乳化剤と、それらを溶解させるための助溶媒等を添加することで、空腹時に摂取したとしても、水もしくは消化液と接触するだけで自然に乳化・分散するように工夫された製剤が着目されている。このような製剤は、ソフトカプセルなどのカプセル剤型とすると取扱いや摂取に適している。
このような技術を健康食品、医薬品、医薬部外品などの経口摂取用の製剤に応用する場合には、乳化剤の使用量が多く、消化管の炎症をもたらしたり、吸収後細胞にダメージを与える可能性もある。また乳化剤の使用量が多いことは消費者にとっての心象も良くないことから出来る限り使用量を少なくすることが望ましい。乳化剤が多いことは相対的に油剤量が少なくなり、1カプセルに含まれる油剤に溶解している生理活性成分が少ないことになる。
例えば、特許文献1には、油性溶媒としてデカグリセリルペンタオレートをコエンザイムQ10の12.5〜13.5倍量用い、安定化剤としてジアシルモノカプリン酸をコエンザイムQ10の0.4〜1.6倍量配合してなる自己乳化型軟カプセルの例が開示されている。この結果、自己乳化型軟カプセルには、コエンザイムQ10に対して12.9〜15.1倍の乳化剤が必要となっている。
特許文献2には、ショ糖酢酸イソ酪酸エステルと併用してコエンザイムQ10を0.5〜20重量%含む含有乳化組成物が開示されている。この文献に開示された発明は、油剤、界面活性剤、多価アルコールのそれぞれの性格を有するショ糖酢酸イソ酪酸エステルを10〜30重量%用いた点に特徴があり、このほかにも乳化剤や油剤分散媒が併用されている。
特許文献2や特許文献3には、カプセル剤にも使用できると記載しているが、カプセル剤としての安定性まで検証されていない。また特許文献4ではNGデータの例として乳化剤・多価アルコール(水性溶媒(*水・糖アルコール・グリセリン))・油性成分の組み合わせを挙げている。
非特許文献1には、このような乳化剤高濃度使用に伴う潜在的毒性を避ける目的で、最小量(3%)の乳化剤使用に基づく新しい乳化製剤の例が提示されている。しかしながら、使用している乳化剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、また助溶媒にはポリエチレングリコールが使用されていることから、食品添加剤としては適さず健康食品などの加工食品へ使用することは出来ない。
一方、健康食品用途における自己乳化製剤の課題は、多量の乳化剤使用の外に、助溶媒にもある。非特許文献2には現在実用化されている自己乳化製剤の例が取り上げられており、その中で多量の乳化剤もしくは生理活性成分を溶解させるための助溶媒としてエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの溶媒が適しているとしている。
しかしながら、該組成物中の助溶媒はカプセル皮膜へ移行してしまい、組成物から生理活性成分が析出して分離してしまう課題があるとしている。また助溶媒のカプセル皮膜への移行はカプセルの軟化も引き起こし、カプセルの変形を生じさせてしまうこともある。カプセル皮膜は消化器官ないで溶ける材質である水溶性成分であるので、封入される成分中の水分がカプセル皮膜に作用してカプセルの変形や崩壊が発生する危険がある。
したがって、カプセル剤型は、1個のカプセル内に多くの生理活性成分を封入する場合には、その生理活性成分の溶媒となる油剤の比率を高くすることが望ましく、カプセルに封入される成分中の水溶性成分の皮膜を変形するなどの影響を小さくすることが好ましい。
特開昭62−67019号公報 特開2003-238396号公報 特許第3880265号公報 特開2005−60252号公報 Chem. Pharm. Bull. 46(2) 309-313 (1998) Biomedicine & Pharmacotherapy 58 (2004) 173-182
本発明は、油性成分を高比率とするカプセル製剤用乳化組成物を開発することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究した結果、グリセリン中に澱粉または澱粉誘導体を分散させ、乳化剤と共存させたものを外相、油相成分を内相とする水溶性の乳化組成物を調製することで、従来型の自己乳化製剤よりも油相成分高配合で乳化剤使用量を大幅に低減させた製剤を得られることを見出した。また該組成物中の澱粉もしくは澱粉誘導体は該組成物中から軟カプセル皮膜もしくは硬カプセルへのグリセリン移行を抑制し、該組成物が分離することなく安定で、カプセルの軟化、変形を抑制できるという知見を得、さらに、また油性成分を高比率にするために使用する乳化剤としてリゾレシチンを用いることによりグリセリン-油性成分間で強固な界面膜を作ることができることを知見して本発明に至った。
即ち、本発明は油相成分、グリセリン、リゾレシチンおよび澱粉または澱粉誘導体を含有するカプセル製剤用乳化組成物に関する。
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)油性成分(A)、グリセリン(B)、澱粉または澱粉誘導体(C)、および、リゾレシチン(D)を含有するカプセル製剤用乳化組成物。
(2)澱粉または澱粉誘導体(C)がグリセリン(B)に対して1/2〜1/1量である(1)記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(3)油相成分(A)が58.6〜83.5%重量、グリセリン(B)が10〜18%重量、澱粉または澱粉誘導体(C)が5〜18%重量、リゾレシチン(D)が1.5〜5.4%重量であることを特徴とする(1)又は(2)記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(4)油性成分が中鎖脂肪酸トリグリセライドまたは動植物性オイルであり、当該油性成分に可溶な脂溶性物質を含む(1)〜(3)のいずれかに記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(5)リゾレシチン原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が少なくとも18%以上、望ましくは65%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のカプセル製剤用乳化組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載されたカプセル製剤用乳化組成物を封入したソフトカプセル製剤。
本発明は、高い油性成分比率であって、多量に乳化剤を用いることなく、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する自己乳化組成物を得ることができた。且つ、該自己乳化組成物をカプセルに充填しても、該自己乳化組成物が分離することなく安定であって、カプセルの軟化、変形も生じない組成物を提供することができた。
澱粉類を添加することによって、自己乳化能を失うことなく油性成分を多く配合できるようになった。そのため、相対的に多価アルコール(具体的にはグリセリン)の配合量を減らすことが出来た。グリセリンの配合量が減らせることによって、カプセル皮膜の軟化・変形を防止できる。さらに、澱粉がグリセリンとの親和性が作用して、澱粉または澱粉誘導体がグリセリンを保持する効果を発揮するので、グリセリンのカプセル皮膜への移行が抑制されており、カプセルの変形を抑制することが出来る。
また、本発明の乳化組成物は、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する組成物を得ることができ、難水溶性物質の吸収性改善が期待される。本発明の乳化組成物は、乳化剤配合量が少なくて済み、油性成分比率が高くなる分、生理活性物質などの脂溶性有効成分を多く封入したカプセルを提供することが可能である。
その他、副次的に次のような効果を得ることができる。澱粉が添加された自己乳化組成物はそれ自身粘度が高いため、従来ソフトカプセルなどに使用されてきたミツロウなどの増粘剤を加えなくて良い。必要乳化剤量も5%以下と少ない。熱安定性も高く、保管中に40℃程度の高温になっても薬液中から油性成分が分離しない。得られる組成物自身が高粘性液体であるため、従来ソフトカプセルに用いられてきた動植物性ワックス(分散剤)を使用しなくても良い。リゾレシチン自体、天然系乳化剤であることから人工の乳化剤(界面活性剤)を含まない組成物ということもできる。
本発明の乳化組成物は、油相成分に溶解する脂溶性物質であれば健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に通常使用される原料を配合することも出来る。さらに耐熱性もあり、油性成分が分離しにくいことから熱処理に対しても安定である。
そして本発明は、上記したところから得られた乳化組成物をカプセルに充填して得られるカプセル製剤並びにこれらを含む健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に関する。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究した結果、グリセリン中に澱粉または澱粉誘導体を分散させ、乳化剤と共存させたものを外相、油相成分を内相とする水溶性の乳化組成物を調製することで、従来型の自己乳化製剤よりも油相成分高配合で乳化剤使用量を大幅に低減させた製剤を得られることを見出した。また該組成物中の澱粉もしくは澱粉誘導体は該組成物中から軟カプセル皮膜もしくは硬カプセルへのグリセリン移行を抑制し、該組成物が分離することなく安定で、カプセルの軟化、変形を抑制できるという知見を得て本発明に至った。
これは澱粉または澱粉誘導体独特の特性によるものであり、澱粉分解物であるデキストリン類、スクロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコース、ガラクトース等の単糖類、グアーガム、ペクチン、グルコマンナンなどの増粘多糖類を用いた場合には見られない現象であった。
また油性成分を高比率にするために使用する乳化剤としてはグリセリン-油性成分間で強固な界面膜を作るものが望ましい。具体的にはグリセリンおよび油性成分に対して易溶ではなく、常温で固体状のものが望ましい。具体的にはリゾレシチンが望ましく、リゾレシチン中に含まれるリゾフォスファチジルコリン濃度が少なくとも18%以上、望ましくは65%以上含まれているものがカプセルへ充填した時の長期安定性の面から望ましい。リゾレシチンの他に、食品用乳化剤として汎用的に用いられているものとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられるが、これらはグリセリンあるいは油性成分に対して易溶であり、界面膜を作るためにはリゾレシチンに比べると多量の乳化剤添加を必要とすることから適していない。また常温で固体状の乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、こちらについてもリゾレシチン同様の作用が確認されたが、リゾレシチンを用いた場合よりも油性成分を高配合にすることは出来なかった。
即ち、本発明は油相成分、グリセリン、リゾレシチンおよび澱粉または澱粉誘導体を含有するカプセル製剤用乳化組成物に関する。
本発明は、油性成分、グリセリン、乳化剤からなる乳化組成物に澱粉または澱粉誘導体を配合することによって、乳化剤使用量の低減、多価アルコール配合量の低減、油性成分配合量の増加を実現しながら、同時にカプセル皮膜の軟化・変形を抑制することができたカプセル製剤用乳化組成物に関するものである。本発明の乳化組成物の必須構成は、油性成分(A)、グリセリン(B)、澱粉または澱粉誘導体(C)、および、リゾレシチン(D)であって、カプセル製剤用乳化組成物に適する。各成分の配合は、澱粉または澱粉誘導体(C)がグリセリン(B)に対して1/2〜1/1量であることが望ましい。また油相成分(A)が58.6〜83.5%重量、グリセリン(B)が10〜18%重量、澱粉または澱粉誘導体(C)が5〜18%重量、リゾレシチン(D)が1.5〜5.4%重量であることが望ましい。
成分(A)
成分(A)、即ち油相成分としては、動植物性オイル、例えば大豆油、菜種油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、やし油、小麦胚芽油、コーン胚芽油、オリーブ油、米ぬか油、肝油、魚油、鯨油、中鎖脂肪酸トリグリセライドなどが挙げられる。これらの油相成分は、単独で、または2種以上組み合わせて用いても良い。実施例では中鎖脂肪酸トリグリセライドを主に使用した。油相成分(A)は58.6〜83.5%重量が好ましい。
これらの動植物性オイルに溶解する脂溶性物質としては、例えば、コエンザイムQ10、還元型コエンザイムQ10、リポ酸、α、β-、γ-δ-トコフェロール、α、β-、γ-δ-トコトリエノール、ビタミンK、α、β-、γ-δ-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンP、DHA、EPA、スクワレンなどが挙げられる。これらの動植物性オイルに溶解する脂溶性物質を溶解度限界以下で添加することができる。油相成分が過半を占め、それに応じてコエンザイムQ10などの脂溶性物質の配合量も増やすことができる。
成分(B)
成分(B、即ちグリセリンとしては濃グリセリンが望ましい。濃グリセリンとしては日本薬局方に収載されている規格(グリセリン含量98.0〜101.0%)を満たすものを指すが、食品添加物公定書で定められている規格(グリセリン含量95.0%以上)のものでも構わない。グリセリン(B)は10〜18%重量が好ましい。
成分(C)
成分(C)、即ち澱粉または澱粉誘導体としては、食品、医薬品、化粧品などに一般的に用いることのできるものであれば特に制限はない。具体的な澱粉の例としてはトウモロコシ澱粉、ワキシーコーン澱粉、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉等が挙げられる。
また澱粉誘導体の例としてはエーテル化澱粉としてヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉が挙げられ、架橋澱粉としてはホルムアルデヒド架橋澱粉、リン酸架橋澱粉が挙げられ、エステル化澱粉としては酢酸澱粉、リン酸澱粉が挙げられ、その他酸処理澱粉、酸化澱粉、α化澱粉等が挙げられる。実施例においては、ヒドロキシプロピルスターチを中心に検討を行っているが、トウモロコシ澱粉、α化澱粉でも同様の有効な効果があることが確認されている。澱粉または澱粉誘導体(C)は5〜18%重量が好ましい。
成分(D)
成分(D)、即ちリゾレシチンについては、原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が少なくとも18%以上であり、望ましくは65%以上のものが好ましい。リゾレシチン(D)は1.5〜5.4%重量が好ましい。
本発明のカプセル製剤用の乳化組成物の各構成比は、油相成分(A)が58.6〜83.5%重量、グリセリン(B)が10〜18%重量、澱粉または澱粉誘導体(C)が5〜18%重量、リゾレシチン(D)が1.5〜5.4%重量が好ましい。
その他成分
本発明の乳化組成物の油相成分(A)には、非水溶性の生理活性物質などの脂溶性有効成分を溶解することができる。脂溶性物質としては例えば、コエンザイムQ10、還元型コエンザイムQ10、リポ酸、α、β-、γ-δ-トコフェロール、α、β-、γ-δ-トコトリエノール、ビタミンK、α、β-、γ-δ-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンP、DHA、EPA、スクワレンなどが挙げられる。これらの脂溶性物質は、油性成分比率に応じて高充填でき、生理活性物質を多く封入したカプセル剤を提供することが可能となる。
従来のカプセル用乳化組成物に配合されていた、ミツロウなどの増粘剤、動植物性ワックス(分散剤)の使用量を零あるいは少なくすることができる。澱粉または澱粉誘導体が添加された自己乳化組成物はそれ自身粘度が高いため、従来ソフトカプセルなどに使用されてきたミツロウなどの増粘剤を加えなくて良い。必要な乳化剤量も5%以下とすることができる。得られる組成物自身が高粘性液体であるため、従来ソフトカプセルに用いられてきた動植物性ワックス(分散剤)を使用しなくても良い。リゾレシチン自体、天然系乳化剤であることから人工の乳化剤(界面活性剤)を含まない組成物ということもできる。
本発明の乳化組成物の製造方法
次に、本発明の乳化組成物の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、下記の工程(I)〜(III)からなる。
工程(I);上記の成分(C)、(D)をそれぞれ所定量秤取し、それぞれの原料を乳鉢あるいはそれに準ずる混合機を用いて練合することで成分(C)中に成分(D)を倍散させ均質化させる。
工程(II);上記の成分(B)を所定量秤取し、70〜90℃の湯煎にてミキサーで攪拌を行いながら、工程(I)で均質化処理を行ったものを加え、加熱溶解する。
工程(III);加熱を止め、放冷・ミキサーによる攪拌を行いながら上記の成分(A)を徐々に添加する。
上記の工程により得られる乳化組成物は水に触れただけでO/Wエマルションを生じる予備乳化状態にある。以後、該乳化組成物のことを予備乳化物とよぶ。
特性、用途
本発明の予備乳化組成物は、水もしくは消化液と接触すると速やかに乳化・分散する自己乳化性に優れたものであり、難水溶性物質の吸収性改善に寄与する。本発明で得られる予備乳化組成物は、そのまま水等の水性液体に添加し溶かし、摂取することも出来るが、軟カプセルに封入することにより軟カプセル製剤として用いることができる。その場合、水等の水性液体もしくは生体内の水分によって軟カプセルの皮膜が崩壊し、次いで内容物がO/Wエマルションを形成する。
本発明の乳化組成物は、乳化剤配合量が少なくて済み、油性成分比率が高くなる分、生理活性物質などの脂溶性有効成分を多く封入したカプセル剤を提供することが可能である。
本発明の乳化組成物は、カプセル皮膜を軟化、変形させることが無く、カプセル剤の安定性が向上する。特に、軟カプセル剤に適する。
また、熱安定性が高く、保管中に40℃程度の高温になっても薬液中から油性成分が分離しないので、保存性にも優れている。
そして本発明は、乳化組成物をカプセルに充填して得られるカプセル製剤並びにこれらを含む健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品に適する。生理活性物質などの脂溶性有効成分含有比率が高いので、少量の摂取で済む生理活性物質に対しては、カプセルの小型化が可能となり、小児や高齢者にとって、飲み下しの改善となる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
試験例
難溶性生理活性成分を含まない溶媒として油剤のみを使用して予備乳化物を作成した試験例である。試験液の調製は表1の組成に基づき行った。まず、ヒドロキシプロピルスターチ(松谷化学工業(株) ファリネックスAG-100)とリゾレシチン(辻製油(株) SLP LPC-70 リゾフォスファチジルコリン濃度65%以上)を所定量秤取し、乳鉢で練合し均質化させた。その後グリセリン(和光純薬工業(株) 試薬特級 グリセリン)に先の練合物を添加し、湯煎(90℃)にかけながらボルテックスミキサーで攪拌することで、これらを濃グリセリン中に溶解させた。このとき得られた組成物を成分I(I-A〜I-C)とする。
なお、実施例では濃グリセリン中のヒドロキシプロピルスターチとリゾレシチンの比率を10:3に固定させて増減させているが、この比率に限るものではない。
Figure 2009114157
成分Iが完全に均一になったことを確認した後、湯煎を止め、10gを分取し、次いでボルテックスミキサーで攪拌を行いながら、油性成分として中鎖脂肪酸トリグリセライド(花王(株)ココナードRT(成分II))を成分Iの中へ徐々に添加した。このとき、成分IIの添加量が増えるのに応じて成分Iは希釈される形となる。成分IIの添加量を変化させて得られた予備乳化物試験例1〜18の一覧を表2に示す。
Figure 2009114157
前記表2に示した予備乳化物を用いた試験例1〜18の評価方法を示す。
<予備乳化物の初期安定性>
予備乳化物の調製直後の初期安定性を目視観察により判断した。予備乳化物の状態を以下のように評価した。
○:油がグリセリン相から分離することなく予備乳化物を形成したもの
△:油がグリセリン相表面に染み出しているもの
×:油がグリセリン相から完全に分離
このうち、評価が○以上のものを合格とした。
<自己乳化性の評価方法>
本発明で得られた乳化組成物の自己乳化性は、水と接触させた際の分散性によって評価した。具体的にはビーカーに入れた37℃のミリQ水200mLに対して、100μLの試料を滴下したときの状態を以下のように評価した。
○:1mm以上の油滴を気-液界面に形成しないもの。
△:油滴同士が凝集・合一し、1mm以上の油滴を気-液界面に形成してしまうもの。
×:全く自己乳化しないもの。
このうち、評価が○のものを合格とした。
<軟カプセルの変形試験評価方法>
本発明で得られた乳化組成物を軟カプセルに充填した際のカプセル皮膜安定性をカプセル変形量から評価した。具体的には、得られた軟カプセル製剤をアルミ包装に入れ、35℃75%RH環境下で保管し、経時的に軟カプセルの短径方向長さをノギスで測定することで、以下のように評価した。
◎:変形量が0mm以上0.3mm未満
○:変形量が0.3mm以上0.5mm未満
△:変形量が0.5mm以上1.0mm未満
×:変形量が1.0mm以上
このうち、評価が○以上のものを合格とした。
試験例1〜18の評価結果を各配合成分組成(配合は、重量%で示す)と共に表3に示す。
また比較例としてヒドロキシプロピルスターチ、リゾレシチンの一方だけを入れた場合の結果を表4に示す。またリゾレシチンをリゾフォスファチジル含量の少ない原料(辻製油(株) SLP ホワイトリゾ リゾフォスファチジルコリン濃度18%以上)に切り替えて実施した比較例の結果を表5に示す。
Figure 2009114157
試験例19〜22を表4に示す。
Figure 2009114157
試験例23〜34を表5に示す。
Figure 2009114157
表3の結果、予備乳化物の初期安定性については組成物中にグリセリンを少なくとも10%以上含む試験例1〜5、7〜11、13〜17が良好であり、グリセリン配合量が10%未満である試験例6、12、18では安定性を担保することが出来ないことが分かった。また中でも試験例1〜4、7〜11、13〜17は自己乳化性の面においても良好であるが、ヒドロキシプロピルスターチがグリセリンに対して1/2未満である試験例1〜4では、軟カプセル変形試験において変形を生じ、安定性を担保することは出来なかった。一方、ヒドロキシプロピルスターチがグリセリンに対して1/2以上である試験例7〜11、13〜17のうち、組成物にグリセリンを20%以上含む試験例7、13は変形を生じてしまったが、グリセリンが18%以下である試験例8〜11、試験例14〜17については変形せず安定であった。
また表4の試験例19〜22にはヒドロキシプロピルスターチ、リゾレシチンをそれぞれ単独でグリセリン中に分散・溶解させ検討した例を挙げているが、ヒドロキシプロピルスターチおよびリゾレシチンがそれぞれ5%〜10%程度では安定な予備乳化組成物は形成されない。すなわち、今回の組成物はヒドロキシプロピルスターチとリゾレシチンをグリセリン中で共存させることによってはじめて油性成分を高配合かつ安定な状態に出来る。
また表5の試験例23〜28、29〜34は、それぞれ表3の試験例7〜12、13〜18に使用したリゾフォスファチジルコリン高濃度(濃度65%以上)のリゾレシチンを低濃度(濃度18%以上)のものに置き換えて実施した例であるが、リゾフォスファチジルコリンが低濃度であると、同じリゾレシチン濃度であっても総じて不安定なものしか得られず、試験例31を除いて安定性を担保することが出来なかった。このことからリゾレシチン濃度としてはより高い方が望ましく、今回の場合ではリゾフォスファチジルコリン濃度65%以上のリゾレシチンを用いた方が良好な結果が得られることが分かった。

Claims (6)

  1. 油性成分(A)、グリセリン(B)、澱粉または澱粉誘導体(C)、および、リゾレシチン(D)を含有するカプセル製剤用乳化組成物。
  2. 澱粉または澱粉誘導体(C)がグリセリン(B)に対して1/2〜1/1量である請求項1記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  3. 油相成分(A)が58.6〜83.5%重量、グリセリン(B)が10〜18%重量、澱粉または澱粉誘導体(C)が5〜18%重量、リゾレシチン(D)が1.5〜5.4%重量であることを特徴とする請求項1又は2記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  4. 油性成分が中鎖脂肪酸トリグリセライドまたは動植物性オイルであり、当該油性成分に可溶な脂溶性物質を含む請求項1〜3のいずれかに記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  5. リゾレシチン原料中に含まれるリゾフォスファチジルコリンの濃度が少なくとも18%以上、望ましくは65%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカプセル製剤用乳化組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載されたカプセル製剤用乳化組成物を封入したソフトカプセル製剤。
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