JP2004011866A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム状弾性材製の複数段のリップ構造8を有する密封装置であって、当該密封装置の作動当初より軸に接触する第一リップ9と、第一リップ9の密封流体側に配置されて第一リップ9の摩耗後に軸に接触する第二リップ10と、第二リップ10の更に密封流体側に配置されて第二リップ10の摩耗後に軸に接触する第三リップ11と、リップ9,10,11に締めしろを付与するガータースプリング13とを有している。またガータースプリング13は、第一リップ9よりも軸方向密封流体側に配置されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、内燃機関の吸気弁や排気弁に使用されるバルブステムシールとして用いられるのに適した密封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バルブステムシールは、適度なシールリップの設定により、潤滑油量の制御を行なっている。しかしながら、長期間の使用や、バルブステムの表面粗さが大きい場合等に、シールリップが大きく摩耗してしまうことがある。この過大摩耗が発生すると、シールリップによる潤滑油量の制御が困難となり、油漏れが発生し、バルブステムシールの継続使用も困難となってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、複数段のリップ構造が順次摺動作動する構成を備え、もって長期間に亙って使用することが可能な密封装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による密封装置は、ゴム状弾性材製の複数段リップ構造を有する密封装置であって、当該密封装置の作動当初より軸に接触する第一リップと、前記第一リップの密封流体側に配置されて前記第一リップの摩耗後に前記軸に接触する第二リップと、前記リップに締めしろを付与するガータースプリングとを有し、前記ガータースプリングは前記第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されていることを特徴とするものである。
【0005】
また、本発明の請求項2による密封装置は、ゴム状弾性材製の複数段リップ構造を有する密封装置であって、当該密封装置の作動当初より軸に接触する第一リップと、前記第一リップの密封流体側に配置されて前記第一リップの摩耗後に前記軸に接触する第二リップと、前記第二リップの更に密封流体側に配置されて前記第二リップの摩耗後に前記軸に接触する第三リップと、前記リップに締めしろを付与するガータースプリングとを有し、前記ガータースプリングは前記第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の請求項3による密封装置は、上記した請求項1または2の密封装置において、当該密封装置がバルブステムシールであり、軸がバルブステムであり、密封流体が潤滑油であることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成を備えた本発明の請求項1による密封装置においては、当該密封装置の作動当初、第一リップが摺動作動し、この第一リップが摩耗すると第二リップが摺動作動するというようにリップの摺動作動が順次行なわれる。また、リップに締めしろを付与するガータースプリングが第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されているために、このガータースプリングが梃子の原理にしたがって第一リップが摩耗するのに伴って第二リップを軸に近付ける。
【0008】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2による密封装置においては、当該密封装置の作動当初、第一リップが摺動作動し、この第一リップが摩耗すると第二リップが摺動作動し、この第二リップが摩耗すると第三リップが摺動作動するというようにリップの摺動作動が順次行なわれる。また、リップに締めしろを付与するガータースプリングが第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されているために、このガータースプリングが梃子の原理にしたがって第一リップが摩耗するのに伴って第二リップおよび第三リップを軸に近付ける。
【0009】
上記構成を備えた本発明の密封装置はバルブステムシールとして構成され、また、構成の近似したその他のリップシール(オイルシール)として構成される(請求項3)。
【0010】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0011】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一の密封装置(バルブステムシール)は、以下の内容を備えている。
【0012】
▲1▼ 使用中、安定した漏れ量制御を維持させるため、従来品に対してリップの数を増す。多段リップ構造にすることにより、1段目のリップ(燃焼室側のリップ)が過大摩耗を起こして潤滑油量の制御が困難となった場合に、シール上部が摩耗分傾斜することにより、2段目のリップが摺動面に接する。これが潤滑油量を制御することにより、長期におけるバルブステムシールの性能維持が可能となる多段リップ。
▲2▼ ガータースプリングを1段目リップのリップ先端より、バルブステムの軸方向密封側に位置させる。
▲3▼ 従来品のバルブステムシールに対し、一段リップの数を増やす。これにより1番目のリップが過大摩耗を起こした場合、シールヘッド部が傾斜することにより2番目のリップが接触し摺動する。同様にこの2番目のリップが摩耗した場合には3番目のリップが接触し、潤滑油量制御を行なう。この結果、従来品よりも使用期間を延ばすことができ、長期にわたるシール性能維持が可能となる。
▲4▼ 上記構成により、バルブステムシールの長期性能維持、およびオイル過大消費やオイル漏れ等のシールリップ過大摩耗による各種問題の抑制を実現することができる。
【0013】
▲5▼ バルブステムシールのリップは、計算された各角度によって潤滑油量の制御を行なっている。本発明は、スプリングによる確実な補助リップの接触を提案するものであって、更に補助リップにも主リップと同等の油量制御機能を与えている。
▲6▼ 本発明は、単に補助的リップ(スプリングレス)を主リップ上方に付与するのではなく、主リップと同等のものを複数個設定している。また、スプリングを適切な位置に設定することにより、第一リップ摩耗時の第二・第三リップの確実な軸との接触を行ない、同時に各接触角度の設定を確実なものとしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る密封装置の半裁断面を示している。
【0016】
当該実施例に係る密封装置は、内燃機関の吸気弁や排気弁に使用されるバルブステムシール1であって、以下のように構成されている。
【0017】
すなわち先ず、取付部材としてのバルブステムガイド(図2参照)2の外周に取り付けられる金属製の取付環3が設けられており、この取付環3にゴム状弾性材製の弾性体4が加硫接着されており、この弾性体4によって、摺動の相手部材であるバルブステム(図2参照)5の外周面に摺動自在に密接するシールリップ6と、バルブステムガイド2の外周面に嵌合される内周嵌合部7とが一体成形されている。
【0018】
上記取付環3は、筒状部3aの軸方向一端(図上上端)に径方向内方へ向けてフランジ部3bを一体成形して断面略L字形に形成されており、後者のフランジ部3bにシールリップ6が加硫接着されるとともに前者の筒状部3aの内周面に内周嵌合部7が加硫接着されている。
【0019】
上記シールリップ6は、取付環3のフランジ部3bの内周端部から軸方向一方(図上上方)へ向けて筒状に形成されており、その内周部に、潤滑油漏洩側(図上下側)から潤滑油側(図上上側)へかけて順に、第一リップ9、第二リップ10および第三リップ11を軸方向に並べて設けた複数段リップ構造8が設けられている。
【0020】
上記三段のリップ9,10,11のうち、第一リップ9は、最も潤滑油漏洩側に配置されており、その内径寸法d1を最も小さく形成されている。
【0021】
第二リップ10は、第一リップ9の潤滑油側であって第三リップ11の潤滑油漏洩側に配置されており、その内径寸法d2を第一リップ9よりも大きくかつ第三リップ11よりも小さく形成されている。
【0022】
第三リップ11は、最も潤滑油側に配置されており、その内径寸法d3を最も大きく形成されている(d1<d2<d3)。
【0023】
また、上記シールリップ6の外周部に環状の装着溝12が設けられており、この装着溝12に、各リップ9,10,11に緊迫力を作用させて締めしろを付与するガータースプリング13が嵌着されている。このガータースプリング13の軸方向中心線Cは、第一リップ9のリップ先端部よりも所定距離Lに亙って軸方向潤滑油側に配置されている。
【0024】
上記構成のバルブステムシール1においては、その作動当初、図2に示すように第一リップ9がバルブステム5の周面に摺動自在に密接し、第二および第三リップ10,11はバルブステム5の周面から離れている。したがって第一リップ9によって密封流体である潤滑油がシールされ、かつ漏洩油量が制御される。漏洩した油は、バルブステム5とこれを支持するバルブステムガイド2との摺動部を潤滑する。
【0025】
そして、作動時間が経過して第一リップ9が摺動摩耗すると、図3に示すようにガータースプリング13の緊迫力によってシールリップ6全体が図上AからBへと傾斜し、第二リップ10がバルブステム5の周面に摺動自在に密接する。第三リップ11はバルブステム5の周面から離れたままである。したがって第二リップ10によって潤滑油がシールされ、かつ漏洩油量が制御される。
【0026】
また、作動時間が更に経過して第二リップ10が摺動摩耗すると、図4に示すようにガータースプリング13の緊迫力によってシールリップ6全体が図上Cへと傾斜し、第三リップ11がバルブステム5の周面に摺動自在に密接する。したがって第三リップ11によって潤滑油がシールされ、漏洩油量が制御される。
【0027】
したがって、上記構成のバルブステムシール1によれば、第一ないし第三リップ9,10,11の摺動作動が上記したように順次行なわれるために、シール1全体としての作動時間を長く延ばすことができ、よって長期間に亙って使用可能なバルブステムシール1を提供することができる。
【0028】
また、上記構成のバルブステムシール1においては併せて、各リップ9,10,11に緊迫力を作用させるガータースプリング13が、作動当初に摺動作動する第一リップ9よりも軸方向密封流体側に配置されているために、このガータースプリング13が梃子の原理にしたがって第一リップ9が摩耗するのに伴って第二および第三リップ10,11を徐々にバルブステム5に近付けることになる。したがって、第一リップ9が摩耗したときに摺動作動を第二リップ10へ円滑に切り換えることができる。
【0029】
尚、上記実施例で、複数段のリップ構造8を三段構造としたのは単なる例示であり、複数段のリップ構造8は二段または四段以上の構造であっても良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0031】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1による密封装置においては、上記構成により第一および第二リップの摺動作動が順次行なわれるために、密封装置全体としての作動時間を長く延ばすことができる。したがって、長期間に亙って使用可能な密封装置を提供することができる。また、リップに締めしろを付与するガータースプリングが、作動当初に摺動作動する第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されているために、このガータースプリングが梃子の原理にしたがって第一リップが摩耗するのに伴って第二リップを徐々に軸に近付ける。したがって、第一リップが摩耗したときに摺動作動を第二リップへ円滑に切り換えることができる。
【0032】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2による密封装置においては、上記構成により第一ないし第三リップの摺動作動が順次行なわれるために、密封装置全体としての作動時間を一層長く延ばすことができ、一層長期間に亙って使用可能な密封装置を提供することができる。また、リップに締めしろを付与するガータースプリングが、作動当初に摺動作動する第一リップよりも軸方向密封流体側に配置されているために、このガータースプリングが梃子の原理にしたがって第一リップが摩耗するのに伴って第二および第三リップを徐々に軸に近付ける。したがって、第一リップが摩耗したときに摺動作動を第二リップへ円滑に切り換えることができる。
【0033】
また、上記構成を備えた本発明の請求項3による密封装置においては、上記効果を奏する密封装置をバルブステムシールとして提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る密封装置であるバルブステムシールの半裁断面図
【図2】同バルブステムシールの作動状態説明図
【図3】同バルブステムシールの作動状態説明図
【図4】同バルブステムシールの作動状態説明図
【符号の説明】
1 バルブステムシール
2 バルブステムガイド
3 取付環
3a 筒状部
3b フランジ部
4 弾性体
5 バルブステム
6 シールリップ
7 内周嵌合部
8 複数段リップ構造
9 第一リップ
10 第二リップ
11 第三リップ
12 装着溝
13 ガータースプリング
Claims (3)
- ゴム状弾性材製の複数段リップ構造(8)を有する密封装置であって、
当該密封装置の作動当初より軸に接触する第一リップ(9)と、前記第一リップ(9)の密封流体側に配置されて前記第一リップ(9)の摩耗後に前記軸に接触する第二リップ(10)と、前記リップ(9)(10)に締めしろを付与するガータースプリング(13)とを有し、
前記ガータースプリング(13)は前記第一リップ(9)よりも軸方向密封流体側に配置されていることを特徴とする密封装置。 - ゴム状弾性材製の複数段リップ構造(8)を有する密封装置であって、
当該密封装置の作動当初より軸に接触する第一リップ(9)と、前記第一リップ(9)の密封流体側に配置されて前記第一リップ(9)の摩耗後に前記軸に接触する第二リップ(10)と、前記第二リップ(10)の更に密封流体側に配置されて前記第二リップ(10)の摩耗後に前記軸に接触する第三リップ(11)と、前記リップ(9)(10)(11)に締めしろを付与するガータースプリング(13)とを有し、
前記ガータースプリング(13)は前記第一リップ(9)よりも軸方向密封流体側に配置されていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1または2の密封装置において、
当該密封装置がバルブステムシール(1)であり、軸がバルブステム(5)であり、密封流体が潤滑油であることを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002169665A JP2004011866A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002169665A JP2004011866A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 密封装置 |
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ID=30436156
Family Applications (1)
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JP2002169665A Pending JP2004011866A (ja) | 2002-06-11 | 2002-06-11 | 密封装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101314688B1 (ko) | 2012-09-05 | 2013-10-04 | 평화오일씰공업주식회사 | 밸브스템 씰링부재 |
JP7489734B2 (ja) | 2018-11-12 | 2024-05-24 | Nok株式会社 | 密封装置およびグリース付着方法 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002169665A patent/JP2004011866A/ja active Pending
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KR101314688B1 (ko) | 2012-09-05 | 2013-10-04 | 평화오일씰공업주식회사 | 밸브스템 씰링부재 |
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