JP2004011734A - 弾性部材及びそれを使用した給紙ローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】高い給紙能力、優れた耐摩耗性、耐候性を有し、製造が容易である給紙ロールを提供すること。
【解決手段】水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなる層状弾性部材が外周面を包囲し、その弾性材料の表面には多数の突起物があることに加えて、無機のフィラーを含有すること、耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び放射線照射によって改質されていることの3要件のうちの少なくとも1つを満足させているように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなる層状弾性部材が外周面を包囲し、その弾性材料の表面には多数の突起物があることに加えて、無機のフィラーを含有すること、耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び放射線照射によって改質されていることの3要件のうちの少なくとも1つを満足させているように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性部材及び給紙ローラに関し、さらに詳しく述べると、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、堆積されたシート状記録材料から記録材料を一枚ずつ搬送するために用いられる弾性部材及び給紙ローラに関する。本発明の給紙ローラは、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である。なお、本願明細書では、画像形成装置で一般的に使用されるシート状の材料、例えば印刷用紙、記録紙などを、以下、「用紙」あるいは「紙」と呼ぶことにする。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の各種の画像形成装置、さらには現金自動預け払い機(ATM)、キャッシュディスペンサ(CD)などにおいては、印刷用紙、記録紙、紙幣などの搬送のためにいろいろなタイプの給紙ローラが使用されている。特に画像形成装置について見た場合、装置の高機能化、処理の高速化、用紙の多様化などに対応するため、給紙ローラには3つの重要な特性が要求されている。すなわち、給紙能力が高いこと、耐摩耗性に優れること、そして耐候性に優れること、の3点である。
【0003】
給紙能力についてみると、近年、大型サイズの用紙を処理できるようになり、単位面積当たりの重量がより大きい用紙を安定に供給できる高い能力が求められる傾向にある。また、高い紙送り能力は、用紙の二重送り防止にも有効な方策であると考えられている。すなわち、給紙ローラが作用する時には、給紙ローラに併用される押し付け部材によって、用紙がある一定の力で給紙ローラに向かって押し付けられる必要がある。このとき、給紙ローラの紙送り能力が小さいとすると、もしも押し付け部材の押圧力が弱いならば、紙送りがうまくいかず、空送りが発生するおそれがあり、反対に押圧力が強ければ、紙どうしの摩擦力が強くなって、二重送りが発生するおそれがある。ここで、給紙ローラの紙送り能力が十分に大きければ、押し付け部材の押圧力が強くなり、紙どうしの摩擦力が強くなったとしても、二重送りを生じることなく安定な紙送りを実現できると考えられる。
【0004】
高い給紙能力には給紙ローラの耐摩耗性も関係する。近年、より多量の用紙をより短時間で処理する傾向があり、したがって、従来のように少量低速処理の使用環境には耐ええた給紙ローラも、使用を開始してから早い段階で磨耗を生じるようになっている。また、最近では樹脂を多く含む低価格紙やコート紙などが使用される傾向にあり、これの用紙の使用も給紙ローラの摩耗を促進している。よって、どのような用紙を多量に送った後にも摩耗を生じることがなく、紙送り性能に大きな変動を生じないような給紙ローラを提供することが望ましい。
【0005】
また、画像形成装置では定着処理のときにオゾンが発生することが多く、耐オゾン性も給紙ローラには必要である。さらに、画像形成装置は高温多湿地帯を含めたいろいろな環境で使用されることが予想されるので、温度及び湿度に対する耐性、すなわち、耐温湿度性を具えていることも必要である。なお、本願明細書では、耐オゾン性、耐温湿度性、耐光性などを含めて、「耐候性」と呼ぶことにする。さらには、これらの優れた性能を備えた給紙ローラを、簡単な方法で容易に製造できることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の給紙ローラは、上述のような特性を同時に満足させることができていない。
【0007】
一般的に、高い給紙能力を得るためには高い摩擦力が必要である。これを実現するために、従来の給紙ローラでは、低硬度の、言い換えれば弾性率の低いゴム材料をその外周部材として使用している。一般的に用いられているゴム材料は、ポリノルボルネン系のゴムに多量のプロセスオイルを軟化剤として配合したものである。しかし、この給紙ローラの場合、使用中にプロセスオイルが染み出して用紙を汚染し、また、プロセスオイルが用紙に転写されてスリップを生じ、紙送り性能を低下させてしまうこともある。
【0008】
一方で、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)を外周部材として使用した給紙ローラもいくつか知られている。例えば特開平9−254275号公報には、油添のEPDMゴムに、例えば酸化チタン、シリカ、カーボンブラック等の充填剤を配合しないか、あるいは配合する場合は、ゴム成分100重量部に対して15重量部以下の割合で配合したことを特徴とするゴムローラが開示されている。しかし、このゴムローラの場合、EPDMゴムをベースとして使用しているので、加工性と低硬度を得るためにプロセスオイルを軟化剤として配合することは不可欠であり、したがって、上記と同様にプロセスオイルによる用紙汚染やスリップ発生の問題を避けることができない。また、EPDMゴムは成形前に加硫処理を行うので、高温で処理する必要性から、生産性、そして製造能力に問題がある。さらに、上述のノルボルネン系のゴムにも同じように言えることであるが、長時間にわたって使用している間にロール表面に紙粉が付着し、給紙能力を低下させるという問題も発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0010】
本発明の目的は、したがって、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、用紙の汚染やスリップの問題、そして紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である給紙ロールを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、堆積されたシート状記録材料から記録材料を一枚ずつ搬送するために有利に使用できる給紙ローラを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、このような給紙ローラにおいて用紙の搬送に有用な弾性部材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を解決するために鋭意研究した結果、給紙ローラの外周面をオイルフリーの弾性部材の層で被覆するとともに、その層の表面に多数の突起物を突立させることで、給紙能力、耐摩耗性及び耐候性の3点の要求を同時に満足させ得るということを発見した。
【0014】
本発明は、その1つの面において、用紙の搬送に用いられる弾性部材であって、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その弾性部材の表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
を特徴とする弾性部材にある。
【0015】
また、本発明は、そのもう1つの面において、弾性部材を備えた給紙ローラであって、前記弾性部材が、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
を特徴とする給紙ローラにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の弾性部材は、上記したように、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その弾性部材の表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
に特徴がある。この弾性部材は、その特徴的な構成に由来して、いろいろな用途で有利に使用することができるというものの、とりわけ用紙の搬送に好適である。本発明の弾性部材は、したがって、画像形成装置で用いられる給紙ローラの一員として有利に使用することができる。また、弾性部材は、分離パッドなどにも使用できる。
【0017】
本発明の弾性部材は、その使途に応じていろいろな形態で使用できるけれども、とりわけ有用な形態は、矩形シート、円筒形チューブ又はパイプ、エンドレスのベルトなどである。場合によっては、プレートの形態で使用してもよい。また、このような弾性部材は、その厚みの故に、以下に説明し、定義するように、「層状弾性部材」と言うことができる。また、本発明の弾性部材は、その変形例として、中実の円筒体やその他の形態を有していてもよい。弾性部材の詳細は、以下に記載する通りであるが、本発明の範囲において任意に変更可能である。
【0018】
本発明の給紙ローラは、通常、コア(軸体とも呼ばれる)と、本発明の弾性部材とを含むように構成される。弾性部材は、好ましくは、コアの外周面を包囲して取り付けられた層状弾性部材である。図1は、本発明の給紙ローラ10の好ましい1実施形態を示したもので、コア1とその外周面を取り囲んで形成された層状弾性部材2とからなる。弾性部材2は、本発明に特徴的な多数の突起物3をその表面に備えている。弾性部材2の構成は、図2の断面図から容易に理解できるであろう。
【0019】
給紙ローラ10の中心をなすコア1は、従来の給紙ローラと同様に、用途に応じて予め定められた直径をもった円筒形の部材からなる。この部材の材質は、特に限定されないけれども、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属、あるいはポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン等のプラスチック材料が一般的である。また、コア1は、軽量化などのため、図示のような中空構造を有していてもよい。さらに、コア1は、以下で説明する分離パッド式の搬送機構に本発明の給紙ローラを使用するような場合には、円筒形の部材の一部が切欠かれた構造を有していてもよい。
【0020】
上述のような円筒形のコア1に、層状弾性部材2が取り付けられる。ここで、「層状弾性部材」とは、弾性部材が給紙ローラの機能を発現するのに十分な厚さを有し、したがって、その厚みに応じて層状、フィルム状あるいはシート状の形態を有する弾性部材を指している。弾性部材の厚さは、給紙ローラの使用部位や用途などに応じて広い範囲で変動可能であるけれども、通常、約0.1〜3mmの範囲であり、好ましくは約0.2〜2mmの範囲であり、さらに好ましくは約0.25〜1.5mmの範囲である。
【0021】
円筒形のコア1に対する弾性部材2の取り付けは、その弾性部材の特性やサイズなどに応じて最適な方法を任意に選択することができる。本発明による弾性部材は、紙やフィルム等に対しての摩擦力を著しく増大しているので、一般に用いられているようなコアに弾性部材を拡径して単純に嵌め込むような方法では、層間でのスベリを防止することは困難である。本発明による弾性部材の取り付け方法としては、したがって、例えば、弾性部材のフィルムあるいはシートを接着層でコアに貼り付ける方法、円筒形の弾性部材の内面とコア外周面に機械的にせん断力を吸収する機構を設ける方法、コアの外周面に弾性材料を射出成型するなどして円筒形弾性部材を成形する方法、などを挙げることができる。接着層において使用する接着剤は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、アクリル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤などを包含する。また、接着剤の使用に代えて、両面テープ、例えばアクリル系感圧式両面テープなどを使用してもよい。なお、図1及び図2の実施形態では、図示されていないが、コア1と弾性部材2の間で接着層が使用されている。
【0022】
ところで、上述したように困難が予想される、コアに弾性部材を拡径して単純に嵌め込むような方法では、弾性部材の裏面とコア表面にも同様の突起を設けることで、高摩擦力によるせん断力を得ることができる。これらの、固定用突起としては、弾性部材とコアの双方に軸方向に歯車状の突起を設けてもよい。また、四角錘形状の突起や放電加工や溶射で得られるような粗面でもよい。突起の高さ及びピッチは通常約0.1〜1.0mmの範囲であるが、好ましくは約0.2〜0.8mmの範囲、さらに好ましくは約0.3〜0.5mmの範囲である。
【0023】
また、本発明の弾性部材は、それを矩形シート及びエンドレスのベルトの形態で使用する場合、その形状を維持するために弾性部材の裏面(突起の反対側)に補強材を設けることが望ましい。補強材は、布及び不織布が好適である。
【0024】
本発明による給紙ローラの機能は、その外周面を覆った本発明の弾性部材の組成、形状等によるところが大である。
【0025】
本発明の弾性部材は、まず、水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなることが必要である。かかる熱可塑性エラストマーは、給紙ローラの使用温度で良好なゴム弾性及び比較的に高い摩擦力を示すことができるばかりでなく、そのエラストマーの部分に二重結合を有していないので、従来一般的に用いられているポリノルボルネンなどとは対照的に、紫外線やオゾンに対する耐候性に優れている。
【0026】
弾性部材の形成に好適な水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のスチレンブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とするブロックとを有するブロック共重合体の水添生成物、すなわち、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体である。スチレンブロックは、好適には、共重合体の全量を基準にして約10〜70重量%の量で用いられる。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、あるいはそれらのうちの1種以上とエチレンとのランダム共重合体を用いることができる。さらに、これらのジエン化合物の一部が、マレイン酸基、カルボン酸基、エポキシ基などの官能基で変性されていてもよい。さらにまた、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、単独で使用してもよく、2種以上をブレンドしたり共重合させたりして使用してもよい。
【0027】
上述のような水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、いろいろな分子量で使用することができる。このようなブロック共重合体の分子量は、特に限定されないというものの、通常、重量平均分子量で、約100,000〜400,000の範囲であり、必要ならば、この範囲よりも大、あるいは小であってもよい。
【0028】
また、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレンのジブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレンのジブロック共重合体(SEP)などを包含する。機械的強度を考慮に入れた場合、SEBS、SEPS等のトリブロック共重合体が、スチレン系ブロック共重合体として特に好適である。
【0029】
水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、弾性部材中でいろいろな量で使用することができる。しかし、満足し得る給紙能力を得るため、通常、弾性部材の全量を基準にして少なくとも20重量%以上の量でかかるブロック共重合体を使用するのが好ましく、さらに好ましくは少なくとも30重量%以上の量であり、最も好ましくは少なくとも50重量%以上の量である。ブロック共重合体の添加量の上限は、特に定められないというものの、通常、約100重量%である。
【0030】
第2に、弾性部材は、その表面から外側に突出する多数の突起物を備えることが必要である。多数の突起物が外周面に存在することによって、給紙ローラの給紙能力をより一層向上させることができる。すなわち、給紙ローラの使用が長期間にわたったとしても、多量の用紙の摩擦によって発生した紙粉は、突起物の間に形成された微細な空間(窪み)に移動でき、給紙ローラの表面に堆積することがなく、したがって、初期における良好な給紙能力をそのまま維持できるからである。
【0031】
上述の突起物は、いろいろな形状、サイズ、そして空間配列密度で弾性部材の外周面に突出させることができる。適当な突起物は、以下に示すものに限定されるわけではないけれども、例えば図3に示すように、円柱状の突起物3を弾性部材2の表面に突出させてもよく、また、例えば図4に示すように、四角錐状の突起物3を弾性部材2の表面に突出させてもよい。その他の好適な突起物の例としては、面ファスナーのフックに類似の突起物、例えばマッシュルーム状の突起物などを挙げることができる。さらに、突起物の表面は、図示のように平坦であってもよく、あるいは球状、半球状などであってもよい。また、突起物は、通常、1種類の材料のみから構成されるけれども、強度や柔軟性の改良のため、複合構造を有していてもよい。例えば、突起物の中心部に弾性部材と同じ材料から芯材を設け、その周囲を、より柔軟性に優れた外被材で被覆してもよい。
【0032】
また、それぞれの突起物は、通常同じ形状の突起物のみで用いられるのが一般的であるが、必要ならば、異なる形状の突起物を組み合わせてもよい。同様に、それぞれの突起物は、通常、同じ高さの突起物のみで用いられるけれども、必要ならば、異なる高さの突起物を組み合わせてもよい。また同様に、それぞれの突起物は、通常、同じ配列密度で配置されるけれども、必要ならば、部位に対応して異なる密度に突起物を配置してもよい。
【0033】
特に図7に示されるような分離パッド方式の給紙ローラは、そのローラの部位によって要求される性能が異なっている。ローラの回転に応じて用紙と接触しない位置から、はじめて用紙と接触するピックアップ位置、安定した給紙を行う定常範囲、次段のニップローラに引き渡す位置と、それぞれ給紙ローラにかかる負荷は異なっている。それによって、給紙ローラに要求される弾性部材の性質もローラの部位によって異なっている。ピックアップ位置・次段への引渡し位置では、給紙ローラにはせん断応力が働き表面のせん断強度が必要とされ、また、定常範囲では安定した給紙のための摩擦力が必要とされる。本発明によれば、突起物は、部位に応じて突起物の形状・配置を自由に変更可能なために、最適な給紙ローラを構成することが可能になる。具体的には、配列密度の向上や突起物の断面積を大きくすることで、接触面積や見かけ上のローラ強度を向上させることが可能になる。必要ならば、異なる高さの突起物を弾性部材の表面に設けることによって、同一高さを適用した場合と異なった作用効果、例えば突起物の耐久性向上などを得ることができる。
【0034】
突起物のサイズは、給紙ローラの種類などに応じて広い範囲で変更することができる。例えば、突起物の高さは、通常、約0.15〜1.5mmの範囲であり、好ましくは約0.254〜1.27mmの範囲であり、さらに好ましくは約0.3〜0.9mmの範囲である。また、突起物の断面サイズは、その断面が図3に示すように円形であると仮定すると、その基部の直径は、通常、0.076〜0.76mmの直径であり、好ましくは約0.1〜0.5mmの直径であり、さらに好ましくは約0.15〜0.3mmの直径である。さらに、突起物の断面積は、できるだけ一定であることにより磨耗による特性変化を防ぐことができるが、突起物の曲げ強度を維持するためには錘台形が望ましい。先端部と基部の面積の比率は、通常約1.0〜6.0の範囲であり、好ましくは約1.1〜4.0の範囲であり、さらに好ましくは約1.2〜3.0の範囲である。さらに、突起物の空間配列密度は、通常、100個/cm2以上であり、好ましくは約200〜1200個/cm2の範囲、さらに好ましくは約300〜1000個/cm2の範囲である。
【0035】
弾性部材の表面における多数の突起物の形成は、いろいろな成形法を使用して行うことができる。例えば、出願人による国際公開第WO97/32805号及び同第00/20210号などに記載の技法を有効に使用することができる。なお、本発明の実施に当たって、これらの国際公開に開示されている突起物も有利に利用することができる。
【0036】
第3に、弾性部材は、下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させることが必要である。これらの要件は、弾性部材を構成する水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーの耐摩耗性の向上に大きく寄与することができ、また、その機構はいまだ完全に解明されるに至っていないけれども、給紙能力の飛躍的な向上にも寄与することができる。
【0037】
無機フィラーは、ゴムの補強材として従来一般的に用いられている様々な種類の無機フィラーを使用することができる。適当な無機フィラーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物、カーボンブラック、クレー、タルク、マイカ、ガラスビーズ等の中空微小球、セラミック繊維、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。このような無機フィラーのなかでも、給紙能力を向上させる効果が大きいものは、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、セラミック繊維などである。また、水添熱可塑性エラストマーに対する分散性や耐摩耗性、品質安定性、コストなどの面から、シリカが最も好適である。
【0038】
シリカやその他の無機フィラーは、本発明の作用効果に対して悪影響を及ぼさない限り、フィラーの分野で一般的ないろいろな形態で使用することができる。フィラーの適当な形態としては、例えば、球体、板状物、繊維片、燐片、無定形物などを挙げることができる。これらのフィラーは、必要ならば、特性等の向上のためにその表面にコーティングなどを有していてもよく、あるいは、表面処理などを施されていてもよい。
【0039】
また、無機フィラーは、いろいろなサイズ(粒径)で用いることができるけれども、通常、加工性や分散性、添加量と給紙能力向上の効果との関係などを考慮して、約30μm以下のサイズで用いるのが好ましく、さらに好ましくは、約20μm以下のサイズである。
【0040】
さらに、無機フィラーは、所望とする効果などに応じていろいろな量で水添熱可塑性エラストマーに添加することができる。フィラーの添加量は、通常、水添熱可塑性エラストマー100重量部に対して約100重量部以下であり、好ましくは、約1〜50重量部の範囲であり、さらに好ましくは、約3〜30重量部の範囲である。
【0041】
本発明の弾性部材では、必要に応じて、耐摩耗性樹脂が添加剤として使用され、この添加剤を水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーに添加し、分散させることによって、長期使用における高い給紙能力及び優れた耐摩耗性を同時に実現できる。ここで使用する耐摩耗性樹脂は、水添熱可塑性エラストマーと良好な相溶性を有し、かつ給紙ローラに対して他の物性を損なうことなく良好な耐摩耗性を付与し得る限りにおいて特に限定されるものではない。適当な耐摩耗性樹脂は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、熱可塑性ウレタン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体及びそのカルボキシル基に金属イオンを結合させたアイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂などを包含する。これらの耐摩耗性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの耐摩耗性樹脂に代えて、あるいはそれと組み合わせて、中空状、バルク状、繊維状、粉末状、粒子状の有機フィラーや各種の加硫ゴムを使用してもよい。
【0042】
上記したような耐摩耗性樹脂のなかにおいて、特に好適に使用できるものは、耐摩耗性に顕著に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂である。また、好適な熱可塑性ポリウレタン樹脂のなかでも、より好ましいものは、JIS K6301の規格に基づいてスプリング式硬度計を用いて測定して、約90A以下の硬度を備えた軟質の熱可塑性ポリウレタン樹脂である。最も好ましい熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリオール部分がポリカーボネートタイプである、約90A以下、さらに好ましくは約80A以下の硬度を備えた軟質の熱可塑性ポリウレタン樹脂である。このポリウレタン樹脂は、耐加水分解性がさらに改善されているからである。
【0043】
熱可塑性ポリウレタンやその他の耐摩耗性樹脂は、所望とする効果などに応じていろいろな量で水添熱可塑性エラストマーに添加することができる。かかる耐摩耗性樹脂の添加量は、通常、水添熱可塑性エラストマー100重量部に対して約20〜150重量部の範囲であり、好ましくは、約21〜70重量部の範囲である。
【0044】
無機フィラーや熱可塑性ポリウレタンは、いろいろな手法で水添熱可塑性エラストマー中に配合することができる。例えば、水添熱可塑性エラストマー、無機フィラー及び熱可塑性ポリウレタンを予め乾燥した後、加熱混練機、例えば、一軸押出し機、2軸押出し機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ニーダーなどに送り、混練によってブレンドすることができ、必要ならば、成形加工しやすいように、ペレット化してもよい。
【0045】
ブレンド工程の完了後に連続して、あるいはペレット化の完了後、弾性部材の成形工程に移行し、また、通常、この成形工程のなかで、弾性部材の表面に上述の突起物を配設する。この成形工程は、例えば、先に参照した国際公開第WО97/32805号及び同第00/20210号などに記載の技法を使用して有利に実施することができる。
【0046】
また、本発明の給紙ロールの製造では、上記のようにして弾性部材を形成した後、その弾性部材の表面及び内部を放射線照射によって改質するのが好ましい。本発明に従い弾性部材の改質を行うと、無機フィラー又は耐摩耗性樹脂を添加する場合と同様に、長期使用における高い給紙能力及び優れた耐摩耗性を同時に実現できる。なお、このような作用効果が得られる要因は完全に究明されていないが、水添熱可塑性エラストマーのエラストマーの部分において新たな架橋結合の形成が放射線によって誘起されたことが大きく関与しているものと考察される。放射線処理に有用な放射線源としては、例えば、紫外線、電子線、ガンマ線などを挙げることができる。とりわけ、電子線の照射が効率よい。このような放射線は、放射線の種類や所望とする作用効果に基づいて任意に適当な照射条件で弾性部材に照射することができる。例えば、電子線を使用する場合、その加速電圧は、約50〜300kVの範囲が好適であり、また、照射線量は、約10〜200kGyの範囲が好適である。
【0047】
本発明の弾性部材は、基本的に、その水添熱可塑性エラストマー中に上記した必須の添加剤以外の添加剤を含有する必要がない。特に、プロセスオイルや可塑剤を配合する必要を排除したので、給紙中にオイルが用紙に転写して汚染やスリップを生じるといった問題がなくなる。しかし、本発明の作用効果に悪影響を及ぼさないことが前提となるが、加工性、耐熱性、硬度を調整する目的で、例えば次のようなポリオレフィン樹脂や、ポリスチレン樹脂を単独もしくは混合して添加してもよい。
ポリオレフィン樹脂の例:
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン又はプロピレンとα−オレフィンの共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテンなど。
【0048】
さらに、これらに樹脂の他に、必要に応じて、放射線反応促進剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、金属不活性剤、粘着付与剤、熱可塑性エラストマー、熱可塑性接着性樹脂などを、ブリードアウトの問題を生じない少量で、追加的に添加してもよい。
【0049】
また、本発明で使用される弾性部材は、高温処理が不要であり、高温長時間にわたる加硫工程も排除したので、製造工程が簡単となり、製造装置の複雑化もさけられる。さらに、必要に応じて行われる放射線照射についても、放射線源として電子線を用いれば、加硫工程に比較して非常に短時間のうちに処理を完了することができる。
【0050】
本発明の給紙ローラは、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置やその他の用紙取り扱い装置において、用紙搬送機構の1要素として有利に使用することができ、したがって、本発明によれば、本発明の給紙ローラを備えた用紙搬送機構、そしてそのような用紙搬送機構を内蔵した画像形成装置も提供される。特に、本発明の給紙ローラは、用紙の堆積物から用紙を一枚ずつ引き出し、搬送する用紙搬送機構において有利に利用できる。本発明の給紙ローラを有利に利用できる用紙搬送機構は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、リタードローラ式の用紙搬送機構、分離パッド式の用紙搬送機構などを包含する。
【0051】
図5は、リタードローラ式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだ例を示した模式図である。この用紙搬送機構では、トレイ(図示せず)に堆積した用紙15の上に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。給紙ローラ10によって送り出された用紙15は、相対して配置され、矢印方向に回転するフィードローラ20及びリバースローラ30の間を案内され、さらに前方に搬送される。本発明の給紙ローラ10はまた、フィードローラ20及びリバースローラ30の代わりとして使用してもよい。
【0052】
図6は、分離パッド式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだ例を示した模式図である。この用紙搬送機構では、トレイ(図示せず)に堆積した用紙15の上に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。ここで、給紙ローラ10の下方に配置された分離パッド16は、給紙ローラ10と協働して、用紙15の二重送りを防止するとともに、前方に向けて確実に搬送する働きを奏することができる。
【0053】
図7は、分離パッド式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだもう1つの例を示した模式図である。この用紙搬送機構は、安価に提供できるので、多くのインクジェットプリンタで使用されている。この用紙搬送機構では、トレイ18に堆積した用紙15の紙送り方向に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙ローラ10は、一部を切欠いた円筒形を有しており、その周長を用紙の長さに調整できるので、用紙端検知センサの省略によって製造コストの低下を図れるというメリットなどがある。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。ここで、給紙ローラ10の下方に配置された分離パッド17は、矢印方向に押圧力が働いているので、給紙ローラ10と協働して、用紙15の二重送りを防止するとともに、前方に向けて確実に搬送する働きを奏することができる。
【0054】
これらの用紙搬送機構で使用される用紙は、特に限定されるものではない。適当な用紙は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、OA用として一般的に使用されている普通紙(国産紙、海外紙の別を問わない)、インクジェットプリンタで多用されているコート紙、再生紙、画用紙、更紙、写真用印画紙、プラスチックフィルムなどを挙げることができる。すなわち、本発明の給紙ローラは、特に用紙の種類を選ばず、いずれの用紙でも満足な給紙を行い得るという点で、注目に値する。本発明の給紙ロールは、特に、坪量で約150g/m2以上の重量の大きな用紙でも高い給紙能力を実現し、長期間にわたって維持することができ、空送り、二重送り、紙粉堆積といった問題も防止できるという点で、注目に値する。
【0055】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例及び比較例を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1〜22及び比較例1〜8
それぞれの例において、次のような商業的に入手可能な出発物質を使用した。水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマー:
SEPS2063…クラレ製、スチレン含有量13%
SEBS G1657…クレイトンポリマージャパン製、スチレン含有量13%
熱可塑性ポリウレタンエラストマー:
TPU660…日本ミラクトラン社製、硬度60A
添加剤:
シリカRX200…球状シリカ(表面疎水処理、平均一次粒径12nm)、日本アエロジル社製
シリカ200…球状シリカ(表面親水性、平均一次粒径12nm)、日本アエロジル社製
シリカSОC1…球状シリカ(平均粒径0.2μm)、龍森社製
シリカFS973…破砕シリカ(平均粒径22μm)、電気化学工業社製
シリカFB201S…溶融シリカ(平均粒径14μm)、電気化学工業社製
シリカVN3…沈殿法シリカ(平均粒径10μm)、日本シリカ工業社製
アルミナ…酸化アルミニウムC(平均一次粒径13nm)、日本アエロジル社製
WK500…導電性セラミック繊維(平均粒径5〜15μm)、大塚化学製
カーボンブラック(CB)…ファーネスブラックシースト300、東海カーボン社製
サンプルの調製:
それぞれの例において、下記の第1表に記載のエラストマーを使用して塊状エラストマーサンプルを調製した。また、エラストマーに添加剤を併用した例では、エラストマー及び添加剤を第1表に記載の量で用意した後、ブランベンダー社製のミキサーを用いて混練した。混練条件は、温度180℃、回転数30rpm、そして混練時間10分間であった。
【0056】
実施例1〜22において、用意した塊状エラストマーサンプルを突起付きシートに成形加工した。突起付きシートは、下記のパターンA及びBのいずれかを有するようにした。
パターンA…図3に示すように、高さ0.47mm及び直径0.25mmの円柱状突起を配列密度476個/cm2で有するもの。
パターンB…図4に示すように、高さ0.635mm及び頂部の四角形の一辺0.102mmの四角錐台状突起を配列密度800個/cm2で有するもの。
【0057】
突起付きシートを作製するため、それぞれの突起に対応する凹部を備えたシリコーン樹脂製鋳型に塊状エラストマーサンプルを所定の厚さで流し込み、上面をテフロンTMで保護した後、加圧力200tのプレス機に挟み、205℃で6分間にわたってプレス成形した。65℃まで冷却した後、成形品を鋳型から取り出した。下記の第1表に示すパターンを有し、かつ厚さが約1〜2mmの突起付きシートが得られた。
【0058】
また、比較例1〜8では、比較のため、第1表に記載するように、本発明の範囲外の突起付きあるいは突起なしのシートを作製した。例えば、比較例1では、現行プリンタの給紙ロールに合わせるため、熱可塑性エラストマーに代えてポリノルボルネンを使用し、プロセスオイルを軟化剤として併用して、表面に突起を有しないフラットなシート(パターンF、厚さ約1〜2mm)を成形加工した。
【0059】
上記のようにして突起付きあるいは突起なしのシートを作製した後、一部のシートの表面に電子線を照射した。この電子線照射のため、コンベア速度5m/分で走行中のウエブにシートを貼り付け、不活性ガス(窒素)雰囲気中及び加速電圧200kV下の電子線照射装置(ESI社製)に案内し、処理した。照射線量は、第1表に記載する通り、50、100、150又は200kGyであった。
評価試験:
得られた突起付きあるいは突起なしのシートを幅1インチ(2.54cm)×長さ8cmのサイズに切断し、その表面(突起面)を外側に向けて両面粘着テープにて軸体に貼り付けた。得られた給紙ロールについて、(1)弾性率、(2)給紙張力及び(3)耐摩耗性の3項目に関する評価試験を次のような手順で実施した。
(1)弾性率
上述のサンプルとは別に、同様な手法に従って、塊状エラストマーサンプルから厚さ200μmの突起なしのシートを作製し、必要に応じて電子線を照射した後、幅10mm×長さ35mmのサイズに切断した。得られたサンプルを動的粘弾性測定装置RSAIIにセットして室温での引張り弾性率E’を測定した。周波数は1Hzで、ひずみ量は0.5%であった。得られた測定値を第1表に示す。
(2)給紙張力
給紙ロールをレーザプリンタ(商品名「LASERSHOT LBP1310」、キャノン社製)の給紙部に取り付けた。プリンタのトレーに普通紙(商品名「サンエースRW」)をセットし、セット直後に給紙張力を測定した。給紙張力は、紙の一端に取り付けた張力計(品番「FGX−5」、SHIMPO社製)で測定した。それぞれの給紙ロールについて5回の測定を行い、その平均値を給紙張力とした。得られた測定値を第1表に示す。
(3)耐摩耗性
実施例13、17及び18では、耐摩耗性の評価のため、3000枚通紙後の給紙ローラについて給紙張力を測定した。なお、3000枚通紙の違いを除いて、上記(2)給紙張力の工程を反復した。得られた測定値を第1表に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
上記第1表に示す結果から理解できるように、本発明による実施例1〜22では、比較例1〜8に比較して顕著に優れた効果が得られた。
【0062】
例えば、パターンAの突起群を表面に有する給紙ロールについて見ると、SEPS単体からなり、電子線照射も行っていないサンプル(比較例2)の場合、その給紙張力は、現行の給紙ローラ(突起なし、比較例1)と同様に、2000gを下回っていた。
【0063】
これに対して、シリカを添加した実施例1〜6では、給紙張力が飛躍的に向上し、ほぼ3000g以上となった。また、実施例7及び8において認められるように、SEPSにTPUをブレンドしたサンプルにおいても、比較例2及び7のそれぞれ(SEPS又はTPUの単体使用)に比較して、給紙張力の飛躍的な向上が得られた。
【0064】
また、実施例9〜12において認められるように、SEPSに電子線照射したサンプルにおいても、比較例2(電子線未照射のサンプル)に比較して、給紙張力の飛躍的な向上が得られた。また、電子線照射の併用に関して、TPUの使用ではその効果(張力向上)が認められないことが、比較例6〜8から明らかである。
【0065】
さらに、実施例16では、SEBSにシリカを添加した場合でも、高い給紙張力が得られた。実施例17では、電子線照射の結果、3000枚通紙後も実施例11の通紙前に比べて給紙張力が維持された。実施例18では、SEPSにウレタンを添加した結果、3000枚通紙後も実施例8の通紙前に比べて給紙張力が維持された。実施例19では、SEPSにアルミナを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。実施例20では、SEPSに導電性セラミック繊維を添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。実施例21では、SEPSにカーボンブラックを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。また、実施例22では、SEPSにシリカを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。
【0066】
さらにまた、耐摩耗性に関しては、実施例13において認められるように、3000枚通紙後においても高い給紙張力を維持していた。
【0067】
パターンBの突起群を表面に有する給紙ロールについても、実施例14及び15に示されるように、パターンAの突起群を表面に有する給紙ロールに比較可能な満足し得る給紙張力が得られた。
【0068】
突起群を有しない、すなわち、パターンFの給紙ロールでは、上述のような満足し得る結果が得られていない。例えば、比較例3及び4において認められるように、これらの給紙ロールでは電子線照射を実施しても、得られる給紙張力は高くなかった。また、比較例5では、シリカを添加した結果としてスリップを生じ、給紙張力が著しく低下した。
【0069】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、用紙の汚染やスリップの問題、そして紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である給紙ロールや、それにおいて有用な弾性部材を提供することができる。
【0070】
また、本発明の給紙ローラは、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の各種の画像形成装置の給紙機構で使用した場合、ストッカなどに堆積された用紙(例えば、印刷用紙、記録用紙など)から、空送りや二重送りなどを伴わないで一枚ずつ用紙を引き抜き、予め定められた場所に連続かつ安定して搬送することができ、したがって、近年のニーズに応えた高性能の画像形成装置を提供することができる。
【0071】
さらに、本発明の給紙ローラは、その優れた性能のため、画像形成装置以外の分野、すなわち、枚葉紙の取り扱いを伴う各種の装置、例えば銀行のATM、CD等、あるいは駅の発券機、清算機等においても給紙ローラとして有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による給紙ローラの1形態を示した斜視図である。
【図2】図1の給紙ローラの構成を示した断面図である。
【図3】本発明による弾性部材の表面に設ける突起物の1つの形態を示した斜視図である。
【図4】本発明による弾性部材の表面に設ける突起物のもう1つの形態を示した断面図である。
【図5】本発明による給紙ローラの1つの使用形態を示した断面である。
【図6】本発明の給紙ローラのもう1つの使用形態を示した断面図である。
【図7】本発明の給紙ローラのさらにもう1つの使用形態を示した断面図である。
【符号の説明】
1…コア
2…弾性部材
3…突起物
10…給紙ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性部材及び給紙ローラに関し、さらに詳しく述べると、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、堆積されたシート状記録材料から記録材料を一枚ずつ搬送するために用いられる弾性部材及び給紙ローラに関する。本発明の給紙ローラは、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である。なお、本願明細書では、画像形成装置で一般的に使用されるシート状の材料、例えば印刷用紙、記録紙などを、以下、「用紙」あるいは「紙」と呼ぶことにする。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の各種の画像形成装置、さらには現金自動預け払い機(ATM)、キャッシュディスペンサ(CD)などにおいては、印刷用紙、記録紙、紙幣などの搬送のためにいろいろなタイプの給紙ローラが使用されている。特に画像形成装置について見た場合、装置の高機能化、処理の高速化、用紙の多様化などに対応するため、給紙ローラには3つの重要な特性が要求されている。すなわち、給紙能力が高いこと、耐摩耗性に優れること、そして耐候性に優れること、の3点である。
【0003】
給紙能力についてみると、近年、大型サイズの用紙を処理できるようになり、単位面積当たりの重量がより大きい用紙を安定に供給できる高い能力が求められる傾向にある。また、高い紙送り能力は、用紙の二重送り防止にも有効な方策であると考えられている。すなわち、給紙ローラが作用する時には、給紙ローラに併用される押し付け部材によって、用紙がある一定の力で給紙ローラに向かって押し付けられる必要がある。このとき、給紙ローラの紙送り能力が小さいとすると、もしも押し付け部材の押圧力が弱いならば、紙送りがうまくいかず、空送りが発生するおそれがあり、反対に押圧力が強ければ、紙どうしの摩擦力が強くなって、二重送りが発生するおそれがある。ここで、給紙ローラの紙送り能力が十分に大きければ、押し付け部材の押圧力が強くなり、紙どうしの摩擦力が強くなったとしても、二重送りを生じることなく安定な紙送りを実現できると考えられる。
【0004】
高い給紙能力には給紙ローラの耐摩耗性も関係する。近年、より多量の用紙をより短時間で処理する傾向があり、したがって、従来のように少量低速処理の使用環境には耐ええた給紙ローラも、使用を開始してから早い段階で磨耗を生じるようになっている。また、最近では樹脂を多く含む低価格紙やコート紙などが使用される傾向にあり、これの用紙の使用も給紙ローラの摩耗を促進している。よって、どのような用紙を多量に送った後にも摩耗を生じることがなく、紙送り性能に大きな変動を生じないような給紙ローラを提供することが望ましい。
【0005】
また、画像形成装置では定着処理のときにオゾンが発生することが多く、耐オゾン性も給紙ローラには必要である。さらに、画像形成装置は高温多湿地帯を含めたいろいろな環境で使用されることが予想されるので、温度及び湿度に対する耐性、すなわち、耐温湿度性を具えていることも必要である。なお、本願明細書では、耐オゾン性、耐温湿度性、耐光性などを含めて、「耐候性」と呼ぶことにする。さらには、これらの優れた性能を備えた給紙ローラを、簡単な方法で容易に製造できることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の給紙ローラは、上述のような特性を同時に満足させることができていない。
【0007】
一般的に、高い給紙能力を得るためには高い摩擦力が必要である。これを実現するために、従来の給紙ローラでは、低硬度の、言い換えれば弾性率の低いゴム材料をその外周部材として使用している。一般的に用いられているゴム材料は、ポリノルボルネン系のゴムに多量のプロセスオイルを軟化剤として配合したものである。しかし、この給紙ローラの場合、使用中にプロセスオイルが染み出して用紙を汚染し、また、プロセスオイルが用紙に転写されてスリップを生じ、紙送り性能を低下させてしまうこともある。
【0008】
一方で、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)を外周部材として使用した給紙ローラもいくつか知られている。例えば特開平9−254275号公報には、油添のEPDMゴムに、例えば酸化チタン、シリカ、カーボンブラック等の充填剤を配合しないか、あるいは配合する場合は、ゴム成分100重量部に対して15重量部以下の割合で配合したことを特徴とするゴムローラが開示されている。しかし、このゴムローラの場合、EPDMゴムをベースとして使用しているので、加工性と低硬度を得るためにプロセスオイルを軟化剤として配合することは不可欠であり、したがって、上記と同様にプロセスオイルによる用紙汚染やスリップ発生の問題を避けることができない。また、EPDMゴムは成形前に加硫処理を行うので、高温で処理する必要性から、生産性、そして製造能力に問題がある。さらに、上述のノルボルネン系のゴムにも同じように言えることであるが、長時間にわたって使用している間にロール表面に紙粉が付着し、給紙能力を低下させるという問題も発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の技術の問題点を解決することを目的とする。
【0010】
本発明の目的は、したがって、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、用紙の汚染やスリップの問題、そして紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である給紙ロールを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、堆積されたシート状記録材料から記録材料を一枚ずつ搬送するために有利に使用できる給紙ローラを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、このような給紙ローラにおいて用紙の搬送に有用な弾性部材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を解決するために鋭意研究した結果、給紙ローラの外周面をオイルフリーの弾性部材の層で被覆するとともに、その層の表面に多数の突起物を突立させることで、給紙能力、耐摩耗性及び耐候性の3点の要求を同時に満足させ得るということを発見した。
【0014】
本発明は、その1つの面において、用紙の搬送に用いられる弾性部材であって、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その弾性部材の表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
を特徴とする弾性部材にある。
【0015】
また、本発明は、そのもう1つの面において、弾性部材を備えた給紙ローラであって、前記弾性部材が、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
を特徴とする給紙ローラにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の弾性部材は、上記したように、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その弾性部材の表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
に特徴がある。この弾性部材は、その特徴的な構成に由来して、いろいろな用途で有利に使用することができるというものの、とりわけ用紙の搬送に好適である。本発明の弾性部材は、したがって、画像形成装置で用いられる給紙ローラの一員として有利に使用することができる。また、弾性部材は、分離パッドなどにも使用できる。
【0017】
本発明の弾性部材は、その使途に応じていろいろな形態で使用できるけれども、とりわけ有用な形態は、矩形シート、円筒形チューブ又はパイプ、エンドレスのベルトなどである。場合によっては、プレートの形態で使用してもよい。また、このような弾性部材は、その厚みの故に、以下に説明し、定義するように、「層状弾性部材」と言うことができる。また、本発明の弾性部材は、その変形例として、中実の円筒体やその他の形態を有していてもよい。弾性部材の詳細は、以下に記載する通りであるが、本発明の範囲において任意に変更可能である。
【0018】
本発明の給紙ローラは、通常、コア(軸体とも呼ばれる)と、本発明の弾性部材とを含むように構成される。弾性部材は、好ましくは、コアの外周面を包囲して取り付けられた層状弾性部材である。図1は、本発明の給紙ローラ10の好ましい1実施形態を示したもので、コア1とその外周面を取り囲んで形成された層状弾性部材2とからなる。弾性部材2は、本発明に特徴的な多数の突起物3をその表面に備えている。弾性部材2の構成は、図2の断面図から容易に理解できるであろう。
【0019】
給紙ローラ10の中心をなすコア1は、従来の給紙ローラと同様に、用途に応じて予め定められた直径をもった円筒形の部材からなる。この部材の材質は、特に限定されないけれども、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属、あるいはポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン等のプラスチック材料が一般的である。また、コア1は、軽量化などのため、図示のような中空構造を有していてもよい。さらに、コア1は、以下で説明する分離パッド式の搬送機構に本発明の給紙ローラを使用するような場合には、円筒形の部材の一部が切欠かれた構造を有していてもよい。
【0020】
上述のような円筒形のコア1に、層状弾性部材2が取り付けられる。ここで、「層状弾性部材」とは、弾性部材が給紙ローラの機能を発現するのに十分な厚さを有し、したがって、その厚みに応じて層状、フィルム状あるいはシート状の形態を有する弾性部材を指している。弾性部材の厚さは、給紙ローラの使用部位や用途などに応じて広い範囲で変動可能であるけれども、通常、約0.1〜3mmの範囲であり、好ましくは約0.2〜2mmの範囲であり、さらに好ましくは約0.25〜1.5mmの範囲である。
【0021】
円筒形のコア1に対する弾性部材2の取り付けは、その弾性部材の特性やサイズなどに応じて最適な方法を任意に選択することができる。本発明による弾性部材は、紙やフィルム等に対しての摩擦力を著しく増大しているので、一般に用いられているようなコアに弾性部材を拡径して単純に嵌め込むような方法では、層間でのスベリを防止することは困難である。本発明による弾性部材の取り付け方法としては、したがって、例えば、弾性部材のフィルムあるいはシートを接着層でコアに貼り付ける方法、円筒形の弾性部材の内面とコア外周面に機械的にせん断力を吸収する機構を設ける方法、コアの外周面に弾性材料を射出成型するなどして円筒形弾性部材を成形する方法、などを挙げることができる。接着層において使用する接着剤は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、アクリル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤などを包含する。また、接着剤の使用に代えて、両面テープ、例えばアクリル系感圧式両面テープなどを使用してもよい。なお、図1及び図2の実施形態では、図示されていないが、コア1と弾性部材2の間で接着層が使用されている。
【0022】
ところで、上述したように困難が予想される、コアに弾性部材を拡径して単純に嵌め込むような方法では、弾性部材の裏面とコア表面にも同様の突起を設けることで、高摩擦力によるせん断力を得ることができる。これらの、固定用突起としては、弾性部材とコアの双方に軸方向に歯車状の突起を設けてもよい。また、四角錘形状の突起や放電加工や溶射で得られるような粗面でもよい。突起の高さ及びピッチは通常約0.1〜1.0mmの範囲であるが、好ましくは約0.2〜0.8mmの範囲、さらに好ましくは約0.3〜0.5mmの範囲である。
【0023】
また、本発明の弾性部材は、それを矩形シート及びエンドレスのベルトの形態で使用する場合、その形状を維持するために弾性部材の裏面(突起の反対側)に補強材を設けることが望ましい。補強材は、布及び不織布が好適である。
【0024】
本発明による給紙ローラの機能は、その外周面を覆った本発明の弾性部材の組成、形状等によるところが大である。
【0025】
本発明の弾性部材は、まず、水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなることが必要である。かかる熱可塑性エラストマーは、給紙ローラの使用温度で良好なゴム弾性及び比較的に高い摩擦力を示すことができるばかりでなく、そのエラストマーの部分に二重結合を有していないので、従来一般的に用いられているポリノルボルネンなどとは対照的に、紫外線やオゾンに対する耐候性に優れている。
【0026】
弾性部材の形成に好適な水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のスチレンブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とするブロックとを有するブロック共重合体の水添生成物、すなわち、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体である。スチレンブロックは、好適には、共重合体の全量を基準にして約10〜70重量%の量で用いられる。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、あるいはそれらのうちの1種以上とエチレンとのランダム共重合体を用いることができる。さらに、これらのジエン化合物の一部が、マレイン酸基、カルボン酸基、エポキシ基などの官能基で変性されていてもよい。さらにまた、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、単独で使用してもよく、2種以上をブレンドしたり共重合させたりして使用してもよい。
【0027】
上述のような水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、いろいろな分子量で使用することができる。このようなブロック共重合体の分子量は、特に限定されないというものの、通常、重量平均分子量で、約100,000〜400,000の範囲であり、必要ならば、この範囲よりも大、あるいは小であってもよい。
【0028】
また、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレンのジブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレンのジブロック共重合体(SEP)などを包含する。機械的強度を考慮に入れた場合、SEBS、SEPS等のトリブロック共重合体が、スチレン系ブロック共重合体として特に好適である。
【0029】
水添されたポリスチレン系ブロック共重合体は、弾性部材中でいろいろな量で使用することができる。しかし、満足し得る給紙能力を得るため、通常、弾性部材の全量を基準にして少なくとも20重量%以上の量でかかるブロック共重合体を使用するのが好ましく、さらに好ましくは少なくとも30重量%以上の量であり、最も好ましくは少なくとも50重量%以上の量である。ブロック共重合体の添加量の上限は、特に定められないというものの、通常、約100重量%である。
【0030】
第2に、弾性部材は、その表面から外側に突出する多数の突起物を備えることが必要である。多数の突起物が外周面に存在することによって、給紙ローラの給紙能力をより一層向上させることができる。すなわち、給紙ローラの使用が長期間にわたったとしても、多量の用紙の摩擦によって発生した紙粉は、突起物の間に形成された微細な空間(窪み)に移動でき、給紙ローラの表面に堆積することがなく、したがって、初期における良好な給紙能力をそのまま維持できるからである。
【0031】
上述の突起物は、いろいろな形状、サイズ、そして空間配列密度で弾性部材の外周面に突出させることができる。適当な突起物は、以下に示すものに限定されるわけではないけれども、例えば図3に示すように、円柱状の突起物3を弾性部材2の表面に突出させてもよく、また、例えば図4に示すように、四角錐状の突起物3を弾性部材2の表面に突出させてもよい。その他の好適な突起物の例としては、面ファスナーのフックに類似の突起物、例えばマッシュルーム状の突起物などを挙げることができる。さらに、突起物の表面は、図示のように平坦であってもよく、あるいは球状、半球状などであってもよい。また、突起物は、通常、1種類の材料のみから構成されるけれども、強度や柔軟性の改良のため、複合構造を有していてもよい。例えば、突起物の中心部に弾性部材と同じ材料から芯材を設け、その周囲を、より柔軟性に優れた外被材で被覆してもよい。
【0032】
また、それぞれの突起物は、通常同じ形状の突起物のみで用いられるのが一般的であるが、必要ならば、異なる形状の突起物を組み合わせてもよい。同様に、それぞれの突起物は、通常、同じ高さの突起物のみで用いられるけれども、必要ならば、異なる高さの突起物を組み合わせてもよい。また同様に、それぞれの突起物は、通常、同じ配列密度で配置されるけれども、必要ならば、部位に対応して異なる密度に突起物を配置してもよい。
【0033】
特に図7に示されるような分離パッド方式の給紙ローラは、そのローラの部位によって要求される性能が異なっている。ローラの回転に応じて用紙と接触しない位置から、はじめて用紙と接触するピックアップ位置、安定した給紙を行う定常範囲、次段のニップローラに引き渡す位置と、それぞれ給紙ローラにかかる負荷は異なっている。それによって、給紙ローラに要求される弾性部材の性質もローラの部位によって異なっている。ピックアップ位置・次段への引渡し位置では、給紙ローラにはせん断応力が働き表面のせん断強度が必要とされ、また、定常範囲では安定した給紙のための摩擦力が必要とされる。本発明によれば、突起物は、部位に応じて突起物の形状・配置を自由に変更可能なために、最適な給紙ローラを構成することが可能になる。具体的には、配列密度の向上や突起物の断面積を大きくすることで、接触面積や見かけ上のローラ強度を向上させることが可能になる。必要ならば、異なる高さの突起物を弾性部材の表面に設けることによって、同一高さを適用した場合と異なった作用効果、例えば突起物の耐久性向上などを得ることができる。
【0034】
突起物のサイズは、給紙ローラの種類などに応じて広い範囲で変更することができる。例えば、突起物の高さは、通常、約0.15〜1.5mmの範囲であり、好ましくは約0.254〜1.27mmの範囲であり、さらに好ましくは約0.3〜0.9mmの範囲である。また、突起物の断面サイズは、その断面が図3に示すように円形であると仮定すると、その基部の直径は、通常、0.076〜0.76mmの直径であり、好ましくは約0.1〜0.5mmの直径であり、さらに好ましくは約0.15〜0.3mmの直径である。さらに、突起物の断面積は、できるだけ一定であることにより磨耗による特性変化を防ぐことができるが、突起物の曲げ強度を維持するためには錘台形が望ましい。先端部と基部の面積の比率は、通常約1.0〜6.0の範囲であり、好ましくは約1.1〜4.0の範囲であり、さらに好ましくは約1.2〜3.0の範囲である。さらに、突起物の空間配列密度は、通常、100個/cm2以上であり、好ましくは約200〜1200個/cm2の範囲、さらに好ましくは約300〜1000個/cm2の範囲である。
【0035】
弾性部材の表面における多数の突起物の形成は、いろいろな成形法を使用して行うことができる。例えば、出願人による国際公開第WO97/32805号及び同第00/20210号などに記載の技法を有効に使用することができる。なお、本発明の実施に当たって、これらの国際公開に開示されている突起物も有利に利用することができる。
【0036】
第3に、弾性部材は、下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させることが必要である。これらの要件は、弾性部材を構成する水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーの耐摩耗性の向上に大きく寄与することができ、また、その機構はいまだ完全に解明されるに至っていないけれども、給紙能力の飛躍的な向上にも寄与することができる。
【0037】
無機フィラーは、ゴムの補強材として従来一般的に用いられている様々な種類の無機フィラーを使用することができる。適当な無機フィラーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物、カーボンブラック、クレー、タルク、マイカ、ガラスビーズ等の中空微小球、セラミック繊維、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。このような無機フィラーのなかでも、給紙能力を向上させる効果が大きいものは、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、セラミック繊維などである。また、水添熱可塑性エラストマーに対する分散性や耐摩耗性、品質安定性、コストなどの面から、シリカが最も好適である。
【0038】
シリカやその他の無機フィラーは、本発明の作用効果に対して悪影響を及ぼさない限り、フィラーの分野で一般的ないろいろな形態で使用することができる。フィラーの適当な形態としては、例えば、球体、板状物、繊維片、燐片、無定形物などを挙げることができる。これらのフィラーは、必要ならば、特性等の向上のためにその表面にコーティングなどを有していてもよく、あるいは、表面処理などを施されていてもよい。
【0039】
また、無機フィラーは、いろいろなサイズ(粒径)で用いることができるけれども、通常、加工性や分散性、添加量と給紙能力向上の効果との関係などを考慮して、約30μm以下のサイズで用いるのが好ましく、さらに好ましくは、約20μm以下のサイズである。
【0040】
さらに、無機フィラーは、所望とする効果などに応じていろいろな量で水添熱可塑性エラストマーに添加することができる。フィラーの添加量は、通常、水添熱可塑性エラストマー100重量部に対して約100重量部以下であり、好ましくは、約1〜50重量部の範囲であり、さらに好ましくは、約3〜30重量部の範囲である。
【0041】
本発明の弾性部材では、必要に応じて、耐摩耗性樹脂が添加剤として使用され、この添加剤を水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーに添加し、分散させることによって、長期使用における高い給紙能力及び優れた耐摩耗性を同時に実現できる。ここで使用する耐摩耗性樹脂は、水添熱可塑性エラストマーと良好な相溶性を有し、かつ給紙ローラに対して他の物性を損なうことなく良好な耐摩耗性を付与し得る限りにおいて特に限定されるものではない。適当な耐摩耗性樹脂は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、熱可塑性ウレタン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体及びそのカルボキシル基に金属イオンを結合させたアイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂などを包含する。これらの耐摩耗性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの耐摩耗性樹脂に代えて、あるいはそれと組み合わせて、中空状、バルク状、繊維状、粉末状、粒子状の有機フィラーや各種の加硫ゴムを使用してもよい。
【0042】
上記したような耐摩耗性樹脂のなかにおいて、特に好適に使用できるものは、耐摩耗性に顕著に優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂である。また、好適な熱可塑性ポリウレタン樹脂のなかでも、より好ましいものは、JIS K6301の規格に基づいてスプリング式硬度計を用いて測定して、約90A以下の硬度を備えた軟質の熱可塑性ポリウレタン樹脂である。最も好ましい熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ポリオール部分がポリカーボネートタイプである、約90A以下、さらに好ましくは約80A以下の硬度を備えた軟質の熱可塑性ポリウレタン樹脂である。このポリウレタン樹脂は、耐加水分解性がさらに改善されているからである。
【0043】
熱可塑性ポリウレタンやその他の耐摩耗性樹脂は、所望とする効果などに応じていろいろな量で水添熱可塑性エラストマーに添加することができる。かかる耐摩耗性樹脂の添加量は、通常、水添熱可塑性エラストマー100重量部に対して約20〜150重量部の範囲であり、好ましくは、約21〜70重量部の範囲である。
【0044】
無機フィラーや熱可塑性ポリウレタンは、いろいろな手法で水添熱可塑性エラストマー中に配合することができる。例えば、水添熱可塑性エラストマー、無機フィラー及び熱可塑性ポリウレタンを予め乾燥した後、加熱混練機、例えば、一軸押出し機、2軸押出し機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ニーダーなどに送り、混練によってブレンドすることができ、必要ならば、成形加工しやすいように、ペレット化してもよい。
【0045】
ブレンド工程の完了後に連続して、あるいはペレット化の完了後、弾性部材の成形工程に移行し、また、通常、この成形工程のなかで、弾性部材の表面に上述の突起物を配設する。この成形工程は、例えば、先に参照した国際公開第WО97/32805号及び同第00/20210号などに記載の技法を使用して有利に実施することができる。
【0046】
また、本発明の給紙ロールの製造では、上記のようにして弾性部材を形成した後、その弾性部材の表面及び内部を放射線照射によって改質するのが好ましい。本発明に従い弾性部材の改質を行うと、無機フィラー又は耐摩耗性樹脂を添加する場合と同様に、長期使用における高い給紙能力及び優れた耐摩耗性を同時に実現できる。なお、このような作用効果が得られる要因は完全に究明されていないが、水添熱可塑性エラストマーのエラストマーの部分において新たな架橋結合の形成が放射線によって誘起されたことが大きく関与しているものと考察される。放射線処理に有用な放射線源としては、例えば、紫外線、電子線、ガンマ線などを挙げることができる。とりわけ、電子線の照射が効率よい。このような放射線は、放射線の種類や所望とする作用効果に基づいて任意に適当な照射条件で弾性部材に照射することができる。例えば、電子線を使用する場合、その加速電圧は、約50〜300kVの範囲が好適であり、また、照射線量は、約10〜200kGyの範囲が好適である。
【0047】
本発明の弾性部材は、基本的に、その水添熱可塑性エラストマー中に上記した必須の添加剤以外の添加剤を含有する必要がない。特に、プロセスオイルや可塑剤を配合する必要を排除したので、給紙中にオイルが用紙に転写して汚染やスリップを生じるといった問題がなくなる。しかし、本発明の作用効果に悪影響を及ぼさないことが前提となるが、加工性、耐熱性、硬度を調整する目的で、例えば次のようなポリオレフィン樹脂や、ポリスチレン樹脂を単独もしくは混合して添加してもよい。
ポリオレフィン樹脂の例:
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン又はプロピレンとα−オレフィンの共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテンなど。
【0048】
さらに、これらに樹脂の他に、必要に応じて、放射線反応促進剤、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、金属不活性剤、粘着付与剤、熱可塑性エラストマー、熱可塑性接着性樹脂などを、ブリードアウトの問題を生じない少量で、追加的に添加してもよい。
【0049】
また、本発明で使用される弾性部材は、高温処理が不要であり、高温長時間にわたる加硫工程も排除したので、製造工程が簡単となり、製造装置の複雑化もさけられる。さらに、必要に応じて行われる放射線照射についても、放射線源として電子線を用いれば、加硫工程に比較して非常に短時間のうちに処理を完了することができる。
【0050】
本発明の給紙ローラは、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置やその他の用紙取り扱い装置において、用紙搬送機構の1要素として有利に使用することができ、したがって、本発明によれば、本発明の給紙ローラを備えた用紙搬送機構、そしてそのような用紙搬送機構を内蔵した画像形成装置も提供される。特に、本発明の給紙ローラは、用紙の堆積物から用紙を一枚ずつ引き出し、搬送する用紙搬送機構において有利に利用できる。本発明の給紙ローラを有利に利用できる用紙搬送機構は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、リタードローラ式の用紙搬送機構、分離パッド式の用紙搬送機構などを包含する。
【0051】
図5は、リタードローラ式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだ例を示した模式図である。この用紙搬送機構では、トレイ(図示せず)に堆積した用紙15の上に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。給紙ローラ10によって送り出された用紙15は、相対して配置され、矢印方向に回転するフィードローラ20及びリバースローラ30の間を案内され、さらに前方に搬送される。本発明の給紙ローラ10はまた、フィードローラ20及びリバースローラ30の代わりとして使用してもよい。
【0052】
図6は、分離パッド式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだ例を示した模式図である。この用紙搬送機構では、トレイ(図示せず)に堆積した用紙15の上に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。ここで、給紙ローラ10の下方に配置された分離パッド16は、給紙ローラ10と協働して、用紙15の二重送りを防止するとともに、前方に向けて確実に搬送する働きを奏することができる。
【0053】
図7は、分離パッド式の用紙搬送機構に本発明の給紙ローラを組み込んだもう1つの例を示した模式図である。この用紙搬送機構は、安価に提供できるので、多くのインクジェットプリンタで使用されている。この用紙搬送機構では、トレイ18に堆積した用紙15の紙送り方向に本発明の給紙ローラ10が圧接状態で配置されている。給紙ローラ10は、一部を切欠いた円筒形を有しており、その周長を用紙の長さに調整できるので、用紙端検知センサの省略によって製造コストの低下を図れるというメリットなどがある。給紙を開始すると、給紙ローラ10が矢印方向に回転し、用紙15を一枚ずつピックアップして前方に送り出す。ここで、給紙ローラ10の下方に配置された分離パッド17は、矢印方向に押圧力が働いているので、給紙ローラ10と協働して、用紙15の二重送りを防止するとともに、前方に向けて確実に搬送する働きを奏することができる。
【0054】
これらの用紙搬送機構で使用される用紙は、特に限定されるものではない。適当な用紙は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、OA用として一般的に使用されている普通紙(国産紙、海外紙の別を問わない)、インクジェットプリンタで多用されているコート紙、再生紙、画用紙、更紙、写真用印画紙、プラスチックフィルムなどを挙げることができる。すなわち、本発明の給紙ローラは、特に用紙の種類を選ばず、いずれの用紙でも満足な給紙を行い得るという点で、注目に値する。本発明の給紙ロールは、特に、坪量で約150g/m2以上の重量の大きな用紙でも高い給紙能力を実現し、長期間にわたって維持することができ、空送り、二重送り、紙粉堆積といった問題も防止できるという点で、注目に値する。
【0055】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例及び比較例を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1〜22及び比較例1〜8
それぞれの例において、次のような商業的に入手可能な出発物質を使用した。水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマー:
SEPS2063…クラレ製、スチレン含有量13%
SEBS G1657…クレイトンポリマージャパン製、スチレン含有量13%
熱可塑性ポリウレタンエラストマー:
TPU660…日本ミラクトラン社製、硬度60A
添加剤:
シリカRX200…球状シリカ(表面疎水処理、平均一次粒径12nm)、日本アエロジル社製
シリカ200…球状シリカ(表面親水性、平均一次粒径12nm)、日本アエロジル社製
シリカSОC1…球状シリカ(平均粒径0.2μm)、龍森社製
シリカFS973…破砕シリカ(平均粒径22μm)、電気化学工業社製
シリカFB201S…溶融シリカ(平均粒径14μm)、電気化学工業社製
シリカVN3…沈殿法シリカ(平均粒径10μm)、日本シリカ工業社製
アルミナ…酸化アルミニウムC(平均一次粒径13nm)、日本アエロジル社製
WK500…導電性セラミック繊維(平均粒径5〜15μm)、大塚化学製
カーボンブラック(CB)…ファーネスブラックシースト300、東海カーボン社製
サンプルの調製:
それぞれの例において、下記の第1表に記載のエラストマーを使用して塊状エラストマーサンプルを調製した。また、エラストマーに添加剤を併用した例では、エラストマー及び添加剤を第1表に記載の量で用意した後、ブランベンダー社製のミキサーを用いて混練した。混練条件は、温度180℃、回転数30rpm、そして混練時間10分間であった。
【0056】
実施例1〜22において、用意した塊状エラストマーサンプルを突起付きシートに成形加工した。突起付きシートは、下記のパターンA及びBのいずれかを有するようにした。
パターンA…図3に示すように、高さ0.47mm及び直径0.25mmの円柱状突起を配列密度476個/cm2で有するもの。
パターンB…図4に示すように、高さ0.635mm及び頂部の四角形の一辺0.102mmの四角錐台状突起を配列密度800個/cm2で有するもの。
【0057】
突起付きシートを作製するため、それぞれの突起に対応する凹部を備えたシリコーン樹脂製鋳型に塊状エラストマーサンプルを所定の厚さで流し込み、上面をテフロンTMで保護した後、加圧力200tのプレス機に挟み、205℃で6分間にわたってプレス成形した。65℃まで冷却した後、成形品を鋳型から取り出した。下記の第1表に示すパターンを有し、かつ厚さが約1〜2mmの突起付きシートが得られた。
【0058】
また、比較例1〜8では、比較のため、第1表に記載するように、本発明の範囲外の突起付きあるいは突起なしのシートを作製した。例えば、比較例1では、現行プリンタの給紙ロールに合わせるため、熱可塑性エラストマーに代えてポリノルボルネンを使用し、プロセスオイルを軟化剤として併用して、表面に突起を有しないフラットなシート(パターンF、厚さ約1〜2mm)を成形加工した。
【0059】
上記のようにして突起付きあるいは突起なしのシートを作製した後、一部のシートの表面に電子線を照射した。この電子線照射のため、コンベア速度5m/分で走行中のウエブにシートを貼り付け、不活性ガス(窒素)雰囲気中及び加速電圧200kV下の電子線照射装置(ESI社製)に案内し、処理した。照射線量は、第1表に記載する通り、50、100、150又は200kGyであった。
評価試験:
得られた突起付きあるいは突起なしのシートを幅1インチ(2.54cm)×長さ8cmのサイズに切断し、その表面(突起面)を外側に向けて両面粘着テープにて軸体に貼り付けた。得られた給紙ロールについて、(1)弾性率、(2)給紙張力及び(3)耐摩耗性の3項目に関する評価試験を次のような手順で実施した。
(1)弾性率
上述のサンプルとは別に、同様な手法に従って、塊状エラストマーサンプルから厚さ200μmの突起なしのシートを作製し、必要に応じて電子線を照射した後、幅10mm×長さ35mmのサイズに切断した。得られたサンプルを動的粘弾性測定装置RSAIIにセットして室温での引張り弾性率E’を測定した。周波数は1Hzで、ひずみ量は0.5%であった。得られた測定値を第1表に示す。
(2)給紙張力
給紙ロールをレーザプリンタ(商品名「LASERSHOT LBP1310」、キャノン社製)の給紙部に取り付けた。プリンタのトレーに普通紙(商品名「サンエースRW」)をセットし、セット直後に給紙張力を測定した。給紙張力は、紙の一端に取り付けた張力計(品番「FGX−5」、SHIMPO社製)で測定した。それぞれの給紙ロールについて5回の測定を行い、その平均値を給紙張力とした。得られた測定値を第1表に示す。
(3)耐摩耗性
実施例13、17及び18では、耐摩耗性の評価のため、3000枚通紙後の給紙ローラについて給紙張力を測定した。なお、3000枚通紙の違いを除いて、上記(2)給紙張力の工程を反復した。得られた測定値を第1表に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
上記第1表に示す結果から理解できるように、本発明による実施例1〜22では、比較例1〜8に比較して顕著に優れた効果が得られた。
【0062】
例えば、パターンAの突起群を表面に有する給紙ロールについて見ると、SEPS単体からなり、電子線照射も行っていないサンプル(比較例2)の場合、その給紙張力は、現行の給紙ローラ(突起なし、比較例1)と同様に、2000gを下回っていた。
【0063】
これに対して、シリカを添加した実施例1〜6では、給紙張力が飛躍的に向上し、ほぼ3000g以上となった。また、実施例7及び8において認められるように、SEPSにTPUをブレンドしたサンプルにおいても、比較例2及び7のそれぞれ(SEPS又はTPUの単体使用)に比較して、給紙張力の飛躍的な向上が得られた。
【0064】
また、実施例9〜12において認められるように、SEPSに電子線照射したサンプルにおいても、比較例2(電子線未照射のサンプル)に比較して、給紙張力の飛躍的な向上が得られた。また、電子線照射の併用に関して、TPUの使用ではその効果(張力向上)が認められないことが、比較例6〜8から明らかである。
【0065】
さらに、実施例16では、SEBSにシリカを添加した場合でも、高い給紙張力が得られた。実施例17では、電子線照射の結果、3000枚通紙後も実施例11の通紙前に比べて給紙張力が維持された。実施例18では、SEPSにウレタンを添加した結果、3000枚通紙後も実施例8の通紙前に比べて給紙張力が維持された。実施例19では、SEPSにアルミナを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。実施例20では、SEPSに導電性セラミック繊維を添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。実施例21では、SEPSにカーボンブラックを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。また、実施例22では、SEPSにシリカを添加した結果、比較例2の添加なしに比べて高い給紙張力が得られた。
【0066】
さらにまた、耐摩耗性に関しては、実施例13において認められるように、3000枚通紙後においても高い給紙張力を維持していた。
【0067】
パターンBの突起群を表面に有する給紙ロールについても、実施例14及び15に示されるように、パターンAの突起群を表面に有する給紙ロールに比較可能な満足し得る給紙張力が得られた。
【0068】
突起群を有しない、すなわち、パターンFの給紙ロールでは、上述のような満足し得る結果が得られていない。例えば、比較例3及び4において認められるように、これらの給紙ロールでは電子線照射を実施しても、得られる給紙張力は高くなかった。また、比較例5では、シリカを添加した結果としてスリップを生じ、給紙張力が著しく低下した。
【0069】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、高い給紙能力ならびに優れた耐摩耗性及び耐候性を有しかつこれらの特性を長期使用において安定に維持することができ、用紙の汚染やスリップの問題、そして紙粉付着による給紙能力低下の問題を引き起こさず、しかも製造が容易である給紙ロールや、それにおいて有用な弾性部材を提供することができる。
【0070】
また、本発明の給紙ローラは、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の各種の画像形成装置の給紙機構で使用した場合、ストッカなどに堆積された用紙(例えば、印刷用紙、記録用紙など)から、空送りや二重送りなどを伴わないで一枚ずつ用紙を引き抜き、予め定められた場所に連続かつ安定して搬送することができ、したがって、近年のニーズに応えた高性能の画像形成装置を提供することができる。
【0071】
さらに、本発明の給紙ローラは、その優れた性能のため、画像形成装置以外の分野、すなわち、枚葉紙の取り扱いを伴う各種の装置、例えば銀行のATM、CD等、あるいは駅の発券機、清算機等においても給紙ローラとして有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による給紙ローラの1形態を示した斜視図である。
【図2】図1の給紙ローラの構成を示した断面図である。
【図3】本発明による弾性部材の表面に設ける突起物の1つの形態を示した斜視図である。
【図4】本発明による弾性部材の表面に設ける突起物のもう1つの形態を示した断面図である。
【図5】本発明による給紙ローラの1つの使用形態を示した断面である。
【図6】本発明の給紙ローラのもう1つの使用形態を示した断面図である。
【図7】本発明の給紙ローラのさらにもう1つの使用形態を示した断面図である。
【符号の説明】
1…コア
2…弾性部材
3…突起物
10…給紙ローラ
Claims (12)
- 用紙の搬送に用いられる弾性部材であって、
水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーからなり、
その弾性部材の表面から外側に突出する多数の突起物を備えていること、ならびに
下記の要件(1)〜(3):
(1)無機のフィラーを含有すること、
(2)耐摩耗性樹脂からなる添加剤を含有すること、及び
(3)放射線照射によって改質されていること、
の少なくとも1つを満足させていること
を特徴とする弾性部材。 - 前記水添されたポリスチレン系熱可塑性エラストマーが、水添されたポリスチレン系ブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の弾性部材。
- 前記無機のフィラーが、シリカであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弾性部材。
- 前記耐摩耗性樹脂が、熱可塑性ポリウレタン樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性部材。
- 前記放射線照射が、電子線照射であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性部材。
- 矩形シートの形態を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性部材。
- 円筒形チューブの形態を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性部材。
- エンドレスのベルトの形態を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性部材。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の弾性部材を備えたことを特徴とする給紙ローラ。
- 前記弾性部材が、前記給紙ローラの外周面を規定していることを特徴とする、請求項9に記載の給紙ローラ。
- 前記弾性部材が、シートの形態を有しており、前記給紙ローラの本体を構成するコアに取り付けられていることを特徴とする、請求項9又は10に記載の給紙ローラ。
- 複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置において、堆積されたシート状用紙から用紙を一枚ずつ搬送するために用いられることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の給紙ローラ。
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