JP3600752B2 - 給紙機構用の紙葉類分離シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の給紙機構に用いられる紙葉類分離シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給紙機構では、PPC用紙、OHP用紙等の紙葉類がトレイに蓄えられ、この紙葉類が給紙ローラ等によって画像形成機構に送られる。この給紙ローラと紙葉類との摩擦係数は、ある程度大きめである必要がある。具体的には、紙葉類と給紙ローラとの摩擦係数が、紙葉類同士の摩擦係数よりも大きくなければならない。これによって、紙葉類が一枚ずつ確実に分離されて画像形成機構に送られ、いわゆる重送が防止される。
【0003】
この給紙機構において、如何に紙葉類と給紙ローラとの摩擦係数が大きくても、トレイ内の紙葉類の残り枚数が少なく(例えば数枚程度と)なると、残りの紙葉類すべてが一度に送られて重送が発生してしまうことがある。これは、トレイと紙葉類との摩擦係数が紙葉類同士の摩擦係数よりも小さいため、紙葉類が一枚ずつ確実に分離されないことに起因する。紙葉類の残り枚数が少なくなった場合の重送を防止するには、トレイと紙葉類との摩擦係数がある程度大きめである必要がある。
【0004】
ところが、トレイと紙葉類との摩擦係数が大きすぎて、給紙ローラと紙葉類との摩擦係数よりも大きくなると、トレイ内の最後の紙葉類が送られなくなっていわゆる紙残りが発生してしまう。紙残りを防止するには、トレイと紙葉類との摩擦係数が給紙ローラと紙葉類との摩擦係数よりも小さいことが必要である。すなわち、この種の給紙機構において、重送防止と紙残り防止とを両立させるには、給紙ローラと紙葉類との摩擦係数μF、トレイと紙葉類との摩擦係数μR及び紙葉類同士の摩擦係数μPは、下記数式
μF>μR>μP −−−(I)
で表される関係にある必要がある。
【0005】
トレイは通常合成樹脂製である。合成樹脂成形体の表面は摩擦係数が小さいので、合成樹脂単体ではμRを上記数式(I)で表される範囲に設定することは困難である。μRを上記数式(I)で表される範囲に設定するため、古くは合成皮革が用いられた。すなわち、この合成皮革からなる紙葉類分離シートが、両面テープ等でトレイ表面に貼り付けられた。合成皮革の表面は適度に毛羽立っており、μRを上記数式(I)で表される範囲に設定することが容易であった。
【0006】
より工業的な紙葉類分離シートとしてゴムシートが提案され、給紙機構の主流となっている。このゴムシートは表面が研磨され、表面粗度が高められたものである。表面粗度を高めることによって、給紙機構に使用されて表面が摩耗した場合でも、急激な摩擦係数の低下を抑えることができる。このような紙葉類分離シートは、例えば特開平5−170348号公報等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面粗度が高められたゴムシートであっても、長期間の使用によって表面が大幅に摩耗すると、表面粗度の低下によって摩擦係数が低下してしまうことがある。また、このゴムシートでは表面研磨工程が必要であり、しかもこの表面研磨工程で所定範囲の摩擦係数となるように微妙に表面粗度を調整しなければならないので、製造コストが上昇してしまう。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、長期間の使用によっても摩擦係数の低下が抑えられ、しかも製造工程が簡易な紙葉類分離シートを提供することをその目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した問題を解決するためになされた発明は、
樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散しており、このゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比が20/80以上70/30以下で、かつ、上記分散されたゴム粒子の平均粒径が10μm以下であるエラストマー組成物から形成された給紙機構用の紙葉類分離シートである。
【0009】
この紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物では、ゴムが動的架橋されている。動的架橋とは、熱可塑性ポリマーにゴム、架橋剤、その他の各種添加剤を配合し、混練しつつ加熱して、ゴムを架橋させる工程を意味する。動的架橋により架橋されたゴムは微細な粒子として熱可塑性ポリマー中に分散する。このため、紙葉類分離シートの表面にはゴム粒子からなる微少凹凸が存在する。従って、表面研磨工程が省略又は短縮されても、所定範囲の表面粗度が達成される。また、熱可塑性ポリマーのマトリクス中にゴム粒子が分散した状態が表面から内部にまで渡っているので、長期間の使用によって表面が摩耗しても、常にほぼ一定の表面粗度を維持することができる。従って、摩擦係数の経時変化を抑えることができる。ゴム粒子は、小さいほど均一に分散するので好ましく、平均粒子直径が10μm以下、特には5μm以下が好ましい。
【0010】
エラストマー組成物におけるゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比は、20/80以上70/30以下とされる必要がある。重量比が上記範囲未満であると、紙葉類分離シートが硬くなり、特に低温での硬度の低下が大きくなってしまうばかりか、エラストマー組成物の混練が困難となってしまう。重量比が上記範囲を超えると、紙葉類分離シートと紙との摩擦係数が大きすぎて、紙残りが発生しやすくなる。これらの観点より、重量比は25/75以上60/40以下がより好ましい。
【0011】
本発明に用いられるゴムとしては、EPDM、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴムの他、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等が挙げられ、これらが単独で又は2種以上がブレンドされて用いられる。なかでも、ジエン系ゴムが好ましい。ジエン系ゴムが用いられることによって、このジエン系ゴムを架橋するが熱可塑性ポリマーは架橋しない架橋剤の使用が可能となる。
【0012】
特に好ましいゴムは、EPDMである。EPDMは主鎖が飽和炭化水素からなり、主鎖に二重結合を含まない。このため、高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても、分子主鎖切断が起こりにくく、耐候性に優れるものである。従って、画像形成時にオゾンが発生する複写機等の給紙機構に好適である。また、EPDMは、熱可塑性ポリマーへの分散性も比較的良好である。これらEPDMの長所を発現させるには、EPDMと他のゴムとをブレンドする場合でも、全ゴムに占めるEPDMの率を50重量%以上、特には80重量%以上とするのが好ましい。耐候性の観点からは全ゴム中EPDMの占める率は高いほど好ましいので、本発明ではこの上限値は特には規定されない。EPDMには、ゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMとゴム成分とともに親展油を含む油展タイプのEPDMとが存在するが、本発明ではいずれのタイプのものも用いることができる。なお、油展タイプのEPDMを用いる場合、親展油を除いたゴム成分が全ゴム中に占める率を50重量%以上(好ましくは80重量%以上)とすればよい。
【0013】
本発明に用いられる熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン系樹脂又は水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、これらが混合されて用いられてもよいが、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい
【0014】
ポリオレフィン系樹脂は分子鎖が飽和状態であるので、動的架橋時に架橋させてしまうことがない。このため、動的架橋後のエラストマー組成物が可塑性を発現する。さらに、ポリオレフィン系樹脂は一般的に安価で入手が容易であるので、これを用いることにより紙葉類分離シートの製造コストを抑えることができる。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。また、いわゆるメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン又はポリプロピレンを用いることもできる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。
【0015】
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン末端ブロックとエラストマー中間ブロックとからなるブロック共重合体を主成分としているもので、中間ブロックが水素添加されることによって二重結合が消滅しており、動的架橋時に架橋させてしまうことがない。このため、動的架橋後のエラストマー組成物が可塑性を発現する。用いられる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−エチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体等が挙げられる。また、これらの水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーにあらかじめオレフィン系樹脂、オイル等を配合してコンパウンドとして上市されているものも、好適に用いることができる。
【0016】
本発明では、ゴム粒子が樹脂架橋剤によって動的架橋されている。樹脂架橋剤とは、加熱等によってゴムに架橋反応を起させる合成樹脂のことである。樹脂架橋剤を用いることによって、硫黄と加硫促進剤とを併用した場合に生ずるブルームの問題を解消することができ、紙葉類分離シートの摩擦係数低下を防止することができる。
【0017】
樹脂架橋剤としては、付加縮合型樹脂が用いられる。付加縮合型樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられ、特にフェノール樹脂が好適である。フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類との付加反応及び縮合反応の2段階反応で得られるものであり、この2成分が均一に共重合した重合体である。このため、分子量、反応性等が均一であり、紙葉類分離シートの物性を一定化させることができる。フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。特に、ベンゼンのオルト位又はパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに、反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
【0018】
樹脂架橋剤の配合量は、ゴム100重量部に対して1重量部以上20重量部以下が好ましく、8重量部以上15重量部以下が特に好ましい。樹脂架橋剤の配合量が上記範囲未満であると、架橋不足が起こり、紙葉類分離シートの耐久性が低下してしまうことがある。逆に、樹脂架橋剤の配合量が上記範囲を越えると、過剰架橋となって動的架橋時の異常発熱によるエラストマー組成物の熱劣化が生じてしまうしまうことがある。なお、油展タイプのEPDMを用いる場合は、親展油を除いたゴム成分100重量部に対し、上記範囲内の量の樹脂架橋剤を配合すればよい。
【0019】
本発明において、動的架橋は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲンの存在下に行われるのが好ましい。これにより動的架橋時の反応性が高められ、架橋が効率的となる。前述のEPDMは主鎖に二重結合を有さないので、架橋反応を起こしにくい。従って、特にこのEPDMが用いられる動的架橋において、ハロゲンの存在が重要である。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、ハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、エラストマー組成物中にハロゲン供与性物質を配合すればよい。
【0020】
ハロゲン化された樹脂架橋剤としては、上記の各付加縮合型樹脂がハロゲン化されたものが挙げられる。なかでも、フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂、特にはハロゲン化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに、反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。
【0021】
ハロゲン供与性物質は、ハロゲン化金属であってもハロゲン化樹脂であってもよい。ハロゲン化金属としては、例えば塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄等の塩化鉄、塩化第二銅等の塩化銅等が挙げられる。また、ハロゲン化樹脂としては、例えば塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのハロゲン供与性物質は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】
本発明の紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物には、オイル、可塑剤等の軟化剤が配合されてもよい。これにより、紙葉類分離シートを低硬度とすることができる。配合されるオイルとしては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等の鉱物油や、α−オレフィンのオリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレンとα−オレフィンとのオリゴマー等の炭化水素系オリゴマーである合成油等が挙げられる。特に、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れるという理由より、エチレンとα−オレフィンとの非晶質オリゴマーが好ましい。また、配合される可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。なお、油展タイプのEPDMでは親展油が軟化剤として作用するので、他の軟化剤が配合される必要は特にはない。もちろん、油展タイプのEPDMにさらに軟化剤が添加されてもよい。
【0023】
軟化剤としてオイルが用いられる場合、その配合量は、ゴム100重量部に対して1重量部以上200重量部以下が好ましく、50重量部以上100重量部以下が特に好ましい。また、軟化剤として可塑剤が用いられる場合、その配合量は、ゴム100重量部に対して1重量部以上20重量部以下が好ましく、1重量部以上10重量部以下が特に好ましい。軟化剤の配合量が上記範囲未満であると、加工性が悪くなって生産性が低下してしまうことがある。逆に、軟化剤の配合量が上記範囲を越えると、紙葉類分離シートの耐久性が低下し、また摩擦係数が大きくなりすぎることがある。なお、油展タイプのEPDMを用いる場合、油展された親展油をも含めたオイルの量を、上記範囲内とすればよい。
【0024】
本発明の紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物には、必要に応じて充填剤が添加されてもよい。充填剤の添加によって、紙葉類分離シートの機械的強度が向上する。添加される充填剤としては、例えばシリカ、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等が挙げられる。充填剤のエラストマー組成物に占める比率は、10重量%以下が好ましい。充填剤の比率が上記範囲を越えると、紙葉類分離シートの柔軟性が低下してしまうことがある。
【0025】
本発明の紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物には、必要に応じて老化防止剤が添加されてもよい。添加される老化防止剤としては、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’イソプロピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類等が挙げられる。
【0026】
また、本発明の紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物には、必要に応じてワックス、着色剤、架橋助剤等が添加されてもよい。
【0027】
本発明の紙葉類分離シートに用いられるエラストマー組成物の混練は、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の既知の混練機にて行うことができる。混練後のエラストマー組成物に押出成形、射出成形、圧縮成形等の既知の成形手段が施され、紙葉類分離シートが得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類分離シートが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。この給紙機構は、給紙ローラ2とトレイ4とを備えている。トレイ4は、その上面の給紙ローラ2寄りに紙葉類分離シート6を備えている。トレイ4上面には、多数枚の紙葉類8が重ねられて蓄えられている。トレイ4の給紙ローラ2寄りは、その下面に当接するバネ(図示されず)によって上方に押し上げられ、給紙ローラ2に向かって押しつけられている。トレイ4の紙葉類分離シート6と給紙ローラ2との間には、紙葉類8の先端部分10が挟まれている。
【0029】
この給紙機構では、給紙ローラ2と紙葉類8との摩擦係数μF、トレイ4(すなわち紙葉類分離シート6)と紙葉類8との摩擦係数μR及び紙葉類8、8同士の摩擦係数μPは、下記数式
μF>μR>μP −−−(I)
で表される関係にある。この給紙機構によって紙葉類8が給紙される場合、まず給紙ローラ2が図1中矢印Rで示される方向に回転する。最も上方の紙葉類8はその先端部分10で給紙ローラ2に当接しているので、給紙ローラ2の回転に伴って送り出され、画像形成機構に向かう。この際、給紙ローラ2と紙葉類8との摩擦係数μFが紙葉類8、8同士の摩擦係数μPよりも小さいと、紙葉類8が送り出されなかったり、複数枚の紙葉類8が重なって送り出されたりしてしまうが、上記のようにμFはμPよりも大きいので、紙葉類8は上方から順に1枚ずつ送り出される。トレイ4上の紙葉類8が例えば残り2枚となった場合に、紙葉類分離シート6と紙葉類8との摩擦係数μRが紙葉類8、8同士の摩擦係数μPよりも小さいと、残りの紙葉類8が重なって送り出されてしまうが、上記のようにμRはμPよりも大きいので、上方の紙葉類8のみが送り出される。トレイ4上の紙葉類8が最後の1枚となった場合に、給紙ローラ2と紙葉類8との摩擦係数μFが紙葉類分離シート6と紙葉類8との摩擦係数μRよりも小さいと、紙葉類8が送り出されず残ってしまうが、上記のようにμFはμRよりも大きいので、最後の紙葉類8も送り出される。こうして、重送及び紙残りが防止される。
【0030】
本発明の紙葉類分離シート6は、動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散して構成されているので、表面研磨工程が省略されたり、表面研磨工程における研磨時間が短縮されても、容易にμRを上記数式(I)で表される範囲に設定することができる。また、本発明の紙葉類分離シート6では、熱可塑性ポリマーのマトリクス中にゴム粒子が分散した状態が表面から内部にまで渡っているので、長期間の使用によって表面が摩耗しても、常にほぼ一定の表面粗度を維持することができる。従って、摩擦係数の経時変化を抑えることができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づいて行った実験により本発明の効果を明らかにするが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきものではないことはもちろんである。
【0032】
[実施例1]
50重量%の親展油が油展されたEPDM(住友化学社の商品名「670F」)を二軸押出機(モリヤマ社の「2TR−75」)を用いて押し出し、直径4mm、長さ4mmの大きさにペレット化した。このペレット120重量部(ゴム成分60重量部)と、熱可塑性ポリマーとしてのポリプロピレン(日本ポリケム社の商品名「ノバテックPP MG05BS」)40重量部とをタンブラーにて混合し、二軸押出機(アイベック社の「HTM38」)に投入した。別の投入口より樹脂架橋剤としての臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(田岡化学社の商品名「タッキロール250−3」)4.8重量部を投入し、180℃で混練してリボン状(幅30mm、厚み3mm)に押し出した。これを冷却後、厚みが半分となるようにスライスし、幅10mm、長さ80mmの長方形に裁断して、実施例1の紙葉類分離シートを得た。
【0033】
[比較例1、2及び実施例2から4]
EPDM及びポリプロピレンの配合量を下記の表1に示されるように変量させた他は実施例1と同様にして、比較例1、2及び実施例2から4の紙葉類分離シートを得た。
【0034】
[実施例5から8]
表2に示されるように、熱可塑性ポリマーをポリエチレン(住友化学社の商品名「スミカセンα GZ802」)とした他は実施例1と同様にして、実施例5の紙葉類分離シートを得た。また、熱可塑性ポリマーを水素添加スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS、クラレ社の商品名「セプトン4055」)とした他は実施例1と同様にして、実施例6の紙葉類分離シートを得た。また、EPDMに代えて天然ゴムを60重量部配合した他は実施例1と同様にして、実施例7の紙葉類分離シートを得た。さらに、EPDMの配合量を60重量部(ゴム成分30重量部)とし、天然ゴムを30重量部配合した他は実施例1と同様にして、実施例8の紙葉類分離シートを得た。
【0035】
[比較例3]
EPDM(住友化学社の商品名「エスプレン505F」)50重量部と、ブタジエンゴム(日本合成ゴム社の商品名「BR11」)50重量部と、硫黄(鶴見化学社製)5重量部とを密閉式混練機で混練して、オープンロールでシート状とした。これを所定寸法に裁断し、圧縮成形機で加熱・加硫してゴム片を得た。このゴム片を実施例1の紙葉類分離シートと同様の寸法に裁断して、比較例3の紙葉類分離シートを得た。
【0036】
[摩擦係数の測定]
ヘイドン10型の給紙機構を用いて、紙葉類と紙葉類分離シートとの摩擦係数μRを測定した。具体的には、まずトレイに各実施例及び各比較例の紙葉類分離シートを装着し、この上にPPC用紙を3枚重ねて載置し、バネで給紙ローラに押しつけた。次に、中央のPPC用紙を引き抜いて、この際の摩擦力P1を測定した。次に、最も下方のPPC用紙(すなわち紙葉類分離シートに当接しているPPC用紙)を引き抜き、この際の摩擦力P2を測定した。そして、下記式
P=P2−P1/2
で表される摩擦力Pを求め、これをあらかじめ測定してあったバネ荷重で除して、摩擦係数μRを導出した。なお、摩擦係数μRは、初期段階と、PPC用紙を1枚ずつ500回送り出した後の段階とで測定した。この初期の摩擦係数と、500回の送り出しによる摩擦係数の変化量とが、下記の表1及び表2に示されている。実施例1の紙葉類分離シートに関しては、表1及び表2の両方に、そのデータが示されている。
【0037】
[通紙状況の観察]
各実施例及び各比較例の紙葉類分離シートを装着したプリンター(キャノン社の商品名「LBP750」)にて、PPC用紙の通紙状況を観察した。観察は、初期段階と、PPC用紙を1枚ずつ500回送り出した後の段階とで行った。これらの結果が、下記の表1及び表2に示されている。
【0038】
【表1】
Figure 0003600752
【0039】
【表2】
Figure 0003600752
【0040】
表1における比較例では、エラストマー組成物の混練が困難であり、満足な紙葉類分離シートが得られなかったため、評価を行わなかった。また、表1及び表2において、ゴムが80重量部である比較例2及びゴムが100重量部である比較例3の紙葉類分離シートは、紙残りが発生している。これは、摩擦係数が高すぎるためである。これらの結果より、ゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比は20/80以上70/30以下である必要があることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、長期間の使用によっても摩擦係数の低下が抑えられ、しかも製造工程が簡易な紙葉類分離シートを得ることができる。この紙葉類分離シートが装着された給紙機構では、紙葉類の重送、紙残りが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる紙葉類分離シートが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。
【符号の説明】
2 給紙ローラ
4 トレイ
6 紙葉類分離シート
8 紙葉類
10 先端部分

Claims (5)

  1. 樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散しており、このゴムと熱可塑性ポリマーとの重量比が20/80以上70/30以下で、かつ、上記分散されたゴム粒子の平均粒径が10μm以下であるエラストマー組成物から形成された給紙機構用の紙葉類分離シート。
  2. 上記ゴムが50重量%以上のEPDMを含んでいる請求項1に記載の紙葉類分離シート。
  3. 上記熱可塑性ポリマーがポリオレフィン系樹脂である請求項1又は請求項2に記載の紙葉類分離シート。
  4. 上記樹脂架橋剤がハロゲン化付加縮合型樹脂である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の紙葉類分離シート。
  5. 上記樹脂架橋剤が付加縮合型樹脂であり、上記エラストマー組成物がハロゲン供与性物質をさらに含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の紙葉類分離シート。
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