JP3266859B2 - ゴム組成物、該ゴム組成物を用いたゴムローラ及び該ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、該ゴム組成物を用いたゴムローラ及び該ゴム組成物の製造方法

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JP3266859B2
JP3266859B2 JP25132898A JP25132898A JP3266859B2 JP 3266859 B2 JP3266859 B2 JP 3266859B2 JP 25132898 A JP25132898 A JP 25132898A JP 25132898 A JP25132898 A JP 25132898A JP 3266859 B2 JP3266859 B2 JP 3266859B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は配合剤のブルーミン
グがなく低硬度で耐摩耗性及び耐熱性に優れたゴム組成
物に関し、詳しくは、レーザープリンター,静電式複写
機,普通紙ファクシミリ装置等のOA機器や自動預金支
払機(ATM)等の紙送りローラ等に好適使用されるゴ
ム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電気式複写機、レーザープリンター、
ファクシミリ等のOA機器や、自動預金支払機などの紙
送りローラに使用されるゴム組成物は、高い耐摩耗性と
高い摩擦係数を有することが要求される。特に、近年、
個人使用目的のOA機器が増加し、多様な用紙が通紙さ
れるようになっており、多様な用紙に対しても安定した
紙搬送性を得るためには高い耐摩耗性と高い摩擦係数の
確保が要求されている。これは、繰り返しの使用によっ
てローラ表面が摩耗すると摩擦係数が低下し、これによ
ってスリップが起こり、紙の搬送力が大きく低下してし
まうためである。また、ゴムローラは高温下で荷重をか
けられた状態で用いられても性能劣化が生じないこと、
即ち、圧縮永久歪が小さいことが要求される。
【0003】そこで、従来、ゴム材料と熱可塑性エラス
トマーの混合物を硫黄加硫してなるゴム組成物を用いる
ことにより高い摩擦係数と優れた耐摩耗性を有すると共
に圧縮永久歪みが小さいゴムローラを得ることが提案さ
れている。例えば、特開平8−143200号公報では
ゴム材料にEPDMゴムを用い、熱可塑性エラストマー
にウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)を用いて
いる。また、特開平8−114217号公報ではゴム材
料にスチレンブタジエンゴム(SBR)を用い、熱可塑
性エラストマーにウレタン系熱可塑性エラストマー(T
PU)を用いている。
【0004】しかしながら、これらゴム組成物からなる
ゴムローラは、TPUが硬質であるために、ローラの硬
度を充分に下げることができず、良好な紙送り性能を得
ることができなかった。また、いずれの場合も、硫黄で
加硫したゴム組成物はブルーミングが激しく、これもロ
ーラの摩擦係数を低下させる原因になっていた。さら
に、マトリクス樹脂がウレタンであるため、ローラとし
て不可欠な低硬度化のためにマトリクス樹脂の量を少な
くしなければならず、混練り加工性の点で問題が発生す
る。さらに、ウレタンの摩擦係数がそれほど高くないた
め、ローラそのものの摩擦係数が適切な大きさとならな
い問題がある。
【0005】また、特公昭58- 46138号公報に
は、熱可塑性結晶状ポリオレフィン樹脂とフェノール系
樹脂架橋剤で架橋したEPDMゴムとをブレンドしたゴ
ム組成物が提案されている。しかしながら、このゴム組
成物を用いてローラを作成し、これを紙送りローラとし
て用いたところ、架橋剤のブルーミングの発生は抑制で
きるもののやはりマトリクスとなるポリオレフィン樹
脂、すなわち、ポリエチレンやポリプロピレンが硬質で
あるために、ローラの硬度を十分に低下させることが出
来ず、良好な紙送り性能を得ることが出来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来か
ら加硫(架橋)したEPDMゴム等の加硫(架橋)ゴム
を熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーとブレンド
して、ゴム組成物またはゴムローラの耐磨耗性を向上さ
せるとともに摩擦係数を高め、かつ、圧縮永久歪みを低
減する試みがなされているが、紙送り用のゴムローラと
する場合に、紙との間に高い摩擦係数を得ることができ
る程度に十分に柔らかく、かつ、ブルーミングの発生が
なく、それでいて耐磨耗性に優れたローラが得られるに
は至っていないのが実情である。また、上記公報では圧
縮永久歪みが改善されるとしているが、ゴムローラを納
入先に輸送する場合を想定して高温度下に荷重をかけた
状態で放置した場合のゴムローラの紙送り性能をみた
が、安定した性能が得られなかった。
【0007】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たもので、配合剤のブルーミングがなく低硬度で耐摩耗
性及び耐熱性に優れると共に成形性も良好で、例えば、
ローラ状に成形してOA機器や自動預金支払機(AT
M)等の紙送り用ゴムローラに使用した時に紙との間に
大きな摩擦係数が得られる共に優れた耐磨耗性を有し、
しかも、輸送時等の高温度下で荷重がかけられた状態で
放置された場合にも性能劣化を起こすことがないゴム組
成物を得ることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明では、ゴム100重量部に対して水素添加ス
チレン系熱可塑性エラストマーを100〜300重量部
含み、かつ、上記ゴムを樹脂架橋剤により動的架橋して
上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー中に分散
させてなり、上記ゴムがEPDMゴムを主成分とするゴ
ムであって、ゴム成分全体当たりEPDMゴムを50重
量%以上含むものであり、上記水素添加スチレン系熱可
塑性エラストマーが硬度(JIS−A)が80以下で、
MFR(JIS K−6760の230℃、2.16k
g荷重下におけるメルトフローレイト)が10g/10
分以上のものであることを特徴とするゴム組成物を提供
している。
【0009】すなわち、本発明は、マトリクスとして水
素添加スチレン系熱可塑性エラストマーをゴムに対して
特定量使用し、ゴムを樹脂架橋剤により動的架橋する
と、配合剤のブルーミングを発生することなく、低硬度
で耐摩耗性及び耐熱性に優れたゴム組成物を得ることが
でき、例えば、ローラ状に成形してOA機器や自動預金
支払機(ATM)等の紙送りローラに使用すると、ロー
ラの摩擦係数、耐摩耗性、及び圧縮永久歪みのいずれを
も良化できることを見出だしたものである。
【0010】水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー
は、前述した従来のマトリクスとして用いている熱可塑
性結晶状ポリオレフィン樹脂やTPUに比して低硬度で
摩擦係数が大きく、かつ、圧縮永久歪みも小さい。しか
も、樹脂架橋剤と反応しないためにゴムの架橋を阻害せ
ず、ゴムをその内部に微細に分散して存在せしめる。よ
って、得られるゴム組成物は比較的柔らかく、紙送りロ
ーラとした時に加圧下に十分に変形して紙との圧接面積
を拡大でき、良好な紙送り性能が得られる。また、動的
架橋によりゴムは組成物中で均一に加硫され、ゴム組成
物は摩耗しにくくなると共に、高温度下で荷重がかけら
れた状態で放置されても歪みが小さく抑えられる。よっ
て、紙送りローラとした時に、繰り返し紙送りを行って
も摩耗量が少なく、上記良好な紙送り性能を長期間維持
できると共に、輸送時にローラの性能劣化が起こること
もない。
【0011】なお、前記従来の熱可塑性結晶状ポリオレ
フィン樹脂やTPUの摩擦係数が0.5〜1.4である
のに対し、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの
摩擦係数は1.6〜1.9であり、水素添加スチレン系
熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みは熱可塑性結晶状
ポリオレフィン樹脂やTPUのそれの30〜80%であ
る。なお、上記摩擦係数は熱可塑性結晶状ポリオレフィ
ン樹脂、TPU、水素添加スチレン系熱可塑性エラスト
マーをそれぞれ単体で射出成形によりローラとし、該ロ
ーラの摩擦係数を後述の図1に示す方法で測定した値で
ある。また、熱可塑性エラストマーとして、スチレン−
ブタジエン−スチレンブロックコポリマ−(SBS)や
スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマ−
(SIS)等の水素添加をしていないスチレン系熱可塑
性エラストマーの検討も試みたが、これらは二重結合を
多く有するために樹脂架橋剤と反応してそれ自体の熱可
塑性が阻害されてしまい、ゴム組成物をローラ等の所望
の形状に成形することが困難となってしまう。
【0012】本発明のゴム組成物において、ゴム100
重量部に対して水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ
ーを100〜300重量部配合するのは、エラストマー
が100重量部未満の場合には、樹脂分が少ないために
ゴムの架橋物をエラストマー中に分散できず、加工生成
物が架橋ゴムの粉状物となって、ローラ状に加工できな
くなり、300重量部を越える場合には、ゴムの架橋物
の含有量が少なく、耐ゴム組成物の耐摩耗性が低下して
しまうためである。
【0013】本発明で用いる水素添加スチレン系熱可塑
性エラストマーとは水素添加により飽和して二重結合を
なくしたスチレン系熱可塑性エラストマーである。ここ
でのスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリス
チレン相(S)末端ブロックと、ゴム(エラストマー)
中間ブロックとからなるブロック共重合物であり、ゴム
(エラストマー)中間ブロックがポリブタジエン(B)
からなるSBS系、ゴム(エラストマー)中間ブロック
がポリイソプレン(I)からなるSIS系、ゴム(エラ
ストマー)中間ブロックがポリエチレンからなるSES
系、ゴム(エラストマー)中間ブロックがエチレン/プ
ロピレン(E/P)からなるSEPS系、ゴム(エラス
トマー)中間ブロックがエチレン/ブタジエン(E/
B)からなるSEBS系等が挙げられ、これらのうちS
ES系、SEPS系、SEBS系のものが特に好適であ
る。
【0014】水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー
は、特に、そのJIS−A硬度が80以下で、JIS
K−6760で測定される230℃、2.16kg荷重
下におけるMFR(メルトフローレイト)が5g/10
分以上、好ましくは10g/10分以上のものを用いる
のが好適である。これは硬度が80よりも大きい場合、
ローラの硬度が高くなり、摩擦係数が低下する傾向とな
り、MFRが5g/10分よりも小さい場合、成形が困
難になるためである。かかる好適な水素添加スチレン系
熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、
(株)クラレ製、セプトン2002(商品名)を挙げる
ことができる。
【0015】上記樹脂架橋により動的架橋し得るゴムと
しては、例えば、EPDMゴム、ブチルゴム、ブタジエ
ンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、天然ゴム、1,2−ポリブタジエン、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンプロピレ
ンゴム、アクリルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレ
ン、及びこれらから選ばれる少なくとも2種の混合物等
を用いることができる。なお、OA機器内で使用するゴ
ムローラには、優れた耐オゾン性と耐熱姓が要求され
る。よって、かかるゴムローラの耐オゾン性及び耐熱性
を両立するためには、樹脂架橋剤により架橋し得るゴム
として、それ自体耐オゾン性及び耐熱性に優れたEPD
Mゴムを用いるのが好ましい。この場合、EPDMゴム
はゴム成分全体当たり50重量%以上、好ましく80重
量%以上用いるのがよく、最良の形態としてはゴム成分
全体をEPDMゴムとするのがよい。
【0016】上記EPDMゴムとしては、油展EPDM
ゴムび非油展EPDMゴム、又は両者の混合物を使用す
ることができる。また、そのジエン成分にも特に限定は
なく、エチリデンノルボルネン(ENB)、ジクロロペ
ンタジエン(DCPD)等が使用可能である。なお、本
発明において、EPDMゴム100重量部とは、EPD
Mゴムが非油展の場合は非油展EPDMゴム100重量
部であり、EPDMゴムが油展の場合は、油展EPDM
ゴムからオイル成分を差し引いたゴム分(ポリマー分)
100重量部である。EPDMゴムが油展EPDMゴム
と非油展EPDMゴムの混合物の場合は、油展EPDM
ゴムからオイル成分を差し引いたゴム分(ポリマー分)
の重量と非油展のEPDMゴムの重量の合計重量100
重量部である。
【0017】本発明で用いる樹脂架橋剤としては、フェ
ノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、トリ
アジン・ホルムアルデヒド縮合物、硫化−p−第三ブチ
ルフェノール樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹
脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等の各種付加
縮合型樹脂が好適に使用される。これらのうち、フェノ
ール樹脂が好ましく、フェノール樹脂のうちでも反応性
及びコストの点でアルキルフェノール・ホルムアルデヒ
ド縮合物を用いるのがより好ましい。アルキルフェノー
ル・ホルムアルデヒド樹脂を使用すると、他の樹脂架橋
剤を使用した場合に比して良好な架橋が得られる上、耐
熱性、耐摩耗性に優れ、かつ、圧縮永久歪も小さいゴム
組成物を得ることができる。これは、架橋密度が変わる
為と考えられる。なお、樹脂架橋剤とともに、塩化スズ
(塩化第2スズ),塩化鉄(塩化第2鉄),塩化銅(塩
化第2銅)等のハロゲン化金属や、塩素化ポリエチレン
等のハロゲン化樹脂を触媒として添加することもでき
る。
【0018】樹脂架橋剤の配合量は架橋剤の種類によっ
ても異なるが,一般にゴム100重量部当たり3〜20
重量部、好ましくは10〜15重量部用いる。
【0019】本発明のゴム組成物には、必要に応じて上
記樹脂架橋剤により架橋し得るゴム及び水素添加スチレ
ン系熱可塑性エラストマー以外に、他の熱可塑性樹脂を
配合してもよい。かかる他の熱可塑性樹脂としては、エ
チレンエチルアクリレート樹脂、エチレンビニルアセテ
ート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エ
チレン−メタクリル酸共重合樹脂等を挙げることができ
る。これら熱可塑性樹脂の配合量は、ゴム及び水素添加
スチレン系熱可塑性エラストマーの合計量100重量部
に対して、30重量部以下、好ましくは10重量部以下
とするのがよい。これはゴムや水素添加スチレン系熱可
塑性エラストマー以外の他の熱可塑性樹脂が多くなると
本発明の効果が良好に発揮されないためである。
【0020】なお、上記他の熱可塑性樹脂を配合する場
合、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと上記他
の熱可塑性樹脂との合計の配合量がゴム100重量部に
対して300重量部よりも大きくなると、前記した水素
添加スチレン系熱可塑性エラストマー単体をゴム100
重量部に対して300重量部よりも多く用いる場合と同
様に、ゴム組成物中の架橋ゴムの含有量が小さくなり過
ぎて、良好な耐摩耗性を維持することが困難となる。
【0021】本発明のゴム組成物ではゴム組成物の成形
性等を良化するためにゴム組成物中に軟化剤を配合する
のが好ましい。この軟化剤としては、例えば、アロマ
系、テフロン系、パラフィン系等の石油系軟化剤や、フ
タレート系、アジペート系,セパケート系、フォスフェ
ート系、ポリエーテル系、ポリエステル系等の可塑剤を
使用できる。なお、ここでの石油系軟化剤はゴムとは別
途用意する石油系軟化剤及び油展ゴムに含まれるオイル
成分を指している。もちろん、油展ゴムとともに別途石
油系軟化剤をもちてもよい。軟化剤を配合すると、ゴム
組成物の溶融粘度が低下して例えばゴム組成物を射出成
形した時の成形性が向上する。また、ゴムの動的加硫時
における水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー中で
の加硫ゴムの分散性が良化する。
【0022】軟化剤はゴム100重量部に対して50〜
300重量部、好ましくは5〜200重量部配合する。
これは、軟化剤が50重量部よりも少ないと、上記軟化
剤を添加した効果が得られ難く、軟化剤が300重量部
より多いと、ゴム組成物中の架橋ゴムの含有量が少なく
なり、ゴム組成物の耐摩耗性や耐熱性が低下する傾向を
示し、例えば、ローラ状に成形して紙送りローラとして
使用した時に摩耗量が多くなったり、圧縮永久歪みが大
きくなる等の不具合を発生しやすくなる。
【0023】なお、ゴム組成物に軟化剤を配合する場
合、予め水素添加熱可塑性エラストマーと軟化剤との混
練物を作成し、該混練物とゴムと樹脂架橋剤を混練しな
がら加熱してゴムを動的架橋して、架橋されたゴムを水
素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと軟化剤との混
練物中に微分散させるのが好ましい。該方法を用いた場
合、ゴムと水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと
軟化剤の全てを同時に混練しながら加熱してゴムを動的
加硫した場合に比して、ゴムの動的加硫時における混練
物中でのゴムの分散性がより向上し、略均一な粒子径の
ゴム微粒子が一様に分散したゴム組成物を得ることがで
きる。よって、ゴム組成物の耐磨耗性及び耐熱性が向上
すると共に、インジェクション成形時におけるゴム組成
物の粘度が一層低下して組成物の流動性がより良化し、
性能の良いゴムローラを生産性良く製造することができ
る。
【0024】ゴム組成物中には、必要に応じて、プロセ
スオイル、老化防止剤、充填剤等を配合することができ
る。充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラッ
ク、クレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン
酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等
の粉体を挙げることができる。充填剤を配合する場合、
充填剤はゴム100重量部に対して15重量部を越えな
い範囲で配合するのが好ましい。これは充填剤の配合は
ゴムの引っ張り強度及び引き裂き強度に改善には有効で
あるものの、余り多く配合するとゴム組成物の柔軟性が
低下して摩擦係数が低下する傾向を示すためである。
【0025】また、紙送り用ゴムローラでは表面を研磨
してローラ表面の摩擦係数を高めることが行われるが、
本発明のゴム組成物をローラ状に成形して紙送りローラ
とした場合も表面を研磨するのが好ましい。研磨を行う
と水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは研磨され
やすく、ゴムは研磨されにくいので、ローラ表面にはこ
れら両者の研磨の程度差による凹凸(ゴムの凸部)が有
効に形成される。よって、ゴムローラの表面は紙に対し
て大きなグリップ力が得られるようになり、摩擦係数を
大きく高めることができる。
【0026】本発明のゴム組成物はゴム、水素添加スチ
レン系熱可塑性エラストマー、樹脂架橋剤及び他の各種
配合剤を溶融混練して作製する。この溶融混練の過程で
溶融したゴムが動的架橋して水素添加スチレン系熱可塑
性エラストマー中に分散するとともに架橋される。な
お、軟化剤を配合する場合は、前記したように、予め水
素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと軟化剤を混練
し、該混練物と、ゴム、樹脂架橋剤等の他の材料とを溶
融混練してゴム組成物を作製するのが好ましい。上記混
練は、オープンロール、バンバリーミキサー、二軸押し
出し機等の公知のゴム混練装置を用いて行う。
【0027】ゴム混練物(ゴム組成物)の成形は、押出
成形、インジェクション成形、プレス成形等により行
う。例えば、ローラ状に成形する場合、混練装置の先に
口金を取り付けて混練物をローラ状(チューブ状)に押
し出した後、研磨及びカットしてローラとする。また
は、混練物をペレット化し、射出成形によりローラ状
(チューブ状)に成形した後、研磨及びカットしてロー
ラとする等の種々の方法を用いることができる。
【0028】インジェクション成形ではゴム混練物の溶
融粘度が200℃で0.85kPa・sec以下である
と成形不良が少なくなり、0.7kPa・sec以下で
あると成形不良を殆ど発生することなく成形を行うこと
ができる。本発明のゴム組成物の溶融粘度は概ね200
℃で0.85kPa・sec以下となり、良好な成形性
を有するが、ゴム組成物中に軟化剤を配合することによ
り、粘度を0.7kPa・sec以下まで低下させるこ
とができ、成形性が極めて向上する。
【0029】本発明のゴム組成物をローラ形状にしてO
A機器用の紙送りローラとした場合、給紙部における給
紙ローラや紙搬送路での搬送ローラに使用し得るが、紙
との間に比較的大きな摩擦力を得る必要のある給紙ロー
ラに好適である。中空のローラ状(チューブ状)に成形
した場合、棒状芯材を中空部に内嵌し、該芯材を回転軸
にして給紙ローラとする。また、中実のローラ状に成形
した場合、両端部に棒状芯材を取り付けて給紙ローラと
する。中空のローラ状に成形して紙送りローラとする場
合、芯材とゴムローラとの間に接着層等を設けることも
できる。この場合、ローラの厚みが3mm未満では弾性
が不足し、紙送り性能が低下しやすいので、3mm〜2
0mmとするのがよい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例及び比較例
により更に詳しく説明する。 [実験例1]下記原料を用意し、処方を変更して実施例
1〜9、1a、2′及び比較例1〜6、1a、2aのゴ
ムローラを作製した。製造条件はいずれも2軸押し出し
機、HTM38(アイペック(株)製)に組成物原料を
投入し、160℃〜200℃に加熱しながら混練して、
樹脂架橋により動的架橋しつつ、ゴム組成物を押し出し
た。押し出し機の先には口金を取り付け、ゴム組成物を
チューブ状に押し出した。そしてこのチューブ状のゴム
組成物に研磨を施した後、所定長さにカットして、外径
20mm、内径9mm、幅10mmのゴムローラを作成
した。
【0031】・油展EPDMゴム 住友化学工業製、エスプレン670F[EPDMゴム成
分50重量%、プロセスオイル50重量%] ・ブチルゴム(IIR) 日本合成ゴム製、Butyl268 ・ブタジエンゴム(BR) 日本合成ゴム製、BR11 ・水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー(TPE) クラレ(株)製、セプトン2002(SEPS系)
[硬度(JIS A ):80、MFR(230 ℃、2.16kg):
70] クラレ(株)製、セプトン2063(SEPS系)
[硬度(JIS A ):36、MFR(230 ℃、2.16kg):
7] クラレ(株)製、セプトン2023(SEPS系)
[硬度(JIS A ):52、MFR(230 ℃、2.16kg):
0.5] アロン化成(株)、エラストマーAR790(SEB
S系)[硬度(JIS A):90 、MFR(230 ℃、2.1
6kg):10] ・アイオノマー樹脂 三井デュポンケミカル(株)製、ハイラミン1702 ・ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU) バイエル(株)製、デスモパン481(エステル系ポリ
ウレタン) ・水素添加していないスチレン系熱可塑性エラストマー 日本合成ゴム(株)製、SIS5002(SIS系) ・樹脂架橋剤(アルキルフェノール・ホルムアルデヒド
樹脂) 田岡化学工業(株)製、タッキロール250−III ・酸化亜鉛 三井金属鉱業(株)製、亜鉛華1号 ・硫黄 鶴見化学工業(株)製、粉末硫黄 ・架橋促進剤 大内新興化学工業(株)製、ノクセラーTET、Bz、
Cz
【0032】(実施例1)水素添加スチレン系熱可塑性
エラストマーとしてセプトン2002とセプトン206
3を重量比1:1の割合にて混合したものを、油展EP
DMゴム(エスプレン670F)200重量部(EPD
Mゴム100重量部+パラフィンオイル100重量部)
に対して100重量部用いた。樹脂架橋剤(タッキロー
ル250−III )を12重量部用い、酸化亜鉛(亜鉛華
1号)を5重量部用いた。なお、セプトン2002とセ
プトン2063を重量比1:1の割合にて混合したもの
の硬度(JIS−A)は56で、MFR(JISのK−
6760で測定される230℃、2.16Kg荷重にお
けるメルトフローレイト)は30であった。
【0033】(実施例2、3)水素添加スチレン系TP
Eであるセプトン2002とセプトン2063の混合物
の配合量を200重量部(実施例2)、300重量部
(実施例3)に変更した以外は実施例1と同様の処方と
した。
【0034】(参考実施例) 水素添加スチレン系TPEをエラストマーAR790と
し、これを200重量部を用いた以外は、実施例1と同
様の処方とした。
【0035】(実施例5)水素添加スチレン系TPEと
して、セプトン2002とセプトン2063をを重量比
1:8の割合にて混合したものを200重量部用いた以
外は、実施例1と同様の処方とした。セプトン2002
とセプトン2063を重量比1:8の割合にて混合した
ものの硬度(JIS−A)は42、MFR(JISのK
−6760で測定される230℃、2.16Kg荷重に
おけるメルトフローレイト)は10であった。
【0036】(実施例6)水素添加スチレン系TPEと
して、セプトン2002を単独で200重量部用いた以
外は、実施例1と同様の処方とした。
【0037】(実施例7)ゴムとして、油展EPDMゴ
ム(エスプレン670F)100重量部(EPDMゴム
50重量部+パラフィンオイル50重量部)とブチルゴ
ム(Butyl268)50重量部の混合物を用いた以
外は、実施例1と同様の処方とした。
【0038】(実施例8)ゴムとして、油展EPDMゴ
ム(エスプレン670F)100重量部(EPDMゴム
50重量部+パラフィンオイル50重量部)とブタジエ
ンゴム(BR11)50重量部の混合物を用いた以外
は、実施例1と同様の処方とした。
【0039】(実施例9)ゴムとして油展EPDMゴム
(エスプレン670F)160重量部(EPDMゴム8
0重量部+パラフィンオイル80重量部)とブタジエン
ゴム(BR11)20重量部の混合物を用いた以外は、
実施例1と同様の処方とした。
【0040】(比較例1)水素添加のスチレン系TPE
に代えて、アイオノマー樹脂であるハイミラン1702
を100重量部を用いた以外は、実施例1と同様の処方
とした。ハイミラン1702の硬度(JIS−D)は5
5Dであり、かつ、MFR(JISのK−6760で測
定される230℃、2.16Kg荷重におけるメルトフ
ローレイト)は14であった。
【0041】(比較例2)水素添加スチレン系TPEに
代えて、TPU(エステル系ポリウレタン)であるデス
モバン481を100重量部を用いた以外は、実施例1
と同様の処方とした。デスモバン481の硬度(JIS
−A)は80であった。
【0042】(比較例3)水素添加スチレン系TPEの
配合量を80重量部とした以外は実施例1と同様の処方
とした。本比較例は組成物の混練性が悪く、成形が困難
で、ローラを得ることができなかった。
【0043】(比較例4)水素添加スチレン系TPEの
配合量を400重量部とした以外は実施例1と同様の処
方とした。
【0044】(比較例5)樹脂架橋剤に代えて粉末硫黄
(鶴見化学工業(株)製)及び架橋促進剤(大内新興化
学工業(株)製、ノクセラーTET、Bz、Cz)をあ
わせて7.5重量部及びステアリン酸(日本油脂製)1
重量部を用いた以外は、実施例1と同様の処方とした。
【0045】(比較例6)水素添加スチレン系TPEに
代えて、水素添加していないスチレン系TPEであるS
IS5200を200重量部を用いた以外は、実施例1
と同様の処方とした。SIS5200の硬度(JIS−
A)は52であった。本比較例ではSIS5200が二
重結合を多く有するために樹脂架橋剤と反応してそれ自
体の熱可塑性が阻害され、ゴム組成物を所望のローラ形
状に成形することが困難でローラを得ることができなか
った。
【0046】(実施例1a)実施例1と同じ処方で最終
工程の研磨処理を行わないローラを作製した。 (比較例1a)比較例1と同じ処方で最終工程の研磨処
理を行わないローラを作製した。 (比較例2a)比較例2と同じ処方で最終工程の研磨処
理を行わないローラを作製した。
【0047】上記の様に作成した各実施例及び比較例の
ゴムローラについて下記の試験(特性測定)を行った。
【0048】圧縮永久歪みをJIS−K 6301に従
って測定した。
【0049】耐熱性の評価は以下の方法により紙送り不
良(Jam)の発生の有無を調べることにより行った。
すなわち、船便で輸出した場合を想定して、各ゴムロー
ラに250gの荷重をかけて、50℃にて30日間放置
した後、複写機にゴムローラを取り付けて、温度22
℃、湿度55%の条件下で、A4サイズの紙(富士ゼロ
ックスオフィスサプライ(株)製のPPC用紙)150
00枚を7.5時間かけて通紙させる通紙試験を行っ
た。通紙不良が起こらなかった場合は○、通紙不良が複
数回発生した場合は×と判定した。また、この通紙試験
において、通紙試験前後の各ゴムローラの重量を測定す
ることにより、摩耗量(mg)を求めた。また、この通
紙試験において、摩擦係数を図1に示す以下の方法で測
定した。すなわち、ゴムローラ1とプレート3との間
に、ロードセル5に接続したA4サイズのPPC用紙4
をはさみ、図1中、黒矢印で示すように、ゴムローラ1
の回転軸2に荷重W(W=250g)を加え、ゴムロー
ラ1をプレート3に圧接させた。次いで、温度22℃、
湿度55%の条件下で、上記ゴムローラ1を図1中、実
線の矢印aで示す方向に、周速300mm/秒で回転さ
せ、通紙の前後において、図1中、白矢印で示す方向に
発生した力F(g)をロードセル5によって測定した。
そして、この測定値F(g)と荷重W(300g)とか
ら、下記の式より摩擦係数νを求めた。
【0050】
【数1】ν=F(g)/W(g)
【0051】これらの結果を下記表1に示した。なお、
ゴムローラの処方においてEPDMゴムの重量部は油展
EPDMゴム中のオイル成分を除いたEPDMポリマー
成分の重量である。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示されるように、各実施例のゴムを
樹脂架橋剤により動的架橋して水素添加スチレン系TP
E中に分散させて作製したゴムローラは圧縮永久歪みが
最大でも35で従来のゴムローラ(比較例1、比較例
2)に比べて圧縮永久歪みが極めて小さくなっていた。
よって、耐熱性が極めて良好で、輸送時の特性劣化が起
こり難いものであることが分かった。また、実施例1〜
3と比較例3、4との比較により、水素添加スチレン系
TPEをマトリクスとする場合、配合量はゴム成分10
0重量部に対して100〜300重量部の範囲にする必
要のあることが分かる。
【0054】なお、参考実施例では水素添加スチレン系
TPEであるエラストマーAR790(SEBS系)の
硬度が大きく、SEPS系のセプトン2002、セプト
ン2063、セプトン2023(いずれもクラレ(株)
製)を用いた場合よりも摩擦係数が小さくなったが、問
題のないレベルであった。
【0055】また、実施例1と実施例1aとの比較によ
り、ローラ表面の研磨を行った場合には、ローラ表面の
摩擦係数をより大きくできることを確認できた。
【0056】また、比較例5のゴムローラは水素添加ス
チレン系TPEを用いているにもかかわらず硫黄架橋で
あるためにブルームが発生し、初期の摩擦係数も0.9
と著しく低く、上記通紙試験を行うことができなかっ
た。
【0057】以上の実施例及び比較例の結果から、本発
明の水素添加スチレン系TPEをマトリクスにEPDM
ゴムを樹脂架橋剤により架橋して分散させたゴム組成物
をローラ状に成形して紙送りローラとして使用した場
合、摩擦係数が大きく、耐磨耗性にも優れ、しかも、輸
送時等の高温度下で荷重がかけられた状態で放置された
場合にも性能劣化を起こさないことが確認できた。
【0058】[実験例2]実施例2′、実施例10〜実
施例18のゴムローラを射出成形により作製した。詳し
くは、組成物原料を2軸押出機に組成物原料を投入し、
160℃〜200℃に加熱しながら混練して、樹脂架橋
により動的架橋させ、その後押し出した。次に、この押
し出したゴム組成物をペレット化し、該ペレットを射出
成形機により金型内に射出し、外径20mm、内径9m
m、長さ(幅)35mmのローラ状成形品を作成し、該
ローラ状成形品をカットして、外径20mm、内径9m
m、長さ(幅)10mmのゴムローラを作成した。
【0059】(実施例2′)該実施例の組成物原料の処
方は前記実施例2と同様である。全ての組成物原料を上
記方法で混練し、混練物を射出成形してゴムローラを作
成した。
【0060】(実施例10)油展EPDMゴムの代わり
に非油展EPDMゴム(住友化学工業製、エスプレン5
05A)を用い、軟化剤であるプロセスオイル(出光興
産製,ダイナプロセスオイルPW−380)を100重
量部を追加した以外は前記実施例2と同様の処方の組成
物原料を上記方法で混練し、混練物を射出成形してゴム
ローラを作成した。
【0061】(実施例11)予め水素添加スチレン系T
PE(セプトン2002とセプトン2063を重量比
1:1の割合にて混合したもの)100重量部と軟化剤
であるプロセスオイル(出光興産製,ダイナプロセスオ
イルPW−380)200重量部を2軸押出機により1
60℃〜200℃で加熱混練して混練物を作成した。こ
の後、上記混練物200重量部と、非油展EPDMゴム
(住友化学工業製、エスプレン505A)100重量部
と、樹脂架橋剤(アルキルフェノール・ホルムアルデヒ
ド樹脂:田岡化学工業(株)製、タッキロール250−
III )12重量部と、酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)
製、亜鉛華1号)5重量部からなる組成物原料を上記方
法で混練し、混練物を射出成形してゴムローラを作成し
た。
【0062】(実施例12)軟化剤であるプロセスオイ
ル(出光興産製,ダイナプロセスオイルPW−380)
を用いず、他は実施例10と同様にしてゴムローラを作
成した。
【0063】(実施例13〜15)軟化剤であるプロセ
スオイル(出光興産製,ダイナプロセスオイルPW−3
80)の配合量をそれぞれ50重量部、300重量部、
500重量部に変更し、他は他は実施例10と同様にし
てゴムローラを作成した。
【0064】(実施例16〜18)軟化剤であるプロセ
スオイル(出光興産製,ダイナプロセスオイルPW−3
80)の配合量をそれぞれ50重量部、300重量部、
500重量部に変更し、他は他は実施例11と同様にし
てゴムローラを作成した。
【0065】なお、上記全ての実施例において2軸押し
出し機から押し出された混練ゴム組成物の溶融粘度(k
Pa・sec)を、図2に示すモンサント加工性試験機
(MPT)を用いて、温度200℃の条件で見かけの粘
度を測定した。なお測定に用いたMPTのオリフィスの
長さ(l)とオリフィスの内径(d)の割合(l/d)
は30であり、せん断速度を100sec-1に設定し
た。
【0066】また、上記全ての実施例において射出成形
性を調べた。これは、各実施例において、上記外径20
mm、内径9mm、長さ(幅)35mmのローラ状成形
品を10本作成し、各ローラ状成形品から皺や割れのな
い長さ(幅)10mmのゴムローラが何本取得できるか
みて、10本の平均を評価値とした。
【0067】更に、各実施例のローラの圧縮永久歪み、
耐熱性、摩耗量(mg)、通紙前後の紙との摩擦係数を
前記実験例1と同様の方法を測定した。
【0068】下記表2に各実施例におけるゴムと水素添
加スチレン系TPEと軟化剤であるオイルの配合比(ゴ
ム:水素添加スチレン系TPE:オイル)、オイルの添
加形態、及び試験結果を示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2から、実施例12と他の実施例との比
較より、ゴム組成物中にオイルを配合した場合、ゴム組
成物の溶融粘度が低下し、射出成形性が向上しているこ
とがわかる。
【0071】また、実施例11のゴム組成物(予めオイ
ルとスチレン系熱可塑性エラストマーの混練物を作成
し、これを他の組成物原料と混練ししたもの。)は、同
一の処方でオイルを他の組成物原料と一度に混練した実
施例2′のゴム組成物(油展EPDMゴム使用)や実施
例10のゴム組成物(非油展ゴムとオイルを使用)に比
べて、溶融粘度がより低下して射出成形性が一層向上し
ている。また、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマ
ー中での加硫ゴムの分散性が一層向上し、ローラの圧縮
永久歪みがより小さくなり、かつ、耐摩耗性が一層向上
している。
【0072】また、実施例13〜実施例15の比較、実
施例16〜実施例18の比較により、ゴム100重量部
当たりのオイルの配合量が500重量部まで多くなる
と、射出成形性は極めて良好であるが、ゴム組成物の耐
熱性及び機械的強度が低下して、ローラの圧縮永久歪み
が大きく、耐摩耗性も劣悪になる。よって、オイル等の
軟化剤をゴム組成物中に配合する場合、ゴム100重量
部当たり50〜300重量部程度が好適であることがわ
かる。
【0073】
【発明の効果】以上の説明より明かなように、本発明に
よれば、配合剤のブルーミングがなく低硬度で耐摩耗性
及び耐熱性に優れると共に成形性も良好なゴム組成物を
得ることができ、例えば、ローラ状に成形してOA機器
等の紙送りローラとして用いると、良好な紙送り性能を
長期間維持することができ、しかも、船便等の悪条件下
での輸送後においても上記良好な紙送り性能を維持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ゴムローラの摩擦係数を測定する装置の概略
図である。
【図2】 ゴム組成物の溶融粘度を測定する装置の概略
図である。
【符号の説明】
1 ゴムローラ 2 回転軸 3 プレート 4 PPC用紙 5 ロードセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/00 - 3/28 C08L 1/00 - 101/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム100重量部に対して水素添加スチ
    レン系熱可塑性エラストマーを100〜300重量部含
    み、かつ、上記ゴムを樹脂架橋剤により動的架橋して上
    記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー中に分散さ
    てなり上記ゴムがEPDMゴムを主成分とするゴム
    であって、ゴム成分全体当たりEPDMゴムを50重量
    %以上含むものであり、上記水素添加スチレン系熱可塑
    性エラストマーが硬度(JIS−A)が80以下で、M
    FR(JIS K−6760の230℃、2.16kg
    荷重下におけるメルトフローレイト)が10g/10分
    以上のものであることを特徴とするゴム組成物。
  2. 【請求項2】 上記樹脂架橋剤がアルキルフェノール・
    ホルムアルデヒド樹脂である請求項1に記載のゴム組成
    物。
  3. 【請求項3】 上記ゴム100重量部に対して50〜3
    00重量部の軟化剤を含んでなる請求項1又は請求項2
    に記載のゴム組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に
    記載のゴム組成物をローラ状に成形してなるゴムロー
  5. 【請求項5】 ゴム100重量部に対して100〜30
    0重量部の水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと
    軟化剤とを含み、上記ゴムを上記水素添加スチレン系熱
    可塑性エラストマー中に微分散させてなるゴム組成物の
    製造方法であって、 水素添加熱可塑性エラストマーと軟化剤との混練物を作
    成し、 ついで、上記混練物とゴムと樹脂架橋剤を混練しながら
    加熱してゴムを動的架橋し、架橋されたゴム微粒子が上
    記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーと軟化剤の
    混練物中に分散した組成物とすることを特徴とするゴム
    組成物の製造方法
  6. 【請求項6】 上記軟化剤の配合量が上記ゴム100重
    量部当たり50〜300重量部である請求項5に記載の
    ゴム組成物の製造方法
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