JP2004010783A - オキセタン化合物を含む重合性組成物、その硬化物と製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性エネルギー線の照射および/または加熱で高い活性(速重合性、速硬化性)を示すカチオン重合性組成物を提供することを課題とする。
また、該組成物を用いた硬化物、硬化物を利用した物品、それらの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】式(1)
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含む重合性組成物により高い活性(速重合性、速硬化性)を示すカチオン重合性組成物を提供できる。
【選択図】 なし。
また、該組成物を用いた硬化物、硬化物を利用した物品、それらの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】式(1)
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含む重合性組成物により高い活性(速重合性、速硬化性)を示すカチオン重合性組成物を提供できる。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線または電子線等の活性エネルギー線の照射および/または加熱により速やかに重合し、硬化物を与える重合性組成物、該組成物の重合方法および重合して得られた硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の活性エネルギー線による樹脂の硬化技術は、大きな硬化速度、無溶剤であることによる良好な作業性および極めて低いエネルギー必要量等の種々の特性から、木材のコーティング、金属塗装および印刷等の種々の分野において、極めて重要になっている。これらの分野における初期の開発においては、多官能アクリレートおよび不飽和ポリエステル等を対象とした紫外線開始ラジカル重合に研究が集中しており、これら多官能アクリレートおよび不飽和ポリエステル等からなる材料が種々使用されてきた。
【0003】
現在においても、これらの研究の大部分は紫外線開始ラジカル重合に向けられているが、光開始イオン重合も多くの応用分野で有望であることが認められてきている。光開始イオン重合においては、多種多様なモノマーを用いることが可能であるため、様々な化学的および物理的特性を有する硬化物が得られる可能性があり、その技術は魅力あるものである。
【0004】
光カチオン重合組成物は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により分解し酸を発生する光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)と、発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物から構成される。その開発は、3員環環状エーテルであるオキシラン環を有するエポキシ樹脂に集中しており、光硬化型エポキシ樹脂は、接着性、耐熱性および耐薬品性等の諸特性に優れることが知られている。しかしながら、従来の光硬化型エポキシ樹脂には光硬化速度が非常に遅いという問題があり、エポキシ樹脂の特性を生かしながら、硬化速度を向上させることが熱望されてきた。
【0005】
一方、重合性基として4員環環状エーテルであるオキセタン環を一分子中に複数個有する多官能オキセタンモノマーは対応する多官能エポキシドと同様、或いはそれ以上の光硬化性を有することが報告されている(ジャーナル オブ マクロモレキュラー サイエンス、A29巻、10号、915頁、1992年;同A30巻、2&3号、173頁;同A30巻、2&3号、189頁、1993年)。
【0006】
また、多官能オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物も提案されている(特開平6−16804号公報)。この多官能オキセタンモノマーを用いた紫外線硬化型樹脂の場合、紫外線照射における硬化速度はエポキシ樹脂と比較して速いが、紙やプラスチック等の熱に弱い材料へのコーティングなどの用途への適用にはいまだ困難であり、さらなる速やかな光硬化が切望されている。
【0007】
また、これら光カチオン重合硬化型エポキシ樹脂組成物や光カチオン重合硬化型オキセタン化合物含有樹脂組成物は、光カチオン重合開始剤の代わりに加熱により分解し酸を発生する熱カチオン重合開始剤を添加することにより加熱重合させることもできる。光カチオン重合開始剤は活性エネルギー線の照射によりカチオン重合可能な化合物の開環カチオン重合を促進するのに対し、熱カチオン重合開始剤は外部からの加熱や室温放置により開環カチオン重合を促進するものであり、光透過性の悪い材料の硬化や、厚い注型製品の製造等、光カチオン重合が不可能な分野において、特に重要な技術である。
【0008】
熱カチオン重合については、特開平11−246541号公報、特開平11−106380号公報、特開平11−61034号公報等に記載がある。しかしながら、これら熱カチオン重合硬化型エポキシ樹脂組成物や熱カチオン重合硬化型オキセタン化合物含有樹脂組成物、またはこの両者の混合物の硬化速度も光カチオン重合と同様十分でなく、硬化物を得るのに長時間の高温処理が必要であったり、熱カチオン重合開始剤を多量に必要とする等、生産性、経済性が満足できるものは未だ得られていない。
【0009】
式(1)
【化2】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)の製造方法に関しては、ジャーナル オブ オ−ガニック ケミストリー、36巻、16号、2232頁、1971年に一部誘導体に関して、記載がある。しかしながら、化合物(a)がカチオン開環重合に対して極めて高い活性(硬化性)を示すことの記載は全くなく、またエポキシ化合物等に混合することにより速硬化性を付与することなどは全く知られていなかった。
【0010】
また、米国特許第3,835,033号にはカチオン重合材料として、一般的にオキセタン化合物が記載されているが、具体例は、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタンのみであり、式(1)で表される化合物(a)が特にカチオン重合性に優れ、またエポキシ化合物等に混合することにより速硬化性を付与することなどは全く知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたもので、活性エネルギー線の照射および/または加熱で高い活性(速重合性、速硬化性)を示すカチオン重合性組成物を提供することを課題の一つとする。
【0012】
また、該組成物を用いた硬化物、硬化物を利用した物品、それらの製造方法を提供することを課題の一つとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、式(1)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)を含む重合性組成物が活性エネルギー線の照射および/または加熱によるカチオン開環重合において、高い活性(速重合性、速硬化性)を示し、且つ、その重合物(硬化物)が良好な物性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は例えば、以下の項目に関する。
[1] 式(1)
【化3】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含むことを特徴とする重合性組成物。
【0015】
[2] 活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)が活性エネルギー線の照射および/または加熱により酸を発生することでカチオン重合を開始させる化合物であることを特徴とする[1]に記載の重合性組成物。
【0016】
[3] 化合物(b)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の重合性組成物。
【0017】
[4] 化合物(a)および/または化合物(b)に、更に、化合物(b)によってカチオン重合が可能な化合物(c)を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の重合性組成物。
【0018】
[5] 化合物(c)が、一個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする[4]に記載の重合性組成物。
【0019】
[6] 化合物(c)が、一個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする[4]に記載の重合性組成物。
【0020】
[7] 式(1)で表される化合物(a)のRがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基およびそれらのハロゲン原子置換体から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の重合性組成物。
【0021】
[8] 化合物(a)および/または化合物(c)が、化合物(a)および/または化合物(c)の合計量に対して、下記の配合比率であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の重合性組成物。
化合物(a) 1〜100質量%
化合物(c) 0〜99質量%
【0022】
[9] 化合物(c)が、下記の配合比率であることを特徴とする[8]に記載の重合性組成物。
化合物(c−1) 0〜100質量%
化合物(c−2) 0〜100質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜80質量%
【0023】
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物から製造された物品。
[12] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して、表面に該重合物の被膜が形成された物品。
【0024】
[13] 活性エネルギー線の照射により[1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
[14] 加熱により[1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、式(1)
【化4】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含む重合性組成物、その重合方法、およびその硬化物である。
【0026】
化合物(a)は、式(1)のRに対応するアルコールが入手可能であれば合成可能であり、本発明に適用可能である。対応するアルコールとは、Rがメチル基である3−メトキシオキセタンについて言えば、メタノールを意味する。
【0027】
これらの式(1)で表される化合物(a)の製造に関しては、例えばジャーナル オブ オ−ガニック ケミストリー、36巻、16号、2232頁、1971年に記載されている。すなわち、R−OHで表されるアルコールとアリルアルコールと塩素を存在させて反応させた後に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリで処理することにより、製造することができる。
【0028】
式(1)で表される化合物(a)の例としては、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基およびそれらのハロゲン原子置換体があげられる。
【0029】
より具体的には、例えば、3−メトキシオキセタン、3−エトキシオキセタン、3−プロポキシオキセタン、3−イソプロポキシオキセタン、3−ノルマルブトキシオキセタン、3−イソブトキシオキセタン、3−セカンダリブトキシオキセタン、3−ターシャルブトキシオキセタン、3−ペンチルオキシオキセタン、3−ヘキシルオキシオキセタン、3−ヘプチルオキシオキセタン、3−オクチルオキシオキセタン、3−(1−プロペニルオキシ)オキセタン、3−アリルオキシオキセタン、3−シクロヘキシルオキシオキセタン、3−(4−メチルシクロヘキシルオキシ)オキセタン、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン、3−フェノキシオキセタン、3−(4−メチルフェノキシ)オキセタン、3−(3−クロロ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(3−ブロモ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(4−フルオロフェノキシ)オキセタンをあげることができる。
これら化合物(a)は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0030】
本発明でいう活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)は、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって変化し、酸などのカチオン重合を開始させる物質を生成する化合物とすることができる。従って、化合物(b)は一種のカチオン重合開始剤であり、当業界では「酸発生剤」とも呼ばれている。以降、本発明では化合物(b)を酸発生型カチオン重合開始剤と称する。
【0031】
酸発生型カチオン重合開始剤は、加熱または紫外線などの光照射によって本発明の化合物(a)開環カチオン重合を促進し、形成される硬化物や塗膜の硬化を円滑に進行させるために配合されるものである。
【0032】
また、本発明で言う酸発生型カチオン重合開始剤は加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって変化し、酸などのカチオン重合を開始させる物質を生成する化合物であり、カルボン酸のように最初から酸の形をとっている化合物は含まれない。
【0033】
酸発生型カチオン重合開始剤としては公知のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩およびフェロセン類等が挙げられる。以下に具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0034】
スルホニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0035】
ヨードニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0036】
ホスホニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、エチルトリフェニルホスホニウム テトラフルオロボレート、エチルトリフェニルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、エチルトリフェニルホスホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウム テトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルホスホニウム ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。
【0037】
ジアゾニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0038】
アンモニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0039】
フェロセン系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0040】
この中でもスルホニウム塩とヨードニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤が硬化速度、安定性、経済性の面から好ましい。市販品として商品名を挙げると例えば、旭電化工業株式会社製SP−150、SP−170、CP−66、CP−77;ユニオンカーバイド株式会社製CYRACURE−UVI−6990、UVI−6974;日本曹達株式会社製CI−2855、CI−2639;三新化学工業株式会社製サンエイドSI−60;「イルガキュア261」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロホスフェート)、「ロードシル(RHODORSIL)2074」;(ローヌ・プーラン社製4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、が挙げられる。
【0041】
これら酸発生型カチオン重合開始剤は、上述した材料の中から選択し、単独で使用することもでき、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。酸発生型カチオン重合開始剤の使用量の好適な範囲は、特に制限がないが、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)によってカチオン重合が可能である重合性化合物(即ち、化合物(a)と化合物(a)ではないカチオン重合が可能な化合物(c))の総量(100質量部)に対して0.05〜25質量部、好ましくは1〜10質量部である。添加量が0.05質量部より少ないと感度不良となり硬化するために著しく大きな光照射エネルギーや長時間の高温処理が必要である。また、25質量部を超えて添加しても感度の向上はせず、経済的にも好ましくない。逆に塗膜中に未硬化成分として残存する量が多くなり硬化物性が低下する恐れがある。
【0042】
本発明において用いる化合物(c)は、カチオン重合を開始させる化合物(b)の発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物であって、式(1)で表される化合物(a)以外の化合物である。具体的には分子内に一個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)、分子内に一個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)、及び化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物に分類できる。
【0043】
本発明において化合物(c)の使用方法は、一つの分類の中から複数選択して混合使用することができ、また複数の分類から複数選択して混合使用することも可能である。
【0044】
本発明において用いるエポキシ基を有する化合物(c−1)としては、公知慣用のエポキシ化合物が使用でき、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されない。
【0045】
化合物(c−1)として具体例は下記のような化合物を挙げることができる。
【0046】
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0047】
また、脂環族エポキシ化合物として、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)が挙げられる。
【0048】
更にエポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエーテル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレゾルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0049】
これら分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)は単独または2種以上混合して使用することができる。
【0050】
次に、分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)について説明する。この1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)の使用目的は、重合組成物全体の粘度を使用目体に合わせる事、およびオキセタン化合物によると考えられている耐水性や硬化収縮の低減の効果を付与する事である。
【0051】
具体的化合物としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成株式会社製;商品名アロンオキセタンOXT−101 略称OXA)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(東亞合成株式会社製;商品名アロンオキセタンOXT−121 略称XDO)、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル〕エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサンや、高分子量の多価オキセタン環を有する化合物、具体的にはオキセタンオリゴマー(東亞合成株式会社製;商品名Oligo−OXT)等が挙げられる。
【0052】
また、脂環式オキセタンとして、2−オキサスピロ[3.5]ノナ−6−エン、9−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナ−6−エン、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3’−オキセタン]、2−オキサスピロ[3.5]ノナン、7−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[アダマンタン−2,3’−オキセタン]等が挙げられる。
【0053】
さらに、同一分子内にエポキシ基も併有する、3−エチル−3−〔(オキシラニルメトキシ)メチル〕オキセタン、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、6,7−エポキシ−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、7,8−エポキシ−5−エチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[5,6−エポキシノルボルナン−2,3’−オキセタン]が挙げられる。
【0054】
これら1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0055】
本発明においては以下に示すカチオン重合性モノマーも重合性組成物に添加することができる。このカチオン重合性モノマーは酸発生型カチオン重合開始剤の発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物(c)であって化合物(c−1)、(c−2)以外である化合物に分類される。
【0056】
例えばテトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のオキソラン化合物;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタン等の環状アセタール化合物;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン化合物;3,3−ジメチルチエタン等のチエタン化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコルジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応生成物であるスピロオルソエステル化合物;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物;環状エーテル化合物;環状チオエーテル化合物;ビニル化合物等を挙げることができる。
【0057】
これらのカチオン重合性モノマーは1種を単独で添加することもできるし、2種以上を組み合わせて添加することもできる。
【0058】
本発明において、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)によってカチオン重合が可能な化合物(以下、カチオン重合が可能な化合物ともいう。)の配合量は、カチオン重合が可能な化合物の合計量(化合物(a)および/または化合物(c)の合計量)に対して、
化合物(a) 1〜100質量%
化合物(c) 0〜99質量%
である。
【0059】
好ましくは、
化合物(a) 2〜70質量%
化合物(c) 30〜98質量%
より好ましくは、
化合物(a) 5〜50質量%
化合物(c) 50〜95質量%
である。
【0060】
カチオン重合が可能な化合物であって、式(1)で表される化合物(a)以外のカチオン重合が可能な化合物(c)については、化合物(c)の全量に対して、
化合物(c−1) 0〜100質量%
化合物(c−2) 0〜100質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜80質量%
である。
【0061】
好ましくは、
化合物(c−1) 20〜100質量%
化合物(c−2) 0〜80質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜50質量%
である。
【0062】
本発明の重合性組成物を活性エネルギー線のひとつである紫外線で重合させる際は、重合速度を向上させるために、増感剤を使用することもできる。そのような目的で使用する増感剤としては、ピレン、ペリレン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、フェノチアジンなどが挙げられる。増感剤を併用する場合の使用量は、光酸発生型カチオン重合開始剤100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0063】
本発明の重合性組成物に、光(活性エネルギー線)硬化性を向上させるためにラジカル重合性化合物(d)を添加することも可能である。化合物(d)としては、特に限定はないが、(メタ)アクリル酸エステル系の公知慣用のラジカル重合性モノマーが使用できる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等の単官能(メタ)アクリレート化合物;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレートモノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、多官能ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等を挙げることができる。
【0064】
化合物(d)の添加量は、本発明の化合物(a)および化合物(c)のカチオン重合性化合物の総和100質量部に対して5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部である。添加量が200質量部を超えると指触乾燥性が悪くなる。また、硬化において(メタ)アクリル基の架橋の割合が多くなるため、得られた硬化物の耐熱性、耐薬品性が低下する。
【0065】
上記ラジカル重合性化合物(d)のラジカル重合を円滑に促進させるためには光ラジカル開始剤(e)を加えることが望ましく、光に感応しラジカルを発生する公知慣用のものが使用できる。ここで「光」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の放射線を意味する。
【0066】
光ラジカル開始剤(e)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア907)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製;ルシリンTPO)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド含有開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア1700,149,1800)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア819)等が挙げられる。これらを1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0067】
光ラジカル開始剤(e)の使用量は、組成物中のラジカル重合性化合物(d)の(メタ)アクリル基などのラジカル重合性官能基1当量に対し0.007〜0.5倍モルを使用することができる。
【0068】
本発明の重合性組成物は有機溶剤を含むこともできる。有機溶剤の使用目的は、用途、塗布方法に合わせた粘度の調整や、前記重合性組成物が固体の場合は溶解し、希釈せしめ、それによって重合性組成物を液状として塗布可能とすることである。
【0069】
使用可能な有機溶剤として具体的にはアセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、エチルメチルケトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の公知の溶剤類;エチレングリコールモノアルキルエーテルまたはそのアセテート類;ジエチレングリコールモノまたはジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルまたはそのアセテート類;ジプロピレングリコールモノまたはジアルキルエーテル類等が挙げられる。
【0070】
これらの有機溶媒は単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。またこれら有機溶剤の添加量は、使用目的、塗布方法に応じて適宜選択できるが、通常化合物(a)および化合物(c)のカチオン重合性化合物の総和の1〜1000質量倍であり、好ましくは3〜100質量倍である。
【0071】
本発明では、重合性組成物の硬化後に存在する酸成分を除去する目的でイオン交換体を含んでもよい。かかるイオン交換体としては、アンバーライトCG120(オルガノ社製)、トミックスAD500、600(富田製薬株式会社製)、キョーワード500、600(協和化学株式会社製)、IXE−500、600、633、700、1100、1320(東亜合成化学株式会社製)、等が挙げられる。このイオン交換体は、酸発生型カチオン重合開始剤1質量部当たり、2〜12質量部含ませるのが好ましく、より好ましくは4〜8質量部である。
【0072】
本発明の重合性組成物は、密着性、硬度などを要求する用途に使用する場合、諸特性を向上する目的で、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の公知慣用の無機充填剤が使用できる。
【0073】
さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニングリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤;シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤;イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を添加することも可能である。
【0074】
○本発明重合性組成物の重合方法
本発明における重合性組成物は活性エネルギー線の照射および/または加熱によって重合(硬化)させることができる。ここでいう活性エネルギー線とは、紫外線、X線、電子線、γ線等を示す。紫外線を照射する場合の光源としてはメタルハライドランプ、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、および太陽光等を挙げられる。
【0075】
活性エネルギー線の照射により重合(硬化)させる場合の照射条件は、重合性組成物(硬化させる物)の膜厚、顔料等の配合による光透過性に合わせて適宜選択すればよい。紫外線照射の場合、20μm程度の塗膜を硬化させる場合には線量が1〜2000mJ/cm2あればよく、好ましくは10〜1000mJ/cm2である。また硬化させようとする物が溶剤を含有するときには加熱等により溶剤を除去した後、光照射することができる。
【0076】
熱により重合(硬化)させる場合の条件は通常、50℃〜400℃程度で5秒〜60分間、好ましくは80℃〜250℃程度で10秒〜30分間である。
【0077】
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて硬化物を加熱することもできる。この後加熱によって硬化物中の未反応物の低減および活性エネルギー線照射によって硬化物に発生した硬化歪みの緩和を行うことができる。その結果、硬化物の硬度や、塗膜である場合は塗布された基材との密着性が向上する。この後加熱は通常、80℃〜300℃の雰囲気温度で5秒〜30分間の条件で行うことができる。
【0078】
本発明の重合性組成物によれば、塗膜方法により種々の被膜を製造することが可能であるが、膜厚で0.05μm〜50μmとすることが好ましく、より好ましくは、0.1μm〜20μmである。
【0079】
本発明の重合性組成物は金属、ゴム、プラスチック、紙、木材、ガラス、セラミック、およびコンクリート等の基材に適用可能である。
【0080】
本発明の感熱性樹脂組成物の用途としては、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、光造形用材料、レンズや光導波路等の光学材料等が挙げられる。
【0081】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の「部」は特に断わりの無い限り質量部である。
【0082】
なお、実施例および比較例で使用した材料のうち、主な市販品は次の通りであり、精製することなく、そのまま使用した。
【0083】
1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン:商品名 アロンオキセタンOXT−121(東亞合成株式会社製:略号XDO)
3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン:商品名 アロンオキセタンOXT−211(東亞合成株式会社製:略号POX)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名 エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)
脂環型ベースレジン:商品名 KRM−2110(旭電化工業株式会社製)
SbF6 −系スルホニウム塩カチオン重合開始剤:商品名 サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製)
トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロフォスフェート塩系カチオン重合開始剤:商品名 UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)
【0084】
市販されていない化合物は発明者が化学合成したものを使用した。即ち、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンについては特開2001−310938号公報を、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンについては特開2001−226365号公報を参考に合成した。
【0085】
◇3−n−ブトキシオキセタンの合成法の詳細を以下に示す。
アリルアルコール15gをn−ブタノール200gに溶解させ、室温で攪拌しながら塩素ガスを82ml/分の速度で66分間反応させた。得られた反応溶液を水及び、5%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後にエバポレータで濃縮した。得られた濃縮液50gをトルエン50gで希釈し、さらに10gの水酸化カルシウムを100gの水に懸濁させたものを加えて92℃で3時間反応させた。この時副生するn−ブチルグリシジルエーテルだけが環化され、目的とする3−n−ブトキシオキセタンの前駆体である2−n−ブトキシ−3−クロロプロパノールは環化しない。反応で得られた溶液を減圧蒸留しトルエン及びn−ブチルグリシジルエーテルを除去した。続いて2−n−ブトキシ−3−クロロプロパノールが存在する蒸留残査に10gの水酸化ナトリウムを50gの水に溶解させたものを加え、110℃で20時間加熱還流を行った。得られた反応溶液の有機層を取り出し、水洗後減圧蒸留を行い、目的物である3−n−ブトキシオキセタン13.4g(収率40%)を得た。
【0086】
◇3−シクロヘキシルオキシオキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールをシクロヘキサノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−シクロヘキシルオキシオキセタンを収率25%で得た。
【0087】
◇3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールを2−パーフルオロブチル)エタノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタンを収率20%で得た。
【0088】
◇3−フェノキシオキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールをフェノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−フェノキシオキセタンを収率30%で得た。
【0089】
○重合性、硬化物物性の評価方法
重合性、硬化物物性の評価は反応転化率、表面硬度、硬化物の鉛筆引っかき値を求め指標とした。具体的には、以下の操作に従い値を求めた。
【0090】
1)反応転化率
反応転化率は厚さ10μmになるようにシリコンウエハー上に塗布した重合性組成物の重合前後の赤外吸収スペクトルの変化から計算した。
【0091】
赤外吸収スペクトルの測定にはFTIR測定装置(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計VALOR−III型)を用い、透過法で測定した。
【0092】
反応転化率は赤外吸収スペクトル測定におけるオキセタニル基の特性吸収980cm−1の照射前後の特性吸収ピークの吸光度の変化量から次式に従って求めた。
【0093】
転化率=(1−照射後の特性吸収ピーク吸光度/照射前特性吸収ピーク吸光度)
× 100 (%)
比較例4〜6では、比較使用する材料の特性吸収(エピコート828はグリシジル基、XDOはオキセタニル基、KRM−2110は脂環式エポキシ基)のピークから転化率を計算した。
【0094】
2)表面硬度
Colman社製硬質硬度計(GYZJ934−1)を用い、硬化物の表面硬度を測定した。測定温度は23℃である。
【0095】
3)硬化物の鉛筆引っかき値
シリコンウエハー上の重合性組成物の硬化塗膜をJIS K5400に従って測定した。
【0096】
○組成物の熱重合
【0097】
(実施例1)
3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物に酸発生型カチオン重合開始剤「サンエイドSI−60L;三新化学工業株式会社製」を5質量部添加し、十分にかき混ぜて熱重合性組成物を得る。2mm厚のガラス板上に直径5cmにくり抜いた2mmのゴムスペーサーを置き、熱重合組成物をくり抜かれている部分に注ぎ、空気が入らないようにもう一枚のガラス板を貼り合わせたものを用意した。同じ物を2ヶ用意し120℃のオーブンに静置し、それぞれ10分、30分経過したところでオーブンから取り出し直径5cm、厚さ2mmの硬化物を得た。硬化物が室温に戻った後、23℃に温度調整し、硬化時間10分および30分の硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例2)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−n−ブトキシオキセタン10質量部及びエピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)90質量部の混合物を使用する以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例3)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−シクロヘキシルオキシオキセタン10質量部、3−フェノキシオキセタン10質量部及びエピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)80質量部の混合物を使用する以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0100】
(実施例4)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン20質量部、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンを5質量部、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンを5質量部混合した組成物とする以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0101】
(比較例1〜4)
熱重合組成物の構成成分を表1に記載したものにする以外は実施例1と全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
表1から明らかな通り、本発明の重合性組成物である実施例1〜4は加熱10分程度でも最終硬度に達しており、速やかに重合し、硬化することが言える。
【0103】
また、実施例2と比較例1より、本発明の化合物(a)はエポキシ樹脂に20質量部程度配合する事でエポキシ樹脂の硬化速度を向上させる事がわかる。
【0104】
【表1】
【0105】
○組成物の光重合
(実施例5)
3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物に光酸発生型カチオン重合開始剤「UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)」を5質量部添加し十分にかき混ぜ光重合性組成物を得た。
【0106】
次に厚さ10μmになるようにシリコンウエハー上に塗布し、1.45mW/cm2の高圧水銀ランプを10秒照射した時点のオキセタニル基の転化率は63%であり、30秒照射した時点のオキセタニル基の転化率は82%であった。
【0107】
また、前記3)の鉛筆引っかき値測定に従い、30秒光照射して得られたシリコンウエハー上の硬化後塗膜の鉛筆引っかき値測定した。結果を合わせて表2に示す。
【0108】
(実施例6)
実施例5の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−n−ブトキシオキセタン50質量部、エピコート828 50質量部の混合物とした以外は実施例5と全く同様の操作を行いオキセタニル基の転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を表2に示す。
【0109】
(実施例7)
実施例5の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに3−n−シクロヘキシルオキシオキセタン20質量部、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン30質量部、KRM−2110 50質量部の混合物とした以外は実施例5と全く同様の操作を行いオキセタニル基の転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例5〜8)
光重合組成物の構成成分を表2に記載したものにする以外は実施例5と全く同様の操作を行い転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を同様に表2に示す。
【0110】
実施例5〜7の結果から、本発明の組成物の構成要素として、オキセタン化合物である化合物(a)に、エポキシ化合物をブレンドすることにより一層オキセタニル基の転化率が向上し、さらなる速硬化性を発現することが証明された。
【0111】
表2から明らかな通り、本発明の重合性組成物である実施例5〜7は比較例5〜8に比べ、光照射後速やかに反応性基が減少、すなわち重合し、短時間で重合硬化することがわかった。
【0112】
【表2】
【0113】
上記の実施例の結果から本発明の重合性組成物、その硬化物は、熱に弱い紙やプラスチック等のコーティングを始め、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、レンズや光導波路のような光学材料、光造形用材料等の用途に使用することができる。
【0114】
【発明の効果】
本発明は、熱および/または活性エネルギー線の照射で高い活性(速硬化性)を示すカチオン重合性組成物、その硬化物および硬化物の製造方法を提供するものであり、熱に弱い紙やプラスチック等のコーティングを始め、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、レンズや光導波路のような光学材料、光造形用材料等の用途に使用することができる。また、式(1)で示される化合物の置換基Rを適宜選択することにより、作業中の臭気を低減したり、光学材料として使用する際に重要な屈折率を調製することも可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線または電子線等の活性エネルギー線の照射および/または加熱により速やかに重合し、硬化物を与える重合性組成物、該組成物の重合方法および重合して得られた硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の活性エネルギー線による樹脂の硬化技術は、大きな硬化速度、無溶剤であることによる良好な作業性および極めて低いエネルギー必要量等の種々の特性から、木材のコーティング、金属塗装および印刷等の種々の分野において、極めて重要になっている。これらの分野における初期の開発においては、多官能アクリレートおよび不飽和ポリエステル等を対象とした紫外線開始ラジカル重合に研究が集中しており、これら多官能アクリレートおよび不飽和ポリエステル等からなる材料が種々使用されてきた。
【0003】
現在においても、これらの研究の大部分は紫外線開始ラジカル重合に向けられているが、光開始イオン重合も多くの応用分野で有望であることが認められてきている。光開始イオン重合においては、多種多様なモノマーを用いることが可能であるため、様々な化学的および物理的特性を有する硬化物が得られる可能性があり、その技術は魅力あるものである。
【0004】
光カチオン重合組成物は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により分解し酸を発生する光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)と、発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物から構成される。その開発は、3員環環状エーテルであるオキシラン環を有するエポキシ樹脂に集中しており、光硬化型エポキシ樹脂は、接着性、耐熱性および耐薬品性等の諸特性に優れることが知られている。しかしながら、従来の光硬化型エポキシ樹脂には光硬化速度が非常に遅いという問題があり、エポキシ樹脂の特性を生かしながら、硬化速度を向上させることが熱望されてきた。
【0005】
一方、重合性基として4員環環状エーテルであるオキセタン環を一分子中に複数個有する多官能オキセタンモノマーは対応する多官能エポキシドと同様、或いはそれ以上の光硬化性を有することが報告されている(ジャーナル オブ マクロモレキュラー サイエンス、A29巻、10号、915頁、1992年;同A30巻、2&3号、173頁;同A30巻、2&3号、189頁、1993年)。
【0006】
また、多官能オキセタンモノマーを主成分とする光硬化型組成物も提案されている(特開平6−16804号公報)。この多官能オキセタンモノマーを用いた紫外線硬化型樹脂の場合、紫外線照射における硬化速度はエポキシ樹脂と比較して速いが、紙やプラスチック等の熱に弱い材料へのコーティングなどの用途への適用にはいまだ困難であり、さらなる速やかな光硬化が切望されている。
【0007】
また、これら光カチオン重合硬化型エポキシ樹脂組成物や光カチオン重合硬化型オキセタン化合物含有樹脂組成物は、光カチオン重合開始剤の代わりに加熱により分解し酸を発生する熱カチオン重合開始剤を添加することにより加熱重合させることもできる。光カチオン重合開始剤は活性エネルギー線の照射によりカチオン重合可能な化合物の開環カチオン重合を促進するのに対し、熱カチオン重合開始剤は外部からの加熱や室温放置により開環カチオン重合を促進するものであり、光透過性の悪い材料の硬化や、厚い注型製品の製造等、光カチオン重合が不可能な分野において、特に重要な技術である。
【0008】
熱カチオン重合については、特開平11−246541号公報、特開平11−106380号公報、特開平11−61034号公報等に記載がある。しかしながら、これら熱カチオン重合硬化型エポキシ樹脂組成物や熱カチオン重合硬化型オキセタン化合物含有樹脂組成物、またはこの両者の混合物の硬化速度も光カチオン重合と同様十分でなく、硬化物を得るのに長時間の高温処理が必要であったり、熱カチオン重合開始剤を多量に必要とする等、生産性、経済性が満足できるものは未だ得られていない。
【0009】
式(1)
【化2】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)の製造方法に関しては、ジャーナル オブ オ−ガニック ケミストリー、36巻、16号、2232頁、1971年に一部誘導体に関して、記載がある。しかしながら、化合物(a)がカチオン開環重合に対して極めて高い活性(硬化性)を示すことの記載は全くなく、またエポキシ化合物等に混合することにより速硬化性を付与することなどは全く知られていなかった。
【0010】
また、米国特許第3,835,033号にはカチオン重合材料として、一般的にオキセタン化合物が記載されているが、具体例は、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタンのみであり、式(1)で表される化合物(a)が特にカチオン重合性に優れ、またエポキシ化合物等に混合することにより速硬化性を付与することなどは全く知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたもので、活性エネルギー線の照射および/または加熱で高い活性(速重合性、速硬化性)を示すカチオン重合性組成物を提供することを課題の一つとする。
【0012】
また、該組成物を用いた硬化物、硬化物を利用した物品、それらの製造方法を提供することを課題の一つとする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、式(1)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)を含む重合性組成物が活性エネルギー線の照射および/または加熱によるカチオン開環重合において、高い活性(速重合性、速硬化性)を示し、且つ、その重合物(硬化物)が良好な物性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は例えば、以下の項目に関する。
[1] 式(1)
【化3】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含むことを特徴とする重合性組成物。
【0015】
[2] 活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)が活性エネルギー線の照射および/または加熱により酸を発生することでカチオン重合を開始させる化合物であることを特徴とする[1]に記載の重合性組成物。
【0016】
[3] 化合物(b)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の重合性組成物。
【0017】
[4] 化合物(a)および/または化合物(b)に、更に、化合物(b)によってカチオン重合が可能な化合物(c)を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の重合性組成物。
【0018】
[5] 化合物(c)が、一個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする[4]に記載の重合性組成物。
【0019】
[6] 化合物(c)が、一個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする[4]に記載の重合性組成物。
【0020】
[7] 式(1)で表される化合物(a)のRがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基およびそれらのハロゲン原子置換体から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の重合性組成物。
【0021】
[8] 化合物(a)および/または化合物(c)が、化合物(a)および/または化合物(c)の合計量に対して、下記の配合比率であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の重合性組成物。
化合物(a) 1〜100質量%
化合物(c) 0〜99質量%
【0022】
[9] 化合物(c)が、下記の配合比率であることを特徴とする[8]に記載の重合性組成物。
化合物(c−1) 0〜100質量%
化合物(c−2) 0〜100質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜80質量%
【0023】
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物から製造された物品。
[12] [1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合して、表面に該重合物の被膜が形成された物品。
【0024】
[13] 活性エネルギー線の照射により[1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
[14] 加熱により[1]〜[9]のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、式(1)
【化4】
(式中Rは、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキル基、脂環アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、それらは、それぞれハロゲン原子に置換されていてもよい。)で表される化合物(a)と活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)とを含む重合性組成物、その重合方法、およびその硬化物である。
【0026】
化合物(a)は、式(1)のRに対応するアルコールが入手可能であれば合成可能であり、本発明に適用可能である。対応するアルコールとは、Rがメチル基である3−メトキシオキセタンについて言えば、メタノールを意味する。
【0027】
これらの式(1)で表される化合物(a)の製造に関しては、例えばジャーナル オブ オ−ガニック ケミストリー、36巻、16号、2232頁、1971年に記載されている。すなわち、R−OHで表されるアルコールとアリルアルコールと塩素を存在させて反応させた後に、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリで処理することにより、製造することができる。
【0028】
式(1)で表される化合物(a)の例としては、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基およびそれらのハロゲン原子置換体があげられる。
【0029】
より具体的には、例えば、3−メトキシオキセタン、3−エトキシオキセタン、3−プロポキシオキセタン、3−イソプロポキシオキセタン、3−ノルマルブトキシオキセタン、3−イソブトキシオキセタン、3−セカンダリブトキシオキセタン、3−ターシャルブトキシオキセタン、3−ペンチルオキシオキセタン、3−ヘキシルオキシオキセタン、3−ヘプチルオキシオキセタン、3−オクチルオキシオキセタン、3−(1−プロペニルオキシ)オキセタン、3−アリルオキシオキセタン、3−シクロヘキシルオキシオキセタン、3−(4−メチルシクロヘキシルオキシ)オキセタン、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン、3−フェノキシオキセタン、3−(4−メチルフェノキシ)オキセタン、3−(3−クロロ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(3−ブロモ−1−プロポキシ)オキセタン、3−(4−フルオロフェノキシ)オキセタンをあげることができる。
これら化合物(a)は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0030】
本発明でいう活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)は、加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって変化し、酸などのカチオン重合を開始させる物質を生成する化合物とすることができる。従って、化合物(b)は一種のカチオン重合開始剤であり、当業界では「酸発生剤」とも呼ばれている。以降、本発明では化合物(b)を酸発生型カチオン重合開始剤と称する。
【0031】
酸発生型カチオン重合開始剤は、加熱または紫外線などの光照射によって本発明の化合物(a)開環カチオン重合を促進し、形成される硬化物や塗膜の硬化を円滑に進行させるために配合されるものである。
【0032】
また、本発明で言う酸発生型カチオン重合開始剤は加熱や紫外線などの活性エネルギー線の照射によって変化し、酸などのカチオン重合を開始させる物質を生成する化合物であり、カルボン酸のように最初から酸の形をとっている化合物は含まれない。
【0033】
酸発生型カチオン重合開始剤としては公知のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩およびフェロセン類等が挙げられる。以下に具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0034】
スルホニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0035】
ヨードニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0036】
ホスホニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、エチルトリフェニルホスホニウム テトラフルオロボレート、エチルトリフェニルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、エチルトリフェニルホスホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウム テトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルホスホニウム ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。
【0037】
ジアゾニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウム テトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0038】
アンモニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム ヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0039】
フェロセン系の酸発生型カチオン重合開始剤としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0040】
この中でもスルホニウム塩とヨードニウム塩系の酸発生型カチオン重合開始剤が硬化速度、安定性、経済性の面から好ましい。市販品として商品名を挙げると例えば、旭電化工業株式会社製SP−150、SP−170、CP−66、CP−77;ユニオンカーバイド株式会社製CYRACURE−UVI−6990、UVI−6974;日本曹達株式会社製CI−2855、CI−2639;三新化学工業株式会社製サンエイドSI−60;「イルガキュア261」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II) ヘキサフルオロホスフェート)、「ロードシル(RHODORSIL)2074」;(ローヌ・プーラン社製4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、が挙げられる。
【0041】
これら酸発生型カチオン重合開始剤は、上述した材料の中から選択し、単独で使用することもでき、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。酸発生型カチオン重合開始剤の使用量の好適な範囲は、特に制限がないが、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)によってカチオン重合が可能である重合性化合物(即ち、化合物(a)と化合物(a)ではないカチオン重合が可能な化合物(c))の総量(100質量部)に対して0.05〜25質量部、好ましくは1〜10質量部である。添加量が0.05質量部より少ないと感度不良となり硬化するために著しく大きな光照射エネルギーや長時間の高温処理が必要である。また、25質量部を超えて添加しても感度の向上はせず、経済的にも好ましくない。逆に塗膜中に未硬化成分として残存する量が多くなり硬化物性が低下する恐れがある。
【0042】
本発明において用いる化合物(c)は、カチオン重合を開始させる化合物(b)の発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物であって、式(1)で表される化合物(a)以外の化合物である。具体的には分子内に一個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)、分子内に一個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)、及び化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物に分類できる。
【0043】
本発明において化合物(c)の使用方法は、一つの分類の中から複数選択して混合使用することができ、また複数の分類から複数選択して混合使用することも可能である。
【0044】
本発明において用いるエポキシ基を有する化合物(c−1)としては、公知慣用のエポキシ化合物が使用でき、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されない。
【0045】
化合物(c−1)として具体例は下記のような化合物を挙げることができる。
【0046】
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0047】
また、脂環族エポキシ化合物として、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)が挙げられる。
【0048】
更にエポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエーテル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレゾルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0049】
これら分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)は単独または2種以上混合して使用することができる。
【0050】
次に、分子内に1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)について説明する。この1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)の使用目的は、重合組成物全体の粘度を使用目体に合わせる事、およびオキセタン化合物によると考えられている耐水性や硬化収縮の低減の効果を付与する事である。
【0051】
具体的化合物としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成株式会社製;商品名アロンオキセタンOXT−101 略称OXA)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン(東亞合成株式会社製;商品名アロンオキセタンOXT−121 略称XDO)、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル〕エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサンや、高分子量の多価オキセタン環を有する化合物、具体的にはオキセタンオリゴマー(東亞合成株式会社製;商品名Oligo−OXT)等が挙げられる。
【0052】
また、脂環式オキセタンとして、2−オキサスピロ[3.5]ノナ−6−エン、9−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナ−6−エン、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3’−オキセタン]、2−オキサスピロ[3.5]ノナン、7−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[アダマンタン−2,3’−オキセタン]等が挙げられる。
【0053】
さらに、同一分子内にエポキシ基も併有する、3−エチル−3−〔(オキシラニルメトキシ)メチル〕オキセタン、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、6,7−エポキシ−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、7,8−エポキシ−5−エチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[5,6−エポキシノルボルナン−2,3’−オキセタン]が挙げられる。
【0054】
これら1個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)は、単独で、または2種以上の混合物として使用できる。
【0055】
本発明においては以下に示すカチオン重合性モノマーも重合性組成物に添加することができる。このカチオン重合性モノマーは酸発生型カチオン重合開始剤の発生した酸により重合反応や架橋反応を起こす化合物(c)であって化合物(c−1)、(c−2)以外である化合物に分類される。
【0056】
例えばテトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のオキソラン化合物;トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタン等の環状アセタール化合物;β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン化合物;3,3−ジメチルチエタン等のチエタン化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコルジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応生成物であるスピロオルソエステル化合物;ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物;環状エーテル化合物;環状チオエーテル化合物;ビニル化合物等を挙げることができる。
【0057】
これらのカチオン重合性モノマーは1種を単独で添加することもできるし、2種以上を組み合わせて添加することもできる。
【0058】
本発明において、活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)によってカチオン重合が可能な化合物(以下、カチオン重合が可能な化合物ともいう。)の配合量は、カチオン重合が可能な化合物の合計量(化合物(a)および/または化合物(c)の合計量)に対して、
化合物(a) 1〜100質量%
化合物(c) 0〜99質量%
である。
【0059】
好ましくは、
化合物(a) 2〜70質量%
化合物(c) 30〜98質量%
より好ましくは、
化合物(a) 5〜50質量%
化合物(c) 50〜95質量%
である。
【0060】
カチオン重合が可能な化合物であって、式(1)で表される化合物(a)以外のカチオン重合が可能な化合物(c)については、化合物(c)の全量に対して、
化合物(c−1) 0〜100質量%
化合物(c−2) 0〜100質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜80質量%
である。
【0061】
好ましくは、
化合物(c−1) 20〜100質量%
化合物(c−2) 0〜80質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜50質量%
である。
【0062】
本発明の重合性組成物を活性エネルギー線のひとつである紫外線で重合させる際は、重合速度を向上させるために、増感剤を使用することもできる。そのような目的で使用する増感剤としては、ピレン、ペリレン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、フェノチアジンなどが挙げられる。増感剤を併用する場合の使用量は、光酸発生型カチオン重合開始剤100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲が好ましい。
【0063】
本発明の重合性組成物に、光(活性エネルギー線)硬化性を向上させるためにラジカル重合性化合物(d)を添加することも可能である。化合物(d)としては、特に限定はないが、(メタ)アクリル酸エステル系の公知慣用のラジカル重合性モノマーが使用できる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、等の単官能(メタ)アクリレート化合物;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリレートモノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、多官能ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等を挙げることができる。
【0064】
化合物(d)の添加量は、本発明の化合物(a)および化合物(c)のカチオン重合性化合物の総和100質量部に対して5〜200質量部、好ましくは10〜100質量部である。添加量が200質量部を超えると指触乾燥性が悪くなる。また、硬化において(メタ)アクリル基の架橋の割合が多くなるため、得られた硬化物の耐熱性、耐薬品性が低下する。
【0065】
上記ラジカル重合性化合物(d)のラジカル重合を円滑に促進させるためには光ラジカル開始剤(e)を加えることが望ましく、光に感応しラジカルを発生する公知慣用のものが使用できる。ここで「光」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の放射線を意味する。
【0066】
光ラジカル開始剤(e)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア907)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製;ルシリンTPO)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド含有開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア1700,149,1800)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア819)等が挙げられる。これらを1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0067】
光ラジカル開始剤(e)の使用量は、組成物中のラジカル重合性化合物(d)の(メタ)アクリル基などのラジカル重合性官能基1当量に対し0.007〜0.5倍モルを使用することができる。
【0068】
本発明の重合性組成物は有機溶剤を含むこともできる。有機溶剤の使用目的は、用途、塗布方法に合わせた粘度の調整や、前記重合性組成物が固体の場合は溶解し、希釈せしめ、それによって重合性組成物を液状として塗布可能とすることである。
【0069】
使用可能な有機溶剤として具体的にはアセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、エチルメチルケトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン、石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の公知の溶剤類;エチレングリコールモノアルキルエーテルまたはそのアセテート類;ジエチレングリコールモノまたはジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルまたはそのアセテート類;ジプロピレングリコールモノまたはジアルキルエーテル類等が挙げられる。
【0070】
これらの有機溶媒は単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。またこれら有機溶剤の添加量は、使用目的、塗布方法に応じて適宜選択できるが、通常化合物(a)および化合物(c)のカチオン重合性化合物の総和の1〜1000質量倍であり、好ましくは3〜100質量倍である。
【0071】
本発明では、重合性組成物の硬化後に存在する酸成分を除去する目的でイオン交換体を含んでもよい。かかるイオン交換体としては、アンバーライトCG120(オルガノ社製)、トミックスAD500、600(富田製薬株式会社製)、キョーワード500、600(協和化学株式会社製)、IXE−500、600、633、700、1100、1320(東亜合成化学株式会社製)、等が挙げられる。このイオン交換体は、酸発生型カチオン重合開始剤1質量部当たり、2〜12質量部含ませるのが好ましく、より好ましくは4〜8質量部である。
【0072】
本発明の重合性組成物は、密着性、硬度などを要求する用途に使用する場合、諸特性を向上する目的で、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の公知慣用の無機充填剤が使用できる。
【0073】
さらに必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニングリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知慣用の着色剤;シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤;イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を添加することも可能である。
【0074】
○本発明重合性組成物の重合方法
本発明における重合性組成物は活性エネルギー線の照射および/または加熱によって重合(硬化)させることができる。ここでいう活性エネルギー線とは、紫外線、X線、電子線、γ線等を示す。紫外線を照射する場合の光源としてはメタルハライドランプ、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、および太陽光等を挙げられる。
【0075】
活性エネルギー線の照射により重合(硬化)させる場合の照射条件は、重合性組成物(硬化させる物)の膜厚、顔料等の配合による光透過性に合わせて適宜選択すればよい。紫外線照射の場合、20μm程度の塗膜を硬化させる場合には線量が1〜2000mJ/cm2あればよく、好ましくは10〜1000mJ/cm2である。また硬化させようとする物が溶剤を含有するときには加熱等により溶剤を除去した後、光照射することができる。
【0076】
熱により重合(硬化)させる場合の条件は通常、50℃〜400℃程度で5秒〜60分間、好ましくは80℃〜250℃程度で10秒〜30分間である。
【0077】
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて硬化物を加熱することもできる。この後加熱によって硬化物中の未反応物の低減および活性エネルギー線照射によって硬化物に発生した硬化歪みの緩和を行うことができる。その結果、硬化物の硬度や、塗膜である場合は塗布された基材との密着性が向上する。この後加熱は通常、80℃〜300℃の雰囲気温度で5秒〜30分間の条件で行うことができる。
【0078】
本発明の重合性組成物によれば、塗膜方法により種々の被膜を製造することが可能であるが、膜厚で0.05μm〜50μmとすることが好ましく、より好ましくは、0.1μm〜20μmである。
【0079】
本発明の重合性組成物は金属、ゴム、プラスチック、紙、木材、ガラス、セラミック、およびコンクリート等の基材に適用可能である。
【0080】
本発明の感熱性樹脂組成物の用途としては、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、光造形用材料、レンズや光導波路等の光学材料等が挙げられる。
【0081】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の中の「部」は特に断わりの無い限り質量部である。
【0082】
なお、実施例および比較例で使用した材料のうち、主な市販品は次の通りであり、精製することなく、そのまま使用した。
【0083】
1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン:商品名 アロンオキセタンOXT−121(東亞合成株式会社製:略号XDO)
3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン:商品名 アロンオキセタンOXT−211(東亞合成株式会社製:略号POX)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名 エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)
脂環型ベースレジン:商品名 KRM−2110(旭電化工業株式会社製)
SbF6 −系スルホニウム塩カチオン重合開始剤:商品名 サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製)
トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロフォスフェート塩系カチオン重合開始剤:商品名 UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)
【0084】
市販されていない化合物は発明者が化学合成したものを使用した。即ち、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンについては特開2001−310938号公報を、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンについては特開2001−226365号公報を参考に合成した。
【0085】
◇3−n−ブトキシオキセタンの合成法の詳細を以下に示す。
アリルアルコール15gをn−ブタノール200gに溶解させ、室温で攪拌しながら塩素ガスを82ml/分の速度で66分間反応させた。得られた反応溶液を水及び、5%亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後にエバポレータで濃縮した。得られた濃縮液50gをトルエン50gで希釈し、さらに10gの水酸化カルシウムを100gの水に懸濁させたものを加えて92℃で3時間反応させた。この時副生するn−ブチルグリシジルエーテルだけが環化され、目的とする3−n−ブトキシオキセタンの前駆体である2−n−ブトキシ−3−クロロプロパノールは環化しない。反応で得られた溶液を減圧蒸留しトルエン及びn−ブチルグリシジルエーテルを除去した。続いて2−n−ブトキシ−3−クロロプロパノールが存在する蒸留残査に10gの水酸化ナトリウムを50gの水に溶解させたものを加え、110℃で20時間加熱還流を行った。得られた反応溶液の有機層を取り出し、水洗後減圧蒸留を行い、目的物である3−n−ブトキシオキセタン13.4g(収率40%)を得た。
【0086】
◇3−シクロヘキシルオキシオキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールをシクロヘキサノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−シクロヘキシルオキシオキセタンを収率25%で得た。
【0087】
◇3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールを2−パーフルオロブチル)エタノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタンを収率20%で得た。
【0088】
◇3−フェノキシオキセタンの合成は、3−n−ブトキシオキセタンの合成で用いたn−ブタノールをフェノールにすること以外は全く同様の操作を行い3−フェノキシオキセタンを収率30%で得た。
【0089】
○重合性、硬化物物性の評価方法
重合性、硬化物物性の評価は反応転化率、表面硬度、硬化物の鉛筆引っかき値を求め指標とした。具体的には、以下の操作に従い値を求めた。
【0090】
1)反応転化率
反応転化率は厚さ10μmになるようにシリコンウエハー上に塗布した重合性組成物の重合前後の赤外吸収スペクトルの変化から計算した。
【0091】
赤外吸収スペクトルの測定にはFTIR測定装置(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計VALOR−III型)を用い、透過法で測定した。
【0092】
反応転化率は赤外吸収スペクトル測定におけるオキセタニル基の特性吸収980cm−1の照射前後の特性吸収ピークの吸光度の変化量から次式に従って求めた。
【0093】
転化率=(1−照射後の特性吸収ピーク吸光度/照射前特性吸収ピーク吸光度)
× 100 (%)
比較例4〜6では、比較使用する材料の特性吸収(エピコート828はグリシジル基、XDOはオキセタニル基、KRM−2110は脂環式エポキシ基)のピークから転化率を計算した。
【0094】
2)表面硬度
Colman社製硬質硬度計(GYZJ934−1)を用い、硬化物の表面硬度を測定した。測定温度は23℃である。
【0095】
3)硬化物の鉛筆引っかき値
シリコンウエハー上の重合性組成物の硬化塗膜をJIS K5400に従って測定した。
【0096】
○組成物の熱重合
【0097】
(実施例1)
3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物に酸発生型カチオン重合開始剤「サンエイドSI−60L;三新化学工業株式会社製」を5質量部添加し、十分にかき混ぜて熱重合性組成物を得る。2mm厚のガラス板上に直径5cmにくり抜いた2mmのゴムスペーサーを置き、熱重合組成物をくり抜かれている部分に注ぎ、空気が入らないようにもう一枚のガラス板を貼り合わせたものを用意した。同じ物を2ヶ用意し120℃のオーブンに静置し、それぞれ10分、30分経過したところでオーブンから取り出し直径5cm、厚さ2mmの硬化物を得た。硬化物が室温に戻った後、23℃に温度調整し、硬化時間10分および30分の硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例2)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−n−ブトキシオキセタン10質量部及びエピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)90質量部の混合物を使用する以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例3)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−シクロヘキシルオキシオキセタン10質量部、3−フェノキシオキセタン10質量部及びエピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製)80質量部の混合物を使用する以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0100】
(実施例4)
実施例1の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン20質量部、7,8−エポキシ−5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンを5質量部、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナンを5質量部混合した組成物とする以外は全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0101】
(比較例1〜4)
熱重合組成物の構成成分を表1に記載したものにする以外は実施例1と全く同様の操作を行い硬化物の表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
表1から明らかな通り、本発明の重合性組成物である実施例1〜4は加熱10分程度でも最終硬度に達しており、速やかに重合し、硬化することが言える。
【0103】
また、実施例2と比較例1より、本発明の化合物(a)はエポキシ樹脂に20質量部程度配合する事でエポキシ樹脂の硬化速度を向上させる事がわかる。
【0104】
【表1】
【0105】
○組成物の光重合
(実施例5)
3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物に光酸発生型カチオン重合開始剤「UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)」を5質量部添加し十分にかき混ぜ光重合性組成物を得た。
【0106】
次に厚さ10μmになるようにシリコンウエハー上に塗布し、1.45mW/cm2の高圧水銀ランプを10秒照射した時点のオキセタニル基の転化率は63%であり、30秒照射した時点のオキセタニル基の転化率は82%であった。
【0107】
また、前記3)の鉛筆引っかき値測定に従い、30秒光照射して得られたシリコンウエハー上の硬化後塗膜の鉛筆引っかき値測定した。結果を合わせて表2に示す。
【0108】
(実施例6)
実施例5の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに、3−n−ブトキシオキセタン50質量部、エピコート828 50質量部の混合物とした以外は実施例5と全く同様の操作を行いオキセタニル基の転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を表2に示す。
【0109】
(実施例7)
実施例5の3−n−ブトキシオキセタン50質量部、3−シクロヘキシルオキシオキセタン50質量部の混合物の代わりに3−n−シクロヘキシルオキシオキセタン20質量部、3−((2−パーフルオロブチル)エトキシ)オキセタン30質量部、KRM−2110 50質量部の混合物とした以外は実施例5と全く同様の操作を行いオキセタニル基の転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例5〜8)
光重合組成物の構成成分を表2に記載したものにする以外は実施例5と全く同様の操作を行い転化率、鉛筆引っかき値を測定した。結果を同様に表2に示す。
【0110】
実施例5〜7の結果から、本発明の組成物の構成要素として、オキセタン化合物である化合物(a)に、エポキシ化合物をブレンドすることにより一層オキセタニル基の転化率が向上し、さらなる速硬化性を発現することが証明された。
【0111】
表2から明らかな通り、本発明の重合性組成物である実施例5〜7は比較例5〜8に比べ、光照射後速やかに反応性基が減少、すなわち重合し、短時間で重合硬化することがわかった。
【0112】
【表2】
【0113】
上記の実施例の結果から本発明の重合性組成物、その硬化物は、熱に弱い紙やプラスチック等のコーティングを始め、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、レンズや光導波路のような光学材料、光造形用材料等の用途に使用することができる。
【0114】
【発明の効果】
本発明は、熱および/または活性エネルギー線の照射で高い活性(速硬化性)を示すカチオン重合性組成物、その硬化物および硬化物の製造方法を提供するものであり、熱に弱い紙やプラスチック等のコーティングを始め、塗料、接着剤、封止剤、土木建築材料、積層板およびその他の電気電子部品、フォトレジスト、ソルダーレジスト、多層配線板用層間絶縁材料、コンクリート構造物の補修、注型用材料、印刷インキ、シーラント、レンズや光導波路のような光学材料、光造形用材料等の用途に使用することができる。また、式(1)で示される化合物の置換基Rを適宜選択することにより、作業中の臭気を低減したり、光学材料として使用する際に重要な屈折率を調製することも可能となる。
Claims (14)
- 活性エネルギー線の照射および/または加熱によりカチオン重合を開始させる化合物(b)が活性エネルギー線の照射および/または加熱により酸を発生することでカチオン重合を開始させる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の重合性組成物。
- 化合物(b)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の重合性組成物。
- 化合物(a)および/または化合物(b)に、更に、化合物(b)によってカチオン重合が可能な化合物(c)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
- 化合物(c)が、一個以上のエポキシ基を有する化合物(c−1)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする請求項4に記載の重合性組成物。
- 化合物(c)が、一個以上のオキセタニル基を有する化合物(c−2)を少なくとも1種含んだものであることを特徴とする請求項4に記載の重合性組成物。
- 式(1)で表される化合物(a)のRがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基およびそれらのハロゲン原子置換体から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
- 化合物(a)および/または化合物(c)が、化合物(a)および/または化合物(c)の合計量に対して、下記の配合比率であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
化合物(a) 1〜100質量%
化合物(c) 0〜99質量% - 化合物(c)が、下記の配合比率であることを特徴とする請求項8に記載の重合性組成物。
化合物(c−1) 0〜100質量%
化合物(c−2) 0〜100質量%
化合物(c−1)、(c−2)以外の化合物 0〜80質量% - 請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物を重合して得られた硬化物から製造された物品。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物を重合して、表面に該重合物の被膜が形成された物品。
- 活性エネルギー線の照射により請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
- 加熱により請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物を重合させることを特徴とする硬化物の製造方法。
Priority Applications (1)
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