JP4172116B2 - 含フッ素オキセタン共重合体、その製造方法、その組成物、およびその硬化物 - Google Patents

含フッ素オキセタン共重合体、その製造方法、その組成物、およびその硬化物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送用ファイバのクラッド材料等として好適な含フッ素オキセタン共重合体、その製造方法、その組成物、およびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、低屈折率である点を利用して、光伝送用ファイバのクラッド材料や、光学レンズ、フィルム、CRT用ガラスなどの光反射防止膜用材料や、あるいは光ファイバ、光学レンズ等の光学接着剤の用途にフッ素系ビニル化合物が好適に使用されている。また、フッ素系ビニル化合物は、撥水性、撥油性を有することから防汚コート材等の用途にも使用されている。
【0003】
このようなフッ素系ビニル化合物を用いた組成物が、特開昭64−14221号公報に開示されている。このフッ素系組成物は、
▲1▼フッ素系ビニルモノマー50〜99.7重量部およびグリシジル基を有するアクリレートモノマー0.3〜50重量部からなる含フッ素共重合体に、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを反応させて得られる化合物10〜90重量部と、
▲2▼粘度調整用アクリル系モノマー10〜90重量部と、
▲3▼光重合開始剤0.05〜20重量部とを含んで構成されている。
【0004】
また、特開昭62−250047号公報には、含フッ素重合体と、パーフルオロアルキル基あるいは部分フッ素化脂肪族基を有する含フッ素アクリレートモノマーと、その他のアクリル系モノマーとから構成された放射線硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭64−14221号公報や、特開昭62−250047号公報に開示されたフッ素系ビニルモノマーは、単独で重合しても基材に対する密着性が低いという問題が見られた。そのため、グリシジル基を有するアクリレートモノマーを共重合したり、その他のアクリル系モノマーを混合使用する必要があった。
【0006】
また、特開昭62−250047号公報に開示された放射線硬化性樹脂組成物は、含フッ素重合体と、含フッ素アクリレートモノマーとの相溶性が乏しく、透明性に欠けたり、均一な厚さを有する塗膜を形成することが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、特定の構造単位を導入した含フッ素オキセタン共重合体を構成することにより、基材に対する密着性や樹脂の透明性に優れ、しかも、低屈折率のフッ素系化合物が得られることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、例えば、光伝送用ファイバのクラッド材料等として好適な、基材に対する密着性や樹脂の透明性に優れ、しかも低屈折率である含フッ素オキセタン共重合体、その製造方法、その組成物、およびその硬化物をそれぞれ提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表わされるモノマー単位を含むことを特徴とする含フッ素オキセタン共重合体である。
【0009】
【化5】
Figure 0004172116
【0010】
[一般式(1)中、置換基Rは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であり、置換基Rfは、式Cn2n-1、式Cn2nHまたは式Cn2n+1(それぞれの式中のnは2〜12の整数である。)で表される一価の含フッ素基であり、繰り返し数mは、1〜10の整数である。]
【0011】
このようなモノマー単位を含むように共重合体を構成することにより、基材に対する密着性や、樹脂の透明性に優れ、しかも低屈折率である含フッ素オキセタン共重合体が得られる。
【0012】
また、含フッ素オキセタン共重合体を構成するにあたり、一般式(1)で表わされるモノマー単位以外、すなわち、一般式(1)で表わされるモノマー単位を導入可能なモノマー以外に、反応性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含み、反応性二重結合を有するモノマーに由来したモノマー単位を含んで共重合体を構成することが好ましい。特にこのようなモノマー単位としては、下記一般式(2)および一般式(3)あるいはいずれか一方の一般式で表わされるモノマー単位を挙げることができる。
【0013】
【化6】
Figure 0004172116
【0014】
【化7】
Figure 0004172116
【0015】
このように反応性二重結合を有するモノマーを共重合体成分として含むことにより、共重合体に架橋性を付与することができ、基材に対する密着性や機械特性により優れた含フッ素オキセタン共重合体が得られる。
【0016】
また、本発明の別の態様は、下記一般式(4)で表わされる含フッ素オキセタン化合物と、エポキシ(メタ)アクリレート化合物およびオキセタン(メタ)アクリレート化合物、あるいはいずれか一方の(メタ)アクリレート化合物とを反応させてなる上述した含フッ素オキセタン共重合体の製造方法である。
【0017】
【化8】
Figure 0004172116
【0018】
[一般式(4)中、置換基R、Rfおよび繰り返し数mは、一般式(1)と同様の内容である。]
【0019】
このように含フッ素オキセタン共重合体を製造することにより、反応性二重結合を有する構造単位を容易に導入することができる。また、これらの反応させる化合物は、それぞれ相溶性に優れているため、樹脂の透明性に優れ、しかも低屈折率である含フッ素オキセタン共重合体が効率的に得られる。
【0020】
また、本発明の別の態様は、上述した含フッ素オキセタン共重合体と、重合開始剤とを含んでなる含フッ素オキセタン共重合体組成物、およびそれを硬化してなる含フッ素オキセタン共重合体硬化物である。
このように構成すると、反応性に優れた含フッ素オキセタン共重合体組成物が得られ、また、この組成物を硬化させることにより、基材に対する密着性や樹脂の透明性に優れ、しかも低屈折率である含フッ素オキセタン共重合体硬化物が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明における含フッ素オキセタン共重合体に関する実施形態(第1の実施形態)、その製造方法に関する実施形態(第2の実施形態)、および、その組成物に関する実施形態(第3の実施形態)をそれぞれ具体的に説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、一般式(1)で表されるモノマー単位を含む含フッ素オキセタン共重合体である。
【0023】
(1)一般式(1)で表されるモノマー単位
▲1▼一般式(1)で表されるモノマー単位
このようなオキセタン環等に由来したモノマー単位を有することにより、基材に対する密着性や樹脂の透明性に優れ、しかも低屈折率である含フッ素オキセタン共重合体を得ることができる。
【0024】
また、一般式(1)で表されるモノマー単位の含有量については、含フッ素オキセタン共重合体の用途等を考慮して定められるが、含フッ素オキセタン共重合体全体に対して、5〜95mol%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、一般式(1)で表されるモノマー単位の含有量が5mol%未満となると、屈折率の値が大きくなる場合があるためであり、一方、95mol%を超えると、基材に対する密着性が低下したり、透明性が低下する場合があるためである。
したがって、一般式(1)で表されるモノマー単位の含有量を、全体量に対して、10〜90mol%の範囲内の値とするのがより好ましく、20〜80mol%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、一般式(1)で表されるモノマー単位は、含フッ素オキセタン共重合体にランダムに含まれていても良く、あるいはブロックとして含まれていても良い。さらに、一般式(1)で表されるモノマー単位以外のモノマー単位としては、後述する反応性二重結合を有するモノマーに由来した構造単位等が挙げられる。
【0025】
▲2▼置換基Rf
一般式(1)で表されるモノマー単位中の置換基Rfは、式Cn2n-1、式Cn2nHまたは式Cn2n+1(それぞれの式中のnは2〜12の整数である。)で表される一価の含フッ素基であるが、入手が容易なことから、式Cn2n-1で表されるフッ素基がより好ましい。
【0026】
そして、含フッ素オキセタン共重合体中のフッ素含量を、この置換基Rf中のフッ素含量を調節する等により、20重量%以上の値とすることが好ましく、25重量%以上の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかるフッ素含量が20重量%未満となると、屈折率が大きくなり、クラッド材や反射防止膜としての特性を発揮できない場合があるためである。
なお、含フッ素オキセタン共重合体中のフッ素含量は、アリザリンコンプレクソン法を用いて測定することができる。フッ素含量の定量については、以下同様である。
【0027】
▲3▼置換基R
一般式(1)で表されるモノマー単位中の置換基Rは、水素原子、アルキル基、フッ素原子、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であるが、経済的に有利であることから、炭素数1〜5のアルキル基、例えば、メチル基やエチル基であることがより好ましい。
【0028】
(2)反応性二重結合を有するモノマー
含フッ素オキセタン共重合体を構成するにあたり、一般式(1)で表わされるモノマー単位以外に、反応性二重結合を有するモノマーを共重合成分として含むことが好ましい。
このように反応性二重結合を有するモノマーを含むことにより、含フッ素オキセタン共重合体に架橋性を持たせることができる。したがって、この架橋性を利用して、得られる硬化膜の機械特性をさらに向上させることができる。
このようなモノマーの種類としては、上述した一般式(2)および一般式(3)で表わされるモノマー単位、あるいはいずれか一方のモノマー単位を導入可能なモノマーが好ましい。このようなモノマー単位を含むことにより、前述の架橋反応の反応性をさらに向上させることができ、例えば光硬化反応などが可能となる。
【0029】
また、反応性二重結合を有するモノマーの共重合量(含有量)については、含フッ素オキセタン共重合体の用途等を考慮して定められるが、含フッ素オキセタン共重合体の全体量に対して、5〜95mol%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかるモノマーの共重合量が5mol%未満となると、添加効果が発現せず、反応性が向上しない場合があるためであり、一方、共重合量が95mol%を超えると保存安定性が低下する場合があるためである。
したがって、反応性二重結合を有するモノマーの共重合量を、全体量に対して、10〜90mol%の範囲内の値とするのがより好ましく、20〜80mol%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、反応性二重結合を有するモノマーは、含フッ素オキセタン共重合体において、ランダムに含まれていても良く、あるいはブロックとして含まれていても良い。
【0030】
(3)具体例
含フッ素オキセタンに反応させる共重合モノマーの具体例としては、上述した反応性二重結合を有するモノマー以外に、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、ビニル化合物等の一種単独、あるいはニ種以上の組み合わせが挙げられる。
【0031】
このようなエポキシ系化合物としては、より具体的に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0032】
また、オキセタン系化合物としては、より具体的に、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
また、オキソラン化合物としては、より具体的に、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
また、環状アセタール化合物としては、より具体的に、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタン等が挙げられる。
【0033】
また、環状ラクトン化合物としては、より具体的に、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
また、チイラン化合物としては、より具体的に、エチレンスルフィド、1,2−プロピレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等が挙げられる。
また、チエタン化合物としては、より具体的に、3,3−ジメチルチエタン等が挙げられる。
また、ビニルエーテル化合物としては、より具体的に、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0034】
また、スピロオルソエステル化合物としては、より具体的に、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合部とラクトンとの反応生成物等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物としては、より具体的に、ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエン等が挙げられる。
また、ビニル化合物としては、より具体的に、エチレン、プロピレン、イソブテンなどのα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、p−メトキシスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどのビニル芳香族化合物等が挙げられる。
【0035】
(4)重量平均分子量
含フッ素オキセタン共重合体の重量平均分子量を、1,000〜200,000の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が1,000未満となると、得られる含フッ素オキセタン共重合体の基材に対する密着性や、耐熱性が低下する場合があるためであり、一方、200,000を超えると、反応性が低下したり、あるいは、他の化合物との相溶性に乏しくなり、透明性が低下する場合があるためである。
したがって、含フッ素オキセタン共重合体の基材に対する密着性等と、反応性等とのバランスがより良好となることから、含フッ素オキセタン共重合体の重量平均分子量を、1,500〜100,000の範囲内の値とするのがより好ましく、2,000〜50,000の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、含フッ素オキセタン共重合体の重量平均分子量は、GPCを用いて、ポリスチレン換算により算出することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、一般式(1)で表されるモノマー単位を含む含フッ素オキセタン共重合体の製造方法である。具体的に、一般式(4)で表わされる含フッ素オキセタン化合物と、反応性二重結合を有するモノマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート化合物およびオキセタン(メタ)アクリレート化合物、あるいはいずれか一方のアクリレート化合物とを反応してなる一般式(1)で表されるモノマー単位を含む含フッ素オキセタン共重合体の製造方法である。
以下、反応成分等の内容について説明するが、一般式(1)で表されるモノマー単位を有する含フッ素オキセタン共重合体そのものについては、第1の実施形態で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略するものとする。
【0037】
(1)一般式(4)で表わされる含フッ素オキセタン化合物
一般式(4)で表される含フッ素オキセタン化合物としては、具体的に、3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[1,2−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルエテニルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[1,2−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルエテニルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[1−トリフルオロメチル−2,2−ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[1−トリフルオロメチル−2,2−ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[1,2,3−トリフルオロエテニルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[1,2,3−トリフルオロエテニルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[2−フルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[2−フルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−{[1−(1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル]オキシメチル}オキセタン、3−メチル−3−{[1−(1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル]オキシメチル}オキセタン、3−エチル−3−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシメチル]オキセタン、3−メチル−3−[1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ヘプタフルオロイソプロピル)ブチルオキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−[1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ヘプタフルオロイソプロピル)ブチルオキシメチル]オキセタン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0038】
(2)反応性二重結合を有するモノマー
また、反応性二重結合を有するモノマーに由来したモノマー単位を共重合体に導入するには、共重合モノマーとして、例えば、エポキシ(メタ)アクリレートや、オキセタン(メタ)アクリレート(それぞれ誘導体を含む。)等を用いることが好ましい。以下、詳細に説明する。
【0039】
▲1▼エポキシ(メタ)アクリレート
エポキシ(メタ)アクリレートの具体例としては、下記式(5)〜(19)で表される化合物が挙げられる。
なお、各式中、R1、R4、およびR6は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R2、R5、R7、およびR8は、それぞれ独立に炭素数1〜10のニ価の脂肪族飽和炭化水素基であり、R3は、炭素数1〜10の一価の炭化水素基であり、繰り返し数Tは0〜10の整数を表している。
【0040】
【化9】
Figure 0004172116
【0041】
【化10】
Figure 0004172116
【0042】
【化11】
Figure 0004172116
【0043】
【化12】
Figure 0004172116
【0044】
【化13】
Figure 0004172116
【0045】
【化14】
Figure 0004172116
【0046】
【化15】
Figure 0004172116
【0047】
【化16】
Figure 0004172116
【0048】
【化17】
Figure 0004172116
【0049】
【化18】
Figure 0004172116
【0050】
【化19】
Figure 0004172116
【0051】
【化20】
Figure 0004172116
【0052】
【化21】
Figure 0004172116
【0053】
【化22】
Figure 0004172116
【0054】
【化23】
Figure 0004172116
【0055】
これらのエポキシ(メタ)アクリレートのうち、より良好なカチオン重合性を有することから脂環式エポキシ化合物を用いることがより好ましい。
【0056】
▲2▼オキセタン(メタ)アクリレート
また、オキセタン(メタ)アクリレートの具体例としては、下記式(20)〜(23)で表される化合物が挙げられる。
なお、各構造式中、R9およびR13は水素原子またはメチル基であり、R10およびR12は炭素数1〜10のニ価の脂肪族飽和炭化水素基であり、R11は水素原子、フッ素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基を表す。
【0057】
【化24】
Figure 0004172116
【0058】
【化25】
Figure 0004172116
【0059】
【化26】
Figure 0004172116
【0060】
【化27】
Figure 0004172116
【0061】
また、上述したエポキシ(メタ)アクリレートや、オキセタン(メタ)アクリレートの中でも、下記式(24)で表されるアクリル酸(2,3−エポキシシクロヘキシル)メチルや、アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルエステル、下記式(25)で表されるアクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルエステル等がより好ましい。
【0062】
【化28】
Figure 0004172116
【0063】
【化29】
Figure 0004172116
【0064】
(3)反応条件
▲1▼反応割合
一般式(4)で表される含フッ素オキセタン化合物と、エポキシ(メタ)アクリレート化合物あるいはオキセタン(メタ)アクリレート化合物等との反応割合を、モル比で5:95〜95:5の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる反応割合がこれらの範囲外となると、未反応成分が多く残留したり、あるいは得られる含フッ素オキセタン共重合体の反応性や耐熱性を低下させる、屈折率が高くなる場合があるためである。
したがって、かかる反応割合を、モル比で1:9〜9:1の範囲内の値とするのがより好ましく、2:8〜8:2の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0065】
▲2▼反応温度
一般式(4)で表される含フッ素オキセタン化合物と、エポキシ(メタ)アクリレート化合物あるいはオキセタン(メタ)アクリレート化合物等との反応温度についても特に制限されるものではないが、例えば、−20〜150℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる反応温度が−20℃未満となると、含フッ素オキセタン化合物と、かかるアクリレート化合物との反応性が著しく低下する場合があるためであり、一方、反応温度が150℃を超えると、これらの反応を制御することが困難となる場合があるためである。
したがって、反応性と反応制御のバランスがより良好となるため、これらの反応温度を−10〜120℃の範囲内の値とすることがより好ましく、−5〜100℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0066】
▲3▼カチオン重合開始剤
また、一般式(4)で表される含フッ素オキセタン化合物と、エポキシアクリレート化合物およびオキセタンアクリレート化合物等とを反応させる際に、カチオン重合開始剤を使用することも好ましい。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化錫、二塩化亜鉛などのハロゲン化金属及びその錯体;トリエチルアルミニウム、ジエチル亜鉛などのアルキル金属化合物;硫酸、硝酸、塩酸などのプロトン酸;各種脂肪族スルホン酸とその塩、安息香酸、フタル酸等の各種芳香族カルボン酸とその塩;アルキルベンゼンスルホン酸とそのアンモニウム塩;リン酸や有機酸のリン酸エステル;トリフェニルメチル五塩化錫などのカルボニウムイオン塩;下記一般式(26)で表されるスルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0067】
【化30】
Figure 0004172116
【0068】
[式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R14、R15、R16およびR17は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdは各々0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mはハロゲン化物錯体[MXn+m]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xは、例えばF、Cl、Brなどのハロゲン原子であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
【0069】
上記一般式(26)中におけるアニオン[MXn+m]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 -)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 -)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6 -)などが挙げられる。
また、一般式[MXn(OH)-]で表されるアニオンを有するオニウム塩を使用することができる。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオンなどの他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
なお、オニウム化合物を示す一般式(26)においてR14、R15、およびR16で表される有機基は独立であり、例えば、 p−ヒドロキシフェニル基、ベンジル基、p−メトキシカルボニルオキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシカルボニルオキシフェニル基、フェニル基、p−フェニルチオ−フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−トリル基 、メチル基、エチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0070】
また、スルホニウム化合物の具体例としては、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、トリス(p−トリル)スルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、ジフェニル−p−フェニルチオ−フェニルスルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、p−クロロベンジル−4−アセトキシフェニルエチルスルホニウム・ヘキサフロロアルセネート、ベンジル−p−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、ベンジル−p−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム・ヘキサフロロホスフェート、p−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、3−クロロ−4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウム・ヘキサフロロアンチモナート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル]スルフィド・ビス−ヘキサフロロホスフェート、ビス[4−{ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルフォニオ}−フェニル]スルフィド・ビス−ヘキサフロロアンチモネート等が挙げられる。
【0071】
このようなスルホニウム化合物の市販品としては、例えば、サンエイドSI−60(L)、SI−80(L)、SI−100(L)、SI−L145、SI−L150、SI−L160(以上、三新化学工業株式会社製)、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171(以上、旭電化工業株式会社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達株式会社製)、CD−1010、CD−1011(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−102、TPS−103、MDS−103(以上、みどり化学株式会社製)等を挙げることができる。
【0072】
また、ヨードニウム化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフロロアンチモナート、フェニル−p−メトキシフェニルヨードニウム・ヘキサフロロアンチモナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフロロアンチモナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフロロホスフェート、フェニル−p−2−ヒドロキシテトラデシロキシフェニルヨードニウム・テトラフロロアンチモナート、ビス(p−ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフロロアンチモナート、フェニル−p−ビフェニルヨードニウム・テトラフロロアンチモナート等が挙げられる。
このようなヨードニウム化合物の市販品としては、例えば、CD−1012(サートマー社製)、MPI−103、BBI−102、BBI−103(以上、みどり化学株式会社製)等を挙げることができる。
【0073】
また、上記カチオン重合開始剤のうち、特に好適に用いられるものは、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、サンエイドSI−60(L)、SI−80(L)、SI−100(L)、SI−L145である。
【0074】
また、カチオン重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、含フッ素オキセタン化合物を100重量部としたときに、0.01〜120重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、カチオン重合開始剤の添加量が0.01重量部未満となると、含フッ素オキセタン化合物と有機酸との反応性が著しく低下し、三反応モノマーが残留する場合があるためである。一方、カチオン重合開始剤の添加量が120重量部を超えると、得られる共重合体の熱安定性や機械的強度が低下するや反応終了後の精製操作が困難となる場合があるためである。
したがって、かかるカチオン重合開始剤の添加量を0.1〜70重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、0.5〜50重量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0075】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、一般式(1)で表される構造単位を含む含フッ素オキセタン共重合体と、重合開始剤とを含有する含フッ素オキセタン共重合体組成物である。
このように重合開始剤、例えば放射線重合開始剤(熱重合開始剤を含む。)を添加することにより、硬化性樹脂組成物からなる塗膜を基材に形成した後、活性エネルギー線、例えば紫外線を照射することにより、あるいは加熱することにより、短時間で硬化物を得ることができる。
以下、重合開始剤の内容について中心に説明するが、一般式(1)で表される構造単位を含む含フッ素オキセタン共重合体については、第1の実施形態で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略するものとする。
【0076】
(1)重合開始剤
含フッ素オキセタン共重合体に対して、重合開始剤、例えば熱重合開始剤やラジカル重合開始剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物からなる塗膜を基材に形成した後、加熱することにより、短時間で硬化物を得ることができる。
このような重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アゾ系化合物、過硫酸塩、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの無機還元剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの有機還元剤を併用することも好ましい。このように組み合わせてレドックス触媒として使用することにより、含フッ素オキセタン重合体をさらに迅速にラジカル重合することができる。
【0077】
また、重合開始剤として、放射線重合開始剤を利用することも好ましい。活性エネルギー線、例えば紫外線を照射することにより、さらに短時間で硬化物を得ることができるためである。すなわち、放射線重合開始剤として、活性エネルギー線を受けることによって含フッ素オキセタン共重合体の重合反応を促進させる化合物を添加することが好ましい。
【0078】
このような放射線重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
これらの放射線重合開始剤のうち、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンがより好ましい。
【0079】
また、重合開始剤の使用量も特に制限されるものではないが、例えば、含フッ素オキセタン共重合体を100重量部としたときに、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、重合開始剤の使用量が0.1重量部未満となると、含フッ素オキセタン共重合体の架橋反応速度が遅くなったり、あるいは周囲に存在する酸素等の影響を受けやすくなる場合があるためである。一方、重合開始剤の使用量が20重量部を超えると、得られる硬化膜の機械的強度や耐熱性が低下する場合があるためである。
したがって、含フッ素オキセタン共重合体の反応速度や硬化膜の特性等とのバランスがより良好となることから、重合開始剤の使用量を0.5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0080】
(2)ラジカル重合性モノマー
第3の実施形態において、硬化性樹脂組成物中に、含フッ素オキセタン共重合体以外に、ラジカル重合性モノマーを含有することが好ましい。このようにラジカル重合性モノマーをさらに含有することにより、組成物の粘度、得られる硬化物のフッ素含量、あるいはヤング率や硬度などの機械的特性を広範囲に調整することができる。
【0081】
▲1▼種類
ラジカル重合性モノマーの種類としては、エチレン、プロピレン、イソブテンなどのα−オレフィン類;
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジイソプロペニルベンゼン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、p−メトキシスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどのビニル芳香族化合物;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0082】
▲2▼配合量
組成物中のラジカル重合性モノマーの配合量(添加比率)としては、含フッ素オキセタン共重合体を100重量部としたときに、1〜1,000重量部の範囲内の値とするのが好ましく、3〜500重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
この理由は、ラジカル重合性モノマーの配合量が1重量部よりも小さくなると、添加効果が得られない場合があるためであり、一方、かかる配合量が1,000重量部よりも大きくなると、得られる共重合体の透明性や機械的強度が低下する場合があるためである。
【0083】
(3)調製方法
硬化性樹脂組成物は、含フッ素オキセタン共重合体と、重合開始剤と、あるいは任意でラジカル重合性モノマーを添加して、室温または加熱条件下で混合することにより調製することができる。
具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、容易に調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
【0084】
(4)粘度
硬化性樹脂組成物の粘度は、含フッ素オキセタン共重合体の種類や使用割合を変更したり、あるいは粘度調整剤(共重合性モノマーや有機溶媒を含む。)の添加により、好ましい範囲内の値、例えば1〜100,000mPa・s(測定温度25℃)の範囲内の値に調整することができる。
このような粘度調整剤、特に有機溶媒として、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素を挙げることができる。
【0085】
(5)硬化条件
硬化性樹脂組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、放射線を用いた場合、露光量を10〜10,000mJ/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、露光量が10mJ/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10,000mJ/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
したがって、放射線を用いた場合、露光量を100〜5,000mJ/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、300〜1,000mJ/cm2の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0086】
また、硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる場合、加熱温度を50〜200℃の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、加熱温度が50℃未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、加熱温度が200℃を超えると、硬化物の透明性が低下する場合があるためである。したがって、加熱硬化させる場合、加熱温度を70〜180℃の範囲内の値とするのがより好ましく、90〜150℃の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0087】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り重量部を意味している。
【0088】
[実施例1]
(1)含フッ素オキセタン共重合体の調製
攪拌機および滴下ロートを備えた3Lセパラブルフラスコ内を窒素パージし、フッ素系溶剤であるアサヒクリンAK225(旭硝子(株)製)1,330gと、カチオン重合開始剤として、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体14.2gとを収容した後、均一に攪拌した。
次いで、セパラブルフラスコ内の温度を、オイルバスを用いて60℃に加熱し、3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタン396gと、アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチル(サイクロマーA−200、ダイセル化学工業(株)製)182gと、アサヒクリンAK225 665gとからなる混合液を、滴下漏斗を用いてセパラブルフラスコ内に徐々に滴下した。滴下終了後、セパラブルフラスコ内の温度を60℃に保持したまま、1時間攪拌しながら反応させて、反応液とした。
得られた反応液を室温まで冷却した後、さらに、この反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加えて激しく振とうし、水層と有機層とに分離させた。その後、有機層のみを採取し、硫酸マグネシウム(40g、0.34モル)を用いて乾燥し、次いで、減圧下、アサヒクリンAK225を留去して、含フッ素オキセタン共重合体である淡黄色の粘調体を得た。この含フッ素オキセタン共重合体の収率は、97%であった。
【0089】
(2)含フッ素オキセタン共重合体の評価
得られた含フッ素オキセタン共重合体を精製した後、以下に示すように1H−NMR測定、19F−NMR測定、および赤外吸収スペクトル測定を行い、下記式(27)で表わされる反応式にしたがって、含フッ素オキセタン共重合体が得られたことを確認した。
また、GPC測定を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、35,600であることを確認した。
【0090】
【化31】
Figure 0004172116
【0091】
▲1▼NMR測定
NMR測定装置(BRUKER社製、MSL400)を用いて、溶媒CDCl3の条件で測定した。得られた含フッ素オキセタン共重合体についての1H−NMRチャートを図1に、19F−NMRチャートを図2に、それぞれ示す。
【0092】
図1から理解されるように、1H−NMRチャート上に、以下のピークが観察された。
δ=0.85(3H、m、CH2 3
δ=1.2−2.3(9H、m、C 2CH3,CHC 2,CH2CH2
δ=3.1−4.3(8H、m、OC 2,OC
δ=5.82(1H、m、C=CH2
δ=6.12(1H、m、CH=C 2
δ=6.42(1H、m、CH=C 2
【0093】
また、図2から理解されるように、19F−NMRチャート上に、以下のピークが観察された。
δ=−114.2(2F、m、C 2
δ=−80.7(3F、m、CF 3
δ=−62.4(3F、m、CC 3
δ=−61.8(3F、m、CC 3(微量成分))
δ=−59.4(3F、m、CC 3(微量成分))
δ=−59.4(3F、m、CC 3
δ=−56.4(3F、m、CC 3
【0094】
なお、参考のため、含フッ素オキセタン共重合体のモノマー成分として用いた3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタンについての1H−NMRチャートおよび19F−NMRチャートを、それぞれ図3および図4に、アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルについての1H−NMRチャートを図5に示す。
【0095】
▲2▼赤外吸収スペクトル測定
フーリエ変換型赤外分光測定装置(日本分光(株)製、JIR−5500)を用いて、室温(25℃)、解像度4cm-1、ゲイン1倍、スキャン回数10回、スキャン速度TGSの条件で測定した。
得られた含フッ素オキセタン共重合体についての赤外吸収スペクトルを図6に示す。
【0096】
図6から理解されるように、赤外吸収スペクトルチャート上に、以下の特徴的なピークが観察された。
O−H帰属 3518cm-1(br)
C−H帰属 2939,2889cm-1
C=O,C=C帰属 1722,1670,1632cm-1
C−F帰属 1000−1300cm-1
【0097】
なお、参考のため、原料として用いた3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタンについての赤外吸収スペクトルチャートを図7に、アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルについての赤外吸収スペクトルチャートを図8にそれぞれ示す。
【0098】
▲3▼重量平均分子量測定
また、得られたオキセタン共重合体を、濃度0.5重量%となるようにTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させた。次いで、GPC装置HLC−8020(東ソー(株)製)を用いて、GPCカラムからの溶出時間を屈折率計(RI)で検知した。測定された溶出時間から、ポリスチレン換算分子量として、重量平均分子量が35,600であると算出した。得られた含フッ素オキセタン共重合体のGPCチャートを図9に示す。
【0099】
[実施例2および3]
実施例1で用いたアクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルの代りに、実施例2では、アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルエステルを用い、実施例3では、アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルと、アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルエステルとの混合物(混合モル比1:1)を用いたほかは、実施例1と同様に含フッ素オキセタン共重合体を共重合し、得られた含フッ素オキセタン共重合体につき、NMR測定や赤外吸収スペクトル測定を行った。
【0100】
その結果、実施例2では、下記式(28)で表わされる反応式にしたがって、実施例3では、下記式(29)で表わされる反応式にしたがって、それぞれ含フッ素オキセタン共重合体が得られたことを確認した。
また、それぞれ得られた含フッ素オキセタン共重合体につき、GPC測定を行い、重量平均分子量が、実施例2では、8,600であり、実施例3では、13,500であることを確認した。
なお、実施例2および3で得られた含フッ素オキセタン共重合体のGPCチャートをそれぞれ、図10および11に示す。
【0101】
【化32】
Figure 0004172116
【0102】
【化33】
Figure 0004172116
【0103】
[実施例4]
実施例1で得られた含フッ素オキセタン共重合体98gに対して、反応性希釈剤として、ネオペンチルグリコールジアクリレート2.0gと、ラジカル重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア184)2.0gとをそれぞれ添加後、室温で、2時間の条件で攪拌し、均一に溶解させて硬化性樹脂組成物を得た。
得られた硬化性樹脂組成物につき、粘度、放射線硬化性を評価し、さらに光硬化して得られた硬化膜につき、屈折率、透明性、および引張弾性率(ヤング率)、破断強度、破断伸びの測定をそれぞれ行った。得られた結果を表1に示す。
また、(株)東京計器製、E形粘度計(VISCONIC ED型)を用いて試料温度25℃で粘度を測定した。
【0104】
(2)放射線硬化性の評価
20×30cm角のガラス板上に、硬化性樹脂組成物をバーコータにて塗工し、膜厚200μmの塗膜を得た。次いで、窒素中、温度25℃の条件で、それぞれ露光量が300mJ/cm2(照射時間3秒)、および600mJ/cm2(照射時間6秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kw)を用いて紫外線を照射し、硬化膜を形成した。得られた硬化膜につき、指触で表面タックを測定し、以下の基準で放射線硬化性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:300mJ/cm2露光後に、硬化膜の表面タックがない。
○:600mJ/cm2露光後に、硬化膜の表面タックがない。
×:600mJ/cm2露光後に、硬化膜の表面タックがある。
【0105】
(2)硬化膜の評価
15ミルのアプリケーターバーを用いてガラス板上に、硬化性樹脂組成物を硬化後の厚さが約200μmとなるように塗布した後、窒素中、露光量1.0J/cm2の紫外線を照射して硬化膜を得た。次いで、ガラス板から硬化膜を剥離し、さらに、温度23℃、相対湿度50%の状態で24時間保管して試験片とした。
【0106】
▲1▼屈折率測定
JIS K7105に準拠して、(株)アタゴ製アッベ屈折計を用いて、25℃における試験片の屈折率を測定した。
なお、屈折率として、1.50以下の値が得られれば、単独重合あるいは共重合することにより光伝送用ファイバのクラッド材等の用途に好適に使用することができる。
【0107】
▲2▼透明性
得られた試験片の透明性を、以下の基準に則り、目視により評価した。
○:試験片の全体が透明である。
×:試験片の一部または全体が白濁している。
【0108】
▲3▼引張弾性率、破断強度、破断伸び
引張試験器(島津製作所(株)製、AGS―50G)を用いて、試験片の引張弾性率を下記測定条件にて測定した。
引張速度 :1mm/分
標線間距離(測定距離):25mm
測定温度 :23℃
相対湿度 :50%RH
また、破断強度と破断伸びについては、引張速度を1mm/分から50mm/分に変更した他は、引張弾性率の測定と同様の条件で測定した。それぞれ得られた結果を表1に示す。
なお、引張弾性率として15Kg/mm2以上の値、破断強度として0.5Kg/mm2以上の値、破断伸びとして5%以上の値が得られれば、十分な機械的特性を有するものとして、光伝送用ファイバのクラッド材等の用途に好適に使用することができる。
【0109】
【表1】
Figure 0004172116
【0110】
【発明の効果】
本発明の含フッ素オキセタン化合物共重合体(オリゴマーを含む。)によれば、優れた透明性、撥水性、撥油性、耐熱性、機械的特性あるいは低屈折率等の特性をバランス良く発揮することが可能となった。したがって、光伝送用ファイバのクラッド材料等に好適に使用されることが期待される。
【0111】
また、本発明の含フッ素オキセタン化合物共重合体の製造方法によれば、優れた透明性、撥水性、撥油性、耐熱性、機械的特性あるいは低屈折率等の特性を有する含フッ素オキセタン化合物共重合体を効率的に提供することが可能となった。
また、本発明の樹脂硬化性組成物およびその硬化物によれば、光伝送用ファイバのクラッド材料等として、優れた透明性、撥水性、撥油性、耐熱性、機械的特性あるいは低屈折率等の特性をバランス良く発揮することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた含フッ素オキセタン共重合体の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られた含フッ素オキセタン共重合体の19F−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタンについての1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタンについての19F−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルについての1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】実施例1で得られた含フッ素オキセタン共重合体の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図7】3−エチル−3−[1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシメチル]オキセタンについての赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図8】アクリル酸シクロヘキセンオキシドメチルについての赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図9】実施例1で得られた含フッ素オキセタン共重合体のGPCチャートを示す図である。
【図10】実施例2で得られた含フッ素オキセタン共重合体のGPCチャートを示す図である。
【図11】実施例3で得られた含フッ素オキセタン共重合体のGPCチャートを示す図である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表わされるモノマー単位と、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、スピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、及びビニル化合物からなる群から選択される1種以上に由来するモノマー単位を含むことを特徴とする含フッ素オキセタン共重合体。
    Figure 0004172116
    [一般式(1)中、置換基Rは、水素原子又はアルキル基であり、置換基Rは、式C2n−1、式C2nHまたは式C2n+1(それぞれの式中のnは2〜12の整数である。)で表される一価の含フッ素基であり、繰り返し数mは、1〜10の整数である。]
  2. 前記一般式(1)で表わされるモノマー単位と、エポキシ(メタ)アクリレート化合物およびオキセタン(メタ)アクリレート化合物、あるいはいずれか一方の(メタ)アクリレート化合物に由来するモノマー単位を含む請求項1に記載の含フッ素オキセタン共重合体。
  3. 下記一般式(2)および一般式(3)で表わされるモノマー単位、あるいはいずれか一方のモノマー単位を含む請求項2に記載の含フッ素オキセタン共重合体。
    Figure 0004172116
    Figure 0004172116
  4. 下記一般式(4)で表わされる含フッ素オキセタン化合物と、エポキシ(メタ)アクリレート化合物およびオキセタン(メタ)アクリレート化合物、あるいはいずれか一方の(メタ)アクリレート化合物とを反応してなる請求項2に記載の含フッ素オキセタン共重合体の製造方法。
    Figure 0004172116
    [一般式(4)中、置換基R、Rおよび繰り返し数mは、一般式(1)と同様の内容である。]
  5. 請求項2又は3に記載の含フッ素オキセタン共重合体と、重合開始剤とを含んでなる含フッ素オキセタン共重合体組成物。
  6. 請求項5記載の含フッ素オキセタン共重合体組成物を硬化してなる含フッ素オキセタン共重合体硬化物。
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