JP2019182918A - 光造形用硬化性組成物、光造形体、及び光造形体の製造方法 - Google Patents

光造形用硬化性組成物、光造形体、及び光造形体の製造方法 Download PDF

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勇介 荒木
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Abstract

【課題】取扱性に優れ、高感度の光造形用硬化性組成物、及び光造形体、並びに光造形体の製造方法の提供。【解決手段】下記化学式で例示されるエポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物及び重合開始剤とから成る光造形用硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光造形用硬化性組成物、この光造形用硬化性組成物の硬化によって形成された光造形体、及びこの光造形体の製造方法に関する。
立体造形体を製造する方法として、3次元造形法、所謂3Dプリンタを用いた造形方法が知られている。3次元造形法によれば、3次元CAD(Computer-Aided Design)のようにコンピュータを用いて作成された3次元形状データに従って、樹脂を含む硬化性材料を硬化させながら順次積層することにより、立体造形体を製造することができる。
3次元造形法は、高価で製造に長時間を要する金型や鋳型を用いることなく立体造形体を製造できるという利点を有している。なかでも、光硬化性組成物に光等の活性エネルギー線を照射しながら立体造形体を製造する光造形法は、3次元形状データに表された複雑かつ緻密な形状を有する造形体を、高精度で製造できる方法として注目されている。
このような光造形法により製造された光造形体は、短時間でかつ安価に複雑な形状を製造できるという利点から、主に、車両や家電製品に用いられる部品の試作品や建築物の模型として、設計段階における検証のための開発支援に用いられている。さらに医療分野における治療支援のために、患者のCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)のデータに基づいて、表皮、筋肉、内臓、血管、骨などの人体モデルを作製するのに用いられている。それに加えて光造形体は、前記の開発支援や治療支援だけでなく、例えばエンジンに例示される内燃機関のように高熱を発する動力源の周辺部品、ギア等の動力伝達部品、及びレンズ等の光学部品に例示される工業製品やその模型としても用いられている。光造形体の製品は、幅広い産業分野で様々な条件下で使用されるため、それらの用途に応じて、耐水性、耐光性、耐候性、耐熱性、靱性、耐衝撃性や破断強度等の機械的強度、及び透明性等を有していることが求められる。
このような光造形体の材料である光硬化性組成物は、低粘性を呈することによって取扱性に優れるとともに、活性エネルギー線に対して高感度であることによって短時間で光造形体を製造できることが求められる。
光硬化性組成物として、特許文献1には、アシルホスフィンオキサイド化合物を含む光重合開始剤と、(メタ)アクリロイル基を有する光重合性モノマーと、3級有機ホスフィン化合物を含む硬化促進剤とを含むものが挙げられている。また、エポキシ樹脂等の開環反応によって重合しうるモノマー又はオリゴマー或いはモノマーとオリゴマーの混合物を含む樹脂組成物とメチルメタクリレートから構成される少なくとも1つのブロックを有するブロックコポリマーを含む耐衝撃性改良剤と重合開始剤とを含む光硬化性組成物や(特許文献2)、モノ、ジ、及びポリ(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートと光開始剤とを含む液状感光性混合物(特許文献3)が知られている。
しかし、これらの光硬化性組成物から得られる従来の光造形体は、高い衝撃強度を有していることにより靭性に優れている一方で、不透明な淡黄色の色調を呈しているので、着色剤による調色が求められたり、十分な光透過性が求められたりするレンズの如き部品等の用途に適さない。また、高い透明性や衝撃強度を有する光造形体を得ることができる光硬化性組成物であっても、粘度が高かったり、活性エネルギー線に対する感度が低くて硬化し難かったりすると、取扱性に劣ったり、得られた光造形体の寸法精度や表面の平滑性が不十分あったりするため、3次元形状データに表された光造形体を、高精度に再現しつつ短時間にかつ安価に製造することができない。
国際公開第2015/020175号パンフレット 特表2010−520949号公報 特開平3−160013号公報
本発明は前記の問題点に鑑み、低粘度であることにより取扱性に優れるとともに、活性エネルギー線に対して高い感度を有していることにより、3次元形状データに表された微細な凹凸を精密に再現できる光造形用硬化性組成物、光造形用硬化性組成物を光造形法によって硬化させることにより、高い寸法精度、優れた耐水性、耐光性、耐候性、耐熱性、靱性、耐衝撃性や破断強度等の機械的強度、色調、及び透明性を有する光造形体、並びにこの光造形体を短時間で安価に製造できる光造形体の製造方法を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するためになされた本発明の光造形用硬化性組成物は、下記化学式(I)で示されエポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物、及び重合開始剤を含有する:
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)〜(IV)で示される基を表す。Bは化学式(V)〜(VIII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Yは前記の化学式(II)〜(IV)で示される基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)。
光造形用硬化性組成物は、前記環状エーテル化合物とは別に、更に、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及び/又はアクリル化合物とを含有する。
光造形用硬化性組成物は、前記重合開始剤が、光カチオン重合開始剤を含んでいる。
光造形用硬化性組成物は、前記光カチオン重合開始剤が、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、臭素塩、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、及びアリールシラノール−アルミニウム錯体から選ばれる少なくとも一種である。
光造形用硬化性組成物は、前記重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤を更に含んでいる。
光造形用硬化性組成物は、前記光ラジカル重合開始剤が、ベンゾイル化合物、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、及びアシルホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも一種である。
本発明の光造形体は、前記何れかの光造形用硬化性組成物の硬化物からなる。
本発明の光造形体の製造方法は、前記光造形用硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により、硬化させる硬化工程を有する。
光造形体の製造方法においては、更に、前記硬化工程で得られた前記硬化物を加熱する熱処理工程を有する。
光造形体の製造方法においては、前記光造形体を形成するための層断面データに従って、前記活性エネルギー線を照射する。
光造形体の製造方法においては、前記活性エネルギー線が、300〜450nmの波長を有している紫外線である。
光造形体の製造方法においては、紫外線蛍光灯、紫外線発光ダイオード、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、重水素ランプ、ケミカルランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、He−Cdレーザー、Arレーザー、若しくは半導体励起固体レーザーにより前記活性エネルギー線を照射する、又は太陽光を照射する。
本発明の光造形用硬化性組成物は、エポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物及び重合開始剤を含有していることによって、高い活性エネルギー線感度を有しているので、活性エネルギー線照射によって速やかに硬化する(硬化性に優れる)。また、この光造形用硬化性組成物は低粘度で高い流動性を示すので、3Dプリンタ等の製造装置へ供給し易い(取扱性に優れる)。さらに光造形用硬化性組成物に含まれる環状エーテル化合物が開環重合するエポキシ基とオキセタニル基とを一分子内に有しているので、活性エネルギー線照射により緻密な架橋構造を有する硬化物を得ることができる。
本発明の光造形体は、前記の光造形用硬化性組成物の硬化物からなっているので、その密な架橋構造に起因して、優れた耐水性、耐光性、耐候性、耐熱性、機械的強度(靱性、耐衝撃性や破断強度等)を示す。そのため、エンジンやモーター等の高熱を発する動力源の周辺部品のように、高い耐熱性が要求される製品や部品に好適に用いることができる。また、3次元形状データに表された微細な凹凸や滑らかな表面が高精度に再現されているので、建築物の模型や人工臓器等の複雑な形状の製品、部品、及びサンプルとして用いることができる。更に光造形体は、高い透明性を有しているので、レンズや照明カバー等の光学部品に用いることができる。
本発明の光造形体の製造方法によれば、硬化性及び成形性に優れた前記の光造形用硬化性組成物を用いることにより、短時間で高精度の光造形体を安価に製造することができる。さらに光造形体の製造方法が、硬化工程の後の熱処理工程を有していると、より一層高い耐熱性を有する光造形体を製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されない。
本発明の光造形用硬化性組成物は、前記化学式(I)で示されエポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物、及び重合開始剤を含有する。この環状エーテル化合物は、開環重合可能な硬化性化合物であり、エポキシ基とオキセタニル基とを1分子中に有するもので、2つのエポキシ基と1つのオキセタニル基とが、又は1つのエポキシ基と2つのオキセタニル基とが、エーテル結合を有する接続子により連結された構造を有する。
より具体的には、この環状エーテル化合物の例として、下記化学式(I-1)〜(I-23)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019182918
Figure 2019182918
この光造形用硬化性組成物は、必須の光硬化性成分である光硬化性化合物として、前記の化学式(I)示され、エポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物のみからなっていてもよく、他の光硬化性化合物として、必要により、この環状エーテル化合物と共にさらに、他の光硬化性化合物を含有していてもよい。
環状エーテル化合物を重合させるとホモポリマーの硬化物が得られるが、必要に応じて、この重合時に環状エーテル化合物とは別に、他の光硬化性化合物を共存させることにより、環状エーテル化合物と、他の光硬化性化合物が共重合したヘテロポリマーの硬化物を得ることができる。
光造形用硬化性組成物全量に対し、環状エーテル化合物の含有割合は、0.1〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であると一層好ましく、20〜50質量%であるとなお一層好ましい。
この光造形用硬化性組成物中における、環状エーテル化合物の含有量と、他の光硬化性化合物の含有量との比率については、当該他の光硬化性化合物の含有量が、環状エーテル化合物の含有量に対して、0〜1000倍量(質量比)の範囲における適宜の割合とすることが好ましく、0.01〜100倍量(質量比)の範囲における適宜の割合とすることがより好ましい。
当該他の光硬化性化合物は、本発明の光造形用硬化性組成物の硬化性を、更に向上させることができる。即ち、活性エネルギー線の照射により、光硬化性化合物である環状エーテル化合物と共に架橋して硬化するので、より一層密な架橋構造を速やかに形成する。このとき、例えば、高寸法精度、耐熱性、機械強度、光透過性、及び耐候性等の特性が、光造形体の用途に応じて特に要求される場合、当該他の光硬化性組成物の種類を適宜選択することにより、要求される特性に応じた光造形体を得ることができる。
当該他の光硬化性化合物としては、活性エネルギー線の照射を受けて重合反応及び/又は架橋反応を生じるものが挙げられ、例えば重合性モノマーと、重合性モノマーが重合した構造を有する重合性オリゴマー(半硬化物)とが挙げられる。重合性モノマーと重合性オリゴマーを単独で又は組み合わせて使用してよく、重合性モノマーとしては、種類の異なる重合性モノマーを組み合わせて使用してよく、重合性オリゴマーについても、種類の異なる重合性オリゴマーを組み合わせて使用してよい。
この重合性モノマーとして、公知のオキセタン化合物、エポキシ化合物(エポキシ樹脂を包含)、アクリル化合物(アクリル樹脂を包含)等が挙げられる。光硬化性化合物は、前記の環状エーテル化合物に加えて、カチオン重合性を有するこれらオキセタン化合物及びエポキシ化合物を含有していることが好ましく、ラジカル重合性を有するアクリル化合物をさらに含有していることがより好ましい。
オキセタン化合物として、一分子中に単数のオキセタニル基を有するモノオキセタン化合物、及び複数のオキセタニル基を有するポリオキセタン化合物を挙げることができる。このようなモノオキセタン化合物は、例えば、下記化学式(A)
Figure 2019182918
(化学式(A)中、Qは水素原子又はアルキル基を表し、Qは水素原子又は少なくとも一つのアルコール性水酸基で置換されているアルキル基を表し、Tは直接結合又は酸素原子を表しており、Qのアルキル基とQのアルキル基とは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表される。
化学式(A)で表されるモノオキセタン化合物中、Qのアルキル基として、具体的にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、及びtert−ペンチル基に例示される炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖のものが挙げられる。
化学式(A)で表されるモノオキセタン化合物中、Qのアルキル基として、具体的にエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデカニル基に例示される炭素数2〜10の直鎖又は分枝鎖のものが挙げられる。これらのアルキル基は、例えば3−オキシペンチル基のように炭素鎖中に酸素原子を有していてもよい。またQのアルキル基の炭素数が3以上であると、常温で液体の3−アルキル−3−モノオキセタンアルコール化合物が得られ、取扱性や合成のし易さの観点から好ましい。
化学式(A)で表されるモノオキセタン化合物は、一分子中に1個のアルコール性水酸基を有するモノアルコール化合物であることが好ましく、具体的に、Qが水素原子でありQがアルコール性水酸基を有するアルキル基である3−置換モノオキセタン化合物や、Qがアルキル基でありQがアルコール性水酸基を有するアルキル基である3−アルキル−3−置換モノオキセタン化合物が挙げられる。これらの化合物中、Qのアルキル基はエーテル結合(即ち、Tは酸素原子)を介してオキセタン環に結合していてもよい。
一分子中に複数のオキセタニル基を有するポリオキセタン化合物は、オキセタニル基を一分子中に2個、3個、4個、又はそれ以上有していてもよい。オキセタニル基を2個有している3−アルキル−3−置換ジオキセタン化合物は、例えば、その2個のオキセタニル基が−O−(R−O)−基を介して結合している。−O−(R−O)−基中、Rはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、及びドデカメチレン基に例示される炭素数2〜12で炭素鎖中にベンゼン環及びナフタレン環等の芳香環を単数又は複数有していてもよいアルキレン基(例えば、−CH−Ar−CH−基、及び−CH−Ar−Ar−CH−基(Arは二価の芳香族炭化水素基、例えばフェニレン基を表す。))、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基、o−フタル酸残基、ジメチロールトリシクロデカン残基、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン残基、水添Bis−A残基、水添Bis−F残基、水添Bis−AD残基、及びBis−Z残基であり、nは0〜1の整数である。
モノオキセタン化合物とポリオキセタン化合物とは、夫々単独で用いてもよく、併用してもよい。併用する場合、モノオキセタン化合物100質量部に対してポリオキセタン化合物を、0〜10000質量部とすることが好ましく、0〜1000質量部とすることがより好ましく、0〜100質量部とすることが一層好ましい。それによれば、光造形体の機械的強度及び透明度を向上させることができるので、光造形体に高い耐衝撃性と光透過性とを付与できる。
このようなモノオキセタン化合物及びポリオキセタン化合物として、例えば
3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
3−エチル−3−メトキシメチルオキセタン、
3−エチル−3−[(エトキシカルボニルオキシ)メチル]オキセタン、
3−エチル−3−{[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、
3−エチル−3−{[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、
3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、
3−エチル−3−(ブトキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−(へキシルオキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−[(2−エチルへキシルオキシ)メチル]オキセタン、
3−エチル−3−(バレリルオキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−(シクロへキシルオキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、
3−エチル−3−[(ブチルアミノカルボニルオキシ)メチル]オキセタン、
3−エトキシオキセタン、
3−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
3−n−ブチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、
3−アリルオキセタン、
3−(アリルオキシ)オキセタン、
3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、
ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、
1−[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]−4−フルオロベンゼン、
1−[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]−4−メトキシベンゼン、
1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル=フェニル=エーテル、
3−エチル−3−オキセタニルメチル=イソブトキシメチル=エーテル、
イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
3−エチル−3−オキセタニルメチル=イソボルニル=エーテル、
2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
2−(2−エトキシエトキシ)エチル=3−エチル−3−オキセタニルメチル=エーテル、
3−シクロヘキシルオキシオキセタン、
3−(4−メチルシクロヘキシルオキシ)オキセタン、
ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
3−エチル−3−オキセタニルメチル=テトラヒドロフルフリル=エーテル、
3−エチル−3−オキセタニルメチル=2−ヒドロキシエチル=エーテル、
3−エチル−3−オキセタニルメチル=2−ヒドロキシプロピル=エーテル、
ブトキシエチル=3−エチル−3−オキセタニルメチル=エーテル、
ボルニル=3−エチル−3−オキセタニルメチル=エーテル、
3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−ノナノン、
3,3’−(オキシビスメチレン)ビス(3−エチルオキセタン)、
3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、
1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、
1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、
1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、
エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、
1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、
3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレンオキシメチレン)]ビス[3−エチルオキセタン](CAS 142627-97-2)(3,3’−[(1,4−フェニレン)ビス(メチレンオキシメチレン)]ビス[3−エチルオキセタン]、又は1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンとも云う)と3,3’−[オキシビス(メチレン−4,1−フェニレンメチレンオキシメチレン)]ビス[3−エチルオキセタン](CAS 1035608-30-0)と3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレンオキシメチレン−4,1−フェニレンメチレンオキシメチレン)]ビス[3−エチルオキセタン](CAS 1035608-32-2)(α,α’−ビス[4−(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシメチル)ベンジルオキシ]−p−キシレンとも云う)との何れか、又はそれらの混合物(東亞合成社製の「アロンオキセタン OXT−121(商品名)」)、
ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、
EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
光造形用硬化性組成物中、当該他の光硬化性化合物のうちのオキセタン化合物の総量は、環状エーテル化合物と当該他の光硬化性化合物との合計100質量部に対して、例えば5〜40質量部であり、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは、10〜30質量部である。この範囲であると、光造形用硬化性組成物の粘度上昇及び泡発生を抑止して、光造形体製造装置の液槽内における流動性、3次元形状データの転写性、及び活性エネルギー線照射による硬化速度が向上し高い寸法精度の光造形体を速やかに製造することができ、さらに光造形体の機械的強度(靭性等)、及び耐熱性等を向上させることができる。
エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、酸化型のエポキシ化合物が挙げられる。
グリシジルエーテル型の例としては、Bis−A型エポキシ化合物、Bis−F型エポキシ化合物、High−Br型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、アルコール型エポキシ化合物、脂肪族型エポキシ化合物(例えば、1,4−ブタンジグリシジルエーテル)等が挙げられる。
Bis−A型エポキシ化合物及びBis−F型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物として、これらの他、Bis−E型エポキシ化合物、Bis−AD型エポキシ化合物、及びBis−Z型エポキシ化合物が挙げられる。さらに、これらのビスフェノール型エポキシ化合物のアルキレンオキシド付加型グリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、及び1,3−ビス(オキシラニルメトキシ)ベンゼンが挙げられる。
さらにエポキシ化合物として、下記化学式(B)
Figure 2019182918
で表される、グリシジル基とフェニレン基とがエーテル結合したフェニレングリシジルエーテル構造を、一分子中に少なくとも3個有するフェニレングリシジルエーテル型エポキシ化合物が挙げられる。
フェニレングリシジルエーテル型エポキシ化合物として、具体的に、トリフェニルメタンのフェニル基にフェニレングリシジルエーテル構造で置換したトリフェニレングリシジルエーテルメタン、テトラフェニルエタンのフェニル基にフェニレングリシジルエーテル構造で置換したテトラフェニレングリシジルエーテルエタン、ノボラック型フェノール樹脂のベンゼン環にフェニレングリシジルエーテル構造が結合したポリフェニレングリシジルエーテル化ノボラック型フェノール樹脂、及びレゾール型フェノール樹脂のベンゼン環にフェニレングリシジルエーテル構造が結合したポリフェニレングリシジルエーテル化レゾール型フェノール樹脂、メチルエテニルアセトフェノンとフェノール類との縮重合体グリシジル化物、アルデヒド化合物とフェノール類又はナフタレン類との縮重合体グリシジル化物、及び2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパンが挙げられる。
脂肪族型エポキシ化合物として、アルキレングリコールに由来するグリシジル化合物が挙げられ、具体的に例えば、エチレンジグリシジルエーテル、1,3−プロピレンジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジグリシジルエーテル、2−エチルヘキサングリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、エリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、及びジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、直鎖状ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、分子鎖状ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリシジルエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリシジルエーテルに例示される多価アルコールのグリシジルエーテルが挙げられる。
このようなグリシジル化合物のうち、ポリエチレングリシジルエーテルに例示されるポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル化合物の平均分子量は、200〜4000であることが好ましく、300〜2000であることがより好ましく、400〜1000であることがより一層好ましい。
脂肪族型エポキシ化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、及びグリセリン等、多価アルコールのアルキレンオキシド(例えばオキシドエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシド)付加物であるポリエーテルポリオールに由来したポリエーテルポリオールポリグリシジルエーテルであってもよく、アルコール性水酸基を有する長鎖脂肪族炭化水素に由来するグリシジルエーテルであってもよい。
また脂肪族型エポキシ化合物は、脂環式炭化水素基を有していてもよい。具体的に、2−[(シクロペンチルオキシ)メチル]オキシラン及び2−[(シクロヘキシルオキシ)メチル]オキシラン等の脂環式アルコール由来のモノグリシジルエーテルであってもよく、脂環式アルコールのアルキレンオキシド付加物由来のモノグリシジルエーテルであってもよい。さらに、1,4−ビス(グリシジルオキシ)シクロヘキサン、並びに水添Bis−A残基、水添Bis−E残基、水添Bis−F残基、水添Bis−AD残基、水添Bis−Z残基、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン残基、及びジメチロールトリシクロデカン残基に例示される二価の脂環式炭化水素基を介して2モルのグリシジルエーテル基が結合したジグリシジルエーテルであってもよい。このようなジグリシジルエーテル化合物を含有する光造形用硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射を受けて直ちに硬化するので、光造形体の製造効率を向上させることができ、またこの光造形用硬化性組成物により製造された光造形体は、優れた耐湿性を有しているので、多湿環境下や降雨に曝される環境下で好適に用いることができる。
グリシジルエステル型の例としては、ヒドロフタル酸型エポキシ化合物、ダイマー酸型エポキシ化合物が挙げられる。ダイマー酸型エポキシ化合物として、テレフタル酸ジグリシジルエステル及びイソフタル酸ジグリシジルエステル等の芳香族グリシジルエステルや、長鎖脂肪族ジカルボン酸から得られるジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸等の長鎖飽和脂肪酸から得られるグリシジルエステルが挙げられる。長鎖脂肪酸から得られるグリシジルエステルは、例えば、大豆油、亜麻仁油、綿実油、とうもろこし油、パーム油、及びひまし油等の長鎖脂肪酸混合物から得られるものであってもよい。
また、グリシジルエステル型の他の例として、グリシジル(メタ)アクリレートの重合体、グリシジル(メタ)アクリレートと他のビニル化合物との共重合体が挙げられる。
酸化型エポキシ化合物は、鎖状又は環状の不飽和脂肪族炭化水素を、過酸化水素や過酢酸等の酸化剤を用いてエポキシ化することにより得られる。例えば、鎖状の酸化型エポキシ化合物として、1,2−デシレンオキシド、1,2−ウンデシレンオキシド、1,2−ドデシレンオキシド、1,2−トリデシレンオキシド、1,2−テトラデシレンオキシド、1,2−ペンタデシレンオキシド、1,2−ヘキサデシレンオキシド、1,2−ヘプタデシレンオキシド、1,2−オクタデシレンオキシド、1,2−ノナデシレンオキシド、1,2−エイコシレンオキシド、エポキシ化大豆油、9,10−エポキシオクタデカン酸メチル、9,10−エポキシオクタデカン酸エチル、9,10−エポキシオクタデカン酸プロピル、9,10−エポキシオクタデカン酸ブチル、9,10:12,13−ジエポキシオクタデカン酸メチル、9,10:12,13−ジエポキシオクタデカン酸エチル、9,10:12,13−ジエポキシオクタデカン酸プロピル、9,10:12,13−ジエポキシオクタデカン酸ブチル、9,10:12,13:15,16−トリエポキシオクタデカン酸メチル、9,10:12,13:15,16−トリエポキシオクタデカン酸エチル、9,10:12,13:15,16−トリエポキシオクタデカン酸プロピル、及び9,10:12,13:15,16−トリエポキシオクタデカン酸ブチルに例示されるエポキシ化長鎖炭化水素が挙げられる。また鎖状の酸化型エポキシ化合物は、エポキシ化ポリブタジエンやグリシジル化ポリブタジエン等のエポキシ基又はグリシジル基を有するポリエンであってもよい。
また、例えばシクロペンタンエポキシドやシクロヘキサンエポキシド等の環状の酸化型エポキシ化合物として、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メタン、1,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボン酸、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸及びこれのε−カプロラクトン変性物、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサン−1−イルメチル)、4,5,5−トリメチル−3,4−エポキシシクロペンチル−1β−アセトアルデヒド、2−ビニルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジエポキシド、リモネンエポキシド、リモネンジエポキシド、並びにα−ピネンオキシドが挙げられる。
これらの酸化型エポキシ化合物、なかでも環状の酸化型エポキシ化合物は、含有する光造形用硬化性組成物に早い硬化速度を付与するとともに、この光造形用硬化性組成物によって製造された光造形体に優れた耐変形性及び耐熱性を付与する。
エポキシ化合物を含有させることにより、光造形用硬化性組成物及び光造形体が前記のような効果を奏するためには、光造形用硬化性組成物中、当該他の光硬化性化合物のうちのエポキシ化合物の総量を、環状エーテル化合物と当該他の光硬化性化合物との合計100質量部に対して、例えば20〜70質量部とすることが好ましく、20〜60質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とすることが一層好ましい。なお、前記のエポキシ化合物は、夫々単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。光造形用硬化性組成物がこのようなエポキシ化合物を前記の範囲で含んでいると、光造形体の熱変形温度、耐衝撃性、透明性、及び耐湿性をより高めることができる。
また光造形用硬化性組成物は、前記のエポキシ化合物以外の環状エーテル化合物、ビニルエーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、及びスピロオルソエステル化合物の少なくとも一種を含んでいてもよい。
アクリル化合物は、ラジカル重合性を有しており、活性エネルギー線の照射を受けると、重合及び/又は架橋して硬化する。このようなアクリル化合物の例としては、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製の「デナコールアクリレートDA111(商品名)」);ウレタン(メタ)アクリレート類;エポキシ(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、及び(メタ)アクリル酸tert−ブチル等の直鎖状又は分枝鎖状で炭素数4〜30のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の環状で炭素数6〜20のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル、(メタ)アクリル酸(2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル、及びアクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル等の炭素数5〜20の複素環(メタ)アクリレート;ビス(メタ)アクリル酸(1,4,7−トリメチル−3,6−ジオキサオクタン)−1,8−ジイル、1,6−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ノナン、及び1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)2−n−ブチル−2−エチル−プロパン等の直鎖状又は分枝鎖状で炭素数10〜25のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分枝鎖状で炭素数10〜25のアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート;ペンタメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分枝鎖状で炭素数10〜25のアルキレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールペンタ(メタ)アクリレート、又はアルキレングリコールヘキサ(メタ)アクリレート;トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジ(メタ)アクリレート等の炭素数10〜30の脂環ジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート;(メタ)アクリレートポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
またアクリル化合物は、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ランダム共重合体ジオールの(メタ)アクリレート、両末端ヒドロキシ基(ポリオキシエチレンブロック−ポリオキシプロピレンブロック)ブロック共重合体モノオール又はジオールの(メタ)アクリレート、両末端ヒドロキシ基(エチレンオキサイド−ブチレンオキサイド)ランダム共重合体ジオールの(メタ)アクリレート、及び両末端ヒドロキシ基(ポリオキシエチレンブロック−ポリブチレンブロック)ブロック共重合体モノオール又はジオールの(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートであってもよい。これらのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートは、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートであっても、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートであってもよい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの平均分子量は、モノ(メタ)アクリレートの場合、好ましくは150〜1200であり、より好ましくは150〜1000であり、より一層好ましくは200〜700である。ジ(メタ)アクリレートの場合、好ましくは300〜2000であり、より好ましくは500〜1500であり、より一層好ましくは600〜1200である。ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの平均分子量や含有量が前記の下限値を下回ると、光造形用硬化性組成物によって成形された光硬化体の可撓性や耐衝撃性の低下を招来し、前記の上限値を超えると、光造形用硬化性組成物に含まれる他の光硬化性化合物との相溶性が低下したり、光造形用硬化性組成物の粘度上昇を招来してそれの取扱性や流動性が低下して硬化速度が低下したり、光造形体の機械的強度や透明性が低下したりする。
光造形用硬化性組成物中、当該他の光硬化性化合物のうちのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの総量は、環状エーテル化合物と当該他の光硬化性化合物との合計100質量部に対して、例えば0〜500質量部であり、好ましくは0〜250質量部、より好ましくは、0〜100質量部である。また、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートと、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとは夫々単独で用いても、併用してもよい。両者を併用する場合、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート100質量部に対してポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを、0〜10000質量部とすることが好ましく、0〜1000質量部とすることがより好ましく、0〜100質量部とすることが一層好ましい。これらのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの含有量がこれらの範囲であることにより、光造形用硬化性組成物により成形された光硬化体に、高い耐熱性、透明性、及び機械的強度を付与できるとともに、それの吸湿性を低減して成形物の寸法安定性を高めることができる。
入手可能なポリアルキレングリコール系モノ(メタ)アクリレートは、具体的に、日油社製の「ブレンマーAE90(商品名)」、「ブレンマーAE200(同)」、「ブレンマーAE400(同)」、「ブレンマーPE90(同)」、「ブレンマーPE200(同)」、「ブレンマーPE350(同)」、「ブレンマーAP150(同)」、「ブレンマーAP250(同)」、「ブレンマーAP400(同)」、「ブレンマーAP550(同)」、「ブレンマーAP800(同)」、「ブレンマーPP500(同)」、「ブレンマーPP800(同)」、「ブレンマー10AEP550B(同)」、「ブレンマー10PEP550B(同)」、「ブレンマー55PET400(同)」、「ブレンマー55AET800(同)」、「ブレンマー55PET800(同)」、「ブレンマー30PPT800(同)」、「ブレンマー50APT800(同)」、「ブレンマー50PPT800(同)」、及び「ブレンマー70PPT800(同)」が挙げられる。
入手可能なポリアルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレートは、具体的に、日油社製の「ブレンマーADE−200(商品名)」、「ブレンマーADE−400(同)」、「ブレンマーDPE−200(同)」、「ブレンマーDPE−400(同)」、「ブレンマーDPE−600(同)」、「ブレンマーADP−200(同)」、「ブレンマーADP−400(同)」、「ブレンマーPDP−400(同)」、「ブレンマーPDT−800(同)」、「ブレンマーPDET(同)」、「ブレンマーADET(同)」、「ブレンマーPDPT(同)」、「ブレンマーADPT(同)」、「ブレンマーPDC(同)」、及び「ブレンマーADC(同)」;新中村化学工業社製の「NKエステルA−600(商品名)」、「NKエステルA−1000(同)」、「NKエステル14G(同)」、「NKエステル23G(同)」、「NKエステルAPG−200(同)」、「NKエステルAPG−400(同)」、「NKエステルAPG−700(同)」、「NKエステル9PG(同)」、「NKエステルA−PTMG−65(同)」、び「NKエステルA−PTMG−100(同)」;日立化成社製の「ファンクリルFA−P270A(商品名)」、及び「ファンクリルFA−PTG9A(同)」が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル等のエポキシ系(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸と、脂肪族(脂環族を含む)、芳香族エポキシ化合物とを反応させることにより得られる。例えば、無置換ビスフェノール化合物、アルコキシ基で置換されているビスフェノール化合物、又はこれらのビスフェノールのアルキレンオキシド付加物をエポキシ化させて得られるグリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸との(メタ)アクリレート、及びノボラックエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との(メタ)アクリレート系反応生成物が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート類は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、このヒドロキシ基と反応するイソシアネート基を有する化合物とを反応させることにより得られる。例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のジオールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられ、イソシアネート基を有する化合物として、メチルフェニレンビスイソシアナート、ジイソシアネートヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン等の一分子中に複数のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物が挙げられる。
前記のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートに例示される(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸と、脂肪族(脂環族を含む)アルコール、芳香族アルコール、これらのアルキレンオキシド付加物、ヒドロキシ基を有するポリエステルとから得られる。このような(メタ)アクリル酸エステルとして、その他に、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、エチレンジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ビス(メタクリロイルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
また、アクリル化合物は、(メタ)アクリル酸とヒドロキシ基を有するポリエーテルとの反応から得られる(メタ)アクリル酸ポリエーテルであってもよい。
光造形用硬化性組成物を硬化させるために、重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、前記化学式(I)で表される環状エーテル化合物、これとは別な前記のエポキシ化合物及びオキセタン化合物等のカチオン重合性化合物を開環重合させる光カチオン重合開始剤、並びに前記のアクリル化合物等のラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤を採用することができ、これを光造形用硬化性組成物中に含有させればよい。光カチオン重合開始剤としては、一般に使用されるものであれば特に制限無く使用可能であり、活性エネルギー線の照射によりルイス酸を生成するオニウム塩類や有機金属錯体類等が挙げられる。オニウム塩類の例としては、対アニオンを、SbF 、AsF 、B(C 、又はPF としているジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、及び臭素塩が挙げられ、有機金属錯体類の例としては、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、及びアリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。
オニウム塩は、光吸収性を有するカチオンと、ルイス酸を発生させるアニオンとの塩である。オニウム塩として具体的に、[R−S(R)−R]r+[P(R)6−p] 又は[R−S(R)−R]r+[Sb(R)6−p] (R〜Rは互いに独立して同一であっても異なっていてもよい有機基を表す。Rはフッ化アルキル基を表す。rは陽イオン価を表し、r=tである。pは0〜6の整数を表す。)の一般式で夫々表されるスルホニウムのホスフェート塩又はスルホニウムのアンチモネート塩が挙げられる。この一般式中のR〜Rは、例えば下記化学式(i-1)〜(i-4)、(ii)、(iii-1)〜(iii-5)、及び(iv)で表される。
Figure 2019182918
(化学式(i-1)〜(i-4)中、Y〜Yは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルキレンオキシ基、ヒドロキシポリアルキレンオキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。Zはエーテル基、スルフィド基、及びスルホキシド基から選ばれるスペーサー基又は直接結合を表す。R〜Rは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表す。qは0〜5の整数を表す。q〜qは0〜4の整数を表す。)具体的に、化学式(i-1)で表される有機基を有している光カチオン重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムトリス(ペンタフロロエチル)3フッ化リンが挙げられる。
Figure 2019182918
(化学式(ii)中、Y及びYは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルキレンオキシ基、ヒドロキシポリアルキレンオキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。q及びqは0〜4の整数を表す。)
Figure 2019182918
(化学式(iii-1)〜(iii-5)中、Y〜Y16は互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルキレンオキシ基、ヒドロキシポリアルキレンオキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。Zはエーテル基、スルフィド基、及びスルホキシド基から選ばれるスペーサー基を表す。R10〜R16は互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表す。qは0〜4の整数を表す。qは0〜5の整数を表す。q〜q16は0〜4の整数を表す。)
Figure 2019182918
(化学式(iv)中、Y17〜Y22は互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシ基、直鎖又は分枝鎖のアルキル基、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルキレンオキシ基、ヒドロキシポリアルキレンオキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。Z及びZはエーテル基、スルフィド基、及びスルホキシド基から選ばれるスペーサー基又は直接結合を表す。q17〜q19は0〜4の整数を表す。q20は0〜5の整数を表す。q21は0〜4の整数を表す。q22は0〜5の整数を表す。)
スルホニウムをカチオンとする光カチオン重合開始剤として市販されている工業薬品の例としては、ADEKA社製の「オプトマーSP−150(商品名)」、「オプトマーSP−152(同)」、「オプトマーSP−170(同)」、「オプトマーSP−172(同)」や、サンアプロ社製の「CPI−100P(商品名)」、「CPI−200K(同)」、「CPI−500P(同)」、「CPI−500K(同)」、「CPI−101A(同)」、「CPI−110S(同)」、ゼネラルエレクトロニクス社製の「UVE−1014(商品名)」が挙げられる。その他に、ビス−[4−(モノフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスモノヘキサフロロアンチモネート、及びビス−[4−(モノ−4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスモノヘキサフロロアンチモネートを用いてもよい。
また、光カチオン重合開始剤は、[R17−I−R18]r+[P(R)6−p] 又は[R17−I−R18]r+[Sb(R)6−p] (R17及びR18は互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、前記化学式(i-1)〜(i-4)、(ii)、(iii-1)〜(iii-5)、及び(iv)を表す。Rはフッ化アルキル基を表す。rは陽イオン価を表し、r=tである。pは0〜6の整数を表す。)で表されるヨードニウムのホスフェート塩又はヨードニウムのアンチモネート塩であってもよい。このような光カチオン重合開始剤として市販されている工業薬品の例としては、サートマー・ジャパン社製の「CD−1012(商品名)」等が挙げられる。
一方、光ラジカル重合開始剤として、1−ベンゾイルシクロヘキサノール等のベンゾイル化合物;α−ヒドロキシベンジルフェニルケトン、α−ヒドロキシベンジルフェニルケトン、α−エトキシベンジルフェニルケトン、α−プロポキシベンジルフェニルケトン、α−n−ブトキシベンジルフェニルケトン、及びα−イソブトキシベンジルフェニルケトン等の炭素数14〜18のベンゾイン化合物;1−フェニルエタノン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタノン、1,2−ジフェニル−2,2−ジエトキシエタノン、2,2−ジクロロ−1−フェニルエタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、2,2−ジエトキシ−1−フェニルエタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルメタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)−1−プロパノン、1−(4−アミノモノメチルフェニル)エタノン、1−(4−tert−ブチルモノクロロフェニル)エタノン、1−(4−tert−ブチルジクロロフェニル)エタノン、1−(4−tert−ブチルトリクロロフェニル)エタノン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン等の炭素数8〜18のアセトフェノン化合物;2−エチル−9,10−アントラキノン、2−tert−ブチル−9,10−アントラキノン、2−クロロ−9,10−アントラキノン、及び2−(1,1−ジメチルプロピル)−9,10−アントラキノン等の炭素数14〜19のアントラキノン化合物;チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び2−クロロチオキサントン等の炭素数13〜17のチオキサントン化合物;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及びアセトフェノンジメチルケタール等の炭素数16〜17のケタール化合物;ジフェニルケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4,4’−ビス(モノメチルアミノ)ベンゾフェノン、及び4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等の炭素数13〜21のベンゾフェノン化合物;モノフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び2,4,4−トリメチルペンチルビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド等の炭素数22〜28のアシルホスフィンオキシド化合物が挙げられる。
光造形用硬化性組成物を光硬化させる際には、例えば、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、アントラセンアルキルエーテル、アントラセンモノアルキルエーテル、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1,1’−カルボニルビスベンゼン、ペンゾフラビン等の増感剤を使用することができる。
光造形用硬化性組成物において、環状エーテル化合物並びに他の光硬化性化合物であるオキセタン化合物及びエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物、他の光硬化性化合物であるアクリル化合物等のラジカル重合性化合物、光カチオン重合開始剤、及び光ラジカル重合開始剤の含有割合は、夫々、カチオン重合性化合物が30〜85質量%、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜75質量%であり、ラジカル重合性化合物が10〜50質量%、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%であり、光カチオン重合開始剤が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%であり、光ラジカル重合開始剤が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
なお、光造形体の製造方法が、光造形体に高い耐熱性を付与するための熱処理工程(アフターキュア工程)を有している場合、光造形用硬化性組成物に熱カチオン重合開始剤が含有されていてもよい。
熱カチオン重合開始剤としては、一般に使用されるものであれば特に制限無く使用可能であり、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩等の各種オニウム塩類、ならびに有機金属錯体類等を例示することができる。工業薬品として市販されているオニウム塩類の例として、ADEKA社製の「アデカオプトンCP−66(商品名)」、「アデカオプトンCP−77(同)」、三新化学工業社製の「サンエイドSI−60L(商品名)」、「サンエイドSI−80L(同)」、「サンエイドSI−100L(同)」や、日本曹達社製の「CIシリーズ(商品名)」等が挙げられる。また、有機金属錯体類としては、アルコキシシラン−アルミニウム錯体等が挙げられる。
光造形用硬化性組成物中における熱カチオン重合開始剤の含有量は、0.001〜20質量%の割合であることが好ましく、0.01〜10質量%の割合であることがより好ましい。
光造形用硬化性組成物は必要に応じて、改質用樹脂、着色剤、無機充填剤、内部離型剤、補強剤、垂れ止め剤、艶消し剤、研削剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整用希釈剤(有機溶剤)、カップリング剤、香料、難燃化剤、増粘剤、酸化防止剤、樹脂改質剤などの添加剤(改質剤)の1種又は2種以上を含有していてもよい。
改質用樹脂として、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられ、具体的に、高密度、中密度、低密度の各種ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂(フェノール化合物)、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリルゴム、ウレタンゴムなどの各種エラストマー樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体などのグラフト共重合体等が挙げられる。
これら改質用樹脂の含有割合は、光造形用硬化性組成物中、0〜60質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることがより一層好ましい。
着色剤として、染料又は顔料を挙げることができる。顔料として具体的に、チタン白、シアニンブルー、ウォッチングレッド、ベンガラ、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンブルー、鉄黒、ウルトラマリンブルー、ハンザレッド、クロームイエロー、クロームグリーン等が挙げられる。
無機充填剤として、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、リトポン、石コウ、ステアリン酸亜鉛、パーライト、石英、石英ガラス、溶融シリカ、球状シリカ等のシリカ粉等、球状アルミナ、破砕アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の酸化物類、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物類、炭化ケイ素等の炭化物類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物類、銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属類や合金類、ダイヤモンド、カーボン等の炭素系材料等が挙げられる。
内部離型剤として、ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸カルシウムの脂肪酸金属塩、ステアリン酸アマイド等の脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。
補強剤として、ガラス繊維、炭素繊維等が、垂れ止め剤として水添ヒマシ油、微粒子無水硅酸等が、艶消し剤として微粉シリカ、パラフィンワックス等が、研削剤としてステアリン酸亜鉛等が、夫々挙げられる。
樹脂改質剤として、ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテルが挙げられる。具体的に例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレンランダム共重合体)ジオール、両末端ヒドロキシ基(ポリオキシエチレンブロック−ポリオキシプロピレンブロック)ブロック共重合体ジオール、両末端ヒドロキシ基(エチレンオキサイド−ブチレンオキサイド)ランダム共重合体ジオール、及び両末端ヒドロキシ基(ポリオキシエチレンブロック−ポリブチレンブロック)ブロック共重合体ジオールが挙げられ、さらにこれらのポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテルの少なくとも一方の末端ヒドロキシ基の水素原子を、直鎖状、分子鎖状又は環状アルキル基や、アリール基等の炭化水素基に置換することによりエーテル基を介してこれらの炭化水素基が結合した末端に炭化水素基を有するポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテルが挙げられる。これらは、単独で用いても複数種を併用してもよい。
ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテルの平均分子量は、好ましくは、200〜4000であり、より好ましくは300〜2000であり、より一層好ましくは400〜1000である。また末端に炭化水素基を有するポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテルの平均分子量は、好ましくは、500〜1000であり、より好ましくは600〜900である。ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエーテル等がこれらの平均分子量を有していると、光造形体の機械的強度及び透明度を向上させることができるので、活性エネルギー線照射による光造形用硬化性組成物の硬化速度が向上するとともに、光造形体に高い耐衝撃性と光透過性とを付与できる。
この光造形用硬化性組成物を用いた光造形体は、例えば、SL(Stereolithography)法によって次のように製造される。
まず、3次元CADを用いて製造すべき光造形体の3次元形状データを作成し、これをSTLフォーマット等の光造形用データ形式へ変換する。次いで、後述する光造形体製造装置内における光造形体の作製位置及び作製方向を決定して、所定間隔で多層の断面に編集した層断面データを作成する。
光造形体製造装置(3Dプリンター)を準備する。この光造形体製造装置は、液状の光造形用硬化性組成物を溜める液槽と、この液槽内で上下動する造形ステージと、活性エネルギー線を放出することによりこれを液槽内の光造形用硬化性組成物に照射する線源とを有している。線源は液槽の上部に配置されており、活性エネルギー線は光造形用硬化性組成物の液面から入射する。光造形体製造装置は、コンピュータに接続している。コンピュータには、製造すべき光造形体の3次元形状を、一定厚で多層に分割した複数の層断面データが保存されている。この光造形体製造装置は、一つ一つの層断面データに従って線源を走査させながら、活性エネルギー線を光造形用硬化性組成物に照射する。
活性エネルギー線は、可視光線、紫外線等の光であってもよく、X線、α線、β線、γ線等の放射線や電磁波や電子線であってもよいが、代表的には、光、特に取り扱い易い300〜450nm、好ましくは300〜400nmの波長を有する紫外線が好ましい。紫外線の光源として、紫外線蛍光灯、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、重水素ランプ、ケミカルランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、並びにHe−Cdレーザー、Arレーザー、及び半導体励起固体レーザー等の紫外線レーザーが挙げられる。また活性エネルギー線として、太陽光を用いてもよい。
光造形体の製造方法の硬化工程において、製造すべき3次元形状の最下層の層断面データに沿って、活性エネルギー線を光造形用硬化性組成物に照射する。それにより光造形用硬化性組成物は、この層断面データに表された最下層の断面形状を形成して硬化する。次いで、造形ステージを次層の厚さ分下方へ移動させ、最下層に積層されるべき層断面データに沿って活性エネルギー線を照射する。それにより最下層に連続した形状を有する層が成形される。これを繰り返し、最上層の層断面データに沿った活性エネルギー線の照射が完了すると、造形ステージを上昇させて3次元形状データに表された光造形体を液槽中から取り出す。造形ステージから光造形体を切り離し、必要に応じて光造形体と造形ステージとを繋いでいるサポート部を除去したり、光造形体の表面に付着した未硬化の光造形用硬化性組成物を洗い流したりして、光造形用硬化性組成物の硬化物である光造形体を得る。
光造形体の製造方法は、得られた光造形体に熱処理を施すという、熱処理工程を有していてもよい。この場合、熱カチオン重合剤を含有する光造形用硬化性組成物が採用される。熱処理工程を経た光造形体は、熱処理されていないものに比較してより高い耐熱性を示し、高温に曝されても変形し難い。熱処理は、例えば、60〜150℃、好ましくは80〜120℃に保たれた恒温槽やシリコーンオイル浴等の油浴に光造形体を投入することにより行われる。また熱処理は、赤外線を光造形体に照射することにより行われてもよい。熱処理工程において、例えば室温から40℃、40℃から60℃、60℃から80℃、及び80℃から100℃というように、温度を多段的に上昇させてもよい。それによれば、光造形体を比較的低温で予め熱した後に、高温で熱処理することができるので、光造形体にヒートクラックが生じない。
光造形体の製造方法は、前記したようなSL法に限られず、透明な石英ガラス製で活性エネルギー線を透過する液槽の下方からプロジェクターで発生させた紫外線を照射して造形ステージを段階的に上昇させ、光造形用硬化性組成物を層状に硬化させるDLP(デジタルライトプロセッシング)法や、活性エネルギー線を走査させつつ照射しながら連続的に造形ステージを上昇させて連続的に光造形用硬化性組成物を硬化させる連続界面法(CLIP法)や、光造形用硬化性組成物を噴射ノズルから噴射しながら活性エネルギー線を照射することにより光造形用硬化性組成物を硬化させながら3次元形状の光造形体を製造するインクジェット法を用いることができる。
また、光造形体の製造方法において用いられる活性エネルギー線の照射は、焦点を調整した点状照射又は線状照射であってもよく、複数整列した液晶シャッター及びデジタルマイクロミラーシャッター等の微小光シャッターを用いた面状照射であってもよい。
このようにして得られる光造形体は、様々な分野の製品に適用可能であり、電気、電子、光学、自動車、航空機、建築、医療の分野や、その他、美術、芸術、日用、雑貨品等へ好適に使用し得る。
例えば、電気、電子、光学、自動車、航空機の分野においては、製品の設計段階における部品や筐体の形状及び機能を検証するためのサンプルモデル;鋳型及び金型のマスターモデル;ビス、ボルト、ナット、ワッシャ、及び歯車等の工業用汎用部品;エンジンのヘッドカバーやインテークマニホールド、ドアミラー筐体、ライトアッセンブリ、及び燃料タンク等の車両用部品;ディスプレイ、パソコン、複写機、テレビ、レコーダー、電話機等のOA機器の部品及び筐体、並びにデジタルカメラ、スマートフォン、プロジェクター、LED照明に用いられるレンズ等の光学部品;冷蔵庫、洗濯機、掃除機、空気清浄機、電子レンジ、炊飯器等の家電品の部品及び筐体;これら製品の緩衝材、制振材、及び防音材としての用途が挙げられる。
医療、ヘルスケア産業においては、補聴器の筐体;患者の人体、その骨、及び臓器や脳の医療用モデル;人工骨、人工軟骨、人工関節、人工臓器、人工皮膚、及び人工血管等のインプラント;義手;義足;歯科用印象材及び充填材;義歯;チューブ、カテーテル、及びシリンジ等の医療器具;マイクロ流路チップとしての用途が挙げられる。
文化、創造産業においては、建築デザイン検討のための建造物モデル;服飾デザイン検討のための人体モデル;ボールペン、シャープペン、及びステープラ等の文房具、浴室用品、キッチン用品等の日用品;美術品、芸術品及びそれらの修復;舞台用大道具及び小道具;バット、ラケット、ゴルフクラブ、及びそれらのグリップ等のスポーツ用品;ヘルメット、及びヘッドギア等のスポーツ用防具;人形及び動物模型等の玩具としての用途が挙げられる。
なお、光造形体成形用の光造形用硬化性組成物に含まれる環状エーテル化合物は、次のように合成される。
この環状エーテル化合物は、例えば、化学式(IX)で示されるオキセタン化合物と、化学式(X)及び/又は同(XI)で示されるオレフィン化合物を反応させて、化学式(Ia)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Ib)で示される化合物として、合成したものであり、カチオン硬化性化合物である。
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。2つのXは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(X')及び/又は化学式(XI')で示される基を表し、Bは化学式(VIII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのR及びnは、前記の化学式(X)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、9つのR及びnは、前記の化学式(XI)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)及び/又は化学式(III)で示される基を表し、Bは前記の化学式(Ia)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XII)で示されるオキセタン化合物と、化学式(XIII)及び/又は同(XIV)で示されるオレフィン化合物を反応させて、化学式(Ia)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Ib)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは、前記の化学式(XIII)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(X')及び/又は化学式(XI')で示される基を表し、Bは化学式(VIII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのR及びnは、前記の化学式(XIII)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、9つのR及びnは、前記の化学式(XIV)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)及び/又は化学式(III)で示される基を表し、Bは前記の化学式(Ia)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XV)又は同(XVI)で示されるオレフィン化合物と、化学式(XVII)で示されるオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ic)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Id)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。2つのXは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。2つのXは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは化学式(IV)で示される基を表し、Bは化学式(XV')又は同(XVI')で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、6つのR及び2つのnは、前記の化学式(XV)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、12のR、2つのn及びmは、化学式(XVI)の場合と同様である。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは前記の化学式(IV)で示される基を表し、Bは化学式(VI)又は同(VII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XVIII)又は同(XIX)で示されるオレフィン化合物と、化学式(XX)で示されるオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ic)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Id)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つAは化学式(IV)で示される基を表し、Bは化学式(XV')又は同(XVI')で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは前記の化学式(IV)で示される基を表し、Bは化学式(VI)又は同(VII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XII)で示されるオキセタン化合物と、化学式(XXI)及び/又は同(XXII)で示されるエポキシ化合物を反応させることにより、化学式(Ib)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)及び/又は化学式(III)で示される基を表し、Bは化学式(VIII)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XXIII)で示されるエポキシ化合物と、化学式(XVII)で示されるオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ie)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物と、化学式(XXI)又は化学式(XXII)で示されるエポキシ化合物を反応させることを特徴とする、化合物(If)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは化学式(IV)で示される基を表し、Bは同(XXIV)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは化学式(IV)で示される基を表し、Bは化学式(V)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20までの整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Yは化学式(II)又は化学式(III)で示される基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
この環状エーテル化合物は、別な合成方法として、例えば、化学式(XXIII)で示されるエポキシ化合物と、化学式(XXV)及び/又は同(XXVI)で示されるエポキシ化合物を反応させて、化学式(Ig)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物と、化学式(XX)で示されるオキセタン化合物を反応させることにより、化合物(Ih)で示される化合物としたものである。
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)及び/又は化学式(III)で示される基を表し、Bは化学式(XXIV)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、−OMs、−OTs又は−OTfを表す。)
Figure 2019182918
(式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)及び/又は化学式(III)で示される基を表し、Bは化学式(V)で示される2価の基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20までの整数を表す。Yは化学式(IV)で示される基を表す。)
Figure 2019182918
(式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。)
なお、環状エーテル化合物は、単独化合物のみからなる場合、前記式中、n,mが整数で表わされる。
環状エーテル化合物は、前記化学式(Ib)、化学式(Id)、化学式(If)又は化学式(Ih)で示される。即ち、化学式(I)で示される化合物は、化学式(Ib)で示される化合物、化学式(Id)で示される化合物、化学式(If)で示される化合物及び化学式(Ih)で示される何れかの化合物を包含する。
<化学式(Ib)で示される化合物の合成方法について>
化学式(IX)で示される脱離基を有するオキセタン化合物と、ヒドロキシル基を有する化学式(X)及び/又は同(XI)で示されるオレフィン化合物を反応させて、化学式(Ia)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Ib)で示される化合物を合成することができる。(反応スキーム(A)参照)
Figure 2019182918
また、化学式(Ia)で示される化合物は、化学式(XII)で示されるヒドロキシル基を有するオキセタン化合物と、脱離基を有する化学式(XIII)及び/又は同(XIV)で示されるオレフィン化合物から合成することもできる。
なお、この化学式(Ia)で示される化合物を合成する反応においては、塩基(イ)の存在下で合成することができ、反応を促進させる為の触媒(ロ)を使用してもよい。また、反応を阻害しない限りにおいて、反応溶媒(ハ)を使用してもよい。
また、化学式(Ib)で示される化合物を合成する反応においては、一般に知られているエポキシ化(酸化)の方法を用いることができ、例えば、アセトニトリル−アルコール溶媒中で過酸化水素を用いる方法、タングステン酸ナトリウムを触媒として過酸化水素を用いる方法、過酸を用いる方法等を挙げることができる。
また、化学式(Ib)で示される化合物は、化学式(XII)で示されるヒドロキシル基を有するオキセタン化合物と、化学式(XXI)及び/又は同(XXII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物から、一段階で合成することができる。この反応においては、塩基(イ)を使用し、反応を促進させる為の触媒(ロ)を使用してもよい。また、反応を阻害しない限りにおいて、反応溶媒(ハ)を使用してもよい。
前記の脱離基を有するオキセタン化合物としては、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロエチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモエチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロプロピル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモプロピル)オキセタン等が挙げられ、特に3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタンが好ましい。
前記のヒドロキシル基を有するオレフィン化合物としては、3−シクロヘキセン−1−メタノール、1−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、2−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、3−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、4−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、5−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、6−メチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、3−シクロヘキセン−1−エタノール、アリルアルコール、3−メチルアリルアルコール、2−メチルアリルアルコール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、2,3−ジメチル−2−ブテン−1−オールが挙げられ、特に3−シクロヘキセン−1−メタノール、アリルアルコールが好ましい。
オレフィン化合物の使用量(仕込み量)としては、脱離基を有するオキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記のヒドロキシル基を有するオキセタン化合物としては、3,3−ビス(ヒドロキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヒドロキシエチル)オキセタン、3,3−ビス(ヒドロキシプロピル)オキセタンが挙げられ、特に3,3−ビス(ヒドロキシメチル)オキセタンが好ましい。
前記の脱離基を有するオレフィン化合物としては、4−(クロロメチル)シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−1−メチル−シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−2−メチル−シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−3−メチル−シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−4−メチル−シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−5−メチル−シクロヘキセン、4−(クロロメチル)−6−メチル−シクロヘキセン、アリルクロリド、アリルブロミド、1−クロロ−2−ブテン、3−クロロ−2−メチル−1−プロペン、1−クロロ−3−メチル−2−ブテン、1−クロロ−2−メチル−2−ブテン、1−クロロ−2,3−ジメチル−2−ブテンが挙げられ、特に4−(クロロメチル)シクロヘキセンが好ましい。
オレフィン化合物の使用量(仕込み量)としては、オキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記の脱離基を有するエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、及びメチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン、4−クロロメチルシクロヘキセンオキシド等が挙げられ、特にエピクロロヒドリンが好ましい。脱離基を有するエポキシ化合物の使用量(仕込み量)としては、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記の塩基(イ)としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド又は有機アミン化合物が挙げられる。例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、トリエチルアミン等が挙げられる。用いる塩基はオキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、通常、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記の触媒(ロ)としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム、ヘキサデシルトリエチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、オクチルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウムのハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)等の塩が挙げられる。
第四級ホスホニウム塩の例としては、テトラブチルホスホニウム、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テトラデシルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリエチルオクタデシルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム、ヘキサデシルトリエチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウムのハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)等の塩が挙げられる。
前記のオキセタン化合物と、オレフィン化合物を反応させて、化学式(Ia)で示される化合物の合成においては、触媒(ロ)として、これらの物質を組み合わせて使用してもよい。
触媒(ロ)の使用量(仕込み量)としては、オキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、0.0001〜1.0倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記の反応溶媒(ハ)としては、反応を阻害しない限りにおいて特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ポリエチレングリコール(PEG−400)、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルホルムアミド)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の溶剤が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を組み合わせて、その適宜量を使用することができる。
前記のオキセタン化合物と、オレフィン化合物を反応させて、化学式(Ia)で示される化合物(オレフィン化合物)を合成する際の反応温度は、0〜150℃の範囲に設定することが好ましく、20〜120℃の範囲に設定することがより好ましい。また、反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜設定されるが、1〜48時間の範囲に設定することが好ましい。
この反応の終了後、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、目的物である化学式(Ia)で示される化合物を分離して取り出すことができる。更に必要により、水等による洗浄や、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー等の手段を利用して精製することができる。
前記の過酸を用いて化学式(Ia)で示されるオレフィン化合物をエポキシ化する反応において、オキソン試薬、過酢酸、メタクロロ過安息香酸等の過酸を用いることができる。過酸は、該オレフィン化合物の有する二重結合に対して、1.0〜5.0倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記過酸を用いて化学式(Ia)で示されるオレフィン化合物をエポキシ化する反応において、反応溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に制限されることはないが、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等を挙げることができる。これらの反応溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、適宜量が用いられる。
前記の過酸を用いて化学式(Ia)で示されるオレフィン化合物をエポキシ化するときの反応温度は、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲である。また、反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
この反応の終了後、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、目的物であるエポキシ基とオキセタニル基を同時に有する化合物を分離して取り出すことができる。更に必要により、水等による洗浄や、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー等の手段を利用して精製することができる。
タングステン酸ナトリウムを触媒として用いて、過酸化水素にて化学式(Ia)で示されるオレフィン化合物を酸化する場合、過酸化水素は、該オレフィン化合物の有する二重結合に対して、1.0〜5.0当量の割合で用いられる。また、タングステン酸ナトリウムは、該オレフィン化合物の有する二重結合に対して、0.001〜0.5倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
反応溶媒は、これを用いるときは、反応を阻害しない限りは、特に制限されることはないが、例えば、前記過酸を用いるエポキシ化反応の場合と同じ反応溶媒を用いることができる。
また、反応温度は、前記過酸を用いるエポキシ化反応の場合と同じく、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲であり、反応時間も、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
反応終了後は、前記過酸による酸化反応の場合と同じように、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、環状エーテル化合物を分離して取り出すことができる。
アセトニトリル−アルコール溶媒中で過酸化水素によりエポキシ化を行う場合、過酸化水素は、化学式(Ia)で示されるオレフィン化合物の有する二重結合に対して、1.0〜5.0倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。また、アセトニトリルは該オレフィン化合物に対して、0.5〜5.0倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。アルコールの使用量は過酸化水素添加前の状態で10〜80重量%の適宜の割合とすることが好ましい。また、塩基を用いて、pHを7〜13の範囲とすることが好ましい。
前記反応に用いるアルコールは、炭素数1〜4の飽和アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノールが挙げられる。これらのアルコールは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、適宜量が用いられる。
前記反応に用いる塩基としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩、又は有機アミン化合物が挙げられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムを用いることが好ましく、単独で、又は2種以上を組み合わせて、適宜量が用いられる。
また、反応温度は、前記過酸を用いる酸化反応の場合と同じく、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲であり、反応時間も、反応温度にもよるが、通常、1〜48時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
反応終了後は、前記過酸による酸化反応の場合と同じように、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、目的物であるエポキシ基とオキセタニル基を同時に有する化合物を分離して取り出すことができる。
<化学式(Id)で示される化合物の合成方法について>
化学式(XV)及び/又は同(XVI)で示される脱離基を有するオレフィン化合物と、化学式(XVII)で示されるヒドロキシル基を有するオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ic)で示される化合物を生成させ、次いで、この化合物が有する二重結合をエポキシ化することにより、化学式(Id)で示される化合物として合成することができる。(反応スキーム(B)参照)
Figure 2019182918
また、化学式(Id)で示される化合物は、化学式(XVIII)又は同(XIX)で示されるヒドロキシル基を有するオレフィン化合物と、化学式(XX)で示される脱離基を有するオキセタン化合物から合成することもできる。
化学式(Ic)で示される化合物を合成する反応においては、前記の化学式(Ia)を合成する反応と同様の条件で実施することができる。また、化学式(Id)で示される化合物を合成する反応においては、前記の化学式(Ib)を合成する反応と同様の条件で実施することができる。
前記の脱離基を有するオレフィン化合物としては、1,4−ジクロロブテン、1,4−ジブロモブテン、1,4−ジクロロ−2−メチルブテン、1,4−ジブロモ−2−メチルブテン、1,4−ジクロロ−2,3−ジメチルブテン、1,4−ジブロモ−2,3−ジメチルブテン等が挙げられ、特に1,4−ジクロロブテン、1,4−ジブロモブテンが好ましい。
前記のヒドロキシル基を有するオキセタン化合物としては、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシプロピルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシプロピルオキセタン等が挙げられ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。
オキセタン化合物の使用量(仕込み量)としては、オレフィン化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
前記のヒドロキシル基を有するオレフィン化合物としては、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ジメチル−2−ブテン−1,4−ジオールが挙げられ、特に2−ブテン−1,4−ジオールが好ましい。
前記の脱離基を有するオキセタン化合物としては、3−メチル−3−クロロメチルオキセタン、3−エチル−3−クロロメチルオキセタン、3−プロピル−3−クロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ブロモメチルオキセタン、3−エチル−3−ブロモメチルオキセタン、3−プロピル−3−ブロモメチルオキセタン等が挙げられ、特に3−エチル−3−クロロメチルオキセタンが好ましい。
オキセタン化合物の使用量(仕込み量)としては、オレフィン化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
<化学式(If)で示される化合物の合成方法について>
化学式(XXIII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物と、化学式(XVII)で示されるヒドロキシル基を有するオキセタン化合物を反応させて、エポキシ基の開環を伴い、化学式(Ie)で示される化合物を生成させ、次いで、化学式(XXI)又は(XXII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物を反応させることによりエポキシ基とオキセタニル基を同時に有する化合物(If)を得ることができる。(反応スキーム(C)参照)
Figure 2019182918
なお、この化学式(Ie)で示される化合物を合成する反応においては、前記塩基(イ)の存在下で合成することができ、反応を促進させる為の前記触媒(ロ)を使用してもよい。また、反応を阻害しない限りにおいて、前記反応溶媒(ハ)を使用してもよい。
また、化学式(If)で示される化合物を合成する反応においては、前記塩基(イ)の存在下で合成することができ、反応を促進させる為の前記触媒(ロ)を使用してもよい。また、反応を阻害しない限りにおいて、前記反応溶媒(ハ)を使用してもよい。
前記の脱離基を有するエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒド
リン、及びメチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン等が挙げられ、特にエピクロロヒドリンが好ましい。
前記のヒドロキシル基を有するオキセタン化合物としては、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシプロピルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシプロピルオキセタン等が挙げられ、特に3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましい。
ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物の使用量(仕込み量)としては、脱離基を有するエポキシ化合物の使用量(仕込み量)に対して、2〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
脱離基を有するエポキシ化合物と、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ie)で示される化合物の合成においては、前記触媒(ロ)として、これらの物質を組み合わせて使用してもよい。
前記触媒(ロ)の使用量(仕込み量)としては、オキセタン化合物の使用量(仕込み量)に対して、0.0001〜1.0倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
脱離基を有するエポキシ化合物と、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ie)で示される化合物を合成する際の反応温度は、0〜150℃の範囲に設定することが好ましく、20〜120℃の範囲に設定することがより好ましい。また、反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜設定されるが、1〜48時間の範囲に設定することが好ましい。
この反応の終了後、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、目的物である化学式(Ie)で示される化合物を分離して取り出すことができる。
更に必要により、水等による洗浄や、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー、蒸留等の手段を利用して精製することができる。
化学式(Ie)で示される化合物と、化学式(XXI)又は(XXII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物を反応させて、化学式(If)で示される化合物を合成する反応において、脱離基を有するエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、及びメチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン、4−クロロメチルシクロヘキセンオキシド等が挙げられ、特にエピクロロヒドリンが好ましい。脱離基を有するエポキシ化合物の使用量(仕込み量)としては、化学式(Ie)で示される化合物の使用量(仕込み量)に対して、1〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
化学式(Ie)で示される化合物と、化学式(XXI)又は(XXII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物を反応させて、化学式(If)で示される化合物を合成する際の反応温度は、−20〜150℃の範囲に設定することが好ましく、0〜100℃の範囲に設定することがより好ましい。また、反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜設定されるが、1〜48時間の範囲に設定することが好ましい。
この反応の終了後、得られた反応液から、例えば、溶媒抽出法等の手段によって、目的物である化学式(If)で示される化合物を分離して取り出すことができる。
更に必要により、水等による洗浄や、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー、蒸留等の手段を利用して精製することができる。
<化学式(Ih)で示される化合物の合成方法について>
化学式(XXIII)で示される脱離基を有するエポキシ化合物と、化学式(XXV)及び/又は同(XXVI)で示されるヒドロキシル基を有するエポキシ化合物を反応させて、エポキシ基の開環により、化学式(Ig)で示される化合物を生成させる。続いて、化学式(XX)で示される脱離基を有するオキセタン化合物を反応させることにより、エポキシ基及びオキセタニル基を同時に有する、化合物(Ih)を得ることができる。
化学式(Ig)で示される化合物を合成する反応は、前述の化学式(Ie)を合成する反応と同様の条件で実施することができる。
また、化学式(Ih)で示される化合物を合成する反応は、前述の化学式(If)を合成する反応と同様の条件で実施することができる。
前記の脱離基を有するエポキシ化合物の具体例としては、前記の「化学式(If)で示される化合物の合成方法について」の項にて、述べたとおりである。
また、前記のヒドロキシル基を有するエポキシ化合物としては、グリシドール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、2,3−エポキシ−3−メチル−1−ブタノール、2,3−エポキシ−2−メチル−1−ブタノール、2,3−エポキシ−2,3−ジメチル−1−ブタノール、3,4−エポキシシクロヘキサンメタノール等が挙げられ、特にグリシドール、3,4−エポキシシクロヘキサンメタノールが好ましい。
化学式(Ig)で示される化合物と、化学式(XX)で示される脱離基を有するオキセタン化合物を反応させて、化学式(Ih)で示される化合物を合成する反応において、脱離基を有するオキセタン化合物としては、3−メチル−3−クロロメチルオキセタン、3−エチル−3−クロロメチルオキセタン、3−プロピル−3−クロロメチルオキセタン、3−メチル−3−ブロモメチルオキセタン、3−エチル−3−ブロモメチルオキセタン、3−プロピル−3−ブロモメチルオキセタン等が挙げられ、特に3−エチル−3−クロロメチルオキセタンが好ましい。脱離基を有するオキセタン化合物の使用量(仕込み量)としては、化学式(Ig)で示される化合物の使用量(仕込み量)に対して、1〜20倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。
このようにして合成された環状エーテル化合物を含有する光造形用硬化性組成物は、次のようにして調製される。光造形用硬化性組成物の調製方法に特に制限はなく、例えば、硬化性化合物と、必要に応じて、前述の他の硬化性化合物、重合開始剤及び、添加剤を混合し、あるいは、粘度調整用希釈剤(有機溶剤)に硬化性化合物を溶解又は分散させた溶液と、以下同様に、他の硬化性化合物、重合開始剤、添加剤を混合することにより調製することができる。混合の手段としては、撹拌など公知の方法を採用することができる。必要に応じて減圧下又は真空下で脱泡、脱気してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
まず、下記合成例1〜3に示すように、環状エーテル化合物の合成を行った。
〔合成例1−1〕
<3,3−ビス[(3−シクロヘキセン−1−イルメトキシ)メチル]オキセタンの合成>
3Lのナスフラスコに、3−シクロヘキセン−1−メタノール295.9g(2.64mol)、N,N−ジメチルホルムアミド315.9gを仕込み、撹拌しながら5℃まで氷冷した。tert−ブトキシカリウム285.3g(2.53mol)を仕込み、次いで、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン(1.06mol)を滴下した。室温まで昇温し、14時間撹拌した。
続いて、反応液にトルエンを加え、水洗し、得られた有機層を濃縮し、濃縮物461.6gを得た。この濃縮物を蒸留により精製し、標題のオキセタン化合物(化学式(I'-1)参照)を、無色透明液体として、252.5g(0.82mol/収率78.1%)得た。
このオキセタン化合物のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。このデータにより、得られた無色透明液体は、下記化学式(I'-1)で示される化合物であるものと同定した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.67(s, 4H), 4.47(s, 4H), 3.63(s, 4H), 3.35(d, 4H), 2.06(m, 6H), 1.90(m, 2H), 1.75(m, 4H), 1.29(m, 2H).
Figure 2019182918
〔合成例1−2〕
<3,3−ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メトキシ)メチル]オキセタンの合成>
300mlナスフラスコに、合成例1−1において合成したオキセタン化合物を5.89g(19.2mmol)、炭酸カリウム0.79g(5.72mmol)、アセトニトリル3.20g(77.95mmol)、メタノール5.83gを仕込み、室温下で撹拌した。30%過酸化水素水溶液7.68g(67.74mmol)を滴下し18時間撹拌した。
反応液にトルエン60gを加え、生成物を抽出し、水洗した。有機層を濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1(容量比))により精製し、2.89g(8.54mmol/収率44.5%)の無色透明液体を得た。
この液体のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。このデータにより、得られた無色透明液体は、化学式(I-1)で示される化合物であるものと同定した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.44(s, 4H), 3.56(s, 4H), 3.22(m, 8H), 2.15(m, 2H), 2.03(m, 2H), 1.80(m, 3H), 1.49(m, 5H), 1.17(m, 1H), 1.02(m, 1H).
Figure 2019182918
〔合成例2〕
<3,3−ビス[(2−オキシラニルメトキシ)メチル]オキセタンの合成>
5Lナスフラスコに、3,3−ビスヒドロキシメチルオキセタンを391.4g(3.31mol)、エピクロロヒドリンを2438.6g(26.36mol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドを12.8g仕込み、10℃まで氷冷し、48%水酸化ナトリウム水溶液3865.2g(46.38mol)を滴下し、14時間撹拌した。
反応液にジクロロメタンを加え、水洗し、有機層を濃縮した。得られた濃縮物を蒸留により精製し、169.1g(0.73mol/収率22.2%)の無色透明液体を得た。
この液体のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。このデータにより、得られた無色透明液体は、化学式(I-9)で示される化合物であるものと同定した。
1H-NMR (D6-DMSO) δ: 4.42(s, 4H), 3.77(dd, 2H), 3.63(d, 14H), 3.31(dd, 2H), 3.11(m, 2H), 2.73(t, 2H), 2.55(dd, 2H).
Figure 2019182918
〔合成例3−1〕
<1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]2−プロパノールの合成>
300mlのナスフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン48.79g(420mmol)、水酸化ナトリウム5.76g(144mmol)を仕込み、撹拌しながら45℃まで昇温した。同温度で、エピクロロヒドリン11.10g(120mmol)を滴下した。次いで60℃まで昇温し、5時間撹拌した。
続いて、室温まで冷却後、反応液にジクロロメタン600mlと水100mlを加え、抽出、水洗し、得られた有機層を濃縮し、濃縮物を得た。この濃縮物を蒸留により精製し、化学式(I'-3)で示されるオキセタン化合物を、無色透明液体として、9.13g(31.6mmol/収率26.4%)得た。
このオキセタン化合物のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。このデータにより、得られた無色透明液体は、化学式(I'-16)で示される化合物であるものと同定した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.42(dd, 8H), 3.99(m, 1H), 3.56(m, 8H), 2.58(d, 1H), 1.72(q, 4H), 0.82(t, 6H).
Figure 2019182918
〔合成例3−2〕
<1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]2−(2−オキシラニルメトキシ)プロパンの合成>
100mlナスフラスコに、合成例3−1において合成したオキセタン化合物を8.00g(27.74mmol)、水酸化ナトリウム2.22g(55.5mmol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.51g(2.77mmol)を仕込み、室温下で撹拌した。エピクロロヒドリン7.70g(83.22mmol)を滴下し15時間撹拌した。
続いて、反応液にジクロロメタン50mlと水10mlを加え、抽出、水洗し、得られた有機層を濃縮し、濃縮物を得た。この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1(容量比))により精製し、7.02g(20.4mmol/収率73.4%)の無色透明液体を得た。
この液体のH−NMRスペクトルデータは、以下のとおりであった。このデータにより、得られた無色透明液体は、化学式(I-16)で示される化合物であるものと同定した。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.42(dd, 8H), 3.91(dd, 1H), 3.74(m, 1H), 3.58(m, 9H), 3.13(m, 1H), 2.78(t, 1H), 2.62(dd, 1H), 1.74(q, 4H), 0.89(t, 6H).
Figure 2019182918
〔実施例1〕
下記表1に示す組成の通り、合成例1−2で得た化学式(I-1)で表される3,3−ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メトキシ)メチル]オキセタンを28質量部、HBE−100を16質量部、エポゴーセーPTを8質量部、OXT−101を12質量部、OXT−221を6質量部、A−9550を13質量部、FA−PTG9Aを8質量部、AP−150を4質量部、CPI−200Kを3質量部、及びイルガキュア184を2質量部を攪拌容器内に仕込み、3時間攪拌することにより、実施例1の光造形用硬化性組成物を調製した。
Figure 2019182918
表1中の各成分の略称は、以下の通りである。
<環状エーテル化合物>
(I−1):合成例1−2で合成した化合物、3,3−ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メトキシ)メチル]オキセタン
(I−9):合成例2で合成した化合物、3,3−ビス[(2−オキシラニルメトキシ)メチル]オキセタン
(I−16):合成例3−2で合成した化合物、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]2−(2−オキシラニルメトキシ)プロパン
<カチオン重合性化合物>
HBE−100:水素添加ビスフェノールAモノグリシジルエーテル(新日本理化社製の「HBE−100(商品名)」)
エポゴーセーPT:ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(四日市合成社製の「エポゴーセーPT(商品名)」)
OXT−101:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成社製の「OXT−101(商品名)」)
OXT−221:ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成社製の「OXT−221(商品名)」)
2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製の「セロキサイド2021P(商品名)」)
<ラジカル重合性化合物>
A−9550:ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学社製の「A−9550(商品名)」)
FA−PTG9A:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(共栄社化学社製の「FA−PTG9A(商品名)」)
AP−150:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製の「ブレンマーAP−150(商品名)」)
<光カチオン重合開始剤>
CPI−200K:トリアリールスルホニウム・特殊リン系アニオン塩のプロピレンカーボネート溶液(サンアプロ社製の「CPI−200K(商品名)」)
<光ラジカル重合開始剤>
イルガキュア184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「イルガキュア184(商品名)」)
実施例1の光造形用硬化性組成物を、光造形体製造装置の液槽に注入した。そこへ下記の条件にて半導体レーザーを照射することにより光造形を行い、実施例1の光造形体試験片を作製した。なおこの光造形体試験片ついて、各試験に適した形状のものを夫々二つずつ作製した。作製した試験片は、具体的に、衝撃試験用試験片(アイゾット衝撃強さの試験方法、JIS K7110(1999)に準拠したノッチ付き試験片)、引張試験用試験片(プラスチックの引張試験方法、JIS K−7113(1995)に準拠)、曲げ試験用試験片(曲げ特性の求め方、JIS K7171(2016)に準拠)、熱変形試験用試験片(荷重たわみ温度の求め方、JIS K7191−2(2015)に準拠)、並びに全光線透過率試験用試験片及び黄色度試験用試験片(ともに縦2cm、横4.5cm、高さ1cm)であった。
半導体レーザー:波長355nm、定格出力0.2W
照射エネルギー:0.1J/cm
層断面厚:0.1mm
一層当たり造形時間:平均2分間
前記各試験片にメタルハライドランプから発せられた紫外線(波長365nm、強度3.0mW/cm、20分間)を照射した。それによりそれらを紫外線で2次硬化させ、2次硬化試験片を作製した。
次いで、紫外線2次硬化させた各試験片の一つに熱処理(恒温槽内にて、50℃で1時間静置の後、100℃で2時間加熱)を施した。その後、各試験片を25℃まで冷却し、熱処理試験片を作製した。
〔衝撃試験〕
実施例1の衝撃試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、デジタルインパクトテスターを用い、JIS K−7110(1999)に準拠して、アイゾット衝撃強さを求めた。結果を表2に示す。
〔引張試験〕
実施例1の引張試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、JIS K−7113(1995)に準拠し、引張強さ及び引張伸びを求めた。結果を表2に示す。
〔曲げ試験〕
実施例1の引張試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、JIS K−7171(2016)に準拠し、曲げ強さ及び曲げ弾性率を求めた。結果を表2に示す。
〔熱変形試験〕
実施例1の引張試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、JIS K7191−2(2015)中、試験片へ1.81MPaの荷重を加えるA法、及び試験片へ0.45MPaの荷重を加えるB法に準拠し、熱変形温度(たわみ温度)を求めた。結果を表2に示す。
〔全光線透過率試験〕
実施例1の引張試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、紫外線可視分光光度計及び積分球を用い、標準イルミナントD65及び2°視野における分光透過率測定した。それにより全光線透過率(JIS R3106(1998)に準拠)を求めた。結果を表2に示す。
〔黄色度試験〕
実施例1の引張試験用試験片の2次硬化試験片及び熱処理試験片について、紫外線可視分光光度計及び積分球を用い、標準イルミナントD65及び2°視野における黄色度(JIS K7373(2006)に準拠)を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2019182918
〔実施例2及び3、並びに比較例1及び2〕
表1に示す組成に従ったこと以外は、実施例1と同様に操作して実施例2及び3、並びに比較例1及び2の光造形用硬化性組成物を夫々調製した。これを用いて実施例1と同様に操作することにより、実施例2及び3、並びに比較例1及び2の光造形体試験片を作製した。これらの光造形体試験片を用いて、実施例1と同様に、引張試験、曲げ試験、熱変形試験、全光線透過率試験、及び黄色度試験を行った。得られた試験の結果は表2に示した通りであった。
本発明の光造形体は、電気、電子、光学、自動車、航空機、建築、医療の分野や、美術、芸術、日用、雑貨品等、様々な産業において製造、使用される製品や部品に用いることができる。また光造形体の製造方法は、このような光造形体を速やかにかつ低コストで製造するのに用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記化学式(I)で示されエポキシ基とオキセタニル基とを有する環状エーテル化合物、及び重合開始剤を含有する光造形用硬化性組成物。
    Figure 2019182918
    (式中、2つのAは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、化学式(II)〜(IV)で示される基を表す。Bは化学式(V)〜(VIII)で示される2価の基を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、3つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、9つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。mは0〜2の整数を表す。nは0〜20の整数を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、5つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。nは0〜20の整数を表す。Yは前記の化学式(II)〜(IV)で示される基を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、6つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、12のRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)
    Figure 2019182918
    (式中、8つのRは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。2つのnは互いに独立して同一であっても異なっていてもよく、0〜20の整数を表す。mは0〜2の整数を表す。)。
  2. 前記環状エーテル化合物とは別に、更に、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及び/又はアクリル化合物とを含有することを特徴とする請求項1に記載の光造形用硬化性組成物。
  3. 前記重合開始剤が、光カチオン重合開始剤を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の光造形用硬化性組成物。
  4. 前記光カチオン重合開始剤が、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、臭素塩、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、及びアリールシラノール−アルミニウム錯体から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の光造形用硬化性組成物。
  5. 前記重合開始剤が、光ラジカル重合開始剤を更に含んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載の光造形用硬化性組成物。
  6. 前記光ラジカル重合開始剤が、ベンゾイル化合物、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、及びアシルホスフィンオキシド化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の光造形用硬化性組成物。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の光造形用硬化性組成物の硬化物からなることを特徴とする光造形体。
  8. 請求項7に記載の光造形体を製造する方法であって、前記光造形用硬化性組成物を、活性エネルギー線の照射により硬化させる硬化工程を有することを特徴とする光造形体の製造方法。
  9. 更に、前記硬化工程で得られた前記硬化物を加熱する熱処理工程を有することを特徴とする請求項8に記載の光造形体の製造方法。
  10. 前記光造形体を形成するための層断面データに従って、前記活性エネルギー線を照射することを特徴とする請求項8又は9に記載の光造形体の製造方法。
  11. 前記活性エネルギー線が、300〜450nmの波長を有している紫外線であることを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の光造形体の製造方法。
  12. 紫外線蛍光灯、紫外線発光ダイオード、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、重水素ランプ、ケミカルランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、He−Cdレーザー、Arレーザー、若しくは半導体励起固体レーザーにより前記活性エネルギー線を照射する、又は太陽光を照射することを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の光造形体の製造方法。
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