JP2004008922A - 水から水素生成のための可視光応答性硫化物光触媒 - Google Patents

水から水素生成のための可視光応答性硫化物光触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な可視光活性触媒、特に水分解触媒の提供
【解決手段】NaInS、AgInZnx+2(xは3〜10である)、BiドープZnSまたはPbおよびCl共ドープZnSからなる、更に貴金属、例えば白金により活性化した光触媒、特に、SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させる可視光活性水分解光触媒
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NaInS、AgInZnx+2(xは3〜10である)、BiドープZnSまたはPbおよびCl共ドープZnSを基本とする可視光領域の光に活性を有する光触媒、特にSO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させる水分解光触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
光で触媒反応を行う技術としては、光触媒能を有する固体化合物に光を照射し、生成した励起電子やホールで反応物を酸化、あるいは還元して目的物を得る方法が既に知られている。
中でも、水の光分解反応は光エネルギー変換の観点から興味が持たれている。また、水の光分解反応に活性を示す光触媒は、光吸収、電荷分離、表面での水の酸化還元反応といった機能を備えた高度な光機能材料と見ることができる。
工藤、加藤等は、タンタル酸アルカリ、アルカリ土類等が、水の完全光分解反応に高い活性を示す光触媒であることを多くの先行文献を挙げて説明している〔例えば、Catal.Lett.,58(1999).153−155、Chem.Phys.Lett.331(5/6)373−377(2000),J.,Phys.Chem.B,105(19),4285−4292 (2001)、表面,Vol.36,No.12(1998),625−645(文献A類という)〕。前記文献A類においては、水を水素または/および酸素に分解する反応を進めるのに有用な光触媒材料について解説しており、水の発生した電子の還元による水素生成反応、または発生したホールの酸化による酸素生成反応および水の完全光分解反応用光触媒についての多くの示唆をしている。
また、白金、NiOなどの助触媒またはプロモータを担持した光触媒などについても言及している。
【0003】
しかしながら、ここで解説されているものは、非金属としては酸素を含むものが主である。また、多くの固体光触媒は価電子帯と伝導帯の間にある禁制帯の幅、即ち、バンドギャップエネルギ−が3eVよりも大きいため、3eV未満の低いエネルギーの可視光で作動させることができない。一方、バンドギャップエネルギーが小さく、可視光で電子、ホールを生ずることのできる従来の固体光触媒のほとんどは水の光分解反応等の反応条件下で不安定である。例えばCdS、Cu−ZnS等のバンドギャップは2.4eVであるが酸化的な光腐食作用を受けるため、触媒反応が限定されている。
地表に到達する太陽光のほとんどはエネルギーの小さい可視光であり、太陽光で効率的に多様な触媒反応を進行させるためには可視光で作動しかつ安定な光触媒が必要不可欠である。
【0004】
この様な中で、光触媒の研究に携わっている多くの研究者が、より長波長の可視光に活性を持つ光触媒、特に前記水の分解に活性を持つ光触媒の開発に努力している。しかしながら、犠牲薬を必用としない、実用性のある水の可視光による分解を可能にする光触媒を提供するところまでには至っていない。
前記可視光に活性を有する光触媒の開発では、先ず、より長波長の可視光において活性を示す光半導体の開発が重要であり、これに更に微量の活性化元素と組み合わせて、より長波長域への活性特性の改善、及び安定性の改善を図ることである。また、水の完全分解(全分解)の触媒とはいかなくても少なくとも一方の効率的な分解が可能な光触媒が見出せれば、これらのライブラリーを構成し、多くの触媒の中から前記完全分解の触媒系、たとえばZスキーム型触媒系の構築への可能性を提供する点で重要である。
【0005】
前記したように地表で利用できる太陽光のほとんどは可視光であるので、可視光で励起電子とホールを生成でき、かつ少なくとも還元反応が高効率で進行する光触媒を提供することの多くの提案がなされている。
前記従来の光触媒のほとんどは金属酸化物、すなわち非金属元素として酸素を含むものである。金属酸化物は、伝導帯及び価電子帯のエネルギー的な位置関係は酸素の価電子、O2p軌道のエネルギーによって大きく支配されるため、バンドギャップエネルギ−は3eVより大きく、可視光で光触媒機能を発現させることができない。そこで、価電子帯がO2pより高い準位にあるN2pで構成することによって可視光で水を分解できる触媒材料が作れるのではないかと考え、オキシナイトライド化合物からなる光触媒の検討が堂免、原らによって既になされている〔マテリアルインテグレーションVol.14,No.2(2001)、文献B〕。
また、価電子帯S3pもO2pより高い準位にあることに着目してオキシサルファイド化合物からなる光触媒の検討も堂免、原らによって既になされている〔日本化学会79回大会における講演予稿集、Vol.79th、No.1、pp366;オキシサルファイドによる水の可視光分解の検討、文献C〕。また、O2p以外の価電子帯形成元素としてBi3+やAgも候補としてあがっていることが工藤らによって提案されている。BiVOやAgNbOは可視光照射下で水溶液から酸素生成に活性を示す光触媒である〔J.Am.Chem.Soc.,121(49),11459−11467(1999〕,マテリアルステージ,No.5,21−26(2002)、文献D類〕。前記酸素生成触媒は、前記Zスキーム触媒系の一方の系をなす触媒としての可能性を持つものである。
【0006】
これに対して、微量の活性化元素または化合物と組み合わせて、光活性特性の改善、及び安定性の改善を図る検討もなされている。例えば、SrTiOに関しては、Lehnらは、貴金属助触媒と組み合わせて、例えばRh/SrTiOにつて水の完全光分解に光活性を示すことを証明している。特開2000−189806には、光触媒の可視光活性を改善するために、Pt、Ru、Rh、Ir、Niなどの金属または金属酸化物を担持させることが開示されている。しかしながら、これらにおける貴金属類は光触媒上に担持されたものであり、エネルギーバンドを可視光領域に拡げる効果は期待できない。
【0007】
前記技術に対して、Cr3+とSb5+またはTa5+を共ドープしたSrTiOやTiOは、可視光照射下で、それぞれメタノール水溶液からの水素生成と硝酸銀水溶液からの酸素生成させる触媒活性を示すことが知られており〔J.Phys. Chem., 106(19),5029−5034 (2002)、マテリアルステージ,No.5,21−26(2002)、文献E類〕、前記元素のドープはエネルギーバンドを可視光領域に拡げるだけでなく、HまたはOの生成の活性を付与する効果があることを示している。更に、InあるいはInとZnの酸化物からなる層構造の化合物が可視光下にいてメタノール水溶液から水素を発生させる活性を持つことも報告されている〔A.KudoandI.Mikami,Chem.Lett.,1027(1998)、文献F〕。更に、ZnSに種々の金属元素をドープして可視光における活性を改善する試みも多々行われている〔Catal.Lett.,58〔4〕,241−243(1999),Chem.Commun.,1371−1372(2000);文献G類〕
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明の課題は、前記可視光活性を持つ光触媒の豊富化を実現するために、少なくとも水の光分解によるHの生成において効率の良い新規な触媒を提案することである。また、環境に対する配慮をした毒性のない前記光触媒として有用な物質を提供することである。そこで、前記価電子帯S3pの特性を利用と前記層構造の化合物が可視光活性とを組み合わせた光触媒が設計できないかと検討する中で、硫化物である、NaInS、及びAgInZn化合物が可視光の下で水素を発生すること、更にPtを担持させることにより飛躍的に前記活性が向上され、可視光照射下での量子収率でそれぞれ6,15%という値が得られること、また、ZnSにBiまたはPbおよびClを共ドープした化合物が可視光に活性があるこが分かり、前記課題を解決することができた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明第1は、NaInSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒である。好ましくは、貴金属、例えば白金触媒を担持させたことを特徴とする請求項1に記載の可視光活性を有する光触媒である。本発明の第2は、SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるNaInSからなる可視光活性水分解光触媒であり、好ましくは、貴金属、例えば白金触媒を担持させたことを特徴とする前記SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させる可視光活性水分解光触媒である。
【0010】
本発明の第3は、AgInZnx+2(xは3〜10である)からなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒であり、好ましくは、貴金属、例えば白金触媒を担持させたことを特徴とする前記可視光活性を有する光触媒である。本発明の第4は、SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるAgInZnx+2(xは3〜10である)からなることを特徴とする可視光活性水分解光触媒であり、好ましくは、白金触媒を担持させたことを特徴とする前記可視光活性水分解触媒である。
【0011】
本発明の第5は、BiドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒である。本発明の第6はSO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるBiドープZnSからなることを特徴とする可視光活性水分解光触媒である。
【0012】
本発明の第7は、PbおよびCl共ドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒である。本発明の第8は、SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるPbおよびCl共ドープZnSからなることを特徴とする可視光活性水分解触媒であり、好ましくは、白金触媒を担持させたことを特徴とする前記可視光活性水分解触媒である。
【0013】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の第1のNaInSは図1aで模式的に示す層構造を持ち、bに示す八面体がつながった硫化物層間にNaが存在する層構造を持っている。
酸化物に対して、硫化物は光半導体CdSと同様に酸化に対して安定性が劣るが、可視光領域に吸収性を持つことから光触媒としては魅力のある化合物である。そこでInの硫化物の合成法を検討し、硝酸インジウムと硝酸ナトリウムの混合水溶液に硫化ナトリウム水溶液を徐々に加えてた後、室温で反応させてNaInSのXRD測定においてアモルファスの前駆体を得(Na存在下での沈殿反応ではInは生成しなかった。)、この前駆体を窒素気流中において150℃(432K)で乾燥後、300℃(573K)で熱処理することにより結晶性NaInSを得た。
XRD測定により、単一相であり、BET表面積は14m/gであった。光触媒としての活性は、前記結晶性NaInSを室温の水中で処理することによって得られた。
前記結晶性NaInSは貴金属、例えばPtを担持させることにより触媒活性を著しく改善することができる。
【0014】
B.本発明の第3のAgInZnx+2(xは3〜10である)からなる触媒は、バンドギャップ2.3eVを持ち、Pt/CdSの持つバンドギャップ2.4eVよりも小さくより長波長の光を利用できる効率的な、水の光分解によりHを生成させる有用な光触媒を提供するものである。
前記AgInZnx+2(xは3〜10である)は、Ag、In、及びZnの硝酸塩水溶液にHSを通すことによりAgInZnの灰色の前駆体を得、これを真空アンプル中で852℃(1125K)で熱処理することにより黄色の粉末を得た。該粉末は、AgInZnの単一相であることをXRD測定により確認した。BET表面積は0.6m/gであった。
この触媒は、貴金属、例えばPtなどを担持させなくても可視光での活性は高いが、貴金属、例えばPtなどを担持させることにより、一層活性を改善できる。
【0015】
C.本発明の第5のBiドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒および本発明の第7のPbおよびCl共ドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒は、本発明者が従来から検討してきたZnSに種々の金属をドープすることにより可視光活性の光触媒を得る過程で得られたものである。
Biのドープにおいては、0.1モル%と、少量のドープで活性が改善されることが特徴である。Pbの最適ドープ量は0.5〜1.4モル%であり、Clなどのハロゲンを共ドープすることが好ましい。ドープ方法は原料にドープ金属の塩、例えば硝酸塩を添加し、また塩素などのハロゲンはハロン化物、例えばNaCl供給することにより行う。光活性はドープ後熱処理、例えば200℃(473K)することにより向上する。
D.本発明の硫化物光触媒は、石油化学工業で副生する、または地球上に多量に存在する硫黄系還元剤の利用と組み合わせれば有効であることが予想される。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、この例示により本発明が限定的に解釈されるものではない。
得られた光触媒の特性の測定装置の説明;
XRDは、理学社製のMiniFlexを用いた。
BETは、Coulter社製のSA3100Bを用いた。
拡散反射スペクトル測定は、日本分光社製のUbestV570を用いた。
【0017】
実施例1
NaInSからなる光触媒の調製
99.99%の高純度硝酸インジウムと99.0%の硝酸ナトリウムのそれぞれの濃度が0.25モル/Lの混合水溶液80mLに、1.25モル/Lの濃度の硫化ナトリウム溶液120mLを徐々に加えた後、室温で20時間反応させてNaInSの前駆体を得た。前記前駆体はXRD測定からアモルファスであった。前記Na存在下での沈殿反応では、Inは生成しなかった。得られた前駆体粉末を窒素気流中において150℃で0.5時間乾燥し、ついで、300℃(573K)で、2時間熱処理した。これにより結晶性のNaInSを得た。薄い黄色を呈する。XDR測定により単一相であり、BET表面積は14m/gであった。この結晶性NaInSを更に室温の水中で約10時間処理した。得られたNaInS粉末0.7gを、濃度0.5モル/L、容積320mLの亜硫酸カリウム(KSO)中に懸濁させ、300W キセノンランプと紫外光カットフイルターを用いて可視光照射した。生成したHは、閉鎖循環系に直結したガスクロにより定量した。紫外可視近赤外分光光度計により拡散反射スペクトルを測定した。図1にNaFeO型のNaInSの構造を示す。これは、InS八面体が稜共有したアニオン層とその層間のナトリウムイオン層から成り立っている。この構造は、MoSのような層状の半導体とは異なる。NaInSの吸収は、そのインジウム硫化物アニオン層で起こっており、この伝導体と価電子帯、それぞれIn5sとS3pなっていると考えられる。
【0018】
NaInSの拡散スペクトルを図2に示す。アモルファス前駆体は白色であるが、熱処理した結晶体は薄い黄色であった。更に水処理したNaInSはオレンジ−黄色をしており、可視光領域に大きな吸収を持っていた。NaInSのバンドギャップは、吸収端波長から2.3eVと見積もることができる。前記水処理前後でXDRパターンは変化がなかった。
図3に、水処理したNaInSの可視光照射下での亜硫酸ナトリウム水溶液からの28μmol/1時間のH生成活性を示す。Pt助触媒を担持しなくてもH生成活性を示した。図3から理解されるようにPt助触媒の担持により活性が飛躍的に増加することが分かる。このことは、NaZnSの伝導帯レベルが、水の還元電位よりも少し高いことを示している。初期には470μmol/1時間の速度でHが生成した。このときの量子収率は、440nmの波長において約6%であった。熱処理した触媒でも、反応中に水処理と同様に色が変わり光触媒活性が得られた。水処理した結晶性のNaZnSを用いたH生成反応の活性スペクトルは拡散反射スペクトルとよく一致しており、水素の発生がバンドギャップ励起により進行していることを証明している。
【0019】
実施例2
AgInZn固溶体光触媒の調製
Ag、In、及びZnの硝酸塩水溶液にHSを通すことによりAgInZnの灰色の前駆体を得、これを真空アンプル中で852℃(1125K)で5時間の熱処理をすることによ黄色の粉末を得た。該粉末は、AgInZnの単一相であることをXRD測定により確認した。BET表面積は0.6m/gであった。このAgInZnの拡散反射スペクトルを積分球を備えた紫外可視近赤分光光度計を用いて測定した。測定結果を図4に示した。このスペクトルの吸収端からバンドギャップとして2.3eVの数値が見積もられる。
また、XRD測定によりウルツァイト構造を持っていることが観察された。このAgInZnは、ZnSとAgInSの固溶体と見ることができ、そのバンドギャップは、ZnSのバンドギャップ3.7eVとAgInSのバンドギャップ1.8eVの間にある。ZnSに対するAgInSの固溶体比が大きくなるにつれて、バンドギャップが連続的に小さくなり、その比が7:1のAgInZnの組成において最も高い活性を示した。AgInZnの伝導帯ははZn4sとIn5s軌道、価電子帯はS3pとAg5d軌道からなっていると考えられる。
【0020】
白金助触媒の担持は、光電着で行った。光触媒活性は、実施例1と同様の反応器で測定した。前記調製の触媒0.3gをSO 2−とS2−イオンが存在する水溶液300mLに懸濁させ、300Wキセノンランプと420nm以下のスペクトルをカットするフィルターを組み合わせ、λ>420nmの可視光を用いて、触媒のH生成活性を測定した。その結果を図5に示す。Ptを担持させた触媒の初期のH生成速度は約940μmol/1時間という光活性が得られた。このときの420nmでの量子収率は、約15%であった。14時間後の触媒の物質量に対する反応電子数(ターンオーバー数)は54であった。これらの値から,光触媒的に反応が進行したことが明らかである。
犠牲薬の存在により光腐食による失活はほとんど見られなかった。
【0021】
実施例3
BiドープZnS並びにPbおよびCl共ドープZnSからなる光触媒
触媒の調製は、Zn(NOとBi(NOまたはPb(NOの混合水溶液中に、硫化ナトリウム水溶液、塩素を共ドープする時は更にNaClを添加、または硫化水素を導入して沈殿を生成させて実施した。得られた触媒は、必要に応じて窒素気流中で、または石英アンプルに真空封入し熱処理する。拡散反射スペクトルを図6に示す。Bi−ZnSのエネルギーギャップを見積もると、2.5eVとなった。触媒の組成、熱処理条件、水素発生水溶液の組成、および生成特性(300WXeランプと420nm以下のスペクトルをカットするフィルターを組み合わせた光源を用いた。)をまとめたものを表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 2004008922
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の硫化物光触媒のバンドギャップは2.5eV〜2.3eVと顕著な光活性を示す触媒を提供できたという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NaZnSウルツァイト層構造aと八面体がつながった硫化物層b
【図2】300℃(573K)熱処理及び熱処理後水処理したNaInSの拡散反射スペクトル
【図3】300℃(573K)熱処理NaInS光触媒による可視光照射下でのKSO水溶液からのH生成反応
【図4】AgInZnの拡散反射スペクトル
【図5】AgInZn光触媒による可視光照射下での還元剤を含む水溶液からのH生成反応
【図6】実施例1〜3の金属硫化物類光触媒の拡散反射スペクトル

Claims (12)

  1. NaInSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒。
  2. 白金触媒を担持させたことを特徴とする請求項1に記載の可視光活性を有する光触媒。
  3. SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるNaInSからなる可視光活性水分解光触媒。
  4. 白金触媒を担持させたことを特徴とする請求項3記載の可視光活性水分解触媒。
  5. AgInZnx+2(xは3〜10である)からなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒。
  6. 白金触媒を担持させたことを特徴とする請求項5に記載の可視光活性を有する光触媒。
  7. SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるAgInZnx+2(xは3〜10である)からなることを特徴とする可視光活性水分解光触媒。
  8. 白金触媒を担持させたことを特徴とする請求項7記載の可視光活性水分解触媒。
  9. BiドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒。
  10. SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるBiドープZnSからなることを特徴とする可視光活性水分解光触媒。
  11. PbおよびCl共ドープZnSからなることを特徴とする可視光活性を有する光触媒。
  12. SO 2−とS2−イオンが存在する水溶液から可視光下に水素を発生させるPbおよびCl共ドープZnSからなることを特徴とする可視光活性水分解触媒。
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