JP2004008842A - Pcb含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステム - Google Patents

Pcb含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステム Download PDF

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Takeshi Suzuki
鈴木 武志
Toshikazu Shojima
庄島 敏和
Akio Kai
開 昭夫
Takashi Tsutsuba
筒場 孝志
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Abstract

【課題】処理や設備にかかるコストを抑制しながらもPCB含有電気絶縁油内蔵機器を効率よく無害化処理できる方法及びシステムを提供する。
【解決手段】コンデンサの内部からPCB含有絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、絶縁油の粗洗浄液でコンデンサを粗洗浄する粗洗浄手段121〜123と、粗洗浄されたコンデンサを絶縁油の仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段151と、粗洗浄されたコンデンサを加熱処理する加熱処理手段141,142と、洗浄手段121〜123,141,142で使用された洗浄液に含まれるPCB濃度を調整する濃度調整手段161と、濃度調整された絶縁油中のPCBを、電気絶縁油の分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段162と、脱塩素化処理された絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えて無害化処理システム100を構成した。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl,ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造及び輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性及び環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
【0004】
このPCBは平成4(1997)年に廃PCB、PCBを含む廃油、PCB汚染物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理廃棄物に指定され、さらに、平成9(1997)年にはPCB汚染物として木くず、繊維くずが、追加指定された。
【0005】
PCB処理物となる電気機器としては、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス、低圧コンデンサ、柱上トランス、蛍光灯安定器のコンデンサ等があり、現在これらは厳重に保管がなされているが、早急なPCBの処理が望まれている。
【0006】
近年では、このような電気機器に使用されているPCBを処理する技術が種々開発されており、例えば特開平9−79531号公報に記載の技術が知られている。図6に、上記提案にかかるPCBの処理方法のフローチャートを示す。
【0007】
図6に示すように、まず、PCBが封入されているトランスから油を抜き取り(S901)、さらに溶剤洗浄によって内部に付着しているPCBを除去し(S902)、回収する(S903)。洗浄後の溶剤は、トランスから抜き出した油と共に分解処理され(S904)、無害化される。
【0008】
つぎに、油抜きしたトランスを乾燥させてPCBを無酸素下高温常圧加熱によって蒸発させ(S905)、PCBの飛散を防止する。そして、乾燥後のトランスを解体し(S906)、ケースとトランスコアを分離する。ケースは、電炉や転炉のスクラップ源に供される(S907)。一方、トランスコアは、モービルシャー等によってその銅コイルを切断され、コイル線と鉄心とに分離される(S908)。
【0009】
分離された鉄心は溶融炉にて溶融され、回収される(S909)。また、分離した銅コイル等の金属製の無機物及びこれに付着した紙などの有機物は、誘導加熱炉にて溶融される(S910)。そして、上記溶融した銅は回収され、各溶融炉で発生したPCBガスは、1200℃で高温熱分解することにより無害化される(S911)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような従来のPCB処理方法においては、溶剤で洗浄することにより、PCBを除去すると共に、洗浄後の溶剤を分解処理することから、多量の溶剤が必要となってしまうため、処理にかかるコストが高くなってしまうと共に、消防法による危険物として取り扱わなければならず、防爆等の設備にかかるコストも高くついてしまっていた。
【0011】
このようなことから、本発明は、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、PCB含有電気絶縁油内蔵機器を効率よく無害化処理することができる方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理する方法であって、前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄工程と、粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄工程及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理工程のうちの少なくとも一方の工程と、前記洗浄工程で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程とを有することを特徴とする。
【0013】
第二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目の発明において、粗洗浄前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出工程を有し、前記脱塩素化処理工程が、前記洗浄液及び前記油抜出工程からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0014】
第三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、仕上洗浄または加熱処理前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別する分別工程を有することを特徴とする。
【0015】
第四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄することを特徴とする。
【0016】
第五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄工程を有すると共に、前記脱塩素化処理工程が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0017】
第六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第五番目の発明において、前記仕上洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄することを特徴とする。
【0018】
第七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第五番目または第六番目の発明において、前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油であることを特徴とする。
【0019】
第八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄工程を有すると共に、前記仕上洗浄工程で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製工程を有し、前記脱塩素化処理工程が、前記仕上洗浄液精製工程で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0020】
第九番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第八番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理工程を有し、前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理工程からの前記電気絶縁油であることを特徴とする。
【0021】
第十番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第九番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄工程及び前記仕上洗浄工程のうち少なくとも前記粗洗浄工程が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄することを特徴とする。
【0022】
第十一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整工程を有することを特徴とする。
【0023】
第十二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理工程を有することを特徴とする。
【0024】
第十三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第十二番目の発明において、前記表面処理工程が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄することを特徴とする。
【0025】
第十四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十三番目の発明のいずれかにおいて、前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかであることを特徴とする。
【0026】
また、前述した課題を解決するための、第十五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理するシステムであって、前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄手段と、粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理手段のうちの少なくとも一方の手段と、前記洗浄手段で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段とを有することを特徴とする。
【0027】
第十六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目の発明において、粗洗浄の前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段を有し、前記脱塩素化処理手段が、前記洗浄液及び前記油抜出手段からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0028】
第十七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目または第十六番目の発明において、仕上洗浄または加熱処理の前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別する分別手段を有することを特徴とする。
【0029】
第十八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十七番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄することを特徴とする。
【0030】
第十九番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十八番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄手段を有すると共に、前記脱塩素化処理手段が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0031】
第二十番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十九番目の発明において、前記仕上洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄することを特徴とする。
【0032】
第二十一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十九番目または第二十番目の発明において、前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理手段で使用された前記電気絶縁油であることを特徴とする。
【0033】
第二十二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十八番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄手段を有すると共に、前記仕上洗浄手段で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段を有し、前記脱塩素化処理手段が、前記仕上洗浄液精製手段で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理することを特徴とする。
【0034】
第二十三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十二番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段を有し、前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理手段からの前記電気絶縁油であることを特徴とする。
【0035】
第二十四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十三番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄手段及び前記仕上洗浄手段のうち少なくとも前記粗洗浄手段が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄することを特徴とする。
【0036】
第二十五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十四番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理手段で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整手段を有することを特徴とする。
【0037】
第二十六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十五番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理手段を有することを特徴とする。
【0038】
第二十七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第二十六番目の発明において、前記表面処理手段が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄することを特徴とする。
【0039】
第二十八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十七番目の発明のいずれかにおいて、前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかであることを特徴とする。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0041】
[第一番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの第一番目の実施の形態を図1を用いて説明する。図1は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。
【0042】
コンデンサは、碍子等を取り付けた金属製の容器の内部にPCB含有電気絶縁油と共に複数の素子が内蔵されたものである。上記素子は、アルミニウム箔、絶縁紙、プラスチックスフィルム等からなり、種類によってはプラスチックスフィルムを含んでいない場合がある。本実施の形態では、このようなコンデンサを無害化処理する場合について説明する。
【0043】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム100は、前記コンデンサの内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、PCB含有電気絶縁油を抜き出したコンデンサの内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する第一の粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する第二の粗洗浄手段122と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する第三の粗洗浄手段123と、前記容器等を加熱処理する第一の加熱処理手段141と、前記素子を加熱処理する第二の加熱処理手段142と、前記容器等を電気絶縁油からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第一の仕上洗浄手段151と、前記粗洗浄手段121〜123及び前記仕上洗浄手段151で使用された前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液並びに前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を調整する濃度調整手段161と、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムを加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えている。
【0044】
前記油抜出手段111は、例えば、コンデンサの容器の上部及び下部に穴を開けて、上部の穴から空気を送給して下部の穴からPCB含有電気絶縁油を抜き出して回収することができるようになっている。なお、コンデンサを60℃以上に加熱すると、PCB含有電気絶縁油の粘度が小さくなり、コンデンサ内から排出されやすくなるので、好ましい。
【0045】
前記第一の粗洗浄手段121は、例えば、上記油抜出手段111で開けた下部の穴から粗洗浄液を供給し、上部の穴から粗洗浄液を排出させ、これを再び下部の穴から供給することを繰り返すことにより、コンデンサの容器の内部に粗洗浄液を循環させて、コンデンサの内部を全体的に粗洗浄することができるようになっている。なお、粗洗浄液(電気絶縁油)を60℃以上に加熱すると、粗洗浄液の粘度が小さくなり、洗浄能力が高まるので、非常に好ましい。
【0046】
前記解体手段131は、例えば、前記コンデンサを切断し、当該コンデンサの内部から素子を取り出して、当該コンデンサを素子と素子以外の容器や碍子等(以下単に「容器等」という)とに分別することができるようになっている。
【0047】
前記裁断手段132は、例えば、コンデンサの容器から取り出された前記素子をハンドリングに容易なサイズにまで油圧カッタ等により裁断加工することができるようになっている。
【0048】
前記第二の粗洗浄手段122は、例えば、コンデンサの前記容器等を粗洗浄液中に浸漬して60℃以上に加熱しながら超音波を照射して粗洗浄することができるようになっている。なお、加熱温度が90℃を超えると、超音波を発生する超音波発振器等に悪影響を及ぼすおそれがあるため、90℃以下で行うとよい。
【0049】
前記第三の粗洗浄手段123は、例えば、前記素子を粗洗浄液中に浸漬して60℃以上に加熱しながら攪拌して粗洗浄することができるようになっている。
【0050】
前記第一の加熱処理手段141は、例えば、前記容器等を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、容器等に付着残留しているPCBを気化させて、当該容器等から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0051】
前記第一の仕上洗浄手段151は、例えば、前記容器等を仕上洗浄液中に浸漬して60℃以上に加熱しながら超音波を照射して仕上洗浄することができるようになっている。
【0052】
前記第二の加熱処理手段142は、例えば、前記素子を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、素子に付着残留しているPCBを気化させて、当該素子から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0053】
前記濃度調整手段161は、例えば、前記粗洗浄手段121〜123及び前記仕上洗浄手段151で使用された前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液並びに前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を10%以下にするように調整することができるようになっている。より具体的には、上記絶縁油中のPCB濃度を計測し、当該PCB濃度が10%以下の場合には、調整することなくそのまま次工程へ移送し、当該PCB濃度が10%を超える場合には、新たに電気絶縁油を加えることにより、PCB濃度を10%に調整する。なぜなら、PCB濃度が10%を超えると、後述する金属ナトリウムとの脱塩素化反応を適切に進行させることが困難となってしまうからである。
【0054】
前記脱塩素化処理手段162は、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に金属ナトリウムを分散させた金属ナトリウム溶液を加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを電気絶縁油中で反応させることにより、前記PCBの脱塩素化処理を行うことができるようになっている。具体的には、例えば、金属ナトリウム粉(直径:5〜10μm程度)を絶縁油中に分散(10wt%程度)させた金属ナトリウム分散体(Sodium Dispersion:SD)を窒素雰囲気下で、PCB濃度を調整された上記絶縁油中に、50〜70℃の温度範囲内でゆっくり滴下(約1時間程度)しながら攪拌し、滴下終了後しばらく攪拌を継続して(約1時間程度)脱塩素化反応を完了させた後、クエンチ水を滴下して、残存する金属ナトリウムを水酸化させることができるようになっている。
【0055】
前記絶縁油再生処理手段163は、前記脱塩素化処理手段162で前記PCBの脱塩素化処理をされた前記電気絶縁油を再生処理することができるようになっている。具体的には、例えば、上記脱塩素化処理手段162で上述したようにして前記PCBの脱塩素化処理をすると、ビフェニル類、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムが主に生成し、塩化ナトリウムや水酸化ナトリウムは前記クエンチ水中に溶解し、ビフェニル類は重合固形物となって存在しているので、固形物を固液分離すると共に、水層と油層とを分離することにより、油層を再利用することができる。一方、水層は塩酸等を加えられて中和処理された後に排水処理され、固形物は保管処理される。
【0056】
なお、本実施の形態では、コンデンサを電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄手段を前記第一〜三の粗洗浄手段121〜123等により構成し、粗洗浄されたコンデンサを仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段を前記第一の仕上洗浄手段151等により構成し、粗洗浄されたコンデンサを加熱処理する加熱処理手段を前記第一,二の加熱処理手段141,142等により構成し、仕上洗浄及び加熱処理前のコンデンサを構成物の構造または材料に応じて分別する分別手段を前記解体手段131,前記裁断手段132等により構成している。
【0057】
このような本実施の形態にかかる無害化処理システム100を使用するコンデンサの無害化処理方法を次に説明する。
【0058】
まず、前記油抜出手段111により、コンデンサを60℃以上に加熱して、コンデンサ内のPCB含有電気絶縁油の粘度を小さくすると共に、コンデンサの容器の上部及び下部に穴を開けて、上部の穴から空気を送給して下部の穴からPCB含有電気絶縁油を抜き出して回収する(油抜出工程)。
【0059】
次に、前記第一の粗洗浄手段121により、粗洗浄液を60℃以上に加熱しながら当該粗洗浄液を上記油抜出手段111で開けた下部の穴から供給し、上部の穴から粗洗浄液を排出させ、これを再び下部の穴から供給することを繰り返すことにより、コンデンサの容器の内部に粗洗浄液を循環させて、コンデンサの内部を全体的に粗洗浄する(第一の粗洗浄工程)。
【0060】
続いて、前記解体手段131により、前記コンデンサを切断し、当該コンデンサの内部から素子を取り出して、当該コンデンサを容器等と素子とに分別する(解体工程)。
【0061】
上記素子は、前記裁断手段132により、ハンドリングに容易なサイズにまで油圧カッタ等により裁断加工される(裁断工程)。
【0062】
上記容器等は、前記第二の粗洗浄手段122により、粗洗浄液中に浸漬されて60℃以上に加熱されながら超音波を照射されて粗洗浄される(第二の粗洗浄工程)。
【0063】
このようにして容器等を粗洗浄したら、前記第一の加熱処理手段141により、当該容器等を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理し(400〜600℃)、容器等に付着残留しているPCBを気化させて、当該容器等から離脱させて活性炭等に吸着回収する(第一の加熱処理工程)。
【0064】
続いて、前記第一の仕上洗浄手段151により、前記容器等を仕上洗浄液中に浸漬して60℃以上に加熱しながら超音波を照射して仕上洗浄する(第一の仕上洗浄工程)。
【0065】
このようにして容器等を仕上洗浄したら、当該容器等のPCB残留量を測定し、規定値以下の場合には、当該容器等の処理作業を終え、規定値を超える場合には、再度仕上洗浄を行う(判定工程)。
【0066】
他方、裁断された前記素子は、前記第三の粗洗浄手段123により、粗洗浄液中に浸漬されて60℃以上に加熱されながら攪拌されて粗洗浄される(第三の粗洗浄工程)。
【0067】
次に、前記第二の加熱処理手段142により、前記素子を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、素子に付着残留しているPCBを気化させて、当該素子から離脱させて活性炭等に吸着回収する(第二の加熱処理工程)。
【0068】
このようにして素子を加熱処理したら、当該素子のPCB残留量を測定し、規定値以下の場合には、当該素子の処理作業を終え、規定値を超える場合には、再度加熱処理を行う(判定工程)。
【0069】
また、前記粗洗浄手段121〜123及び前記仕上洗浄手段151で使用された前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液並びに前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油は、前記濃度調整手段161により、PCB濃度が計測され、当該PCB濃度が10%以下の場合には、濃度調整されることなくそのまま次工程へ移送され、当該PCB濃度が10%を超える場合には、新たに電気絶縁油を加えられることにより、PCB濃度が10%に調整される(濃度調整工程)。
【0070】
次に、前記脱塩素化処理手段162により、金属ナトリウム分散体(Sodium Dispersion:SD)を窒素雰囲気下で、PCB濃度を調整された上記絶縁油中に、50〜70℃の温度範囲内でゆっくり滴下(約1時間程度)しながら攪拌し、滴下終了後しばらく攪拌を継続して(約1時間程度)脱塩素化反応を完了させた後、クエンチ水を滴下して、残存する金属ナトリウムを水酸化させる(脱塩素化処理工程)。
【0071】
このようにして前記絶縁油中のPCBを脱塩素化処理したら、前記絶縁油再生処理手段163により、固形物を分離すると共に、水層と油層とを分離し、水層を中和処理した後に排水処理し、固形物を保管処理すると共に、油層を再利用する(絶縁油再生処理工程)。
【0072】
再生処理された上記絶縁油は、前記粗洗浄手段121〜123及び前記仕上洗浄手段151に送給され、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液として再び利用されると共に、前記金属ナトリウム溶液の分散溶媒として再び利用される。
【0073】
つまり、本実施の形態においては、コンデンサを電気絶縁油からなる前記洗浄液で洗浄することにより、コンデンサに付着残留するPCBを当該電気絶縁油に移行させる一方、金属ナトリウム溶液の分散溶媒を電気絶縁油とし、コンデンサから抜き出したPCB含有電気絶縁油及び上記洗浄液中に上記金属ナトリウム溶液を加えることにより、電気絶縁油中でPCBの脱塩素化処理を行うようにしたのである。
【0074】
このため、消防法による危険物としての取り扱いが容易な電気絶縁油だけでコンデンサを洗浄してPCBの除去を行うことができるので、消防法による危険物としての取り扱いに難点を有する溶剤を使用しなくて済み、防爆等の設備にかかるコストを抑制することができると共に、PCBを分解除去した電気絶縁油を洗浄液や分散溶媒として再利用することができるので、洗浄液等を新規に用意しなくても済み、処理にかかるコストを抑制することができる。
【0075】
したがって、本実施の形態によれば、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができる。
【0076】
[第二番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの第二番目の実施の形態を図2を用いて説明する。図2は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0077】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム200は、前記コンデンサの内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、PCB含有電気絶縁油を抜き出したコンデンサの内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する第一の粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する第二の粗洗浄手段122と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する第三の粗洗浄手段123と、前記容器等を加熱処理する第一の加熱処理手段141と、C〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で前記容器等を仕上洗浄する第一の仕上洗浄手段251と、前記素子をC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第二の仕上洗浄手段252と、前記素子を加熱処理する第二の加熱処理手段142と、前記仕上洗浄手段251,252で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段281と、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液並びに前記仕上洗浄液精製手段281で分離されたPCB及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を調整する濃度調整手段161と、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムを加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えている。
【0078】
前記第一の仕上洗浄手段251は、例えば、前記容器等を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0079】
前記第二の仕上洗浄手段252は、例えば、前記素子を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0080】
ここで、前記仕上洗浄液としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等のC〜Cのアルコール、四塩化炭素、トリクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のC〜Cの塩素化物などが好ましく、特に、イソプロパノール(IPA)であるとより好ましい。
【0081】
前記仕上洗浄液精製手段281は、例えば、前記仕上洗浄手段251,252で使用された前記仕上洗浄液を蒸留することにより、仕上洗浄液を精製して上記仕上洗浄手段251,252で再利用可能にすることができると共に、蒸留残分(PCB)を、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に送り出すことができるようになっている。
【0082】
なお、本実施の形態では、粗洗浄されたコンデンサを仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段を前記第一,二の仕上洗浄手段215,251等により構成している。
【0083】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム200においては、前述した第一番目の実施の形態の無害化処理システム100の場合と同様にして油抜出工程、第一の粗洗浄工程、解体工程、裁断工程、第二の粗洗浄工程、第三の粗洗浄工程、第一の加熱処理工程を行う。
【0084】
第一の加熱処理工程を終えた前記容器等は、前記第一の仕上洗浄手段151により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(第一の仕上洗浄工程)。
【0085】
仕上洗浄された容器等は、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度仕上洗浄が行われる(判定工程)。
【0086】
他方、第三の粗洗浄工程を終えた前記素子は、前記第二の仕上洗浄手段252により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(第二の仕上洗浄工程)。
【0087】
仕上洗浄された素子は、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、第二の加熱処理工程を経た後、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0088】
また、前記仕上洗浄手段251,252で使用された前記仕上洗浄液は、前記仕上洗浄液精製手段281により、蒸留精製されて、上記仕上洗浄手段251,252で再利用される(仕上洗浄液精製工程)。一方、蒸留残分(PCB)は、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に送り出され、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、濃度調整工程、脱塩素化処理工程、絶縁油再生処理工程等を経て無害化処理される。
【0089】
つまり、前述した第一番目の実施の形態では、仕上洗浄液として電気絶縁油を使用し、使用済みの仕上洗浄液を前記粗洗浄液及び前記PCB含有電気絶縁油と共に脱塩素化処理するようにしたが、本実施の形態では、仕上洗浄液としてC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物を使用し、使用済みの仕上洗浄液を蒸留して仕上洗浄液として再利用する一方、残留したPCBを前記粗洗浄液及び前記PCB含有電気絶縁油に加えて脱塩素化処理するようにしたのである。
【0090】
このため、本実施の形態では、アルコールや塩素化物等の溶剤を仕上洗浄液のみに使用することから、アルコールや塩素化物等の溶剤の必要量を非常に少なくしながらも、前述した第一番目の実施の形態の場合よりも洗浄効果を高めることができる。
【0091】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第一番目の実施の形態の場合よりもコンデンサの無害化処理効率を向上させることができる。
【0092】
[第三番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの第三番目の実施の形態を図3を用いて説明する。図3は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一,二番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一,二番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0093】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム300は、前記コンデンサの内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、PCB含有電気絶縁油を抜き出したコンデンサの内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する第一の粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する第二の粗洗浄手段122と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する第三の粗洗浄手段123と、粗洗浄された前記容器等の表面をアルカリまたは酸の表面処理溶液で洗浄して表面処理を行う表面処理手段371と、表面処理手段371で使用された表面処理溶液を再生処理する水分再生処理手段382と、C〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で前記容器等を仕上洗浄する第一の仕上洗浄手段251と、前記素子をC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第二の仕上洗浄手段252と、前記素子を加熱処理する第二の加熱処理手段142と、前記仕上洗浄手段251,252で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段281と、前記仕上洗浄液精製手段281及び前記水分再生処理手段382で分離されたPCB並びに前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を調整する濃度調整手段161と、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムを加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えている。
【0094】
前記表面処理手段371は、例えば、粗洗浄された前記容器等の表面を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリまたは塩酸や硫酸等の酸からなる表面処理溶液で洗浄することにより、当該容器等の表面の錆等を剥離させて当該容器等の表面を滑らかにし、微細な隙間等を減少させることができるようになっている。
【0095】
前記水分再生処理手段382は、例えば、表面処理手段371で使用された前記表面処理溶液を固液分離や蒸留等の再生処理を行うことにより、前記錆等の固形物と水とPCB含有残分とを分離して当該水を再利用することができるようになっている。
【0096】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム300においては、前述した第二番目の実施の形態の無害化処理システム200の場合と同様にして油抜出工程、第一の粗洗浄工程、解体工程、裁断工程、第二の粗洗浄工程、第三の粗洗浄工程、第二の仕上洗浄工程、第二の加熱処理工程を行う。
【0097】
第二の粗洗浄工程を終えた前記容器等は、前記表面処理手段371により、前記表面処理溶液で表面洗浄されて錆等が剥離されることにより、表面の微細な隙間等の減少が図られる(表面処理工程)。
【0098】
表面処理された前記容器等は、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様に、第一の仕上洗浄工程を経た後、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0099】
また、前記表面処理手段371で使用された前記表面処理溶液は、前記水分再生処理手段382により、固液分離や蒸留等の再生処理が行われ、前記錆等の固形物と水とPCB含有残分とが分離される(再生処理工程)。上記水は再利用され、上記固形物は保管処理され、上記PCB含有残分は、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様に、使用済の前記粗洗浄液及び前記PCB含有電気絶縁油並びに前記仕上洗浄液精製手段281で分離されたPCBと共に、濃度調整工程、脱塩素化処理工程、絶縁油再生処理工程等を経て無害化処理される。
【0100】
つまり、本実施の形態においては、粗洗浄された前記容器等を前記表面処理溶液で表面処理して錆等を剥離することにより、当該容器等の表面の微細な隙間等の減少を図るようにしたのである。
【0101】
このため、上記容器等の微細な隙間に存在するPCBも仕上洗浄液でさらに確実に洗浄除去することができる。
【0102】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第二番目の実施の形態の場合よりもコンデンサの無害化処理効率をさらに向上させることができる。
【0103】
[第四番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの第四番目の実施の形態を図4を用いて説明する。図4は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一〜三番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜三番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一〜三番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0104】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム400は、前記コンデンサの内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、PCB含有電気絶縁油を抜き出したコンデンサの内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する第一の粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する第二の粗洗浄手段122と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する第三の粗洗浄手段123と、粗洗浄された前記容器等の表面をアルカリまたは酸の表面処理溶液で洗浄して表面処理を行う表面処理手段371と、C〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で前記容器等を仕上洗浄する第一の仕上洗浄手段251と、粗洗浄された前記素子を水と電気絶縁油との二層からなる分別液中でアルミニウム箔と絶縁紙とに分別する絶縁紙分別手段433と、表面処理手段371で使用された表面処理溶液及び絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の水を再生処理する水分再生処理手段382と、前記アルミニウム箔を加熱処理する第三の加熱処理手段443と、前記アルミニウム箔をC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第三の仕上洗浄手段453と、前記絶縁紙をC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第四の仕上洗浄手段454と、前記絶縁紙を加熱処理する第四の加熱処理手段444と、前記仕上洗浄手段251,453,454で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段281と、前記仕上洗浄液精製手段281及び前記水分再生処理手段382で分離されたPCB並びに前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液及び前記絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の電気絶縁油及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を調整する濃度調整手段161と、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムを加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えている。
【0105】
前記絶縁紙分別手段433は、例えば、水と電気絶縁油との二層からなる分別液中に前記素子が加えられ、当該分別液を60℃以上に加熱しながら攪拌した後に静置することにより、素子を構成するアルミニウム箔を電気絶縁油の層(上層)に浮上させる一方、素子を構成する絶縁紙を水の層(下層)と電気絶縁油の層(上層)との間に浮遊させることで、素子をアルミニウム箔と絶縁紙とに分別することができるようになっている。
【0106】
前記第三の加熱処理手段443は、例えば、前記アルミニウム箔を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、アルミニウム箔に付着残留しているPCBを気化させて、当該アルミニウム箔から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0107】
前記第三の仕上洗浄手段453は、例えば、前記アルミニウム箔を仕上洗浄液中に浸漬して攪拌しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0108】
前記第四の仕上洗浄手段444は、例えば、前記絶縁紙を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0109】
前記第四の加熱処理手段454は、例えば、前記絶縁紙を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、絶縁紙に付着残留しているPCBを気化させて、当該絶縁紙から離脱させて活性炭等に吸着回収すると共に、当該絶縁紙を炭化させることができるようになっている。
【0110】
なお、本実施の形態では、粗洗浄されたコンデンサを仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段を前記第一,三,四の仕上洗浄手段251,453,454等により構成し、粗洗浄されたコンデンサを加熱処理する加熱処理手段を前記第三,四の加熱処理手段443,444等により構成し、仕上洗浄及び加熱処理前のコンデンサを構成物の構造または材料に応じて分別する分別手段を前記解体手段131,前記裁断手段132,前記絶縁紙分別手段433等により構成している。
【0111】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム400においては、前述した第三番目の実施の形態の無害化処理システム300の場合と同様にして油抜出工程、第一の粗洗浄工程、解体工程、裁断工程、第二の粗洗浄工程、第三の粗洗浄工程、表面処理工程、第一の仕上洗浄工程を行う。
【0112】
第二の粗洗浄工程を終えた前記素子は、前記絶縁紙分別手段433により、前記分別液中で60℃以上に加熱されながら攪拌された後に静置され、アルミニウム箔が電気絶縁油の層(上層)に浮上する一方、絶縁紙が水の層(下層)と電気絶縁油の層(上層)との間に浮遊することにより、アルミニウム箔と絶縁紙とに分別される(絶縁紙分別工程)。
【0113】
前記アルミニウム箔は、前記第三の加熱処理手段443により、真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)されることにより、付着残留しているPCBが気化離脱して活性炭等に吸着回収される(第三の加熱処理工程)。
【0114】
続いて、前記第三の仕上洗浄手段453により、仕上洗浄液中に浸漬されて攪拌されることにより仕上洗浄される(第三の仕上洗浄工程)。
【0115】
仕上洗浄された前記アルミニウム箔は、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度仕上洗浄が行われる(判定工程)。
【0116】
他方、前記絶縁紙は、前記第四の仕上洗浄手段454により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(第四の仕上洗浄工程)。
【0117】
続いて、前記第四の加熱処理手段444により、真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)されることにより、付着残留しているPCBが気化離脱して活性炭等に吸着回収される(第四の加熱処理工程)。
【0118】
加熱処理された前記絶縁紙は、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0119】
また、前記絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の水層は、前記表面処理手段371で使用された前記表面処理溶液と共に、前記水分再生処理手段382で再生処理され(再生処理工程)、その後再利用される。他方、前記絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の電気絶縁油層は、前述した第三番目の実施の形態の場合と同様に、前記仕上洗浄液精製手段281及び前記水分再生処理手段382で分離されたPCB並びに使用済みの前記粗洗浄液及び前記PCB含有電気絶縁油と共に、濃度調整工程、脱塩素化処理工程、絶縁油再生処理工程等を経て無害化処理される。
【0120】
なお、前記仕上洗浄手段251,453,454で使用された前記仕上洗浄液は、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様に、前記仕上洗浄液精製手段281により、蒸留精製されて、上記仕上洗浄手段251,252で再利用される(仕上洗浄液精製工程)。
【0121】
つまり、本実施の形態においては、粗洗浄された前記素子をアルミニウム箔と絶縁紙とに分別してから加熱処理や仕上洗浄を行うようにしたのである。
【0122】
このため、素子のアルミニウム箔と絶縁紙との間に浸入付着しているPCBもさらに確実に除去することができる。
【0123】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第三番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第三番目の実施の形態の場合よりもコンデンサの無害化処理効率をさらに向上させることができる。
【0124】
[第五番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法及びそのシステムの第五番目の実施の形態を図5を用いて説明する。図5は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一〜四番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜四番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一〜四番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0125】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム500は、前記コンデンサの内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段111と、PCB含有電気絶縁油を抜き出したコンデンサの内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する第一の粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する第二の粗洗浄手段122と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する第三の粗洗浄手段123と、粗洗浄された前記容器等の表面をアルカリまたは酸の表面処理溶液で洗浄して表面処理を行う表面処理手段371と、C〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で前記容器等を仕上洗浄する第一の仕上洗浄手段251と、粗洗浄された前記素子を水と電気絶縁油との二層からなる分別液中で絶縁紙とアルミニウム箔及びプラスチックスフィルムとに分別する絶縁紙分別手段433と、前記絶縁紙分別手段433からのアルミニウム箔及びプラスチックスフィルムをアルカリ溶液中に浸漬してアルミニウム箔を溶解してプラスチックスフィルムを分別する樹脂分別手段534と、前記樹脂分別手段534でアルミニウム箔を溶解したアルカリ溶液からアルミ成分を沈殿させて分別するアルミ成分分別手段535と、アルミ成分分別手段535からのアルミ成分を加熱処理する第三の加熱処理手段543と、前記絶縁紙及び前記プラスチックスフィルムをC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物からなる仕上洗浄液で仕上洗浄する第四の仕上洗浄手段454と、前記絶縁紙及び前記プラスチックスフィルムを加熱処理する第四の加熱処理手段444と、表面処理手段371で使用された表面処理溶液及び前記アルミ成分分別手段535で使用されたアルカリ溶液並びに絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の水を再生処理する水分再生処理手段382と、前記仕上洗浄手段251,454で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段281と、前記仕上洗浄液精製手段281及び前記水分再生処理手段382で分離されたPCB並びに前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液及び前記絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の電気絶縁油及び前記油抜出手段111で抜き出された前記PCB含有電気絶縁油に含まれる前記PCBの濃度を調整する濃度調整手段161と、PCB濃度を調整された前記絶縁油中に、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムを加えて前記PCBと前記金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段163とを備えている。
【0126】
前記樹脂分別手段534は、例えば、前記絶縁紙分別手段433からのアルミニウム箔及びプラスチックスフィルムをアルカリ溶液(例えば、NaOHを5〜10wt%含有する水溶液)中に浸漬して(常温〜50℃程度)攪拌することにより、アルミニウム箔をアルカリ溶液中に溶解してプラスチックスフィルムを分別することができるようになっている。
【0127】
前記アルミ成分分別手段535は、例えば、前記樹脂分別手段534でアルミニウム箔を溶解したアルカリ溶液中に二酸化炭素ガス等を供給しながら攪拌することにより、当該アルカリ溶液中に溶解しているアルミ成分を沈殿(水酸化アルミニウム)させて分別することができるようになっている。
【0128】
前記第三の加熱処理手段543は、前記アルミ成分分別手段535からのアルミ成分を加熱処理(200〜400℃)することにより、当該アルミ成分をアルミナとすることができるようになっている。
【0129】
なお、本実施の形態では、仕上洗浄及び加熱処理前のコンデンサを構成物の構造または材料に応じて分別する分別手段を前記解体手段131,前記裁断手段132,前記絶縁紙分別手段433,前記樹脂分別手段534,前記アルミ成分分別手段535等により構成している。
【0130】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システム500においては、前述した第四番目の実施の形態の無害化処理システム400の場合と同様にして油抜出工程、第一の粗洗浄工程、解体工程、裁断工程、第二の粗洗浄工程、第三の粗洗浄工程、表面処理工程、第一の仕上洗浄工程、絶縁紙分別工程を行う。
【0131】
絶縁紙分別工程で分別されたプラスチックスフィルム及びアルミニウム箔は、前記樹脂分別手段534により、アルカリ溶液(例えば、NaOHを5〜10wt%含有する水溶液)中で攪拌されて(常温〜50℃程度)、アルミニウム箔が下記に示す反応を生じてアルカリ溶液中に溶解し、プラスチックスフィルムがアルカリ溶液中に浮遊して分別される(樹脂分別工程)。
【0132】
NaOH(+HO)+Al→NaAlO+H
【0133】
なお、アルミニウム箔の溶解に伴ってアルカリ溶液中から発生する水素ガスHは、吸引ポンプ等により吸引されて水素ガス除去器等で除去処理される。
【0134】
次に、上記アルカリ溶液は、前記アルミ成分分別手段535により、二酸化炭素ガスが供給され、下記に示す反応を生じてアルミ成分(水酸化アルミニウム)が沈殿して分別される(アルミ成分分別工程)。
【0135】
NaAlO+2HO+CO→Al(OH)↓+NaHCO
【0136】
続いて、前記アルミ成分は、前記第三の加熱処理手段543により、減圧下(80MPa程度)で加熱処理(200〜400℃)され、下記に示す反応を生じてアルミナとなる(第三の加熱処理工程)。なお、このときの加熱処理は、常圧で行うことも可能である。
【0137】
2Al(OH)→Al+3H
【0138】
このようにして生成したアルミナは、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0139】
他方、前記絶縁紙分別工程で分別された絶縁紙及び前記樹脂分別工程で分別されたプラスチックスフィルムは、前述した第四番目の実施の形態の場合と同様に、前記第四の仕上洗浄手段454により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(第四の仕上洗浄工程)。
【0140】
続いて、前記第四の加熱処理手段444により、前述した第四番目の実施の形態の場合と同様に、真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)されることにより、付着残留しているPCBが気化離脱して活性炭等に吸着回収される。(第四の加熱処理工程)。
【0141】
加熱処理された前記絶縁紙及び前記プラスチックスフィルムは、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0142】
また、前記アルミ成分分別手段535でアルミ成分を分別されたアルカリ溶液は、前記絶縁紙分別手段433で使用された前記分別液の水層及び前記表面処理手段371で使用された前記表面処理溶液と共に、前記水分再生処理手段382で再生処理される(水分再生処理工程)。
【0143】
つまり、前述した第四番目の実施の形態は、主にアルミニウム箔と絶縁紙とからなる素子を内蔵したコンデンサの場合において、粗洗浄された前記素子をアルミニウム箔と絶縁紙とに分別してから加熱処理や仕上洗浄を行う場合であったが、本実施の形態は、主にアルミニウム箔と絶縁紙とプラスチックスフィルムとからなる素子を内蔵したコンデンサの場合において、粗洗浄された前記素子をアルミニウム箔と絶縁紙とプラスチックスフィルムとに分別してから加熱処理や仕上洗浄を行う場合なのである。
【0144】
このため、本実施の形態においては、素子のアルミニウム箔と絶縁紙とプラスチックスフィルムとの間に浸入付着しているPCBもさらに確実に除去することができる。
【0145】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第四番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第四番目の実施の形態の場合と同様に、コンデンサの無害化処理効率をさらに向上させることができる。
【0146】
[他の実施の形態]
なお、前述した第一〜五番目の実施の形態では、コンデンサを無害化処理する場合について説明したが、本発明は、PCB含有電気絶縁油を内蔵するトランスや蛍光灯安定器用コンデンサ等を無害化処理する場合についても、前述した第一〜五番目の実施の形態の場合と同様にして適用することができる。
【0147】
具体的には、例えば、PCB含有電気絶縁油内蔵トランスの場合には、トランスの蓋を開けて、トランスの容器内からPCB含有電気絶縁油を抜き出して容器の内部を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄した後、容器の内部からコアを取り出すように解体し、当該コアをさらにコイルと鉄心とに解体し、当該コイルを裁断して銅線と紙等の有機物とに分別し、容器等(蓋や鉄心や銅線等を含む)をコンデンサの場合と同様にして粗洗浄、表面処理、仕上洗浄等を施して無害化処理する一方、上記有機物もコンデンサの場合と同様にして粗洗浄、加熱処理等を施して無害化処理すると共に、前記PCB含有電気絶縁油や粗洗浄液等をコンデンサの場合と同様にして濃度調整、脱塩素化処理、再生処理等を行うのである。
【0148】
他方、例えば、蛍光灯安定器用コンデンサの場合には、蛍光灯安定器の内部でのコンデンサの位置を確認し、蛍光灯安定器を解体して当該蛍光灯安定器からコンデンサを取り出した後、前述した第一〜五番目の実施の形態のコンデンサの場合と同様にして無害化処理する。ただし、蛍光灯安定器のコンデンサの場合には、内蔵されているPCB含有電気絶縁油の量が比較的少ないため、容器の内部からPCB含有電気絶縁油を抜き出すことなく、粗洗浄を行うことができる。
【0149】
なお、粗洗浄工程や仕上洗浄工程や加熱処理工程の回数は、前述した第一〜五番目の実施の形態の場合に限らず、対象となる機器の構造や材料等に応じて適宜選択され得るものである。さらに、仕上洗浄工程と加熱処理工程とは、少なくとも一方が行わればよく、その順番等は対象となる機器の構造や形状等に応じて適宜選択され得るものである。
【0150】
また、前述した第四,五番目の実施の形態では、アルカリ溶液として水酸化ナトリウムの溶液を使用したが、本発明はこれに限らず、他の実施の形態として、例えば、水酸化カリウムや炭酸ナトリウムの溶液等を使用することも可能である。
【0151】
また、前述した第四,五番目の実施の形態では、アルカリ溶液に二酸化炭素ガスを供給することにより、水酸化アルミニウムを生成させるようにしたが、他の実施の形態として、例えば、塩酸等の酸をアルカリ溶液中に供給することにより、下記に示す反応を生じさせて水酸化アルミニウムを生成させることも可能である。
【0152】
NaAlO+HO+HCl→Al(OH)↓+NaCl
【0153】
さらに、他の実施の形態として、例えば、アルカリ溶液を加熱(80〜90℃程度)することにより、下記に示す反応を起こさせて水酸化アルミニウム等を生成させることも可能である。
【0154】
NaAl(OH)+ΔH→NaOH+Al(OH)↓+AlO(OH)↓
【0155】
また、前述した第四,五番目の実施の形態においては、絶縁紙分別手段433の分別液に水と電気絶縁油とを利用したが、当該電気絶縁油に代えて、炭化水素系の他の有機溶媒を利用することも可能である。しかしながら、電気絶縁油を利用すれば、再生処理等の簡素化を図ることができるので非常に好ましい。
【0156】
また、前述した第四,五番目の実施の形態においては、絶縁紙やプラスチックスフィルム等の固形状の有機物を、さらに高温高圧下のアルカリ水中に投入して酸素を供給しながら完全分解させる(水熱分解処理)ことも可能である。
【0157】
【発明の効果】
第一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理する方法であって、前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄工程と、粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄工程及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理工程のうちの少なくとも一方の工程と、前記洗浄工程で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程とを有するので、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、機器を効率よく無害化処理することができる。
【0158】
第二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目の発明において、粗洗浄前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出工程を有し、前記脱塩素化処理工程が、前記洗浄液及び前記油抜出工程からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0159】
第三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、仕上洗浄または加熱処理前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別する分別工程を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0160】
第四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0161】
第五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄工程を有すると共に、前記脱塩素化処理工程が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0162】
第六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第五番目の発明において、前記仕上洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0163】
第七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第五番目または第六番目の発明において、前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油であるので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0164】
第八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄工程を有すると共に、前記仕上洗浄工程で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製工程を有し、前記脱塩素化処理工程が、前記仕上洗浄液精製工程で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0165】
第九番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第八番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理工程を有し、前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理工程からの前記電気絶縁油であるので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0166】
第十番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第九番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄工程及び前記仕上洗浄工程のうち少なくとも前記粗洗浄工程が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0167】
第十一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整工程を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0168】
第十二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理工程を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0169】
第十三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第十二番目の発明において、前記表面処理工程が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄するので、表面処理を低コストで簡単に行うことができる。
【0170】
第十四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法は、第一番目から第十三番目の発明のいずれかにおいて、前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかであるので、上述した効果が最も発現されるようになる。
【0171】
第十五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理するシステムであって、前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄手段と、粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理手段のうちの少なくとも一方の手段と、前記洗浄手段で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段とを有するので、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、機器を効率よく無害化処理することができる。
【0172】
第十六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目の発明において、粗洗浄の前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段を有し、前記脱塩素化処理手段が、前記洗浄液及び前記油抜出手段からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0173】
第十七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目または第十六番目の発明において、仕上洗浄または加熱処理の前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別加工する分別加工手段を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0174】
第十八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十七番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0175】
第十九番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十八番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄手段を有すると共に、前記脱塩素化処理手段が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0176】
第二十番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十九番目の発明において、前記仕上洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0177】
第二十一番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十九番目または第二十番目の発明において、前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理手段で使用された前記電気絶縁油であるので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0178】
第二十二番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第十八番目の発明のいずれかにおいて、前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄手段を有すると共に、前記仕上洗浄手段で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段を有し、前記脱塩素化処理手段が、前記仕上洗浄液精製手段で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0179】
第二十三番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十二番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段を有し、前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理手段からの前記電気絶縁油であるので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0180】
第二十四番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十三番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄手段及び前記仕上洗浄手段のうち少なくとも前記粗洗浄手段が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0181】
第二十五番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十四番目の発明のいずれかにおいて、前記脱塩素化処理手段で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整手段を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0182】
第二十六番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十五番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理手段を有するので、機器をさらに効率よく無害化処理することができる。
【0183】
第二十七番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第二十六番目の発明において、前記表面処理手段が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄するので、表面処理を低コストで簡単に行うことができる。
【0184】
第二十八番目の発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムは、第十五番目から第二十七番目の発明のいずれかにおいて、前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかであるので、上述した効果が最も発現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムをコンデンサに適用した場合の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムをコンデンサに適用した場合の第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図3】本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムをコンデンサに適用した場合の第三番目の実施の形態の概略構成図である。
【図4】本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムをコンデンサに適用した場合の第四番目の実施の形態の概略構成図である。
【図5】本発明によるPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システムをコンデンサに適用した場合の第五番目の実施の形態の概略構成図である。
【図6】PCB含有電気絶縁油内蔵トランスの従来の無害化処理方法の概略フロー図である。
【符号の説明】
100 無害化処理システム
111 油抜出手段
121 第一の粗洗浄手段
122 第二の粗洗浄手段
123 第三の粗洗浄手段
131 解体手段
132 裁断手段
141 第一の加熱処理手段
142 第二の加熱処理手段
151 第一の仕上洗浄手段
161 濃度調整手段
162 脱塩素化処理手段
163 絶縁油再生処理手段
200 無害化処理システム
251 第一の仕上洗浄手段
252 第二の仕上洗浄手段
281 仕上洗浄液精製手段
300 無害化処理システム
371 表面処理手段
382 水分再生処理手段
400 無害化処理システム
433 絶縁紙分別手段
443 第三の加熱処理手段
444 第四の加熱処理手段
453 第三の仕上洗浄手段
454 第四の仕上洗浄手段
500 無害化処理システム
534 樹脂分別手段
535 アルミ成分分別手段
543 第三の加熱処理手段

Claims (28)

  1. PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理する方法であって、
    前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄工程と、
    粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄工程及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理工程のうちの少なくとも一方の工程と、
    前記洗浄工程で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程と
    を有することを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  2. 請求項1において、
    粗洗浄前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出工程を有し、
    前記脱塩素化処理工程が、前記洗浄液及び前記油抜出工程からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    仕上洗浄または加熱処理前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別する分別工程を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
    前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄工程を有すると共に、
    前記脱塩素化処理工程が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  6. 請求項5において、
    前記仕上洗浄工程が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  7. 請求項5または請求項6において、
    前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油である
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  8. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
    前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄工程を有すると共に、
    前記仕上洗浄工程で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製工程を有し、
    前記脱塩素化処理工程が、前記仕上洗浄液精製工程で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかにおいて、
    前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理工程を有し、
    前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理工程からの前記電気絶縁油である
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄工程及び前記仕上洗浄工程のうち少なくとも前記粗洗浄工程が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかにおいて、
    前記脱塩素化処理工程で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整工程を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかにおいて、
    粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理工程を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  13. 請求項12において、
    前記表面処理工程が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  14. 請求項1から請求項13のいずれかにおいて、
    前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかである
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理方法。
  15. PCB含有電気絶縁油を内蔵する機器を無害化処理するシステムであって、
    前記機器を電気絶縁油からなる粗洗浄液で粗洗浄する粗洗浄手段と、
    粗洗浄された前記機器を仕上洗浄液で仕上洗浄する仕上洗浄手段及び粗洗浄された前記機器を加熱処理する加熱処理手段のうちの少なくとも一方の手段と、
    前記洗浄手段で使用された前記洗浄液に含まれる前記PCBを、電気絶縁油からなる分散溶媒に分散させた金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段と
    を有することを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  16. 請求項15において、
    粗洗浄の前に、前記機器からPCB含有電気絶縁油を抜き出す油抜出手段を有し、
    前記脱塩素化処理手段が、前記洗浄液及び前記油抜出手段からの前記PCB含有電気絶縁油中に含まれた前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  17. 請求項15または請求項16において、
    仕上洗浄または加熱処理の前に、前記機器を構成物の構造または材料に応じて分別する分別手段を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  18. 請求項15から請求項17のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を粗洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  19. 請求項15から請求項18のいずれかにおいて、
    前記仕上洗浄液が電気絶縁油である前記仕上洗浄手段を有すると共に、
    前記脱塩素化処理手段が、前記粗洗浄液及び前記仕上洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  20. 請求項19において、
    前記仕上洗浄手段が、60℃以上の温度で前記機器を仕上洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  21. 請求項19または請求項20において、
    前記仕上洗浄液が、前記脱塩素化処理手段で使用された前記電気絶縁油である
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  22. 請求項15から請求項18のいずれかにおいて、
    前記仕上洗浄液がC〜CのアルコールまたはC〜Cの塩素化物である前記仕上洗浄手段を有すると共に、
    前記仕上洗浄手段で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液精製手段を有し、
    前記脱塩素化処理手段が、前記仕上洗浄液精製手段で分離された前記PCBを含めて前記粗洗浄液中で前記PCBを脱塩素化処理する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  23. 請求項15から請求項22のいずれかにおいて、
    前記脱塩素化処理工程で使用された前記電気絶縁油を再生処理する絶縁油再生処理手段を有し、
    前記分散溶媒及び前記粗洗浄液のうちの少なくとも一方が、前記絶縁油再生処理手段からの前記電気絶縁油である
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  24. 請求項15から請求項23のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄手段及び前記仕上洗浄手段のうち少なくとも前記粗洗浄手段が、超音波を発振しながら前記機器を洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  25. 請求項15から請求項24のいずれかにおいて、
    前記脱塩素化処理手段で脱塩素化処理する前記PCBの濃度を10%以下に調整する濃度調整手段を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  26. 請求項15から請求項25のいずれかにおいて、
    粗洗浄された前記機器の表面処理を行う表面処理手段を有する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  27. 請求項26において、
    前記表面処理手段が、アルカリまたは酸で前記機器の表面を洗浄する
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
  28. 請求項15から請求項27のいずれかにおいて、
    前記機器が、トランス、コンデンサ、蛍光灯安定器のコンデンサのいずれかである
    ことを特徴とするPCB含有電気絶縁油内蔵機器の無害化処理システム。
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