JP2004041877A - Pcb含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステム - Google Patents

Pcb含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステム Download PDF

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鈴木 武志
Toshikazu Shojima
庄島 敏和
Takashi Tsutsuba
筒場 孝志
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Abstract

【課題】PCB含有コンデンサを比較的容易に低コストで無害化処理することができる方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】コンデンサからPCBを抜き出す油抜出手段111と、コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解手段131,132と、容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段122と、素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段123と、仕上洗浄液で容器を仕上洗浄する容器仕上洗浄手段151と、仕上洗浄液で素子を仕上洗浄する素子仕上洗浄手段152と、素子を加熱処理する素子加熱処理手段142と、使用後の粗洗浄液からPCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段181と、使用後の仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段182と、油抜出手段111でのPCB並びに前記PCB分離手段181,182でのPCBを脱塩素化処理する脱塩素化処理手段162とを備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、PCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造及び輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性及び環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。
【0004】
このPCBは平成4(1997)年に廃PCB、PCBを含む廃油、PCB汚染物が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく特別管理廃棄物に指定され、さらに、平成9(1997)年にはPCB汚染物として木くず、繊維くずが、追加指定された。
【0005】
PCB処理物となる電気機器としては、高圧トランス、高圧コンデンサ、低圧トランス、低圧コンデンサ、柱上トランス、蛍光灯安定器のコンデンサ等があり、現在これらは厳重に保管がなされているが、早急なPCBの処理が望まれている。
【0006】
近年では、このような電気機器に使用されているPCBを処理する技術が種々開発されており、例えば特開平9−79531号公報に記載の技術が知られている。図4に、上記提案にかかるPCBの処理方法のフローチャートを示す。
【0007】
図4に示すように、まず、PCBが封入されているトランスから油を抜き取り(S901)、さらに溶剤洗浄によって内部に付着しているPCBを除去し(S902)、回収する(S903)。洗浄後の溶剤は、トランスから抜き出した油と共に分解処理され(S904)、無害化される。
【0008】
つぎに、油抜きしたトランスを乾燥させてPCBを無酸素下高温常圧加熱によって蒸発させ(S905)、PCBの飛散を防止する。そして、乾燥後のトランスを解体し(S906)、ケースとトランスコアを分離する。ケースは、電炉や転炉のスクラップ源に供される(S907)。一方、トランスコアは、モービルシャー等によってその銅コイルを切断され、コイル線と鉄心とに分離される(S908)。
【0009】
分離された鉄心は溶融炉にて溶融され、回収される(S909)。また、分離した銅コイル等の金属製の無機物及びこれに付着した紙などの有機物は、誘導加熱炉にて溶融される(S910)。そして、上記溶融した銅は回収され、各溶融炉で発生したPCBガスは、1200℃で高温熱分解することにより無害化される(S911)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような従来のPCB処理方法では、金属製の各種部材を溶融させてPCBを分解処理しているため、設備が大規模化してしまうだけでなく、多大な熱エネルギが必要となってしまい、イニシャルコストおよびランニングコストが高くなってしまっている。
【0011】
このようなことから、本発明は、PCB含有コンデンサを比較的容易に低コストで無害化処理することができるPCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、PCB含有コンデンサを無害化処理する方法であって、前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出工程と、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解工程と、前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄工程と、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄工程と、前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄工程と、粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄工程と、仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理工程と、使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離工程と、使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離工程と、前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程とを行うことを特徴とする。
【0013】
第二番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目の発明において、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄工程を行うことを特徴とする。
【0014】
第三番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理工程を行うことを特徴とする。
【0015】
第四番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理工程を行うことを特徴とする。
【0016】
第五番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行うことを特徴とする。
【0017】
第六番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第五番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物であることを特徴とする。
【0018】
また、前述した課題を解決するための、第七番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、PCB含有コンデンサを無害化処理するシステムであって、前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出手段と、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解手段と、前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段と、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄手段と、前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段と、粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄手段と、仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理手段と、使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段と、使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段と、前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
第八番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目の発明において、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
第九番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目または第八番目の発明において、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
第十番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第九番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理手段を備えていることを特徴とする。
【0022】
第十一番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行うことを特徴とする。
【0023】
第十二番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物であることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムの実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
[第一番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムの第一番目の実施の形態を図1を用いて説明する。図1は、無害化処理システムの概略構成図である。
【0026】
コンデンサは、碍子等を取り付けた金属製の容器の内部にPCB含有電気絶縁油と共に複数の素子が内蔵されたものである。上記素子は、アルミニウム箔、絶縁紙、プラスチックスフィルム等からなり、種類によってはプラスチックスフィルムを含んでいない場合がある。本実施の形態では、このようなコンデンサを無害化処理する場合について説明する。
【0027】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システムは、図1に示すように、前記コンデンサの内部からPCBを抜き出す油抜出手段111と、PCBを抜き出されたコンデンサの内部を脂肪族炭化水素系溶剤(例えばNS−100(商品名)等)からなる粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、コンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段122と、コンデンサの素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段123と、粗洗浄されたコンデンサの容器等を加熱処理する容器加熱処理手段141と、C1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物からなる仕上洗浄液でコンデンサの容器等を仕上洗浄する容器仕上洗浄手段151と、C1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物からなる仕上洗浄液でコンデンサの素子を仕上洗浄する素子仕上洗浄手段152と、コンデンサの素子を加熱処理する素子加熱処理手段142と、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液からPCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段181と、前記仕上洗浄手段151,152で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段182と、前記油抜出手段111で抜き出されたPCB並びに前記粗洗浄液PCB分離手段181及び前記仕上洗浄液PCB分離手段182で分離されたPCBと金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で処理された溶液を後処理する後処理手段163とを備えている。
【0028】
前記油抜出手段111は、例えば、コンデンサの容器の上部及び下部に穴を開けて、上部の穴から空気を送給して下部の穴からPCBを抜き出して回収することができるようになっている。なお、コンデンサを60℃以上に加熱すると、PCBの粘度が小さくなり、コンデンサ内から排出されやすくなるので、好ましい。
【0029】
前記コンデンサ粗洗浄手段121は、例えば、上記油抜出手段111で開けた下部の穴から粗洗浄液を供給し、上部の穴から粗洗浄液を排出させ、これを再び下部の穴から供給することを繰り返すことにより、コンデンサの容器の内部に粗洗浄液を循環させて、コンデンサの内部を全体的に粗洗浄することができるようになっている。
【0030】
前記解体手段131は、例えば、前記コンデンサを切断し、当該コンデンサの内部から素子を取り出して、当該コンデンサを素子と素子以外の容器や碍子等(以下単に「容器等」という)とに分別することができるようになっている。
【0031】
前記裁断手段132は、例えば、コンデンサの容器から取り出された前記素子をハンドリングに容易なサイズにまで油圧カッタ等により裁断加工することができるようになっている。
【0032】
前記容器粗洗浄手段122は、例えば、コンデンサの容器等を粗洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら粗洗浄することができるようになっている。
【0033】
前記素子粗洗浄手段123は、例えば、コンデンサの素子を粗洗浄液中に浸漬して攪拌しながら粗洗浄することができるようになっている。
【0034】
前記容器加熱処理手段141は、例えば、コンデンサの容器等を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、容器等に付着残留しているPCBを気化させて、当該容器等から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0035】
前記素子加熱処理手段142は、例えば、コンデンサの素子を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、素子に付着残留しているPCBを気化させて、当該素子から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0036】
前記容器仕上洗浄手段151は、例えば、コンデンサの容器等を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0037】
前記素子仕上洗浄手段152は、例えば、コンデンサの素子を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0038】
ここで、前記仕上洗浄液としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等のC1 〜C4 のアルコール、四塩化炭素、トリクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のC1 〜C4 の塩素化物などが好ましく、特に、イソプロパノール(IPA)であるとより好ましい。
【0039】
前記粗洗浄液PCB分離手段181は、例えば、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液を蒸留することにより、粗洗浄液を精製して上記粗洗浄手段121〜123で再利用可能にすることができると共に、蒸留残分(PCB)を、前記油抜出手段111で抜き出された前記PCBと併せて送り出すことができるようになっている。
【0040】
前記仕上洗浄液PCB分離手段182は、例えば、前記仕上洗浄手段151,152で使用された前記仕上洗浄液を蒸留することにより、仕上洗浄液を精製して上記仕上洗浄手段151,152で再利用可能にすることができると共に、蒸留残分(PCB)を、前記油抜出手段111で抜き出された前記PCBと併せて送り出すことができるようになっている。
【0041】
前記脱塩素化処理手段162は、前記油抜出手段111で抜き出されたPCB並びに前記PCB分離手段181,182で分離されたPCBと金属ナトリウム溶液とを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行うことができるようになっている。具体的には、例えば、金属ナトリウム粉(直径:5〜10μm程度)を絶縁油中に分散(10wt%程度)させた金属ナトリウム分散体(Sodium Dispersion:SD)を窒素雰囲気下で前記PCBに50〜70℃の温度範囲内でゆっくり滴下(約1時間程度)しながら攪拌し、滴下終了後しばらく攪拌を継続して(約1時間程度)脱塩素化反応を完了させた後、クエンチ水を滴下して、残存する金属ナトリウムを水酸化させることができるようになっている。
【0042】
前記後処理手段163は、前記脱塩素化処理手段162で前記PCBの脱塩素化処理をされた溶液を後処理することができるようになっている。具体的には、例えば、上記脱塩素化処理手段162で上述したようにして前記PCBの脱塩素化処理をすると、ビフェニル類、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムが主に生成し、塩化ナトリウムや水酸化ナトリウムは前記クエンチ水中に溶解し、ビフェニル類は重合固形物となって存在しているので、固形物を固液分離すると共に、水層と油層とを分離し、水層は塩酸等を加えられて中和処理された後に排水処理され、油層は分散溶媒として再利用され、固形物は保管処理される。
【0043】
なお、本実施の形態では、解体手段131、裁断手段132等により分解手段を構成している。
【0044】
このような本実施の形態にかかる無害化処理システムを使用するコンデンサの無害化処理方法を次に説明する。
【0045】
まず、前記油抜出手段111により、コンデンサを60℃以上に加熱して、コンデンサ内のPCBの粘度を小さくすると共に、コンデンサの容器の上部及び下部に穴を開けて、上部の穴から空気を送給して下部の穴からPCBを抜き出して回収する(油抜出工程)。
【0046】
次に、前記コンデンサ粗洗浄手段121により、粗洗浄液を上記油抜出手段111で開けた下部の穴から供給し、上部の穴から粗洗浄液を排出させ、これを再び下部の穴から供給することを繰り返すことにより、コンデンサの容器の内部に粗洗浄液を循環させて、コンデンサの内部を全体的に粗洗浄する(コンデンサ粗洗浄工程)。
【0047】
続いて、前記解体手段131により、前記コンデンサを切断し、当該コンデンサの内部から素子を取り出して、当該コンデンサを容器等と素子とに分別し、(解体工程)前記裁断手段132により、上記素子をハンドリングに容易なサイズにまで油圧カッタ等により裁断加工(裁断工程)する(分解工程)。
【0048】
上記容器等は、前記容器粗洗浄手段122により、粗洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら粗洗浄される(容器粗洗浄工程)。
【0049】
このようにして容器等を粗洗浄したら、前記容器加熱処理手段141により、当該容器等を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理し(400〜600℃)、容器等に付着残留しているPCBを気化させて、当該容器等から離脱させて活性炭等に吸着回収する(容器加熱処理工程)。
【0050】
続いて、前記容器仕上洗浄手段151により、前記容器等を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄する(容器仕上洗浄工程)。
【0051】
このようにして容器等を仕上洗浄したら、当該容器等のPCB残留量を測定し、規定値以下の場合には、当該容器等の処理作業を終え、規定値を超える場合には、再度仕上洗浄を行う(判定工程)。
【0052】
他方、裁断された前記素子は、前記素子粗洗浄手段123により、粗洗浄液中に浸漬されて攪拌されながら粗洗浄される(素子粗洗浄工程)。
【0053】
粗洗浄された前記素子は、前記素子仕上洗浄手段152により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(素子仕上洗浄工程)。
【0054】
次に、前記素子加熱処理手段142により、前記素子を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、素子に付着残留しているPCBを気化させて、当該素子から離脱させて活性炭等に吸着回収する(素子加熱処理工程)。
【0055】
このようにして素子を加熱処理したら、当該素子のPCB残留量を測定し、規定値以下の場合には、当該素子の処理作業を終え、規定値を超える場合には、再度加熱処理を行う(判定工程)。
【0056】
また、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液は、前記粗洗浄液PCB分離手段181により、蒸留精製されて、上記粗洗浄手段121〜123で再利用される(粗洗浄液PCB分離工程)。また、前記仕上洗浄手段151,152で使用された前記仕上洗浄液は、前記仕上洗浄液PCB分離手段182により、蒸留精製されて、上記仕上洗浄手段151,152で再利用される(仕上洗浄液PCB分離工程)。
【0057】
他方、前記PCB分離手段181,182で生じた蒸留残分(PCB)は、前記油抜出手段111で抜き出された前記PCBと併せて前記脱塩素化処理手段162に送給される。そして、窒素雰囲気下で金属ナトリウム分散体(Sodium Dispersion:SD)が50〜70℃の温度範囲内でゆっくり滴下(約1時間程度)されながら攪拌され、滴下終了後しばらく攪拌が継続され(約1時間程度)、脱塩素化反応の完了後、クエンチ水が滴下されて、残存する金属ナトリウムが水酸化される(脱塩素化処理工程)。
【0058】
このようにしてPCBの脱塩素化処理を行ったら、前記後処理手段163により、固形物を分離すると共に、水層と油層とを分離し、水層を中和処理した後に排水処理し、固形物を保管処理すると共に、油層を金属ナトリウム溶液の分散溶媒として再利用する(後処理工程)。
【0059】
つまり、本実施の形態においては、コンデンサの容器及び素子を脂肪族炭化水素系溶剤からなる粗洗浄液及びC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物からなる仕上洗浄液で洗浄すると共に加熱処理することにより、コンデンサの容器及び素子の無害化を図る一方、コンデンサから抜き出したPCB及び前記洗浄液から分離したPCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理することにより、PCBの無害化を図るようにしたのである。
【0060】
したがって、本実施の形態によれば、従来のPCB処理方法のように、金属製の各種部材を溶融させてPCBを分解処理する必要がないので、設備の大規模化を抑制することができると共に、必要な熱エネルギを抑制することができるので、PCBを含有するコンデンサを比較的容易に低コストで無害化処理することができる。
【0061】
[第二番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムの第二番目の実施の形態を図2を用いて説明する。図2は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0062】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システムは、図2に示すように、前記コンデンサの内部からPCBを抜き出す油抜出手段111と、PCBを抜き出されたコンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、コンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段122と、コンデンサの素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段123と、粗洗浄されたコンデンサの容器等の表面をアルカリまたは酸の表面処理溶液で洗浄して表面処理を行う表面処理手段271と、仕上洗浄液でコンデンサの容器等を仕上洗浄する容器仕上洗浄手段151と、仕上洗浄液でコンデンサの素子を仕上洗浄する素子仕上洗浄手段152と、コンデンサの素子を加熱処理する素子加熱処理手段142と、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液からPCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段181と、前記仕上洗浄手段151,152で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段182と、表面処理手段271で使用された前記表面処理溶液を再生処理する水分再生処理手段283と、前記油抜出手段111で抜き出されたPCB並びに前記PCB分離手段181,182及び前記水分再生処理手段283で分離されたPCBと金属ナトリウムとを反応させて前記PCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で処理された溶液を後処理する後処理手段163とを備えている。
【0063】
前記表面処理手段271は、例えば、粗洗浄された前記容器等の表面を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリまたは塩酸や硫酸等の酸からなる表面処理溶液で洗浄することにより、当該容器等の表面の錆等を剥離させて当該容器等の表面を滑らかにし、微細な隙間等を減少させることができるようになっている。
【0064】
前記水分再生処理手段283は、例えば、表面処理手段271で使用された前記表面処理溶液を固液分離や蒸留等の再生処理を行うことにより、前記錆等の固形物と水とPCB含有残分とを分離して当該水を再利用することができるようになっている。
【0065】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システムにおいては、前述した第一番目の実施の形態の無害化処理システムの場合と同様にして油抜出工程、コンデンサ粗洗浄工程、分解工程、容器粗洗浄工程、素子粗洗浄工程、素子仕上洗浄工程、素子加熱処理工程を行う。
【0066】
粗洗浄されたコンデンサの容器等は、前記表面処理手段271により、前記表面処理溶液で表面洗浄されて錆等が剥離されることにより、表面の微細な隙間等の減少が図られる(表面処理工程)。
【0067】
表面処理された前記容器等は、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、容器仕上洗浄工程を経た後、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0068】
また、前記表面処理手段271で使用された前記表面処理溶液は、前記水分再生処理手段283により、固液分離や蒸留等の再生処理が行われ、前記錆等の固形物と水とPCB含有残分とが分離される(再生処理工程)。上記水は再利用され、上記固形物は保管処理され、上記PCB含有残分は、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、前記PCB分離手段181,182で分離されたPCB及び前記油抜出手段111で抜き出されたPCBと共に、脱塩素化処理工程、後処理工程等を経て無害化処理される。
【0069】
つまり、本実施の形態においては、粗洗浄されたコンデンサの容器等を前記表面処理溶液で表面処理して錆等を剥離することにより、当該容器等の表面の微細な隙間等の減少を図るようにしたのである。
【0070】
このため、上記容器等の微細な隙間に存在するPCBも仕上洗浄液でさらに確実に洗浄除去することができる。
【0071】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第二番目の実施の形態の場合よりもコンデンサの無害化処理効率をさらに向上させることができる。
【0072】
[第三番目の実施の形態]
本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法及びそのシステムの第三番目の実施の形態を図3を用いて説明する。図3は、コンデンサの無害化処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一,二番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、前述した第一,二番目の実施の形態での説明と重複する説明を省略する。
【0073】
本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システムは、図3に示すように、前記コンデンサの内部からPCBを抜き出す油抜出手段111と、PCBを抜き出されたコンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段121と、粗洗浄されたコンデンサを容器等と素子とに解体する解体手段131と、解体されたコンデンサの素子を裁断する裁断手段132と、コンデンサの容器等を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段122と、コンデンサの素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段123と、粗洗浄されたコンデンサの容器等の表面を表面処理溶液で洗浄して表面処理を行う表面処理手段271と、粗洗浄されたコンデンサの素子を水と脂肪族炭化水素系溶剤(例えばNS−100(商品名)等)との二層からなる分別液中でアルミニウム箔と絶縁紙とを分離する素子分離手段333と、仕上洗浄液でコンデンサの容器等を仕上洗浄する容器仕上洗浄手段151と、前記素子のアルミニウム箔を仕上洗浄液で仕上洗浄するアルミニウム箔仕上洗浄手段353と、前記素子の絶縁紙を仕上洗浄液で仕上洗浄する絶縁紙仕上洗浄手段354と、前記素子のアルミニウム箔を加熱処理するアルミニウム箔加熱処理手段343と、前記素子の絶縁紙を加熱処理する絶縁紙加熱処理手段344と、前記粗洗浄手段121〜123で使用された前記粗洗浄液からPCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段181と、前記仕上洗浄手段151,353,354で使用された前記仕上洗浄液からPCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段182と、表面処理手段271で使用された表面処理溶液及び素子分離手段333で使用された前記分別液の水を再生処理する水分再生処理手段283と、前記油抜出手段111で抜き出されたPCB並びに前記PCB分離手段181,182及び前記水分再生処理手段283で分離されたPCBと金属ナトリウムとを反応させてPCBの脱塩素化処理を行う脱塩素化処理手段162と、前記脱塩素化処理手段162で処理された溶液を後処理する後処理手段163とを備えている。
【0074】
前記素子分離手段333は、例えば、水と脂肪族炭化水素系溶剤(例えばNS−100(商品名)等)との二層からなる分別液中に前記素子が加えられて、当該分別液を攪拌した後に静置することにより、素子を構成するアルミニウム箔を脂肪族炭化水素系溶剤の層(上層)に浮上させる一方、素子を構成する絶縁紙を水の層(下層)と脂肪族炭化水素系溶剤の層(上層)との間に浮遊させることで、素子をアルミニウム箔と絶縁紙とに分別することができるようになっている。
【0075】
前記アルミニウム箔仕上洗浄手段353は、例えば、前記アルミニウム箔を仕上洗浄液中に浸漬して攪拌しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0076】
前記絶縁紙仕上洗浄手段354は、例えば、前記絶縁紙を仕上洗浄液中に浸漬して超音波を照射しながら仕上洗浄することができるようになっている。
【0077】
前記アルミニウム箔加熱処理手段343は、例えば、前記アルミニウム箔を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、アルミニウム箔に付着残留しているPCBを気化させて、当該アルミニウム箔から離脱させて活性炭等に吸着回収することができるようになっている。
【0078】
前記絶縁紙加熱処理手段344は、例えば、前記絶縁紙を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)することにより、絶縁紙に付着残留しているPCBを気化させて、当該絶縁紙から離脱させて活性炭等に吸着回収すると共に、当該絶縁紙を炭化させることができるようになっている。
【0079】
なお、本実施の形態では、アルミニウム箔仕上洗浄手段353、絶縁紙仕上洗浄手段354等により素子仕上洗浄手段を構成し、アルミニウム箔加熱処理手段343、絶縁紙加熱処理手段344等により素子加熱処理手段を構成している。
【0080】
このような本実施の形態にかかるコンデンサの無害化処理システムにおいては、前述した第二番目の実施の形態の無害化処理システムの場合と同様にして油抜出工程、コンデンサ粗洗浄工程、分解工程、容器粗洗浄工程、素子粗洗浄工程、表面処理工程、容器仕上洗浄工程を行う。
【0081】
粗洗浄された前記素子は、前記素子分離手段333により、前記分別液中で攪拌された後に静置され、アルミニウム箔が脂肪族炭化水素系溶剤の層(上層)に浮上する一方、絶縁紙が水の層(下層)と脂肪族炭化水素系溶剤の層(上層)との間に浮遊することにより、アルミニウム箔と絶縁紙とに分別される(素子分離工程)。
【0082】
前記アルミニウム箔は、前記アルミニウム箔仕上洗浄手段353により、仕上洗浄液中に浸漬されて攪拌されることにより仕上洗浄される(アルミニウム箔仕上洗浄工程)。
【0083】
続いて、前記アルミニウム箔加熱処理手段343により、真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)されることにより、付着残留しているPCBが気化離脱して活性炭等に吸着回収される(アルミニウム箔加熱処理工程)。
【0084】
加熱処理された前記アルミニウム箔は、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0085】
他方、前記絶縁紙は、前記絶縁紙仕上洗浄手段354により、仕上洗浄液中に浸漬されて超音波を照射されながら仕上洗浄される(絶縁紙仕上洗浄工程)。
【0086】
続いて、前記絶縁紙加熱処理手段344により、真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理(400〜600℃)されることにより、付着残留しているPCBが気化離脱して活性炭等に吸着回収される(絶縁紙加熱処理工程)。
【0087】
加熱処理された前記絶縁紙は、前述した実施の形態の場合と同様に、PCB残留量を測定され、規定値以下の場合には、その処理作業が終了し、規定値を超える場合には、再度加熱処理が行われる(判定工程)。
【0088】
また、前記素子分離手段333で使用された前記分別液の水層は、前記表面処理手段271で使用された前記表面処理溶液と共に、前記水分再生処理手段283で再生処理され(再生処理工程)、その後再利用される。
【0089】
なお、前記素子分離手段333で使用された前記分別液の脂肪族炭化水素系溶剤層は、前記仕上洗浄手段251,453,454で使用された前記仕上洗浄液と共に、前記仕上洗浄液PCB分離手段182により、蒸留精製されて、上記仕上洗浄手段251,353,354及び前記素子分離手段333で再利用される。
【0090】
また、前記油抜出手段111で抜き出されたPCB並びに前記PCB分離手段181,182及び前記水分再生処理手段283で分離されたPCBは、前述した実施の形態の場合と同様に、脱塩素化処理工程、後処理工程等を経て無害化処理される。
【0091】
つまり、本実施の形態においては、粗洗浄された前記素子をアルミニウム箔と絶縁紙とに分別してから仕上洗浄や加熱処理を行うようにしたのである。
【0092】
このため、素子のアルミニウム箔と絶縁紙との間に浸入付着しているPCBもさらに確実に除去することができる。
【0093】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様に、処理や設備にかかるコストを抑制しながらも、コンデンサを効率よく無害化処理することができると共に、前述した第二番目の実施の形態の場合よりもコンデンサの無害化処理効率をさらに向上させることができる。
【0094】
[他の実施の形態]
なお、前述した第三番目の実施の形態では、アルカリ溶液として水酸化ナトリウムの溶液を使用したが、本発明はこれに限らず、他の実施の形態として、例えば、水酸化カリウムや炭酸ナトリウムの溶液等を使用することも可能である。
【0095】
【発明の効果】
第一番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、PCB含有コンデンサを無害化処理する方法であって、前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出工程と、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解工程と、前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄工程と、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄工程と、前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄工程と、粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄工程と、仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理工程と、使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離工程と、使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離工程と、前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程とを行うことから、PCBを含有するコンデンサを比較的容易に低コストで無害化処理することができる。
【0096】
第二番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目の発明において、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄工程を行うことから、コンデンサの分解時の安全性を高めることができる。
【0097】
第三番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目または第二番目の発明において、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理工程を行うことから、コンデンサの容器に付着残留するPCB濃度をより確実に低減させることができる。
【0098】
第四番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理工程を行うことから、コンデンサの容器の表面の錆等を剥離することができ、当該容器の表面の微細な隙間等の減少を図ることができるので、容器の微細な隙間に存在するPCBも仕上洗浄液でさらに確実に洗浄除去することができる。
【0099】
第五番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行うことから、素子のアルミニウム箔と絶縁紙との間に浸入付着しているPCBもさらに確実に除去することができる。
【0100】
第六番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理方法は、第一番目から第五番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物であるので、上述した効果を最も確実に得ることができる。
【0101】
第七番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、PCB含有コンデンサを無害化処理するシステムであって、前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出手段と、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解手段と、前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段と、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄手段と、前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段と、粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄手段と、仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理手段と、使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段と、使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段と、前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段とを備えていることから、PCBを含有するコンデンサを比較的容易に低コストで無害化処理することができる。
【0102】
第八番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目の発明において、前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段を備えていることから、コンデンサの分解時の安全性を高めることができる。
【0103】
第九番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目または第八番目の発明において、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理手段を備えていることから、コンデンサの容器に付着残留するPCB濃度をより確実に低減させることができる。
【0104】
第十番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第九番目の発明のいずれかにおいて、粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理手段を備えていることから、コンデンサの容器の表面の錆等を剥離することができ、当該容器の表面の微細な隙間等の減少を図ることができるので、容器の微細な隙間に存在するPCBも仕上洗浄液でさらに確実に洗浄除去することができる。
【0105】
第十一番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第十番目の発明のいずれかにおいて、前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行うことから、素子のアルミニウム箔と絶縁紙との間に浸入付着しているPCBもさらに確実に除去することができる。
【0106】
第十二番目の発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムは、第七番目から第十一番目の発明のいずれかにおいて、前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物であるので、上述した効果を最も確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムの第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムの第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図3】本発明によるPCB含有コンデンサの無害化処理システムの第三番目の実施の形態の概略構成図である。
【図4】従来のPCB無害化処理方法の概略フロー図である。
【符号の説明】
111 油抜出手段
121 コンデンサ粗洗浄手段
122 容器粗洗浄手段
123 素子粗洗浄手段
131 解体手段
132 裁断手段
141 容器加熱処理手段
142 素子加熱処理手段
151 容器仕上洗浄手段
152 素子仕上洗浄手段
162 脱塩素化処理手段
163 後処理手段
181 粗洗浄液PCB分離手段
182 仕上洗浄液PCB分離手段
271 表面処理手段
283 水分再生処理手段
333 素子分離手段
343 アルミニウム箔加熱処理手段
344 絶縁紙加熱処理手段
353 アルミニウム箔仕上洗浄手段
354 絶縁紙仕上洗浄手段

Claims (12)

  1. PCB含有コンデンサを無害化処理する方法であって、
    前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出工程と、
    前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解工程と、
    前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄工程と、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄工程と、
    前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄工程と、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄工程と、
    仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理工程と、
    使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離工程と、
    使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離工程と、
    前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理工程と
    を行うことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄工程を行う
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理工程を行う
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理工程を行う
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
    前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行う
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、
    前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物である
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理方法。
  7. PCB含有コンデンサを無害化処理するシステムであって、
    前記コンデンサからPCBを抜き出す油抜出手段と、
    前記PCBを抜き出された前記コンデンサの容器から素子を取り出して裁断する分解手段と、
    前記コンデンサの前記容器を粗洗浄液で粗洗浄する容器粗洗浄手段と、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を仕上洗浄液で仕上洗浄する容器仕上洗浄手段と、
    前記コンデンサの前記素子を粗洗浄液で粗洗浄する素子粗洗浄手段と、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄液で仕上洗浄する素子仕上洗浄手段と、
    仕上洗浄された前記コンデンサの前記素子を加熱処理する素子加熱処理手段と、
    使用済みの前記粗洗浄液から前記PCBを分離する粗洗浄液PCB分離手段と、
    使用済みの前記仕上洗浄液から前記PCBを分離する仕上洗浄液PCB分離手段と、
    前記油抜出工程で抜き出された前記PCB並びに前記PCB分離工程で分離された前記PCBを金属ナトリウムと反応させて脱塩素化処理する脱塩素化処理手段と
    を備えていることを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
  8. 請求項7において、
    前記PCBを抜き出された前記コンデンサの内部を粗洗浄液で粗洗浄するコンデンサ粗洗浄手段を備えている
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
  9. 請求項7または請求項8において、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器を加熱処理する容器加熱処理手段を備えている
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
  10. 請求項7から請求項9のいずれかにおいて、
    粗洗浄された前記コンデンサの前記容器をアルカリまたは酸で洗浄する表面処理手段を備えている
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
  11. 請求項7から請求項10のいずれかにおいて、
    前記コンデンサの前記素子を仕上洗浄前にアルミニウム箔と絶縁紙とに分離する素子分離工程を行う
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
  12. 請求項7から請求項11のいずれかにおいて、
    前記粗洗浄液が脂肪族炭化水素系溶剤であり、
    前記仕上洗浄液がC1 〜C4 のアルコールまたはC1 〜C4 の塩素化物である
    ことを特徴とするPCB含有コンデンサの無害化処理システム。
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