本発明に係る第1の非水電解液二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置され、空気透過率が600秒/100cm3以下の多孔質シートからなるセパレータとを備える電極群;前記電極群に含浸される非水電解液;前記電極群が収納される外装材;を具備する。
前記正極及び前記セパレータは、各々の空隙に保持された接着性を有する高分子により接着されている。また、前記負極及び前記セパレータは各々の空隙に保持された接着性を有する高分子により接着されている。
本発明に係る第2の非水電解液二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極を電気的に隔絶するためのセパレータとを有する電極群;前記電極群を収納するための外装材;前記電極群に含浸される非水電解液;を具備する。
前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。また、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。
なお、前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方の電極が複数存在するとき、複数の電極のうちの一つとセパレータとの境界に前記接着性を有する高分子が存在するよりは、各電極とセパレータとの境界の一部に前記接着性を有する高分子の一部が存在する方が望ましい。
以下、前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解液及び前記外装材について詳しく説明する。
1)正極
この正極は、活物質を含む正極層が集電体の片面もしくは両面に担持された構造を有する。前記正極は、空隙に接着性を有する高分子を保持する。
前記正極層は、正極活物質及び導電剤を含む。また、前記正極層は、接着性を有する高分子の他に、正極活物質を結着する結着剤を含む。
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2O2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 O4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。
前記導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。前記正極の導電材の含有量は、正極活物質80〜95重量%の際に3〜20重量%の範囲にすることが好ましい。
前記結着剤は、活物質を集電体に保持させ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を用いることができる。
前記接着性を有する高分子は、非水電解液を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。非水電解液を保持した状態で高い接着性を有し、かつリチウムイオン伝導性が高い高分子としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエチレンオキサイド(PEO)から選ばれる1種以上のポリマー等を用いることができる。中でも、PVdFが好ましい。PVdFは、非水電解液を保持することができ、非水電解液を含むと一部ゲル化を生じるため、正極中のイオン伝導性をより向上することができる。
前記接着性高分子は、前記正極内において多孔質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着性高分子は、非水電解液を保持することができるため、正極の非水電解液保持量を増加させることができる。
前記正極の結着剤及び接着性を有する高分子の含有量は、1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
特に、前記集電体としては、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板に開口された孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを15〜100μmの範囲にすることが好ましい。厚さを15μm未満にすると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが100μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。厚さのより好ましい範囲は、30〜80μmである。
2)負極
前記負極は、負極層が集電体の片面もしくは両面に担持された構造を有する。前記負極は、空隙に接着性を有する高分子を保持する。
前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含む。また、前記負極層は、接着性を有する高分子の他に、負極材料を結着する結着剤を含んでいても良い。
前記活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を挙げることができる。前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得られ、(002)面の面間隔d002 が0.340nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を備えた非水電解液二次電池は、電池容量および大電流特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002は、0.336nm以下であることが更に好ましい。
前記負極の前記炭素質物の含有量は、負極を作製した状態で5〜20g/m2の範囲にすることが好ましい。
前記結着剤は、活物質を集電体に保持させ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
前記接着性を有する高分子は、非水電解液を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。非水電解液を保持した状態で高い接着性を有し、かつリチウムイオン伝導性が高い高分子としては、前述した正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、非水電解液を保持することができ、非水電解液を含むと一部ゲル化を生じるため、負極中のイオン伝導性をより向上することができる。
前記接着性高分子は、前記負極内において多孔質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着性高分子は、非水電解液を保持することができるため、負極の非水電解液保持量を増加させることができる。
前記負極の結着剤及び接着性を有する高分子の含有量は、1〜10重量%の範囲内であることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
特に、前記集電体としては、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板の孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜50μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが50μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。
前記負極の端部のうち少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させることが好ましい。このような構成にすると、前記負極の端部への電流集中を緩和することができ、サイクル寿命及び安全性を向上することができる。中でも、前記負極の全ての端部を前記正極から突出させることが望ましい。
前記負極としては、前述したリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものの他に、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物を含むものや、リチウム金属またはリチウム合金からなるものを用いることができる。
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物等を挙げることができる。
前記金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
3)セパレータ
このセパレータは、例えば、多孔質シートの空隙に少なくとも接着性を有する高分子が保持されたものを用いることができる。
前記多孔質シートとしては、例えば、多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。前記多孔質シートは、例えば、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
前記接着性を有する高分子は、非水電解液を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。非水電解液を保持した状態で高い接着性を有し、かつリチウムイオン伝導性が高い高分子としては、前述した正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、非水電解液を保持することができ、非水電解液を含むと一部ゲル化を生じるため、セパレータのイオン伝導性をより向上することができる。
前記接着性高分子は、前記セパレータ内において多孔質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着性高分子は、非水電解液を保持することができるため、セパレータの非水電解液保持量を増加させることができる。
前記セパレータの接着性を有する高分子の含有量は、10重量%以下にすることが好ましい。含有量が10重量%を超えると、非水電解液のイオン伝導性が低下する恐れがあるため、大電流放電特性及びサイクル寿命を十分に改善できなくなる恐れがある。より好ましい範囲は5重量%以下で、さらに好ましい範囲は1重量%以下である。また、含有量の下限値は、1×10-5にすることが好ましい。含有量が1×10-5重量%より少なくなると、セパレータと正極との接着強度並びにセパレータと負極との接着強度を十分に高めることが困難になる恐れがあるため、大電流放電特性及びサイクル寿命を十分に改善できなくなる恐れがあるからである。よって、含有量は1×10-5〜10重量%の範囲にすることが好ましい。下限値のより好ましい範囲は1×10-4重量%で、さらに好ましい値は1×10-3重量%である。
前記セパレータは、接着性を有する高分子の濃度が均一でも良いが、接着性を有する高分子の濃度にムラがあっても良い。中でも、内部の接着性を有する高分子の濃度が、正極または負極と対向する表面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低いことが望ましい。特に、セパレータの厚さ方向の中心部における接着性を有する高分子の濃度が、正極または負極と対向する表面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低いことが好ましい。
前記多孔質シートの厚さは、30μm以下にすることが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータの強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値は10μmにすることがより好ましい。
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率が20%以下であることが好ましい。前記熱収縮率が20%を越えると、正負極およびセパレータの接着強度を十分なものにすることが困難になる恐れがある。前記熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を越えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過率が600秒/100cm3 を越えると、セパレータにおいて高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、100秒/100cm3 にすることが好ましい。空気透過率を100秒/100cm3 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。空気透過率の上限値は500秒/100cm3 にすることがより好ましく、更に好ましい範囲は400秒/100cm3 である。また、下限値は150秒/100cm3 にすることより好ましい。
前記セパレータの端部のうち少なくとも一端を前記正極または前記負極に比べて突出させることが好ましい。このような構成にすると、電池を誤って落下させる等により電池に衝撃が加わった際や、100℃以上の高温環境下で使用し、セパレータが熱収縮した際に内部短絡が生じるのを抑制することができる。中でも、セパレータの全ての端部を前記正極または前記負極に比べて突出させることが望ましい。また、前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出した電極端部に比べてセパレータの端部を突き出させることが望ましい。特に、前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させると共に、突出した負極端部に比べてセパレータの端部を突出させることが好ましい。
前記セパレータの端部のうち少なくとも一端を前記正極または前記負極に比べて突出させる際、突出長さは0.25〜2mmの範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。突出長さを0.25mmより短くすると、内部短絡発生率を低減することが困難になる恐れがある。一方、突出長さが2mmを超えると、電池の体積エネルギー密度が低下する恐れがある。より好ましい範囲は、0.5〜1.5mmである。但し、前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出長さは突出した電極端部を基準にして設定する。
前記セパレータの端部のうち少なくとも一端を前記正極または前記負極に比べて突出させる際、突出した端部に接着性を有する高分子が保持されていることが好ましい。このような構成にすると、突出しているセパレータ端部の強度を高めることができるため、内部短絡発生率をさらに低減することができる。
前記正極、負極及びセパレータ中の接着性を有する高分子の種類は、三者で同一にすることが好ましい。このような構成にすると、正極とセパレータの接着強度及び負極とセパレータの接着強度を十分に高めることができるため、大電流放電特性及びサイクル特性を更に向上することができる。
4)非水電解液
前記非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解液である。
前記非水溶媒としては、リチウム二次電池の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができ、特に限定はされないが、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)と前記PCやECより低粘度であり且つドナー数が18以下である1種以上の非水溶媒(以下第2溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
前記第2種の溶媒としては、例えば鎖状カーボンが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、アセトニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、キシレンまたは、酢酸メチル(MA)などが挙げられる。これらの第2の溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に、前記第2種の溶媒はドナー数が16.5以下であることがより好ましい。
前記第2溶媒の粘度は、25℃において28mp以下であることが好ましい。前記混合溶媒中の前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は、体積比率で10〜80%であることが好ましい。より好ましい前記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20〜75%である。
前記混合溶媒のより好ましい組成は、ECとMEC、ECとPCとMEC、ECとMECとDEC、ECとMECとDMC、ECとMECとPCとDECの混合溶媒で、MECの体積比率は30〜80%とすることが好ましい。より好ましいMECの体積比率は、40〜70%の範囲である。
前記非水電解液に含まれる電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3 SO2 )2 ]などのリチウム塩(電解質)が挙げられる。中でもLiPF6 、LiBF4 を用いるのが好ましい。
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/1とすることが望ましい。
前記非水電解液の量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。非水電解液量を0.2g/100mAh未満にすると、正極と負極のイオン伝導度を十分に保つことができなくなる恐れがある。一方、非水電解液量が0.6g/100mAhを越えると、電解液が多量になるため、フィルム製外装材を用いた際に封止が困難になる恐れがある。非水電解液量のより好ましい範囲は、0.4〜0.55g/100mAhである。
5)外装材
この外装材には、例えば、金属缶、または水分を遮断する機能を有するフィルムを用いることができる。前記フィルムとしては、例えば、金属層と、前記金属層の少なくとも一部に形成された可撓性を有する合成樹脂層とを含むラミネートフィルムを挙げることができる。前記金属層は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、ニッケル等を挙げることができる。中でも、軽量なアルミニウムが好ましい。また、前記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
前記フィルム製外装材の厚さは50〜300μmの範囲内であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。厚さが50μmより薄いと、変形や破損し易くなる。一方、厚さが300μmより厚いと、高い重量エネルギー密度を得られなくなる恐れがある。厚さのさらに望ましい範囲は、80〜150μmである。
前記フィルム製外装材を用いる場合、前記電極群がその表面の少なくとも一部に形成された接着層により前記外装材の内面に接着されていることが望ましい。このような構成にすると、前記電極群の表面に前記外装材を固定することができるため、電解液が電極群と外装材の間に浸透するのを抑えることができる。
前記接着層は、接着性を有する高分子を含むものが好ましい。前記接着性を有する高分子は、非水電解液を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。非水電解液を保持した状態で高い接着性を有し、かつリチウムイオン伝導性が高い高分子としては、前述した正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
前記接着層は、多孔質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着層は、電極群の非水電解液保持量を増加させることができる。
前記電池に含まれる接着性高分子の総量は、電池容量100mAh当たり0.2〜6mgにすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。接着性を有する高分子の総量を電池容量100mAh当たり0.2mg未満にすると、正極とセパレータの接着強度及び負極とセパレータの接着強度を十分に向上させることが困難になる恐れがある。一方、前記総量が電池容量100mAh当たり6mgを越えると、二次電池のリチウムイオン伝導度の低下や、内部抵抗の上昇を招く恐れがあり、放電容量、大電流放電特性及び充放電サイクル寿命を充分に改善することが困難になる恐れがある。接着性を有する高分子の総量のより好ましい範囲は、電池容量100mAh当たり0.5〜3mgである。
電池に含まれる接着性高分子の総量を電池容量100mAh当たり0.2〜6mgにする際、非水電解液の量を電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることが好ましい。
以下、本発明に係わる第1、第2の非水電解液二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1〜図4を参照して説明する。
図1は本発明に係わる第1、第2の非水電解液二次電池の一例を示す断面図、図2は図1のA部を示す拡大断面図、図3は図1の二次電池における正極、セパレータ及び負極の境界付近を示す模式図である。
図1に示すように、例えばラミネートフィルムからなる外装材1は、電極群2を包囲している。前記電極群2は、正極、負極及びセパレータからなる積層物を渦巻き状に捲回し、得られた捲回物を径方向に圧縮成形した構造を有する。前記積層物は、図2に示すように、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3、負極層6、負極集電体7、負極層6、セパレータ3、正極層4、正極集電体5、正極層4、セパレータ3,負極層6、及び負極集電体7がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体7が位置している。前記電極群2の表面は、接着部8が存在している。前記外装材1の内面は、前記接着部8に接着されている。図3に示すように、正極層4,セパレータ3及び負極層6の空隙には、接着性を有する高分子9がそれぞれ保持されている。前記正極及び前記セパレータ3は、前記正極層4、セパレータ3並びに正極層4とセパレータ3の境界に点在した接着性を有する高分子9により接着されている。一方、前記負極及び前記セパレータ3は、前記負極層6、セパレータ3並びに負極層6とセパレータ3の境界に点在した接着性を有する高分子9により接着されている。非水電解液は、前記外装材1内の前記電極群2に含浸されている。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。一方、帯状の負極リード11は、一端が前記電極群2の前記負極集電体7に接続され、かつ他端が前記外装材1から延出されている。
また、前述した図1においては、複数の正極及び負極を含む積層物を渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群を用いる例を説明したが、図4に示すように1枚の正極12及び1枚の負極13をその間にセパレータ14を介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群を用いても良い。
また、前述した図1においては、正極及び負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群を用いる例を説明したが、正極及び負極をセパレータを介して折り曲げた構造を有する電極群を用いても良い。この一例を図5に示す。図5に示すように、電極群は、正極12及び負極13をその間にセパレータ14を介し、負極13同士が接するように複数回(例えば5回)折り曲げた構造を有する。
なお、前述した図1においては、電極群2の表面全体に接着部8を形成したが、外装材1と電極群2の間に非水電解液が浸透するのを抑制できるのであれば、電極群2の表面の一部に形成されていても良い。中でも、少なくとも最外周に接着部を形成することが好ましい。また、前述した折り曲げた構造を有する電極群の場合、接着部は少なくとも側面に形成されていることが望ましい。
本発明に係る第1,第2の非水電解液二次電池は、例えば、以下に説明する方法で製造される。
(第1工程)
正極及び負極の間に、接着性を有する高分子未保持のセパレータとして多孔質シートを介在させ、電極群を作製する。
前記電極群は、正極と負極をその間に接着性を有する高分子未保持のセパレータを介して渦巻き状に捲回するか、もしくは渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮するか、あるいは正極と負極をその間に接着性を有する高分子未保持のセパレータを介して複数回折り曲げることにより作製されることが望ましい。このような方法で作製すると、後述する第2工程において、正極、負極及びセパレータに接着性を有する高分子の溶液を浸透させつつ、正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界全体に前記溶液が浸透するのを防止することができる。その結果、正極、負極及びセパレータに接着性を有する高分子を点在させることが可能になると共に、正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界に接着性を有する高分子を点在させることができる。
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。前記正極活物質、導電剤、結着剤及び集電体としては、前述した(1)正極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。前記炭素質物、結着剤及び集電体としては、前述した(2)負極の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記多孔質シートとしては、前述した(3)セパレータの欄で説明したのと同様なものを用いることができる。
(第2工程)
袋状のフィルム製外装材内に前記電極群を積層面が前記外装材の開口部から見えるように収納する。溶媒に接着性を有する高分子を溶解させることにより得られた溶液を前記外装材内の電極群に注入し、前記溶液を前記電極群に含浸させる。
前記フィルム製外装材しては、前述した(5)外装材の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記接着性を有する高分子は、非水電解液を保持した状態で高い接着性を維持できるものであることが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオン伝導性が高いとなお好ましい。非水電解液を保持した状態で高い接着性を有し、かつリチウムイオン伝導性が高い高分子としては、前述した正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
前記溶媒には、沸点が200℃以下の有機溶媒を用いることが望ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、ジメチルフォルムアミド(沸点153℃)を挙げることができる。有機溶媒の沸点が200℃を越えると、後述する真空乾燥の温度を100℃以下にした際、乾燥時間が長く掛かる恐れがある。また、有機溶媒の沸点の下限値は、50℃にすることが好ましい。有機溶媒の沸点を50℃未満にすると、前記溶液を電極群に注入している間に前記有機溶媒が蒸発してしまう恐れがある。沸点の上限値は、180℃にすることがさらに好ましく、また、沸点の下限値は100℃にすることがさらに好ましい。
前記溶液中の接着性高分子の濃度は、0.1〜2.5重量%の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記濃度を0.1重量%未満にすると、正極とセパレータ並びに負極とセパレータを十分な強度で接着することが困難になる恐れがある。一方、前記濃度が2.5重量%を越えると、非水電解液を保持できるだけの十分な多孔度を得ることが困難になって電極の界面インピーダンスが著しく大きくなる恐れがある。界面インピーダンスが増大すると、容量及び大電流放電特性が大幅に低下する。濃度のより好ましい範囲は、0.5〜1.5重量%である。
前記溶液の注入量は、前記溶液の接着性高分子の濃度が0.1〜2.5重量%である場合、電池容量100mAh当たり0.2〜2mlの範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記注入量を0.2ml未満にすると、正極とセパレータの接着強度及び負極とセパレータの接着強度を十分に向上させることが困難になる恐れがある。一方、前記注入量が2mlを越えると、二次電池のリチウムイオン伝導度の低下や、内部抵抗の上昇を招く恐れがあり、放電容量、大電流放電特性及び充放電サイクル寿命を改善することが困難になる恐れがある。前記注入量のより好ましい範囲は、電池容量100mAh当たり0.3〜1mlである。
(第3工程)
前記電極群を所定厚にプレス成形しながら常圧下、または真空を含む減圧下で乾燥を施すことにより前記溶液中の溶媒を蒸発させる。この工程により、前記正極、負極及びセパレータの空隙内に接着性を有する高分子が保持され、前記正極、負極及びセパレータは一体化される。また、前記接着性を有する高分子の一部は、前記正極と前記セパレータの境界及び前記負極と前記セパレータの境界に点在する。なお、この工程により前記電極群中に含まれる水分の除去を同時に行うことができる。
なお、前記電極群は、微量の溶媒を含むことを許容する。
成形は、前述したプレス成形の代わりに、成形型への填め込みにより行うことができる。
前記電極群の乾燥は、例えば、常圧下、減圧下、あるいは真空下で加熱を施すことにより行うことができる。中でも、減圧加熱、真空加熱が好ましい。
前記乾燥は、100℃以下で行うことが好ましい。これは次のような理由によるものである。乾燥の温度が100℃を越えると、前記セパレータが大幅に熱収縮する恐れがある。熱収縮が大きくなると、セパレータが反るため、正極、負極及びセパレータを強固に接着することが困難になる。また、前述した熱収縮は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む多孔質フィルムをセパレータとして用いる場合に顕著に生じやすい。乾燥の温度が低くなるほどセパレータの熱収縮を抑制できるものの、乾燥の温度を40℃未満にすると、十分に溶媒を蒸発させることが困難になる恐れがある。このため、乾燥温度は、40〜100℃にすることがより好ましい。さらに好ましい範囲は、60〜90℃である。
(第4工程)
前記外装材内の電極群に非水電解液を注入した後、前記外装材の開口部を封止することにより薄型非水電解液二次電池を製造する。
前記非水電解液としては、前述した第1の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
前述した製造方法においては、外装材に電極群を収納してから接着性を有する高分子が溶解された溶液の注入を行ったが、外装材に収納せずに前記溶液の注入を行っても良い。この場合、まず、正極と負極の間にセパレータを介在させて電極群を作製する。前記電極群に前記溶液を含浸させた後、前記電極群を成形しながら乾燥を施すことにより前記溶液の溶媒を蒸発させる。このような電極群を外装材に収納した後、非水電解液を注入し、封口等を行うことにより薄型の非水電解液二次電池を製造することができる。
また、前述した製造方法においては、乾燥と成形を同時に行ったが、乾燥は、いつ行っても良く、例えば、成形前や、成形後に行うことができる。
なお、セパレータの内部における接着性を有する高分子の濃度を、正極または負極と対向する表面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低くするのは、例えば、表面の空隙率が内部に比べて高いセパレータを使用したり、あるいは正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界に存在する隙間の量を多くすることにより行うことができる。
本発明に係る第3の非水電解液二次電池は、正極及び負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。また、前記電極群は、積層構造が露出している面が下記(1)式を満たす形状を有する。
0.9≦L2/L1≦1.2 …(1)
前記(1)式において、前記L2は前記面のうち湾曲積層領域を除いた領域における最多層部の厚さであり、前記L1は前記湾曲積層領域を除いた領域の端部のうち層数が前記L2と等しい端部の厚さである。
本発明に係る第3の非水電解液二次電池の一例を図6〜図7を参照して説明する。
図6は本発明に係る第3の非水電解液二次電池の一例を示す断面図、図7は図6のB部を示す拡大断面図である。
フィルム製外装材21は、電極群22を包囲している。前記電極群22は、正極、負極及びセパレータからなる積層物を渦巻き状に捲回し、得られた捲回物を径方向に圧縮した構造を有する。前記積層物は、図7に示すように、セパレータ23、正極層24、正極集電体25、正極層24、セパレータ23、負極層26、負極集電体27、負極層26、セパレータ23、正極層24、正極集電体25、正極層24、セパレータ23,負極層26、及び負極集電体27がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群22は、最外層に前記負極集電体27が位置している。非水電解液は、前記外装材21内の前記電極群22に含浸されている。帯状の正極リード28は、一端が前記電極群22の前記正極集電体25に接続され、かつ他端が前記外装材21から延出されている。一方、帯状の負極リード29は、一端が前記電極群22の前記負極集電体27に接続され、かつ他端が前記外装材21から延出されている。
前記電極群22は、積層構造が露出している面(捲回軸に垂直な面)が下記(1)式を満足する形状を有する。
0.9≦L2/L1≦1.2 …(1)
前記(1)式において、前記L2は、前記面のうち層がほぼ並行に積層されている領域Xにおける最多層部の厚さである。また、前記L1は前記領域Xの端部のうち層数が前記L2と等しい端部の厚さである。一方、前記領域Xの両端部に位置する領域Yでは、層が湾曲している。なお、層数は、正極、負極及びセパレータの積層数の合計を意味する。
本発明に係る二次電池は、組立後、充電後、もしくは放電後のうち少なくともいずれかの状態において、電極群の積層構造が露出している面が前述した(1)式を満足するものである。中でも、少なくとも充電後、電極群の積層構造が露出している面が前述した(1)式を満足していることが望ましい。
前記L2/L1の比を前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。フィルム製外装材は、金属缶からなる外装材と異なり、電極群を挟み込む、もしくは加圧する効果がほとんどない。このため、前記L2/L1の比が1.2を超えると、充放電サイクル初期からの正極とセパレータ、あるいは負極とセパレータの接触が不十分になるばかりか、充放電サイクルの進行に伴って接触面積がさらに低下する。その結果、負極においてリチウムの析出が起こりやすくなるため、長寿命を得られなくなる。一方、前記L2/L1の比を0.9未満にすると、電極群の空隙率が不足するため、電極群の非水電解液保持量が減少し、充放電サイクル寿命を向上させることが困難になる。前記L2/L1の比のさらに好ましい範囲は、0.95〜1.1である。
前記非水電解液及び前記フィルム製外装材としては、前述した第1の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
以下、前記正極、負極及びセパレータについて説明する
(1)正極
この正極は、集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、かつ活物質及び結着剤を含む正極層とを備える。
前記正極活物質としては、前述した第1、第2の非水電解液二次電池の正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記結着剤は、活物質を集電体に保持させ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)から選ばれる1種以上のポリマー等を用いることができる。
前記正極の結着剤の含有量は、2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
前記正極層は、さらに導電剤を含むことが好ましい。前記導電剤としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池の正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。前記正極の導電材の含有量は、正極活物質80〜95重量%の際に3〜20重量%の範囲にすることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
特に、前記集電体としては、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板に開口された孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを15〜100μmの範囲にすることが好ましい。厚さを15μm未満にすると、十分な正極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが100μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。厚さのより好ましい範囲は、30〜80μmである。
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
(2)負極
前記負極は、集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質及び結着剤を含む負極層とを備える。
前記活物質としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池の負極で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記結着剤は、活物質を集電体に保持させ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)等から選ばれる少なくとも1種類のポリマーを用いることができる。前記活物質として前記炭素質物を用いる際、前記負極の前記結着剤の含有量は、負極を作製した状態で2〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
特に、前記集電体としては、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板を用いることが好ましい。すなわち、導電性基板の孔の直径が3mmよりも大きくなると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、直径3mm以下の孔の存在割合が前記範囲よりも少なくなると、電極群に非水電解液を均一に浸透させることが困難になるため、十分なサイクル寿命が得られなくなる恐れがある。孔の直径は、0.1〜1mmの範囲にすることがより好ましい。また、孔の存在割合は、10cm2 当り10〜20個の範囲にすることがより好ましい。
前述した直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する二次元的な多孔質構造を有する導電性基板は、厚さを10〜50μmの範囲にすることが好ましい。厚さを10μm未満にすると、十分な負極強度が得られなくなる恐れがある。一方、厚さが50μmを越えると、電池重量および電極群の厚さが増加し、薄型二次電池の重量エネルギー密度や、体積エネルギー密度を十分に高くすることが困難になる恐れがある。
前記負極の端部のうち少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させることが好ましい。このような構成にすると、前記負極の端部への電流集中を緩和することができ、サイクル寿命及び安全性を向上することができる。中でも、前記負極の全ての端部を前記正極から突出させることが望ましい。
前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製することができる。
前記負極としては、前述したリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものの他に、金属酸化物か、金属硫化物か、もしくは金属窒化物を含むものや、リチウム金属またはリチウム合金からなるものを用いることができる。
前記金属酸化物、前記金属硫化物、前記金属窒化物、前記リチウム合金としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池の負極で説明したのと同様なものを挙げることができる。
(3)セパレータ
前記セパレータとしては、例えば、多孔質シートを用いることができる。
前記多孔質シートとしては、例えば、多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。前記多孔質シートは、例えば、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
前記多孔質シートの厚さは、30μm以下にすることが好ましい。厚さが30μmを越えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が大きくなる恐れがある。また、厚さの下限値は、5μmにすることが好ましい。厚さを5μm未満にすると、セパレータの強度が著しく低下して内部ショートが生じやすくなる恐れがある。厚さの上限値は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値は10μmにすることがより好ましい。
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率が20%以下であることが好ましい。前記熱収縮率が20%を越えると、正負極およびセパレータの接触を十分なものにすることが困難になる恐れがある。前記熱収縮率は、15%以下にすることがより好ましい。
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%の範囲であることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が60%を越えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜50%である。
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過率が600秒/100cm3 を越えると、セパレータにおいて高いリチウムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。また、空気透過率の下限値は、100秒/100cm3 にすることが好ましい。空気透過率を100秒/100cm3 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがあるからである。空気透過率の上限値は500秒/100cm3 にすることがより好ましく、更に好ましい範囲は400秒/100cm3 である。また、下限値は150秒/100cm3 にすることより好ましい。
前記セパレータは、接着性を有する高分子を微量含むことを許容する。このセパレータを含む電極群中の接着性高分子の含有量は、0.1重量%以下(0重量%を含む)にすることが好ましい。前記含有量が0.1重量%を超えると、セパレータのリチウムイオン伝導度が低下する恐れがある。
前記セパレータの端部のうち少なくとも一端を前記正極または前記負極に比べて突出させることが好ましい。このような構成にすると、電池を誤って落下させる等により電池に衝撃が加わった際や、100℃以上の高温環境下で使用し、セパレータが熱収縮した際に内部短絡が生じるのを抑制することができる。中でも、セパレータの全ての端部を前記正極または前記負極に比べて突出させることが望ましい。また、前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出した電極端部に比べてセパレータの端部を突き出させることが望ましい。特に、前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させると共に、突出した負極端部に比べてセパレータの端部を突出させることが好ましい。
前記セパレータの端部のうち少なくとも一端を前記正極または前記負極に比べて突出させる際、突出長さは0.25〜2mmの範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。突出長さを0.25mmより短くすると、内部短絡発生率を低減することが困難になる恐れがある。一方、突出長さが2mmを超えると、電池の体積エネルギー密度が低下する恐れがある。より好ましい範囲は、0.5〜1.5mmである。但し、前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出長さは突出した電極端部を基準にして設定する。
なお、前述した図6においては、電極群22の巻き終わり端部を領域Xの端部に配置したが、電極群22の巻き終わり端部の位置はどこにあっても良い。例えば、巻き終わり端部を領域Xの中央付近に配置したり、あるいは湾曲積層領域Yに配置することができる。
また、前述した図6においては、複数の正極及び複数の負極を用いて電極群を構成したが、1枚の正極及び1枚の負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群に適用することができる。
本発明に係る第4の非水電解液二次電池は、正極及び負極がセパレータを介して2回以上折り曲げられた構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。また、前記電極群は、積層構造が露出している面が下記(2)式を満たす形状を有することを特徴とする非水電解液二次電池。
0.9≦L4/L3≦1.2 …(2)
前記(2)式において、前記L4は前記面のうち折り曲げ積層領域を除いた領域における最多層部の厚さであり、前記L3は前記折り曲げ積層領域を除いた領域の端部のうち層数が前記L4と等しい端部の厚さである。
本発明に係る第4の非水電解液二次電池の一例を図8〜図9を参照して説明する。
図8は本発明に係る第4の非水電解液二次電池の一例を示す断面図、図9は図8のC部を示す拡大断面図である。
フィルム製外装材31は、電極群32を包囲している。前記電極群32は、図9に示すようなセパレータ33、正極集電体34、正極層35、セパレータ33、負極層36及び負極集電体37がこの順番に積層された帯状積層物を負極集電体37同士が接するように6回折り曲げることにより作製される。非水電解液は、前記外装材31内の前記電極群32に含浸されている。帯状の正極リード38は、一端が前記電極群32の前記正極集電体34に接続され、かつ他端が前記外装材31から延出されている。一方、帯状の負極リード39は、一端が前記電極群32の前記負極集電体37に接続され、かつ他端が前記外装材31から延出されている。
前記電極群32は、積層構造が露出している面が下記(2)式を満たす形状を有する。
0.9≦L4/L3≦1.2 …(2)
前記(2)式において、前記L4は前記面における任意の折り返し点P1と次の折り返し点P2との間の領域X1のうちの最多層部の高さであり、前記L3は前記折り返し点P1,折り返し点P2を通る厚さのうち層数が前記L4と等しい方の厚さである。なお、折り返し点は、正極、負極及びセパレータからなる帯状積層物を折り曲げていった際に前記積層物同士が重なり始める点をいう。また、折り返し点P1,折り返し点P2は、前記領域X1に折り曲げ積層領域Y1が含まれないように選択する。一方、層数は、正極、負極及びセパレータの積層数の合計を意味する。
本発明に係る二次電池は、組立後、充電後、もしくは放電後のうち少なくともいずれかの状態において、電極群の積層面が前述した(2)式を満足するものである。中でも、少なくとも充電後、電極群の積層面が前述した(2)式を満足していることが望ましい。
前記L4/L3の比を前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。フィルム製外装材は、金属缶からなる外装材と異なり、電極群を挟み込む、もしくは加圧する効果がほとんどない。このため、前記L4/L3の比が1.2を超えると、充放電サイクル初期からの正極とセパレータ、あるいは負極とセパレータの接触が不十分になるばかりか、充放電サイクルの進行に伴って接触面積がさらに低下する。その結果、負極においてリチウムの析出が起こりやすくなるため、長寿命を得られなくなる。一方、前記L4/L3の比を0.9未満にすると、電極群の空隙率が不足するため、電極群の非水電解液保持量が減少し、充放電サイクル寿命を向上させることが困難になる。前記L4/L3の比のさらに好ましい範囲は、0.95〜1.1である。
前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解液及び前記フィルム製外装材としては、前述した第3の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
なお、前述した図8においては、正極、負極及びセパレータからなる帯状積層物の両端部が電極群の折り曲げ部と重なる例を説明したが、前記帯状積層物の両端部の位置は特に限定されない。例えば、前記帯状積層物の両端部を電極群の領域X1に重ねることができる。また、前記帯状積層物の2つの端部は、互いに異なる位置にあっても良い。
前述した図8においては、1枚の正極及び1枚の負極をその間にセパレータを介し、負極同士が接するように複数回折り曲げることにより電極群を構成したが、セパレータ、正極、セパレータ及び負極をこの順番に積層し、得られた積層物をセパレータが接するように複数回折り曲げることにより電極群を構成しても良い。
この第3、第4の非水電解液二次電池は、例えば、以下に説明する方法で製造される。
(第1工程)
以下の(a)〜(c)に説明する方法により電極群を作製する。
(a)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回する。
(b)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮する。
(c)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて2回以上折り曲げる。
前記正極、負極及びセパレータとしては、前述した第3の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
(第2工程)
袋状のフィルム製外装材内に前記電極群を収納する。
前記外装材としては、前述した第3の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
(第3工程)
前記電極群を40〜120℃に加熱しながら成形する。
前記成形は、前記電極群が前記(a)の方法で作製される場合には径方向に、前記電極群が前記(b)または(c)の方法で作製される場合には積層方向に圧縮されるように行う。
前記成形は、例えば、プレス成形、あるいは成形型への填め込み等により行うことができる。
電極群の成形を行う際に前記電極群の加熱を行う理由を説明する。前記電極群では、正極及び負極がセパレータと直に接しており、また前記セパレータ中に接着性を有する高分子がほとんど含まれていない。この電極群に常温で成形を行うと、成形後にスプリングバックが生じる、つまり正極とセパレータ、及び負極とセパレータの間に隙間が生じる。その結果、L2/L1の比及びL4/L3の比が1.2より大きくなる。前記電極群に40℃以上で成形を行うことによって、正極及び負極に含まれる結着剤を熱硬化させることができるため、電極群の硬度を高めることができる。その結果、成形後のスプリングバックを抑制することができるため、L2/L1の比及びL4/L3の比を1.2以下にすることができる。一方、前記電極群の温度が120℃を超えると、セパレータが大幅に熱収縮する恐れがある。より好ましい温度は、60〜100℃である。
前述した特定温度に加熱しながらの成形は、例えば、常圧下、もしくは減圧下、あるいは真空下で行うことができる。減圧下、あるいは真空下で行うと、電極群からの水分除去効率が向上されるため、望ましい。
前記成形をプレス成形により行う場合、プレス圧は、0.01〜20kg/cm2の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。プレス圧を0.01kg/cm2より低くすると、L2/L1の比及びL4/L3の比が1.2より大きくなる。一方、プレス圧が20kg/cm2より高いと、L2/L1の比及びL4/L3の比が0.9より小さくなる。
(第4工程)
前記外装材内の電極群に非水電解液を注入した後、前記外装材の開口部を封止することにより前述した第3,第4の非水電解液二次電池が得られる。
前述した製造方法においては、外装材に電極群を収納してから電極群を特定温度に加熱しつつ成形したが、外装材に収納する前に前述した加熱成形を行っても良い。この場合、まず、前述した第1の工程により電極群を作製する。前記電極群を40〜120℃に加熱しながら成形する。次いで、前記電極群をフィルム製外装材に収納した後、非水電解液を注入し、封口等を行うことにより前述した第3,第4の非水電解液二次電池を製造することができる。
また、正極及び負極をその間にセパレータを介して積層することにより電極群を作製した後、前記電極群を加熱しつつ、その積層方向に沿って成形を施し、得られた電極群及び非水電解液を外装材に収納し、非水電解液二次電池を組み立てることによって、正極、負極及びセパレータを長期間に亘って充分に接触させておくことができるため、大電流放電特性並びにサイクル特性に優れる非水電解液二次電池を実現することができる。なお、このような方法においては、電極群の加熱温度が40℃以下であっても優れた特性を得ることができる。
本発明に係る第5の非水電解液二次電池は、正極及び負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着され、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。また、前記電極群は、積層構造が露出している面が前述した(1)式を満たす形状を有する。
前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解液及び前記フィルム製外装材としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
本発明に係る第6の非水電解液二次電池は、正極、負極及びセパレータからなる積層物を2回以上折り曲げた構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着され、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。前記電極群は、積層構造が露出している面が前述した(2)式を満たす形状を有する。
前記正極、前記負極、前記セパレータ、前記非水電解液及び前記フィルム製外装材としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。
この第5,6の非水電解液二次電池は、以下に説明する方法で製造される。
(第1工程)
以下の(a)〜(c)に説明する方法により電極群を作製する。
(a)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回する。
(b)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮する。
(c)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて2回以上折り曲げる。
前記正極、前記負極及び前記セパレータは、前述した非水電解液二次電池の製造方法で説明したのと同様なものを用いる。
このような方法で作製された電極群には、後述する第2工程において、正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界全体に接着性を有する高分子の溶液が浸透するのを防止しつつ、正極、負極及びセパレータに前記溶液を浸透させることができる。その結果、正極、負極及びセパレータに接着性を有する高分子を点在させることが可能になると共に、正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界に接着性を有する高分子を点在させることができる。
(第2工程)
袋状のフィルム製外装材内に前記電極群を収納する。この際、前記電極群の積層面が前記外装材の開口部から見えることが望ましい。溶媒に接着性を有する高分子を溶解させることにより得られた溶液を前記外装材内の電極群に注入し、前記溶液を前記電極群に含浸させる。
前記フィルム製外装材、前記接着性を有する高分子及び前記溶媒としては、前述した非水電解液二次電池の製造方法で説明したのと同様なものを用いることができる。
(第3工程)
前記電極群を40〜120℃に加熱しながら成形する。
この工程により、L2/L1の比及びL4/L3の比が0.9〜1.2になる。また、正極、負極及びセパレータが接着されると共に、電極群が外装材の内面に接着される。さらに、前記溶液中の溶媒が蒸発するため、前記電極群に含まれる接着性を有する高分子の一部または全部が多孔質構造になる。また、前記電極群中に含まれる水分が除去される。
なお、前記電極群は、微量の溶媒を含むことを許容する。
前記成形は、前記電極群が前記(a)の方法で作製される場合には径方向に、前記電極群が前記(b)または(c)の方法で作製される場合には積層方向に圧縮されるように行う。
前記成形は、例えば、プレス成形、あるいは成形型への填め込み等により行うことができる。
電極群の成形を行う際に前記電極群の加熱を行う理由を説明する。前記電極群では、接着性を有する高分子が正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境界に点在している。この電極群に常温で成形を行うと、成形後にスプリングバックが生じる、つまり正極とセパレータ、及び負極とセパレータの間に隙間が生じる。その結果、L2/L1の比及びL4/L3の比が1.2より大きくなる。前記電極群に40℃以上で成形を行うことによって、正極及び負極に含まれる結着剤及び接着性を有する高分子を熱硬化させることができるため、電極群の硬度を高めることができる。その結果、成形後のスプリングバックを抑制することができるため、L2/L1の比及びL4/L3の比を1.2以下にすることができる。一方、前記電極群の温度が120℃を超えると、セパレータが大幅に熱収縮する恐れがある。より好ましい温度は、60〜100℃である。
前述した特定温度に加熱しながらの成形は、例えば、常圧下、もしくは減圧下、あるいは真空下で行うことができる。減圧下、あるいは真空下で行うと、電極群からの水分除去効率が向上されるため、望ましい。
前記成形をプレス成形により行う場合、プレス圧は、0.01〜20kg/cm2の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。プレス圧を0.01kg/cm2より低くすると、L2/L1の比及びL4/L3の比が1.2より大きくなる。一方、プレス圧が20kg/cm2より高いと、L2/L1の比及びL4/L3の比が0.9より小さくなる。
(第4工程)
前記外装材内の電極群に非水電解液を注入した後、前記外装材の開口部を封止することにより第5,6の非水電解液二次電池を製造する。
前述した製造方法においては、外装材に電極群を収納してから接着性を有する高分子が溶解された溶液の注入を行ったが、外装材に収納せずに前記溶液の注入を行っても良い。この場合、まず、正極と負極の間にセパレータを介在させて電極群を作製する。前記電極群に前記溶液を含浸させた後、前記電極群を40〜120℃に加熱しながら成形することにより前記溶液の溶媒を蒸発させる。このような電極群を外装材に収納した後、非水電解液を注入し、封口等を行うことにより第5,6の非水電解液二次電池を製造することができる。
本発明に係る第7の非水電解液二次電池は、少なくとも1枚の正極と、少なくとも1枚の負極と、少なくとも1枚のセパレータと、前記正極と前記セパレータの間及び前記負極と前記セパレータの間それぞれに介装される少なくとも2枚の接着層とが積層された構造を有する電極群;前記電極群に含浸される非水電解液;前記電極群が収納されるフィルム製外装材;を具備する。
前記セパレータは、接着性を有する高分子を10重量%以下含む。また、前記セパレータの全ての端部は、前記正極の端部または前記負極の端部に比べて突出している。
前記正極、前記負極、前記非水電解液及び前記フィルム製外装材としては、前述した第3の非水電解液二次電池で説明したのと同様なものを用いることができる。以下、前記セパレータ及び前記接着層について説明する。
(1)セパレータ
前記セパレータは、接着性を有する高分子が保持された多孔質シートからなる。前記セパレータの接着性を有する高分子の含有量は10重量%以下(0重量%を含む)である。また、前記セパレータの全ての端部は、前記正極の端部または前記負極の端部に比べて突出している。
前記多孔質シートとしては、前述した第1、2の非水電解液二次電池のセパレータにおいて説明したのと同様なものを用いることができる。
前記接着性を有する高分子としては、前述した第1、2の非水電解液二次電池のセパレータにおいて説明したのと同様なものを用いることができる。
前記セパレータの接着性を有する高分子の含有量を前記範囲に規定するのは次のような理由によるものである。含有量を10重量%より多くすると、二次電池の内部抵抗が高くなるため、サイクル寿命を向上することが困難になる。より好ましい範囲は5重量%以下で、さらに好ましい範囲は1重量%以下である。また、接着性を有する高分子の含有量を1×10-5重量%以上にすることによって、正極とセパレータの接着強度並びに負極とセパレータの接着強度を向上することができる。含有量のより好ましい下限値は1×10-4重量%で、さらに好ましい範囲は1×10-3重量%である。
前記セパレータは、接着性を有する高分子が均一に存在していても良いが、接着性を有する高分子の濃度にムラがあっても良い。中でも、内部の接着性を有する高分子の濃度が、正極または負極と対向する表面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低いことが望ましい。特に、セパレータの厚さ方向の中心部における接着性を有する高分子の濃度が、正極または負極と対向する表面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低いことが好ましい。
前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出した方の電極に比べてセパレータの全ての端部を突き出させることが望ましい。このような構成にすると、内部短絡発生率をより一層低減することができる。特に、前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させると共に、前記負極に比べてセパレータの全ての端部を突出させることが好ましい。このような構成にすると、内部短絡発生率のより一層の低減と、サイクル寿命の更なる向上とを図ることができる。
前記セパレータの端部には、前記接着性を有する高分子が保持されていることが好ましい。このような構成にすると、突出しているセパレータ端部の強度を高めることができるため、内部短絡発生率をさらに低減することができる。
前記セパレータの端部の突出長さは0.25〜2mmの範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。突出長さを0.25mmより短くすると、内部短絡発生率を低減することが困難になる恐れがある。一方、突出長さが2mmを超えると、電池の体積エネルギー密度が低下する恐れがある。より好ましい範囲は、0.5〜1.5mmである。但し、前記正極の少なくとも一端部を前記負極に比べて突出させたり、あるいは前記負極の少なくとも一端部を前記正極に比べて突出させる場合、突出長さは突出した電極端部を基準にして設定する。
(2)接着層
この接着層は、接着性を有する高分子を含む。前記接着性を有する高分子としては、前述した第1,2の非水電解液二次電池の正極で説明したのと同様なものを挙げることができる。
前記接着層は、多孔質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着層は、電極群の非水電解液保持量を増加させることができる。
以下、本発明に係わる第7の非水電解液二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図10及び図11を参照して詳細に説明する。
フィルム製外装材41内には、積層構造型の電極群42が収納されている。前記電極群42は、例えば多孔質導電性基板からなる集電体43に正極層44が担持された構造を有する正極45と、例えば多孔質導電性基板からなる集電体46に負極層47が担持された構造を有する負極48と、前記正極層44及び前記負極層47にそれぞれ接着された多孔質の接着層49a,49bと、両面に前記多孔質の接着層49a,49bが接着されているセパレータ50とから構成される。前記負極48の全ての端部は、前記正極45に比べて突出している。一方、前記セパレータ50は、10重量%以下(0重量%を含む)の接着性高分子を含み、かつその全ての端部が前記負極48に比べて突出している。非水電解液は、前記外装材41内に収容されている。正極端子51は、一端が前記正極45に接続され、かつ他端が前記外装材41から延出されている。一方、負極端子52は、一端が前記負極48に接続され、かつ他端が前記外装材41から延出されている。
以上説明した本発明に係る第1の非水電解液二次電池によれば、接着性を有する高分子を少なくとも正極とセパレータで囲まれる空隙と、負極とセパレータで囲まれる空隙と、正負極及びセパレータ内それぞれの空隙とに保持させることができるため、電極群の少なくとも内部に接着性高分子を三次元網状に分布させることができる。その結果、セパレータの一方の面に正極を直接接触させ、かつ他方の面に負極を直接接触させつつ、正極、負極及びセパレータを一体化することができるため、フィルム状外装材を用いた場合にも正負極及びセパレータの密着性を十分に確保することができると共に、接着性高分子に起因する内部抵抗の上昇を抑制することができる。さらに、前記セパレータが、空気透過率が600秒/100cm3以下の多孔質シートに少なくとも接着性を有する高分子が保持されたものを含むことによって、前記セパレータのリチウムイオン伝導度を高くすることができる。その結果、容量、大電流特性及びサイクル寿命が向上された非水電解液二次電池を提供することができる。また、フィルム状外装材を用いることが可能であるため、厚さが例えば4mm以下と薄く、容量、大電流特性及びサイクル寿命に優れた薄型の非水電解液二次電池を実現することができる。
前記フィルム状外装材を用いる場合、前記電極群の表面のうち少なくとも一部に接着層を形成することによって、前記外装材を前記電極群に固定することができる。その結果、前記外装材と前記電極群の間に非水電解液が浸透するのを抑制することができる。
前記接着性を有する高分子の総量を電池容量100mAh当たり0.2〜6mgの範囲にすることによって、内部抵抗を低く抑えつつ、正極、負極及びセパレータの密着性をより改善することができる。その結果、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより改善することができる。
前記セパレータの厚さを30μm以下にすることによって、前記二次電池の内部抵抗をさらに低くすることができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記セパレータの120℃、1時間での熱収縮率を20%以下にすることによって、正極、負極及びセパレータの密着性をより向上することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記セパレータの多孔度を30〜60%にすることによって、セパレータの強度と電解液保持性の双方を満足することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記負極として、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いることによって、リチウム金属もしくはリチウム合金からなる負極を備えた薄型の非水電解液二次電池において生じやすいリチウムデンドライドの問題を回避することができる。
さらに、前記炭素質物として、(002)面の面間隔d002 が0.340nm以下である黒鉛結晶を有するものを用いることによって、前記二次電池の容量及び大電流特性をより向上することができる。
また、前記正極及び前記負極のうち少なくともいずれか一方の電極において、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する多孔質構造を有する導電性基板を集電体として用いることによって、必要な電極強度を確保しつつ、電極群に非水電解液を均一に浸透させることができるため、前記二次電池のサイクル寿命をより向上することができる。
本発明に係る第2の非水電解液二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極を隔絶するためのセパレータとを有する電極群;前記電極群を収納するための外装材;前記電極群に含浸される非水電解液;を具備する。前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されていると共に、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。このような二次電池によれば、正極の一部と負極の一部をセパレータに直に接触させることができるために接着性高分子に起因する内部抵抗を低減することができると共に、正極とセパレータの接着強度並びに負極とセパレータの接着強度を向上させることができる。接着強度が向上されるのは、前記電極群の内部に接着性を有する高分子が三次元の網状に分布しているためと推測される。その結果、容量、大電流特性及びサイクル寿命が向上された非水電解液二次電池を提供することができる。また、前記電極群は、フィルム製外装材を用いた際に、正極、負極及びセパレータが充分に接着された状態を長期間に亘り維持することができる。このため、厚さが例えば4mm以下と薄く、容量、大電流特性及びサイクル寿命に優れた薄型の非水電解液二次電池を実現することができる。
本発明に係る二次電池において、前記セパレータの接着性を有する高分子の含有量を10重量%以下にすることによって、正極とセパレータとの接着強度並びに負極とセパレータとの接着強度を高い値に維持しつつ、非水電解液のイオン伝導性を高くすることができるため、大電流放電特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
本発明に係る二次電池において、前記セパレータの内部における接着性を有する高分子の濃度を正極または負極と対向する面における接着性を有する高分子の濃度に比べて低くすることによって、正極とセパレータとの接着強度並びに負極とセパレータとの接着強度を高い値に維持しつつ、内部抵抗を低減することができるため、大電流放電特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
本発明に係る二次電池において、前記接着性を有する高分子の総量を電池容量100mAh当たり0.2〜6mgの範囲にすることによって、内部抵抗を低く抑えつつ、正極とセパレータとの接着強度並びに負極とセパレータとの接着強度をより改善することができる。その結果、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
本発明に係る二次電池において、前記接着性を有する高分子の総量を電池容量100mAh当たり0.2〜6mgの範囲にする際、前記非水電解液の量を電池容量100mAh当たり0.2〜0.6gにすることによって、大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる他に、フィルム製外装材の使用が可能になるために薄型化を図ることができる。
本発明に係る二次電池において、外装材としてフィルム製のものを用いる際、前記電極群の表面の少なくとも一部に形成された接着層で前記電極群を前記フィルム製外装材の内面に接着することによって、前記外装材を前記電極群に固定することができる。その結果、前記外装材と前記電極群の間に非水電解液が浸透するのを抑制することができる。
本発明に係る二次電池において、前記セパレータが、空気透過率が600秒/100cm3以下である多孔質シートに少なくとも前記接着性を有する高分子が保持されたものを含むことによって、前記セパレータのリチウムイオン伝導度を高くすることができる。その結果、放電容量、大電流特性及び充放電サイクル寿命を更に向上することができる。
前記セパレータの厚さを30μm以下にすることによって、前記二次電池の内部抵抗をさらに低くすることができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記セパレータの120℃、1時間での熱収縮率を20%以下にすることによって、正極とセパレータとの接着強度並びに負極とセパレータとの接着強度をより向上することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をさらに改善することができる。
また、前記セパレータの多孔度を30〜60%にすることによって、セパレータの強度と電解液保持性の双方を満足することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記負極として、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いることによって、リチウム金属もしくはリチウム合金からなる負極を備えた薄型の非水電解液二次電池において生じやすいリチウムデンドライドの問題を回避することができる。
さらに、前記炭素質物として、(002)面の面間隔d002 が0.340nm以下である黒鉛結晶を有するものを用いることによって、前記二次電池の容量及び大電流特性をより向上することができる。
また、前記正極及び前記負極のうち少なくともいずれか一方の電極において、直径3mm以下の孔が10cm2 当り1個以上の割合で存在する多孔質構造を有する導電性基板を集電体として用いることによって、必要な電極強度を確保しつつ、電極群に非水電解液を均一に浸透させることができるため、前記二次電池のサイクル寿命をより向上することができる。
本発明に係る非水電解液二次電池の製造方法によれば、正極と負極の間にセパレータを介在させて作製した電極群に、接着性を有する高分子が溶解された溶液を含浸させた後、前記電極群に成形を施すことによって、接着性高分子に起因する内部抵抗を低く抑えつつ、前記正極、前記負極及び前記セパレータを高い強度で接着することができる。次いで、前記電極群に非水電解液を含浸させ、これを所望の外装材に収納することによって、薄型にした場合にも優れたエネルギー密度、大電流特性及びサイクル寿命を有する非水電解液二次電池を簡単に製造することができる。
本発明に係る製造方法において、電極群をフィルム製外装材に収納した状態で接着性を有する高分子の溶液を注入することによって、内部抵抗の低減及び接着強度の向上という効果が得られる他に、前記電極群を前記フィルム製外装材の内面に接着することができ、前記外装材を前記電極群に固定することができる。その結果、非水電解液が前記電極群と前記外装材の間に浸透するのを抑えることができる。
本発明に係る製造方法において、前記接着性を有する高分子が溶解された溶液を含浸した電極群を乾燥させると、前記溶液中の溶媒が蒸発し、接着性を有する高分子からなる接着部が形成され、前記接着部の一部または全部が多孔質構造になる。この接着部は、その空隙に非水電解液を保持することができるため、リチウムイオンの伝導に寄与することができる。その結果、二次電池のリチウムイオン伝導度を向上することができるため、二次電池の放電容量、大電流放電特性及びサイクル寿命を改善することができる。
本発明に係る製造方法において、前記乾燥の温度を100℃以下にすることによって、セパレータ、特にポリエチレンまたはポリプロピレンを含むセパレータの熱収縮を抑制することができる。その結果、正極、負極及びセパレータの接着強度をより向上することができるため、前記二次電池の大電流特性及びサイクル寿命をより向上することができる。
また、前記乾燥を100℃以下で行う際に、前記溶媒として沸点が200℃以下の有機溶媒を用いることによって、溶媒の蒸発速度を向上することができるため、セパレータに与える熱の影響をより小さなものにすることができ、正負極及びセパレータの接着強度を更に高めることができる。
また、前記乾燥を100℃以下で行う際に、前記セパレータの120℃、1時間での熱収縮率を20%以下にすることによって、セパレータの熱収縮をより小さくすることができるため、正負極及びセパレータの接着強度を更に高めることができる。
本発明に係る第3の非水電解液二次電池は、正極及び負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。また、前記電極群は、積層構造が露出している面が前述した(1)式を満たす形状を有する。
すなわち、非水電解液二次電池の電極群は、充放電サイクルの進行に伴い、積層方向に沿って膨張・収縮を繰り返す。フィルム製外装材は、この膨張・収縮を抑える効果が小さく、電極群の膨張・収縮にほぼ追従して変形する。一方、接着性を有する高分子を含まないセパレータは、非水電解液のイオン伝導度を高くすることができる。しかしながら、この接着性を有する高分子を含まないセパレータを含む電極群の外装材としてフィルム製外装材を用いると、充放電サイクルの進行に伴って正極、負極及びセパレータの接触面積が減少し、内部抵抗が増加し、長寿命を得られなくなる。
本願発明によれば、フィルム製外装材を用いた際に、正極、接着性を有する高分子を含まないセパレータ及び負極を長期間に亘って十分に接触させておくことができる。その結果、充放電サイクルの進行に伴う内部インピーダンスの増加を抑制することができるため、充放電サイクル寿命を向上することができる。また、前記二次電池は、高温貯蔵後の容量回復率を向上することができる。さらに、前記フィルム製外装材の厚さを50〜300μmの範囲にしても長寿命を確保することができるため、薄型で、かつ長寿命な非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明に係る第3の非水電解液二次電池において、前記セパレータが空気透過率が600秒/100cm3以下の多孔質シートであることによって、前記セパレータのリチウムイオン伝導度を高くすることができる。その結果、放電容量及び充放電サイクル寿命を更に向上することができる。
本発明に係る第3の非水電解液二次電池において、前記セパレータが、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることによって、前記セパレータの内部抵抗を低くすることができ、前記セパレータのリチウムイオン伝導度をより一層向上することができる。その結果、前記二次電池の放電容量及び充放電サイクル寿命を更に向上することができる。
本発明に係る第4の非水電解液二次電池は、正極及び負極がその間にセパレータを介して2回以上折り曲げられた構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。前記電極群は、積層構造が露出している面が前記(2)式を満たす形状を有する。
このような二次電池によれば、フィルム製外装材内に収納された電極群において、正極、接着性を有する高分子を含まないセパレータ及び負極を長期間に亘って十分に接触させておくことができる。その結果、充放電サイクルの進行に伴う内部インピーダンスの増加を抑制することができるため、充放電サイクル寿命を向上することができる。また、前記二次電池は、高温貯蔵後の容量回復率を向上することができる。さらに、前記フィルム製外装材の厚さを50〜300μmの範囲にしても長寿命を確保することができるため、薄型で、かつ長寿命な非水電解液二次電池を提供することができる。
本発明に係る第4の非水電解液二次電池において、前記セパレータが空気透過率が600秒/100cm3以下の多孔質シートであることによって、前記セパレータのリチウムイオン伝導度を高くすることができる。その結果、放電容量及び充放電サイクル寿命を更に向上することができる。
本発明に係る第4の非水電解液二次電池において、前記セパレータが、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることによって、前記セパレータの内部抵抗を低くすることができ、前記セパレータのリチウムイオン伝導度をより一層向上することができる。その結果、前記二次電池の放電容量及び充放電サイクル寿命を更に向上することができる。
本発明に係る別の非水電解液二次電池の製造方法は、正極及び負極の間にポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなるセパレータを介在させて電極群を作製する工程と、前記電極群を加熱しながら成形する工程と、前記電極群に非水電解液を含浸させる工程とを具備する。このような方法によれば、前記加熱成形工程において、前記正極及び負極に含まれる結着剤を熱硬化させることができるため、成形後、前記正極、前記負極及び前記セパレータが成形前の厚さに復元しようとするのを回避することができる。その結果、前記正極、前記負極及び前記セパレータが充分に接触した状態にすることができると共に、充放電サイクルの進行に伴って電極群の膨張・収縮が繰り返されてもその状態を維持することができる。その結果、充放電サイクルの進行に伴って内部抵抗が増加するのを抑制することができるため、充放電サイクル寿命を向上することができる。また、フィルム製外装材を用いた際に、正極、負極及びセパレータが充分に接触した状態を長期間に亘って維持することができるため、長寿命な薄型非水電解液二次電池を実現することができる。。
本発明に係る製造方法において、前記電極群を成形する際、前記電極群の温度を40〜120℃にすることによって、セパレータの大幅な熱収縮を回避しつつ、正極、負極及びセパレータの接触状態をより改善することができるため、サイクル寿命を更に向上することができる。
本発明に係る第5の非水電解液二次電池によれば、正極及び負極をその間にセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されていると共に、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。また、前記電極群は、積層構造が露出している面が前述した(1)式を満たす形状を有する。
このような二次電池によれば、電極群の内部抵抗を低い値に維持しつつ、正極、負極及びセパレータを長期間に亘って充分に接触させておくことができる。その結果、二次電池の初期容量、サイクル寿命及び大電流放電特性を飛躍的に向上させることができる。
本発明に係る第6の非水電解液二次電池によれば、正極、負極及びセパレータからなる積層物を2回以上折り曲げた構造を有する電極群と、前記電極群に含浸される非水電解液と、前記電極群が収納されるフィルム製外装材とを具備する。前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されていると共に、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されている。前記電極群は、積層構造が露出している面が前述した(2)式を満たす形状を有する。
このような二次電池によれば、電極群の内部抵抗を低い値に維持しつつ、正極、負極及びセパレータを長期間に亘って充分に接触させておくことができる。その結果、二次電池の初期容量、サイクル寿命及び大電流放電特性を飛躍的に向上させることができる。
本発明に係る第7の非水電解液二次電池は、少なくとも1枚の正極と、少なくとも1枚の負極と、少なくとも1枚のセパレータと、前記正極と前記セパレータの間及び前記負極と前記セパレータの間それぞれに介装される少なくとも2枚の接着層とが積層された構造を有する電極群;前記電極群に含浸される非水電解液;前記電極群が収納されるフィルム製外装材;を具備する。前記セパレータは、接着性を有する高分子を10重量%以下(0重量%を含む)含み、かつその端部が前記正極の端部または前記負極の端部に比べて突出している。
このような二次電池によれば、誤って落下させる等により電池に衝撃が加わった際と、高温環境下で使用してセパレータに熱収縮が生じた際に内部短絡が発生するのを抑制することができる。また、内部抵抗を低減することができるため、充放電サイクル寿命を向上することができる。
本発明に係る二次電池において、前記セパレータの突出長さを0.25〜2mmの範囲にすることによって、高い体積エネルギー密度を維持しつつ、内部短絡発生率をより低減することができる。
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
例1
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(Lix CoO2 ;但し、Xは0≦X≦1である)粉末91重量%をアセチレンブラック3.5重量%、グラファイト3.5重量%及びエチレンプロピレンジエンモノマ粉末2重量%とトルエンを加えて共に混合し、10cm2当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質アルミニウム箔(厚さが15μm)からなる集電体の両面に塗布した後、プレスすることにより電極密度が3g/cm3で、正極層が集電体の両面に担持された構造の正極を2枚作製した。
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔(d002)が0.3360nm)の粉末を93重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7重量%とを混合し、これを10cm2当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質銅箔(厚さが15μm)からなる集電体の片面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3で、負極層が集電体の片面に担持された構造の負極Aを作製した。また、前述した混合物を前記集電体の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3で、負極層が集電体の両面に担持された構造の負極Bを作製した。
<セパレータ>
厚さが25μmで、120℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを4枚用意した。
<非水電解液の調製>
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )をエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比率1:2)に1モル/1溶解して非水電解液を調製した。
<電極群の作製>
得られた正極、負極A,B及びセパレータを、セパレータ、正極、セパレータ、負極B(負極層、負極集電体、負極層)、セパレータ、正極、セパレータ及び負極A(負極層、前記負極集電体)の順に積層し、得られた積層物を渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。なお、積層前に前記正極の集電体に帯状の正極リードを溶接し、前記負極の集電体に帯状の負極リードを溶接した。
アルミ箔の両面をポリプロピレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成形し、これに前記電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリアクリロニトリル(PAN)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.25mlとなるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PANの総量は、電池容量100mAh当たり1.25mgであった。なお、接着性高分子(例えばPAN)の総量は、接着性高分子溶液を含浸させる前の電極群と比較した際の重量増加量から算出した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.1g(100mAh当たり0.41g)となるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例2
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例3
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に40℃で真空乾燥を24時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1、2に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例4
真空乾燥の条件を80℃、12時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例5
真空乾燥の条件を100℃、6時間にすること以外は、例3で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例6
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例3と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例7
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり0.23mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例8
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり2.3mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例9
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に2.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり2.88mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例10
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリアクリレート(PMMA)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PMMAの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例11
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリ塩化ビニル(PVC)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVCの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例12
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリエチレンオキサイド(PEO)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例1と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PEOの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例1
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに前述した例1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納し、前記電極群に真空乾燥を80℃で12時間施した。前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様になるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例2
非水電解液の代わりにゲル電解質(ポリアクリロニトリル(PAN)、LiPF6 、EC及びMECがモル比PAN:LiPF6 :EC:MEC=16:5:55:24で混合されたもの)を不織布からなるセパレータに含浸させて用い、かつ多孔質な接着層を形成しないこと以外は、例1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例3
接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に3重量%溶解させた。得られた溶液を例1で説明したのと同様なセパレータの両面に塗布した。例1で説明したのと同様な正極及び負極A,Bの間に前記セパレータを介在させ、積層物を作製した。前記積層物を80℃で12時間真空乾燥を施すことにより正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に多孔質な接着層を形成した。次いで、前記積層物を渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例1,3〜5,7〜12及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。一方、例2、6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表2に示す。
また、例1,3〜5,7〜12及び比較例1〜3の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2C放電レートでの容量維持率(2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率)を算出し、その結果を下記表2に併記する。一方、例2,6の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定して2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表2に併記する。
表1〜2から明らかなように、例1〜例12の二次電池は、初期容量及びサイクル寿命に優れ、特に2Cの大電流での放電容量を比較例1〜3の二次電池に比べて改善できることがわかる。
これに対し、比較例1の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜12に比べて格段に低いことがわかる。一方、比較例2の二次電池は、2Cの大電流での放電容量が例1〜12の二次電池に比べて低いことがわかる。また、比較例3の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例1〜12に比べて低いことがわかる。
また、例6〜9及び比較例1〜3の二次電池について、セパレータの接着性高分子の含有量を測定し、その結果を下記表3に示す。
さらに、例4,8及び比較例3の二次電池について、セパレータの厚さ方向の中心部、正極と対向する表面及び負極と対向する表面における接着性高分子の濃度をそれぞれ測定し、その結果を下記表4に示す。
表4から明らかなように、例4,8の二次電池に含まれるセパレータは、内部の接着性高分子濃度が正極または負極と対向する表面における接着性高分子濃度に比べて低いことがわかる。これに対し、比較例3の二次電池に含まれるセパレータは、内部の接着性高分子濃度が正極または負極と対向する表面における接着性高分子濃度に比べて高いことがわかる。これは、比較例3においては、接着性を有する高分子の溶液をセパレータに直接塗布したためである。
例12−1
セパレータとして、厚さが25μmで、120℃、1時間での熱収縮が20%で、空気透過率が90sec/100cm3で、かつ多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムを用いること以外は、例4と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例12−2
セパレータの多孔質フィルムの空気透過率を580sec/100cm3にすること以外は、前述した例12−1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例12−3
セパレータの多孔質シートの空気透過率を400sec/100cm3にすること以外は、前述した例12−1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例12−4
セパレータの多孔質シートの空気透過率を150sec/100cm3にすること以外は、前述した例12−1と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例12−1〜12−4の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表5に示す。
また、例12−1〜12−4の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率を算出し、その結果を2C放電レートでの容量維持率として下記表5に併記する。
例13
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(Lix CoO2 )粉末91重量%をアセチレンブラック3.5重量%、グラファイト3.5重量%及びエチレンプロピレンジエンモノマ粉末2重量%とトルエンを加えて共に混合し、厚さが30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、プレスすることにより電極密度が3g/cm3で、正極層が集電体の両面に担持された構造の正極を作製した。
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔(d002)が0.3360nm)の粉末を93重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7重量%とを混合し、これを集電体としての厚さが15μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3で、負極層が集電体の両面に担持された構造の負極を作製した。
前記正極及び前記負極を厚さが15μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレ―タを介して渦巻き状に捲回することにより電極群を作製した。
次いで、前記電極群をステンレス製の有底円筒状容器内に収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.1重量%溶解させた。得られた溶液を前記容器内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.25mlとなるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記容器内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり0.23mgであった。
前記容器内の電極群に例1で説明したのと同様な非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が3.8gとなるように注入し、封口等を行うことにより円筒形非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例4
前述した例13で説明したのと同様な正極及び前記負極を厚さが25μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレ―タを介して渦巻き状に捲回することにより電極群を作製した。
次いで、前記電極群をステンレス製の有底円筒状容器内に収納し、例1で説明したのと同様な非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が3.8gとなるように注入し、封口等を行うことにより円筒形非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例13及び比較例4の二次電池について、充電電流800mAで4.2Vまで3時間充電した後、800mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表6に示す。
また、例13及び比較例4の二次電池について、充電電流800mAで4.2Vまで3時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2C放電レートでの容量維持率(2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率)を算出し、その結果を下記表6に併記する。
表6から明らかなように、例13の二次電池は、比較例4の二次電池に比べて薄いセパレータの使用が可能になると共に、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電特性が優れていることがわかる。
また、前述した実施例13においては、金属製の有底円筒形容器を備える円筒形非水電解液二次電池に適用した例を説明したが、金属製の有底矩形筒状容器を備える角形非水電解液二次電池にも同様に適用することができる。
例14
<正極の作製>
まず、リチウムコバルト酸化物(Lix CoO2 ;但し、Xは0≦X≦1である)粉末91重量%をアセチレンブラック3.5重量%、グラファイト3.5重量%及び結着剤としてエチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)粉末2重量%とトルエンを加えて共に混合し、10cm2当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質アルミニウム箔(厚さが15μm)からなる集電体の両面に塗布した後、プレスすることにより電極密度が3g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
炭素質材料として3000℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔(d002)が0.3360nm)の粉末を93重量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7重量%とを混合し、これを10cm2当たり10個の割合で直径0.5mmの孔が存在する多孔質銅箔(厚さが15μm)からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより電極密度が1.3g/cm3の負極を作製した。
<セパレータ>
厚さが25μmで、120℃、1時間での熱収縮が20%で、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを用意した。前記セパレータの長手方向に沿う長さは、前記正極に比べて2mm長く、かつ前記負極に比べて1.5mm長い。また、前記セパレータの長手方向と直交する長さは、前記正極に比べて2mm長く、かつ前記負極に比べて1.5mm長い。
<非水電解液の調製>
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )をエチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比率1:2)に1モル/1溶解して非水電解液を調製した。
<電極群の作製>
得られた正極の集電体に帯状の正極リードを溶接し、また負極の集電体に帯状の負極リードを溶接した。ひきつづき、正極、負極及びセパレータを、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層し、得られた積層物を最外周がセパレータとなるように渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。得られた電極群では、前記正極に比べて前記負極が突出していると共に、前記負極に比べて前記セパレータが突出していた。前記セパレータの各端部の突出長さは、前記正極の各端部から測ると1mmで、前記負極の各端部から測ると0.75mmであった。
アルミ箔の両面をポリプロピレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを袋状に成形し、これに前記電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリアクリロニトリル(PAN)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.25mlとなるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PANの総量は、電池容量100mAh当たり1.25mgであった。なお、接着性高分子(例えばPAN)の総量は、接着性高分子溶液を含浸させる前の電極群と比較した際の重量増加量から算出した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.1g(100mAh当たりに換算すると0.41g)となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例15
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例14と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例16
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に40℃で真空乾燥を24時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例17
真空乾燥の条件を80℃、12時間にすること以外は、例16で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例18
真空乾燥の条件を100℃、6時間にすること以外は、例16で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例19
負極としてアルミニウムを用いること以外は、例16と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例20
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり0.23mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例21
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり2.3mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例22
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に2.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVdFの総量は、電池容量100mAh当たり2.88mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例23
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリアクリレート(PMMA)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に1重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PMMAの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例24
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリ塩化ビニル(PVC)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PVCの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例25
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。接着性を有する高分子であるポリエチレンオキサイド(PEO)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が例14と同様となるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に80℃で真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有する高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着部を形成した。PEOの総量は、電池容量100mAh当たり1.15mgであった。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、前述した図1に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例5
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに前述した例14で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納し、前記電極群に真空乾燥を80℃で12時間施した。前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様になるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例6
非水電解液の代わりにゲル電解質(ポリアクリロニトリル(PAN)、LiPF6 、EC及びMECがモル比PAN:LiPF6 :EC:MEC=16:5:55:24で混合されたもの)を不織布に含浸させ、セパレータを作製した。
例14で説明したのと同様な正極及び負極をその間に前記セパレータを介在して渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形し、電極群を作製した。ラミネートフィルムを袋状に成形したものに前記電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納し、前記電極群に真空乾燥を80℃で12時間施した。次いで、前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様になるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例7
接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に3重量%溶解させた。得られた溶液を例14で説明したのと同様なセパレータの両面に塗布した。例14で説明したのと同様な正極及び負極の間に前記セパレータを介在させ、積層物を作製した。前記積層物を80℃で12時間真空乾燥を施すことにより正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に多孔質な接着層を形成した。次いで、前記積層物を渦巻き状に捲回した後、偏平形状に成形して電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例14と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。なお、前記セパレータ中の接着性高分子の含有量を測定したところ、15重量%であった。
得られた例14,16〜18,20〜25及び比較例5〜7の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。一方、例15、19の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表9に示す。
また、例14,16〜18,20〜25及び比較例5〜7の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率を算出し、その結果を2C放電レートでの容量維持率として下記表9に併記する。一方、例15,19の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定して2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表9に併記する。
表7〜9から明らかなように、例14〜例25の二次電池は、初期容量及びサイクル寿命に優れ、特に2Cの大電流での放電容量を比較例5〜7の二次電池に比べて改善できることがわかる。
これに対し、比較例5の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例14〜25に比べて格段に低いことがわかる。一方、比較例6の二次電池は、2Cの大電流での放電容量が例14〜25の二次電池に比べて低いことがわかる。また、比較例7の二次電池は、初期容量、サイクル寿命及び大電流放電容量が例14〜25に比べて低いことがわかる。
また、前述した実施例14〜25では、正極及び負極をセパレータを介して渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮した構造を有する電極群を用いる例を説明した。電極群の構造を前述した図5に示すように変更する、つまり正極及び負極がセパレータを介して負極同士が接するように6回折り曲げられた構造にすること以外は、前述した例17と同様な薄型非水電解液二次電池を組み立てたところ、電池容量は例17に比べて10%程度減少したものの、その他の性能は例17と同等であった。
例26
例12−1で説明したのと同様にして電極群の作製及びラミネートフィルムへの収納を行った。次いで、接着性を有する高分子の溶液の注入を行うことなく、80℃の高温真空雰囲気において前記ラミネートフィルムに電極群の厚さ方向に沿って10kg/cm2の圧力でプレスを施すことにより、L2/L1が1.00である電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。前記二次電池において、前記電極群中の接着性高分子の含有量は0重量%であった。
例27〜例33及び比較例8
プレス圧を変更することによりL2/L1を下記表10に示すように設定すること以外は、前述した例26と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例9
例12−1で説明したのと同様にして電極群の作製及びラミネートフィルムへの収納を行った。次いで、接着性を有する高分子の溶液の注入を行うことなく、25℃の真空雰囲気において前記ラミネートフィルムに電極群の厚さ方向に沿って0.001kg/cm2の圧力でプレスを施すことにより、L2/L1が1.30である電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例34
セパレータの多孔質フィルムの空気透過率を580sec/100cm3にすること以外は、前述した例26と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例35
セパレータの多孔質シートの空気透過率を400sec/100cm3にすること以外は、前述した例26と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例36
セパレータの多孔質シートの空気透過率を150sec/100cm3にすること以外は、前述した例26と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例26〜36及び比較例8〜9の二次電池について、1kHzでの内部インピーダンスを測定し、その結果を下記表10に示す。また、前述した例1で説明したのと同様な条件で充放電サイクル試験を施し、1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表10に示す。
表10から明らかなように、L2/L1が0.90〜1.20である電極群を備える例26〜36の二次電池は、L2/L1が前記範囲を外れる電極群を備える比較例8,9の二次電池に比べて内部インピーダンスが低く、初期容量及び300サイクル目の容量維持率が高いことがわかる。
例37
例1で説明したのと同様な正極及び負極をその間に例12−1で説明したのと同様なセパレータを介在させ、負極同士が接するように6回折り曲げることにより電極群を作製した。例1で説明したのと同様なラミネートフィルムを袋状にしたものに電極群を積層面が開口部から見えるように収納した。
次いで、80℃の高温真空雰囲気において前記ラミネートフィルムに電極群の厚さ方向に沿って10kg/cm2の圧力でプレスを施すことにより、L4/L3が1.00である電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。前記二次電池において、前記電極群中の接着性高分子の含有量は0重量%であった。
例38〜例44及び比較例10
プレス圧を変更することによりL4/L3を下記表11に示すように設定すること以外は、前述した例37と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例11
例37で説明したのと同様にして電極群の作製、ラミネートフィルムへの収納を行った。次いで、25℃の真空雰囲気において前記ラミネートフィルムに電極群の厚さ方向に沿って0.001kg/cm2の圧力でプレスを施すことにより、L4/L3が1.30である電極群を作製した。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例45
セパレータの多孔質フィルムの空気透過率を580sec/100cm3にすること以外は、前述した例37と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例46
セパレータの多孔質シートの空気透過率を400sec/100cm3にすること以外は、前述した例37と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例47
セパレータの多孔質シートの空気透過率を150sec/100cm3にすること以外は、前述した例37と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例37〜47及び比較例10〜11の二次電池について、1kHzでの内部インピーダンスを測定し、その結果を下記表11に示す。また、前述した例1で説明したのと同様な条件で充放電サイクル試験を施し、1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表11に示す。
表11から明らかなように、L4/L3が0.90〜1.20である電極群を備える例37〜47の二次電池は、L4/L3が前記範囲を外れる電極群を備える比較例10,11の二次電池に比べて内部インピーダンスが低く、初期容量及び300サイクル目の容量維持率が高いことがわかる。
例48
ラミネートフィルムを袋状に成形したものに例12−1で説明したのと同様にして作製された電極群を積層面が袋の開口部から見えるように収納した。一方、接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.5重量%溶解させた。得られた溶液を前記ラミネートフィルム内の電極群に電池容量100mAh当たりの量が0.2mlとなるように注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
次いで、80℃の高温真空雰囲気において前記ラミネートフィルムに電極群の厚さ方向に沿って1.5kg/cm2の圧力でプレスを施すことにより、L2/L1が1.02である電極群を作製した。また、この工程により、前記有機溶媒が蒸発され、前記正極、前記負極及び前記セパレータが互いに接着されると共に、前記電極群の表面に多孔質な接着層を形成して前記電極群が前記ラミネートフィルムの内面に接着した。
前記電極群において、前記正極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されていた。また、前記負極及び前記セパレータは、これらの内部及び境界に点在した接着性を有する高分子により接着されていた。
前記ラミネートフィルム内の電極群に前記非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が例1と同様となるように注入し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例49
電極群の成形を成形型への填め込みにより行うこと以外は、例48で説明したのと同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例48〜49の二次電池について、前述したのと同様な条件で充放電サイクル試験を実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率を下記表12に示す。また、例48〜49の二次電池について、前述した例1で説明したのと同様な条件で2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表12に併記する。
表12から明らかなように、例48,49の二次電池は、例1〜12,14〜47の二次電池に比べて、初期容量、300サイクル後の容量維持率及び2C放電での容量維持率に優れることがわかる。
例50
例14で説明したのと同様な正極及び負極を用意した。また、セパレータとして例12−1で説明したのと同様なポリエチレン製多孔質フィルムを用意した。なお、前記セパレータの寸法は、長手方向に沿う長さが前記正極に比べて2mm長く、かつ前記負極に比べて1.5mm長いと共に、長手方向と直交する長さが前記正極に比べて2mm長く、かつ前記負極に比べて1.5mm長いものであった。
<電極群の作製>
接着性を有する高分子としてポリアクリロニトリル(PAN)をジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)溶液に1重量%溶解させた。得られた溶液を前記正極の正極層表面及び前記負極の負極層表面に塗布し、この正極層表面と負極層表面の間に前記セパレータを配置した。得られた積層物を80℃で12時間真空乾燥させてジメチルフォルムアミドを蒸発させることにより各電極層とセパレータの間に多孔質の接着層を形成し、電極群を得た。得られた電極群では、前記正極に比べて前記負極が突出していると共に、前記負極に比べて前記セパレータが突出していた。前記セパレータの各端部の突出長さは、前記正極の各端部から測ると1mmで、前記負極の各端部から測ると0.75mmであった。また、前記セパレータ中のPANの含有量は、下記表13に示すようなものであった。
アルミ箔の両面をポリプロピレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルム内に前記電極群を収納した後、例1で説明したのと同様な非水電解液を電池容量1Ah当たりの量が4.1g(100mAh当たりに換算すると0.41g)となるように注入し、前述した図10に示す構造を有し、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例51〜54
接着性を有する高分子を下記表13に示す種類のポリマーにすること以外は、前述した例50と同様な構成の薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例55
厚さが0.1mmのアルミニウム板からなる負極を用いること以外は、前述した例50と同様な構成の薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例56
セパレータ中のPANの含有量を0.4重量%にすること以外は、前述した例50と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
例57
セパレータ中のPANの含有量を0.3重量%にすること以外は、前述した例50と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例12
接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸点が153℃)に3重量%溶解させた。得られた溶液を例50で説明したのと同様なセパレータの両面に塗布した。次いで、例50で説明したのと同様な正極及び負極の間に前記セパレータを介在させ、積層物を作製した。前記積層物を80℃で12時間真空乾燥を施すことにより正極とセパレータ間及び負極とセパレータ間に多孔質な接着層を形成した。得られた電極群では、前記正極に比べて前記負極が突出していると共に、前記負極に比べて前記セパレータが突出していた。前記セパレータの各端部の突出長さは、前記正極の各端部から測ると1mmで、前記負極の各端部から測ると0.75mmであった。また、前記セパレータ中のPVdFの含有量は、下記表13に示すようなものであった。
このような電極群を用いること以外は、前述した例50で説明したのと同様にして、厚さが3mm、幅が40mm、高さが70mmの薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例13
正極、負極及びセパレータの縦横の長さを揃えて、正極、負極及びセパレータのいずれも突出させなかったこと以外は、前述した比較例12と同様にして薄型非水電解液二次電池を組み立てた。
得られた例50〜54、56〜57及び比較例12〜13の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。一方、例55の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、300mAで2.7Vまで放電する充放電サイクル試験を20℃の雰囲気において実施した。各充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量(初期容量)及び300サイクル時における容量維持率(前記初期容量に対する)を下記表13に示す。
また、例50〜54,56〜57及び比較例12〜13の二次電池について、充電電流300mAで4.2Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定し、2Cでの放電容量の前記初期容量に対する比率を算出し、その結果を2C放電レートでの容量維持率として下記表13に併記する。一方、例55の二次電池については、充電電流300mAで4.0Vまで5時間充電した後、2Cで2.7Vまで放電した際の放電容量を測定して2C放電レートでの容量維持率を算出し、その結果を下記表13に併記する。
さらに、例50〜57及び比較例12〜13の二次電池について、充電状態で90cmの高さからコンクリートの床に落下させ、電池電圧変化及びインピーダンス変化から内部短絡の有無を調べ、その結果を下記表13に併記する。
表13から明らかなように、セパレータ中の接着性を有する高分子の含有量が10重量%以下で、かつセパレータの端部が正極及び負極に比べて突出している例50〜例57の二次電池は、落下させた際に内部短絡を生じる電池が皆無で、初期容量、300サイクル後の容量維持率及び2Cで放電した際の容量維持率が高いことがわかる。
これに対し、セパレータ中の接着性を有する高分子の含有量が10重量%を超えている比較例12の二次電池は、落下させた際に内部短絡を生じる電池が皆無であるものの、初期容量、300サイクル後の容量維持率及び2Cで放電した際の容量維持率が例50〜57に比べて低いことがわかる。また、セパレータ中の接着性を有する高分子の含有量が10重量%を超え、かつ正極、負極及びセパレータの端部が揃っている比較例13の二次電池は、落下させた際に内部短絡を生じ、そのうえ初期容量、300サイクル後の容量維持率及び2Cで放電した際の容量維持率が例50〜57に比べて低いことがわかる。
1…外装材、2…電極群、3…セパレータ、4…正極層、5…正極集電体、6…負極層、7…負極集電体、8…接着部、9…接着性を有する高分子、21…外装材、22…電極群、31…外装材、32…電極群、41…外装材、42…電極群、49a…接着層、49b…接着層。