JP2004004148A - プロジェクションスクリーン用シート、光拡散シート、及びプロジェクションスクリーン - Google Patents

プロジェクションスクリーン用シート、光拡散シート、及びプロジェクションスクリーン Download PDF

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JP2004004148A JP2002126353A JP2002126353A JP2004004148A JP 2004004148 A JP2004004148 A JP 2004004148A JP 2002126353 A JP2002126353 A JP 2002126353A JP 2002126353 A JP2002126353 A JP 2002126353A JP 2004004148 A JP2004004148 A JP 2004004148A
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後藤 正浩
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Abstract

【課題】出光面から入射した外光の反射を防止し、高いゲインを得ることができる光拡散シート、及びこの光拡散シートを用いたプロジェクションスクリーンを提供する
【解決手段】複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムにおいて、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成し、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成して、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工を施す。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD(液晶表示装置)、DMD(DigitalMicro−mirrorDevice)等のようなセル構造を有する画像光源からの画像を斜めに投射して観察するのに適したプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム、プロジェクションスクリーン、及びプロジェクションディスプレイ装置、並びに、光拡散シート又はフィルム、この光拡散シート又はフィルムを用いたプロジェクションスクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より画像光源として、赤、緑、青の3本のCRTを用い、プロジェクションスクリーンとして、透過型プロジェクションスクリーンを用いる背面投射型プロジェクションディスプレイ装置が知られている。一般的にはプロジェクションスクリーンはフレネルレンズシート及びレンチキュラーレンズシートより構成されており、そのプロジェクションスクリーン上にプロジェクタからの映像光により画像を結像させ、指向性をもった拡散面を得るためのプロジェクションスクリーンである。そして、図10に示すように、プロジェクションスクリーン80は出光側にサーキュラータイプのフレネルレンズ81bが形成されたフレネルレンズシート81と、このフレネルレンズシート81のさらに観察側に配置され、入光側に水平拡散用のレンチキュラーレンズが形成され、出光側にブラックストライプが形成されたレンチキュラーレンズシート82を備えている。
【0003】
そして、フレネルレンズはアクリル材に所定の角度を持つ溝を所定のピッチで形成し、映像光から放射線状に拡散された光を正面へ集光させる機能を有する。
【0004】
また、レンチキュラーレンズは主に水平方向に指向性を持たせた拡散光を得るためのレンズであって、シリンドリカルレンズ状のレンズが一つの平面上に規則正しく縦方向に形成され配光特性を水平方向に拡げる機能を有する。
【0005】
これらに使用されているプロジェクションスクリーンは通常、投射方法においても平行方向にのみに適したものである。プロジェクションスクリーンへの映像光の投射は反射ミラーを使用して焦点距離をかせぐ方法が一般的であるが、近年、プロジェクションスクリーンを用いた映像を見せるための種々の用途への拡がりがみられる。これに伴い、投影方法においても、LCD、DMD等のようなセル構造を有する画像光源より映像を直にプロジェクションスクリーン上に投射して、映像を観察するプロジェクションディスプレイ装置などのニーズが高まっていた。
【0006】
上記のように、従来システムで映像光源より映像をプロジェクションスクリーンに斜めに投射すると、投影されたプロジェクションスクリーン上の画像の文字の大きさ、形状等に上下の差が生じるため観察者には非常に見にくいなどの基本的な問題を抱えていた。そこで、プロジェクションディスプレイ装置の一つとして、画像の品位を損なわずに、プロジェクションスクリーン上に映像を斜めに投射して観察することが出来るプロジェクションスクリーン及びシステムについて多方面より試みがなされてきた。このような状況のもと、本願発明者は、特開平2000−180967号公報の明細書において、背面投射型プロジェクションディスプレイにおいて、映像光源より映像をプロジェクションスクリーンへ平行方向に投射する映像画質と同等のレベルを維持しつつ、映像光源からプロジェクションスクリーンへ上方あるいは下方へ画像を投射する投射系であって、該プロジェクションスクリーンの入光面側に全反射プリズムを設けたプロジェクションスクリーン及びプロジェクションディスプレイ装置を開示した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のプロジェクションスクリーンは2枚のレンズ系を必要とするためそれぞれのレンズを生産する二つの生産ラインを設けなければならず、また取り扱いも煩雑なものとならざるをえなかった。またサーキュラーフレネルレンズや円弧状プリズムを用いるため、連続生産が困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、簡易な取り扱いが可能となり、またひとつの生産ラインによる連続生産を可能とするプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム、プロジェクションスクリーン、及びプロジェクションディスプレイ装置、ならびにプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム及びプロジェクションスクリーンの生産方法を提供することを第一の課題とする。
【0009】
一方、プロジェクションディスプレイ装置等においては、観察者の視認性を高めるためスクリーンに光拡散シート又はフィルムを用いたものが知られている。この光拡散シート又はフィルムは、例えば、透光性フィルムの表面を凹凸処理したもの、樹脂フィルムの内部に光拡散性微粒子を含有させたもの、円柱状のレンズが一つの平面上に並列配置されたレンチキュラーレンズシート等がある。また、これらのシートを二、三枚組み合わせて用いることも行なわれている。これらは、フィルム、大気、微粒子等の各屈折率の差を利用してこれらの境界において映像光を多方向に屈折させ、映像光を広範囲に拡散して観察者側に出射することで視認性の向上を図ろうとするものである。
【0010】
しかし、光拡散性微粒子や凹凸が形成されたシート表面によって、映像光が乱反射して多くの迷光を生じさせることになり、ディスプレイの表面輝度、コントラストの低下等を招いていた。また、表面の凹凸処理により拡散性を有するものは、その拡散性及び透明性に角度依存性があるため、ディスプレイを見る角度によって視認性が変化するという問題があった。一方、光拡散シート又はフィルムの光拡散性は、外光の散乱反射を増加させることにもつながり、コントラストが著しく低下して映像がボケやすいという問題点もあった。そこで本発明は、迷光により表面輝度が低下したりコントラストが低下したりすることがなく、角度依存性が少なく、外光の散乱反射の少ない光拡散シート又はフィルム、及びこの光拡散シート又はフィルムを用いたプロジェクションスクリーンを提供することを第二の課題とする。
【0011】
さらに、上記のような構成では、出光面側から入射した外光がシート入光面にて反射され、コントラストの低下を招くという問題点があった。また、上記のようなランダム拡散と片面レンズの拡散の拡散のみで特性を出そうとするとゲインの上限は3程度であり、それ以上のゲインを得ることは不可能であった。そこで本発明は、出光面から入射した外光の反射を防止し、高いゲインを得ることができる光拡散シート又はフィルム、及びこの光拡散シート又はフィルムを用いたプロジェクションスクリーンを提供することを第三の課題とする。
【0012】
一方、液晶ディスプレイ装置等においては、観察者の視認性を高めるため液晶パネルの観察者側に光拡散シートを用いたものが知られている。この光拡散シートは、例えば、透光性フィルムの表面を凹凸処理したもの、樹脂フィルムの内部に光拡散性微粒子を含有させたもの、円柱状のレンズが一つの平面上に並列配置されたレンチキュラーレンズシート等がある。また、これらのシートを二、三枚組合わせて用いることも行なわれている。これらは、フィルム、大気、微粒子等の各屈折率の差を利用してこれらの境界において映像光を多方向に屈折させ、映像光を広範囲に拡散して観察者側に出射することで視認性の向上を図ろうとするものである。
【0013】
しかし、光拡散性微粒子や凹凸が形成されたシート表面によって、映像光が乱反射して多くの迷光を生じさせることになり、ディスプレイの表面輝度、コントラストの低下等を招いていた。また、表面の凹凸処理により拡散性を有するものは、その拡散性および透明性に角度依存性があるため、ディスプレイを見る角度によって視認性が変化するという問題があった。一方、光拡散シートの光拡散性は、外光の散乱反射を増加させることにもつながり、コントラストが著しく低下して映像がボケやすいという問題点もあった。一枚の光拡散シート単独で使用した場合、水平または垂直いずれかの方向の視野角の拡大が不十分となるという問題もあった。
【0014】
そこで本発明は、迷光により表面輝度が低下したりコントラストが低下することがなく、角度依存性が少なく、かつ外光の散乱反射の少ない二次元視野角拡大部材、およびこの二次元視野角拡大部材を用いた表示装置を提供することを第4の課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0016】
本発明の第一の態様では、背面投射型プロジェクションディスプレイ装置のスクリーンに用いられ、プリズム面とレンチキュラーレンズ面を備えたシート又はフィルムであって、プリズム面とレンチキュラーレンズ面は表裏一体に形成され、プリズム面はディスプレイ装置の映像光源側の少なくとも一部に全反射リニアフレネルレンズ(2)として形成されており、レンチキュラーレンズ(3)面はリニアフレネルレンズの観察者側に断面形状が台形に形成されていることを特徴とするプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムを提供して前記課題を解決する。
【0017】
この発明の第一の態様によれば、従来レンズが二枚構成のスクリーンを1枚とすることができるので、製造工程数が減少して従来と比べて大幅に生産性を向上してコストダウンに資することができる。また二枚のレンズ構成と比較した場合、透過率の観点からも有利である。また、レンズの形状がリニアフレネルレンズと断面形状が台形のレンチキュラーレンズなので、ライン上での連続成形が可能となり、この観点からも生産性を大幅に向上することができる。
【0018】
上記態様において、レンチキュラーレンズの台形の斜面角度は、映像光の水平方向光軸が補正されるように、幅方向に異なって形成されていることとしてもよい。
【0019】
このようにすれば、水平方向の光軸補正が正確に行なわれるので、観察者に良好な画像を提供することができる。
【0020】
またこの態様では、台形斜面の観察者側に、台形を構成する物質の屈折率よりも低い屈折率を有する物質(6)が配置されているように構成してもよい。この場合に、低い屈折率を有する物質は、固体、液体又は気体の別を問わず、いずれかにて構成してよい。また物質は台形斜面のほぼ全面に密着していればよい。したがって、台形にはさまれる「V」字形の溝の全ての部分に物質が満たされていてもよく、また一部であってもよい。
【0021】
このように構成すると、レンチキュラーレンズ内を観察者方向に向かう光は、台形斜面においては大半が反射される。これによって、水平方向の光拡散性を得ることができ、水平方向に大きな視野角度を確保することが可能となる。
【0022】
このように構成した場合にはさらに、低い屈折率を有する物質は着色されているように構成してもよく、着色は染料、顔料、又は光吸収粒子を添加することにより実現されてもよい。
【0023】
このように構成した場合には、たとえ台形斜面で反射されず透過した光があった場合でも、着色された低屈折率物質の内部にて吸収することができる。また染料、顔料、又は光吸収粒子等の各種材料を低屈折率物質に添加して着色が可能である。
【0024】
また、第一の態様において、台形斜面の観察者側に台形を構成する物質の屈折率よりも低屈折率物質の層(8)を形成してもよい。
【0025】
このようにすれば、低屈折物質の量を軽減でき、スクリーンの軽量化をはかることができる。また、低屈折物質の層の上にさらに第3の層を形成して、所望する機能を付与することができる。
【0026】
また、低屈折率物質の層のさらに観察者側に、光吸収部(10、11)を設けてもよい。この場合、光吸収部は低屈折率物質の層の観察者側に例えば黒色塗料等によりブラックストライプを設けるようにしてもよい。
【0027】
このようにすれば、たとえ台形斜面で反射されず透過した光があった場合でも、光吸収部にて吸収することができ、低屈折物質を着色するのと同様の効果を得ることができる。
【0028】
さらに、前記台形斜面の観察者側に金属の反射層(12)が形成されていることとしても良い。
【0029】
このようにした場合、台形斜面の観察者側に配置される物質の屈折率にかかわらずレンチキュラーレンズの内部から台形斜面を透過しようとする光をほぼ完全に反射することができる。
【0030】
また、上記諸態様のプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの観察者側にさらに拡散層を設けたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムとして構成してもよい。
【0031】
このように構成すれば、スクリーンの水平方向と垂直方向の拡散性が補われ、画像の均一性を高めることができる。
【0032】
本発明の第二態様では上記諸態様のプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの観察者側にさらに拡散シート(5)を設けたプロジェクションスクリーンを提供して前記課題を解決する。
【0033】
この本発明の第二の態様によれば、上記諸態様の効果を備えたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムをプロジェクションスクリーンに使用することができる。また拡散シートによりスクリーンの水平方向と垂直方向の拡散性が補われ、画像の均一性をさらに高めることができる。
【0034】
上記第二態様において、観察者側にAR、HC、AS、AG、防汚、センサのうち、少なくとも一の機能を備えるように構成してもよい。ここに「AR」とはアンチリフレクションの略で、レンズ表面に入光する光の反射率を抑える機能をいう。また、「HC」とはハードコートの略で、レンズ表面の強度を増して傷等がつかないような耐摩耗性の機能をいう。「AS」とはアンチスタティックの略で、帯電防止の機能をいう。また「AG」とはアンチグレアの略で、レンズの防眩性機能をいう。「防汚」とはレンズ表面に汚れが付着することを防止する機能をいう。そして、「センサ」とはタッチセンサ等の機能をいう。本発明においてはこれらの機能の内一つだけを持たせてもよく、また複数の機能を併せ持たせてもよい。
【0035】
このように構成した場合には、プロジェクションスクリーンに第3の機能を持たせることができ、需要者にとって魅力ある製品とすることができる。
【0036】
本発明の第三態様では上記第二態様のプロジェクションスクリーンを備えたプロジェクションディスプレイ装置により前記課題を解決する。
【0037】
このようにすれば、上記効果を備えたプロジェクションスクリーンをプロジェクションディスプレイ装置に適用することができる。
【0038】
本発明の第四態様では、ベースシートの一面側長手方向にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、ベースシートの他の一面側に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、を備えたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの生産方法より前記課題を解決する。また、本発明の第五態様では、ベースシートの一面側長手方向にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、ベースフィルムの他の一面側に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、連続形成されたレンチキュラーレンズ面に拡散シートを貼りつけるステップと、を備えたプロジェクションスクリーンの生産方法を提供して前記課題を解決する。
【0039】
これら第四態様及び第五態様の生産方法によれば、プロジェクションスクリーン用シート又はフィルム、及びプロジェクションスクリーンを連続生産ラインにより製造することができるので、生産性が飛躍的に向上するとともに、大幅な製造コストの削減を図ることができる。
【0040】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0041】
本発明の第六態様の光拡散シート又はフィルム(S1)は、複数の単位レンズ(102)を一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするととも、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分(107)には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子(105)が添加された材料(106)により形成されていて、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係を有することを特徴とする。
【0042】
また本発明の第七態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層(104)が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係を有することを特徴とする。ここに単位レンズの断面形状は略台形なので、θは一定、すなわち斜辺は直線状であることを基本とするが、本発明は曲線状の斜辺や、浅い角度をなす複数の直線の組み合わせである場合をも含むものである。この場合にθは、変化するが、斜辺をなす各部分におけるθの90%以上が上記関係を満たせば下記の効果を奏することができるので、本発明の技術的思想に包含されると解されるべきものである(θに関して以下同じ。)。
【0043】
この第六態様及び第七態様の光拡散シート又はフィルムによれば、出光面法線に平行な入射光は断面形状台形斜辺の表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、シート内の迷光や観察者側から入射した光は光吸収粒子により吸収される。特に本発明においては断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、透明材料に光吸収粒子を分散させる構成をとったので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度とコントラストが高い光拡散シート又はフィルムを得ることができる。また光吸収する材料の着色濃度に影響されることなく斜辺部の全反射と、断面形状三角形部の光吸収とを高いレベルで両立させて実現することができる。
【0044】
本発明のスクリーンは主に単光源プロジェクタ用であり、フレネルレンズを使用することで本シートへの入射角度を垂直にすることが可能である。なお、斜辺への入射角は、一般には、0°±10°の範囲にあることが知られている。
【0045】
本発明の第八態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分には単位レンズの屈折率より低い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする。
【0046】
また本発明の第九態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、台形斜辺の部分には単位レンズの屈折率より低い屈折率を有する透明低屈折率層が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分には記透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする。
【0047】
この第八態様及び第九態様の光拡散シート又はフィルムによれば、出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光でも、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。また、シート内の迷光や観察者側から入射した光は光吸収粒子により吸収される。本発明でも、断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、透明材料に光吸収粒子を分散させる構成をとったので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度が高く迷光の少ない光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0048】
本発明の第十態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
かつ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする。
【0049】
また本発明の第十一態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
かつ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする。
【0050】
この第十実施態様及び第十一実施態様の光拡散シート又はフィルムは、それぞれ第六実施態様と第八実施態様、第七実施態様と第九実施態様の長所とを兼ね備えている。これらの光拡散シート又はフィルムによれば、出光面法線に平行な入射光は、斜辺の透明低屈折率層表面にて全反射され、出光面においては全反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光は、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。本発明でも、断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、透明材料に光吸収粒子を分散させる構成をとったので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度とコントラストが高く、迷光の少ない光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0051】
上記第十実施態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
1<N1<5.76
0.23<N2/N1<0.996
かつ
H<T/0.57
なる関係を満たすように構成してもよい。かかる変形は単独で、又は他の変形と組み合わせて、適宜第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0052】
このように構成した場合には、第十実施態様実施態様の光拡散シート又はフィルムで、θが5〜15°の範囲において、出光面法線に平行な入射光を斜辺にて全反射し、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光することができる。また、シート内において一度斜辺にて反射された光は、再び他の斜辺に到達することなく出光面から出光される。ここにθの範囲を5〜15°としたのは、このような単位レンズのテーパー角を5〜15°とすることで、好適な視野角特性を得ることができるからである。
【0053】
上記第七態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、透明低屈折率層の層厚を0.1μm以上としてもよい。かかる変形は単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0054】
このようにすれば、透明低屈折率層による全反射を確実なものとすることができる。 また、上記第六態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、断面形状三角形の部分を形成する材料に添加される光吸収粒子の添加量を、10〜60質量%とすることもできる。光吸収粒子の添加量はさらに好ましくは、30〜50質量%であることが望ましい。かかる変形は単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0055】
このように構成した場合には、光吸収粒子の添加効果を最大とすることができる。これより添加量が少ないと断面形状三角形部への充填量が不足して、いわゆるブラックストライプの幅が狭くなり、コントラストの悪化を招く。またこれ以上の添加を行うと、出光面(台形の上底部)に光吸収粒子が残留してしまうからである。
【0056】
また、上記第六態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、光吸収粒子の平均粒径を、断面形状台形の上底を形成する出光部の高さ又は開口幅の1/30〜2/3、好ましくは1/20〜1/3であることが望ましい。かかる変形は単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0057】
このようにすれば、光吸収効果を効率よいものとすることができる。また製造時に問題なく断面形状三角形部へと充填することができる。粒径を必要以上に大きくした場合、三角形部に粒子が埋まりきらずにはみだしてしまい、さらに隙間が発生しやすくなる。逆に粒径が必要以上に小さすぎると、三角形部への充填は簡単になるが、製造時に光吸収粒子を出光面から掻き落とすことが困難となって、レンズ出光面に光吸収粒子が残留してしまう傾向が強くなるからである。
【0058】
また、上記第六態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、出光部は観察者側に凸に形成されていることとしてもよい。かかる変形は単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0059】
このようにすれば、製造時に出光部に光吸収粒子が取り残されることを防止できるので好都合である。
【0060】
また、上記第六態様の光拡散シート又はフィルムにおいて単位レンズを板状又は膜状の透明基材(103)上に形成するようにしてもよい。かかる変形は単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第六〜第十一態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0061】
このようにした場合には、型ロールを使用して、配列された単位レンズを連続的に生産することができる。
【0062】
また、上記第六態様の光拡散シート又はフィルムにおいてにおいて、観察者側に拡散剤を混入したシート(101)を張り合わせてもよい。
【0063】
このようにした場合には、観察者側の面を平面とすることができるので、表面への加工が容易なものとなる。また、拡散剤の光学的作用により、出光側のゲインを均一にならすことができる。この拡散剤を混入したシートを張り合わせるための接着層又は粘着層の屈折率は単位レンズの屈折率と同程度でよい。光学的に大きな影響は出ないと考えられるからである。
【0064】
上記のように構成した場合には、拡散剤を混入したシートのさらに観察者側に、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層のうち少なくとも一つを設けるように構成してもよい。本発明においてはこれらの機能のうち一つだけを持たせてもよく、また複数の機能を併せ持たせてもよい。
【0065】
このように構成した場合には、光拡散シート又はフィルムに多様な機能を持たせることができる。
【0066】
またさらに本発明では、上記したいずれかの光拡散シート又はフィルムの映像光源側にフレネルレンズを配置したプロジェクションスクリーンを提供して前記した課題を解決する。
【0067】
この発明によれば、上記光拡散性シートの諸特性をプロジェクションスクリーンにおいて実現することができる。
また、上記プロジェクションスクリーンにおいて、複数の単位レンズの断面形状台形の斜辺は、上下方向に伸びて形成されていることとしてもよい。
【0068】
このように形成した場合、水平方向に光を拡散することができる。
【0069】
本発明の第十二態様の光拡散シート又はフィルム(S3)は、複数の単位レンズ(202)を一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするととも、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分(207)には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子(205)が添加された材料(206)、又はN1より低い屈折率N2を有し着色された材料、により形成されていて、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係を有し、入光部の面はエンボス(E)加工が施されていることを特徴とする。
【0070】
また本発明の第十三態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層(204)が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、N2より高い屈折率を有し着色された材料により形成されていて、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
かつ
N1<1/sin2θ
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする。ここに単位レンズの断面形状は略台形なので、θは一定、すなわち斜辺は直線状であることを基本とするが、本発明は曲線状の斜辺や、浅い角度をなす複数の直線の組み合わせである場合をも含むものである。この場合にθは、変化するが、斜辺をなす各部分におけるθの90%以上が上記関係を満たせば下記の効果を奏することができるので、本発明の技術的思想に包含されると解されるべきものである(θに関して以下同じ。)。
【0071】
この第十二態様及び第十三態様の光拡散シート又はフィルムによれば、入光部の面はエンボス加工が施されているので、シート出光部側から入射した外光のうち、シート入光面まで達して反射される光は拡散されて、斜辺部へ大きな角度をもって入射するので、斜辺部にて全反射されることなく断面形状三角形の部分に入光し、光吸収粒子又は着色された材料により吸収される。したがって光拡散シート又はフィルムのコントラストを向上させることができる。さらに、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に平行な入射光は断面形状台形斜辺の表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、シート内の迷光や観察者側から入射した光は光吸収粒子又は着色材料により吸収される。したがって輝度とコントラストが高い光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0072】
本発明のスクリーンは主に単光源プロジェクタ用であり、フレネルレンズを使用することで本シートへの入射角度を垂直にすることが可能である。なお、斜辺への入射角は、一般には、0°±10°の範囲にあることが知られている。
【0073】
本発明の第十四態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分には単位レンズの屈折率より低い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有し着色された材料、により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【0074】
また本発明の第十五態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、台形斜辺の部分には単位レンズの屈折率より低い屈折率を有する透明低屈折率層が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分には透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有し着色された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【0075】
この第十四態様及び第十五態様の光拡散シート又はフィルムによれば、入光部の面はエンボス加工が施されているので、シート出光部側から入射した外光のうち、シート入光面まで達して反射される光は拡散されて、斜辺部へ大きな角度をもって入射するので、斜辺部にて全反射されることなく断面形状三角形の部分に入光し、光吸収粒子又は着色された材料により吸収される。したがって光拡散シート又はフィルムのコントラストを向上させることができる。さらに、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光でも、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。また、シート内の迷光や観察者側から入射した光は光吸収粒子又は着色された材料により吸収される。
【0076】
本発明の第十六態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、N1より低い屈折率N2を有し着色された材料、により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
かつ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【0077】
また本発明の第十七態様の光拡散シート又はフィルムは、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、N2より高い屈折率を有し着色された材料、により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
かつ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【0078】
この第十六実施態様及び第十七実施態様の光拡散シート又はフィルムは、それぞれ第十二実施態様と第十四実施態様、第十三実施態様と第十五実施態様の長所とを兼ね備えている。これらの光拡散シート又はフィルムによれば、入光部の面はエンボス加工が施されているので、シート出光部側から入射した外光のうち、シート入光面まで達して反射される光は拡散されて、斜辺部へ大きな角度をもって入射するので、斜辺部にて全反射されることなく断面形状三角形の部分に入光し、光吸収粒子又は着色された材料により吸収される。したがって光拡散シート又はフィルムのコントラストを向上させることができる。さらに、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に平行な入射光は、斜辺の透明低屈折率層表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光は、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。したがって輝度とコントラストが高く、迷光の少ない光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0079】
上記第十六実施態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
1<N1<5.76
0.23<N2/N1<0.996
かつ
H<T/0.57
なる関係を満たすように構成してもよい。またかかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。 このように構成した場合には、第五実施態様又は第六実施態様の光拡散シート又はフィルムで、θが5〜15°の範囲において、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に平行な入射光を斜辺にて全反射し、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光することができる。また、シート内において一度斜辺にて反射された光は、再び他の斜辺に到達することなく出光面から出光される。ここにθの範囲を5〜15°としたのは、このような単位レンズのテーパー角を5〜15°とすることで、好適な視野角特性を得ることができるからである。
【0080】
上記第十三態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、透明低屈折率層の層厚を0.1μm以上としてもよい。またかかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0081】
このようにすれば、透明低屈折率層による全反射を確実なものとすることができる。
【0082】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、断面形状三角形の部分を形成する材料に添加される光吸収粒子の添加量を、10〜60質量%とすることもできる。光吸収粒子の添加量はさらに好ましくは、30〜50質量%であることが望ましい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0083】
このように構成した場合には、光吸収粒子の添加効果を最大とすることができる。これより添加量が少ないと断面形状三角形部への充填量が不足して、いわゆるブラックストライプの幅が狭くなり、コントラストの悪化を招く。またこれ以上の添加を行うと、出光面(台形の上底部)に光吸収粒子が残留してしまうからである。
【0084】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、光吸収粒子の平均粒径を、断面形状台形の上底を形成する出光部の高さ又は開口幅の1/30〜2/3、好ましくは1/20〜1/3であることが望ましい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0085】
このようにすれば、光吸収効果を効率よいものとすることができる。また製造時に問題なく断面形状三角形部へと充填することができる。粒径を必要以上に大きくした場合、三角形部に粒子が埋まりきらずにはみだしてしまい、さらに隙間が発生しやすくなる。逆に粒径が必要以上に小さすぎると、三角形部への充填は簡単になるが、製造時に光吸収粒子を出光面から掻き落とすことが困難となって、レンズ出光面に光吸収粒子が残留してしまう傾向が強くなるからである。
【0086】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、出光部は観察者側に凸に形成されていることとしてもよい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0087】
このようにすれば、製造時に出光部に光吸収粒子が取り残されることを防止できるので好都合である。
【0088】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、単位レンズを板状又は膜状の透明基材(203)上に形成するようにしてもよい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0089】
このようにした場合には、型ロールを使用して、配列された単位レンズを連続的に生産することができる。
【0090】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、観察者側に拡散剤を混入したシート(1)を張り合わせてもよい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。 このようにした場合には、観察者側の面を平面とすることができるので、表面への加工が容易なものとなる。また、拡散剤の光学的作用により、出光側のゲインを均一にならすことができる。この拡散剤を混入したシートを張り合わせるための接着層又は粘着層の屈折率は単位レンズの屈折率と同程度でよい。光学的に大きな影響は出ないと考えられるからである。
【0091】
上記のように構成した場合には、拡散剤を混入したシートのさらに観察者側に、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層のうち少なくとも一つを設けるように構成してもよい。本発明においてはこれらの機能のうち一つだけを持たせてもよく、また複数の機能を併せ持たせてもよい。
【0092】
このように構成した場合には、光拡散シート又はフィルムに多様な機能を持たせることができる。
【0093】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、エンボス加工が施された入光面の、出光面に直交する面による断面形状を楕円の切片又は多角形の切片形状としてもよい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0094】
このように構成した場合には、出光面側から入射した光を楕円又は多角形の切片部で反射させて、十分な角度をもたせて斜辺部へ入光させることができる。したがって斜辺部内部の光吸収粒子により吸収することができるので、コントラストの高い光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0095】
上記のように構成した場合にはさらに、入光面に施されたエンボス形状により、3°以上拡散される光の成分が20%以上であることとしてもよい。
【0096】
このように構成した場合には、多くの光を光吸収粒子により吸収できるので、コントラストの高い光拡散シート又はフィルムを実現することができる。
【0097】
またさらに、上記第十二実施態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、エンボス加工が施された部分の斜面が入光面とのなす角のθと同方向の成分をφ、エンボス部を形成する材料の屈折率をN3とするとき、
sin(90°−(sin (N3* sin(2φ)/N1)+θ))<N2/N1
なる関係を満たすエンボス加工が施された部分の面積が、入光面全体の面積の20%以上であるように構成してもよい。ここに上記不等式において、「*」(アスタリスクマーク)は、その前後に示される項を乗ずることを示す。たとえば、「A*B」は、AとBとの積を示す(以下同じ。)。
【0098】
このような条件を満たす場合、出光側から出光面に対して垂直に入射した外光は、エンボス面にて反射され、光吸収粒子に吸収される。したがってこのような条件を満たすエンボス面を入光面全体の20%以上設けることにより、コントラストの高い光拡散シート又はフィルムを構成することができる。
【0099】
また、入光面に施されたエンボス形状により、20°以上拡散される光の成分が20%以下であることとすることもできる。
【0100】
このようにした場合には、光拡散シート又はフィルムに入光した映像光の多くが、レンズ間部分の光吸収粒子に吸収されることなく観察者側に達することができる。したがって、透過率の高い光拡散シート又はフィルムを実現することができる。
【0101】
また、さらに上記において、
sin(90°−(sin (N3/N1)* sin(φ−sin (sinφ/N3)))+θ))<N2/N1
なる関係を満たすエンボス加工が施された部分の面積が、入光面全体の面積の20%以下であるように構成してもよい。
【0102】
このような関係を満たす場合には、入光面に垂直に入射した映像光が光吸収粒子に吸収される。したがって、このような条件を満たすエンボス加工が施された部分の面積が、入光面全体の面積の20%以下にコントロールすることにより、透過率の高い光拡散シート又はフィルムを提供することができる。
【0103】
また、上記第十二態様の光拡散シート又はフィルムにおいて、エンボス加工のピッチは、出光面側単位レンズピッチの1/15〜1/1.5倍となるよう構成してもよい。かかる変形は、単独で又は他の変形と組み合わせて、適宜、第十二実施態様以降に記載される他の態様の光拡散シート又はフィルムに対しても適用が可能である。
【0104】
このように構成することで、入光面側にエンボスを形成した効果を最大限引き出すことができる。またエンボスのピッチを細かくしたことによる利点として、拡散特性がいびつになることを防止することができること、および出光レンズと入光レンズ(エンボス)との間のモアレ発生が防止できることがあげられる。この表裏のレンズは同方向にできているので、モアレが発生しやすいからである。
【0105】
さらに本発明では、上記したいずれかの光拡散シート又はフィルムの映像光源側にフレネルレンズを配置したプロジェクションスクリーンを提供して前記した課題を解決する。
【0106】
この発明によれば、上記光拡散性シートの諸特性をプロジェクションスクリーンにおいて実現することができる。
【0107】
また、上記プロジェクションスクリーンにおいて、複数の単位レンズの断面形状台形の斜辺は、上下方向に伸びて形成されていることとしてもよい。
【0108】
このように形成した場合、水平方向に光を拡散することができる。
【0109】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0110】
【発明の実施の形態】
(第一実施形態〜第五実施形態)
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。はじめに、本発明にかかるプロジェクションスクリーン(本願明細書においては、ベースシートの両面にリニアフレネルレンズ及びレンチキュラーレンズがそれぞれ形成されたものを「プロジェクションスクリーン用シート又はフィルム」といい、これに拡散シートが備えられたものを「プロジェクションスクリーン」という。)の基本構成につき図1を参照しつつ説明する。
【0111】
図1において、プロジェクションスクリーン1は、ベースシート4の入光側に形成されたリニアフレネルレンズ2と、観察者側に形成された断面形状台形のレンチキュラーレンズ3とを備えている。さらにこれらの観察者側には拡散シート5が配置されている。レンチキュラーレンズ3の台形形状は、映像光の水平方向光軸が補正されるように、幅方向に異なる形状に形成されている。図1の紙面手前側下方に不図示の映像光源があり、ここから斜め上方に向けて投射された映像光は、リニアフレネルレンズ2のレンズ面に入光後反対側のレンズ面にて全反射されて略水平方向の光に変換され、レンチキュラーレンズ3を経て紙面左側奥の不図示の観察者に達する。
【0112】
図2〜6は、第一〜第五実施形態にかかるプロジェクションスクリーン1A〜1Eの水平断面を示す図である。図2〜6の第一〜第五実施形態にかかるプロジェクションスクリーン1A〜1Eは、映像光源側から観察者側に向けて、リニアフレネルレンズ2と、ベースシート4と、レンチキュラーレンズ3と、拡散シート5とを備えている。ベースシート4は通常アクリル等の透明な樹脂材料にて構成されている。また、リニアフレネルレンズ2及びレンチキュラーレンズ3は、電離放射線硬化性樹脂にて形成されている。これらについては後に製造方法を説明する際に詳述する。拡散シート5は、アクリル等の基材樹脂材料に、SiO、CaCO、Al、TiO、BaSO、ZnO、Al(OH)、ガラス粉末等を一様に混合分散分布させることにより得られる。あるいは有機拡散剤等の液状合成樹脂媒体に溶融又は化学変化をしない拡散物質の一種又は二種以上の添加物を媒体中に一様に混合分散分布してもよい。レンチキュラーレンズ3は、水平方向に指向性を持たせた拡散光を得るためのレンズであって、断面形状台形の複数の凸条が一つの平面上に縦方向に形成されている。各凸条の台形断面形状はスクリーン中央部から左右方向にかけてわずかずつ異なるように形成されている。
【0113】
図2の第一実施形態のプロジェクションスクリーン1Aにおいて、レンチキュラーレンズ3の各台形と拡散シートに挟まれる「V」字状の隙間(以下においては「V字部」という。)にはレンチキュラーレンズ3を構成する物質より低い屈折率を有する物質6が充填されている。本実施形態においては、低屈折率物質6は、低屈折率の合成樹脂材料にて構成されている。しかし、本発明の効果を得るためには低屈折率物質6は、レンチキュラーレンズ3を構成する物質より低い屈折率を有していればよい。したがって固体、液体又は気体の別を問わず、いずれかにて構成してよい。このようにレンチキュラーレンズ3よりV字部の物質の屈折率を低くすることにより、レンチキュラーレンズ3の内部から台形斜面に向かう光の大半を反射させることができる。
【0114】
上記低屈折率の合成樹脂材料は、例えば、染料、顔料、又は光吸収粒子を添加することによって着色されていても良い。このようにして、台形斜面を透過した光を低屈折率物質6の部分で吸収することができる。
【0115】
図3の第二実施形態のプロジェクションスクリーン1Bにおいて、V字部はレンチキュラーレンズ3の台形斜面に密着するように形成された低屈折率物質層8と、低屈折率物質層8と拡散シート5との間に挟まれた部分を埋めるように配置された高屈折率部7とにより構成されている。このように構成した場合、レンチキュラーレンズ3の内部から台形斜面部を透過した光を低屈折率物質層8と高屈折率部7との界面で反射させることができる。
【0116】
図4の第三実施形態のプロジェクションスクリーン1Cにおいて、V字部にはレンチキュラーレンズ3の台形斜面に密着するように形成された低屈折率物質層8と、低屈折率物質層8の拡散シート側に密着するようにして形成された光吸収層10が形成されている。光吸収層10は、低屈折率物質層8の拡散シート側に黒色塗料を塗布する等の方法により形成することができる。このようにして、レンチキュラーレンズ3の内部から台形斜面部を透過した光を光吸収層10により吸収することができる。この変形として、図5に示される第四実施形態のプロジェクションスクリーン1Dのように光吸収部11を拡散シートに密着するように設け、その余のV字部を低屈折率物質6にて満たすようにしても同様の効果を得ることができる。
【0117】
図6の第五実施形態のプロジェクションスクリーン1Eにおいて、V字部にはレンチキュラーレンズ3の台形斜面に密着するように金属の反射層12が形成されている。金属の反射層12は、レンチキュラーレンズ3の成形後、V字部以外の部分をマスキングの上、レンズ面にアルミニウム等の反射率の高い金属を蒸着等することにより形成することができる。このように構成した場合には、レンチキュラーレンズ3の内部から台形斜面部を透過しようとする光をほぼ完全に反射させることができる。
【0118】
図7は、図5に示された第四実施形態にかかるプロジェクションスクリーン1Dのレンチキュラーレンズ部3及び拡散シート5における光路を示す図である。レンチキュラーレンズ3の台形上底部への水平光L3のみ観察者方向に射出され、その他の台形斜面部への光(水平光L1、斜行光L2、L4の別を問わない。)はスクリーンの左右方向に拡散される。また、台形斜面部を透過した光L5は、光吸収部11にて吸収され、拡散シート5には達しない。
【0119】
以上の各実施形態において、拡散シート5の観察者側にはAR、AG、AS、HC、防汚、センサ等の機能を付与することが好ましい。ARはシート表面に入光する光の反射率を抑える機能を有するフィルムをラミネートしたり、シート表面を直接AR処理したりすることにより得られる。AGはシートの防眩性機能を有するフィルムをラミネートしたり、シート表面を直接AG処理したりすることにより得られる。ASはシート表面に帯電防止用のフィルムをラミネートしたり、シート表面を直接AS処理したりすることにより得られる。HCはシート表面の強度を増して傷等がつかないような耐摩耗性フィルムをラミネートしたり、シート表面を直接HC処理したりすることにより得られる。防汚はシート表面に汚れが付着することを防止するフィルム等をラミネートしたり、シート表面を直接、防汚処理したりすることにより得られる。センサはタッチセンサ等の機能を付与すればよい。そしてまた、現在では、上記の機能の内、AR、AS、HC、防汚を併せ持つフィルムも提供されているので、これを拡散シート5の観察者側に貼付しても良い。
【0120】
図8は、本発明にかかるプロジェクションスクリーン1の製造工程を示す図である。以下に図8を参照しつつ本発明のプロジェクションスクリーン1をロール転写法により製造する方法を説明する。図8において、加工機40には2本の加工用金型ロール41、及び金型ロール42が装着されている。ロール41には、リニアフレネルレンズ2の雌型が表面部に形成されている。また、ロール42には、レンチキュラーレンズ3の雌型が形成されている。
【0121】
本製造方法は連続生産方法であり、製造中は厚さ0.2mmのアクリルフイルムをベースシート32として使用して、ニップロール43a〜43dによってロール41、及びロール42に圧着させ、ロールの回転と同期する速度で走行させる。ロール41の下面側に設けたT型ダイス44から電離放射線硬化性樹脂47を供給してロール41の凹部に充填し、ベースフィルム32に転移させる。そして、ロール41の上面側に設けた紫外線照射装置46を用いて、所定条件のもと露光し硬化させ、リニアフレネルレンズ2をベースシート32上に形成させる。
【0122】
このベースシート32を直ちにロール42に導き、前段で加工を行った反対側の面がロール42と密着するようニップロール43で圧着する。さらにロール42の上面側に設けたT型ダイス45から電離放射線硬化性樹脂47を供給してロール42の凹部に充填し、ベースシート32に転移させる。そしてロール42の下面側に設けた紫外線照射装置46によって前項と同一条件で硬化させて、ベースシート32のリニアフレネルレンズ2を設けた面の反対側の面にレンチキュラーレンズ3を形成する。
【0123】
次いでベースシート32をライン下流側に設けた低屈折率部形成装置48に引き込み、低屈折率樹脂49aをT型ダイス49からロール50に供給する。ロール50上に供給された低屈折率樹脂49aは、ロール50とその対向ロール51との間を通過する際に、二本のロール50、51による押圧力を受けて、ベースシート32上面に形成されたレンチキュラーレンズ3のV字部に充填される。ロール50とその対向ロール51の回転は、ロール41、及びロール42の回転と同期されている。
【0124】
次にベースシート32はラインのさらに下流側の貼り合わせ機52に供給される。貼り合わせ機52にはベースシート32の進行方向とは反対方向から拡散シート55が供給されている。貼り合わせ機52は、二本の圧着ロール53及び54を備えている。圧着ロール53及び54の回転も、ロール41、及びロール42の回転と同期されている。ベースシート32は圧着ロール53に、拡散シート55は圧着ロール54にそれぞれ巻き取られるようにして両ロールのロールバイト部にて押圧力を受けて圧着され、巻き取り機56により巻き取られる。
【0125】
ベースシート32と拡散シート55との接着は、低屈折率樹脂49aが半溶融状態のうち拡散シート55に素早く接触させることにより実現してもよい。また、貼り合わせ機52に接着剤供給手段を設けて両シートの間に接着剤を所定の方法にて供給することにより実現してもよい。また、予め拡散シート55の上面側に透明な粘着剤等の接着層を設けておいて、これにより接着をはかってもよい。このような方法により本発明のプロジェクションスクリーン1を連続的に製造することができる。
【0126】
上記において、コイル状の拡散シート55を連続的に供給して、リニアフレネルレンズ2とレンチキュラーレンズ3とが両面に形成されたベースシート32とを連続的に貼り合わせる工程について説明したが、両レンズ2、3形成後のベースシート32を所定形状にカットして、それをカットされた拡散シートに貼り合わせるようにしてもよい。
【0127】
【実施例1】
図9は、実施例1における映像光源からの映像をプロジェクションスクリーン上に投射する状態を説明する図である。本実施例のプロジェクションディスプレイ装置20においては、映像光源21をスクリーン1の下方に配置した。光源としてLCDライトバルブを使用した。また、入射角がスクリーン1の上端でθ1=30°、下端でθ2=45°となるよう映像光源21を配置した。リニアフレネルレンズの頂角は37°である。映像光源21からリニアフレネルレンズ内に入射した映像光は全反射されて光軸の上下方向がスクリーンに対して垂直となる。レンチキュラーレンズのV字部は、映像光の水平方向光軸が補正されるように頂角10°〜30°の範囲でスクリーンに対し左右対称に形成した。この時V字部を三角形とみたときの底辺の長さは、レンチキュラーレンズピッチの約50%であった。またV字部には黒色粒子が充填された空気層を設けた。
【0128】
このような構成を取るプロジェクションディスプレイ装置20の反射率は約4.5%、透過率は約85%となった。
【0129】
【実施例2】
上記プロジェクションディスプレイ装置20の観察者側にARフィルムをラミネートした。この結果反射率約0.8%、透過率約88%のプロジェクションディスプレイ装置を得ることができた。
(第6実施形態及び第7実施形態)
図11及び図12は、本発明の第六及び第七実施形態の光拡散シート又はフィルムS1及びS2の水平断面を示す図である。これらの図においては、図面右側に映像光源が配置され、図面の左側に観察者が位置している。
【0130】
図11は、本発明の第六実施形態の光拡散シートS1を示している。この光拡散シートS1は、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート101、単位レンズ102、ベースシート103が張り合わされて配置されている。単位レンズ102は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ102、102にはさまれた断面形状三角形の部分(以下において「レンズ間部分107」という。)には、N1より小さな屈折率N2を備えた透明な物質(以下において「透明低屈折率物質106」という。)中に光吸収粒子105が添加された材料で埋められている。
【0131】
本実施形態においては、高屈折率部102の屈折率N1と、透明低屈折率物質106の屈折率N2との比は、光拡散シートS1の光学特性を得るために所定の範囲に設定されている。また、レンズ間部分107と高屈折率部102とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS1に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。
【0132】
高屈折率部102は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率物質106として通常、電離放射線硬化性を有するウレタンアクリレートなどの材料が使用されている。光吸収粒子105は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート101、及びベースシート103は、高屈折率部102と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート101の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0133】
次に光拡散シートS1の単位レンズ102内に入光した光の光路について、図11を参照しつつ簡単に説明する。なお、図11において、光L11〜L14の光路は模式的に示されたものである。いま、図11において、映像光源側から単位レンズ102の中央部付近に入射した垂直光L11は、そのまま光拡散シートS1の内部を直進して通過し、観察者に至る。映像光源側から単位レンズ102の端部付近に入射した垂直光L12は、高屈折率部102と透明低屈折率物質106との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ102の端部付近に角度をもって入射した光L13は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L14aは、高屈折率部102と低屈折率物質106との屈折率差によっても反射されることなくレンズ間部分107の内部に入光して、光吸収粒子105に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分107に入光した迷光L14bは、光吸収粒子に吸収されるので、観察者側に反射光となって、出光されることがない。このようにして水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS1を得ることができる。
【0134】
図12は、本発明の第七実施形態の光拡散シートS2を示している。この光拡散シートS2も、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート101、単位レンズ102、ベースシート103が張り合わされて配置されている。単位レンズ102は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ102、の斜辺には、N1より小さな屈折率N2を備え透明な物質により形成された層104(以下「透明低屈折率層104」という。)が形成されている。また隣接する単位レンズ102の間に挟まれた断面形状三角形の部分は、N2より高い屈折率を有する物質108中に光吸収粒子105が添加された材料で埋められている。以後の説明においてはこの断面形状三角形の部分を「レンズ間部分109」という。
【0135】
高屈折率部102の屈折率N1と、透明低屈折率層104の屈折率N2との比は、光拡散シートS2の光学特性を得るために所定の範囲に設定されている。また、透明低屈折率層104と高屈折率部102とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS2に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。これらについては後に詳述する。
【0136】
高屈折率部102は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率層104は、シリカ等透明樹脂の屈折率より低い屈折率を有する材料にて形成されている。光吸収粒子105は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート101、及びベースシート103は、高屈折率部102と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート101の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0137】
次に光拡散シートS2の単位レンズ102内に入光した光の光路について、図12を参照しつつ簡単に説明する。なお、図12においても、光L11〜L14の光路は模式的に示されたものである。図12において、映像光源側から単位レンズ102の中央部付近に入射した垂直光L11は、そのまま光拡散シートS2の内部を直進して通過し、観察者に至る。
【0138】
映像光源側から単位レンズ102の端部付近に入射した垂直光L12は、高屈折率部102と透明低屈折率層104との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ102の端部付近に角度をもって入射した光L13は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L14aは、高屈折率部102と低屈折率部104との屈折率差によっても反射されることなく透明低屈折率層104の内部に入光する。迷光L14aはレンズ間部分109の光吸収粒子105に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分109に入光した迷光L14bも、光吸収粒子105に吸収され、観察者側に反射光となって、出光されることがない。このようにして水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS2を得ることができる。
【0139】
次に、図13及び図14を参照しつつ光拡散シートの単位レンズ部に入射した光拡散シート内の光が斜辺にて全反射され、かつ出光面においては、全反射されずに観察者側に透過する条件について説明する。
【0140】
図13は、光拡散シート内において第七実施形態の光拡散シートS2の斜辺に垂直光L15が入射した場合の光路を示す図である。図13においては、映像光源は図面上方に、観察者は図面下方に位置しているものとする。また拡散剤入りシート101、及びベースシート103は説明の簡略化のため省略している(以下図14及び15において同じ。)。
【0141】
図13において、斜辺に入射した垂直光L15が、斜辺のA点において全反射され始める条件(臨界条件)は、スネルの法則により、
sin(90°−θ)=N2/N1
であるから、垂直光L15が常に全反射されるためには、
(式1)  sin(90°−θ)>N2/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0142】
また、斜辺のA点にて反射された光L15が、出光面のB点において全反射され始める条件(臨界条件)は、大気の屈折率を1とした場合、スネルの法則により、sin2θ=1/N1
であるから、光L15がB点から観察者側に確実に出光されるためには、
(式2)  sin2θ<1/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0143】
なお参考のために図14を参照しつつ、光拡散シートS2の斜辺に10°の傾きを持った光L16が入射した場合の光路について以下に簡単に説明する。
【0144】
図14において、斜辺に入射した10°の傾きを持つ光L16が、斜辺のA点において全反射され始める条件(臨界条件)は、スネルの法則により、
sin(80°−θ)=N2/N1
であるから、10°の傾きを持った光L16が常に全反射されるためには、
(式3)  sin(80°−θ)>N2/N1
なる条件を満たす必要がある。
【0145】
また、斜辺のA点にて反射された光L16が、出光面のB点において全反射され始める条件(臨界条件)は、大気の屈折率を1とした場合、スネルの法則により、sin(2θ+10°)=1/N1
であるから、光L16がB点から観察者側に確実に出光されるためには、
sin(2θ+10°)<1/N1
すなわち
(式4)  N1<1/sin(2θ+10°)
なる条件を満たす必要がある。
【0146】
次に、図15を参照しつつ光拡散シートS2の斜辺にて反射された光が、隣接する斜辺に到達しない条件について説明する。この条件を見出すためには、出光面法線に対して最も大きな角度(現実的には10°)を持つ入射光L17が、低屈折率部104がなす三角形の頂点付近の斜辺上の点Cにて全反射された場合に、その反射光が隣接する斜辺に到達しないように、三角形の高さHと単位レンズの上底の長さTとの関係を定めればよい。
【0147】
図15において、三角形の底辺の長さを2Sとすれば、
tanθ=S/H
tan(2θ+10°)=(S+T)/H
したがって、
H=T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
Hが上記値より小であれば、反射光が隣接する斜辺に到達しない。したがってその条件は、
(式5)  H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
で表される。
【0148】
次にθが5°〜15°であるとして、その範囲においてさらに具体的にN1とN2の値を考察する。5°<θ<15°の範囲においては、
sin(90°−θ)<0.996
であり、式1により、N2/N1の値はこれより小さいから
(式6)  N2/N1<0.996
一方、5°<θ<15°の範囲では、
1/sin2θ<5.76
であるから、式2より、
(式7)  N1<5.76
さらに、入手しうる現実の材料を考慮した場合、N2の最小値は1.30なので、
N2/N1>1.30/5.76=0.23
したがって上式と式6から
(式8)  0.23<N2/N1<0.996
上記式7及び式8が5°<θ<15°の範囲での、N1及びN2の値がとりうる条件である。
【0149】
また、式5においては、θ=15°の時にHに対する条件が決定され、
H<T/0.57
となる。
【0150】
図16は、レンズ間部分107又は109の形状の諸態様を示す図である。このレンズ間部分107又は109は、隣接する二つの単位レンズ102、102の斜辺により形成される略三角形の形状を基礎としている。図16(a)は、斜辺が直線にて形成されている場合を表している。この場合には、斜辺と出光面法線とがなす角度θ1は斜辺上のどの点においても一定である。図16(b)は、斜辺が滑らかな曲線で形成されている場合を表している。また図16(c)は、斜辺が2本の直線にて構成されている場合を示している。これらの場合、斜辺と出光面法線とがなす角度θ2、又はθ3若しくはθ4は、斜辺上の位置により異なる。本発明において図16(b)や図16(c)の場合のように斜辺と出光面法線のなす角度が一定でないときは、斜辺の長さの90%以上において、以上に説明してきた式1〜8の各条件を満たせば本発明の効果を得ることができる。
【0151】
図17及び図18は、第七実施形態の光拡散シートS2の構成の一例を示す図である。図17に示される光拡散シートは水平断面形状が垂直方向に一定な単位レンズ102を備えている。隣接する単位レンズ102、102の間には、透明低屈折率層104を介して、レンズ間部分109に光吸収粒子105が添加された樹脂材料108が充填されている。出光面側には拡散剤入りシート101が、入光面側にはベースシート103が配置されている。図面では理解のためにこれら三者が離れて表されているが、実際にはこれらは貼り合わされている。
【0152】
一方、図18に示されている光拡散シートにおいては、半載円錐状の単位レンズが垂直平面上に二次元状に配列されている。各単位レンズの半載円錐の頂部平面は同一面上に形成されており、この平面に拡散剤入りシート101が貼り合わされている。隣接する単位レンズ102、102との間の空隙は透明低屈折率層104を介してレンズ間部分109に光吸収粒子105が添加された樹脂材料108が充填されている。図17及び図18のいずれに示されている光拡散シートの構成によっても本発明による効果を得ることができる。
【0153】
図18では上下左右の2方向へレンズによって拡散させることができる。さらに、一次元の光拡散シート又はフィルムを2枚直交させて配置しても図18と同様な効果のある二次元の光拡散シート又はフィルムとすることができる。
【0154】
図19は、第七実施形態の光拡散シートS2において、単位レンズ102の出光面(断面形状台形の上底に相当する部分)が観者側に凸に形成されている例を示す図である。このような構成をとることにより製造工程において、先に単位レンズ102の部分を形成して、その後レンズ間部分107に光吸収粒子105を添加した材料108を充填する工程をとる場合、充填後にブレードにて出光面に残った光吸収粒子105を完全に取り去ることができる。
【0155】
次に図20及び図21を参照しつつ第六及び第七実施形態の光拡散シートの製造方法について説明する。図20は第六実施形態の光拡散シートS1、図21は第七実施形態の光拡散シートS2の製造方法をそれぞれ示すものである。
【0156】
この製造方法に使用される製造装置は、型ロール110と、ミラーロール120と、ベースフィルム供給ロール116と、補助ロール群119、122、124と、電離放射線硬化型樹脂を供給するフィーダー112、115、121と、電離放射線照射機114、118、123とを備えている。さらに第七実施形態にかかる製造装置は透明低屈折率層を形成する物質の蒸着装置125を備えている。
【0157】
図20の第六実施形態にかかる光拡散シートS1の製造装置において、所定の速度で回転する型ロール110の表面にはレンズ間部分107を構成する断面形状三角形の部分に対応する雌型が彫られている。黒色粒子(光吸収粒子)が添加され、所定温度に加温された低屈折率樹脂が樹脂フィーダー112から型ロール110上に供給され、三角形の凹部に充填される。余剰の樹脂をドクターブレード113にて掻き落とした後、電離放射線照射機114にて電離放射線をロール表面に照射して、黒色粒子入り低屈折率樹脂を硬化させる。次いでフィーダー115から透明樹脂をロール幅のほぼ全長にわたって供給し型ロール110の表面に透明樹脂層を形成する。さらにその上面にベースフィルム117を、供給ロール116から巻き出して形成したのち、再び電離放射線照射機118にて電離放射線を照射して、透明樹脂を硬化させる。そして補助ロール119により折り返してミラーロール120へと供給する。この折り返しの工程により、型ロール110の表面凹部に形成されていた断面形状三角形の黒色粒子入り低屈折率部は、ロール表面から剥離される。この時点では、E点拡大図で示されるように、ベースフィルム上に透明樹脂層が形成され、さらに透明樹脂層の上面に黒色粒子入り低屈折率樹脂が断面三角形に形成されている。
【0158】
ミラーロール120側では、あらかじめロール表面に単位レンズを構成する高屈折率樹脂がフィーダー121から供給されて、硬化前のやわらかい状態で高屈折率樹脂層が形成されている。この高屈折率樹脂層と型ロール110から供給されてきた中間製品とがミラーロール120と補助ロール122とにより圧着される。柔らかな高屈折率樹脂は圧着されることにより透明低屈折率層が形成する断面形状台形の谷間に隙間なく入り込む。さらにミラーロール120の表面に電離放射線照射機23にて電離放射線を照射して、高屈折率樹脂を硬化させる。そして補助ロール124により反対方向に折り返して、硬化した高屈折率樹脂をミラーロール120から剥離する。この時点では、G点拡大図に示されるように、断面形状三角形の透明低屈折率層の上面に断面形状が台形の高屈折率樹脂層にて形成された単位レンズ群が形成されている。その後このシートは巻き取り機へと送られロール状に巻き取られる。
【0159】
図21の第七実施形態にかかる光拡散シートS2の製造装置においては、樹脂フィーダー112から供給されるのは黒色粒子が混入された透明高屈折率樹脂(単位レンズ部と同程度の屈折率)である。またこの製造工程においてはE点通過後のライン状に蒸着装置125が設けられている。蒸着装置125においては、黒色粒子入り透明高屈折率樹脂の上方から、透明低屈折率物質を蒸着して、透明低屈折率層104を形成する(F点拡大図参照)。その他の構成は図20に示されている光拡散シートS1の製造装置と同様である。
【0160】
なお、上記工程は、型ロール110にて断面形状三角形のレンズ間部分107又は109を形成するものであるが、型ロール110により断面形状台形の高屈折率部102を先に形成して、ミラーロール120側のフィーダー121からレンズ間部分107又は109を形成する黒色粒子入り高屈折率樹脂、又は黒色粒子入り透明低屈折率樹脂を供給するように構成してもよい。
【0161】
【実施例3】
単位レンズを構成する高屈折率部102(台形部分)の材料としてエポキシアクリレート、レンズ間部分107の透明低屈折率樹脂としてウレタンアクリレート、光吸収粒子として、大日精化工業(株)製「ラブコロール」(登録商標)を使用した。
「ラブコロール」の平均粒径は8μmで、添加量を50質量%とした。
【0162】
高屈折率部2の屈折率は1.57、レンズ間部分107の屈折率は1.48であった。このように構成したシートの入光側にフレネルレンズシートを、観察者側には拡散板を配置した。拡散板は、アクリル製三層構造で、中間層に拡散剤を混入したものを使用した。高屈折率部のレンズピッチは50μmとした。また、高屈折率部102の台形部分の上底長さと、低屈折率部の三角形底辺の長さを等しくなるようにし、いわゆるブラックストライプ率が50%となるようにした。さらに頂角θを10°に設定した。
【0163】
このように構成した光拡散シートは、透過率が80%、反射率が5%、ゲインが4であった。また、垂直視野角(半値角:ある方向から観視したときの輝度が正面から観視したときの半分になる角度)は12゜、水平視野角(半値角)は25゜であった。
(第八実施形態及び第九実施形態)
図22及び図23は、本発明の第八及び第九実施形態の光拡散シートS3及びS4の水平断面を示す図である。これらの図においては、図面右側に映像光源が配置され、図面の左側に観察者が位置している。
【0164】
図22は、本発明の第八実施形態の光拡散シートS3を示している。この光拡散シートS3は、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート201、単位レンズ202、ベースシート203が張り合わされて配置され、さらにベースシート203の映像光源側の面にはエンボス加工が施され、エンボス部Eが形成されている。単位レンズ202は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ202、202にはさまれた断面形状三角形の部分(以下において「レンズ間部分207」という。)には、N1より小さな屈折率N2を備えた透明な物質(以下において「透明低屈折率物質206」という。)中に光吸収粒子205が添加された材料で埋められている。またエンボス部Eは屈折率N3を有する物質にて形成されている。
【0165】
本実施形態においては、高屈折率部202の屈折率N1と、透明低屈折率物質206の屈折率N2と、エンボス部Eの形状及び屈折率N3は、光拡散シートS3の光学特性を得るために所定の関係を有するように設定されている。また、レンズ間部分207と高屈折率部202とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS3に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。
【0166】
高屈折率部202は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率物質206として通常、電離放射線硬化性を有するウレタンアクリレートなどの材料が使用されている。光吸収粒子205は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート201、及びベースシート203は、高屈折率部202と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート201の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0167】
次に光拡散シートS3の単位レンズ202内に入光した光の光路について、図22を参照しつつ簡単に説明する。なお、図22において、光L21〜L24の光路は模式的に示されたものである。いま、図22において、映像光源側から単位レンズ202の中央部付近に入射した垂直映像光L21は、そのまま光拡散シートS3の内部を直進して通過し、観察者に至る。映像光源側から単位レンズ202の端部付近に入射した垂直映像光L22は、高屈折率部202と透明低屈折率物質206との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ202の端部付近に角度をもって入射した映像光L23は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L24aは、高屈折率部202と低屈折率物質206との屈折率差によっても反射されることなくレンズ間部分207の内部に入光して、光吸収粒子205に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側(出光面側)からレンズ間部分207に入光した迷光L24bは、光吸収粒子に吸収されるので、観察者側に反射光となって、出光されることがない。さらに観察者側から垂直に単位レンズ202の出光面開口方向に入射した光L24cは拡散剤入りシート201、単位レンズ202、及びベースシート203を透過後、エンボス部Eの映像光源側内面にて反射され、比較的大きな角度を持って、レンズ間部分207に達する。したがってこの光はレンズ間部分207表面では反射されることなく、レンズ間部分207に入光し、光吸収粒子205により吸収される。このようにして水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS3を得ることができる。
【0168】
図23は、本発明の第二実施形態の光拡散シートS4を示している。この光拡散シートS4も、観察者側から映像光源方向に順に、拡散剤入りシート201、単位レンズ202、ベースシート203が張り合わされて配置され、さらにベースシート203の映像高原側の面にはエンボス加工が施され、エンボス部Eが形成されている。単位レンズ202は高屈折率N1を有する物質により形成されている。さらに、隣接する単位レンズ202、202、の斜辺には、N1より小さな屈折率N2を備え透明な物質により形成された層204(以下「透明低屈折率層204」という。)が形成されている。また隣接する単位レンズ202の間に挟まれた断面形状三角形の部分は、N2より高い屈折率を有する物質208中に光吸収粒子205が添加された材料で埋められている。以後の説明においてはこの断面形状三角形の部分を「レンズ間部分209」という。エンボス部Eは屈折率N3を有する物質にて形成されている。
【0169】
高屈折率部202の屈折率N1と、透明低屈折率層204の屈折率N2と、エンボス部Eの形状及び屈折率N3は、光拡散シートS4の光学特性を得るために所定の関係を有するように設定されている。また、透明低屈折率層204と高屈折率部202とが接する斜辺が、出光面の法線(当該光拡散シートS4に対する垂直入射光に平行である。)となす角度は所定の角度θに形成されている。これらについては後に詳述する。
【0170】
高屈折率部202は通常、電離放射線硬化性を有するエポキシアクリレートなどの材料にて構成されている。また、透明低屈折率層204は、シリカ等透明樹脂の屈折率より低い屈折率を有する材料にて形成されている。光吸収粒子205は市販の着色樹脂微粒子が使用可能である。また、拡散剤入りシート201、及びベースシート203は、高屈折率部202と略同一の屈折率を有する材料にて構成されている。拡散剤入りシート201の観察者側には、反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層などの機能層が適宜設けられている。
【0171】
次に光拡散シートS4の単位レンズ202内に入光した光の光路について、図23を参照しつつ簡単に説明する。なお、図23においても、光L21〜L24の光路は模式的に示されたものである。図23において、映像光源側から単位レンズ202の中央部付近に入射した垂直映像光L21は、そのまま光拡散シートS4の内部を直進して通過し、観察者に至る。
【0172】
映像光源側から単位レンズ202の端部付近に入射した垂直映像光L22は、高屈折率部202と透明低屈折率層204との屈折率差により斜辺にて全反射され、所定の角度をもって観察者側に出光される。映像光源側から単位レンズ202の端部付近に角度をもって入射した映像光L23は、斜辺にて全反射され、入射時とは反対方向にさらに大きな角度をもって観察者側に出光される。斜辺に所定以上の大きな角度をもって入射する迷光L24aは、高屈折率部202と低屈折率部204との屈折率差によっても反射されることなく透明低屈折率層204の内部に入光する。迷光L24aはレンズ間部分209の光吸収粒子205に吸収され、観察者側に至ることはない。また、観察者側からレンズ間部分209に入光した迷光L24bも、光吸収粒子205に吸収され、観察者側に反射光となって、出光されることがない。さらに観察者側から垂直に単位レンズの出向面開口方向入射した光L24cは拡散剤入りシート201、単位レンズ202、及びベースシート203を透過後エンボス部Eの映像光源側内面にて反射され、比較的大きな角度を持って、レンズ間部分207に達する。したがってこの光はレンズ間部分207表面では反射されることなく、レンズ間部分207に入光し、光吸収粒子205により吸収される。このようにして水平方向に広い視野角をもち、コントラスト、輝度の高い光拡散シートS4を得ることができる。
【0173】
なお、図22及び図23においては、光拡散シ−トS3、S4の入光面側にベースシート203が配置されている構成を示したが、これを取り除いても同様な光学的効果を得ることができる。
【0174】
また、図22において、光拡散シ−トS3、のレンズ間部分207には低屈折率透明物質に光吸収粒子が添加された例を示したが、これに代えてレンズ間部分207に着色した低屈折率物質を充填する構成をとっても同様の効果を得ることができる。
【0175】
同様に、図23において、光拡散シ−トS4、のレンズ間部分209には高屈折率透明物質に光吸収粒子が添加された例を示したが、これに代えてレンズ間部分209に着色した高屈折率物質を充填する構成をとっても同様の効果を得ることができる。
【0176】
なお、第六実施形態及び第七実施形態において、図13〜図15についてした説明は、第八実施形態及び第九実施形態にも適用される。
【0177】
次に図24を参照しつつ、出光面側から光拡散シートに垂直に入射しエンボス部Eにて反射された光L28が、レンズ間部分207により吸収される条件について説明する。図24においては、図面左側が観察者側、図面右側が映像光源側として表されている。なお、説明のためにエンボス部Eが誇張して描かれており、拡散剤入りシート201及びベースシート203は省略されている。
【0178】
出光面側から光拡散シートS3内に入射した垂直光L28は、エンボス部Eの映像光源側内面のA点にて反射され、エンボス部Eと単位レンズ202との界面を点Bで横切り、点Cでレンズ間部分207に達している。ここにエンボス部断面が単位レンズ202との界面となす角度をφ、反射された光L28が光拡散シート内にて出光面法線となす角度をαとする。A点において反射された光L28がエンボス部内B点において出光面法線となす角度は2φであるから、スネルの法則により、
(式9) N1sinα=N3sin2φ
が成り立つ。また、C点において、光L28がレンズ間部分207の斜面の法線となす角度βは
(90°−α−θ)であるから、C点において、臨界条件下におけるスネルの法則は、
N2sin90°=N1sinβ
にて表される。すなわち
(式10) N2=N1sin(90°−α−θ)
式9及び10から
(式11) sin(90°−(sin (N3* sin(2φ)/N1+θ))=N2/N1
したがって、光L28がレンズ間部分207に入射し得る条件は、
(式12) sin(90°−(sin (N3* sin(2φ)/N1+θ))<N2/N1
にて表される。
【0179】
式12の条件を満たすエンボス部Eの面積が多いほど、出光面側から入射した外光がレンズ間部分207の光吸収粒子205により吸収される割合が多くなる。この結果、光拡散シートのコントラストを高くすることができる。本願発明者の知見によれば、このような条件を満たすエンボス部Eの面積を、入光面全体の面積の20%以上とすれば、良好なコントラストを備えた光拡散シートを得ることができることが判明している。
【0180】
次に図25を参照しつつ、映像光源側から光拡散シートに対して垂直な角度をもってエンボス部Eに入射した光L29(映像光)が、レンズ間部分207により吸収される条件について説明する。図25においても、図面左側が観察者側、図面右側が映像光源側として表されている。なお、ここではエンボス部Eはランダムなマット形状に誇張さて描かれており、拡散剤入りシート201及びベースシート203は省略されている。なお、参考までに、映像光源側から垂直な角度をもってエンボス部Eに入射し、レンズ間部分207により完全に反射される光L29Rも点線にて示されている。
【0181】
映像光源側からエンボス部Eに入射した垂直光L29は、エンボス部Eの映像光源側のP点にて屈折され、エンボス部Eと単位レンズ202との界面を点Qで横切る。さらに点Qにおいて屈折されて単位レンズ202に入射し、点Rでレンズ間部分207に達している。ここに垂直光L29が侵入する位置におけるエンボス部断面の接線が単位レンズ202との界面となす角度をφ、エンボス部E内において、光L29がエンボス斜面の法線となす角度をγ、単位レンズ202との界面の法線となす角度をδ、単位レンズ202内で光L29がレンズ間部分207の斜面の法線となす角度をμとする。また、P、Q、Rの各点を通過する3つの法線の交点をそれぞれS、Uとし、エンボス部断面斜面とレンズ間部分との界面との交点をTとする。
【0182】
いま四角形PSQTにおいて、
∠PSQ=360°−90°* 2−φ=180°−φ
したがって
(式13) δ=180°−γ−∠PSQ=φ−γ
P点においてスネルの法則が成り立つので
(式14) sinφ=N3sinγ
Q点においてもスネルの法則が成り立つので
(式15) N3sinδ=N1sinλ
一方、三角形RUQにおいて、
∠RUQ=90°+θ
だから、
(式16) μ=90°−λ−θ
さらにR点において、臨界条件におけるスネルの法則により、
(式17) N2=N1sinμ
したがって式13〜17から、
sin(90°−(sin (N3/N1)* sin(φ−sin (sinφ/N3)))+θ))=N2/N1
よって、光L29がレンズ間部分207の光吸収粒子に吸収される条件は、
(式18) sin(90°−(sin (N3/N1)* sin(φ−sin (sinφ/N3)))+θ))<N2/N1
にて表される。
【0183】
式18の条件を満たすエンボス部Eの面積が少ないほど、映像光はレンズ間部分207の光吸収粒子205に吸収されることなく観察者側に達する割合が多くなる。この結果、透過率の高い光拡散シートを得ることができる。本願発明者の知見によれば、式18の条件を満たすエンボス部Eの面積が入光面全体の面積の20%以下であれば良好な透過率が得られることが判明している。
【0184】
なお、第六実施形態及び第七実施形態に関して図16についてした説明は、第八実施形態及び第九実施形態にも適用される。
【0185】
なお、本願発明者の知見によれば、エンボス部のピッチは、出光面側単位レンズのピッチの1/1.5以下であること、さらに好ましくは1/4.5以下であることが望ましい。エンボス部のピッチをこのように設定することにより、上記した光学的特性を十分に発揮させることができ、さらにモアレの発生を回避することもできる。
【0186】
図26及び図27は、第九実施形態にかかる光拡散シートS4の構成の一例を示す図である。図26に示される光拡散シートは水平断面形状が垂直方向に一定な単位レンズ202を備えている。隣接する単位レンズ202、202の間には、透明低屈折率層204を介して、レンズ間部分209に光吸収粒子205が添加された樹脂材料208が充填されている。出光面側には拡散剤入りシート201が、入光面側にはベースシート203が配置され、ベースシート203の映像光源側にはエンボス部Eが形成されている。図面では理解のためにこれら三者が離れて表されているが、実際にはこれらは貼り合わされている。
【0187】
一方、図27に示されている光拡散シートにおいては、半載円錐状の単位レンズが垂直平面上に二次元状に配列されている。各単位レンズの半載円錐の頂部平面は同一面上に形成されており、この平面に拡散剤入りシート201が貼り合わされている。隣接する単位レンズ202、202との間の空隙は透明低屈折率層204を介してレンズ間部分209に光吸収粒子205が添加された樹脂材料208が充填されている。図26及び図27のいずれに示されている光拡散シートの構成によっても本発明による効果を得ることができる。
【0188】
図28は、第九実施形態の光拡散シートS4において、単位レンズ202の出光面(断面形状台形の上底に相当する部分)が観者側に凸に形成されている例を示す図である。このような構成をとることにより製造工程において、先に単位レンズ202の部分を形成して、その後レンズ間部分209に光吸収粒子205を添加した材料208を充填する工程をとる場合、充填後にブレードにて出光面に残った光吸収粒子205を完全に取り去ることができる。
【0189】
図29は、エンボス部Eの断面形状の例を示すものである。これらの図からも明らかなようにエンボス部Eの断面形状は、三角形(図29(a)のE1参照)でもよく、楕円形の一部(図29(b)のE2参照)であってもよく、また多角形の一部(図29(c)のE3参照)であってもよい。さらに図29(d)に示されるように、各エンボス部E4の断面形状は台形で、それぞれのエンボス部が離れて形成されていてもよい。
【0190】
次に図30及び図31を参照しつつ第八及び第九実施形態の光拡散シートの製造方法について説明する。図30は第八実施形態の光拡散シートS3、図31は第九実施形態の光拡散シートS4の製造方法をそれぞれ示すものである。
【0191】
この製造方法に使用される製造装置は、型ロール210と、エンボスロール220と、ベースフィルム供給ロール216と、補助ロール群219、222、224と、電離放射線硬化型樹脂を供給するフィーダー212、215、221と、電離放射線照射機214、218、223とを備えている。さらに第八実施形態にかかる製造装置は透明低屈折率層を形成する物質の蒸着装置225を備えている。
【0192】
図30の第八実施形態にかかる光拡散シートS3の製造装置において、所定の速度で回転する型ロール210の表面にはレンズ間部分207を構成する断面形状三角形の部分に対応する雌型が彫られている。黒色粒子(光吸収粒子)が添加され、所定温度に加温された低屈折率樹脂が樹脂フィーダー212から型ロール210上に供給され、三角形の凹部に充填される。余剰の樹脂をドクターブレード213にて掻き落とした後、電離放射線照射機214にて電離放射線をロール表面に照射して、黒色粒子入り低屈折率樹脂を硬化させる。次いでフィーダー215から透明樹脂をロール幅のほぼ全長にわたって供給し型ロール210の表面に透明樹脂層を形成する。さらにその上面にベースフィルム217を、供給ロール216から巻き出して形成したのち、再び電離放射線照射機218にて電離放射線を照射して、透明樹脂を硬化させる。そして補助ロール219により折り返してエンボスロール220へと供給する。この折り返しの工程により、型ロール210の表面凹部に形成されていた断面形状三角形の黒色粒子入り低屈折率部は、ロール表面から剥離される。この時点では、E点拡大図で示されるように、ベースフィルム上に透明樹脂層が形成され、さらに透明樹脂層の上面に黒色粒子入り低屈折率樹脂が断面三角形に形成されている。
【0193】
エンボスロール220側では、あらかじめエンボスのメス型が形成されたロール表面に単位レンズを構成する高屈折率樹脂がフィーダー221から供給されて、硬化前のやわらかい状態で高屈折率樹脂層が形成されている。この高屈折率樹脂層と型ロール210から供給されてきた中間製品とがエンボスロール220と補助ロール222とにより圧着される。柔らかな高屈折率樹脂は圧着されることにより透明低屈折率層が形成する断面形状台形の谷間に隙間なく入り込む。さらにエンボスロール220の表面に電離放射線照射機223にて電離放射線を照射して、高屈折率樹脂を硬化させる。そして補助ロール224により反対方向に折り返して、硬化した高屈折率樹脂をエンボスロール220から剥離する。この時点では、G点拡大図に示されるように、断面形状三角形の透明低屈折率層の上面に断面形状が台形の高屈折率樹脂層にて形成された単位レンズ群が形成されている。また単位レンズの上面にはエンボス部が形成されている。その後このシートは巻き取り機へと送られロール状に巻き取られる。
【0194】
図31の第九実施形態にかかる光拡散シートS4の製造装置においては、樹脂フィーダー212から供給されるのは黒色粒子が混入された透明高屈折率樹脂(単位レンズ部と同程度の屈折率)である。またこの製造工程においてはE点通過後のライン状に蒸着装置225が設けられている。蒸着装置225においては、黒色粒子入り透明高屈折率樹脂の上方から、透明低屈折率物質を蒸着して、透明低屈折率層204を形成する(F点拡大図参照)。その他の構成は図30に示されている光拡散シートS3の製造装置と同様である。
【0195】
【実施例4】
単位レンズを構成する高屈折率部202(台形部分)の材料としてエポキシアクリレート、レンズ間部分207の透明低屈折率樹脂としてウレタンアクリレート、光吸収粒子として、大日精化工業(株)製「ラブコロール」(登録商標)を使用した。
「ラブコロール」の平均粒径は8μmで、添加量を41質量%とした。
【0196】
高屈折率部202の屈折率は1.55、レンズ間部分207の屈折率は1.48であった。このように構成したシートの入光側にフレネルレンズシートを、観察者側には拡散板を配置した。拡散板は、アクリル製三層構造で、中間層に拡散剤を混入したものを使用した。高屈折率部202のレンズピッチは50μmとした。また、高屈折率部202の台形部分の上底長さと、低屈折率部の三角形底辺の長さを等しくなるようにし、いわゆるブラックストライプ率が50%となるようにした。さらに頂角θを10°に、エンボス部Eのピッチ6μm、断面形状を頂角160°の二等辺三角形に設定した(図29(a)参照)。
【0197】
このように構成した光拡散シートは、透過率が85%、反射率が5%、ゲインが4であった。また、垂直視野角(半値角:ある方向から観視したときの輝度が正面から観視したときの半分になる角度)は12゜、水平視野角(半値角)は30゜であった。
【0198】
また、エンボス部Eによって映像光は約5°の拡散角となり、シート内部では、約3°の角度となった。スクリーンに垂直に入射した外光のうち、エンボス部映像光源側内面での反射光は、約20度の角度を持って反射され、ブラックストライプ部に到達して吸収された。
【0199】
【実施例5】
単位レンズを構成する高屈折率部202(台形部分)の材料としてエポキシアクリレート、レンズ間部分207の透明低屈折率樹脂としてウレタンアクリレート、光吸収粒子として、大日精化工業(株)製「ラブコロール」(登録商標)を使用した。
「ラブコロール」の平均粒径は5μmで、添加量を41質量%とした。
【0200】
高屈折率部202の屈折率は1.55、レンズ間部分207の屈折率は1.48であった。このように構成したシートの入光側にフレネルレンズシートを、観察者側には拡散板を配置した。拡散板は、アクリル製単層構造で、拡散剤を混入したものを使用した。高屈折率部のレンズピッチは60μmとした。また、高屈折率部202の台形部分の上底長さと、低屈折率部の三角形底辺の長さをブラックストライプ率が45%となるように調製した。さらにレンズ間部分207の斜辺が出光面法線となす角度を観察者側で10°、映像光源側で8°に設定した。また、エンボス部Eは、底角10°の等脚台形断面形状とし(図29(d)参照)、ピッチ7μm、頂部は1μm長さの平坦部とした。
【0201】
このように構成した光拡散シートは、透過率が83%、反射率が5.2%、ゲインが4.5であった。また、垂直視野角(半値角)は12゜、水平視野角(半値角)は25゜であった。
【0202】
【比較例1】
実施例4の光拡散シートで、エンボス部Eを省略して評価した。このように構成した光拡散シートは、透過率が84%、反射率が7.5%、ゲインが2.7であった。また、垂直視野角(半値角)は15゜、水平視野角(半値角)は30゜であった。
【0203】
以上の結果から、エンボス部Eがない場合には、拡散剤入りシート201の拡散量を多くとるように構成しないと、水平拡散の特性が維持できないことが判明した。
【0204】
図32は、本発明にかかる二次元視野拡大部材を備えた表示装置の構成を示している。図32において、紙面手前左下方向が観察者側であり、紙面奥側右上方向を映像光源側とする。本発明の表示装置は、観察者側から順に、反射防止、ハードコート、偏光フィルター、帯電防止、防眩処理、防汚処理、タッチセンサのうち少なくとも一つの機能を備えた機能性シート301と、単位レンズが垂直方向に配列された光拡散シート302と、単位レンズが水平方向に配列された光拡散シート303と、フレネルレンズ304と、液晶ディスプレーパネル305とを備えている。なお、光拡散シート302と、光拡散シート303の配置を入れ替えてもよい。図32においてはこれらが互いに離れて表されているが、これは図面の理解のためであり、実際にはこれらは互いに接するか、または接着されている。
【0205】
また本発明において、「二次元視野角拡大部材」とは、2枚の光拡散シート302、303の組み合わせを構成の中核とするが、図32にあるように、これらの出光側に機能性シート301や、入光側にフレネルレンズ304などが配置されている場合には、これら機能性シート301やフレネルレンズ304をも含む概念である。
【0206】
【発明の効果】
以上に説明したように、背面投射型プロジェクションディスプレイ装置のスクリーンに用いられ、プリズム面とレンチキュラーレンズ面を備えたシート又はフィルムであって、プリズム面とレンチキュラーレンズ面は表裏一体に形成され、プリズム面はディスプレイ装置の映像光源側の少なくとも一部に全反射リニアフレネルレンズとして形成されており、レンチキュラーレンズ面はリニアフレネルレンズの観察者側に断面形状が台形に形成されていることを特徴とするプロジェクションスクリーン用シートによれば、従来レンズが二枚構成のスクリーンを1枚とすることができるので、製造工程数が減少して従来と比べて大幅に生産性を向上してコストダウンに資することができる。また二枚のレンズ構成と比較した場合、透過率の観点からも有利である。さらに、レンズの形状がリニアフレネルレンズと断面形状が台形のレンチキュラーレンズなので、ライン上での連続成形が可能となり、この観点からも生産性を大幅に向上することができる。
【0207】
また、レンチキュラーレンズの台形の斜面角度を、映像光の水平方向光軸が補正されるように、幅方向に異なって形成すれば、水平方向の光軸補正が正確に行なわれるので、観察者に良好な画像を提供することができる。
【0208】
また、台形斜面の観察者側に、台形を構成する物質の屈折率よりも低い屈折率を有する物質が配置されているように構成すると、レンチキュラーレンズ内を観察者方向に向かう光は、台形斜面においては大半が反射される。これによって、水平方向の光拡散性を得ることができ、水平方向に大きな視野角度を確保することが可能となる。
【0209】
さらに低い屈折率を有する物質は着色されているように構成した場合には、たとえ台形斜面で反射されず透過した光があった場合でも、着色された低屈折物質の内部にて吸収することができる。
【0210】
また、台形斜面の観察者側に台形を構成する物質の屈折率よりも低い屈折率物質の層を形成すれば、低屈折物質の量を軽減でき、スクリーンの軽量化をはかることができる。また、低屈折物質の層の上にさらに第3の層を形成して、所望する機能を付与することができる。
【0211】
また、低屈折率物質の層のさらに観察者側に、光吸収部を設ければ、たとえ台形斜面で反射されず透過した光があった場合でも、光吸収部にて吸収することができ、低屈折物質を着色するのと同様の効果を得ることができる。
【0212】
さらに、前記台形斜面の観察者側に金属の反射層を形成すれば、台形斜面の観察者側に配置される物質の屈折率にかかわらずレンチキュラーレンズの内部から台形斜面を透過しようとする光をほぼ完全に反射することができる。
【0213】
また、プロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの観察者側にさらに拡散層を設けたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムとして構成すれば、スクリーンの水平方向と垂直方向の拡散性が補われ、画像の均一性を高めることができる。
【0214】
上記諸態様のプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの観察者側にさらに拡散シートを設けたプロジェクションスクリーンよれば、上記諸態様の効果を備えたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムをプロジェクションスクリーンに使用することができる。また拡散シートによりスクリーンの水平方向と垂直方向の拡散性が補われ、画像の均一性をさらに高めることができる。
【0215】
また観察者側にAR、HC、AS、AG、防汚、センサのうち、少なくとも一の機能を備えるように構成した場合には、プロジェクションスクリーンに第3の機能を持たせることができ、需要者にとって魅力ある製品とすることができる。
【0216】
上記のプロジェクションスクリーンを備えたプロジェクションディスプレイ装置にすれば、上記効果を備えたプロジェクションスクリーンをプロジェクションディスプレイ装置に適用することができる。
【0217】
さらに、ベースシートの一面側長手方向にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、ベースシートの他の一面側に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、を備えたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの生産方法、及び、ベースシートの一面側長手方向にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、ベースシートの他の一面側に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、連続形成されたレンチキュラーレンズ面に拡散シートを貼りつけるステップと、を備えたプロジェクションスクリーンの生産方法によれば、プロジェクションスクリーン用シート又はフィルム、及びプロジェクションスクリーンを連続生産ラインにより製造することができるので、生産性が飛躍的に向上するとともに、大幅な製造コストの削減を図ることができる。
【0218】
また、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルムによれば、出光面法線に平行な入射光は、斜辺の透明低屈折率層表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、出光面法線に対して最大10°の傾きをもって入射し、単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層表面にて反射された光は、隣接する単位レンズ断面が形成する台形斜辺の透明低屈折率層にいたることなくの出光面から観察者側に出光される。また、本発明では、断面形状三角形の部分全体を光吸収性の材料とはせず、透明材料に光吸収粒子を分散させる構成をとったので、斜辺部での全反射が効率よく行われる。したがって輝度とコントラストが高く、迷光の少ない光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0219】
また、単位レンズを板状又は膜状の透明基材上に形成した場合には、ロール状の型を使用して、配列された単位レンズを連続的に生産することができる。
【0220】
また、観察者側に拡散剤を混入したシートを張り合わせた場合には、観察者側の面を平面とすることができるので、表面への加工が容易になる。また、拡散剤の光学的作用により、出光側のゲインを均一にならすことができる。
【0221】
また、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、単位レンズはその断面形状が略台形であり台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、隣接する単位レンズの間の断面形状三角形の部分にはN1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、台形の上底の長さをT、高さをH、台形斜辺が出光部の法線となす角度をθとした場合、
sin(90°−θ)>N2/N1
N1<1/sin2θ
0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
なる関係を有し、入光部の面はエンボス加工が施されていることを特徴とする光拡散シート又はフィルムによれば、入光部の面はエンボス加工が施されているので、シート出光部側から入射した外光のうち、シート入光面まで達して反射される光は拡散されて、斜辺部へ大きな角度をもって入射するので、斜辺部にて全反射されることなく断面形状三角形の部分に入光し、光吸収粒子により吸収される。したがって光拡散シート又はフィルムのコントラストを向上させることができる。さらに、光拡散シート又はフィルム内にて出光面法線に平行な入射光は断面形状台形斜辺の表面にて全反射され、出光面においては反射を起こすことなく観察者側に出光される。また、シート内の迷光や観察者側から入射した光は光吸収粒子又は着色された材料により吸収される。したがって輝度とコントラストが高い光拡散シート又はフィルムを得ることができる。
【0222】
また、エンボス加工が施された部分の斜面が入光面とのなす角のθと同方向の成分をφ、エンボス部を形成する材料の屈折率をN3とするとき、
sin(90°−(sin (N3* sin(2φ)/N1)+θ))<N2/N1
なる関係を満たすエンボス加工が施された部分の面積が、入光面全体の面積の20%以上であるように構成した場合、上記不等式を満たす条件のもとでは、出光側から出光面に対して垂直に入射した外光は、エンボス面にて反射され、光吸収粒子に吸収される。したがってこのような条件を満たすエンボス面を入光面全体の20%以上設けることにより、コントラストの高い光拡散シート又はフィルムを構成することができる。
【0223】
また、入光面に施されたエンボス形状により、20°以上拡散される光の成分が20%以下であることとした場合には、光拡散シート又はフィルムに入光した映像光の多くが、レンズ間部分の光吸収粒子に吸収されることなく観察者側に達することができる。したがって、透過率の高い光拡散粒子を実現することができる。
【0224】
また、さらに上記において、
sin(90°−(sin (N3/N1)* sin(φ−sin (sinφ/N3)))+θ))<N2/N1
なる関係を満たす条件下においては入光面に垂直に入射した映像光が光吸収粒子に吸収される。したがって、このような条件を満たすエンボス加工が施された部分の面積が、入光面全体の面積の20%以下にコントロールすることにより、透過率の高い光拡散シート又はフィルムを提供することができる。 また、単位レンズを板状又は膜状の透明基材上に形成した場合には、ロール状の型を使用して、配列された単位レンズを連続的に生産することができる。
【0225】
また、観察者側に拡散剤を混入したシートを張り合わせた場合には、観察者側の面を平面とすることができるので、表面への加工が容易になる。また、拡散剤の光学的作用により、出光側のゲインを均一にならすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプロジェクションスクリーンの基本構成を示す図である。
【図2】第一実施形態にかかるプロジェクションスクリーンの水平断面を示す図である。
【図3】第二実施形態にかかるプロジェクションスクリーンの水平断面を示す図である。
【図4】第三実施形態にかかるプロジェクションスクリーンの水平断面を示す図である。
【図5】第四実施形態にかかるプロジェクションスクリーンの水平断面を示す図である。
【図6】第五実施形態にかかるプロジェクションスクリーンの水平断面を示す図である。
【図7】図5に示された第四実施形態にかかるプロジェクションスクリーンにおける光路を示す図である。
【図8】本発明にかかるプロジェクションスクリーンの製造工程を示す図である。
【図9】実施例における映像光源からの映像をプロジェクションスクリーン上に投射する状態を説明する図である。
【図10】一般的なプロジェクションスクリーンを説明する図である。
【図11】第六実施形態の光拡散シートの断面を示す図である。
【図12】第七実施形態の光拡散シートの断面を示す図である。
【図13】光拡散シートに垂直光が入射した場合の光路を示す図である。
【図14】光拡散性シートに10°の傾きを持った光が入射した場合の光路を示す図である。
【図15】光拡散性シートに10°の傾きを持った光が、低屈折率部がなす三角形の頂点付近に入射した場合の光路を示す図である。
【図16】低屈折率部の形状の諸態様を示す図である。
【図17】光拡散シートの構成の一例を示す図である。
【図18】光拡散シートの構成の、他の一例を示す図である。
【図19】第七実施形態の光拡散シートの、一変形例の断面を示す図である。
【図20】第六実施形態の光拡散シートの、製造方法の一例を示す図である。
【図21】第七実施形態の光拡散シートの、製造方法の一例を示す図である。
【図22】第八実施形態の光拡散シートの断面を示す図である。
【図23】第九実施形態の光拡散シートの断面を示す図である。
【図24】出光面側から垂直に入射した光がエンボス部で反射され、さらにレンズ間部分に達して吸収される条件を示す図である。
【図25】入光面側から垂直に入射した映像光が、レンズ間部分において吸収される条件を示す図である。
【図26】光拡散シートの構成の一例を示す図である。
【図27】光拡散シートの構成の、他の一例を示す図である。
【図28】第九実施形態の光拡散シートの、一変形例の断面を示す図である。
【図29】エンボス部の断面形状の例を示す図である。
【図30】第八実施形態の光拡散シートの、製造方法の一例を示す図である。
【図31】第九実施形態の光拡散シートの、製造方法の一例を示す図である。
【図32】二次元視野角拡大部材の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 プロジェクションスクリーン
2 リニアフレネルレンズ
3 レンチキュラーレンズ(高屈折率部)
4 ベースシート
5 拡散シート
6 低屈折率物質(低屈折率部)
10 光吸収層
11 光吸収部
12 金属反射層
S1 光拡散シート
S2 光拡散シート
101 拡散剤入りシート
103 ベースシート(透明基材)
104 透明低屈折率層
105 光吸収粒子
106 低屈折率樹脂
107 レンズ間部分
108 高屈折率樹脂
109 レンズ間部分
S3 光拡散シート
S4 光拡散シート
201 拡散剤入りシート
203 ベースシート(透明基材)
204 透明低屈折率層
205 光吸収粒子
206 低屈折率樹脂
207 レンズ間部分
208 高屈折率樹脂
209 レンズ間部分

Claims (58)

  1. 背面投射型プロジェクションディスプレイ装置のスクリーンに用いられ、プリズム面とレンチキュラーレンズ面を備えたシート又はフィルムであって、
    前記プリズム面と前記レンチキュラーレンズ面は表裏一体に形成され、
    前記プリズム面は前記ディスプレイ装置の映像源側の少なくとも一部に全反射リニアフレネルレンズとして形成されており、
    前記レンチキュラーレンズ面は、前記リニアフレネルレンズの観察者側に、断面形状が台形に形成されている、
    ことを特徴とするプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  2. 前記レンチキュラーレンズの、前記台形の斜面角度は、映像光の水平方向光軸が補正されるように、幅方向に異なって形成されていることを特徴とする請求項1に記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  3. 前記台形斜面の観察者側に、前記台形を構成する物質の屈折率よりも低い屈折率を有する物質が配置されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  4. 前記低い屈折率を有する物質は着色されていることを特徴とする請求項3に記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  5. 前記低い屈折率を有する物質は、染料、顔料、又は光吸収粒子を添加することにより着色されていることを特徴とする請求項3に記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  6. 前記台形斜面の観察者側に、前記台形を構成する物質の屈折率よりも低屈折率物質の層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  7. 前記低屈折率物質の層のさらに観察者側に、光吸収部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  8. 前記台形斜面の観察者側に、金属の反射層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかのプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの前記観察者側にさらに拡散層を設けたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかのプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの前記観察者側にさらに拡散シートを設けたプロジェクションスクリーン。
  11. 観察者側にAR、HC、AS、AG、防汚、センサのうち、少なくとも一の機能が備えられたことを特徴とする請求項10に記載されたプロジェクションスクリーン。
  12. 請求項10又は11のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーンを備えたプロジェクションディスプレイ装置。
  13. ベースシートの一面側長手方向にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、
    前記ベースシートの他の一面側に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、
    を備えたプロジェクションスクリーン用シート又はフィルムの生産方法。
  14. ベースシートの一面側にリニアフレネルレンズを連続形成するステップと、
    前記ベースシートの他の一面側長手方向に断面形状台形のレンチキュラーレンズを連続形成するステップと、
    前記連続形成されたレンチキュラーレンズ面に拡散シートを貼りつけるステップと、
    を備えたプロジェクションスクリーンの生産方法。
  15. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    かつ
    N1<1/sin2θ
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  16. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  17. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    N1<1/sin2θ
    かつ
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  18. 前記所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
    1<N1<5.76
    0.23<N2/N1<0.996
    かつ
    H<T/0.57
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項17に記載された光拡散シート又はフィルム。
  19. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    前記台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    かつ
    N1<1/sin2θ
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  20. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、前記台形斜辺の部分には前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、前記透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  21. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    前記台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    N1<1/sin2θ
    かつ
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有することを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  22. 前記所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
    1<N1<5.76
    0.23<N2/N1<0.996
    かつ
    H<T/0.57
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項21に記載された光拡散シート又はフィルム。
  23. 前記透明低屈折率層の層厚は、0.1μm以上であることを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  24. 前記断面形状三角形の部分を形成する材料に添加される光吸収粒子の添加量は、10〜60質量%であることを特徴とする請求項15〜23のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  25. 前記光吸収粒子の平均粒径は、前記断面形状台形の上底を形成する出光部の高さ又は溝の開口幅の1/30〜2/3であることを特徴とする請求項15〜24のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  26. 前記出光部は観察者側に凸に形成されていることを特徴とする請求項15〜25のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  27. 前記単位レンズは板状又は膜状の透明基材上に形成されていることを特徴とする請求項15〜26のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  28. 観察者側には拡散剤を混入したシートが張り合わされていることを特徴とする請求項15〜27のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  29. 前記拡散剤を混入したシートのさらに観察者側に反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層のうち少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項28に記載された光拡散シート又はフィルム。
  30. 液晶ディスプレイの観察者側に帖合して用いるとともに、複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分は、N1より低い屈折率N2を有する材料で形成され、又は、前記台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成されるとともに隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分は、N2より高い屈折率を有する材料により形成されていて、
    前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    かつ
    N1<1/sin2θ
    なる関係を有し、
    かつ観察者側に反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層のうち少なくとも一つが設けられていることを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  31. 前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には光吸収粒子が添加されている請求項30に記載された光拡散シート又はフィルム。
  32. 請求項15〜31のいずれかの光拡散シート又はフィルムの映像光源側にフレネルレンズが配置されたプロジェクションスクリーン。
  33. 請求項32のフレネルレンズが光拡散シート又はフィルムの裏面に形成されており、このレンズが屈折フレネル、全反射フレネル、又は両者の組み合わせにより構成されていることを特徴とするプロジェクションスクリーン。
  34. 前記フレネルレンズがリニアフレネルレンズであることを特徴とする請求項32又は33のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーン。
  35. 前記複数の単位レンズの断面形状台形の斜辺は、上下方向に伸びて形成されていることを特徴とする請求項32〜34のいずれかに記載されたプロジェクションスクリーン。
  36. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又はN1より低い屈折率N2を有し着色された材料、により形成されていて、
    前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    かつ
    N1<1/sin2θ
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  37. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有し着色された材料、により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  38. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N1より低い屈折率N2を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又はN1より低い屈折率N2を有し着色された材料、により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    N1<1/sin2θ
    かつ
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  39. 前記所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
    1<N1<5.76
    0.23<N2/N1<0.996
    かつ
    H<T/0.57
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項38に記載された光拡散シート又はフィルム。
  40. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    前記台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、N2より高い屈折率を有し着色された材料により形成されていて、
    前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθとした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    かつ
    N1<1/sin2θ
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  41. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、前記台形斜辺の部分には前記単位レンズの屈折率より低い屈折率を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、前記透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は前記透明低屈折率層の屈折率より高い屈折率を有し着色された材料、により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  42. 複数の単位レンズを一次元又は二次元方向に形成した光拡散シート又はフィルムであって、
    前記単位レンズはその断面形状が略台形であり、前記台形の下底を入光部、上底を出光部とするとともに、所定の屈折率N1を有する材料にて形成されており、
    前記台形斜辺の部分にはN1より低い屈折率N2を有する透明低屈折率層が形成され、
    隣接する前記単位レンズの間の断面形状三角形の部分には、N2より高い屈折率を有するとともに光吸収粒子が添加された材料、又は、N2より高い屈折率を有するとともに着色された材料、により形成されていて、
    前記台形の上底の長さをT、高さをH、前記台形斜辺が前記出光部の法線となす角度をθ、とした場合、
    sin(90°−θ)>N2/N1
    N1<1/sin2θ
    かつ
    0<H<T/(tan(2θ+10°)−tanθ)
    なる関係を有し、
    前記入光部の面はエンボス加工が施されている、
    ことを特徴とする光拡散シート又はフィルム。
  43. 前記所定の屈折率N1及びN2、並びに台形の上底の長さT及び高さHが、
    1<N1<5.76
    0.23<N2/N1<0.996
    かつ
    H<T/0.57
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項42に記載された光拡散シート又はフィルム。
  44. 前記透明低屈折率層の層厚は、0.1μm以上であることを特徴とする請求項40〜43のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  45. 前記断面形状三角形の部分を形成する材料に添加される光吸収粒子の添加量は、10〜60質量%であることを特徴とする請求項36〜44のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  46. 前記光吸収粒子の平均粒径は、前記断面形状台形の上底を形成する出光部の高さ又は溝の開口幅の1/30〜2/3であることを特徴とする請求項36〜45のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  47. 前記出光部は観察者側に凸に形成されていることを特徴とする請求項36〜46のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  48. 前記単位レンズは板状又は膜状の透明基材上に形成されていることを特徴とする請求項36〜47のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  49. 観察者側には拡散剤を混入したシートが張り合わされていることを特徴とする請求項36〜48のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  50. 前記拡散剤を混入したシートのさらに観察者側に反射防止層、ハードコート層、偏光フィルター層、帯電防止層、防眩処理層、防汚処理層、タッチセンサ層のうち少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項49に記載された光拡散シート又はフィルム。
  51. 前記エンボス加工が施された入光面の、前記出光面に直交する面による断面形状は楕円の切片又は/及び多角形の切片形状であることを特徴とする請求項36〜50のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  52. 前記入光面に施されたエンボス形状により、3°以上拡散される光の成分が20%以上であることを特徴とする請求項51に記載された光拡散シート又はフィルム。
  53. 前記エンボス加工が施された部分の斜面が前記入光面とのなす角の前記θと同方向の成分をφ、前記エンボス部を形成する材料の屈折率をN3とするとき、
    sin(90°−(sin (N3* sin(2φ)/N1)+θ))<N2/N1
    なる関係を満たす前記エンボス加工が施された部分の面積が、前記入光面全体の面積の20%以上であることを特徴とする請求項36、38〜40、42〜52のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  54. 前記入光面に施されたエンボス形状により、20°以上拡散される光の成分が20%以下であることを特徴とする請求項51〜53のいずれか47に記載された光拡散シート又はフィルム。
  55. sin(90°−(sin (N3/N1)* sin(φ−sin (sinφ/N3)))+θ))<N2/N1
    なる関係を満たす前記エンボス加工が施された部分の面積が、前記入光面全体の面積の20%以下であることを特徴とする請求項53又は54のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  56. 前記エンボス加工のピッチは、前記出光面側単位レンズピッチの1/15〜1/1.5であることを特徴とする請求項36〜55のいずれかに記載された光拡散シート又はフィルム。
  57. 請求項36〜56のいずれかの光拡散シート又はフィルムの映像光源側にフレネルレンズが配置されたプロジェクションスクリーン。
  58. 前記複数の単位レンズの断面形状台形の斜辺は、上下方向に伸びて形成されていることを特徴とする請求項57のプロジェクションスクリーン。
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