JP2004001666A - ゴムクローラ及びその芯金 - Google Patents
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Abstract
【課題】装軌車両の後進旋回時などにゴムクローラがアイドラーから脱輪を起こすが、芯金に設けたレールの形状を変更し、アイドラーの鍔部が芯金のレール面への乗り上げを回避し、振動の少ないゴムクローラ用芯金を提供する。
【解決手段】スプロケットとの係合部と、この左右に備えられた翼部と、係合部を挟んで設けられた一対のレールと、からなり、アイドラーの中央鍔部がレール間に嵌り、アイドラーの輪体がレール上を転動するゴムクローラ用芯金であって、レールAは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールBは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】スプロケットとの係合部と、この左右に備えられた翼部と、係合部を挟んで設けられた一対のレールと、からなり、アイドラーの中央鍔部がレール間に嵌り、アイドラーの輪体がレール上を転動するゴムクローラ用芯金であって、レールAは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールBは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械や土木作業等の各種装軌車両の走行部に用いられるゴムクローラ及びこれに用いられる芯金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記装軌車両の走行部に用いられるゴムクローラの代表例はゴムクローラを構成する無端状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の長手方向に一定のピッチをもって埋設した芯金と、これらの芯金の外側を取り巻くように長手方向に沿って埋設した抗張体としての金属線とによって構成されている。
【0003】
前記芯金は、中央部にスプロケットとの噛み合い係合部、前記噛み合い係合部の左右に翼部を形成し、この翼部がゴム弾性体中に埋設されるものであって、噛み合い係合部を挟んで両端に設けられた一対のレールの上面をアイドラーが転動することになる。前記ゴム弾性体の外周面には所定のパターンによるラグが形成されている。また、ゴム弾性体の幅方向中央部の、隣合う芯金間にはスプロケットとの噛み合い係合穴が設けられている。
【0004】
上記構造の芯金を埋設したゴムクローラを装着した装軌車両が走行中にステアリング操作を行ったとき、或いは傾斜面を走行するとき、アイドラーよりゴムクローラが外れる(脱輪)ことがある。この現象はゴムクローラにいわゆる横方向の力が加わった時に主として起きるものである。即ち、ゴムクローラの長手方向に力が加わった場合には長手方向に沿って埋設した金属線によって抗張力をもたらすが、横方向における力に体してはそれほど抵抗がなく、芯金がそれぞればらばらな動きとなってしまい、隣り合う芯金のレールが左右幅方向で大きくずれてしまう。したがって、この上を転動するアイドラーや転輪が次々とレール上を転輪することができず脱輪の発生を見る。例えば、アイドラーの鍔部がレール上に乗り上げ、この鍔部がレールの右又は左の外側に転がり落ちることにより脱輪の発生を見ることとなる。
【0005】
従来の技術では、更に、この芯金の横ずれに対処するためにゴム部材にバイアスコードを埋設したり、ゴムクローラの長手方向に突出する突起を芯金に設けてストッパーとしているが、基本的な解決策とはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、装軌車両の後進旋回時などにゴムクローラがアイドラー脱輪する原因が、主として芯金に設けたレールの形状によるものであることに着目してなされたもので、アイドラーの鍔部が芯金のレール面への乗り上げを回避することができ、オペレーターに対して振動の少ないゴムクローラ用芯金を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。すなわち、第1発明はゴムクローラに関するものであり、無端状のゴム部材と、このゴム部材の長手方向に一定のピッチをもって翼部が埋設された芯金と、隣り合う芯金の中央部間にスプロケットとの噛み合い係合穴が形成され、芯金の翼部の外側を取り巻くように長手方向に沿って埋設した抗張体によって構成され、更に、芯金の翼部よりゴムクローラの内周側に一対となって突出するレールA、Bと、外周面にラグを形成したゴムクローラであって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、この上面は前端側に向けて徐々に背丈を低くしてあり、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に、かつ上面の背丈をレールAの背丈と一致させたことを特徴とするもので、好ましくは、開脚傾斜部は隣り合う芯金の開脚傾斜部の後端を内包する状態にまで開脚されたゴムクローラである。
【0008】
そして、第2発明は、ゴムクローラ用芯金に関するものであり、中央部のスプロケットとの噛み合い係合部と、この噛み合い係合部の左右に備えられた翼部と、噛み合い係合部を挟んで両端に設けられた一対のレールと、からなり、アイドラーの中央鍔部が前記一対のレール間に嵌り、アイドラーの左右の輪体がレール上を転動するゴムクローラ用芯金であって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に形成したことを特徴とするもので、好ましくは、開脚傾斜部のアイドラーとの対向する傾斜面をアイドラーに向かって膨曲傾斜面とし、かかる開脚傾斜部の上面は中央部より先端部に向けて徐々に背丈を低くしたゴムクローラ用芯金である。
【0009】
【発明の実施の形態】
ここで、従来のゴムクローラの挙動について更に説明すると、通常はゴム中に埋設された芯金から突出する一対のレールは左右にずらされて備えられ、アイドラーの侵入方向に対して長尺の先端と、アイドラーの侵入方向に対して単尺の先端とをもつ一対のレールとなっている。従って、ゴムクローラに横方向の外力が加わった場合には、アイドラーの鍔部は単尺の先端上に乗り上げやすくなり、ここに脱輪の発生を見ることになる。
【0010】
さて、以下、第1発明を中心に説明するが、用いられるアイドラーは中央に鍔部がそして左右に輪体部を備えた形状のものであって、鍔部がレールA、B間に嵌り、左右の輪体部がレールA、B上を転動してなるものである。しかるに、レールA、Bが両方ともほぼ平行な状態のものである場合には、アイドラーが相対的に左右にずれた際には鍔部がレールA又はB上に乗り上げることになり、ここに脱輪現象を見ることになる。従来のものにおけるレールにおいて、その側面をやや斜めにしたものはあるが、アイドラーの鍔部の左右のずれの許容はそれほど大きくなく、脱輪現象をそれほど減少する機能は奏しなかった。
【0011】
しかるに、本発明のレールにあっては、状態でアイドラーが転動してくる側のレールの少なくとも一方(本発明ではレールBとした)の先端側を大きく開脚し、傾斜部としたものであって、特に当該レールの後端側を内包するように開脚したものである。このため、アイドラーの相対的ずれが比較的大きくても鍔部が開脚傾斜面に接触して正規の位置に矯正されることになる。尚、このレールBの先端側(開脚側)は先端になるにつれて徐々に背丈を低くしておくものであり、これによってずれが生じていたアイドラーの輪体がレールB上に徐々に接触するようになり、振動の発生は低減できることとなったものである。
【0012】
尚、振動の発生を抑えるためにはアイドラーの輪体が少なくとも一方のレール上にあることが好ましく、このため、通常はレールの一方(本発明ではレールAとした)がほぼ直線状をなし、かつその上面はほぼ平坦な形状をなしているのがよい。
【0013】
特に、ずれを生じたアイドラーの鍔部の接触するレールAの面にあっては、スムーズな接触と共に、レールA、B間にこれを導きやすくする必要があり、開脚傾斜部のアイドラーとの対向する傾斜面をアイドラーに向かって膨曲傾斜面としておくのがよい。
【0014】
更に言えば、開脚傾斜部の先端にレールBとほぼ平行な補助突起を形成しておくのがよく、これによってアイドラーの横ずれの防止と、更には隣り合う芯金のレールB側の後端部を挟み込み、芯金のそれ以上の横ずれを阻止する機能を付加することができる。
【0015】
【実施例】
先ず、第2発明の好ましい例を図面をもって更に詳細に説明する。図1は芯金10における内平面図、図2は右側面図、図3は左側面図、図4は前面図、図5は後面図である。符号1は芯金であって、2は中央部のスプロケット(図示せず)との噛み合い係合部、3は噛み合い係合部2の左右に備えられた翼部、A、Bは噛み合い係合部2を挟んで両側に設けられたレールであって、これはゴムクローラ中に埋設された際にはゴムクローラの内周面より突出してなるものである。通常の走行にあってはアイドラー30は矢印の方向から転動してくるものであって、鍔体31がレールA、B間に嵌り、輪体32、33がレールA、B上を転動することになる。
【0016】
レールAについて言えば、翼部3の前後幅よりもやや長く、その上面がほぼ平坦をなし、詳しく言えば、中央部よりも両端部が若干背丈の高い構造となっている。そして、進入したアイドラー30の輪体32が常に接触する構造となっている。そして、アイドラー30に対向する前端側Aaがやや外側に広げられ、アイドラー30の進入を容易とする構造となっている。図例にあっては、後端側Abの内側も若干削られた状態で広がった形状としてあり、アイドラー30の逆進入に備えてある。
【0017】
一方、レールBは翼部3の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラー30が転動してくる前端側Baを平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部4となし、その先端Baはアイドラー30の輪体33よりも外側方に位置し、かつ後端側BbをレールAとほぼ平行に形成したものである。レールBの上面にあっては、開脚傾斜部4側(前端側Ba)は先端になるにつれて徐々に背丈を低くしたもので、一方、後端側BbはレールAと同じ背丈を有する平坦部をなしている。図例にあっては、後端側Bbの内側も若干削られた状態で広がった形状としてあり、アイドラー30の逆進入に備えてある。
【0018】
従って、アイドラー30が左右にずれた状態で進入した場合、この例では左側に相対的にずれた場合にはアイドラー30の鍔部31が開脚傾斜部4に接触し、徐々にその位置を正規の位置に戻す効果をもたらすものである。このため、好ましくは開脚傾斜部4のアイドラー30との対向する傾斜面4を膨曲傾斜面とするのがよい。こうすることによってアイドラー30を比較的無理なく正規の位置に導くことが可能となる。尚、この場合、アイドラー30の輪体32は常にレールA上に乗っており、振動の発生は極力抑えられることになる。この点、両方のレールA、Bを共に開脚することになれば、振動の発生は大きなものとなることが予測される。
【0019】
尚、開脚傾斜部4と後端部Bbとの連結部位(中間部位B0)も湾曲面となし、スムーズなアイドラー30の進入をもたらすのがよい。
【0020】
更に、開脚傾斜部4の先端にはにレールAとほぼ平行な補助突起Bcを形成しておくのがよく、これによってアイドラー30の横ずれの防止と、更には隣り合う芯金のレールB側の後端部Bbを挟み込み、芯金30のそれ以上の横ずれを阻止する機能を付加することができる。
【0021】
次に、第1発明におけるゴムクローラ20の具体例について言及する。図6はゴムクローラの内周側平面図、図7は外周側平面図、図8は右側面図、図9はA−A線断面図、図10はB−B線断面図、図11はC−C線断面図である。芯金1における構造は前記した通りであり省略するが、芯金1はゴムクローラの長手方向に一定のピッチをもって埋設されている。図中、21はゴムクローラ20を構成する無端状のゴム弾性体であり、22は芯金10の翼部3の外側を囲った状態でゴム弾性体21中に埋設されたスチールコードである。又、23は外周側に形成されたゴムラグであり、この例では左右に千鳥状にずらして斜め配置されたものである。そして、ゴムクローラの長手方向の中央部には図示しないスプロケットとの係合に供される係合孔24が芯金1の中央部(スプロケットとの噛み合い係合部)2を挟んで形成されている。
【0022】
さて、ゴムクローラの内周側に突出するレールBにあって、レールBの先端側は隣合う芯金1のレールBの後端側を内包する状態に配置されるものであって、通常はこの両者の左右幅の差だけ芯金1の左右の動きが許容され、アイドラー30の動きも同様ではあるが、アイドラー30の中央に備えられた鍔部31は前方のレールBの後端部Bbよりずれたとしても次に位置する芯金1のレールBの開脚傾斜部4に接触して中央に強制的に戻らされる作用をなし、これによってアイドラー30の姿勢の制御がなされることとなる。
【0023】
そして、図例でも分かるように、アイドラー30の輪体32はほぼレールA上に接して転動することになり、一方、アイドラー30の輪体33はレールBの開脚傾斜部4に接触している場合には、この部位の背丈が低くしてあるために接触の度合いは少ないが中央部に強制的に戻らされた後はこれ又レールB上を接触して転動することとなる。従って、振動の発生は少ないものとなることは言うまでもない。尚、レールA側もレールBの形状と類似にすることは可能ではあるが、振動の面から言うと、さほど有利になるとは言えない。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであり、芯金の左右幅方向のずれによる脱輪の防止が可能となったものであり、更に振動の発生も低減したものであって、技術的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第2発明の芯金の具体例を示す内平面図である。
【図2】図2は図1における右側面図である。
【図3】図3は図1における左側面図である。
【図4】図4は図1における前面図である。
【図5】図5は図1における後面図である。
【図6】図6は第1発明のゴムクローラの内周側平面図である。
【図7】図7は図6における外周側平面図である。
【図8】図8は図6における右側面図である。
【図9】図9はA−A線断面図である。
【図10】図10はB−B線断面図である。
【図11】図11はC−C線断面図である。
【符号の説明】
A、B‥レール、
Aa‥レールAの前端側、
Ab‥レールAの後端側、
Ba‥レールBの前端側、
Bb‥レールBの後端側、
Bc‥レールBの補助突起、
1‥芯金、
2‥芯金の中央部のスプロケットとの噛み合い係合部、
3‥芯金の噛み合い係合部の左右に備えられた翼部、
4‥レールBの開脚傾斜部、
20‥ゴムクローラ、
21‥ゴム弾性体、
22‥スチールコード、
23‥ゴムラグ、
24‥スプロケットとの係合孔、
30‥アイドラー、
31‥鍔体、
32、33‥輪体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械や土木作業等の各種装軌車両の走行部に用いられるゴムクローラ及びこれに用いられる芯金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記装軌車両の走行部に用いられるゴムクローラの代表例はゴムクローラを構成する無端状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の長手方向に一定のピッチをもって埋設した芯金と、これらの芯金の外側を取り巻くように長手方向に沿って埋設した抗張体としての金属線とによって構成されている。
【0003】
前記芯金は、中央部にスプロケットとの噛み合い係合部、前記噛み合い係合部の左右に翼部を形成し、この翼部がゴム弾性体中に埋設されるものであって、噛み合い係合部を挟んで両端に設けられた一対のレールの上面をアイドラーが転動することになる。前記ゴム弾性体の外周面には所定のパターンによるラグが形成されている。また、ゴム弾性体の幅方向中央部の、隣合う芯金間にはスプロケットとの噛み合い係合穴が設けられている。
【0004】
上記構造の芯金を埋設したゴムクローラを装着した装軌車両が走行中にステアリング操作を行ったとき、或いは傾斜面を走行するとき、アイドラーよりゴムクローラが外れる(脱輪)ことがある。この現象はゴムクローラにいわゆる横方向の力が加わった時に主として起きるものである。即ち、ゴムクローラの長手方向に力が加わった場合には長手方向に沿って埋設した金属線によって抗張力をもたらすが、横方向における力に体してはそれほど抵抗がなく、芯金がそれぞればらばらな動きとなってしまい、隣り合う芯金のレールが左右幅方向で大きくずれてしまう。したがって、この上を転動するアイドラーや転輪が次々とレール上を転輪することができず脱輪の発生を見る。例えば、アイドラーの鍔部がレール上に乗り上げ、この鍔部がレールの右又は左の外側に転がり落ちることにより脱輪の発生を見ることとなる。
【0005】
従来の技術では、更に、この芯金の横ずれに対処するためにゴム部材にバイアスコードを埋設したり、ゴムクローラの長手方向に突出する突起を芯金に設けてストッパーとしているが、基本的な解決策とはなっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、装軌車両の後進旋回時などにゴムクローラがアイドラー脱輪する原因が、主として芯金に設けたレールの形状によるものであることに着目してなされたもので、アイドラーの鍔部が芯金のレール面への乗り上げを回避することができ、オペレーターに対して振動の少ないゴムクローラ用芯金を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。すなわち、第1発明はゴムクローラに関するものであり、無端状のゴム部材と、このゴム部材の長手方向に一定のピッチをもって翼部が埋設された芯金と、隣り合う芯金の中央部間にスプロケットとの噛み合い係合穴が形成され、芯金の翼部の外側を取り巻くように長手方向に沿って埋設した抗張体によって構成され、更に、芯金の翼部よりゴムクローラの内周側に一対となって突出するレールA、Bと、外周面にラグを形成したゴムクローラであって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、この上面は前端側に向けて徐々に背丈を低くしてあり、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に、かつ上面の背丈をレールAの背丈と一致させたことを特徴とするもので、好ましくは、開脚傾斜部は隣り合う芯金の開脚傾斜部の後端を内包する状態にまで開脚されたゴムクローラである。
【0008】
そして、第2発明は、ゴムクローラ用芯金に関するものであり、中央部のスプロケットとの噛み合い係合部と、この噛み合い係合部の左右に備えられた翼部と、噛み合い係合部を挟んで両端に設けられた一対のレールと、からなり、アイドラーの中央鍔部が前記一対のレール間に嵌り、アイドラーの左右の輪体がレール上を転動するゴムクローラ用芯金であって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に形成したことを特徴とするもので、好ましくは、開脚傾斜部のアイドラーとの対向する傾斜面をアイドラーに向かって膨曲傾斜面とし、かかる開脚傾斜部の上面は中央部より先端部に向けて徐々に背丈を低くしたゴムクローラ用芯金である。
【0009】
【発明の実施の形態】
ここで、従来のゴムクローラの挙動について更に説明すると、通常はゴム中に埋設された芯金から突出する一対のレールは左右にずらされて備えられ、アイドラーの侵入方向に対して長尺の先端と、アイドラーの侵入方向に対して単尺の先端とをもつ一対のレールとなっている。従って、ゴムクローラに横方向の外力が加わった場合には、アイドラーの鍔部は単尺の先端上に乗り上げやすくなり、ここに脱輪の発生を見ることになる。
【0010】
さて、以下、第1発明を中心に説明するが、用いられるアイドラーは中央に鍔部がそして左右に輪体部を備えた形状のものであって、鍔部がレールA、B間に嵌り、左右の輪体部がレールA、B上を転動してなるものである。しかるに、レールA、Bが両方ともほぼ平行な状態のものである場合には、アイドラーが相対的に左右にずれた際には鍔部がレールA又はB上に乗り上げることになり、ここに脱輪現象を見ることになる。従来のものにおけるレールにおいて、その側面をやや斜めにしたものはあるが、アイドラーの鍔部の左右のずれの許容はそれほど大きくなく、脱輪現象をそれほど減少する機能は奏しなかった。
【0011】
しかるに、本発明のレールにあっては、状態でアイドラーが転動してくる側のレールの少なくとも一方(本発明ではレールBとした)の先端側を大きく開脚し、傾斜部としたものであって、特に当該レールの後端側を内包するように開脚したものである。このため、アイドラーの相対的ずれが比較的大きくても鍔部が開脚傾斜面に接触して正規の位置に矯正されることになる。尚、このレールBの先端側(開脚側)は先端になるにつれて徐々に背丈を低くしておくものであり、これによってずれが生じていたアイドラーの輪体がレールB上に徐々に接触するようになり、振動の発生は低減できることとなったものである。
【0012】
尚、振動の発生を抑えるためにはアイドラーの輪体が少なくとも一方のレール上にあることが好ましく、このため、通常はレールの一方(本発明ではレールAとした)がほぼ直線状をなし、かつその上面はほぼ平坦な形状をなしているのがよい。
【0013】
特に、ずれを生じたアイドラーの鍔部の接触するレールAの面にあっては、スムーズな接触と共に、レールA、B間にこれを導きやすくする必要があり、開脚傾斜部のアイドラーとの対向する傾斜面をアイドラーに向かって膨曲傾斜面としておくのがよい。
【0014】
更に言えば、開脚傾斜部の先端にレールBとほぼ平行な補助突起を形成しておくのがよく、これによってアイドラーの横ずれの防止と、更には隣り合う芯金のレールB側の後端部を挟み込み、芯金のそれ以上の横ずれを阻止する機能を付加することができる。
【0015】
【実施例】
先ず、第2発明の好ましい例を図面をもって更に詳細に説明する。図1は芯金10における内平面図、図2は右側面図、図3は左側面図、図4は前面図、図5は後面図である。符号1は芯金であって、2は中央部のスプロケット(図示せず)との噛み合い係合部、3は噛み合い係合部2の左右に備えられた翼部、A、Bは噛み合い係合部2を挟んで両側に設けられたレールであって、これはゴムクローラ中に埋設された際にはゴムクローラの内周面より突出してなるものである。通常の走行にあってはアイドラー30は矢印の方向から転動してくるものであって、鍔体31がレールA、B間に嵌り、輪体32、33がレールA、B上を転動することになる。
【0016】
レールAについて言えば、翼部3の前後幅よりもやや長く、その上面がほぼ平坦をなし、詳しく言えば、中央部よりも両端部が若干背丈の高い構造となっている。そして、進入したアイドラー30の輪体32が常に接触する構造となっている。そして、アイドラー30に対向する前端側Aaがやや外側に広げられ、アイドラー30の進入を容易とする構造となっている。図例にあっては、後端側Abの内側も若干削られた状態で広がった形状としてあり、アイドラー30の逆進入に備えてある。
【0017】
一方、レールBは翼部3の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラー30が転動してくる前端側Baを平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部4となし、その先端Baはアイドラー30の輪体33よりも外側方に位置し、かつ後端側BbをレールAとほぼ平行に形成したものである。レールBの上面にあっては、開脚傾斜部4側(前端側Ba)は先端になるにつれて徐々に背丈を低くしたもので、一方、後端側BbはレールAと同じ背丈を有する平坦部をなしている。図例にあっては、後端側Bbの内側も若干削られた状態で広がった形状としてあり、アイドラー30の逆進入に備えてある。
【0018】
従って、アイドラー30が左右にずれた状態で進入した場合、この例では左側に相対的にずれた場合にはアイドラー30の鍔部31が開脚傾斜部4に接触し、徐々にその位置を正規の位置に戻す効果をもたらすものである。このため、好ましくは開脚傾斜部4のアイドラー30との対向する傾斜面4を膨曲傾斜面とするのがよい。こうすることによってアイドラー30を比較的無理なく正規の位置に導くことが可能となる。尚、この場合、アイドラー30の輪体32は常にレールA上に乗っており、振動の発生は極力抑えられることになる。この点、両方のレールA、Bを共に開脚することになれば、振動の発生は大きなものとなることが予測される。
【0019】
尚、開脚傾斜部4と後端部Bbとの連結部位(中間部位B0)も湾曲面となし、スムーズなアイドラー30の進入をもたらすのがよい。
【0020】
更に、開脚傾斜部4の先端にはにレールAとほぼ平行な補助突起Bcを形成しておくのがよく、これによってアイドラー30の横ずれの防止と、更には隣り合う芯金のレールB側の後端部Bbを挟み込み、芯金30のそれ以上の横ずれを阻止する機能を付加することができる。
【0021】
次に、第1発明におけるゴムクローラ20の具体例について言及する。図6はゴムクローラの内周側平面図、図7は外周側平面図、図8は右側面図、図9はA−A線断面図、図10はB−B線断面図、図11はC−C線断面図である。芯金1における構造は前記した通りであり省略するが、芯金1はゴムクローラの長手方向に一定のピッチをもって埋設されている。図中、21はゴムクローラ20を構成する無端状のゴム弾性体であり、22は芯金10の翼部3の外側を囲った状態でゴム弾性体21中に埋設されたスチールコードである。又、23は外周側に形成されたゴムラグであり、この例では左右に千鳥状にずらして斜め配置されたものである。そして、ゴムクローラの長手方向の中央部には図示しないスプロケットとの係合に供される係合孔24が芯金1の中央部(スプロケットとの噛み合い係合部)2を挟んで形成されている。
【0022】
さて、ゴムクローラの内周側に突出するレールBにあって、レールBの先端側は隣合う芯金1のレールBの後端側を内包する状態に配置されるものであって、通常はこの両者の左右幅の差だけ芯金1の左右の動きが許容され、アイドラー30の動きも同様ではあるが、アイドラー30の中央に備えられた鍔部31は前方のレールBの後端部Bbよりずれたとしても次に位置する芯金1のレールBの開脚傾斜部4に接触して中央に強制的に戻らされる作用をなし、これによってアイドラー30の姿勢の制御がなされることとなる。
【0023】
そして、図例でも分かるように、アイドラー30の輪体32はほぼレールA上に接して転動することになり、一方、アイドラー30の輪体33はレールBの開脚傾斜部4に接触している場合には、この部位の背丈が低くしてあるために接触の度合いは少ないが中央部に強制的に戻らされた後はこれ又レールB上を接触して転動することとなる。従って、振動の発生は少ないものとなることは言うまでもない。尚、レールA側もレールBの形状と類似にすることは可能ではあるが、振動の面から言うと、さほど有利になるとは言えない。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであり、芯金の左右幅方向のずれによる脱輪の防止が可能となったものであり、更に振動の発生も低減したものであって、技術的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第2発明の芯金の具体例を示す内平面図である。
【図2】図2は図1における右側面図である。
【図3】図3は図1における左側面図である。
【図4】図4は図1における前面図である。
【図5】図5は図1における後面図である。
【図6】図6は第1発明のゴムクローラの内周側平面図である。
【図7】図7は図6における外周側平面図である。
【図8】図8は図6における右側面図である。
【図9】図9はA−A線断面図である。
【図10】図10はB−B線断面図である。
【図11】図11はC−C線断面図である。
【符号の説明】
A、B‥レール、
Aa‥レールAの前端側、
Ab‥レールAの後端側、
Ba‥レールBの前端側、
Bb‥レールBの後端側、
Bc‥レールBの補助突起、
1‥芯金、
2‥芯金の中央部のスプロケットとの噛み合い係合部、
3‥芯金の噛み合い係合部の左右に備えられた翼部、
4‥レールBの開脚傾斜部、
20‥ゴムクローラ、
21‥ゴム弾性体、
22‥スチールコード、
23‥ゴムラグ、
24‥スプロケットとの係合孔、
30‥アイドラー、
31‥鍔体、
32、33‥輪体。
Claims (5)
- 無端状のゴム部材と、このゴム部材の長手方向に一定のピッチをもって翼部が埋設された芯金と、隣り合う芯金の中央部間にスプロケットとの噛み合い係合穴が形成され、芯金の翼部の外側を取り巻くように長手方向に沿って埋設した抗張体によって構成され、更に、芯金の翼部よりゴムクローラの内周側に一対となって突出するレールA、Bと、外周面にラグを形成したゴムクローラであって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、この上面は前端側に向けて徐々に背丈を低くしてあり、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に、かつ上面の背丈をレールAの背丈と一致させたことを特徴とするゴムクローラ。
- 開脚傾斜部は隣り合う芯金の開脚傾斜部の後端を内包する状態にまで開脚された請求項1記載のゴムクローラ。
- 中央部のスプロケットとの噛み合い係合部と、この噛み合い係合部の左右に備えられた翼部と、噛み合い係合部を挟んで両端に設けられた一対のレールと、からなり、アイドラーの中央鍔部が前記一対のレール間に嵌り、アイドラーの左右の輪体がレール上を転動するゴムクローラ用芯金であって、前記一対のレールの一方Aは翼部の前後幅よりもやや長くその上面がほぼ平坦なレールAとなし、レールの他方Bは翼部の前後幅方向で前記レールAよりもいずれもやや長く形成し、レールBにおける常態でアイドラーが転動してくる前端側を平面視で芯金の幅方向の外側に向けて開脚傾斜部となし、その先端はアイドラー輪体よりも外側方に位置し、かつ後端側をレールAとほぼ平行に形成したことを特徴とするゴムクローラ用芯金。
- 開脚傾斜部のアイドラーとの対向する傾斜面をアイドラーに向かって膨曲傾斜面とした請求項3記載のゴムクローラ用芯金。
- 開脚傾斜部の上面は中央部より先端部に向けて徐々に背丈を低くした請求項3記載のゴムクローラ用芯金。
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JP2002196566A JP2004001666A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | ゴムクローラ及びその芯金 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011168216A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Bridgestone Corp | ゴムクローラ及びゴムクローラ組込体 |
-
2002
- 2002-05-31 JP JP2002196566A patent/JP2004001666A/ja active Pending
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