JP2003535824A - 抗原提示細胞におけるエピトープ同調 - Google Patents

抗原提示細胞におけるエピトープ同調

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Abstract

(57)【要約】 癌細胞および細胞内寄生生物により感染された細胞に対する免疫応答を誘発するためのワクチンならび方法を、本明細書中に開示する。ハウスキーピングエピトープを有するワクチンを開示する。ハウスキーピングエピトープは、周辺細胞中のハウスキーピングプロテアソームにより形成されるが、プロフェッショナル抗原提示細胞により形成されない。したがって、末梢標的細胞に関連した抗原に由来するハウスキーピングエピトープを含有するワクチンは、標的細胞に対する免疫応答を誘導することができる。ハウスキーピングエエピトープを有するワクチンを投与することを含む治療方法も開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [発明の背景] ・発明の分野 本明細書に開示する本発明は、抗原提示細胞が特定の標的細胞に特異的なエピ
トープを提示するのを誘発し、それにより標的細胞に対する有効な細胞障害性T
細胞応答を促進するための方法および組成物に関する。
【0002】 本発明はさらに、標的細胞エピトープおよびエピトープクラスターの同定、ま
たエピトープコードベクターに関し、それは免疫学的に活性な薬学的組成物を精
製するのに使用することができる。これらの組成物は、投与されると、被験体の
免疫系を刺激し、標的抗原を提示する標的細胞に対する免疫応答を上昇させるこ
とができる。したがって、本発明は、腫瘍性疾患およびウイルス性疾患の治療お
よび防止において有用である。
【0003】 [関連技術の説明] 新形成および免疫系 癌として広く知られる腫瘍性の病状は一般に、制御不可能に成長する単一細胞
に一般に起因すると考えられる。制御できない成長状態は典型的に、一連の細胞
系が機能しない多段階プロセスに起因し、腫瘍性細胞の起源を生じる結果となる
。生じた腫瘍性細胞は、それ自体迅速に増殖し、1つまたはそれ以上の腫瘍を形
成し、最終的には宿主の死を引き起こし得る。
【0004】 腫瘍性細胞の前駆体は、宿主の遺伝物質を共有するため、腫瘍性細胞は、宿主
の免疫系から大部分は免れる。宿主の免疫系が外来物質を監視および局在化する
プロセスである免疫監視中、腫瘍性細胞は、宿主の免疫監視機構にとって「自己
」細胞として出現するであろう。
【0005】 ウイルスおよび免疫系 癌細胞に対して、ウイルス感染は、明らかに非自己の抗原の発現を包含する。
結果として、多くのウイルス感染は、最低限の臨床的後遺症を伴って、免疫系に
より首尾よく対処される。さらに、重症の疾患を引き起こす感染の多くに関する
有効なワクチンを開発することが可能であった。様々なワクチンアプローチは、
各種の疾患と戦うのに首尾よく使用されてきた。これらのアプローチには、組換
えDNA技術により生産される個々のタンパク質から構成されるサブユニットワ
クチンが含まれる。これらの利点にもかかわらず、ウイルスワクチンとしての使
用のための最小エピトープの選択および有効な投与は、依然として問題がある。
【0006】 エピトープ選択に関与する困難性に加えて、宿主免疫系を免れる能力を進化さ
せてきたウイルスの問題が存在する。多くのウイルス、特に持続感染を確立する
ウイルス(例えば、ヘルペスおよびポックスウイルスファミリーのメンバー)は
、ウイルスが宿主の免疫系を免れることを可能にする免疫調節分子を生産する。
抗原提示に対するこれらの免疫調節分子の影響は、免疫原性組成物としての投与
のための選り抜きのエピトープを標的とすることにより克服され得る。腫瘍性細
胞およびウイルス感染細胞の、宿主免疫系との相互作用をよりよく理解するため
に、免疫成分の説明を以下に示す。
【0007】 免疫系は、生物にとって内因性の分子(「自己」分子)を、生物体にとって外
因性または外来の物質(「非自己」分子)と識別するために機能する。免疫系は
、応答を媒介する成分に基づいて、2つのタイプの異物に対する適応応答:液性
応答および細胞性応答を有する。液性応答は抗体により媒介されるが、細胞性応
答は、リンパ球として分類される細胞に関わる。最近の抗癌および抗ウイルス戦
略は、抗癌もしくは抗ウイルス治療または療法の手段として、宿主免疫系を動員
することに焦点を当てている。
【0008】 免疫系は、異物から宿主を保護するために3つの段階:認知段階、活性化段階
およびエフェクター段階で機能する。認知段階では、免疫系は、体内の外来抗原
または侵入物の存在を認識し、シグナルを送る。外来抗原は、例えば腫瘍性細胞
またはウイルスタンパク質由来の細胞表面マーカーであり得る。いったん系が侵
入物を感知すると、免疫系の抗原特異的細胞は、侵入物により誘発されるシグナ
ルに応答して増殖および分化する。最終段階は、免疫系のエフェクター細胞が検
出された侵入物に応答し、無効にするエフェクター段階である。
【0009】 一連のエフェクター細胞は、侵入物に対する免疫応答を実行する。エフェクタ
ー細胞の1つのタイプであるB細胞は、宿主が遭遇した外来抗原を標的とする抗
体を生成する。補体系と組合せて、抗体は、標的抗原を保有する細胞または生物
体の破壊を指示する。別のタイプのエフェクター細胞は、ナチュラルキラー細胞
(NK細胞)であり、様々なウイルス感染細胞ならびに悪性細胞型を自発的に認
識および破壊する能力を有するリンパ球のタイプである。標的細胞を認識するた
めにNK細胞により使用される方法は、あまり理解されていない。
【0010】 別の型のエフェクター細胞であるT細胞は、3つのサブカテゴリーに分類され
るメンバーを有し、それぞれ免疫応答において異なる役割を果たす。ヘルパーT
細胞は、効果的な免疫応答を高めるのに必要な他の細胞の増殖を刺激するサイト
カインを分泌し、一方サプレッサーT細胞は、免疫応答をダウンレギュレートす
る。第3のカテゴリーのT細胞である細胞障害性T細胞(CTL)は、その表面
上に外来抗原を提示する標的細胞を直接溶解することが可能である。
【0011】 主要組織適合性複合体およびT細胞標的認識 T細胞は、特定の抗原シグナルに応答して機能する抗原特異的免疫細胞である
。Bリンパ球およびそれらが生産する抗体もまた、抗原特異的物体である。しか
しながら、Bリンパ球と異なり、T細胞は、遊離のまたは可溶性の形態の抗原に
は応答しない。T細胞が抗原に応答するには、抗原が主要組織適合性複合体(M
HC)として知られる提示複合体に結合されることが必要である。
【0012】 MHC複合体タンパク質は、T細胞が、生得の(native)または「自己」の細胞
を外来細胞と区別する手段を提供する。2つのタイプのMHC:クラスI MH
CおよびクラスII MHCが存在する。Tヘルパー細胞(CD4+)は、クラ
スII MHCタンパク質と優勢的に相互作用する一方で、細胞溶解性T細胞(
CD8+)は、クラスI MHCタンパク質と優勢的に相互作用する。両方のM
HC複合体は、細胞の外部表面上にそれらの構造の大部分を有する膜貫通タンパ
ク質である。さらに、MHCの両クラスは、それらの外部部分上にペプチドが結
合する溝を有する。この溝には、生得のまたは外来のタンパク質の小断片が結合
され、細胞外環境に提示される。
【0013】 抗原提示細胞(APC)と呼ばれる細胞は、MHC複合体を用いてT細胞に抗
原を提示する。T細胞が抗原を認識するためには、それは、認識のためにMHC
複合体上に提示されなくてはならない。この要件は、MHC制限と呼ばれ、それ
は、T細胞が「自己」細胞を「非自己」細胞と区別するメカニズムである。抗原
が認識可能なMHC複合体により提示されない場合、T細胞は、抗原シグナルを
認識せず、作用もしない。認識可能なMHC複合体に結合したペプチドに特異的
なT細胞は、これらのMHC−ペプチド複合体に結合し、免疫応答の次の段階へ
と進行する。
【0014】 上述のように、腫瘍性細胞は、免疫系により大部分は免れる。宿主中の腫瘍性
細胞の存在と戦うことを助長するために宿主免疫系を利用する試みに、今や多大
な努力が費やされている。1つのかかる研究領域は、抗癌ワクチンの生成を包含
する。
【0015】 抗癌ワクチン 癌との戦いにおける腫瘍学者に対して利用可能な様々な手段の中には、患者の
免疫系がある。免疫系を癌または腫瘍性疾患と戦わせる様々な試みにおいて研究
がなされてきた。不運にも、今日までの結果は、大部分が期待に反している。特
に興味がもたれる1つの領域は、抗癌ワクチンの生成および使用が包含される。
【0016】 ワクチンまたは他の免疫原性組成物を生成するために、免疫応答が高められ得
る抗原またはエピトープを対象体に導入することが必要である。腫瘍性細胞は、
正常細胞に由来し、したがって遺伝子レベルに関して正常細胞と実質的に一致す
るが、多くの腫瘍性細胞は、腫瘍関連抗原(TuAA)を提示することが知られ
ている。理論的に、これらの抗原は、対象体の免疫系により使用され、これらの
抗原を認識し、腫瘍性細胞を攻撃することができる。不運にも、腫瘍性細胞は、
宿主の免疫系により見過ごされるようである。
【0017】 腫瘍性細胞に対する活性を有するワクチンを生成するための試みにおいて、多
数の異なる戦略が開発されてきた。これらの戦略には、免疫原としての腫瘍関連
抗原の使用が含まれる。例えば、米国特許第5,993,828号は、細胞表面
上に尿腫瘍関連抗原、およびGM−2、GD−2、胎児抗原および黒色腫関連抗
原からなる群から選択される少なくとも1つの腫瘍関連抗原を有する不活性化腫
瘍細胞を含む、有効用量の組成物を、対象体に投与することにより、尿腫瘍関連
抗原の特定サブユニットを対する免疫応答を生じる方法について記載する。した
がって、この特許は、抗癌ワクチン中に免疫原として、不活性化腫瘍細胞全体を
用いることについて記載する。
【0018】 抗癌ワクチンを使用する別の戦略は、単離腫瘍抗原を含有する組成物を投与す
ることを包含する。1つのアプローチでは、MAGE−A1抗原ペプチドが、免
疫原として用いられた(Chaux, P., et al., 「Identification of Five MAGA-A
1 Epitopes Recognized by Cytolytic T Lymphocytes Obtained by In Vitro St
imulation with Dendritic Cells Transduced with MAGE-A1」、J. Immunol., 1
63(5):2928-2936 (1999)を参照)。ワクチン用のMAGE−A1ペプチドを用い
た幾つかの治療上の試用が存在したが、ワクチン措置の有効性には限りがあった
。これらの試用の幾つかの結果は、Vose, J.M., 「Tumor Antigens Recognized
by T Lymphocytes」 10th European Cancer Conference, Day 2, Sept. 14, 199
9にて議論されている。
【0019】 ワクチンとして使用される腫瘍関連抗原の別の例では、Scheinberg等は、すで
にインターフェロン(IFN)またはヒドロキシ尿素を与えた12人の慢性骨髄
性白血病(CML)患者を、アジュバントQS−21を加えたヘルパーペプチド
とともにクラスI関連bcr−ablペプチドの5回の注射により治療した。Sc
heinberg, D.A., et al.「BCR-ABL Breakpoint Derived Oncogene Fusion Pepti
de Vaccines Generate Specific Immune Responses in Patients with Chronic
Myelogenous Leukemia(CML)」 [Abstract 1665], American Society of Clinica
l Oncology 35th Annual Meeting, Atlanta (1999)。Tヘルパー活性を示す増殖
性および遅延型過敏(DHT)T細胞応答は誘発されたが、細胞溶解性キラー細
胞活性は、新鮮な血液試料内では観察されなかった。
【0020】 ワクチンとしての使用のためのTAAを同定するための試みのさらなる例は、
Cebon等およびScheibenbogen等の最近の研究に見られる。Cedon等は、皮下また
は静脈内のいずれかにより与えられる増加容量でのIL−12とともに皮内投与
するMART−126-35ペプチドを用いて、転移性黒色腫の患者を免疫化した。
最初の15人の患者のうち、1人の完全な寛解、1人の部分的な寛解、および1
人の混合応答が観察された。T細胞生成に関する免疫アッセイは、DTHを包含
し、それはIL−12ありまたはなしの患者に調べられた。陽性CTRアッセイ
は、臨床的有益性の証拠を有する患者にて調べられたが、腫瘍の後退を有する患
者にては調べられなかった。Cebon, et al., 「Phase I Studies of Immunizati
on with Melan-A and IL-12 in HLA A2+ Positive Patients with Stage III an
d IV Malignant Melanoma」, [Abstract 1671], American Society of Clinical
Oncology 35th Annual Meeting, Atlanta (1999)。
【0021】 Scheibenbogen等は、転移性黒色の患者16人と2人のアジュバント患者の1
8人の患者を、4つのHLAクラスI制限チロシナーゼペプチドで免疫化した。
Scheibenbogen, et al., 「Vaccination with Tyrosinase peptides and GM-CSF
in Metastatic Melanoma: a Phase II Trial」, [Abstract 1680], American S
ociety of Clinical Oncology 35th Annual Meeting, Atlanta (1999)。4/1
5の患者、すなわち2人のアジュバント患者および2人の腫瘍後退を有する患者
において、CTR活性の増加が観察された。Cebon等による試行のように、進行
性疾患を有する患者は、追加免疫を示さなかった。効果的な抗癌ワクチンを生成
するために今日まで費やされた様々な努力にもかかわらず、かかる組成物はいま
だに開発されていない。
【0022】 ウイルス性疾患から保護するワクチン戦略は、多くの成功を収めてきた。これ
らのうちでおそらく最も注目に値するのは、天然痘疾患に対して行われた進展で
あり、それは根絶された。ポリオワクチンの成功も同様の規模である。
【0023】 ウイルスワクチンは、3つの類別:天然痘用ワクチン、セービンポリオウイル
スワクチンおよび麻疹・おたふくかぜ・風疹混合ワクチンのような生弱毒ウイル
スワクチン、ソークポリオウイルスワクチン、A型肝炎ウイルスワクチンおよび
典型的なインフルエンザウイルスワクチンのような全死滅または不活性化したウ
イルスワクチン、ならびにB型肝炎のようなサブユニットワクチンに類別するこ
とができる。完全なウイルスゲノムの欠如により、サブユニットワクチンは、全
ウイルスに基づいたワクチンよりも高い安全性を提供する。
【0024】 首尾よいサブユニットワクチンのパラダイムは、ウイルスエンベロープタンパ
ク質に基づいた組換えB型肝炎ワクチンである。個々のエピトープに対して単一
タンパク質を超えるサブユニット概念を推し進める際の相当な学問的な興味にも
かかわらず、その努力がいまだかなりの成果を与えていない。ウイルスワクチン
の研究はまた、抗体応答の誘発に集中しているが、細胞性応答もまた行われる。
しかしながら、多くのサブユニット配合物は、CTL応答を発生するのに特に乏
しい。
【0025】 [発明の概要] 本発明は、抗原提示細胞が特定の標的細胞に特異的なエピトープを提供するこ
とを誘発し、それにより標的細胞に対する長期的な定方向細胞障害性T細胞応答
を促進するための方法および組成物に関する。
【0026】 ハウスキーピングエピトープを含むワクチン 本発明の一態様では、標的細胞に関連した抗原に由来するハウスキーピングエ
ピトープを含むワクチンを提供する。好適には、上記標的細胞は、腫瘍性細胞で
あり得る。腫瘍性細胞は、白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫、肉腫、神経膠
腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸癌、肝細胞癌、
膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎細胞癌、および
脳癌のような固形腫瘍またはリンパ腫に関連した任意の形質転換細胞であり得る
。あるいは、標的細胞は、細胞内寄生生物により感染され得る。例えば、上記細
胞内寄生生物は、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー
ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイ
ルス、肝炎ウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルス、ポリオーマウイル
ス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、または
ヒトT細胞白血病ウイルスのようなウイルスであってもよい。細胞内寄生生物は
、細菌、原生動物、真菌、またはプリオンであってもよい。より具体的には、細
胞内寄生生物は、クラミジア属、リステリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、
ブルセラ属、コクシエラ属、リケッチア属、ミコバクテリア属、リーシュマニア
属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ属、およびプラスモディウム属であり得
る。
【0027】 上記ハウスキーピングエピトープは、標的細胞に関連した抗原に由来し得る。
上記抗原は、MelanA(MART−1)、gp100(Pmel 17)、
チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、BAG
E、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE、NY−ESO、SCP−
1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H−Ras、HER−2/n
eu、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MY
L−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイ
ルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP−180、MAGE−4、MAGE
−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erbB−3、c−met
、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CAM 17.1、NuMa、
K−ras、β−カテニン、CDK4、Mum−1、p16、TAGE、PSA
M、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43−9F、5T4、791Tgp72
、α−フェトプロテイン、β−HCG、BCA225、BTAA、CA125、
CA 15−3(CA 27.29\BCAA)、CA 195、CA242、
CA−50、CAM43、CD68\KP1、CO−029、FGF−5、G2
50、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、M344、MA−50、
MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SD
CCAG16、TA−90(Mac−2結合性タンパク質/サイクロフィリンC
関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、TPS、GA733−2\
KSA等であり得る。任意に、上記抗原は、ウイルス関連抗原であり得る。本発
明の別の態様では、上記抗原は、寄生生物関連抗原であり得る。
【0028】 本発明の別の態様では、上記ハウスキーピングエピトープは、約6〜約23の
アミノ酸長のポリペプチドを含むか、またはコードしてもよい。好ましくは、上
記ポリペプチドは、9または10のアミノ酸長である。上記ペプチドは、合成ポ
リペプチドであってもよい。好適には、上記ワクチンは、緩衝液、洗浄剤、界面
活性剤、酸化防止剤、または還元剤をさらに含む。上記ワクチンのさらに別の態
様では、上記ハウスキーピングエピトープは、核酸を含む。好ましい実施形態で
は、上記ハウスキーピングエピトープは、MHCの少なくとも1つの対立遺伝子
に特異的である。上記対立遺伝子は、型A1、A2、A3、A11、A24、A
26、A29、B7、B8、B14、B27、B35、B44、B62、B60
、またはB51をコードすることができる。
【0029】 本発明のさらに別の態様では、上記ワクチンは、免疫エピトープを含んでもよ
い。任意に、上記免疫エピトープは、上記標的細胞に関連した第2の抗原に由来
する。上記第1の抗原および上記第2の抗原は、同一であっても異なってもよい
。好適には、上記ハウスキーピングエピトープは、MHCの第1の対立遺伝子に
特異的であり、上記免疫エピトープは、MHCの第2の対立遺伝子に特異的であ
る。上記第1の対立遺伝子および第2の対立遺伝子は、同一であっても異なって
もよい。
【0030】 本発明のさらなる別の態様では、上記ワクチンは、免疫エピトープを含むエピ
トープクラスター(以下を参照)を含む。上記エピトープクラスターは、上記標
的細胞に関連した第2の抗原に由来し得る。上記第1の抗原および上記第2の抗
原は、同じであっても異なってもよい。好適には、上記エピトープクラスターは
、少なくとも10個のアミノ酸の長さで、約60個未満のアミノ酸の長さを有す
るポリペプチドを含むか、またはコードする。好ましくは、上記エピトープクラ
スターの上記ポリペプチドの長さは、上記第2の抗原の長さの約80%、50%
または20%未満である。
【0031】 本発明の別の態様では、上記ワクチンは、第2の標的細胞に関連した第2の抗
原に由来する第2のハウスキーピングエピトープをさらに含む。任意に、上記第
1の抗原および上記第2の抗原は、同一であり得る。あるいは、上記第1の抗原
および上記第2の抗原は、異なる。同様に、上記第1の標的細胞および第2の標
的細胞は、同一であっても異なってもよい。
【0032】 本発明のワクチンは、好適には標的細胞に関連した抗原に由来するハウスキー
ピングエピトープをコードする核酸構築物を含む。好ましくは、上記標的細胞は
、腫瘍性細胞である。上記腫瘍性細胞は、白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫
、肉腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸
癌、肝細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎
細胞癌、および脳癌のような固形腫瘍またはリンパ腫に関連した任意の形質転換
細胞であり得る。対照的に、上記標的細胞は、細胞内寄生生物により感染され得
る。上記細胞内寄生生物は、ウイルスであってもよい。特に、上記ウイルスは、
アデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、単純ヘ
ルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯
状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、
パルボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポリオーマウイルスJC、C
型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HI
V)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、またはヒトT細胞白血病ウイルスIIであ
ってもよい。任意に、上記細胞内寄生生物は、細菌、原生動物、真菌、またはプ
リオンである。より具体的には、上記細胞内寄生生物は、クラミジア属、リステ
リア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシエラ属、リケッチア
属、ミコバクテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ
属、およびプラスモディウム属であり得る。
【0033】 核酸構築物を含む上記ワクチンの上記抗原は、MelanA(MART−1)
、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、M
AGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、
RAGE、NY−ESO、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p
53、H−Ras、HER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、H
4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗
原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP
−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、
p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−
4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、β−カテニン、CDK4、Mu
m−1、およびp16であってもよい。あるいは、上記抗原は、ウイルスまたは
ウイルス感染に関連した抗原であり得る。さらなる別の実施形態では、上記抗原
は、非ウイルス性細胞内寄生生物に関連した抗原である。
【0034】 上記ハウスキーピングエピトープは好ましくは、約6〜約23のアミノ酸長の
ポリペプチドをコードする。より好ましくは、上記ハウスキーピングエピトープ
は、9から10のアミノ酸長のポリペプチドをコードする。好適には、上記ハウ
スキーピングエピトープは、MHCの少なくとも1つの対立遺伝子に特異的であ
る。上記対立遺伝子は、型A1、A2、A3、A11、A24、A26、A29
、B7、B14、B18、B27、B35、B44、B62、B60、またはB
51をコードすることができる。
【0035】 本発明の別の態様では、上記ワクチンは、免疫エピトープをさらに含む。上記
免疫エピトープは、上記標的細胞に関連した第2の抗原に由来してもよい。上記
第1の抗原および第2の抗原は、同一であっても異なってもよい。好ましくは、
上記ハウスキーピングエピトープは、MHCの第1の対立遺伝子に特異的であり
、上記免疫エピトープは、MHCの第2の対立遺伝子に特異的である。上記記第
1の対立遺伝子および上記第2の対立遺伝子は、同一であっても異なってもよい
【0036】 本発明のさらなる別の態様では、核酸構築物を有する上記ワクチンは、エピト
ープクラスターをさらに含む。上記エピトープクラスターは、免疫エピトープを
含む。好ましくは、上記エピトープクラスターは、上記標的細胞に関連した第2
の抗原に由来する。上記第1の抗原および上記第2の抗原は、同一であっても異
なってもよい。
【0037】 好適には、上記エプトープクラスターは、少なくとも10個のアミノ酸、かつ
約60個未満のアミノ酸の長さを有するポリペプチドを含むか、またはコードす
る。好ましい実施形態では、上記エピトープクラスターは、上記第2の抗原の長
さの約80%未満の長さを有するポリペプチドを含むか、またはコードする。別
の好ましい実施形態では、上記ポリペプチドの上記長さは、上記第2の抗原の長
さの約50%未満である。特に好ましい実施形態では、上記ポリペプチドの上記
長さは、上記第2の抗原の長さの約20%未満である。
【0038】 本発明のさらに別の態様では、核酸構築物を含む上記ワクチンは、第2のハウ
スキーピングエピトープをさらに含み、上記第2のハウスキーピングエピトープ
は、第2の標的細胞に関連した第2の抗原に由来する。上記第1の抗原および上
記記第2の抗原は、同一であり得るか、または異なり得る。好ましくは、上記第
1の標的細胞および上記第2の標的細胞は、異なる。
【0039】 核酸構築物 本発明は、第1のコード領域を含む核酸構築物を提供し、上記第1のコード領
域は、少なくとも第1のポリペプチドをコードする第1の配列を含み、上記第1
のポリペプチドは、第1の標的細胞に関連した第1の抗原に由来する第1のハウ
スキーピングエピトープを含む。上記第1のコード領域は、少なくとも第2のポ
リペプチドをコードする第2の配列をさらに含むことができ、上記第2のポリペ
プチドは、第2の標的細胞に関連した第2の抗原に由来する第2のエピトープを
含む。上記第1のポリペプチドおよび上記第2のポリペプチドは、隣接し得るか
、または非隣接であり得る。上記第2のエピトープは、ハウスキーピングエピト
ープ、または免疫エピトープであり得る。上記第1の抗原および上記第2の抗原
は、同一であり得るか、または異なり得る。同様に、上記第1および第2の標的
細胞は、同一であり得るか、または異なり得る。
【0040】 上記標的細胞は、例えば白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫、肉腫、神経膠
腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸癌、肝細胞癌、
膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎細胞癌、または
脳癌のような腫瘍性細胞であり得る。上記第1の抗原は、例えば、MART−1
/MelanA、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、
TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE
−2、p15、NY−ESO、SSX遺伝子ファミリーのメンバーの産物、CT
−7、およびSCP遺伝子ファミリーのメンバーの産物であり得る。上記標的細
胞は、例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイ
ルス、単純ヘルペスウイルス1および2、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱
疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、パル
ボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポリオーマウイルスJC、C型肝
炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)
、ヒトT細胞白血病ウイルスI、またはヒトT細胞白血病ウイルスIIのような
ウイルスにより感染され得る。上記標的細胞は同様に、細菌、原生生物、真菌、
プリオン、または任意の他の細胞内寄生生物により感染され得て、その例は、ク
ラミジア属、リステリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシ
エラ属、リケッチア属、ミコバクテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ
属、トキソプラズマ属、およびプラスモディウム属である。
【0041】 上記構築物は典型的に、上記第1のコード領域に操作可能に連結される第1の
プロモーター配列含む。上記プロモーターは、例えばサイトメガロウイルス(C
MV)、SV40、およびレトロウイルス末端反復配列(LTR)であり得る。
上記プロモーターは、双方向性プロモーターであり得て、および/または第2の
プロモーター配列は、第2のコード領域に操作可能に連結され得る。上記核酸構
築物は、上記第1のコード領域、上記第2のコード領域、あるいはその両方に操
作可能に連結されるポリA配列をさらに含むことができる。上記核酸構築物はま
た、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列、ユビキチン配列、自己触媒ペプ
チド配列、エンハンサー、核内移行配列、免疫賦活配列、およびサイトカイン、
選択マーカー、レポーター分子等のための発現カセット含むことができる。上記
第1のポリペプチドは、約7〜約15アミノ酸長であり、好ましくは9または1
0アミノ酸長である。上記第2のポリペプチドは、9または10アミノ酸長であ
る得るか、またはそれは、約10〜約75アミノ酸長のエピトープクラスターで
あり得る。上記第1のエピトープおよび第2のエピトープは、同一のまたは異な
るMHCの対立遺伝子を結合することができる。
【0042】 本発明の他の実施形態は、上述の核酸構築物の実施形態のいずれかを包含する
ワクチン、かかるワクチンを投与することにより動物を治療する方法、および上
記ワクチンを製造する方法を包含する。
【0043】 エピトープクラスターの同定 本明細書中に開示する本発明の他の実施形態は、組成物を投与した対象体から
免疫応答を誘発することが可能な薬学的組成物を生成するのに使用されるエピト
ープクラスター領域の同定に関する。開示する本発明の1つの実施形態はあるエ
ピトープクラスターに関連し、そのエピトープクラスターは、標的に関連した抗
原に由来し、上記クラスターはMHC受容体ペプチドが結合する溝に対して既知
のもしくは予測される親和性を有する少なくとも2つの配列を含むか、またはコ
ードし、ここで上記クラスターは抗原の断片である。
【0044】 本発明の一態様では、上記標的は、腫瘍性細胞である。あるいは、上記標的は
、細胞内寄生生物により感染される細胞であってもよい。上記細胞内寄生生物は
、ウイルス、細菌または原生動物であり得る。任意に、上記標的は、病原性作用
物質である。上記病原性作用物質は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、プリオ
ン、毒素、または毒液を包含し得る。
【0045】 本発明の別の態様では、上記MHC受容体は、クラスI HLA受容体であっ
てもよい。同様に、上記MHC受容体は、クラスII HLA受容体であり得る
【0046】 本発明のさらなる別の態様では、上記クラスターは、ある長さを有するポリペ
プチドを含むか、またはコードし、その長さは、少なくとも10個のアミノ酸で
ある。好適には、上記ポリペプチドの上記長さは、約75個未満のアミノ酸であ
ってもよい。
【0047】 本発明のさらに別の実施形態では、ある長さを有する抗原が提供され、上記ク
ラスターは、ある長さを有するポリペプチドから構成されるか、またはそれをコ
ードし、上記ポリペプチドの上記長さは、上記抗原の長さの約80%未満である
。好ましくは、上記ポリペプチドの上記長さは、上記抗原の長さの約50%未満
である。より好ましくは、上記ポリペプチドの上記長さは、上記抗原の長さの約
20%未満である。
【0048】 開示する本発明の別の実施形態は、エピトープクラスターを同定する方法であ
って、標的細胞に関連した抗原の配列を提供する工程、推定MHCエピトープを
同定するために、MHC受容体ペプチドが結合する溝に対する既知のまたは予測
される親和性に基づいて、上記配列内の候補ペプチドをスコア付けする(score)
工程、および上記抗原内の領域であって、少なくとも2つの推定MHCエピトー
プを含み、全体として該抗原中の推定MHCエピトープ密度よりも高い推定MH
Cエピトープ密度を含む領域を同定する工程を含む方法に関する。
【0049】 治療方法 ハウスキーピングエピトープを含むワクチンを動物に投与することにより動物
を治療する方法で、上記ハウスキーピングエピトープが第1の標的細胞に関連し
た第1の抗原に由来する方法が、本発明により同様に意図される。好ましくは、
上記投与工程は、経皮的、結節内、結節周囲、経口、静脈内、皮内、筋内、腹腔
内、または経粘膜の送達様式を含む。
【0050】 上記動物の治療方法は、上記標的細胞の状態を示す特徴を決定するためにアッ
セイ工程をさらに含んでもよい。好適には、上記アッセイ工程は、第1のアッセ
イ工程および第2のアッセイ工程をさらに含み、上記第1のアッセイ工程は、上
記投与工程に先立ち、上記第2のアッセイ工程は、上記投与工程の後に続く。好
ましくは、上記第1のアッセイ工程で決定される特徴は、結果を得るために、上
記第2のアッセイ工程中で決定される特徴とを比較される。上記結果は、標的細
胞数の減少、標的細胞を含む腫瘍の質量または大きさの低下、あるいは標的細胞
に感染する細胞内寄生生物の数または濃度の低減であり得る。
【0051】 好ましくは、上記標的細胞は、腫瘍性細胞である。上記腫瘍性細胞は、白血病
、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫、肉腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィ
ルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸癌、肝細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌
、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎細胞癌、および脳癌のような固形腫瘍またはリン
パ腫に関連した、任意の形質転換細胞であり得る。あるいは、上記標的細胞は、
細胞内寄生生物により感染される。上記細胞内寄生生物は、ウイルスであっても
よい。上記ウイルスは、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン
・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトヘル
ペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス
、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポリ
オーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免
疫不全症ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、またはヒトT細胞
白血病ウイルスIIであり得る。上記細胞内寄生生物は、細菌、原生動物、真菌
、またはプリオンであってもよい。好適には、上記細胞内寄生生物は、クラミジ
ア属、リステリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシエラ属
、リケッチア属、ミコバクテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、ト
キソプラズマ属、およびプラスモディウム属である。
【0052】 本発明の別の態様では、上記抗原は、MelanA(MART−1)、gp1
00(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−
1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE
、NY−ESO、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H
−Ras、HER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RE
T、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗原、EB
NA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP−180
、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180
erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CA
M 17.1、NuMa、K−ras、β−カテニン、CDK4、Mum−1、
およびp16である。あるいは、上記抗原は、ウイルスまたはウイルス感染に関
連する。さらに別の態様では、上記抗原は、非ウイルス性細胞内寄生生物に関連
した抗原である。
【0053】 上記ハウスキーピングエピトープは、約6〜約23のアミノ酸長のポリペプチ
ドを含むか、またはコードしてもよい。好ましくは、上記ポリペプチドは、9ま
たは10のアミノ酸長である。上記ポリペプチドは、合成であってもよい。上記
ワクチンは、緩衝液、洗浄剤、界面活性剤、酸化防止剤、または還元剤をさらに
含んでもよい。上記ハウスキーピングエピトープは好適には、核酸を含んでもよ
い。好ましくは、上記ハウスキーピングエピトープは、MHCの少なくとも1つ
の対立遺伝子に特異的である。上記対立遺伝子は、型A1、A2、A3、A11
、A24、A26、A29、B7、B8、B14、B18、B27、B35、B
44、B62、B60、またはB51をコードすることができる。
【0054】 本発明のさらなる別の態様では、上記動物の治療方法は、免疫エピトープをさ
らに含む。上記免疫エピトープは、上記標的細胞に関連した第2の抗原に由来し
てもよい。任意に、上記第1の抗原および上記第2の抗原は、同一である。上記
ハウスキーピングエピトープは、MHCの第1の対立遺伝子に特異的であり得て
、上記免疫エピトープは、MHCの第2の対立遺伝子に特異的であり得る。上記
第1の対立遺伝子および上記第2の対立遺伝子は、同一であっても異なってもよ
い。
【0055】 好適には、上記ワクチンは、上記免疫エピトープを含むエピトープクラスター
を含む。上記エピトープクラスターは、上記標的細胞に関連した第2の抗原に由
来してもよい。任意に、上記第1の抗原および上記第2の抗原は同一である。上
記エピトープクラスターは、少なくとも10個のアミノ酸かつ約60個未満のア
ミノ酸の長さを有するポリペプチドを含むか、またはコードしてもよい。
【0056】 好ましくは、上記エピトープクラスターは、上記第2の抗原の長さの約80%
未満の長さを有するポリペプチドを含むか、またはコードする。上記ポリペプチ
ドの上記長さは、上記第2の抗原の長さの約50%未満であり得る。さらに別の
態様では、上記ポリペプチドの上記長さは、上記第2の抗原の長さの約20%未
満であり得る。
【0057】 上記動物の治療方法は、第2のハウスキーピングエピトープをさらに含み、上
記第2のハウスキーピングエピトープは、第2の標的細胞に関連した第2の抗原
に由来する。上記第1の抗原および上記第2の抗原は、同一であっても異なって
もよい。同様に、上記第1の標的細胞および上記第2の標的細胞は、同一であっ
ても異なってもよい。
【0058】 核酸構築物を含むワクチンを動物に投与することを含む動物の治療方法もまた
、本発明により意図される。上記核酸構築物は好適には、ハウスキーピングエピ
トープをコードする。上記ハウスキーピングエピトープは、第1の標的細胞に関
連した第1の抗原に由来してもよい。
【0059】 本発明の別の態様では、ワクチンを製造する方法が提供される。上記方法は、
ハウススキーピングプロテアソームにより、特定の抗原供給源から生産されるか
、または生産され得るエピトープを同定することにより、ハウスキーピングエピ
トープを選定する工程で、ここで上記ハウスキーピングエピトープが第1の標的
細胞に関連した第1の抗原に由来する工程、上記ハウスキーピングエピトープを
含むワクチンを製造する工程、および選定したハウスキーピングエピトープを含
むか、またはコードするワクチン組成物を調製する工程を含む。
【0060】 上述の方法に従って製造される上記ワクチンも同様に、本発明により提供され
る。上記ワクチンは、動物を治療するために投与され得る。したがって、上記ワ
クチンで動物を治療する方法も同様に意図される。
【0061】 ハウスキーピングおよび他のエピトープの発見 本明細書に開示する本発明の他の実施形態は、組成物が投与された対象体から
免疫応答を誘発することが可能なワクチンを生成するのに有用なエピトープ、特
に本発明のワクチンの実施形態において最も有用なエピトープの同定に関する。
本発明の一実施形態は、標的細胞に関連した抗原のペプチド断片の集団からエピ
トープを選定する工程を含むエピトープの発見方法であって、上記断片は、主要
組織適合性複合体クラスI受容体ペプチドが結合する溝に対して既知のまたは予
測される親和性を有し、選定エピトープは、上記標的細胞のプロテアソーム切断
産物に相当する方法に関する。
【0062】 本発明の別の実施形態は、エピトープを発見する方法であって、以下の:標的
細胞由来の配列であって、該標的細胞中で発現されるタンパク質をコードするか
、またはそれを含む配列を提供する工程、上記タンパク質のペプチド断片集団で
あって、そのメンバーが主要組織適合性複合体クラスI受容体ペプチドが結合す
る溝に対して既知のまたは予測される親和性を有するペプチド断片集団を同定す
る工程、上記ペプチド断片集団由来の上記エピトープであって、上記標的細胞中
で活性なプロテアソームの産物に相当するエピトープを選定する工程を含む方法
に関する。
【0063】 この実施形態の一態様は、上述の方法により発見されるエピトープに関する。
この実施形態の別の態様は、発見したエピトープを含むワクチンに関する。本発
明のさらに別の態様は、動物の治療方法であって、上述のワクチンを上記動物に
投与することを含む方法に関する。
【0064】 開示する本発明の一実施形態は、エピトープを発見する方法であって、:腫瘍
性細胞、および配列を提供する工程で、上記配列が上記腫瘍性細胞に関連した抗
原を含むか、またはコードする配列である工程、上記抗原のペプチド断片集団で
あって、主要組織適合性複合体クラスI受容体ペプチドが結合する溝に対する親
和性を有すると予測されるペプチド断片集団を同定する工程、上記ペプチド断片
集団由来のエピトープであって、in vitro分析により、上記腫瘍性細胞
中で活性なプロテアソームのプロテアソーム切断反応産物であると決定されるエ
ピトープを選定する工程を含む方法に関する。
【0065】 この実施形態の一態様は、上述の方法により発見されるエピトープに関する。
この実施形態の別の態様は、発見したエピトープを含むワクチンに関する。本発
明のさらに別の態様は、動物の治療方法であって、上述のワクチンを上記動物に
投与することを含む方法に関する。
【0066】 開示する本発明の別の実施形態は、宿主中の標的に関連した抗原のペプチド断
片の集団からエピトープを選定する工程を含むエピトープの発見方法であって、
上記断片は、上記宿主の主要組織適合性複合体クラスIまたはII受容体ペプチ
ドが結合する溝に対して既知のまたは予測される親和性を有し、選定エピトープ
は、上記宿主の細胞中の上記該抗原のタンパク質分解性切断の産物に相当する方
法に関する。
【0067】 この実施形態の一態様は、上述の方法により発見されるエピトープに関する。
この実施形態の別の態様は、発見したエピトープを含むワクチンに関する。本発
明のさらに別の態様は、動物の治療方法であって、上述のワクチンを上記動物に
投与することを含む方法に関する。
【0068】 [好ましい実施形態の詳細な説明] 本発明の実施形態は、標的細胞に対して有効な免疫応答を誘導するためのエピ
トープ、ワクチンおよび治療方法を提供する。本発明の主要な基礎は、多数の標
的細胞がプロフェッショナル抗原提示細胞(pAPC)により表示されるエピト
ープとは異なるエピトープを表示する、という新規かつ予期せぬ発見である。こ
の差異のために、pAPCは標的細胞上に存在しないエピトープに対してT細胞
を誘導し、したがってT細胞は標的細胞を認識できない。本発明の方法および薬
剤は、標的細胞上に存在する同一エピトープをpAPCに表示させて、標的細胞
を正しく認識し、破壊し得るT細胞を生じうる。
【0069】 本明細書中で開示される本発明の実施形態は、免疫学的に有効なワクチンを生
成するために用いられ得る標的抗原のエピトープの同定方法をさらに提供する。
このようなワクチンは、免疫系を刺激して、選定エピトープを表示する標的細胞
を認識し、かつ破壊し得る。本発明の実施形態は、癌の治療および予防、ならび
に細胞内寄生生物による細胞の感染の治療および予防に、ならびにその他の病原
体、毒素およびアレルゲンに関連した症状の治療または予防に特に有用である。
【0070】 ある種類の標的は、免疫系を特に免れやすい。これらの中には、多数の種類の
癌、ならびに細胞内寄生生物、例えばウイルス、細菌および原生動物などにより
感染した細胞が含まれる。このような標的に対する有効な免疫応答を生じるため
に有用な抗原およびエピトープを同定するために非常に多くの研究がなされてき
たが、ほとんど成功していない。本開示は、このような免れやすい標的に対して
有効な有効エピトープの新規の生成を効率的に発見するための基礎を提供する。
【0071】 本明細書中に開示された本発明は、真の生物学的関連性を有するエピトープ配
列を選択するのを可能にする。生物学的意義を有する、すなわち免疫応答を刺激
する際に機能するエピトープに関しては、主要組織適合性複合体(MHC)受容
体ペプチドの溝を結合するための親和性を有さねばならない。オリゴペプチド配
列がMHC結合親和性を有するか否かを予測する、当業界で既知の種々の手段が
存在する。しかしながらMHC結合親和性を有すると予測される配列のほとんど
は、それらが標的細胞またはpAPCの表面に実際に提示されないため、生物学
的に関連しない。
【0072】 開示された本発明の方法は、MHCに対する予測高結合親和性にもかかわらず
、それらが標的細胞により提示され得ないために有用でないペプチドを、ワクチ
ン設計者に無視させることができる。したがって、本明細書中に開示された方法
および開示は、ワクチン設計における大きな進歩を提供し、その1つは抗原配列
分析の力を免疫学の基本的事実と結合させる。本明細書中で教示された方法は、
所望の標的に対応する任意のポリペプチド配列を用いたMHCクラスIまたはク
ラスIIワクチンの作製のための有意義なエピトープの簡単かつ有効な選択を可
能にする。
【0073】 本明細書中で開示された本発明のさらなる実施形態は、ワクチンに、ならびに
ワクチン設計およびエピトープ発見に用いるためのエピトープクラスター領域(
ECR)を提供する。特に本発明の実施形態は、標的細胞集団に対して向けられ
る免疫学的活性組成物の生成に用いるための、そして個別のハウスキーピングエ
ピトープおよび免疫エピトープの発見に用いるためのエピトープクラスターの同
定に関する。多くの場合、多数の推定クラスIMHCエピトープは、単一標的関
連抗原(TAA)中に存在し得る。このような推定エピトープはしばしば、親T
AAのアミノ酸配列中のある領域内に比較的に高密度で分配されるMHCエピト
ープであるクラスター(ECR)中に見出される。これらのECRには免疫応答
の誘導に際して有用であると考え得る生物学的活性を有する多数の推定エピトー
プを包含するため、それらはワクチン設計のために特に有用なエピトープを同定
するためのin vitroまたはin vivo分析のための優れた物質を示
す。そして、エピトープクラスターはそれら自体、活性MHCエピトープを生成
するために細胞内部でプロセシングされるため、クラスターはワクチン中に直接
用いられることができ、クラスター中の1つまたはそれ以上の推定エピトープは
活性MHCエピトープ中で実際にプロセシングされる。
【0074】 ワクチン中のECRの使用は、組換えワクチンの製造において重要な技術的進
歩を提供し、そしてさらに、全タンパク質配列をコードする既存の核酸ワクチン
を上回る安全性におけるきわめて重大な進歩を提供する。組換えワクチンは一般
に、微生物発酵槽中での全タンパク質の高価かつ技術的に難しい生産によってい
る。ECRは、化学的合成ポリペプチドを用いるオプションを提供し、開発およ
び製造を大いに簡略化し、そして種々の安全上の問題を不要にする。同様に、典
型的には全配列の相対的に短い領域であるECRをコードする核酸配列を用いる
能力は、より高価で、時間を要し、かつ全遺伝子配列を用いることに関するおそ
らくは難しい分子生物学手法よりむしろ、核酸ベースのワクチンの開発および操
作における合成オリゴヌクレオチド化学手法の使用を可能にする。
【0075】 ECRは、ECRが見出される全タンパク質をコードするものと比較して相対
的に短い核酸配列によりコードされるため、これは核酸ワクチンの安全性を非常
に向上させ得る。核酸ワクチンの分野における重要な問題は、ワクチンとワクチ
ンが投与される動物中の配列との配列相同性の程度が、動物のゲノム中へのワク
チン配列の組込みの確率を確定するという事実である。核酸ワクチンの基本的安
全問題は、ゲノム配列中に組み込むそれらの能力であり、これは遺伝子発現およ
び腫瘍形質転換の規制解除を生じ得る。食品医薬品局は、核酸および組換えワク
チンはできるだけ少ないヒト配列との配列相同を含有すべきであると勧告してい
る。腫瘍関連抗原を送達するワクチンの場合、患者の腫瘍細胞中で発現されるタ
ンパク質をコードするものと相同である核酸配列をワクチンが含有することは不
可避である。しかしながら、治療的免疫応答を誘導するためのエピトープの発現
を促すことが最低限不可欠である程度にそれらの配列の程度を限定するのが非常
に望ましい。したがってECRの使用は、相同の最小領域を提供する一方で、考
え得る治療価値を有する多数のエピトープを組み入れるという二重の利点を提供
する。
【0076】 本発明の態様は、ハウスキーピングエピトープをコードする核酸構築物を提供
する。ハウスキーピングエピトープは、以下でより詳細に記載されるように、周
辺細胞の活性プロテアソームにより生産されるペプチド断片を包含する。本発明
に関する基礎は、標的細胞に関連した任意の抗原が、身体のクラスI主要組織適
合性複合体(MHC)分子による提示のための2つの識別可能な組のエピトープ
に差次的にプロセシングされ得るという発見である。「免疫エピトープ」は、p
APCにより提示され、そして一般的には、急性感染を受けたか、またはインタ
ーフェロン(IFN)分泌細胞による活性免疫学的攻撃下にある周辺細胞中にも
提示される。これに対比して、「ハウスキーピングエピトープ」は、他の周辺細
胞すべて、例えば一般的には腫瘍(癌性)細胞および慢性感染細胞により提示さ
れる。宿主中で機能中の免疫系の存在にもかかわらず、提示エピトープにおける
このミスマッチ、または非同時性が、癌および慢性感染の持続および進行の原因
となっている。したがって有効な細胞溶解性Tリンパ球(CTL)媒介性免疫応
答を引き起こすためには、pAPCおよび標的細胞間のエピトープ提示の同調を
生じさせることが不可欠である。
【0077】 同調は、pAPCにハウスキーピングエピトープを提供することにより、最も
確実に成し遂げられ得る。しばしば、1つより多いエピトープを提供することに
より、よりしっかりした応答が達成され得る。さらに、標的細胞に対する有効免
疫応答が確立されれば、IFNの分泌は免疫プロテアソームの発現をもたらし、
それによりエピトープ提示を免疫エピトープに切り替え得る。この理由のために
特に、上記の開示にしたがって開発されるワクチン中に、ハウスキーピングエピ
トープのほかに、免疫エピトープを含むことも有益であり得る。ECRの形態で
免疫エピトープを提供することはさらなる効用を有し得る。本発明の実施形態は
、種々の組合せでハウスキーピングエピトープかつ/または免疫エピトープをコ
ードする発現ベクターを提供する。好ましい発現構築物は、標的細胞に対して向
けられる細胞性免疫応答を刺激し得る少なくとも1つのエピトープをコードする
。本発明の一実施形態では、標的細胞は腫瘍性細胞である。別の実施形態では、
標的細胞は任意の細胞内感染宿主細胞である。細胞内感染作用物質としては、持
続性ウイルスおよび感染の細胞内段階を有する任意のその他の感染生物体が挙げ
られる。
【0078】 いくつかの実施形態の核酸構築物は、被験者の免疫系を強化するために、かつ
それを宿主内の腫瘍性細胞の存在に感作させるために向けられる。その他の実施
形態では、核酸構築物は、持続性ウイルス感染、ならびに細胞内寄生生物が感染
した細胞の根絶を促す。
【0079】 定義 本明細書中の用語の使用状況とは別に明白でない限り、以下に列挙した用語は
一般に、この説明のために指定の意味を有するものとする。
【0080】 プロフェッショナル抗原提示細胞(pAPC)− T細胞同時刺激分子を保有
し、かつT細胞応答を誘導し得る細胞。十分に特性化されたpAPCは、樹状細
胞、B細胞およびマクロファージである。
【0081】 周辺細胞− pAPCでない細胞。
【0082】 ハウスキーピングプロテアソーム− 普通は周辺細胞中で活性であり、一般的
にpAPC中に存在しないかまたは強力に活性であるわけではないプロテアソー
ム。
【0083】 免疫プロテアソーム− 普通はpAPC中で活性なプロテアソーム;免疫プロ
テアソームは感染組織中のいくつかの周辺細胞中でも活性である。
【0084】 エピトープ− 免疫応答を刺激し得る分子または物質。好ましい実施形態では
、この定義によるエピトープとしてはポリペプチドおよびポリペプチドをコード
する核酸が挙げられるが、これらに限定されず、この場合、ポリペプチドは免疫
応答を刺激し得る。他の好ましい実施形態では、この定義によるエピトープとし
てはそれらがT細胞受容体と相互作用し得るよう、クラスI MHCのポケット
と非共有的に結合される細胞の表面に提示されるペプチドが挙げられるが、これ
に限定されない。
【0085】 MHCエピトープ− 哺乳類クラスI主要組織適合性複合体(MHC)分子に
対する既知のまたは予測される親和性を有するポリペプチド。
【0086】 HLAエピトープ− ヒトクラスI主要組織適合性複合体(MHC)分子に対
する既知のまたは予測される親和性を有するポリペプチド。
【0087】 ハウスキーピングエピトープ− 好ましい実施形態では、ハウスキーピングエ
ピトープは、MHCエピトープであり、かつハウスキーピングプロテアソームが
優勢的に活性である細胞上に表示されるポリペプチド断片として定義される。別
の好ましい実施形態では、ハウスキーピングエピトープは、上記の定義によるハ
ウスキーピングエピトープを含有する、すなわち1〜数個の付加的アミノ酸と隣
接するポリペプチドとして定義される。別の好ましい実施形態では、ハウスキー
ピングエピトープは、上記の定義のいずれかによるハウスキーピングエピトープ
をコードする核酸として定義される。
【0088】 免疫エピトープ− 好ましい実施形態では、免疫エピトープは、MHCエピト
ープでありかつ免疫プロテアソームが優勢的に活性である細胞上に表示されるポ
リペプチド断片と定義される。別の好ましい実施形態では、免疫エピトープは、
上記の定義による免疫エピトープを含有する、すなわち1〜数個の付加的アミノ
酸と隣接するポリペプチドとして定義される。別の好ましい実施形態では、免疫
エピトープは、エピトープクラスター配列を包含するポリペプチドとして定義さ
れ、クラスI MHCに対する既知のまたは予測される親和性を有する少なくと
も2つのポリペプチド配列を有する。さらに別の好ましい実施形態では、免疫エ
ピトープは、上記の定義のいずれかによる免疫エピトープをコードする核酸とし
て定義される。
【0089】 標的細胞− 本発明のワクチンおよび方法により標的化される細胞。この定義
による標的細胞の例としては、腫瘍性細胞、および細胞内寄生生物、例えばウイ
ルス、細菌または原生動物を保有する細胞が挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0090】 標的関連抗原(TAA)− 標的細胞中に存在するタンパク質またはポリペプ
チド。
【0091】 腫瘍関連抗原(TuAA)− 標的細胞が腫瘍性細胞であるTAA。
【0092】 以下の考察は、本発明の実施についての本発明人等の理解を記述することに留
意されたい。しかしながらこの考察は、特許請求の範囲に記述されない実施につ
いての任意の特定理論に本特許を限定することを意図していない。
【0093】 異なるプロテアソームは異なるエピトープを生産する pAPCまたは周辺細胞の表面にクラスI MHCにより提示されるエピトー
プは、プロテアソームによりそれらの細胞内でのタンパク質の消化により生産さ
れる。pAPCのプロテアソームは周辺細胞のプロテアソームと同一でないこと
が報告されているが、しかしこの差異の意義はこれまで正価を認められていない
。本発明は、pAPCおよび周辺細胞が既定のTAAを処理する場合、pAPC
中で活性なプロテアソームは、周辺細胞中で活性であるプロテアソームにより生
成されるエピトープ断片とは異なるエピトープ断片を生成する、という事実に基
づいている。参照に便利なように、そして上記のように、pAPC中で優勢に活
性であるプロテアソームは本明細書中では「免疫プロテアソーム」と呼ばれ、一
方、周辺細胞中で普通は活性であるプロテアソームは本明細書中では「ハウスキ
ーピングプロテアソーム」と呼ばれる。
【0094】 pAPCおよび周辺細胞の差次的プロセシングの意義は、誇張して述べられ得
ない。この差次的プロセシングは、ある種の標的細胞が免疫系による認識および
攻撃に耐性である理由に関する合一的説明を提供する。pAPCは標的細胞から
放出されたTAAを拾い上げて、それらの表面に提示し得るが、しかしpAPC
はその結果としてCTLの生産を刺激して、「免疫エピトープ」(免疫プロテア
ソームによるTAAのプロセシングに起因するエピトープ)を認識するが、それ
に反して、標的細胞は「ハウスキーピングエピトープ」(ハウスキーピングプロ
テアソームにより生成されるTAAの別個の断片)を表示する。したがって、生
理学的条件下でのCTL応答は、標的細胞上のエピトープから誤った方向に向け
られる。
【0095】 CTL応答は定義によればpAPCにより誘導されるため、それらはハウスキ
ーピングエピトープではなく免疫エピトープを標的にするため、標的細胞を認識
せず、したがってこのことにより身体中に残存する。細胞性免疫応答のこの基本
的「エピトープ区画化」は、いくつかの腫瘍性細胞が存続して腫瘍を形成し得る
理由である。それはいくつかのウイルスおよび細胞内寄生生物が免疫系により根
絶されることなく慢性的に細胞に感染し得る理由でもある。感染作用物質に関し
ては、普通はそれらはそれらが感染する細胞中での免疫プロテアソームの発現を
引き起こす。これは、免疫系に対してpAPCにより提示されているものと同一
である細胞表面上のエピトープの生産を生じる。したがって感染は、免疫系と感
染細胞との間の「エピトープ同調」、その後の感染細胞の破壊、ならびに身体か
らの感染作用物質のクリアランスを生じる。いくつかの感染作用物質、特に慢性
感染を確立し得るものの場合、それらは、それらが感染する細胞中での免疫プロ
テアソームの発現を防止する手段を進化させた。これらの細胞中ではプロテアソ
ームはハウスキーピング様式で維持され、それによりCTLによるエピトープ同
調および攻撃を防止する。これが事実上すべての慢性感染作用物質により用いら
れる一般的メカニズムである、という実質的証拠が存在する。
【0096】 CTLの一部においてある種の標的細胞を認識し、かつ根絶することのこの失
敗を克服するための一方法は、エピトープ提示を「同調し」得るワクチンおよび
治療方法を提供することである。この状況でのエピトープ同調は、pAPCがハ
ウスキーピングエピトープを提示するよう作製されて、標的細胞上に表示される
ハウスキーピングエピトープを認識し、それにより標的細胞を攻撃し、かつ排除
し得るCTLを生じることを意味する。
【0097】 したがって本発明の実施形態は、腫瘍性疾患、例えば固形腫瘍およびリンパ腫
を治療するために有用である。本発明の付加的実施形態は、持続性ウイルス疾患
、ならびに感染作用物質が感染の細胞内段階を有する寄生生物性感染を治療する
際の用途を有する。このような標的細胞に対応するハウスキーピングエピトープ
の適切な投与は、標的細胞に対する特異的細胞傷害性T細胞応答を活性化し得る
【0098】 癌におけるエピトープ差異の役割 いくつかの実施形態では、本発明は、腫瘍性疾患を治療することに向けられる
。癌は、単一異常細胞の子孫の進行性非調節化増殖により引き起こされる。「癌
」という用語は、本明細書中で用いられる場合、腫瘍性疾患、腫瘍性細胞、腫瘍
、腫瘍細胞、悪性疾患および任意の形質転換細胞、例えば固形腫瘍および散在性
腫瘍性疾患を包含する。歴史的には、癌細胞は一般に、身体の他の非癌性細胞と
同一遺伝物質を含有するために、免疫系による検出および破壊を免れると考えら
れてきた。身体中の癌細胞と健常細胞の遺伝的同一性または類似性は、おそらく
、癌細胞を正常細胞と区別する難しさを生じ、したがって免疫系は、身体中の癌
細胞の存続により立証されるように、有効免疫応答を高めることができない。
【0099】 それと反対に、免疫応答を惹起し得る、そして実際に惹起する種々の腫瘍関連
抗原(TuAA)が記載されている。多数の研究が、in vitroで種々の
TuAA由来のペプチドを提示する標的細胞を死滅させ得る腫瘍内浸潤リンパ球
(TIL)を記載している。しかしながら以下でさらに詳細に記載されるように
、TILが癌を制御できないのは、CTL活性を誘導する細胞、pAPC、なら
びに所望の標的細胞、すなわち腫瘍の細胞により生産され、提示されるエピトー
プの差異に起因する。その差異を理解するためには、プロテアソームの機能およ
び動態を理解する必要がある。
【0100】 すべての細胞が、タンパク質を分解するためのプロテアソームを含有する。細
胞の総タンパク質含量の約1%を構成するこれらのプロテアソームは、細胞中の
タンパク質半減期を調節するために機能する。タンパク質分解経過において、プ
ロテアソームは、クラスI抗原提示に関与する膨大な大多数のペプチド断片を生
成し、そしてプロテアソーム切断パターンは、クラスI分子上の提示のための抗
原性エピトープの利用可能性に影響を及ぼす(図1)。したがってMHCエピト
ープは、細胞のプロテアソーム活性により生産される。しかしながらpAPC中
のタンパク質分解活性は、周辺細胞と比較して、顕著に異なる。pAPCは、感
染中、または種々のサイトカイン、特にインターフェロン(IFN)への曝露後
に、細胞性免疫応答の一部として、典型的には周辺細胞中で発現されるだけであ
るサブユニットを構成的に組み入れるプロテアソームを含有する。上記のように
、pAPCおよび周辺細胞の異なるプロテアソーム活性は、本明細書中ではそれ
ぞれ免疫プロテアソームおよびハウスキーピングプロテアソームと呼ばれる。
【0101】 免疫プロテアソームおよびハウスキーピングプロテアソームは、類似のしかし
別個の位置でタンパク質を切断する能力を有する。免疫プロテアソームは、それ
をそのハウスキーピング等価物とは区別するいくつかのサブユニットを組み入れ
る。これらの免疫サブユニットとしては、ハウスキーピングプロテアソームの触
媒性サブユニットを置換するLMP2、LMP7およびMECL1、および調節
機能を供するPA28αおよびPA28βが挙げられる(図2)。集合的に、こ
れらのサブユニットの組入れは、ハウスキーピングプロテアソームの活性とは定
性的および定量的に異なる免疫プロテアソームからの活性を生じる。ハウスキー
ピングプロテアソームと免疫プロテアソームとの間にはそれらが生産するMHC
エピトープに関して差異があるという証拠が存在するが、しかし現在まで、これ
らの差異は定量的な用語で理論的に説明されてきた。免疫プロテアソームにより
媒介される最終的作用は、異なるものより、より多くのペプチドの生産を促すこ
とである、ということが他者により示唆されている。
【0102】 免疫プロテアソームとハウスキーピングプロテアソームとの間の抗原プロセシ
ングにおける定性的差異は、ワクチン設計にとって重大な意味を有する。IFN
−γはTリンパ球により生産されるが、この場合、それは細胞性免疫応答の誘導
の促進に関与し、かつ上記のように、免疫プロテアソームの発現を誘導する。特
にIFNは、ある条件下で、すなわち病原体により細胞が感染されるようになる
場合、事実上その他の任意の細胞によっても生産される。事実上、ウイルス感染
は典型的には感染細胞によるIFN生産を生じ、これが次に、ハウスキーピング
プロテアソーム形状から免疫プロテアソーム形状に転換されるよう細胞を誘導す
る。この現象の1つの説明は、感染およびその後のIFNアップレギュレーショ
ンが、ウイルスに対する免疫応答の刺激に関与するpAPCと、表示抗原レパー
トリーに関して感染細胞とを整列させるために機能するというものである。これ
は、細胞により普通に発現されるその内因性「自己」タンパク質、ならびにpA
PC中で起こる抗原プロセシングと同一方法で感染作因(「非自己」)に関する
タンパク質の両方のプロセシングを生じる。ハウスキーピング形状から免疫形状
への感染細胞のプロテアソームの転換は、感染細胞およびpAPC間の「エピト
ープ同調」を生じる(図3)。
【0103】 TuAAに特異的なMHCクラスI制限CTLは、癌に対する免疫応答の重要
な構成成分である。TuAAは、それらが正常細胞の表面に表示されないか、ま
たは腫瘍細胞により過剰発現されるか、またはそうでない場合は腫瘍細胞に強く
特徴的である程度に、腫瘍特異的T細胞応答の有用な標的である。多数のTuA
Aが既知であり、文献中でまたは商業的に当業者には容易に利用可能である。
【0104】 実際、いくつかの腫瘍は、免疫プロテアソームのIFN−γ誘導を欠くことが
判明している。これらの状況では、CTLはpAPCによりプロセシングされた
TuAAからの免疫エピトープをターゲッティングしていると思われる。これら
の免疫エピトープに対して特異的に活性化された、これらの患者における多数の
CTLにもかかわらず、CTLは癌細胞上のエピトープを見つけることができな
い。疾患は進行し、そしてついには標的の位置を突き止めることができない蓄積
中のCTLは、機能不全になる(Lee, et al. Nature Medicine(1999) 5[6]:677
-685)。pAPCにハウスキーピングエピトープを提供することにより、pAP
Cによるエピトープ提示を腫瘍によるエピトープ提示と同調させ、そして腫瘍上
に存在するハウスキーピングエピトープを認識するCTL集団を活性化し得る。
【0105】 したがってpAPC中の免疫プロテアソームが定性的に周辺細胞中のハウスキ
ーピングプロテアソームが生産するものとは異なるエピトープを生産するという
発見は、TILが腫瘍細胞を根絶しない理由への説明を提供する。上記のプロセ
シングメカニズムは、Tリンパ球が腫瘍塊中にたどり着く方法を説明するが、腫
瘍細胞自体に対して比較的に有効でない。pAPCの免疫プロテアソームと腫瘍
細胞のハウスキーピングプロテアソームとの間の示差的抗原プロセシングは、進
行性癌を有する患者におけるTuAAに対して特異的なTリンパ球の高頻度性の
観察を説明し得る(Lee, et al. Nature Medicine(1999) 5[6]:677-685)(図4
)。
【0106】 プロテアソーム活性の差異のために、周辺標的細胞、例えば腫瘍細胞、および
ウイルスまたはその他の細胞内寄生生物に感染したいくつかの細胞(これらはす
べてハウスキーピングプロテアソームを発現する)は必然的に、T細胞が、認識
するためにpAPCにより条件調節されるエピトープシグナルとは異なるエピト
ープシグナルを表示する。この発見にかんがみて、プロテアソームに関する強力
な免疫調節的役割が出現する。この発見は、標的細胞の有益なおよび致死的な細
胞媒介性攻撃を誘導するために、免疫系、特にpAPCの操作に手がかりを提供
する。
【0107】 示差的抗原プロセシングは、TuAAに特異的なCTLがしばしば、疾患の根
絶を伴わずにTILの間に見出される理由を説明する。Tリンパ球応答は、pA
PCによりプロセシングされたTuAAに対して準備される。TIL間に見出さ
れるCTLは、pAPC上に存在したが腫瘍細胞上には存在しないクラスITu
AAをひたすらターゲッティングする(図4)。
【0108】 身体中の腫瘍細胞の振る舞い、すなわち移動、抗原脱落、炎症性応答の誘導な
どは、強い免疫応答を生じる。残念ながら、腫瘍細胞およびpAPC間の示差的
抗原プロセシングの天然メカニズムは、腫瘍のエピトープ単離を生じる。すなわ
ち、腫瘍はTuAAをプロセシングするpAPCの場合とは異なるエピトープ特
色を有し、したがって腫瘍エピトープは、認識するためにpAPCによりCTL
が誘導されるエピトープから「単離」される。このエピトープ単離作用を予測し
、それに対抗する能力は、治療用癌ワクチンの新規の生成の開発にきわめて重要
である。エピトープ単離の克服は、エピトープ同調を生じる。
【0109】 ウイルスおよびその他の細胞内寄生生物による感染におけるエピトープ差異の
役割 広範な種々のメカニズムが、宿主生物体中で慢性感染を確立するために持続性
病原菌により用いられる。一般的特質は、抗原発現の低減または変更である。い
くつかの実施形態では、本発明は、種々の病原体による細胞内感染の治療および
予防に向けられる。このような病原体の例としては、任意のウイルス、細菌、原
生動物、プリオン、または宿主中に感染の細胞内段階を有するその他の生物体が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】 pAPCによるウイルス抗原提示は、プロテアソームによるウイルス抗原のペ
プチドへの消化で開始する。プロテアソームがタンパク質をペプチドに消化した
後、ペプチドのいくつかは小胞体中でクラスI複合体上に載せられて、細胞表面
に輸送される。細胞表面では、クラスI−ペプチド複合体はCTLの表面上のT
細胞受容体により認識され、感染細胞が殺される。
【0111】 ヘルペスウイルスおよびレトロウイルスは、制限ウイルス遺伝子発現を介した
宿主の免疫系による検出およびその後の根絶を免れる。ある種のウイルスが免疫
系をすり抜け得る他のメカニズムも提唱されており、その例としては、鍵となる
ウイルスペプチドにおけるウイルス感染および抗原性変異の「免疫学的に免除さ
れた」部位が挙げられる。これらのモデルはある種のウイルスの持続性を説明し
得るが、一方でエピトープ同調または逆にエピトープ区画化の概念は解決を提供
する。すなわち、この概念は、宿主細胞中での免疫プロテアソーム発現を遮断し
、あるいはそうでない場合は感染細胞およびpAPC間の有効なエピトープ同調
を防止することにより、免疫系をすり抜ける任意のウイルスまたはその他の細胞
内寄生生物に対する有効な細胞性免疫応答をワクチンが指図するための基礎を提
供する(図5)。
【0112】 病原体による任意の細胞の感染は通常は感染細胞にIFNを生産させるため、
感染組織中のプロテアソームは、典型的にはハウスキーピング形状から免疫形状
に切り替わる。したがって感染は、ウイルスまたはその他の細胞内病原体に対す
る免疫応答の刺激に関与するpAPCのものと、それがその表面に表示する抗原
レパートリーに関して、感染細胞を強力させる作用を有する。ウイルス感染細胞
かまたは寄生的感染細胞がハウスキーピングプロテアソームではなく免疫プロテ
アソームを発現するよう誘導されると、その結果は、感染細胞およびpAPC間
の「エピトープ同調」、ならびにその後のCTLによる感染細胞の根絶となる。
【0113】 しかしながらある種のウイルスおよびその他の細胞内寄生生物は、感染細胞の
効率的T細胞認識に必要な宿主分子の発現をダウンレギュレーションすることに
より、T細胞認識を免れ得る。多数の慢性ウイルス感染がIFNカスケードを妨
害するということを示唆する証拠がある(第1表参照)。したがって多数の慢性
感染におけるハウスキーピングプロテアソーム、免疫プロテアソームおよびエピ
トープ区画化の役割のために、本発明のいくつかの実施形態は、任意の関連細胞
内寄生生物、例えばウイルス、細菌および原生動物(これらに限定されない)に
対するワクチンの設計にも適用可能である。細胞内寄生生物はすべて、このよう
なワクチン設計のための標的である。これらの例としては、ウイルス、例えばア
デノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン−バーウイルス、単純ヘル
ペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトヘルペスウイルス6、水痘−帯
状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、
パルボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポリオーマウイルスJC、C
型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV
)、ヒトT細胞白血病ウイルスIおよびヒトT細胞白血病ウイルスII;細菌、
例えばクラミジア、リステリア、サルモネラ、レジオネラ、ブルセラ、コクシエ
ラ、リケッチア、ミコバクテリウム属;ならびに原生動物、例えばリーシュマニ
ア、トリパノゾーマ、トキソプラズマおよびプラスモジウム属が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0114】
【表1】
【0115】 エピトープ同調を達成するためのワクチンおよび方法 本明細書中で考察されているように、有効な細胞性免疫は、pAPCおよび感
染周辺細胞間の同調化エピトープ提示に基づいている。エピトープ同調の非存在
下では、標的細胞は、それらのT細胞がTAAに対して向けられる場合でさえ、
T細胞により認識されない。癌細胞および存続性細胞内寄生生物を保有する細胞
は、それらがエピトープ同調を回避するために、細胞性免疫応答を逃れる。「自
然」エピトープ同調は、感染細胞が免疫エピトープを表示し、したがってpAP
Cにより誘導されるT細胞により認識されるよう、感染細胞中での免疫プロテア
ソームの活性化に関わる。さらに癌ならびに存続性細胞内寄生生物により感染さ
れる細胞は、活性免疫プロテアソームを有さず、したがって誘導化T細胞の正常
アレイにより認識されない状態になる。
【0116】 本発明の好ましい実施形態のワクチンおよび方法は、したがって、本質的に「
逆」エピトープ同調を示し、pAPCにハウスキーピングエピトープを表示させ
て、標的細胞が免疫エピトープを表示しない状況に対処する(図6および図7)
。ある種の実施形態は、選定標的細胞に対応するハウスキーピングエピトープお
よび免疫エピトープの両方を表示するようpAPCを誘導することにより、エピ
トープ同調の第二波も提供する。したがってこれらの二重エピトープ実施形態で
は、ハウスキーピングエピトープを認識するT細胞により標的細胞が有効に攻撃
されれば、免疫プロテアソームプロセッシングへの標的細胞による切り替えは、
免疫認識の損失を生じない。これは、免疫エピトープを認識するT細胞の集団を
誘導するよう作用するワクチン中の免疫エピトープの存在のためである。
【0117】 本発明の好ましい実施形態は、特定の標的細胞上に表示されるエピトープに対
応するハウスキーピングエピトープをpAPCまたはpAPCの集団に提示させ
るためのワクチンおよび方法に向けられる。一実施形態では、ハウスキーピング
エピトープは特定腫瘍型のハウスキーピングプロテアソームによりプロセシング
されるTuAAエピトープである。別の実施形態では、ハウスキーピングエピト
ープは、ウイルスに感染した細胞のハウスキーピングプロテアソームによりプロ
セシングされるウイルス関連エピトープである。これは、標的細胞に対する特異
的T細胞応答を促す。異なる誘導状態(前および後攻撃)に対応する多重エピト
ープのpAPCによる同時発現は、それらがハウスキーピングエピトープまたは
免疫エピトープのいずれかを表示するので、標的細胞に対して有効なCTL応答
を引き起こす(図8)。
【0118】 pAPC上に提示されるハウスキーピングエピトープおよび免疫エピトープの
両方を有することにより、この実施形態は標的細胞に対する細胞傷害性T細胞応
答を最適化し得る。二重エピトープ発現を用いて、pAPCは、腫瘍細胞が、例
えば腫瘍浸潤性CTLにより生産され得るIFNによる誘導によって、ハウスキ
ーピングプロテアソームから免疫プロテアソームに切り替えた場合、免疫型エピ
トープに対するCTL応答を維持し続け得る。
【0119】 好ましい実施形態では、患者の免疫感作は、ハウスキーピングエピトープを包
含するワクチンによる。多数の好ましいTAAは、もっぱら、感染細胞の場合に
特に、標的細胞に関連する。別の実施形態では、多数の好ましいTAAは形質転
換細胞中での脱調節化遺伝子発現の結果であるが、しかし精巣、卵巣および胎児
の組織中でも見出され得る。別の実施形態では、有用なTAAは他の細胞中でよ
りも標的細胞中で高レベルに発現される。さらに他の実施形態では、TAAは他
の細胞と比較して標的細胞中で示差的に発現されないが、しかし、それらは細胞
の特定の機能に関与し、標的細胞を他のほとんどの周辺細胞から分別するため、
依然として有用である。このような実施形態では、同様にTAAを表示する健常
細胞は誘導されたT細胞応答により付帯的に攻撃され得るが、しかしこのような
付帯的損害は標的細胞により引き起こされる状態よりはるかによいと考えられる
【0120】 腫瘍性細胞が標的である場合、好ましい抗原としてはTuAAが挙げられる。
用いるのに適したタンパク質抗原の例としては、分化抗原、例えばMelanA
(MART−I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1
、TRP−2、および腫瘍特異的多重直系抗原、例えばMAGE−1、MAGE
−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE、NY−ES
O、SCP−1、Hom/Mel−40およびPRAMEなどが挙げられる。同
様に、TuAAとしては、過剰発現癌遺伝子、および突然変異腫瘍抑制遺伝子、
例えばp53、H−RasおよびHER−2/neuなどが挙げられる。さらに
染色体転位に起因する独特のTuAA、例えばBCR−ABL、E2A−PRL
、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、ならびにウイルス抗原、例
えばエプスタインバーウイルス抗原EBNA、およびヒトパピローマウイルス(
HPV)抗原E6およびE7などが挙げられる。その他の有用なタンパク質抗原
としては、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p1
85erbB2、p180erbB−3、c−met、nm−23H1、PSA
、TAG−72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ras、β−カテニン
、CDK4、Mum−1およびp16が挙げられるが、これらに限定されない。
これらのおよびその他のTuAAおよび病原体関連抗原は文献中または商業的に
当業者に既知であり、利用可能である。
【0121】 さらなる実施形態では、TAAはウイルスに特異的な抗原である(第2表参照
)。本発明のさらに別の実施形態では、TAAは非ウイルス性細胞内寄生生物に
特異的な抗原である。寄生生物特異的抗原の例としては、細胞内寄生生物に関連
したヌクレオチド、タンパク質またはその他の遺伝子産物が挙げられる。適切な
ヌクレオチドまたはタンパク質は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy/tax
.html/で突き止められるNCBI分類学データベースに見出され得る。寄生生物
およびその他の病原体に関する遺伝子産物のさらに詳細な説明は、このウエブサ
イトに提供されている。
【0122】
【表2】
【0123】 本明細書中に記載された化合物および方法は、標的細胞がハウスキーピングエ
ピトープを表示する任意の状況で有効である。本発明のワクチンおよび治療実施
形態と一緒に用いるための有効なエピトープの発見方法は、本明細書中に開示さ
れている。
【0124】 抗原のタンパク質分解性プロセシング 標的細胞上かまたはpAPC上にMHCにより表示されるエピトープは、大型
タンパク質抗原前駆体の切断産物である。MHC Iエピトープに関しては、タ
ンパク質抗原は細胞中に在留するプロテアソームにより消化される(図1参照)
。細胞内プロテアソーム性消化は、典型的には約3〜23アミノ酸長のペプチド
断片を生産する。細胞内の、または細胞外環境での付加的タンパク質分解性活性
は、これらの断片をさらにトリミングし、プロセシングし得る。MHC IIエ
ピトープのプロセシングは、リソソーム/エンドソーム区画からの細胞内プロテ
アーゼを介して起こる。
【0125】 おそらく、プロテアソームまたはその他のプロテアーゼ活性によるタンパク質
プロセシングのほとんどの産物は、特定のMHC受容体ペプチドの結合する溝に
対してほとんどまたはまったく親和性を有さない。しかしながらこのような親和
性を有するプロセシング産物は、細胞表面でのMHCにより、いくらかのレベル
の存在量で、提示されると思われる。逆に、既定のオリゴペプチド配列が細胞の
抗原プロセシング活性から完全には出現しない場合、それは、MHCに対する配
列の予測親和性とは関係なく、細胞表面に提示され得ない。
【0126】 MHC親和性に完全に集中するワクチン設計は、基本的に欠陥がある。ペプチ
ドがMHC結合親和性を有するという単なる事実は、このようなペプチドが機能
的免疫原に向かうことを保証しない。TAAに対する有効な免疫応答を引き出し
得るエピトープを提供するためには、ペプチドはMHC結合親和性を有さねばな
らず、かつ細胞ペプチド生成系の産物でなければならない。開示された本発明の
方法は、新規の当該エピトープを同定するためにMHC結合親和性分析および抗
原プロセシング分析プロトコルの両方を利用する。
【0127】 予測されるまたは既知のMHC結合と抗原のタンパク質分解性プロセシングと
の相関 免疫原性化合物として有効であると考えられるエピトープを同定するためには
、MHC結合のみの予測は、予測結合を有する多数の断片が実際には細胞中で生
成されないため、一般的に不利である。本発明の実施形態は、MHC結合の分析
とタンパク質分解性プロセシングの分析を組合せて、有用なエピトープの不可欠
な特性:MHC親和性および的確なタンパク質分解性プロセシングの両方を有す
るエピトープを同定する。これらの特性の両方を有するペプチドは、ワクチンお
よび免疫療法のための強力な候補である。これらの特性のいずれかを欠くペプチ
ドは、有効なエピトープとして機能する任意の有意の機会を有さないと思われる
【0128】 本発明の実施形態は、ワクチン中に用いるためのTAA由来エピトープを同定
し得る。標的抗原は、腫瘍性細胞、ウイルスもしくはその他の細胞内寄生生物に
感染した細胞か、またはその他の病原性作因、例えば細菌、真菌、原生動物、ウ
イルス、プリオン、毒素、毒物、アレルゲン等に感染した細胞から得られる。要
するに、本方法の実施形態は、事実上あらゆるタンパク質配列に適用することが
でき、タンパク質分解により生成し得る、かつMHCと結合し得るエピトープを
その中で同定し得る。したがって本発明は、任意の特定の標的または医学症状に
限定されず、その代わりに、任意の有用な供給源からの生物学的関連MHCエピ
トープの発見を包含する。
【0129】 好ましい実施形態では、TAAは、腫瘍性細胞に特徴的であり、したがって、
腫瘍関連抗原(Tu−AA)と定義される。好ましいTuAAとしては、Mel
anA(MART−1)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TR
P−1、TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、
GAGE−2、p15;一般に過剰発現胚性抗原;過剰発現癌遺伝子、および突
然変異腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、Ras、HER−2/neu;染色体転
位に起因する独特の腫瘍性抗原、例えばBCR−ABL、E2A−PRL、H4
−RET、IGH−IGK、MYL−RAR1、ならびにウイルス抗原、例えば
エプスタイン・バーウイルス(EBVA)およびヒトパピローマウイルス(HP
V)抗原E6およびE7のような分化抗原が挙げられる。他の関心ある抗原とし
ては、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、MAAT
−1、GP−100、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE
−6、RAGE、p185erbB−2、p180erbB−3、c−met、
nm−23H1、TAG−72、CA 19−9、CA 72−4、CAM 1
7.1、NuMa、K−ras、−Catenin、CDK4、Mum−1、p
15およびp16が挙げられる。他の標的抗原もまた意図される。
【0130】 TuAAを同定するためには、種々の方法が利用可能であり、当業者に周知で
ある。これらの技法の例としては、示差的ハイブリダイゼーション、例えばマイ
クロアレイの使用;サブストラクティブハイブリダイゼーションクローニング;
mRNAまたはタンパク質発言レベルでのディファレンシャルディスプレイ;E
STシーケンシング;ならびにSAGE(遺伝子発現の配列分析)が挙げられる
。これらの核酸技法は、Carulli, J.P. et al J. Cellular Biochem Suppl. 30/
31:286-296, 1998により概説されている。タンパク質の示差的表示は、例えば腫
瘍および正常組織からの細胞溶解物の二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動の
比較、腫瘍中で独特のまたは過剰発現されるタンパク質スポットの位置、ゲルか
らのタンパク質の回収、ならびに古典的生化学的または質量分光分析的シーケン
シング技法を用いたタンパク質の同定を包含する。TuAAの同定のための付加
的技法は、Tureci, O., Sahin, U., and Pfreundschuh, M., "Serological anal
ysis of human tumor antigens: molecular definition and implications", Mo
lecular Medicine Today, 3:342, 1997で考察されたSEREX技法である。こ
れらのおよびその他の方法の使用は、ハウスキーピングおよび免疫クラスIエピ
トープならびにワクチン用のクラスIIエピトープを生成するための有用な抗原
を同定するのに必要な技法を当業者に提供する。しかしながら、本発明の実施に
際して、新規のTuAAまたはTAAを同定することは必要でない。むしろ本発
明の実施形態は、配列がすでに既知であれ新規であれ、任意の関連タンパク質配
列からの有用なエピトープを同定することを可能にする。
【0131】 MHC結合のためのTAA断片の分析 生物学的関連エピトープを同定するために、MHCに対して既知のまたは予測
される親和性を有するTAA内の断片が同定される。TAAのアミノ酸配列は、
MHCペプチドが結合する溝に対する既知のまたは予測される親和性を有するペ
プチド断片を同定するための多数の異なる技法により分析され得る。本発明の一
実施形態では、TAA断片は、コンピューターアルゴリズムを用いてMHCペプ
チドが結合する溝と結合するそれらの予測される能力に関して分析される。MH
Cの各対立遺伝子は、特定のエピトープ結合ドメインを特定する。したがって任
意の既定のMHC対立遺伝子に関しては、候補ペプチドが、それに対する予測親
和性に関してスクリーニングされ得る。この目的のために適切なコンピューター
アルゴリズムの例としては、Hans-Georg Rammensee, Jutta Bachmann, Niels Em
merich, Stefan Stevanovic:SYFPEITHI:An Internet Database for
MHC Ligands and Peptide Motifs(http://access via: syfpeithi.bmi-heidelb
erg.com/scripts/MHCServer.dll/home.htm)のワールドワイドウエブページで見
出されるものである。この方法から得られる結果は、Rammensee, et al., "MHC
Ligands and Peptide Motifs," Landes Bioscience Austin, TX, 224-227, 1997
で考察されている。別の当該http://サイトは、「bimas.dcrt.nih.gov/molbio/h
la_bind」であり、これも適切なアルゴリズムを含有する。このウエブサイトの
方法は、Parker, et al., "Scheme for ranking potential HLA-A2 binding pep
tides based on independent binding of individual peptide side-chains," J
. Immunol. 152:163-175で考察されている。
【0132】 本発明の方法へのNIH(Parker)アルゴリズムの使用は、結合配列を示すた
めの多数の考え得る保持時間を用いてペプチドを選択する。一実施形態では、無
限の保持時間を有するペプチドが選択される。別の実施形態では、結合配列を示
すためには、25分またはそれ以上の保持時間を有するペプチドが選択される。
さらに別の実施形態では、結合配列を示すために15分またはそれ以上の保持時
間が選択される。さらに別の実施形態では、結合配列を示すために10分または
それ以上の保持時間が選択される。9、8、7、6、5、4、3、2および1分
の保持時間も考慮される。
【0133】 予測アルゴリズムの代替物として、MHCの特定の対立遺伝子に対する親和性
を有するペプチドを同定するために、多数の標準in vitro受容体結合親
和性アッセイが利用可能である。したがって本発明のこの態様の方法により、ペ
プチド断片の初期集団は狭められて、MHCの選定対立遺伝子に対する実際のま
たは予測される親和性を有するペプチドのみを含み得る。
【0134】 最初に、この分析のためのペプチド候補は、TAAの全タンパク質配列からの
約6〜24連続アミノ酸のそれぞれの考え得る配列を含み得る。好ましい実施形
態では、配列は、約7〜20アミノ酸長であり得る。さらに好ましい実施形態で
は、配列は約8〜15アミノ酸長であり得る。MHC 1に対する予測親和性を
有する断片を同定するための配列分析のために、最も好ましい実施形態は、TA
Aの9または10連続アミノ酸断片の考え得るすべての配列を分析する。断片の
MHC親和性の分析は、in vitroで、または断片のコンピューター分析
により実行され得る。
【0135】 MHC 1の選定共通対立遺伝子およびそれらのおよその頻度は、以下の第3
表〜第5表に報告されている。
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
【表5】
【0139】 第3、4、および5表は、HLA Gene and Haplotype Frequencies in the Nort
h American Population: The National Marrow Donor Program Donor Registry,
Mori, M. et al. Determining Whether a Fragment with MHC Affinity is a U
seful Epitopeに由来する。
【0140】 上記のように、開示された方法の予備段階は、ペプチド断片のオリジナル集団
の中から、実際のまたは予測されるMHC親和性を有するペプチドの亜集団を選
択することである。選定断片は、選定MHC対立遺伝子とのペプチドの結合を生
じうるin vivo条件下で細胞により生産され得ることを確定するためにさ
らに分析される。MHC親和性および的確なタンパク質分解性プロセシングの両
判定基準を満たすすべてのペプチドは、「発見エピトープ」と呼ばれる。種々の
方法は、ペプチド断片がin vivoでのタンパク質分解性プロセシングによ
り生産され得るか否かを確定するために利用される。これらの方法としては、可
溶化MHCおよびインタクト細胞からのペプチドの溶出、タンパク質分解性切断
モチーフのコンピューター配列分析、ならびに細胞タンパク質分解機構により生
産される実際のペプチド断片のin vitro分析が挙げられる。
【0141】 好ましい実施形態では、個々のまたはクラスター化候補ペプチド配列を中心に
含有する一連の合成ペプチドが生成され得る。このようなペプチドは、典型的に
は約10〜約75アミノ酸長の範囲である。好ましい実施形態では、合成ペプチ
ドは約20〜60アミノ酸長である。さらに好ましい実施形態では、クラスター
は約30〜40アミノ酸長である。標準ペプチド合成化学、例えばt−Boc保
護化学、Fmoc保護化学等を用いて、通常の当業者は、その後のスクリーニン
グのための候補ペプチドの一集団を生成し得る。
【0142】 あるいは候補ペプチドを含有するペプチド断片は、TAAまたはその断片のプ
ロテアーゼ消化または化学的切断によりin vitroで生成され得る。TA
Aのこのような断片を調製するためのプロテアーゼ消化は、広範な種々の既知の
プロテアーゼを用い得て、その例としては、プロテアソームプロテアーゼ、トリ
プシン、−キモトリプシン、ブロメライン、クロストリパイン、エラスターゼ、
エンドプロテイナーゼ、エキソプロテイナーゼ、プロテイナーゼK、フィシン、
パパイン、ペプシン、プラスミン、サーモリシン、トロンビン、トリプシン、カ
テプシン等が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチド候補を生成するた
めには、化学的方法も用いられ得る。ペプチド結合を切断するための適切な化学
物質または化学反応としては、緩やかな酸切断、臭化シアン、ヒドロキシルアミ
ン、ヨードソ安息香酸、2−ニトロ−5−チオシアノベンゾエート等が挙げられ
る。一実施形態では、非断片化TAAが用いられ得るが、しかし特に大型の初期
配列の使用が分析を複雑にし得る。
【0143】 候補ペプチドを含有する断片が作製される方法にかかわらず、どのエピトープ
が細胞機構により生産されるかの確定が重要である。本発明の一実施形態では、
プロテアソーム消化は細胞エピトープ生成を見積もるために用いられる。この実
施形態では、2種類のプロテアソームから天然に生成される抗原性レパートリー
を査定するために、免疫プロテアソームおよびハウスキーピングプロテアソーム
はin vitro使用のために精製される。
【0144】 一般に、プロテアソームは、細胞抽出物からのアフィニティー精製により調製
される。好ましい実施形態では、細胞溶解物は標準技法を用いて調製される。溶
解物は、赤血球がオリジナル供給源物質でない場合、超遠心分離により取り除か
れる。次に調製細胞溶解物は、種々の形態のクロマトグラフィーを含めた多数の
精製技法のうちのいずれか1つを用いて、他の細胞構成成分から精製される。
【0145】 一実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーはプロテアソームを精製
するために用いられる。細胞溶解物は、プロテアソームサブユニットのうちの1
つに対するモノクローナル抗体(mAb)を含有するアフィニティーカラムに適
用される。カラムは次に洗浄されて、他の細胞物質から結合プロテアソームを精
製する。洗浄後、結合プロテアソームは次に、カラムから溶出される。溶出液は
、タンパク質含量および標準基質上でのタンパク質分解活性に関して特徴付けら
れる。
【0146】 ハウスキーピングプロテアソームおよび免疫プロテアソームの両方を用いる切
断分析は、種々のTAAからクラスIエピトープを生じる。pAPCにより提示
されるエピトープは免疫プロテアソームの切断産物に対応するが、一方、腫瘍に
より、かつ細胞内寄生生物に慢性的に感染した多数の細胞により提示されるエピ
トープはハウスキーピングプロテアソームの切断産物に対応する。消化が実施さ
れれば、生産される特定分子種が同定される。好ましい実施形態では、これは質
量分光分析により成し遂げられる。これは、2種類のプロテアソームのいずれか
により生産される天然ペプチド断片の迅速な同定を可能にする。別の実施形態で
は、免疫プロテアソームおよびハウスキーピングプロテアソームによる、あるい
はエンドソーム/リソソームプロテアーゼによる標的抗原またはその断片の切断
(下記参照)は、関連タンパク質分解活性の切断モチーフを基礎にしたコンピュ
ーターモデリングにより予測される。
【0147】 クラスI MHCは、最初に小胞体中でフォールディングするので、最初にプ
ロテアソーム由来ペプチドを負荷されるが、一方、クラスII MHCの結合す
る溝はこの区画中のいわゆる不変鎖(Ii)により遮断される。クラスII M
HCに関するペプチドの負荷は、エンドソームプロテアーゼおよびリソソームプ
ロテアーゼにより生成されるペプチドを利用して、エンドソーム区画で主に起こ
る。したがってMHCクラスIIエピトープのin vitro同定が望ましい
場合、エンドソームおよび/またはリソソーム分画からのプロテアーゼの調製は
、プロテアソームの代わりになり得る。この代理を成し遂げるための種々の方法
は、文献に記載されている。例えば、Kido & Ohshita, Anal. Biochem., 230:41
-7(1995); Yamada, et al., J. Biochem.(Tokyo), 95:1155-60(1984); Kawashim
a, et al., Kidney Int., 54:275-8(1998); Nakabayshi & Ikezawa, Biochem. I
nt. 16:1119-25(1998); Kanaseki & Ohkuma, J. Biochem.(Tokyo), 110: 541-7(
1991); Wattiaux, et al., J. Cell Biol., 78:349-68(1978); Lisman, et al.,
Biochem. J. 178:79-87(1979); Dean, B., Arch. Biochem. Biophys., 227:154
-63(1983); Overdijk, et al., Adv. Exp. Med. Biol., 101:601-10(1978); Str
omhaug, et al., Biochem. J., Biochem. J., 335:217-24(1998); Escola, et a
l., J. Biol. Chem. 271:27360-5(1996); Hammond, et al., Am. J. Physiol.,
267: F516-27 (1994); Williams & Smith, Arch. Biochem. Biophys. 305: 298-
306 (1993); Marsh, M., Methods Cell Biol., 31: 319-34 (1989);およびSchmi
d & and Mellman, Prog. Clin. Biol. Res., 270:35-49(1988)はすべて、適切な
タンパク質分解性調製物を調製するための方法を開示する。
【0148】 別の実施形態では、どのエピトープを細胞機構が生産するかを確定するための
消化は、TAAまたはその断片を発現する細胞内で起こる。クラスIエピトープ
に関しては、細胞により発現されるプロテアソームの型が、例えばウエスタンブ
ロッティングにより確定されるのが好ましい。生産されるMHCエピトープは、
Falk, K. et al. Nature 351:290, 1991に記載されているような可溶化および精
製MHCからか、あるいは米国特許第5,989,565号に記載されているよ
うなインタクト細胞から直接、溶出され得る。溶出断片は次に、質量分析法によ
り同定される。
【0149】 標的タンパク質断片の分析 質量分析法により検出される分子種は、上記で予測された候補ペプチドと比較
される。クラスIエピトープの場合に関しては、候補ペプチドと同じくらい長い
かまたはそれより長い、かつそのC末端を共有するペプチドが望ましい。少なく
とも25アミノ酸までのN末端トリミングは、プロテアソームについて別々に起
こり得る(Craiu, A. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:10850-55, 1997
)。クラスII MHCは、それが結合するペプチドの長さに関して非常に寛容
であり、したがってエピトープの中央部における切断の非存在は、適切な末端の
生成というよりむしろ、第一の判定基準になる。
【0150】 次に選定消化産物が合成され、かつ消化物の定分量に対するHPLCのような
分析方法における標準として用いられる。これにより、消化産物の同一性に関す
るさらなる検査を提供し、その収量を確定させることができる。まれな場合、1
つより多い考え得る生成物は、同様の十分な質量およびそれらがこれらの方法に
より確実に分別され得ない化学的特徴を有し得る。このような場合、HPLCピ
ークが収集され、同一性を確証するための直接シーケンシングに付され得る。
【0151】 MHC結合に関するペプチドの分析 エピトープが合成され、MHC受容体を結合するその能力に関して試験される
。例えば好ましい一アッセイでは、MHC I受容体を表示する細胞は、放射性
核種で標識された候補ペプチドの結合親和性を測定するために用いられ得る。別
の好ましいアプローチは、細胞培養ベースのアッセイを用いて、MHC I受容
体と結合するペプチドの能力を測定する。このアッセイでは、抗原プロセシング
に関連した輸送体(TAP)を欠く細胞は、候補ペプチドがMHC I受容体と
結合する能力を有するか否かを確定するために用いられる。TAP-細胞は、ク
ラスI MHCタンパク質が常に適切にフォールディングするというわけでなく
、したがってMHC Iの表面発現が低減されるか、または発現しない表現型を
有する。細胞が、MHC Iの溝と結合し得る外因性ペプチドであふれる場合、
受容体の発現は回復される。これはいくつかの手段により、例えばRIA、FA
CS等によりモニタリングされ得る。TAP-細胞を用いて、詳細な結合親和性
分析を実施することなく、受容体結合に関して当業者は多数の考え得る候補ペプ
チドをスクリーニングし得る。
【0152】 本発明の種々の実施形態の分析方法は、種々の方法で生成される候補ペプチド
を検査するのに有用である。例えば記載された分析は、in vitro方法に
よるか、またはコンピューター分析により生成される多数の候補ペプチドを評価
して、MHC受容体結合特性を有する候補配列を同定するのに用いられ得る。本
発明のこの実施形態における好ましい候補ペプチドは、ハウスキーピングプロテ
アソームおよび/または免疫プロテアソームによるタンパク質分解性生産の産物
であることがすでに既知であるものである。MHCと結合することが示されるか
または予測されるin vivo切断産物およびin vitro切断産物はと
もに、「発見エピトープ」として適正に示される。本発明と一緒に用いるための
エピトープクラスターは、本明細書中に開示されている。
【0153】 ECRはpAPC中でMHC結合エピトープにプロセシングされる 免疫系は、一部はpAPCの活動により、外来抗原の存在に対して絶えず身体
を調査する。細胞外環境中に見出されるpAPCエンドサイトーシス物質は、そ
の物質をポリペプチド形態から約3〜23アミノ酸長というより短いオリゴペプ
チドにプロセシングし、その結果生じるペプチドのいくつかをpAPCのMHC
複合体を介してT細胞に対して表示する。例えば溶解時の腫瘍細胞は、その細胞
内容物、例えば種々のタンパク質を細胞外環境に放出する。これら放出されたタ
ンパク質は、pAPCによりエンドサイトーシスされ、別個のペプチドにプロセ
シングされ、これが次にMHCを介してpAPCの表面に表示される。このメカ
ニズムにより、pAPCの表面に提示されるのは全標的タンパク質ではなく、し
かしむしろ、MHC結合エピトープとして提示されるそのタンパク質の1つのみ
またはそれ以上の別個の断片である。提示エピトープがT細胞により認識される
場合、そのT細胞は活性化され、免疫応答が結果として生じる。
【0154】 同様に、pAPC上のスカベンジャー受容体は、裸核酸配列か、または標的核
酸配列を含有する組換え生物体を取込み得る。pAPC中への核酸配列の取込み
は、その後、コード産物の発現を生じる。上記のように、ECRが1つまたはそ
れ以上の有用なエピトープ中にプロセシングされ得る場合、これらの産物はT細
胞による認識のためのMHCエピトープとして提示され得る。
【0155】 MHC結合エピトープはしばしば、クラスター中のタンパク質配列全体に不均
一に分布される。本発明の実施形態は、標的タンパク質の特定領域中のエピトー
プクラスター領域(ECR)を同定することに向けられる。候補ECRは、種々
のタンパク質分解酵素のための天然基質であると考えられ、そしてpAPCの表
面でのMHC表示のために1つまたはそれ以上のエピトープにプロセシングされ
ると考えられる。全タンパク質または生物学的作用物質を送達するより古典的な
ワクチンに対照するものとして、ECRはワクチンとして投与されることができ
、少なくとも1つのエピトープが、全長配列の使用を必要とせずにMHC上に提
示される高い確率を生じる。
【0156】 別個のMHC結合エピトープの同定におけるECRの使用 ワクチンに用いるための推定MHCエピトープの同定はしばしば、MHCに対
するペプチド断片の結合親和性を予測するためのタンパク質または遺伝子の配列
を分析する利用可能な予測アルゴリズムの使用を包含する。これらのアルゴリズ
ムは、予測される親和性またはMHC結合に関連したその他の特性により推定エ
ピトープを等級付けする。この種の分析のためのアルゴリズムの例としては、Ra
mmenseeおよびNIH(Parker)アルゴリズムが挙げられる。しかしながら、こ
れらのアルゴリズムを用いて予測される推定エピトープの中から細胞の表面に天
然に存在するエピトープを同定することは、困難で、かつ骨の折れる過程である
ことが立証されている。エピトープ同定過程におけるECRの使用は、別個のM
HC結合エピトープを同定するという仕事を非常に単純化し得る。
【0157】 好ましい実施形態では、ECRポリペプチドは自動ペプチド合成機で合成され
、これらのECRは次に、エピトープの提示のためのタンパク質のプロセシング
に関与するタンパク質分解酵素を用いてin vitro消化を施される。次に
質量分析および/または分析的HPLCを用いて、消化産物を同定し、そしてi
n vitroMHC結合試験を用いて、MHCに実際に結合するこれらの産物
の能力を査定する。ECR中に含入されるエピトープがMHCを結合することが
示されれば、それらはワクチン中に組入れられ、診断薬として、別個のエピトー
プとしてまたはECRの状況で、用いられ得る。
【0158】 この好ましい実施形態におけるECR(その相対的に短い配列のために、化学
合成により生成され得る)の使用は、別の場合には全タンパク質の使用を要する
であろうものを上回る有意の改良である。これは、全タンパク質が組換え発現ベ
クター系および/または複合精製手法を用いて生産されねばならないためである
。化学的合成ECRを用いる単純化は、多数のエピトープの分析および同定を可
能にする一方、他の一般に用いられる方法と比較した場合に過程の時間および経
費を大幅に低減する。限定ECRの使用は、ECR消化の産物が全タンパク質の
消化産物の小分画であるため、消化物の質量分光分析も大幅に単純化する。
【0159】 別の実施形態では、ECRをコードする核酸配列は、エピトープが表面に提示
されるか明らかにするため、細胞または細胞系中でポリペプチドを発現するため
に用いられる。表面のエピトープを検出するために、種々の手段が用いられ得る
。好ましい実施形態は、細胞の溶解およびMHCのアフィニティー精製、その後
のMHCからのペプチドの溶出および分析、またはインタクト細胞からのエピト
ープの溶出を包含する(それぞれ、Falk, K. et al. Nature 351:290, 1991およ
び米国特許第5,989,565号)。MHCからこの方法で溶出されるペプチ
ドを分析するための感度の高い方法は、毛管またはナノ毛管HPLC ESI質
量分析およびオンラインシーケンシングを用いる。
【0160】 ECRを含有する標的関連抗原 ECRが限定され得るTAAとしては、TuAAからのもの、例えば腫瘍胎児
性、癌−精巣、脱調節化遺伝子、遍歴転位(errant translocations)からの融
合遺伝子、分化抗原、胚性抗原、細胞周期タンパク質、突然変異腫瘍抑制遺伝子
、および過剰発現遺伝子産物、例えば癌遺伝子が挙げられる。さらにECRは、
ウイルス遺伝子産物、特に慢性疾患を引き起こすかまたは癌遺伝子性であるウイ
ルスに関連したもの、例えばヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒト
免疫不全ウイルスおよびヒトT細胞白血病ウイルスから得ることができる。EC
Rは寄生生物体、例えばトリパノソーマ、リーシュマニアおよびその他の細胞内
または寄生生物体の遺伝子産物からも得ることができる。
【0161】 これらのTuAAのいくつかとしては、α−フェトタンパク質、癌胚性抗原(
CEA)、食道癌由来NY−ESO−1およびSSX遺伝子、SCP−1、PR
AME、MART−1/MelanA(MART−1)、gp100(Pmel
17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、MAGE−
2、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、p15;過剰発現
癌遺伝子、および突然変異腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、Ras、HER−2
/neu;染色体転位に起因する独特の腫瘍性抗原、例えばBCR−ABL、E
2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR1およびウイル
ス抗原、EBNA1、EBNA2、HPV−E6、−E7;前立腺特異的抗原(
PSA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、MAAT−1、GP−100、TS
P−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、RAGE、p185
erbB−2、p185erbB−3、c−met、nm−23H1、TAG−
72、CA 19−9、CA72−4、CAM 17.1、NuMa、K−ra
s、−Catenin、CDK4、Mum−1、p15およびp16が挙げられ
【0162】 多数の他のTAAもまた、病原体および腫瘍の両方のために意図される。Tu
AAに関して、正常細胞と比較して腫瘍性細胞において差次的に発現される遺伝
子および遺伝子産物を同定するためには、種々の方法が利用可能であり、当該技
術分野で既知である。これらの技法の例としては、示差的ハイブリダイゼーショ
ン、例えばマイクロアレイの使用;サブストラクティブハイブリダイゼーション
クローニング;mRNAまたはタンパク質発現レベルでのディファレンシャルデ
ィスプレイ;ESTシーケンシング;およびSAGE(遺伝子発現の配列分析)
が挙げられる。これらの核酸技法は、Carulli, J.P. et al J. Cellular Bioche
m Suppl. 30/31:286-296, 1998により概説されている。タンパク質ののディファ
レンシャルディスプレイは、例えば腫瘍および正常組織からの細胞溶解物の二次
元ポリアクリルアミドゲル電気泳動の比較、腫瘍中で独特のまたは過剰発現され
るタンパク質スポットの位置、ゲルからのタンパク質の回収、および古典的生化
学的または質量分光分析的シーケンシング技法を用いたタンパク質の同定を包含
する。TuAAの同定のための付加的技法は、Tureci, O., Sahin, U., and Pfr
eundschuh, M., "Serological analysis of human tumor antigens: molecular
definition and implications", Molecular Medicine Today, 3:342, 1997で考
察されたSerex技法である。
【0163】 これらのそしてその他の方法の使用は、開示する本発明のエピトープを生成す
るための考え得る候補タンパク質として使用され得る、標的細胞内に含入される
遺伝子および遺伝子産物を同定するのに必要な技法を当業者に提供する。しかし
ながら、本発明の実施に際して、新規のTuAAまたはTAAを同定することは
必要でない。むしろ本発明の実施形態は、配列がすでに既知であれ新規であれ、
任意の関連タンパク質配列からのECRを同定することを可能にする。
【0164】 エピトープクラスターを同定するためのタンパク質配列分析 本発明の好ましい実施形態では、ECRの同定は、以下の2つの主な過程を包
含する:(1)良好な推定エピトープを同定すること、(2)これらの推定エピ
トープが位置する任意のクラスターの境界を限定する。これら2つの過程の各々
の種々の好ましい実施形態が存在し、第1の過程のための選定実施形態は、第2
の過程のための選定実施形態と自由に組合せられ得る。これらの過程の各々のた
めに本明細書中に開示される方法および実施形態は、単なる例示であり、いかな
る点でも本発明の範囲を限定するものではない。特定のTAAの分析に適用され
得る特別な道具およびこのような分析は、本発明にしたがって多数の方法で実行
され得ことを当業者は理解するであろう。
【0165】 良好な推定エピトープを同定するための好ましい実施形態としては、MHCに
対するペプチド断片の結合親和性を予測するために、または予測される親和性も
しくはMHC結合に関連するその他の特徴にしたがって推定エピトープを等級付
けするためにタンパク質または遺伝子の配列を分析する任意の利用可能な予測ア
ルゴリズムの使用が挙げられる。上記のように、この種類の分析のための利用可
能なアルゴリズムの例としては、RammenseeおよびNIH(Parker)アルゴリズ
ムが挙げられる。同様に、良好な推定エピトープは、MHC結合の直接または間
接的アッセイにより同定され得る。「良好な推定エピトープ」を選定するために
は、予測ソフトウェアにより報告されるスコアに関して、あるいはアッセイされ
た結合親和性に関して、分割点を設定する必要がある。いくつかの実施形態では
、このような分割は絶対的である。例えば分割は、エピトープおよび選定MHC
対立遺伝子間の解離の測定されたまたは予測された半減期に基づき得る。このよ
うな場合、分割の実施形態は、例えば0.5分より長い、好ましい実施形態では
2.5分より長い、さらに好ましい実施形態では5分より長い、そして高度に厳
密な実施形態では10分、または20分、または25分より長い任意の解離半減
期であり得る。これらの実施形態では、良好な推定エピトープは、指定分割点の
望ましい側にあると限定された、良好なMHC結合特性を有することが予測また
は同定されるものである。同様に、分割は、エピトープおよび選定MHC対立遺
伝子間の測定または予測された結合親和性に基づき得る。さらに絶対分割は、単
に選定数の推定エピトープであり得る。
【0166】 その他の実施形態では、分割は相対的である。例えば推定エピトープの総数の
選定パーセンテージを用いて、良好な推定エピトープとして候補配列を限定する
ための分割を確立し得る。さらにエピトープを等級付けするための特徴も、測定
または推定されたMHC結合から得られる。このような確定に用いられる特性は
、結合に関連するかまたは結合を示す任意のものであり得る。好ましい実施形態
では、良好な推定エピトープの同定は、候補配列を等級付けする多数の方法を組
合せ得る。このような実施形態では、良好なエピトープは典型的には、異なる方
法およびパラメターに基づいた良好なエピトープのコンセンサスを表すもの、あ
るいは少なくとも1つの方法により特に高く等級付けされるものである。
【0167】 いくつかの良好な推定エピトープが同定された場合、互いに対するそれらの位
置が分析されて、ワクチンまたはワクチン設計に用いるための最適クラスターを
確定し得る。この分析は、TAAの配列内で特徴的な選定エピトープの密度に基
づいている。最高密度の特徴を有する、あるいはある選定切断を上回る密度を有
する領域が、ECRと呼ばれる。本発明の種々の実施形態は、密度分析のための
異なる特徴を用いる。例えば好ましい一特徴は、単に任意の良好な推定エピトー
プ(任意の適切な方法により限定されるような)の存在である。この実施形態で
は、分割より上のすべての推定エピトープは密度分析において等しく処理され、
最良クラスターは、アミノ酸残基あたりで最高密度の良好な推定エピトープを有
するものである。別の実施形態では、好ましい特徴は、推定エピトープを採点ま
たは等級付けするために従来用いられたパラメター(単数または複数)を基礎に
する。この実施形態では、他の推定エピトープに比して、密度分析において別の
推定エピトープの2倍のスコアを有する推定エピトープは密度分析で二重に計量
される。さらにほかの実施形態は、縮小規模であるが、例えばスコアの対数また
は平方根を用いて、密度分析において他のものより重い重量をいくつかの推定エ
ピトープに与えることにより、スコアまたは等級を考慮する。
【0168】 分析されるTAAの長さ、考え得る候補エピトープの数、良好な推定エピトー
プの数、良好な推定エピトープのスコアリングの変動性、および任意の既定分析
で明らかになるその他の因子に応じて、本発明の種々の実施形態は、既定の用途
に最も有用であるECRを同定するために、単独でまたは組合せて用いられ得る
。多数のアプローチを用いる反復または平行分析は、多くの場合に有益であり得
る。ECRは、真のMHCエピトープの同定の効率増大のための、そしてワクチ
ン中へのMHCエピトープの効率的「パッケージング」のための道具である。し
たがって本明細書中に記載された実施形態のいずれか、または本開示に基づいた
当業者に明らかなその他の実施形態は、ワクチンおよびワクチン設計に完全TA
Aを用いる代わりにECRを用いることにより、これらの試みの効率を強化する
のに有用である。
【0169】 多数のまたはほとんどのTAAが低密度の予測MHCエピトープを有する領域
を有するために、ECRの使用は、ワクチンおよびエピトープ同定プロトコルに
低エピトープ密度の領域を含むことの非効率性を回避する有益な方法を提供する
。したがって、有用なECRは、全TAAでないTAAの任意の部分とも限定さ
れ得るが、この場合、その部分は全TAAより、あるいは特に低密度の推定エピ
トープを有するTAAの任意の領域より高い密度の推定エピトープを有する。し
たがって本発明のこの態様では、ECRは高エピトープ密度を有するTAAの任
意の断片であり得る。いくつかの実施形態では、ECRはTAAの長さの約80
%までの領域を包含し得る。好ましい実施形態では、ECRはTAAの長さの約
50%までの領域を含み得る。さらに好ましい実施形態では、ECRはTAAの
長さの約30%までの領域を含み得る。最も好ましい実施形態では、ECRはT
AAの長さの5〜15%の領域を含み得る。
【0170】 本発明の別の態様では、ECRはその絶対長に関して限定され得る。したがっ
てこの定義により、9量体エピトープに関する最小クラスターは、10個のアミ
ノ酸残基を含み、そして共通して8個のアミノ酸を伴う2つの重複9量体を有す
る。好ましい実施形態では、クラスターは約15〜75アミノ酸長である。さら
に好ましい実施形態では、クラスターは約20〜60アミノ酸長である。最も好
ましい実施形態では、クラスターは約30〜40アミノ酸長である。
【0171】 実際上、上記のように、ECR同定は、簡単な密度関数、例えばそれらのエピ
トープにわたるアミノ酸の数でエピトープ数を割った値を用い得る。エピトープ
が重複することは必ずしも必要でないが、単一エピトープに関する値は有意でな
い。分割パーセントに関して単一値のみが用いられ、エピトープ予測における絶
対分割が用いられない場合、クラスターを限定するためにこの段階で単一閾値を
設定することができる。しかしながら絶対分割の使用および異なる分割パーセン
テージを用いた第1の過程の実行は、候補エピトープの全体的密度の変動を生じ
得る。このような変動は、さらなる説明または操作を要し得る。例えば2つのエ
ピトープの重複は、3つだけの候補エピトープが考察された場合、30の候補が
任意の特定長タンパク質に関して考察された場合より有意である。この特徴を考
慮に入れるため、特定クラスターに与えられる重量は、計算の意義を増大するた
めに、実際に考察中の考え得るペプチドの分画でさらに割ることができる。これ
は、その結果を親タンパク質中の予測エピトープの平均密度に概算する。
【0172】 同様に、いくつかの実施形態は、タンパク質中のアミノ酸当たりで考えられる
ペプチドの平均数での良好な推定エピトープのスコアリングを基礎にする。その
結果生じる比率は、推定クラスター中の予測エピトープの密度がタンパク質中の
平均密度と異なる因子を表す。したがってECRは、この比率が2を超える2つ
またはそれ以上の予測エピトープを含有する任意の領域、すなわち二倍の平均密
度のエピトープを有する任意の領域として、一実施形態において限定される。他
の実施形態では、その領域は、比率が1.5、3、4もしくは5またはそれ以上
を超えるECRと限定される。
【0173】 ECRの存在を算定するための標的タンパク質中のアミノ酸当たりのペプチド
の平均数の考察は、個々の構成分のスコア/親和性に関係なく、高密度集団化E
CRを強調する。これは、スコアベースの分割の使用のために最も適切である。
しかしながら高等級候補を小数しか有さないECRは、特に候補ペプチドの総数
の小パーセンテージが良好な推定エピトープと選定された場合には、いくつかの
高密度に詰められるが低等級付けされる候補を有するクラスターより生物学的に
有意であり得る。したがっていくつかの実施形態では、個々のペプチドのスコア
を考慮するのが適切である。これは、上記の計算において推定クラスター中のペ
プチドの数の変わりに推定クラスター中のペプチドのスコアの合計を置き換える
ことにより、最も容易に成し遂げられる。
【0174】 この合計スコア法は、高スコアリングエピトープを含有するまばらに集団形成
されたクラスターに対してより感受性である。BIMAS−NIH/Parkerアル
ゴリズムにより生成される広範囲のスコア(すなわち解離の半減期)は、その他
の考え得るエピトープの関与を小さくする単一高スコアリングペプチドをもたら
し得るため、スコアそれ自体というよりむしろスコアの対数が、好ましくはこの
手法に用いられる。
【0175】 種々のその他の計算は、ある条件または別の条件下で案出され得る。概して、
エピトープ密度関数は、それが推定クラスター内の予測エピトープの数、それら
のスコア、それらの等級等に比例し、その推定クラスター内に含入されるタンパ
ク質のアミノ酸または分画数に反比例するよう、構築される。あるいは関数は、
選定数の連続アミノ酸のウインドウに関して評価され得る。いずれのケースでも
関数は全タンパク質の全推定エピトープについて評価される。推定クラスター(
またはウインドウ)および全タンパク質に関する値の比率が例えば1.5、2、
3、4、5またはそれ以上より大きい場合、ECRが限定される。
【0176】 MHC結合の標的遺伝子生産の分析 いったんTAAが同定されれば、タンパク質配列を用いて、MHCが結合する
溝に対する既知のまたは予測される親和性を有する推定エピトープを同定し得る
。ペプチド断片の試験は、in vitroで実行され得るし、あるいはその配
列の使用は、コンピューター分析されて、ペプチド断片のMHC受容体結合を確
定し得る。本発明の一実施形態では、標的タンパク質のアミノ酸配列に基づいた
ペプチド断片が、MHCペプチドが結合する溝に結合するそれらの予測能力に関
して分析される。この目的のための適切なコンピューターアルゴリズムの例とし
ては、上記のエピトープ発見の考察で参照されたRammensee/SYFPEITH
IおよびNIH(Parker)サイトが挙げられる。
【0177】 予測アルゴリズムの代替物としては、MHCの特定対立遺伝子に対する親和性
を有するペプチドを同定するために、多数の標準in vitro受容体結合親
和性アッセイが利用可能である。したがって、本発明のこの態様の方法により、
ペプチド断片の初期集団は、MHCの選定対立遺伝子に対する実際のまたは予測
される親和性を有する推定エピトープのみを含むよう狭められ得る。MHCの選
定共通対立遺伝子およびそれらのおよその頻度は、上記の第3〜5表に報告され
ている。
【0178】 予測エピトープはしばしば、TAAのアミノ酸配列内の1つまたはそれ以上の
特定領域に密集することが観察されている。このようなECRの同定は、細胞性
免疫を刺激するための有効なワクチンの設計の問題に、簡単で実際的な解決を提
供する。免疫エピトープが望ましいワクチンに関しては、ECRはワクチンとし
て直接的に有用である。これは、pAPCの免疫プロテアソームがクラスターを
的確にプロセシングして、1つまたはそれ以上の含入MHC結合ペプチドを遊離
するためであり、同一方法で、免疫プロテアソームを有する細胞は、完全TAA
由来のペプチドをプロセシングし、提示する。クラスターも、周辺細胞中で活性
なハウスキーピングプロテアソームにより生産されるハウスキーピングエピトー
プの同定のための出発物質として有用である。
【0179】 ワクチン設計に関する付加的考察 ヒト集団中にはMHC Iの多数の対立遺伝子が存在する。したがって好まし
い実施形態では、ワクチン設計は、特定患者のMHC対立遺伝子(単数または複
数)に対する適切な結合親和性を有するエピトープを送達するために、患者のM
HC I遺伝子型を考慮し得る。患者は関連遺伝子座に関してホモ接合またはヘ
テロ接合性であり得るため、本発明のいくつかの実施形態では、単一MHC I
対立遺伝子に最適のエピトープが選好されるが、一方、他の実施形態では、異な
るMHC対立遺伝子に対応するエピトープが選好され得る。各々一般に多重対立
遺伝子によりコードされる主要なクラスI MHC型、ならびにそれらのおよそ
の頻度の部分的リストは、第6表に報告される。
【0180】
【表6】
【0181】 本発明のさらに別の実施形態では、pAPCは、ハウスキーピングエピトープ
およびエピトープクラスターを装備される。エピトープクラスターは、MHC
Iに対する既知のまたは予測された親和性を有する少なくとも2つの配列を含有
するかまたはコードするペプチドまたは核酸配列である。ハウスキーピングエピ
トープは、十分にプロセシングされた状態で、またはそれが有効ハウスキーピン
グエピトープであるようpAPC中でプロセシングされ得るような方法で操作さ
れる前駆体としてpAPCに提供されるのが好ましいが、一方、免疫エピトープ
は、pAPCにより大型前駆体からプロセシングされ得る。これは、免疫プロテ
アソームがpAPC中で構成的に活性であり、おそらくはあらゆる長さの適切な
前駆体を「的確な」免疫エピトープにプロセシングするために十分に適格である
ためである。
【0182】 考え得るエピトープは一般に、免疫エピトープを提供する目的のために多重エ
ピトープを含有するTAAの別個のセグメント中のクラスター中にいつも見出さ
れるわけではない。単に、考え得るエピトープのクラスターを含有するポリペプ
チド、またはクラスターをコードする核酸を有するpAPCだとすると、クラス
ターを発現する組換え生物は、pAPCに少なくとも1つの適切な免疫エピトー
プを生産させ得る。エピトープクラスターは一般に1つより多いクラスI MH
C対立遺伝子に対する考え得るエピトープを含有するため、多数の実施形態にお
いて、単一クラスターを用いて、1つより多いクラスI MHC対立遺伝子に関
して有用な免疫エピトープを生産し得る。
【0183】 好ましい実施形態では、選定TAA由来のハウスキーピングエピトープを含む
ワクチンを患者は接種される。ハウスキーピングエピトープはポリペプチドまた
はポリペプチドをコードする核酸であり得るし、あるいは組換え生物は別個のエ
ピトープを発現するよう操作される。ハウスキーピングエピトープを含有するこ
の「最小」ワクチン(ポリペプチドであれ、核酸であれ、組換え生物体であれ)
以外に、本発明の実施形態は、1つまたはそれ以上のその他のハウスキーピング
エピトープ、あるいは1つまたはそれ以上の免疫エピトープ、あるいはそれらの
任意の組合せを付加的に有するワクチンを包含する。このようなエピトープは同
一TAAに由来し得るし、あるいはそれらは異なるTAAから得られる。
【0184】 本発明の好ましい実施形態は、治療的免疫応答を誘導するためにハウスキーピ
ングエピトープを含むワクチンを投与する方法を包含する。ワクチンは、当業界
で周知の標準ワクチン送達プロトコルと一致する方法で患者に投与される。TA
Aのエピトープの投与方法としては、経皮、結節内、結節周囲、経口、静脈内、
皮内、筋内、腹腔内および粘膜投与が挙げられるが、これらに限定されない。C
TL応答を引き出すためのワクチン送達の特に有用な方法は、PCT国際公開第
99/01283号(「A METHOD OF INDUCING A CTL RESPONSE」、1998年7月10
日提出)に開示されている。
【0185】 エピトープ同調系が細胞媒介性免疫応答の誘導に実用性を有するため、標的細
胞に対する特異的T細胞応答を誘導するためのワクチンは、同様に、本発明の好
ましい実施形態に包含される。ワクチンは、pAPCまたはpAPCの集団にハ
ウスキーピングエピトープを表示させるのに有効な濃度でハウスキーピングエピ
トープを含有する。ワクチンは複数のハウスキーピングエピトープ、あるいは1
つまたはそれ以上のハウスキーピングエピトープを、任意に1つまたはそれ以上
の免疫エピトープと組合せて、含み得るのが有益である。ワクチンの処方物は、
pAPCにエピトープを提示させるのに十分な濃度でペプチドおよび/または核
酸を含有する。処方物は、好ましくは約1μg〜1mg/ワクチン製剤100μ
lの総濃度でエピトープを含有する。ペプチドワクチンおよび/または核酸ワク
チンに関する慣用的投与量および投与が本発明とともに用いられ、このような投
与レジメンは当業界で既知である。一実施形態では、成人のための1回投与量は
、有益には約1〜約5000μlのこのような組成物であり、1回または多数回
で投与され、例えば1週間、2週間、1ヶ月またはそれ以上で2、3、4回また
はそれ以上の投与回数であり得る。特に好ましい実施形態では、このような組成
物は連続的に、リンパ節に直接、インスリンポンプの使用により、少なくとも1
μl/時間の速度で数日間、投与される。このような投与は、PCT国際公開第
99/01283号にさらに十分に記載されているように、定期的に反復されて
、CTL応答を維持し得る。
【0186】 本明細書中に開示された本発明の組成物および方法はさらに、ワクチンの性能
を強化するために、処方物中にアジュバントを組入れることを意図する。特に処
方物へのアジュバントの付加は、pAPCによるエピトープの送達または取込み
を強化するよう意図される。本発明により意図されるアジュバントは当業者に既
知であり、その例としては、例えばGMCSF、GCSF、IL−2、IL−1
2、BCG、破傷風毒素およびオステオポンチン/ETA−1が挙げられる。
【0187】 さらなる実施形態では、ハウスキーピングエピトープ反応性T細胞は、養子免
疫療法として患者に投与され得る。このようなT細胞は、ナイーブドナーからの
細胞を用いて、in vitro免疫感作により最も容易に得られるが、ドナー
としての患者の使用も実行可能であり得る。In vitro免疫感作のための
技法は、当該分野で既知である(例えばStauss et al., Pro. Natl. Acad. Sci.
USA 89:7871-7875, 1992; Salgaller et al., Cancer Res. 55:4972-4979, 199
5; Tsai et al., J. Immunol. 158:1796-1802, 1997;およびChung et al., J. I
mmunother. 22:279-287, 1999)。T細胞の初期供給源としての免疫感作ドナー
または患者自体の使用も意図される(例えばOelke, M. et al. Clin. Cancer Re
s. 6:1997-2005, 2000; Gervois, N. et al. Clin. Cancer Res. 6:1459-1467,
2000; Valmori, D. et al. Cancer Res. 59:2167-3173, 1999; Tsai, V. et al.
Crit. Rev. Immunol. 18:65-75, 1998; Matsunaga, K. et al., Jpn. J. Cance
r Res. 90:1007-1015, 1999; van Elsas, A. et al. Eur. J. Immunol. 26:1683
-1689, 1996;およびAlters, S.E. et al. Adv. Exp. Med. Biol. 417:519-524,
1997参照)。いったん生成されれば、十分数のこのようなT細胞は、本発明のワ
クチンおよび/またはサイトカインを用いた刺激によるin vitroでの拡
張により得られる(例えばKurokawa, T. et al., Int. J. Cancer 91:749-746,
2001参照)。これらのT細胞は、1つまたはそれ以上のエピトープを認識するク
ローンまたはポリクローナル集団を構成し得る。典型的には、105〜108細胞
のオーダーでマウス中に、108〜1011細胞の程度でヒト中に移入される(例
えばDrobyski, W.R. et al. Blood 97:2506-2513, 2001; Seeley B.M. et al. O
tolaryngol. Head Neck Surg. 124:436-441, 2001; Kanwar, J.R. et al. Cance
r Res. 61:1948-1956, 2001; Plautz, G.E. et al. Clin. Cancer Res. 6: 2209
-2218, 2000; Plautz, G.E. et al., J. Neurosurg. 89:42-51, 1998;およびPla
utz, G.E. et al., Urology 54:617-623, 1999参照)。クローンおよびそうでな
ければより濃厚化された集団は一般に、小数の細胞の移入を要する。認識される
エピトープは、ハウスキーピングエピトープまたはハウスキーピングエピトープ
と免疫エピトープとの組合せであり得る。遺伝子操作を用いて、養子免疫療法に
用いるのに適した細胞系中でクローン化TCRを発現し得る、ということも意図
される。有用なTCRがクローン化され得る供給源の例としては、上記のT細胞
、ならびに本発明のワクチンで免疫感作されたHLA−トランスジェニックマウ
スが挙げられる。付加的変更は、当業者には明らかである。
【0188】 本発明のいくつかの実施形態では、ワクチンは、宿主中でエピトープを発現す
るよう遺伝子操作された組換え生物、例えばウイルス、細菌または寄生生物を包
含し得る。例えばグラム陽性通性細胞内細菌であるリステリア属のListeria mon
ocytogenesは、免疫系にTuAAをターゲッティングするための有力なベクター
である。好ましい実施形態では、このベクターを操作してハウスキーピングエピ
トープを発現し、治療的応答を誘導し得る。この生物体の通常感染経路は腸によ
るが、経口的にも送達され得る。別の実施形態では、TuAAのためのハウスキ
ーピングエピトープをコードするアデノウイルス(Ad)ベクターを用いて、抗
ウイルスまたは抗腫瘍応答を誘導し得る。骨髄由来樹状細胞は、ウイルス構築物
を形質導入され、次に注入され得るか、あるいはウイルスは皮下注射により直接
動物に送達されて、強力なT細胞応答を誘導し得る。別の実施形態は、TAAの
ためのハウスキーピングエピトープに対応するアミノ酸配列をコードするよう操
作された組換えワクチンウイルスを用いる。ミニジーン構築物の形態での適切な
ヌクレオチド置換を有する構築物を保有するワクチンウイルスは、ハウスキーピ
ングエピトープの発現を指図して、エピトープに対する治療的T細胞応答をもた
らし得る。
【0189】 本発明に従ってワクチンとして有用な特に有用な核酸構築物が、本明細書中に
開示される。
【0190】 エピトープコードベクター構築物 本発明は、治療用ワクチンとして用いるための核酸構築物を提供する。構築物
は、ポリペプチドをコードする配列を有するコード領域を含む。ポリペプチドは
、TAAのエピトープである。一実施形態では、標的細胞は腫瘍性細胞であり、
ポリペプチドはTuAAのエピトープまたはエピトープの前駆体である。別の実
施形態では、標的細胞は、細胞内寄生生物に感染した任意の細胞である。「寄生
生物」という用語は、本明細書中で用いる場合、任意の生物体または感染作用物
質、例えば宿主内に感染の細胞内段階を有するウイルスを含む。これらの例とし
ては、ウイルス、例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン
・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、ヒトヘル
ペスウイルス6、水痘−帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイル
ス、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポ
リオーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト
免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、およびヒトT細胞
白血病ウイルスII;細菌、例えばクラミジア、リステリア、サルモネラ、レジ
オネラ、ブルセラ、コクシエラ、リケッチア、ミコバクテリウム属;ならびに原
生動物、例えばリーシュマニア、トリパノゾーマ、トキソプラズマおよびプラス
モジウム属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】 核酸構築物によりコードされるポリペプチド(単数または複数)は、TAAの
ハウスキーピングエピトープを含み得る。好ましい実施形態では、核酸構築物は
複数のハウスキーピングエピトープをコードする。構築物がこのような複数をコ
ードする場合、多重エピトープはすべて、単一TAAの異なるセグメントに対応
するか、あるいはそれらは異なるTAAに対応し得る。好ましい実施形態では、
核酸構築物はハウスキーピングエピトープおよび免疫エピトープを含有する。別
の好ましい実施形態では、核酸構築物はハウスキーピングエピトープおよびエピ
トープクラスター領域を含有する。
【0192】 ワクチンの構築物がハウスキーピングエピトープおよび免疫エピトープの両方
をコードする好ましい実施形態では、ワクチンはいずれかのエピトープを提示す
る標的細胞に対する細胞性免疫応答を刺激し得る。すなわち、免疫応答は、標的
細胞により最初に表示されるハウスキーピングエピトープを認識し、次にIFN
による誘導後に標的細胞により提示される免疫エピトープも認識し得る。
【0193】 有益には、核酸構築物はさらに、第三または第四の配列、あるいはそれ以上の
配列を含み、このような配列は第三または第四エピトープ、あるいはそれ以上の
付加的エピトープをそれぞれコードする。このようなエピトープは、単一TAA
に、あるいは2つまたはそれ以上の異なるTAAに由来し、任意の組合せでのハ
ウスキーピングエピトープまたは免疫エピトープであり得る。構築物は、任意の
標的細胞またはpAPC中での抗原のプロセシングに際して一役を担う任意のそ
の他のプロテアソーム活性に対応するエピトープをコードするよう設計され得る
【0194】 コード化MHCエピトープは、好ましくは約7〜15アミノ酸長であり、さら
に好ましくは9または10アミノ酸長である。一般的にMHC I結合のために
好ましいペプチドサイズは9アミノ酸であるが、それより短いおよびそれより長
いペプチドも、いくつかの場合にはMHC Iを結合し得る。同様に、9アミノ
酸よりはるかに長い多数のペプチドは、エキソペプチダーゼまたは細胞中に在留
する他のプロテアーゼにより刈り込まれて、MHC Iを非常に効率的に結合す
る断片を生成し得る。免疫エピトープ配列を含有するペプチドのサイズは、配列
がエピトープを含む限りは、重要でない。これは、pAPC中に在留する免疫プ
ロテアソームが、トリミングエキソペプチダーゼおよびその他のプロテアーゼと
組合せて、その正常機能において、全長TAAを的確に保有して、免疫エピトー
プを生産するためである。したがって免疫エピトープをコードする核酸配列は、
実際にははるかに大型の前駆体、例えば完全TAAをコードし得る。このような
構築物は、好ましくはハウスキーピングエピトープもコードする。
【0195】 本発明における使用に適切なTuAAおよびTAAの例としては、Melan
A(MART−1)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−
1、TRP−2、および腫瘍特異的複数系統抗原、例えばMAGE−1、MAG
E−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE、NY−E
SO、SCP−1、Hom/Mel−40およびPRAMEが挙げられるがこれ
に限定されない。同様に、TuAAとして、過剰発現癌遺伝子、および突然変異
腫瘍抑制遺伝子、例えばp53、H−Ras、およびHER−2/neuが挙げ
られる。さらに、染色体転位に起因する独特のTuAA、例えばBCR−ABL
、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、ならびに
ウイルス抗原、例えばエプスタイン・バーウイルス抗原EBVAおよびヒトパピ
ローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7が挙げられる。他の有用なタンパ
ク質抗原としては、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−
6、RAGE、NY−ESO、p185erbB2、p180erbB−3、c
−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CAM 17.1、N
uMa、K−ras、β−Catenin、CDK4、Mum−1、およびp1
6が挙げられる。これらおよび他のTuAAおよび病原体関連抗原は、文献中で
あるいは商業的に、当業者に既知であり、利用可能である。
【0196】 さらなる実施態様では、TAAはウイルスに特異的な抗原である(上記の第2
表参照)。本発明のさらに別の実施態様では、TAAは非ウイルス性細胞内寄生
生物に特異な抗原である。寄生生物特異的抗原の例としては、細胞内寄生生物に
関連したヌクレオチド、タンパク質またはその他の遺伝子産物が挙げられる。適
切なヌクレオチドまたはタンパク質は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Taxonomy
/tax.html/で突き止められるNCBI分類学データベースに見出され得る。寄生
生物およびその他の病原体に関する遺伝子産物のさらに詳細な説明は、このウエ
ブサイトに提供されている。
【0197】 特に好ましいペプチドは、約7〜15アミノ酸長である。MHC結合モチーフ
を有するペプチドの広範なリストは、Han-Georg Rammensee, Jutta Bachmann, a
nd Stefan Stevanovic, "MHC Ligands and Peptide Motifs," Springer-Verlag,
Germany, (1997) Landes Bioscience, Austin, Texasに提示されている。
【0198】 構築物によりコードされるエピトープは、1つまたはそれ以上のMHC I対
立遺伝子に対する親和性を有する。患者がMHC Iに関してヘテロ接合性であ
るいくつかの実施形態では、構築物は異なるMHC I対立遺伝子に対応するエ
ピトープをコードし得る。
【0199】 好ましい核酸構築物は、構築物のコード領域の5‘末端と操作可能的に連結さ
れる少なくとも1つのプロモーター配列を含む。哺乳類細胞中で活性である任意
のプロモーターが用いられ得ることは当業者により理解されるであろう。好まし
いプロモーター配列としては、CMVプロモーター、SV40プロモーターおよ
びレトロウイルスLTRプロモーター配列が挙げられ、またEF−1A、UbC
、β−アクチンプロモーターも含まれ得る。いくつかの実施形態では、構築物は
、異なるポリペプチドコード配列の5’末端と操作可能的に連結される2または
それ以上のプロモーターを含み得る。同様に、構築物は、エンハンサー、核輸入
配列、免疫刺激配列、ならびにサイトカイン、選択マーカー、レポーター分子等
のための発現カセットを用い得る。さらに免疫刺激またはその他の調整配列は、
安定的にハイブリダイズされたPNAペプチド核酸を介してベクターに取り付け
られ得る。好ましい実施形態では、本発明の核酸構築物は、コード領域の3‘末
端に操作可能的に連結されるポリ−A配列も含む。核輸入配列および免疫刺激配
列を含む核酸構築物は、図9に図示されている。
【0200】 ある種の実施形態では、核酸構築物は、単一ポリペプチドとして翻訳され、次
に切断されるmRNAをコードする。このような一実施形態では、ポリペプチド
はエピトープの線状アレイからなり、この場合、一次(N末端)配列は、1つま
たはそれ以上の免疫エピトープまたはエピトープクラスターであり、二次(C末
端)配列はハウスキーピングエピトープであり、したがってハウスキーピングエ
ピトープの的確なC末端が末端コドンにより特定化され、他のすべてのHLAエ
ピトープ末端がプロテアソームプロセシングおよびエキソペプチダーゼトリミン
グにより確定される。
【0201】 別の好ましい実施形態では、核酸構築物は、免疫エピトープまたはエピトープ
クラスターがユビキチン配列と連結されるアミノ酸配列をコードする。ユビキチ
ン配列は、同様にハウスキーピングエピトープに連結される。エピトープ間のユ
ビキチンの存在は、エピトーププロセシングのためのプロテアソームへの免疫エ
ピトープの効率的送達を促す。ユビキチン配列(先行ペプチドの一体性を保障す
るためのN末端スペーサーを有する場合も有さない場合も)は、第1のおよび第
2の配列間に、あるいは任意のその他のエピトープコード配列間に、枠内に位置
する。そのように生成された配列1−ユビキチン−配列2ポリペプチドは、ユビ
キチン特異的プロセシングプロテアーゼによりユビキチン−配列2接合部で迅速
に(同時翻訳的に)切断されて、配列1−ユビキチンおよび配列2を生じる(図
10参照)。
【0202】 生理学的には、ユビキチンは主に、プロテアソームによる分解のためにタンパ
ク質を標的化するシグナルとして役立つ。それは、真核生物中のほとんどの保存
タンパク質の中で、酵母およびヒトの間の3つだけの保存的アミノ酸置換を有す
る。ユビキチンの精確な配列は多少変わり得るが、好ましい実施形態の配列は、
配列番号5で表される。ユビキチンは、2つの重要な特徴:1)ユビキチンとタ
ンパク質基質のLys側鎖との接合に関与するC末端Gly残基、および2)多
重ユビキチン鎖の形成のための位置48のLys残基を有する76アミノ酸長ポ
リペプチドである。
【0203】 ユビキチン遺伝子は、それらのすべてが他のポリペプチド、例えばその他のユ
ビキチンとの融合物として合成される意味で独特である。酵母のビール酵母菌に
おいては、4つのユビキチン遺伝子が同定されている。最初の3つ(UBI1〜
3)はリボソームタンパク質に融合され、四番目の遺伝子(UBI4)はユビキ
チン配列の5つの同一反復体の融合物として合成される。したがって機能的遊離
ユビキチンは、普遍的に発現されるユビキチン特異的ヒドロラーゼによる同時翻
訳的タンパク質分解性プロセシング後に、天然に生産される。このような天然機
構は、単一ユビキチン部分と任意の所望のポリペプチドとの間にC末端融合物を
生成することにより開発される。
【0204】 ユビキチンは、2つの配座で存在し得る。第一のものは上記に記載されており
、単一ユビキチンと任意の所望のポリペプチドの線状融合体からなり、この場合
、ユビキチンのC末端Glyは、ペプチド結合を介して選定されたポリペプチド
のN末端アミノ酸に連結される。第二のものは、Gly−Lys結合形成による
ユビキチン部分とタンパク質基質との接合を包含する。この場合、ユビキチンG
lyのCOOH基は、基質(または別のユビキチン部分)の溶媒曝露Lysのε
(イプシロン)側鎖に連結される。基質の分解に関するユビキチンシグナルは、
第二配座と関連がある。したがって上記の配列1−ユビキチン−配列2構築物に
おいて、配列2は典型的にはプロテアソームに対して標的化されない。したがっ
て配列2部分は、好ましくは完全プロセシング化エピトープ、あるいはN末端ト
リミングのみを要するもの、典型的にはハウスキーピングエピトープのために用
いられる。上記の構築物中で配列1に付着したままのユビキチン部分は、Lys
48でポリユビキチン化され、それによりその断片をプロセシングのためにプロ
テアソームに対して標的化して、配列1中に含入されるエピトープの遊離を生じ
る。2つより多い配列がユビキチン部分により線状アレイで一緒に連結される場
合、一般に最後の配列だけが配列2の方式で振る舞い、上流配列すべてのプロセ
シングは配列1の場合に類似することは留意すべきである。本明細書中に記載さ
れた構築物が、免疫プロテアソームが優勢に活性であるpPAC中で発現される
程度まで、これらの構築物によるハウスキーピングエピトープの的確な発現は、
配列2位置、あるいはエピトープがpAPC中でのプロテアソームプロセシング
を必要としない対応位置に存在するハウスキーピングエピトープから利益を得る
【0205】 さらに別の実施形態では、本発明の核酸構築物は自己タンパク質分解性ペプチ
ドコード配列を含み得る。このような配列は、一次および二次配列間に、あるい
は任意のその他のエピトープコード配列間に位置する。このような自己タンパク
質分解性配列の例としては、インテインが挙げられる。ピコルナウイルス、例え
ばピリオウイルス、ならびにその他のエンテロウイルス、ライノウイルス、カル
ジオウイルスおよびアフトウイルスの3Cproおよび2Aproプロテアーゼ、そし
て等価のコロナウイルスプロテアーゼも挙げられる。これらのプロテアーゼは、
このファミリーのウイルスにより製造される大型前駆体ポリタンパク質の翻訳後
切断を触媒する。
【0206】 一実施形態では、自己触媒タンパク質配列が、2つまたはそれ以上のエピトー
プ間に挿入される。さらなる実施形態では、配列は2つまたはそれ以上のエピト
ープ後に挿入されるが、切断シグナルは、それらが2つまたはそれ以上の完全機
能的エピトープ中で切断されるよう、エピトープ間に見出される。プロテアーゼ
の種類は重要ではなく、エピトープの適格なプロセシングに適切な切断シグナル
が利用可能であることが重要なだけである。
【0207】 切断部位および自己触媒性タンパク質の配列は既知であるため(Seipelt, J.
et al., Virus Research 62:159-168, 1999により近年再検討された)、それら
は、ポリタンパク質または二タンパク質を生成するベクターの構築のために容易
に用いられ得る。要するに、3Cproは、切断シグナルとしてQ−G部位を優勢
に認識するが、その他の密接に隣接する位置は重要である。これらのウイルスの
いくつかの3Cproは、この一般的パターンにあまり密接でなく接着して、設計
におけるより高度の柔軟性を提供する。これらの要件により課される制限は、特
にプロテアーゼが発現されるエピトープ間に置かれる場合には、実際より形式的
である。この整列において、上流免疫エピトープは、ウイルスプロテアーゼがそ
のN末端を切断できない場合でさえ、プロテアソームプロセシングにより遊離さ
れ得る。C末端での切断のための重要な残基は、3Cproそれ自体に対して内部
にあり、一般に、もしあれば、ちょうど1〜4個の残基を残して、下流ハウスキ
ーピングエピトープのN末端からのエキソペプチダーゼトリミングにより除去さ
れる。2Aproは、多くは同様の方法で用いられ、切断部位は、G−Pが好まし
いが、これらのウイルス間で多少多く変動性であると理解される。その発現は、
それが由来するウイルス株に依存する迅速性および完全性を伴って、宿主細胞タ
ンパク質合成の遮断をもたらし得る。
【0208】 厳密に言えば、カルジオウイルスおよびアフトウイルス(すなわち、手足口病
ウイルス(FMDV))からの2Aタンパク質はプロテアーゼでなく、むしろ翻
訳の終結を生じることなく、それらのC末端でのペプチド結合形成を防止する(
Ryan, M.D., et al., Bioorganic Chemistry 27:55-79, 1999)。したがって、
エピトープ間のこれらの2Aタンパク質の位置を突き止めることにより、単一リ
ーディングフレーム内に切断を生じうる。FMDVからの2Aタンパク質は非常
に小さく、18アミノ酸に過ぎず、多重エピトープ発現に特に適するようにさせ
る。2Aタンパク質を用いるプラスミドは、図11に図示されている。
【0209】 ある特定の他の実施形態では、核酸構築物は、2つまたはそれ以上のポリペプ
チドとして翻訳されるmRNAをコードする。このような一実施形態では、転写
体は、一次および二次配列間に、あるいは任意のその他のエピトープコード配列
間に位置する1つまたはそれ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)配列を
含有し得る。IRES配列は、ピコルナウイルスにより天然に用いられて、mR
NAの内部キャップ非依存性翻訳を指図する。このようなIRES配列は、同一
メッセンジャーRNAからの2つまたはそれ以上の連続オープンリーディングフ
レームの別々の翻訳も可能にする。種々の構築物のIRES配列は変化し得るが
、好ましい一実施形態のIRES配列は、配列番号6で提示される。発現される
各エピトープのC末端は、終止コドンにより確定される。したがってハウスキー
ピングエピトープをコードする配列および免疫エピトープをコードする配列の順
序は問題ではなく、これがプラスミド構築の柔軟性を提供する。任意に、ハウス
キーピングエピトープをコードする配列はIRES配列に先行し、免疫エピトー
プをコードする配列はIRES配列の他端に連結され得る。このようなベクター
は、2つまたはそれ以上のハウスキーピングエピトープを有用にコードし得る。
それらはさらに、多重エピトープを生産的に発現するために、上記の種々の単一
ポリペプチド構築物の組合せを可能にし得る(図12参照)。
【0210】 ある特定の他の実施形態では、核酸構築物は2つまたはそれ以上のmRNA転
写体をコードする。これらの転写体の各々は、単一エピトープを、あるいは上記
の実施形態に記載された二重または多重エピトープ転写体のいずれかをコードし
得る。2つまたはそれ以上の転写体は、多重プロモーター使用の結果である。単
一プロモーターの1つより多いコピーの使用は、増殖中のプラスミドの不安定性
をもたらし得る、と当業者は認識するであろう。したがって、2つ(またはそれ
以上)の異なるプロモーターを用いるのが一般的に好ましい。
【0211】 2つまたはそれ以上の転写体は、二方向性プロモーターの使用の結果でもあり
得る。二方向性プロモーターは、広範な種々の生物体中に見出され得る。このよ
うなプロモーターの例としては、ヒトからのPDGF−A、ペニシリウム属のPe
nicillium chrysogenumからのpcbABおよびpcbC、神経親和性JCウイ
ルス、ならびにマウス、イヌおよびヒトからのBRCA1が挙げられる。二方向
性プロモーターに関する徹底的研究は、比較的最近開始したが、配列、調節およ
びその他のそれらの働きに関する情報が多数増大しつつある。例えば、ヒトトラ
ンスコバラミンIIプロモーターは、完全転写活性のためのGCボックスおよび
Eボックスを含有する69塩基対(bp)断片を要する。ジペプチジルペプチダ
ーゼIVプロモーターは、同様の効率で両側からの転写を刺激することが示され
た。ラットミトコンドリアシャペロニン60および10は、頭−頭連結され、二
方向性プロモーターを共有する。したがって、2つの遺伝子を発現するために核
酸構築物中にそれらが用いられ得る方法で、種々の作業二方向性プロモーターが
同定され、シーケンシングされ、そしてクローン化された。
【0212】 したがって、好ましい実施形態では、核酸構築物は、例えばハウスキーピング
エピトープまたはその前駆体をコードする核酸配列に連結される、上記のような
、二方向性プロモーターを含有する。特に好ましい実施形態では、核酸構築物は
、複数のハウスキーピングエピトープをコードする核酸配列に連結される二方向
性プロモーターを含有する。別の実施形態では、核酸構築物は、ハウスキーピン
グエピトープおよび免疫エピトープをコードする核酸配列に、あるいはエピトー
プクラスター領域に連結される二方向性プロモーターを含む。さらに、二方向性
プロモーターは、正または負に調節され得る。
【0213】 核酸構築物が1つより多いエピトープを含有する場合、二方向性プロモーター
は、匹敵する量で複数のエピトープを発現し得るか、あるいはいくつかは他のも
のより高レベルで発現され得る。あるいは、あるエピトープは誘導可能であり、
他のものは構成的である。このようにして、エピトープ発現の一時的調節が達成
され得るが、この場合、あるエピトープは処理の早期に発現され、他のものは後
期に発現される。
【0214】 エピトープ発現の分析 文献に記載されたいくつかの方法を用いて、エピトープがpAPC上に提示さ
れたか否かを確定し得る。間接的ではあるが強力な方法は、ハウスキーピングエ
ピトープの投与の前後の動物におけるT細胞頻度を確定するためのクラスI四量
体分析の使用である。エピトープに応答するT細胞のクローン拡張は、エピトー
プがpAPCによりT細胞に提示される場合にのみ、選択的に起こる。したがっ
て、動物へのエピトープの投与の前後のハウスキーピングエピトープに対する特
異的T細胞頻度の測定は、エピトープがpAPC上に存在するか否かを確定する
一手段である。投与後のエピトープに特異的なT細胞の頻度の増大は、エピトー
プがpAPC上に存在したことを示す。限定希釈分析またはELISPOTのよ
うなT細胞頻度を確定する他の方法は、pAPCによるハウスキーピングエピト
ープ提示を査定するのと原則的に同一方法で用いられ得る。同様に、動物におけ
るT細胞頻度の任意の確定方法が用いられ得る。
【0215】 pAPC上のハウスキーピングエピトープ提示を確定するための直接的方法は
、エピトープ投与後の動物からのpAPCの精製を包含する。ハウスキーピング
エピトープを用いた動物のワクチン接種後、pAPC上に存在する特異的マーカ
ーに対するモノクローナル抗体、ならびにアフィニティー精製を用いて、例えば
磁気ビーズに固定されたモノクローナル抗体の使用により、pAPCがPBMC
、脾臓細胞またはリンパ節細胞から回収され得る。このような回収の最適時間は
変動し、ワクチン接種される動物、ワクチンの性質、ならびにその他の因子、例
えば用量、投与部位、薬物動態等に依存する。粗製血液または脾臓細胞調製物は
、これらの技法を用いてpAPCに関してに濃化され得る。濃化pAPCは次に
、生成され、当該ハウスキーピングエピトープに特異的であるT細胞クローンに
対する増殖アッセイに用いられ得る。pAPCは、T細胞クローンと同時インキ
ュベートされ、T細胞は、例えばT細胞による放射能標識チミジンの取込みを測
定することによって、増殖活性に関してモニタリングされる。増殖は、ハウスキ
ーピングエピトープに特異的なT細胞がpAPC上のそのエピトープにより刺激
されていることを示す。
【0216】 以下の実施例は説明のために意図されており、いかなる点でも本発明の範囲を
限定するものではない。
【0217】 [実施例] 実施例1.ハウスキーピングエピトープまたは免疫エピトープとしてのHLA
エピトープのタンパク質分解の特徴付け 以下に記載する手法を用いて、集中的に候補HLAエピトープを含有する13
個またはそれ以上のアミノ酸の合成ペプチドを調製する。プロテアソームは、各
型のプロテアソームを発現する細胞、例えばそれぞれハウスキーピングプロテア
ソームおよび免疫プロテアソームに関して赤血球細胞およびラージ細胞から調製
される。ペプチドをプロテアソーム調製物で消化して、得られた断片を質量分析
により同定する。その断片のうちの1つがHLAエピトープと共通のC末端であ
る、ハウスキーピングプロテアソームを含有する調製物において有意な収量で生
産される場合には、HLAエピトープは、ハウスキーピングエピトープである。
同様に、その断片のうちの1つがHLAエピトープと共通のC末端であり、免疫
プロテアソームにより有意な収量で生産され、ハウスキーピングプロテアソーム
により有意な収量で生産されない場合には、HLAエピトープは、免疫エピトー
プである。
【0218】 A.ペプチド合成 HLAエピトープおよびその末端の近位に少なくとも2つの残基を含む合成ま
たは組換えポリペプチドを構築する。特定のHLAエピトープの末端に付加され
るこれらの残基は、プロテアソーム複合体が細胞内に見出される環境に類似した
プロセシング環境に確実に遭遇するため、したがって、プロテアソームがそのタ
ンパク質分解性機能を正常に実施する可能性を増加させる。HLAエピトープ末
端の近位に一般に見られるさらなる残基は、ペプチドの溶解性を増大するのを助
長することが必要な場合に付加され得る。
【0219】 いくつかのHLAエピトープは、その高い疎水性に起因して、溶解の困難性を
示す。あるペプチドは、それらが正常なクロマトグラフィの溶出液中に溶解しな
いため、精製するのが非常に困難であり得る。あるいは、それらは消化緩衝液中
に溶解しないため、いったん精製すると使用するのが非常に困難であり得る。こ
の問題は、特定のペプチド構築物中に包含するためにHLAエピトープの周囲の
配列の一部を慎重に選択することにより、あるいは先述のパラグラフに記載する
ように、配列を伸長することにより回避することができる。溶解性の増大を助長
することができるHLAエピトープの末端に近位の残基が存在しない場合、短疎
水性配列が代わりに付加され得る(例えば、−EAEAE)。これは、プロテア
ソームのための天然の末端切断部位を維持するためにHLAエピトープの末端の
先に、少なくとも3〜5個の残基を添加する。
【0220】 好ましい実施形態では、ペプチドは、標準的なFmoc固相合成方法論を用い
て、Applied Biosystemsの433Aペプチド合成機にて合成される。合成機は、
脱保護が困難である、かつ/または結合が困難である一連の残基を含有する配列
に関して反応時間を増加することが可能な伝導度フィードバックモニタリングシ
ステムを装備している。合成後、適切なスカベンジャーの存在下にて、トリフル
オロ酢酸でその支持体からペプチドを切り出し、エーテルで沈殿させた後、凍結
乾燥させる。
【0221】 次に、粗製ペプチドを、分析用ジフェニルHPLCシステムを用いてまず勾配
を展開した後、同様の分取用ジフェニルHPLCカラムで精製する。ペプチドの
第1の調製注入物からの主要なHPLC分画を、エレクトロスプレー質量分析に
より分析し、標的化合物を同定する。続く注入物からの相当するピークを収集、
プールし、凍結乾燥し、分析用HPLCによる保持時間およびクロマトグラフィ
純度を検証するために試料を採取する。次にこれらの精製ペプチドをプロテアソ
ーム調製物による消化のために準備する。
【0222】 B.プロテアソームアッセイ 免疫プロテアソームまたはハウスキーピングプロテアソーム複合体を以下の実
施例2に詳述するように単離する。
【0223】 次に、精製ペプチドを、約1mMの濃度になるように適切な緩衝液中に溶解し
、約2倍容量のプロテアソーム調製物を添加する。複製消化物:質量分析用に1
つ、およびHPLC分析用に1つを調製し、使用したプロテアソーム調製物の適
格な機能性を検証するために、陽性対照ペプチドを用いてさらなる消化物を調製
する。以下のペプチドは、免疫プロテアソームアッセイ用の対照ペプチドとして
の使用に適切である:MLLAVLYCLLWSFQTS(配列番号7)、HS
YTTAEEAAGITILTVILGVL(配列番号8)、EAASSSST
LVEVTLGEPAAESPD(配列番号9)、EFLWGPRALET
SYVKLHHMVKI(配列番号10)、APEEKIWEELSVEV
FEGR(配列番号11)、およびELMEVDPIGHLIFAT(配列番
号12)。下線の残基は、タンパク質分解性切断部位を示す。ペプチドFLWG
PRALVETSYVK(配列番号13)は、ハウスキーピングプロテアソーム
アッセイ用の対照ペプチドとして適切である。これらを、ある時間、37℃で並
行してインキュベートさせ、続いて希釈トリフルオロ酢酸の添加により消化を停
止させ、試料をドライアイス上で凍結させる。1つの複製および陽性対照を、L
asermat2000(Finnigan Mat, LTD, U.K.)を用いて分析のために送り
出す。マトリクスアシステッドレーザーデソープションイオン化−飛行時間(M
ALDI−TOF)質量分析等はHPLCのために取り置かれる。
【0224】 C.消化物のMALDI−TOF質量分析 消化物の分析は、「Peptide」ソフトウェア(Lighthouse Data)またはThermoBi
oanalysis Ltd., U.K.から入手可能なソフトウェアのいずれかを用いて行われる
。このソフトウェアは、任意の予測エピトープの正確なC末端を有するという要
件、およびそのエピトープの完全長以上を含有するという要件の両方を満たす考
え得る断片すべての配列および分子量を生み出すことができる。
【0225】 例えば、HLAエピトープを包含するペプチドが、以下の配列: AAMLLAVLYCLLSEIAAAEEE (ここで、下線の配列は、HLAエピトープである)である場合、プログラムは
、以下の配列全てを潜在的に有用であると同定し、また各分子量を割り当てるで
あろう。 AAMLLAVLYCLLSEI AMLLAVLYCLLSEI MLLAVLYCLLSEI LLAVLYCLLSEIAVLYCLLSEI AVLYCLLSEI
【0226】 MALDI−TOFの結果が、1つまたはそれ以上のそれらの分子量が消化混
合物中に表されることを示す場合、相当するペプチドを合成、精製し、質量分析
により同定し、続いて分析用HPLCを行い、標準保持時間、およびおおよその
質量対ピーク面積比の両方を確立する。次に、保存の消化物を適切な溶媒で希釈
し、同一のHPLC法を用いて注入する。消化物が標準物質と同じ保持時間を有
するピークを良好な収量で付与する場合、消化物中のその配列の存在に起因する
ことはほぼ確実である。同一または類似の質量分析の結果を与える他の断片の考
え得る生成に起因する両義性が存在する場合、疑わしい成分を収集し、C末端シ
ーケンシング用に取り置き、同一性を確認することができる。
【0227】 実施例2.プロテアソーム複合体の精製 A.血球由来のプロテアソーム複合体 濃縮赤血球バッグを地元の血液バンク(HemaCare, VanNuys, CA)から得た。各
バッグの内容物を200mlの遠心チューブに注ぎ、Megafuge 2.0(Heraeus, So
uthplainfield, NJ)のスイングバケットローターにて室温で10分間、2000
RPMで遠心分離することにより、PBSで3回洗浄した。最終洗浄後、管の間
の変動性を最小に抑えるために、試料を1つの容器の注いだ後、幾つかの遠心チ
ューブに再分割した。細胞を2000RPMで10分間、再び遠心分離した。残
ったPBSを吸引した。ペレットを使用するまで−70℃で保管した。
【0228】 B.腫瘍細胞由来のプロテアソーム複合体 ラージ細胞、バーキットリンパ腫細胞系をATCC(American Type Culture C
ollection, Manassas, VA)から得た。標準的な細胞培養法を用いて細胞を成長さ
せ、INF−γ(100〜500U/ml)(Pharmingen, San Diego, CA)で刺
激した。免疫プロテアソームサブユニットの発現は、培養における免疫組織化学
、および細胞溶解産物試料におけるSDS−PAGEにより個々に確認された。
細胞を遠心分離器により収集し、PBSで洗浄し、使用まで−70℃で保管した
【0229】 C.プロテアーゼ複合体のさらなる処理 血球またはリンパ腫細胞のペレット(凍結)を30℃浴で解凍し、ddH2
を各チューブに添加した。細胞懸濁液を40mlのDounceホモジナイザーにて均
質化した。さらに、腫瘍細胞に関して、細胞ホモジネートを2000rpmで遠
心分離して、細胞壊死組織片を除去した。上清を4℃で10分間、10,000
rpmで遠心分離し、さらにT−1270ローター(Sorval, Newtown, CT)にて
4℃で30分間、50,000rpmで遠心分離した。
【0230】 ホモジネートを濾紙に通して、壊死組織片を除去し、続いて一緒にプールした
。プールしたホモジネート試料に68%ショ糖溶液を添加した。抗体−セファロ
ース調製物を、このホモジネートとともに、ローテータにて室温で3時間インキ
ュベートした。懸濁液を遠心分離し、TBSで3回洗浄し、さらに減圧漏斗によ
り6〜8回完全に洗浄した。TBS(pH7.6)中でプロテアソームを溶出さ
せ、溶出物の光学密度を測定した。プロテアソーム調製物を、セルロース膜MW
CO1000を用いて、20mMトリス(pH7.6)に対して、4℃で一晩透
析した。翌日、プロテアソーム調製物を、MilliporeのULTRAFREE−1
5遠心分離装置(Millipore, Danbury, CT)での限外濾過により濃縮した。4mg
/mlの濃度のプロテアソームを分取し、使用まで−20℃で保管した。蛍光基
質または既知の断片をもたらす対照ペプチドの消化により、活性および特異性に
関してプロテアソームを試験した。以下のペプチドは、免疫プロテアソームアッ
セイ用の対照ペプチドとしての使用に適切である:MLLAVLYCLLWSF
QTS(配列番号14)、HSYTTAEEAAGITILTVILGVL(配
列番号15)、EAASSSSTLVEVTLGEPAAESPD(配列番号
16)、EFLWGPRALETSYVKLHHMVKI(配列番号17)
、APEEKIWEELSVEVFEGR(配列番号18)、およびELME
VDPIGHLIFAT(配列番号19)。下線の残基は、タンパク質分解性
切断部位を示す。ペプチドFLWGPRALVETSYVK(配列番号20)は
、ハウスキーピングプロテアソームアッセイ用の対照ペプチドとして適切である
【0231】 D.プロテアソーム調製物の定量および活性分析 酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、上述のプロテアソーム調
製物を定量化した。ELISA技法は、当該技術分野で既知であり、一般にAusu
bel, et al., 「Short Protocols in Molecular Biology」, 3rd Ed., Unit 12.
2 (1997)にて議論されている。モノクローナル抗ヒトプロテアソーム抗体を生産
するハイブリドーマ細胞(MCP−21)をEuropean Collecction pf Cell Cul
ture((ECACC), UK)から得て、標準的な細胞培養技法および装置を用いて維持し
た。ハイブリドーマサプリメント(Gibco BRL, Rockville, MD)を抗体生産細胞に
添加した。約2〜3リットル容量中で500,000細胞/mlの細胞密度に到
達したら、遠心分離により細胞を除去し、上清を収集した。培地中のmAb分泌
を、Lambda 20 分光光度計(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて、
光学密度(O.D.)により定期的にモニターした。
【0232】 上清をプロテインGセファロースカラム(Amersham/Pharmacia Biotech Piscat
away, NJ)上に通した。カラムをPBSで洗浄し、0.1M グリシン緩衝液(
pH2.2)で抗体を溶出させた。溶出物分画の光学密度を280nmで測定し
、陽性分画を収集した。4℃で2日間、PBS 2Lに対して、抗体を透析し、
使用まで保管した。
【0233】 抗体をCNBr活性化セファロース4B(Amersham Pharmacia Biotech Piscat
away, NJ)に結合させた。抗体−セファロース複合体を、0.1M 酢酸ナトリ
ウム生理食塩水(pH4)および0.1M ホウ酸ナトリウム生理食塩水(pH
8)中で交互に5〜7回洗浄し、最終的にトリス緩衝生理食塩水(TBS)(p
H8)中に懸濁した。調製物を使用まで4℃で保管した。
【0234】 実施例3.アルゴリズム的モデリングを用いた予測MHC Iペプチドの溝に
結合するペプチドの生成 ヒト癌胎児性抗原前駆物質(CEA)(GENBANKアクセッションP06731
)のアミノ酸配列から生成される候補MHC I結合性ペプチド集団をアルゴリ
ズムムを用いて作り出した。特定のアルゴリズムは、上述のように、<<http:/
/134.2.96.221/scripts/hlaserver.dll/EpPredict.htm>>にて利用可能である
。このアルゴリズムがいったんアクセスされると、CEAに関するアミノ酸配列
が提供された。次に、所定のエピトープの長さ(十量体)および特定MHC対立
遺伝子(H2−Db)に関するパラメータが選択された。この後、データは、ア
ルゴリズム的分析のために提出された。得られた結果のデータを第7表に示す。
【0235】
【表7】
【0236】 上述の表は、随意に15未満のスコアを打ち切っている。このアルゴリズムは
、15未満のスコアを作り出すことができる。
【0237】 実施例4.タンパク質分解性消化により生産される断片を決定するための、免
疫プロテアソームおよびハウスキーピングプロテアソームを用いたペプチド前駆
物質の消化 433A ABI合成機を用いて、ペプチドを合成した。Fastmoc化学
を用いて、0.25ミルモルの量でペプチドを生産した。ペプチドを溶解性に関
して試験し、いったん溶解すると、2mMの溶液が調製され、それを約25〜3
0μLの一定分量に分割し、さらなる使用まで−20℃で保管した。典型的にペ
プチド2μlおよびプロテアソーム4μlからなる定期の消化反応を、対照とし
てt=0ともに行い、さらなる対照としてプロテアソームの代わりに水とのペプ
チドのインキュベーションを行った。反応を37℃で実施し、ドライアイス上で
10%TFA(トリフルオロ酢酸)を添加することにより終了した。次に凍結試
料を、以下の実施例5に記載するように、MALDI−TOF質量分析(MS)
により分析した。
【0238】 任意の脱塩工程を、ZIP−TIP法(Millipore, Boston, MA)を用いて、M
S分析前に消化物に対して実施することができる。ZIP TIPは、球状シリ
カ樹脂床を含有する特殊設計されたピペットチップである。0.1%TFAであ
らかじめ平衡化したチップに試料を結合させた後、50%アセトニトリル0.1
%TFA溶出緩衝液で溶出させる。
【0239】 実施例5.HPLCおよび質量分析による関連のあるタンパク質分解性断片の
同定および定量 A.治療上興味がもたれる配列の同定 所定のタンパク質のアミノ酸配列をコンピュータに入力し、Rammensee等のア
ルゴリズムを用いて、特定のHLA受容体と結合すると予測される9または10
のアミノ酸長配列を生成する。このアルゴリズムはまた、それらが結合モチーフ
にどのくらいよくマッチするかにより、これらの予測エピトープをランク付けす
る。
【0240】 次に、同定された考え得るエピトープの配列を含有する合成ペプチドを、エピ
トープ候補配列およびその末端の近位に少なくとも3〜5個の残基を包含するよ
うに構築する。特定のエピトープ候補の末端に付加される残基は、プロテアソー
ム複合体が細胞内に見出される環境に類似したプロセシング環境に確実に遭遇す
るため、したがって、プロテアソームがそのタンパク質分解性機能を正常に実施
する可能性を増加させる。エピトープ候補の末端の近位に一般に見られるさらな
る残基は、ペプチドの溶解性を増大するのを助長することが必要な場合に付加さ
れ得る。
【0241】 ペプチドは、標準的なFmoc固相合成方法論を用いて、Applied Biosystems
の433Aペプチド合成機(Applied Biosystems, Norwalk, CT)にて合成される
。合成機は、脱保護が困難である、および結合するのが困難である一連の残基を
含有する配列に関して反応時間を増加することが可能な伝導度フィードバックモ
ニタリングシステムを装備している。合成後、適切なスカベンジャーの存在下、
トリフルオロ酢酸でその支持体からペプチドを切り出し、エーテルで沈殿させた
後、凍結乾燥させる。
【0242】 次に、粗製ペプチドを、適切な溶媒中に0.5mg/mlにて溶解させる。続
いて、この溶液5マイクロリットル(5μl)を、0.1%TFA水−アセトニ
トリル勾配を用いてShimadzuの分析用逆相HPLCシステム(Shimadzu Scientif
ic Instruments, Columbia, MD)により分析する。典型的に、C−18シリカカ
ラム(Machery- Nagel#720051.40, (Machery-Nagel GmbH, Germany))を親水性ペ
プチドのために使用し、フェニルシリカカラム(Vydac#219TP5415(The Separati
ons Group, Inc., Hesperia, CA))を疎水性ペプチドのために使用する。使用す
る勾配は、親水性ペプチドに関する0〜40%アセトニトリルから、疎水性ペプ
チドに関する30〜70%アセトニトリルまで多様である。続いてペプチドを、
上述のカラム(Machery Nagel#715802、およびVydac 219TP510)の同様の勾配およ
び半分取用形式を用いて、VarianのProstarHPLCシステム(Varian, I
nc., Palo Alto, CA)により精製する。ペプチドの最初の分取用注入からの主な
HPLC分画を、MALDI−TOF質量分析計を用いて分析して、所望の成分
を同定する。続く注入物からの相当するピークを収集、プールし、凍結乾燥し、
分析用HPLCによる保持時間およびクロマトグラフィ純度を上記のシステムを
使用して検証するために試料を採取する。次にこれらの精製ペプチドをプロテア
ソーム調製物による消化のために準備する。
【0243】 B.プロテアソームアッセイ 上述のLevyの方法(Morel, S., et al., Immunity 12:107-117(2000)、本明細
書中に引用する参照文献)により、免疫プロテアソームまたはハウスキーピング
プロテアソーム複合体を単離する。精製ペプチドを、約1〜2mMの濃度になる
ように適切な緩衝液中に溶解し、約2倍容量のプロテアソーム調製物を添加する
。選択した緩衝液は、消化過程を妨害しないでペプチドを溶媒和させなければな
らない。使用したプロテアソーム調製物の適格な機能性を検証するために、上述
の陽性対照ペプチドを用いてさらなる消化物を調製する。これらを、最大120
分までの時間、37℃でインキュベートし、続いて希釈トリフルオロ酢酸の添加
により消化を停止させ、試料を質量分析によりすぐに分析するか、あるいは分析
までドライアイス上で凍結させる。消化反応物はまた、質量分析による即時の分
析のために氷上に試料を置くことで停止され得る。
【0244】 C.消化物のMALDI−TOF質量分析 各消化物約0.5μlを、試料スライド上で等容量のマトリックス溶液(70
%EtOH中の10mg/mlジヒドロキシ安息香酸、pH2〜3)と直接混合
し、約40℃で風乾させた。次に、適切な分子量標準物質で較正したLaser
mat(登録商標)MALDI−TOF質量分析計(Thermo Bioanalysis, Santa
Fe NM)で試料を分析した。
【0245】 プロテアソームアッセイのために開発されたコンピュータプログラム(「Pept
ide」ソフトウェア(Lighthouse Data)、または「Dynamo」(Thermo Bioanalysis
Ltd., U.K.)は、任意の予測エピトープの正確なC末端を有するという要件、お
よびそのエピトープの完全長以上を含有するという要件の両方を満たす考え得る
断片すべての配列および分子量を生成する。
【0246】 MALDI−TOFの結果が、特定の分子量が消化混合物中に表されることを
示す場合、相当するペプチドを合成、精製し、MALDI−TOFにより同定し
、続いて逆相分析用HPLCを行い、標準保持時間、およびおおよその質量対ピ
ーク面積比の両方を確立した。これらの手法は、上述の手法にまさに類似してい
る。次に、複製プロテアソーム消化物を適切な溶媒で希釈し、同一の分析HPL
C法を用いて分析する。消化物が標準物質と同じ保持時間を有するピークを良好
な収量で付与する場合、これは、消化物中のその配列の存在に起因することはほ
ぼ確実である。同一または類似の質量分析の結果を与える他の断片の考え得る生
成に起因する両義性が存在する場合、疑わしい成分を収集し、シーケンシング用
に取り置き、同一性を確認することができる。分析用HPLCはまた重要にも、
消化物中のペプチド産物の比較的正確な定量化を提供し、既定のペプチドが消化
物の微量な産物であるか、または主要な産物であるかどうかの決定が可能となり
、このことはエピトープがプロテアソームにより効率よく生産されるかどうかを
示す。上述の方法を用いて、ハウスキーピングエピトープが同定された。図13
は、これらのエピトープによるHLA結合を検証するためのフローサイトメトリ
ーアッセイの結果を示す。このアッセイは、実施例6に記載する。
【0247】 実施例6.選定ペプチドのMHC結合能力の決定 HLA−A2.1に対する候補ペプチドの結合を、Stauss等の方法(Proc Natl
Acad Sci USA 89(17):7871-5(1992))に従ってアッセイした。表面上で空または
不安定のMHC分子を発現するT2細胞を2回洗浄し、無血清完全Iscove改変ダ
ルベッコ培地(IMDM)中で、5×106細胞/mlにて懸濁した。β2ミクロ
グロブリン(Sigma, St. Louis, MO)を5μg/mlで添加して、96ウェルU底
プレートに5×105細胞/ウェルで細胞を分配した。100、10、1および
0.1μg/mlでペプチドを添加した。プレートを2分間穏やかに振動させ、
5%CO2インキュベータ中で37℃にて4時間インキュベートした。IMDM
で2回洗浄することにより、未結合のペプチドを除去し、飽和量のモノクローナ
ル抗体W6/32(Sigma)を添加した。4℃での30分間のインキュベーション
後、1%熱不活性化FCS、0,1%(w:v)アジ化ナトリウム、pH7.4
〜7.6で補充したPBS(染色用緩衝液)で細胞を洗浄し、フルオレセインイ
ソチオシアネート(FITC)結合ヤギF(ab’)抗マウスIgG(Sigma)と
ともに、4℃にて30分間インキュベートし、先述のように4回洗浄した。染色
用緩衝液に細胞を再懸濁させ、1/4容量の2%パラホルムアルデヒドを添加す
ることで固定した。ペプチド結合により安定化した表面HLA−A2.1分子の
分析は、FACScan(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて、フローサ
イトメトリーにより実施した。
【0248】 実験結果を図14に示す。上述の方法を用いて、プロテアソーム消化により同
定される候補チロシナーゼハウスキーピングエピトープ(チロシナーゼ207〜
216、FLPWHRLFLL、配列番号78)は、既知のA2.1結合剤FL
PSDYFPSV(配列番号79)(陽性対照)と同様の程度にHLA−A2.
1に結合することがわかった。HLA−B44結合性ペプチドAEMGKYSF
Y(配列番号80)は、陰性対照として使用した。陰性対照から得られる蛍光は
、ペプチドをアッセイにて使用しなかった際に得られるシグナルと同様であった
。陽性および陰性対照ペプチドは、Current Protocols in Immunology P18.3.2,
John Wiley and Sons, New York, 1988における表18.3.1から選択した。
【0249】 実施例7.腫瘍、組織試料、不死化細胞系、または腫瘍細胞系由来のHLAエ
ピトープの溶出 in vitroタンパク質分解によるHLAエピトープ生成よりもむしろ、
それらは、質量分析法を用いて、腫瘍、組織試料、腫瘍細胞系または他の不死化
細胞系のHLAからの溶出後に同定され得る。様々なかかかる方法を用いること
ができるが、細胞表面からエピトープを同定する最も強力な方法の1つは、公開
文献に記載されるような、キャピラリーHPLCまたはナノキャピラリーHPL
C ESI質量分析およびオンラインシーケンシングを包含する。可溶化HLA
およびインタクト細胞に関する溶出手法はまた、Falk, K. et al. Nature 351:2
90, 1991および米国特許第5,989,565号にそれぞれ記載されている。し
かしながら、同定されるエピトープが、有効なワクチンを製造するのに必要なハ
ウスキーピングエピトープであるかどうかを決定するために、ペプチド溶出およ
び分析を受けた細胞中で発現されるプロテアソーム型を同定する必要性について
は、文献中に記載されていない。ハウスキーピングエピトープまたは免疫エピト
ープのいずれかとしてHLAエピトープを決定的に同定するために、一般に、細
胞供給源がどのプロテアソームを発現するかを知る必要がある。プロテアソーム
発現は、好ましくは以下に詳述するウエスタンブロテッィングにより評価するこ
とができ、またそれはRT−PCR、免疫組織化学、あるいはin situハ
イブリダイゼーションにより評価することができる。
【0250】 実施例8 IFN誘発試験 ハウスキーピングエピトープと免疫エピトープを区別するための別のアッセイ
は、抗ペプチドCTLの、当該TAAを発現する細胞を死滅させる能力を試験す
ることである。IFNを使用して、免疫プロテアソーム(それは、すでに構成的
に発現されてないと仮定する)の発現を誘発することができ、誘発細胞および非
誘発細胞のCTL認識を比較することができる。上述のように、プロテアソーム
型は、例えばウェスタンブロッティングにより確認されるべきである。IFN誘
発細胞が優先的に死滅する場合、ペプチドは、免疫エピトープを構成する。非誘
発細胞が優先的に死滅する場合、ペプチドは、ハウスキーピングエピトープを構
成する。幾つかのエピトープは、異なる効率で両方のプロテアソームにより生産
され得て、かかる場合には、細胞溶解活性が、両方の集団に対して観察される。
かかるエピトープは、末梢標的細胞上に存在するため、ハウスキーピングエピト
ープとして分類される。
【0251】 実施例9.ハウスキーピングエピトープを同定するための、ヒト末梢血単核球
細胞(PBMC)または腫瘍湿潤性リンパ球(TIL)の使用 患者生検から単離したTIL、あるいはドナーまたは患者の血液からのPBM
Cを用いて、公開文献中に一般に記載される方法を用いて、ハウスキーピングエ
ピトープを同定することができる。ハウスキーピングエピトープを同定するため
に、PBMCまたはTILにより活性な死滅に関して試験するのに使用される標
的細胞は、ハウスキーピングプロテアソームのみを発現し、免疫プロテアソーム
を有意なレベルで発現しないことが確認される。ドナー血液からのPBMCを、
使用される血球上で発現されるクラスI HLA対立遺伝子に対する予測親和性
を有するペプチド抗原のパネルを使用して、in vitroで刺激する。各P
BMC試料を、特定クラスIペプチド抗原で1週間、T細胞の活性を高めるため
に好ましくはIL−2またはIL−12のようなサイトカインと組み合わせて刺
激する。この刺激を少なくとも3回繰り返し、ペプチドに対して特異的なT細胞
のクローン増殖を誘発する。エピトープを含有するタンパク質、専らハウスキー
ピングプロテアソームを発現することが既知の標的細胞を用いて、標準的なクロ
ム放出アッセイを実施する。クロム放出により測定されるような標的細胞の死滅
の証拠は、PBMCを刺激するのに使用されるペプチドが標的細胞の表面上でハ
ウスキーピングエピトープとして存在することを示す。従ってこのタンパク質を
発現する腫瘍は、エピトープを含有するワクチンのための候補標的である。
【0252】 実施例10.ウェスタンブロッティングによるハウスキーピングプロテアソー
ムおよび/または免疫プロテアソームの同定 以下のプロトコルの両方は、所定の細胞から抽出されたタンパク質が電気泳動
分離後に転写された膜から始まる。
【0253】 A.色素生産プロトコル 1.オービタル振とう機上で室温にて(RT/振とう機)、PBS−T(リン酸
緩衝生理食塩水、pH7.4+0.1%ツイーン20)20ml中で5分間、膜
を洗浄する。 PBS(Sigma, Cat.No.P-3813) (容量は、あらゆる点で容器の型により多様であり得る)。 2.RT/振とう機にて、20mlのPBS−T、3%H22:30%H22
ml+PBS−T18mlにて、5分間、膜をインキュベートする。 3.RT/振とう機にて、PBS−Tで3×5分間、膜を洗浄する。 4.4℃/振とう機にて、20mlのPBS−T/5%脱脂粉乳:PBS−T2
0ml+乳1g中で一晩ブロックする。 5.PBS−Tで膜をすすぐ。 6.RT/振とう機にて、2時間、ブロッキング緩衝液中の一次抗体(Affinity
Research Products Ltd, United Kingdom)5ml中で膜をインキュベートする: α−LMP2抗血清(マウス)(Cat. No. PW8205) 1:5000 α−LMP2抗血清(ヒト)(Cat. No. PW8345) 1:10000 α−LMP7抗血清(Cat. No. PW8200) 1:20000 α−20Sプロテアソームαサブユニットモノクローナル抗体 (Cat. No. PW8105) 1:100
0 これらの条件は、上記抗体だけのためのものである。あらゆる抗体に関する条
件は、経験上決定されなくてはならない。 7.工程3のように膜を洗浄する。 8.RT/振とう機にて、30分間、ブロッキング緩衝液中の二次抗体(Vector
Laboratories, Inc., Burlingame, CA)5ml中で膜をインキュベートする: GARB(ヤギ抗ウサギ)(抗血清用)(Vector Labs Cat. No. BA-1000) 1:2000 ウマ抗マウス(モノクローナル抗体用)(Vector Labs Cat. No. BA-2000) 1:1000 9.工程3のように膜を洗浄する。 10.PBS−T中のABC(Vector Laboratories, Cat. No. PK-6100)5ml
中で、30分間膜をインキュベートする: 以下のように、少なくとも使用の30分前に、ABCを製造する。 A=5μl/1ml=25μl/5ml B=5μl/1ml=25μl/5ml 5μl A+5μl B>混合>4℃に静置>PBS−T990μlを添加 使用直前にPBS−T中にABSを希釈。 11.工程3のように膜を洗浄する。 12.検出: 1)第1の15mlチューブに0.2MのPB5mlを移す。 0.4Mのリン酸緩衝液: 一塩基リン酸ナトリウム90.4ml(1M) 二塩基リン酸ナトリウム619.2ml(0.5M) pH 7.4以下 QS 1L以下 2)第2の15mlチューブに0.2MのPB2.8mlを移す。 3)第3の15mlチューブに1%グルコース2mlを移す。 4)ANS(硫酸ニッケルアンモニウム)6mgを計り取り、それを第1の1
5mlチューブに移して、ボルテックスする。 5)グルコースオキシダーゼ(Sigma, Cat. No.G-6891)110lをエッペンド
ルフチューブに添加する。 6)DAB基質(ジアミノベンジジンHCl、KPL, Maryland Cat. No. 71-00
-46)1101を別のエッペンドルフチューブに添加する。 7)PB5ml+グルコース2mlをフードにて混合 +GO110l +DAB110l +0.2MのPB 2.8ml 13.膜上に検出混合物を塗布し、タイマーをセットアップする。色素原中のイ
ンキュベーションの長さを記録する。 14.バンドが十分目に見えるようになったら、0.2MのPBで3回膜を洗浄
する。 15.RTにて一晩PBS中で振とうする。
【0254】 B.化学発光プロトコル 1.TBS−T(トリス緩衝生理食塩水、pH7.6+0.1%ツイーン20)
中で2回、膜をすすぐ。 トリス緩衝生理食塩水:トリス塩基2.42g(20mM) 塩化ナトリウム8g(137mM) 1Mの塩酸 3.8ml 2.4℃/振とう機にて、ブロッキング緩衝液(TBS−T/5%脱脂粉乳)2
0ml中で一晩ブロックする: TBS−T20ml+乳1g 容量は、容器の型に依存する。 3.TBS−Tで2回膜をすすぐ。 6.RT/振とう機にて、2時間、ブロッキング緩衝液中の一次抗体(Affinity
Research Products Ltd, United Kingdom)5ml中で膜をインキュベートする: α−LMP2抗血清(マウス)(Cat. No. PW8205) 1:5000 α−LMP2抗血清(ヒト)(Cat. No. PW8345) 1:10000 α−LMP7抗血清(Cat. No. PW8200) 1:20000 α−20Sプロテアソームαサブユニットモノクローナル抗体 (Cat. No. PW8105) 1:100
0 5.RT/振とう機にて、TBS−T20ml中で膜を洗浄する: 簡潔に述べると、TBS−Tの2回の変更を用いて膜をすすいだ後、新たに換
えた洗浄用緩衝液で、室温にて15分間で1回、5分間で2回洗浄する。 6.RT/振とう機にて、1時間、ブロッキング緩衝液中でのHRP標識(ホー
スラディッシュペルオキシダーゼ標識)二次抗体(Amersham; Cat#NIF 824または
NIF 825)の1:1000希釈5ml中で膜をインキュベートする。 7.工程5のように膜を洗浄する。 8.等容量の検出溶液1(Amersham; Cat#RPN2109)および検出溶液2(Amersham;
Cat#RPN2109)(1ml+1ml)を混合する。 9.洗浄した膜から過剰の緩衝液を排出させ、タンパク質を上にしてサランラッ
プ片上にそれを載せる。検出試薬を添加して、膜を覆う。 10.攪拌せずに、室温で1分間インキュベートする。 11.過剰の検出試薬を排出し、Kodak Digital Science Image Station 440CF
へと、タンパク質を下面にして膜を移す。製造業者の説明書に従って現像し、シ
グナルを定量化する。
【0255】 ハウスキーピング特異的サブユニットの存在(いずれかのプロトコルにて)は
、以下を用いて直接評価される: α−β1(Y)サブユニットモノクローナル抗体(Cat. No. PW8140) 1:1000 α−β2(Z)サブユニットモノクローナル抗体(Cat. No. PW8145) 1:1000 (Affinity Research Products Ltd, United Kingdom)
【0256】 実施例11.ハウスキーピングエピトープペプチドワクチンの調製 ハウスキーピンウエピトープであると同定される配列を、市販のペプチド合成
機を用いて合成する。所定のペプチドは、種々の方法で配合され、単独であるい
はCFA、IFAもしくはメラシンのようなアジュバント、または動物において
エピトープに対してT細胞を刺激する効果を達成するためにIL−2、IL−1
2もしくはGM−CSFのようなサイトカインと合わせて投与される。ペプチド
はまた、PLGAミクロスフェアまたは他の生分解性物質のような放出制御物質
とともに配合され、ペプチドの薬物動態学を改変し、または免疫原性を改善する
ことが可能である。ペプチドはまた、GALT(消化管関連リンパ系組織)への
摂取により免疫応答のプライミングを促進するような物質を用いて、経口送達用
に配合される。ペプチドはまた、それらが「遺伝子銃」を用いて送達され得るよ
うに、微細な金粒子に接着される。
【0257】 A.GMP等級のペプチドの合成 FMOCまたはtBOC固相合成方法論を用いてペプチドを合成する。合成後
、適切な保護スカベンジャーの存在下にて、それぞれトリフルオロ酢酸またはフ
ッ化水素により、それらの支持体からペプチドを切り出す。蒸発により酸を除去
した後、ペプチドをエーテルで抽出し、スカベンジャーおよび粗製物を取り出し
た後、沈殿ペプチドを凍結乾燥させる。粗製ペプチドの純度をHPLC、配列分
析、アミノ酸分析、対イオン含量分析および他の適切な手段により測定する。粗
製ペプチドが十分に純粋である(約90%以上の純度)場合、それらはそのまま
使用することができる。薬剤物質仕様を満たすには、精製が必要である場合、以
下の:再沈殿、逆相、イオン交換、サイズ排除または疎水性相互作用クロマトグ
ラフィー、あるいは交流分配のうちの1つまたは組合せを用いて、ペプチドを精
製する。
【0258】 B.薬物製品物配合 GMP等級のペプチドは、非経口的に許容可能な水性、有機性、もしくは水性
−有機性緩衝液または溶媒系中で配合され、そこでそれらは物理的および化学的
に安定であり、また生物学的に強力なままである。一般に、緩衝液、または緩衝
液の組合せ、あるいは緩衝液および有機溶媒の組合せは、適切である。pH範囲
は典型的に6〜9である。有機改質剤または他の賦形剤は、ペプチドの溶解性お
よび安定性を助長するために添加され得る。これらとしては、洗浄剤、脂質、共
溶媒、酸化防止剤、キレート化剤、および還元剤が挙げられる。凍結乾燥製品の
場合には、ショ糖またはマンニトールあるいは他の凍結乾燥助剤を添加すること
ができる。ペプチド溶液は、それらの最終容器閉鎖系への膜濾過により滅菌され
、診療所で溶解するために凍結乾燥されるか、あるいは使用まで保管される。
【0259】 実施例12.ハウスキーピングエピトープペプチドワクチンの送達 A.結節内送達 抗菌剤、酸化防止剤、および免疫調節サイトカインを有する緩衝水溶液中にペ
プチドを含有する配合物を、インシュリン送達用に開発された小型ポンピングシ
ステム(MiniMed; Northridge, CA)を用いて鼡径リンパ節に、数日にわたって連
続して注射した。自然の感染の抗原提示の動態を模倣するために、この注入サイ
クルを選択した。
【0260】 B.放出制御 制御PLGAミクロスフェアを用いて、ペプチド配合物を送達し、ペプチドの
薬物動態学を改変し、また免疫原性を改善する。この配合物は、注射されるか、
あるいは経口的に取り込まれる。
【0261】 C.遺伝子銃送達 ペプチドが金微粒子に接着されたペプチド配合物を調製する。その粒子を遺伝
子銃にて送達し、皮膚を浸透するように高速に加速して、pAPCを含有する粒
子を皮膚組織に運搬する。
【0262】 D.エーロゾル送達 ペプチド配合物を、肺中の適切な血管またはリンパ系組織への摂取のために、
エーロゾルとして吸入させる。
【0263】 実施例13.核酸ワクチンの調製 カナマイシン耐性遺伝子およびCMVプロモーターを含有するキャリアプラス
ミドベクターpVAX1(Invitrogen, Carlsbad, CA)を、所望のエピトープを含
有する2つの配列を含有するように改変した。さらに、それは、2つのエピトー
プ間に位置するIRES配列を含有し、1つのプロモーターを用いてそれらの同
時発現を可能にする。次に、適切な大腸菌株を上記プラスミドでトランスフェク
トし、選択培地上へプレートアウトした。懸濁培養液中で幾つかのコロニーを成
長させ、陽性クローンを制限マッピングにより同定した。次に陽性クローンを成
長させて、保管バイアルに分取し、−70℃で保管した。
【0264】 次に、プラスミドのミニプレップ(QIAprep Spin Mini-prep: Qiagen, Valenci
a, CA)を、これら細胞の試料から作製し、自動蛍光ジデオキシ配列分析を用いて
、構築物が所望の配列を有していることを確認した。さらなる核酸ワクチンベク
ターおよび配合物は、本明細書中の先述のセクション、および以下の実施例18
〜20に記載している。
【0265】 実施例14.核酸ワクチンの送達 MiniMedインシュリンポンプのような小型ポンピングシステムを用いて、リン
パ節に、核酸ワクチンを注入する。自然の感染の抗原提示の動態を模倣するため
に、注入サイクルで数日にわたって、抗菌剤、酸化防止剤、および免疫調節サイ
トカインを含有する緩衝水溶液中に配合した核酸構築物を送達する。
【0266】 任意に、PLGAミクロスフェアまたは他の生分解性物質のような制御放出物
質を用いて、核酸構築物を送達する。これらの物質は、注射されるか、あるいは
経口的に取り込まれる。核酸ワクチンは、経口送達を用いて与えられる、GAL
T組織への摂取により免疫応答をプライミングする。あるいは、核酸ワクチンは
、遺伝子銃を用いて送達され、ここで核酸ワクチンは、微細な金粒子に接着され
る。核酸構築物はまた、肺中の適切な血管またはリンパ系組織への摂取のために
、エーロゾルとして吸入することができる。
【0267】 実施例15.pAPC上のハウスキーピングエピトープの提示に関するアッセ
イ A.四量体分析 クラスI四量体分析を用いて、ハウスキーピングエピトープの投与前および後
に、動物におけるT細胞頻度を決定する。エピトープに応じたT細胞のクローン
増殖は、エピトープがpAPCによりT細胞に対して提示されることを示す。特
定のT細胞頻度は、動物へのエピトープの投与前および後に、ハウスキーピング
エピトープに対して測定し、エピトープがpAPC上に存在するかどうかを決定
する。投与後のエピトープに特異的なT細胞頻度の増加は、エピトープがpAP
C上に提示されたことを意味する。
【0268】 B.増殖アッセイ ハウスキーピングエピトープを動物にワクチン接種した約24時間後、pAP
C上に存在する特定マーカーに対するモノクローナル抗体を用いて、pAPCを
PBMC、腺細胞またはリンパ節細胞から収集し、アフィニティ精製用の磁気ビ
ーズに固定する。粗製血液また脾細胞調製物を、この技法を用いてpAPCに関
して濃縮する。次に、生成した、所定のハウスキーピングエピトープに特異的な
T細胞クローンに対する増殖アッセイにて、濃縮したpAPCを用いる。pAP
CをT細胞クローンとともに同時にインキュベートし、T細胞による放射性標識
したチミジンの組込みを測定することにより、増殖活性に関してT細胞をモニタ
ーする。増殖は、ハウスキーピングエピトープに特異的なT細胞は、pAPC上
の当該エピトープにより刺激されていることを示す。
【0269】 実施例16.抗癌治療としてのハウスキーピングエピトープの有効性に関する
アッセイ 癌治療におけるエピトープ同調ワクチンの有効性を決定するために、代理の指
標または生存を使用する。
【0270】 A.T細胞頻度分析 有用な代理の指標は、免疫化において使用されるハウスキーピングエピトープ
に対するT細胞頻度の決定である。腫瘍免疫療法にて使用される特定のTuAA
エピトープに対してT細胞頻度の上昇を示す患者は、同じエピトープにより免疫
化されたが、エピトープに対してT細胞頻度の増加を示さない患者に比較して、
有意に優れた生存を有する。四量体分析、ELISPOT分析、または限界希釈
分析を用いて、エピトープでの免疫化前および後に、ハウスキーピングエピトー
プに対するT細胞頻度を評価し、ワクチン中のハウスキーピングエピトープの抗
癌有効性を示す。
【0271】 B.腫瘍負荷/生存分析 現存の腫瘍を有する動物を、ハウスキーピングエピトープでの免疫化前および
後に、腫瘍負荷に関して評価する。部分的または完全な腫瘍後退は、有効な治療
的介入を示し、生存の改善と相関する。研究室環境では、並行して幾つかの動物
に腫瘍を接種する。次に、動物のいくつかをハウスキーピングエピトープワクチ
ンで免疫化する。ハウスキーピングエピトープで免疫化した動物の生存を、対照
エピトープまたはプラセボを与えた動物の生存と比較し、ワクチンの有効性を決
定する。
【0272】 C.クロム放出アッセイ ヒトクラスIMHCを発現するように遺伝的に改変した動物を、ハウスキーピ
ングエピトープを用いて免疫化する。これらの動物からのT細胞を、ヒト腫瘍標
的または同一のクラスIMHCを発現するように操作した標的を用いた標準的ク
ロム放出アッセイにて使用する。標的のT細胞死滅は、患者におけるT細胞の刺
激が、同様のTuAAを発現する腫瘍を死滅させるのに有効であることを示す。
【0273】 実施例17.特有のハウスキーピングエピトープの同定 本発明のワクチンおよび方法にて有用なエピトープは、本明細書中に開示する
ように容易に同定され得る。例えば、pAPCにより生産されない3つの特有の
ハウスキーピングエピトープを以下のように同定した。
【0274】 A.単離および精製 免疫プロテアソームまたはハウスキーピングプロテアソーム複合体を単離する
。精製ペプチドを、約1〜2mMの濃度になるように適切な緩衝液中に溶解し、
約2倍容量のプロテアソーム調製物に添加する。選択した緩衝液は、消化過程を
妨害しないでペプチドを溶媒和させなければならない。使用したプロテアソーム
調製物の適格な機能性を検証するために、上述の陽性対照ペプチドを用いてさら
なる消化物を調製する。これらを、最大120分までの時間、37℃でインキュ
ベートし、続いて希釈トリフルオロ酢酸の添加により消化を停止させ、試料を質
量分析によりすぐに分析するか、あるいは分析までドライアイス上で凍結させる
。消化反応はまた、質量分析による即時の分析のために氷上に試料を置くことで
停止され得る。
【0275】 B.消化物のMALDI−TOF質量分析 各消化物約0.5μlを、試料スライド上で等容量のマトリックス溶液(70
%EtOH中の10mg/mlジヒドロキシ安息香酸、pH2〜3)と直接混合
し、約40℃で風乾させた。次に、適切な分子量標準物質で較正したLaser
mat(登録商標)MALDI−TOF質量分析計で試料を分析した。
【0276】 プロテアソームアッセイのために開発されたコンピュータプログラムは、任意
の予測エピトープの正確なC末端を有するという要件、およびそのエピトープの
完全長以上を含有するという要件の両方を満たす考え得る断片すべての配列およ
び分子量を生成する。
【0277】 MALDI−TOFの結果が、特定の分子量が消化混合物中に表されることを
示す場合、相当するペプチドを合成、精製し、MALDI−TOFにより同定し
、続いて逆相分析用HPLCを行い、標準保持時間、およびおおよその質量対ピ
ーク面積比の両方を確立した。これらの手法は、上述の手法にまさに類似してい
る。次に、複製プロテアソーム消化物を適切な溶媒で希釈し、同一の分析HPL
C法を用いて分析する。消化物が標準物質と同じ保持時間を有するピークを良好
な収量で付与する場合、消化物中のその配列の存在に起因することはほぼ確実で
ある。同一または類似の質量分析の結果を与える他の断片の考え得る生成に起因
する両義性が存在する場合、疑わしい成分を収集し、シーケンシング用に取り置
き、同一性を確認することができる。上述の方法を用いて、ハウスキーピングエ
ピトープが同定された。
【0278】 C.さらなる特有のハウスキーピングエピトープ HLA−A2.1に対する候補ペプチドの結合を、Stauss等の方法(Proc Natl
Acad Sci USA 89(17):7871-5(1992))に従ってアッセイした。表面上で空または
不安定のMHC分子を発現するT2細胞を2回洗浄し、無血清完全Iscove改変ダ
ルベッコ培地(IMDM)中で、5×106細胞/mlにて懸濁した。β2ミクロ
グロブリン(Sigma, St. Louis, MO)を5μg/mlで添加して、96ウェルU底
プレートに5×105細胞/ウェルで細胞を分配した。100、10、1および
0.1μg/mlでペプチドを添加した。プレートを2分間穏やかに振動させ、
次に5%CO2インキュベータ中で37℃にて4時間インキュベートした。IM
DMで2回洗浄することにより、未結合のペプチドを除去し、飽和量のモノクロ
ーナル抗体W6/32(Sigma)を添加した。4℃での30分間のインキュベーシ
ョン後、1%熱不活性化FCS、0,1%(w:v)アジ化ナトリウム、pH7
.4〜7.6で補充したPBS(染色用緩衝液)で細胞を洗浄し、フルオレセイ
ンイソチオシアネート(FITC)結合ヤギF(ab’)抗マウスIgG(Sigma
)とともに、4℃にて30分間インキュベートし、先述のように4回洗浄した。
染色用緩衝液に細胞を再懸濁させ、1/4容量の2%パラホルムアルデヒドを添
加することで固定した。ペプチド結合により安定化した表面HLA−A2.1分
子の分析は、FACScan(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて、フロ
ーサイトメトリーにより実施した。
【0279】 上述の方法を用いて、プロテアソーム消化により同定される候補チロシナーゼ
ハウスキーピングエピトープ(チロシナーゼ207〜216、FLPWHRLF
LL、配列番号78)は、既知のA2.1結合剤FLPSDYFPSV(配列番
号79)(陽性対照)と同様の程度にHLA−A2.1に結合することがわかっ
た。HLA−B44結合性ペプチドAEMGKYSFY(配列番号80)は、陰
性対照として使用した。陰性対照から得られる蛍光は、ペプチドをアッセイにて
使用しなかった際に得られるシグナルと同様であった。陽性および陰性対照ペプ
チドは、Current Protocols in Immunology P18.3.2, John Wiley and Sons, Ne
w York, 1988における表18.3.1から選択した。
【0280】 pVAX−EP1−IRES−EP2の構築 概要: この構築物のための開始プラスミドは、Invitrogen(Carlsbad, CA)から購入
したpVAX1である。エピトープEP1およびEP2をGIBCO BRL(Rockville,
MD)により合成した。IRESは、Clontech(Palo Alto, CA)から購入したpI
RESから切除した。図12を参照されたい。 手法: 1.EcoRIおよびNotIでpIRESを消化する。消化した断片をアガ
ロースゲルで分離し、ゲル精製によりIRES断片を精製する。 2.EcoRIおよびNotIでpVAX1を消化する。pVAX1断片をゲ
ル精製する。 3.精製したpVAX1およびIRES断片を含有する連結を設定する。 4.連結混合物でコンピテントDH5αを形質転換する。 5.4つのコロニーを取り出し、ミニプレップを作製する。 6.ミニプレップDNAの制限酵素消化分析を実施する。IRES挿入物を有
する1つの組換えコロニーを、EP1およびEP2のさらなる挿入に関して使用
した。この中間構築物をpVAX−IRESと呼んだ。 7.EP1およびEP2を合成する。 8.AflIIおよびEcoRI部位間のpVAX−IRESにEP1をサブ
クローニングし、pVAX−EP1−IRESを作製する。 9.SalIおよびNotI間にて、pVAX−EP1−IRESにEP2を
サブクローニングし、最終構築物PVAX−EP1−IRES−EP2を作製す
る。 10.配列を確認するために、EP1−IRES−EP2挿入物をシーケンシ
ングする。
【0281】 実施例19.pVAX−EP1−IRES−EP2−ISS−NISの構築 概要: この構築物のための開始プラスミドは、pVAX−EP1−IRES−EP2
(実施例18)である。この構築物に導入されるISS(免疫調節配列)(配列
番号82)は、AACGTTであり、使用したNIS(核内移行配列のために存
在)(配列番号81)は、SV40 72bpの反復配列である。ISS−NI
Sは、Gibco BRLにより合成された。図9を参照されたい。 手法: 1.NruIでpVAX−EP1−IRES−EP2を消化する。線状化プラ
スミドをゲル精製する。 2.ISS−NISを合成する。 3.精製した線状化pVAX−EP1−IRES−EP2および合成したIS
S−NISを含有する連結反応を設定する。 4.連結産物でコンピテントDH5αを形質転換する。 5.コロニーを取り出し、ミニプレップを作製する。 6.ミニプレップの制限酵素消化を実施する。 7.挿入物を有するプラスミドをシーケンシングする。
【0282】 実施例20.pVAX−EP−2−UB−EP1の構築 概要:この構築物のための開始プラスミドは、pVAX1(Invitrogen)である
。EP2およびEP1は、GIBCO BRLにより合成された。構築物中の76個のア
ミノ酸をコードする野生型ユビキチンcDNAは、酵母からクローニングされた
。図10を参照されたい。 手法: 1.酵母のmRNAを用いてRT−PCRを実施する。酵母のユビキチンの完
全なコード配列を増幅するように、プライマーを設計した。 2.アガロースゲルを用いてRT−PCR産物を分析する。予測サイズを有す
るバンドをゲル精製する。 3.精製したDNAバンドを、EcoRV部位にてpZERO1にサブクロー
ニングする。得られたクローンをpZERO−UBと称した。 4.pZERO−UBの幾つかのクローンをシーケンシングする。さらなる操
作の前にユビキチン配列を確認する。 5.EP1およびEP2を合成する。 6.EP2、ユビキチンおよびEP1を連結し、BamHIおよびEcoRI
間で、pVAX1に挿入物をクローニングし、それをCMVプロモーターの制御
下にする。 7.シーケンシングにより挿入物EP2−UB−EP1の配列を確認する。
【0283】 IRES(配列番号6)
【表8】 参照:Clontech PT3266-5
【0284】 ユビキチン(配列番号5)
【表9】 参照:Ozkaynak, E.、Finley, D.、Solomon, M.J. and Varshavsky, A.、The ye
ast ubiquitin genes: a family of natural gene fusions. EMBO J. 6(5), 14
29-1439(1987)。
【0285】 NIS(配列番号81)
【表10】 参照:Dean DA、Dean BS、Muller S、Smith LC、Sequence requirements for pl
asmid nuclear import. Exp. Cell Res. 253(2):713-22(1999)。
【0286】 ISS(配列番号82)
【表11】 参照:Sato Y、Roman M、Tighe H、Lee D、Corr M、Nguyen M、Silverman GJ、L
otz M、Carson DA and Raz E、Immunostimulatory DNA sequences necessary fo
r effective intradermal gene immunization. Science, 273:352-354(1996)。
【0287】 実施例21〜24はすべて、HLA−A2.1により提示される9量体エピト
ープの予測に関連するが、手法は、任意のHLA型、またはエピトープ長に同様
に適用可能であり、予測アルゴリズムまたはMHC結合アッセイが利用可能であ
る。
【0288】 実施例21.Melan−A/MART−1(配列番号1) この黒色腫腫瘍関連抗原(TAA)は、118アミノ酸長である。110の考
え得る9量体のうち、16個が、SYFPEITHI/Rammenseeアルゴリズム
によりスコア16が与えられる(第8表を参照)。これらは、考え得るペプチド
の14.5%、およびアミノ酸1個当たり0.136のタンパク質上の平均エピ
トープ密度を表す。配列番号1のアミノ酸22〜49を網羅する12個のこれら
の重複は、0.428のクラスターに関するエピトープ密度をもたらし、3.1
5の上述の比を与える。別の2つの予測エピトープは、配列番号1のアミノ酸5
6〜69と重複し、0.143のクラスターに関するエピトープ密度を与え、ち
ょうど1.05の比を有し、平均と明らかに異なる。図15を参照。
【0289】
【表12】
【0290】 BIMAS−NIH/Parkerアルゴリズムによる5分の解離半減期を有すると
予測される9量体に分析を制限することにより、たったの5つになる(第9表を
参照)。タンパク質中のエピトープの平均密度はここでは、アミノ酸1個当たり
わずか0.042である。タンパク質の重複ペプチドは、配列番号1のアミノ酸
31〜48を網羅し、他の2つは先述の配列番号1の56〜69を網羅し、それ
ぞれ3.93、および3.40の比を与える(第10表を参照)。
【0291】
【表13】
【0292】
【表14】
【0293】 実施例22.SSX−2/HOM−MEL−40(配列番号2) この黒色腫腫瘍関連抗原(TAA)は、188アミノ酸長である。180の考
え得る9量体のうち、11個が、SYFPEITHI/Rammenseeアルゴリズム
によりスコア16が与えられる(第11表を参照)。これらは、考え得るペプチ
ドの6.1%、およびアミノ酸1個当たり0.059のタンパク質上の平均エピ
トープ密度を表す。配列番号2のアミノ酸99〜114を網羅する3個のこれら
の重複は、0.188のクラスターに関するエピトープ密度をもたらし、3.1
8の上述の比を与える。また、配列番号2のアミノ酸16〜28、57〜67、
および167〜183にて予測エピトープの重複対が存在し、それぞれ2.63
、3.11、および2.01の比を与える。配列番号2のアミノ酸5〜28を網
羅するさらなる予測エピトープクラスターが存在する。3つのエピトープを含有
する配列番号2の領域5〜28を評価することにより、エピトープ密度0.12
5および比2.14が提供される(第12表を参照)。
【0294】 BIMAS−NIH/Parkerアルゴリズムによる5分の解離半減期を有すると
予測される9量体に分析を制限することにより、たったの6つになる(第13表
を参照)。タンパク質中のエピトープの平均密度はここでは、アミノ酸1個当た
りわずか0.032である。単一対のみが配列番号2の167〜180で重複し
、4.48の比を与える。しかしながら、上位のペプチドは、その領域が配列番
号2のアミノ酸41〜65が比が2.51であると評価される場合、別の単一予
測エピトープに近く、平均値とは実質的な差異を表す(図16および第14表を
参照)。
【0295】
【表15】
【0296】
【表16】
【0297】
【表17】
【0298】
【表18】
【0299】 実施例23.NY−ESO(配列番号3) この黒色腫腫瘍関連抗原(TAA)は、180アミノ酸長である。172の考
え得る9量体のうち、25個が、SYFPEITHI/Rammenseeアルゴリズム
によりスコア16が与えられる(第15表を参照)。上記のMelan−Aと同
様に、これらは、考え得るペプチドの14.5%、およびアミノ酸1個当たり0
.136のタンパク質上の平均エピトープ密度を表す。しかしながら、分布は、
全く異なっている。ほぼ半分のタンパク質は、最初の78個のアミノ酸中にまさ
に1つの予測エピトープを有して空である。高度な重複ペプチドの非常に密接な
クラスターが存在していたMelan−Aとは異なり、NY−ESOでは、重複
は、より小さく、タンパク質の残部のほとんどにわたって伸長している。19個
の重複ペプチドの1群は、配列番号3のアミノ酸108〜174を網羅し、2.
04の比をもたらす。別の5個の予測エピトープは、配列番号3の79〜104
を網羅し、ちょうど1.38の比を提供する(第16表を参照)。
【0300】 代わりに予測エピトープ、この場合9個のペプチドの上位5%のみを考慮する
アプローチを選ぶ場合、良好なクラスターがMHCに結合する可能性が低いと予
測されるペプチドにより弱められているかどうかを検査することができる。これ
らの予測エピトープがまさに考慮されると、配列番号3の領域108〜140が
3.64の比を有する6個の重複ペプチドを含有することがわかる。また、2.
00の比を有する、配列番号3の領域148〜167における2つの隣接ペプチ
ドが存在する。したがって、配列番号3の大きなクラスター108〜174は、
同一配列の多くを網羅する2つの小さなクラスターに細分され得る(第16表を
参照)。
【0301】 BIMAS−NIH/Parkerアルゴリズムによる5分の解離半減期を有すると
予測される9量体に分析を制限することにより、14個のペプチドを考慮する(
第17表を参照)。タンパク質中のエピトープの平均密度はここでは、アミノ酸
1個当たり0.078である。10重複ペプチドの単一群は、4.59の比で、
配列番号3のアミノ酸144〜171を網羅することが観察される。14個のペ
プチドすべてが配列番号3の領域86〜171に収まり、さらに2.09倍のタ
ンパク質中のエピトープの平均密度である。このような大きなクラスターが、本
発明者が理想とみなすよりも大きいと、全タンパク質を用いて作動させることに
よる有意な利点をさらに提供する(図17および第18表を参照)
【0302】
【表19】
【0303】
【表20】
【0304】
【表21】
【0305】
【表22】
【0306】 実施例24.チロシナーゼ(配列番号4) この黒色腫腫瘍関連抗原(TAA)は、529アミノ酸長である。521の考
え得る9量体のうち、52個が、SYFPEITHI/Rammenseeアルゴリズム
によりスコア16が与えられる(第19表を参照)。上記のMelan−Aと同
様に、これらは、考え得るペプチドの10%、およびアミノ酸1個当たり0.0
98のタンパク質上の平均エピトープ密度を表す。それぞれ2.03〜4.41
の範囲の比を有する、2〜13個の予測エピトープをそれぞれ含有する重複ペプ
チドの5群が存在する。それぞれ1.20〜1.85の範囲の比を有する、2〜
4個の予測エピトープをそれぞれ含有する重複ペプチドのさらなる7群が存在す
る。上記13個の重複ペプチドを含む、配列番号4の領域444〜506におけ
る17個のペプチドは、2.20の比を有するクラスターを構成する(第20表
を参照)。
【0307】 BIMAS−NIH/Parkerアルゴリズムによる5分の解離半減期を有すると
予測される9量体に分析を制限することにより、28個のペプチドを考慮する(
第21表を参照)。この条件下におけるタンパク質中のエピトープの平均密度は
、アミノ酸1個当たり0.053である。この密度では、どの重複も2倍を超え
るエピトープの平均密度を表す。それぞれ2.22〜4.9の範囲の比を有する
、2〜7個の予測エピトープをそれぞれ含有する重複ペプチドの5群が存在する
(第22表を参照)。これらのクラスターのうちたった3つが、2つのアルゴリ
ズムに共通している。これらのクラスターの幾つか(但し、すべてではない)は
、それらおよび隣接予測エピトープを含有する領域を評価することによって拡張
され得る(図18を参照)。
【0308】
【表23】
【0309】
【表24】
【0310】
【表25】
【0311】
【表26】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プロテアソームによるタンパク質プロセシングおよびエピトープ提示に関与す
る細胞の一部の概要図を表す。
【図2】 ハウスキーピングプロテアソームおよび免疫プロテアソームの比較である。
【図3】 感染細胞とpAPCとの間のエピトープ同調の概要図を表す。
【図4】 pAPCおよび腫瘍細胞による異なるエピトープの提示を示す。
【図5】 pAPCおよび感染細胞による異なるエピトープの提示を示す。
【図6】 IFN−γによる誘発に起因したハウスキーピングエピトープおよび免疫エピ
トープの両方の腫瘍細胞による提示を表す。
【図7】 ハウスキーピングエピトープを認識するために誘発されるT細胞によるウイル
ス感染細胞の攻撃を示す。
【図8】 ハウスキーピングエピトープおよび免疫エピトープの両方に対する二重攻撃を
示す。
【図9】 プラスミドpVAX−EP1−IRES−EP2−ISS−NISの成分を表
す。
【図10】 プラスミドpVAX−EP2−UB−EP1の成分を表す。
【図11】 プラスミドpVAX−EP2−2A−EP1の成分を表す。
【図12】 プラスミドpVAX−EP1−IRES−EP2の成分を表す。
【図13】 Melan−AエピトープによるHLA結合を検証するフローサイトメトリー
アッセイの結果を表す。
【図14】 チロシナーゼペプチド207〜216によるHLA結合を検証するフローサイ
トメトリーアッセイの結果を表す。
【図15】 クラスIHLAエピトープのクラスター形成を示すMelan−A(配列番号
1)の配列を表す。
【図16】 クラスIHLAエピトープのクラスター形成を示すSSX−2(配列番号2)
の配列を表す。
【図17】 クラスIHLAエピトープのクラスター形成を示すNY−ESO(配列番号3
)の配列を表す。
【図18】 配列のラインの上部ではBIMAS−NIH/Parkerアルゴニズムによ
り、また下部ではSYFPEITHI/Rammenseeアルゴリズムにより表される
クラスIHLAエピトープのクラスター形成を示すチロシナーゼ(配列番号4)
の配列を表す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/02 A61K 39/02 39/04 39/04 39/10 39/10 39/112 39/112 39/118 39/118 39/13 39/13 39/20 39/20 39/21 39/21 39/23 39/23 39/235 39/235 39/245 39/245 39/29 39/29 A61P 35/00 A61P 35/00 C07K 16/18 C07K 16/18 C12N 5/10 C12Q 1/68 A 15/09 C12N 15/00 A C12Q 1/68 5/00 B (31)優先権主張番号 09/561,571 (32)優先日 平成12年4月28日(2000.4.28) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/561,572 (32)優先日 平成12年4月28日(2000.4.28) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ダイアモンド,デビッド シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 91304 ウェスト ヒルズ ショーンボーン ス トリート 23135 (72)発明者 リー,シアン−ドン アメリカ合衆国 カリフォルニア 91311 チャ ッツワース ブルック アベニュ ー 10231 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA31 BA32 BA36 CA04 CA06 DA02 DA06 EA04 FA02 GA11 HA01 HA17 4B063 QA01 QA19 QQ43 QR32 QR55 QS34 4B065 AA26X AA94X AA99Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA45 CA46 4C085 AA03 BA02 BA03 BA04 BA17 BA45 BA47 BA49 BA53 BA63 BA67 BA68 BA69 BA75 BA77 BA79 BA80 BA83 BA87 BA89 BA92 BB01 CC01 CC07 CC08 4H045 AA11 AA30 BA10 CA42 DA75 EA28 EA51 EA54 FA74

Claims (161)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のハウスキーピングエピトープを含むワクチンであって
    、該ハウスキーピングエピトープが、第1の標的細胞に関連した第1の抗原に由
    来するワクチン。
  2. 【請求項2】 核酸構築物を含むワクチンであって、該構築物が、前記ハウ
    スキーピングエピトープをコードする、請求項1に記載のワクチン。
  3. 【請求項3】 前記標的細胞が、腫瘍性細胞である、請求項1または2に記
    載のワクチン。
  4. 【請求項4】 前記腫瘍性細胞が、白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫、
    肉腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸癌
    、肝細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎細
    胞癌、および脳癌からなる群から選択される、請求項3に記載のワクチン。
  5. 【請求項5】 前記抗原が、MelanA(MART−1)、gp100(
    Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、M
    AGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE、NY
    −ESO、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H−Ra
    s、HER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、I
    GH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗原、EBNA、
    ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP−180、MA
    GE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erb
    B−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CAM 1
    7.1、NuMa、K−ras、β−カテニン、CDK4、Mum−1、p16
    、TAGE、PSMA、PSCA、CT7、テロメラーゼ、43−9F、5T4
    、791Tgp72、α−フェトプロテイン、β−HCG、BCA225、BT
    AA、CA 125、CA 15−3(CA 27.29\BCAA)、CA
    195、CA 242、CA−50、CAM43、CD68\KP1、CO−0
    29、FGF−5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp−175、
    M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO
    −1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90(Mac−2結合性タンパク
    質/サイクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、
    TPS、およびGA733−2\KSAからなる群から選択される、請求項3に
    記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 前記標的細胞が、細胞内寄生生物により感染される、請求項
    1または2に記載のワクチン。
  7. 【請求項7】 前記細胞内寄生生物が、ウイルスである、請求項6に記載の
    ワクチン。
  8. 【請求項8】 前記ウイルスが、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、
    エプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス
    2、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型
    肝炎ウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイル
    スBK、ポリオーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイ
    ルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、およ
    びヒトT細胞白血病ウイルスIIからなる群から選択される、請求項7に記載の
    ワクチン。
  9. 【請求項9】 前記抗原が、ウイルス関連抗原である、請求項7に記載のワ
    クチン。
  10. 【請求項10】 前記細胞内寄生生物が、細菌、原生動物、真菌、またはプ
    リオンである、請求項6に記載のワクチン。
  11. 【請求項11】 前記細胞内寄生生物が、クラミジア属、リステリア属、サ
    ルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシエラ属、リケッチア属、ミコバ
    クテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ属、および
    プラスモディウム属からなる群から選択される、請求項10に記載のワクチン。
  12. 【請求項12】 前記抗原が、寄生生物関連抗原である、請求項10に記載
    のワクチン。
  13. 【請求項13】 前記ハウスキーピングエピトープが、約6〜約23のアミ
    ノ酸長のポリペプチドを含むか、またはコードする、請求項1または2に記載の
    ワクチン。
  14. 【請求項14】 前記ポリペプチドが、9または10のアミノ酸長である、
    請求項13に記載のワクチン。
  15. 【請求項15】 前記ハウスキーピングエピトープが、核酸を含む、請求項
    1に記載のワクチン。
  16. 【請求項16】 前記ハウスキーピングエピトープが、合成ポリペプチドを
    含む、請求項1に記載のワクチン。
  17. 【請求項17】 前記ワクチンが、緩衝液、洗浄剤、界面活性剤、酸化防止
    剤、または還元剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む
    、請求項1〜16のいずれか一項に記載のワクチン。
  18. 【請求項18】 前記ハウスキーピングエピトープが、MHCの少なくとも
    1つの対立遺伝子に特異的である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のワク
    チン。
  19. 【請求項19】 前記対立遺伝子が、A2型をコードする、請求項18に記
    載のワクチン。
  20. 【請求項20】 前記対立遺伝子が、A1、A3、A11、およびA24か
    らなる群から選択される型をコードする、請求項18に記載のワクチン。
  21. 【請求項21】 前記対立遺伝子が、A26、A29、B7、B8、B14
    、B18、B27、B35、B44、B62、B60、およびB51からなる群
    から選択される型をコードする、請求項18に記載のワクチン。
  22. 【請求項22】 免疫エピトープをさらに含む、請求項1〜21のいずれか
    一項に記載のワクチン。
  23. 【請求項23】 前記免疫エピトープが、前記標的細胞に関連した第2の抗
    原に由来する、請求項22に記載のワクチン。
  24. 【請求項24】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一である、請
    求項21に記載のワクチン。
  25. 【請求項25】 前記ハウスキーピングエピトープが、MHCの第1の対立
    遺伝子に特異的であり、前記免疫エピトープが、MHCの第2の対立遺伝子に特
    異的である、請求項22、23または24に記載のワクチン。
  26. 【請求項26】 前記第1の対立遺伝子および前記第2の対立遺伝子が、同
    一である、請求項25に記載のワクチン。
  27. 【請求項27】 前記第1の対立遺伝子および前記第2の対立遺伝子が、同
    一でない、請求項25に記載のワクチン。
  28. 【請求項28】 前記ワクチンが、エピトープクラスターを含み、該エピト
    ープクラスターが、前記免疫エピトープを含む、請求項22ないし27の任意の
    請求項に記載のワクチン。
  29. 【請求項29】 前記エピトープクラスターが、ある長さを有するポリペプ
    チドを含むか、またはコードし、該長さが、少なくとも10個のアミノ酸である
    、請求項28に記載のワクチン。
  30. 【請求項30】 前記ポリペプチドの前記長さが、約60個未満のアミノ酸
    である、請求項29に記載のワクチン。
  31. 【請求項31】 前記エピトープクラスターが、前記標的細胞に関連した第
    2の抗原に由来する、請求項28に記載のワクチン。
  32. 【請求項32】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一である、請
    求項31に記載のワクチン。
  33. 【請求項33】 前記第2の抗原が、ある長さを有し、前記エピトープクラ
    スターが、ある長さを有するポリペプチドから構成されるか、またはそれをコー
    ドし、該長さが、前記第2の抗原の長さの約80%未満である、請求項31また
    は32に記載のワクチン。
  34. 【請求項34】 前記ポリペプチドの前記長さが、前記第2の抗原の長さの
    約50%未満である、請求項33に記載のワクチン。
  35. 【請求項35】 前記ポリペプチドの前記長さが、前記第2の抗原の長さの
    約20%未満である、請求項34に記載のワクチン。
  36. 【請求項36】 第2のハウスキーピングエピトープをさらに含むワクチン
    であって、該第2のハウスキーピングエピトープが、第2の標的細胞に関連した
    第2の抗原に由来する、請求項1〜35のいずれか一項にに記載のワクチン。
  37. 【請求項37】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一である、請
    求項36に記載のワクチン。
  38. 【請求項38】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一でない、請
    求項36に記載のワクチン。
  39. 【請求項39】 前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同一で
    ある、請求項36に記載のワクチン。
  40. 【請求項40】 前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同一で
    ない、請求項36に記載のワクチン。
  41. 【請求項41】 ワクチンを製造する方法であって、 第1の標的細胞もしくは標的病原体に関連した第1の抗原からハウスキーピン
    グプロテアソームにより生産されるか、または生産され得るポリペプチド断片を
    同定することにより、第1のハウスキーピングエピトープを選定し、そして 前記選定したハウスキーピングエピトープを含むか、またはコードするワクチ
    ン組成物を準備する工程 を含む方法。
  42. 【請求項42】 第1のハウスキーピングエピトープを含むMHC−ペプチ
    ド複合体に特異的なT細胞受容体を発現する単離T細胞であって、該ハウスキー
    ピングエピトープが、第1の標的細胞に関連した第1の抗原に由来するT細胞。
  43. 【請求項43】 請求項42に記載のT細胞を含むT細胞クローン。
  44. 【請求項44】 請求項42に記載のT細胞を含むT細胞のポリクローナル
    集団。
  45. 【請求項45】 in vitro免疫化により生産される、請求項42に
    記載のT細胞。
  46. 【請求項46】 免疫化した動物から単離される、請求項42に記載のT細
    胞。
  47. 【請求項47】 養子免疫治療薬を製造する方法であって、 請求項42ないし46の任意の請求項に記載のT細胞を、薬学的に許容可能な
    アジュバント、キャリア、希釈剤、または賦形剤と合わせることを含む方法。
  48. 【請求項48】 養子免疫治療における使用のための薬剤の製造における請
    求項42ないし46の任意の請求項に記載のT細胞の使用。
  49. 【請求項49】 宿主中の標的に関連した抗原のペプチド断片の集団からエ
    ピトープを選定する工程を含むエピトープの発見方法であって、該断片が、前記
    宿主の主要組織適合性複合体受容体ペプチドが結合する溝に対して既知のまたは
    予測される親和性を有し、前記選定したエピトープが、前記宿主の細胞中の前記
    抗原のタンパク質分解性切断の産物に相当する方法。
  50. 【請求項50】 前記標的が、標的細胞であり、前記主要組織適合性複合体
    受容体が、クラスI主要組織適合性複合体受容体であり、前記タンパク質分解性
    切断の産物がプロテアソーム切断の産物であり、前記宿主の前記細胞が、該標的
    細胞である、請求項49に記載の方法。
  51. 【請求項51】 前記主要組織適合性複合体受容体が、クラスII主要組織
    適合性複合体受容体である、請求項49に記載の方法。
  52. 【請求項52】 前記標的が、腫瘍性細胞、病原体、毒素、毒液、およびア
    レルゲンからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
  53. 【請求項53】 エピトープを発見する方法であって、 標的細胞由来の配列であって、該標的細胞中で発現されるタンパク質をコード
    するか、またはそれを含む配列を準備し、 該タンパク質のペプチド断片集団であって、そのメンバーが主要組織適合性複
    合体クラスI受容体ペプチドが結合する溝に対して既知のまたは予測される親和
    性を有するペプチド断片集団を同定し、 該ペプチド断片集団由来の前記エピトープであって、前記標的細胞中で活性な
    プロテアソームの産物に相当するエピトープを選定する工程 を含む方法。
  54. 【請求項54】 前記標的細胞が、腫瘍性細胞または抗原提示細胞である、
    請求項50または53に記載の方法。
  55. 【請求項55】 エピトープを発見する方法であって、 腫瘍性細胞、および該腫瘍性細胞に関連した抗原を含むか、またはコードする
    配列を準備し、 該抗原のペプチド断片集団であって、主要組織適合性複合体クラスI受容体ペ
    プチドが結合する溝に対する親和性を有すると予測されるペプチド断片集団を同
    定し、 該ペプチド断片集団由来のエピトープであって、in vitro分析により
    、前記腫瘍性細胞中で活性なプロテアソームのプロテアソーム切断反応産物であ
    ると決定されるエピトープを選定する工程 を含む方法。
  56. 【請求項56】 前記腫瘍性細胞が、白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞腫
    、肉腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結腸
    癌、肝細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、腎
    細胞癌、および脳癌からなる群から選択される、請求項52、54または55に
    記載の方法。
  57. 【請求項57】 前記抗原が、MelanA(MART−1)、gp100
    (Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE−1、
    MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAGE、N
    Y−ESO、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H−R
    as、HER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、
    IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗原、EBNA
    、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP−180、M
    AGE−4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180er
    bB−3、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CAM
    17.1、NuMa、K−ras、β−カテニン、CDK4、Mum−1、およ
    びp16からなる群から選択される、請求項52、54、55または56に記載
    の方法。
  58. 【請求項58】 前記標的細胞が、細胞内寄生生物により感染される、請求
    項50または53に記載の方法。
  59. 【請求項59】 前記病原体が、細胞内寄生生物である、請求項52に記載
    の方法。
  60. 【請求項60】 前記細胞内寄生生物が、ウイルスである、請求項58また
    は59に記載の方法。
  61. 【請求項61】 前記ウイルスが、アデノウイルス、サイトメガロウイルス
    、エプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイル
    ス2、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D
    型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイ
    ルスBK、ポリオーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウ
    イルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、お
    よびヒトT細胞白血病ウイルスII、ロタウイルス、レオウイルス、ピコルナウ
    イルス、ヘパドナウイルス、アデノウイルス、およびパポバウイルスからなる群
    から選択される、請求項60に記載の方法。
  62. 【請求項62】 前記抗原が、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、エ
    プスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2
    、ヒトヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝
    炎ウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイルス
    BK、ポリオーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイル
    ス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、および
    ヒトT細胞白血病ウイルスIIからなる群から選択される、請求項60に記載の
    方法。
  63. 【請求項63】 前記病原体が、細菌、真菌、原生動物、およびプリオンか
    らなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
  64. 【請求項64】 前記細胞内寄生生物が、細菌、原生動物、真菌、またはプ
    リオンである、請求項58に記載の方法。
  65. 【請求項65】 前記病原体または細胞内寄生生物が、クラミジア属、リス
    テリア属、サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシエラ属、リケッチ
    ア属、ミコバクテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズ
    マ属、およびプラスモディウム属からなる群から選択される、請求項63または
    64に記載の方法。
  66. 【請求項66】 前記抗原が、寄生生物関連抗原である、請求項58に記載
    の方法。
  67. 【請求項67】 前記プロテアソームが、ハウスキーピングプロテアソーム
    である、請求項50、53または55に記載の方法。
  68. 【請求項68】 前記プロテアソームが、免疫プロテアソームである、請求
    項50、53または55に記載の方法。
  69. 【請求項69】 前記タンパク質分解性切断が、前記宿主のリソソーム中の
    プロテアーゼの活性を含む、請求項49または51に記載の方法。
  70. 【請求項70】前記タンパク質分解性切断が、前記宿主のエンドソーム中の
    プロテアーゼの活性を含む、請求項49または51に記載の方法。
  71. 【請求項71】 前記親和性が、in vitro結合アッセイにより決定
    される、請求項49ないし70の任意の請求項に記載の方法。
  72. 【請求項72】 前記親和性が、アルゴリズムにより決定される、請求項4
    9ないし70の任意の請求項に記載の方法。
  73. 【請求項73】 前記産物が、in vitro分析により決定される、請
    求項49ないし72の任意の請求項に記載の方法。
  74. 【請求項74】 請求項49ないし73の任意の請求項に記載の方法により
    発見されるエピトープ。
  75. 【請求項75】 配列番号78の配列を有する、請求項74に記載のエプト
    ープ。
  76. 【請求項76】 標的細胞により発現されるプロテアソームのタイプを決定
    し、そして 前記標的細胞により発現されるエピトープを同定する工程 を含むプロセスにより発見されるMHCクラスI制限エピトープ。
  77. 【請求項77】 前記決定する工程が、RT−PCR、ELISA、ウエス
    タンブロッティング、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学、および
    前記標的細胞から精製されるプロテアソームを用いた標準基質の切断からなる群
    から選択される技法を含む、請求項76に記載のエピトープ。
  78. 【請求項78】 前記決定する工程が、未処理の標的細胞とγ−IFN処理
    標的細胞とを比較することを含む、請求項76に記載のエピトープ。
  79. 【請求項79】 前記同定する工程が、ペプチド溶出、in vitroタ
    ンパク質分解、質量分析、HPLC、アミノ酸シーケンシング、および免疫反応
    性測定を含む、請求項76に記載のエピトープ。
  80. 【請求項80】 前記免疫反応性測定が、細胞障害性、増殖、およびサイト
    カイン生産からなる群から選択される状態を検出するためのアッセイを含む、請
    求項79に記載のエピトープ。
  81. 【請求項81】 請求項74ないし80の任意の請求項に記載のエピトープ
    を含むワクチン。
  82. 【請求項82】 エピトープクラスターであって、該クラスターが、標的に
    関連した抗原に由来し、該クラスターが、MHC受容体ペプチドが結合する溝に
    対して既知のもしくは予測される親和性を有する少なくとも2つの配列を含むか
    、またはコードし、該クラスターが、前記抗原の不完全断片であるエピトープク
    ラスター。
  83. 【請求項83】 前記標的が、腫瘍性細胞である、請求項82に記載のエピ
    トープクラスター。
  84. 【請求項84】 前記標的が、細胞内寄生生物により感染される細胞である
    、請求項82に記載のエピトープクラスター。
  85. 【請求項85】 前記細胞内寄生生物が、ウイルスである、請求項84に記
    載のエピトープクラスター。
  86. 【請求項86】 前記細胞内寄生生物が、細菌または原生動物である、請求
    項84に記載のエピトープクラスター。
  87. 【請求項87】 前記標的が、病原性作用物質である、請求項82に記載の
    エピトープクラスター。
  88. 【請求項88】 前記病原性作用物質が、ウイルス、細菌、真菌、原生動物
    、プリオン、毒素、毒液、およびアレルゲンからなる群から選択される、請求項
    87に記載のエピトープクラスター。
  89. 【請求項89】 前記MHC受容体が、クラスI HLA受容体である、請
    求項82に記載のエピトープクラスター。
  90. 【請求項90】 前記MHC受容体が、クラスII HLA受容体である、
    請求項82に記載のエピトープクラスター。
  91. 【請求項91】 前記クラスターが、ある長さを有するポリペプチドを含む
    か、またはコードし、該長さが、少なくとも10個のアミノ酸である、請求項8
    2に記載のエピトープクラスター。
  92. 【請求項92】 前記ポリペプチドの前記長さが、約75個未満のアミノ酸
    である、請求項91に記載のエピトープクラスター。
  93. 【請求項93】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターが、ある長
    さを有するポリペプチドから構成されるか、またはそれをコードし、前記ポリペ
    プチドの前記長さが、前記抗原の長さの約80%未満である、請求項82に記載
    のエピトープクラスター。
  94. 【請求項94】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターが、ある長
    さを有するポリペプチドから構成されるか、またはそれをコードし、前記ポリペ
    プチドの前記長さが、前記抗原の長さの約50%未満である、請求項93に記載
    のエピトープクラスター。
  95. 【請求項95】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターが、ある長
    さを有するポリペプチドから構成されるか、またはそれをコードし、前記ポリペ
    プチドの前記長さが、前記抗原の長さの約20%未満である、請求項94に記載
    のエピトープクラスター。
  96. 【請求項96】 エピトープクラスターを発見する方法であって、 標的に関連した抗原の配列を準備し、 推定MHCエピトープを同定するために、MHC受容体ペプチドが結合する溝
    に対する既知のまたは予測される親和性に基づいて、前記配列内の候補ペプチド
    をスコア付けし、そして 前記抗原内のエピトープクラスターであって、少なくとも2つの推定MHCエ
    ピトープを含み、全体として前記抗原中の推定MHCエピトープ密度よりも高い
    推定MHCエピトープ密度を含むクラスターを同定する工程 を含む方法。
  97. 【請求項97】 前記標的が、腫瘍性細胞である、請求項96に記載の方法
  98. 【請求項98】 前記標的が、細胞内寄生生物により感染される細胞である
    、請求項96に記載の方法。
  99. 【請求項99】 前記細胞内寄生生物が、ウイルスである、請求項98に記
    載の方法。
  100. 【請求項100】 前記細胞内寄生生物が、細菌または原生動物である、請
    求項98に記載の方法。
  101. 【請求項101】 前記標的が、病原性作用物質である、請求項96に記載
    の方法。
  102. 【請求項102】 前記MHC受容体の結合する溝が、クラスI HLA受
    容体の結合する溝である、請求項96に記載の方法。
  103. 【請求項103】 前記MHC受容体の結合する溝が、クラスII HLA
    受容体の結合する溝である、請求項96に記載の方法。
  104. 【請求項104】 前記クラスターが、ある長さを有するポリペプチドを含
    むか、またはコードし、前記長さが、少なくとも10個のアミノ酸である、請求
    項96に記載の方法。
  105. 【請求項105】 前記ポリペプチドの前記長さが、約75個未満のアミノ
    酸である、請求項104に記載の方法。
  106. 【請求項106】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターが、ある
    長さを有するポリペプチドから本質的に構成されるか、またはそれをコードし、
    前記ポリペプチドの前記長さが、前記抗原の長さの約80%未満である、請求項
    96に記載の方法。
  107. 【請求項107】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターが、ある
    長さを有するポリペプチドから本質的に構成されるか、またはそれをコードし、
    前記ポリペプチドの前記長さが、前記抗原の長さの約50%未満である、請求項
    106に記載の方法。
  108. 【請求項108】 前記抗原が、ある長さを有し、前記クラスターは、ある
    長さを有するポリペプチドから本質的に構成されるか、またはそれをコードし、
    前記ポリペプチドの前記長さが、前記抗原の長さの約20%未満である、請求項
    107に記載の方法。
  109. 【請求項109】 第1のコード領域を含む核酸構築物であって、該第1の
    コード領域が、少なくとも第1のポリペプチドをコードする第1の配列を含み、
    該第1のポリペプチドが、第1の標的細胞に関連した第1の抗原に由来する第1
    のハウスキーピングエピトープを含む核酸構築物。
  110. 【請求項110】 前記第1のコード領域が、少なくとも第2のポリペプチ
    ドをコードする第2の配列をさらに含み、該第2のポリペプチドは、第2の標的
    細胞に関連した第2の抗原に由来する第2のエピトープを含む、請求項109に
    記載の核酸構築物。
  111. 【請求項111】 前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチド
    が、隣接している、請求項110に記載の核酸構築物。
  112. 【請求項112】 前記第の1ポリペプチドおよび前記第2のポリペプチド
    が、隣接していない、請求項110に記載の核酸構築物。
  113. 【請求項113】 前記第2のエピトープが、ハウスキーピングエピトープ
    である、請求項110に記載の核酸構築物。
  114. 【請求項114】 前記第2のエピトープが、免疫エピトープである、請求
    項110に記載の核酸構築物。
  115. 【請求項115】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一である、
    請求項110に記載の核酸構築物。
  116. 【請求項116】 前記第1の抗原および前記第2の抗原が、同一でない、
    請求項110に記載の核酸構築物。
  117. 【請求項117】 前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同一
    である、請求項110に記載の核酸構築物。
  118. 【請求項118】 前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同一
    でない、請求項110に記載の核酸構築物。
  119. 【請求項119】 前記第1の標的細胞が、腫瘍性細胞である、請求項10
    9に記載の核酸構築物。
  120. 【請求項120】 前記腫瘍性細胞が、白血病、癌腫、リンパ腫、星状細胞
    腫、肉腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、黒色腫、ウィルムス腫、膀胱癌、乳癌、結
    腸癌、肝細胞癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、子宮頚癌、精巣癌、
    腎細胞癌、および脳癌からなる群から選択される、請求項119に記載の核酸構
    築物。
  121. 【請求項121】 前記第1の抗原が、MART−1/MelanA、gp
    100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2、MAGE
    −1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、CEA、RAG
    E、SCP−1、Hom/Mel−40、PRAME、p53、H−Ras、H
    ER−2/neu、BCR−ABL、E2A−PRL、h4−RET、IGH−
    IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バーウイルス抗原、EBNA、ヒトパ
    ピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7、TSP−180、MAGE−
    4、MAGE−5、MAGE−6、p185erbB2、p180erbB−3
    、c−met、nm−23H1、PSA、TAG−72−4、CAM 17.1
    、NuMa、K−ras、b−カテニン、CDK4、Mum−1、p16、p1
    5、NY−ESO、SSX遺伝子ファミリーのメンバーの産物、CT−7、およ
    びSCP遺伝子ファミリーのメンバーの産物からなる群から選択される、請求項
    119に記載の核酸構築物。
  122. 【請求項122】 前記標的細胞が、細胞内寄生生物により感染される、請
    求項109に記載の核酸構築物。
  123. 【請求項123】 前記細胞内寄生生物が、ウイルスである、請求項122
    に記載の核酸構築物。
  124. 【請求項124】 前記ウイルスが、アデノウイルス、サイトメガロウイル
    ス、エプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペスウイルス1および2、ヒトヘル
    ペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス
    、パピローマウイルス、パルボウイルスB19、ポリオーマウイルスBK、ポリ
    オーマウイルスJC、C型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ヒト免
    疫不全症ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルスI、およびヒトT細胞
    白血病ウイルスIIからなる群から選択される、請求項123に記載の核酸構築
    物。
  125. 【請求項125】 前記細胞内寄生生物が、細菌、原生生物、真菌、または
    プリオンである、請求項122に記載の核酸構築物。
  126. 【請求項126】 前記細胞内寄生生物が、クラミジア属、リステリア属、
    サルモネラ属、レジオネラ属、ブルセラ属、コクシエラ属、リケッチア属、ミコ
    バクテリア属、リーシュマニア属、トリパノソーマ属、トキソプラズマ属、およ
    びプラスモディウム属からなる群から選択される、請求項125に記載の核酸構
    築物。
  127. 【請求項127】 前記第1のコード領域に操作可能に連結される第1のプ
    ロモーター配列をさらに含む、請求項109に記載の核酸構築物。
  128. 【請求項128】 前記プロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)
    、SV40、またはレトロウイルス末端反復配列(LTR)に由来する、請求項
    127に記載の核酸構築物。
  129. 【請求項129】 前記プロモーターが、双方向性プロモーターである、請
    求項127に記載の核酸構築物。
  130. 【請求項130】 第2のコード領域に操作可能に連結される第2のプロモ
    ーター配列をさらに含む、請求項127に記載の核酸構築物。
  131. 【請求項131】 前記第1のコード領域に操作可能に連結されるポリA配
    列をさらに含む、請求項109に記載の核酸構築物。
  132. 【請求項132】 内部リボソーム侵入部位(IRES)配列をさらに含む
    、請求項110に記載の核酸構築物。
  133. 【請求項133】 前記IRES配列が、前記第1および前記第2のコード
    配列の間にある、請求項132に記載の核酸構築物。
  134. 【請求項134】 ユビキチン配列をさらに含む、請求項110に記載の核
    酸構築物。
  135. 【請求項135】 前記ユビキチン配列が、前記第1および前記第2のコー
    ド配列の間にある、請求項134に記載の核酸構築物。
  136. 【請求項136】 自己触媒ペプチドをコードする配列をさらに含む、請求
    項110に記載の核酸構築物。
  137. 【請求項137】 前記自己触媒ペプチドコード配列が、前記第1および前
    記第2のコード配列の間にある、請求項136に記載の核酸構築物。
  138. 【請求項138】 エンハンサー、核内移行配列、免疫賦活配列、およびサ
    イトカイン、選択マーカーまたはレポーター分子のための発現カセットからなる
    群から選択される配列をさらに含む、請求項109に記載の核酸構築物。
  139. 【請求項139】 前記第1のポリペプチドが、約7〜約15アミノ酸長で
    ある、請求項109に記載の核酸構築物。
  140. 【請求項140】 前記第1のポリペプチドが、9または10アミノ酸長で
    ある、請求項119に記載の核酸構築物。
  141. 【請求項141】 前記第2のポリペプチドが、9または10アミノ酸長で
    ある、請求項110に記載の核酸構築物。
  142. 【請求項142】 前記第2のポリペプチドが、約10〜約75アミノ酸長
    のエピトープクラスターである、請求項110に記載の核酸構築物。
  143. 【請求項143】 前記第1のエピトープが、第1のMHC対立遺伝子に対
    する結合親和性を有し、前記第2のエピトープが、第2のMHC対立遺伝子に対
    する結合親和性を有する、請求項110に記載の核酸構築物。
  144. 【請求項144】 前記第1の対立遺伝子および前記第2の対立遺伝子が、
    同一である、請求項143に記載の核酸構築物。
  145. 【請求項145】 前記第1の対立遺伝子および前記第2の対立遺伝子が、
    同一でない、請求項143に記載の核酸構築物。
  146. 【請求項146】 少なくとも第2のコード領域をさらに含む核酸構築物で
    あって、該第2のコード領域が、少なくとも第2のポリペプチドをコードする第
    2の配列を含み、該第2のポリペプチドが、第2の標的細胞に関連した第2の抗
    原に由来する第2のエピトープを含む、請求項109に記載の核酸構築物。
  147. 【請求項147】 前記第1および第2のコード領域が、単一双方向性プロ
    モーターの各々の側に操作可能に連結される、請求項146に記載の核酸構築物
  148. 【請求項148】 少なくとも1つのコード領域が、複数のポリペプチドを
    コードする複数の配列を含み、各ポリペプチドが、標的細胞に関連した抗原に由
    来する少なくとも1つのエピトープを含む、請求項146に記載の核酸構築物。
  149. 【請求項149】 前記双方向性プロモーターはさらに、第2の配列に操作
    可能に連結され、前記第2の配列が、アジュバントをコードする、請求項129
    に記載の核酸構築物。
  150. 【請求項150】 コードされたペプチドが、自己タンパク質分解活性を保
    有する、請求項136に記載の核酸構築物。
  151. 【請求項151】 コードされたペプチドが、ペプチド結合形成を抑制する
    、請求項136に記載の核酸構築物。
  152. 【請求項152】 請求項109ないし151の任意の請求項に記載の核酸
    構築物を含むワクチン。
  153. 【請求項153】 ワクチンを製造する方法であって、: 請求項109ないし151の任意の請求項に記載の核酸構築物を含むワクチン
    組成物を調製する工程 を含む方法。
  154. 【請求項154】 請求項41または153に記載の方法により製造される
    ワクチン。
  155. 【請求項155】 動物の治療方法であって、: 請求項1ないし40、81、152または154の任意の請求項に記載のワク
    チンを動物に投与すること を含む方法。
  156. 【請求項156】 前記投与工程が、経皮的、結節内、結節周囲、経口、静
    脈内、皮内、筋内、腹腔内、および経粘膜からなる群から選択される送達様式を
    含む、請求項155に記載の方法。
  157. 【請求項157】 前記標的細胞の状態を示す特徴を決定するためにアッセ
    イする工程をさらに含む、請求項155に記載の方法。
  158. 【請求項158】 第1のアッセイ工程および第2のアッセイ工程を含む方
    法であって、該第1のアッセイ工程は、前記投与工程に先立ち、該第2のアッセ
    イ工程が、前記投与工程の後に続く、請求項157に記載の方法。
  159. 【請求項159】 結果を得るために、前記第2のアッセイ工程中で決定さ
    れる特徴と、前記第1のアッセイ工程で決定される特徴とを比較する工程をさら
    に含む、請求項158に記載の方法。
  160. 【請求項160】 前記結果が、標的細胞数の減少、標的細胞を含む腫瘍の
    質量もしくは大きさの低下、または標的細胞を感染する細胞内寄生生物の数もし
    くは濃度の低減からなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
  161. 【請求項161】 請求項155ないし160の任意の請求項に記載の治療
    方法における使用のためのワクチンの製造におけるハウスキーピングエピトープ
    の使用。
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