JP2003521639A - ベルトまたはチェーンのような引張り手段のためのテンション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ベルトまたはチェーンのような引張り手段のためのテンション装置であって、ケーシング状の部分が設けられており、該ケーシング状の部分内に、引張り手段を緊張させるためのテンション手段と該テンション手段を負荷するばねエレメントとが収容されており、当該テンション装置が、引張り手段伝動装置の、駆動軸を有するユニットに、ケーシング状の部分を回動不能に配置したまま駆動軸を取り囲むように取付け可能である形式のものにおいて、テンション手段が、ケーシング状の部分内に軸線を中心としてかつ互いに反対の側で回動可能に支承された２つのテンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）を有しており、両テンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）が、一方の端部で一方のテンションアームにかつ他方の端部で他方のテンションアームに保持されている共通のばねエレメント（１４）によってばね負荷されていることによって特徴付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、ベルトまたはチェーンのような引張り手段のためのテンション装置
であって、ケーシング状の部分が設けられており、該ケーシング状の部分内に、
引張り手段を緊張させるためのテンション手段と該テンション手段を負荷するば
ねエレメントとが収容されており、当該テンション装置が、引張り手段伝動装置
の、駆動軸を有するユニットに、ケーシング状の部分を回動不能に配置したまま
駆動軸を取り囲むように取付け可能である形式のものに関する。

【０００２】 このようなテンション装置は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６３１５
０７号明細書に基づき公知である。このドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６
３１５０７号明細書に記載されたテンション手段はレバーとテンションローラと
を有している。この場合、レバーはポット状のケーシング部分内に収容されてい
る。このケーシング部分内には、コイルばねの形のばねエレメントが同じく位置
している。このばねエレメントは一方の端部でケーシング部分に支持されている
。このケーシング部分は、引張り手段伝動装置に組み込まれたユニットに固定さ
れた状態で回動不能である。また、ばねエレメントは他方の端部でレバーに作用
しているので、このレバーはばね力負荷されていて、テンションローラを介して
走行する引張り手段を緊張させることができる。前記ドイツ連邦共和国特許出願
公開第１９６３１５０７号明細書に記載されたテンション装置は、ポンプの形の
ユニットに載置されている。このポンプは引張り手段によって駆動される。この
引張り手段は、一方ではテンションローラにわたって走行し、他方ではプーリに
わたって走行する。このプーリは、ユニットの、ケーシング部分を中央で貫通す
る駆動軸に配置されていて、ケーシング部分をこのプーリ内にほぼ収容している
。この公知のテンション装置によって、引張り手段を、前述した構成において常
に同じ引張り手段側に存在する緩み区分で緊張させることが可能となる。

【０００３】 現在では、スタータジェネレータが開発される。この場合、この事例では、引
張り手段が、一方ではスタータジェネレータにわたって案内されていて、他方で
はエンジンのクランクシャフトにわたって案内されている。スタータジェネレー
タは２つの機能を有している。第１に、スタータジェネレータはエンジンを始動
させるために働く。すなわち、スタータジェネレータ自体はプーリを介して引張
り手段ひいてはクランクシャフトを駆動する。エンジンが作動している場合には
、スタータジェネレータは純粋なジェネレータとして働く。すなわち、スタータ
ジェネレータは、この場合に自体駆動されているクランクシャフトと引張り手段
とを介して運転される。これによって、スタータジェネレータの運転モードとは
無関係に緩み区分の位置が交番される。しかし、前述した公知のテンション装置
では、この交番を補償しかつスタータジェネレータの運転モードとは無関係に緩
み区分を緊張させることができるようにすることは不可能である。

【０００４】 この場合、本発明の課題は、たとえばスタータジェネレータの使用時に生ぜし
められるようなトルク反転時に、運転状態に応じて存在する緩み区分を緊張させ
ることができると同時に、僅かな構造空間要求が可能となるようなテンション装
置を提供することである。

【０００５】 この課題を解決するために、本発明によれば、冒頭で述べた形式のテンション
装置において、テンション手段が、ケーシング状の部分内に軸線を中心としてか
つ互いに反対の側で回動可能に支承された２つのテンションアームを有しており
、両テンションアームが、一方の端部で一方のテンションアームにかつ他方の端
部で他方のテンションアームに保持されている共通のばねエレメントによってば
ね負荷されていることが提案されている。したがって、ばねエレメントはフレー
ム支持されることなく支持されている。両テンションアームは、１つの共通の回
動軸線を中心として旋回可能に配置することができる。両テンションアームの両
回動軸線は互いに間隔を置いて配置されていてもよい。ユニットの駆動軸の回転
軸線がテンションアームの回動軸線と合致していると有利である。しかし、テン
ションアームの回動軸線は駆動軸の回転軸線から間隔を置いて配置されていても
よい。

【０００６】 本発明によるテンション装置では、互いに独立してかつ有利には同じ平面でケ
ーシング状の部分内に回動可能に支承された、引張り手段の種々異なる区分に作
用する対応するテンションローラを備えた有利には２つのテンションアームが使
用される。すなわち、引張り手段伝動装置におけるトルク逆転時には、ばね負荷
されたテンションアームが、現在付与されている緩み区分に常に作用していて、
この緩み区分を緊張させている。これによって、トルク逆転時でも常に十分に引
張り手段が緊張させられていて、引張り手段伝動装置の申し分のない運転が可能
となることが保証される。両テンションアームを負荷するばねエレメント、有利
にはコイルばねも同時に収容するケーシング状の部分内でのテンションアームの
支承に基づき、「揺動テンショナ」とも呼ぶことができるいわば複動式のテンシ
ョン装置は十分小さく形成されている。これによって、本発明による装置を、空
間がほとんど提供されていない箇所、たとえば内燃機関のエンジンルーム内で使
用することが可能となる。本発明によるテンション装置は、別個の構成エレメン
トとして完全に前組付けすることができ、ユニット、たとえばスタータジェネレ
ータに載置されさえすればよい。この場合、このユニットの駆動軸は、前組付け
されたテンション装置と場合によっては別個のプーリに連結されさえすればよい
。本発明によるテンション装置によって、運転技術的な利点の他に製造技術的な
かつ組付け技術的な利点も得ることができる。

【０００７】 本発明による改良形は、自動車製造元の納入業者にとって有利となり得る。

【０００８】 本発明の特別な構成によれば、各テンションアームが、環状の支承区分を有し
ており、この支承区分が、ケーシング状の部分の円筒形の壁区分を取り囲んでお
り、第１のテンションアームの支承区分が、円筒形の壁区分に直接回動支承され
ており、第２のテンションアームの支承区分が、第１のテンションアームの支承
区分に係合していて、この支承区分に回動支承されている。この構成によれば、
両テンションアームの支承は、壁区分を取り囲む環状の支承区分によって行われ
る。一方のテンションアームの支承区分は他方のテンションアームの支承区分よ
りも小さな直径に寸法設定されていて、壁区分に直接支承されている。一方のテ
ンションアームの支承区分には、他方のテンションアームの、やや大きな直径で
形成された支承区分が係合していて、一方のテンションアームの支承区分に直接
支承されている。両支承区分は互いに内外で係合しているので、これによって、
傾倒モーメントを低減させることができる。すなわち、両テンションアームは互
いに直接接触している。このことは、ベルト伝動装置における構造空間要求を最
小限に抑えることに関して有利となる。支承が滑り軸受けまたはラジアル軸受け
を介して行われていると有利である。さらに、有利にはコイルばねの形のばねエ
レメントを配置するために、互いに内外で係合する支承区分の間に環状室が形成
されており、この環状室内にばねエレメントが収容されていると有利であること
が分かった。

【０００９】 たとえば内燃機関のクランクシャフトでの使用時の引張り手段伝動装置の運転
中には、本発明によるテンション装置が配置されている構成部分、ここではたと
えばユニットに伝達される、運転に基づく振動が引張り手段伝動装置にわたって
頻繁に生ぜしめられる。たとえばクランクシャフトの回転むらによって生ぜしめ
られるこの振動を減衰することができるように、本発明の有利な構成では、ケー
シング状の部分と１つのテンションアームとの間に、たとえば摩擦ディスクまた
は摩擦ライニングの形の摩擦エレメントまたは減衰エレメントを設けることがで
きる。これによって、外部に対するテンションシステムの減衰が得られるだけで
なく、内側の減衰も得られる。両テンションアームの間に位置するばねエレメン
トが、両テンションアームを軸方向で摩擦エレメントまたは減衰エレメントに向
かって押し退けていると有利であることが分かった。これによって、ばねエレメ
ントは、必要となる張力もしくは必要となるテンションモーメントの形成のため
だけでなく、テンションアームを摩擦エレメントまたは減衰エレメントに向かっ
て押し退け、ひいては、必要となる減衰を獲得するために、必要となる軸方向の
予荷重力もしくはプレロード力を形成するために働く。

【００１０】 本発明による有利な構成では、ケーシング状の部分が、底部区分と、壁区分と
、カバー区分とから成っていて、外向きに開いたほぼＣ字形の横断面を有してい
る。この場合、テンション装置の組付けの枠内では、テンションアームとばねエ
レメントとを挿入することができるように、カバー区分または底部区分は解離可
能である。位置固定は公知の技術、たとえばゼーガリング（Ｓｅｅｇｅｒｒｉｎ
ｇ）、つまりスナップリングまたはこれに類するものによって行われる。回動防
止手段も同じく設けられている。

【００１１】 前述したように、本発明によるテンション装置は、引張り手段伝動装置に組み
込まれたユニットに、このユニットの駆動軸の軸線に対して平行にこの駆動軸を
取り囲むように載置される。テンション装置は、有利には、ユニットに取り付け
られさえすればよい前製造可能な機構を成しているので、簡単な組付けを可能に
するために、ケーシング状の部分が接触する固定つばを有するフランジにケーシ
ング状の部分が固定可能であることが提案されている。フランジによって、テン
ション装置はユニットに固定可能である。固定ねじまたはこれに類するものを挿
入するための孔の形の適宜な固定手段を有するフランジは、ユニットに提供され
た固定手段に相応に形成され、組付けの枠内でそこに適合される。すなわち、フ
ランジは、ユニットへのテンション装置の固定に関して特別に形成されていなけ
ればならないただ１つの部分を成している。

【００１２】 本発明の別の有利な構成によれば、底部区分と壁区分とが、フランジによって
形成されており、このフランジが、ユニットへのテンション装置の固定のために
働くようになっている。すなわち、この構成では、固定フランジが同時にケーシ
ング状の部分の一部を形成している。したがって、第１のテンションアームの環
状の支承区分はフランジに直接支承されており、底部側でケーシングも同様にフ
ランジによって閉鎖されている。この本発明の有利な構成では、別個の構成部分
としての底部区分と壁区分とを不要にすることができる。

【００１３】 前述したように、本発明によるテンション装置は、引張り手段伝動装置に組み
込まれたユニット、たとえばスタータジェネレータに載置される。この場合、こ
のユニットの駆動軸は、この載置目的のために中央の開口を有するテンション装
置を貫通している。駆動軸には、引張り手段を案内するプーリが設けられている
。この場合、プーリは別個の構成部分を成していてよい。この構成部分は、テン
ション装置の装着後に駆動軸に配置される。しかし、ケーシング状の部分のまた
はこのケーシング状の部分を支持するフランジの、ユニットの駆動軸を収容する
ために働く開口内に、プーリまたはスプロケットを支持する軸が、回転可能に配
置されており、この軸が、ユニットの駆動軸との回転結合部を形成するための結
合手段を有していると特に有利であることが分かった。本発明によるテンション
装置のこの有利な構成では、プーリまたはスプロケットは、ケーシング状の部分
のまたはフランジの開口に軸を介して回転可能に配置されている。すなわち、プ
ーリまたはスプロケットは、本発明によるテンション装置の、まとめられた部分
を形成している。テンション装置の組付けの間、プーリまたはスプロケットを支
持する軸は、運動連結を実現するために、ユニットの駆動軸に結合されさえすれ
ばよい。すなわち、このような形式で形成されたテンション装置は、完全に前製
造可能な構成部分を成している。この構成部分は、必要となるエレメント全てを
有している。結合手段が、歯形成形部として、有利には内周歯成形部として形成
されていることが望ましく、スプライン成形部が使用され得ると特に有利である
。

【００１４】 前述したように、回転むらが生ぜしめられる引張り手段伝動装置の内部でのテ
ンション装置の使用時には、引張り手段が、ばね力に抗したテンションアームの
極めて急激な運動を招く衝撃的な運動を実施し得る。テンションアームは、いわ
ば引張り手段の衝撃によって投げ飛ばされる。テンションアームが過度に十分に
離れて運動させられ、これに基づき、著しく長い期間にわたって引張り手段に接
触していないことを回避するために、本発明の有利な構成によれば、各テンショ
ンアームに、ばね力に抗したテンションアームの運動を制限するストッパを対応
配置することができる。さらに、組付け目的から、本発明の有利な構成によれば
、各テンションアームに、ばね力による運動を制限するストッパが対応配置され
ていると有利であることが分かった。すなわち、両ストッパによって、ばねエレ
メントが弛緩され得ることが回避される。

【００１５】 本発明の別の有利な構成では、駆動軸に固定可能なまたは回転可能にテンショ
ン装置に一体化されたポット状のプーリまたはスプロケットが、ケーシング状の
部分を少なくとも部分的に側方で取り囲むように、ケーシング状の部分から外方
に張り出したテンションアームが形成されているかもしくは成形されている。す
なわち、本発明によるこの有利な構成によれば、ケーシング状の部分が、ポット
状のプーリまたはスプロケット内に十分に収容されている。これによって、ベル
ト平面に関する構造空間要求をさらに最小限に抑えることができる。すなわち、
ベルト平面はユニットのさらに近くに位置している。

【００１６】 さらに、本発明は、テンション装置自体の他に、前述した形式のテンション装
置ならびに該テンション装置が配置されている、スタータジェネレータとして形
成されたユニットを有する引張り手段伝動装置、特にベルト伝動装置の一部とし
ての装置に関する。

【００１７】 さらに、本発明は、引張り手段伝動装置に組み込まれた、スタータジェネレー
タの形のユニットと相俟った、引張り手段伝動装置内での前述した形式のテンシ
ョン装置の使用に関する。

【００１８】 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１９】 図１には、本発明によるテンション装置１が示してある。このテンション装置
１はユニット２、たとえばスタータジェネレータに配置されている。テンション
装置１は、底部区分４と、壁区分５と、カバー区分６とから成る円筒形のケーシ
ング状の部分３を有している。このケーシング状の部分３は、外向きに開いたほ
ぼＣ字形の横断面を有している。ケーシング状の部分３内には、２つのテンショ
ンアーム７，８が別個にかつ互いに反対の側で回動可能に支承されている。この
目的のためには、各テンションアーム７，８が環状の支承区分９，１０を有して
いる。この環状の支承区分９，１０で支承アーム７，８は、ユニット２に対して
回動不能に位置するケーシング状の部分３の壁区分５を取り囲んでいる。支承区
分９は、滑り軸受けまたはラジアル軸受け１１を介して直接回動可能に壁区分５
に支承されている。テンションアーム８の支承区分１０は、テンションアーム７
の支承区分９よりもやや大きな直径に寸法設定されていて、図１から明らかであ
るように、支承区分９に係合している。滑り軸受けまたはラジアル軸受け１２を
介して支承区分１０は支承区分９に対して回動可能に支承されている。

【００２０】 両支承区分９，１０の間にはもしくは両支承区分９，１０の領域には環状室１
３が形成されている。この環状室１３内にはばねエレメント１４、ここではコイ
ルばねが収容されている。このばねエレメント１４は、一方の端部で公知の形式
でテンションアーム７もしくはこのテンションアーム７の支承区分９に配置され
ていて、他方の端部でテンションアーム８もしくはこのテンションアーム８の支
承区分１０に配置されている。ばねエレメント１４は、必要となるテンションモ
ーメントを形成するために働き、テンションアーム７，８を互いに離れる方向に
押し退けている。さらに、ばねエレメント１４は、必要となる軸方向の予荷重力
もしくはプレロード力を形成するために働く。これによって、テンションアーム
７，８もしくはこのテンションアーム７，８の支承区分９，１０は、底部区分４
にかつカバー区分６に位置する摩擦エレメントまたは減衰エレメント１５，１６
に向かって押し退けられている。この摩擦エレメントまたは減衰エレメント１５
，１６は、たとえば底部区分４またはカバー区分６に固く結合されていてよい。
すなわち、各支承区分９，１０は摩擦エレメントまたは減衰エレメント１５，１
６を介して滑動する。これによって、外部に対するシステム全体の減衰だけでな
く内側の減衰も得られる。この場合、これらの減衰はテンションシステムの機能
のために重要となる。

【００２１】 本発明によるテンション装置１は完全に前組付けすることができ、ユニット２
に載置される。このユニット２の、テンション装置１が軸線に対して平行に被せ
嵌められている詳しく図示していない駆動軸１７は、テンション装置１の、対応
する開口を貫通している。駆動軸１７には、プーリまたはスプロケット１８が固
定ねじ１９によって配置されている。このプーリまたはスプロケット１８と、テ
ンションアーム７，８に位置するテンションローラ２０，２１とを介して、以下
に図２に関連して説明するように、引張り手段が案内される。図面から分かるよ
うに、プーリまたはスプロケット１８はケーシング状の部分３を少なくとも部分
的に取り囲んでいる。このことは、小さな構成のために有利である。テンション
アーム７，８の形状を適宜に形成することによって、プーリまたはスプロケット
１８をさらに下方に引っ張ることも可能であり、これによって、ベルト平面が、
ユニット２のさらに近くに変位させられる。

【００２２】 いま、図２には、原理図の形で引張り手段伝動装置２２が示してある。この引
張り手段伝動装置２２には本発明によるテンション装置１が使用される。このテ
ンション装置１のうちテンションローラ２０，２１ならびにテンションアーム７
，８しか図示していない。引張り手段２３、たとえばベルトは、回転する機関エ
レメント、たとえば内燃機関のクランクシャフト２４と、ユニット２の駆動軸１
７に配置されているプーリ１８とにわたって案内されている。両テンションロー
ラ２０，２１は外部で引張り手段２３に作用していて、この引張り手段２３を内
方に押圧している。これによって、引張り手段２３が緊張させられる。同時の押
圧のために必要となる力は、ばねエレメント１４によって形成される。

【００２３】 ユニット２が、たとえばスタータジェネレータである場合には、このスタータ
ジェネレータの運転モードに関連して、互いに異なる状況が引張り手段伝動装置
２２に生ぜしめられる。スタータジェネレータが内燃機関のためのスタータとし
て働く場合には、ユニット２はプーリ１８（矢印Ａ）を介して引張り手段２３ひ
いてはクランクシャフト２４を駆動する。すなわち、引張り手段区分２３ａは張
り区分を形成しており、引張り手段区分２３ｂは緩み区分を形成している。この
事例では、この緩み区分はテンションアーム８もしくはテンションローラ２１に
よって緊張させられる。スタータジェネレータが純粋なジェネレータとして働く
、すなわち、内燃機関が作動している場合には、引張り手段２３は、矢印Ｂの方
向で回転するクランクシャフト２４によって駆動される。この事例では、引張り
手段２３の区分２３ｂが張り区分を形成しており、区分２３ａが緩み区分を形成
している。この事例では、この緩み区分はテンションアーム７もしくはテンショ
ンローラ２０を介して緊張させられる。すなわち、本発明によるテンション装置
１によって、引張り手段運転へのスタータジェネレータの組込み時のようなトル
ク逆転時でも、各運転モードにおいて交番する緩み区分の緊張が可能となる。

【００２４】 図３には、本発明によるテンション装置２５の別の構成が示してある。この場
合、このテンション装置２５は、テンション装置１に相応に形成されているもの
の、ここでは、テンションアーム２６，２７がやや異なった形に成形されていて
、全体的により短くなっている。プーリまたはスプロケット２８も、図１に示し
た構成に比べてやや小さく形成されている。この場合、機能は同じである。

【００２５】 図４には、本発明によるテンション装置２９の別の構成が示してある。この場
合、このテンション装置２９の構造はテンション装置２５に相応しているものの
、ケーシング状の部分３０がフランジ３２の固定つば３１に配置されている。フ
ランジ３２にはケーシング状の部分３０が載置している。フランジ３２によって
、テンション装置２９全体は、完全に前組付けされた構成部分としてあらゆるユ
ニットに固定される。このためには、フランジ３２が相応の固定孔３３を有して
いる。この構成では、プーリまたはスプロケット３４もテンション装置２９の、
まとめられた構成部分を成している。プーリまたはスプロケット３４は、軸３５
と、対応する軸受け３６とを介して、固定つば３１によって形成された円筒状の
開口３７に回転可能に配置されていて、リング３８を介して軸方向で位置固定さ
れている。軸３５は固定区分３９を有している。この固定区分３９にはスプライ
ン内周歯成形部４０が設けられている。この成形部４０には、ユニットの、相応
に対応成形された駆動軸の固定区分が係合するので、駆動軸と軸３５とは互いに
運動連結される。これによって、簡単な運動連結が実現される。すなわち、テン
ション装置２９全体はユニットにフランジ３２を介して固定されさえすればよい
。これによって、プーリまたはスプロケット３４との運動連結が自動的に達成さ
れる。このためには、付加的な手段は不要となる。

【００２６】 最後に、図５には、本発明によるテンション装置４１の第４の構成が示してあ
る。機能形式は、前述した構成に関して説明した機能形式と同じである。しかし
、ここでは、ケーシング状の部分４２が、前述した構成と同様に片側でカバー区
分４３によって形成されるものの、壁区分と底部区分とがフランジ５４によって
形成される。ここでは、このフランジ５４の水平な区分４４が底部区分を形成し
ており、鉛直な固定つば４５が壁区分を形成している。この壁区分には、テンシ
ョンアーム４７の支承区分４６が回動支承されており、この支承区分４６には、
テンションアーム４９の支承区分４８も支承されている。すなわち、ここでは、
フランジ５４が複数の機能、一方ではユニットへの固定機能、他方ではテンショ
ンアーム４７のための支承機能を有している。ここでも、別の全ての構成と同様
に、摩擦エレメントまたは減衰エレメント５０，５１が設けられている。ここで
も同様に、プーリまたはスプロケット５５は軸５２を介して直接フランジ５４の
固定つば４５に回転支承されていて、相応の結合区分５３を介してユニットの駆
動軸（図示せず）に連結させることができる。すなわち、この構成では、図４に
示した構成において存在する、ケーシング状の部分の別個の底部区分と壁区分と
が不要となる。

【００２７】 さらに、各テンション装置が、図面を見やすくするという理由に基づき示して
いない２つのストッパを有していることを確認しておかなければならない。両ス
トッパは、各構成に設けられたばねエレメントによって形成されたばね力に抗し
た方向でのそれぞれ１つのテンションアームの運動を制限するために働く。これ
によって、テンションアームもしくはテンションローラが、許容できない距離だ
け引張り手段から離されるような引張り手段の衝撃時のテンションアームの運動
が制限されかつ回避される。さらに、２つのストッパ（図示せず）、いわゆる「
組付けストッパ」がテンションアームのために設けられている。両組付けストッ
パは、ばねエレメントが弛緩し得ることを阻止している。すなわち、組み付けら
れていない状態では、テンションアームが組付けストッパに接触しており、次い
で、引張り手段が張設され、テンションアームがばね力に抗して、予荷重もしく
はプレロードをかけられた引張り手段から離れる方向に運動させられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるテンション装置の第１の構成の断面図である。

【図２】 組み込まれた本発明によるテンション装置を備えた引張り手段伝動装置の原理
図である。

【図３】 本発明によるテンション装置の第２の構成の断面図である。

【図４】 本発明によるテンション装置の第３の構成の断面図である。

【図５】 本発明によるテンション装置の第４の構成の断面図である。

【符号の説明】

１ テンション装置、 ２ ユニット、 ３ ケーシング状の部分、 ４ 底
部区分、 ５ 壁区分、 ６ カバー区分、 ７ テンションアーム、 ８ テ
ンションアーム、 ９ 支承区分、 １０ 支承区分、 １１ 滑り軸受けまた
はラジアル軸受け、 １２ 滑り軸受けまたはラジアル軸受け、 １３ 環状室
、 １４ ばねエレメント、 １５ 摩擦エレメントまたは減衰エレメント、
１６ 摩擦エレメントまたは減衰エレメント、 １７ 駆動軸、 １８ プーリ
またはスプロケット、 １９ 固定ねじ、 ２０ テンションローラ、 ２１
テンションローラ、 ２２ 引張り手段伝動装置、 ２３ 引張り手段、 ２３
ａ 引張り手段区分、 ２３ｂ 引張り手段区分、 ２４ クランクシャフト、
２５ テンション装置、 ２６ テンションアーム、 ２７ テンションアー
ム、 ２８ プーリまたはスプロケット、 ２９ テンション装置、 ３０ ケ
ーシング状の部分、 ３１ 固定つば、 ３２ フランジ、 ３３ 固定孔、
３４ プーリまたはスプロケット、 ３５ 軸、 ３６ 軸受け、 ３７ 開口
、 ３８ リング、 ３９ 固定区分、 ４０ スプライン内周歯成形部、 ４
１ テンション装置、 ４２ ケーシング状の部分、 ４３ カバー区分、 ４
４ 区分、 ４５ 固定つば、 ４６ 支承区分、 ４７ テンションアーム、
４８ 支承区分、 ４９ テンションアーム、 ５０ 摩擦エレメントまたは
減衰エレメント、 ５１ 摩擦エレメントまたは減衰エレメント、 ５２ 軸、
５３ 結合区分、 ５４ フランジ、 ５５ プーリまたはスプロケット、
Ａ 矢印、 Ｂ 矢印

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルトまたはチェーンのような引張り手段のためのテンショ
   ン装置であって、ケーシング状の部分が設けられており、該ケーシング状の部分
   内に、引張り手段を緊張させるためのテンション手段と該テンション手段を負荷
   するばねエレメントとが収容されており、当該テンション装置が、引張り手段伝
   動装置の、駆動軸を有するユニットに、ケーシング状の部分を回動不能に配置し
   たまま駆動軸を取り囲むように取付け可能である形式のものにおいて、テンショ
   ン手段が、ケーシング状の部分内に軸線を中心としてかつ互いに反対の側で回動
   可能に支承された２つのテンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）
   を有しており、両テンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）が、一
   方の端部で一方のテンションアームにかつ他方の端部で他方のテンションアーム
   に保持されている共通のばねエレメント（１４）によってばね負荷されているこ
   とを特徴とする、ベルトまたはチェーンのような引張り手段のためのテンション
   装置。
2. 【請求項２】 各テンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）が
   、環状の支承区分（９，１０，４６，４８）を有しており、該支承区分（９，１
   ０，４６，４８）が、ケーシング状の部分（３，３０，４２）の円筒形の壁区分
   （５，４５）を取り囲んでおり、第１のテンションアームの支承区分（９，４６
   ）が、円筒形の壁区分に直接回動支承されており、第２のテンションアームの支
   承区分（１０，４８）が、第１のテンションアームの支承区分（９，４６）に係
   合していて、該支承区分（９，４６）に回動支承されている、請求項１記載のテ
   ンション装置。
3. 【請求項３】 支承区分（９，１０，４６，４８）が、滑り軸受けまたはラ
   ジアル軸受け（１１，１２）を介して支承されている、請求項２記載のテンショ
   ン装置。
4. 【請求項４】 ばねエレメント（１４）が、互いに内外で係合する支承区分
   （９，１０，４６，４８）の間に形成された環状室（１３）内に収容されている
   、請求項２記載のテンション装置。
5. 【請求項５】 ケーシング状の部分（３，３０，４２）と１つのテンション
   アーム（７，８，２６，２７，４７，４９）との間に、摩擦エレメントまたは減
   衰エレメント（１５，１６，５０，５１）が設けられている、請求項１記載のテ
   ンション装置。
6. 【請求項６】 両テンションアーム（７，８，２６，２７，４７，４９）の
   間に位置するばねエレメント（１４）が、両テンションアーム（７，８，２６，
   ２７，４７，４９）を軸方向で摩擦エレメントまたは減衰エレメント（１５，１
   ６，５０，５１）に向かって押し退けている、請求項５記載のテンション装置。
7. 【請求項７】 摩擦エレメントまたは減衰エレメント（１５，１６，５０，
   ５１）が、摩擦ディスクまたは摩擦ライニングである、請求項５または６記載の
   テンション装置。
8. 【請求項８】 ケーシング状の部分（３，３０，４２）が、底部区分（４，
   ４４）と、壁区分（５，４５）と、カバー区分（６，４３）とから成っていて、
   外向きに開いたほぼＣ字形の横断面を有している、請求項１記載のテンション装
   置。
9. 【請求項９】 ケーシング状の部分（３０）が、固定つば（３１）を有する
   フランジ（３２）に配置されており、該フランジ（３２）によって、当該テンシ
   ョン装置が、ユニットに固定可能である、請求項８記載のテンション装置。
10. 【請求項１０】 底部区分（４４）と壁区分（４５）とが、フランジ（４３
    ）によって形成されており、該フランジ（４３）が、ユニットへの当該テンショ
    ン装置の固定のために働くようになっている、請求項８記載のテンション装置。
11. 【請求項１１】 ケーシング状の部分のまたは該ケーシング状の部分を支持
    するフランジの、ユニットの駆動軸を収容するために働く開口内に、プーリまた
    はスプロケット（３４，５５）を支持する軸（３５，５２）が、回転可能に配置
    されており、該軸（３５，５２）が、ユニットの駆動軸との回転結合部を形成す
    るための結合手段を有している、請求項１記載のテンション装置。
12. 【請求項１２】 結合手段が、歯形成形部（４０）として、有利には、内周
    歯成形部として形成されている、請求項１１記載のテンション装置。
13. 【請求項１３】 歯形成形部が、スプライン成形部である、請求項１２記載
    のテンション装置。
14. 【請求項１４】 各テンションアームに、ばね力に抗したテンションアーム
    の運動を制限するストッパが設けられている、請求項１記載のテンション装置。
15. 【請求項１５】 各テンションアームに、ばね力による運動を制限するスト
    ッパが対応配置されている、請求項１記載のテンション装置。
16. 【請求項１６】 駆動軸に固定可能なまたは回転可能に当該テンション装置
    に一体化されたポット状のプーリまたはスプロケット（１８）が、ケーシング状
    の部分（３）を少なくとも部分的に側方で取り囲むように、ケーシング状の部分
    から外方に張り出したテンションアーム（７，８）が形成されているかもしくは
    成形されている、請求項１記載のテンション装置。
17. 【請求項１７】 請求項１から１６までのいずれか１項記載のテンション装
    置ならびに該テンション装置が配置されている、スタータジェネレータとして形
    成されたユニットを有する引張り手段伝動装置、特にベルト伝動装置の一部とし
    ての装置。
18. 【請求項１８】 引張り手段伝動装置に組み込まれた、スタータジェネレー
    タの形のユニットと相俟った、引張り手段伝動装置内での請求項１から１６まで
    のいずれか１項記載のテンション装置の使用。