JP2003344433A - マイクロアレイ、マイクロアレイシステム及び被検物質の測定方法 - Google Patents

マイクロアレイ、マイクロアレイシステム及び被検物質の測定方法

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JP2003344433A
JP2003344433A JP2002148048A JP2002148048A JP2003344433A JP 2003344433 A JP2003344433 A JP 2003344433A JP 2002148048 A JP2002148048 A JP 2002148048A JP 2002148048 A JP2002148048 A JP 2002148048A JP 2003344433 A JP2003344433 A JP 2003344433A
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microarray
resin
substrate
hole
light
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JP2002148048A
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Katsuya Okumura
勝弥 奥村
Makoto Mihara
誠 三原
Kakun Han
可君 范
Hiroyuki Tano
裕之 田野
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JSR Corp
Octec Inc
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JSR Corp
Octec Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭いスペースに効率よく、目的とする塩基配
列を有するオリゴヌクレオチドと相補的な配列を有する
プローブを固定するセルアレイを提供する。 【解決手段】 スペーサー又はプローブを固定するため
の貫通孔を所定の密度で有するセルアレイ用基板を製造
し、その貫通孔の内壁表面に、必要に応じて上記のよう
なオリゴヌクレオチドその他のプローブ又はスペーサー
を結合させる。これにより、試料検体中に存在するプロ
ーブと相互反応する被検物質を、より短い時間で検出、
測定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロアレイ、
マイクロアレイシステム及び被検物質の測定方法に関す
る。より詳細には、貫通孔内壁表面にプローブを固定す
るためのマイクロアレイ、前記マイクロアレイを用いて
プローブと相互作用をする物質を検出するためのマイク
ロアレイシステム、及び前記マイクロアレイシステムを
使用した前記プローブと相互作用をする被検物質の試料
中濃度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】二本鎖DNAは、例えば加熱によって一
本鎖DNAとした場合でも、それらの構造が相補的であ
ることから相互に結合するという性質を有しており、こ
の性質を利用して、ノーザンハイブリダーゼーション法
が確立された。そして、適当な長さの特定の配列を有す
るDNAを制限酵素などでフラグメント化したものや、
合成したオリゴヌクレオチドをプローブとして使用し、
これらと相補的な配列を有するDNAフラグメントやオ
リゴヌクレオチド等を検索することは、標準的な手法と
して行われてきた。
【0003】しかし、ノーザンハイブリダイザーション
法は周知のとおり、操作が煩雑であり少数の検体を処理
した場合でも、短時間に多くの検体を処理することがで
きないという問題点があった。このため、ノーザンハイ
ブリダイザーション法を応用した簡便な方法として、ス
ライドグラス表面に上記のようなオリゴヌクレオチド等
を高密度に固定化し、短時間のうちに分析を行うことが
できるDNAチップが作り出され、現在、汎用されてい
る。
【0004】従来のDNAチップにおいては、代表的な
例を挙げれば、スライドグラス等の平面状の基板上にオ
リゴヌクレオチドが固定されたものがある。ここで使用
するオリゴヌクレオチドは、基板上で、まず1塩基を固
定し、その塩基と他の塩基とを1塩基ずつ結合させて2
0〜30塩基程度の長さとするようにして作成すること
もでき、あらかじめ合成しておいた適当な長さのオリゴ
ヌクレオチドを基板上に結合させる方式によって作成し
てもよい。このようにして基板上にオリゴヌクレオチド
を固定し、DNAチップが製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】目的とする塩基配列を
有するオリゴヌクレオチドを精度良く検出するために
は、狭いスペースに効率よく、こうしたオリゴヌクレオ
チドと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド(プロ
ーブ)を固定する必要がある。また、プローブの長さが
長くなると、目的とするオリゴヌクレオチドと特異的に
結合させることはできるので検出精度を上げることはで
きるが、基板上での合成が難しくなり、またプローブ自
体の安定性も低下する。逆に、プローブの長さをあまり
に短くすると、基板上で合成することは容易となるが目
的とするオリゴヌクレオチド以外のものであっても、相
補的な配列を含むものすべてと結合するため、検出精度
が低くなる。
【0006】こうした点を改良すべく、最近では、三次
元ゲル上に上記のようなプローブを固定したチップが製
造され、市販されている(Analytical Clinica Acta, v
ol.444, 69-78(2001))。これらのチップでは、プロー
ブが三次元ゲル上に固定されておりプローブ密度が高い
ことから検出信号の強度は高くなるが、ノイズの信号強
度も高くなるためにS/N比が上がらず、検出精度の大
幅な改善は難しい。ここでノイズの信号強度が上がって
しまう原因としては、三次元ゲル上に固定されたプロー
ブと検体との非特異的反応によって形成された生成物の
除去が難しいことが考えられる。
【0007】また、DNAチップを用いてプローブと検
体とを反応させた後、試料中の被検物質の量を測定する
には、一般的には、蛍光検出法や化学発光検出法などの
検出方法が使用されている。これらの以外の検出法とし
ては、例えば、表面プラズモン検出法やラマン光を使用
する検出法などを挙げることができるが、これらを用い
た場合でもプローブと結合した被検物質による反射光を
検出する方式が採用されている。
【0008】以上は、基板上にプローブとして、DNA
フラグメントやオリゴヌクレオチドを固定する方式を採
用したDNAチップについて説明したものであるが、こ
れらに代えてペプチドを固定した場合も状況はほぼ同様
である。DNAチップは基板上に固定するプローブによ
って、各種感染症等の疾病の罹患状況を確認するための
臨床検査をはじめ、遺伝子の発現解析、遺伝子多型の検
出等にも応用することができる。しかし、こうした各種
の用途に応用する場合には、処理すべき検体の数と結果
を得るまでの時間とのバランスが重要であり、これは短
時間のうちにどの程度の精度で検出を行うことができる
かという問題に帰着することになる。現状では、DNA
チップの検出度不足のために、発現遺伝子頻度の低い大
部分の遺伝子は検出できず、DNAチップの検出感度を
上げる必要がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、上
記のような課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、
一定の孔径を有する貫通孔を複数設けた平面状の基板を
用い、検出を透過光で行うことによって簡便かつ高精度
の検出が可能となることを見出し、本発明を完成したも
のである。すなわち、本発明のある態様は、内壁表面に
プローブを結合させるための貫通孔を有するマイクロア
レイ用基板である。本発明の別の態様はまた、上述した
マイクロアレイ用基板と、前記基板を載置する載置ベー
スを備えるマイクロアレイである。ここで、前記載置ベ
ースは、多孔性素材の板状部材であることを特徴とす
る。
【0010】本発明のさらに別の態様は、上述したマイ
クロアレイと、前記セル内に存在する液体を吸引するた
めに使用する加減圧装置と、スポッターとから構成され
る、マイクロアレイシステムである。本発明のまた別の
態様は、上述したマイクロアレイの貫通孔中に、被検物
質を含む溶液をスポッターで加える被検物質導入工程
と;所定の時間が経過した後に、前記被検物質を含む溶
液を加減圧装置で除去する被検物質除去工程と;洗浄液
をスポッターで加えて貫通孔内を洗浄する洗浄工程と;
前記基板載置用ベースを除去した後に、前記基板に第一
波長の光を照射する第一波長光照射工程と;前記第一波
長の光と前記貫通孔内の被検物質との相互作用によって
発生した第二波長の光を測定する第二波長測定工程とを
備える、前記貫通孔内の被検物質の量を測定する被検物
質の測定方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。 (1)マイクロアレイ用基板 本発明のマイクロアレイ用基板1は、例えば図1に示す
ように内壁表面にプローブ又はスペーサーを結合させる
ための貫通孔2を有するものである。本発明において、
マイクロアレイ用基板1の厚さは、通常200μm〜5
mmである。本発明において、貫通孔2の断面形状は特
に限定されず、円形、略三角形、四角形、不定形、およ
びこれらの形状が組み合わされた形状などを挙げること
ができるが、貫通孔2の断面積は通常10-4〜1mm2
であることが好ましい。貫通孔2の断面をこれらのよう
な形状とすることにより、貫通孔2の容積を最小限にし
て側面面積を増やすことができ、その結果プローブや被
検物質の必要量を最小限にして、検出感度の向上を図る
ことが出来る。
【0012】また、貫通孔2は、一端を貫通孔の平均孔
径より広げて、テーパー状とすることもできる。貫通孔
をテーパー状とすることによって、テーパー状としてい
ない貫通孔が形成されている場合よりも、試料溶液を貫
通孔内に容易に導くことができるようになる。貫通孔を
どの程度テーパーするかについては、試料溶液中に含ま
れる被検物質の性質、分子量、粒子径、および試料溶液
の塩濃度や粘度等を考慮して適宜決定することができ
る。貫通孔2の孔径が大きすぎると、テーパー状側壁に
付着する被検物質が多くなりロスとなる。一般的には、
貫通孔をテーパーした後の大きい側の最大口径は0.1
〜0.5mm程度であることが好ましい。
【0013】なお、貫通孔2をテーパーする場合には、
全貫通孔をテーパーしてもよく、一部をテーパーしても
よい。貫通孔2のテーパーは、マイクロアレイ用基板1
の表面に感光性樹脂を塗布し、拡散光を照射して行うパ
ターンエッチングにより行うこともできる。または、貫
通孔2の孔口に、両端が開口している円錐台状の部材を
別途作成して、これらを設けてもよい。
【0014】本発明においては、1個のセルが1つの貫
通孔で形成される場合(図4Aの2)と、複数の貫通孔
とで構成される場合(図4Bの2a〜2d)とがある。
1つのセルが複数の貫通孔で構成される場合には、それ
らの表面積の総計が5,000μm2〜50mm2となる
ようにする。本発明において、貫通孔は1個または複数
個の貫通孔を集合、通常貫通孔の表面積の総計が5,0
00μm2〜50mm2となる個数の集合させることによ
り、ひとつのセルを形成する。ここで、セルとは単一プ
ローブを固定化し、独立して被検物質を反応させること
ができる空間をいう。この貫通孔の数を調整することに
より、セルの有効表面積を調節することが可能であり、
ひとつのマイクロアレイ用基板上には、セルを通常4
0,000個/cm2以下、好ましくは100〜40,0
00個/cm2の密度で形成する。
【0015】本発明において、上記貫通孔内壁表面に
は、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、トシル
基、カルボジイミド基、N−スクシイミド基、マレイミ
ド基、チオール基、スルフィド基、ヒドロキシ基、トリ
メトキシシリル基及びニトリロ三酢酸基からなる群から
選ばれる官能基を存在させることにより、後述するプロ
ーブを高密度に歩留まりよく固定することが可能とな
る。これらのプローブは上記貫通孔内壁表面に直接固定
してもよく、また、後述するように、貫通孔の内壁面に
金属の部分を形成させ、その上に固定してもよい。
【0016】本発明の樹脂製基板の原料として使用する
樹脂としては、上記のような官能基を有するものである
ことが好ましく、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、環状
シクロオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレ
タン樹脂、ビニル樹脂、スチレン系樹脂、スルホン樹
脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリ
エステル樹脂からなる群から選ばれるものを、好適に使
用することができる。これらの樹脂の中でも、エポキシ
樹脂、環状シクロオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂などが成形加工の点から好適に使用すること
ができる。
【0017】上記の樹脂のうち、オレフィン樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
イソプレン、ポリペンテンなどを、エポキシ樹脂として
は、例えば、ジグリシジルエーテルと、ジアミンとを用
いて合成したもの、またはオレフィンを過酢酸で酸化し
て製造したものを;環状シクロオレフィン系樹脂として
は、環状シクロオレフィン骨格を有するモノマーの開環
または付加重合体、例えばアートン(商品名、JSR株
式会社製)などを;ポリアミド樹脂としては、例えば、
ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナ
イロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6
6、ナイロン610等の各種のナイロン(登録商標)を;
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
を;アクリル樹脂としては例えば、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリ
ルアクリレート、ステアリルアクリレートなどの重合体
を;
【0018】ポリイミド樹脂としては、例えば、ピロメ
リット酸無水物と芳香族ジアミンとから誘導されるもの
を;ウレタン樹脂としては、例えば、有機ポリイソシア
ネートと、ポリエステルポリオールまたはポリエーテル
ポリオールとを反応させて得たものを;ビニル樹脂とし
ては、塩化ビニル樹脂、ポリニ塩化ビニル、塩化ビニリ
デン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカル
バゾール、ポリビニルピロリドンなどを;スチレン系樹
脂としては、ポリスチレン、ポリスチレンとメタクリル
酸メチルまたはアクリロニトリルとの共重合体等を;シ
リコーン樹脂としては、ポリジメチルシロキサン等を;
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化
合物及び脂肪族時ヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接
反応させて得られたもの、ホスゲンから誘導される先駆
物質とのエステル交換反応によって誘導される重合体を
使用することができる。
【0019】また、金属としては、鉄、アルミニウム、
ニッケル、銅、及び各種の合金、例えば、鉄−ニッケル
−クロムの合金であるステンレスなどを挙げることがで
きる。ガラスとしては、石英ガラス、ケイ酸アルカリガ
ラス、ソーダ石灰ガラスなどを、セラミックスとして
は、シリカ、アルミナなどを挙げることができる。
【0020】上述した貫通孔またはセルの近傍には、プ
ローブと被検物質との反応を検出するに際して透過光を
導波するための層が形成されていてもよい。この透過光
を導波するための層は金属または基板材料と屈折率の異
なる透明樹脂などからなる。また、貫通孔内壁表面に、
金、銀、銅、プラチナ、ニッケル及びアルミニウムから
なる群から選ばれる金属部分を形成することが好まし
い。なお、この金属部分の形成は、メッキ、蒸着その他
通常使用される手法によって行うことができる。金属部
分の形成をメッキで行う場合には、予め基材に無電解メ
ッキによりパラジウム、ニッケルなど層を0.5〜5μ
m厚で作成し、さらに前記金属、好ましくは金を0.3
〜2μm厚で形成する。これらの金属部分に、加熱処理
して金属原子を配向させると、プローブをより高密度に
貫通孔内壁表面と結合させることができるようになる。
【0021】また、本発明のマイクロアレイ用基板1に
は、少なくとも一方の面のセルの近傍を除く領域に撥水
層が形成されることが可能である。撥水層は、フッ素あ
るいはシリコーンを含む樹脂や、ポリエチレン、パラフ
ィンなど水との接触角が80度以上、好ましくは100
度以上の材料であれば特に制限なく使用することがで
き、これらを含有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リシロキサン、及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる
樹脂を使用し、スクリーン印刷、塗布、フォトリソグラ
フィーによるパターンニングなどの通常使用される手法
によって形成することができる。これらの中でも、フッ
素を含むアクリル系UV硬化樹脂またはこれらを含有す
るUV硬化樹脂などの感光性樹脂を使用することが、貫
通孔近傍を除く領域のみに撥水層を形成する上で好まし
い。フッ素を含有するアクリル系樹脂として、JSRオ
プスターJM5010、JM5025(以上商品名、J
SR(株)製)が挙げられる。
【0022】こうした撥水層を貫通孔2の近傍、具体的
には貫通孔2の周囲約0.1〜1mmの範囲を除いて形
成することによって、後述する被検物質を含む試料溶液
を基板上に載せたときに、これらの溶液を速やかに貫通
孔内に導くことができるようになる。撥水層を形成しな
い範囲を貫通孔2の周囲約0.1〜1mmとしたのは、
0.1mm未満ではスポッターの投入精度誤差限界を越
え、所望の貫通孔の非撥水層以外の部分にスポットされ
る可能性が出るためである。
【0023】逆に1mm以上では隣の貫通孔との間に形
成される撥水層面積が減少するために、試料検体が所望
の貫通孔ではなく、その貫通孔に隣接する別の貫通孔に
入り込み易くなるからである。こうした減少をクロスオ
ーバーというが、クロスオーバーが生じると、隣の貫通
孔にスポットされるべきプローブが所望以外の貫通孔に
スポットされ混合のプローブが形成される結果検出誤差
となる、あるいは隣接した各貫通孔に導入される被検物
質量が一定にならなくなるため、正確な検出結果が得ら
れなくなることによる。
【0024】本発明のマイクロアレイ用基板1の貫通孔
内壁にはプローブが固定されるが、こうしたプローブと
しては、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド数5〜10
0の一本鎖核酸、分子量500〜100万のタンパク、
脂質、及び分子量50〜100万の化合物、及びこれら
が抗原である場合には、これらに対する抗体などを挙げ
ることができる。
【0025】こうしたオリゴヌクレオチドや核酸断片
は、DNA合成機を利用する等して適宜合成してもよ
く、各種の動物もしくは植物細胞、各種の細菌、真菌も
しくは原生動物、または各種の動物もしくは植物ウイル
スから得たDNAやRNAを市販の制限酵素、例えば、
BamHIやHindIIIなどを適宜組み合わせて切断して得るこ
ともできる。また、適当なヌクレオチドやヌクレオシド
の配列を有している市販品を利用することもできる。こ
うしたオリゴヌクレオチドや核酸断片の末端は、アミノ
基、カルボキシル基、チオール基などの修飾基やビオチ
ンなどの化合物で修飾されていてもよい。こうしたオリ
ゴヌクレオチドの例としては、5'-TTGGATCCGAATTCAAGCC
C-3'などの配列を有するオリゴヌクレオチドなどを挙げ
ることができる。
【0026】分子量500〜100万のタンパクとして
は、合成ペプチド、膜タンパク、酵素、輸送タンパク、
サイトカイン、リンフォカイン、IgA、IgEをはじ
めとする抗体、各種抗原などを挙げることができる。脂
質としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシ
トーマンノシド、ウルシオール、各種のガングリオシド
などを挙げることができる。これらは、分子量によって
は免疫原性を有する抗原として作用するが、これらが抗
原として作用した場合にはそれによって産生されたポリ
クローナル抗体あるいはモノクローナル抗体なども使用
することができる。これらが免疫原性を有しないハプテ
ンである場合には、適当なタンパクと結合させることに
よって人工抗原とし、これらに対する抗体を得て使用す
ることもできる。
【0027】上述したオリゴヌクレオチドは、その一部
または全部をタンパクやウイルスなどを結合するための
スペーサーとして使用することもできる。このようなス
ペーサーを利用した場合には、プローブと試料検体中の
被検物質とが相互反応をするに際して、立体障害に起因
する反応率の低下を防止し、これらの相互反応を高い確
率で行わせることができるという利点がある。また、ス
ペーサーは上記のオリゴヌクレオチドに限定されるもの
ではなく、プローブと結合できる官能基を有し、かつ貫
通孔内壁に存在する上述したような官能基と結合するこ
とができる比較的低分子量の化合物を使用することがで
きる。具体的には液晶や炭素数3〜100のアルキレン
基の両端に官能基が結合してなる構造の化合物、例えば
エチレングリコールジグリシジルエーテル誘導体、N−
κ−マレイミドウンデカニック酸などを使用することも
できる。以上のように、所望により結合サイトを形成
し、プローブを固定したセルアレイ用基板を、以下、
「マイクロアレイ1’」という。
【0028】(2)マイクロアレイシステム 本発明のマイクロアレイシステムは、上述したマイクロ
アレイ1’と、このマイクロアレイを載置する載置ベー
ス4を備えている。基板下に空洞を設け基板貫通孔内を
減圧する方法に比し、載置ベース4を介して減圧する場
合は、マイクロアレイ1’は載置ベース4に密着しその
緩衝効果により機械的強度をそれほど必要としないこと
から、基板の材料の選択肢が増える。ここで、上記記載
置ベース4は、セラミックス、ポリアミド樹脂、オレフ
ィン系樹脂、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、フルオロカ
ーボン樹脂、ビニルアルコール系樹脂、フェノール樹
脂、ビニル系樹脂、アクリレート系樹脂、及びセルロー
ス誘導体からなる群から選ばれる多孔性素材の板状部材
を使用することができる。撥水性のものを使用すると、
減圧しない限りは溶液が貫通孔内にとどまり、減圧する
と貫通孔内から一層速やかに試料検体を除去することが
できる。また親水性のものを使用すると、貫通孔内部の
水系試料検体は減圧しなくとも漸次載置ベース4に移動
し、微少の貫通孔試料検体の移動を行うことができる。
載置ベース4を形成するセラミックスとしては、多孔性
のガラス、シリカ、アルミナなどを挙げることができ
る。
【0029】載置ベースに使用する上記の樹脂は、フッ
素系樹脂およびフェノール樹脂を除いて前述した通りで
ある。なお、載置ベース4の製造にビニル樹脂を使用す
る場合には、上述した樹脂のほかに、エチレン−酢酸ビ
ニル樹脂なども使用することができる。フッ素樹脂とし
ては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、(以下、
「PTFE」と略すことがある。)、フッ化エチレンポ
リプロピレンコポリマー(FEP)、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン(PCTFE)、エチレンフルオロエチ
レンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)、ポリフッ化ビニルなどを挙げることがで
きる。
【0030】(3)上述したマイクロアレイ用基板の製
造方法 (3−1)穿孔法によるマイクロアレイ用基板の製造方
法 上述したマイクロアレイ用基板1の製造方法としては、
例えば、最初に所望の厚みと大きさの基板を用意し、ド
リル穿孔法を用いてこの基板に貫通孔2を形成する貫通
孔形成工程を含む方法がある。基板の製造は、通常、樹
脂の形成に用いられている各種の方法、例えば、インジ
ェクション、押し出し、プレス、キャスト等を用いて行
うことができる。また、市販品を所望の大きさに切断し
て使用してもよい。
【0031】例えば、厚み約0.2〜5mmの、1辺が
数cm〜十数cmの矩形の基板を製造し、プリント基板
孔空け装置を用いて、内径約0.05〜1mmの孔を、
適当な間隔、例えば、約0.1〜5mmの間隔で貫通孔
を設けることによって、製造することができる。またド
リル穿孔以外に各種レーザーによるレーザー穿孔方法も
可能である。使用するレーザーとしては高エネルギーを
発生する炭酸ガスレーザー、YAGレーザーなどが好ま
しく、これらを組み込んだレーザー加工機やレーザーマ
ーキング装置により孔空けが可能である。これらのドリ
ルまたはレーザーによる穿孔法により貫通孔を形成した
基板は、貫通孔の位置を併せることにより複数枚を重ね
て使用することもできる。
【0032】(3−2)感光性樹脂を使用するフォトフ
ァブリケーション法によるマイクロアレイ用基板の製造
方法 また別の基板1の製造方法としては、上記のように製造
した基板上に感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成
工程と;前記感光性樹脂層に光をパターン照射して現像
を行う現像工程と;前記現像されたパターンを保護マス
クにして基板をエッチングして基板に貫通孔を形成させ
る貫通孔形成工程と;前記感光性樹脂層を除去する感光
性樹脂層除去工程とを含むものがある。
【0033】ここで使用する感光性樹脂としては、例え
ば、ネガ型レジスト例えば、CIR701、707、T
HB−120N,THB−150N(JSR(株)
製)、ポジ型レジストPFR7705,IX500EL
(JSR(株)製)、などを挙げることができる。この
ような感光性樹脂を用いて、基板に孔径、1〜50μ
m、アスペクト比1〜10、好ましくは1〜5の孔を開
けることが可能である。ここでアスペクト比とは孔の深
さ/孔径である。
【0034】(3―3)異方性エッチングによる基板1
の製造方法 またシリカ、酸化シリコン、金等をマスクMSKとして
用い、X線、シンクロトロン放射光あるいはプラズマガ
スによりレジスト材料などの有機材料を異方性エッチン
グするいわゆるLIGA(Lithograph galvanformung u
nd Abformung)、あるいはX線リソグラフィーと呼ばれ
る方法によりアスペクト比が500程度までの孔開けが
可能である。この場合にはレジストとしては、アルカリ
可溶性樹脂と多価(メタ)メタクリレートからなる組成
物が使用できる。またシリカマスク作成用の前駆体を用
い、基板上にこの前駆体を塗布し、光照射することによ
りシリカマスクを作成し、基板に酸素プラズマを照射し
マイク露出部分の基板を異方性エッチングすることも可
能である。
【0035】シリカマスク作成用の前駆体からなる感光
性膜を形成させた後に、所望の波長の光、例えば、約1
10〜250nmの波長の光を照射して前記感光性樹脂
層のシリカマスク化を行い、貫通孔を形成させる部分の
感光性樹脂層を除去し、基板を露出させる。ついで、こ
のシリカマスクMSKを通して基板に酸素プラズマを照
射すると、露出している基板の部分に貫通孔が形成され
る。ここで使用されるシリカ前駆体感光性樹脂としては
(トリストリメチルシリル)シリルエチルメタクリレー
ト EIRISTM(JSR(株)製)などを上げること
ができる。さらに、結晶性金属からなる基板の場合に
は、エッチング液の結晶方位依存性を利用した異方エッ
チングを行うことができる。例えば、(110)面を表
面とするシリコンウェハを基板として用い、シリカ層か
らなるパターンマスクを介して水酸化カリウムまたはエ
チレンジアミンの水溶液によりアスペクト比100まで
の貫通孔を作成することができる。
【0036】(3−4)光造形法によるマイクロアレイ
用基板の製造方法 本発明の基板1を製造するさらに別の方法には、所定の
深さと底面積とを有しその中に紫外線硬化性の液状樹脂
を有する容器に;アレイ用基板よりは大きい底面積を有
するベース板を液状樹脂表面から所定の寸法だけ沈める
ベース板沈降工程、;ベース板上の液状樹脂に紫外光を
所定のパターンで照射して樹脂基板の水平切片の一切片
を形成する樹脂硬化工程と;ベース板沈降工程と樹脂硬
化工程を複数回繰り返し液状樹脂中のベース板上に樹脂
基板を積層形成する繰り返し工程と、液状樹脂よりベー
ス板上の積層基板を取り出しベース板から積層樹脂を取
り出す工程を含む、方法がある。この製造方法では、以
下のようにして基板を製造する。
【0037】まず、所望の大きさ、例えば、縦、横、深
さが約25×25×10cmの容器を水平に置き、この
中に液状紫外線硬化性樹脂を、容器の底から約5cmの
均一の深さとなるように注ぎ入れる。ついで、この樹脂
溶液中の液面から150μm下になるよう平滑なステン
レススチール板からなるベース板を沈める。この液面
に、UVレーザーを照射して、アレイ用基板の貫通孔と
なる部分を除く前記150μm層の液状樹脂部分を硬化
させる。樹脂が硬化した後に、この板状部材をその上に
形成された樹脂層ごと、液面からさらにステンレススチ
ール板を150μm下げ液面より300μm下にし、さ
らにUVレーザーを照射して硬化させる。
【0038】この操作を繰り返し、最後の硬化が終了し
た後に上記のステンレススチールベース板をはずすこと
によって、所望の厚みの貫通孔を有する本発明のマイク
ロアレイ用基板を製造することができる。なお、これら
のレーザーによる照射法としては、1本のレーザー照射
による方法の他に、光学(258(38)2001)記載のパルス
レーザーによる二光子重合法による方法、またはApplie
d Physics Letter (Vol. 76, No. 19, pp.2669-2670)記
載の光干渉法などを採用することもできる。
【0039】(3−5)突起構造を有する型の使用によ
るマイクロアレイ用基板の製造方法 本発明の基板1を製造するまた別の方法としては、貫通
孔2を形成するための突起構造を所定の密度で有する型
を予め製造する型製造工程と;型内の空間に基板材料を
充填する充填工程と;前記型を除去する型除去工程とを
備える方法がある。貫通孔2を形成するための突起構造
を所定の密度で有する型を製造する方法には複数の方法
がある。
【0040】第一の方法は型の材料となる鉄、銅、ニッ
ケル、ステンレススチール等の金属板の上に感光性樹脂
を塗布しマスクを通して感光性樹脂を光現像する工程
と、この光現像された感光性樹脂を保護マスクとしてマ
スクの露出部分の金属板をエッチングする工程を備える
方法である。これらに使用する感光性樹脂としては前記
(3−2)に記載の各種レジストが使用可能である。第
二の方法としては、感光性樹脂を用いて突起構造を有す
る感光性樹脂製の突起構造を有する雄型を作成する工程
からなる方法である。
【0041】第三の方法としては感光性樹脂を用いて貫
通孔を有する感光性樹脂製の雌型を作成する工程と、こ
の雌型を基にメッキあるいは樹脂等を型空間に充填し型
から充填材を取り出し突起構造を有する雄型を作成する
工程からなる方法がある。第二、第三のいずれの方法も
感光性樹脂および感光性樹脂製の型を作成する方法とし
ては前記(3−2)、(3−3)記載の感光性樹脂およ
び方法を使用することが可能である。またこれらの感光
性樹脂にあらかじめ1〜20容積%の溶剤非溶解性微粒
子を混ぜておくことにより、微粒子入り感光性樹脂型が
形成され、パターン断面に飛び出した微粒子により断面
が凹凸が形成された貫通孔が形成される結果貫通孔の表
面積を大きくすることが可能となる。
【0042】これらの微粒子としてはシリカ、架橋スチ
レンジビニルベンゼン、ベンゾグアナミン、PTFE等
からなるものが使用可能であり、その粒子径は0.05
〜1μmが好ましい。またここで使用されるメッキ材料
としては、鉄、銅、ニッケル等が好ましく、また型から
充填材をはずしやすくするためにPTFE等のフッ素樹
脂粒子をメッキ液に混ぜてフッ素入り金属型とすること
が好ましい。メッキの方法としては感光性樹脂型に、ま
ず最初に、0.01〜1μm厚の無電解メッキを行な
い、その後に電気メッキを行うことにより高速に緻密な
メッキによる金属型を作成することが可能である。
【0043】上記方法のいずれかの方法により作成され
た型の空間にメッキ金属あるいは有機樹脂のいずれかか
らなる充填材を充填し、必要により硬化あるいは冷却
し、型から充填材を取り外すことにより、貫通孔を有す
る基板を作成する。ここで使用するメッキ金属材料とし
ては、金、鉄、銅、ニッケル、アルミニウムが好まし
く、特にコスト、異方性メッキのし易さ、機械的強度、
酸化劣化のし難さなどからニッケルが好ましい。ここで
使用する樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光
硬化性樹脂いずれも可能である。熱可塑性樹脂としては
ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート、環状
シクロオレフィン系樹脂等が使用可能である。
【0044】これらの熱可塑性樹脂は型に充填するため
には、融点以上の温度で溶融させ、型に注型冷却固化
し、型より脱型する。また熱硬化性樹脂についてはエポ
キシ、アクリル、ウレタン、不飽和ポリエステル、ビニ
ルエーテル、シリコーン等の分子量100〜10,00
0程度の液状のものを硬化触媒等と混ぜたものを充填
し、1〜12時間加熱硬化させ、型より脱型する。これ
らの中でも、室温で液状で粘度が低い物を選択すること
によりハンドリングし易く、微細な突起のある型の細部
にまで充填することが可能である理由から、熱硬化性樹
脂などを使用することが好ましく、特にエポキシ樹脂、
アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
【0045】(3−6)中空繊維の使用によるマイクロ
アレイ用基板の製造方法 本発明の基板を製造する別の方法としては、中空部の断
面積が1×10−5mm 2〜1mm2の中空繊維を複数本
束ねる繊維集束工程と;前記束ねられた被覆繊維を2枚
の板状部材の間に、これらの部材に対して直角になるよ
うに張り渡す繊維張渡し工程と;前記張り渡した繊維と
前記2枚の板状部材とによって形成される空間に、エポ
キシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、
及びオキセタン樹脂からなる群から選ばれる樹脂を注型
して硬化させる樹脂層形成工程と;前記2枚の板状部材
を取り外す取り外し工程と;前記形成された樹脂層を前
記樹脂層中に存在する繊維に対して直角になるようにス
ライスするスライス工程と;を備える方法が挙げられ
る。
【0046】上記工程において中空繊維を使用する代わ
りに、コアとグリッド部の材料の異なるハイブリッド繊
維を用いて、上記スライスの後、ハイブリッド繊維入り
基板中の繊維コア部を所定の方法で除去して貫通孔基板
とすることも可能である。ハイブリッド繊維を使用する
場合は、スライスした後にコア部を除去した方が繊維の
長さが短いために除去効率が高く好ましい。
【0047】(3−6−1)中空繊維あるいはハイブリ
ッド繊維の製造方法 この方法において使用する中空繊維は、中空部の断面積
が1×10−4mm2〜1mm2のものであればよく、素
材は特に限定されず、合成樹脂、金属、無機物などを使
用することができる。こうした中空繊維用合成樹脂とし
ては、ポリオレフィン、ナイロン、ビニロン、ポリエス
テル、ポリアクリロニトリル等を使用することができ
る。また、金属繊維としては、金、銀、銅、プラチナ、
ニッケル、アルミニウム、ステンレス製のものを使用す
ることができる。このような中空繊維の製造方法として
は、ダイスにより押し出し成形する方法、コア部とグリ
ッド部を異なる樹脂で押し出し成形し、コア部の樹脂を
溶剤で除去する方法等が可能である。
【0048】金属繊維は、コア部となる有機繊維やガラ
ス繊維の周りを金属メッキし、その後コア部の繊維を溶
剤あるいは焼却除去する方法などで製造することができ
る。前記コア部となる繊維には、水溶性のものと非水溶
媒に可溶性のものとがある。水溶性の繊維としては、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリル酸の金属塩、ポリエ
チレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロ
ース、アルギン酸塩等を挙げることができる。また、非
水溶媒に可溶性のものとしては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニト
リル等の繊維を挙げることができる。前記方法によりコ
ア部とグリッド部の異なるハイブリッド繊維を形成の
後、コア部のみを溶解する水あるいはその外の有機溶媒
にて溶解除去する。
【0049】また、UV光劣化特性の相違する2種類の
樹脂を用いて二層構造の繊維を製造し、その後コア部の
樹脂をUV光にて劣化させ、中空繊維とする方法も挙げ
られる。すなわち、UV光で容易に劣化するUV易劣化
性樹脂をコア部にして繊維を製造する工程と、UV光に
安定でかつUV光を透過させるUV透過性樹脂をその外
側にグリッド層として設ける工程と、この繊維にUVを
照射し、コア部のUV易劣化性樹脂を劣化させて除去
し、中空繊維とする工程からなる方法である。
【0050】この方法で使用するUV易劣化樹脂として
は、ジアミノ化ポリプロピレングリコールを含有するウ
レタン(メタ)アクリレートなどを使用することができ
る。上記のグリッド層となるUV透過性樹脂としては、
(メタ)アクリレート系重合体、ポリカーボネート、ウ
レタン系樹脂などを使用することができる。上記UV樹
脂ハイブリッド繊維においては、コア部をガラス繊維と
し、その外にUV易劣化樹脂、さらに外にUV透過性樹
脂とすることも可能である。これらの二層あるいは三層
のハイブリッド繊維は図5に示すような光ファイバー製
造装置により製造可能である。この装置ではまずガラス
を溶融しダイスにて繊維化すると共に、次の工程で別の
ダイスで第一のUV樹脂をコーティングしUVランプで
硬化し、さらに次のダイスで第二のUV樹脂をコーティ
ングし第二のUVランプにてUV硬化させる。この装置
ではガラス繊維なしの二層のUV樹脂のみによるハイブ
リッド繊維も製造可能である。
【0051】ガラス繊維を入れることにより、繊維の機
械的な強度が増し、樹脂充填等に伴う機械的な加圧変形
に優れることとなる。このガラス繊維は、前記繊維入り
樹脂充填物をスライスの後、まずUV照射によりUV易
劣化樹脂を劣化揮発させ、ついで空圧あるいは水洗浄に
よりガラス繊維を除去することが可能である。さらに、
金、銀、ニッケル、銅、ステンレス、アルミニウムなど
の金属を、加熱押し出し法によって中空繊維とすること
ができる。上記のような金属製の中空繊維では、繰り返
し加熱押し出しを行うことで、より孔系の小さな繊維を
順次製造することができる。上記の金属繊維として、適
当な市販品を使用することもできる。具体的には、内径
0.2mm、外径0.35〜0.4mm(田中貴金属
(株)製)などを挙げることができる。
【0052】なお、上記の金属繊維場合には、上記のよ
うにして得られた中空中径の管中に、さらに口径の小さ
な複数の管を挿入し、加熱引出しを行うことによって中
径の管の中空部の空間を小径の管で分割した管(以下、
「多孔管」と称する。)を製造することができる(図1
3)。これらの工程を複数回繰り返すことで、最大の管
径が捕捉なり多層管構造を有する極めて表面積の大きな
多孔管を形成することが可能である。
【0053】(3−6−2)中空繊維あるいはハイブリ
ッド繊維の集束 以上のようにして製造した中空繊維あるいはハイブリッ
ド繊維等の繊維を、複数本束ね、適当な集束剤で集束す
る。但し、上記繊維として一本の繊維の中に多数の管を
持つ多孔管繊維を使用する等のために複数の繊維を使用
せず実質的に一本の繊維を使用する場合はこの集束工程
は省略することができる。あるいは逆に一本の繊維を使
用する場合でも基板樹脂との接着性を図るためや、繊維
の光を外部に漏洩させないよう反射防止膜を形成するた
めにこの集束工程と実質的に同じ工程を利用して繊維の
表面コートを行うことも可能である。
【0054】上記繊維の集束剤としてはこれらの繊維と
基板樹脂との接着性が良好な物であれば何でもよく、エ
ポキシ、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエステル
等の極性樹脂が好ましい。これらの中で特に好ましいの
は、分子量が1,000から10,000程度のエポキ
シ、ウレタン、アクリルであり、特に作業性の点からは
集束しながら光硬化が可能な光硬化性樹脂が好ましい。
これらの具体的な樹脂としては、エポキシ樹脂SCR7
51(JSR(株)製)が使用可能である。
【0055】中空繊維あるいはハイブリッド繊維とし
て、検出光の照射波長において実質的に透明である透明
グレードを使用する場合は、集束する中空繊維の屈折率
よりも集束剤の屈折率の方が0.5%以上低いものを使
用する。こうした物性を有する集束剤を使用すること
で、後述する被検物質の検出の際に、中空繊維内部に光
が照射された場合に、この光が集束剤の界面で反射し中
空繊維外と集束剤からなる系外へ漏れることなく、系内
を導波することが可能となる。別の方法として集束剤で
複数の繊維を集束した後に、金、銀、銅、ニッケル、ア
ルミニウムなどの反射機能を持つ金属で集束された繊維
の外表面を被覆することにより照射光を界面で反射さ
せ、中空繊維を光導波路とすることが可能となる。また
金、銀、ニッケル、アルミニウム等の反射機能を持つ中
空繊維あるいはハイブリッド繊維については上記樹脂で
集束するだけでよい。
【0056】集束剤を用いた複数の中空繊維の集束は、
通常行われている、繊維の集束工程によって行うことも
でき、また図5に示すような装置を利用して行うことも
できる。集束剤を塗布する場合には、その塗布厚みを約
5〜50μmとすることが繊維間に浸透し機械的な集束
力を備えるためには5μm以上が必要であり、また50
μm以上では集束後の繊維束が太くなりすぎるために好
ましくない。さらに10μm以上35μm以下とするこ
とが集束繊維の機械的強度が維持出来且つ繊維束として
太くなりすぎない太さである理由からさらに好ましい。
【0057】以上のようにして製造した中空繊維あるい
はハイブリッド繊維は、複数の繊維の場合は集束、一本
の繊維の場合はコーティングされた後に、下記のように
して所望の大きさの2枚の板状部材14a,14bの間
に張り渡す。これらの板状部材14a,14bの面積
は、10mm×10mm〜1,000mm×1,000
mmとすることが好ましい。まず、上記の2枚の板状部
材それぞれに、所定の間隔で中空繊維あるいはハイブリ
ッド繊維を通すための穴16ai,j,16b
i,jを、所定の間隔で開ける。これらの穴同士の間隔
は、少なくとも約0.3mm以上であり、好ましくは約
0.5mm以上、より好ましくは約0.8mm以上であ
る。約0.3mm未満では、繊維を張り渡した後に行う
樹脂の充填が十分に密にならないために多くの間隙が生
じ、または充填に時間がかかるという問題も生じる。な
お、上記の繊維を通すための穴16ai,j,16b
i,j(i=1〜m,j=1〜n)同士の間隔は、後述
するように、これらの中空繊維の中空部によって形成さ
れる貫通孔2に、試料溶液をスポッターで導入する場合
には0.3mm以上であればよく特に限定されない。
【0058】ついで、これらの板状部材14a,14b
を、所望の距離を空けて平行に置く。具体的には、これ
らの2枚の板状部材14a,14bとその距離とからな
る空間の容量は、通常、1,000×1,000×1,
000(mm3)以下であり、好ましくは500×50
0×1,000(mm3)以下、特に好ましくは250
×250×1,000(mm3)以下である。この空間
の容量が1,000×1,000×1,000(m
3)を超えると、内部空間にまんべんなく充填するこ
とが困難となることによる充填時間あるいは、内部に光
あるいは熱が伝わりにくくなり、樹脂が硬化する際に要
する反応時間が幾何級数的に増大する。
【0059】具体的には、上述した間隔で穴をあけた2
50×250mmの2枚の板状部材14a,14bを、
約1,000mmの距離をおいて平行に置き、一方の板
状部材14aのある穴16a1,1に中空繊維を通した
後に、他方の板状部材14bの対応する穴16b1,1
に通す(図6参照)。この操作を繰り返して、平行に置
かれた上記2枚の板状部材14a,14bの間で上述し
た中空繊維2Gがそれらの板状部材と垂直になるように
張り渡す。張り渡しが終了した後に、この板状部材14
a,14bをこれがちょうど入る大きさの型18の中に
置き、これらの板状部材14a,14bの間に、上述し
たエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタ
ンアクリレート樹脂、オキセタン樹脂、ビニル樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂と反応開始剤とを充填する。
【0060】ついで、使用した樹脂の性質に応じて、常
温で放置、加熱または光の照射などの適当な方法で樹脂
を硬化させる。例えば、重合禁止剤を添加せず、反応開
始剤を適宜選択することによって、用時調製した上記の
混合液を注型後、常温で硬化させることもできる。加熱
硬化させる場合には、電熱線入りの金型を使用してもよ
い。硬化時間は、樹脂の物性、反応開始剤およびその他
の添加剤の量などによって異なるが、少なくとも8時
間、好ましくは16時間、より好ましくは24時間以上
である。樹脂が硬化した後に型から出し、上記2枚の板
状部材14a,14bからはずして、上述した中空糸の
断面と平行に硬化樹脂20をスライスする(図7参
照)。スライスは、例えば、ダイシングソーなどを用い
て、約0.5mm以上の所望の厚さで行うことができ
る。これによって、所望のアスペクト比(貫通孔の直径
/深さ比)を有するマイクロアレイ用基板1を得ること
ができる。
【0061】(3−6−3)基板表面の処理 前記方法にて得られた基板1には、被検物質をスポット
した際に被検物質を貫通孔2に誘導させるために表面処
理を行うことが望ましい。その第一の方法は、貫通孔の
周囲を除く少なくとも片側表面に撥水層を形成する方法
である。撥水層は、フッ素あるいはシリコーンを含む樹
脂であれば特に制限なく使用することができ、これらを
含有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサ
ン、及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる樹脂を使用
し、スクリーン印刷、フォトリソグラフィーによるパタ
ーンニングなどの通常使用される手法によって形成する
ことができる。
【0062】これらの中でも、フッ素を含むアクリル系
UV硬化樹脂またはこれらを含有するUV硬化樹脂など
の感光性樹脂を使用することが、貫通孔近傍を除く領域
のみに撥水層を形成する上で好ましい。フッ素を含有す
るアクリル系樹脂として、JSRオプスターJM501
0、JM5025(JSR(株)製)が挙げられる。こ
うした撥水層を貫通孔2の近傍、具体的には貫通孔2の
周囲約0.1〜1mmの範囲を除いて形成することによ
って、後述する被検物質を含む試料溶液を基板1上に載
せたときに、これらの溶液を速やかに貫通孔内に導くこ
とができるようになる。また上記撥水層を設ける代わり
に貫通孔2そのものあるいは貫通孔上部にテーパーを設
けることも可能である。この方法としては、感光性樹脂
の拡散光によるパターンエッチングにより形成すること
ができる。
【0063】(4)マイクロアレイ基板の貫通孔内壁表
面へのスペーサーおよびプローブの固定 上記のスペーサーおよびプローブの固定に先立って、所
望により、上記貫通孔内壁面にこれらの結合サイト(以
下、貫通孔内壁上の結合サイトを「セル結合サイト」と
いう)を形成する。なお、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、ナイロン樹脂などのような極性の官能基を有する樹
脂で本発明のマイクロアレイ用基板の貫通孔内壁が形成
されている場合には、これらをそのままセル結合サイト
として利用することができる。こうした官能基を有して
いない樹脂で上記マイクロアレイ用基板を製造した場合
には、下記のような方法でセル結合サイトを形成するこ
とができる。
【0064】第1の方法は、上述したそれぞれの方法で
製造したマイクロアレイ用基板1の貫通孔内壁表面を、
カルボキシル基、アミノ基、N−スクシイミド基、マレ
イミド基、トシル基、エポキシ基、カルボジイミド基、
チオール基、スルフィド基、ヒドロキシル基、トリメト
キシシリル基、およびニトリロ三酢酸基からなる群から
選ばれるいずれかの官能基を有する誘導体で被覆すると
いうものである。第2の方法は、これらの貫通孔内壁面
を、上記の金属、金属化合物被覆するものである。こう
した金属および金属化合物としては、金、銀、銅、プラ
チナ、ニッケル、インジウムチンオキサイド(ITO:
Indium Tin Oxide)および化合物半導体からなる群から
選ばれるものを使用することが好ましい。これらの金属
および金属化合物による被覆は、蒸着、メッキ、金属化
合物前駆体の塗布焼成など、通常使用される方法にて行
うことができる。また金に関しては(111)結晶配向
させることが望ましい。
【0065】上記方法により被覆された金がX線結晶解
析により(111)結晶配向していない場合には、58
0℃以上で加熱することにより(111)結晶配向させ
ることができる。上記加熱の方法としては、金の中空繊
維を使用する場合は、中空繊維を上記温度以上で加熱
し、金が樹脂基板内に存在する場合は、市販の遠赤外線
ハロゲンランプランプのヒーター出力が0.1〜10W
/mmの範囲で長くとも1分加熱することにより樹脂に
熱ダメージを与えず金を(111)結晶配向させること
が可能である。
【0066】次に、上記方法にて形成された貫通孔内壁
のセル結合サイトにスペーサーを導入する。スペーサー
は、前述したものを使用するが、これらのスペーサーの
側鎖好ましくは末端に、カルボキシル基、アミノ基、N
−スクシイミド基、マレイミド基、エポキシ基、カルボ
ジイミド基、チオール基、スルフィド基、ヒドロキシル
基、トリメトキシシリル基、ニトリロ三酢酸基のいずれ
かから選ばれる官能基を持つものを使用し、貫通孔内に
スポッターで導入することにより、前記方法により形成
したセル結合サイトと結合させる。これらの結合時に
は、室温放置、加熱あるいは水溶性カルボジイミドその
他の結合剤の使用といういずれかの方法により、セル結
合サイトと前記スペーサーの官能基とを化学結合させる
ことが出来る。
【0067】さらに所望により、プローブと結合させる
ための結合サイトをスポッターにより導入する。これら
の結合サイトとしては、アビジン、ビオチン等が使用可
能である。スペーサーはプローブの種類によっては導入
する必要はなく、たとえば核酸プローブ等の場合は直接
プローブとセル結合サイトを結合することも可能であ
る。次にプローブをセル結合サイトあるいはセル結合サ
イトに結合されたスペーサーに結合させる。
【0068】ここで使用されるプローブは、予め調製さ
れた所定の長さのオリゴヌクレオチド、ヌクレオチド数
が5〜100の一本鎖核酸、タンパク、脂質、ウイル
ス、及び分子量50〜100万の化合物からなる群から
選ばれるプローブなどであり、具体的には前述したもの
と同様のものを挙げることができる。ここで、プローブ
に、セル結合サイトあるいはスペーサー結合サイトとの
結合サイトが無い場合には結合サイトを形成する。これ
らのサイトとしては、アミノ基、チオール基、セルある
いはスペーサー結合オリゴヌクレオチドと相補的配列を
持つオリゴヌクレオチド、ペプチド、アビジン、ビオチ
ン、ヒスチジン等が使用可能である。これらはプローブ
を化学的に修飾する以外に、生物学的方法でプローブに
導入することも可能である。
【0069】セル結合サイトと、プローブ側結合サイト
との組み合わせは任意に選択することができるが、特に
下記の組み合わせ(セル結合サイト(前者)−プローブ
側結合サイト(後者))が好ましい。カルボキシル基−
アミノ基、マレイミド基−チオール基、トシル基−アミ
ノ基、アミノ基−水酸基、アミノ基−アミノ基、アビジ
ン−ビオチンまたプローブとして別途調整されたプロー
ブを導入する以外に、セル上でヌクレオシドホスホアミ
ダイドまたはアミノ酸を含む溶液を固相合成法により逐
次反応させ、オリゴヌクレオチドプローブまたはポリペ
プチドとすることも可能である。
【0070】上記セル結合サイト、スペーサー、プロー
ブおよびこれらの結合サイトを含む溶液は、マイクロア
レイ1’、スポッター22と加減圧装置24を用いてセ
ル単位で導入される。溶液をスポッターにてマイクロア
レイ用基板1のセル2’に滴下し、同時に加減圧装置に
より多孔質体からなる載置ベース4を介してマイクロア
レイ1’のセルを減圧にし、溶液を貫通孔の片側から反
対の片側まで吸引する。溶液が貫通孔の全容容積に満た
ない場合は、反対側の片側まで溶液が達した時点で反対
に加圧し、溶液を逆の片側に逆流させる。この動作を溶
液のダメージが無く、かつセル2’が乾燥しない時間内
に繰り返し行うことで少ない溶液で貫通孔全体に所定の
溶液を繰り返し導入し、プローブ結合密度の高いセルを
形成することが可能となる。
【0071】本法では被検物質を含む試料検体はスポッ
ターにより個別のセルだけに導入されるために、従来法
のようにマイクロアレイ1’全体に試料検体を導入する
場合とは異なり、セル以外のスペース部分は試料検体消
費に関係しない。従ってセル以外のスペースがいくら大
面積であろうと構わない。但しセル密度が40,000
個/cm2を超えると、スポッターの投入誤差限界を越
え、隣のセルとのクロスオーバーの可能性が出るために
好ましくない。
【0072】(5)マイクロアレイシステム5を用いた
被検物質の測定方法 上述したマイクロアレイ1’のセル2’中に、被検物質
を含む溶液を、所望の量でスポッターを用いて導入す
る。上述したプローブと被検物質を所定の時間反応さ
せ、その後、上記被検物質を含む溶液を加減圧装置で除
去する。ついで、各セルに、所定量の洗浄液をスポッタ
ーで加えてセル内を洗浄する。これらの被検物質のプロ
ーブとの相互作用を検出する方法としては既存の各種方
法が使用可能である。たとえばラジオアイソトープ検
出、化学発光検出、蛍光検出、表面プラズモン検出、ラ
マン検出、電気化学検出が使用可能である。
【0073】これらの中でラジオアイソトープ検出、化
学発光、蛍光検出には被検物質あるいはプローブを何ら
かのラベル化剤でラベルすることが必要であり、また電
気化学検出は配線を必要とする。その意味ではより好ま
しいのは、表面プラズモン検出あるいは、ラマン検出で
ある。これらの表面プラズモンあるいはラマン検出にお
いてはセル内の洗浄の後に、前記基板載置用ベース4を
除去した基板1に対して、光を照射する。ここで使用す
る光は、所定の波長を有する単ー波長光であり、被検物
質によって、適宜選択する。具体的には、250〜1,
100nmの発光ダイオードあるいはレーザーを使用す
ることが好ましい。これらの波長の光のうち、250〜
650nmの波長の光源は蛍光検出の際の蛍光励起用と
して好適であり、また400〜1,100nmの波長の
光源とくに530〜1,100nmの波長の光源は表面
プラズモンあるいはラマン検出法として好適である。
【0074】表面プラズモンあるいはラマン検出法にお
いては、検出感度を高めるために被検物質中または被検
物質投入の前後に金属コロイドをセル内に添加すること
が好ましい。これらの金属コロイドとしては、金、銀、
白金、ニッケル、アルミニウムなどを挙げることがで
き、特に金、銀、白金などが好ましい。
【0075】こうした被検物質の量を検出する検出シス
テムとしては、例えば図9に示されるような透過・共焦
点方式検出システムを採用することができる。図9に示
される検出システムでは、所定の光源から射出された所
定の第一波長の光L1が対物レンズ系により集光され、
マイクロアレイにおける一つのセルに照射される。こう
してセルに照射されたレーザー光とセル内のプローブと
結合した被検物質との相互作用の結果、第一波長とは異
なる第二波長の光L2が発生する。こうした第二波長の
光L2としては、蛍光、表面プラズモンあるいはラマン
光等がある。ここで、第二波長の光L2とは、第一波長
とは異なる波長の光を意味し、一種類の波長の光ばかり
でなく、第一波長とは異なる複数種類の波長の光が存在
する場合も総称している。
【0076】上記のようにして発生した第二波長の光L
2の少なくとも一部は、セルを通過して、第一波長の光
L1の照射側とは反対側の表面に到達する。この光を直
接利用する以外に、照射側と反対側あるいは両側に表面
に反射ミラーを置き反射光を同一セルである複数貫通孔
セルを往復させ、実質的に光照射セルの面積を増やすこ
とで検出感度を増加する方法いわゆるマルチビーム方式
が可能である。この際には光の検出は光の入射側あるい
は入射とは反対側のいずれで検出してもよい。上記方法
によりセルから出射した光は、コリメートレンズ系によ
りほぼ平行光に変換される。なお、コリメートレンズ系
から射出される光には、第一波長成分と第二波長成分と
が含まれている。コリメートレンズ系から射出された光
は、第一波長の光L1を遮断し、第二波長の光L2を選
択的に透過させる波長選択性フィルタに入射し、第二波
長の光のみが射出される。こうした波長選択性フィルタ
としては誘電体多層膜等を使用することができる。な
お、波長選択性フィルタとしては、第二波長の光のみを
透過するものであってもよいし、第二波長の光L2のみ
を反射するものであってもよい。
【0077】波長選択性フィルタから射出された第二波
長の光L2は、集光レンズ系によって集光された後、集
光レンズの焦点位置にピンホールが形成されたピンホー
ル板を通過して受光器に入射する。そして、受光器で
は、入射した第二波長の光L2の光量を検出する。以上
のような第二波長の光L2の発生量の検出を、検出シス
テムとマイクロアレイ1’とを相対的に移動させなが
ら、セルごとあるいは近接した複数のセルから成るセル
群ごとに行う。こうして検出された第二波長の光L2の
発生量に基づいて、セルごとに内部における被検物質の
量が検出される。
【0078】また、被検物質の量を検出する検出システ
ムとして、図10に示されるような反射・共焦点方式検
出システムを採用することができる。この図10に示さ
れる検出システムを採用する場合には、マイクロアレイ
における第一波長の光の照射側とは反対側に反射板等の
反射部材を設置することが好ましい。図10に示される
検出システムでは、レーザー光源から射出された所定の
第一波長のレーザー光L1のうち、ハーフミラー等のビ
ームスプリッタで反射された光が対物レンズ系により集
光され、マイクロアレイにおける一つのセルに照射され
る。こうしてセルに照射されたレーザー光とセル内のプ
ローブと結合した被検物質との相互作用の結果、第一波
長とは異なる第二波長の光L2が発生する。こうした第
二波長の光としては、図9の場合と同様に蛍光、表面プ
ラズモン、あるいはラマン光等がある。
【0079】上記のようにして発生した第二波長の光L
2の少なくとも一部は、そのまま第一波長の光の照射側
の表面から出射する。また、他の部分のほとんども、反
射部材によって反射された後に第一波長の光の照射側の
表面から出射する。すなわち、発生した第二波長の光の
ほぼすべてが、第一波長の光の照射側の表面から出射す
る。マイクロアレイから出射した第二波長の光L2はビ
ームスプリッタに到達し、その一部がビームスプリッタ
を透過する。ここでビームスプリッタを透過するには、
第一波長成分と第二波長成分とが含まれている。
【0080】そして、ビームスプリッタを透過した光
は、ミラーを介した後に第一波長の光を遮断し、第二波
長の光L2を選択的に透過させる波長選択性フィルタに
入射し、第二波長の光のみが射出される。こうした波長
選択性フィルタとしては、図9と同様のものを採用する
ことができる。波長選択性フィルタから射出された第二
波長の光L2は、図9の場合と同様にして、集光レンズ
系によって集光された後、集光レンズの焦点位置にピン
ホールが形成されたピンホール板を通過して受光器に入
射する。そして、受光器では、入射した第二波長の光L
2の光量を検出する。
【0081】以上のような第二波長の光L2の発生量の
検出を、図9の場合と同様にして、検出システムとマイ
クロアレイとを相対的に移動させながら、セルごとある
いは近接した複数のセルから成るセル群ごとに行う。こ
うして検出された第二波長の光L2の発生量に基づい
て、セルごとに内部における被検物質の量が検出され
る。また、被検物質の量を検出する検出システムとし
て、図11に示されるような透過・撮像方式検出システ
ムを採用することができる。
【0082】図11に示される検出システムでは、レー
ザー光源、ビームエキスパンダー及び均一化光学系等を
含む光源装置から射出された第一波長のレーザー光が、
マイクロアレイ全体の光照射面側表面のほぼ前面に照射
される。なお、マイクロアレイ全体の光照射面側表面に
おけるレーザー光の照射光量密度をほぼ均一にするため
には、ケーラー照明法を使用することができる。こうし
てマイクロアレイに照射された第一波長のレーザー光の
うちで各セルに入射した光とセル内のプローブと結合し
た被検物質との相互作用の結果、第一波長とは異なる第
二波長の光L2が発生する。こうした第二波長の光L2
としては、図9及び図10の場合と同様に、蛍光、表面
プラズモンやラマン光等がある。
【0083】上記のようにして発生した第二波長の光の
少なくとも一部は、各セルを通過して、第一波長の光の
照射側とは反対側の表面から出射し、第一波長の光L1
を遮断し、第二波長の光を選択的に透過させる波長選択
性フィルタに入射する。こうした波長選択性フィルタと
しては、図9及び図10と同様のものを採用することが
できる。波長選択性フィルタから射出された第二波長の
光L2は、結像レンズ系に入射する。この結果、結像レ
ンズ系の結像面に、各セルから射出された第二波長の光
L2の光量に応じた、各セルの像が形成される。
【0084】これらの像を結像レンズ系の結像面に受光
面が配置されたCCD装置等の撮像装置で撮像すること
により、各セルから射出された第二波長の光の光量に応
じた二次元像を得る。そして、この二次元像における画
素濃度を解析し、各セルから射出された第二波長の光の
光量を求め、セルごとにその内部における被検物質の量
が検出される。なお、図9の検出システムに対する図1
0の検出システムへの変形と同様の変形を図11の検出
システムに施した反射・撮像方式検出システムを、被検
物質の量を検出する検出システムとして採用することも
できる。
【0085】さらに、表面プラズモン検出法により、第
二波長の光L2の発生量の検出を検出してもよい。本発
明のマイクロアレイおよびマイクロアレイシステムは遺
伝子発現解析、蛋白発現解析、遺伝子多型や遺伝子異常
に起因する疾患の特定、ウイルス感染症の罹患の有無、
細胞診断、各種医薬候補物質の生理活性あるいは毒性等
の薬理活性のスクリーニング等、様々な用途に使用する
ことが可能となる。
【0086】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが本発明は、これらの実施例に何ら限定され
るものではない。
【0087】(実施例1)マイクロアレイ用基板用穴あ
き基板の製造 (1)ドリル穿孔法による穴あき基板の製造 プリント基板孔あけ装置(NCマシーンND−1V21
1、日立精工(株)製)を用いて、100mm×100
mm×1mmの環状オレフィン系樹脂製基板(商品名ア
ートンTM JSR株式会社製)に、内径0.155mm
の貫通孔を、1mmのピッチ間隔で縦50×横50個の
2,500個あけた。
【0088】(2)光造形法による穴あき基板の製造 光造形装置SCR1000HD(ソニー(株)製)を用
いて、ステンレス平滑板の上に、100mm×100m
m、厚さ3mmの樹脂製穴あき基板を作成した。樹脂と
しては、エポキシ系UV硬化樹脂SCR751((株)
デーメック製)を使用した。この穴あき基板は、図2に
示すような断面形状を有しており、孔のピッチ間隔は
0.5mmであった。
【0089】(3)X線リソグラフィーおよび電鋳メッ
キの組み合わせによる貫通穴基板の製造 ドライアイス/メタノール環流器の付いたフラスコを窒
素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル4.0gと、溶媒としてジエチレンク
セリコールジメチルエーテル100.0g、ジエチレン
グリコールモノメチルエーテル50.0gを仕込み、重
合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続きモノマーと
してメタクリル酸20.0g、2−ヘキサヒドロフタロ
イルメタクリレート45.0g、スチレン15.0g、
1,3−ブタジエン5.0gを仕込んだ後、緩やかに攪
拌させた。その後、溶液の温度を80℃上昇させ、この
温度で4時間重合反応を行った。
【0090】その後、反応物を大量のメタノールに滴下
して反応物を凝固させた。この凝固物を水洗後、凝固物
と同量のテトラヒドロフランに溶解し大量のメタノール
で再度凝固させた。この再溶解―凝固操作を計3回行っ
た後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、
共重合体を得た。この共重合体粉末10gを、3−メト
キシプロピオン酸メチル10gに溶解し、多価アクリレ
ートとしてアロニックスM8060(東亜合成化学
(株)製、接着助剤としてγ―グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン0.05g、界面活性剤としてBM―
100(BMケミー社製)0.03gおよび熱重合禁止
剤として1,1,3−トリス(2,5−ジメチルー4−
ヒドロキシフェニル)―3−フェニルプロパン0.2g
を溶解し、三本ロールで混練りし均一組成物とした。
【0091】金が蒸着された基板上にスピナーを用い
て、前記レジストを塗布した後、乾燥し2,000μm
の膜厚を形成した。シリコンの支持枠に窒化シリコンの
メンブレンが付き、その上にタンタル吸収体パターンが
形成された30μmの穴が30μm間隔で空いた10,
000個空いた10x10mmの大きさのマスクを用
い、0.4J/cmの照射量でシンクロトロンによる
X線露光を行った。ついで0.5重量%テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシド水溶液に10分回含浸させて、
X線未照射部分の現像を行った。その結果、0.03m
mの貫通孔が10,000個空いた厚さ0.2mmの1
0x10mmのレジスト製貫通孔フィルムを得た。
【0092】このフィルムを先ず無電解ニッケルメッ
キ、ついでPTFE粒子入り電解ニッケルメッキを行い
貫通孔部分にニッケルメッキを充填した。ついでレジス
トを溶剤にて除去し、突起柱状を持つPTFE粒子入り
ニッケル雄型を作成した。この型にSCR75(JSR
(株)製)を注型し、上面よりUVランプを250mW
/cmで500mJ照射し、光硬化させた後、SCR
751を型よりはずし、貫通孔を有する基板を得た。
【0093】(4)穴あき基板の貫通孔の金属被覆 上記の実施例1で製造した穴あき基板に、スルファミン
酸ニッケル液にて約1μmメッキ厚のニッケルメッキを
行い、次いで置換金メッキ液にて約0.7μm厚の金で
被覆した。ついでこの基板にウシオ電気(株)のハロゲ
ンランプヒーターにて0.5m秒の加熱を行った。こレ
をX線解析した結果、金部分が(111)配向結晶して
いることが確認された。
【0094】(5)中空繊維を使用した穴あき基板の製
造 (5−1)樹脂製の中空繊維の金属被覆 中空繊維としては、ナイロン製のマルチフィラメント中
空糸であるファーリロモノ(東レ(株)製)又はマイク
ロアート66T16−E787(ユニチカ(株)製)を
使用した。ファリーロモノのフィラメント内径は10μ
m、外径は15μm。これらの繊維数本の外表面に、透
明のアクリルウレタン系UVコート樹脂JSRオプスタ
ーJM5010(JSR(株)製)を、厚みが30μm
となるように塗布しながら紫外線で硬化させ、アクリル
ウレタン系樹脂被覆中空繊維を作成した。ついで、これ
らのアクリルウレタン系樹脂被覆中空繊維の一部をと
り、それらの内表面を上記(4)と同様にして無電解ニ
ッケルメッキし、残りの部分は、繊維外表面を同様に無
電解ニッケルメッキした。
【0095】(5−2)金属製の中空繊維の製造 金の穴あき板を用意し、これを引き抜き法にて引き抜
き、細管を作成した。この操作を繰り返してさらに口径
の小さい細管を作成した。この細管を数本、より口径の
大きい管中に挿入し、さらに引き抜き法にて、図13に
示すような断面形状を有する多数孔管を作成した。この
中細管を580℃で6時間加熱し、(111)配向した
結晶面を有する金の多数孔管を作成した。
【0096】(5−3)中空繊維を使用した貫通孔を有
する基板の製造 図6に示す144個の数の穴がピッチ間隔1mmであけ
られた1対のフッ素樹脂がコートされたステンレスチー
ル板状部材(15mm×15mm)を、板状部材同士の
距離が20mmとなるように平行して置いた。これらの
板状部材の間に、上記(5−1)又は(5−2)で製造
した中空繊維が対応する穴同士を通るように張り渡し
た。すなわち、中空繊維の張り渡しが終了したときに、
これらの板状部材と張り渡された中空繊維とは互いに垂
直になるようにした。これを、この板状部材が入る型の
中に、張り渡した中空繊維がたるまないように入れ、U
V硬化型エポキシ樹脂であるSCR751(JSR
(株)製)の溶液を注入した。板状部材の上縁までこの
樹脂溶液を注入し、紫外線ランプを10mW/cm×5
時間の条件で照射して硬化させて樹脂成形体を得た。こ
の樹脂成形体を、さらに80℃で2時間熱硬化させた。
【0097】熱硬化の終了後、この樹脂成形体を型から
取り出して板状部材をはずし、中空繊維と直角になるよ
うに、この樹脂成形体を厚みが1mmとなるようにスラ
イスし、貫通孔を有するマイクロアレイ用基板を得た。
ついで、このマイクロアレイ用基板の片面にフッ素系の
UV硬化樹脂であるオプスターJA5010(JSR
(株))を、膜厚が0.5〜1μmとなるようにスクリ
ーン印刷機で塗布し、中空繊維の外表面の周囲、約10
〜15μm幅の部分以外を、紫外線照射により硬化させ
た。次いで、この未硬化の部分の樹脂を洗浄して除去
し、撥水層をさらに備える、貫通孔を有するマイクロア
レイ用樹脂製を作成した。
【0098】(実施例6)プローブ又はスペーサーの固
定 (6−1)プローブ又はスペーサーの準備 以下の3種類のスペーサー付プローブを準備した。 (1)アビジン付ジスルフィド末端オリゴヌクレオチド
の調製 5’末端のTT間にジスルフィド結合を導入し、さらに
3’末端をアミノ化した20merのオリゴヌクレオチ
ド5’−TTGGATCCGAATTCAAGCCC−3’を北海道システム
サイエンス社より購入した。このオリゴヌクレオチド4
00μgを1mMのMES緩衝液(pH6.0)に溶解
し、アビジン(和光純薬(株)製)40mgとWSC
(同仁化学(株)製)10mgを加えて、25℃にて1
時間攪拌した。この後、NAP−5(ファルマシア社
製)にてゲル濾過を行い、アビジン付きチオール末端オ
リゴヌクレオチド(プローブ1)を含む溶液を得た。
【0099】(2)アビジン付きジスルフィド基スペー
サー(1)の調製 0.5mgのN-succinimidyl 3-(2-pyridyldithio)prop
ionase(同仁化学(株)製、以下「SPDP」と略
す。)を0.5mlのアセトニトリルに溶解したのち、
リン酸緩衝液4.5mlを加えた。さらにアビジン0.
5gを加え、25℃にて1時間攪拌した後、NAP−5
(ファルマシア社製)にてゲル濾過を行い、アビジン付
きジスルフィド基スペーサー(1)を含む溶液3mlを
得た。
【0100】(3)アビジン付きカルボン酸末端スペー
サー(2) 上記(2)アビジン付きジスルフィド基スペーサー
(1)の調整において、SPDPの代わりに4−スクシ
イミジロキシカルボニル−メチル−α−(2−ピリジル
ジノ)トルエン(ビアス社製)を使用した以外は(2)
と同様にしてアビジン付きジスルフィド基スペーサー
(2)を含む溶液3mlを得た。
【0101】(6−2)プローブ又はスペーサーの基板
への固定 上記のようにして得られたプローブ又はスペーサーを、
上述のように得られたマイクロアレイ用基板又は別の基
板へ結合させた。別の基板としては、住友ベークライト
(株)製のELSIA用プレート(カルボタイプ)を使
用した。載置ベースとしては、ポリテトラフルオロエチ
レン製の多孔質体(気孔径50μm、多孔率40〜45
%、トーメイ工業(株)製)を用意した。また、スポッ
ター(日本レーザー電子(株)製)を使用した。
【0102】図8に示すように、加減圧装置の上に載置
ベースを載せ、その上に撥水層をさらに備えた貫通孔を
有するマイクロアレイ用基板を、撥水層が上になるよう
に載せた。撥水層の上側から、上記(6−1)で調製し
たそれぞれのプローブ又はスペーサーを、100μmo
l/Lの濃度で含有する水溶液をスポッターで滴下し、
加減圧装置を数秒間稼動させて、セル内をこの水溶液で
満たした。このまま室温にて数分静置し、加減圧装置を
再び稼動させて未結合のプローブ又はスペーサーを含む
溶液をセル内から除去した。
【0103】ついで、洗浄液をスポッターで滴下し、加
減圧装置を上記と同様に稼動させてセル内を洗浄し、貫
通孔内壁面上にプローブ又はスペーサーを固定した。他
の基板については、上記のプローブ又はスペーサーを含
有する水溶液中に浸漬し、その後は上記同様に操作し
て、上記のプローブ又はスペーサーを固定し、マイクロ
アレイを作成した。
【0104】(実施例7)検体の測定 (7−1)検体の調製 以下のような2種類の蛍光ラベルした検体を調製した。 (1)FAMラベルDNAスペーサー付きビオチン FAMラベルDNAスペーサー付きビオチンは、(株)
サディテクノロジーより購入し、1μMの水溶液(検体
1)を調製した。 (2)ルシファーイエローラベルビオチン ルシファーイエローラベルビオチン(商品名:Biotin L
ucifer Yellow)は、フナコシ(株)より購入し、1μ
Mの水溶液(検体2)を調製した。
【0105】(7−2)検体とプローブとの結合 上記のようにプローブ又はスペーサーを固定したマイク
ロアレイを、撥水面を上にして載置ベース上に置き、表
1に示す組み合わせで検体をスポッターでスポットし、
加減圧装置を稼動させて検体でセルを満たし、プローブ
であるアビジンと検体中のビオチンとを室温で15分間
反応させた。ついで、加減圧装置を稼動させてセル内の
検体を吸引除去した。その後、スポッターにて洗浄液で
セルを満たし、洗浄液を吸引除去した。
【0106】(7−3)検体中のビオチン量の測定 (1)蛍光測定による検出 (7−2)の操作を終了したマイクロアレイを、図10
に示される検出システムにおいて、金を蒸着した反射板
の上に撥水面が上になるように置き、FX Propl
us(蛍光検出装置、日本バイオラッド(株)製)を使
用した。FAMラベルDNAスペーサーつきビオチンの
検出は488nmのレーザー光で励起し、538nmの
反射光を測定することによって行った。また、ルシファ
ーイエローラベルビオチンの検出は、488nmのレー
ザー光で励起し、538nmの反射光を測定して行っ
た。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【発明の効果】以上より、本発明によれば、マイクロア
レイを作成する際に、プローブ又はスペーサーを固定す
る面積を大きくすることができるため、より短い時間で
より多くの検体を処理することができるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マイクロアレイ用基板の形状を示す図であ
る。
【図2】 貫通孔の断面形状の1つを示す図である。
【図3】 フォトポスト法による基板の製造方法を示す
模式図である。
【図4】 中空繊維を用いた貫通孔の形状を示す図であ
る。
【図5】 ガラスファイバーのコーティング装置を示す
図である。
【図6】 2枚の板状部材間に張り渡された繊維と、樹
脂充填時に使用する型とを示す図である。
【図7】 樹脂硬化体と、スライスされたマイクロアレ
イ用基板を示す図である。
【図8】 プローブ等の固定のために加減圧装置とスポ
ッターとを用いる場合の模式図である。
【図9】 透過・共焦点方式検出システムを示す図であ
る。
【図10】 反射・共焦点方式検出システムを示す図で
ある。
【図11】 透過・撮像方式検出システムを示す図であ
る。
【図12】 感光樹脂による貫通孔を有する基板作成の
際に使用するマスクの例を示す図である。
【図13】 金を引き抜き法にて引き抜いた細管を複数
本管中に入れ、さらに引き抜いて製造した多孔管の断面
を示す図である。
【符号の説明】
1・・・マイクロアレイ用基板、1’・・・マイクロアレイ、
2・・・貫通孔、2’・・・セル、2G・・・貫通孔2a〜dで
構成される貫通孔、12G・・・集束した繊維、12a〜
d・・・細い孔径の中空繊維、14a,14b・・・板状部
材、15・・・中径の中空繊維、16ai,j,16b
i,j・・・穴、20・・・樹脂硬化体、MSK・・・マスク、
L1・・・第一波長の光、L2・・・第二波長の光(変化光)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/64 G01N 21/65 4B029 21/65 21/78 Z 4B063 21/78 33/483 C 33/483 33/53 M 33/53 C12N 15/00 F (72)発明者 三原 誠 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 范 可君 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 田野 裕之 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 2G043 AA01 AA03 BA16 CA03 DA06 EA01 EA03 EA13 EA14 FA01 FA02 GA07 GB19 HA01 HA09 JA02 KA09 LA03 2G045 DA13 FA11 FB02 HA09 JA07 2G054 AA06 CA22 EA03 EA10 GA04 GA10 GE01 2G059 AA01 AA05 BB04 CC16 DD12 DD13 EE01 EE02 EE03 FF01 FF03 GG01 JJ02 JJ11 JJ22 KK04 4B024 AA11 AA19 CA01 CA09 CA11 HA13 HA14 4B029 AA07 AA08 BB13 BB15 BB20 CC01 CC02 CC03 CC08 FA12 FA15 GA08 GB09 GB10 4B063 QA01 QQ10 QQ42 QQ52 QQ79 QR32 QR35 QR38 QR55 QR84 QS34 QS36 QS39 QX02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内壁表面にプローブを結合させるための
    貫通孔を有するマイクロアレイ用基板。
  2. 【請求項2】 貫通孔の断面積が1×10−4〜1mm
    であることを特徴とする請求項1記載のマイクロアレ
    イ用基板。
  3. 【請求項3】 前記貫通孔が1個または2個以上の集合
    からなるセルを形成していることを特徴とする請求項1
    に記載のマイクロアレイ用基板。
  4. 【請求項4】 前記セルを40,000個/cm2以下の
    密度で形成することを特徴とする請求項3に記載のマイ
    クロアレイ用基板。
  5. 【請求項5】 前記基板を構成する材料が有機樹脂、ガ
    ラス、セラミックスミツクスおよび金属からなる群から
    選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ
    アレイ用製基板。
  6. 【請求項6】 前記貫通孔内壁表面の少なくとも一部が
    金属が、金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、アルミニウ
    ムおよびインジウムチンオキサイドからなる群から選ば
    れる金属からなる部分を有することを特徴とする、請求
    項5に記載のマイクロアレイ用基板。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の基板表面の貫通孔の近
    傍を除く領域に撥水層が形成されていることを特徴とす
    る、請求項1に記載のマイクロアレイ用基板。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のマイクロアレイ用基板
    の貫通孔内壁表面に、プローブを結合させてなることを
    特徴とするマイクロアレイ。
  9. 【請求項9】 前記プローブは、オリゴヌクレオチド、
    ヌクレオシド数が5〜100の一本鎖核酸、タンパク、
    脂質、ウイルス、及び分子量50〜100,000の化
    合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項
    8に記載のマイクロアレイ。
  10. 【請求項10】 前記プローブがスペーサーを介して貫
    通孔内壁表面に結合していることを特徴とする請求項8
    に記載のマイクロアレイ。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のマイクロアレイ用基
    板と、前記基板を載置する載置ベースとを備えるマイク
    ロアレイシステム。
  12. 【請求項12】 前記載置ベースが、多孔性の板状部材
    であることを特徴とする、請求項11に記載のマイクロ
    アレイシステム。
  13. 【請求項13】 前記貫通孔内に存在する液体を吸引す
    るために使用する加減圧装置と、スポッターとをさらに
    有する構成であることを特徴とする請求項11に記載
    の、マイクロアレイシステム。
  14. 【請求項14】 請求項8に記載のマイクロアレイの貫
    通孔中に、被検物質を含む溶液をスポッターで加える被
    検物質導入工程と;所定の時間が経過した後に、前記被
    検物質を含む溶液を加減圧装置で除去する被検物質除去
    工程と;洗浄液をスポッターで加えて貫通孔内を洗浄す
    る洗浄工程と;前記基板載置用ベースを除去した後に、
    前記基板に光を照射する光照射工程と;前記セル内の被
    検物質との相互作用によって変化した変化光を測定する
    工程とを備える、前記セル内の被検物質の測定方法。
  15. 【請求項15】 前記変化光の測定は、蛍光検出法、ラ
    マン分光法及び表面プラズモン検出法からなる群から選
    ばれるのいずれかの方法で行うことを特徴とする、請求
    項14に記載の被検物質の測定方法。
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