JP2024046653A - 検出装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024046653000001
【課題】デジタルICAを原理とした検出において、高い検出精度を担保しながら、短時間で多くの検出を可能とする検出装置を提供する。
【解決手段】流体デバイスの温度を調整する温度調整部と、流体デバイスに励起光を照射するとともに、流体デバイスから発せられる蛍光の像を撮像する撮像部と、流体デバイスを温度調整部及び撮像部に搬送する搬送部と、を有し、流体デバイスは、標的物質を含む液状試料と、標的物質と反応して蛍光を発する生成物を生じる検出試薬と、の混合水溶液を収容し、温度調整部は、流体デバイスを加熱する加熱部と、加熱された流体デバイスを冷却する冷却部と、を有する検出装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、検出装置に関する。
生体分子を流体デバイス内で検出する技術が知られている。例えば、DNAマイクロアレイ技術では、微小孔に生体分子を導入し、加熱を伴う反応を行うことにより、生体分子を検出する場合がある。その際、生体分子を単分子検出できる技術として、デジタルInvasive Cleavaged Assay(ICA)のようなデジタル計測技術が知られている。
発明者らは、以前に、複数のウェルを有する反応容器(流体デバイス)を用いたデジタル計測技術を開発している(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法では、流体デバイスの流路に標的物質を含む水性媒体を送液し、流路壁面に設けられた複数のウェルに封じ込める。さらに、流体デバイスを加熱することで反応溶液を加熱し検出反応させることにより、特定の蛍光発光を生じさせ、標的物質の検出を行う。
国際公開第2015/115635号
本技術分野においては、短時間で多くの検出を可能とする検出装置が求められている。一方、デジタルICAでは、検出反応において加熱を必要とするが、過加熱による副反応を抑制し、検出精度を向上させることも同時に求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、デジタルICAを原理とした検出において、高い検出精度を担保しながら、短時間で多くの検出を可能とする検出装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
[1]流体デバイスの温度を調整する温度調整部と、前記流体デバイスに励起光を照射するとともに、前記流体デバイスから発せられる蛍光の像を撮像する撮像部と、前記流体デバイスを前記温度調整部及び前記撮像部に搬送する搬送部と、を有し、前記流体デバイスは、標的物質を含む液状試料と、前記標的物質と反応して前記蛍光を発する生成物を生じる検出試薬と、の混合水溶液を収容し、前記温度調整部は、前記流体デバイスを加熱する加熱部と、加熱された前記流体デバイスを冷却する冷却部と、を有する検出装置。
[2]前記温度調整部の動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記加熱部を50℃以上99℃以下に制御する[1]に記載の検出装置。
[3]前記制御部は、前記流体デバイスの加熱に先立って、前記加熱部を、室温より高く且つ予め設定された反応温度以下に加熱する予備加熱を行う[2]に記載の検出装置。
[4]前記温度調整部の動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記冷却部を0.1℃以上30℃未満に制御する[1]から[3]のいずれか1項に記載の検出装置。
[5]前記制御部は、前記流体デバイスの冷却に先立って、前記冷却部を、予め設定された冷却温度以上室温未満に冷却する予備冷却を行う[4]に記載の検出装置。
[6]前記撮像部は、前記励起光を射出する光源部と、前記励起光を反射するとともに前記蛍光を透過させるダイクロイックミラーと、前記ダイクロイックミラーに反射された前記励起光を前記流体デバイスに投射する投射レンズと、前記ダイクロイックミラーを透過した前記蛍光を結像させる結像レンズと、前記結像レンズにより結像された像を撮像する撮像手段と、を有し、前記投射レンズは、前記流体デバイスから生じる前記蛍光を集光し前記結像レンズに導光する対物レンズを兼ねる[1]から[5]のいずれか1項に記載の検出装置。
[7]前記光源部は、前記励起光を含む光を射出する光源と、前記光のうち前記励起光として用いる波長の光を透過する光学フィルタと、を有する[6]に記載の検出装置。
[8]前記光源部は、前記光のうち前記励起光として用いる第1波長の光を透過させる第1光学フィルタと、前記励起光として用いる第2波長の光を透過させる第2光学フィルタと、前記第1光学フィルタと前記第2光学フィルタとを切り替える切替部と、を有する[7]に記載の検出装置。
[9]前記光源部は、外光を導入し前記流体デバイスに導光する外光導入部を有する[6]に記載の検出装置。
[10]前記投射レンズと前記対物レンズとが共焦点光学系を形成する[6]から[9]のいずれか1項に記載の検出装置。
[11]前記撮像部は、前記結像レンズと前記撮像手段との間に、ピンホールを有する空間フィルタを備え、前記共焦点光学系の共焦点位置は、前記結像レンズと前記撮像手段との間の位置し、前記ピンホールは、前記共焦点位置と空間的に重なる[10]に記載の検出装置。
[12]前記流体デバイスは、前記標的物質と前記検出試薬とを収容し、前記生成物を生じる反応場として用いられるマイクロウェルを有し、前記対物レンズは、オートフォーカス機構を有し、前記撮像手段による撮像に先だって、前記オートフォーカス機構を制御し、前記対物レンズの焦点位置を前記マイクロウェルに合わせる制御部を有する[6]から[11]のいずれか1項に記載の検出装置。
[13]前記加熱部は、複数の前記流体デバイスを収容する温調ホルダを有し、前記搬送部は、複数の前記流体デバイスを収容する搬送ホルダを有し、前記温調ホルダは、前記搬送部の搬送方向に向かって延びても受けられ前記流体デバイスを収容する第1収容部を有し、前記温調ホルダは、前記搬送部の搬送方向に向かって延びても受けられ前記流体デバイスを収容する第2収容部を有し、前記温調ホルダと前記搬送ホルダとを近接させた状態で、前記第1収容部に収容された前記流体デバイスを、前記第2収容部に向けて押し出して移動させる移動手段をさらに有する[1]から[12]のいずれか1項に記載の検出装置。
本発明によれば、デジタルICAを原理とした検出において、高い検出精度を担保しながら、短時間で多くの検出を可能とする検出装置を提供することができる。
図1は、検出装置1を示す概略斜視図である。 図2は、撮像部20の構成を示す概略図である。 図3は、検出装置1が有する搬送部30の模式図である。 図4は、流体デバイス100を示す概略斜視図である。 図5は、流体デバイス100の断面図である。 図6は、複数のマイクロウェル110の一部を示す平面図である。 図7は、上述の流体デバイス100を用いて試料を検出する方法の説明図である。 図8は、上述の流体デバイス100を用いて試料を検出する方法の説明図である。 図9は、上述の流体デバイス100を用いて試料を検出する方法の説明図である。 図10は、ICA法の一例を説明する模式図である。 図11は、検出装置1の動作を説明する説明図である。 図12は、検出装置1の動作を説明する説明図である。 図13は、検出装置1の動作を説明する説明図である。 図14は、検出装置1の動作を説明する説明図である。 図15は、検出装置2を示す概略斜視図であり。 図16は、移動手段70の概略斜視図である。 図17は、加熱部11及び搬送部35を示す概略斜視図である。 図18は、検出装置2の動作を説明する説明図である。 図19は、検出装置2の動作を説明する説明図である。
[第1実施形態]
以下、図1~図14を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る検出装置及び流体デバイスについて説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
以下の説明においては、xyz直交座標系を設定し、このxyz直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。ここでは、水平面内の所定方向をx軸方向、水平面内においてx軸方向と直交する方向をy軸方向、x軸方向及びy軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をz軸方向とする。
《検出装置》
図1は、本実施形態の検出装置1を示す概略斜視図である。検出装置1は、温度調整部10と、撮像部20と、搬送部30とを有する。さらに、検出装置1は、検出装置1の動作を制御する制御部40を有する。
温度調整部10、撮像部20、搬送部30及び制御部40は、基台90の上に設けられている。
検出装置1は、液状の試料に含まれる標的物質の検出に用いられる。詳しくは、検出装置1は、流体デバイス100を用い、デジタルICA(以下、dICA)を原理として標的物質を検出する際に用いられる。検出装置1では、流体デバイス100の内部で生成する生成物を光で励起させ、生じる蛍光を撮像して解析することで標的物質を検出する。
以下、順に説明する。
[温度調整部]
温度調整部10は、流体デバイス100の加熱を行う加熱部11と、加熱された流体デバイス100を冷却する冷却部12と、を有する。
図1の加熱部11は、上面(+z側の面)が発熱し、上面に接する対象物を直接加熱する。加熱部11は、公知の加熱方式によるヒータを採用することができ、抵抗加熱や誘導加熱等の方式を例示することができる。図1では、加熱部11は、平面視矩形の部材として示している。加熱部11は、熱電対等の公知の温度センサが併設され、温度を測定しながら温度制御を可能とする構成が好ましい。「平面視」とは、+z側からz軸に沿って-z側を見た視野を指す。
なお、加熱部11は、上記のような構成の他、例えば、対象物(流体デバイス100)を収容する内部空間を有する蓋を有し、当該内部空間を加熱することで対象物を間接的に加熱する構成も採用することができる。
加熱部11は、制御部40により30℃以上99℃以下に制御される。
図1の冷却部12は、上面に接する対象物を冷却する。冷却部12は、公知の冷却方式による手段を採用することができる。例えば、冷却部12は、公知のペルチェ素子を採用し、通電により上面が冷却される構成であってもよい。図1では、冷却部12は、平面視矩形の部材として示している。冷却部12は、熱電対等の公知の温度センサが併設され、温度を測定しながら温度制御を可能とする構成が好ましい。
冷却部12は、制御部40により0.1℃以上30℃未満に制御される。
その他、冷却部12は、上面が伝熱特性のよい金属を採用した伝熱板であり、下面に公知の水冷式や空冷式の放熱部を有する構成であってもよい。さらに、冷却部12は、伝熱特性のよい金属板が設けられているだけでもよい。
温度調整部10は、基台90の上方(+z方向)に架け渡された載置部50に設けられている。載置部50は、x方向に延びる平面視矩形のステージ51と、ステージ51の長手方向の両端に設けられた一対の橋脚52とを有する。温度調整部10はステージ51の一端51aから+x方向に順に、加熱部11、冷却部12の順に配置されている。
ステージ51において、加熱部11よりも-x側には、搬送部30が有する搬送ステージ(後述)が待機する待機部55を設けてもよい。
[撮像部]
撮像部20は、ステージ51において冷却部12よりも+x側に設けられている。撮像部20は、流体デバイス100に励起光を照射するとともに、流体デバイス100から発せられる蛍光の像を撮像する。
図2は、撮像部20の構成を示す概略図である。撮像部20は、光源部21と、ダイクロイックミラー22と、投射レンズ23と、結像レンズ24と、撮像手段25と、吸収フィルタ26と、空間フィルタ27、反射ミラー28を有する。
光源部21は、励起光ELを射出する。光源部21は、励起光ELを含む光L1を射出する光源211と、光L1のうち励起光ELとして用いる波長の光と透過させる光学フィルタ212と、を有する。
光源211は、例えば公知の水銀ランプを採用することができる。また、光源211は、公知のLED光源やLD光源であってもよい。以下の説明では、光源211が白色光源である水銀ランプであり、光L1が白色光であることとする。
光学フィルタ212は、白色光である光L1のうち、流体デバイス100の内部で生成する生成物(蛍光物質)の励起に必要な波長の光(励起光EL)を透過させ、励起光ELを抽出する。光学フィルタ212は、励起光ELを透過させ、その他の光を遮蔽する性質を有するバンドパスフィルタである。
このような光源部21では、光源211から射出された光L1から励起光ELを抽出し、励起光ELを射出することができる。
なお、光源部21は、光路上の光源211と光学フィルタ212との間の位置に、光源211から射出される光L1とは異なる外光L2を導入し、流体デバイス100に導光する外光導入部215を有してもよい。外光導入部215は、光路内に出し入れ自在に設けられた反射ミラー215aと、外光L2を導入する導入口215bとを有する。
光源部21において、光源211から射出される光L1を用いる際には、外光導入部215の反射ミラー215aが光路上から退避し光L1を通過させる。また、外光L2を用いる際には、外光導入部215の反射ミラー215aが光路上に配置され、光L1を遮蔽するとともに、導入口215bから導入される外光L2を光学フィルタ212の方に導く。
光源部21から射出される励起光ELは、ダイクロイックミラー22に入射する。
ダイクロイックミラー22は、励起光ELを反射するとともに、蛍光FLを透過させる性質を有する。ダイクロイックミラー22は、励起光ELの入射方向に対して45°の角度(入射角45°)で配置されており、励起光ELを励起光ELの入射方向に対して90°の方向に反射する。
ダイクロイックミラー22で反射された励起光ELは、投射レンズ23に入射し、流体デバイス100に投射される。流体デバイス100においては、励起光ELにより励起された蛍光物質から蛍光FLが発せられる。
蛍光FLは、投射レンズ23を介してダイクロイックミラー22に入射する。ダイクロイックミラー22は、蛍光FLを透過させる。一方、励起光ELの一部が流体デバイス100において反射し、ダイクロイックミラー22に戻ってきたとしても、ダイクロイックミラー22は励起光ELを反射する。これにより、励起光ELと蛍光FLとが分離される。
ダイクロイックミラー22を透過した蛍光FLは、吸収フィルタ26に入射する。吸収フィルタ26は、蛍光FLを透過し、他の波長の光を透過しないダイクロイックミラーを採用することができる。例えば、吸収フィルタ26として、ダイクロイックミラー22よりも波長分離能が優れ、蛍光FLを含む長波長の光は透過させ、励起光ELを含む短波長の光は遮蔽(反射)するダイクロイックミラーを用いることで、迷光を除去し、高精度の検出が可能となる。
吸収フィルタ26を透過した蛍光FLは、反射ミラー28を介して結像レンズ24に入射して結像される。
撮像手段25は、結像レンズ24により結像された像を撮像する。撮像手段25としては、公知の撮像素子を有するデジタルカメラを採用することができる。
上述の撮像部20においては、光源部21から射出される励起光ELを流体デバイス100に投射する投射レンズ23は、流体デバイス100から生じる蛍光FLを集光し、結像レンズ24に導光する対物レンズを兼ねている。投射レンズ23(対物レンズ)は、オートフォーカス機構を有していてもよい。
さらに、撮像部20において投射レンズ23と結像レンズ24とが共焦点光学系を形成しているとよい。撮像部20は、結像レンズ24と撮像手段25との間に、ピンホールPを有する空間フィルタ27を備え、共焦点光学系の共焦点FPが、結像レンズ24と撮像手段25との間の位置している。共焦点光学系のもう一方の共焦点は、流体デバイス100に重なる位置に位置している。空間フィルタ27は、ピンホールPが共焦点FPと空間的に重なる位置に配置されている。これにより、撮像部20では、迷光を除去し、高精度の検出が可能となる。なお、共焦点光学系を機能させるため、共焦点光学系を構成する公知の部材については、適宜採用することができる。
なお、図1,2に示すように、撮像部20は、光学フィルタ212と、ダイクロイックミラー22と、吸収フィルタ26とが一体となったフィルタブロック29を有していてもよい。
また、光源部21は、光L1のうち励起光ELとして用いる第1波長の光を透過させる第1光学フィルタ212aと、励起光ELとして用いる第2波長の光を透過させる第2光学フィルタ212bと、第1光学フィルタ212aと第2光学フィルタ212bとを切り替え可能に構成されていてもよい。
具体的には、光源部21は、第1光学フィルタ212aを有するフィルタブロック291と、第2光学フィルタ212bを有するフィルタブロック292と、フィルタブロック291とフィルタブロック292とを切り替える切替部295と、を有する。切替部295は、フィルタブロックが設けられたターンテーブル296と、ターンテーブル296を周方向に駆動させる駆動部297とを有する。フィルタブロック29、切替部295は、基台90上に設けられた支持台299に支持されている。
切替部295は、駆動部297によりターンテーブル296を周方向に動かすことにより、ターンテーブル296に設けられたフィルタブロック292を切り替えることができる。
[搬送部]
図1に示すように、搬送部30は、x軸方向に延びるレール31と、レール31に沿って±x軸方向に移動する搬送本体32と、搬送本体32を駆動する駆動部33と、を有する。
図3は、検出装置1が有する搬送部30の模式図である。搬送本体32は、レール31と接続し±x軸方向に移動する第1部材321と、第1部材321に接続し±z軸方向に移動する第2部材322と、第2部材322に接続するステージ323と、ステージ323を照明する照明部325と、を有する。
ステージ323は、上面がxy平面と並行な面であり、観察対象である流体デバイス100が載置される。ステージ323は、流体デバイス100を載置すると共に、下方(-z方向)から流体デバイス100を観察可能であれば種々の構成を採用することができる。例えば、ステージ323は、光透過性を有する板状部材であってもよく、流体デバイス100の観察部分が空隙である枠体であってもよい。また、ステージ323は、流体デバイス100を側方から把持する把持部材であっても構わない。図3では、流体デバイス100が3つ載置されているが、ステージ323に載置される流体デバイス100の数は、ステージ323の大きさに応じて設定することができる。
照明部325は、ステージ323に載置された流体デバイス100に白色光を照射して照明し、明視野での撮像を可能とする。
このような搬送部30は、ステージ323に載置された流体デバイス100をx軸方向及びz軸方向に移動させることができる。
[制御部]
図1に示す制御部40は、温度調整部10、撮像部20及び搬送部30の動作を制御する。制御部40は、検出装置1に設けられた専用の装置であってもよく、制御用のソフトウエアをインストールした汎用のコンピュータを用いてもよい。
[流体デバイス]
図4は、流体デバイス100を示す概略斜視図である。図5は、流体デバイス100の断面図であり、図4の線分V-Vにおける矢視断面図である。流体デバイス100は、液状の試料(液状試料)に含まれる標的物質の検出に用いられる。
液状試料は、標的物質を含む水溶液であり、例えば、生体試料、環境試料を含む。生体試料としては、特に制限されず、血清、血漿、尿、細胞培養液等が挙げられる。また、生体試料を鋳型とし、検出試薬として染色用試薬を含むPCR反応溶液等であってもよい。さらに、環境試料としては、例えば、河川の水、工場排水等が挙げられる。
標的物質としては、例えば、DNA、RNA、タンパク質、ウイルス、細胞、エキソソーム等が挙げられる。ここで、RNAとしては、miRNA、mRNA等が挙げられる。また、細胞としては、細菌、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等が挙げられる。
流体デバイス100において、上述のような試料に含まれる標的物質と、検出試薬とを反応させ、標的物質を検出する。
[流体デバイス]
図4,5に示すように、流体デバイス100は、ウェルプレート101、蓋部材102、壁部材103を有する。流体デバイス100は、内部空間Sに試料を収容し、試料に含まれる標的物質の検出反応を行う反応容器として用いられる。
(ウェルプレート)
ウェルプレート101は、平面視矩形又は短冊状を呈する板状部材である。ウェルプレート101の上面101aには、ウェルプレート101の長手方向の中央に、複数のウェル(マイクロウェル)110が設けられている。
マイクロウェル110は、ウェルプレート101の上面101aに設けられた凹部であり、上面101aに開口している。マイクロウェル110とは、上記凹部と、上面101aと平行であって上面101aに接する仮想平面とに囲まれた空間を指す。
マイクロウェル110は、内部空間Sに収容した試料を内部に収容し、試料に含まれる標的物質と、検出試薬との反応場として機能する。
ウェルプレート101の材料は、電磁波透過性を有する。ここで、透過性判断の対象である電磁波としては、X線、紫外線、可視光線、赤外線等が挙げられる。ウェルプレート101が電磁波透過性を有する場合、ウェルプレート101を有する流体デバイス100で行った実験結果を解析するために、電磁波を利用することが可能になる。例えば、電磁波を照射した結果生じる蛍光、燐光等をウェルプレート101側から計測することができる。
詳しくは後述するが、例えば、マイクロウェル110において、可視光領域である400~700nmの波長範囲にピークを有する蛍光を生じさせ試料検出を行う場合には、少なくとも可視光領域の光に対して良好な透過性を有する材料を用いればよい。
電磁波透過性を有する材料としては、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられる。樹脂としては、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート、COC(シクロオレフィンコポリマー)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等が挙げられる。これらの樹脂は各種添加剤を含んでいてもよく、複数の樹脂が混合されたポリマーアロイであってもよい。
電磁波透過性を有する材料は、自家蛍光を実質的に有しないことが好ましい。自家蛍光を実質的に有しないとは、材料が、試料検出に使用する波長の自家蛍光を全く有しないか、有していても試料検出に影響を与えないほど微弱であることを意味する。例えば、検出対象の蛍光に比べて1/2以下、1/10以下程度の自家蛍光であれば、試料検出に影響を与えないほど微弱であるといえる。このような材料を用いてウェルプレート101を形成すると、電磁波を利用した試料検出において、検出の感度を高めることができる。
電磁波透過性を有し、かつ自家蛍光を発しない材料としては、例えば、石英ガラスが挙げられる。自家蛍光が微弱であり、電磁波を用いた試料検出に支障がない素材としては、低蛍光ガラス、アクリル樹脂、COC(シクロオレフィンコポリマー)、COP(シクロオレフィンポリマー)等が挙げられる。
ウェルプレート101の厚みは、適宜決定することが出来る。ウェルプレート101側から蛍光顕微鏡を用いて蛍光を観察する場合には、ウェルプレート101の厚みは、例えば5mm以下であってもよく、2mm以下であってもよく、1.6mm以下であってもよい。
ウェルプレート101は、上記材料のみを用いた単層の構成であってもよく、複数の材料の積層体であってもよい。積層体を加工してウェルプレート101を形成する場合、マイクロウェル110を有する層と、当該層を支持する層とは別の材料であってもよい。
(マイクロウェル)
マイクロウェル110の形状は、種々の形状を採用することができる。マイクロウェル110の形状として、例えば円筒形、楕円筒形、多角筒形等の筒形、円錐形、角錐形等の錘形、円錐台、角錐台等の錘台形を例示できる。マイクロウェル110が錐形又は錘台形の場合、開口径がウェルの深さ方向に漸減する形状であるとよい。
マイクロウェル110の底部は、平坦であってもよく、曲面(凸面や凹面)であってもよい。
マイクロウェル110が円筒形の場合、平面視におけるマイクロウェル110の最大径は、例えば10nm~100μmであれば好ましく、100nm~50μmがより好ましく、1μm~20μmがさらに好ましい。また、マイクロウェル110の深さは、例えば10nm~100μmであれば好ましく、100nm~50μmがより好ましく、1μm~20μmがさらに好ましい。
マイクロウェル110の容量は、例えば1fL~6nLであれば好ましく、1fL~5pLがより好ましく、1fL~2pLがさらに好ましく、1fL~300fLが特に好ましい。1つあたりのマイクロウェル110の容量がこのような範囲であると、デジタルPCRやインベーダー反応等の微小空間内で行う酵素反応を好適に行うことができる。デジタルPCRにより、例えば遺伝子の変異検出等を行うことができる。
ウェルプレート101は、同形同大の複数のマイクロウェル110を有している。同形同大とは、デジタル計測を行うために要求される程度に同一の形状で同一の容量であればよく、製造上の誤差程度のばらつきであれば許容される。
マイクロウェル110の密度は、例えば10万~1000万個/cmであり、好ましくは10万~500万個/cmであり、更に好ましくは10万~100万個/cmである。マイクロウェル110の密度がこのような範囲であると、所定数のマイクロウェル110に試料を封入させる操作が容易である。また、実験結果を解析するためのウェルの観察も容易である。
例えば、流体デバイス100を用いてセルフリーDNAの変異を測定する際に、検出対象の変異の野生型に対する存在割合が0.01%程度である場合、例えば、100万~200万個のマイクロウェル110を使用することが好適である。
図6は、複数のマイクロウェル110の一部を示す平面図である。図6に示すように、ウェルプレート101において複数のマイクロウェル110は、平面視で同一形状である。なお、撮像やデバイス製造におけるアライメントマークとして使用するため、複数のマイクロウェルのうち、少数(例えば、1~4個)は異なる形状であってもよい。
また、複数のマイクロウェル110は、マトリクス状に規則的に配置されている。ここで、マイクロウェル110が「規則的に配置されている」とは、複数のマイクロウェル110の開口部の重心同士が、一定のパターンで配置されていることを意味する。
例えば、マイクロウェル110の開口部の重心同士が四角格子状に配置されていてもよい。この場合、互いに隣り合う4つのマイクロウェル110の開口部の重心同士を結ぶ線は、矩形、好ましくは正方形を形成する。
または、マイクロウェル110の開口部の重心同士が三角格子状(六角格子状)に配置されていてもよい。この場合、互いに隣り合う3つのマイクロウェル110の開口部の重心同士を結ぶ線は正三角形を形成する。
複数のマイクロウェル110のうち、任意のウェル(第1ウェル)Aと、ウェルAに最も近接するウェル(第2ウェル)Bとは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.8≦Da/Dab<1 …(1)
(Daは、ウェルAの開口部の円相当径であり、Dabは、ウェルAの開口部の重心と、ウェルBの開口部の重心と、との距離である。)
ウェルプレート101において、Da/Dabの値の下限は、0.8であり、0.83以上であってもよい。また、Da/Dabの値の上限は、1未満であり、0.92以下であってもよく、約0.9であってもよい。これらの下限値及び上限値は任意に組み合わせることができる。
上記式(1)を満たす場合、複数のマイクロウェル110が三角格子状に配置されていると、任意のマイクロウェル110の開口部の重心と、当該マイクロウェル110に最も近接するマイクロウェル110の開口部の重心との間の距離が一定になる。
図6に示すマイクロウェル110は、三角格子状に配置されている。図6に示すように、任意のウェルAと、ウェルAに最も近接するウェルBと、ウェルA及びウェルBの双方に最も近接しているウェルCのそれぞれの開口部の重心Ca、Cb、Ccは、それぞれを頂点とする正三角形を形成している。
図6において、ウェルA、ウェルB及びウェルCのそれぞれの開口部の重心Ca、Cb、Ccを結ぶ線は正三角形である。
ウェルプレート101において、マイクロウェル110の開口部の円相当径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。すなわち、マイクロウェル110の開口部の円相当径の下限は1μmであることが好ましい。
また、マイクロウェル110の開口部の円相当径の上限は、20μm未満であってもよく、19μm以下であってもよく、18μm以下であってもよく、17μm以下であってもよく、16μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、14μm以下であってもよく、13μm以下であってもよく、12μm以下であってもよく、11μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。
マイクロウェル110の開口部の円相当径について、上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
(蓋部材)
蓋部材102は、平面視でウェルプレート101と同じ輪郭形状(短冊状)を呈している。蓋部材102は、ウェルプレート101の上面101aに対し隙間を開けて対向して配置されている。
蓋部材102には、厚さ方向に貫通する2つの貫通孔を有する。2つの貫通孔は、蓋部材102の長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ設けられている。一方の貫通孔は、流体デバイス100の内部空間Sに液状物を注入する際に用いる注入口121であり、他方の貫通孔は、内部空間Sから液状物を排出させる際に用いる排出口122である。
ここで、「液状物」には、液状の試料の他、検出試薬や封止液も該当する。
注入口121、内部空間S及び排出口122はこの順に連通し、全体として流路FCを形成している。流体デバイス100では、流路FCに液状物を適宜流動させて、標的物質の検出反応を行う。平面視において、注入口121と排出口122との間に、複数のマイクロウェル110が配置されている。
蓋部材102の上面102aには、注入口121の周囲を囲む筒状の注入ポート125が設けられている。注入ポート125は注入口121と連通している。注入ポート125は、例えば、液状物を充填したシリンジを用いて内部空間に液状物を充填する際、シリンジの接続に用いる。
同様に、蓋部材102の上面102aには、排出口122の周囲を囲む筒状の排出ポート126が設けられている。排出ポート126は排出口122と連通している。排出ポート126は、例えば、内部空間Sから液状物を抜き出す際に、液状物が流動するチューブの接続に用いる。
蓋部材102の材料は、上述したウェルプレート101の材料として例示した材料を採用することができる。蓋部材102の材料は、ウェルプレート101の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、蓋部材102の材料は、電磁波透過性を有していてもよく、電磁波透過性を有していなくてもよい。
蓋部材102の材料は、疎水であることが好ましい。詳しくは、蓋部材102の内部空間Sに面する面(下面102b)を構成する材料は、封止液SLとの接触角が5°以上80°以下であることが好ましい。このような材料で蓋部材102を形成すると、下面102bと封止液SLとの接触角が5°以上80°以下となる。下面102bの接触角が上記の範囲であると、後述する方法で内部空間Sに封止液を導入した場合に、マイクロウェル110に試料を隔離しやすい傾向にある。
(壁部材)
壁部材103は、平面視で閉環状に形成され、ウェルプレート101の上面101aの外縁に沿って配置されている。図4では、壁部材103の内部空間Sに面する壁面は、平面視で略矩形であり、注入口121側において幅が漸減している。
壁部材103は、ウェルプレート101と蓋部材102とに挟持され、一体となることで流体デバイス100を形成する。ウェルプレート101と蓋部材102と壁部材103とで囲まれた空間は、液状の試料が収容される内部空間Sである。内部空間Sは、短冊状のウェルプレート101に沿って、ウェルプレート101の長手方向に伸びている。
壁部材103は、内部空間Sの壁面として機能する上、ウェルプレート101と蓋部材102との間のスペーサとして機能する。壁部材103の高さ、すなわち内部空間Sの高さは、例えば100μm以下であってもよい。
壁部材103の材料は、特に制限されないが、例えば芯材フィルムの両面にアクリル系粘着剤が積層された両面粘着テープを好適に用いることができる。芯材フィルムの材料は、シリコーンゴム、アクリル発泡体を例示することができる。このような材料を用いて壁部材103を形成することで、内部空間Sを液密に形成することができる。
また、壁部材103の材料は、上述したウェルプレート101と同じ材料を採用することができる。このような材料で形成された壁部材103は、接着剤による接着、又は熱溶着、超音波溶着、レーザー溶着等による溶着により、ウェルプレート101及び蓋部材102と一体化することができる。
なお、壁部材103は、ウェルプレート101と一体的に形成され、ウェルプレート101の一部を構成していてもよい。同様に、壁部材103は蓋部材102と一体的に形成され、蓋部材102の一部を構成していてもよい。
上述のウェルプレート101は、公知の射出成形、マイクロインプリンティング技術やナノインプリンティング技術を用いて製造することができる。また、ウェルプレート101は、公知のフォトリソグラフィ技術を用い、エッチングでマイクロウェル110を形成することで製造することもできる。
上述の蓋部材102、壁部材103は、公知の射出成形にて製造することができる。
[検出試薬]
検出試薬は、標的物質と反応して、標的物質の検出に用いられる。検出試薬としては、緩衝物質、酵素、基質、抗体、抗体断片等が挙げられる。
酵素は、例えば標的物質が核酸である場合には、標的物質に関連する鋳型核酸に対する酵素反応等の生化学的反応を行うために、生化学的反応の内容に対応して選択される。鋳型核酸に対する生化学的反応は、例えば、鋳型核酸が存在する条件下でシグナル増幅が起こるような反応である。
検出試薬は、採用する検出反応に応じて選択される。具体的な検出反応としては、ICA法、ループ介在等温増幅(LAMP)法(商標登録)、5’→3’ヌクレアーゼ法(TaqMan(登録商標)法)、蛍光プローブ法等が挙げられる。
図7~9は、上述の流体デバイス100を用いて試料を検出する方法の説明図である。
まず、液状の試料と検出試薬とを混合し、混合水溶液を調整する。混合水溶液における検出試薬の濃度は、用いる検出試薬の種類及び検出反応の種類に応じて適宜調整する。
用いる検出試薬は、吸着防止剤を含んでもよい。吸着防止剤には、界面活性剤、タンパク質が挙げられる。
標的物質の検出を容易にするため、混合水溶液の調整に先立って試料を前処理してもよい。前処理としては、濃度調整(希釈、濃縮)、担持体による担持、2種以上の標的物質の結合反応が挙げられる。
次いで、図7に示すように、注入口121から内部空間Sに、検出試薬を含む混合水溶液Lを注入する。混合水溶液Lが内部空間S(流路FC)を流動すると、内部空間Sに開口しているマイクロウェル110にも混合水溶液Lが充填される。
内部空間S及び全てのマイクロウェル110が混合水溶液Lで充填された後、流路FCを通過した混合水溶液Lは排出口122から排出される。
このとき、1つのマイクロウェル110の内部に1つの標的物質が充填されるように、予め混合水溶液Lの濃度を調整しておくことが好ましい。例えば、後述の試料検出方法を実施した後、混合水溶液Lが高濃度であることによって標的物質の定量が困難という結果となった場合には、当該結果を予備実験結果として用い、混合水溶液Lを希釈する。
上記操作により、1つのマイクロウェル110に1つ以下、すなわち、0個又は1個の標的物質が充填される。これにより、後述の検出反応が確認されたマイクロウェル110の数と、標的物質の数とが対応して、標的物質の検出を1個単位で行うことができ、すなわちデジタル計測が可能となる。なお、全てのマイクロウェル110に標的物質が導入される必要はない。
標的物質をマイクロウェル110に導入する手段は、特に制限されず、検出対象である標的物質に応じた適切な手段を選択することができる。例えば、標的物質を自重により流体デバイス100内(流路FC内)で沈降させ、マイクロウェルに分配する方法が挙げられる。
また、標的物質を捕捉する物質(捕捉物)を利用し、自重で沈降しにくい標的物質に捕捉物を結合させて送液してもよい。さらに、予めマイクロウェルに捕捉物を固定化させておき、混合水溶液Lと共に送液された標的物質を捕捉物に捕捉させることで、標的物質のマイクロウェル110への導入効率を向上させることもできる。
捕捉物と標的物質とを結合させる反応は、任意の時点で行うことができる。例えば、混合水溶液を調整する前に、サンプルチューブ内で標的物質と捕捉物を接触させることにより行ってもよい。
または、捕捉物をマイクロウェル110に導入した後に、標的物質をマイクロウェル110に導入し、マイクロウェル110で捕捉物と標的物質とを接触させてもよい。
捕捉物は、標的物質を捕捉することができる物質である。捕捉物は、例えば、固相と標的物質に対する特異的結合物質との結合体であってもよい。
補足物を構成する固相としては、粒子、膜、基板等が挙げられる。また、標的物質に対する特異的結合物質は1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。例えば3種類であってもよいし、4種類であってもよいし、5種類以上であってもよい。
粒子としては、特に制限されず、ポリマー粒子、磁気粒子、ガラス粒子等が挙げられる。粒子は、非特異的な吸着を避けるための表面処理が施された粒子が好ましい。また、特異的結合物質を固定化するために、表面にカルボキシル基等の官能基を有する粒子が好ましい。より具体的には、JSR社製の商品名「Magnosphere LC300」等を用いることができる。
また、例えば標的物質としてウイルスを用いる場合、ウイルスが付着することができる細胞(すなわち、ウイルス受容体を有する細胞)を、捕捉物として用いてもよい。
次いで、図8に示すように、注入口121から流路FCに封止液SLを送液する。流路FCに送液された封止液SLは、内部空間Sにおいて上面101aの面方向に流動し、流路FCに送液された混合水溶液Lのうち、マイクロウェル110に収容されていない混合水溶液Lを押し流して置換する。
これにより、封止液SLは、標的物質を含む混合水溶液Lを収容した複数のマイクロウェル110をそれぞれ個別に封止し、マイクロウェル110は独立した反応空間となる。流路FCが封止液SLで満たされると、余分な封止液SLは排出口122から排出される。図9は、複数のマイクロウェル110の全てが封止液SLで封止され、且つ流路FCが全て封止液SLで置換された状態を示す。
次いで、流体デバイス100を加熱して標的物質と検出試薬との反応を生じさせる。標的物質を検出する方法は、検出したい標的物質の特性に合わせて、公知の任意の検出方法を使用することができる。まず、標的物質由来のシグナルを検出可能なレベルまで増幅させる反応(シグナル増幅反応)を行い、次いで増幅されたシグナルを適切な手段を用いて検出することにより行うことができる。
検出装置1においては、シグナル増幅反応として、等温のシグナル増幅反応を採用することができ、ICA反応、ループ介在等温増幅(LAMP)法(登録商標)、5’→3’ヌクレアーゼ法(TaqMan(登録商標)法)、蛍光プローブ法を採用することができる。ICA反応は、(1)核酸同士の相補的結合と、(2)酵素による三重鎖構造の認識および切断との2つの反応のサイクルによってシグナル増幅が進行する。このようなシグナル増幅反応においては、標的物質以外の夾雑物による反応サイクル阻害の影響が小さい。したがって、マイクロウェル110内に標的物質以外の様々な成分(夾雑物)が存在する場合でも、ICA反応を用いることにより、標的物質を精度よく検出することができる。
混合水溶液Lは、ICA反応に必要な反応試薬及び鋳型核酸を含む。ウェルに標的物質が存在する場合には、等温反応による酵素反応によって蛍光物質が消光物質から遊離し、励起光に対応して所定の蛍光シグナルを発する。
ICA反応では、標的物質と検出試薬との反応温度は50℃以上99℃以下であると好ましい。具体的な反応温度は、用いる試薬や求める結果の感度に応じて、予備実験により決定するとよい。用いる試薬の組成を決定した後、予備実験としてICA反応を実施し、一定時間後のシグナル、ノイズ、シグナルノイズ比(S/N比)、シグナルノイズの差等の結果などから反応温度を最適化するとよい。
以下、ICA反応について、より詳細に説明する。
図10は、ICA法の一例を説明する模式図である。図10では、ICA法により標的物質であるDNAを検出する様子を示す。
ICA反応に必要な反応試薬としては、フラッププローブ810、フラップエンドヌクレアーゼFEN、蛍光基質820、侵入プローブ(インベーダーオリゴ)830等のICA反応試薬が挙げられる。
フラッププローブ810と侵入プローブ830とは、標的物質であるDNA(標的DNA)にハイブリダイズして二本鎖核酸140とフラップ構造を形成するように設計された核酸断片(オリゴヌクレオチド)である。
蛍光基質820は、ヘアピン構造を有し、蛍光物質Fと消光物質Qとが結合した核酸断片である。図10に示す蛍光基質820においては、核酸断片の5’末端に蛍光物質Fが結合され、5’末端から数塩基3’側に消光物質Qが結合されている。消光物質Qは、蛍光物質Fの発光を抑制している。
まず、標的DNAにフラッププローブ810と侵入プローブ830とをハイブリダイズさせる。フラッププローブ810と侵入プローブ830とは、それぞれ標的DNAのSNP部位で1塩基オーバーラップし、不安定な3塩基様構造を形成する。その結果、第1フラップ部位811が形成される。第1フラップ部位811は、フラッププローブ810のうち、標的DNAとハイブリダイズしなかった部分である。
続いて、FENは、上記3塩基様構造を認識して反応する。これにより、第1フラップ部位811が切断されて核酸断片811が生成し、混合水溶液L中に遊離する。
生じた核酸断片811は、蛍光基質820にハイブリダイズする。核酸断片811は、蛍光基質820のヘアピン構造に侵入し、SNP部位で1塩基オーバーラップして、不安定な3塩基様構造を形成する。その結果、第2フラップ部位821が形成される。第2フラップ部位821は、蛍光基質820のうち、核酸断片811の侵入によりハイブリダイズしなくなった部分である。
続いて、FENは、上記3塩基様構造を認識して反応する。これにより、第2フラップ部位821が切断され、核酸断片821が生成される。図10においては、蛍光基質820から核酸断片821が切断された残部を、符号820’で示している。
その結果、蛍光物質Fが消光物質Qから離れ、蛍光FLを発生する。この蛍光FLを検出することにより、標的DNAを検出することができる。
また、標的物質の検出は、標的物質に特異的に結合する物質(特異的結合物質)を標的物質に結合させ、結合した特異的結合物質を検出することによっても、行うことができる。例えば、標的物質がタンパク質である場合、ELISAを用いて検出することができる。より具体的には、検出は、例えばFRETの原理を用いたサンドイッチELISAにより、行ってもよい。
FRETの原理を用いたサンドイッチ法を行う場合は、まず、第1の蛍光物質(ドナー)で標識した第1の特異的結合物質(例えば抗体)と、第1の蛍光物質の蛍光波長と重複する吸光波長を有する第2の蛍光物質(アクセプター)で標識した第2の特異的結合物質を準備する。
続いて、標的物質(例えば抗原)を、第1の特異的結合物質と第2の特異的結合物質の両方と接触させ、複合体を形成させる。複合体が形成されると、ドナーとアクセプターの距離が近づき、ドナーの励起波長の照射によりアクセプターの蛍光波長を検出することができるようになる。あるいは、特異的結合物質を核酸断片で標識しておき、核酸断片をICA反応により検出してもよい。
特異的結合物質としては、後述する構造体に対する特異的結合分子と同様のもの、例えば抗体、抗体断片、アプタマー等を使用することができる。標的物質に結合した特異的結合物質を検出するために、特異的結合物質を、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素により、直接的又は間接的に標識してもよい。2以上の特異的結合物質を使用する場合は、各々の特異的結合分子を、互いに識別可能に標識することができる。
シグナルの観察方法は、観察するシグナルの種類に応じて公知の適切な方法を選択することができる。例えば、明視野観察を行う場合は、ウェルアレイが設けられた基材に対して垂直方向に白色光を照射する。蛍光シグナルを観察する場合は、蛍光物質に対応する励起光をウェルの底側からウェル内へ照射し、蛍光物質が発する蛍光を観察する。観察されたウェルアレイの全体又は一部の画像を撮影して保存し、コンピューターシステムによる画像処理を行う。なお、上述した明視野観察及び蛍光シグナル観察における光(白色光、励起光)の照射方向は一例であり、目的とする観察が可能であれば適宜変更可能である。例えば、蛍光シグナル観察においては、明視野観察における白色光の照射方向と同様に、基材に対して垂直方向に励起光を照射してもよい。
[動作]
図11~14は、検出装置1の動作を説明する説明図である。
まず、図11に示すように、標的物質を含む液状試料と、標的物質と反応して蛍光を発する生成物を生じる検出試薬と、の混合水溶液を流体デバイス100に収容し、搬送本体32のステージ323に載置する。この操作は、流体デバイス100の待機部55において行うとよい。
このとき、制御部40は、予め加熱部11を、室温より高く且つ予め設定された反応温度以下に加熱(予備加熱)しておくとよい。上述したように、ICA反応では、一例として標的物質と検出試薬との反応温度は50℃以上99℃以下であると好ましい。この温度条件の場合、予備加熱の温度は、室温より高く、例えば90℃以下であると好ましい。「室温」とは、例えば25℃である。
次いで、図12に示すように、搬送部30を駆動させて、ステージ323に載置した流体デバイス100を加熱部11に移動させる。これにより、加熱部11において、流体デバイス100を加熱する。
上述のように、流体デバイスの加熱に先立って加熱部11を予備加熱しておくと、流体デバイス100の加熱を素早く行うことができるため好ましい。加熱部11を予備加熱する場合、搬送部30が待機部55から加熱部11に流体デバイス100の搬送を開始する際に、制御部40は加熱部11の加熱温度を、予備加熱の設定温度から、ICA反応の反応温度に変更するとよい。その他、制御部40は、搬送部30が待機部55から加熱部11まで流体デバイス100を搬送する間のいずれかで、加熱部11の加熱温度を、予備加熱の設定温度からICA反応の反応温度に変更するとよい。
このとき、制御部40は、予め冷却部12を、予め設定された冷却温度以上、加熱部11における反応温度未満に冷却(予備冷却)しておくとよい。例えば、ICA反応の反応温度が60℃である場合、予備冷却の温度は、例えば0℃以上室温未満であると好ましい。
次いで、図13に示すように、搬送部30を駆動させて、ステージ323に載置した流体デバイス100を加熱部11から冷却部12に移動させる。これにより、冷却部12において、流体デバイス100を冷却する。
上述のように、流体デバイスの冷却に先立って冷却部12を予備冷却しておくと、流体デバイス100の冷却を素早く行うことができるため好ましい。冷却部12を予備冷却する場合、搬送部30が加熱部11から冷却部12に流体デバイス100の搬送を開始する際に、制御部40は冷却部12の冷却温度を、予備冷却の設定温度から、実際の冷却温度に変更するとよい。その他、制御部40は、搬送部30が加熱部11から冷却部12まで流体デバイス100を搬送する間のいずれかで、冷却部12の冷却温度を、予備冷却の設定温度から実際の冷却温度に変更するとよい。
次いで、図14に示すように、搬送部30を駆動させて、ステージ323に載置した流体デバイス100を冷却部12から撮像部20の投射レンズ23の上方に移動させる。撮像部20では、流体デバイス100に励起光を照射し、生じる蛍光の像を撮像する。
その後、撮像した蛍光の像を画像解析することで、蛍光発光しているウェルの数を計測し、標的物質を定量することができる。
以上のような検出装置1では、次のような効果が得られる。
検出試薬は、加熱を続けると、標的物質が存在しなくても副反応により蛍光を発する生成物を生じる。このように生じた生成物は、撮像部20において撮像する画像において、標的物質に起因した蛍光と区別ができず、標的物質の検出の誤差の原因となり得る。また、流体デバイス100では、加熱から冷却までの間にもICA反応が進む。そのため、加熱から冷却までに時間を要すると、検出対象であるシグナルの発光と、ノイズの発光との両方が強くなり、検出感度が低くなることが想定される。
対して、検出装置1では、加熱部11における加熱の後、加熱部11とは別に設けられた冷却部12において流体デバイス100を冷却する。そのため、加熱により加速されていた標的物質と検出試薬との反応を失活させ、副反応を抑制することができる。これらにより、検出装置1では、高精度の検出が可能となる。
また、加熱部11が設けられた場所に冷却部も設け、同じ場所において加熱も冷却も行うことが可能な構成とすると、加熱の後に冷却を開始する際、流体デバイス100と共に、ICA反応等の検出反応における反応温度にまで加熱された加熱部11も冷却する必要が生じる。このような構成の場合、流体デバイス100の冷却は可能であるが、加熱部11の冷却に要する時間が余分に必要となる。
また、上述した様に、流体デバイス100は、ガラスや樹脂を材料としている。また、流体デバイス100の内部には液体試料や試薬等の液体が貯留される。さらに、流体デバイス100の容積を増大させるため、デバイスに別途部材を取り付ける、デバイス自体を大型化する等の変更が想定される。これらは全て流体デバイス100の比熱を高め、流体デバイス100の素早い冷却を阻害する。
対して、検出装置1では、加熱部11と冷却部12とが別に設けられているため、加熱部11が設けられた場所に冷却部も設けた装置構成と比べ、流体デバイス100の加熱の後に、素早く流体デバイス100を冷却することができる。さらに、検出装置1では、加熱部11と冷却部12とが別に設けられているため、上述の予備加熱、予備冷却が可能となる。これにより、検出装置1では、短時間での検出が可能となり、作業効率が向上する。
以上のような構成の検出装置1によれば、デジタルICAを原理とした検出において、高い検出精度を担保しながら、短時間で多くの検出を可能とする検出装置を提供することができる。
なお、本実施形態の検出装置1では、冷却部12の位置に対象物を冷却するための部材を設けることとしたが、これに限らない。冷却装置においては、加熱部11で加熱した流体デバイス100を撮像部20の撮像位置にまで搬送し、観察を開始するまでの間に流体デバイス100の冷却が完了する構成であればよい。
例えば、流体デバイス100を加熱部11から撮像位置にまで搬送する途中で流体デバイス100に対して送風し、冷却することとしてもよい。この場合、加熱部11から撮像位置までの搬送経路にて送風する手段が冷却部に該当する。
また、流体デバイス100を撮像位置において冷却することとしてもよい。流体デバイス100を冷却する手段は、公知の構成を採用することができる。この場合、撮像位置において流体デバイス100を冷却する手段が冷却部に該当する。このような構成では、冷却しながら観察(撮像)してもよく、冷却後に観察(撮像)してもよい。
また、本実施形態においては、投射レンズ23(対物レンズ)がオートフォーカス機構を有する場合、制御部40が撮像に先だってオートフォーカス機構を制御し、対物レンズの焦点位置をマイクロウェル110に合わせることしてもよい。制御部40がこのような制御を行うことにより、検出装置1では、精度良く撮像でき、高精度の検出が可能となる。また、マイクロウェル110をアライメントマークとして用い、予めマイクロウェル110に焦点位置を合わせることにより、流体デバイス100の全体に反りや歪みが生じている場合であっても、焦点位置の再調整を素早く行うことができる。
撮像部20がオートフォーカス機構を有していない場合、他の方法で対物レンズの焦点位置をマイクロウェル110に合わせてもよい。例えば、流体デバイス100にアライメントマークを設け、検出装置1においては、アライメントマークを用いて焦点を合わせた後に他のマイクロウェル110を撮像してもよい。アライメントマークは、マイクロウェル110と同じ焦点位置に設けておくとよい。
また、z軸方向において、アライメントマークの焦点位置がマイクロウェル110の焦点位置と異なっていたとしても、両者の焦点位置のずれ量を測定し、ずれ量を補正して焦点位置をあわせマイクロウェル110を撮像してもよい。
例えば、流体デバイス100の全体に反りや歪みが生じている場合には、マイクロウェル110に対する焦点距離がマイクロウェル110ごとに異なることが考えられる。その場合、複数のマイクロウェル(ウェルアレイ)について、例えばアレイの周囲と、アレイの中央とにそれぞれ位置するマイクロウェル110の焦点距離を測定し、得られた焦点距離と、焦点距離を測定したマイクロウェル110の位置との対応関係から、流体デバイス100の反り量を概算してもよい。得られた反り量をずれ量の補正値として用い、焦点位置をあわせてマイクロウェル110を撮像するとよい。
なお、上記方法では、マイクロウェル110の焦点距離から流体デバイス100の反り量を概算することとしたが、反り量を求める際の測定対象として、流体デバイス100が有するアライメントマークを用いてもよい。
この場合、流体デバイス100に設けるアライメントマークは、上述したように複数のウェルの一部(たとえば1~4個)を用いてもよく、マイクロウェル110が設けられた領域の周囲に別途設けてもよい。
また、流体デバイス100を複数の焦点位置で撮像し、得られた複数の画像を用いて公知のzスタック画像を合成することで、画像全体で焦点のあった合成画像を得てもよい。
[第2実施形態]
図15~19は、本発明の第2実施形態に係る検出装置の説明図である。本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図15は、本実施形態の検出装置2を示す概略斜視図であり、第1実施形態の図1に対応する図である。検出装置2は、温度調整部10と、撮像部20と、搬送部35と、制御部40とを有する。さらに検出装置2は、蓋60と、移動手段70とを有する。
蓋60は、ステージ51上に配置された各構成の全体を覆う箱形の部材である。蓋60は、点P1を通りx軸に並行に設定された回働軸まわりを回働することで、開閉可能に設けられている。
図16は、移動手段70の概略斜視図である。移動手段70は、蓋60の内側上面に設けられている(図15参照)。移動手段70は、y方向に配列する複数(図では3つ)の押出し部71と、x方向の両側において押出し部71を支持する一対の取り付け部72とを有する。図16では、取り付け部72を、複数の押出し部71をまとめて支持する板状の部材として示しているが、特に限定はない。
押出し部71は、モータ711、送りネジ712、ガイドシャフト713、ナット714、フック715を有する。
モータ711は、不図示の減速ギアを介して送りネジ712を回転させる。
送りネジ712は、x方向に延びて設けられている。送りネジ712のx方向の両端は、取り付け部72において回転可能に支持されている。送りネジ712は、モータ711が駆動することにより、送りネジ712の中心軸周りに回転する。
ガイドシャフト713は、送りネジ712の-z方向の位置において、x方向に延びて設けられている。ガイドシャフト713は、フック715に設けられた不図示の貫通孔に挿通されており、x方向の両端は、取り付け部72において固定されている。
ナット714は、送りネジ712が挿入されている。ナット714の下側(-z側)にはフック715が結合している。フック715の形状は、後述する押出し機能を有するならば特に限定はない。
このような移動手段70においては、モータ711を回転させ送りネジ712を回転させることにより、ガイドシャフト713に沿って±x方向にナット714及びフック715が移動する。
図17は、加熱部11及び搬送部35を示す概略斜視図である。加熱部11は、温調ホルダ15を有する。温調ホルダ15は、加熱部11の上面に一体的に形成されていてもよく、加熱部11とは別部材として形成され、加熱部11の上面に固定されていてもよい。
温調ホルダ15は、平面視矩形の基部151と、基部151の上面においてx方向に延びる複数(図では4本)のレール152と、を有する。隣り合うレール152の間隔は、流体デバイス100の短手方向の幅と同等であり、レール152の間には、流体デバイス100が挿入される溝(第1収容部)152aが形成されている。溝152aは、搬送本体36の搬送方向、すなわちx方向に延びて形成されている。
温調ホルダ15が加熱部11とは別部材である場合、少なくとも基部151は、アルミニウム、銅など熱伝導性の高い金属材料で形成されていることが好ましい。
搬送部35は、搬送本体36を有する。搬送本体36は、第1部材321、第2部材322、測定ホルダ330を有する。
測定ホルダ330は、平面視矩形の基部331と、基部331の上面においてx方向に延びる複数(図では4本)のレール332と、レール332の+x側の端部に設けられた壁部333と、を有する。
基部331は、上述したステージ323と同様に、流体デバイス100を載置すると共に、下方(-z方向)から流体デバイス100を観察可能であれば種々の構成を採用することができる。例えば、ステージ323は、光透過性を有する板状部材であってもよく、流体デバイス100の観察部分が空隙である枠体であってもよい。
測定ホルダ330の基部331の上面と、温調ホルダ15の基部151の上面とは、z方向の高さ位置が略等しい。
隣り合うレール332の間隔は、流体デバイス100の短手方向の幅と同等であり、レール332の間には、流体デバイス100が挿入される溝(第2収容部)332aが形成されている。溝332aは、搬送本体36の搬送方向、すなわちx方向に延びて形成されている。また、溝332aの+x側は壁部333により閉じられている。
図17に示す温調ホルダ15の溝152aと、測定ホルダ330の溝332aとは同数であるが異なっていてもよい。溝152aと溝332aとは、それぞれx方向に配列している。
また、温調ホルダ15の溝152aと、図16に示す移動手段70の押出し部71とは、例えば同数であるが異なっていてもよい。
図18,19は、検出装置2の動作を説明する説明図である。図18,19では、図を見やすくするため、押出し部71のガイドシャフトの図示を省略している。検出装置2は、複数の流体デバイス100のそれぞれを異なる時間で加熱、冷却観察することができる。
まず、図18に示すように、温調ホルダ15の溝152a(図17参照)に流体デバイス100を配置し、加熱部11において温調ホルダ15ごと流体デバイス100を加熱する。
また、搬送本体36を-x方向に移動させ、測定ホルダ330の-x側の端部と、温調ホルダ15の+x側に端部とを近接させる。
押出し部71のフック715は、図15に示す蓋60を閉じることにより、下端位置が流体デバイス100の上面よりも-z側に位置している。
次いで、図19に示すように、押出し部71のモータ711を駆動させ、ナット714及びフック715を+x方向に移動させる。フック715は、+x方向に移動する際に流体デバイス100Aに接触し、フック715の移動に伴って流体デバイス100Aを+x方向に押出し、測定ホルダ330に移動させる。測定ホルダ330に移動する流体デバイス100は、溝332aに収容される。残る流体デバイス100Bは、温調ホルダ15に配置されたままとなる。
搬送部35は、搬送本体36を+x方向に移動させる。検出装置2は、適宜、冷却部12(図15参照)において流体デバイス100Aを冷却し、撮像部20により撮像、検出を行う。
その後、検出装置2は、残る流体デバイス100Bについて流体デバイス100Aと同様の操作を行い、撮像部20(図15参照)により撮像、検出を行う。
これらの処理を流体デバイス100に行うことで、流体デバイス100Aと流体デバイス100Bとで加熱時間を異ならせ、検出処理を行うことができる。
以上のような構成の検出装置2によっても、デジタルICAを原理とした検出において、高い検出精度を担保しながら、短時間で多くの検出を可能とする検出装置を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計、仕様等に基づき種々変更可能である。
1,2…検出装置、10…温度調整部、11…加熱部、12…冷却部、15…温調ホルダ、20…撮像部、21…光源部、22…ダイクロイックミラー、23…投射レンズ、24…結像レンズ、25…撮像手段、27…空間フィルタ、30,35…搬送部、40…制御部、70…移動手段、100,100A,100B…流体デバイス、110…ウェル(マイクロウェル)、152a…溝(第1収容部)、211…光源、212…光学フィルタ、212a…第1光学フィルタ、212b…第2光学フィルタ、215…外光導入部、295…切替部、327a…溝(第2収容部)、A,B,C…ウェル、DNA…標的、EL…励起光、FL…蛍光、FP…共焦点、L…混合水溶液、L1…光、L2…外光、P…ピンホール

Claims (13)

  1. 流体デバイスの温度を調整する温度調整部と、
    前記流体デバイスに励起光を照射するとともに、前記流体デバイスから発せられる蛍光の像を撮像する撮像部と、
    前記流体デバイスを前記温度調整部及び前記撮像部に搬送する搬送部と、を有し、
    前記流体デバイスは、標的物質を含む液状試料と、前記標的物質と反応して前記蛍光を発する生成物を生じる検出試薬と、の混合水溶液を収容し、
    前記温度調整部は、前記流体デバイスを加熱する加熱部と、
    加熱された前記流体デバイスを冷却する冷却部と、を有する検出装置。
  2. 前記温度調整部の動作を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、前記加熱部を50℃以上99℃以下に制御する請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記制御部は、前記流体デバイスの加熱に先立って、前記加熱部を、室温より高く且つ予め設定された反応温度以下に加熱する予備加熱を行う請求項2に記載の検出装置。
  4. 前記温度調整部の動作を制御する制御部を有し、
    前記制御部は、前記冷却部を0.1℃以上30℃未満に制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の検出装置。
  5. 前記制御部は、前記流体デバイスの冷却に先立って、前記冷却部を、予め設定された冷却温度以上室温未満に冷却する予備冷却を行う請求項4に記載の検出装置。
  6. 前記撮像部は、前記励起光を射出する光源部と、
    前記励起光を反射するとともに前記蛍光を透過させるダイクロイックミラーと、
    前記ダイクロイックミラーに反射された前記励起光を前記流体デバイスに投射する投射レンズと、
    前記ダイクロイックミラーを透過した前記蛍光を結像させる結像レンズと、
    前記結像レンズにより結像された像を撮像する撮像手段と、を有し、
    前記投射レンズは、前記流体デバイスから生じる前記蛍光を集光し前記結像レンズに導光する対物レンズを兼ねる請求項1に記載の検出装置。
  7. 前記光源部は、前記励起光を含む光を射出する光源と、
    前記光のうち前記励起光として用いる波長の光を透過する光学フィルタと、を有する請求項6に記載の検出装置。
  8. 前記光源部は、前記光のうち前記励起光として用いる第1波長の光を透過させる第1光学フィルタと、
    前記励起光として用いる第2波長の光を透過させる第2光学フィルタと、
    前記第1光学フィルタと前記第2光学フィルタとを切り替える切替部と、を有する請求項7に記載の検出装置。
  9. 前記光源部は、外光を導入し前記流体デバイスに導光する外光導入部を有する請求項6に記載の検出装置。
  10. 前記投射レンズと前記対物レンズとが共焦点光学系を形成する請求項6に記載の検出装置。
  11. 前記撮像部は、前記結像レンズと前記撮像手段との間に、ピンホールを有する空間フィルタを備え、
    前記共焦点光学系の共焦点位置は、前記結像レンズと前記撮像手段との間の位置し、
    前記ピンホールは、前記共焦点位置と空間的に重なる請求項10に記載の検出装置。
  12. 前記流体デバイスは、前記標的物質と前記検出試薬とを収容し、前記生成物を生じる反応場として用いられるマイクロウェルを有し、
    前記対物レンズは、オートフォーカス機構を有し、
    前記撮像手段による撮像に先だって、前記オートフォーカス機構を制御し、前記対物レンズの焦点位置を前記マイクロウェルに合わせる制御部を有する請求項6に記載の検出装置。
  13. 前記加熱部は、複数の前記流体デバイスを収容する温調ホルダを有し、
    前記搬送部は、複数の前記流体デバイスを収容する搬送ホルダを有し、
    前記温調ホルダは、前記搬送部の搬送方向に向かって延びても受けられ前記流体デバイスを収容する第1収容部を有し、
    前記温調ホルダは、前記搬送部の搬送方向に向かって延びても受けられ前記流体デバイスを収容する第2収容部を有し、
    前記温調ホルダと前記搬送ホルダとを近接させた状態で、前記第1収容部に収容された前記流体デバイスを、前記第2収容部に向けて押し出して移動させる移動手段をさらに有する請求項1に記載の検出装置。
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