JPWO2018179950A1 - 検体検出システム用センサーチップ - Google Patents

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Abstract

[課題]流路内に気泡が発生することを抑制し、測定精度の低下を防止することができる検体検出システム用センサーチップを提供する。[解決手段]流路の反応場近傍における高さが、流路の第1貫通孔近傍における高さよりも高くなるように、流路に勾配を設ける。

Description

本発明は、測定対象物質の有無やその量を測定する免疫測定法(イムノアッセイ)で用いられるセンサーチップに関し、より具体的には、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)現象を応用した表面プラズモン共鳴装置や、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS:Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づいた表面プラズモン励起増強蛍光測定装置などの検体検出システムで用いられるセンサーチップに関する。
従来、極微少な物質の検出を行う場合において、物質の物理的現象を応用することでこのような物質の検出を可能とした様々な検体検出方法が提案されている。
このような検体検出方法としては、例えば、試料液に含まれる測定対象物質である抗原と、標識物質で標識された抗体または抗原との抗原抗体反応を利用して、測定対象物質の有無やその量を測定する免疫測定法(イムノアッセイ)が知られている。
免疫測定法には、標識物質として酵素を用いた酵素免疫測定法(EIA)や、標識物質として蛍光物質を用いた蛍光免疫測定法(FIA)などがある。
例えば、蛍光免疫測定法を利用した検体検出装置としては、ナノメートルレベルなどの微細領域中で電子と光が共鳴することにより、高い光出力を得る現象(表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)現象)を応用し、例えば、生体内の極微少なアラナイトの検出を行うようにした表面プラズモン共鳴装置(以下、「SPR装置」とも言う)が挙げられる。
また、表面プラズモン共鳴(SPR)現象を応用した、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS:Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づき、SPR装置よりもさらに高精度にアナライト検出を行えるようにした表面プラズモン励起増強蛍光分光測定装置(以下、「SPFS装置」とも言う)も、このような検体検出装置の一つである。
この表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)は、光源より照射したレーザー光などの励起光が、金属膜表面で全反射減衰(ATR:Attenuated Total Reflectance)する条件において、金属膜表面に表面プラズモン光(疎密波)を発生させることによって、光源より照射した励起光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やして、表面プラズモン光の電場増強効果を得るようになっている。
このようなSPFS装置では、誘電体部材と、誘電体部材の上面に隣接する金属膜と、金属膜の上面に配置される液保持部材とを備えるセンサーチップが用いられる。このようなセンサーチップでは、金属膜上に、アナライトを捕捉するためのリガンドを有する反応場が設けられている。
液保持部材に、アナライトを含む試料液を供給することにより、アナライトがリガンドにより捕捉される(1次反応)。この状態で、蛍光物質で標識された2次抗体を含む液体(標識液)を液保持部材に導入する。溶液保持部材内では、抗原抗体反応(2次反応)によって、リガンドにより捕捉されているアナライトが蛍光物質で標識される。
この状態で、誘電体部材を介して表面プラズモン共鳴が生じる角度で励起光を金属膜に照射すると、金属膜表面に発生した表面プラズモン光により蛍光物質が励起され、蛍光物質から蛍光が生じる。この蛍光を検出することにより、アナライトの有無やその量を測定することができる。
このようなセンサーチップには、液保持部材としてウェル部材を用いて、試料液をウェル部材に貯留した状態で検体検査を行うウェルチップタイプと、液保持部材として流路部材を用いて、試料液を流路に流すことでアナライトを流路中の反応場に捕捉した状態で検体検査を行う流路チップタイプ(以下、単に「流路チップ」と言う)がある。
図7は、従来の流路チップの構造を説明するための模式図である。
図7に示すように、流路チップ200は、誘電体部材202と、流路蓋204とが流路シール206により接着されて成る。流路蓋204には、試料液などを注入するための注入口204a及び貯留部204bを備えている。
ここで、誘電体部材202、流路蓋204、流路シール206により囲繞された空間が流路208であり、この流路208には、アナライトに特異的な抗体またはその断片であるリガンドが固定化された反応場210が設けられている。
なお、このような流路チップ200において、流路208の幅は0.5mm〜3mm、高さは50μm〜500μmである。
このような流路チップ200を用いた検体検査では、例えば、特許文献1に開示されるように、流路チップ200の流路208に試料液を流す際に、一回だけ反応場210を通過させるワンパス型、試料液を循環させて繰り返し反応場210を通過させる循環型、試料液を往復させて繰り返し反応場210を通過させる往復型と呼ばれる送液方法が用いられる。
特に、少量の試料液であったり、希少なアナライトを含有する試料液であったりする場合には、繰り返し反応場210に試料液を通過させることで反応効率を向上させることができる循環型または往復型の送液方法がよく用いられる。
特開2012−018159号公報
ところで、流路チップ200を用いた検体検査では、試料液以外にも、例えば、測定液や洗浄液などの液体を順次注入する必要がある。このため、図8(a)のように流路208に注入した液体Lは、注入口204aから順次吸引して流路208から液体を除去している。
しかしながら、液体Lを流路208から完全に除去できないことがあり、図8(b)のように流路208の注入口204a付近に液体が残ってしまう。
そして、液体Lの吸引を止めると、図8(c)に示すように、毛管現象により、注入口204a付近に残ってしまった液体Lが流路208の中央部付近まで戻ってしまうことがある。
この状態で、次の液体Lを注入口204aから注入すると、図8(d)に示すように、注入した液体Lが流路208内の残液に引き寄せられてしまい、気泡Aが発生してしまうことがある。また、液体Lの注入時の流路208内にかかる圧力によって、流路208両脇の残液が動いて繋がり、流路208を短手方向に閉塞させることがある。この場合に、注入し流路208内に入ってきた液体Lと閉塞した残液との間に空気層ができ、これが気泡Aとなって発生することがある。
特に、流路チップ200の製造工程において、例えば、誘電体部材202と流路蓋204とを流路シール206を介して接着する際に、流路蓋204が内側に撓み、図7に示すように、流路208の中央部付近の高さが低くなってしまった場合には、気泡Aが発生することが多い。
このように気泡Aが発生し、この気泡Aが流路208内の反応場210に集まってしまうと、アナライトの測定精度が低下してしまう。
本発明では、このような現状に鑑み、流路内に気泡が発生することを抑制し、測定精度の低下を防止することができる検体検出システム用センサーチップを提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した検体検出システム用センサーチップは、
アナライトを捕捉する反応場を内部に有するセンサーチップであって、
前記反応場を有する流路と、
前記流路の一端に形成された第1貫通孔と、を有し、
前記流路の前記反応場近傍における高さが、前記流路の前記第1貫通孔近傍における高さよりも高くなるように、前記流路に勾配が設けられる。
本発明によれば、流路内の残液を所定の位置に留めておくための流路構造とすることにより、残液起因の気泡が発生することを抑制し、測定精度の低下を防止することができる。
また、残液起因の気泡が発生することを抑制できることから、同一流路で何度も試薬の注入・吸引が可能となり、センサーチップに余計な流路を設ける必要がない。このため、センサーチップや検体検出装置の製造コストを低減し、かつ、小型化にも寄与することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る表面プラズモン励起増強蛍光分光測定装置(SPFS装置)の構成を説明するための模式図である。 図2は、図1のSPFS装置で用いられるセンサーチップの一例を示す模式図である。 図3は、図2のセンサーチップにおいて、液体を流路に往復送液した際の液体の状態を説明するための模式図である。 図4は、図1のSPFS装置で用いられるセンサーチップの変形例を示す模式図である。 図5は、図1のSPFS装置で用いられるセンサーチップの別の変形例を示す模式図である。 図6は、図1のSPFS装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。 図7は、従来の流路チップの構造を説明するための模式図である。 図8は、図7の流路チップにおいて、液体を流路に往復送液した際の液体の状態を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいて、より詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る表面プラズモン励起増強蛍光分光測定装置(SPFS装置)の構成を説明するための模式図、図2は、図1のSPFS装置で用いられるセンサーチップの一例を示す模式図である。
図1に示すように、SPFS装置10は、励起光照射ユニット20、蛍光検出ユニット30、送液ユニット40、搬送ユニット50及び制御部80を備える。なお、SPFS装置10は、搬送ユニット50のチップホルダー54にセンサーチップ100を装着した状態で使用される。
図2に示すように、センサーチップ100は、入射面102a、成膜面102b及び出射面102cを有する誘電体部材102と、成膜面102bに形成された金属膜104と、成膜面102bまたは金属膜104上に固着された流路形成部材106とを有する。通常、センサーチップ100は、検体検査毎に交換されるものである。
センサーチップ100は、好ましくは各辺の長さが数mm〜数cm程度の構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないようなより小型の構造物又はより大型の構造物であっても構わない。
誘電体部材102は、励起光αに対して透明な誘電体からなるプリズムとすることができる。誘電体部材102の入射面102aは、励起光照射ユニット20から照射される励起光αが誘電体部材102の内部に入射される面である。また、成膜面102b上には、金属膜104が形成されている。誘電体部材102の内部に入射した励起光αは、この金属膜104と誘電体部材102の成膜面102bとの界面(以下、便宜上「金属膜104の裏面」という)において反射され、出射面102cを介して、励起光αは誘電体部材102の外部に出射される。
誘電体部材102の形状は特に限定されるものではなく、図1,2に示す誘電体部材102は、鉛直断面形状が略台形の六面体(截頭四角錐形状)からなるプリズムであるが、例えば、鉛直断面形状を三角形(いわゆる、三角プリズム)、半円形、半楕円形としたプリズムとすることもできる。
入射面102aは、励起光αが励起光照射ユニット20に戻らないように形成される。励起光αの光源が、例えば、レーザーダイオード(以下、「LD」ともいう)である場合、励起光αがLDに戻ると、LDの励起状態が乱れてしまい、励起光αの波長や出力が変動してしまう。このため、理想的な増強角を中心とする走査範囲において、励起光αが入射面102aに対して垂直に入射しないように、入射面102aの角度が設定される。
なお、センサーチップ100の設計により、共鳴角(及びその極近傍にある増強角)が概ね決定される。設計要素は、誘電体部材102の屈折率、金属膜104の屈折率、金属膜104の膜厚、金属膜104の消衰係数、励起光αの波長などである。金属膜104上に固定化されたアナライトによって共鳴角及び増強角がシフトするが、その量は数度未満である。
誘電体部材102は、複屈折特性を少なからず有する。誘電体部材102の材料は、例えば、ガラス、セラミックスなどの各種の無機物、天然ポリマー、合成ポリマーなどが含まれ、化学的安定性、製造安定性、光学的透明性、低複屈折性に優れる材料が好ましい。
少なくとも、励起光αに対して光学的に透明で、かつ低複屈折な材料から形成されていれば、その材質は、上記のように特に限定されないが、安価で取り扱い性に優れるセンサーチップ100を提供する上で、例えば、樹脂材料から形成されていることが好ましい。なお、誘電体部材102の製造方法は、特に限定されるものではないが、製造コストの観点から、金型を用いた射出成形が好ましい。
誘電体部材102を樹脂材料から形成する場合、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などのポリ環状オレフィン類、ポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
金属膜104は、誘電体部材102の成膜面102b上に形成される。これにより、成膜面102bに全反射条件で入射した励起光αの光子と、金属膜104中の自由電子との間で相互作用(表面プラズモン共鳴)が生じ、金属膜104の表面上に局在場光を生じさせることができる。
金属膜104の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせうる金属であれば、特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、より好ましくは金からなり、さらに、これら金属の合金から構成してもよい。このような金属は、酸化に対して安定であり、かつ、表面プラズモン光による電場増強が大きくなるため、金属膜104として好適である。
また、金属膜104の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法など)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法、蒸着法を使用するのが、金属膜形成条件の調整が容易であるので望ましい。
金属膜104の厚さとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、5〜500nmの範囲内とするのが好ましく、電場増強効果の観点から、より好ましくは、金、銀、銅、白金の場合には20〜70nm、アルミニウムの場合には、10〜50nm、これらの合金の場合には10〜70nmの範囲内であることが好ましい。
金属膜104の厚さが上記範囲内であれば、表面プラズモン光が発生し易く好適である。また、このような厚さを有する金属膜104であれば、大きさ(縦×横)の寸法、形状は、特に限定されない。
また、図1,2では図示しないが、金属膜104の誘電体部材102と対向しない面(以下、便宜上「金属膜104の表面」という)には、アナライトを捕捉するためのリガンドが固定化されている。リガンドを固定化することで、アナライトを選択的に検出することが可能となる。
本実施形態では、金属膜104上の所定の領域(反応場116)に、リガンドが均一に固定化されている。リガンドの種類は、アナライトを捕捉することができれば特に限定されない。本実施形態では、リガンドは、アナライトに特異的な抗体またはその断片である。
流路形成部材106は、誘電体部材102の成膜面102bまたは金属膜104上に配置されている。本実施形態において、流路形成部材106は、貫通孔が形成された粘着シート(流路シール114)により誘電体部材102または金属膜104と接合され、誘電体部材102、流路形成部材106、流路シール114に囲繞された空間、すなわち、流路シール114の貫通孔を流路112として用いている。
流路形成部材106としては、これに限定されるものではなく、例えば、成膜面102bまたは金属膜104と対向する面に流路溝を形成し、流路形成部材106は、金属膜104上の反応場116を覆うように配置することで、流路形成部材106と誘電体部材102に囲繞された空間、すなわち、流路溝を、試料液や標識液、洗浄液などを送液するための流路112として用いることができる。
この場合、流路形成部材106は、例えば、接着剤や透明な粘着シートによる接着、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより誘電体部材102または金属膜104と接合することができる。
このように形成される流路112の反応場116近傍における幅は0.1mm〜5mm、長さは10mm〜50mmとすることが好ましい。また、流路112の第1貫通孔110a近傍における高さは50μm〜500μmとすることが好ましい。
また、流路形成部材106は、流路112の一端に形成された第1貫通孔110aと、流路112の他端に形成された第2貫通孔110bとを有する。本実施形態において、第1貫通孔110a及び第2貫通孔110bは、それぞれ略円柱形状である。また、第1貫通孔110a及び第2貫通孔110bは、流路112へ試料液や標識液、洗浄液などを注入するための注入口及び試料液や標識液、洗浄液などを取り出すための取出口として機能する。
流路形成部材106の材料としては、少なくとも後述する蛍光γに対して光学的に透明な材料から形成されていれば、特に限定されるものではないが、安価で取り扱い性に優れるセンサーチップ100を提供する上で、例えば、樹脂材料から形成されていることが好ましい。なお、流路形成部材106の製造方法は、特に限定されるものではないが、製造コストの観点から、金型を用いた射出成形が好ましい。
流路形成部材106を樹脂材料から形成する場合、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などのポリ環状オレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができ、特に、化学的に安定で、かつ、成型性に優れることからアクリル樹脂を用いることが好ましい。このように、アクリル樹脂を用いることにより、後述するような勾配118を容易に形成することができる。
本実施形態において、流路形成部材106には、流路112の反応場116近傍における高さh2が、第1貫通孔110a近傍における高さh1よりも高くなるように勾配118が設けられている。流路112の反応場116近傍における高さh2は、0.1mm〜1mmとすることが好ましい。
このように構成することにより、図3(a)のように、第1貫通孔110aから流路112に液体Lを注入し、図3(b)のように、第1貫通孔110aから流路112内の液体Lを吸引して流路112の第1貫通孔110a付近に液体Lが残った場合であっても、このまま吸引を止めても、図3(c)のように、液体は第1貫通孔110a近傍に留まり、反応場116周辺に液体Lが戻るようなことを防止できる。
なお、流路形成部材106に設けられた勾配118は、流路112の反応場116近傍における高さが、第1貫通孔110a近傍における高さよりも高くなるように構成されていればよく、図2に示す一例では、流路112において、反応場116近傍における高さが最も高く、第1貫通孔110a及び第2貫通孔110bに近づくに従って流路112の高さが低くなるように勾配118が設けられているが、例えば、図4(a)に示すように、第1貫通孔110aから第2貫通孔110bに向かって流路112の高さが高くなるように勾配118を設けてもよい。
また、図4(b)に示すように、勾配118を曲面としてもよい。また、図4(c)に示すように、勾配118を複数の平面とすることもできるが、流路112へ液体を送液した際の液溜まりを防止する観点からは、図2や図4(a)に示すように、流路112を形成する面はなるべく平滑であることが好ましい。
また、勾配118は流路形成部材106に設けず、図5(a)に示すように、誘電体部材102に設けることもできる。さらには、図5(b)に示すように、流路形成部材106と誘電体部材102の両方に勾配118を設けることもできる。
このように構成されるセンサーチップ100は、図1に示すように、SPFS装置10の搬送ユニット50のチップホルダー54に装着され、SPFS装置10によって検体検出が行われる。
次に、SPFS装置10の各構成要素について説明する。前述するように、本実施形態におけるSPFS装置10は、励起光照射ユニット20、蛍光検出ユニット30、送液ユニット40、搬送ユニット50及び制御部80が設けられている。
励起光照射ユニット20は、チップホルダー54に保持されたセンサーチップ100に励起光αを照射する。後述するように、蛍光γの測定時には、励起光照射ユニット20は、金属膜104に対する入射角が表面プラズモン共鳴を生じさせる角度となるように、金属膜104に対するP波のみを入射面102aに向けて出射する。
ここで「励起光」とは、蛍光物質を直接または間接的に励起させる光である。例えば、励起光αは、誘電体部材102を介して金属膜104に表面プラズモン共鳴が生じる角度で照射されたときに、蛍光物質を励起させる局在場光を金属膜104の表面上に生じさせる光である。
励起光照射ユニット20は、励起光αを誘電体部材102に向けて出射するための構成と、金属膜104の裏面に対する励起光αの入射角度を走査するための構成とを含む。本実施形態では、励起光照射ユニット20は、光源ユニット21、角度調整機構22及び光源制御部23を含む。
光源ユニット21は、コリメートされ、かつ波長及び光量が一定の励起光αを、金属膜104裏面に対して照射スポットの形状が略円形となるように照射する。光源ユニット21は、例えば、励起光αの光源、ビーム整形光学系、APC(Automatic Power-Control)機構及び温度調整機構(いずれも不図示)を含む。
光源の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。光源から照射される光がビームでない場合には、光源から照射される光は、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から照射される光が単色光でない場合には、光源から照射される光は、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から照射される光が直線偏光でない場合には、光源から照射される光は、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
ビーム整形光学系は、例えば、コリメーターやバンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリット、ズーム手段などを含む。ビーム整形光学系は、これらの全てを含んでいてもよいし、一部のみを含んでいてもよい。
コリメーターは、光源から照射された励起光αをコリメートする。バンドパスフィルターは、光源から照射された励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。光源からの励起光αは、若干の波長分布幅を有しているためである。
直線偏光フィルターは、光源から照射された励起光αを完全な直線偏光の光にする。半波長板は、金属膜104にP波成分が入射するように励起光αの偏光方向を調整する。スリット及びズーム手段は、金属膜104裏面における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。
APC機構は、光源の出力が一定となるように光源を制御する。より具体的には、APC機構は、励起光αから分岐させた光の光量を不図示のフォトダイオードなどで検出する。そして、APC機構は、回帰回路で投入エネルギーを制御することで、光源の出力を一定に制御する。
温度調整機構は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。光源の出射光の波長及びエネルギーは、温度によって変動することがある。このため、温度調整機構で光源の温度を一定に保つことにより、光源の出射光の波長及びエネルギーを一定に制御する。
角度調整機構22は、金属膜104への励起光αの入射角を調整する。角度調整機構22は、誘電体部材102を介して金属膜104の所定の位置に向けて所定の入射角で励起光αを照射するために、励起光αの光軸とチップホルダー54とを相対的に回転させる。
例えば、角度調整機構22は、光源ユニット21を励起光αの光軸と直交する軸(図1の紙面に対して垂直な軸)を中心として回動させる。このとき、入射角を走査しても金属膜104上での照射スポットの位置がほとんど変化しないように、回転軸の位置を設定する。回転中心の位置を、入射角の走査範囲の両端における2つの励起光αの光軸の交点近傍(成膜面102b上の照射位置と入射面102aとの間)に設定することで、照射位置のズレを極小化することができる。
金属膜104に対する励起光αの入射角のうち、プラズモン散乱光の最大光量を得られる角度が増強角である。増強角またはその近傍の角度に励起光αの入射角を設定することで、高強度の蛍光γを測定することが可能となる。
なお、センサーチップ100の誘電体部材102の材料及び形状、金属膜104の膜厚、流路112内の試料液の屈折率などにより、励起光αの基本的な入射条件が決定されるが、流路112内のアナライトの種類及び量、誘電体部材102の形状誤差などにより、最適な入射条件はわずかに変動する。このため、検体検査毎に最適な増強角を求めることが好ましい。
光源制御部23は、光源ユニット21に含まれる各種機器を制御して、光源ユニット21の励起光αの照射を制御する。光源制御部23は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置及び出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
蛍光検出ユニット30は、金属膜104への励起光αの照射により励起された蛍光物質から生じる蛍光γを検出する。また、必要に応じて、蛍光検出ユニット30は、金属膜104への励起光αの照射によって生じたプラズモン散乱光も検出する。蛍光検出ユニット30は、例えば、受光ユニット31、位置切替機構37及びセンサー制御部38を含む。
受光ユニット31は、センサーチップ100の金属膜104の法線方向(図1におけるz軸方向)に配置される。受光ユニット31は、第1レンズ32、光学フィルター33、第2レンズ34及び受光センサー35を含む。
第1レンズ32は、例えば、集光レンズであり、金属膜104上から生じる光を集光する。第2レンズ34は、例えば、結像レンズであり、第1レンズ32で集光された光を受光センサー35の受光面に結像させる。両レンズ32,34の間の光路は、略平行な光路となっている。光学フィルター33は、両レンズ32,34の間に配置されている。
光学フィルター33は、蛍光成分のみを受光センサー35に導き、高いS/Nで蛍光γを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光)を除去する。光学フィルター33は、例えば、励起光反射フィルター、短波長カットフィルター及びバンドパスフィルターが含まれる。光学フィルター33は、例えば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルターであるが、所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターであってもよい。
受光センサー35は、蛍光γを検出する。受光センサー35は、微少量のアナライトを標識した蛍光物質からの微弱な蛍光γを検出することが可能な、高い感度を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、光電子倍増管(PMT)やアバランシェフォトダイオード(APD)、低ノイズのフォロダイオード(PD)などを用いることができる。
位置切替機構37は、光学フィルター33の位置を、受光ユニット31における光路上または光路外に切り替える。具体的には、受光センサー35が蛍光γを検出する時には、光学フィルター33を受光ユニット31の光路上に配置し、受光センサー35がプラズモン散乱光を検出する時には、光学フィルター33を受光ユニット31の光路外に配置する。位置切替機構37は、例えば、回転駆動部と、回転運動を利用して光学フィルター33を水平方向に移動させる公知の機構(ターンテーブルやラックアンドピニオンなど)とによって構成される。
センサー制御部38は、受光センサー35の出力値の検出や、検出した出力値による受光センサー35の感度の管理、適切な出力値を得るための受光センサー35の感度の変更などを制御する。センサー制御部38は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置及び出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
送液ユニット40は、チップホルダー54に装着されたセンサーチップ100の流路112内に、試料液や標識液、洗浄液などを供給する。送液ユニット40は、シリンジポンプ41、ピペットノズル46、ピペットチップ45及び送液ポンプ駆動機構44を含む。
送液ユニット40は、ピペットノズル46の先端にピペットチップ45を装着した状態で使用される。ピペットチップ45が交換可能であると、ピペットチップ45の洗浄が不要となり、不純物の混入などを防止することができる。
シリンジポンプ41は、シリンジ42と、シリンジ42内を往復動作可能なプランジャー43とによって構成される。プランジャー43の往復運動によって、液体の吸引及び排出が定量的に行われる。
送液ポンプ駆動機構44は、シリンジポンプ41の駆動装置及びピペットチップ45が装着されたピペットノズル46の移動装置を含む。シリンジポンプ41の駆動装置は、プランジャー43を往復運動させるための装置であり、例えば、ステッピングモーターを含む。ステッピングモーターを含む駆動装置は、シリンジポンプ41の送液量や送液速度を管理できるため、センサーチップ100の残液量を管理する観点から好ましい。ピペットノズル46の移動装置は、例えば、ピペットノズル46を、ピペットノズル46の軸方向(例えば垂直方向)と、軸方向を横断する方向(例えば水平方向)との二方向に自在に移動させる。ピペットノズル46の移動装置は、例えば、ロボットアーム、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルによって構成される。
ピペットチップ45とセンサーチップ100との相対的な高さを一定に調整し、センサーチップ100内での残液量を一定に管理する観点からは、送液ユニット40は、ピペットチップ45の先端の位置を検出する機構をさらに有することが好ましい。
送液ユニット40は、図示しない液貯留部より各種液体を吸引し、センサーチップ100の流路112内に供給する。このとき、プランジャー43を動かすことで、センサーチップ100の流路112内を液体が往復し、流路112内の液体が攪拌される。これにより、液体の濃度の均一化や、流路112内における反応(例えば抗原抗体反応)の促進などを実現することができる。
このような操作を行うことから、センサーチップ100の注入口(第1貫通孔110a)は、多層フィルム111等により保護されており、かつピペットチップ45がこの多層フィルムを貫通した時に第1貫通孔110aを密閉できるように、センサーチップ100及びピペットチップ45が構成されていることが好ましい。
一方で、第2貫通孔110bは、その上部開口に蓋をする蓋シール120が貼られており、注入された液体が流路を通過して一時的に貯留される貯留部となる。なお、蓋シール120には空気抜け用の微小な穴が空けられている。
流路112内の液体は、再びシリンジポンプ41により吸引され、図示しない廃液部などに排出される。これらの動作の繰り返しにより、各種液体による反応、洗浄などを実施し、流路112内の反応場116に、蛍光物質で標識されたアナライトを固定化することができる。
搬送ユニット50は、ユーザーによりチップホルダー54に装着されたセンサーチップ100を送液位置または測定位置に搬送し、固定する。ここで「送液位置」とは、送液ユニット40がセンサーチップ100の流路112内に液体を供給したり、流路112内の液体を除去したりする位置である。また、「測定位置」とは、励起光照射ユニット20がセンサーチップ100に励起光αを照射し、それに伴い発生する蛍光γを蛍光検出ユニット30が検出する位置である。
搬送ユニット50は、搬送ステージ52及びチップホルダー54を含む。チップホルダー54は、搬送ステージ52に固定されており、センサーチップ100を着脱可能に保持する。チップホルダー54の形状は、センサーチップ100を保持することが可能であり、かつ、励起光α及び蛍光γの光路を妨げない形状であれば、特に限定されるものではない。例えば、チップホルダー54には、励起光α及び蛍光γが通過するための開口が設けられている。
搬送ステージ52は、チップホルダー54を一方向(図1におけるx軸方向)及びその逆方向に移動可能に構成される。搬送ステージ52は、例えば、ステッピングモーターなどにより駆動される。
以下、SPFS装置10を用いた検体検出の流れについて説明する。図6は、SPFS装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。
先ずユーザーは、センサーチップ100を、搬送ユニット50のチップホルダー54に装着する(S100)。
制御部80は、搬送ステージ52を操作して、チップホルダー54に装着されたセンサーチップ100を送液位置まで移動する(S110)。
次いで、制御部80は、送液ユニット40を操作して、図示しない液貯留部に貯留される洗浄液を流路112内に導入し、流路112を洗浄し、流路112内の保存試薬を除去する(S120)。洗浄に用いられた洗浄液は、送液ユニット40により排出され、代わりに図示しない液貯留部に貯留される測定液を流路112内に導入する。なお、後工程の増強角検出(S140)の結果に影響がなければ、保存試薬洗浄液と測定液を兼用し、洗浄液を排出せずそのまま増強角測定を行うこともできる。
次いで、制御部80は、搬送ステージ52を操作して、チップホルダー54に装着されたセンサーチップ100を測定位置まで搬送する(S130)。そして、制御部80は、励起光照射ユニット20及び蛍光検出ユニット30を操作して、センサーチップ100に励起光αを照射するとともに、励起光αと同一波長のプラズモン散乱光を検出して、増強角を検出する(S140)。
具体的には、制御部80は、励起光照射ユニット20を操作して、金属膜104に対する励起光αの入射角を走査しつつ、蛍光検出ユニット30を操作してプラズモン散乱光を検出する。この時、制御部80は、位置切替機構37を操作して、光学フィルター33を受光ユニット31の光路外に配置する。そして、制御部80は、プラズモン散乱光の光量が最大の時の励起光αの入射角を増強角として決定する。
次いで、制御部80は、励起光照射ユニット20及び蛍光検出ユニット30を操作して、測定位置に配置されたセンサーチップ100に励起光αを照射するとともに、受光センサー35の出力値(光学ブランク値)を記録する(S150)。
この時、制御部80は、角度調整機構22を操作して、励起光αの入射角を増強角に設定する。また、制御部80は、位置切替機構37を操作して、光学フィルター33を受光ユニット31の光路内に配置する。
次いで、制御部80は、搬送ステージ52を操作して、センサーチップ100を送液位置に移動させる(S160)。
そして制御部80は、送液ユニット40を操作して、流路112内の測定液を排出し、図示しない液貯留部に貯留される試料液を流路112内に導入する(S170)。流路112内では、抗原抗体反応(1次反応)によって、金属膜104上の反応場にアナライトが捕捉される。
なお、ここで用いられる試料液は、検体を用いて調製された液体であり、例えば、検体と試薬とを混合して検体中に含有されるアナライトに蛍光物質を結合させるための処理をしたものが挙げられる。このような検体としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられる。
また、検体中に含有されるアナライトは、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
その後、流路112内の試料液は除去され、流路112内は洗浄液で洗浄される(S180)。
次いで、制御部80は、送液ユニット40を操作して、図示しない液貯留部に貯留される標識液を流路112内に導入する(S190)。流路112内では、抗原抗体反応(2次反応)によって、金属膜104上に捕捉されているアナライトが蛍光物質で標識される。なお、標識液としては、蛍光物質で標識された2次抗体を含む液体を用いることができる。その後、流路112内の標識液は除去され、流路112内は洗浄液で洗浄され、洗浄液除去後、流路112内に測定液を導入する(S200)。
次いで、制御部80は、搬送ステージ52を操作して、センサーチップ100を測定位置に移動させる(S210)。
次いで、制御部80は、励起光照射ユニット20及び蛍光検出ユニット30を操作して、測定位置に配置されたセンサーチップ100に励起光αを照射するとともに、リガンドに捕捉されているアナライトを標識する蛍光物質から放出された蛍光γを検出する(S220)。検出された蛍光γの強度に基づき、必要に応じて、アナライトの量や濃度などに換算することができる。
以上の手順により、試料溶液中のアナライトの存在またはその量を検出することができる。
なお、本実施形態では、1次反応(S170)の前に、増強角検出(S140)、光学ブランク値測定(S150)を実施しているが、1次反応(S170)の後に、増強角検出(S140)、光学ブランク値測定(S150)を実施するようにしてもよい。
また、励起光αの入射角があらかじめ決まっている場合は、増強角の検出(S140)を省略してもよい。
また、上記の説明では、アナライトとリガンドとを反応させる1次反応(S170)の後に、アナライトを蛍光物質で標識する2次反応(S190)を行っている(2工程方式)。しかしながら、アナライトを蛍光物質で標識するタイミングは、特に限定されるものではない。
例えば、流路112内に試料液を導入する前に、試料液に標識液を添加してアナライトを予め蛍光物質で標識しておくこともできる。また、流路112内に試料液と標識液を同時に注入することで、蛍光物質で標識されたアナライトがリガンドに捕捉されることとなる。この場合、アナライトが蛍光物質で標識されるとともに、アナライトがリガンドに捕捉される。
いずれの場合も、流路112内に試料溶液を導入することで、1次反応及び2次反応の両方を完了することができる(1工程方式)。このように1工程方式を採用する場合は、抗原抗体反応の前に増強角検出(S140)が実施される。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例ではSPFS装置について説明したが、本発明に係る検体検出システムは、SPR装置などの蛍光免疫測定法(FIA)を利用した検体検出システムや酵素免疫測定法(EIA)を利用した検体検出システムなどにも適用することもできるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 SPFS装置
20 励起光照射ユニット
21 光源ユニット
22 角度調整機構
23 光源制御部
30 蛍光検出ユニット
31 受光ユニット
32 第1レンズ
33 光学フィルター
34 第2レンズ
35 受光センサー
37 位置切替機構
38 センサー制御部
40 送液ユニット
41 シリンジポンプ
42 シリンジ
43 プランジャー
44 送液ポンプ駆動機構
45 ピペットチップ
46 ピペットノズル
50 搬送ユニット
52 搬送ステージ
54 チップホルダー
80 制御部
100 センサーチップ
102 誘電体部材
102a 入射面
102b 成膜面
102c 出射面
104 金属膜
106 流路形成部材
110a 第1貫通孔
110b 第2貫通孔
111 多層フィルム
112 流路
114 流路シール
116 反応場
118 勾配
120 蓋シール
200 流路チップ
202 誘電体部材
204 流路蓋
204a 注入口
206 流路シール
208 流路
210 反応場
A 気泡
L 液体

Claims (11)

  1. アナライトを捕捉する反応場を内部に有するセンサーチップであって、
    前記反応場を有する流路と、
    前記流路の一端に形成された第1貫通孔と、を有し、
    前記流路の前記反応場近傍における高さが、前記流路の前記第1貫通孔近傍における高さよりも高くなるように、前記流路に勾配が設けられるセンサーチップ。
  2. 前記流路の前記反応場近傍における高さが、該流路中において最も高い請求項1に記載のセンサーチップ。
  3. 前記流路の前記反応場近傍における高さが、0.1mm〜1mmである請求項1または2に記載のセンサーチップ。
  4. 前記流路の前記反応場近傍における幅が0.1mm〜5mmであり、
    前記流路の長さが10mm〜50mmである請求項1から3のいずれかに記載のセンサーチップ。
  5. 誘電体部材と、流路形成部材とが、貫通孔が形成された流路シールにより接合され、
    前記流路が、前記誘電体部材と、前記流路形成部材と、前記流路シールとにより囲繞された空間である請求項1から4のいずれかに記載のセンサーチップ。
  6. 誘電体部材と、流路溝が形成された流路形成部材とが接合され、
    前記流路が、前記誘電体部材と、前記流路形成部材とにより囲繞された空間である請求項1から4のいずれかに記載のセンサーチップ。
  7. 前記流路形成部材が、光学的に透明性が高く、化学的に安定で、かつ、成型性に優れる材料により形成される請求項5または6に記載のセンサーチップ。
  8. 前記勾配が、前記流路形成部材に設けられる請求項5から7のいずれかに記載のセンサーチップ。
  9. 前記勾配が、前記誘電体部材に設けられる請求項5から8のいずれかに記載のセンサーチップ。
  10. 前記流路の前記誘電体部材表面に金属膜が形成される請求項5から9のいずれかに記載のセンサーチップ。
  11. 請求項10に記載のセンサーチップと、
    前記金属膜に前記誘電体部材を介して励起光を照射する励起光照射ユニットと、
    前記金属膜に照射された励起光に基づき、前記反応場に捕捉された蛍光標識された前記アナライトから生じる蛍光を検出する蛍光検出ユニットと、を備える検体検出システム。
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