JP2003338282A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2003338282A
JP2003338282A JP2002145816A JP2002145816A JP2003338282A JP 2003338282 A JP2003338282 A JP 2003338282A JP 2002145816 A JP2002145816 A JP 2002145816A JP 2002145816 A JP2002145816 A JP 2002145816A JP 2003338282 A JP2003338282 A JP 2003338282A
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negative electrode
secondary battery
electrolyte secondary
nitride
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JP2002145816A
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Masaki Hasegawa
正樹 長谷川
Yoshio Kayama
美穂 嘉山
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Li3-XXN(但し、MはFe,Co,N
i,Cu,Znから選ばれる少なくとも一種の元素、
0.2≦X≦0.8である)で表されるリチウム含有複
合窒化物はリチウム二次電池の負極材料として有望であ
るが、この材料は初期状態においてLiを含有してお
り、正極材料として現在広く用いられているLiCoO
2をはじめとするリチウム含有複合酸化物との組合せで
電池を作製すると、動作させることができない。 【解決手段】 Li3-XXN(但し、MはFe,Co,
Ni,Cu,Znから選ばれる少なくとも一種の元素、
0.2≦X≦0.8である)と不可逆容量の少なくとも
SiまたはGeのいずれかひとつの窒化物を混合して用
いることにより、相互作用で Liの補充を電極内で自
動的に行わせることができ、可逆性の優れた高容量の電
池が実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高容量非水系電解
質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非水電解質二次電池用の負極材料として
は、金属リチウムやリチウム合金が代表的であるが、金
属リチウムは樹枝上析出(デンドライト)による内部シ
ョートの発生や充放電効率の低下のためサイクル可逆
性、信頼性を確保できず実用化はされていない。
【0003】また、アルミニウムをはじめとするリチウ
ムを吸蔵放出可能な金属とのリチウム合金も数多く提案
されたが、充放電に伴う組織の崩壊等でサイクル可逆性
を十分に確保できずこれも実用化に至っていない。
【0004】つまり、SiOやSnO2をはじめとする
金属酸化物の充放電反応では、初期の充電反応(リチウ
ム吸蔵反応)で分解反応により酸化リチウムが生成した
後、還元された金属がホスト金属となりリチウムとの合
金化反応が起こってリチウムが吸蔵される。次の放電反
応以降はホスト金属とリチウムの合金化反応が可逆的に
起こることで、初期充電での酸化リチウム生成に消費さ
れたリチウムは不可逆容量となる。
【0005】また、この際合金化反応によるホスト金属
へのリチウム吸蔵放出にともなう体積変化が大きいため
に、粒子が体積変化による歪みに耐えられずに割れる。
【0006】さらに、充放電を繰り返すことにより粒子
の微粉化が起こって十分な集電をとることができない状
態となるためサイクルにともなう容量劣化(サイクル劣
化)が起こる。
【0007】AlやSn等のリチウム合金においても同
様であり、充放電の体積変化のためにサイクル劣化が起
こる。
【0008】これに対し、リチウムを可逆的に吸蔵放出
可能な黒鉛等の炭素を負極材料に用いることにより上記
のようなサイクル可逆性の問題を克服したいわゆるリチ
ウムイオン電池が現在では実用化されている。
【0009】このリチウムイオン電池は正極材料にリチ
ウム含有複合酸化物であるLiCoO2を用いており、
正極に予め含まれているLiが負極の炭素質材料との間
で可逆的に挿入脱離されることで充放電を行う仕組みに
なっている。
【0010】このような正極材料としてはLiCoO2
以外にLiNiO2、LiMn24やこれらの複合体な
どがあり、これらは金属リチウム電位基準で約4Vの高
い電極電位を示しその可逆容量も大きく、高電圧高容量
を実現できるものである。
【0011】負極材料としては炭素を用いている。炭素
材料は低い電極電位と良好な可逆性を有するが充放電容
量は理論値の370mAh/gが上限であり、現状では
この限界に近い容量で用いられているためこれ以上の高
容量化が困難な状況にある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】炭素に代わる高容量負
極材料として一般式Li3-XXN(但し、MはFe,C
o,Ni,Cu,Znから選ばれる少なくとも一種の元
素、0.2≦X≦0.8である)で表されるリチウム含
有複合窒化物が有望であるが、この材料は初期状態にお
いてLiを含有しており、正極材料として現在広く用い
られているLiCoO2やLiNiO2、LiMn24
のリチウム含有複合酸化物との組合せで電池を構成する
と動作させることができない。
【0013】つまり、リチウムイオン電池は正・負極の
間でリチウムイオンの移動が行われることにより充放電
されるが、この組合せでは正・負極ともにLiを含有し
た状態であるため、リチウムイオンの移動が行われず充
放電できない。つまり、電池として作動させるために
は、予め正・負極のいずれかからLiを脱離させておか
なければならないという課題がある。
【0014】本発明は、前記課題に対し、高容量でサイ
クル可逆性に優れた非水電解質二次電池を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、正極と、負極と、非水電解質とを備え、前
記負極はリチウム含有複合窒化物と、少なくともSiま
たはGeのいずれかひとつの窒化物とを含むことを特徴
とする非水電解質二次電池である。
【0016】また、本発明は、前記リチウム含有複合窒
化物は一般式Li3-XXN(但し、MはFe,Co,N
i,Cu,Znから選ばれる少なくとも一つの元素、
0.2≦X≦0.8である)で表されることを特徴とす
る非水電解質二次電池である。
【0017】また、本発明は、正極は少なくともリチウ
ム含有複合酸化物を含むことを特徴とする非水電解質二
次電池である。
【0018】また、本発明は、前記リチウム含有複合酸
化物はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、一般
式LiCoxNiy2、(但し、x+y=1)である化
合物およびマンガン酸リチウムから選ばれる少なくとも
一つであることを特徴とする非水電解質二次電池であ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】リチウム二次電池の高容量化に際
し、充放電の繰り返しサイクル特性の向上という課題解
決に関して、詳しく検討した結果、リチウム含有複合窒
化物の持つ余剰のリチウムを少なくともSiまたはGe
のいずれかひとつの窒化物の不可逆容量として吸収させ
ることにより、電池として作動し、サイクル特性が向上
した。
【0020】本発明のSiまたはGeの窒化物、結晶中
の格子間位置へのリチウムの可逆的なインターカレーシ
ョンにより充放電が行われるため体積変化が比較的小さ
く、前述の金属酸化物のようなサイクル劣化を起こすこ
とはない。このため、大きな可逆容量でありながら良好
なサイクル特性を有している。
【0021】しかしながら、初期充電反応で吸蔵された
リチウムの一部が結晶中に取り込まれて安定化してしま
うために不可逆容量を有している。SiまたはGeの窒
化物として、例えばSi34,Ge34は0.8V以下
の電圧範囲で500mAh/g〜1000mAh/gの
可逆容量を有している。
【0022】本発明は、一般式Li3-XXN(但し、M
はFe,Co,Ni,Cu,Znから選ばれる少なくと
も一種の元素、0.2≦X≦0.8である)で表される
化合物の粉末、SiまたはGeの窒化物粉末、導電剤と
しての炭素材粉末、および結着剤樹脂を含有し、これら
を混合した合剤によって負極が形成される。
【0023】これら合剤は溶剤で混練したペーストを銅
箔等の金属箔上に塗布して圧延加工した塗布型極板や直
接プレスして加圧成形極板にするなど通常の製法で通常
の形態に加工することができる。
【0024】リチウム含有複合窒化物として一般式Li
3-XXNで表される化合物を挙げたが、一般式Li2Z-1
βNZ(但し、βは遷移金属元素、Zは1以上の実数で
ある)で表される化合物を用いても同様の効果を得るこ
とができる。
【0025】一般式Li2Z-1βNZで表される化合物
は、リチウム含有複合窒化物として逆蛍石型の結晶構造
を有し、その反応電位が1.2V程度とやや高くなるも
のの有望な材料の一つである。例えば、Li3FeN
2(理論容量;256mAh/g、反応電位;約1.2
V)、Li7MnN4(理論容量;336mAh/g、反
応電位;約1.2V)等がある。
【0026】負極のリチウム含有複合窒化物は水分との
反応性が高く、水分で劣化するため、ペースト化等に用
いる溶剤は高度に脱水されたものを用いることが望まし
い。
【0027】本発明に用いられる正極及び負極は、リチ
ウムイオンを電気化学的かつ可逆的に吸蔵・放出できる
正極材料や負極材料に導電剤、ポリマー材料等を含む合
剤層を集電体の表面に塗着して作製することができる。
【0028】本発明に用いられる負極用導電剤は、電子
伝導性材料であれば何でもよい。
【0029】例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人
造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブ
ラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、フ
ァーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック
等のカ−ボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導
電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフ
ェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこ
れらの混合物として含ませることができる。
【0030】これらの導電剤のなかで、人造黒鉛、アセ
チレンブラック、炭素繊維が特に好ましい。導電剤の添
加量は、特に限定されないが、導電剤と材料の量の関係
から負極材料に対して1〜50重量%が好ましく、特に
1〜30重量%が好ましい。
【0031】本発明に用いられる負極用集電体として
は、構成された電池において化学変化を起こさない電子
伝導体であれば何でもよい。
【0032】例えば、材料としてステンレス鋼、ニッケ
ル、銅、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、銅やス
テンレス鋼の表面にカーボン、ニッケルあるいはチタン
を処理させたものなどが用いられる。特に、銅あるいは
銅合金が好ましい。また、表面処理により集電体表面に
凹凸を付けることも効果的である。
【0033】形状は、フォイルの他、フィルム、シー
ト、ネット、パンチングされたもの、ラス体、多孔質
体、発泡体、繊維群の成形体などが用いられる。厚み
は、特に限定されないが、一般的に1〜500μmのも
のが用いられる。
【0034】本発明に用いられる正極材料は、リチウム
含有複合酸化物であるが、以下に示す材料が特に有効で
ある。
【0035】例えば、LiaCoO2、LiaNiO2、L
aMnO2、LiaCobNi1-b2、LiaCob1-b
c、LiaNi1-bbc、Lia(CobNi1-b1-b'
b'c、LiaMn24、LiaMn2-bb4(M=N
a、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも一
種)、(ここでa=0〜1.2、b=0〜0.9、b’
=0〜0.9、c=2.0〜2.3)があげられる。こ
こで、上記のa値は、充放電開始前の値であり、充放電
により増減する。正極材料の粒子の平均粒径は、特に限
定はされないが、粒径が大きくなると反応が進まない、
一方粒径が小さくなるとコストが上がるため、1〜30
μmであることが好ましい。
【0036】本発明に用いられる正極用集電体として
は、用いる正極材料の充放電電位において化学変化を起
こさない電子伝導体であれば何でもよい。
【0037】例えば、材料としてステンレス鋼、アルミ
ニウム、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミ
ニウムやステンレス鋼の表面にカーボンあるいはチタン
を処理させたものが用いられる。特に、アルミニウムあ
るいはアルミニウム合金が好ましい。これらの材料の表
面を酸化して用いることもできる。また、表面処理によ
り集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。
【0038】形状は、フォイルの他、フィルム、シー
ト、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発
泡体、繊維群、不織布体の成形体などが用いられる。厚
みは、特に限定されないが、一般的に1〜500μmの
ものが用いられる。
【0039】正負極の電極の結着剤としては、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、スチレンブタジエン樹脂(SBS)、イソプレン
樹脂(SEPS)、イソプレンブタジエン樹脂(SEE
PS)、スチレンエチレンプロピレン樹脂(SEP)、
スチレンエチレンブタジエン樹脂(SEBS)、また、
SBS、SEPS、SEEPS、SEP、SEBSのそ
れぞれのブロック共重合体および水素添加処理品、さら
には、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレ
ン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(P
FA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチ
レン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重
合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレ
ン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロ
プロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン
共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフ
ルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、
フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル
−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリ
ル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋
体、エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の
(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル
共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の
(Na+)イオン架橋体を挙げることができ、これらの
材料を単独又は混合物として用いることができる。
【0040】本発明における負極板と正極板の構成は、
充電時にLiが極板の端面に析出することを防止するた
め、少なくとも正極合剤面の対向面に負極合剤面が存在
していることが好ましい。
【0041】本発明の非水電解質は、溶媒と、その溶媒
に溶解するリチウム塩とから構成されている。
【0042】例えば、エチレンカーボネ−ト(EC)、
プロピレンカ−ボネ−ト(PC)、ブチレンカーボネー
ト(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状
カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジ
エチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネ
ート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)な
どの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プ
ロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カ
ルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラク
トン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2
−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタ
ン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル
類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホ
ルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジ
オキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニト
ロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、
トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラ
ン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロ
ピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導
体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニ
ソール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリド
ン、などの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、
これらの一種または二種以上を混合して使用する。
【0043】なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネ
ートとの混合系または環状カーボネートと鎖状カーボネ
ート及び脂肪族カルボン酸エステルとの混合系が好まし
い。誘電率の高い溶媒と低粘度の溶媒を混合することで
両者の物性を生かした、溶解するリチウム塩の解離度が
高く良好なイオン伝導度を有する非水電解質を得ること
ができる。また、いずれの溶媒も充放電時の安定性が比
較的高い。
【0044】上記溶媒に溶解するリチウム塩は、例えば
LiClO4、LiBF4、LiPF 6、LiAlCl4
LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3
3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiAs
6、LiN(CF3SO22、LiB10Cl10、低級脂
肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、Li
I、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウ
ム、イミド類等を挙げることができ、これらを使用する
電解質に単独又は二種以上を組み合わせて使用すること
ができるが、非水電解質のイオン伝導度の観点から、特
にLiPF6を含ませることがより好ましい。
【0045】発明者が検討を行ったところ、本発明にお
ける特に好ましい非水電解質は、エチレンカーボネート
とエチルメチルカーボネートを少なくとも含み、支持塩
としてLiPF6を含む電解質である。これら電解質を
電池内に添加する量は、正極材料や負極材料の量や電池
のサイズによって必要量を用いることができる。電解質
の非水溶媒に対する溶解量は、特に限定されないが、
0.2〜2mol/lが好ましい。濃度が薄いと導電性
が確保されず、濃度が濃いとコストアップになるため、
特に、0.5〜1.5mol/lとすることがより好ま
しい。
【0046】さらに、放電や充放電特性を改良する目的
で、他の化合物を電解質に添加することも有効である。
【0047】例えば、トリエチルフォスファイト、トリ
エタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、
n−グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニ
トロベンゼン誘導体、クラウンエーテル類、第四級アン
モニウム塩、エチレングリコールジアルキルエーテル等
を挙げることができる。
【0048】電池の形状はコイン型、ボタン型、シート
型、積層型、円筒型、偏平型、角型、電気自動車等に用
いる大型のものなどいずれにも適用できる。
【0049】
【実施例】以下、本発明の実施の形態について実施例を
挙げて詳細に説明する。
【0050】(実施例1)本実施例では、リチウム含有
複合窒化物と、少なくともSiまたはGeのいずれか一
つの窒化物を有する負極材料としてLi2.6Co0.4Nと
Si34およびGe34を用い、正極材料としてLiC
oO2を用いた電池について説明する。
【0051】Li2.6Co0.4Nは、Li3NとCoを所
定の組成比となるように混合し、窒素雰囲気中750℃
で8時間焼成して合成した。生成物はXRD測定により
Li 2.6Co0.4Nであることを確認した。Si34およ
びGa34に関しても発明者が合成した。
【0052】Si34はSi微粉末を窒素雰囲気中14
50℃で24時間加熱して合成した。Ga34は酸化物
から水素還元して得たGe微粉末を、アンモニア気流中
700℃で8時間加熱して合成した。
【0053】それぞれの材料について単独での充放電特
性を確認するため金属リチウムを正極材料としたモデル
セルで充放電を行ったところ、Li2.6Co0.4Nは初期
放電で750mAh/gが得られ、以降可逆的に動作し
た。
【0054】また、Si34は初期充電で1790mA
h/gが得られたが、次の放電では820mAh/gで
あり、2サイクル目以降は820mAh/gで可逆的に
動作した。さらに、Ge34では初期充電で920mA
h/gが得られたが、次の放電では430mAh/gで
あり、2サイクル目以降は430mAh/gで可逆的に
動作した。
【0055】以上の結果をもとにLi2.6Co0.4NとS
34およびGe34の混合比率を算出し、Si34
用いた場合は重量比率でLi2.6Co0.4N:Si34
1.29:1とし、Ge34を用いた場合は重量比率で
Li2.6Co0.4N:Ge34=0.65:1として電極
を作製した。
【0056】図1に本発明の非水電解質二次電池用負極
の評価用試験セルの縦断面図を示す。Li2.6Co0.4
とSi34の混合負極の場合は先ず、Li2.6Co0.4
とSi34の粉末を所定の比率で混合したものに導電剤
としての人造黒鉛(KS6)および結着剤としてのポリ
4フッ化エチレンを所定比で混合し、混合物をローラー
圧延して得たシート状の合剤をケース5内に設置した集
電体7上に圧着し負極6とした。
【0057】このとき、負極材料であるLi2.6Co0.4
NとSi34の混合物の重量が25mgとなるように調
製した。次に、LiCoO2と導電剤としてのアセチレ
ンブラック(AB)および結着剤としてのポリ4フッ化
エチレンを所定比で混合し、混合物をローラー圧延して
シート状としたものを封口板1内に設置した集電体3に
圧着して正極2とした。
【0058】続いて、負極6上にセパレータとしての多
孔質ポリエチレンシート4を設置し、電解質としてエチ
レンカーボネートとジエチルカーボネートの1:1の混
合溶媒に1Mの濃度で六フッ化リン酸リチウムを溶解し
た溶液をケース内に充填した。このケースに正極2を圧
着した封口版1を重ねた後、プレス封口機を用いてかし
め封口しコイン型電池を作製した。
【0059】なお、負極の組成はLi2.6Co0.4NとS
34と導電剤および結着剤の混合比率を重量比で5
6.3:43.7:20:5とした。また、正極の組成
はLiCoO2と導電剤および結着剤の混合比率を重量
比で100:5:5とした。正・負極の比率は正極容量
に余裕を持たせた負極容量規制となるように設定した。
【0060】また、いずれのセルでも負極の重量が25
mgとなるように調製した。なお、正・負極の各電極構
成材料は全て事前に十分に乾燥して用いた。
【0061】Li2.6Co0.4NとGe34の混合負極の
場合にも同様の方法で電極および電池を作製した。ただ
し、負極組成はLi2.6Co0.4NとGe34と導電剤お
よび結着剤の混合比率を重量比で39.7:60.6:
20:5とした。
【0062】比較例として、Li2.6Co0.4N、Si3
4およびGe34のそれぞれを単独で負極材料として
用いた場合につても電池を作製した。それぞれ、負極の
組成は材料と導電剤および結着剤の混合比率を重量比で
100:20:5とした。極板重量に関しては本発明の
実施例と同様に25mgとした。
【0063】また、Li2.6Co0.4Nと金属酸化物であ
るSiOを混合した場合についても同様の方法で電極お
よび電池を作製した。
【0064】この場合、負極組成はLi2.6Co0.4Nと
SiOと導電剤および結着剤の混合比率を重量比で5
7.8:42.2:20:5とした。これは、金属リチ
ウムを対極としたモデルセルでのSiOの単極特性評価
において、初期充電では2480mAh/gが得られた
が、次の放電では1450mAh/gであり、2サイク
ル目以降はこの容量で可逆的に動作した結果にもとづき
材料の混合比率を算出したものである。極板重量に関し
ては本発明の実施例と同様25mgとした。
【0065】作製した電池を用い、充放電ともに電流密
度0.5mA/cm2の定電流で、3.0Vから4.2
Vの電圧範囲で充放電試験を行った。(表1)に初期充
放電容量と50サイクル目の容量維持率を示す。
【0066】
【表1】
【0067】(表1)に示すように、Li2.6Co0.4
とSi34の混合負極では初期充放電の可逆性およびサ
イクル特性の優れた電池が得られている。また、Li
2.6Co0.4NとGe34の混合負極でも同様に優れた特
性の電池が得られている。それぞれ単独で用いた場合に
は、Li2.6Co0.4Nでは初期状態でLiを含有した状
態(充電状態)であるためほとんど充放電を行うことが
できず、Si34およびGe34では充電は高容量であ
るものの、それぞれの持つ不可逆容量のため放電容量が
大きく減少してしまっている。
【0068】Li2.6Co0.4NとSiOの混合負極の場
合には、初期サイクルでは高容量でかつ容量減少もなく
良好な特性であるが、サイクル劣化が激しく50サイク
ル目の容量維持率は63%となってしまっている。
【0069】(実施例2)本実施例ではリチウム含有複
合窒化物と、Geの窒化物を有する負極材料としてLi
2.6Co0.4NとGe34を用い、正極材料としてLiN
0.8Co0.22およびLiMn24を用いた場合につ
いて説明する。
【0070】実施例1のLi2.6Co0.4NとGe34
混合負極の場合と同様の方法で、正極材料のみをLiN
0.8Co0.22およびLiMn24として電池を作製
し、同様の条件で充放電試験を行った。(表2)に初期
充放電容量と50サイクル目の容量維持率を示す。
【0071】
【表2】
【0072】いずれの場合も、LiCoO2を正極材料
として用いた場合と同様に初期充放電可逆性、サイクル
特性ともに優れた特性が得られている。
【0073】実施例1,2ではLiCoO2、LiNi
0.8Co0.22およびLiMn24について説明した
が、これらの酸化物を基本として構成元素の一部を各種
元素で置換した場合にも同様の効果が得られるのはもち
ろんのことである。
【0074】(実施例3)本実施例では負極材料として
リチウム含有複合窒化物単独と、リチウム含有複合窒化
物とGeの窒化物を有する2種の負極材料、つまりLi
2.6Fe0.4N、Li2.6Ni0.4N、Li2.6Cu0.4Nお
よびLi2.6Zn0.4NとGe34を混合して用いた場合
について説明する。
【0075】各窒化物は出発原料としてLi3NとF
e、Ni、CuおよびZnを用いて実施例1のLi2.6
Co0.4Nの場合と同様の方法で合成した。次に、これ
らを用いて実施例1と同様の方法で電池を作製し、充放
電試験を行った。(表3)に初期充放電容量と50サイ
クル目の容量維持率を示す。
【0076】
【表3】
【0077】いずれの場合にも、Li2.6Co0.4Nと同
様に初期充放電可逆性、サイクル特性ともに優れた特性
が得られている。
【0078】また、各窒化物を混合して用いた場合にも
同様の効果が得られることはもちろんである。
【0079】(実施例4)本実施例では負極材料として
リチウム含有複合窒化物単独と、リチウム含有複合窒化
物とGeの窒化物を有する2種の負極材料、つまり、L
2.8Co0.2N、Li2.6Co0.4N、Li2.4Co0.6
およびLi2.2Co0.8NとGe34を混合して用いた場
合について説明する。
【0080】各組成の窒化物は実施例1と同様の方法で
原料混合比を所定の比率に調整して行った。次に、これ
らを用いて実施例1と同様の方法で電池を作製し、充放
電試験を行った。(表4)に初期充放電容量と50サイ
クル目の容量維持率を示す。
【0081】
【表4】
【0082】いずれの場合にも、初期充放電可逆性、サ
イクル特性ともに優れた特性が得られており、中でも、
Li2.6Co0.4Nの場合に特に優れた特性が得られてい
る。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、リチウムを吸蔵放
出可能な正極と負極、および電解質からなり、前記負極
が初期状態において材料としてリチウム含有複合窒化物
と、SiとGeの窒化物との両方を含有させることによ
り容易に高容量でサイクル可逆性に優れた非水電解質二
次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の非水電解質二次電池用負極
の評価用試験セルの縦断面図
【符号の説明】
1 封口板 2 正極 3 集電体 4 セパレータ 5 ケース 6 負極 7 集電体 8 ガスケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ03 AK03 AL03 AM03 AM05 AM07 BJ03 DJ08 EJ03 HJ02 5H050 AA08 BA17 CA08 CA09 CB01 CB03 DA09 HA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と、負極と、非水電解質とを備え、
    前記負極はリチウム含有複合窒化物と、少なくともSi
    またはGeのいずれかひとつの窒化物とを含むことを特
    徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 前記リチウム含有複合窒化物は一般式L
    3-XXN(但し、MはFe,Co,Ni,Cu,Zn
    から選ばれる少なくとも一つの元素、0.2≦X≦0.
    8である)で表されることを特徴とする請求項1記載の
    非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 正極は少なくともリチウム含有複合酸化
    物を含むことを特徴とする請求項1および2記載の非水
    電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 前記リチウム含有複合酸化物はコバルト
    酸リチウム、ニッケル酸リチウム、一般式LiCox
    y2、(但し、x+y=1)である化合物およびマン
    ガン酸リチウムから選ばれる少なくとも一つであること
    を特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の非水電
    解質二次電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1333477C (zh) * 2005-09-17 2007-08-22 大连海事大学 一种锂铁氧化物/锂铁氮化物复合负极材料及其制备方法
CN100423327C (zh) * 2005-06-24 2008-10-01 松下电器产业株式会社 用于锂离子二次电池的负极及该负极的生产方法
CN105417505A (zh) * 2015-12-25 2016-03-23 苏州格瑞动力电源科技有限公司 一种锂离子电池负极材料及其制备方法

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