JP2003336562A - 燃料噴射弁 - Google Patents

燃料噴射弁

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JP2003336562A JP2002143674A JP2002143674A JP2003336562A JP 2003336562 A JP2003336562 A JP 2003336562A JP 2002143674 A JP2002143674 A JP 2002143674A JP 2002143674 A JP2002143674 A JP 2002143674A JP 2003336562 A JP2003336562 A JP 2003336562A
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swirl
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射後の燃料の微粒化を効果的に促進すると
共に,燃料の噴射応答性を向上させ得る燃料噴射弁を提
供する。 【解決手段】 弁座部材3と,この弁座部材3の前端面
に接合されるインジェクタプレート36との間に,弁座
8の下流端に連通する横方向通路38と,この横方向通
路38の下流端が接線方向に開口するスワール室39と
を形成し,このスワール室39でスワールを付与された
燃料を噴射させる燃料噴孔40をインジェクタプレート
36に穿設した燃料噴射弁において,燃料噴孔40を,
スワール室39の中心から横方向通路38の上流端側に
所定距離eオフセットして配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,主として内燃機関
の燃料供給系に使用される燃料噴射弁に関し,特に,弁
体と,この弁体と協働する弁座の下流端が前端面に開口
する弁座部材と,この弁座部材の前端面に接合されるイ
ンジェクタプレートとの間に,前記弁座の下流端に連通
する横方向通路と,この横方向通路の下流端が接線方向
に開口するスワール室とを形成し,このスワール室でス
ワールを付与された燃料を噴射させる燃料噴孔を前記イ
ンジェクタプレートに穿設した燃料噴射弁の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】かゝる燃料噴射弁は,例えば特許第26
59789号公報に開示されているように,既に知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かゝる燃料噴射弁は,
燃料噴孔から噴射される燃料にスワールを付与すること
により,その燃料の微粒化を促進するものであるが,従
来の燃料噴射弁では,インジェクタプレートの燃料噴孔
をスワール室の中心に配置しているため,横方向通路か
らスワール室に進入した燃料は,インジェクタプレート
の燃料噴孔から噴射されるまでにスワール室を数回旋回
することになり,その結果,スワール室での燃料の速度
損失が大きく,噴射後の燃料の微粒化促進が減退するの
みならず,燃料の噴射遅れを生ずる欠点がある。
【0004】本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたも
ので,噴射後の燃料の微粒化を効果的に促進すると共
に,燃料の噴射応答性を向上させるようにした前記燃料
噴射弁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,本発明は,弁体と,この弁体と協働する弁座の下流
端が前端面に開口する弁座部材と,この弁座部材の前端
面に接合されるインジェクタプレートとの間に,前記弁
座の下流端に連通する横方向通路と,この横方向通路の
下流端が接線方向に開口するスワール室とを形成し,こ
のスワール室でスワールを付与された燃料を噴射させる
燃料噴孔を前記インジェクタプレートに穿設した燃料噴
射弁において,前記燃料噴孔を,前記スワール室の中心
から前記横方向通路の上流端側に所定距離オフセットし
て配置したことを第1の特徴とする。
【0006】この第1の特徴によれば,横方向通路から
スワール室に流入した燃料の大部分はスワール室を略1
回転するうちに燃料噴孔から噴射されることになり,そ
の噴射燃料により形成される燃料噴霧フォームが速いス
ワール速度を維持することで,燃料の微粒化を効果的促
進することができ,しかも燃料噴射の応答性を向上させ
ることができ,エンジンの始動性及び出力性能の向上,
並びに燃費の低減に寄与し得る。
【0007】また本発明は,第1の特徴に加えて,前記
スワール室の内周面の曲率を,該室の入口側から出口側
に向かって増加させたことを第2の特徴とする。
【0008】この第2の特徴によれば,横方向通路から
スワール室に進入した燃料が該室の内周面に沿って旋回
を進めるのに応じて,その旋回力が強化され,燃料噴孔
から発生する燃料噴霧フォームのスワール速度を高め
て,燃料の微粒化をより効果的に促進することができ
る。
【0009】さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前
記スワール室の内周面を,該室に基礎円を持つインボリ
ュート曲線に沿って形成したことを第3の特徴とする。
【0010】この第3の特徴によれば,横方向通路から
スワール室に進入した燃料が該室の内周面に沿って旋回
を進めるのに応じて,その旋回力を連続的にスムーズに
強化することができ,燃料噴霧フォームに高いスワール
速度を与えて,燃料の微粒化促進に大いに寄与し得る。
【0011】さらにまた本発明は,第3の特徴に加え
て,前記基礎円を,前記燃料噴孔と同心状に配置すると
共に該燃料噴孔より小径としたことを第4の特徴する。
【0012】この第4の特徴によれば,スワール室でス
ワールを付与された燃料を燃料噴孔からスムーズに噴射
して,燃料噴霧フォームの高いスワール速度を維持する
ことができ,燃料の微粒化促進を大いに寄与し得る。
【0013】さらにまた本発明は,第1〜第4の特徴の
何れかに加えて,前記横方向通路及びスワール室を,前
記弁座部材及びインジェクタプレート間に接合される通
路プレートにスリット状に形成したことを第5の特徴す
る。
【0014】この第5の特徴によれば,プレス加工やレ
ーザカットにより横方向通路及びスワール室を通路プレ
ートに簡単に形成することが可能であり,コストの低減
に寄与し得る。
【0015】さらにまた本発明は,第1〜第5の特徴に
加えて,前記横方向通路を複数放射状に配設すると共
に,各横方向通路の各スワール室に開口する接線方向を
一定にし,複数の前記スワール室にそれぞれ開口する複
数の前記燃料噴孔を,これら燃料噴孔からの噴射燃料に
より形成されて隣り合う中空円錐状の燃料噴霧フォーム
が互いに液膜部分を正面衝突させるように配置したこと
を第6の特徴とする。
【0016】この第6の特徴によれば,開弁時,複数の
スワール室から対応する燃料噴孔に噴射された燃料は,
噴射圧力と遠心力の作用で複数の中空円錐状の燃料噴霧
フォームを形成し,そして互いに隣り合う燃料噴霧フォ
ーム同士で液膜部分を正面衝突させることで,燃料の微
粒化をより効果的に促進することができる。しかも最終
的には燃料密度が中心部で高く,外周部で低い1つの集
合した燃料噴霧フォームを形成されることになり,エン
ジンの吸気路内壁への燃料付着を極力防ぎつゝ,吸入空
気と共にエンジンに吸入され,エンジンの始動及び出力
性能の向上と燃費の低減に大いに寄与し得る。
【0017】さらにまた本発明は,第1〜第6記載の特
徴に加えて,前記横方向通路を,その断面積が前記スワ
ール室に向かって減少するように形成したことを第7の
特徴とする。
【0018】この第7の特徴によれば,燃料が横方向通
路を通過する際,その燃料の流速がスワール室に近づく
につれて増加することになるため,スワール室で燃料に
与えるスワール効果を一層高めることができる。
【0019】さらにまた本発明は,第1〜第7の特徴に
加えて,前記インジェクタプレートの板厚を前記燃料噴
孔の内径より小さく設定したことを第8の特徴とする。
【0020】この第8の特徴によれば,燃料噴孔から発
生する中空円錐状の燃料噴霧フォームの中心角度を充分
に拡大させて,隣接する燃料噴霧フォーム相互の衝突力
を増加させ,燃料の微粒化を一層促進することができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を,添付図面
に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0022】図1は本発明の第1実施例に係る内燃機関
用電磁式燃料噴射弁の縦断面図,図2は図1の要部拡大
図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図2の4−4
線断面図,図5は図2の5矢視図,図6は図2の6−6
線拡大断面図,図7は図5に対応した作用説明図,図8
は本発明の第2実施例を示す,図5との対応図,図9は
本発明の第3実施例を示す,図5との対応図,図10は
本発明の第4実施例を示す,図2との対応図,図11は
図10の11矢視図,図12は本発明の第5実施例を示
す,図6との対応図,図13は従来の燃料噴霧フォーム
(A)と本発明による燃料噴霧フォーム(B)及び
(C)との対比説明図である。
【0023】先ず,図1〜図7に示す本発明の第1実施
例より説明する。
【0024】図1において,内燃機関用電磁式燃料噴射
弁Iのケーシング1は,円筒状の弁ハウジング2(磁性
体)と,この弁ハウジング2の前端部に液密に結合され
る有底円筒状の弁座部材3と,弁ハウジング2の後端に
環状スペーサ4を挟んで液密に結合される円筒状の固定
コア5とから構成される。
【0025】環状スペーサ4は,ステンレス鋼等の非磁
性金属製であり,その両端面に弁ハウジング2及び固定
コア5が突き当てられて液密に全周溶接される。
【0026】弁座部材3及び弁ハウジング2の対向端部
には,第1嵌合筒部3a及び第2嵌合筒部2aがそれぞ
れ形成される。そして第1嵌合筒部3aが第2嵌合筒部
2a内にストッパプレート6と共に圧入され,ストッパ
プレート6は,弁ハウジング2と弁座部材3間で挟持さ
れる。その後,第1嵌合筒部3aの外周面と第2嵌合筒
部2aの端面とに挟まれる隅部の全周にわたりレーザ溶
接又はビーム溶接を施すことにより,弁ハウジング2及
び弁座部材3が相互に液密に結合される。
【0027】弁座部材3には,その前端面に下流端を開
口する円錐状の弁座8と,この弁座8の上流端,即ち大
径部に連なる円筒状のガイド孔9とが設けられており,
そのガイド孔9は,前記第2嵌合筒部2aと同軸状に形
成される。
【0028】弁ハウジング2及び環状スペーサ4内に
は,固定コア5の前端面に対向する可動コア12が摺動
自在に収容され,この可動コア12に,前記ガイド孔9
に軸方向摺動自在に収容される弁体16が一体的に結合
される。この弁体16は,弁座8に着座し得る球状の弁
部16aと,ガイド孔9に摺動自在に支承される前後一
対のジャーナル部16b,16bと,前記ストッパプレ
ート6に当接して弁体16の開弁限界を規定するフラン
ジ16cとを一体に備えており,各ジャーナル部16b
には,燃料の流通を可能にする複数の面取り部17,1
7…が設けられる。
【0029】固定コア5は,弁ハウジング2内と連通す
る中空部21を有しており,その中空部21に,可動コ
ア12を弁体16の閉じ方向,即ち弁座8への着座方向
に付勢するコイル状の弁ばね22と,この弁ばね22の
後端を支承するパイプ状のリテーナ23とが収容され
る。
【0030】固定コア5の後端には,パイプ状のリテー
ナ23を介して固定コア5の中空部21に連通する燃料
入口25aを持つ入口筒25が一体に連設され,その燃
料入口25aに燃料フィルタ27が装着される。
【0031】環状スペーサ4及び固定コア5の外周には
コイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28
は,環状スペーサ4及び固定コア5に外周面に嵌合する
ボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっ
ており,このコイル組立体28を囲繞するコイルハウジ
ング31の一端部が弁ハウジング2の外周面に溶接によ
り結合される。
【0032】コイルハウジング31,コイル組立体28
及び固定コア5は合成樹脂製の被覆体32内に埋封さ
れ,この被覆体32の中間部には,前記コイル30に連
なる接続端子33を収容する備えたカプラ34が一体に
連設される。
【0033】図2〜図5に示すように,弁座部材3の前
端面には,鋼板製の通路プレート35を挟んで同じく鋼
板製のインジェクタプレート36が液密に全周溶接され
る。通路プレート35には,弁座8の下流端周縁部から
軸方向に延びて,弁座8の軸線周りに等間隔に配列され
る多数の側孔37,37…と,これら側孔37,37…
から半径方向外側へ,即ち放射状に延びる多数の横方向
通路38,38…と,これら横方向通路38,38…の
下流端が接線方向に開口する多数のスワール室39,3
9…とが通路プレート35の表裏を貫通するようにスリ
ット状に設けられる。こうすることにより,プレス加工
やレーザカットにより各横方向通路38及びスワール室
39を通路プレート35に簡単に形成することが可能と
なり,コストの低減を図ることができる。
【0034】これらスワール室39,39…も弁座8の
軸線周りに等間隔に配列される。各横方向通路38の各
スワール室39に開口する接線方向は一定していて,各
スワール室39で燃料に付与されるスワール方向が一定
するようになっている。
【0035】インジェクタプレート36には,上記多数
のスワール室39,39…にそれぞれ開口する多数の燃
料噴孔40,40…が穿設される。インジェクタプレー
ト36は,その板厚が各燃料噴孔40の内径より小さく
なっており,また各燃料噴孔40は,その軸線が弁座8
の軸線と平行になるように配置される。
【0036】図6に明示するように,各スワール室39
の内周面は,燃料のスワール方向に沿って入口領域39
a,中間領域39b,出口領域39cと複数に分割され
ると共に,これら領域の曲率半径R1,R2,R3がそ
の順序でR1>R2>R3と減少させてある。したがっ
て,各スワール室39の内周面の曲率は,該室39の入
口側から出口側に向かって増加することになる。
【0037】また各燃料噴孔40は,対応するスワール
室39の中心から対応する横方向通路38の上流端側に
所定距離eオフセットして配置される。また多数の燃料
噴孔40,40…は,図5に示すように,それらの隣接
間隔pが2.5mm以下となるように配置される。
【0038】再び,図1において,弁ハウジング2から
弁座部材3にかけて,それらの外周に環状のシールホル
ダ48が嵌合され,このシールホルダ48と,弁座部材
3の前端部に嵌着される合成樹脂製のキャップ45との
間に環状溝46が画成され,この環状溝46に,弁座部
材3の外周面に密接するOリング47が装着される。こ
のOリング47は,この電磁式燃料噴射弁Iを図示しな
い吸気マニホールドの燃料噴射弁取り付け孔に装着した
とき,その取り付け孔の内周面に密接するようになって
いる。
【0039】次に,この第1実施例の作用について説明
する。コイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付
勢力で可動コア12及び弁体16が前方に押圧され,そ
の弁部16aを弁座8に着座させている。したがって,
燃料フィルタ27及び入口筒26を通して弁ハウジング
2内に供給された高圧燃料は,弁ハウジング2内に待機
させられる。
【0040】コイル30を通電により励磁すると,それ
により生ずる磁束が固定コア5,コイルハウジング3
1,弁ハウジング2及び可動コア12を順次走り,その
磁力により可動コア12が弁体16と共に固定コア5に
吸引され,弁座8が開放されるので,弁ハウジング2内
の高圧燃料は,弁体16の面取り部17,17…を経て
弁座8を通過し,その周縁部から高速を維持したまゝ多
数の側孔37,37…へ移り,これら側孔37,37…
からそれぞれ対応する横方向通路38,38…を経て対
応するスワール室39に高速で接線方向に流入するた
め,その燃料は各スワール室39を高速で旋回すること
によりスワールが付与される。
【0041】特に,各スワール室39の内周面の曲率が
該室39の入口側から出口側に向かって増加しているか
ら,スワール室39に進入した燃料が該室39の内周面
に沿って旋回を進めるのに応じて,その旋回力が強化さ
れる。
【0042】また各燃料噴孔40は各スワール室39の
中心から対応する横方向通路38の上流端側に所定距離
eオフセットして配置されているから,スワール室39
に流入した燃料の大部分はスワール室39を略1回転す
るうちに燃料噴孔40から噴射されることになり,スワ
ール室39での燃料の速度損失が少ない。
【0043】以上の結果,各スワール室39から対応す
る燃料噴孔40に噴射された燃料は,大なる噴射圧力と
遠心力の作用で中空円錐状の燃料噴霧フォームF1を形
成し,高いスワール速度を維持し得るので,燃料の微粒
化をより効果的促進することができ,しかも燃料噴射の
応答性を向上させることができる。
【0044】図13(A)は,燃料噴孔40を単一とし
てテストしたときの燃料噴霧フォームF1の形成状態を
示し,図13(B)は,2つの燃料噴孔40,40の間
隔を2.4mmに設定してテストしたときの燃料噴霧フ
ォームF1,F2の形成状態を示し,また図13(C)
は,3つの燃料噴孔40,40,40の各隣接間隔を
1.3mmに設定してテストしたときの燃料噴霧フォー
ムF1,F2の形成状態を示すものである。
【0045】図13(A)に示すように,単一の燃料噴
孔40から生ずる中空円錐状の燃料噴霧フォームF1
は,燃料噴孔40を出た直後に層状の液膜状態を呈し,
その後,液糸状態を経て微粒化状態となるが,この第1
実施例では,弁座8の軸線周りに多数の燃料噴孔40,
40…が隣接間隔を2.5mm以下と狭くして配置さ
れ,しかも各スワール室39で燃料に同一方向のスワー
ルが付与されるため,多数の中空円錐状の燃料噴霧フォ
ームF1,F1…は,図7,並びに図13(B)及び
(C)に示すように,液膜状態において互いに隣り合う
もの同士で液膜部分を正面衝突させることになる。その
結果,全燃料噴霧フォームF1,F1…の液糸状態が早
まり,その分,燃料の微粒化を効果的に促進することが
できる。しかも,多数の燃料噴霧フォームF1,F1…
が互いに液膜部分を正面衝突させることで,最終的には
燃料密度が中心部で高く,外周部で低い1つ集合した燃
料噴霧フォームF1が形成されることになり,エンジン
の吸気路内壁への燃料付着を極力防ぎつゝ,吸入空気と
共にエンジンに吸入され,エンジンの始動性及び出力性
能の向上と燃費の低減に大いに寄与し得る。
【0046】テストによれば,多数の燃料噴霧フォーム
F1,F1…の液膜状態の終端は,インジェクタプレー
ト36から0.5〜3.0mm離れた領域にあり,この
領域で多数の燃料噴霧フォームF1,F1…を衝突させ
れば,燃料の微粒化を効果的に促進し得ることを確認で
きた。またこのような燃料噴霧フォームF1,F1…同
士の衝突を得るために,多数の燃料噴孔40,40…の
隣接間隔を前述のように2.5mm以下と設定すること
は極めて有効であった。
【0047】またインジェクタプレート36の板厚を各
燃料噴孔40の内径より小さく設定したことで,中空円
錐状の各燃料噴霧フォームF1の中心角度を充分に拡大
させて,隣接する燃料噴霧フォームF1,F1…の液膜
部相互の衝突力を増加させ,燃料の微粒化を一層促進す
ることができる。
【0048】さらに多数の燃料噴孔40,40…の軸線
を平行に配置したことで,これら燃料噴孔40,40…
を高精度をもって同軸加工が可能となる。その結果,全
燃料噴孔40,40…から発生する燃料噴霧フォームF
1,F1…は常に均一化し,それらの液膜部相互の正面
衝突により,常に安定した集合燃料噴霧フォームF2を
形成することができ,エンジンの始動性及び出力性能の
向上と燃費の低減に一層寄与し得る。
【0049】次に,図8に示す本発明の第2実施例につ
いて説明する。
【0050】この第2実施例は,多数の側孔37,37
…を複数の同心円上で千鳥状に配置し,それに伴い多数
のスワール室39,39…も複数の同心円状で千鳥状に
配置した点を除けば,前実施例と同様の構成であり,図
8中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付
して,その説明を省略する。
【0051】この第2実施例によれば,より多くの燃料
噴霧フォームF1,F1…から比較的大型の1つの集合
燃料噴霧フォームF2を形成することができ,大型のエ
ンジン用に好適である。
【0052】次に,図9に示す本発明の第3実施例につ
いて説明する。
【0053】この第3実施例は,環状配列の複数の側孔
37,37…の内側に複数のスワール室39,39…を
環状に配列した点を除けば,前記第1実施例と同様の構
成であり,図9中,第1実施例と対応する部分には同一
の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0054】この第3実施例によれば,複数の燃料噴霧
フォームF1,F1…から比較的小型の1つの集合燃料
噴霧フォームF2を形成することができ,小型のエンジ
ン用に好適である。
【0055】次に,図10及び図11に示す本発明の第
4実施例について説明する。
【0056】この第4実施例は,通路プレート35に,
弁座8の下流端縁に連なる円形の分配室50を形成し,
この分配室50の外周から,多数のスワール室39,3
9…に達する多数の横方向通路38,38…を放射状に
延出させた点を除けば,前記第1実施例と同様の構成で
あり,図10及び図11中,第1実施例と対応する部分
には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0057】この第4実施例によれば,共通の分配室5
0から多数の横方向通路38,38…に燃料が分配され
るので,前記第1実施例のような多数の側孔37,37
…が不要となり,構造の簡素化に寄与し得るが,共通の
分配室50の容積は,第1実施例の側孔37,37…の
総合容積より大きくなるため,デッドボリュームの減少
を図る上では第1実施例より不利となる。
【0058】最後に,図12に示す本発明の第5実施例
について説明する。
【0059】この第5実施例では,各側孔37から各対
応するスワール室39に延びる横方向通路38の断面積
が,下流側即ちスワール室39に向かって漸減させてあ
る。また各スワール室39の内周面は,燃料噴孔40よ
り小径でそれと同心状に配置される基礎円51を持つイ
ンボリュート曲線52に沿って形成される。その他の構
成は前記第1実施例と同様の構成であり,図12中,第
1実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,
その説明を省略する。
【0060】この第5実施例によれば,各側孔37から
横方向通路38に出た燃料の流速が各対応するスワール
室39に近づくにつれて増加することになるため,スワ
ール室39で燃料に与えるスワール効果を高めることが
できる。また同時に,横方向通路38からスワール室3
9に進入した燃料が該室39の内周面に沿って旋回を進
めるのに応じて,その旋回力を連続的にスムーズに強化
することができ,燃料噴霧フォームに高いスワール速度
を与えて,燃料の微粒化促進に大いに寄与し得る。
【0061】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可
能である。
【0062】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば,弁体と,この弁体と協働する弁座の下流端が前端面
に開口する弁座部材と,この弁座部材の前端面に接合さ
れるインジェクタプレートとの間に,前記弁座の下流端
に連通する横方向通路と,この横方向通路の下流端が接
線方向に開口するスワール室とを形成し,このスワール
室でスワールを付与された燃料を噴射させる燃料噴孔を
前記インジェクタプレートに穿設した燃料噴射弁におい
て,前記燃料噴孔を,前記スワール室の中心から前記横
方向通路の上流端側に所定距離オフセットして配置した
ので,横方向通路からスワール室に流入した燃料の大部
分はスワール室を略1回転するうちに燃料噴孔から噴射
されることになり,その噴射燃料により形成される燃料
噴霧フォームが速いスワール速度を維持することで,燃
料の微粒化を効果的促進することができ,しかも燃料噴
射の応答性を向上させることができ,エンジンの始動性
及び出力性能の向上,並びに燃費の低減に寄与し得る。
【0063】また本発明の第2の特徴によれば,前記ス
ワール室の内周面の曲率を,該室の入口側から出口側に
向かって増加させたので,横方向通路からスワール室に
進入した燃料が該室の内周面に沿って旋回を進めるのに
応じて,その旋回力が強化され,燃料噴孔から発生する
燃料噴霧フォームのスワール速度を高めて,燃料の微粒
化をより効果的に促進することができる。
【0064】さらに本発明の第3の特徴によれば,前記
スワール室の内周面を,該室に基礎円を持つインボリュ
ート曲線に沿って形成したので,横方向通路からスワー
ル室に進入した燃料が該室の内周面に沿って旋回を進め
るのに応じて,その旋回力を連続的にスムーズに強化す
ることができ,燃料噴霧フォームに高いスワール速度を
与えて,燃料の微粒化促進に大いに寄与し得る。
【0065】さらにまた本発明の第4の特徴によれば,
前記基礎円を,前記燃料噴孔と同心状に配置すると共に
該燃料噴孔より小径としたので,スワール室でスワール
を付与された燃料を燃料噴孔からスムーズに噴射して,
燃料噴霧フォームの高いスワール速度を維持することが
でき,燃料の微粒化促進を大いに寄与し得る。
【0066】さらにまた本発明の第5の特徴によれば,
前記横方向通路及びスワール室を,前記弁座部材及びイ
ンジェクタプレート間に接合される通路プレートにスリ
ット状に形成したので,プレス加工やレーザカットによ
り横方向通路及びスワール室を通路プレートに簡単に形
成することが可能であり,コストの低減に寄与し得る。
【0067】さらにまた本発明の第6の特徴によれば,
前記横方向通路を複数放射状に配設すると共に,各横方
向通路の各スワール室に開口する接線方向を一定にし,
複数の前記スワール室にそれぞれ開口する複数の前記燃
料噴孔を,これら燃料噴孔からの噴射燃料により形成さ
れて隣り合う中空円錐状の燃料噴霧フォームが互いに液
膜部分を正面衝突させるように配置したので,開弁時,
複数のスワール室から対応する燃料噴孔に噴射された燃
料は,噴射圧力と遠心力の作用で複数の中空円錐状の燃
料噴霧フォームを形成し,そして互いに隣り合う燃料噴
霧フォーム同士で液膜部分を正面衝突させることで,燃
料の微粒化をより効果的に促進することができる。しか
も最終的には燃料密度が中心部で高く,外周部で低い1
つの集合した燃料噴霧フォームを形成されることにな
り,エンジンの吸気路内壁への燃料付着を極力防ぎつ
ゝ,吸入空気と共にエンジンに吸入され,エンジンの始
動及び出力性能の向上と燃費の低減に大いに寄与し得
る。
【0068】さらにまた本発明の第7の特徴によれば,
前記横方向通路を,その断面積が前記スワール室に向か
って減少するように形成したので,燃料が横方向通路を
通過する際,その燃料の流速がスワール室に近づくにつ
れて増加することになるため,スワール室で燃料に与え
るスワール効果を一層高めることができる。
【0069】さらにまた本発明の第8の特徴によれば,
前記インジェクタプレートの板厚を前記燃料噴孔の内径
より小さく設定したので,燃料噴孔から発生する中空円
錐状の燃料噴霧フォームの中心角度を充分に拡大させ
て,隣接する燃料噴霧フォーム相互の衝突力を増加さ
せ,燃料の微粒化を一層促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る内燃機関用電磁式燃
料噴射弁の縦断面図
【図2】図1の要部拡大図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5矢視図
【図6】図2の6−6線拡大断面図
【図7】図5に対応した作用説明図
【図8】本発明の第2実施例を示す,図5との対応図
【図9】本発明の第3実施例を示す,図5との対応図
【図10】本発明の第4実施例を示す,図2との対応図
【図11】図10の11矢視図
【図12】本発明の第5実施例を示す,図6との対応図
【図13】従来の燃料噴霧フォーム(A)と本発明によ
る燃料噴霧フォーム(B)及び(C)との対比説明図
【符号の説明】
I・・・・・燃料噴射弁 3・・・・・弁座部材 8・・・・・弁座 35・・・・通路プレート 36・・・・インジェクタプレート 38・・・・横方向通路 39・・・・スワール室 40・・・・燃料噴孔 51・・・・基礎円 52・・・・インボリュート曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 51/08 F02M 51/08 K (72)発明者 稲垣 俊介 宮城県角田市角田字流197−1 株式会社 ケーヒン角田開発センター内 (72)発明者 住舎 宣明 宮城県角田市角田字流197−1 株式会社 ケーヒン角田開発センター内 Fターム(参考) 3G066 AB02 AD10 BA03 BA19 CC06U CC14 CC24 CC26 CC37 CC43 CC48 CD30 CE22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁体(16)と,この弁体(16)と協
    働する弁座(8)の下流端が前端面に開口する弁座部材
    (3)と,この弁座部材(3)の前端面に接合されるイ
    ンジェクタプレート(36)との間に,前記弁座(8)
    の下流端に連通する横方向通路(38)と,この横方向
    通路(38)の下流端が接線方向に開口するスワール室
    (39)とを形成し,このスワール室(39)でスワー
    ルを付与された燃料を噴射させる燃料噴孔(40)を前
    記インジェクタプレート(36)に穿設した燃料噴射弁
    において,前記燃料噴孔(40)を,前記スワール室
    (39)の中心から前記横方向通路(38)の上流端側
    に所定距離(e)オフセットして配置したことを特徴と
    する燃料噴射弁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料噴射弁において,前
    記スワール室(39)の内周面の曲率を,該室(39)
    の入口側から出口側に向かって増加させたことを特徴と
    する燃料噴射弁。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の燃料噴射弁において,前
    記スワール室(39)の内周面を,該室(39)に基礎
    円(51)を持つインボリュート曲線(52)に沿って
    形成したことを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の燃料噴射弁において,前
    記基礎円(51)を,前記燃料噴孔(40)と同心状に
    配置すると共に該燃料噴孔(40)より小径としたこと
    を特徴する燃料噴射弁。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の燃料噴射
    弁において,前記横方向通路(38)及びスワール室
    (39)を,前記弁座部材(3)及びインジェクタプレ
    ート(36)間に接合される通路プレート(35)にス
    リット状に形成したことを特徴する燃料噴射弁。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の燃料噴射
    弁において,前記横方向通路(38)を複数放射状に配
    設すると共に,各横方向通路(38)の各スワール室
    (39)に開口する接線方向を一定にし,複数の前記ス
    ワール室(39)にそれぞれ開口する複数の前記燃料噴
    孔(40)を,これら燃料噴孔(40)からの噴射燃料
    により形成されて隣り合う中空円錐状の燃料噴霧フォー
    ム(F1)が互いに液膜部分を正面衝突させるように配
    置したことを特徴とする,燃料噴射弁。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の燃料噴射弁におい
    て,前記横方向通路(38)を,その断面積が前記スワ
    ール室(39)に向かって減少するように形成したこと
    を特徴とする,燃料噴射弁。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載の燃料噴射弁におい
    て,前記インジェクタプレート(36)の板厚を前記燃
    料噴孔(40)の内径より小さく設定したことを特徴と
    する,燃料噴射弁。
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