JP2003333805A - 電動モータ装置 - Google Patents

電動モータ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動モータの外径を大型化することなく、ブ
ラシホルダの内部に埋設された導体の取回し性を向上す
ること。 【解決手段】 電動モータ30において、ブラシホルダ
33にヨーク36の内径位置より径方向の外側に出るフ
ランジ93(張出部)を設け、そのフランジ93に導体
70の少なくとも一部を埋設してなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動パワーステアリ
ング装置等に使用される電動モータに関する。
【0002】
【従来の技術】電動パワーステアリング装置は、特開平
9-84300号公報に記載の如く、電動モータの回転軸に操
舵装置のアシスト軸を接続し、電動モータの回転力を操
舵装置に伝えることにより、運転者がステアリング軸に
付与する操舵力をアシストする。従来の電動モータは、
特許3207177に記載される如く、筒状のヨークと、ヨー
ク内に回転自在に設けられた回転軸と、ヨーク内に固定
されたマグネットを備える固定子と、回転軸に固定さ
れ、固定子の内側に挿入される回転子と、回転子のコン
ミテータに接触せしめられるブラシと、ブラシを保持
し、ヨークに結合されるブラシホルダと、ブラシホルダ
に埋設され、ブラシにピグテールを介して給電する複数
本の導体とを有して構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、ブラシ
ホルダにおけるヨークの内径位置より径方向の内側の狭
い限られた範囲内に、2極(+側と−側)のそれぞれを
なす2本の導体を埋設しており、導体の取回しに困難が
ある。
【0004】2本の導体をブラシホルダの内部で互いに
接触させずに、同一面上に配置するためには広い埋設範
囲を用意する必要があり、ヨークの内径を大きくする必
要があって電動モータの外径が大型化してしまう。電動
モータの大型化を回避するためには、2本の導体の配置
面を互いにずらす必要があり、導体は立体的に複雑な形
状になって曲げ加工を必要とし、高コストになる。
【0005】本発明の課題は、電動モータの外径を大型
化することなく、ブラシホルダの内部に埋設された導体
の取回し性を向上することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、筒状
のヨークとヨーク内に回転自在に設けられた回転軸と、
ヨーク内に固定されたマグネットを備える固定子と、回
転軸に固定され、固定子の内側に挿入される回転子と、
回転子のコンミテータに接触せしめられるブラシと、ブ
ラシを保持し、ヨークに結合されるブラシホルダと、ブ
ラシホルダに埋設され、ブラシに給電する複数本の導体
とを有してなる電動モータにおいて、ブラシホルダにヨ
ークの内径位置より径方向の外側に張り出る張出部を設
け、その張出部に導体の少なくとも一部を埋設してなる
ようにしたものである。
【0007】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て更に、前記複数本の導体が同一面上に配置されるよう
にしたものである。
【0008】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
の電動モータの回転軸をギヤハウジングに支持したアシ
スト軸に接続してなる電動パワーステアリング装置であ
って、ブラシホルダの張出部をフランジとし、電動モー
タのヨークのフランジとギヤハウジングの連結部間にブ
ラシホルダのフランジを挟持してなるようにしたもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は電動パワーステアリング装
置を一部破断して示す正面図、図2は図1のII−II線に
沿う断面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図
4はブラシホルダを示す正面図、図5は図4のV−V線に
沿う断面図である。
【0010】電動パワーステアリング装置10は、図
1、図2に示す如く、車体フレーム等に固定されるアル
ミ合金製のギヤハウジング11を有する。そして、ステ
アリングホイールが結合されるステアリング軸12にト
ーションバー13を介してピニオン軸14を連結し、こ
のピニオン軸14にピニオン15を設け、このピニオン
15に噛合うラック16Aを備えたラック軸16をギヤ
ハウジング11に左右動可能に支持している。ステアリ
ング軸12とピニオン軸14の間には、操舵トルク検出
装置17を設けてある。尚、ステアリング軸12とピニ
オン軸14は軸受12A、14A、14Bを介してギヤ
ハウジング11に支持される。ラック軸16は、一端を
ラックガイド18Aに、他端を軸受18Bに摺動自在に
支持される。そして、ラック軸16の中間部には左右の
タイロッド19A、19Bが連結される。
【0011】ギヤハウジング11には、図3に示す如
く、電動モータ30のモータケース31が固定され、電
動モータ30の回転軸32には接続体20を介してアシ
スト軸21が接続され、アシスト軸21はボールベアリ
ング等の軸受21A、21Bによりギヤハウジング11
に両端支持されている。そして、アシスト軸21の中間
部にウォームギヤ22を一体に備え、このウォームギヤ
22に噛合うウォームホイール23をピニオン軸14の
中間部に固定してある。電動モータ30の発生トルク
は、ウォームギヤ22とウォームホイール23の噛合
い、ピニオン15とラック16Aの噛合いを介してラッ
ク軸16に操舵アシスト力となって付与され、運転者が
ステアリング軸12に付与する操舵力をアシストする。
【0012】電動モータ30の回転軸32は、接続体2
0の内部に挿入され、接続体20の内周と回転軸32の
外周の間に所定のリミットトルクでスリップするトルク
リミッタ24を介装している。アシスト軸21は接続体
20の内部に挿入され、接続体20とスプライン結合さ
れている。トルクリミッタ24は、接続体20の内周と
回転軸32の外周の間に圧入等されて径方向に弾発支持
されるばね樹脂等の弾性リングからなる。電動パワース
テアリング装置10の通常使用されるトルク(リミット
トルクより小なるトルク)では、トルクリミッタ24の
弾発力により接続体20と回転軸32を滑りなく結合し
続け、他方、タイヤが操舵中に縁石に乗り上げる等によ
り、ラック軸16のストロークが急停止せしめられたと
きの電動モータ30の慣性トルクがトルクリミッタ24
の弾発力を越える衝撃トルク(リミットトルク以上のト
ルク)に対しては、回転軸32を接続体20に対してス
リップさせ、電動モータ30のトルクを接続体20の側
に伝達させないように機能する。
【0013】また、アシスト軸21はハウジング11に
対し、軸方向の双方向に弾性支持され、電動パワーステ
アリング装置10の反転駆動時や、タイヤの縁石乗り上
げ時等に、アシスト軸21に作用する過大推力を吸収可
能とする。具体的には、アシスト軸21のための軸受2
1A、21Bの外輪をギヤハウジング11に固定し、ア
シスト軸21を軸受21A、21Bの内輪に隙間嵌めす
る。そして、アシスト軸21にフランジ25、26を設
け、フランジ25と軸受21Aの内輪との間に予圧縮さ
れた弾性変形具27Aを、フランジ26と軸受21Bの
内輪との間に予圧縮された弾性変形具27Bを介装す
る。即ち、弾性変形具27A、27Bは、アシスト軸2
1への装填状態で、一定の予圧縮量(一定の衝撃緩和性
能)をもって組込まれ、結果としてアシスト軸21を軸
方向の双方向に弾性支持する。
【0014】ここで、電動モータ30は以下の如くに構
成される。電動モータ30は、モータケース31とブラ
シホルダ33がボルト34でギヤハウジング11に固定
され、回転軸32をモータケース31とブラシホルダ3
3のそれぞれに設けたボールベアリング等からなる軸受
31A、33Aで支持している。そして、電動モータ3
0は、モータケース31を構成する鉄等の磁性材料によ
り形成される筒状のヨーク36と、ヨーク36の内周の
周方向複数位置にマグネット収容区画37Aを形成する
絶縁性樹脂材料により形成された筒状体からなるマグネ
ットホルダ37と、マグネットホルダ37のマグネット
収容区画37Aに収容されて位置決め保持されるマグネ
ット38と、マグネットホルダ37に位置決め保持され
たマグネット38の内側に係合保持される非磁性材料の
極薄板により成形されたマグネットカバーとからなる固
定子35を有する。
【0015】また、電動モータ30は、固定子35の内
側に挿入されて回転軸32に固定される回転子41を有
する。回転子41は、回転軸32の外周に設けられるア
マチュアコア42とコンミテータ43とからなる。
【0016】また、電動モータ30は、回転子41のコ
ンミテータ43に接触せしめられる複数個(例えば4
個)のブラシ44(44A〜44D)と、ブラシ44を
保持するブラシホルダ33と、ブラシ44に接続される
給電コネクタ50とを有する。
【0017】電動モータ30は、ブラシ44から回転子
41のコンミテータ43を経てアマチュアコア42に給
電されると、アマチュアコア42の磁力線が固定子35
のマグネット38で発生している磁界を切ることによ
り、回転子41が回転する。
【0018】しかるに、ブラシホルダ33は図4、図5
に示す如くに構成される。ブラシホルダ33は、給電コ
ネクタ50を一体成形した、絶縁性樹脂材料からなる射
出成形体である。ブラシホルダ33は、短円筒体51の
一端側にモータケース31をインロー結合するととも
に、短円筒体51の他端側にギヤハウジング11をイン
ロー結合し、モータケース31とブラシホルダ33とギ
ヤハウジング11の3者を同軸結合可能とする。また、
ブラシホルダ33は、短円筒体51の一端側の周方向特
定位置に係合凹部52を形成し、マグネットホルダ37
の係合凸部37Bをこの係合凹部52に係合させること
により、マグネットホルダ37が位置決めする固定子3
5のマグネット38に対する、ブラシホルダ33が保持
するブラシ44の位置ずれをなくし、電動モータ30の
回転性能が正転方向と逆転方向で異なるものになること
を回避する。
【0019】ブラシホルダ33は、短円筒体51の内部
に仕切壁53を設け、この仕切壁53の中央部に、回転
軸32のためのボールベアリング等からなる前述の軸受
33Aを一体にインサート成形して備える。
【0020】ブラシホルダ33は、仕切壁53のコンミ
テータ43に臨む端面の周方向複数位置(例えば4位
置)にブラシ保持部54を設け、各ブラシ保持部54に
ブラシ44をスライド可能に挿入するための貫通孔55
を形成している。貫通孔55はブラシ44をコンミテー
タ43の側にスライド突出可能に納めてこれを位置決め
保持する。ブラシホルダ33は、貫通孔55に挿入した
ブラシ44をバックアップ支持し、ブラシ44を貫通孔
55の先端開口から突出させてコンミテータ43に回転
軸32の径方向から押接せしめるブラシスプリング60
を付帯して備える。
【0021】ブラシホルダ33は、ブラシ保持部54の
背面両側に配置されるスプリング受部56、56を一体
に設け、ブラシスプリング60の狭幅Aの本体部61を
貫通孔55に挿入し、広幅Bの支持座62をこのスプリ
ング受部56に係合可能としている。両スプリング受部
56、56は、貫通孔55を成形する中子型の抜き領域
に干渉することのない間隔Cを介するように、貫通孔5
5の投影領域の外側に配置される。ブラシ保持部54は
貫通孔55の天井部に、ブラシ44のピグテール45
(45A〜45D)の移動を許容する長孔部55Aを備
える。
【0022】尚、図4は4個のブラシ保持部54のう
ち、2個のブラシ保持部54にブラシ44とブラシスプ
リング60を組込み、残りの2個のブラシ保持部54に
はブラシ44だけを組込んだ組込過程状態を示すもので
ある。
【0023】ブラシホルダ33は、前述の如く、給電コ
ネクタ50を短円筒体51の外側に一体成形するととも
に、2極(+側と−側)のそれぞれをなす2本の平板状
導体(バスバー)70、80を仕切壁53〜給電コネク
タ50に延在させるようにインサート成形にて埋設して
いる。導体70の給電端子70Aは給電コネクタ50の
内部に配置するようにインサート成形され、2個のブラ
シ44A、44Bに接続されたピグテール45A、45
Bのそれぞれが導体70の接続部71、72のそれぞれ
に接続される。導体80の給電端子80Aも給電コネク
タ50の内部に配置するようにインサート成形され、2
個のブラシ44C、44Dに接続されたピグテール45
C、45Dのそれぞれが導体80の接続部81、82の
それぞれに接続される。
【0024】ここで、電動パワーステアリング装置10
にあっては、モータケース31を構成するヨーク36に
フランジ91を、ギヤハウジング11にフランジ92を
設けるとともに、ブラシホルダ33にもフランジ93
(張出部)を設け、前述のボルト34により、フランジ
91とフランジ92の間にフランジ93を挟持する。ブ
ラシホルダ33のフランジ93は、短円筒体51の外周
に設けられ、ヨーク36の内径位置より径方向の外側に
張り出る本発明の張出部を構成し、導体70の一部を埋
設している。そして、導体70と導体80をブラシホル
ダ33の内部の同一平面上に載置するものとしている。
【0025】本実施形態によれば以下の作用がある。 (請求項1に対応する作用) ブラシホルダ33においてヨーク36の内径位置より
外側に張り出した張出部としてのフランジ93に導体7
0を埋設した。従って、ヨーク36の内径を拡径するこ
となく、ブラシホルダ33における導体70の埋設スペ
ースを上記フランジ93まで拡張でき、電動モータ30
の外径を大型化することなく、導体70、80の配置ス
ペースを拡大でき、取回し性を向上できる。
【0026】(請求項2に対応する作用) 上述により、電動モータ30の外径を大型化するこ
となく、2本の導体70、80をブラシホルダ33の内
部で同一面上に配置することができ、導体70、80の
形状を立体的に複雑にすることなく、曲げ加工等を不要
にし、低コスト化できる。
【0027】(請求項3に対応する作用) 電動モータ30のヨーク36のフランジ91とギヤハ
ウジング11のフランジ92の間に挟持されるブラシホ
ルダ33のフランジ93に導体70の一部を埋設した。
従って、ヨーク36のフランジ91とギヤハウジング1
1のフランジ92の大径の連結スペース間を、ブラシホ
ルダ33において拡張される上述の、導体70の埋設
スペースとして有効に利用でき、組付性も良い。
【0028】尚、ブラシホルダ33のフランジ93に
は、導体70だけでなく、導体80も埋設するものであ
っても良い。
【0029】以上、本発明の実施の形態を図面により記
述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の
設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本
発明の張出部はブラシホルダの全周に渡るものであるこ
とを必ずしも要さない。また、本発明の張出部はヨーク
のフランジとギヤハウジングの間に挟持されることを必
ずしも要さない。
【0030】また、本発明のブラシは回転軸32の軸方
向に沿う方向でコンミテータに対向して押接せしめられ
るものでも良い。また、本発明の導体は必ずしも平板状
であることを必要とせず、棒状等の他の断面形状からな
るものでも良い。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電動モー
タの外径を大型化することなく、ブラシホルダの内部に
埋設された導体の取回し性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は電動パワーステアリング装置を一部破断
して示す正面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4はブラシホルダを示す正面図である。
【図5】図5は図4のV−V線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置 11 ギヤハウジング 21 アシスト軸 30 電動モータ 32 回転軸 33 ブラシホルダ 35 固定子 36 ヨーク 38 マグネット 41 回転子 43 コンミテータ 44、44A〜44D ブラシ 70、80 導体 91、92 フランジ 93 フランジ(張出部)
フロントページの続き Fターム(参考) 3D033 CA03 CA21 5H605 AA07 BB05 BB09 CC03 CC06 CC07 DD09 EA02 EA25 EC05 GG18 5H613 AA02 BB04 BB15 BB26 GA14 GA17 GB01 KK03 PP03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状のヨークと、 ヨーク内に回転自在に設けられた回転軸と、 ヨーク内に固定されたマグネットを備える固定子と、 回転軸に固定され、固定子の内側に挿入される回転子
    と、 回転子のコンミテータに接触せしめられるブラシと、 ブラシを保持し、ヨークに結合されるブラシホルダと、 ブラシホルダに埋設され、ブラシに給電する複数本の導
    体とを有してなる電動モータにおいて、 ブラシホルダにヨークの内径位置より径方向の外側に張
    り出る張出部を設け、その張出部に導体の少なくとも一
    部を埋設してなることを特徴とする電動モータ。
  2. 【請求項2】 前記複数本の導体が同一面上に配置され
    る請求項1に記載の電動モータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の電動モータの回
    転軸をギヤハウジングに支持したアシスト軸に接続して
    なる電動パワーステアリング装置であって、 ブラシホルダの張出部をフランジとし、 電動モータのヨークのフランジとギヤハウジングの連結
    部間にブラシホルダのフランジを挟持してなる電動パワ
    ーステアリング装置。
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