JP2003321545A - 光カチオン硬化性樹脂の製造方法 - Google Patents

光カチオン硬化性樹脂の製造方法

Info

Publication number
JP2003321545A
JP2003321545A JP2002127674A JP2002127674A JP2003321545A JP 2003321545 A JP2003321545 A JP 2003321545A JP 2002127674 A JP2002127674 A JP 2002127674A JP 2002127674 A JP2002127674 A JP 2002127674A JP 2003321545 A JP2003321545 A JP 2003321545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
curable resin
compound
acidic
ion exchange
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002127674A
Other languages
English (en)
Inventor
Seitaro Tajima
誠太郎 田島
Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP2002127674A priority Critical patent/JP2003321545A/ja
Publication of JP2003321545A publication Critical patent/JP2003321545A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】加水分解縮合反応により光カチオン硬化性樹脂
組成物を製造する際、加水分解縮合後の工程に要する時
間を短縮し、洗浄工程で大量の廃水が発生する問題を解
消して、光カチオン硬化性樹脂組成物の効率的な製造方
法を提供する。 【解決手段】オキセタニル基を持つ有機官能基1つと加
水分解性基3つがSiに結合した有機ケイ素化合物を加
水分解縮合させて光カチオン硬化性樹脂を製造するに際
して、酸性又はアルカリ性の触媒を存在させて前記有機
ケイ素化合物を加水分解縮合した後、反応液中に残った
酸性又はアルカリ性のイオンとのイオン交換能を有する
イオン交換体と反応液を接触させて反応液を中性にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加水分解縮合反応
を利用してオキセタニル基を有する光カチオン硬化性樹
脂を製造する方法に関する。本発明により得られる光カ
チオン硬化性樹脂は、光硬化性及び高硬度の皮膜を形成
する能力に優れているので、ハードコート剤として有用
であり、シリコーンを併用したものは耐汚染性塗料、落
書き防止用コーティング剤等の原材料として有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】ラジカル重合は、空気中の酸素によって
阻害されるため、ラジカル重合性モノマーを速やかに且
つ完全に重合させるためには、不活性雰囲気下で重合を
行う必要がある。
【0003】これに対して光カチオン重合性モノマー
は、酸素による重合阻害を受けないため、空気中におい
ても完全に重合させることができる。光カチオン重合性
モノマーとして、オキセタニル基を有する化合物が知ら
れている。
【0004】米国特許第3,338,867号明細書に
おいて下式(6)で表される化合物の加水分解縮合生成
物が記載されているが、加水分解縮合及びその後の生成
物取得工程については一切記載がない。
【0005】
【化5】
【0006】特開平11−29640号公報において、
下式(7)に示す化合物の加水分解により、オキセタニ
ル基を有するシルセスキオキサン化合物からなる光カチ
オン硬化性組成物を製造する方法が開示されている。
【0007】
【化6】
【0008】(但し、R0はオキセタニル基を持つ有機官
能基であり、Xは加水分解性基である。)
【0009】また、特開平11−199673号公報に
おいて、上式(7)に示す化合物と、一分子中に一つ以上
のシロキサン結合生成基を有する反応性シリコーンとの
混合物を加水分解して光カチオン硬化性樹脂組成物を製
造する方法が開示されている。
【0010】オキセタニル基を有する化合物は、酸性下
ではゲル化する傾向があり、アルカリ性下では逆に硬化
し難くなる。従って、オキセタニル基を有する化合物を
安定な状態で入手するためには、オキセタニル基を有す
る化合物を含有する液を中性にする必要がある。特開平
11−199673号公報や特開平11−29640号
公報に開示された、上記の加水分解縮合反応による光カ
チオン硬化性樹脂組成物の製造方法では、アンモニア等
のアルカリ性触媒を除去するために、非常に煩雑な操作
が必要であった。即ち、加水分解縮合後、 加水分解縮合反応工程で使用した、反応系を均一に溶
解するための水混和性有機溶媒の除去工程、 非水溶性有機溶媒への溶媒置換工程、 大量の水によるアルカリ性触媒洗浄工程、 無水硫酸ナトリウムのような乾燥剤による乾燥工程、 乾燥剤のロ過工程、 非水溶性有機溶媒の除去工程 を経る必要があった。これらのうちの洗浄工程では、
大量のアルカリ性廃水が発生し、その処理にコストがか
かるというだけでなく、生成物によっては水層と有機層
の比重差が小さいために分離に時間がかかるという問題
があった。このような場合、通常は食塩等の比重調節剤
を添加し分離時間を短縮するが、生成物の用途によって
はNa+やCl-等のイオン性不純物を極端に嫌うケース
があり、比重調節剤が使用できず製造に長時間かかると
いう問題があった。また、のロ過工程も非常に時間が
かかり、所要時間の短縮化が望まれていた。
【0011】上記の洗浄工程を改善するため中和工程
を導入すれば、アルカリ性触媒の除去効率は上がるが、
上記以外の上記〜の工程を必要とするため、製造
が煩雑であることには変りない。
【0012】一方、特開平6−279589号公報にお
いて、球状シリコーン微粒子の製造方法が開示されてい
る。この製造方法は、シルセスキオキサン又はシリコー
ン及び/又はシリカからなるオルガノポリシロキサンを
水酸化アルカリの水溶液で溶解した後、イオン交換法に
より陽イオンを除き、その後水溶液のPH値を10以上に
調整して加熱することによりゲル化させる方法である。
特開平6−279589号公報におけるイオン交換は、
加水分解して得られたオルガノポリシロキサンの水溶液
中の陽イオンと陰イオンを一旦除去するために実施され
る工程であり、この工程後に、水溶液のpH値は、球状
シリコーン微粒子を製造するに適した特性の値に制御さ
れる。特開平6−279589号公報におけるイオン交
換では、イオン交換樹脂と接触させる水溶液にオキセタ
ニル基のような反応性の高い官能基を有する化合物は存
在せず、イオン交換法がオキセタニル基を有する光カチ
オン硬化性樹脂組成物の製造方法に適用できることにつ
いては全く開示も示唆もない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加水分解縮
合反応により光カチオン硬化性樹脂組成物を製造する
際、加水分解縮合後の工程に要する時間を短縮し、洗浄
工程で大量の廃水が発生する問題を解消して、光カチオ
ン硬化性樹脂組成物の効率的な製造方法を提供すること
を課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、加水分解縮合工程後にイオン交換
体による処理工程を導入することを試みた。一般的にオ
キセタニル基を有する化合物は、酸性下ではゲル化しや
すい傾向があるため、試験前には、オキセタニル基を有
する化合物と酸性基を有する陽イオン交換体とが接触す
るとイオン交換処理中にゲル化が起こると予想された。
しかし、実際には予想に反して、オキセタニル基の重合
反応は起こらず、オキセタニル基を有する化合物を含有
する液からアルカリイオンを効率的に除去できることを
見出して、本発明を完成するに至った。
【0015】即ち、本発明は、下記式(1)で示される
有機ケイ素化合物(A)の加水分解縮合物からなる光カ
チオン硬化性樹脂を製造するに際して、酸性又はアルカ
リ性の触媒を存在させて下記式(1)で示される有機ケ
イ素化合物を加水分解縮合した後、反応液中に残った酸
性又はアルカリ性のイオンとのイオン交換能を有するイ
オン交換体と反応液を接触させて反応液を中性にするこ
とを特徴とする光カチオン硬化性樹脂の製造方法であ
る。
【0016】
【化7】
【0017】(上式において、R0はオキセタニル基を持
つ有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、Xは互
いに同一であっても異なっていても良い。)
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [1]原料 本発明における原料は、下記有機ケイ素化合物(A)で
ある。また、所望によりシロキサン結合生成基を有しオ
キセタニル基を有しない有機ケイ素化合物(B)を併用
することができる。
【0019】[1−1]有機ケイ素化合物(A) 本発明における有機ケイ素化合物(A)は、下記式
(1)で表される化合物である。
【0020】
【化8】
【0021】(上式において、R0はオキセタニル基を持
つ有機官能基であり、Xは加水分解性基であり、Xは互
いに同一であっても異なっていても良い。)
【0022】上記式(1)における加水分解性基Xは、
加水分解性を有する基であれば特に限定されない。好ま
しいXは、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコ
キシ基またはアリールオキシ基等であり、より好ましい
Xは、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはアリー
ルオキシ基である。これは、Xがハロゲン原子である場
合には加水分解によりハロゲン化水素が生じるので反応
系が酸性雰囲気となりやすく、このためオキセタニル基
が開環する恐れがあるためである。
【0023】上記「アルコキシ基」としては、例えばメ
トキシ基、エトキシ基、n−およびi−プロポキシ基、
n−、i−およびt−ブトキシ基等が挙げられる。ま
た、「シクロアルコキシ基」の例としてはシクロヘキシ
ルオキシ基等が、「アリールオキシ基」の例としてはフ
ェニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、アルコ
キシ基の加水分解性が良好であることから、好ましいX
は炭素数1〜3のアルコキシ基である。また、原料の入
手が容易であることや、加水分解反応が制御しやすいこ
とから、特に好ましいXはエトキシ基である。
【0024】上記式(1)におけるR0は、オキセタニ
ル基をもつ有機官能基である。本発明において好ましい
0は、炭素数が20個以下のものであり、特に好まし
いR0は、下記式(2)に示す構造式で表される有機官
能基である。
【0025】
【化9】
【0026】(但し、R6は水素原子または炭素数1〜6
のアルキル基であり、R7は炭素数2〜6のアルキレン基
である。)
【0027】この式(2)において、R6は水素原子ま
たは炭素数1〜6のアルキル基であり、エチル基が好ま
しい。また、R7は炭素数2〜6のアルキレン基であ
り、プロピレン基が好ましい。これは、このような有機
官能基を形成するオキセタン化合物の入手あるいは合成
が容易なためである。また、式(2)におけるR6また
はR7の炭素数が7以上であると、硬化物の表面硬度が
不足しやすいので好ましくない。
【0028】[1−2]有機ケイ素化合物(B) 本発明における有機ケイ素化合物(B)は、シロキサン
結合生成基を有しオキセタニル基を有しない有機ケイ素
化合物であり、好ましい例は、下記式(5)で表される
化合物及び直鎖状または分岐を有する反応性線状シリコ
ーンである。
【0029】(R8nSiX’4-n (5)
【0030】(但し、X’はシロキサン結合生成基であ
り、R8はアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基であり、nは1〜3の整数である。)
【0031】上記式(5)において、X’「シロキサン
結合生成基」は、加水分解により上記式(1)に示す構造
式で表される化合物(以下、「化合物(1)」という。)
のケイ素原子との間にシロキサン結合を生成し得る基を
いい、例えば水素原子、水酸基、アルコキシ基、シクロ
アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子などで
ある。これらの内、ハロゲン原子以外のものが好まし
い。X’がハロゲン原子である場合には、加水分解によ
りハロゲン化水素が生じるので反応系が酸性雰囲気とな
りやすく、このためオキセタニル基等が開環する恐れが
あるためである。
【0032】上記式(5)におけるR8はアルキル基、
シクロアルキル基またはアリール基から選択される置換
基である。好ましいアルキル基の炭素数は1〜6であ
り、より好ましくは炭素数1〜4である。アルキル基の
好ましい例として、例えばメチル基、エチル基、n−お
よびi−プロピル基、n−、i−およびt−ブチル基等
が挙げられる。また、「シクロアルキル基」の例として
はシクロヘキシル基等があり、「アリール基」の例とし
てはフェニル基等がある。
【0033】上記式(5)で表される化合物を以下に例
示する。即ち、nが1の場合、具体的にはメチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシ
シラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘ
キシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン及びフェニルトリエトキシシランである。
【0034】nが2の場合、具体的にはジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメ
トキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチ
ルフェニルジメトキシシラン及びメチルフェニルジエト
キシシランである。
【0035】nが3の場合、具体的にはトリメチルメト
キシシラン及びトリメチルエトキシシランである。
【0036】上記式(5)に示す化合物は、シルセスキ
オキサン化合物中のオキセタニル基当量を低減させ、シ
ルセスキオキサン化合物の分子量を下げずに粘度を低く
したり、架橋密度を下げることにより硬化収縮率をさげ
る目的で導入され、とりわけ好ましい例としてはメチル
トリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランが
挙げられる。
【0037】反応性線状シリコーンタイプの好ましい有
機ケイ素化合物(B)は、下記式(3)または下記式
(4)に示す構造式で表される化合物である。
【0038】
【化10】
【0039】(但し、X’はシロキサン結合生成基であ
り、R1およびR4はそれぞれアルコキシ基、シクロアルコ
キシ基、アリールオキシ基、アルキル基、シクロアルキ
ル基またはアリール基から選択される置換基であり、R2
およびR3はそれぞれアルキル基、シクロアルキル基また
はアリール基であり、nは1〜10,000の整数であ
る。)
【0040】
【化11】
【0041】(但し、X’はシロキサン結合生成基であ
り、R1およびR4はそれぞれアルコキシ基、シクロアルコ
キシ基、アリールオキシ基、アルキル基、シクロアルキ
ル基またはアリール基から選択される置換基であり、
R2、R3およびR5はそれぞれアルキル基、シクロアルキル
基またはアリール基であり、nは1〜10,000の整
数である。)
【0042】上記式(3),(4)におけるX’は上記
式(5)におけるX’と同義である。
【0043】上記式(3),(4)において、R1およ
びR4はそれぞれアルコキシ基、シクロアルコキシ基、
アリールオキシ基、アルキル基、シクロアルキル基また
はアリール基から選択される置換基である。化合物一分
子中に含まれる二つのR1およびR4は、同じであっても
異なっていてもよい。
【0044】また、上記式(3),(4)において、R
2およびR3はそれぞれアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリール基である。R2とR3とは同じであっても異
なっていてもよい。さらに、一分子中に含まれるn個の
2は全て同じ基であっても二種以上の異なる基であっ
てもよく、R3についても同様である。上記式(4)に
おいてR5はアルキル基、シクロアルキル基またはアリ
ール基である。
【0045】この反応性線状シリコーンにおける好まし
いアルキル基の炭素数は、1〜6であり、より好ましく
は1〜4である。好ましいアルキル基の具体例は、メチ
ル基、エチル基、n−およびi−プロピル基、n−、i
−およびt−ブチル基等である。また、「シクロアルキ
ル基」の例としてはシクロヘキシル基等が、「アリール
基」の例としてはフェニル基等が挙げられる。「アルコ
キシ基」、「シクロアルコキシ基」および「アリールオ
キシ基」の例としては、化合物(1)の説明において上
述したものと同様の基が挙げられる。
【0046】これらのうち、R1およびR4がアルコキシ
基、シクロアルコキシ基またはアリールオキシ基である
と、これらの基は「シロキサン結合生成基」としても機
能することから、この反応性線状シリコーンと、上記式
(1)の加水分解縮合反応の結果生じるシルセスキオキ
サン骨格との結合がより強固なものとなり得る。したが
って、硬化物において未反応の反応性シリコーンのブリ
ードが確実に防止されるという利点がある。特に、R1
およびR4がメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基またはi−プロポキシ基である場合には、これらの基
の加水分解性が良好であるため好ましい。一方、R1
よびR4がアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
ル基である場合には、このような反応性シリコーンの価
格が低くかつ入手が容易であるという利点がある。
【0047】また、R2およびR3はメチル基またはエチ
ル基であることが好ましく、R2およびR3の全てがメチ
ル基であることがさらに好ましい。このような反応性シ
リコーンは価格が低くかつ入手が容易であるとともに、
剥離性、表面潤滑性および撥水・撥油性等のいわゆる
「シリコーンの特性」を付与しやすいためである。ま
た、式(4)に示す化合物の製造上の理由から、R5
アルキル基であることが好ましい。このアルキル基とし
ては、炭素数1〜4のものが好ましく、具体的にはメチ
ル、エチル、n−またはi−プロピル、n−、i−また
はt−ブチルなどが好ましい。
【0048】上記式(3)および(4)におけるnは1
〜10,000の整数である。nが10,000を超え
ると、反応性線状シリコーンの粘度が高すぎて取り扱い
が困難となり、またこの反応性線状シリコーンがシルセ
スキオキサンに導入されにくくなる。このnは10〜1
00の整数であることがとりわけ好ましい。この範囲で
あれば著しく高粘度となることはなく、実用上十分な反
応性を有し、しかもシリコーン鎖がある程度以上の長さ
を有するので硬化物においてシリコーンの特性が良好に
発揮される。
【0049】[2]製造工程 本発明の製造方法は、上記の原料に対して、加水分解
縮合工程、イオン交換樹脂による処理工程及び加水
分解縮合反応工程で使用した、水混和性有機溶媒の除去
工程の3工程を実施するものである。
【0050】[2−1]加水分解縮合
【0051】[2−1−1]pH 加水分解縮合工程では、上記式(1)に示す化合物を加
水分解する際、系をpH7以上の雰囲気とすることが好
適である。これは、酸性雰囲気下で加水分解を行うとオ
キセタニル基等が開環しやすく、これにより系がゲル化
したり、オキセタニル基等が消費されることから組成物
の硬化性が低下したりするためである。但し、製品の外
観が特に重要視される場合には、上記式(1)に示す化
合物を加水分解する際、系のpHを2〜6の酸性雰囲気
としても良い。 [2−1−2]触媒 上記のように加水分解時の雰囲気を通常はpH7以上と
するため、系内にアルカリ性触媒を添加する。好ましい
アルカリ性触媒としては、アンモニア、4級アンモニウ
ム塩、有機アミン類等が使用可能であり、なかでも活性
が高い4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
【0052】系のpHを酸性雰囲気とする場合、酸性触
媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン
酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸等が使用可能であり、
なかでも入手が容易な塩酸を用いることが好ましい。
【0053】[2−1−3]有機溶媒 加水分解時に用いる有機溶媒は特に限定されず、例えば
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類;テトラヒドロフラン、トルエン、
1,4−ジオキサン、ヘキサン、リグロイン等を用いる
ことができる。このうち1種類もしくは2種類以上の混
合溶媒を用いて、反応系を均一な溶液にすることが好ま
しい。
【0054】[2−1−4]反応温度と反応時間 加水分解時における好ましい反応温度は10〜120℃
であり、より好ましくは20〜80℃である。加水分解
のための好適な反応時間は2〜30時間であり、より好
ましくは4〜24時間である。
【0055】[2−1−5]生成物 上記有機ケイ素化合物(A)の加水分解縮合物は、上記
式(1)における加水分解性基Xが加水分解して形成さ
れた三次元の(Si−O−Si)結合からなり、且つオ
キセタニル基を有するシルセスキオキサン化合物であ
る。
【0056】化合物(1)の加水分解によって生成した
光カチオン硬化性組成物は、ハシゴ状、カゴ状又はラン
ダム状の構造を有するシルセスキオキサン化合物からな
り、この組成物は、一種類のシルセスキオキサン化合物
のみを含有してもよいし、構造又は分子量の異なった二
種以上のシルセスキオキサン化合物を含んでもよい。
【0057】尚、加水分解によって生成されたシルセス
キオキサン化合物においては、化合物(1)における加
水分解性基のうち90%以上が縮合されていることが好
ましく、加水分解性基の実質的に全てが縮合されている
ことが更に好ましい。残存する加水分解性基の割合が1
0%を超えると、シルセスキオキサン構造が十分に形成
されないため皮膜の硬度が低下したり、組成物の貯蔵安
定性が低下したりする恐れがある。ここで「加水分解性
基の実質的に全てが縮合されている」ことは、例えば、
得られたシルセスキオキサン化合物のNMRチャートに
おいて加水分解性基に基づくピークが観察されないこと
により確認できる。
【0058】上記有機ケイ素化合物(A)と上記有機ケ
イ素化合物(B)の混合物を加水分解縮合させた時の生
成物は、同様にオキセタニル基を有するシルセスキオキ
サン化合物であるが、有機ケイ素化合物(A)のみを加
水分解縮合させた場合に比較して、有機ケイ素化合物
(B)の割合に調整することにより適宜オキセタニル基
の濃度を小さくして、光カチオン硬化性を所望により適
度に制御できる特徴を有するものである。上記式(5)
で表される有機ケイ素化合物(B)と上記有機ケイ素化
合物(A)の混合物を加水分解縮合させた時の生成物
は、オキセタニル基当量が低減されたシルセスキオキサ
ン化合物からなる。この化合物は、粘度が低く取り扱い
やすく、硬化収縮率を低減化したものとして有用であ
る。上記式(3)又は式(4)で表される有機ケイ素化
合物(B)及び上記有機ケイ素化合物(A)の混合物を
加水分解縮合させた時の生成物は、化合物(1)と上記
反応性線状シリコーンが共縮合された化合物であり、部
分的にシリコーン鎖が導入されたオキセタニル基を有す
るシルセスキオキサン化合物からなる。シルセスキオキ
サン化合物中にシリコーン鎖が導入されたことにより、
この生成物の硬化物にはシリコーンの特性が付与され
る。この生成物の場合、化合物(1)を単独で加水分解し
て得られたシルセスキオキサン化合物にシリコーン系化
合物を混合した場合とは異なり、シリコーン鎖はシルセ
スキオキサン化合物に化学結合されているので、シルセ
スキオキサン化合物とシリコーン系化合物との相溶性が
問題となることはない。
【0059】本発明により得られるシルセスキオキサン
化合物は、その数平均分子量が600〜5,000であ
ることが好ましく、1,000〜3,000であること
が更に好ましい。数平均分子量が600未満であると、
この組成物から形成される皮膜において十分な硬度が得
られない場合がある。また、組成物の粘度が低くなるの
で、この組成物をハードコード剤組成物として用いる場
合において塗布面にハジキを生じやすい。一方、数平均
分子量が5,000を超えると組成物の粘度が高くなり
過ぎて、取り扱い性が困難であるとともにこの組成物を
ハードコード剤組成物として用いる場合において塗工性
が低下する。特に、この組成物をハードコート剤組成物
として用いる場合には、組成物中に含まれる全シルセス
キオキサン化合物に対して、数平均分子量1,000〜
3,000のシルセスキオキサン化合物の割合が50重
量%以上であることが好ましく、70重量%以上である
ことが更に好ましい。尚、本明細書中における数平均分
子量は、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー
(GPC)によるポリスチレン換算の分子量である。
【0060】[2−2]イオン交換 イオン交換体による処理工程は、加水分解縮合工程で用
いたアルカリ性又は酸性の触媒を除去することを目的と
する。従って、イオン交換体の総交換容量は用いた触媒
のモル数より大きな値に設定することが必要である。
【0061】以下に、イオン交換体及びイオン交換処理
方法について説明する。 [2−2−1]無機イオン交換体 好ましい陽イオン交換体して、ゼオライト、ヒドロキシ
アパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタ
ン酸カリウム及び含水酸化アンチモン等がある。好まし
い陰イオン交換体として、含水酸化ビスマス、含水酸化
ジルコニウム、ハイドロタルサイト等がある。
【0062】[2−2−2]イオン交換樹脂 加水分解縮合工程でアルカリ性触媒を使用した場合には
酸性イオン交換樹脂を用い、酸性触媒を使用した場合に
は塩基性イオン交換樹脂を用いてイオン交換処理を行
う。
【0063】好ましい酸性イオン交換樹脂として、強酸
性ゲル形イオン交換樹脂、弱酸性ゲル形イオン交換樹
脂、強酸性ポーラス形イオン交換樹脂、弱酸性ポーラス
形イオン交換樹脂、強酸性MR形イオン交換樹脂及び弱
酸性MR形イオン交換樹脂等があり、これらを組み合わ
せて使用することができる。使用する際にはH型で用い
られ、通常は一般に市販されているNa型樹脂を塩酸ま
たは硫酸などの水溶液で処理し、H型に変換し、洗浄後
用いる。
【0064】強酸性ゲル形イオン交換樹脂として、三菱
化学製ダイヤイオンSK1B、SK104、SK11
0、SK112、SK116(以上三菱化学株式会社製
商品名)、オルガノ製アンバーライトIR120B N
a、 IR124 Na(以上オルガノ株式会社製商品
名)等がある。弱酸性ゲル形イオン交換樹脂として、三
菱化学製WK10、WK11、WK100、WT01
S、WK40等(以上三菱化学株式会社製商品名)があ
る。強酸性ポーラス形イオン交換樹脂として、三菱化学
製ダイヤイオンPK208、PK212、PK216、
PK216、PK220、PK228、HPK25(以
上三菱化学株式会社製商品名)等がある。強酸性MR形
イオン交換樹脂として、オルガノ製アンバーライト20
0CTNa(オルガノ株式会社製商品名)があり、弱酸
性MR形イオン交換樹脂として、オルガノ製アンバーラ
イトIRC50(オルガノ株式会社製商品名)等があ
る。
【0065】加水分解縮合工程でアルカリ性触媒を用い
かつ有機溶媒を使用する場合には、有機溶媒不溶性の酸
性イオン交換樹脂が用いられ、このような酸性イオン交
換樹脂としては、強酸性MR形イオン交換樹脂のオルガ
ノ製アンバーリスト15DRY、15WET、16WE
T、35WET(以上オルガノ株式会社製商品名)等
や、強酸性ゲル形イオン交換樹脂のオルガノ製アンバー
リスト31WET(オルガノ株式会社製商品名)、三菱
化学製ダイヤイオンPK220、PK228(以上三菱
化学株式会社製商品名)等、また弱酸性ゲル形イオン交
換樹脂の三菱化学製ダイヤイオンWK10、WK11、
WK40、WK100、WT01S(以上三菱化学株式
会社製商品名)等が挙げられる。
【0066】好ましい塩基性イオン交換樹脂として、強
塩基性ゲル形イオン交換樹脂、弱塩基性ゲル形イオン交
換樹脂、強塩基性ポーラス形イオン交換樹脂、弱塩基性
ポーラス形イオン交換樹脂、強塩基性MR形イオン交換
樹脂及び弱塩基性MR形イオン交換樹脂等があり、これ
らを組み合わせ使用することができる。使用する際には
OH型で用いられ、通常は一般に市販されているCl型
樹脂を水酸化ナトリウム等の水溶液で処理し、OH型に
変換し、洗浄後用いる。
【0067】強塩基性ゲル形イオン交換樹脂として、三
菱化学製ダイヤイオンSA10A、SA11A、SA1
2A、NSA100、SA20A、SA21A(以上三
菱化学株式会社製商品名)、オルガノ製アンバーライト
IRA400J、IRA402BL、IRA410J、
IRA411、IRA458RF(以上オルガノ株式会
社製商品名)等がある。弱塩基性ゲル形イオン交換樹脂
として、三菱化学製ダイヤイオンWA10(三菱化学株
式会社製商品名)、オルガノ製アンバーライトIRA6
7(オルガノ株式会社製商品名)等が挙げられ、強塩基
性ポーラス形イオン交換樹脂としては、三菱化学製ダイ
ヤイオンPA308、PA312、PA316、PA4
08、PA412、PA418、HPA25、HPA7
567(以上三菱化学株式会社製商品名)等が挙げら
れ、弱塩基性ポーラス形イオン交換樹脂としては、三菱
化学製ダイヤイオンWA20、WA21J、WA306
7(以上三菱化学株式会社製商品名)等が挙げられ、強
塩基性MR形イオン交換樹脂としては、オルガノ製アン
バーライトIRA900J、IRA910CT、アンバ
ーリストA26、A2767(以上オルガノ株式会社製
商品名)等が挙げられ、弱塩基性MR形イオン交換樹脂
としてはオルガノ製アンバーライトIRA96SB、ア
ンバーリストA21(以上オルガノ株式会社製商品名)
等が挙げられる。
【0068】加水分解縮合工程で酸性触媒を用いかつ有
機溶媒を使用する場合には、有機溶媒不溶性の塩基性イ
オン交換樹脂が用いられ、このような塩基性イオン交換
樹脂としては、強塩基性ポーラス形イオン交換樹脂の三
菱化学製ダイヤイオンPA316、PA418、HPA
25、HPA75(以上三菱化学株式会社製商品名)等
や、弱塩基性ポーラス形イオン交換樹脂の三菱化学製ダ
イヤイオンWA20、WA21J、WA30(以上三菱
化学株式会社製商品名)等、強塩基性MR形イオン交換
樹脂のオルガノ製アンバーリストA26、A27(以上
オルガノ株式会社製商品名)等、弱塩基性MR形イオン
交換樹脂のオルガノ製アンバーリストA21(オルガノ
株式会社製商品名)等が挙げられる。
【0069】[2−2−3]イオン交換処理方法 イオン交換処理方法は、シルセスキオキサン化合物を含
有する反応溶液とイオン交換体とを同一容器に入れ、撹
拌処理するか、またはカラムにイオン交換体を充填し、
流通式で用いる。一般的にはカラム流通式が操作しやす
い利点があり、好ましく用いられる。
【0070】カラム流通式の場合の流速は特に限定する
ものではないが、通常SV{(l/hr)/イオン交換
体量(リットル)[hr-1]}で表せば、0.5〜10
程度で実施され、好ましくは1.0〜5.0程度であ
る。
【0071】イオン交換時の温度も広い範囲から選択で
きるが、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃で用い
る。
【0072】[2−3]有機溶媒の除去 イオン交換体による処理後は、加水分解縮合反応工程で
使用した、水混和性有機溶媒の除去を行うが、この工程
は常圧ないし減圧下で通常の蒸留操作を行えばよい。イ
オン交換処理工程で水が生成するが、この水は水混和性
有機溶媒との共沸により除去されるため特に最終製品の
品質に影響を与えない。
【0073】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明す
る。 (合成例1)攪拌機、温度計及び冷却機を備えた反応器
に、下記式(8)で示される3−エチル−3−アリルオ
キシメチルオキセタン(以下、「Oxe−TRIES」
とも表す)12.37g(38.6mmol)、水酸化テト
ラメチルアンモニウム(以下、「Me4NOH」とも表
す)の10%水溶液1.05g(H2O;52.5mmo
l、Me4NOH;1.2mmol)、水1.14g(63.
3mmol)及び溶媒としての1,4−ジオキサン300m
lを仕込み、攪拌しながら16時間加熱還流させた。こ
のとき、反応系のpHは12.1であった。
【0074】
【化12】
【0075】(実施例1)合成例1で調製した反応液を
さらに6時間反応させた後に加熱を止め、室温に戻し
た。総交換容量2.05meq/mlのH型陽イオン交
換樹脂ダイヤイオンPK228(三菱化成工業株式会社
製)50mlをカラムに詰め、合成例1で調製した反応
液全て(315ml)を室温下、2.1時間(SV=3.
0)で通液処理した。処理液のpHは7であった。引き
続き、1時間かけて減圧下に溶媒を留去し、淡黄色透明
な製品を得た。製造にかかった時間は全体で25.1時
間であった。
【0076】(比較例1)合成例1で調製した反応液か
ら溶媒200mlを留去して反応系を濃縮し、さらに6
時間反応させた。反応終了後1時間かけて、減圧下での
溶媒等の留去と200mlのトルエンによる溶媒置換を行
った。分液ロートで数回水洗し、無水硫酸ナトリウムで
18時間かけて脱水した。濾紙を用いて1時間かけて濾
過を行い、濾液を減圧下で1時間かけてトルエンを留去
し、淡黄色透明な製品を得た。製造にかかった時間は全
体で43時間であった。
【0077】(合成例2)攪拌機および温度計を備えた
反応器に、イソプロピルアルコール30g、Me 4NO
Hの10%水溶液2.73g(H2O;136.5mmo
l、Me4NOH;3.0mmol)、水0.78g(43.
3mmol)を仕込んだ後、Oxe−TRIES19.23
g(60.0mmol)と両末端シラノール基のポリジメチ
ルシロキサン「DMS−S21」(チッソ株式会社製)
1.5g(0.36mmol)との混合物を徐々に加えて室
温で攪拌放置した。反応の進行をゲルパーミエーション
クロマトグラフィにより追跡し、Oxe−TRIESが
ほぼ消失した時点(混合物の添加開始から20時間後)
で反応を終了させた。このとき、反応系のpHは11.
5であった。
【0078】(実施例2)総交換容量2.05meq/
mlのH型陽イオン交換樹脂ダイヤイオンPK228
(三菱化成工業株式会社製)50mlをカラムに詰め、
合成例2で調製した反応液全て(64ml)を室温下、
約1時間(SV=1.3)で通液処理した。処理液のp
Hは7であった。引き続き、30分かけて減圧下に溶媒
を留去し淡黄色透明な製品を得た。製造にかかった時間
は全体で21.5時間であった。
【0079】(比較例2)合成例2の反応終了後、系内
にトルエン100mlを加え、分液ロートを用いて反応
溶液を飽和食塩水により水洗した。分液ロートの水層が
中性になるまで水洗を繰り返した結果、水洗に1時間を
要した。その後、有機層を分取し、無水硫酸ナトリウム
で18時間かけて脱水した。濾紙を用い1時間かけて濾
過を行い、濾液を30分かけて減圧下でトルエンを留去
させて、白色微濁の製品を得た。製造にかかった時間は
全体で40.5時間であった。
【0080】(合成例3)攪拌機および温度計を備えた
反応器に、イソプロピルアルコール40g、Oxe−T
RIES19.23g(60.0mmol)とメチルトリエ
トキシシラン(多摩化学株式会社製)3.57g(2
0.0mmol)を仕込んだ後、1%塩酸5.52g(H2
O;303.3mmol、HCl;1.5mmol)を徐々
に加えて室温で攪拌放置した。反応の進行をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィにより追跡し、Oxe−T
RIESがほぼ消失した時点(混合物の添加開始から2
0時間後)で反応を終了させた。このとき、反応系のp
Hは2.0であった。
【0081】(実施例3)総交換容量1.3meq/m
lのOH型陰イオン交換樹脂ダイヤイオンSA10A
(三菱化成工業株式会社製)50mlをカラムに詰め、
合成例3で調製した反応液全て(78ml)を室温下、
約1時間(SV=1.6)で通液処理した。処理液のp
Hは7であった。引き続き、1時間かけて減圧下に溶媒
を留去し無色透明な製品を得た。製造にかかった時間は
全体で22時間であった。
【0082】(比較例3)合成例3の反応終了後、系内
にトルエン100mlを加え、分液ロートを用いて反応
溶液を飽和食塩水により水洗した。分液ロートの水層が
中性になるまで水洗を繰り返した結果、水洗に1.5時
間を要した。その後、有機層を分取し、無水硫酸ナトリ
ウムで18時間かけて脱水した。濾紙を用い1時間かけ
て濾過を行い、濾液を30分かけて減圧下でトルエンを
留去させて、無色透明の製品を得た。製造にかかった時
間は全体で41時間であった。
【0083】実施例1〜3で得られた化合物100重量
部に対し、カチオン性光重合開始剤としてのビス(ドデ
シルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート3重量部を加え、さらに粘度低下のためにトルエン
10重量部を加えて、光カチオン硬化性樹脂組成物A、
B、Cを調製した。 [光カチオン硬化性樹脂組成物の評価]光カチオン硬化
性樹脂組成物A〜Cにつき、下記の方法により硬化性、鉛
筆硬度を評価した。その結果を下記に示す。 (1)硬化性 組成物を、バーコーターを用いてガラス基板上に約20
μmの厚さに塗布し、下記の条件により紫外線照射を行
い、表面のタックがなくなるまでの照射回数を測定し
た。 [UV照射条件] ランプ:80W/cm高圧水銀ランプ ランプ高さ:10cmコンベアスピード:10m/mi
n照射 雰囲気:大気中 (2)鉛筆硬度各組成物を、バーコーターを用いて鋼板上
およびガラス基板上に約20μmの厚さに塗布し、上記
照射条件で5回の紫外線照射を行って硬化膜を得た。こ
の硬化膜を温度25℃、湿度60%の恒温室内に24時
間放置した後、JIS K5400に準じて表面の鉛筆
硬度を測定し、下記表1にその結果を示した。この表か
らわかるように、本発明の製造方法により得られた生成
物はオキセタニル基を有するため、優れた光カチオン硬
化性を発現し、得られる硬化膜は、シルセスキオキサン
化合物の膜であることに起因して、非常に硬い。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明の光カチオン硬化性樹脂組成物の
製造方法は、従来の製造方法と比較して加水分解縮合後
の工程数が少なく、短時間で光カチオン硬化性樹脂組成
物を製造することができる。本発明の製造方法は、安価
に光カチオン硬化性樹脂組成物を提供する方法として有
用であり、また廃棄物も少量ですむため、環境への負荷
が小さく好ましいものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で示される有機ケイ素化合物
    (A)の加水分解縮合物からなる光カチオン硬化性樹脂
    を製造するに際して、酸性又はアルカリ性の触媒を存在
    させて下記式(1)で示される有機ケイ素化合物を加水
    分解縮合した後、反応液中に残った酸性又はアルカリ性
    のイオンとのイオン交換能を有するイオン交換体と反応
    液を接触させて反応液を中性にすることを特徴とする光
    カチオン硬化性樹脂の製造方法。 【化1】 (上式において、R0はオキセタニル基を持つ有機官能基
    であり、Xは加水分解性基であり、Xは互いに同一であ
    っても異なっていても良い。)
  2. 【請求項2】光カチオン硬化性樹脂が、上記式(1)で
    示される有機ケイ素化合物(A)及びシロキサン結合生
    成基を有しオキセタニル基を有しない有機ケイ素化合物
    (B)からなる混合物の加水分解縮合物であることを特
    徴とする請求項1記載の光カチオン硬化性樹脂の製造方
    法。
  3. 【請求項3】上記式(1)におけるR0が下記式(2)に
    示す構造式で表される有機官能基である、請求項1又は
    請求項2に記載の光カチオン硬化性樹脂の製造方法。 【化2】 (但し、R6は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
    であり、R7は炭素数2〜6のアルキレン基である。)
  4. 【請求項4】 上記式(1)におけるXがアルコキシ
    基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基である請
    求項1〜3の何れかに記載の光カチオン硬化性樹脂の製
    造方法。
  5. 【請求項5】シロキサン結合生成基を有しオキセタニル
    基を有しない有機含ケイ素化合物(B)が、下記式
    (5)に示す構造式で表される化合物並びに直鎖状また
    は分岐を有する反応性線状シリコーンである請求項1〜
    4の何れかに記載の光カチオン硬化性樹脂の製造方法。 (R8nSiX4-n (5) (但し、Xはシロキサン結合生成基であり、R8はアル
    キル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、n
    は1〜3の整数である。)
  6. 【請求項6】反応性線状シリコーンが、下記式(3)ま
    たは下記式(4)に示す構造式で表される化合物である
    請求項5記載の光カチオン硬化性樹脂の製造方法。 【化3】 (但し、X’はシロキサン結合生成基であり、R1およびR
    4はそれぞれアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリ
    ールオキシ基、アルキル基、シクロアルキル基またはア
    リール基から選択される置換基であり、R2およびR3はそ
    れぞれアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
    であり、nは1〜10,000の整数である。) 【化4】 (但し、X’はシロキサン結合生成基であり、R1およびR
    4はそれぞれアルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリ
    ールオキシ基、アルキル基、シクロアルキル基またはア
    リール基から選択される置換基であり、R2、R3およびR5
    はそれぞれアルキル基、シクロアルキル基またはアリー
    ル基であり、nは1〜10,000の整数である。)
JP2002127674A 2002-04-26 2002-04-26 光カチオン硬化性樹脂の製造方法 Pending JP2003321545A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002127674A JP2003321545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 光カチオン硬化性樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002127674A JP2003321545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 光カチオン硬化性樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003321545A true JP2003321545A (ja) 2003-11-14

Family

ID=29541676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002127674A Pending JP2003321545A (ja) 2002-04-26 2002-04-26 光カチオン硬化性樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003321545A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004076534A1 (ja) * 2003-02-27 2004-09-10 Toagosei Co., Ltd カチオン硬化性含ケイ素化合物の製造方法
JP2007308674A (ja) * 2006-04-18 2007-11-29 Shin Etsu Chem Co Ltd 光反応性基含有シロキサン化合物、その製造方法及び熱硬化性樹脂組成物、その硬化皮膜を有する物品
WO2012090708A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 東亞合成株式会社 反応性ポリシロキサン溶液の製造方法
KR101925740B1 (ko) 2012-06-26 2018-12-05 미쯔비시 케미컬 주식회사 고분자 화합물의 제조 방법 및 고분자 화합물
WO2021045068A1 (ja) * 2019-09-05 2021-03-11 日産化学株式会社 シリコン含有ポリマー組成物の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004076534A1 (ja) * 2003-02-27 2004-09-10 Toagosei Co., Ltd カチオン硬化性含ケイ素化合物の製造方法
JPWO2004076534A1 (ja) * 2003-02-27 2006-06-01 東亞合成株式会社 カチオン硬化性含ケイ素化合物の製造方法
JP2007308674A (ja) * 2006-04-18 2007-11-29 Shin Etsu Chem Co Ltd 光反応性基含有シロキサン化合物、その製造方法及び熱硬化性樹脂組成物、その硬化皮膜を有する物品
WO2012090708A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 東亞合成株式会社 反応性ポリシロキサン溶液の製造方法
CN103228706A (zh) * 2010-12-28 2013-07-31 东亚合成株式会社 反应性聚硅氧烷溶液的制造方法
JP5527433B2 (ja) * 2010-12-28 2014-06-18 東亞合成株式会社 反応性ポリシロキサン溶液の製造方法
US8940852B2 (en) 2010-12-28 2015-01-27 Toagosei Co., Ltd. Method for manufacturing reactive polysiloxane solution
KR101925740B1 (ko) 2012-06-26 2018-12-05 미쯔비시 케미컬 주식회사 고분자 화합물의 제조 방법 및 고분자 화합물
WO2021045068A1 (ja) * 2019-09-05 2021-03-11 日産化学株式会社 シリコン含有ポリマー組成物の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5650474A (en) Process for preparing organic functional group-containing organopolysiloxanes, organopolysiloxanes obtained by the process and novel mercapto group and alkoxy group-containing organopolysiloxanes and preparation thereof
JP5707042B2 (ja) 有機シロキサン重合体の製造方法
WO2003064490A2 (en) Process for the functionalization of polyhedral oligomeric silsesquioxanes
KR20090128386A (ko) 실리콘 코팅 조성물
EP2373722A1 (en) Silsesquioxane resins
JP2010519397A5 (ja)
JP3272002B2 (ja) ポリオルガノシルセスキオキサンの製造方法
JP3598749B2 (ja) 光カチオン硬化性組成物の製造方法及び光カチオン硬化性ハードコート剤組成物
JP3635156B2 (ja) 硬化性ポリメチルシルセスキオキサン組成物
JPH0433926A (ja) オルガノポリシロキサンの製造方法
JP3653976B2 (ja) 光カチオン硬化性樹脂組成物
JP3843575B2 (ja) 光カチオン硬化性樹脂組成物
JPH1067856A (ja) アルコキシル化オルガノシリコーン樹脂
JP2003321545A (ja) 光カチオン硬化性樹脂の製造方法
US20070055034A1 (en) Process for producing cation-curable silicon compound
JP3218872B2 (ja) 有機ケイ素樹脂の製造方法
JPH05255348A (ja) 反応性有機珪素化合物の製造方法
JPH10130393A (ja) 全側鎖メルカプト基含有ポリオルガノシルセスキオキサンおよびその製造方法
JP2006274082A (ja) ラジカル重合性基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
JP2000212443A (ja) 光カチオン硬化性樹脂組成物
JP2019104837A (ja) オルガノポリシロキサン化合物およびそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物
JP2000264969A (ja) 縮合型シリコーン組成物、硬化物、その表面改質方法および平版
JP4016495B2 (ja) 硬化性樹脂の製造方法
KR101621576B1 (ko) 옥세타닐기를 갖는 규소 화합물의 제조 방법
JP2004083883A (ja) オルガノポリシロキサンレジンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040806

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060214

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060221

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061010