JP2003313177A - オキセタニル基を有する環状オレフィン - Google Patents

オキセタニル基を有する環状オレフィン

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JP2003313177A JP2002120043A JP2002120043A JP2003313177A JP 2003313177 A JP2003313177 A JP 2003313177A JP 2002120043 A JP2002120043 A JP 2002120043A JP 2002120043 A JP2002120043 A JP 2002120043A JP 2003313177 A JP2003313177 A JP 2003313177A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状オレフィン重合体の耐酸化劣化性や貯蔵
安定性を損なうことなしに、架橋時にはすみやかに反応
し、耐薬品性、耐溶剤性など、架橋体に求められる物性
を環状オレフィン重合体へと付与することができる、環
状オレフィンを提供する。 【解決手段】 式(1)で表されるオキセタニル基を有
する環状オレフィン。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋が可能であ
り、光学的透明性が高く、優れた耐熱性、耐溶剤性、耐
薬品性を有する、光学透明材料として有用な環状オレフ
ィン系重合体の製造に用いられる環状オレフィンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】これまでにも架橋可能な置換基を有する
環状オレフィンは、オレフィン系重合体の架橋を行うた
めに、広く利用されている。例えば、エチリデンビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(エチリデンノルボ
ルネン:ENB)は、硫黄や過酸化物によりエチレン−
プロピレンエラストマーの加硫を行う際の架橋モノマー
として、一般的に使用されている。
【0003】環状オレフィン系重合体においても、耐薬
品性、耐溶剤性の改良や物理特性の向上のために、架橋
基の導入が求められており、例えば、特開平03−20
5408号公報では、ビニル基、ビニリデン基で代表さ
れる、炭化水素の不飽和結合を側鎖に有する環状オレフ
ィン系付加重合体が開示されている。しかし、架橋反応
部位としてこれらの不飽和結合基を用いた場合、高温で
の耐酸化劣化性が低下し、着色するなどの問題を生じ
る。また、架橋するためには、熱や光などで分解してラ
ジカルを発生する開始剤化合物を多く必要とするが、こ
れが重合体の劣化を招くこととなる。
【0004】また、特開昭52−52999号公報、特
開平7−196736号公報、特開平7−104474
号公報、米国特許第5912313号明細書などには反
応性シリル基を持つ環状オレフィンについてが記載され
ている。これらにおいて、ケイ素原子に結合する置換基
は、アルコキシ、アリロキシ、ハロゲンなどの置換基で
ある。しかし、反応シリル基を用いた場合、単量体や重
合体の貯蔵中に、あるいは重合体から水や酸などを用い
て重合触媒残さを除去する際に、水などと反応して分解
したりゲル状の縮合体の生成を招くなどの問題を伴うこ
とが多い。
【0005】一方、エポキシ基を用いた環状オレフィン
系重合体が、例えば特開平10−251343号公報、
特開平10−182799号公報などに示されている。
しかしながら、エポキシ基は非常に不安定であるため、
エポキシ基を持つ環状オレフィンを単量体として重合す
ることは困難である。通常は、該公報の記載にあるよう
な、ビニル基、ビニリデン基を持つ重合体を過酸化物な
どでエポキシ化させることで得る方法をとることが多い
が、その際の反応試薬が重合体の劣化を招いたり、重合
体中に不純物が混入したり、高い転化率が得られずに二
重結合が残留したりする原因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環状
オレフィン重合体の耐酸化劣化性や貯蔵安定性を損なう
ことなしに、架橋時にはすみやかに反応し、耐薬品性、
耐溶剤性など、架橋体に求められる物性を環状オレフィ
ン重合体へ付与することができる、環状オレフィンを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1)で表
されるオキセタニル基を有する環状オレフィンに関す
る。
【0008】
【化2】
【0009】[式(1)中、A1,A2,A3は、同一ま
たは異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10
のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アラルキル基、
シクロアルキル基、アリール基、あるいは−(CR
67qZで表される極性基より選ばれる基である。こ
こで、Zは−OR8,−C(O)R9,−OC(O)
10,C(O)OR11を表す。Xは環状オレフィンとオ
キセタニル基とを接続する基であって、−(CR
1213r−、あるいは−(CR1415s−T−(CR
1617 t−を表し、Tは−O−,−C(O)−,−O
C(O)−,C(O)O−、−SiR1819−を表す。
1〜R19は同一または異なり、水素原子、炭素数1〜
10の炭化水素基あるいはハロゲン化炭化水素基を表
し、p,qは0〜3の整数、r,s,tは0〜6の整数
を表す。]上記式(1)において、Xは、−(CH2s
O(CH2t−、あるいは、−(CH2sC(O)O
(CH2t−であることが好ましい。[ここで、s,t
は式(1)に同じ。]
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らによる鋭意検討の結
果、上記式(1)で表される環状オレフィンが本発明の
目的に合致することが明らかとなった。
【0011】オキセタン骨格は、カチオン重合可能なユ
ニットであり、特に光カチオン重合開始剤を用いたオキ
セタン化合物の光重合系は、室温で重合可能であり、高
生産性を示すなどの特徴を有している。また、アクリレ
ートの重合系と比べ、重合反応時に酸素による阻害を受
けにくいことが知られている。エポキシ化合物も同様の
光カチオン重合性を持つものとして知られているが、オ
キセタン化合物と比べ、低い重合性しかもたない。エポ
キシ基を含有する環状オレフィン重合体は、エポキシ基
を有する環状オレフィンを単量体として重合させて得る
ことが非常に困難である。そのため、このような重合体
は、ビニル基、ビニリデン基を持つ重合体を過酸化物な
どによりエポキシ化することで得られるが、その際の過
酸化物が重合体の劣化を招いたり、重合体中に不純物が
混入したり、高い転化率が得られずに未反応の二重結合
が残留したりする原因となることは既に述べたとおりで
ある。また、エポキシ基を含有する環状オレフィン重合
体は、長期保存時の安定性に問題がある。これに対し、
オキセタン化合物は、酸の非存在下においては非常に安
定であるうえ、エポキシ化合物と比較して高いカチオン
重合性を持つ。それ故、オキセタン骨格を持つ環状オレ
フィンの構造単位は、高い安定性を持つと同時に、少な
い含量ですみやかに架橋が進行することから、環状オレ
フィン系(共)重合体の架橋反応部位として優れたもの
である。
【0012】また、アルコキシシリル基をはじめとする
加水分解性シリル基を持つ環状オレフィンと比較した際
においても、本発明のオキセタニル基を有する環状オレ
フィンは優れた特徴を持つ。加水分解性シリル基は、重
合体の架橋反応に際し当量の水を必要とすることから、
架橋を完了させるには激しい条件が必要とされ、また、
反応後はアルコールなどが脱離するため、それが架橋体
中に残留すると、光散乱による透過度の低下などの原因
となる。一方、オキセタニル基は、架橋反応に際してそ
のような問題は無く、穏和な条件で高い光学透明性を維
持したままの架橋が可能である。さらに、加水分解性シ
リル基と異なり、水分により徐々に加水分解を受けての
ゲル化などを招くこともない。以下に、本発明の実施の
形態を具体的に説明する。
【0013】上記式(1)で表される環状オレフィンと
しては、例えば、下記式(2)で表されるビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、あるいは下記
式(3)で表されるテトラシクロ[4.4.0.1.
2,57,10]ドデセンの誘導体が望ましく挙げられる。
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】[式(2)および(3)中、A1〜A3、R
1〜R5、およびXは式(1)に同じ。]
【0017】式(2)で表される環状オレフィンとして
は、以下の具体例で示されるものが、より望ましく用い
られる。 オキセタニル基を環状オレフィンへと炭素鎖を介して結
合したもの:5−(3−オキセタニル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−(3−メチル−3−オ
キセタニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−(3−エチル−3−オキセタニル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセ
タニル)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチ
ル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エンなど エーテル結合を含む基により結合したもの:2−[(3
−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−5−エン、2−[(3−メチル−3−オキセタニ
ル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキ
シ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、5−
[(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル
−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−
オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メ
トキシエチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ
エチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシエチ
ル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなど カルボニル基を含む基により結合したもの:5−[(3
−オキセタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチル−3−
オキセタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチル−3−オキ
セタニル)メチルカルボニル]ビシクロ[2.2.1]
ヘプト−2−エン、5−[(3−オキセタニル)メチル
カルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチ
ルカルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メ
チルカルボニルメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エンなど エステル結合を含む基により結合したもの:ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3
−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エン−2−カルボン酸(3−メチル−3−オキ
セタニル)メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニ
ル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−2−カルボン酸(3−オキセタニル)メチ
ル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン−2−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)
メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニ
ル)メチルなど シリル基を含む基により結合したもの:5−(3−オキ
セタニル)ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−2−エン、5−(3−メチル−3−オキセタニル)
ジメチルシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−(3−エチル−3−オキセタニル)ジメチルシ
リルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
[(3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−メチ
ル−3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[(3−エチ
ル−3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなど
【0018】また、式(3)で表される環状オレフィン
としては、以下の具体例で示されるものが、より望まし
く用いられる。 オキセタニル基を環状オレフィンへと炭素鎖を介して結
合したもの:8−(3−オキセタニル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8
−(3−メチル−3−オキセタニル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8
−(3−エチル−3−オキセタニル)テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8
−[(3−オキセタニル)メチル]テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−
[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]テトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エ
ン、8−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−
3−エン、8−[(3−オキセタニル)エチル]テトラ
シクロ[4.4.0.12, 5.17,10]ドデカ−3−エ
ン、8−[(3−メチル−3−オキセタニル)エチル]
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−
3−エン、8−[(3−エチル−3−オキセタニル)エ
チル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ド
デカ−3−エンなど エーテル結合を含む基により結合したもの:8−[(3
−オキセタニル)メトキシ]テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−
メチル−3−オキセタニル)メトキシ]テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8
−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−
エン、8−[(3−オキセタニル)メトキシメチル]テ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3
−エン、8−[(3−メチル−3−オキセタニル)メト
キシメチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−エチル−3−オ
キセタニル)メトキシメチル]テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなど エステル結合を含む基により結合したもの:テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−
8−カルボン酸(3−オキセタニル)メトキシメチ
ル]、テトラシクロ[4.4.0.12, 5.17,10]ド
デカ−3−エン−8−カルボン酸(3−メチル−3−オ
キセタニル)メトキシメチル]、テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カル
ボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチ
ル]、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3−オキ
セタニル)メトキシメチル]、8−メチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8
−カルボン酸(3−メチル−3−オキセタニル)メトキ
シメチル]、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−カルボン酸(3
−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]など シリル基を含む基により結合したもの:8−(3−オキ
セタニル)ジメチルシリルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−(3−メチル
−3−オキセタニル)ジメチルシリルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8
−(3−エチル−3−オキセタニル)ジメチルシリルテ
トラシクロ[4.4.0.1 2,5.17,10]ドデカ−3
−エン、8−[(3−オキセタニル)メチル]ジメチル
シリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ド
デカ−3−エン、8−[(3−メチル−3−オキセタニ
ル)メチル]ジメチルシリルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−[(3−
エチル−3−オキセタニル)メチル]ジメチルシリルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3
−エンなど
【0019】上記具体例に挙げた環状オレフィンの中で
も、上記式(2)および(3)においてXで表される環
状オレフィンとオキセタニル基とを接続する基が、−
(CH 2sO(CH2t−で表されるエーテル結合を含
むものを好ましく使用できる。[ここで、s,tは式
(1)に同じ。]さらに好ましくは、上記具体例に挙げ
た環状オレフィンの中でも、2−[(3−オキセタニ
ル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキ
シ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、2−
[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、5−[(3−オキ
セタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5−[(3−メチル−3−オキセタニ
ル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−[(3−エチル−3−オキセタニル)メ
トキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ンが使用される。
【0020】また、上記式(2)および(3)において
Xで表される環状オレフィンとオキセタニル基とを接続
する基が、−(CH2sC(O)O(CH2t−で表さ
れるエステル結合を含むものを好ましく使用することも
できる。[ここで、s,tは式(1)に同じ。]さらに
好ましくは、上記具体例に挙げた環状オレフィンの中で
も、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カ
ルボン酸(3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−メチ
ル−3−オキセタニル)メチル、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−
3−オキセタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−オキ
セタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−メチル−3−
オキセタニル)メチル、2−メチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−
3−オキセタニル)メチルが使用される。
【0021】本発明のオキセタニル基を有する環状オレ
フィンの合成において、オキセタン構造は任意の方法に
より形成することができ、例としては、1,3−ジオー
ルの部分塩素化/脱塩化水素反応や、1,3−ジオール
の環状炭酸エステル化/脱炭酸反応などを利用できる。
中でも、トリオール化合物を原料とし、3−ヒドロキシ
メチルオキセタン化合物を得る方法が、J.Macro
mol.Sci.,Pure Appl.Chem.,
A30(2&3),189(1993)に示されている
が、原料の入手性、誘導体への転化の容易さなどの点で
有用である。
【0022】オキセタニル基を環状オレフィンへと導入
する方法としては、例えば、下記式(4)で表されるオ
レフィン化合物とシクロペンタジエンとのDiels−
Alder反応を挙げることができ、この手法によっ
て、上記式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エンの誘導体を得ることができる。
【0023】
【化5】
【0024】[式(4)中、A1〜A3、R1〜R5、およ
びXは式(1)に同じ。]
【0025】また、式(2)で表されるビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン誘導体について、さらにシク
ロペンタジエンとDiels−Alder反応を実施す
ることによって、上記式(3)で表されるテトラシクロ
[4.4.0.1.2,5.17 ,10]ドデセンの誘導体が
得られる。
【0026】式(4)で表されるオレフィン化合物の例
としては、3−ビニルオキセタン、3−メチル−3−ビ
ニルオキセタン、3−エチル−3−ビニルオキセタン、
3−アリルオキセタン、3−アリル−3−メチルオキセ
タン、3−アリル−3−エチルオキセタン、[(3−オ
キセタニル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル
−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、[(3
−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテ
ル、3−アリロキシメチルオキセタン、3−アリロキシ
メチル−3−メチルオキセタン、3−アリロキシメチル
−3−エチルオキセタン、3−アリロキシエチルオキセ
タン、3−アリロキシエチル−3−メチルオキセタン、
3−アリロキシエチル−3−エチルオキセタン、(3−
オキセタニル)メチルビニルケトン、(3−メチル−3
−オキセタニル)メチルビニルケトン、(3−エチル−
3−オキセタニル)メチルビニルケトン、(3−オキセ
タニル)メチルアリルケトン、(3−メチル−3−オキ
セタニル)メチルアリルケトン、(3−エチル−3−オ
キセタニル)メチルアリルケトン、アクリル酸(3−オ
キセタニル)メチル、アクリル酸(3−メチル−3−オ
キセタニル)メチル、アクリル酸(3−エチル−3−オ
キセタニル)メチル、メタクリル酸(3−オキセタニ
ル)メチル、メタクリル酸(3−メチル−3−オキセタ
ニル)メチル、メタクリル酸(3−エチル−3−オキセ
タニル)メチル、(3−オキセタニル)ジメチルビニル
シラン、(3−メチル−3−オキセタニル)ジメチルビ
ニルシラン、(3−エチル−3−オキセタニル)ジメチ
ルビニルシラン、[(3−オキセタニル)メチル]ジメ
チルビニルシラン、[(3−メチル−3−オキセタニ
ル)メチル]ジメチルビニルシラン、[(3−エチル−
3−オキセタニル)メチル]ジメチルビニルシランなど
を挙げることができ、特には3−アリロキシメチルオキ
セタン、3−アリロキシメチル−3−メチルオキセタ
ン、3−アリロキシメチル−3−エチルオキセタン、3
−アリロキシエチルオキセタン、3−アリロキシエチル
−3−メチルオキセタン、3−アリロキシエチル−3−
エチルオキセタン、アクリル酸(3−オキセタニル)メ
チル、アクリル酸(3−メチル−3−オキセタニル)メ
チル、アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メ
チル、メタクリル酸(3−オキセタニル)メチル、メタ
クリル酸(3−メチル−3−オキセタニル)メチル、メ
タクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルな
どのエーテルあるいはエステル化合物が好ましく使用さ
れる。
【0027】また、オキセタニル基は、その他の任意の
方法を用いて環状オレフィン化合物へと導入してもよ
い。例えば、3−ハロメチルオキセタンなど脱離基を有
するオキセタン化合物と、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
ト−5−エン−2−オールあるいは2−ヒドロキシメチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンとの反応に
よりエーテル化合物を合成する方法を用いることができ
る。また、3−ヒドロキシメチルオキセタンのようなヒ
ドロキシル基を持つオキセタン化合物を、ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸塩化
物などの酸塩化物と反応させたり、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エステルなどと
エステル交換反応を行うなどによりエステル化合物を合
成する方法を用いることもでき、その他、Grigna
rd反応による方法などを用いることもできる。さらに
は、あらかじめ環状オレフィンへと1,3−ジオール構
造や、6員環の環状炭酸エステル構造を導入しておき、
オキセタニル構造へと誘導する方法を用いてもよい。
【0028】式(4)で表されるオレフィン化合物から
式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン誘導体、および、式(2)で表されるビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体から式(3)で
表されるテトラシクロ[4.4.0.1.2,5
7,10]ドデセンの誘導体へのDiels−Alder
反応は、通常、シクロペンタジエン、あるいはその二量
体であるトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,
7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を添加して行われ
る。反応は、窒素、アルゴンなどの不活性気体の雰囲気
下で行うことが好ましく、溶媒は特に必要のない限りは
用いなくともよい。反応温度は高いほど反応速度が高く
なる一方、選択性が低下することが多い。また、Die
ls−Alder反応の反応性が、式(4)のオレフィ
ン化合物の置換基の性質によって大きく異なるため、反
応温度はその置換基の選択に応じて適宜設定される。例
えば、アクリル酸エステルなど、隣接するエステル構造
を持つものの場合を例に挙げると、シクロペンタジエン
との反応は、望ましくは−20℃から150℃の範囲で
実施される。一方、隣接するエステル構造を持たないオ
レフィン化合物の反応や、トリシクロ[4.3.0.1
2,5]デカ−3,7−ジエンを用いる反応などでは、通
常、150〜250℃、好ましくは170〜230℃の
範囲内で実施される。反応に際して、シクロペンタジエ
ンあるいはトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−
3,7−ジエンは、選択性・収率などの面から、反応に
用いるオレフィンに対し0.8〜1.3当量の範囲で添
加することが好ましい。添加方法としては1回で加えて
もよいし、また2回以上に分割して加えたり、連続的に
加えてもよい。生成物は、蒸留、カラムクロマトグラフ
ィー、再結晶などの公知の方法にて出発物質や副生成物
などと分離、精製してよく、または特に分離精製操作を
行うことなく、次の反応に用いてもよい。
【0029】本発明の環状オレフィンは、その核磁気共
鳴スペクトルにおいて、4.4ppmから4.5ppm
の化学シフトの範囲に、オキセタン環の酸素に隣接する
炭素原子に結合した水素核に由来する、特徴的な吸収が
観測されることにより確認される。また、0.4〜3.
1ppmには脂環式炭化水素に由来する吸収が、5.8
〜6.2ppmには二重結合に炭素に結合した水素核に
由来する吸収が、それぞれ観測される。また、赤外吸収
スペクトルにおいては、例えば2−[(3−アルキル−
3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エンについてみると、オキセタン
構造に由来する強い吸収が980〜990cm-1付近に
観測される。すなわち、これらの吸収より、当該環状オ
レフィン中のオキセタン構造の存在を確認することがで
きる。
【0030】本発明のオキセタニル基を有する環状オレ
フィンは、単独または二種以上組み合わせて、あるいは
他の環状オレフィン、α−オレフィンなどから選ばれる
オレフィンと組み合わせて付加(共)重合体の製造に用
いることができる。さらには、単独または二種以上組み
合わせて、あるいは他の環状オレフィンと組み合わせて
メタセシス開環(共)重合体、さらにその水素化(共)
重合体の製造に用いることができる。
【0031】また、本発明のオキセタニル基を有する環
状オレフィンは、単独で、あるいは他のカチオン重合性
モノマーと組み合わせて、オキセタン樹脂やエポキシ樹
脂などのカチオン重合体の製造に用いることもできる。
その際に、本発明の環状オレフィンと組み合わされるカ
チオン重合性モノマーとしては、例えば、3−エチル−
3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フ
ェノキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチ
ル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ジ
(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ア
クリル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、メタク
リル酸3−エチル−3−オキセタニルメチル、フェノー
ルノボラックオキセタン、上記式(4)で表されるオキ
セタニル基を有するオレフィン化合物などのオキセタン
化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、フェ
ノールノボラックポリグリシジルエーテルなどエポキシ
化合物などが挙げられる。
【0032】また、本発明のオキセタニル基を有する環
状オレフィンは、さらに公知の方法で別の化合物を得る
ための中間体として用いてもよい。例えば、オレフィン
性二重結合のエポキシ化、ヒドロシリル化、ヒドロホウ
素化、ヒドロホルミル化、ジオール化、マレイン酸無水
物の付加などを行うことができる。
【0033】これら、本発明のオキセタニル基を有する
環状オレフィンを用いて得られる(共)重合体は、優れ
た耐熱性、光学特性、耐溶剤性、耐薬品性を有するの
で、液晶表示素子基板、エレクトロルミネッセンス表示
素子基板、各種窓材、偏光フィルム、位相差フィルム、
液晶フィルム、反射防止フィルムなどの光学フィルム、
OHPフィルム、プリント基板用基材などをはじめ、光
ディスク、光ファイバー、レンズ、プリズム、光学フィ
ルター、導光板、光導波路などの光学材料、半導体封止
剤などの電子部品材料、医療機器、各種容器、コーティ
ング剤、接着剤、バインダーなどに好適に用いられる。
【0034】以下、本発明を実施例によってさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制
限を受けるものではない。なお、(共)重合体の分子
量、ガラス転移温度、全光線透過率、トルエン膨潤度、
線膨張係数は、下記の方法で測定した。
【0035】(1)重量平均分子量、数平均分子量:ウ
ォーターズ(WATERS)社製、150C型ゲルパー
ミエションクロマトフィー(GPC)装置で東ソ−
(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼン
を溶媒として、120℃で測定した。得られた分子量は
標準ポリスチレン換算値である。 (2)Tanδのピーク温度(ガラス転移温度):動的
粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E'と損失弾性率E"との
比E"/E'=Tanδ)のピーク温度で重合体のガラス転
移温度を測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロン
DDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周
波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単
一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いて得られる
Tanδの温度分散のピーク温度で求めた。 (3)全光線透過率:ASTM−D1003に準拠し、
厚さが150μmのフィルムにして、全光線透過率を測
定した。 (4)トルエン膨潤度:厚さ50〜250μm、縦横1
cm×2cmのフィルムを25℃のトルエンに3時間浸
漬し、浸漬前後のフィルム重量を測定し、下記式で膨潤
度を算出した。トルエン膨潤度(%)=(トルエン浸漬
後の重量/トルエン浸漬前の重量)×100 (5)線膨張係数:TMA(Thermal Mech
anical Analysis)/SS6100(セ
イコーインスツルメント社製)を用いて、膜厚100μ
m、幅3mm、長さ10cmの試料を、チャック間距離
10mmで固定し、室温から200℃程度まで一旦昇温
して残留ひずみをとった後、室温から3℃/minで昇
温し、チャック間距離の伸びから線膨張係数を求めた。
【0036】なお、実施例で用いられる3−アリロキシ
メチル−3−エチルオキセタンは、3−エチル−3−ヒ
ドロキシメチルオキセタン(東亜合成株式会社製)を用
い、J.Macromol.Sci.PartA:Pu
re.Appl.Chem.,A30,173−187
(1993)に記載の方法に従い合成した。また、アク
リル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルは、M
acromolecules,25,1198(199
2)に記載のエステル交換法を用いて合成した。
【0037】実施例1 <2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメ
チル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンの合成
>充分に窒素で置換した容量200ミリリットルのステ
ンレス製オートクレーブへ、3−アリロキシメチル−3
−エチルオキセタンを100ミリリットル(0.59モ
ル)と、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,
7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を25ミリリット
ル(0.19モル)とを仕込んだ。バルブを閉じ、17
0℃で2時間加熱した。さらに、トリシクロ[4.3.
0.12,5]デカ−3,7−ジエンを12ミリリットル
(0.09モル)加え、2時間加熱する操作を2回繰り
返した。得られた反応混合物を200ミリメートルのウ
ィドマー型分留管を接続したガラス製フラスコに移し、
0.1mmHgでの減圧蒸留により、90〜91℃の沸
点にて、目的物を78グラム(収率60%)得た。実施
例1で得られた環状オレフィンの、CDCl3中での1
−NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に
示す。
【0038】実施例2 <ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カル
ボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチルの合成
>200ミリリットルのガラス製フラスコへ冷却管を接
続し、充分に窒素置換した。これに、アクリル酸(3−
エチル−3−オキセタニル)メチルを100ミリリット
ル(0.61モル)を入れ、0℃に冷却した後、直前に
熱分解して得られたシクロペンタジエンを60ミリリッ
トル加え、撹拌した。穏やかな発熱を確認しつつ、温度
が10℃を超えないように冷却しながら6時間撹拌し、
1晩放置した。ガスクロマトグラフィーによる分析で、
原料のアクリル酸エステル化合物の消失を確認し、0.
1mmHgでの減圧蒸留により113〜116℃の沸点
にて、99%以上の純度で目的物115グラム(収率8
0%)を得た。実施例2で得られた環状オレフィンの、
CDCl3中での1H−NMRスペクトルを図3に、IR
スペクトルを図4に示す。
【0039】参考例1 充分に乾燥し、窒素置換したガラス製200ミリリット
ル耐圧容器に、乾燥トルエンに溶解して5.79モル/
リットルの濃度としたビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エンを17ミリリットル、乾燥トルエンを50ミリ
リットル仕込み、さらに、実施例1で得た2−[(3−
エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エンを1ミリモル加えた。
撹拌しながら系の温度を30℃に調節した。(η6−ト
ルエン)ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケルの乾
燥トルエン溶液(濃度:0.05モル/リットル)を
0.8ミリリットル加え、重合を開始した。60分間反
応を行った後、トルエン約50ミリリットルで希釈、イ
ソプロピルアルコール4ミリリットルに溶解し、さらに
トルエン20ミリリットルで希釈した乳酸0.4グラム
を加えて反応を停止した。精製水30ミリリットルで2
度洗浄し、続いて約1リットルのイソプロピルアルコー
ル中にて凝固、真空下90℃で40時間乾燥し、7.7
グラム(収率81%)の環状オレフィン系共重合体を得
た。重量平均分子量(Mw)は1,250,000、数
平均分子量(Mn)は570,000、Mw/Mnは
2.2であった。共重合体の1H−NMRによる分析に
おける、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メト
キシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
の含有率は0.5モル%であった。また、共重合体のシ
クロヘキサン溶液からキャスト法により得られたフィル
ムのFT−IRスペクトルにおいて、983cm-1にオ
キセタン骨格に基づく吸収が観測された。
【0040】参考例2 加えた2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキ
シメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンの
量を5ミリモルとした以外は、参考例1と同様の操作を
行い、7.0グラム(収率69%)の共重合体を得た。
重量平均分子量(Mw)は1,400,000、数平均
分子量(Mn)は535,000、Mw/Mnは2.6
であった。共重合体の1H−NMRによる分析におけ
る、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ
メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンの含
有率は3.3モル%であった。また、共重合体のシクロ
ヘキサン溶液からキャスト法により得られたフィルムの
FT−IRスペクトルにおいて、986cm-1にオキセ
タン骨格に基づく鋭い吸収が観測された。
【0041】参考例3 2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチ
ル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンに代え
て、実施例2で得られたビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセ
タニル)メチルを3ミリモル加えた以外は、参考例1と
同様の操作を行い、6.8グラム(収率69%)の共重
合体を得た。重量平均分子量(Mw)は1,000,0
00、数平均分子量(Mn)は510,000、Mw/
Mnは2.0であった。共重合体の 1H−NMRによる
分析における、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)
メチルの含有率は1.7モル%であった。また、共重合
体のシクロヘキサン溶液からキャスト法により得られた
フィルムのFT−IRスペクトルにおいて、カルボニル
基に基づく鋭く強い吸収が1,737cm-1に、オキセ
タン骨格に基づく鋭い吸収が1,150cm-1にそれぞ
れ観測された。
【0042】参考例4〜6 参考例1〜3にて得られた共重合体100重量部と、ジ
[4−アルキル(C10〜C14)フェニル]ヨードニウム
ヘキサフルオロアンチモネート(λmax=244nm)
を3重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテト
ラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.
9重量部添加し、トルエンあるいはシクロヘキサン−ト
ルエン混合溶液よりキャストしてフィルムを作成し、F
1〜F3とした。得られたそれぞれのフィルムよりサン
プル片を作成し、真空下150℃で1時間加熱した後、
評価を行った。結果を表1に示す。また、上で得られた
F1〜F3について、メタルハライドランプを光源と
し、それぞれのフィルムの両面を300mJ/cm2
射後、真空下150℃で2時間加熱した後、評価を行っ
た。結果を表1に示す。いずれのサンプルにおいても架
橋が進行し、トルエンに不溶なフィルムとなった。
【0043】
【表1】
【0044】比較参考例1 2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチ
ル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンに代え
て、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エンを10ミリモルを加えた以外は、参考例1と同様
の操作を行い、6.7グラム(収率61%)の環状オレ
フィン系共重合体を得た。重量平均分子量(Mw)は
1,050,000、数平均分子量(Mn)は403,
000、Mw/Mnは2.6であった。得られた重合体
について、参考例4〜6の手順にてキャストフィルムを
作成後、メタルハライドランプによる光照射し、150
℃で1時間加熱を行ったが、照射後のフィルムはトルエ
ンに大部分が溶解した。また、ジ[4−アルキル(C10
〜C14)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチ
モネートに代えて、ベンゾイルパーオキシドを1重量部
加えてフィルムを作成し、150℃で2分間加熱した
が、加熱後のフィルムもトルエンに大部分が溶解した。
【0045】
【発明の効果】本発明のオキセタニル基を有する環状オ
レフィンは、環状オレフィン(共)重合体の耐酸化劣化
性を低下させるような二重結合の導入や、貯蔵安定性を
低下させるようなエポキシ基や加水分解性シリル基の導
入を不要とすることができ、さらには、架橋時にはすみ
やかに反応し、耐薬品性、耐溶剤性など、架橋体に求め
られる物性を環状オレフィン重合体へと付与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた環状オレフィンのCDCl
3中での1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られた環状オレフィンのIRスペ
クトルである。
【図3】実施例2で得られた環状オレフィンのCDCl
3中での1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例2で得られた環状オレフィンのIRスペ
クトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C048 TT02 UU10 XX04 4J100 AR09P AR11P BA05P BA12P BA16P BA71P BC53P CA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表されるオキセタニル基を有
    する環状オレフィン。 【化1】 [式(1)中、A1,A2,A3は、同一または異なり、
    水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
    基、ハロゲン化アルキル基、アラルキル基、シクロアル
    キル基、アリール基、あるいは−(CR67qZで表
    される極性基より選ばれる基である。ここで、Zは−O
    8,−C(O)R9,−OC(O)R10,C(O)OR
    11を表す。Xは環状オレフィンとオキセタニル基とを接
    続する基であって、−(CR1213r−、あるいは−
    (CR1415s−T−(CR1617 t−を表し、Tは
    −O−,−C(O)−,−OC(O)−,C(O)O
    −、−SiR1819−を表す。R1〜R19は同一または
    異なり、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基あるい
    はハロゲン化炭化水素基を表し、p,qは0〜3の整
    数、r,s,tは0〜6の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 上記式(1)において、Xが−(C
    2sO(CH2t−である、請求項1に記載のオキセ
    タニル基を有する環状オレフィン。[s,tは式(1)
    に同じ。]
  3. 【請求項3】 上記式(1)において、Xが−(C
    2sC(O)O(CH 2t−である、請求項1に記載
    のオキセタニル基を有する環状オレフィン。[s,tは
    式(1)に同じ。]
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