JP2003300168A - 回転工具及びその刃部 - Google Patents

回転工具及びその刃部

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JP2003300168A JP2002141746A JP2002141746A JP2003300168A JP 2003300168 A JP2003300168 A JP 2003300168A JP 2002141746 A JP2002141746 A JP 2002141746A JP 2002141746 A JP2002141746 A JP 2002141746A JP 2003300168 A JP2003300168 A JP 2003300168A
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    • B44D3/16Implements or apparatus for removing dry paint from surfaces, e.g. by scraping, by burning
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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  • Milling Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃先の過度の食い込みを避けながら焼き付き
を防止して良好な塗膜除去施工を可能にする。 【解決手段】 施工面に対向する対向面をもつ回転体1
0と、その対向面上に並べて設けられる複数の刃部20
とを備えた回転工具Tの当該刃部20について、その刃
先の回転半径方向内側部分を、砥粒を金属バインダで結
合させた砥石22で構成し、回転半径方向外側部分を前
記砥石22よりも硬質の焼結体24で構成する。また、
回転工具Tにおいて、砥粒を金属バインダで結合させた
砥石により構成された刃先22aと、前記砥石よりも硬
質の焼結体で構成された刃先24aとを含み、かつ、刃
先24aが刃先22aよりも前記回転体の回転半径方向
外側に位置するように各刃部20を配列する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物、船舶、橋
梁等における壁や床の表面を施工して当該表面に付着し
た塗料や接着剤等を除去するための回転工具及びその刃
部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、各種構造物の床面や壁面等を表面
加工するための工具として、カップ状回転体の外周部分
に複数の砥石を配設した回転式の研削具が知られてい
る。この研削具を構成する各砥石には、例えば金属バイ
ンダ中に多量のダイヤモンド砥粒を焼結させたものが用
いられており、当該砥石を含む研削具全体を高速回転さ
せながら前記各砥石を施工面に接触させることにより、
この施工面を研削することが可能となっている。
【0003】ところが、コンクリート構造物の改修工事
等において、前記研削具を例えば床面や壁面等に付着し
た旧塗膜(特にゴム系の弾性塗料や接着剤)等を除去す
るのに使用した場合、当該塗膜等と前記各砥石との摩擦
熱によって当該塗膜等が熱融着して焼き付きを起こし、
これによって良好な除去加工ができなくなるおそれがあ
る。また、砥石の磨耗速度が比較的高く、長い刃先寿命
が得られにくいという欠点もある。
【0004】そこで、特開平7−185923号公報に
は、皿状の回転体の外周部位に設けられた切削具装着面
に、複数の焼結ダイヤモンド製切削具を円周方向に等間
隔で配設したものが開示されている。この工具によれ
ば、その回転体を電動機の駆動軸に取付けて高速回転さ
せながら、前記各切削具を施工面に押付けることによ
り、この施工面を焼き付きを起こさずに円滑に除去加工
することが可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に示される工具では、ダイヤモンド焼結体で構成され
た刃先の切れ味が非常に高いため、当該刃先が施工面に
深く切り込み過ぎてしまう問題がある。このような刃先
の過度の食い込みは、施工面の下地にまで切削痕を残し
たり、刃先に必要以上の負担を与えて欠損等を誘発する
ことにより却って刃先寿命を縮めたりしてしまう要因と
なる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、刃先の
過度の食い込みを避けながら焼き付きを防止して良好な
除去加工を可能にすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、施工面に対向する対向面をも
つ回転体を備えた回転工具の当該対向面上に設けられ、
その対向面に対して直交する方向の軸回りに前記回転体
が回転駆動されながら施工面に押付けられるときに当該
施工面の表面部分を掻き取る刃先をもつ回転工具の刃部
であって、その刃先の回転半径方向内側部分が砥粒を金
属バインダで結合させた砥石で構成され、前記刃先の回
転半径方向外側部分が前記砥石よりも硬質の焼結体で構
成されているものである(請求項1)。
【0008】この刃部によれば、刃先の回転半径方向外
側部分、すなわち、回転周方向の速度が高くて切削仕事
量の多い部分は、切れ味の鋭い硬質の焼結体で構成され
ているので、当該部分によって施工面の表面部分を高速
で浅く除去することができ、焼き付きを防止することが
できる一方、それよりも回転半径方向内側の部分、すな
わち回転周方向速度が低くて切削仕事量の少ない部分
は、前記焼結体よりも硬度が低くて比較的切れ味の鈍い
砥石(砥粒を金属バインダで結合させた砥石)で構成さ
れているので、刃先全体が深く食い込み過ぎることが抑
制される。
【0009】また、前記のように刃先において切削仕事
量の多い回転半径方向外側部分を硬質の焼結体で構成す
る一方、切削仕事量の比較的少ない回転半径方向内側部
分を前記砥石で構成することにより、刃先の磨耗速度を
その回転半径方向にわたって均一化することができ、従
来のように刃先全体が同一の材料で構成されているもの
と異なり、刃先の回転半径方向外側部分が回転半径方向
内側部分よりも先行して磨耗する、いわゆるヘタリを防
ぐことができ、これによって刃先寿命を長く維持するこ
とができる。
【0010】さらに、前記硬質焼結体で構成された刃先
で除去しきれなかった部分を前記砥石で構成された刃先
によって補助的に加工することが可能であり、また、前
記硬質焼結体で構成された刃先による除去加工で加工面
に傷が生じてしまった場合にその傷を前記砥石で構成さ
れた刃先により低減ないし消滅させることも可能であ
る。
【0011】前記硬質焼結体としては、例えば超硬合金
やセラミックス、サーメット等でもよいが、特に多結晶
ダイヤモンド焼結体(PCD)や多結晶立方晶窒化ホウ
素焼結体(PCBN)が好適である(請求項2)。この
ように特に硬質の焼結体を用いることにより、焼き付き
をより確実に防止できるとともに、さらに長い工具寿命
を享受できる。
【0012】また、金属バインダにより結合される砥粒
としてはダイヤモンド砥粒やCBN砥粒が好適である。
【0013】なお、実開平3−7470号マイクロフィ
ルムには、鉄筋コンクリートを切削することを目的とし
てメタルボンド型ダイヤモンド砥石と超硬合金とを交互
に並べて配設したカッタビットが開示されているが、こ
のカッタビットは前記砥石と超硬合金とが(半径方向で
はなく)周方向に並んで配設された構成であるので、本
願発明のように刃先の過度の食い込みを防ぎながら焼き
付きを防止するという効果を得ることはできない。
【0014】本発明では、刃先の回転半径方向内側部分
のみならず、当該部分も含め、前記焼結体で構成された
刃先部分を除く刃部全体が砥粒を金属バインダで結合さ
せた砥石で構成されていることが、より好ましい(請求
項3)。この構成によれば、刃部全体の構造を簡素化し
ながら、上述の効果を得ることができる。
【0015】本発明において、前記硬質焼結体で構成さ
れる刃先部分(回転半径方向外側部分)の長さとそれ以
外の部分(回転半径方向内側部分)の長さとの比率は、
各部分の材質や回転速度に応じて適宜選定すればよい
が、一般に、焼き付き防止と過度の切り込み防止の双方
を享受するには、前記焼結体で構成された刃先の長さを
刃先全長の1%〜67%の範囲に設定するのがよい(請
求項4)。
【0016】また本発明は、施工面に対向する対向面を
もつ回転体と、その対向面上に並べて設けられ、回転周
方向に施工面の表面部分を掻き取るための刃先を有する
複数の刃部とを備え、前記対向面に対して直交する方向
の軸回りに前記回転体が回転駆動されながら前記各刃部
が施工面に押付けられることにより当該施工面の表面部
分を掻き取る回転工具において、前記対向面に砥粒を金
属バインダで結合させた砥石が配設され、前記刃部の刃
先として、前記砥石よりも硬質の焼結体で構成された刃
先を含み、かつ、当該焼結体で構成された刃先が前記砥
石よりも前記回転体の回転半径方向外側の位置に設けら
れているものである(請求項5)。
【0017】この回転工具によれば、切れ味の鋭い硬質
の焼結体で構成された刃先が施工面の表面部分を高速で
浅く除去することにより焼き付きを防止する一方、当該
刃先よりも回転半径方向内側の位置に前記焼結体よりも
硬度が低くて比較的切れ味の鈍い砥石が存在することに
よって、刃先全体が深く食い込み過ぎることが抑制され
る。さらに、前記硬質焼結体で構成された刃先による除
去加工を前記砥石によって補助し、また、前記硬質焼結
体で構成された刃先による除去加工で加工面に傷が生じ
た場合に、その傷を前記砥石によって低減ないし消滅さ
せるといったことも可能になる。
【0018】この回転工具の具体的な形態としては、前
記刃部の刃先として、前記砥石により構成された刃先
と、前記砥石よりも硬質の焼結体で構成された刃先とを
含み、かつ、前記焼結体で構成された刃先が前記砥石に
より構成された刃先よりも前記回転体の回転半径方向外
側に位置するように各刃部が配列されたものでもよいし
(請求項6)、前記砥石が前記回転体の回転周方向に連
続する形状を有しており、この砥石よりも前記回転体の
回転半径方向外側の位置に、前記焼結体で構成された刃
先をもつ刃部が設けられているものでもよい(請求項
7)。
【0019】また本発明は、施工面に対向する対向面を
もつ回転体と、その対向面上に並べて設けられ、回転周
方向に施工面の表面部分を掻き取るための刃先を有する
複数の刃部とを備え、前記対向面に対して直交する方向
の軸回りに前記回転体が回転駆動されながら前記各刃部
が施工面に押付けられることにより当該施工面の表面部
分を掻き取る回転工具において、その少なくとも一部の
刃部が請求項1〜4のいずれかに記載の刃部で構成され
ているものである(請求項8)。
【0020】この回転工具によれば、切れ味の鋭い硬質
の焼結体で構成された刃先が施工面の表面部分を高速で
浅く除去することにより焼き付きを防止する一方、前記
焼結体よりも硬度が低くて比較的切れ味の鈍い砥石で構
成された刃先の存在によって刃先全体が深く食い込み過
ぎることが抑制される。さらに、前記硬質焼結体で構成
された刃先による除去加工を前記砥石で構成された刃先
によって補助し、また、前記硬質焼結体で構成された刃
先による除去加工で生じた傷を前記砥石で構成された刃
先によって低減ないし消滅させることも可能である。
【0021】請求項8記載の回転工具では、必ずしも全
ての刃部が請求項1〜4のいずれかに記載の刃部で構成
されていなくてもよいが、全ての刃部が請求項1〜4の
いずれかに記載の刃部であって周方向に等間隔で配設さ
れている構成とすれば(請求項9)、切削能力を周方向
に均一化させて、より円滑な除去加工を実現することが
できる。
【0022】また、少なくとも前記焼結体で構成された
刃先を有する第1の刃部と、前記砥石により構成された
刃先を有する第2の刃部とを含み、この第2の刃部の刃
先が前記第1の刃部における焼結体で構成された刃先よ
りも前記回転体の回転半径方向内側に位置するように当
該第2の刃部が配設されている構成としても(請求項1
0)、焼き付き防止効果及び過度の食い込み抑制の効果
を享受することが可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、この実施の形態では施工面
Sの表面に塗布された塗膜を除去加工する場合を示す
が、本発明の加工対象はこれに限らず、施工面に付着し
た接着剤や樹脂製シート、樹脂製タイルといったその他
の「塗膜」、あるいは他の材質で構成された施工面を除
去加工するのに広く適用が可能である。
【0024】図1〜図4に示す回転工具Tは、金属板か
らなる回転体10と、これに取付けられる複数の刃部2
0とからなっている。
【0025】前記回転体10は、平板状の外周部11
と、その内側に形成された内側部12とを一体に有して
いる。
【0026】上記内側部12は、外周部11の内側縁か
ら略円錐台状に上方へ膨出し、その中央部分には前記外
周部11と平行な平板部14が形成されている。この平
板部14の中心には駆動軸挿通孔18が穿設され、当該
挿通孔18に図略の駆動源の駆動軸が装着されることに
より、この駆動軸と一体に回転工具全体が中心軸O(図
2)回りに旋回駆動されるようになっている。また、前
記平板部14よりも回転半径方向外側の膨出部分(すな
わち回転中心軸Oと外周部11との間の部分)には、周
方向に並ぶ複数の貫通孔17が穿設されている。
【0027】前記外周部11の底面は、図3に示すよう
な施工面Sに対して平行な状態で対向するように配され
る面(以下、単に「対向面」と称する。)とされ、この
対向面上に複数の刃部20が周方向に並べて配設されて
いる。図例では、8個の刃部20が周方向に等間隔で配
列され、前記対向面上にロー付けやねじ止めといった手
段で固着されている。
【0028】各刃部20は、刃部本体22と、この刃部
本体22に超硬合金23を介して部分的に固着された硬
質焼結体24とを有している。
【0029】刃部本体22は、砥粒(例えばダイヤモン
ド砥粒やCBN砥粒)を金属バインダ(例えば鉄、コバ
ルト、タングステンなど)で固めたものでブロック状に
形成されている。図例では、前記外周部11の外周縁に
沿う底面視円弧状の外周面と、外周部11の内周縁に沿
う底面視円弧状の内周面と、工具Tの半径方向に延びる
底面視直線状の両側面とを有し、全体が均一な厚み寸法
を有している。そして、この刃部本体22は、その回転
方向下流側部分であって回転半径方向外側部分が局所的
に切欠かれた形状をなし、その切欠部分に当該切欠部分
を補う形状の超硬合金23及び硬質焼結体24が固着さ
れている。
【0030】硬質焼結体24は、前記刃部本体22より
も硬質の焼結体で構成されたものであればよく、例えば
超硬合金やセラミックス、サーメット等でもよいが、特
に硬度に優れた多結晶ダイヤモンド焼結体やそれに次ぐ
硬度をもつ多結晶立方晶窒化ホウ素焼結体が好適であ
る。このような硬質焼結体24を製造して前記刃部本体
22に固定する方法としては、例えば、前記超硬合金2
3からなる基板の表面に硬質焼結体24の原料となるダ
イヤモンド粉体を載せて圧力をかけることにより全体を
一体に焼結してダイヤモンド焼結体工具素材を生成し、
この工具素材を前記刃部本体22の切欠部分に対応する
形状に切断してその超硬合金23側の面を刃部本体22
にロー付けで固着する方法が好適である。
【0031】この硬質焼結体24が刃部本体22に固定
された状態で、当該硬質焼結体24の回転半径方向下流
側の下縁24aと刃部本体22の回転半径方向下流側の
下縁22aとが一直線上に並んでおり、前記硬質焼結体
24の下縁24aが刃先の回転半径方向外側部分を構成
し、刃部本体22の下縁22aが刃先の回転半径方向内
側部分を構成している。
【0032】なお、図例では刃先角度が90°ですくい
角が0°のものを示しているが、これらの角度は刃部の
具体的な材質や用途に応じて適宜設定すればよい。
【0033】また、図1に示すような刃先全長Loに対
する下縁24aの長さLsの割合は、硬質焼結体24の
材質にもよるが、この硬質焼結体24が多結晶ダイヤモ
ンド焼結体や多結晶立方晶窒化ホウ素焼結体である場合
には、1%〜67%とするのが好ましい。1%未満であ
ると焼き付きが生じるおそれが高く、逆に67%を超え
ると過度の切り込みによる不都合が生じ易くなる。
【0034】硬質焼結体24の厚み寸法は、刃部本体2
2の厚み寸法より小さくてもよいが、両厚み寸法を同等
とすることにより刃部20の寿命を最大限延ばすことが
できる。
【0035】次に、この工具Tの使用要領並びに作用を
説明する。
【0036】1)駆動機への装着 まず、工具Tを駆動機に装着する。その一例としてハン
ディタイプの駆動機30を図4に示す。この駆動機30
は、把持部32と、その先端に設けられた工具カバー3
6とを有し、この工具カバー36内に図略の駆動軸が突
出するとともに、この駆動軸を高速で回転駆動するモー
タ等が駆動機本体に内蔵されている。また、前記工具カ
バー36内はエア配管34を介して図略の排気ポンプに
接続されている。
【0037】この駆動機30の駆動軸を前記工具Tの駆
動軸挿通孔18に挿通し、前記駆動軸の先端に形成され
た雄ねじ部分にナットを装着する等して回転体10を駆
動軸先端に連結、固定する。これにより、工具T全体が
図4に示す工具カバー36内に装着され、この工具カバ
ー36によって裏側(施工面Sと反対の側)から覆われ
た状態となる。
【0038】2)工具Tによる施工 前記駆動軸及び工具Tを一体に高速回転させ(すなわち
対向面に対して直交する向きの軸回りに回転させ)、か
つ、図略の排気ポンプにより工具カバー36内を排気し
ながら、駆動機30の把持部32を把持し、各刃具20
を施工面(例えば壁面)Sに押し当てて、当該施工面S
に沿い走査する。これにより、高速回転する各刃具20
の刃先が施工面S上の塗膜を薄く掻き取っていく。
【0039】ここで、刃先の回転半径方向外側部分、す
なわち、回転周方向の速度が高くて切削仕事量の多い部
分は切れ味の鋭い硬質焼結体24で構成されているの
で、当該部分によって施工面Sの塗膜を高速で浅く除去
することができ、塗膜の熱融着による焼き付きを防止す
ることができる。その一方、回転半径方向内側の部分、
すなわち回転周方向速度が低くて切削仕事量の少ない部
分は、前記焼結体よりも硬度が低くて比較的切れ味の鈍
い金属バインダ砥石(刃部本体22を構成する砥石)で
構成されているので、刃先全体が深く食い込み過ぎるこ
とが抑制される。
【0040】また、前記のように刃先において切削仕事
量の多い回転半径方向外側部分を硬質の焼結体24で構
成する一方、切削仕事量の比較的少ない回転半径方向内
側部分を前記砥石(刃部本体22を構成する砥石)で構
成することにより、刃先の磨耗速度をその回転半径方向
にわたって均一化することができ、従来のように刃先全
体が同一の材料で構成されているものと異なり、刃先の
回転半径方向外側部分が回転半径方向内側部分よりも先
行して磨耗する(いわゆるヘタリ)を防ぐことができ、
これによって刃先寿命を長く維持することができる。
【0041】さらに、前記硬質焼結体24の下縁24a
で構成された刃先(以下「硬質焼結体製刃先24a」と
表記する。)による除去加工を、前記砥石製の刃部本体
22で構成された刃先(以下「砥石製刃先22a」と表
記する。)によって補助することが可能である。例え
ば、この工具を塗膜除去に用いた場合、硬質焼結体製刃
先24aで取りきれなかった塗膜を砥石製刃先22aに
よって補助的に除去することが可能になる。また、前記
硬質焼結体製刃先24aによる除去加工で傷が生じてし
まった場合、その傷を前記砥石製刃先22aによって低
減ないし消滅させる効果も期待できる。
【0042】このような掻き取りにより発生した切粉
は、各貫通孔17を通じて工具カバー36側(施工面S
と反対側)に吸引される。
【0043】ところで、図1〜図4は、ハンディタイプ
の駆動機30に工具Tを装着して使用する形態を示して
いるが、本発明はこれに限らず、例えば、いわゆる「塗
り床」の施工を行う場合には、床上を走行可能な手押し
式加工機あるいは乗用式加工機に工具Tを装着すること
により、楽な姿勢で効率良く塗膜除去施工をすることが
可能である。そのための工具Tの一例を図5に示す。図
示の回転工具Tでは、回転体10が単純な円板状に形成
されており、その外周部に複数の刃部20が配列されて
いる。図示の刃部20では、その刃部本体22が底面視
三角形状に形成されているが、その回転半径方向外側部
分に局所的に焼結体24が設けられている点は前記図1
〜図4に示したものと全く同様である。
【0044】本発明の施工対象となる施工面も建築物の
壁や床に限らず、例えば船舶や橋梁の塗装改修にも本発
明を有効に適用することが可能である。
【0045】また、図示の刃部20では、刃先の回転半
径方向内側部分を構成する金属バインダ砥石がそのまま
刃部本体22を構成しているが、本発明はこれに限ら
ず、例えば刃部本体を別材料(超硬合金等)で構成し、
この刃部本体に、刃先の回転半径方向外側部分を構成す
る硬質焼結体と刃先の回転半径方向内側部分を構成する
砥石(砥粒を金属バインダで固めた砥石)とを並べて固
着させることも可能である。
【0046】本発明では、複数の刃部が対向面に対して
内外二重あるいは多重にわたり(すなわち複数の同心円
上に)配設されたものでもよい。
【0047】また、本発明にかかる回転工具では、必ず
しも全ての刃部が前記刃部20のように砥石製刃先22
a及び硬質焼結体製刃先24aを併有するものでなくて
もよく、少なくとも硬質焼結体製刃先を含む第1の刃部
と、刃先全体が砥粒を金属バインダで固めた砥石で構成
された第2の刃部とが混在して対向面に設けられている
ものでもよい。
【0048】例えば、第2の実施の形態として図6及び
図7に示すように、前記砥石製刃先22a及び硬質焼結
体製24aを併せ持つ刃部(第1の刃部)20が周方向
に間欠的に並べて配列されるとともに、各刃部20同士
の間に前記砥石(砥粒を金属バインダで結合させた砥
石)で構成された刃先26aのみを有する刃部(第2の
刃部)26が介在する配置でもよい。さらに、第3の実
施の形態として図8及び図9に示すように、刃部26の
刃先26aの外接円Cが刃部20の硬質焼結体製刃先2
4aよりも回転体10の回転半径方向内側に位置する配
置であれば、各刃部26によって各刃部20における前
記砥石製の刃先22aの負荷を軽減することが可能であ
る。
【0049】すなわち、第4の実施の形態として図10
に示すように、前記刃部26よりも回転半径方向外側の
位置に硬質焼結体製刃先24aのみをもつ刃部が設けら
れた(図例では回転体10の対向面に形成された凹溝1
6内に硬質焼結体24からなる刃部が固着された)構
成、つまり、前記図1等に示した砥石製刃先22aが省
略された構成であっても、前記砥石からなる刃部26の
刃先26aによって過度の切り込みを抑制し、かつ、前
記刃先24aによる切削の補助作用及び当該切削により
生じた傷の低減ないし消滅作用を得ることが可能であ
る。
【0050】さらに、第5の実施の形態として図11に
示すように、回転体10の回転周方向に連続する形状
(図例では円輪状)の砥石28を具備し、この砥石28
よりも回転体10の回転半径方向外側の位置に、硬質焼
結体製刃先24aをもつ刃部が設けられている回転工具
であってもよい。このように砥石28が刃先をもたない
場合にも、その研削作用によって前記硬質焼結体製刃先
24aによる切削を補助することが可能であり、また、
当該硬質焼結体製刃先24aによる切削により生じた傷
を前記砥石28による研削で低減ないし消滅させること
が可能である。勿論、過度の切り込みを防止する効果も
享受することができる。
【0051】ただし、前記第1の実施の形態のように全
ての刃部が本発明にかかる刃部で構成されていて当該刃
部が周方向に等間隔で配設されている構成とすれば、切
削能力を周方向に均一化させることができ、より円滑な
除去加工及び長い工具寿命を実現することができる利点
が得られる。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明は、回転工具の刃部
において、その刃先の回転半径方向内側部分を砥粒を金
属バインダで結合させた砥石で構成し、前記刃先の回転
半径方向外側部分を硬質焼結体で構成したものであり、
また複数の刃部をもつ回転工具において、砥粒を金属バ
インダで結合させた砥石を備えるとともに、この砥石よ
りも硬質の焼結体で構成された刃先が前記砥石または当
該砥石により構成された刃先よりも前記回転体の回転半
径方向外側に位置するものであるので、刃先の過度の食
い込みを避けながら焼き付きを防止して良好な除去加工
をすることができるとともに、刃先全体の磨耗速度を均
一化して刃先寿命を延ばすことができる効果がある。さ
らに、前記硬質焼結体で構成された刃先による除去加工
を前記砥石によって補助し、また、前記硬質焼結体で構
成された刃先による除去加工で生じた傷を前記砥石によ
って低減ないし消滅させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる回転工具を
底面側から見た斜視図である。
【図2】前記回転工具を上面側から見た斜視図である。
【図3】前記回転工具の側面図である。
【図4】前記回転工具が装着される駆動機の例を示す斜
視図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる回転工具であって
塗り床施工用に構成された回転工具を底面側から見た斜
視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる回転工具を
底面側から見た斜視図である。
【図7】図6の回転工具の底面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる回転工具を
底面側から見た斜視図である。
【図9】図8の回転工具の底面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態にかかる回転工具
の底面図である。
【図11】(a)は本発明の第5の実施の形態にかかる
回転工具の底面図、(b)はその断面正面図である。
【符号の説明】
10 回転体 20 刃部(第1の刃部) 22 刃部本体 22a 刃部本体の下縁(砥石製刃先) 24 硬質焼結体 24a 硬質焼結体の下縁(硬質焼結体製刃先) 26 刃部(第2の刃部) 26a 刃部26の刃先 28 砥石 S 施工面 T 回転工具

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 施工面に対向する対向面をもつ回転体を
    備えた回転工具の当該対向面上に設けられ、その対向面
    に対して直交する方向の軸回りに前記回転体が回転駆動
    されながら施工面に押付けられるときに当該施工面の表
    面部分を掻き取る刃先をもつ回転工具の刃部であって、
    その刃先の回転半径方向内側部分が砥粒を金属バインダ
    で結合させた砥石で構成され、前記刃先の回転半径方向
    外側部分が前記砥石よりも硬質の焼結体で構成されてい
    ることを特徴とする回転工具の刃部。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の回転工具の刃部におい
    て、刃先の回転半径方向外側部分が多結晶ダイヤモンド
    焼結体または多結晶立方晶窒化ホウ素焼結体で構成され
    ていることを特徴とする回転工具の刃部。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の回転工具の刃部
    において、前記焼結体で構成された刃先部分を除く刃部
    全体が砥粒を金属バインダで結合させた砥石で構成され
    ていることを特徴とする回転工具の刃部。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の回転工
    具の刃部において、前記焼結体で構成された刃先の長さ
    が刃先全長の1%〜67%の範囲内に設定されているこ
    とを特徴とする回転工具の刃部。
  5. 【請求項5】 施工面に対向する対向面をもつ回転体
    と、その対向面上に並べて設けられ、回転周方向に施工
    面の表面部分を掻き取るための刃先を有する複数の刃部
    とを備え、前記対向面に対して直交する方向の軸回りに
    前記回転体が回転駆動されながら前記各刃部が施工面に
    押付けられることにより当該施工面の表面部分を掻き取
    る回転工具において、前記対向面に砥粒を金属バインダ
    で結合させた砥石が配設され、前記刃部の刃先として、
    前記砥石よりも硬質の焼結体で構成された刃先を含み、
    かつ、当該焼結体で構成された刃先が前記砥石よりも前
    記回転体の回転半径方向外側の位置に設けられているこ
    とを特徴とする回転工具。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の回転工具において、前記
    刃部の刃先として、前記砥石により構成された刃先と、
    前記砥石よりも硬質の焼結体で構成された刃先とを含
    み、かつ、前記焼結体で構成された刃先が前記砥石によ
    り構成された刃先よりも前記回転体の回転半径方向外側
    に位置するように各刃部が配列されていることを特徴と
    する回転工具。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の回転工具において、前記
    砥石は前記回転体の回転周方向に連続する形状を有して
    おり、この砥石よりも前記回転体の回転半径方向外側の
    位置に、前記焼結体で構成された刃先をもつ刃部が設け
    られていることを特徴とする回転工具。
  8. 【請求項8】 施工面に対向する対向面をもつ回転体
    と、その対向面上に並べて設けられ、回転周方向に施工
    面の表面部分を掻き取るための刃先を有する複数の刃部
    とを備え、前記対向面に対して直交する方向の軸回りに
    前記回転体が回転駆動されながら前記各刃部が施工面に
    押付けられることにより当該施工面の表面部分を掻き取
    る回転工具において、その少なくとも一部の刃部が請求
    項1〜4のいずれかに記載の刃部で構成されていること
    を特徴とする回転工具。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の回転工具において、その
    全ての刃部が請求項1〜4のいずれかに記載の刃部によ
    り構成され、かつ、これらの刃部が周方向に等間隔で配
    設されていることを特徴とする回転工具。
  10. 【請求項10】 請求項8または9記載の回転工具にお
    いて、少なくとも前記焼結体で構成された刃先を有する
    第1の刃部と、前記砥石により構成された刃先を有する
    第2の刃部とを含み、この第2の刃部の刃先が前記第1
    の刃部における焼結体で構成された刃先よりも前記回転
    体の回転半径方向内側に位置するように当該第2の刃部
    が配設されていることを特徴とする回転工具。
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