JP2018059394A - 塗材剥離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排出口2vは第1のカバー2a1のうち塗材剥離装置2の後端寄りの箇所に貫通形成されており、塗材剥離装置2の前後方向に延びた短軸bと、この短軸bと交差する長軸aとを有する略楕円形に形成されている。給水口2jの中心と第1のカバー2a1の中心P1とを接続する線L1と、短軸bおよび長軸aの交点と中心P1とを接続する線L2とが成す角度θは、回転体2nの回転方向F1に計測した場合に180度以上360度未満である。従って、給水口2jから供給された水と剥離粉Asとが混合されて泥状となった泥水Mを効率良く排出口2vから吸引装置40へ排出することができる。
【選択図】図4
Description
つまり、従来の塗膜剥離装置(1)は、研削粉が装置外部に漏れないようにすること、吸引力が低下しないようにすること、カバーが塗装面に吸着しないようにすることの計3つの目的を成立させることができない。
前述した目的を達成するため、本出願の請求項1に係る発明では、
構造物に塗装された塗材を剥離し、その剥離した塗材を吸引装置(40)へ排出する塗材剥離装置(2)であって、
片手で持つことが可能なケーシング(2d)と、
ケーシング(2d)の前端に設けられており、かつ、塗材が塗装された塗装面(B)に対して下面の周縁(2n1)が平行に回転する円板形状の回転体(2n)と、
周縁(2n1)から回転体(2n)の回転中心(P)にかけて形成された凹部(25)と、
回転体(2n)に回転体(2n)の回転方向(F1)に沿って形成された複数の窓(2p)と、
回転体(2n)の下面に設けられており、塗材を研磨して除去するための複数の研磨部材(30,31)と、
回転体(2n)の上面を覆う略円板形状の第1のカバー(2a1)と、
第1のカバー(2a1)と一体的に形成されており、回転体(2n)の外周面を覆う略円筒形状の第2のカバー(2a2)と、
第1のカバー(2a1)に支持されており、第2のカバー(2a2)の外周面を覆う略円筒形状の第3のカバー(22)と、
第3のカバー(22)を第1のカバー(2a1)に上下動可能に弾性部材(2h)を介して複数箇所で支持する複数の支持部材(2f)と、
ケーシング(2d)の内部に設けられており、回転体(2n)を回転させるためのエアモータ(2w)と、
回転体(2n)を下面から見た場合に複数の窓(2p)のいずれかから露出可能な状態で第1のカバー(2a1)の下面に設けられており、第1のカバー(2a1)の下面と回転体(2n)の上面との間に形成された空間(K)に水(W)を供給するとともに、回転体の回転中および停止中のいずれのときでも複数の窓(2p)を介して凹部(25)へ水(W)を供給可能な給水口(2j)と、
第1のカバー(2a1)のうち、当該塗材剥離装置(2)の後端寄りの箇所に貫通形成されており、かつ、空間(K)と連通しており、給水口(2j)から回転体(2n)の下面へ供給された水(W)と、回転体(2n)が回転したときに複数の研磨部材(30,31)により塗装面(B)から剥離された塗材とが混合した泥水(M)を吸引装置(40)へ排出する排出口(2v)と、
第2のカバー(2a2)の外周面と第3のカバー(22)の内周面との間に第2のカバー(2a2)の外周面に沿って形成された隙間であって、吸引装置(40)が作動したときに外気(A)を取り入れるための第1の隙間(23)と、
回転体(2n)の外周面と第2のカバー(2a2)の内周面との間に形成されており、吸引装置(40)が作動したときに第1の隙間(23)に取り入れられた外気(A)を空間(K)に導くための第2の隙間(26)と、
一端が排出口(2v)に接続されており、第1のカバー(2a1)の上面に配置された排出パイプ(2c)と、を備えており、
第2のカバー(2a2)の下端縁(2a4)は、複数の研磨部材(30,31)の各下面(30a,31a)よりも高い位置に位置しており、
第3のカバー(22)の下端縁(22c)は、その下端縁(22c)が塗装面(B)に押し当てられていないときは弾性部材(2h)の弾性力によって複数の研磨部材(30,31)の各下面(30a,31a)よりも下方に位置しており、かつ、下端縁(22c)が弾性部材(2h)の弾性力に抗して塗装面(B)に押し当てられたときは複数の研磨部材(30,31)の各下面(30a,31a)と同じ位置まで上昇可能に構成されており、
排出口(2v)は、当該塗材剥離装置(2)の前後方向に延びた短軸(b)と、短軸(b)と交差する長軸(a)とを有する略楕円形に形成されており、
さらに、第1のカバー(2a1)の中心(P1)と回転体(2n)の回転中心(P)とは同軸上に存在しており、給水口(2j)の中心と第1のカバー(2a1)の中心(P1)とを接続する線(L1)と、排出口(2v)の中心と第1のカバー(2a1)の中心(P1)とを接続する線(L2)とが成す角度(θ)は、回転体(2n)の回転方向(F1)に計測した場合に180度以上360度未満であり、
さらに、ケーシング(2d)を片手で持って塗材の剥離作業を行うことができるように構成されているという技術的手段を有する。
なお、上記の「水を供給する給水口」における「供給」とは、水を噴射するという供給態様を含む意味であり、噴射の勢いの強弱は問わない意味である。
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の塗材剥離装置(1)において、
第2のカバー(2a2)の周面の一部が平面状に形成された第1の平面部(2a3)と、
第3のカバー(22)の周面の一部が平面状に形成されており、第1の平面部(2a3)と平行な第2の平面部(22b)と、を備えており、
複数の研磨部材(30,31)のうち、所定数の研磨部材(30)の研磨面(30b)の一部が回転体(2n)の外周から外方に突出しており、
第1の隙間(23)のうち、第1および第2の平面部(2a3,22b)の間に形成された隙間(23a)から、回転体(2n)の外周が露出しているという技術的手段を有する。
請求項3に係る発明では、請求項1または請求項2に記載の塗材剥離装置(1)において、
給水口(2j)は、回転体(2n)の回転中および停止中のいずれのときでも、複数の窓(2p)のいずれかを介して水(W)を噴射し、研磨部材(30.31)によって塗材が除去された部分(G)を洗浄する機能を有するという技術的手段を有する。
請求項4に係る発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗材剥離装置(2)において、第1のカバー(2a1)には、吸引装置(40)が作動したときに外気(A)を空間(K)に取り入れるための吸気孔(2a5)が貫通形成されているという技術的手段を有する。
請求項5に係る発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗材剥離装置(1)において、
給水口(2j)から供給される水量を調節する水量調節装置(21)を備えたという技術的手段を有する。
請求項6に係る発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の塗材剥離装置(1)において、
第3のカバー(22)の外周面には、その外周面を覆う軟質の第4のカバー(24)が着脱可能に取付けられているという技術的手段を有する。
請求項7に係る発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の塗材剥離装置(1)において、
前記第3のカバー(22)の下端縁(22c)が前記塗装面(B)に当接した状態において、前記第2のカバー(2a2)の下端縁(2a4)と前記塗装面との間には第3の隙間(S)が形成されており、
第1および第3の隙間(23,S)が、それぞれ0.8mm以上かつ1.2mm以下であり、さらに、第2のカバーの内周面の高さ(H)が20mm以上かつ30mm以下であることを特徴とする。
(1)請求項1に係る発明の塗材剥離装置は、第2のカバーの外周面を覆う略円筒形状の第3のカバーを備える。そして、その第3のカバーの下端縁は、その下端縁が塗装面に押し当てられていないときは、弾性部材の弾性力によって複数の研磨部材の各下面よりも下方に位置しており、かつ、下端縁が弾性部材の弾性力に抗して塗装面に押し当てられたときは複数の研磨部材の各下面と同じ位置まで上昇可能に構成されている。
つまり、第3のカバーの下端縁は、塗材の剥離作業を行っているときは複数の研磨部材の各下面と同じ位置まで上昇するため、各研磨部材によって塗装面から剥離された塗材が第3のカバーから外方へ漏れ難い。
つまり、回転体を塗装面から浮かせたときでも、剥離された塗材が第3のカバーから外方に漏れ難い。
つまり、給水口から供給された水は、塗材が剥離された面を湿潤化することができるため、剥離された塗材の飛散を抑制することができる。しかも、給水口から供給された水と剥離された塗材とを混合して泥状にすることができる。
さらに、水を供給しながら研磨するため、剥離された粉状の塗材が、塗材が除去された面(以下、除去面という)や装置の内部に残留することがない。
つまり、吸引装置が作動したときに、外気を第1および第2の隙間を通じて空間に導くことができるため、空間から排出口を通じて吸引装置に達するまでの空気の流れが良くなるため、吸引力を高めることができる。
(3)しかも、第1および第2の隙間により、上記空間が装置外部と連通しているため、空間内が極度に減圧されないので、第2のカバーが塗装面に吸着されず、剥離作業効率を高めることもできる。
(4)さらに、吸引装置が作動したときに、第2カバーおよび第3カバーの隙間は最適な負圧状態になるため、多くの外気を空間に導くことができるので、水分を含んだ剥離物が内部回転体の回転力により装置外部へ排出されるのを防ぐことができる。
つまり、垂直な塗装面に対して当該塗材剥離装置の前端を上方にし、後端を下方にした姿勢にて作業する場合であっても、給水口から供給された水と剥離された塗材とが混合されて泥状となった流体を効率良く排出口から吸引装置へ排出することができる。
(7)さらに、給水口から塗装面に供給される水によって各研磨部材を冷却することができるため、各研磨部材の寿命を延ばすこともできる。
(8)さらに、給水口から回転体の下面へ供給された水によって、研磨傷の内部に入り込んでいる塗材やコンクリート粒などの異物を洗い流すことができるため、除去面は、剥離された塗材が残っていない状態であるので、作業員は健康を害されるおそれもなく安全に作業を行うことができる。また、新たな塗装を行うときに塗装むらができるなどの悪影響が出るおそれがない。
(9)さらに、ケーシングを片手で持って塗材の剥離作業を行うことができるように構成されているため、塗材の剥離作業を行うときの作業性を良くすることができるとともに、作業負担を軽減することもできる。
(10)さらに、回転体は、エアモータによって回転するため、電気モータによって回転体が回転する構造の装置のように、作業中に装置内部に水が浸入することに起因する感電のおそれがない。
請求項2に係る発明の塗材剥離装置は、第2のカバーの周面の一部が平面状に形成された第1の平面部と、第3のカバーの周面の一部が平面状に形成されており、第1の平面部と平行な第2の平面部と、を備える。また、複数の研磨部材のうち、所定数の研磨部材の研磨面の一部が回転体の外周から外方に突出している。さらに、第2のカバーの外周面と第3のカバーの内周面との間に第2のカバーの外周面に沿って形成された隙間のうち、第1および第2の平面部の間に形成された隙間から、回転体の外周が露出している。
つまり、第1および第2の平面部の間に形成された隙間から回転体の外周が露出しており、その外周から外方に突出した研磨部材の研磨面により、塗装面の塗材を剥離することができる。
したがって、塗装面に凸部や角部などが存在する場合であって、上記隙間から露出した回転体の外周を上記凸部や角部などに当てることにより、その凸部や角部などに塗装された塗材を剥離することができる。
請求項3に係る発明の塗材剥離装置が備える給水口は、回転体の回転中および停止中のいずれのときでも、複数の窓のいずれかを介して水を噴射し、研磨部材によって塗材が除去された部分を洗浄する機能を有する。
したがって、塗材の剥離作業中および作業が終了したときのいずれのときであっても、塗材が除去された部分を即座に洗浄することができ、別途、水道源にホースを接続して除去面を洗浄する必要がないため、除去面の洗浄作業効率を高めることができる。さらに作業員が研磨された塗材を吸引する恐れが無いため、安全であり、かつ、研磨された塗材が飛散しないため、塗材を剥離する作業を行う場所を隔離するための養生が不要である。
また、研磨傷の内部に入り込んでいる塗材やコンクリート粒などの異物を洗い流すことができるため、塗材が剥離された面に新たな塗装を行うときに塗装むらができるなどの悪影響が出るおそれがない。
請求項4に係る発明の塗材剥離装置が備える第1のカバーには、吸引装置が作動したときに外気を空間に取り入れるための吸気孔が貫通形成されているため、空間から排出口を通じて吸引装置に達するまでの空気量を多くすることにより空気の流れをより一層良くすることができるため、吸引力をより一層高めることができる。
請求項5に係る発明の塗材剥離装置は、給水口から回転体の下面へ供給される水量を調節する水量調節装置を備えるため、水量を調節する必要が生じる毎に水源まで行って水量を調節する必要がないので、水量の調節作業効率を高めることができる。
また、塗材の剥離作業を行うときは水量を少なくすることにより節水することができる。また、除去面の洗浄作業を行うときは水量を多くすることにより洗浄作業効率を高めることができる。
請求項6に係る発明の塗材剥離装置が備える第3のカバーの外周面には、その外周面を覆う軟質の第4のカバーが着脱可能に取付けられているため、塗材の剥離作業を行うときに発生する振動を第4のカバーによって吸収することができるので、作業者の負担を軽減することができる。
しかも、第4のカバーは軟質であるため、第4のカバーの外周面が構造物に衝突した場合であっても、構造物を傷つけるおそれがない。
さらに、第4のカバーは軟質であるため、塗材の塗装面との密着性に優れているので、塗装面に微少な凹凸が存在する場合であっても、その凹凸と第4のカバーとの接触面の隙間をなくすことができることから、剥離された塗材が装置内部から飛散することを確実に防止することができる。
請求項7に係る発明では、第3のカバーの下端が塗装面に当接した状態において、第2のカバーと塗装面との間には第3の隙間が形成され、第1および第3の隙間が、それぞれ0.8mm以上かつ1.2mm以下であるため、吸引装置が作動したときに、外気を第1および第3の隙間を通じて空間に効率良く導くことができる。
したがって、空間から排出口を通じて吸引装置に達するまでの空気の流れをより一層良くすることができるので、吸引力をより一層高めることができる。
しかも、吸引装置が作動したときに空間内の負圧が過剰に高くならないため、当該塗材剥離装置が塗装面に吸着してしまい、塗材の剥離作業がし難くなってしまうおそれもない。つまり、第1および第3の隙間をそれぞれ0.8mm以上かつ1.2mm以下に設定することにより、塗材の剥離作業を行う際に、当該塗材剥離装置が塗装面に吸着せず、かつ、剥離された塗材の吸引力を高めることができる。
さらに、第2のカバーの内周面の高さが20mm以上かつ30mm以下であるため、吸引効率を高めつつ空間内の容積を十分確保することができるので、空間内を循環する塗材が第2の隙間などから漏れないようにすることもできる。
本発明の実施形態に係る塗材剥離装置の構造について、図1ないし図8を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る塗材剥離装置の平面図である。図2は、図1に示す塗材剥離装置の正面図である。図3は、図1に示す塗材剥離装置の下面図である。図4は、図3に示す塗材剥離装置から回転体を取り除いた状態を示す下面図である。図5は、図2に示す塗材剥離装置の回転体周辺の縦断面図である。図6は、図3に示す回転体の拡大図である。図7(a)は研磨部材31の拡大側面図、(b)は拡大正面図、(c)は拡大平面図、(d)は研磨部材30の拡大側面図、(e)は拡大正面図、(f)は拡大平面図である。図8は、剥離塗材回収システムの構成を模式的に示す説明図である。
なお、以下の説明では、各研磨部材によって塗装面から剥離された粉状の塗材およびコンクリート粉などを剥離粉と称する。
また、第1の隙間23および隙間23aは、吸引装置40(図8)が作動したときに、第1のカバー2a1の下面と回転体2nとの間に形成された空間K(図5)に外気Aを取り込むためのものである。
また、回転体2nの外周面と、第1のカバー2a1の内周面との間には、第2の隙間26が形成されている。この第2の隙間26は、第1の隙間23により取り込まれた外気Aを、第1のカバー2a1の下面と回転体2nの上面との間に形成された空間K(図5)に導くためのものである。さらに、図5に示すように、第3のカバー22の下端縁22cが塗装面Bに当接した状態において、第2のカバー2a2の下端縁2a4と塗装面Bとの間には、第2の隙間26と連通する第3の隙間Sが形成されている。この第3の隙間Sも第2の隙間26と同様に、外気Aを空間Kに導くためのものである。
本願発明者は、給水口2jと排出口2vとの位置関係が、泥水Mの排出効率に与える影
響を調べる実験を行った。この実験は、図9に示すように、コンクリート構造物の垂直の塗装面Bに対して塗材剥離装置2を、前端が上方で下端が下方になる垂直の姿勢にして、塗装されたアスベストを剥離して行った。また、回転体2nの回転数と、給水口2jから噴射される単位時間当たりの水量とを一定にした。また、排出口2vは、直径が約25mmの円形である。
本実験の結果、角度θが60度の場合の泥水Mの単位時間当たりの排出量をmとした場合、角度θが120度になると排出量が約1.2mに増加し、角度θが180度になると排出量が約1.3mに増加した。そしてさらに、角度θが240度になると排出量が約1.5mに増加した。つまり、角度θが大きくなるほど泥水Mの排出量が増加し、角度θが240度になると、角度θが60度のときよりも、排出効率が約50%向上することが分かった。
また、本願発明者は、排出口2vの形状が、泥水Mの排出効率に与える影響を調べる実験を行った。本実験は、前述の角度θを約250度に設定することにより排出口2vの中心を固定し、排出口2vの短軸bと同じ直径を有する円形の排出口と、図4に示す長軸aおよび短軸bを有する楕円形の排出口2vとを比較した。円形の排出口の直径は約25mmである。また、楕円形の排出口2vの長軸aは約50mmであり、短軸bは約25mmである。その結果、円形の排出口の場合の排出量をnとした場合、楕円形の排出口2vでの排出量は約2.0nであった。これは、排出口の開口面積が楕円形の方が大きいために、単位時間当たりの排出量が増加したことが影響したものと推定した。
円形の排出口の面積は625m2であり、楕円形の排出口2vの面積は約980m2であり、楕円形の排出口2vの面積は、円形の排出口の面積の約1.6倍である。この面積の比較以上に排出効率が良かったのは、排出口2vの長軸aが泥水Mの流れる方向F3(図4)に沿っていることと、排出口2vの内部であって排出パイプ2cに連通する壁2v1が、円筒を斜めに切断した形状を呈しており、排出口2vに流入する泥水Mの抵抗が小さくなることとが相乗効果を発生し、単位時間当たりの排出量が増加したことが影響したものと推定した。
さらに、本願発明者は、第1の隙間23および第3の隙間Sが、剥離粉の吸引効率に及ぼす影響を調べる実験を行った。
この実験は、塗材剥離装置2の排出パイプ2cを後述する吸引装置40(図8)に接続して行った。実験時の吸引装置40の吸引風量は61L/秒であり、真空度は23kPaである。そして、最初は、第1の隙間23および第3の隙間Sをそれぞれ5.0mmに設定し、塗装面Bの塗材を剥離し、10分間に吸引装置40によって吸引された剥離粉の質量を計測した。その後、第1の隙間23および第3の隙間Sを0.1mm単位で減少させながら同様の実験を行った。その結果、第1の隙間23および第3の隙間Sがそれぞれ0.7mm以下になると、第2のカバー2a2の下端縁2a4が塗装面Bに吸着されてしまい、塗材の剥離作業を行うことが困難になった。また、第1の隙間23および第3の隙間Sがそれぞれ1.3mm以上になると、吸引効率が極端に低下し、吸引された剥離粉の質量が極端に減少した。
そこで、本願発明者は、上記の実験結果から、第1の隙間23および第3の隙間Sを0.8mm以上かつ1.2mm以下に設定することにより、第2のカバー2a2の下端縁2a4が塗装面Bに吸着されず、かつ、剥離粉の吸引効率を高めることができると結論した。
さらに、本願発明者は、第2のカバー2a2の内周面の高さHが、空間Kから外部に漏れる剥離粉の量に及ぼす影響を調べる実験を行った。
この実験は、前述した実験3と同様に、塗材剥離装置2の排出パイプ2cを後述する吸引装置40(図8)に接続して行った。実験時の吸引装置40の吸引風量は61L/秒であり、真空度は23kPaである。そして、最初は、高さHを15mmに設定し、高さHを1mm単位で増やす毎に空間Kから外部に漏れる剥離粉を観察した。その結果、高さHが15mm〜19mmの場合は、剥離粉が空間Kから外部に漏れていた。これは、空間Kの容積が小さいために、空間K内を循環して排出口2vに到達できなかった剥離粉が外部に漏れたことが原因であると推測した。そして、高さHが30mmを超えると吸引効率が低下し始めた。これは、吸引装置40の吸引対象である空間Kの容積が大きくなったことが原因であると推測した。
そこで、本願発明者は、上記の実験結果から、第2のカバー2a2の内周面の高さHを20mm以上かつ30mm以下に設定することにより、剥離粉が空間Kから外部に漏れず、かつ、吸引効率が低下しないようにすることができると結論した。
図6に示すように、回転体2nの下面には、複数の研磨部材30,31が取付けられている。研磨部材30,31は、それぞれ回転体2nの回転方向F1、つまり回転軌跡に沿って取付けられている。複数の研磨部材31の一部は、回転体2nの外周近傍の下面に所定間隔置きに取付けられており、他の一部は、それらよりも回転中心P寄りの下面に所定間隔置きに取付けられている。複数の研磨部材30は、回転体2nの外周縁に沿って所定間隔置きに取付けられている。以下の説明では、回転体2nの下面から下方に向いている面、つまり塗装面Bと対向する面を平面とする。
図7(a)〜(c)に示すように、研磨部材31は、肉薄で略板状に形成されており、矩形の平面31aと、略楔状の一対の側面31c,31cと、横長の研磨面31bとを有する。塗材を研磨して剥離するための研磨面31bは、回転体2nの下面に対して傾斜面(テーパー面)になっており、図6に示したように、各研磨部材31は、研磨面31bを回転方向F1に向けて(回転軌跡と交差するように)それぞれ取付けられている。
この実施形態では、回転体2nは、直径が約90〜100mmの金属製であり、時計回り(図6に示すように下面から見た状態では反時計回り)に回転する。また、無負荷時の回転数は13,600回転/分である。また、供給される圧縮空気の圧力は、0.6MPaである。
次に、剥離塗材回収システムの構成について図を参照しつつ説明する。図8は、剥離塗材回収システムの構成を模式的に示す説明図である。
次に、塗材剥離装置2の動作および作用について図を参照しつつ説明する。図9は、塗材剥離装置が塗装面に塗装された塗材を剥離する様子を模式的に示す説明図である。
最初に、剥離作業前に塗装面Bに塗膜軟化剤(剥離剤)を塗布しておき、塗材が容易に剥離されるように準備しておくことが、作業効率を高める上で望ましい。そして、給水ポンプ3、コンプレッサー18および吸引装置40をそれぞれ起動する。続いて、塗材剥離装置2に設けられた水量調節レバー21a(図1,2)を開方向へ回動操作すると、給水ポンプ3から給水チューブ2bを通じて供給された水Wが水量調節装置21を通じて給水口2jから噴射される(図5)。続いて、塗材剥離装置2に設けられたスイッチ2e(図1,2)を回動すると、コンプレッサー18から供給される圧縮空気によってエアモータ2w(図2)が駆動し、回転体2nが高速で回転する。
作業者が、塗材剥離装置2を塗装面Bに押し当てながら移動させると、その移動経路に沿って塗材が研磨され、剥離される。図9において符号Gは、塗材剥離装置2によって塗材が研磨され、除去された部分、つまり除去面を示す。
さらに、給水口2jから噴射された水Wにより、研磨された面を洗浄することができる。また、回転体2nが停止しているときでも、いずれかの窓2pから給水口2jが露出した状態にし、水量調節レバー21aを操作して水量が多い状態にすれば、給水口2jから噴射される水により、研磨された面を洗浄することができる。
したがって、水源にホースを接続し、研磨された面を洗浄するという手間な作業を行う必要がないため、洗浄作業効率を高めることができる。
また、剥離作業中は、給水ポンプ3の給水圧力を0.3MPa程度に調整し、給水口2jから噴射される水量を抑制することにより、水を節約することができる。また、除去面Gを洗浄する際は、給水圧力を50〜100MPaに調節し、給水口2jから噴射される水量を多くすることにより、洗浄効率を高めることができる。
空間Kは、吸引装置40の吸引力によって負圧状態になっているため、凹部25の内部を対流する剥離粉Asは、各窓2pを通じて空間Kに吸い上げられる。給水口2jから噴射された水Wの他の一部は、回転体2nの上面のうち、窓2pが形成されていない部分に噴射され、高速回転する回転体2nによって霧状に変化し、空間Kに供給される。このため、空間Kに吸い上げられた剥離粉Asにはさらに水Wが加えられ、泥水Mに変化する。
さらに、給水口2jから噴射された水Wによって各研磨部材30,31が冷却されるため、各研磨部材30,31の耐久性を高めることができる。
本願発明者の実験によれば、各研磨部材30,31に水Wを供給して冷却しながら研磨した場合は、各研磨部材30,31に水を供給しない状態で研磨した場合と比較し、各研磨部材30,31の寿命が20%延びた。
また、塗材剥離装置2の重量は、約1.8kgであり、片手に持って容易に作業することができる重量である。
このため、塗材の剥離作業中に回転体2nが、塗装面Bに対して垂直方向に上下動した場合であっても、第3のカバー22および第4のカバー24が塗装面Bに対して密着した状態を維持するため、剥離された塗材などが、第3のカバー22および第4のカバー24と塗装面Bとの隙間から飛散し難い。
この実施形態では、第4のカバー24は、ゴムにより形成されており、可撓性を有するため、剥離作業によって作業者に伝わる振動を軽減することができる。
しかも、第4のカバー24は軟質であるため、第4のカバー24のコンクリート壁面に衝突した場合であっても、コンクリート壁面を傷つけるおそれがない。
次に、剥離塗材回収システムの他の構成について図を参照しつつ説明する。図10は、剥離塗材回収システムの他の構成を模式的に示す説明図である。
また、濾過槽7には、剥離塗材収容体8から滲出して濾過槽7に貯留した水を濾過槽7から濾過装置17へ排水する排水装置15が、排水ホース14を介して接続されている。排水装置15は、各塗材剥離装置2および減圧装置13が稼働している状態において、剥離塗材収容体8から滲出した水の濾過槽7における水位が、底板9よりも低い水位を維持するように動作する。
次に、濾過槽7の構造について、図11を参照して説明する。図11は、濾過槽7から剥離塗材収容体8を取出した状態を示す説明図である。
剥離塗材収容体8は、合成樹脂製繊維により袋状に形成されている。この実施形態では、剥離塗材収容体8は、上面が開口した直方体形状に形成されている。剥離塗材収容体8の各面は、網目状に形成されており、透水性を有する。つまり、その網目部分から泥水の水分が滲出し、剥離塗材などのゴミ10が濾過され、蓄積されるように形成されている。このように、各塗材剥離装置2から送出される泥水に含まれる塗材などのゴミ10は、剥離塗材収容体8によって濾過される。
この実施形態では、剥離塗材収容体8として、通称、フレコン(株式会社ナシヨナルマリンプラスチツクの登録商標で、フレキシブルコンテナバッグの略称)と呼ばれるもののうち、ポリプロピレン製またはポリエチレン製の繊維を編んで形成された、透水性に優れるとともに軽量かつ強度が高く、容量1000リットルのものを用いる。
図5に示す減圧装置13は、濾過槽7の内部の空気を吸引して濾過槽7の内部を真空にすることにより、泥水排出ホース6,6を介して各塗材剥離装置2の各空間K内に負圧を発生させるための装置である。この実施形態では、減圧装置13としてバキュームコレクターを用いる。
図5に示す排水装置15は、濾過槽7の底部に貯留した水を濾過装置17へ排水するための装置である。剥離塗材収容体8は、濾過槽7の底板9に載置されているため、濾過槽7に貯留した水の水位が底板9よりも高くなると、剥離塗材収容体8が浸水するので、ゴミ10の水切りが不十分になる。さらに、ゴミ10が水分を含むと、剥離塗材収容体8の重量が増加するので、剥離塗材収容体8を吊り上げる際に大きな動力が必要になる。このため、排水装置15は、濾過槽7における水位が底板9の高さよりも低い水位を維持することができるように動作する。
そこで、本出願の発明者は、様々なポンプを用いて試行錯誤を繰り返した結果、建築現場においてコンクリートやモルタルなどの原料を作業場所へ送り出すためのグラウトポンプが適していることを見出した。つまり、グラウトポンプの原料注入側を濾過槽7に接続し、原料吐出側を濾過装置17に接続することにより、濾過槽7の内部を目標の真空圧に維持しながら、濾過槽7に貯留した水を濾過装置17へ排水することに成功した。
グラウトポンプは、チューブをローターで押し潰し、チューブ内の液状体を直接しごき出す構造であるため、供給する液状体を貯留している槽の真空圧が大きくても、チューブ内の液状体を確実に送り出すことができるからである。このため、排水装置15としてグラウトポンプを使用することにより、濾過槽7の内部が−93kPa以下の真空圧であっても、濾過槽7に貯留した水を排水することができる。しかも、グラウトポンプには弁構造が存在しないため、濾過槽7に貯留した水に混入している剥離塗材やコンクリート片などが弁に詰まって排水できなくなってしまうおそれもない。さらに、グラウトポンプは、弁構造を有する他の排水ポンプと異なり、外気と連通していないため、濾過槽7の内部の真空圧を維持することができるため、濾過槽7の水位を一定に保つことができ、かつ、塗材剥離装置2の空間Kの負圧を一定に保つことができる。
濾過装置17および中和装置19から構成される水処理装置は、排水装置15から排水された水を処理し、環境基準に適合した水に変化させるための装置である。各塗材剥離装置2から濾過槽7へ送出された泥水は、剥離塗材収容体8により、ある程度の大きさの剥離塗材やコンクリート粒などのゴミ10が濾過されるが、剥離塗材収容体8の網目を通過した微細な剥離塗材やコンクリート粒などの不純物が、剥離塗材収容体8から滲出した水と混じる。また、コンクリート粒などを含んだ泥水は、pH9以上のアルカリ性であるため、濾過槽7の底部に貯留する水は、自然環境へ排出することができる基準、つまり、環境基準に適合していない。
排水装置15から排水された水は、各濾過容器を順次通過し、濾過槽7において濾過できなかった0.2μmを超えるアスベストなどの塗材やコンクリート粒などの不純物が濾過される。つまり、アスベストなどの塗材が含有された泥水を検出限界値以下に濾過することができる。
また、中和処理槽19aは、濾過装置17から排水された水を攪拌し、炭酸ガスボンベ19bから注入された炭酸ガスによって水を中和する。中和処理槽19aは、pH検出器と、pH指示計と、pH記録計とを備える。中和処理槽19aは、濾過装置17から排出された水を環境基準のpH5.8〜8.6に中和処理した後に排水する。
次に、剥離塗材回収システム50の使用方法について図を参照して説明する。なお、前述した剥離塗材回収システム1と同じ部分については説明を省略する。
図10に示す剥離塗材回収システム50は、作業現場の近辺に配置されており、給水ポンプ3は、作業現場の水道や水貯留タンクなどの給水源4に接続されている。給水ポンプ3、コンプレッサー18、減圧装置13、排水装置15および中和装置19を駆動する。給水ポンプ3が駆動すると、給水源4から取り入れた水が各給水チューブ2bを介して各塗材剥離装置2へ供給される。また、減圧装置13が駆動すると、濾過槽7内の空気が、吸引ホース12を介して吸引され、濾過槽7の内部が真空状態になり、泥水排出ホース6を介して各塗材剥離装置2の空間K(図5)の内部が負圧状態になる。
ここで、濾過槽7の内部が所定の真空圧になっても、排水装置15は、その真空圧に打ち勝つほど吸引力が高いため、濾過槽7に貯留した水を排水することができるので、剥離塗材収容体8から滲出した水によって濾過槽7が満杯になることがない。
したがって、濾過槽7が貯留水で満杯になる毎に剥離作業を中断し、濾過槽7を交換する必要がない。
つまり、各塗材剥離装置2が使用する水量に関係なく、塗材の剥離作業を連続して行うことができるため、塗材の剥離作業効率を高めることができる。
したがって、剥離塗材収容体8に蓄積されるゴミ10の水切りを効率良く行うことができるため、ゴミ10が蓄積された剥離塗材収容体8の重量を軽くすることができるので、剥離塗材収容体8を濾過槽7から取出す際の労力を軽減することができる。
続いて、塗材の剥離作業を行う場合は、中身が空の新しい剥離塗材収容体8を底板9の上に載置し、各固定用ベルト8bの係止部8cを側板7d,7eの各係止部材7iに係止する。そして、天板7aを閉じ、前述した作業手順により、塗材の剥離作業を再開する。
(1)上述した実施形態の塗材剥離装置2を実施すれば、第3のカバー22の下端縁22cは、塗材の剥離作業を行っているときは各研磨部材30,31の各平面30a,31aと同じ位置まで上昇するため、各研磨部材30,31によって塗装面Bから剥離された剥離粉Asが第3のカバー22から外方へ漏れ難い。
つまり、回転体2nを塗装面Bから浮かせたときでも、剥離粉Asが第3のカバー22から外方に漏れ難い。
つまり、給水口2jから供給された水Wと剥離粉Asとを混合して泥状にすることができる。
しかも、水Wを供給しながら研磨するため、剥離粉Asが除去面や装置の内部に残留することがない。
つまり、吸引装置40が作動したときに、外気Aを第1の隙間23および第2の隙間26を通じて空間Kに導くことができるため、空間Kから排出口2vを通じて吸引装置40に達するまでの空気の流れが良くなるため、吸引力を高めることができる。
(3)しかも、第1および第2の隙間により、上記空間が装置外部と連通しているため、空間内が極度に減圧されないので、第2のカバーが塗装面に吸着されず、剥離作業効率を高めることもできる。
つまり、垂直な塗装面Bに対して塗材剥離装置2の前端を上方にし、後端を下方にした姿勢にて作業する場合であっても、給水口2jから供給された水と剥離粉Asとが混合されて泥状となった泥水Mを効率良く排出口2vから吸引装置40へ排出することができる。
(6)さらに、給水口2jから塗装面Bに供給される水Wによって各研磨部材30,31を冷却することができるため、各研磨部材30,31の寿命を延ばすこともできる。
(7)さらに、給水口2jから回転体2nの下面へ供給された水Wによって、研磨傷の内部に入り込んでいる塗材やコンクリート粒などの異物を洗い流すことができるため、新たな塗装を行うときに塗装むらができるなどの悪影響が出るおそれがない。
(8)さらに、ケーシング2dを片手で持って塗材の剥離作業を行うことができるように構成されているため、塗材の剥離作業を行うときの作業性を良くすることができるとともに、作業負担を軽減することもできる。
(9)さらに、回転体2nは、エアモータ2wによって回転するため、電気モータによって回転体が回転する構造の装置のように、作業中に装置内部に水が浸入することに起因する感電のおそれがない。
つまり、第1の平面部2a3および第2の平面部22bの間に形成された隙間23aから回転体2nの外周が露出しており、その外周から外方に突出した各研磨部材30の各研磨面30bにより、塗装面Bの塗材を剥離することができる。
したがって、塗装面Bに凸部や角部などが存在する場合であって、隙間23aから露出した回転体2nの外周を上記凸部や角部などに当てることにより、その凸部や角部などに塗装された塗材を剥離することができる。
したがって、塗材の剥離作業が終了したときに、塗材が除去された部分を即座に洗浄することができ、別途、水道源にホースを接続して除去面を洗浄する必要がないため、除去面の洗浄作業効率を高めることができ、さらに研磨粉が無く飛散しないため、作業現場を隔離養生する必要ない。
また、研磨傷の内部に入り込んでいる塗材やコンクリート粒などの異物を洗い流すことができるため、塗材が剥離された面に新たな塗装を行うときに塗装むらができるなどの悪影響が出るおそれがない。
(13)さらに、塗材剥離装置2は、給水口2jから回転体2nの下面へ供給される水量を調節する水量調節装置21を備えるため、水量を調節する必要が生じる毎に水源まで行って水量を調節する必要がないので、水量の調節作業効率を高めることができる。
また、塗材の剥離作業を行うときは水量を少なくすることにより節水することができる。また、除去面の洗浄作業を行うときは水量を多くすることにより洗浄作業効率を高めることができる。
しかも、第4のカバー24は軟質であるため、第4のカバー24の外周面が構造物に衝突した場合であっても、構造物を傷つけるおそれがない。
したがって、空間Kから排出口2vを通じて吸引装置40に達するまでの空気の流れをより一層良くすることができるので、吸引力をより一層高めることができる。
しかも、吸引装置40が作動したときに空間K内の負圧が過剰に高くならないため、塗材剥離装置2が塗装面Bに吸着してしまい、塗材の剥離作業がし難くなってしまうおそれもない。つまり、第1および第3の隙間23,Sをそれぞれ0.8mm以上かつ1.2mm以下に設定することにより、塗材の剥離作業を行う際に、塗材剥離装置2が塗装面Bに吸着せず、かつ、剥離された塗材の吸引力を高めることができる。
さらに、第2のカバー2a2の内周面の高さHが20mm以上かつ30mm以下であるため、吸引効率を高めつつ空間K内の容積を十分確保することができるので、空間K内を循環する剥離粉Asが第2の隙間26などから漏れないようにすることもできる。
つまり、塗材剥離作業中に剥離粉Asが、作業環境の中に飛散しないため、作業者の健康が害されるおそれがなく、安全に剥離作業を行うことができる。
しかも、剥離粉Asの飛散を防止するための隔離養生を行う必要がないため、作業コストを軽減することもできる。
さらに、吸引装置40の内部に残ったアスベストを含む水は、濾過装置17および中和装置19を用いて検出限界値以下まで濾過および中和を行い自然環境下へ排出可能である。
2a2・・第2のカバー、2a3・・第1の平面部、2a4・・下端縁、
2a5・・吸気孔、2c・・排出パイプ、2d・・ケーシング、2f・・支持部材、
2h・・圧縮コイルバネ(弾性部材)、2j・・給水口、2n・・回転体、
2n1・・周縁、2p・・窓、2v・・排出口、2w・・エアモータ、
21・・水量調節装置、21a・・水量調節レバー、22・・第3のカバー、
22b・・第2の平面部、22c・・下端縁、23・・第1の隙間、
24・・第4のカバー、25・・凹部、26・・第2の隙間、
30,31・・研磨部材、30b,31b・・研磨面、40・・吸引装置、
A・・外気、B・・塗装面、F1・・回転方向、G・・除去面、
K・・空間、L1,L2・・線、M・・泥水、P・・回転中心、P1・・中心、
W・・水、a・・長軸、b・・短軸、θ・・角度。
Claims (7)
- 構造物に塗装された塗材を剥離し、その剥離した塗材を吸引装置へ排出する塗材剥離装置であって、
片手で持つことが可能なケーシングと、
前記ケーシングの前端に設けられており、かつ、前記塗材が塗装された塗装面に対して下面の周縁が平行に回転する円板形状の回転体と、
前記周縁から前記回転体の回転中心にかけて形成された凹部と、
前記回転体に前記回転体の回転方向に沿って形成された複数の窓と、
前記回転体の下面に設けられており、前記塗材を研磨して除去するための複数の研磨部材と、
前記回転体の上面を覆う略円板形状の第1のカバーと、
前記第1のカバーと一体的に形成されており、前記回転体の外周面を覆う略円筒形状の第2のカバーと、
前記第1のカバーに支持されており、前記第2のカバーの外周面を覆う略円筒形状の第3のカバーと、
前記第3のカバーを前記第1のカバーに上下動可能に弾性部材を介して複数箇所で支持する複数の支持部材と、
前記ケーシングの内部に設けられており、前記回転体を回転させるためのエアモータと、
前記回転体を下面から見た場合に前記複数の窓のいずれかから露出可能な状態で前記第1のカバーの下面に設けられており、前記第1のカバーの下面と前記回転体の上面との間に形成された空間に水を供給するとともに、前記回転体の回転中および停止中のいずれのときでも前記複数の窓を介して前記凹部へ水を供給可能な給水口と、
前記第1のカバーのうち、当該塗材剥離装置の後端寄りの箇所に貫通形成されており、かつ、前記空間と連通しており、前記給水口から前記回転体の下面へ供給された水と、前記回転体が回転したときに前記複数の研磨部材により前記塗装面から剥離された塗材とが混合した泥水を前記吸引装置へ排出する排出口と、
前記第2のカバーの外周面と前記第3のカバーの内周面との間に前記第2のカバーの外周面に沿って形成された隙間であって、前記吸引装置が作動したときに外気を取り入れるための第1の隙間と、
前記回転体の外周面と前記第2のカバーの内周面との間に形成されており、前記吸引装置が作動したときに前記第1の隙間に取り入れられた前記外気を前記空間に導くための第2の隙間と、
一端が前記排出口に接続されており、前記第1のカバーの上面に配置された排出パイプと、を備えており、
前記第2のカバーの下端縁は、前記複数の研磨部材の各下面よりも高い位置に位置しており、
前記第3のカバーの下端縁は、その下端縁が前記塗装面に押し当てられていないときは前記弾性部材の弾性力によって前記複数の研磨部材の各下面よりも下方に位置しており、かつ、前記下端縁が前記弾性部材の弾性力に抗して前記塗装面に押し当てられたときは前記複数の研磨部材の各下面と同じ位置まで上昇可能に構成されており、
前記排出口は、当該塗材剥離装置の前後方向に延びた短軸と、前記短軸と交差する長軸とを有する略楕円形に形成されており、
さらに、前記第1のカバーの中心と前記回転体の回転中心とは同軸上に存在しており、前記給水口の中心と前記第1のカバーの中心とを接続する線と、前記排出口の前記短軸および前記長軸の交点と前記第1のカバーの中心とを接続する線とが成す角度は、前記回転体の回転方向に計測した場合に180度以上360度未満であり、
さらに、前記ケーシングを片手で持って前記塗材の剥離作業を行うことができるように構成されていることを特徴とする塗材剥離装置。 - 前記第2のカバーの周面の一部が平面状に形成された第1の平面部と、
前記第3のカバーの周面の一部が平面状に形成されており、前記第1の平面部と平行な第2の平面部と、を備えており、
前記複数の研磨部材のうち、所定数の研磨部材の研磨面の一部が前記回転体の外周から外方に突出しており、
前記第1の隙間のうち、前記第1および第2の平面部の間に形成された隙間から、前記回転体の外周が露出していることを特徴とする請求項1に記載の塗材剥離装置。 - 前記給水口は、前記回転体の回転中および停止中のいずれのときでも、前記複数の窓のいずれかを介して水を噴射し、前記研磨部材によって前記塗材が除去された部分を洗浄する機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗材剥離装置。
- 前記第1のカバーには、前記吸引装置が作動したときに外気を前記空間に取り入れるための吸気孔が貫通形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗材剥離装置。
- 前記給水口から供給される水量を調節する水量調節装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗材剥離装置。
- 前記第3のカバーの外周面には、その外周面を覆う軟質の第4のカバーが着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の塗材剥離装置。
- 前記第3のカバーの下端縁が前記塗装面に当接した状態において、前記第2のカバーの下端縁と前記塗装面との間には第3の隙間が形成されており、
前記第1および第3の隙間が、それぞれ0.8mm以上かつ1.2mm以下であり、さらに前記第2のカバーの内周面の高さが20mm以上かつ30mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の塗材剥離装置。
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